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特許7138555RFIDラベル、緩み検知構造及び緩み検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】RFIDラベル、緩み検知構造及び緩み検知方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20220909BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20220909BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220909BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20220909BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220909BHJP
   G01M 13/00 20190101ALI20220909BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALN20220909BHJP
【FI】
G06K19/07 160
G06K19/077 152
G09F3/00 M
G09F3/10
H01Q1/38
G01M13/00
H01Q1/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018239468
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020101977
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521475989
【氏名又は名称】川崎車両株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
(72)【発明者】
【氏名】都成 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菰田 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 武宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 與志
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-66667(JP,A)
【文献】特開2017-190138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
G09F 3/00
G09F 3/10
H01Q 1/38
G01M 13/00
H01Q 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体からなり、少なくとも一部に導電面が表出した被着体に貼着されるRFIDラベルであって、
一方の面に接着層が積層されたシート基材と、
前記シート基材上に形成されたアンテナ及び状態検出用配線と、
前記シート基材上に前記アンテナ及び状態検出用配線と接続されて配置され、前記状態検出用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信するICチップとを有し、
前記状態検出用配線は、一方の端部が前記ICチップに接続された第1及び第2の配線部を具備し、
前記第1及び第2の配線部の他方の端部はそれぞれ、前記RFIDラベルが前記接着層によって前記被着体に貼着された場合に前記被着体の導電面に電気的に接続可能に表出し、
前記状態検出用配線は、前記第1及び第2の配線部の他方の端部がそれぞれ前記被着体の導電面に電気的に接続されることで導通状態となる、RFIDラベル。
【請求項2】
請求項1に記載のRFIDラベルと、
前記被着体を構成する締め付け対象部品と、
前記被着体を構成し、前記締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材とを有し、
前記RFIDラベルは、前記締め付け対象部品と前記締め付け部材とのいずれか一方に前記接着層によって貼着され、
導電性を具備し、前記締め付け対象部品と前記締め付け部材とのうち前記RFIDラベルが貼着されていない被着体の導電面と、前記第1及び第2の配線部の他方の端部の少なくとも一方とを、前記締め付け対象部品に対して前記締め付け部材に緩みが生じた場合に離間可能に接着する接続手段を有する、緩み検知構造。
【請求項3】
請求項1に記載のRFIDラベルを用いた状態検出方法であって、
前記ICチップが、前記状態検出用配線の導通状態を検出するステップと、
前記ICチップに対して非接触通信が可能な読取手段が、前記ICチップに、前記検出結果を前記アンテナを介して非接触送信させるステップと、
前記読取手段に接続された処理手段が、前記ICチップから前記読取手段に非接触送信された検出結果に基づいて前記被着体の状態を判断するステップとを有する、状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体からなる被着体に貼着され、被着体の状態の変化を検知するRFIDラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道等の車両においては、走行中にボルトが外れた場合に大きな事故に発展する可能性が高い。そのため、従来より、打音検査やチェックマークによる目視検査を熟練作業者が定期的に行うことで、ボルトに緩みが生じていないかを検査している。ところが、このような検査では、作業者の熟練度や人手不足等の人的要因による点検ミスが発生する虞がある。そこで、センサを用いることでボルトの緩みを検査することが考えられるが、大掛かりな装置や、専用のボルトや座金、治具等が必要となってしまう。
【0003】
近年、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICラベルや非接触型ICタグ等のRFID技術を利用した非接触通信媒体がその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。そこで、上述したボルトの緩みのような状態を検知する場合にも、このようなRFID技術を利用することが考えられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ボルトのキャップ部分にICタグを取り付けるとともに、ボルトが締め付けられる部材に固定されたリングに、その一部に開口部を有する金属等からなる導体片を取り付け、ボルトに緩みが生じていない場合は、ICタグが開口部に対向することでICタグに対する読み取りを可能とし、ボルトに緩みが生じた場合は、ボルトが回転することでICタグが開口部に対向しなくなってICタグに対する読み取りを不可能とし、それにより、ボルトの緩みを検知する技術が開示されている。この技術を用いることで、大掛かりな装置や、専用のボルトや座金、治具等を必要とすることなく、ボルトの緩み等の状態を検知することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5324325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、ボルトの緩みが小さいと、ICタグの一部が導体片の開口部に対向し続け、ICタグに対する読み取りが可能な状態のままとなる場合があり、その場合、ボルトが緩んでいないと判断されてしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、貼着された被着体の小さな状態の変化も検出することができる、RFIDラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
導電体からなり、少なくとも一部に導電面が表出した被着体に貼着されるRFIDラベルであって、
一方の面に接着層が積層されたシート基材と、
前記シート基材上に形成されたアンテナ及び状態検出用配線と、
前記シート基材上に前記アンテナ及び状態検出用配線と接続されて配置され、前記状態検出用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信するICチップとを有し、
前記状態検出用配線は、一方の端部が前記ICチップに接続された第1及び第2の配線部を具備し、
前記第1及び第2の配線部の他方の端部はそれぞれ、前記RFIDラベルが前記接着層によって前記被着体に貼着された場合に前記被着体の導電面に電気的に接続可能に表出し、
前記状態検出用配線は、前記第1及び第2の配線部の他方の端部がそれぞれ前記被着体の導電面に電気的に接続されることで導通状態となる。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、ICチップにおいて、シート基材に形成された状態検出用配線の導通状態が検出され、その検出結果がアンテナを介して非接触送信されることで、貼着された被着体の状態の変化が検出されることになるが、状態検出用配線が、一方の端部がICチップに接続された第1及び第2の配線部を具備し、第1及び第2の配線部の他方の端部がそれぞれ、RFIDラベルが被着体に貼着された場合に被着体の導電面に電気的に接続可能に表出し、状態検出用配線が、第1及び第2の配線部の他方の端部がそれぞれ被着体の導電面に電気的に接続されることで導通状態となるので、RFIDラベルが被着体に貼着された状態においては、第1の配線部と第2の配線部と被着体とで閉回路が形成されて状態検出用配線が導通状態となり、その後、被着体の状態に変化が生じた場合、第1及び第2の配線部の他方の端部の少なくとも一方と被着体の導電面との電気的な接続が解消されて状態検出用配線が非導通状態となり、それにより、被着体の状態の変化が検出されることになる。
【0010】
このように、導電体からなる被着体を状態検出用配線の一部として用いることにより、被着体の状態に変化に応じて状態検出用配線の導通状態が変化することになるため、被着体の小さな状態の変化も検出されることになる。
【0011】
このようなRFIDラベルは、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材の緩みを検知する緩み検知構造に採用することができる。その場合、RFIDラベルが、締め付け対象部品と締め付け部材とのいずれか一方に貼着され、導電性を具備する接着手段によって、締め付け対象部品と締め付け部材とのうちRFIDラベルが貼着されていない被着体の導電面と、状態検出用配線の第1及び第2の配線部の他方の端部の少なくとも一方とが、締め付け対象部品に対して締め付け部材に緩みが生じた場合に離間可能に接着されていれば、締め付け対象部品に対して締め付け部材に緩みが生じた場合に状態検出用配線が非導通状態となり、それにより、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材の緩みが検知されることになる。
【0012】
このようなRFIDラベルを用いた状態検出方法においては、ICチップが、状態検出用配線の導通状態を検出し、ICチップに対して非接触通信が可能な読取手段が、ICチップに、検出結果をアンテナを介して非接触送信させ、読取手段に接続された処理手段が、ICチップから読取手段に非接触送信された検出結果に基づいて被着体の状態を判断することにより、被着体の状態の変化が検出されることになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導電体からなる被着体を状態検出用配線の一部として用いることにより、被着体の状態に変化に応じて状態検出用配線の導通状態が変化することになるため、被着体の小さな状態の変化も検出することができる。
【0014】
また、上記のようなRFIDラベルと、締め付け対象部品と、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材とを有し、RFIDラベルが、締め付け対象部品と締め付け部材とのいずれか一方に接着層によって貼着され、導電性を具備する接続手段によって、締め付け対象部品と締め付け部材とのうちRFIDラベルが貼着されていない被着体の導電面と、状態検出用配線の第1及び第2の配線部の他方の端部の少なくとも一方とが、締め付け対象部品に対して締め付け部材に緩みが生じた場合に離間可能に接着された緩み検知構造によれば、締め付け対象部品に対して締め付け部材に緩みが生じた場合に状態検出用配線が非導通状態となり、それにより、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材の緩みを検知することができる。
【0015】
また、このようなRFIDラベルを用いた状態検出方法としては、ICチップが、状態検出用配線の導通状態を検出し、ICチップに対して非接触通信が可能な読取手段が、ICチップに、検出結果をアンテナを介して非接触送信させ、読取手段に接続された処理手段が、ICチップから読取手段に非接触送信された検出結果に基づいて被着体の状態を判断することにより、被着体の状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のRFIDラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面方向から見た構成図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示したC-C’断面図、(e)は(a)に示したD-D’断面図である。
図2図1に示した緩み検知ラベルが貼着される被着体の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図3図1に示した緩み検知ラベルが図2に示した被着体に貼着された状態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図4図1に示した緩み検知ラベルが図3に示したようにボルトに貼着された状態においてボルトに緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は側面の一部の拡大図である。
図5図1に示した緩み検知ラベルを用いて土台に対するボルトの緩みを検知するためのシステムの一例を示す図である。
図6図5に示したシステムにおいて図1に示した緩み検知ラベルを用いて土台に対するボルトの緩みを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
図7図1に示した緩み検知ラベルが貼着される被着体の他の例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図8図1に示した緩み検知ラベルが図7に示した被着体に貼着された状態を示す上面図である。
図9図1に示した緩み検知ラベルが図8に示したようにボルトに貼着された状態においてボルトに緩みが生じた際の作用を説明するための上面図である。
図10】本発明のRFIDラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面方向から見た構成図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示したC-C’断面図である。
図11図10に示した緩み検知ラベルが図2に示した被着体に貼着された状態の一例を示す側面図である。
図12図10に示した緩み検知ラベルが図11に示したようにボルトに貼着された状態においてボルトに緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は側面の一部の拡大図である。
図13図10に示した緩み検知ラベルが図2に示した被着体に貼着された状態の他の例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図14図10に示した緩み検知ラベルが図13に示したように土台に貼着された状態においてボルトに緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)はその一部の拡大図である。
図15】本発明のRFIDラベルの第4の実施の形態における利用例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は側面の一部の拡大図である。
図16図15に示したように開封検知ラベルが貼着された箱が開封された際の作用を説明するための図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋の側面の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のRFIDラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面方向から見た構成図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示したC-C’断面図、(e)は(a)に示したD-D’断面図である。
【0019】
本形態におけるRFIDラベルは図1に示すように、フィルム基板10の一方の面に、粘着層40を介して保護フィルム20が積層され、フィルム基板10の他方の面に、スペーサ30と粘着層50とがこの順で積層されてラベル形態となった緩み検知ラベル1である。
【0020】
フィルム基板10は、本願発明におけるシート基材となるものであって、例えば、厚さが50μmのPETフィルムからなる。フィルム基板10は、正六角形からなる正六角形領域10aと、正六角形領域10aの1つの端辺から突出した突出領域10bとからなり、フィルム基板10の保護フィルム20との積層面には、2つのアンテナ12及び状態検出用配線13が形成されているとともに、ICチップ11が搭載されている。
【0021】
2つのアンテナ12はそれぞれ、フィルム基板10の保護フィルム20との積層面のうち正六角形領域10aに、正六角形領域10aの端辺に沿って円弧を描くように、例えば、厚さが18μmの銅箔によって形成されている。
【0022】
状態検出用配線13は、フィルム基板10の保護フィルム20との積層面に、例えば、厚さが18μmの銅箔によって形成されている。状態検出用配線13は、正六角形領域10aから突出領域10bに亘って互いに並行して延びた第1の配線部13aと第2の配線部13bとから構成されている。
【0023】
ICチップ11は、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの状態検出用端子(不図示)とが設けられており、これらアンテナ端子及び状態検出用端子が設けられた面が搭載面となって、フィルム基板10の保護フィルム20との積層面のうち正六角形領域10aに搭載されている。ICチップ11のアンテナ端子はそれぞれ、アンテナ12の一端に接続されており、ICチップ11の状態検出用端子は、状態検出用配線13を構成する2つの配線部13a,13bのそれぞれの一方の端部に接続されている。ICチップ11は、アンテナ12を介した非接触通信によって得た電力による電流を状態検出用配線13に流すことで状態検出用配線13の抵抗値を検出し、その抵抗値に基づいて状態検出用配線13の導通状態を検出し、その検出結果をデジタル情報に変換してアンテナ12を介して非接触送信する。ICチップ11としては、例えば、NXP社のUCODE G2iM+が挙げられる。
【0024】
保護フィルム20は、例えば、フィルム基板10と同一の材料からなり、フィルム基板10のアンテナ12及び状態検出用配線13が積層された面のうち、正六角形領域10aの全面と、突出領域10bの正六角形領域10aとは反対側の一部を除く領域とに、粘着層40によって積層されている。これにより、状態検出用配線13を構成する2つの配線部13a,13bはそれぞれ、一方の端部がICチップ11に接続され、他方の端部が互いに断線した状態で表出したものとなっている。
【0025】
スペーサ30は、フィルム基板10のアンテナ12及び状態検出用配線13が積層された面とは反対側の面のうち正六角形領域10aに積層されている。スペーサ30は、非金属からなり、例えば、発泡性アクリル樹脂等のように柔らかい材料から構成されている。
【0026】
粘着層50は、本願発明における接着層となるものであって、フィルム基板10のスペーサ30が積層された面の全面に、例えば、リンテック社製のTL-85シリーズの粘着剤を塗布することで積層されている。
【0027】
以下に、上記のように構成された緩み検知ラベル1の利用方法及びその際の作用について説明する。
【0028】
図2は、図1に示した緩み検知ラベル1が貼着される被着体の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0029】
図1に示した緩み検知ラベル1は、例えば、図2に示すように、締め付け対象部品となる金属製の土台3と、この土台3に締め付けられる締め付け部材となる金属製のボルト2とからなる被着体に貼着されて使用される。この被着体は、正六角形からなるヘッド部2aとヘッド部2aの一方の面から伸びたねじ部2bとから構成されるボルト2が、土台3に形成されたねじ孔にねじ部2bがねじ込まれることで、ボルト2が土台3に締め付けられることになる。その際、外部から加わる振動等によってボルト2が緩む可能性があり、その緩みを検知するために図1に示した緩み検知ラベル1が利用されることになる。
【0030】
図3は、図1に示した緩み検知ラベル1が図2に示した被着体に貼着された状態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。なお、説明がわかりにくくならないように緩み検知ラベル1の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。
【0031】
図1に示した緩み検知ラベル1を図2に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、図3に示すように、ボルト2のヘッド部2aの上面にフィルム基板10の正六角形領域10aが対向するとともに、ヘッド部2aの1つの側面にフィルム基板10の突出領域10bが対向するように、緩み検知ラベル1を粘着層50によってボルト2に貼着する。この際、緩み検知ラベル1の2つのアンテナ12がそれぞれ、フィルム基板10の正六角形領域10aに、正六角形領域10aの端辺に沿って円弧を描くように形成されていることにより、ボルト2のヘッド部2aの正六角形の内接円に沿う円弧状のものとなる。それにより、緩み検知ラベル1がボルト2のヘッド部2aに貼着された際、アンテナ12がボルト2のヘッド部2aからはみ出ることなく、アンテナ12の長さを確保することができ、より長い通信距離を確保することができる。
【0032】
このようにしてボルト2に貼着された緩み検知ラベル1においては、状態検出用配線13を構成する2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部が、土台3に対向するとともに保護フィルム20によって覆われておらずに表出している。
【0033】
そこで、2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部をそれぞれ、導電性を具備する接続手段となる導電性インク4を介して土台3に接着する。これにより、2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部がそれぞれ、導電性インク4を介して土台3に電気的に接続され、土台3が金属からなるものであることで状態検出用配線13が導通状態となる。
【0034】
図4は、図1に示した緩み検知ラベル1が図3に示したようにボルト2に貼着された状態においてボルト2に緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は側面の一部の拡大図である。なお、説明がわかりにくくならないように緩み検知ラベル1の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。
【0035】
図1に示した緩み検知ラベル1が図3に示すようにボルト2に貼着された状態において、外部から加わる振動等によってボルト2が図4(a)に示すように反時計回りに回転して土台3に対して緩みが生じると、図4(b)に示すように導電性インク4が土台3から剥がれて導電性インク4と土台3とが非接着状態となり、それにより、状態検出用配線13を構成する配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部と土台3とが離間する。その結果、これら配線部13a,13bと土台3との電気的な接続状態が解消され、状態検出用配線13が非導通状態となる。なお、配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部がそれぞれ土台3と離間しなくても、配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部の一方が土台3と離間することで、状態検出用配線13が非導通状態となる。
【0036】
このように、図1に示した緩み検知ラベル1が、図2に示したボルト2と土台3とからなる被着体に貼着された構成において、緩み検知ラベル1の2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていないことで開放された側の端部と、ボルト2と土台3とのうち緩み検知ラベル1が貼着されていない土台3とを、導電性インク4によって、土台3に対してボルト2に緩みが生じた場合に離間可能に接着することにより、土台3に対するボルト2の緩みを検知する緩み検知構造が構成されることになる。
【0037】
以下に、上述した作用を利用して土台3に対するボルト2の緩みを検知する具体的な方法について説明する。
【0038】
図5は、図1に示した緩み検知ラベル1を用いて土台3に対するボルト2の緩みを検知するためのシステムの一例を示す図である。
【0039】
図1に示した緩み検知ラベル1を用いて土台3に対するボルト2の緩みを検知するためのシステムとしては、図5に示すように、緩み検知ラベル1に対して非接触通信が可能な読取手段となるリーダライタ5と、リーダライタ5と有線または無線を介して接続された処理手段となる管理用パソコン6とを有するシステムが考えられる。なお、読取手段のみならず処理手段が内蔵されたハンディターミナルをリーダライタとして用いることも考えられ、その場合、管理用パソコンが不要となる。
【0040】
図6は、図5に示したシステムにおいて図1に示した緩み検知ラベル1を用いて土台3に対するボルト2の緩みを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【0041】
図1に示した緩み検知ラベル1においては、リーダライタ5が緩み検知ラベル1に近接され、リーダライタ5にて緩み検知ラベル1が検出されると(ステップ1)、まず、リーダライタ5から、緩み検知ラベル1に電力が供給されるとともに、状態検出用配線13の導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が緩み検知ラベル1に対して送信される(ステップ2)。この際、フィルム基板10のうち、アンテナ12が形成された正六角形領域10aのボルト2との貼着面に、非金属からなるスペーサ30が積層されているため、緩み検知ラベル1が金属からなるボルト2に貼着された場合でも、金属による影響を大きく受けることなくリーダライタ5にて緩み検知ラベル1との間にて非接触通信を行うことができる。
【0042】
リーダライタ5から供給された電力が緩み検知ラベル1にて得られるとともに、リーダライタ5から送信された命令が緩み検知ラベル1のアンテナ12を介してICチップ11にて受信されると(ステップ3)、リーダライタ5から供給された電力によって状態検出用配線13に電流が供給される。
【0043】
ICチップ11においては、供給された電流を用いて状態検出用配線13の抵抗値が検出されることで、状態検出用配線13の導通状態が検出されることになる(ステップ4)。ここで、緩み検知ラベル1がボルト2に貼着され、図3に示したようにボルト2が緩んでいない場合は、状態検出用配線13を構成する2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部がそれぞれ導電性インク4を介して土台3に電気的に接続されることで状態検出用配線13が導通状態となっているため、ICチップ11においては、状態検出用配線13と導電性インク4と土台3とからなる抵抗値が検出されることになる。
【0044】
ICチップ11においては、検出された抵抗値が、状態検出用配線13と導電性インク4と土台3とからなる抵抗値である場合は、状態検出用配線13が導通状態にあると判断され、その判断結果が状態検出用配線13の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される(ステップ5)。なお、状態検出用配線13が非導通状態となっている場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、後述するようにほぼ無限大となることから、ICチップ11において、状態検出用配線13が導通状態にあると判断するための抵抗値として、状態検出用配線13と導電性インク4と土台3とからなる抵抗値ではなく、一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0045】
一方、緩み検知ラベル1がボルト2に貼着され、図4に示したようにボルト2に緩みが生じている場合は、導電性インク4が土台3から剥がれて導電性インク4と土台3とが非接着状態となることで、状態検出用配線13を構成する配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の開放された端部と土台3との電気的な接続状態が解消され、状態検出用配線13が非導通状態となっている。その状態においては、リーダライタ5から供給された電力によって状態検出用配線13に電流が供給されても、状態検出用配線13が非導通状態となっていることから状態検出用配線13には電流が流れず、それにより、ICチップ11において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0046】
ICチップ11においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、状態検出用配線13が非導通状態になっている判断され、その判断結果が状態検出用配線13の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される。なお、状態検出用配線13が非導通状態である場合にICチップ11にて検出される抵抗値がほぼ無限大となることから、ICチップ11において、状態検出用配線13が非導通状態であると判断するための抵抗値としてほぼ無限大ではなく、状態検出用配線13と導電性インク4と土台3とからなる抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0047】
このように、リーダライタ5においては、緩み検知ラベル1にて検出された状態検出用配線13の導通状態を、アンテナ12を介して非接触送信させることになる。
【0048】
上記のようにして緩み検知ラベル1からリーダライタ5に非接触送信された検出結果がリーダライタ5にて受信されると(ステップ6)、リーダライタ5にて受信された検出結果は管理用パソコン6に転送される(ステップ7)。
【0049】
リーダライタ5から転送されてきた検出結果が管理用パソコン6にて受信されると(ステップ8)、管理用パソコン6において、緩み検知ラベル1からリーダライタ5に非接触送信され、管理用パソコン6に転送されてきた検出結果に基づいて、被着体の状態となるボルト2に緩みが生じているかが判断されることになる(ステップ9)。具体的には、リーダライタ5から管理用パソコン6に転送されてきた検出結果において、状態検出用配線13が導通状態である場合はボルト2に緩みが生じていないと判断され、状態検出用配線13が非導通状態である場合はボルト2に緩みが生じていると判断されることになる。
【0050】
このように、本形態においては、土台3に締め付けられるボルト2に緩み検知ラベル1を貼着した状態で、状態検出用配線13を構成する2つの配線部13a,13bの一端と土台3とを導電性インク4を介して電気的に接続することで、土台3を状態検出用配線13の一部として用いている。そして、このような構成を用いて、ボルト2に緩みが生じた場合に、導電性インク4が土台3から剥がれて導電性インク4と土台3とが非接着状態となり、配線部13a,13bと土台3との電気的な接続状態が解消され、状態検出用配線13が非導通状態となる作用を利用してボルト2に緩みが生じたかどうかを検出しているため、ボルト2と土台3とからなる被着体の状態の変化となる、ボルト2の小さな緩みも検出することができる。
【0051】
なお、土台3のうち、導電性インク4を介して配線部13a,13bと接続される領域以外が、導電性を有さない塗料によって塗装されていることで、土台3の一部にのみにて導電面が表出している場合は、ボルト2が緩んで回転することで、土台3の導電性インク4が対向する領域が塗装されている領域となることによっても、配線部13a,13bと土台3との電気的な接続状態が解消され、状態検出用配線13が非導通状態となる。
【0052】
このように構成された緩み検知ラベル1は、例えば、新幹線の台車等において、台車を固定するボルトの緩み検知に用いることができる。その場合、スペーサ30が発泡性アクリル樹脂等のように柔らかい材料から構成されていれば、新幹線が走行中に緩み検知ラベル1が風で飛ばされたり振動で脱落したりした場合でも、緩み検知ラベル1が人体等に当たることによる被害を小さくすることができる。
【0053】
図7は、図1に示した緩み検知ラベル1が貼着される被着体の他の例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0054】
本例における被着体は図7に示すように、図2に示したものに対して、土台103の表面が導電性を有さない塗料によって全面塗装されていることで、土台103の導電面が表出しておらず、図1に示した緩み検知ラベル1がボルト2のヘッド部2aに貼着された場合に土台103の配線部13a,13bが対向することとなる領域に、配線部13a,13bのICチップ11とは反対側の端部間を接続するための半ループ状の半ループ配線103aが導電性インクによって形成されている点が異なるものである。
【0055】
図8は、図1に示した緩み検知ラベル1が図7に示した被着体に貼着された状態を示す上面図である。
【0056】
図1に示した緩み検知ラベル1を図7に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、図8に示すように、ボルト2のヘッド部2aの上面にフィルム基板10の正六角形領域10aが対向するとともに、ヘッド部2aの1つの側面にフィルム基板10の突出領域10bが対向するように、緩み検知ラベル1を粘着層50によってボルト2に貼着する。
【0057】
このようにしてボルト2に貼着された緩み検知ラベル1においては、状態検出用配線13を構成する2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部が、土台103に形成された半ループ配線103aに対向するとともに保護フィルム20によって覆われておらずに表出している。
【0058】
そこで、2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部をそれぞれ、導電性を具備する接続手段となる導電性インク4を介して半ループ配線103aに接着する。これにより、2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部が半ループ配線103aを介して電気的に接続され、それにより、状態検出用配線13が導通状態となる。
【0059】
図9は、図1に示した緩み検知ラベル1が図8に示したようにボルト2に貼着された状態においてボルト2に緩みが生じた際の作用を説明するための上面図である。
【0060】
図1に示した緩み検知ラベル1が図8に示すようにボルト2に貼着された状態において、外部から加わる振動等によってボルト2が図9に示すように反時計回りに回転して土台103に対して緩みが生じると、2つの配線部13a,13bのICチップ11に接続されていない側の端部が、土台103に形成された半ループ配線103aに対向しなくなり、それにより、状態検出用配線13が非導通状態となる。
【0061】
このように、土台103の表面のうち、緩み検知ラベル1がボルト2のヘッド部2aに貼着された場合に土台103の配線部13a,13bが対向することとなる領域に、半ループ配線103aが導電性インクによって形成された構成とすることで,土台103の表面が導電性を有さない塗装等で絶縁されている場合であっても、半ループ配線103aを用いて状態検出用配線13を導通状態とすることができ、ボルト2の緩みを検知することができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
図10は、本発明のRFIDラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面方向から見た構成図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示したC-C’断面図である。
【0063】
本形態は図10に示すように、図1に示したものに対して、その外形とアンテナ112及び状態検出用配線113の形状が異なる緩み検知ラベル101である。
【0064】
本形態におけるフィルム基板110は、長方形からなる長方形領域110aと、長方形領域110aの一方の長辺から突出した突出部110bとから構成されている。
【0065】
2つのアンテナ112はそれぞれ、フィルム基板110の長方形領域110aにおいて、二等辺三角形の形状を有し、頂点が空隙を介して長方形領域110aの長手方向にて対向するように形成されており、この頂点が給電点となってICチップ111が接続されている。
【0066】
状態検出用配線113は、長方形領域110aから突出領域110bに亘って互いの間隔が徐々に広がるようにして延びた第1の配線部113aと第2の配線部113bとから構成されている。
【0067】
保護フィルム120は、フィルム基板110の長方形領域110aの全面と、突出領域110bの長方形領域110aとは反対側の一部を除く領域とに積層されている。これにより、状態検出用配線113を構成する2つの配線部113a,113bはそれぞれ、一方の端部がICチップ111に接続され、他方の端部が互いに断線した状態で表出したものとなっている。
【0068】
スペーサ130は、フィルム基板110のうち長方形領域110aに積層されている。
【0069】
以下に、上記のように構成された緩み検知ラベル101の利用方法及びその際の作用について説明する。
【0070】
図11は、図10に示した緩み検知ラベル101が図2に示した被着体に貼着された状態の一例を示す側面図である。なお、説明がわかりにくくならないように緩み検知ラベル101の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。
【0071】
図10に示した緩み検知ラベル101を図2に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、図11に示すように、ボルト2のヘッド部2aの1つの側面に、配線部113a,113bのICチップ111と接続されていない側の端部が土台3に対向するように緩み検知ラベル101を粘着層150によって貼着する。
【0072】
このようにしてボルト2に貼着された緩み検知ラベル101においては、状態検出用配線113を構成する2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部が、土台3に対向するとともに保護フィルム120によって覆われておらずに表出している。
【0073】
そこで、2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部をそれぞれ、導電性を具備する接続手段となる導電性インク4を介して土台3に接着する。これにより、2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部がそれぞれ、導電性インク4を介して土台3に電気的に接続され、土台3が金属からなるものであることで、状態検出用配線113が導通状態となる。
【0074】
図12は、図10に示した緩み検知ラベル101が図11に示したようにボルト2に貼着された状態においてボルト2に緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は側面の一部の拡大図である。なお、説明がわかりにくくならないように緩み検知ラベル101の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。
【0075】
図10に示した緩み検知ラベル101が図11に示すようにボルト2に貼着された状態において、外部から加わる振動等によってボルト2が図12(a)に示すように反時計回りに回転して土台3に対して緩みが生じると、図12(b)に示すように導電性インク4が土台3から剥がれて導電性インク4と土台3とが非接着状態となり、それにより、状態検出用配線113を構成する配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部と土台3とが離間する。その結果、これら配線部113a,113bと土台3との電気的な接続状態が解消され、状態検出用配線113が非導通状態となる。
【0076】
このように、図10に示した緩み検知ラベル101が、図2に示したボルト2と土台3とからなる被着体に貼着された構成において、緩み検知ラベル101の2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていないことで開放された側の端部と、ボルト2と土台3とのうち緩み検知ラベル101が貼着されていない土台3とを、導電性インク4によって、土台3に対してボルト2に緩みが生じた場合に離間可能に接着することにより、土台3に対するボルト2の緩みを検知する緩み検知構造が構成されることになる。
【0077】
本形態においても、図5に示したシステムにおいて、ボルト2に貼着された緩み検知タグ101の状態検出用配線113の導通状態をリーダライタ5にて読み取り、管理用パソコン6にて状態検出用配線113の導通状態に基づいてボルト2に緩みが生じているかどうかを判断することで、ボルト2の緩みが検知されることになる。
【0078】
(第3の実施の形態)
図10に示した緩み検知ラベル101は、図11に示したようにボルト2の1つの側面に貼着するのではなく、土台3に貼着して利用することも考えられる。
【0079】
図13は、図10に示した緩み検知ラベル101が図2に示した被着体に貼着された状態の他の例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。なお、説明がわかりにくくならないように緩み検知ラベル1の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。
【0080】
図10に示した緩み検知ラベル101を図2に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、図13に示すように、土台3に緩み検知ラベル101を粘着層150によって貼着することも考えられる。
【0081】
このようにして土台3に貼着された緩み検知ラベル101においては、状態検出用配線113を構成する2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部が、ボルト2の側面に対向するとともに保護フィルム120によって覆われておらずに表出している。
【0082】
そこで、2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部をそれぞれ、導電性を具備する接続手段となる導電性インク4を介してボルト2の側面に接着する。これにより、2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部がそれぞれ、導電性インク4を介してボルト2に電気的に接続され、ボルト2が金属からなるものであることで、状態検出用配線113が導通状態となる。
【0083】
図14は、図10に示した緩み検知ラベル101が図13に示したように土台3に貼着された状態においてボルト2に緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)はその一部の拡大図である。なお、説明がわかりにくくならないように緩み検知ラベル101の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。
【0084】
図10に示した緩み検知ラベル101が図13に示すようにボルト2に貼着された状態において、外部から加わる振動等によってボルト2が図14(a)に示すように反時計回りに回転して土台3に対して緩みが生じると、図14(b)に示すように導電性インク4がボルト2の側面から剥がれて導電性インク4とボルト2とが非接着状態となり、それにより、状態検出用配線113を構成する配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部とボルト2とが離間する。その結果、これら配線部113a,113bとボルト2との電気的な接続状態が解消され、状態検出用配線113が非導通状態となる。
【0085】
このように、図10に示した緩み検知ラベル101が、図2に示したボルト2と土台3とからなる被着体に貼着された構成において、緩み検知ラベル101の2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていないことで開放された側の端部と、ボルト2と土台3とのうち緩み検知ラベル101が貼着されていないボルト2とを、導電性インク4によって、土台3に対してボルト2に緩みが生じた場合に離間可能に接着することにより、土台3に対するボルト2の緩みを検知する緩み検知構造が構成されることになる。
【0086】
本形態においても、図5に示したシステムにおいて、土台3に貼着された緩み検知タグ101の状態検出用配線113の導通状態をリーダライタ5にて読み取り、管理用パソコン6にて状態検出用配線113の導通状態に基づいてボルト2に緩みが生じているかどうかを判断することで、ボルト2の緩みが検知されることになる。
【0087】
(第4の実施の形態)
本発明のRFIDラベルは、被着体として箱の不正開封を検知する開封検知ラベルとしても利用することができる。
【0088】
図15は、本発明のRFIDラベルの第4の実施の形態における利用例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は側面の一部の拡大図である。なお、本形態における開封検知ラベル201は、図10に示した緩み検知ラベル101と同一の構成を有しているが、説明がわかりにくくならないように開封検知ラベル201の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。また、開封検知ラベル201は、図10に示した緩み検知ラベル101と同一の構成を有しているため、以下においては、図10に示した緩み検知ラベル101の構成要素を用いて説明する。
【0089】
図15(a)に示すように、本形態における開封検知ラベル201は、金属からなる本体202bに金属からなる蓋202aが開閉自在に取り付けられた金属製の箱202の開封検知に利用することもできる。その際、開封検知ラベル201は、蓋202aに貼着されることになるが、開封検知ラベル201の状態検出用配線113を構成する2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部が、本体202b側となるとともに保護フィルム120によって覆われておらずに表出している。
【0090】
そこで、図15(b)に示すように、2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部をそれぞれ、導電性を具備する接続手段となる導電性インク4を介して本体202bの側面に接着する。これにより、2つの配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部がそれぞれ、導電性インク4を介して箱202の本体202bに電気的に接続され、状態検出用配線113が導通状態となる。
【0091】
図16は、図15に示したように開封検知ラベル201が貼着された箱202が開封された際の作用を説明するための図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋202aの側面の一部の拡大図である。なお、説明がわかりにくくならないように開封検知ラベル201の積層構造等の詳細な構成の図示は省略してある。
【0092】
図15に示したように開封検知ラベル201が箱202の蓋202aに貼着された状態において、図16(a)に示すように蓋202aが持ち上げられて箱202が開封されると、図16(b)に示すように導電性インク4が本体202bの側面から剥がれて導電性インク4と本体202bとが非接着状態となり、それにより、状態検出用配線113を構成する配線部113a,113bのICチップ111に接続されていない側の端部と箱202の本体202bとが離間する。その結果、これら配線部113a,113bと本体202bとの電気的な接続状態が解消され、状態検出用配線113が非導通状態となる。
【0093】
このように、開封検知ラベル201が貼着された箱202が開封されていない状態においては、状態検出用配線113を構成する2つの配線部113a,113bが箱202の本体202bと電気的に接続されることで状態検出用配線113が導通状態となり、箱202が開封された状態においては、状態検出用配線113を構成する2つの配線部113a,113bの箱202の本体202bとの電気的な接続が解消されることで状態検出用配線113が非導通状態となるため、本形態においても、図5に示したシステムにおいて、箱202に貼着された開封検知タグ201の状態検出用配線113の導通状態をリーダライタ5にて読み取り、管理用パソコン6にて状態検出用配線113の導通状態に基づいて箱202が開封されたかどうかを判断することで、箱202の開封が検知されることになる。
【0094】
なお、上述した実施の形態においては、ICチップ11,111に2つのアンテナ12,112が接続された構成を例に挙げて説明したが、ループ状の1つのアンテナがICチップに接続された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,101 緩み検知ラベル
2 ボルト
2a ヘッド部
2b ねじ部
3,103 土台
3a ねじ孔
4 導電性インク
5 リーダライタ
6 管理用パソコン
10,110 フィルム基板
10a 正六角形領域
10b,110b 突出領域
11,111 ICチップ
12,112 アンテナ
13,113 状態検出用配線
13a,13b,113a,113b 配線部
20,120 保護フィルム
30,130 スペーサ
40,50,140,150 粘着層
103a 半ループ配線
110a 長方形領域
201 開封検知ラベル
202 箱
202a 蓋
202b 本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16