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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】店舗装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20220909BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20220909BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20220909BHJP
   G08B 13/196 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
G08B25/04 E
G08B25/08 A
G08B25/00 510M
G08B13/196
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018211529
(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2020077330
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】沙魚川 久史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】小南 学
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/033576(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0044614(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-25/00
H04N 7/18
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗を監視する店舗装置であって、
店舗内における複数の商品のそれぞれの配置位置と、店舗内の監視エリアとを記憶する記憶部と、
前記監視エリアを撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、
前記撮影画像から不審人物を検出する不審人物検出部と、
不審人物が検出された場合、監視装置に通報を送信する通報部と、
利用者による前記複数の商品の内の何れかの商品及び当該商品に対する重要度の指定を受け付ける受付部と、
前記指定された商品の配置位置及び指定された重要度に基づいて、重点監視エリアを設定する重点監視エリア設定部と、を有し、
前記不審人物検出部は、前記監視エリアが前記重点監視エリアを含むか否かに応じて、前記撮影画像から不審人物を検出する基準を変更する、
ことを特徴とする店舗装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記複数の商品のそれぞれの個数の設定をさらに受け付け、
前記重点監視エリア設定部は、さらに前記複数の商品のそれぞれの個数に基づいて、前記重点監視エリアを設定する、請求項1に記載の店舗装置。
【請求項3】
前記撮影画像から店舗の店員を検出する店員検出部をさらに有し、
前記不審人物検出部は、店員が検出されたか否かに応じて前記基準を変更する、請求項1又は2に記載の店舗装置。
【請求項4】
店舗が混雑しているか否かを判定する混雑判定部をさらに有し、
前記不審人物検出部は、店舗が混雑しているか否かに応じて前記基準を変更する、請求項1~3の何れか一項に記載の店舗装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗を監視する店舗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗に設置された店舗装置が、店舗内を撮影した撮影画像を解析し、撮影画像から検出した人物への対処が必要である場合、監視センタに設置された監視装置に通報を行う画像監視システムが利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、監視対象の状況を監視センタで画像により監視する画像監視システムが開示されている。この画像監視システムにおいて、画像監視装置は、利用者により非常通報操作があったときは、監視センタへの非常通報及び現画像の送出を行う。
【0004】
また、特許文献2には、重要監視物への人物の接近を検知すると、重要監視物の周囲の所定領域内の画像を取得する装置が開示されている。この装置は、所定の条件を満たす人物が画像から検出された場合、監視センタに通報を行い、監視画像を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-109973号公報
【文献】特開2012-50031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、店舗内を撮影した撮影画像を用いて店舗を監視する店舗装置において、重点的に監視するエリアを設定するためには特別なスキルが必要である。そのため、このような店舗装置では、重点的に監視するエリアを容易に設定できることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、店舗内で重点的に監視するエリアを容易に設定できる店舗装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明は、店舗を監視する店舗装置であって、店舗内における複数の商品のそれぞれの配置位置と、店舗内の監視エリアとを記憶する記憶部と、監視エリアを撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、撮影画像から不審人物を検出する不審人物検出部と、不審人物が検出された場合、監視装置に通報を送信する通報部と、利用者による複数の商品の内の何れかの商品及び当該商品に対する重要度の指定を受け付ける受付部と、指定された商品の配置位置及び指定された重要度に基づいて、重点監視エリアを設定する重点監視エリア設定部と、を有し、不審人物検出部は、監視エリアが重点監視エリアを含むか否かに応じて、撮影画像から不審人物を検出する基準を変更する店舗装置を提供する。
【0009】
この店舗装置において、受付部は、複数の商品のそれぞれの個数の設定をさらに受け付け、重点監視エリア設定部は、さらに複数の商品のそれぞれの個数に基づいて、重点監視エリアを設定することが好適である。
【0010】
この店舗装置は、撮影画像から店舗の店員を検出する店員検出部をさらに有し、不審人物検出部は、店員が検出されたか否かに応じて基準を変更することが好適である。
【0011】
この店舗装置は、店舗が混雑しているか否かを判定する混雑判定部をさらに有し、不審人物検出部は、店舗が混雑しているか否かに応じて基準を変更することが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る店舗装置は、店舗内で重点的に監視するエリアを容易に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像監視システム1の全体システム構成を示す図である。
図2】店舗における商品の配置位置、監視エリア及び撮像装置の位置の一例を示す平面図である。
図3】設定処理の動作を示すフローチャートの一例を示す図である。
図4】監視処理の動作を示すフローチャートの一例を示す図である。
図5】通報決定処理の動作を示すフローチャートの一例を示す図である。
図6】画像監視システム1の動作シーケンスの一例を示す図である。
図7】監視装置30に表示される表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る画像監視システムについて図を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る画像監視システム1の全体システム構成を示す図である。図1に示すように、画像監視システム1は、一又は複数の店舗のそれぞれに設置される一又は複数の店舗装置10と、構内LAN又はインターネット等の通信ネットワークを介して各店舗装置10と接続される監視装置30とを有する。また、各店舗装置10には、一又は複数の撮像装置21と、音出力装置22と、一又は複数の端末装置23とが接続される。
【0016】
店舗装置10は、例えばパーソナルコンピュータ等であり、インタフェース部11と、第1通信部12と、第1記憶部13と、第1制御部14とを有する。
【0017】
インタフェース部11は、例えばUSB等のシリアルバス規格に準じるインタフェース回路を有し、撮像装置21、音出力装置22及び/又は端末装置23と通信接続して各種の情報を送受信する。なお、インタフェース部11は、シリアルバス規格に準じるインタフェース回路の代わりに、WiFi、Bluetooth(登録商標)、NFC等の近距離無線通信規格に準じるインタフェース回路を有してもよい。
【0018】
第1通信部12は、イーサネット(登録商標)などの各種の通信インタフェース回路を有し、通信ネットワークを介して監視装置30と各種の信号を送受信する。
【0019】
第1記憶部13は、ROM、RAM等の半導体メモリ、磁気ディスク(HDD)、又はCD-ROM、DVD-RAM等の光ディスクドライブ及びその記録媒体を有する。第1記憶部13は、店舗装置10を制御するためのコンピュータプログラム及び各種データを記憶し、第1制御部14との間でこれらの情報を入出力する。コンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶部13にインストールされてもよい。また、記憶部15は、データとして、背景画像131、商品配置情報132、監視エリア情報133、撮像装置情報134、店員情報135等を記憶する。
背景画像131は、各撮像装置21が、動物体が存在しないときに店舗内を撮影した画像である。商品配置情報132は、店舗内における複数の商品のそれぞれの配置位置を示す情報である。監視エリア情報133は、各商品の配置位置と店舗内の監視エリアとの対応関係を示す情報である。撮像装置情報134は、監視エリアとその監視エリアを撮影する撮像装置21との対応関係を示す情報である。店員情報135は、店員毎の顔写真を含む情報である。
【0020】
第1制御部14は、CPU、MPU等のプロセッサと、ROM、RAM等のメモリと、その周辺回路とを有し、店舗装置10の各種信号処理を実行する。第1制御部14は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装される画像取得手段141、不審人物検出手段142、通報手段143、受付手段144、重点監視エリア設定手段145、人物検出手段146、店員検出手段147、混雑判定手段148及び画像送信手段149等を有する。なお、第1制御部14として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0021】
撮像装置21は、店舗装置10が設置される店舗に固定設置され、店舗内を撮影するカメラである。撮像装置21は、CCD素子またはC-MOS素子など、可視光に感度を有する光電変換素子と、その光電変換素子上に像を結像する結像光学系と、光電変換素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。撮像装置21は、撮影したRGB各色の画像を各画素が0~255の範囲の輝度値を有するデジタルの撮影画像に変換して店舗装置10へ出力する。
【0022】
音出力装置22は、店舗装置10が設置される店舗に設置され、店舗内に音声を出力するスピーカである。音出力装置22は、店舗装置10から音声信号を受信し、受信した音声信号に従って、店員又は客等の店舗内の人物に音声を出力する。
【0023】
端末装置23は、店舗装置10の店員により携帯される端末であり、例えばインカム(インターコミュニケーション)、スマートフォン等である。端末装置23は、店舗装置10と接続するためのインタフェースと、店員に通知を行うための表示装置及び/又は音声出力装置等の通知部と、それらを制御するためのプロセッサとを有する。端末装置23は、店舗装置10から通知信号を受信し、受信した通知信号に従って、店員に画像又は音声による通知を行う。
【0024】
なお、撮像装置21、音出力装置22及び/又は端末装置23は、店舗装置10と別個に設けられるのでなく、店舗装置10と一体に設けられてもよい。
【0025】
監視装置30は、例えばサーバ等であり、第2通信部31と、操作部32と、表示部33と、第2記憶部34と、第2制御部35とを有する。
【0026】
第2通信部31は、第1通信部12と同様の通信インタフェース回路を有し、通信ネットワークを介して店舗装置10と各種の信号を送受信する。
【0027】
操作部32は、例えばタッチパネル、マウス、キーボード等であり、監視センタの監視員による操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を第2制御部35に送る。
【0028】
表示部33は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、第2制御部35からの指示に従って、店舗装置10から受信した通報、撮影画像等を表示する。
【0029】
第2記憶部34は、第1記憶部13と同様の半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスクドライブ及びその記録媒体を有する。第2記憶部34は、監視装置30を制御するためのコンピュータプログラム及び各種データを記憶し、第2制御部35との間でこれらの情報を入出力する。コンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶部34にインストールされてもよい。
【0030】
第2制御部35は、第1制御部14と同様のプロセッサ、メモリ及び周辺回路を有し、監視装置30の各種信号処理を実行する。第2制御部35は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装される監視手段351等を有する。
【0031】
図2は、店舗における商品の配置位置、監視エリア及び撮像装置の位置の一例を示す平面図である。
図2に示す様に、店舗には複数の棚S1~S9が配置され、商品は、棚S1~S9の何れかに配置される。店舗には棚S1~S9及びその周辺をそれぞれ含む複数の監視エリアA1~A9が設定されている。なお、各監視エリアの一部は、他の監視エリアと重複する様に設定されてもよい。また、撮像装置21a~21cは、監視エリアA1~A9の内の少なくとも一つを撮影する。本実施形態では、撮像装置21aは、監視エリアA1を、撮像装置21bは、監視エリアA2~A5を、撮像装置21cは、監視エリアA6~A9を、それぞれ撮影するように設定されている。
【0032】
図3は、店舗装置10による設定処理の動作を示すフローチャートの一例を示す図である。以下、図3に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態による登録処理の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、第1記憶部13に予め記憶されているプログラムに基づいて、主に第1制御部14により、店舗装置10の各部と協働して実行される。なお、設定処理は、店舗装置10が後述する監視処理の実行前、又は、監視処理と並行して実行される。
【0033】
まず、受付手段144は、インタフェース部11を介して、端末装置23から重要度設定指示を受信する(ステップS101)。尚、重要度設定指示は端末装置23から受信するものに限られず、店舗内に設置されたパソコン等から入力された指示内容をインタフェース部11を介して受信できるようにしてもよい。重要度設定指示は、店舗の店員等、画像監視システム1の利用者により指定された、複数の商品の内の何れかの商品及びその商品に対する重要度の組を一つ以上含む。次に、受付手段144は、受信した重要度設定指示に含まれる商品及び重要度の指定を受け付ける(ステップS102)。
【0034】
次に、重点監視エリア設定手段145は、指定された商品の配置位置及び指定された重要度に基づいて、重点監視エリアを設定する(ステップS103)。
重点監視エリア設定手段145は、重要度設定指示に含まれる商品の内、重要度が所定値以上である商品を抽出する。重点監視エリア設定手段145は、商品配置情報132を参照して抽出した商品の配置位置を特定し、監視エリア情報133を参照して特定された配置位置に対応付けられた監視エリアを特定する。重点監視エリア設定手段145は、特定した監視エリアを重点監視エリアに設定する。
【0035】
一方、重点監視エリア設定手段145は、重点監視エリアに設定されなかった監視エリアを通常監視エリアに設定する。
以上により、設定処理の動作は終了する。
なお、重点監視エリア設定手段145は、重要度が最大である商品が配置された監視エリア、又は、監視エリア毎に各監視エリアに配置された商品の重要度の合計値を算出し、合計値が最大である監視エリアを、重点監視エリアに設定してもよい。
【0036】
図4は、店舗装置10による監視処理の動作を示すフローチャートの一例を示す図である。以下、図4に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態による監視処理の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、第1記憶部13に予め記憶されているプログラムに基づいて、主に第1制御部14により、店舗装置10の各部と協働して実行される。監視処理は、撮像装置21毎に実行される。
【0037】
まず、不審人物検出手段142は、撮影画像に写る監視エリアが、重点監視エリアを含むか否かを判定する(ステップS201)。不審人物検出手段142は、撮像装置情報134を参照して撮像装置21が撮影する監視エリアを特定し、特定した監視エリアが図3のステップS103において設定された重点監視エリアを含むか否かを判定する。
撮影画像に写る監視エリアが重点監視エリアを含む場合、不審人物検出手段142は、不審人物を検出するための基準を重点監視エリア用の基準に設定する(ステップS202)。
撮影画像に写る監視エリアが重点監視エリアを含まない場合、不審人物検出手段142は、不審人物を検出するための基準を通常監視エリア用の基準に設定する(ステップS203)。
【0038】
不審人物を検出するための基準には、監視エリアに第1時間以上滞留している人物が所定人数以上存在する第1基準と、監視エリアに少なくとも一人の人物が第2時間以上滞留している第2基準が含まれる。第2時間は、第1時間より長い。店舗装置10は、撮影画像に第1基準及び第2基準のうち少なくとも一つを満たす人物が存在する場合、その人物を不審人物として検出する。
重点監視エリア用の基準における第1時間及び第2時間は、通常監視エリア用の基準における第1時間及び第2時間より短く、重点監視エリア用の基準における所定人数は、通常監視エリア用の基準における所定人数より少ない。即ち、店舗装置10は、重点監視エリア用の基準に従って判定する場合、通常監視エリア用の基準に従って判定する場合より、滞留時間が短い人物又は少ない人数で滞留している人物を不審人物として検出しやすくなる。但し、重点監視エリア用の基準及び通常監視エリア用の基準において、第1時間、第2時間及び所定人数のうち一つ又は二つは、同一の値であってもよい。
【0039】
次に、店舗装置10は、不審人物検出手段142が設定した基準を適用して通報決定処理を実行し(ステップS204)、処理をステップS201に戻す。
【0040】
図5は、店舗装置10による通報決定処理の動作を示すフローチャートの一例を示す図である。以下、図5に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態による通報決定処理の動作を説明する。
【0041】
まず、画像取得手段141は、撮像装置21が店舗内の監視エリアを撮影した撮影画像をインタフェース部11を介して撮像装置21から取得する(ステップS301)。
【0042】
次に、人物検出手段146は、撮影画像から人物を検出する(ステップS302)。人物検出手段146は、撮影画像と、その撮影画像を撮影した撮像装置21が撮影した背景画像131との間で、対応画素間の輝度差を求め、各画素の画素値がその輝度差の絶対値で表される差分画像を生成する。人物検出手段146は、撮影画像において、対応する差分画像内の画素値が所定の閾値以上となる領域を動物体領域として検出する。例えば、所定の閾値は、差分画像の各画素値の平均値とすることができる。人物検出手段146は、検出した動物体領域が、人物に対応する所定範囲の大きさを有する場合、その動物体領域を人物が写っている人物領域として検出する。
また、人物検出手段146は、画像取得手段141が順次取得した撮影画像において、検出した各人物領域に対して公知のトラッキング技術を用いて追跡処理を実行する。人物検出手段146は、例えば、最新の撮影画像内の人物領域のそれぞれについて、その人物領域の重心位置と、直前の撮影画像から検出された人物領域の重心位置との距離を算出し、距離が所定の閾値以下である人物領域を同一人物による人物領域として対応付ける。なお、人物検出手段146は、オプティカルフロー、パーティクルフィルタ等の方法を用いて追跡処理を実行してもよい。人物検出手段146は、同一人物による人物領域毎に、その人物領域を最初に検出した時刻を記憶する。
撮影画像から人物が検出されなかった場合、通報決定処理の動作は終了する。
【0043】
一方、撮影画像から人物が検出された場合、店員検出手段147は、検出された人物領域から店舗の店員を検出する(ステップS303)。店員検出手段147は、人物検出手段146が検出した人物領域に対して公知の顔認識処理を実行する。店員検出手段147は、人物領域から顔を抽出し、抽出した顔と店員情報135に記憶された店員の顔との類似度(例えば正規化相互相関値)が所定の閾値以上であると判定した場合に、その人物領域に映っている人物を店員として検出する。店員検出手段147は、人物検出手段146が検出した人物領域に、予め第1記憶部13に記憶された店員の制服の色が所定割合以上含まれると判定した場合に、その人物領域に映っている人物を店員として検出してもよい。
店員が検出された場合、不審人物検出手段142は、図4のステップS202又はS203において設定された基準を変更する(ステップS304)。不審人物検出手段142は、基準に対して、第1時間又は第2時間を長くする。又は、不審人物検出手段142は、基準に対して、所定人数を多くする。
撮影画像において店員が検出された場合、監視エリアは店員の目により直接見られている可能性が高い。店舗装置10は、撮影画像において店員が検出された場合に基準を変更することにより、監視装置30への通報を減少させ、通報に対する監視員の対応負荷を軽減させることができる。
一方、撮影画像において店員が検出されなかった場合、不審人物検出手段142は、ステップS304の処理を実行しない。
【0044】
次に、混雑判定手段148は、撮影画像から、店舗が混雑している度合いを示す混雑度を算出する(ステップS305)。例えば、混雑判定手段148は、人物検出手段146により撮影画像から検出された人物の数を混雑度として算出する。なお、混雑判定手段148は、撮影画像から検出された人物の内、レジ前等の予め設定された所定範囲内に位置する人物の数を混雑度として算出してもよい。また、混雑判定手段148は、所定範囲内に位置する人物の重みが大きくなるように、撮影画像から検出された各人物を重み付けして混雑度を算出してもよい。
次に、混雑判定手段148は、算出した混雑度に基づいて、店舗が混雑しているか否かを判定する(ステップS306)。混雑判定手段148は、混雑度が所定閾値以上である場合、店舗が混雑していると判定し、混雑度が所定閾値未満である場合、店舗が混雑していないと判定する。
【0045】
店舗が混雑していると判定された場合、不審人物検出手段142は、ステップS202又はS203において設定された基準を変更する(ステップS307)。不審人物検出手段142は、基準に対して、第1時間又は第2時間を短くする。又は、不審人物検出手段142は、基準に対して、所定人数を少なくする。
店舗が混雑している場合、多くの客が妨げとなって監視エリアに店員の目が届きにくい。店舗装置10は、店舗が混雑している場合に基準を変更することにより、監視装置30への通報を増加させ、監視を監視員に分担させることができる。
一方、店舗が混雑していると判定されなかった場合、不審人物検出手段142は、ステップS307の処理を実行しない。
なお、店舗が混雑していると判定された場合、不審人物検出手段142は、基準に対して、第1時間又は第2時間を長くしてもよく、所定人数を多くしてもよい。店舗が混雑している場合、監視エリアは一般客により直接見られている可能性が高い。このことは、万引き等の犯罪を実行しようとする人物に対して、犯罪の実行を抑止するように作用する。そこで、店舗装置10は、店舗が混雑している場合に基準を変更することにより、監視装置30への通報を減少させ、通報に対する監視員の対応負荷を軽減させてもよい。
【0046】
次に、不審人物検出手段142は、ステップS202、S203、S304又はS307において設定された基準に従って、撮影画像から不審人物を検出する(ステップS308)。不審人物検出手段142は、人物検出手段146が検出した同一人物による各人物領域に対し、最初に検出した時刻から現在時刻までの経過時間を算出する。不審人物検出手段142は、各人物領域の数及び各人物領域について算出した経過時間を使用して、撮影画像が第1基準及び第2基準を満たすか否かを判定する。不審人物検出手段142は、撮影画像が第1基準及び第2基準のうち少なくとも一つを満たす場合、監視エリアに滞留していると判定された人物領域に写っている人物を不審人物として検出する。
撮影画像から不審人物が検出された場合、通報手段143は、通報を監視装置30に送信することを決定し(ステップS309)、通報決定処理の動作を終了する。
【0047】
一方、撮影画像から不審人物が検出されなかった場合、通報手段143は、ステップS309の処理を実行せず、通報決定処理の動作を終了する。
【0048】
図6は、画像監視システム1の動作シーケンスの一例を示す図である。この動作シーケンスは、予め各装置の各記憶部に記憶されているプログラムに基づいて、主に各装置の各制御部により、店舗装置10及び監視装置30の各要素と協働して実行される。この動作シーケンスは、店舗装置10が、通報決定処理において不審人物を検出し、通報を監視装置30に送信することを決定した場合に実行される。
【0049】
まず、店舗装置10の通報手段143は、通報と、通報を送信することを決定した際に使用された撮影画像とを第1通信部12を介して監視装置30に送信する(ステップS401)。通報には、通報を送信した店舗装置10が設置された店舗の識別情報が含まれる。
【0050】
次に、監視装置30の監視手段351は、第2通信部31を介して店舗装置10から通報及び撮影画像を受信した場合、通報に含まれる店舗の識別情報、及び、撮影画像を表示部33に表示する(ステップS402)。
【0051】
図7は、監視装置30に表示される表示画面の一例である。
図7に示すように、表示画面400には、通報を送信した店舗の識別情報401、不審人物検知時の撮影画像402、ライブ映像を表示するライブ画像403、音声通知ボタン404、通報ボタン405及び終了ボタン406等が表示される。
監視員により音声通知ボタン404が押下されると、監視装置30は、第2通信部31を介して店舗装置10に、警告等の所定の音声を出力することを要求する音声出力要求を送信する。店舗装置10は、音声出力要求を受信すると、インタフェース部11を介して音出力装置22に所定の音声を出力させる。なお、監視装置30は、マイク等の音声入力部(不図示)を有し、監視員による音声の入力を受け付け、受け付けた音声を店舗装置10に送信してもよい。
監視員により通報ボタン405が押下されると、監視装置30は、第2通信部31を介して警察等に設置された他の装置(不図示)に、通報を送信する。
監視員により終了ボタン406が押下されると、監視装置30は、表示画面400の表示を終了する。
【0052】
次に、店舗装置10の画像送信手段149は、撮像装置21が新たに撮影した撮影画像を取得し、第1通信部12を介して監視装置30に送信する(ステップS403)。画像送信手段149は、撮像装置21が新たに撮影した撮影画像を取得するたびに、取得した撮影画像を監視装置30に送信する。
【0053】
次に、監視装置30の監視手段351は、第2通信部31を介して店舗装置10から取得した新たな撮影画像を表示部33に表示する(ステップS404)。監視手段351は、店舗装置10から新たな撮影画像を取得するたびに、取得した撮影画像を表示部33に表示する。
以上により、画像監視システム1の動作シーケンスは終了する。
【0054】
以上説明してきたように、本発明に係る店舗装置10は、利用者から指定された商品の配置位置及び重要度に基づいて重点監視エリアを設定する。これにより、店舗装置10は、店舗内で重点的に監視するエリアを容易に設定できる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、受付手段144は、商品の在庫数を管理する在庫管理サーバから、第1通信部12を介して、複数の商品のそれぞれの個数の設定をさらに受け付けてもよい。在庫管理サーバは、POS(point of sales system)システムなどの既存の在庫管理システムを利用することができる。その場合、重点監視エリア設定手段145は、指定された商品、指定された重要度及び当該商品の配置位置に加え、さらに複数の商品のそれぞれの個数に基づいて、重点監視エリアを設定する。
例えば、店舗装置10は、商品配置情報132において、商品及び商品の配置位置の組に、その配置位置に配置されているその商品の個数をさらに関連付けて記憶する。図3のステップS103の後に、重点監視エリア設定手段145は、商品配置情報132を参照して、ステップS102において受け付けた商品の個数をその商品の配置位置毎に取得する。重点監視エリア設定手段145は、重要度が所定値以上である商品の個数が所定数(例えば1)以上である場合に限り、その商品が配置された監視エリアを重点監視エリアとして設定する。これにより、店舗装置10は、売り切れ等によって配置されていない商品が配置されたエリアを重点的に監視し、監視員に不要な負担をかけてしまうことを防止できる。在庫管理サーバで管理する在庫数は、店舗に配置せず、倉庫で保管している数も含む場合があるため、在庫管理サーバで管理する情報に加えて、商品が配置されているエリアを撮影するカメラ画像から取得した配置数の情報を加えて算出するようにしてもよい。予め商品の画像情報、サイズ、高さ情報等を記憶しておくことで、撮影画像から店舗に配置されている数量を算出することができる。或いは、商品がない状態での画像を記憶しておき、商品がない状態での画像と現在画像が一致すれば、在庫なしと判定するようにしてもよい。
算出された数量が所定数以上である場合に、当該エリアを重点監視エリアとして設定する。尚、在庫管理の方法は上記に限られない。
【0056】
また、不審人物を検出するための基準は、第1基準及び第2基準の何れか一方だけでもよく、第1基準及び第2基準の何れとも異なる他の基準であってもよい。例えば、サングラス又はマスク等で顔を隠蔽している人物が存在することを、不審人物を検出するための基準としてもよい。
この場合、第1記憶部13は、楕円パターン等の頭部輪郭パターン、サングラス判定用テンプレート画像及びマスク判定用テンプレート画像を予め記憶している。図5のステップS308において、不審人物検出手段142は、人物検出手段146が検出した各人物領域から頭部候補領域を抽出し、抽出した頭部候補領域に対して顔隠蔽の有無を判定することにより、撮影画像から不審人物を検出する。不審人物検出手段142は、頭部輪郭パターンをテンプレート画像として、各人物領域においてテンプレート画像との類似度(例えば正規化相互相関値)が高い領域を頭部候補領域として抽出する。不審人物検出手段142は、抽出した頭部候補領域と、サングラス判定用テンプレート画像及びマスク判定用テンプレート画像との類似度をそれぞれ算出する。不審人物検出手段142は、算出した類似度の何れかが所定の閾値以上である場合、顔が隠蔽されていると判定し、閾値以上の類似度に対応する人物領域を不審人物が写っている人物領域として検出する。
【0057】
また、図5の通報決定処理において、店舗装置10は、ステップS303~S304の店員の検出に関する処理、及び、ステップS305~S307の混雑度の算出に関する処理のうち、一方の処理を省略してもよく、両方の処理を省略してもよい。
【0058】
以上のように、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
10 店舗装置、13 第1記憶部、141 画像取得手段、142 不審人物検出手段、143 通報手段、144 受付手段、145 重点監視エリア設定手段、147 店員検出手段、148 混雑判定手段、30 監視装置
図1
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図7