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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】フォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20220909BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220909BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
G03F7/038 601
G03F7/004 501
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2018516193
(86)(22)【出願日】2016-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 GB2016053032
(87)【国際公開番号】W WO2017055850
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-09-27
(31)【優先権主張番号】1517273.7
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】505395858
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスター
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MANCHESTER
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】レウィス,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウィンペニー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】イェテス,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス,アントニオ
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 - 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱防止構成成分および1つ以上のフォトレジスト構成成分を含むフォトレジスト組成物であって、前記散乱防止構成成分は、多金属ケージおよび/または多金属環系を含み、前記フォトレジスト構成成分は前記散乱防止構成成分の一部分であってもよく(例えば、一緒になって、散乱防止-レジストハイブリッド構成成分を形成する)、前記散乱防止構成成分は、一次金属錯体(PMC)を含み、前記一次金属錯体は、1つ以上の橋架け配位子を介して相互連結された少なくとも1種類の金属イオンを複数含む多金属ケージ錯体および/または多金属環系錯体である、前記フォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記金属イオンは、ホウ素及びケイ素なく、
a)前記散乱防止構成成分が前記フォトレジスト構成成分であり、
b)前記フォトレジスト構成成分が、前記散乱防止構成成分の一部であるか又は、それらと相互に会合されるか、若しくは化学的及び/又は物理的に、結合によって接続されるように、前記散乱防止構成成分が前記フォトレジスト構成成分を含み、又は
c)前記フォトレジスト構成成分が、前記散乱防止構成成分と別個の化合物である
のいずれかである、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記1つ以上の配位子が、前記一次金属錯体内の複数の金属種を一緒に結合する橋架け配位子を含み、及び、
前記一次金属錯体は、2つ以上の異なる金属種(例えば、2つ以上の異なる金属イオン),M及びM,を含み、ここで、M及びMが、同じ金属元素から誘導されるが異なる原子価を有するか、または異なる金属元素から誘導され且つ同一もしくは異なる原子価を有する
請求項1又は2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記一次金属錯体の前記配位子の全てが、1つ以上の孤立電子対を有するヘテロ原子を含む供与原子又は供与基を介して金属種に配位される
請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記一次金属錯体が、2つ以上の異なる種類の配位子の混合物を含
請求項1~4のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記散乱防止化合物が、前記一次金属錯体に会合された1以上の対イオンを含
請求項1~5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
1以上のフォトレジスト構成成分が、1以上のフォトレジスト配位子によって支えられた配位供与原子又は配位供与基を介して前記一次金属錯体に結合された該1以上のフォトレジスト配位子であるという点で、前記一次金属錯体が前記1以上のフォトレジスト構成成分を含むか、そうでなければ該1以上のフォトレジスト構成成分に会合している、
請求項1~6のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記1以上のフォトレジスト配位子が、該1以上のフォトレジスト配位子によって支えられた孤立電子対を有するヘテロ原子を含む配位供与基を介して前記一次金属錯体に結合されている、請求項7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記配位供与基が、カルボキシレート基である、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記感光性成分が、光開始剤、光酸または光増感剤である、請求項7~9のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
前記1以上のフォトレジスト構成成分が、関連する照射線への曝露に応じて変化を受け、且つ追加の光開始剤及び光触媒の助けなしに光分解反応を受けることができる感光性成分であるか、そうでなければ該感光性成分を含
請求項1~10のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項12】
前記フォトレジスト組成物が二次電子発生剤(SEG)を含み、該二次電子発生剤が、25以上のZeffを有することによって又は49以上の原子番号(Z)を有し且つ+1以上の酸化状態を有する金属種を含むことによってのいずれかで特徴付けられる化合物又は構成成分であり、前記二次電子発生剤が、
前記散乱防止-フォトレジストハイブリッド構成成分とは別の化合物であるか、又は
協調的に付着していることによる、散乱防止-フォトレジストハイブリッド構成成分の構成成分であるか、ここで、前記二次電子発生剤のZeffが、それが配位的に付着している分子を除外することによって計算される、
のいずれかであ
請求項1~11のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
前記フォトレジスト組成物は、ネガティブ型フォトレジスト組成物である、請求項1~12のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項14】
前記散乱防止構成成分は、1つ以上のレジスト構成成分と会合し、これによりそれらが一緒に散乱防止-レジストハイブリッド構成成分を形成する、請求項1~13のいずれか1項のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項15】
前記一次金属錯体は、少なくとも2種類の金属イオンを含み、前記少なくとも2種類の金属イオンは、同じ金属または異なる金属を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項16】
前記少なくとも2種類の金属イオンは、異なる酸化状態を有する、請求項15に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項17】
前記金属イオンのうちの一方は三価であり、前記金属イオンのうちのもう一方は二価である、請求項16に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項18】
前記三価の金属イオンが、CrIII、FeIII、VIII、GaIII、AlIIIもしくはInIII、またはこれらの混合物からなる群から選択され、前記二価の金属イオンがNiII、CoII、ZnII、CdII、MnII、MgII、CaII、SrII、BaII、CuIIもしくはFeII、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項19】
前記三価の金属イオンがCrIIIであり、前記二価の金属イオンがNiIIである、請求項18に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項20】
前記一次金属錯体は、下記の式IIg
[CrNi(OCRB1];
式中、RB1は、π系を含む置換されていてもよい(1~20C)ヒドロカルビル基であり、rは1以上の値を有する整数であり、式IIgの前記単位は1つ以上の他の会合した配位子を含んでいてもよい
によって定義される単位によって定義されるか、またはその単位を含む、請求項19に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項21】
前記一次金属錯体は、前記多金属錯体の金属イオンに供与結合した1つ以上のレジスト配位子を含み、各レジスト配位子は架橋可能部分を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項22】
各レジスト配位子は、架橋可能なπ系および1つ以上の配位供与原子または基を含み、
前記π系は、炭素-炭素二重結合または三重結合、炭素-ヘテロ原子二重結合または三重結合、芳香族またはヘテロ芳香族環系、炭素、又は炭素及び1つ以上のヘテロ原子を伴う共役π系、またはこれらの混合物を含む群から選択され、
前記1つ以上の配位供与原子または基は、1つ以上の孤立電子対担持ヘテロ原子を含む、請求項21に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項23】
各レジスト配位子は置換されていてもよい、アルケノエート、アルケン酸、アルケン酸エステル、アルケン酸アミド、アルキノエート、アルキン酸、アルキン酸エステル、アルキン酸アミド、またはこれらの混合物からなる群から独立して選択される、請求項22に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項24】
各レジスト配位子は、独立して、(1~20C)アルケノエート、(1~20C)アルケン酸、(1~20C)アルケン酸エステル、または(1~20C)アルケン酸アミドであり、これにより前記レジスト配位子は、少なくとも1つの末端アルケン部分を含む、請求項23に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項25】
前記一次金属錯体は、下記の式IIi
[CrNiF(OCRB1];式中、RB1は、末端アルケン部分を含む置換されていてもよい(1~6C)ヒドロカルビル基であり、rは1以上の値を有する整数であり、式IIiの前記単位は1つ以上の他の会合配位子(すなわち、前記錯体内に供与結合している)を含んでいてもよい
によって定義される単位によって定義されるか、またはその単位を含む、請求項24に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項26】
前記フォトレジスト組成物は、二次電子発生剤に共有結合によりまたは供与結合により結合された散乱防止化合物を含み、前記散乱防止化合物は、前記二次電子発生剤と供与結合を形成する1つ以上の孤立電子対担持配位子と会合した多金属ケージであり、前記二次電子発生剤は、金属化合物、金属含有基もしくは断片、または25以上のZeffを有する金属種である、請求項1~25のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項27】
前記フォトレジスト組成物は、感光性構成成分をさらに含、請求項1~26のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項28】
前記フォトレジスト組成物は、レジスト架橋剤をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項29】
レジストコーティングでコーティングされた基板を含むレジストコーティング基板であって、該レジストコーティングが乾燥及び/又は硬化されていてもよい請求項1~28のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物である、前記基板。
【請求項30】
リソグラフィを実施する方法であって、
i)基板にフォトレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を照射線に暴露させて、暴露されたフォトレジストコーティングをもたらすステップと、
iii)前記暴露されたフォトレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、前記レジストパターン層は、前記フォトレジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と前記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと
含み
前記フォトレジストコーティングは乾燥および/または硬化されていてもよい請求項1~28のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物を含む、
前記方法。
【請求項31】
リソグラフィマスクを製造する方法であって、
i)基板にフォトレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を照射線に暴露させて、暴露されたフォトレジストコーティングをもたらすステップと、
iii)前記暴露されたフォトレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、前記レジストパターン層は、前記フォトレジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分と前記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと
含み、
前記フォトレジストコーティングは乾燥および/または硬化されていてもよい請求項1~28のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物を含む、
前記方法。
【請求項32】
集積回路ダイ、または複数の集積回路ダイを含む集積回路ウェハを作る方法であって、前記ダイまたは各ダイが、複数の電子部品を含み、前記方法は、
i)基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)前記レジストコーティングの1以上の部分を照射線(例えば、UV)に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
或いは、
i)基板にレジストコーティングを塗布し、請求項31に記載のリソグラフィマスクを製造する方法によってリソグラフィマスクを提供すること、
ii)前記レジストコーティングの1以上の部分を照射線(例えば、UVまたは可視光線)に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
並びに、
iii)前記暴露されたフォトレジストコーティング又は前記暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、前記レジストパターン層は、前記フォトレジストコーティング又は前記レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と前記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、
iv)前記レジストパターン層の下にある前記基板、基板表面またはその1以上の部分を改変するステップ(これには、前記ダイまたは前記各ダイの前記電子部品を1以上の導体に導電的に相互接続することを伴い得る)と、
v)前記レジストパターン層を除去して改変された基板を提供するステップと、
含み、前記フォトレジストレジストコーティングは乾燥および/または硬化されていてもよい請求項1~28のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物を含み、
前記レジストコーティングが、前記フォトレジストコーティング又は代替的レジストコーティングのいずれかである、
前記方法。
【請求項33】
集積回路パッケージを製造する方法であって、前記集積回路パッケージは、複数のピン、および対応する複数のピンに導電的に接続された外部接触端子を有する集積回路ダイを備え、前記方法は、
i)請求項32に記載の集積回路ダイを作る方法によって集積回路ダイを作るステップと、
ii)前記集積回路ダイをパッケージ基板に取り付けるステップと、ここで、前記パッケージ基板は電気接点を含み、前記電気接点の各々は、対応するピン接続されるかまたは接続可能である、
iii)前記集積回路ダイの前記外部接触端子の各々を前記パッケージ基板の対応する電気接点に導電的に接続するステップと、
iv)前記パッケージ基板の前記電気接点を対応するピン接続するステップと、
v)前記集積回路ダイをカプセル封入するステップと
を含む、前記方法。
【請求項34】
複数のピンを含む集積回路パッケージを含む回路基板の製造方法であって、
i)請求項33に記載の集積回路パッケージを製造する方法によって集積回路パッケージを製造するステップと、
ii)前記集積回路パッケージを回路基板に導電的に接続するステップと
を含む、前記方法。
【請求項35】
電子デバイスまたはシステムを製造する方法であって、前記電子デバイスもしくはシステムは、電源を備えるか、または電源に接続可能であって、かつ電源に導電的に接続された、または接続可能である回路基板を備え、
i)請求項34に記載の回路基板の製造方法によって回路基板を製造するステップと、
ii)前記電子デバイスまたはシステム内に前記回路基板を組み込むステップと
を含む、前記方法。
【請求項36】
前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を照射線に暴露することが、前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を10nm~1000nmの波長で電磁波照射に暴露することを含む、請求項30~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を10nm~1000nmの波長で電磁波照射に暴露することが、前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を10nm~400nmの波長で電磁波照射に暴露することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を10nm~1000nmの波長で電磁波照射に暴露することが、前記フォトレジストコーティングの1以上の部分を10nm~30nmの波長で電磁波照射に暴露することを含む、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
緒言
本発明は、レジスト組成物、特にフォトレジスト組成物に関する。本発明はまた、このようなレジスト組成物の調製方法および使用方法、ならびに様々な関連態様に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者に周知の様々な理由のために、集積回路(IC)を小型化するためのエレクトロニクス産業における継続的な推進が存在している。半導体産業におけるめざましい発展は、ミクロンスケールからナノメートルスケールへのフォトリソグラフィの進歩により可能になったが、光学リソグラフィの物理的分解能は現在、ほぼ限界に達しているため、さらなる進歩が制約されている。しかし、半導体産業の継続的な成長は、シリコン基板上の集積回路の性能を高めることに依存している。
【0003】
13.5nmでの超紫外線(EUV)リソグラフィが近年開発されたことにより、集積回路の更なるスケーリング/小型化が可能になったが、半導体産業におけるこの技術の完全な実装を依然として妨げる大きな課題がある。
【0004】
浸漬193nmフォトリソグラフィは、表面プラズモン共鳴および位相シフトマスクなどのサブ波長技術を利用することによってパターン形成解像能を拡張した。残念なことに、これらのレジスト材料はより長いパターニング時間を必要とし、その結果、スループットが低下する。
【0005】
本発明の1つの目的は、先行技術によって受け継がれた問題の少なくとも1つに対処する新規レジスト組成物を開発することである。フォトレジストはIC組み立ての分野ですでに広く使用されているので、既存の技術およびハードウェア(高価であり得る)と両立する(すなわち、後付可能である)新規レジスト組成物は、あらゆる技術移転の負担を軽減するために特に望ましい。
【0006】
フォトレジストは、2つの主要カテゴリー(ポジティブ型およびネガティブ型フォトレジスト)に分類される。「ポジティブ型レジスト」(またはポジレジスト)は、レジスト現像液中で溶解性が高くなることによって暴露照射線に反応し、これにより、暴露されていない部分を乱すことなく、現像中に照射暴露部分を除去することができる。これに対して、「ネガティブ型レジスト」(すなわち、ネガレジスト)は、レジスト現像液中で溶解性が低くなることによって暴露照射線に反応し、このため、現像中に未暴露部分が除去され、暴露部分が残る。両方の種類のレジストが有用であるが、ネガ型フォトレジストはIC組み立てにおいて特に適している。
【0007】
典型的には、既存のフォトレジストの暴露に紫外線(UV)および深紫外線(DUV)が使用されるが、波長パラメータは多くの場合、塗布されるフォトレジスト層の厚さに基づいて選択される。より薄い層は、より短い波長によって有利に暴露することができ、それにより、アスペクト比の減少およびより高い解像度を可能にする。しかし、現行のフォトレジスト技術は、解像度と暴露速度/感度(すなわち、スループット)との間の「妥協」に苦悩している。
【0008】
高解像度フォトリソグラフィの鍵は、フォトレジスト暴露制御(良好な制御により、暴露されたフォトレジストが短い距離にわたって現像液と溶解性の最大コントラストを示すことができる)であり、その一方で、高速フォトリソグラフィの鍵は利用可能なエネルギーの豊富な供給である。より短いUV波長でより良好な暴露制御が得られ、より高い解像度のフォトリソグラフィパターンとなる傾向がある(より小さいスケールでフィーチャと相互作用する能力のために)が、このような短いUV波長は一般に、より短い波長で(分子および原子を吸収する)スピン許容電子遷移の広まりがより高いために、長い波長よりも(フォトレジストによって)よく吸収され、これにより、使用可能なエネルギーの供給が制限される。このような吸収事象は光子エネルギーを「引き上げる」傾向があるため、最終的な振動エネルギー散逸は通常フォトリソグラフィの観点からは無駄であり、これらの光子のエネルギーはもはやフォトリソグラフィ的に有益な方法(例えば、レジストの型に応じて、適した結合形成または結合の切断を促進することによって、フォトレジストの暴露部分と非暴露部分との溶解性を選択的に変更する化学反応を引き起こすことを介して)では利用できない。したがって、解像度の向上は、通常、フォトリソグラフィの動力学を犠牲にして行われる。
【0009】
上記にかかわらず、フォトレジストをイオン化するのに十分なエネルギーを有する光子は、フォトレジスト材料の更なる暴露に次いで有益に関与し得る電子の放出(典型的には価電子帯、原子価軌道および/または最高占有分子軌道HOMOからのイオン化)を引き起こす可能性がある。本出願の文脈においては、そのような「放出」電子は二次電子と呼ばれているが、(実際には、技術とは対照的に)実際に入射一次電子はその製造に必要ではないことは理解されるであろう。このイオン化プロセスの間に光子エネルギーが吸収されるが、エネルギー(またはその少なくとも一部)は、(無駄にトラップされるというよりは)さらなる暴露事象のために有益に放出されるが、当然ながら、これは、特に、近接効果(proxomity effects)を引き起こす電子が放出される角度(約80℃)に鑑みて、暴露制御問題となり得る。
【0010】
5eV(すなわち、約248nm)の低いエネルギーを有する光子は、そのようなイオン化を誘発し得る(対応する二次電子の放出をもたらす)が、20eV(約62nm)を超える光子エネルギーは、フォトリソグラフィの観点からは一般的にあまり有益でない、より多くの内部電子イオン化およびオージェ遷移をもたらす傾向がある。したがって、有用な光子および/または対応する二次電子エネルギー範囲は5~20eVである。このような電子エネルギー(および実際には光子エネルギー)は、
-結合破壊(例えば、結合解離エネルギー:C-C(約3.60eV)、C-H(約4.5eV))、
-隣接分子/原子における別の電子イオン化事象(例えば、次いで隣接分子と反応し得るフリーラジカルなどの反応種の形成を導く)
-分子をより反応性の高い状態に置く電子励起、
などの原因によって、局在化した化学反応(電子エネルギーが一般に1つの衝突事象で完全に消費されるため「局在化」する)を引き起こすのに十分である。
【0011】
ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メチルグルタルイミド(PMGI)、フェノールホルムアルデヒド樹脂(例えばDNQ/ノボラック)、エポキシ系ポリマー(例えばSU-8)などの一般に使用されるフォトレジスト材料ポリマー材料は全て、スピンコーティングを介して基板表面(例えばシリコン)に液体として塗布することができ、表面全体にわたって均一な厚さを確保することが好ましい。
【0012】
感度を改善することに基づいて、化学増幅化合物(例えば光酸)がフォトレジスト組成物に組み込まれることがある。暴露されると、このような化学増幅剤は、典型的に酸性化合物を放出し、その後、暴露後ベーク中に拡散され、それにより周囲/近傍のポリマーを現像剤に可溶性にする。したがって、暴露生成酸の暴露後拡散は、最終的には、現像が上手くいくために必要なフォトレジスト溶解性の差を生じさせる酸触媒反応のために重要である。非常に少量の酸でも(例えばレジストポリマーを脱保護して現像液により可溶性にするなどにより)充分な効果を引き起こす可能性があるため、現像、このため感度の向上に有益な光子衝突はほとんど必要ない。暴露/現像を確実に行うための暴露後の酸拡散(通常は暴露後のベーク中)に依存することは、特に解像度および得られるパターンのコントラストに関して、幾分制限され得る。
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来技術の問題の少なくとも1つを解決することである。
【0014】
本発明の別の目的は、解像度と感度とのバランスが良好なレジスト組成物、好適にはフォトレジスト組成物を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、散乱防止構成成分および1つ以上のレジスト構成成分を含むレジスト組成物が提供される。好適には、散乱防止構成成分は、(一次/入射照射線および/または二次照射線のいずれかまたは両方の)散乱を低減し、それにより、良好な暴露制御をもたらし、近接効果を最小限に抑えるのにも有用である。好適には、レジスト構成成分は、組成物にレジスト特性を付与し、組成物(またはそのコーティング)の(波長/照射線に適する)照射暴露部分の「現像液溶解性」が未暴露部分とは対照的に選択的に変換され、このため、暴露部分および未暴露部分は異なる現像剤溶解性を呈する。散乱防止構成成分およびレジスト構成成分は、別個の化合物であってもよいか、相互に会合していてもよいか、または化学的および/もしくは物理的に、好適には結合によって何らかの形で接続していてもよい。こうした会合は、それぞれの利益のために暴露制御機能と感度制御機能との間の相互作用または協働を容易にすることができ、それによって良好な感度と共に良好な解像度を生じるレジスト組成物を提供することができる。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、散乱防止構成成分および(好適には、本明細書で定義されているような)二次電子発生剤を含むレジスト組成物が提供される。散乱防止構成成分は、好適にはレジスト構成成分であるか、またはレジスト構成成分を含む。散乱防止構成成分および二次電子発生剤は、好適には、互いに共有結合または供与結合される。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、二次電子発生剤に共有結合によりまたは供与結合により結合された多金属ケージ化合物を含む、散乱防止-二次電子発生ハイブリッド化合物(または錯体)(AS-SEGハイブリッド)が提供される。AS-SEGハイブリッドは、多金属ケージに会合する1つ以上の配位子を介して、多金属ケージに供与結合された二次電子発生剤(好適には本明細書で定義された1つ以上の特性を有する、好適には金属中心の化合物または基)を含んでもよく、例えば、二次電子発生剤は電子対受容体(またはルイス酸)として挙動する。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、レジストコーティング材料/基板を調製する方法が提供され、この方法は、基板をレジストコーティングでコーティングするステップを含み、レジストコーティングは、本明細書で定義される任意乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されるレジストコーティング材料/基板の調製方法によって得ることができるか、それによって得られるか、またはそれによって直接得られるレジストコーティング材料/基板が提供される。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、レジストコーティングでコーティングされた基板を含むレジストコーティング材料/基板が提供され、レジストコーティングは、本明細書で定義される任意乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、パターン形成された基板を調製する方法が提供され、この方法は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)レジストコーティングの一部分(複数可)を電磁波照射線に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
iii)暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、レジストパターン層は、レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)とレジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、を含み、
レジストコーティングは、本明細書で定義される任意乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されるパターン形成された基板を調製する方法によって得ることができる、得られる、または直接得られるパターン形成された基板が提供される。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、イメージング方法が提供され、この方法は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)レジストコーティングの一部分(複数可)を電磁波照射線に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
iii)暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、レジストパターン層は、レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)とレジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、を含み、
レジストコーティングは、本明細書で定義される任意乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、リソグラフィを実施する方法が提供され、この方法は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
iii)上記暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、上記レジストパターン層は、上記レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と上記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、
iv)上記レジストパターン層の下にある上記基板、基板表面またはその一部分(複数可)を改変する任意的ステップと、
v)上記レジストパターン層を除去して改変された基板を提供する任意的ステップと、
vi)上記改変された基板において、ステップiv)および/またはステップi)~v)を任意的に1回以上繰り返すこと(任意により、上記レジストコーティングの代わりに標準的なフォトレジストなどの代替的レジストコーティングを用いて、および任意により暴露中に代替照射線を使用すること)と、を含み、
この方法のステップ(i)より前に、レジストコーティングまたは代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、および暴露中に電磁波照射線または代替照射線のいずれかを用いて、ステップ(i)~(vi)(すなわち、前工程(i)~(vi))を実施することが、任意により1回以上繰り返され、
上記レジストコーティングは、本明細書で定義される、任意乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されるリソグラフィを実施する方法によって得ることができるか、得られるか、または直接得られるイメージング形成された基板が提供される。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、リソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)を製造する方法が提供され、この方法は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板(好適にはリソグラフィにおける使用に適した基板)にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)レジストコーティングの一部分(複数可)を電磁波照射線に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
iii)上記暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、上記レジストパターン層は、上記レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と上記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、
iv)(好適には、基板または基板表面の改変された部分(複数可)が所定のタイプの照射線(例えば、元の基板または基板または基板表面の未改変の部分(複数可)に対するフォトリソグラフィで使用される照射線)に対して透明度が増加または減少するように)上記レジストパターン層の下にある上記基板、基板表面またはその一部分(複数可)を選択的に改変する任意的ステップと、
v)上記レジストパターン層を除去して改変された基板を提供する任意的ステップと、を含み、
上記レジストコーティングは、本明細書で定義される、任意乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されるリソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)の製造方法によって得ることができるか、得られるか、または直接得られるリソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)が提供される。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、リソグラフィを実施する方法が提供され、この方法は、
i)レジストコーティングされた基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップ(レジストコーティングは、リソグラフィマスク、例えばフォトレジストを介して暴露するのに適した任意のレジストコーティングであり得る)と、
ii)暴露されたレジストコーティングをもたらすために、本明細書で定義されるリソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)を通って(または本明細書で定義される方法によって得ることができる)レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線(例えばUVまたは可視光線)に暴露させるステップと、
iii)上記暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、上記レジストパターン層は、上記レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と上記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、
iv)上記レジストパターン層の下にある上記基板、基板表面またはその一部分(複数可)を改変する任意的ステップと、
v)上記レジストパターン層を除去して改変された基板を提供する任意的ステップと、
vi)上記改変された基板において、(本発明のレジストコーティングまたは標準的なフォトレジストなどの代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、および暴露中にリソグラフィマスクまたは代替照射線の有無にかかわらず任意により電磁波照射線を使用して)ステップiv)および/またはステップi)~v)を任意的に1回以上繰り返すことと、を含み、
この方法のステップ(i)より前に、レジストコーティングまたは代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、および暴露中に電磁波照射線または代替照射線のいずれかを用いて、この方法のステップ(i)~(vi)(すなわち、前工程(i)~(vi))を実施することがおよび/またはフォトリソグラフィの実施方法が、任意により1回以上繰り返される。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されるリソグラフィを実施する方法によって得ることができるか、得られるか、または直接得られるイメージング形成された基板が提供される。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、集積回路ダイ、または複数の集積回路ダイを含む集積回路ウェハを作る方法が提供され、上記集積回路ダイまたは上記複数の集積回路ダイの各ダイは複数の電子部品を含み、この方法は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)上記レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線(例えば、UV)に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
または
i)レジストコーティングされた基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップ(レジストコーティングは、リソグラフィマスク、例えばフォトレジストを介して暴露するのに適した任意のレジストコーティングであり得る)と、
ii)暴露されたレジストコーティングをもたらすために、本明細書で定義されるリソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)を通って(または本明細書で定義される方法によって得ることができる)レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線(例えばUVまたは可視光線)に暴露させるステップと、
および
iii)上記暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、上記レジストパターン層は、上記レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と上記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、
iv)上記レジストパターン層の下にある上記基板、基板表面またはその一部分(複数可)を改変するステップ(これには、上記ダイまたは上記各ダイの電子部品を導体(複数可)に導電的に相互接続することを伴い得る)と、
v)上記レジストパターン層を除去して改変された基板を提供するステップと、
vi)上記改変された基板上で、ステップiv)および/またはステップi)~v)を任意的に1回以上繰り返すことと(本発明のレジストコーティングまたは代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、かつ暴露中に代替照射線を任意により使用すること)と、
vii)外部接触端子を集積回路に提供するために、(1つ以上の基板/基板表面改変ステップ中にまだ実施されていない場合)、上記ダイまたは上記各ダイの上記電子部品を導体(複数可)に任意により導電的に相互接続するステップと、
viii)任意により1つ以上の更なる仕上げステップを実施するステップと、
ix)集積回路ダイを複数の集積回路ダイを含むウェハから任意により分離させるステップと、を含み、
この方法のステップ(i)より前に、本発明のレジストコーティングまたは代替的レジストコーティングのいずれかを使用して、この方法のステップ(i)~(vi)(すなわち前ステップ(i)~(vi)、任意により2つのステップ(i)/(ii)の組み合わせのいずれかを用いて)を実施すること、および/または、リソグラフィを実施する上記方法のステップ(i)~(vi)を実施することを任意により先に行い、任意により、1回以上繰り返すステップと、を含み、
上記レジストコーティングは、本明細書で定義される、任意的に、乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される集積回路ダイを作る上記方法によって得られることができるか、それによって得られたか、またはそれによって直接得られた集積回路ダイが提供される。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、複数の集積回路ダイを含む集積回路ウェハが提供され、集積回路ウェハは、本明細書で定義される集積回路ウェハを作る方法によって得ることができるか、それによって得られたか、またはそれによって直接得られる。このような集積回路およびウェハは、非常に高い抵抗性、高いドライエッチング選択性(典型的には20:1を超える、すなわち、レジストが下地のシリコン基板より20倍以上遅くエッチングされる)を有する。これにより、高いアスペクト比が得られる。
【0033】
本発明の他の態様によれば、集積回路パッケージを製造する方法が提供され、上記集積回路パッケージは、複数のピンおよび対応する複数のピンに導電的に接続された外部接触端子を有する集積回路ダイを備え、この方法は、
i)本明細書で定義される集積回路ダイを提供するステップ、または本明細書で定義される集積回路ダイを作る方法によって集積回路ダイを作るステップと、
ii)上記集積回路ダイをパッケージ基板に取り付けるステップであって、上記パッケージ基板は電気接点を含み、上記電気接点の各々は、対応するピンに任意により、接続されるかまたは接続可能である、ステップと、
iii)上記集積回路ダイの上記外部接触端子の各々を上記パッケージ基板の対応する電気接点に導電的に接続するステップと、
iv)上記パッケージ基板の上記電気接点を対応するピンに任意により(必要に応じて)接続するステップと、
v)上記集積回路ダイをカプセル封入するステップと、を含む。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される集積回路パッケージの製造方法によって得られることができ、得られ、または直接得られる集積回路パッケージが提供される。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、複数のピンを含む集積回路パッケージ(好適には、本明細書では定義されている)を含む回路基板を製造する方法が提供され、この方法は、
i)本明細書で定義される集積回路パッケージを提供するステップ、または本明細書で定義される集積回路パッケージを製造する方法によって集積回路パッケージを製造するステップと、
ii)集積回路パッケージを回路基板に導電的に接続するステップと、を含む。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される回路基板の製造方法によって得られることができ、得られ、または直接得られる回路基板が提供される。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、電子デバイスまたはシステムを製造する方法が提供され、電子デバイスまたはシステムは、電源を含むか、電源に接続可能であり、また、電源に導電的に接続されるか、または電源に接続可能である回路基板を含み、この方法は、
i)本明細書で定義される回路基板を提供するステップ、または本明細書で定義される回路基板を製造する方法によって回路基板を製造するステップと、
ii)電子デバイスまたはシステム内に回路基板を組み込むステップと、を含む。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される電子デバイスまたはシステムの製造方法によって得られることができ、得られ、または直接得られる電子デバイスまたはシステムが提供される。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、レジストコーティングで基板をコーティングするため、基板をパターニングするため、イメージングするため、リソグラフィにおけるレジストコーティングとして、基板の表面を選択的に改変するため、リソグラフィマスク(リソグラフィの実施または集積回路の製造に使用されるマスクなど)を製造するため、多層基板を製造するため、集積回路ダイを作るため、集積回路ウェハを作るため、集積回路パッケージを製造するため、回路基板を製造するため、または電子デバイスまたはシステムを製造するため、のレジスト組成物の使用が提供される。
【0040】
本発明のレジスト組成物は、UV、eBeamなどの各種の照射線源と共に好適に用いることができるが、最も好適には、レジスト組成物は、フォトリソグラフィにおいて使用するためのフォトレジスト組成物であり、好適にも、いずれのレジスト構成成分もフォトレジスト構成成分である。
【0041】
しかし、本発明はまた、「組成物」など、本発明のさらなる態様を提供し、組成物は、例えば、本明細書で定義されるあらゆるレジスト組成物の成分、特性、またはパラメータのいずれかを適切に定義または適切に継承する。このような「組成物」は、レジストまたはリソグラフィ技術以外の用途に利用することができる。例えば、組成物は、自己治癒組成物として、例えば、単独でもしくは自己治癒を必要とする1つ以上のポリマーを混合して、配置することができる。次いで、自己治癒は、本明細書で定義される電磁波照射線によって誘導され得る。
【0042】
本発明のさらなる態様において、本明細書で定義される散乱防止構成成分または化合物が提供される。
【0043】
本発明のさらなる態様において、本明細書に定義される散乱防止-レジストハイブリッド構成成分または化合物が提供される。
【0044】
本発明の任意の特定の態様に関連して説明される、任意の、好適な、および好ましい特徴などのいかなる特徴も、本発明のあらゆる他の態様の任意の、好適なかつ好ましい特徴などの特徴であってもよい。
【0045】
本発明をより良く理解し、同じものの実施形態がどのように実施されるかを示すために、一例として以下の概略図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】配合物A(i)(すなわち、CrNi金属錯体のみ)および配合物A(ii)(CrNi錯体+光酸発生剤)の各々について、照射線吸収が入射波長によってどのように変化するかを示すグラフである。
図2】実施例2A(i)および2A(ii)のレジスト組成物をベースとする現像後レジストコーティングのSEM画像である:(a)配合物A(i)を用いて248nmの波長で生成されたピッチ600nmの250nmナノ構造であり、(b)配合物A(i)を用いて(a)で生成されたナノ構造(黒い四角で示される)の拡大図である。(c)配合物A(ii)を用いてPAGを使用して組み立てられた250nmナノ構造であり、(d)配合物A(ii)を用いて(c)で生成されたナノ構造(黒い四角によって示される)の拡大図である。
図3】実施例2A(i)および2A(ii)のレジスト組成物をベースとする現像後レジストコーティングのSEM画像である。(a)193nmの波長で配合物A(i)を用いて生成された200nmナノ構造のSEM画像であり、(b)配合物A(i)を用いて(a)で生成されたナノ構造(黒い四角で示される)の拡大図である。(c)PAG(すなわち、配合物A(ii))を用いて組み立てられた200nmナノ構造であり、(d)配合物A(ii)を用いて(c)で生成されたナノ構造(黒い四角によって示される)の拡大図である。
図4】248nmの波長で暴露された後のCr7Ni環分子のコントラスト曲線を示す。
図5】193nmの波長で暴露された後のCr7Ni環分子のコントラスト曲線を示す。
図6】396mJ/cm暴露量でEUVに暴露された化合物3(HgCl由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約22nmであり、ピッチが約44nmである。
図7】322mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物3(HgCl由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約16nmであり、ピッチが約32nmである。
図8】357mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約22nmであり、ピッチが約44nmである。
図9】268mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約16nmであり、ピッチが約32nmである。
図10】244mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約13nmであり、ピッチが約32nmである。この暴露は、その条件下で最適な結果をもたらした。
図11】222mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約13nmであり、ピッチが約32nmである。この暴露は、その条件下で最適な結果をもたらした。
図12】レジストコーティングに対する6世代にわたる改善に亘って必要な暴露量が減少する(したがって感度が増加する)ことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
定義
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される以下の用語は、以下に示す以下の意味を有する。
【0048】
本明細書では、別段の記載がない限り、用語「照射線(radiation)」および「照射(irradiation)」は、レジスト組成物、またはそのコーティングを、レジスト組成物において物理的または化学的変化を引き起こし、これにより、「配置される」照射線に暴露されることを意味する。問題になっている照射線は、任意の好適な照射線であってもよい。電子ビームリソグラフィが実施される場合、その照射線は電子ビーム照射線であり、フォトリソグラフィが実施される場合、電磁波照射線(通常はUV)が使用される。
【0049】
「レジスト構成成分」は、関連する照射線(例えば、電子ビーム照射線、電離照射線、紫外線)に暴露されると変化を受ける構成成分である。いくつかの実施形態では、散乱防止構成成分は、特に、それが暴露下で(またはその直後に)反応して、異なる溶解性の構成成分を生じる場合、レジスト構成成分である。しかし、好適には、レジスト構成成分は、それ自体が散乱防止構成成分ではないが、いくつかの実施形態では、散乱防止構成成分の一部分であってもよい(または散乱防止構成成分に会合していてもよい)。例えば、散乱防止構成成分は、一緒になって単一の化合物または構成成分を形成するように、レジスト構成成分(または実際には多重のレジスト構成成分がそれぞれの場合、同じまたは異なる)に結合されてもよく、これらは、レジスト/散乱防止ハイブリッドとも称され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のレジスト構成成分(複数可)は、レジスト組成物内に、例えばPMMAなどの標準レジストポリマー内に含めることができる。本発明の範囲から除外されたレジスト組成物が使用される場合、このような組成物は、ポリマー構成成分などの他のレジスト構成成分を含んでいてもよく、任意により(実質的に)散乱防止化合物を含まなくてもよい。
【0050】
本明細書では、「レジスト組成物」、「レジストコーティング」、「レジスト材料」、および「レジストコーティング材料」などの非限定的な言及は、本発明のレジスト組成物、コーティング、材料、またはコーティング材料に関連してもよいか、または代替的レジスト組成物、コーティング、材料、またはコーティング材料に関連してもよい。最も好ましくは、レジスト組成物、コーティング、材料、またはコーティング材料に対する非限定的な言及は、代替的レジストを指す。
【0051】
「代替的レジスト組成物」およびコーティングは、当業者に周知の標準的な工房技術に従って製造して使用することができる。これらは、本発明のレジスト組成物およびコーティング(コーティング、暴露、現像、除去などの方法を含む)に関して本明細書で定義したのと同じ様式で使用することもできるが、当業者であれば、本明細書で定義した方法を問題になっている代替的レジストに適するように容易に適合させ得る。
【0052】
本明細書では、レジスト組成物内の(それ自体がレジスト構成成分であるか、そうでなければレジスト構成成分と会合するか、またはレジスト構成成分に結合されることがある)「散乱防止化合物」は、レジストパターニング時の入射照射線、散乱照射線および/または二次電子の衝撃を調節かつ制御するのに役立つ。散乱事象を最小限に抑えることにより、散乱防止化合物は、こうした照射線を所望の暴露部位に集中させて指向させることを補助し、それによって望ましくない暴露を最小限にすると考えられる。これにより、問題になっているレジスト内でより鮮明で高解像度の画像をパターン形成することが可能になる。さらに、散乱防止化合物は、レジスト内の特定の脆弱な構成成分の過剰暴露を防止または低減する可能性があり、これにより別の方法で暴露されたレジストのその後の現像を損なう可能性がある。したがって、散乱防止化合物は、ぶれを低減すること、近接効果(すなわち、別の方法でレジストの未暴露部分へのエネルギーのこぼれ)を低減すること、解像度を上げること、およびアスペクト比を増加させることが可能である(アスペクト比とは、深さを溝や隆起部などの関連するパターン線の幅で割ったものである)。(中性化合物とするにあたって)その電荷が取り消すことはない1つ以上の錯体を散乱防止化合物が含有すると記載されている場合、実際の散乱防止化合物は、非中性の錯体の組み合わせの好適な塩である(従って、全体として中性化合物となる)。当業者であれば、残りの電荷はいずれも一般的に適している対カチオンまたは対アニオンによって中和されることを十分に理解するであろう。このように、全本明細書において、散乱防止化合物および実際にはいずれの錯体も、対イオンなく定義することができる。
【0053】
本明細書において、用語「現像液不溶性」は、所与のコーティング部分が、対応する「現像液可溶性」コーティング部分よりも比較的低い溶解性を現像液において有することを表すことを意図するものとする。現像液中の「現像液不溶性」のコーティング部分が部分的またはさらに完全な溶解性を有する(現像時間が十分に長い場合)ことを必ずしも排除するものではない。当業者には理解されるように、コーティング部分は、「現像液可溶性」および「現像液不溶性」として示差的に指定され、コーティングの部分(例えば、照射線に暴露された部分)がコーティングの他の部分(例えば、照射線に暴露されていない部分)に対して異なる溶解特性、したがって、典型的には異なる化学的性質を有することを示す。現像液の性質は、それぞれのコーティング部分の異なる溶解度特性に基づき、コーティングのどの部分を除去することを意図しているかに応じて慎重に選択することができるため、重要ではない。一般に、現像の文脈で使用される用語「溶解性」は、当業者に理解されるように、熱力学的溶解性が動力学的溶解性と相関し得るが、可溶化の速度が重要であるため、熱力学的溶解性よりも動力学的溶解性に関する。
【0054】
一般に、本発明の方法における用語「フォトレジストコーティング」および「電磁波照射線」の使用は、本発明のフォトレジストコーティングおよび電磁波照射線(通常はUV)が方法において少なくとも1回使用されることを表すが、あらゆる他のステップ(例えば、ステップおよび/または前ステップを繰り返すこと)の1つ、いくつかまたは全ての代わりに、代替的レジストコーティング(複数可)および代替照射線を任意により使用され得る。本発明のいくつかの方法のように、この文脈では、「リソグラフィを実施する方法のステップ(i)~(vi)を実施すること」を伴う任意の繰り返しステップまたは前ステップへ言及している場合、リソグラフィを実施する方法の実施は、本発明のフォトレジストコーティングおよび電磁波照射線の代わりに代替的レジストコーティングおよび代替照射線を任意により排他的に伴うことができる。すなわち、この文脈では、リソグラフィを実施する方法への言及は単に、本発明のフォトレジストまたは代替的レジストのいずれかを伴い得る繰り返しまたは前ステップの省略である。
【0055】
別段の記載がない限り、本明細書の「平均」値への言及は中央値に関連することを意図する。
【0056】
本明細書では、別段の記載がない限り、複数の成分/構成成分に関して使用される場合、用語「重量部(pbw)」は、複数の成分/構成成分間の相対比を指す。多くの実施形態では、組成物内の個々の構成成分の量は、「重量%」値として与えられ得るが、代替実施形態では、このような重量%値のいずれかまたは全てが多構成成分組成物を定義するために重量部に換算され得る。これは、構成成分間の相対比が多くの場合その絶対濃度よりも重要であるためである。複数の成分を含む組成物が重量部のみで記載されている場合(すなわち、成分の相対比のみを示す場合)、その成分の絶対量または濃度を(全部または個々でなくても)規定する必要はない。これは、本発明の利点が、それらの絶対量または濃度ではなく、それぞれの成分の相対比に由来するためである。しかし、好適には、レジスト組成物は、(あらゆる希釈剤/溶媒を除く)組み合わせた全規定成分の少なくとも1重量%、好適には少なくとも5重量%、好適には少なくとも10重量%、好適には少なくとも15重量%を含む。好適には、レジスト組成物は、(あらゆる希釈剤/溶媒を除く)組み合わせた全規定成分の50重量%以下、好適には30重量%以下、好適には20重量%以下を含む。残部(すなわち、希釈剤/溶媒を除き、規定成分によって構成されていないレジスト組成物の残部)は、本質的に希釈剤(複数可)/溶剤(複数可)から構成され得る。
【0057】
本明細書では、金属錯体(例えば、一次金属錯体)または配位錯体などの「錯体」への言及は、当業者(特に無機化学において)によってよく理解されるであろう。本明細書では、錯体は、一般に、1つ以上の配位子に配位された1つ以上の金属種(一般に金属イオン)を含む。特定の錯体が式および/または構成成分のリストを参照して定義される場合、特に明記しない限り、好適には、このような錯体は、そのいずれかの塩、溶媒和物、もしくは水和物を含むことができ、かつ追加的にもしくは代替的に1つ以上の任意の余分の/末端配位子、および/または1つ以上の追加の金属種を含むことができる。ほとんどの実施形態では、任意の定義された錯体は、その塩(特に、錯体が正味電荷を有する場合)を好適にも含み得る。しかし、好適には、このような錯体は、(任意の塩形態にもかかわらず)(実質的に)具体的に定義されたものであってもよく、すなわち、1つ以上の任意の余分/末端配位子を有する溶媒和物、水和物、もしくは錯体、および/または1つ以上の追加の金属種を除外してもよい。さらに、特定の錯体が式および/または構成成分のリストによって定義され、錯体の個々の種の絶対量または相対量が付与されている場合(例えば、化学量論または錯体1モル当たりの種のモルを基準として)、特に明記しない限り、個々の種の絶対量または相対量が、好適には、規定量の±10%以内、より好適には±5%以内、より好適には±1%以内、より好適には±0.1%以内である任意の変化形態を含み得るが、好ましい実施形態では、錯体の個々の種の絶対量または相対量を含む錯体は、(実質的に)定義されたものである。
【0058】
本明細書では、タイプXの複数の種(例えば、それは金属種、配位子種などである)の不特定数は、X、X、…、Xと呼ばれてもよく、または錯体の文脈では、[X…X]と規定されてもよく、XはタイプXの第1の種であり、XはタイプXの第2の種であり、XnはタイプXの第nの種(例えばX、X、…)である。
【0059】
本明細書において、他に記載がない限り、全ての化学命名法はIUPAC定義に従って定義され得る。
【0060】
本明細書において、用語「アルキル」は、直鎖および分枝鎖アルキル基の両方を含む。「プロピル」などの個々のアルキル基への言及は、直鎖型のみに特異的であり、「イソプロピル」などの個々の分枝鎖アルキル基への言及は、分枝鎖型のみに特異的である。例えば、「(1~6C)アルキル」としては、(1~4C)アルキル、(1~3C)アルキル、プロピル、イソプロプロピル、およびt-ブチルが挙げられる。同様の慣例が他のラジカルに適用され、例えば、「フェニル(1~6C)アルキル」はフェニル(1~4C)アルキル、ベンジル、1-フェニルエチルおよび2-フェニルエチルを含む。
【0061】
単独または接頭辞として使用される用語「(m~nC)」または「(m~nC)基」は、m~n個の炭素原子を有する任意の基を指す。6以上のnの値を規定する実施形態では、nは任意により小さい数であってもよく、例えばnは2、4または5であってもよい。
【0062】
「アルキレン」基、「アルケニレン」基、または「アルキニレン」基は、2つの他の化学基の間に位置付けられ、それらを接続する役割を果たすアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。したがって、「(1~6C)アルキレン」は、1~6個の炭素原子の直鎖飽和二価炭化水素基または3~6個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、2-メチルプロピレン、ペンチレンなどを意味する。
【0063】
「(2~6C)アルケニレン」は、2~6個の炭素原子の直鎖二価炭化水素基または3~6個の炭素原子の分枝二価炭化水素基を意味し、例えばエテニレン、2,4-ペンタジエニレンなどの場合のように少なくとも1つの二重結合を含む。
【0064】
「(2~6C)アルキニレン」は、2~6個の炭素原子の直鎖二価炭化水素基または3~6個の炭素原子の分枝二価炭化水素基を意味し、例えばエチニレン、プロピニレン、ブチニレンなどの場合のように少なくとも1つの三重結合を含む。
【0065】
「(3~8C)シクロアルキル」は、3~8個の炭素原子を含む炭化水素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはビシクロ[2.2.1]ヘプチルを意味する。
【0066】
「(3~8C)シクロアルケニル」は、例えば、3-シクロヘキセン-1-イルまたはシクロオクテニルなどのシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニルなどの、少なくとも1つの二重結合を含む炭化水素環を意味する。
【0067】
「(3~8C)シクロアルキル-(1~6C)アルキレン」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合により接着された(3~8C)シクロアルキル基を意味し、これらの両方は本明細書で定義される。
【0068】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0069】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環式(heterocyclic)」または「ヘテロ環(heterocycle)」は、非芳香族飽和または部分飽和単環式、縮合型、架橋型またはスピロ二環式ヘテロ環系(複数可)を意味する。用語ヘテロシクリルは、一価種および二価種の両方を含む。単環式ヘテロ環は、環内に窒素、酸素または硫黄から選択される1~5個(好適には1、2または3個)のヘテロ原子を有する、約3~12(好適には3~7)個の環原子を含む。二環式ヘテロ環は、環内に7~17員原子、好適には7~12員原子を含む。二環式ヘテロ環は、約7~約17個の環原子、好適には7~12個の環原子を含む。二環式ヘテロ環(複数可)は、縮合、スピロまたは架橋環系であってもよい。ヘテロ環式基の例としては、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニルなどの環状エーテル、および置換環状エーテルなどが含まれる。窒素を含むヘテロ環としては、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリルなどが挙げられる。典型的な含硫ヘテロ環としては、テトラヒドロチエニル、ジヒドロ-1,3-ジチオール、テトラヒドロ-2H-チオピラン、およびヘキサヒドロチエピンが挙げられる。他のヘテロ環としては、ジヒドロ-オキサチオリル、テトラヒドロ-オキサゾリル、テトラヒドロ-オキサジアゾリル、テトラヒドロ-オキサチアゾリル、ヘキサヒドロトリアジニル、テトラヒドロ-オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジオキソリニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンズイミダゾリル、およびオクタヒドロベンゾチアゾリルが挙げられる。硫黄を含むヘテロ環については、SOまたはSO基を含む酸化硫黄ヘテロ環も含まれる。例としては、テトラヒドロチエニルおよびチオモルホリニルのスルホキシドおよびスルホン形態、例えばテトラヒドロチエン1,1-ジオキシドおよびチオモルホリニル1,1-ジオキシドが挙げられる。1個または2個のオキソ(=O)またはチオキソ(=S)置換基を有するヘテロシクリル基の適切な値は、例えば、2-オキソピロリジニル、2-チオキソピロリジニル、2-オキソイミダゾリジニル、2-チオキソイミダゾリジニル、2-オキソピペリジニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2,5-ジオキソイミダゾリジニルまたは2,6-ジオキソピペリジニルである。特定のヘテロシクリル基は、窒素、酸素または硫黄から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む飽和単環式3~7員ヘテロシクリル、例えばアゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1-ジオキシド、チオモルホリニル、チオモルホリニル1,1-ジオキシド、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニルまたはホモピペラジニルである。当業者が理解するように、任意のヘテロ環は、炭素原子または窒素原子などの任意の好適な原子を介して別の基に連結されていてもよい。しかし、本明細書においてピペリジノまたはモルホリノへの言及は、環窒素を介して連結しているピペリジン-1-イルまたはモルホリン-4-イル環を指す。
【0070】
「架橋環系」とは、2つの環が2超の原子を共有する環系を意味する。例えば、Advanced Organic Chemistry Jerry March、第4版(Wiley Interscience、131-133頁、1992年)を参照されたい。架橋ヘテロシクリル環系の例としては、アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタンおよびキヌクリジンが挙げられる。
【0071】
「ヘテロシクリル(1~6C)アルキル」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合により接着されたヘテロシクリル基を意味し、これらの両方は本明細書で定義されている。
【0072】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素または硫黄から選択される1個以上(例えば、1~4個、特に1、2または3個)のヘテロ原子を組み込んだ芳香族の単環、二環または多環を意味する。用語ヘテロアリールは、一価の種および二価の種の両方を含む。ヘテロアリール基の例は、5~12環員、より一般的には5~10環員を含む単環式および二環式基である。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員の単環または9員または10員の二環、例えば、縮合5員環および6員環または2つの縮合6員環から形成される二環式構造であり得る。各環は、典型的には窒素、硫黄および酸素から選択される約4個までのヘテロ原子を含むことができる。典型的には、ヘテロアリール環は3個までのヘテロ原子、より一般的には2個までのヘテロ原子、例えば単一のヘテロ原子を含む。一実施形態では、ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環中の窒素原子は、イミダゾールまたはピリジンの場合のように塩基性であってもよく、またはインドールまたはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性であってもよい。一般に、環のアミノ基置換基などのヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は5未満である。
【0073】
ヘテロアリールの例としては、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアゼニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、プリニル、ベンゾフラザニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、プテリジニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、フェナジニル、ベンズイソキノリニル、ピリドピラジニル、チエノ[2,3-b]フラニル、2H-フロ[3,2-b]-ピラニル、5H-ピリド[2,3-d]-o-オキサジニル、1H-ピラゾロ[4,3-d]-オキサゾリル、4H-イミダゾ[4,5-d]チアゾリル、ピラジノ[2,3-d]ピリダジニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジニルが挙げられる。「ヘテロアリール」はまた、少なくとも1つの環が芳香環であり、他の環(複数可)のうちの1つ以上が非芳香族、飽和または部分飽和環であり、少なくとも1つの環が窒素、酸素または硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む場合、部分的に芳香族の二環式または多環式環系を包含する。部分芳香族ヘテロアリール基の例としては、例えば、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,2-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾチエニル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラニル、インドリニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,8-ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリド[2,3-b]ピラジニルおよび3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジニルが挙げられる。
【0074】
5員ヘテロアリール基の例としては、これに限定するものではないが、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、フラザニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリルおよびテトラゾリル基などが挙げられる。
【0075】
6員ヘテロアリール基の例としては、これに限定するものではないが、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびトリアジニルが挙げられる。
【0076】
二環式ヘテロアリール基は、例えば、
【0077】
1個、2個または3個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したベンゼン環、
【0078】
1個、2個または3個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したピリジン環、
【0079】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したピリミジン環、
【0080】
1個、2個または3個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したピロール環、
【0081】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したピラゾール環、
【0082】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したピラジン環、
【0083】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したイミダゾール環、
【0084】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したオキサゾール環、
【0085】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したイソオキサゾール環、
【0086】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したチアゾール環、
【0087】
1個または2個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したイソチアゾール環、
【0088】
1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5または6員環に縮合したチオフェン環、
【0089】
1個、2個または3個の環ヘテロ原子を含有する5または6員環に縮合したフラン環、
【0090】
1個、2個または3個の環ヘテロ原子を含有する5または6員ヘテロ芳香環に縮合したシクロヘキシル環、および
【0091】
1個、2個または3個の環ヘテロ原子を含む5または6員のヘテロ芳香環に縮合したシクロペンチル環、から選択される基であってもよい。
【0092】
5員環に縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、これに限定するものではないが、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニニル、グアニニル)、インダゾリル、ベンゾジオキソリルおよびピラゾロピリジニル基が挙げられる。
【0093】
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、これに限定するものではないが、キノリニル、イソキノリニル、クロマニル、チオクロマニル、クロメニル、イソクロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニルおよびプテリジニル基が挙げられる。
【0094】
「ヘテロアリール(1~6C)アルキル」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合により接着されたヘテロアリール基を意味し、これらの両方は本明細書で定義される。ヘテロアラルキル基の例としては、ピリジン-3-イルメチル、3-(ベンゾフラン-2-イル)プロピルなどが挙げられる。
【0095】
用語「アリール」は、5~12個の炭素原子を有する環式または多環式の芳香族環を意味する。用語「アリール」は、一価種および二価種の両方を含む。アリール基の例としては、これらに限定されないが、フェニル、ビフェニル、ナフチルなどが挙げられる。特定の実施形態では、アリールはフェニルである。
【0096】
用語「アリール(1~6C)アルキル」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合により接着されたアリール基を意味し、その両方が本明細書で定義される。アリール-(1~6C)アルキル基の例としては、ベンジル、フェニルエチルなどが挙げられる。
【0097】
本明細書ではまた、複数の機能を含む基を記述するためにいくつかの複合用語を使用している。このような用語は、当業者によって理解されるであろう。例えば、ヘテロシクリル(m~nC)アルキルは、ヘテロシクリルで置換された(m~nC)アルキルを含む。
【0098】
用語「任意的に置換されていてもよい」は、置換された基、構造体、または分子のいずれか、および置換されていないものを指す。
【0099】
任意の置換基が「1つ以上」の基から選択される場合、この定義には、指定された基のうちの1つから選択される全ての置換基または特定の基の2つ以上から選択される置換基を含むことが理解されるものとする。任意の置換基の好適な例としては、必ずしもこれらに限定されないが、ハロゲン化物、アミノ、シアノ、イミノ、エナミノ、(1~6C)アルキルアミノ、ジ-[(1~6C)アルキル]アミノ、トリ-[(1~6C)アルキル]アミノ、オキソ、酸化物、水酸化物(OH-)、(1~6C)アルコキシド、(2~6C)アルケニルオキシ、(2~6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1~6C)アルコキシカルボニル、(2~6C)アルカノイル、(2~6C)アルカノイルオキシ、スルホ、スルフィド、硫化水素、(1~6C)アルキルチオ、(2~6C)アルケニルチオ、(2~6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロシクリル、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される少なくとも1個の内部ヘテロ原子を含むヘテロアリール(例えば、ピリジル)が挙げられ、または(必要に応じて)、任意のCH、CHまたはCHは、任意により置換されている。
【0100】
他に記載がない限り、本明細書中の「pKa」への言及は、好適には関連種の共役酸の標準周囲温度および圧力(SATP)における水中のpKa値として解釈されるべきである。
【0101】
本明細書において、用語「カルボシクリル」、「炭素環(carbocycle)」または「炭素環式(carbocyclic)」は、一般に3~10個の環炭素原子を有し、および非芳香族環系においてヘテロ原子が0である非芳香族環状炭化水素基のラジカルを指す(すなわち、(3~10C)カルボシクリル)。好適には、カルボシクリル基としては、(3~nC)シクロアルキルおよび(3~nC)シクロアルケニルが挙げられる。例示的実施形態としては、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルなどが挙げられる。
【0102】
本明細書において、用語「マクロシクリル」「大員環」または「大環状の(macrocyclic)」とは、大環状環を指し、これは当該技術分野において周知である。このような大環状環は、好適には、環状高分子または分子の高分子環状部分である。好適には、大環状環は環内に9個以上の原子を有する。好適には、大環状環は、3つ以上の内部電子対供与原子を有する。大環状環は、好適には、中心金属種(例えばMg2+)に配位可能な環状分子である。例えば、ポルフィリンが挙げられる。
【0103】
本明細書において、用語「ヒドロカルビル」は、一般に、脂肪族、非環式または環状(アリールを含む)炭化水素基を指し、好適にはヘテロ原子を有さない。
【0104】
本明細書では、「配位部分」は、好適には供与結合を介して別の状況では別々の原子、分子、イオン、または錯体と配位することができる、好適には、原子または部分である。好適には、配位部分は、1つ以上の孤立電子対を受容または供与することができるが、好適には、配位部分は受容および供与の両方ができない。
【0105】
本明細書において、「多金属」系(例えば多金属ケージ)は、その中に2つ以上の金属原子/イオンを有する系(または錯体)を単に意味し、これは同一であっても異なっていてもよい(金属元素、酸化状態などの点で)。例えば、8つのCr(III)イオンを含む金属錯体は多金属であり、7つのCr(III)イオンおよび1つのNi(II)イオンを含む金属錯体である。多金属ケージなどの多金属系は、ホモ金属(例えば、いくつかの金属種が別の種とは異なる酸化状態を有する場合であっても、全ての金属種が同じ金属元素から誘導される場合)またはヘテロ金属(例えば、異なる金属種が、同一または異なる酸化状態を有するか否かにかかわらず、金属種が、異なる金属元素から誘導された異なる金属種の混合物である場合)のいずれかであってもよい。最も好適には、ホモ金属錯体の全ての金属種は同じ酸化状態であるが、異なる酸化状態を有していてもよい。最も好適には、ヘテロ金属錯体内の異なる金属種は異なる酸化状態を有するが、同じ酸化状態を有していてもよい。
【0106】
本明細書では、「二次電子発生剤」は、好適には、電磁波照射線を照射した後に二次電子を放出する構成成分である。特定の実施形態では、二次電子発生剤は、適している波長の紫外線(典型的には5eV以上)に暴露されると電子を放出する。
【0107】
本明細書では、化合物の「実効原子番号(Zeff)」は、化合物の原子構成成分の加重和から得られる平均原子番号である。
【0108】
当業者は、Zeffを計算および/または測定する様々な方法を知っているであろうが(例えば、F.W.Spiers,Effective Atomic Number and Energy Absorption in Tissues,Br.J.radiol.,19,52,1946)、本発明の目的では、「実効原子番号(Zeff)」は、好適には、単純な質量加重平均として、好適には、以下の式を用いて計算される。
eff=Σα
式中、Zは化合物中のi番目の元素の原子番号であり、αiは、i番目の元素によって構成される化合物中の全ての原子の原子数の合計(すなわち、化合物中のプロトン総数)の割合である。この式は、別の方法では次のように表すことができる。
eff=α+α+…(+α
n個の元素を含む化合物である。
これは、Spiersの式(F.W.Spiers,Effective Atomic Number and Energy Absorption in Tissues,Br.J.radiol.,19,52,1946)に類似しているが、Spiersが使用する指数は有さない。Spiersの式では、Zeffを以下のとおりに規定している:
eff =Σα
式中、指数pは好適には約3である(例えば、p=2.94)。ある実施形態では、SpiersのZeffのこの定義(特に、p=2.94)が使用されてもよいが、本明細書で開示されるZeffの任意の好ましい、任意の、および好適な値は、Spiersの定義に同様に適用されてもよく、好ましくは、Zeffの上記の単純な質量加重平均定義を用いるべきである。
二次電子発生剤は、好適には、15以上の実効原子番号(Zeff)を有する化合物であるか、またはこれらを含んでもよい(任意により、実効原子番号計算で、100kPaの圧力で150℃以下の沸点を有する溶媒和物を除外した場合)。一例として、溶媒和物(4×HO)が計算に含まれる場合、金属化合物/錯体HAuCl・4HO(水素テトラクロロ金酸四水和物)は、実効原子番号(Zeff)40.76を有するが、水(150℃未満の沸点を有する)が計算から除外される場合、HAuCl・4HOは、実効原子番号(Zeff)49.99を有する。これは、
-まず、水が100kPaの圧力で150°以下の沸点を有する溶媒和物(または水和物)(その沸点は100kPaの圧力で150°である)であるため、化合物の4HOの部分は、計算から除外されるためである。
-したがって、HAuCl・4HOの関連原子番号は:
=1
Au=79
Cl=17である。
-4HOを除くHAuCl・4HO(すなわちHAuCl)中の全ての原子番号の総和は、
+ZAu+(4×ZCl)=1+79+(4×17)=148である。
-HAuCl・4HOの関連原子番号の割合は、以下のとおりである。
α=1/148=0.00676
αAu=79/148=0.53378
αCl=(4×17)/148=0.45946
-式Zeff=α+αAuAu+αClClを用いて計算したZeffは、以下のとおりである。
eff=(0.00676×1)+(0.53378×79)+(0.45946×17)
eff=0.00676+42.168+7.81082=49.99
有機化合物の実効原子番号は正確に同じ様式で計算することができ、溶媒和物は金属錯体とより一般的に会合しているので、通常、このような場合に溶媒和分子を差し引く必要はない。ポリマーの実効原子番号も同じ方法で計算することができるが、これは同じ結果をもたらすことから、単量体のみでこのような計算を行うのが最も簡単である。このようにして、PMMA(またはメチルメタクリレート)のZeffは約5.85である。ここで、コポリマーの実効原子番号は、それぞれのモノマーの加重平均を式に組み込むべきであるが、ここでも同じ方法で計算することができる。同様に、一般的に本発明に関連していないが、化合物の混合物または組成物の実効原子番号は、そのそれぞれの構成成分の加重平均を含むことによって計算することもできる。当業者は、全ての化合物および組成物の実効原子番号(Zeff)を完全に計算することができる。
【0109】
大きな炭素鎖を有する基が開示されている場合(例えば((1~12C)アルキル、(1~8C)アルケニルなど)はいずれも、任意により、このような基は、(1~12C)アルキルまたは(1~8C)アルケニルの代わりに、例えば、1~5個の炭素を含む(例えば、(1~5C)アルキルまたは(1~5C)アルケニル)か、または1~3個の炭素を含む(例えば、(1~3C)アルキルまたは(1~3C)アルケニル)、短いものであってもよい。
【0110】
本明細書において、他に記載しない限り、組成物中の任意の所与の構成成分の重量パーセント(wt%)は、好適には、組成物の全重量に基づく構成成分の重量パーセントを意味する。
【0111】
本明細書では、用語「本質的になる」は、材料内の所与の成分の割合を記載するために使用される場合、好適には、材料が、少なくとも70wt%、より好適には少なくとも80wt%、より好適には少なくとも90wt%、より好適には少なくとも95wt%、最も好適には少なくとも99wt%の所与の成分を含むことを意味する。
【0112】
本明細書において、用語「ヒドロカルビル」は、これらに限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールなど、任意の炭化水素基を指す。
【0113】
本明細書(通常、ルイス酸性種に関連して)で規定される場合、金属原子、種、錯体、または化合物への言及は、ホウ素およびケイ素はそれ自体は厳密には金属種ではないが、ホウ素および/またはシリコン金属原子、種、錯体または化合物を挙げることができる。しかし、このような金属原子、種、錯体または化合物は、対応するホウ素および/またはケイ素の原子、種、錯体または化合物を除外してもよい。
【0114】
本発明の一般的な方法および利点
本発明は、フォトレジスト組成物などのレジスト組成物(ポジティブ型またはネガティブ型レジストのいずれか)を提供し、高精度で高仕様の電子部品(例えば、集積回路に存在するもの)の製造において配置可能な高品質のレジストパターンへのアクセスを提供する。特に、イメージングされたレジストパターンの品質および解像度により、極めて高品質で高解像度の電子部品および集積回路の製造が容易になり、集積回路のサイズをそれでもさらに縮小することが可能になる。これにより、より高速なマイクロプロセッサおよび低電力のモバイルデバイス内で動作できるマイクロプロセッサが可能になる。
【0115】
レジスト組成物中に散乱防止構成成分を意図的に含有させることにより、望ましくない照射線の散乱、照射線の吸収、および二次電子の生成を防止、抑制または低減する。このようにすると、近接効果およびぶれが最小限に抑えられ、このためより高い解像度のパターニングが可能になる。また、非常に薄いレジスト膜層の使用も可能である。
【0116】
この開示により、当業者が最終製品を最適化するために適したレジスト組成物および方法論を慎重に選択することができるようになる。本明細書中に提供された実施例およびデータは、レジスト組成物の範囲に対して本発明の広範な適用可能性を示す高信頼性の実証となる。
【0117】
レジスト組成物
本発明は、レジスト組成物、最も好適にはフォトレジスト組成物を提供する。好適には、レジスト組成物またはその対応するコーティングは、10nm~1000nmの間、好適には50nmと700nmとの間、好適には100nmと400nmとの間、好適には150nmと300nmとの間、好適には170nmと280nmとの間の少なくともいくつかの電磁波照射波長に反応する。好適には、このような範囲内にある波長(複数可)を有する特定の電磁波照射線にレジスト組成物またはそのコーティングを適切に暴露させると、レジスト組成物またはそのコーティングの関連する暴露部分がその未暴露部分に対して現像液溶解特性を変化させる。
【0118】
レジスト組成物は、好適には、散乱防止構成成分(本明細書では、散乱防止化合物とも呼ばれる)を含む。散乱防止構成成分/化合物は、それ自体がレジスト材料(潜在的には唯一のレジスト材料であっても)としての役割をし得る(例えば、暴露および/または暴露後ベーキング時に架橋し得るか、さもなければ暴露および/またはベーキング時に断片化し、これにより暴露部分と未暴露部分との間に現像液溶解性が対比的に現れ得るように)が、好適には、レジスト組成物はレジスト構成成分を追加的に含む。レジスト構成成分は、散乱防止構成成分とは異なるものであってもよく、全く異なる別個の化合物であってもよい。しかし、散乱防止構成成分は、それ自体がレジスト構成成分を含むか、そうでなければレジスト構成成分と会合していてもよいか、またはレジスト構成成分の一部であってもよい(例えば、レジスト構成成分に会合されていても、別の方法で結合されていてもよく、かつ例えば、基または部分であってもよい)。散乱防止構成成分がレジスト構成成分を含むか、さもなければレジスト構成成分と会合されている場合(例えば、供与結合を介してレジスト構成成分が散乱防止構成成分に結合されている場合など)、2つの会合している構成成分はまとめて「散乱防止-レジストハイブリッド」と称され得る。
【0119】
レジスト組成物は、本明細書で定義される1つ以上の散乱防止化合物を含み得る。レジスト組成物は、本明細書で定義される1つ以上のレジスト構成成分を含み得る。
【0120】
レジスト組成物(およびそれから誘導される任意のレジストコーティング)内に散乱防止化合物を含めることで、好適には、照射暴露中の散乱(例えば、一次および/または二次照射線)を制限し、これにより、入射照射線を意図された標的部位に上手く集束させる。これは、リソグラフィの解像度を高め、近接効果および/またはぶれを最小にする。好適には、散乱防止化合物は、電子の前方散乱または後方散乱を最小にする。
【0121】
レジスト構成成分は、当技術分野で公知のとおり、好適には、レジストの通常の機能を果たし、すなわちレジスト組成物(またはそのコーティング)の照射暴露部分と未暴露部分との間の現像液溶解性を対比させることができる。典型的には、レジスト組成物(またはそのコーティング)の関連部分が、照射線(入射照射線、散乱照射線、および/または二次電子などの二次照射線を含む)への暴露時に変換して、レジスト組成物の暴露部分および未暴露部分の異なる現像液溶解性を呈することができる。このような現像液溶解性の差は、照射暴露によって直接誘導されてもよく、かつ/または後続の処理(例えば、暴露後ベーク)によって促進されてもよい。後続の処理は、暴露部分、未暴露部分、またはその両方の現像液溶解性に影響を及ぼし得、このため、これらの間のコントラストをもたらす。例えば、光酸発生剤がレジスト組成物内で使用される場合、暴露後ベークは一般に、レジスト組成物/コーティングの照射暴露部分で選択的に生成された酸をわずかに拡散させ、最終的に、(例えば、酸脱保護などを介して)局所的な現像液溶解性を変化させる方法でレジスト構成成分の反応を引き起こす(例えば、ポジティブ型レジストにより現像液溶解性が高くなるか、またはネガティブ型レジストにより現像液溶解性が低くなるようにする)ことができる。このような暴露誘起変換は、レジスト構成成分自体および/またはレジスト組成物の他の成分のいずれであろうと、分子の断片化を永続させることができ、かつ/またはレジスト構成成分および/または他の成分間のいずれかで結合形成を永続させることができる。特定の実施形態では、特に、レジスト組成物が1つ以上のレジスト構成成分に会合するか、または1つ以上のレジスト構成成分に結合される散乱防止構成成分を含む場合、照射暴露は近位のレジスト構成成分間、好適には、隣接する(が、異なる)散乱防止構成成分に会合するレジスト構成成分間の化学反応性を促進する(例えば、ラジカルなどの高エネルギー中間体を介して)。
【0122】
レジスト組成物は、光開始剤、光酸または光増感剤などの感光性構成成分をさらに含むことができる。本発明の文脈において、感光性構成成分は、好適には、照射線/光子に暴露されたときに活性化されて化学反応を受けるか、または別の方法で化学反応を引き起こす構成成分である。いくつかの実施形態では、レジスト構成成分は、感光性構成成分であり得るか、そうでなければ、感光性構成成分を含有するかまたは含んでもよい。しかし、感光性構成成分は、別個の光開始剤または光電子生成剤であってもよい。このような追加の感光性構成成分(複数可)は、暴露により誘起された化学反応を促進し得る。この化学反応は、暴露部分と未暴露部分との間の現像液溶解性の対比を引き起こす。しかし、特定の実施形態では、レジスト組成物は、光酸または光開始剤を(実質的に)含まない。
【0123】
好ましい実施形態では、照射暴露は、対応する未暴露部分とは異なる現像液溶解性を有するレジスト組成物/コーティングの暴露部分を沈殿させるように、レジスト構成成分を(暴露中に)その部位で反応させる(好適には、追加の感光性構成成分がなくても)。暴露後のレジスト組成物/コーティングの現像前に、暴露後のベークおよび/または他の暴露後の処理ステップを用いることができるが、好適には、このような追加の処理ステップは、暴露部分と未暴露部分との間で現像液溶解性を対比させ得ることに関与する化学反応を引き起こすには必要とされない。
【0124】
レジスト組成物は、好適には、レジスト架橋剤をさらに含むことができ、これは、好適には、レジスト構成成分に反応し(例えば、暴露中または暴露後処理中に)、レジスト構成成分間またはレジスト構成成分と別の構成成分との間の架橋を促進する架橋構成成分である。レジスト構成成分が別のレジスト構成成分と反応することができると言われる場合、このような反応は間接的であってもよく、かつ介在するレジスト架橋剤を含んでもよい。好適な架橋剤は当該技術分野において公知である。
【0125】
好適には、レジスト組成物は、好適には本明細書で定義される、プラズモン構成成分をさらに含むことができる。
【0126】
好適には、レジスト組成物(例えば、前コーティング)は、希釈剤または溶媒を含む。好適には、レジスト組成物は、20~99.5重量%の溶媒、好適には50~99重量%、より好適には80~98.5重量%の溶媒、より好適には95~99重量%の溶媒を含む。このように、レジスト組成物は、好適には、0.5~80重量%の非溶媒構成成分、好適には1~50重量%の非溶媒構成成分、より好適には1.5~20重量%の非溶媒構成成分、より好適には1~5重量%の非溶媒構成成分を含む。好適には、レジスト組成物は、好適には、任意の分散または懸濁した粒子状物質を含まない溶液である。好適には、レジスト組成物は、好適には表面上に(実質的に)均質なコーティングを提供するために、表面上へスピニング(例えばスピンコーティング)することに好適である。好適には、レジスト組成物は、(実質的に)いかなる粒子状物質も含まない。好適には、レジスト組成物は、任意のナノ粒子を(実質的に)含まない。特に金属(0)ナノ粒子または金属含有ナノ粒子を含まない。
【0127】
レジスト組成物は、1つ以上の任意の追加構成成分を含むことができる。
【0128】
特定の実施形態では、レジスト組成物は、
100pbwの散乱防止化合物/構成成分、および
0~10000pbwレジスト構成成分を含む。
【0129】
レジスト組成物は、ネガティブ型レジスト組成物であってもよいか、またはポジティブ型レジスト組成物であってもよい。最も好適には、レジスト組成物は、ネガティブ型レジスト組成物である。
レジスト構成成分
【0130】
レジスト組成物または対応するレジストコーティングは、好適には、散乱防止構成成分に加えてレジスト構成成分を含むことが好適である。レジスト組成物は、レジスト構成成分間またはレジスト構成成分と他の化学種との間で反応し、かつ架橋を形成することができるレジスト架橋剤をさらに含むことができる。
【0131】
当業者は、使用されるレジスト構成成分(複数可)に基づいて適した現像液を容易に選択することができる。好適には、現像液は、レジスト組成物/コーティングの照射暴露部分(例えばポジティブ型レジストの場合)またはこれらの非照射暴露部分(例えばネガティブ型レジストの場合)のいずれかを選択的に溶解する能力に基づき、関連するレジスト構成成分(複数可)および/またはレジスト組成物/コーティング内に存在する他の成分の性質に応じて選択される。
【0132】
レジスト構成成分は、ポジティブ型レジスト構成成分(好適には、反応させて、レジスト組成物/コーティングを照射暴露領域においてより多く現像液に溶解させる)またはネガティブ型レジスト構成成分(好適には、反応させて、レジスト組成物/コーティングを照射暴露領域においてより少なく現像液に溶解させる)であってもよい。典型的には、ポジティブ型レジスト構成成分は、照射暴露時(例えば、光分解結合分解反応を介して)または暴露後処理時に断片化してもよく、そうでなければ(照射暴露または暴露後処理下で)反応させてもよく、これによりレジスト組成物/コーティングをより多くの現像液に溶解させる。対照的に、典型的には、ネガティブ型レジスト構成成分は、任意により架橋剤を介して、他の構成成分(複数可)(例えば、他のレジスト構成成分)と反応して結合するようになる。
【0133】
レジスト構成成分(複数可)は、好適には1つ以上のπ系を含み、π系は、好適には架橋可能であるか、またはさもなければ光分解結合の影響を受けやすい。
【0134】
一実施形態では、レジスト構成成分は、(少なくともその分子構造の点で)散乱防止構成成分とは異なり、別個である。好適には、適した現像液(すなわち、レジスト構成成分の暴露部分または非暴露部分のいずれかを選択的に溶解する溶媒)と組み合わせて、任意の好適なレジスト構成成分を使用することができる。好適には、レジスト構成成分は、直接的に(例えば、暴露照射線によってレジスト構成成分が化学的に変換し、潜在的にさらなる化学反応を受ける)、または間接的に(例えば、暴露照射線によってレジスト組成物の構成成分(光開始剤または光酸など)が最終的に、おそらくは暴露後処理の間に化学的な変換を受け、レジスト構成成分が化学的に変換され、潜在的に更なる化学反応を受ける)暴露照射線に反応する。ポジティブ型およびネガティブ型レジストの両方など多様なレジスト構成成分(例えば、レジストポリマー)が当該技術分野において既知であり、そのいずれも、本発明の文脈において使用するのに好適であり、散乱防止共成分が有益な結果をもたらし得る。多くの場合、照射暴露または暴露後処理(例えば、暴露後ベーク)中にネガティブ型レジスト構成成分が重合および/または架橋される(直接的またはレジスト構成成分が接着する例えば介在架橋剤または介在分子を介して間接的に)。
【0135】
したがって、レジスト構成成分(複数可)は、重合可能なモノマー(複数可)/コモノマー(複数可)または断片化可能なポリマー(複数可)であってもよいか、またはそれらを含んでいてもよい。
【0136】
本発明での使用に好適なレジスト構成成分の例としては、とりわけ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(メチルメタクリレート-コ-メタクリル酸)(PMMAcoMA)、ポリ(α-メチルスチレン-コ-メタクリル酸メチルエステル)(PMSco-Cl-MMA)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、ポリヒドロキシスチレン(PSOH)、ポリ(ヒドロキシスチレン-コ-メチルメタクリレート)(PSOHcoMMA)、(長鎖)炭化水素、ノボラック(すなわち、1:1未満のホルムアルデヒド-フェノール比を含むフェノール樹脂)、ポリ(1-ナフチルメタクリレート)、ポリ(1-ビニルナフタレン)、ポリ(2,6-ナフタレンビニレン)、ポリ(2-クロロスチレン)、ポリ(2,6-ジクロロスチレン)、ポリ(2-ビニルチオフェン)、ポリ(N-ビニルフタルイミド)、ポリ(ビニルフェニルスルフィド)、ポリヒドロキシスチレンまたはそれらの任意の適切な混合物またはコポリマーを含む。
【0137】
本発明のレジスト組成物は、別個のレジスト構成成分(複数可)(例えば、上記などのレジストポリマーまたは樹脂)を含んでいてもよいが、他の実施形態では、レジスト構成成分(複数可)は、代替的にまたは追加的に、レジスト組成物の散乱防止構成成分と会合している。例えば、レジスト構成成分(複数可)は、散乱防止構成成分と会合するか、さもなければ結合されてもよく、例えば、散乱防止構成成分の基または部分(例えば、配位子またはその一部)であってもよい。散乱防止構成成分がレジスト構成成分を含むか、さもなければレジスト構成成分と会合されている場合(例えば、供与結合を介して)、2つの会合している成分はまとめて「散乱防止-レジストハイブリッド」と称され得る。このような実施形態のさらなる詳細は、散乱防止構成成分に関連して以下に提供される。
【0138】
散乱防止構成成分/化合物
散乱防止構成成分は、照射暴露中のレジスト組成物/コーティング内の散乱事象(または散乱確率)を制限するために、レジスト組成物/コーティング内で好適に機能する。このような散乱阻害は、散乱中心の密度がより低く、かつ/または存在する散乱中心の散乱断面積が少ない結果であると考えられる。
【0139】
(特に、一次/入射照射線の)照射線散乱(一次照射が「それて」偏向されるとき)は、レジスト組成物/コーティングの非標的部分を散乱照射線によって暴露させるようにすることから、本発明によるレジスト組成物中に散乱防止構成成分を組み込むことにより、リソグラフィの解像度、アスペクト比の改善、および/またはぶれの低減を大幅に改善することができる。そのような状況下では、一次照射線は、散乱防止構成成分の存在下で標的部位に向かって(標的がフォトマスクなどのマスク、または指向性ビームによって指示されているかどうかにかかわらず)、より「焦点を合わせている」と考えられ得る。
【0140】
散乱防止構成成分または化合物は、それ自体、1つ以上の副構成成分を含んでもよい。好適には、散乱防止化合物の1つ以上の構成成分(特に錯体(複数可)(例えば、多金属ケージおよび/または多金属環系))は、かなりの量の空き内部空間を有する分子構造を有する。好適には、(その個々の構成成分の配置、例えば、共通のハブまたは1つ以上のリンカー構成成分の周りに任意に配置された複数の金属ケージまたは環の会合などを考慮して)全体としての散乱防止化合物は、かなりの量の自由な内部空間を有する構造を有する。理論に束縛されるものではないが、こうした自由な空きスペースは、散乱防止化合物の有益な特性に重要な寄与因子であり、一次照射線散乱を最小限に抑えるのに役立つと考えられる。このように、散乱防止化合物は、好適には高い平均自由行程(λ)を有する。すなわち、連続する電子衝突間の距離が長い。好適には、散乱防止化合物は、低い散乱断面積(σ)を有する。すなわち、衝突の機会は少ない。
【0141】
多孔性の開放された(好適には三次元の)結晶構造のために当該技術分野で周知の金属有機骨格(MOF)は、かなりの量の自由空きスペース(典型的にはガスの吸収のために実際に使用される)を有する化合物および錯体を提供することができるが、散乱防止化合物は、特に、レジストコーティングの一部分(すなわち、予め暴露されている)である場合、最も好適な(実質的に)非結晶であり、かつ/または三次元の結晶/格子構造を形成していない。このような三次元結晶構造を形成する傾向がないことは、散乱防止化合物がより好適な溶解特性を有し、これによりレジスト組成物のより均一なコーティング(例えば、スピンコーティング)が可能になることを示し得る。このように、最も好適には、散乱防止化合物は、金属有機骨格(MOF)ではない。好適には、散乱防止化合物は、(実質的に)非多孔質である。
【0142】
好適には、散乱防止化合物は、比較的低い密度を有する。散乱防止化合物が実際に1つ以上のレジスト構成成分(複数可)を含む場合(例えば、そこに供与結合されている場合)、散乱防止化合物は、レジスト構成成分(複数可)が存在する高密度の局在領域を含むことができ、それでも、好適には、他の場所では(すなわち、レジスト構成成分(複数可)から遠位である)比較的低密度のままである。このような構成が、レジスト組成物の全体での散乱防止効果を最大にし、その一方で、主要な標的部位(すなわち、レジスト構成成分(複数可))における照射線に対する感度を増強させる。このように、レジスト組成物は、好適には、(散乱を制限するために)比較的低密度の領域と、それが必要とされる比較的高密度の領域(すなわち、レジスト構成成分(複数可)の部位)を含む。
【0143】
好適には、散乱防止化合物は、2.5g/cm以下、好適には2.0g/cm以下、好適には1.6g/cm以下の密度を有する。散乱防止化合物およびレジスト構成成分(複数可)が別個の実体である場合、散乱防止化合物は、好適には、1.5g/cm以下、好適には1.3g/cm未満、好適には1.2g/cm以下、好適には0.95g/cm以下、好適には0.9g/cm以下、好適には0.85g/cm以下、好適には0.8g/cm以下、好適には0.7g/cm以下の密度を有し得る。好適には、散乱防止化合物は、0.4g/cm以上、好適には0.5g/cm以上、好適には0.55g/cm以上、好適には0.6g/cm以上の密度を有する。特定の実施形態では、散乱防止化合物は、0.6g/cm~0.85g/cmの密度を有する。特定の実施形態では、散乱防止化合物は、1.2g/cm以下の密度を有する。レジスト構成成分(複数可)が会合されるか、または散乱防止化合物の一部である場合、散乱防止化合物は好適には0.9g/cm以上、好適には1.2g/cm以上の密度を有する。
【0144】
好適には、散乱防止化合物は、1000g/mol以上、好適には2000g/mol超、好適には5000g/mol以上、好適には10,000g/mol以上、好適には15,000g/mol以上の分子量を有する。好適には、散乱防止化合物は、300,000g/mol以下、好適には200,000g/mol以下、好適には100,000g/mol以下、好適には50,000g/mol以下、好適には20,000g/mol以下、好適には5000g/mol以下の分子量を有する。
【0145】
好適には、散乱防止化合物は、特に一次照射線が150nmを超える場合、好適には一次照射線180nmである場合、イオン化生成物として、一次照射線への暴露に応答して(少なくとも接着させた二次電子発生剤の非存在下で)(実質的に)二次電子を生成することはない。
【0146】
散乱防止化合物は、好適には金属有機錯体である。好適には、散乱防止化合物は多金属化合物である。散乱防止化合物は、好適には、元素金属(すなわち、金属(0))を含まない。好適には、散乱防止化合物の任意の金属種は金属イオンである。
【0147】
散乱防止化合物は、好適には一次金属錯体(PMC)を含む。好適には、一次金属錯体は、本明細書に記載されているように定義され、好適には金属ケージ、最も好適には多金属ケージである(好適には少なくとも1つの三価の金属種および少なくとも1つの二価の金属種であるが、ある実施形態では、三価の金属種の全てが同一または異なる金属元素に由来するかどうかにかかわらず全ての金属種が三価であり得る)。金属ケージは、「A Ring of Rings and Other Multicomponent Assemblies of Clusters」Angew.Chem.Int.編、2013年、第52巻、9932-9935(G.F.S.Whitehead,F.Moro,G.A.Timco,W.Wernsdorfer,S.J.TeatおよびR.E.P.Winpenny)に開示されたものまたは同様のものを含むことができる。いくつかの実施形態では、多金属ケージはホモ金属である。好ましい実施形態では、多金属ケージはヘテロ金属(すなわち、2つ以上、最も好適には正確に2つの異なる金属元素を有する)である。
【0148】
第1の金属錯体は、中性または(正または負の)荷電であってもよい。散乱防止化合物は、特に、一次金属錯体が荷電している場合には、一次金属錯体と適切に会合した1つ以上の対イオン(例えば、C、C…、C)、好適には本明細書に定義されているもの、好適には、一次金属錯塩の一部として一次金属錯体と会合しているものなどを含み得る。そのようなものとして、散乱防止化合物は、式Aの一次金属錯塩によって定義される単位によって定義されるか、またはこれらを含んでもよい:
(C i1 i2…C ic)(PMC)
式中、PMCは、好適には本明細書で定義される一次金属錯体であり、pは、式AにおけるPMCの相対化学量論量であるか、またはpは、式Aの1モル当たりのPMCのモル数であり、
は第1の対イオンであり、Cは第2の対イオンであり、Cは本明細書で適切に定義されるc番目の対イオンであり、i1、i2、およびicは、式AのC、C、…、およびCそれぞれの相対的なそれぞれの化学量論量であるか、またはi1、i2、およびicは、式Aの1モル当たりのC、C、…、およびCの各々のそれぞれのモル数である。
【0149】
pは任意の好適な値を有することができ、好ましくは0でない整数である。pは、好適には1~6の値(好適には整数)であってもよい。
【0150】
好ましい実施形態では、一次金属錯体に会合する対イオン種は存在しない(すなわち、i1、i2、およびicは、全て0である)か、または一次金属錯体は、単一(のタイプ)の対イオン種のみに会合する(すなわち、一次金属錯塩はこれを含む)(すなわち、i1は0ではないが、i2およびicは0である)かのいずれかである。好適には、PMCおよび対イオン(複数可)の化学量論量または相対的モル数は、結果として生じる一次金属錯塩が中性であるようなものである。しかし、散乱防止化合物内の追加の荷電構成成分(例えばリンカー構成成分-下記参照)の存在は、一次金属錯塩が中性である必要はないことを意味し得る。
【0151】
散乱防止化合物は、好適には、1つ以上、好ましくは2つ以上の一次金属錯体と(例えば、静電気的におよび/または共有結合的に、最も好適には少なくとも部分的に共有結合的に)会合するリンカー構成成分(または1つ以上のリンカー構成成分)を含むことが好適である。好適には、リンカー構成成分(複数可)は本明細書に記載のとおりに定義され、好適には1つ以上の(好ましくは2つ以上の)一次金属錯体と配位可能な(すなわち一次金属錯体との供与結合を形成する)錯体または化合物である。1つ以上の一次金属錯体(複数可)と会合する1つ以上のリンカー構成成分(複数可)から生じる錯体は、「ハイブリッド錯体」と呼ぶことができる。
【0152】
散乱防止化合物は、式Bのハイブリッド錯体によって定義されるか、またはそれによって定義される単位を含むことができる:
(PMC)(LINK)
式中、PMCは、好適には本明細書で定義される一次金属錯体であり、pは、式BにおけるPMCの相対化学量論量であるか、またはpは、式Bの1モル当たりのPMCのモル数であり、
式中、LINKは好適には本明細書で定義されるリンカー構成成分であり、lは式BのLINKの相対化学量論量であるか、またはlは式Bの1モル当たりのLINKのモル数である。
【0153】
pは任意の好適な値を有することができ、好ましくは0でない整数である。pは好適には1~120の値(好適には整数)であってもよく(120が理論上の限度である)、好適には1~48であってもよい。pは好適には1~30の値(好適には整数)であってもよく、好適には2~24、より好適には2~8、好適には4~6であってもよい。最も好適には、pは偶数(特に2、4または6)である。
【0154】
lは任意の好適な値(0を含む)を有することができ、好適には0または0でない整数、最も好適には0でない整数である。lは好適には0~10、好適には0~2、より好適には0または1、最も好適には1の値(好適には整数)であり得る。
【0155】
一次金属錯体(例えばPMC)および/またはリンカー構成成分(例えばLINK)は、中性であるか、または荷電(正または負のいずれかに)されていてもよい。両者が存在する場合、一次金属錯体およびリンカー構成成分の両方が荷電されてもよく、いくつかの実施形態では、それぞれは反対の極性の電荷を有してもよい(すなわち、一方が負に帯電し、他方が正に帯電し、それによって、それらの間の供与/共有相互作用に加えて潜在的に互いに静電的に会合する)。一次金属錯体(複数可)がリンカー構成成分(複数可)に対して反対の極性の電荷を有する場合、散乱防止化合物内のこれらの種の全電荷は0であり得る(すなわち、電荷は相互に中和して式Aの化合物または単位が正味電荷を有さないことになり得る)。あるいは、散乱防止化合物は、特にハイブリッド錯体が正味電荷を有する場合(すなわち、非中性である場合)、好適には本明細書で定義される、好適にはハイブリッド錯体に会合された1つ以上の対イオン(例えば、C、C、…、C)(ならびに/または一次金属錯体もしくは/およびリンカー構成成分のいずれかまたは両方と会合している)をハイブリッド錯塩の一部として含んでもよい。そのようなものとして、散乱防止化合物は、式Cのハイブリッド錯塩によって定義される単位によって定義され得るか、またはこれらを含んでもよい:
(C i1 i2…C ic)(PMC)(LINK)
式中、PMCは、好適には、本明細書で定義される一次金属錯体であり、pは、式CにおけるPMCの相対化学量論量であるか、またはpは、式Cの1モル当たりのPMCのモル数であり、
式中、LINKは好適には本明細書で定義されるリンカー構成成分であり、lは式CのLINKの相対化学量論量であるか、またはlは式Cの1モル当たりのLINKのモル数である。
は第1の対イオンであり、Cは第2の対イオンであり、Cは本明細書で適切に定義されc番目の対イオンであり、i1、i2、およびicは、式CのC、C、…、およびCそれぞれの相対的なそれぞれの化学量論量であるか、またはi1、i2、およびicは、式Cの1モル当たりのC、C、…、およびCの各々のそれぞれのモル数である。
【0156】
pは任意の好適な値を有することができ、好ましくは0でない整数である。pは好適には1~120の値(好適には整数)であってもよく(120が理論上の限度である)、好適には1~48である。pは好適には1~30の値(好適には整数)であってもよく、好適には2~24、より好適には2~8、好適には4~6である。最も好適には、pは偶数(特に2、4または6)である。
【0157】
lは任意の好適な値(0を含む)を有することができ、好適には0または0でない整数、最も好適には0でない整数である。lは好適には0~10、好適には0~2、より好適には0または1、最も好適には1の値(好適には整数)であり得る。
【0158】
ハイブリッド錯体(またはその塩)内の一次金属錯体およびリンカー構成成分のいずれかまたは両方は、それぞれ、対イオンのいずれかとそれぞれ独立して会合し得、かつ/または対イオンは、全体としてハイブリッド錯体と会合し得る。
【0159】
好適には、ハイブリッド錯塩は全体的に中性である。
【0160】
散乱防止剤は、一次金属錯体に関して本明細書で定義される1つ以上の対イオンおよび/または1つ以上のリンカー構成成分と任意に会合した1つ以上の追加の金属錯体(AMC)(またはその塩(複数可))を含んでもよい。任意の追加の金属錯体(複数可)は、(例えば、金属種および/または配位子、またはそれらの相対化学量論的な点で)一次金属錯体とは異なる。しかし、一次金属錯体とは異なるが、追加の金属錯体(複数可)のいずれか、いくつか、または全てが、任意の一次金属錯体に関して本明細書に記載されるように定義され得る。そのようなものとして、任意の追加の金属錯体(複数可)は、好適には全ての金属種が二価であるか、または金属部位が異なる酸化状態にある、多金属ケージなどの金属ケージであってもよい。この多金属ケージは、ホモ金属であってもよい。しかし、AMCの金属ケージは、一次金属錯体に関して本明細書で定義されるもののいずれかとしてもよい。1つ以上の追加の金属錯体(複数可)が一次金属錯体に加えて存在する場合、好適には追加の金属錯体(複数可)の少なくとも1つ、好ましくは2つの金属種は、一次金属錯体のこれらの金属種とは異なる。
【0161】
したがって、散乱防止剤は、式Dのハイブリッド錯体またはハイブリッド錯塩によって定義されてもよいか、またはそれによって定義される単位を含むことができる:
(C i1 i2…C ic)(PMC)p-a(AMC)(LINK)
式中、PMCは、好適には、本明細書で定義される一次金属錯体であり、p-aは、式DにおけるPMCの相対化学量論量であるか、またはp-aは、式Dの1モル当たりのPMCのモル数であり、
式中、AMCは、(任意により、AMC(複数可)がPMCと異なる限り、PMCと同じ方法で)好適には本明細書で定義される1つ以上の追加の金属錯体(複数可)であり、aは式DのAMCの相対化学量論量であるか、またはaは式Dの1モル当たりのAMCのモル数であり、
式中、LINKは好適には本明細書で定義されるリンカー構成成分であり、lは式CのLINKの相対化学量論量であるか、またはlは式Cの1モル当たりのLINKのモル数である。
は第1の対イオンであり、Cは第2の対イオンであり、Cは本明細書で適切に定義されc番目の対イオンであり、i1、i2、およびicは、式CのC、C、…、およびCそれぞれの相対的なそれぞれの化学量論量であるか、またはi1、i2、およびicは、式Cの1モル当たりのC、C、…、およびCの各々のそれぞれのモル数である。
【0162】
pは任意の好適な値を有することができ、好ましくは0でない整数である。pは好適には1~120の値(好適には整数)であってもよく(120が理論上の限度である)、好適には1~48である。pは好適には1~30の値(好適には整数)であってもよく、好適には2~24、より好適には2~8、好適には4~6である。最も好適には、pは偶数(特に2、4または6)である。
【0163】
aは、任意の好適な値を有することができ、0または0でない整数であることが好ましい。aは、好適には、1~30、好適には2~24、より好適には2~8、好適には4~6の値(好適には整数)であってもよい。最も好適には、aは偶数(特に2、4または6)である。しかし、好適にはp-aは0より大きい。
【0164】
lは任意の好適な値(0を含む)を有することができ、好適には0または0でない整数、最も好適には0でない整数である。lは好適には0~10、好適には0~2、より好適には0または1、最も好適には1の値(好適には整数)であり得る。
【0165】
任意により、式Dのハイブリッド錯体は、対イオンを含まなくてもよい。すなわち、i1、i2、…、icの全てが0である。
【0166】
好適には、散乱防止剤は、一次金属錯体を含むが、任意の追加の金属錯体(複数可)を(実質的に)含まない。しかし、追加の金属錯体(複数可)が存在する場合、それらは一次金属錯体の一部分の代替物とみなされてもよく、パラメータおよび値は、任意により追加の金属錯体(複数可)が実際に置換された一次金属錯体であるように、本明細書に定義されたとおりであってもよい。
【0167】
散乱防止化合物の金属塩および/または錯体への言及は、一般に、このような塩/錯体の事前に混合された(すなわち、レジスト組成物の他の構成成分と混合する前に)形態(すなわち、カチオン-アニオン会合)に関し、また、好適には、それらの事前にコーティングされた、事前に硬化された、事前に暴露された、事前にベークされた、事前に現像された形態に関する。当業者であれば、レジスト組成物の他の構成成分と混合する際(ならびに/またはコーティング、硬化、暴露、ベーキングおよび/もしくは現像した後)に、散乱防止化合物の金属塩および/もしくは錯体の関連するカチオン、アニオンおよび配位子は、いくつかの実施形態では(ただし全てではないが)解離してもよく、可能であれば他の対イオンおよび/または配位子と会合することができることは理解するであろう。したがって、レジスト組成物(または実際にそれらのコーティングされた、または硬化された、暴露された、または現像された製品)への言及は、好適には、散乱防止化合物をレジスト組成物の他の成分と混合することにより「形成された」(または由来する)レジスト組成物(またはそれらのコーティング、または硬化、暴露、または現像されたもの)を指す。標準技術を用いて、レジスト組成物またはそれらのコーティング、硬化、暴露、ベークまたは現像されたものからの散乱防止化合物に関する投入を決定することは、当業者にとっては簡単である。
【0168】
好適には、散乱防止化合物の金属塩および/または錯体は、2つ以上の金属種を含む。
【0169】
散乱防止化合物は、好適には、任意の希釈剤(複数可)もしくは溶媒(複数可)、またはレジスト組成物の希釈剤/溶媒系に可溶である。(すなわち、コーティング溶媒系に可溶であり、これらは事前にコーティングされたレジスト組成物内で希釈剤/溶媒であるとみなされ得る)。好適には、標準的な周囲温度および圧力(SATP)において、散乱防止化合物は、コーティング溶媒系中において少なくとも1mg/g、好適には少なくとも2mg/g、好適には少なくとも10mg/g、好適には少なくとも20mg/gの溶解性を有する。好適には、これらの溶解性の限界が適用される問題になっているコーティング溶媒系は、(1~10C)ヒドロカルビル溶媒系、最も好ましくはヘキサンを含むか、または本質的にそれらからなる。
【0170】
散乱防止化合物は、好適には、所定の現像媒体(特にレジスト組成物がネガティブ型レジスト組成物である場合)の任意の希釈剤(複数可)もしくは溶媒(複数可)または希釈系/溶媒系に可溶である。好適には、標準的な周囲温度および圧力(SATP)において、散乱防止化合物は、現像媒体中において少なくとも1mg/g、好適には少なくとも2mg/g、好適には少なくとも10mg/g、好適には少なくとも20mg/gの溶解性を有する。好適には、これらの溶解性の限界が適用される問題になっている現像媒体は、(1~10C)ヒドロカルビル溶媒系、最も好ましくはヘキサンを含むか、または本質的にそれらからなる。
【0171】
最も好適には、散乱防止剤は、コーティング溶媒系および所定の現像媒体の両方に、好適には本明細書で定義された少なくとも限界内で可溶性である。
【0172】
好適には、散乱防止構成成分/化合物は、レジスト構成成分(すなわち、二重機能を果たす)であり、かつ/またはレジスト構成成分、好適には1つ以上のレジスト構成成分を含む。好適には、このようなレジスト構成成分(複数可)は、(例えば、ポジティブ型レジストにより)断片化可能であるか、または(例えば、ネガティブ型レジストにより)架橋可能である。好適には、レジスト構成成分(複数可)は、1つ以上の一次金属錯体と会合しているか、またはその一部分である。レジスト構成成分(複数可)であるかまたはそれらを含む散乱防止構成成分は、散乱防止-レジストハイブリッド構成成分と呼ばれることもある。
【0173】
一次金属錯体(および/または追加の金属錯体)
散乱防止化合物は、好適には一次金属錯体を含む。いくつかの実施形態では、散乱防止化合物は、一次金属錯体(および任意により1つ以上の対イオン)からなるか、または本質的にそれらからなることができる。好適には、一次金属錯体は、金属ケージ、好適には(直接的な)金属-金属結合を有さない金属ケージである。
【0174】
一次金属錯体は、好適には、少なくとも2種類の金属イオンを含み、少なくとも2種類の金属イオンは、同じ金属または異なる金属を含む。金属イオンが同じ金属に基づいている場合、好適にはそれぞれの金属イオンは異なる酸化状態を有する。
【0175】
一次金属錯体は、好適には、多金属錯体である。一次金属錯体は、好適には、1つ以上の橋架け配位子を介して相互連結された(すなわち直接金属-金属結合とは区別された)複数の少なくとも1種類の金属イオンを含む多金属性金属ケージ錯体である。任意の好適な橋架け配位子を使用することができるが、一般に単座(例えばフルオロ)または二座(例えばカルボキシレート)配位子であってもよい。
【0176】
多金属錯体は、ホモ金属であってもよい(例えば、同一の酸化状態であるか否かに関わらず、同じ元素から誘導された金属種からなるが、最も好適には、ホモ金属PMCの全ての金属種が同じ酸化状態であり、好適には金属(III)である)。あるいは、最も好適には、多金属錯体は、ヘテロ金属である(例えば、同じ酸化状態であるか否かにかかわらず、異なる金属元素に由来する金属種からなるが、最も好適には、ヘテロ金属PMCの関連する金属種は、異なる酸化状態であり、最も好適には金属(II)および金属(III)である。
【0177】
一次金属錯体は、好適には1つ以上の金属種を含み、その各々は、好適にはM、M、...、M(以下を参照されたい)のそれぞれを表し得る。このように、一次金属化合物は、好適には、少なくとも1つの金属種Mを含む。好適には、PMC内に唯一の金属種Mが存在する場合、金属種はIII(すなわち、+3)の酸化状態を有する(ただし、AMCについては、好ましくはII(+2))。特定の実施形態では、一次金属錯体は唯一の金属種としてCr(III)を含み、最も好適には各錯体はそれぞれ8個のCr(III)単位を含む。
【0178】
好適には、一次金属錯体は、2つ以上の(異なる/異なる種類の)金属種を含み、好適にはその各々がM、M、...、Mと表され得る。このように、好適には、一次金属錯体は、金属種M、金属種M、および任意により1つ以上の追加の金属種(例えば、M、…、M)を含む。好適には、一次金属錯体の2つ以上の(異なる)金属種(好適には少なくともMおよびM)は、2つ以上の(異なる)金属イオンである。MおよびMは、好適には同じ金属元素から誘導され、異なる原子価を有するか、または好適には異なる金属元素から誘導され、かつ同一または異なる原子価を有する。好適には、2つ以上の(異なる)金属イオン(好適には少なくともMおよびM)は異なる酸化状態、好適には、1つずつ異なる酸化状態を有し、最も好適には、金属イオンのうちの一方(好適にはM)が三価(すなわち、III、または+3の酸化状態)であり、金属イオンの他方(好適にはM)が二価である(すなわち、II、または+2の酸化状態)。2つ以上の金属種が存在する場合、両方または全てが同じ金属元素から誘導され得るが、異なる酸化状態であってもよい。これは、例えば、Fe(II)およびFe(III)種の両方を有するPMCを含んでもよい。
【0179】
好適には、2つ以上の(異なる)金属種(好適には少なくともMおよびM)は、2つ以上の異なる金属から誘導される。このように、好適には、散乱防止化合物は、ヘテロ金属性多金属化合物(すなわち、2つ以上の異なる金属種を含む)である。好適には、2つ以上の(異なる)金属種(またはMおよびMのうちの少なくとも1つ)の少なくとも1つは遷移金属(d-ブロック)種であり、より好適には2つ以上の(異なる)金属種(またはMおよびMの両方)のうちの少なくとも2つは遷移金属(d-ブロック)種である。一実施形態では、MおよびMは両方とも、一次金属錯体が遷移金属錯体であるような遷移金属イオンである。好適には、2つ以上の(異なる)金属種のうちの少なくとも1つ(またはMおよびMのうちの少なくとも1つ)は、周期律表の3d-ブロックの遷移金属種であり、より好適には、2つ以上の(異なる)金属種のうちの少なくとも2つ(またはMおよびMの両方)は、周期律表の3d-ブロックの遷移金属種である。
【0180】
好適には、2つ以上の(異なる)金属種のうちの少なくとも1つ(またはMおよびMのうちの少なくとも1つ、最も好適にはM)は、好適にはCrIII、FeIII、VIII、GaIII、AlIIIまたはInIIIを含む群から選択される三価の金属種であるが、最も好適には、三価の金属種(好適にはM)はCrIIIである。好適には、2つ以上の(異なる)金属種のうちの少なくとも1つ(またはMおよびMの少なくとも1つであり、最も好適にはM)(好ましくは、前述の三価の金属種以外の1つ)は、二価の金属種であり、好適には、NiII、CoII、ZnII、CdII、MnII、MgII、CaII、SrII、BaII、CuIIまたはFeIIを含む群から選択されるが、最も好適には、二価の金属種(好適にはM)は、NiIIである。
【0181】
特定の実施形態では、一次金属錯体(したがって、散乱防止化合物)は、少なくとも1つの三価の金属種(好適にはCrIII、FeIII、VIII、GaIII、AlIIIまたはInIIIを含む群から好適に選択され、最も好適にはCrIIIであるM)、および少なくとも1つの二価の金属種(好適にはNiII、CoII、ZnII、CdII、MnII、MgII、CaII、SrII、BaII、CuIIまたはFeIIを含む群から好適に選択され、最も好適にはNiIIであるM)を含む。
【0182】
好適には、一次金属錯体は、一次金属錯体1モル当たり2モル以上の金属種(すなわち、組み合わされたもの)を含み(例えば、Mおよび/またはMの2モル以上、好適には、MおよびMを組み合わせたものの2モル以上を含み、例えば[M ]であり、式中、x+y≧2である)、好適には、一次金属錯体1モル当たり3モル以上の金属種、好適には、一次金属錯体1モル当たり4モル以上、好適には5モル以上、好適には6モル以上、好適には7モル以上、最も好適には約8モルの金属種を含む。好適には、一次金属錯体は、一次金属錯体1モル当たり、12モル以下の金属種、好適には10モル以下の金属種(すなわち、組み合わされたもの)を含む。
【0183】
好適には、一次金属錯体(複数可)の金属種のうちの少なくとも1つ、好適にはその2つ以上の金属種は、磁性、好適には常磁性である。
【0184】
好適には、一次金属錯体は、二価の金属種(例えば、M)よりも多くの(好適にはモル比または化学量論比による)好適には少なくとも2倍以上、好適には少なくとも3倍以上、好適には少なくとも4倍以上、好適には少なくとも7倍以上の三価の金属種(例えばM)を含む。好適には、一次金属錯体内のM(好適には三価)対M(好適には二価)のモル比は、12:1~1:1、好適には10:1~2:1、好適には9:1~3:1、より好適には8:1~6:1、最も好適には約7:1である。
【0185】
好適には、散乱防止構成成分/化合物は、1つ以上の一次金属錯体を含み(特に、レジスト構成成分を含むかまたはそれと会合している散乱防止化合物の一部分の場合)、
-1つ以上の一次金属錯体は、1つ以上の相互連結基(これは、好適にはレジスト構成成分またはその一部分を示し得る)によって相互接続される(または架橋される)。このような構成は、特に、ポジティブ型散乱防止-レジストハイブリッド構成成分を含むポジティブ型レジスト組成物に適しており、
-一次金属錯体(複数可)は、1つ以上の架橋可能部分または重合可能部分(これは好適にはレジスト構成成分またはその一部分を表し得る)を含み、このような構成は、特に、ネガティブ型散乱防止-レジストハイブリッド構成成分を含むネガティブ型レジスト組成物に適している。
【0186】
レジスト組成物が散乱防止-レジストハイブリッド構成成分を含む場合、好適には、散乱防止-レジストハイブリッドは、散乱防止構成成分とレジスト構成成分との二重機能を果たすが、レジスト構成成分は、照射暴露によって引き起こされる変換を受ける散乱防止構成成分の一部分を単離させ得る。好適には、ネガティブ型散乱防止-レジストハイブリッド構成成分は、好適には照射暴露時に架橋を受けやすい(それによって、好適には、複数のネガティブ型散乱防止-レジストハイブリッド構成成分、特にそれらの一次金属錯体が互いに架橋するようになる)。好適には、ポジティブ型散乱防止-レジストハイブリッド構成成分は、好適には、照射暴露時に、断片化を受けやすい(それによって、好適には、ポジティブ型散乱防止-レジストハイブリッド構成成分の関連するレジスト構成成分部分が複数の一次金属錯体を放出するように切断される)。
【0187】
最も好適には、レジスト組成物はネガティブ型散乱防止-レジストハイブリッド構成成分を含み、散乱防止-レジストハイブリッド構成成分は、(好適には、会合されているか、または例えば、供与結合によって結合されている)1つ以上のレジスト構成成分を含む一次金属錯体を含む。このように、レジスト構成成分(複数可)は、対応する一次金属錯体(複数可)に対する配位子(複数可)であってもよい。
【0188】
好適には(特に、散乱防止構成成分/化合物と会合する場合)、レジスト構成成分(複数可)は、1つ以上のπ系を含む。好適には、レジスト構成成分(複数可)は、π系を含む1つ以上の有機(すなわち炭素含有)部分を含む。好適には、一次金属錯体は、このようなレジスト構成成分(複数可)を含む。好適なπ系は、例えば以下を含むことができる:
-炭素-炭素二重結合または三重結合を特徴とするπ系、
-炭素-ヘテロ原子の二重結合または三重結合、
-芳香族またはヘテロ芳香族環系、
-炭素および任意によりヘテロ原子(複数可)を含む共役π系。
【0189】
好適には、このようなπ系(複数可)は、好適には、複数の一次金属錯体単位にわたって、一緒に相互連結(または架橋)させることができるか、または相互連結(または架橋)を引き起こすことができ、これにより一次金属錯体単位間の重合および/または架橋の形態を実現できるようになる。好適には、一次金属錯体単位間のこのような架橋は、照射暴露(好適には本明細書に記載のように)またはレジスト組成物/コーティングの照射暴露から生じる化学種(例えば、光酸、例えばトリフリック酸)によって誘導され得る。最も好適には、このような架橋は、照射暴露(例えば、光分解反応による)によって直接引き起こされる。このような架橋化学の概略例を以下のスキーム1に示す。
【化1】
スキーム1-2つの隣接する散乱防止-レジストハイブリッド構成成分のπ系間の架橋化学反応の概略図
【0190】
好適には、散乱防止-レジストハイブリッド構成成分の一次金属錯体(複数可)に会合するか、または結合する(好ましくは、供与結合を介して)1つ以上の配位子は、レジスト構成成分(複数可)であるか、またはそれ(ら)を含む。このような配位子は、「レジスト配位子」と呼ばれ得る。したがって、好適には、レジスト配位子は、架橋可能な原子または基(例えば、π系)および配位供与原子または基を含む。1つ以上のこのようなレジスト配位子(複数可)は、散乱防止化合物に関連して、またはそれに加えて、本明細書で定義される任意の他のいずれかの配位子の代わりに、一次金属錯体内に組み込まれてもよい。例えば、一次金属錯体は、レジスト配位子(複数可)と本明細書の他の箇所に記載されている他の配位子(例えば、アルカン酸塩などの非レジスト配位子)との混合物を含んでもよい。
【0191】
好適には、供与原子または基は、孤立電子対担持ヘテロ原子(例えば、好適には窒素および/または酸素原子)、好適には2つ以上の孤立電子対担持ヘテロ原子を含む(これにより供与原子または基を介して配位子の多座が促進される)。例えば、レジスト配位子は、カルボキシレート、カルボン酸エステルまたはカルボン酸基を含むことができ、これは、その各々が一次金属錯体の金属中心と配位可能な孤立電子対を担持する2つの酸素原子を含む。
【0192】
好適には、架橋可能な原子または基は、π系、好適には、末端π系、最も好適には末端アルケン基を含む。例えば、レジスト配位子は、末端アルケン基を含むことができる。
【0193】
好適には、特に、一次金属錯体が多金属性金属ケージまたは他の多金属種である場合、レジスト配位子のうちの少なくとも1つ以上(好適には全て)が、対応する一次金属錯体内で外部的に配位される(すなわち、内側部分の反対側であるケージの外側部分またはケージ内の隙間に存在する)。配位子をこのように並置することは、そうでなければ金属ケージ構造内に存在するレジスト配位子のために妨げられる可能性のある架橋化学反応を促進する。
【0194】
特に好適なレジスト配位子は、任意的に置換されていてもよい:アルケノエート、アルケン酸、アルケン酸エステル、アルケン酸アミド、アルキノエート、アルキン酸、アルキン酸エステル、アルキン酸アミド、またはこれらの混合物からなる群から独立して選択され得る。特定の実施形態では、レジスト配位子(複数可)は、(任意的に置換されていてもよい)アルケノエート、アルケン酸、アルケン酸エステル、アルケン酸アミド、またはこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、レジスト配位子(複数可)は、(任意的に置換されていてもよい)(2~20C)アルケノエート、(2~20C)アルケン酸、(2~20C)アルケン酸エステル、(2~20C)アルケン酸アミド、またはこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、レジスト配位子(複数可)は、(任意的に置換されていてもよい)(2~12C)アルケノエート、(2~12C)アルケン酸、(2~12C)アルケン酸エステル、(2~12C)アルケン酸アミド、またはこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、レジスト配位子(複数可)は、(任意的に置換されていてもよい)(2~6C)アルケノエート、(2~6C)アルケン酸、(2~6C)アルケン酸エステル、(2~6C)アルケン酸アミド、またはこれらの混合物からなる群から選択される。好適には、前述のいずれかのあらゆる任意の置換基は、(関連する条件下で)一次金属錯体内の配位または架橋のいずれをも妨げるものではない。好適には、前述の基のいずれかまたは全ては、少なくとも1つの末端アルケンまたはアルキン部分を含む。
【0195】
特定の実施形態では、レジスト配位子(複数可)は、1つ以上の孤立電子対担持ヘテロ原子(例えば、Nおよび/またはO)、および1つ以上の末端アルケン基を含む。特定の実施形態では、レジスト配位子(複数可)は、任意により1個以上のヘテロ原子で置換された(2~20C)アルケンを含む。
【0196】
特定の実施形態では、レジスト配位子(複数可)は、2-メチル-4-ペンテン酸、ジ-アリルアミン、N,Nメチレンビスアクリルアミド(bis-AMD)、またはペンタエリスリトール(pentraerythritol)テトラアクリレートからなる群から選択される。
【0197】
一次金属錯体は、好適には1~16個のレジスト配位子(またはレジスト構成成分)、好適には2~12個、好適には4~10個を含む。好適には、一次金属錯体は、1~16個のアルケン基(好適には架橋可能なアルケン基)、好適には2~12個、好適には4~10個を含む。
【0198】
一次金属錯体は、好適には1つ以上の配位子、好適には一次金属錯体の金属種(例えば、Mおよび/またはM)のうちの1つ、それ以上、または全て(または両方)に配位した1つ以上の配位子を含む。好適には、一次金属錯体は、一次金属錯体内の全ての金属種(好適には間接的に、好適には供与結合を介して)を一緒に結合させるのに十分な種類および十分な数の配位子(配位子の混合物を含む)を含み、好適には金属ケージを形成し、好適にはいかなる金属-金属結合も伴わない。このようなものとして、一次金属錯体は、好適には、2つ以上の金属種の間に橋架けを提供することができる、1つ以上の橋架け配位子を好適に含み、このような橋架け配位子は、二座などの多座であってもよいが、フルオロまたは酸素ベースの配位子などの電子が2つ以上の孤立電子対を供与することができる単座であってもよい。最も好適には、一次金属錯体は、2つ以上の異なる種類の配位子の混合物を含み、好適には、その種類の配位子の一方は二座であり、他方は単座である。最も好適には、一次金属錯体内の配位子の全ては、2つ以上の孤立電子対を供与できる配位原子を有する。好適には、一次金属錯体は、十分な種類および数の配位子を含み(フルオロなどの単座配位子とカルボキシレートなどの二座配位子との混合物であってもよい)、錯体内の個々の金属種当たり少なくとも平均3個の供与結合(例えば、錯体内の個々のMおよびM種はそれぞれ、錯体に会合する配位子と少なくとも平均3つの供与結合を形成する)、好適には少なくとも4つの供与結合、最も好適には約6の供与結合が得られる。好適には、全ての金属種の配位部位は、(例えば、特に一次金属錯体が全体の散乱防止化合物内のルイス基として機能することが意図される場合)錯体内の配位子によって完全に充填/飽和されてもよく、または(例えば、特に一次金属錯体が全体の散乱防止化合物内のルイス酸として機能することが意図される場合)金属種の中の1つ以上の空の配位部位であってもよい。
【0199】
好適には、少なくともいくつかの、好適には全ての配位子が負に荷電しており、最も好適には単一の負電荷を担持する。好適には、一次金属錯体の配位子(複数可)の共役酸は、(標準周囲温度および圧力での水中において)2以上、好適には3以上のpKa値を有する。
【0200】
好適には、一次金属錯体の配位子(複数可)は、単座配位子、二座配位子、またはこれらの混合物(複数可)から選択される。最も好適には、一次金属錯体の配位子(複数可)は、単座配位子と二座配位子との混合物を含む。
【0201】
単座配位子(複数可)は、好適には、2つ以上の孤立電子対、最も好適にはフッ化物を担持する配位原子(複数可)(それに対して供与結合が金属種で形成される原子および/またはそれから供与結合が形成される原子)を有する。
【0202】
二座配位子は、好適には、2つ以上の孤立電子対を担持する少なくとも1つ、より好適には2つの配位原子、最も好適にはカルボキシレート(例えば、任意的に置換されていてもよい有機カルボキシレート、例えば、アセテート、ピバレート、3,3-ジメチルブタノエート、ベンゾエート、4-tert-ブチルベンゾエート、イソニコチネートなど任意的に置換されていてもよいヒドロカルビルカルボキシレートなど)を有する。いくつかの実施形態(特に、一次金属錯体がルイス塩基として機能することが意図される場合)では、一次金属錯体の配位子は、少なくとも2つの異なる種類の二座配位子(例えば第1および第2の二座配位子を含む)またはカルボキシレート配位子を含む。このような実施形態では、好適には、二座配位子のうちの少なくとも1つ(例えば、第2の配位子)は、一次金属錯体内に金属種との内部供与結合(複数可)を形成することができる配位原子(複数可)と、別の(異なる)錯体またはケージの金属種との外部供与結合を形成することができる1つ以上の追加の配位原子を含む。好適には、このような二官能性配位子(例えば、第2の二座配位子)は、カルボキシレート基および追加の酸素または窒素含有部分、好ましくは窒素含有部分を含み得、その例としてはイソニコチネートおよび4-アミノベンゾエートが挙げられる。しかし、いくつかの実施形態(特に、一次金属錯体がルイス酸として機能することが意図される場合)では、一次金属錯体の配位子は、別の(異なる)錯体またはケージの金属種との外部供与結合を形成することができるいずれの追加の配位原子も含まず、また、好適には、1つのタイプの二座配位子またはカルボキシレート配位子を含み得る。
【0203】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式Iによって定義されるか、または式Iによって定義される単位を含む:
[M y… zn(monoLIGm1(monoLIGm2…(monoLIGmq(biLIGb1(biLIGb2…(biLIGbr(optLIG)(optLIGo1(optLIGo2…(optLIGos];
または
以下のものを含む、本質的になる、または以下のものを一緒に混合すること、反応させること、もしくは他の方法で組み合わせることによって形成されると定義される(一次金属錯体の各モル当たり):
-xモルの第1の金属種(M)、
-yモルの第2の金属種(M)、
-任意によりznモルの各追加のn番目の金属種(M)、
-m1モルの第1の単座配位子(monoLIG)、
-任意によりm2モルの第2の単座配位子(monoLIG)、
-任意によりmqモルのそれぞれの追加のq番目の単座配位子(monoLIG)、
-b1モルの第1の二座配位子(biLIG)、
-任意によりb2モルの第2の二座配位子(biLIG)、
-任意によりbrモルの各追加のr番目の二座配位子(biLIG)、
-o1モルの第1の任意の余剰/末端配位子(optLIG)、
-o2モルの第2の任意の余剰/末端配位子(optLIG)、
-osモルのそれぞれの追加の任意の第s番目の余剰/末端配位子(optLIG)、
式中:
は好適には本明細書で定義される第1の金属種(最も好適には三価の金属イオン、例えばCr3+)であり、
は、好適には本明細書で定義される第2の金属種(最も好適には二価の金属イオン、例えばNi2+)であり、
は、好適には本明細書で定義されるn番目の金属種であり(最も好適には存在しない)、
monoLIGは、好適には本明細書で定義される第1の単座配位子(最も好適にはその共役酸がpKa≧2を有するモノアニオン、好適にはフッ化物)であり、
monoLIGは、好適には本明細書で定義される(最も好適には存在しない)第2の単座配位子であり、
monoLIGは、好適には本明細書で定義される(最も好適には存在しない)q番目の単座配位子であり、
biLIGは、好適には、本明細書で定義される第1の二座配位子(最も好適にはカルボキシエート(carboxyate)であり、好適には、いずれの追加のヘテロ原子も存在しない)であり、
biLIGは、好適には本明細書で定義される第2の二座配位子(最も好適には存在しないか、または追加の酸素または窒素含有部分、最も好ましくは追加の窒素含有部分を担持するカルボキシレート)であり、
biLIGは、好適には本明細書で定義される(最も好適には存在しない)r番目の二座配位子であり、
optLIGは、好適には本明細書で定義される(最も好適には存在しないか、またはd=6のN-メチル-D-グルカミンなどの配座数dの多座配位子であり、溶媒、またはカルボン酸である)第1の任意の余剰な配位子(好適には配座数dを有する)であり、
optLIGは、好適には本明細書で定義される(最も好適には存在しないか、または溶媒またはカルボン酸である)第2の任意の余剰/末端配位子であり、
optLIGは、好適には本明細書で定義される(最も好適には存在しないか、または溶媒またはカルボン酸である)s番目の任意の余剰/末端配位子である。
【0204】
最も好適には、x、y、zn、m1、m2、mq、b1、b2、br、o1、o2、osは、0であるか、または整数であるが、いくつかの例では、これらのうちのいずれか、いくつか、または全てが0と1との中間値または任意の2つの整数の間の中間値を有し得る。
【0205】
好適には、xは、1~16の数(最も好適には整数)、好適には4~10、より好適には2~8、好適には7である。
【0206】
好適には、yは、0~15の数(最も好適には整数)、好適には0~7であり、好適には0~2、好適には0または1、最も好適には1である。
【0207】
znは、好適には0~14、好適には0~6、好適には0~2、好適には0の数(最も好適には整数)である。
【0208】
m1は、好適には0~40の数(最も好適には整数)であり、好適には0~20または0~10、好適には1~20、好適には2~12、好適には4~10、好適には8である。
【0209】
m2は、好適には0~39の数(最も好適には整数)であり、好適には0~18、好適には0~10、好適には0~2、好適には0である。
【0210】
mqは、好適には0~38の数(最も好適には整数)であり、好適には0~17、好適には0~9、好適には0~2、好適には0である。
【0211】
b1は、好適には0~20の数(最も好適には整数)であり、好適には1~20、好適には1~16、好適には12~16、好適には12~15、好適には15または16である。
【0212】
b2は、好適には0~20の数(最も好適には整数)であり、好適には0~16、好適には0~8、好適には0~3、好適には1~4、好適には0または1である。
【0213】
brは、好適には0~19の数(最も好適には整数)であり、好適には0~15、好適には0~7、好適には0~2、好適には0である。
【0214】
好適には、o1は、0~8の数(最も好適には整数)、好適には0~4、好適には0または1、最も好適には0である。
【0215】
好適には、o2は、0~7の数(最も好適には整数)、好適には0~3、好適には0または1、最も好適には0である。
【0216】
好適には、osは、0~6の数(最も好適には整数)、好適には0~2、好適には0または1、最も好適には0である。
【0217】
一実施形態では、一次金属錯体は、式Iによって定義されるか、または式Iによって定義される単位を含む:
[M y… zn(monoLIGm1(monoLIGm2…(monoLIGmq(biLIGb1(biLIGb2…(biLIGbr(optLIG)(optLIGo1(optLIGo2…(optLIGos];
式中:
は第1の金属種であり、xは一次金属錯体1モル当たりのMのモル数であり、xは1~16の数であり、
は第2の金属種であり、yは一次金属錯体1モル当たりのMのモル数であり、yは0~7の数であり、
はn番目の金属種であり、znは一次金属錯体1モル当たりの各Mのモル数であり、znは0~6の数であり、好適には0~2であり、好適には0である。
monoLIGは第1の単座配位子であり、m1は一次金属錯体1モル当たりのmonoLIGのモル数であり、m1は0~20の数であり、
monoLIGは第2の単座配位子であり、m2は一次金属錯体1モル当たりのmonoLIGのモル数であり、m2は0~10の数であり、
monoLIGはq番目の単座配位子であり、mqは一次金属錯体1モル当たりの各monoLIGのモル数であり、mqは0~2の数であり、
biLIGは第1の二座配位子であり、b1は一次金属錯体1モル当たりのbiLIGのモル数であり、b1は1~20の数であり、
biLIGは第2の二座配位子であり、b2は一次金属錯体1モル当たりのbiLIGのモル数であり、b2は0~16の数であり、
biLIGはr番目の二座配位子であり、brは一次金属錯体1モル当たりの各追加のbiLIGのモル数であり、brは0~2の数であり、
optLIGは第1の任意の余剰の配位子であり、o1は一次金属錯体1モル当たりのoptLIGのモル数であり、o1は0~4の数であり、
optLIGは、第2の任意の余剰/末端配位子であり、o2は、一次金属錯体1モル当たりのoptLIGのモル数であり、o2は0~3の数であり、
optLIGは、s番目の任意の余剰/末端配位子であり、osは、一次金属錯体1モル当たりの各追加の任意のoptLIGのモル数であり、osは0~2の数である。
【0218】
一実施形態では、一次金属錯体は、式Iaによって定義されるか、または式Iによって定義される単位を含む:
[M (monoLIGm1(biLIGb1(biLIGb2];
式中:
は第1の金属種であり、xは一次金属錯体1モル当たりのMのモル数であり、xは4~10の数であり、
は第2の金属種であり、yは一次金属錯体1モル当たりのMのモル数であり、yは0~2の数であり、
monoLIGは第1の単座配位子であり、m1は一次金属錯体1モル当たりのmonoLIGのモル数であり、m1は4~10の数であり、
biLIGは第1の二座配位子であり、b1は一次金属錯体1モル当たりのbiLIGのモル数であり、b1は12~16の数であり、
biLIGは第2の二座配位子であり、b2は一次金属錯体1モル当たりのbiLIGのモル数であり、b2は0~3の数である。
【0219】
好適には、xとyの合計は少なくとも2、より好適には少なくとも3、好適には少なくとも4、好適には少なくとも5、好適には少なくとも6、好適には少なくとも7、好適には約8である。好適には、xとyの合計は多くとも16、好適には多くとも12、好適には多くとも10である。好適には、xは少なくとも4であり、好適には少なくとも6であり、好適には多くとも10であり、最も好適には約7である。特定の実施形態では、yは0である(すなわち、第2の金属種が全くない)が、好ましくはyは0ではなく、好適には少なくとも1であり、最も好適には約1である。最も好適には、xは7+/-δ(すなわち、δは多くともxの10%、好適には多くともxの1%)であり、yは1-/+δである。特定の実施形態では、MはCr3+であり、MはNi2+であり、xとyの合計は7~10であり、xは6~10である。特定の実施形態では、MはCr3+であり、MはNi2+であり、xは約7であり、yは約1である。
【0220】
最も好適には、一次金属錯体は、第1の金属種(M)および任意により第2の金属種(M)を超えたさらなる金属種を含まず、したがってznは0である。しかし、いくつかの例では、一次金属錯体を、例えば、少量の代替的金属種でドープして、散乱防止化合物の特性を慎重に変えてもよい。このような実施形態では、任意のまたは全てのzn値(z3+z4+…+zn)の合計は、好適にはxとyの合計未満であり、好適には少なくとも5倍少なく(すなわちx+yの合計の多くとも5倍)、好適には少なくとも10倍少なく、好適には少なくとも100倍少ない。
【0221】
好適には、
-(m1+m2…+mq)の合計(すなわち、錯体1モル当たりの単座配位子(複数可)のモルの合計)、
-2×(b1+b2+…+bq)(すなわち、錯体1モル当たりの二座配位子(複数可)のモルの合計の2倍)、
-o1×d(すなわち、錯体1モル当たりの任意の余剰な配位子(複数可)のモル数のd倍)は、
50以下、好適には42以下、好適には40以下、好適には30以上、好適には38以上、好適には約40である。
【0222】
好適には、m1、m2、…、およびmqの合計は、少なくとも1、好適には少なくとも2、好適には少なくとも3、好適には少なくとも6、好適には多くとも7、好適には多くとも16、好適には多くとも12、好適には多くとも10、最も好適には約8である。好ましい実施形態では、第1の単座配位子を超える単座配位子は存在しない(すなわち、m2およびmqは双方とも0である)。特定の実施形態では、monoLIGはフッ化物(F)である。特定の実施形態では、monoLIGはフッ化物(F)であり、m1は2~9であり、m2およびmqは全て0であり、好適にはMはCr3+であり、MはNi2+であり、xとyの合計は7~10であり、xは6~10である。特定の実施形態では、monoLIGはフッ化物(F)であり、m1は3であり、m2およびmqは全て0である(すなわち、他の単座配位子はない)。特定の実施形態では、monoLIGはフッ化物(F)であり、m1は8であり、m2およびmqは全て0である(すなわち、他の単座配位子はない)。
【0223】
好適には、b1、b2、…、およびbrの合計は、少なくとも6、好適には少なくとも10、好適には少なくとも14、好適には多くとも22、好適には多くとも20、好適には多くとも18、最も好適には約16である。いくつかの実施形態では、第1および第2の二座配位子を超える二座配位子(すなわち、brは全てが0である)は存在せず、いくつかの実施形態では、第1の二座配位子を超える二座配位子は存在しない(すなわち、b2およびbrは双方とも0である)。一実施形態では、biLIGは、式-OCRB1(またはRB1CO )によって定義されるカルボキシレートであり、RB1は好適には、ヒドロカルビル部分(好適には、塩基またはキレート基がないヒドロカルビル部分)などの基(任意により置換基)であり、好適には、(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリール、アリール(1~3C)アルキルから選択される。好適には、RB1は、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリールまたはアリール(1~3C)アルキルである。最も好適にはRB1は(1~5C)アルケニルである。一実施形態では、biLIGは、式-OCRB2(またはRB2CO )によって定義されるカルボン酸塩であり、好適には、RB2は、塩基またはキレート基(例えば、供与結合を形成するために自由に配位する孤立電子対を有する部分)を含む基であり、好適には、任意により置換されるヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1~6C)アルキル、ヘテロアリール(1~6C)アルキルから選択されるか、または(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリールまたはアリール(1~3C)アルキルから選択され、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、(1~6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニルなどの1つ以上の塩基またはキレート基によって置換される。最も好適には、RB2はピリジル、アミノフェニル、N-(1~3C)アルキルアミノフェニル、N,N-ジ(1~3C)アルキルアミノフェニル、最も好適にはピリジルであり、最も好適には4-ピリジルであり、最も好適にはbiLIGはイソニコチネートである。特定の実施形態では、biLIGは、任意的に置換されていてもよいヒドロカルビルカルボキシレート(例えば、ピバレートなどの(1~6C)アルキルカルボキシレート)であり、biLIGは、少なくとも1つの追加のヘテロ原子を担持する有機または任意的に置換されていてもよいヒドロカルビルカルボキシレート(例えば、錯体の外部の金属種をキレートするためのルイス塩基または配位子として作用できるもの、例えばイソニコチネート)であり、b1は12~20(最も好適には14~18、最も好適には15~16)であり、b2は0~4(最も好適には0または1~3)であり、好適にはMはCr3+であり、MはNi2+であり、xとyの合計は7~10であり、xは6~10であり、好適にはmonoLIGはフッ化物(F)であり、m1は2~9であり、m2およびmqは全て0である。
【0224】
好適には、o1、o2、…、およびosの合計は、0~4、好適には0~2、最も好適には0~1である。いくつかの実施形態では、第1の任意の余剰/末端配位子を超える任意の余剰/末端配位子は存在しない(すなわち、全てのo2およびosが0である)。特定の実施形態では、o1、o2、…、およびosの合計は、0である(すなわち、実質的に任意の余剰/末端配位子は存在しない)。1つ以上の任意の余剰/末端配位子が存在する場合、これらは、HO、テトラヒドロフラン、ピリジンなどの溶媒分子(単座、二座、または他の多座)を含んでもよい。特定の実施形態では、一次金属錯体は、3以上、好適には4以上、しかしながら好適には多くとも6の配座数を有する多座配位子である少なくとも1つの余剰/末端配位子を含む。このような多座は、例えば、N-(1~6C)アルキル-D-グルカミン(例えば、N-メチル-D-グルカミン)を含み得る。特定の実施形態では、optLIGは、式Gluc-NH-RO1によって定義され、Gluc-NH-RO1がN-(1~8C)アルキル-D-グルカミンまたはその脱プロトン化形態であり、好適にはRO1が(1~8C)アルキル、より好適には(1~2C)アルキル(例えばメチルまたはエチル)である。このような実施形態では、好適にはo1は1であり、o2および全てのosは0である。
【0225】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIによって定義されるか、または式IIによって定義される単位を含む:
[M (monoLIGm1(OCRB116-b2(OCRB2b2
式中:
は、本明細書で定義される三価の金属イオンであり、最も好適にはCr3+であり、
は、本明細書で定義される二価の金属イオンであり、最も好適にはNi2+であり、
xは、本明細書で定義されているとおりであり(好適にはxは6、7、8または9であり、最も好適にはxは7である)、
yは本明細書で定義されているとおりであり(好適には1または2であり、最も好適にはyは1であるが、0であってもよく、ホモ金属の多金属錯体を形成する場合は、同じ酸化状態の金属、例えばCr(III)を有する)、
monoLIGは、本明細書で定義されるとおりであり(最も好適には、monoLIGは、フッ化物、Fである)、
m1は本明細書で定義したとおりであり(最も好適にはm1は8である)、
B1は、本明細書で定義されたとおりであるが、RB1は、好適には、塩基またはキレート基を含まない基であり、好適には、(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリール、アリール(1~3C)アルキルから選択され、
B2は、本明細書で定義されたとおりであるが、好適には、塩基またはキレート基(例えば、供与結合を形成するために自由に配位結合している孤立電子対を有する部分)を含む基であり、好適には、任意的に置換されていてもよいヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1~6C)アルキル、ヘテロアリール(1~6C)アルキルから選択されるか、または(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリールもしくはアリール(1~3C)アルキルから選択され、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、(1~6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニルなどの1つ以上の塩基またはキレート基で置換されており、
b2は、本明細書で定義されたとおりであるが、好適にはb2は0、1、2または3であり、
好適にはxとyの合計は本明細書で定義されるとおりであるが、最も好適にはxとyの合計は、7、8、9または10(最も好適には8)である。
【0226】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIaによって定義されるか、または式IIaによって定義される単位を含む:
[M 8-y (OCRB116-b2(OCRB2b2
式中:
は、本明細書で定義される三価の金属イオンであり、最も好適にはCr3+であり、
は、本明細書で定義される二価の金属イオンであり、最も好適にはNi2+であり、
yは0または1であり、
B1は、好適には、塩基またはキレート基を含まない基であり、好適には、(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリール、アリール(1~3C)アルキルから選択され、
B2は、塩基またはキレート基(例えば、供与結合を形成するために自由に配位結合している孤立電子対を有する部分)を含む基であり、好適には、任意的に置換されていてもよい、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1~6C)アルキル、ヘテロアリール(1~6C)アルキルから選択されるか、または(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリールもしくはアリール(1~3C)アルキルから選択され、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、(1~6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニルなどの1つ以上の塩基またはキレート基で置換されており、
b2は0、1、2または3である。
【0227】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIbによって定義されるか、または式IIbによって定義される単位を含む:
[CrNiF(OCRB116-b2(OCRB2b2];
式中、RB1、RB2およびb2は本明細書で定義されるとおりであるが、最も好適にはRB1はt-ブチルであり、存在する場合にはRB2は4-ピリジルである。
【0228】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIcによって定義されるか、または式IIcによって定義される単位を含む:
[CrNiF(OCRB116];
式中、RB1は本明細書で定義されるとおりであるが、最も好適にはRB1はt-ブチルである。
【0229】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIdによって定義されるか、または式IIdによって定義される単位を含む:
[Cr(OCRB116-b2(OCRB2b2];
式中、RB1、RB2およびb2は本明細書で定義されるとおりであるが、最も好適にはRB1はt-ブチルであり、存在する場合にはRB2は4-ピリジルである。
【0230】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIeによって定義されるか、または式IIeによって定義される単位を含む:
[Cr(OCRB116];
式中、RB1は本明細書で定義されるとおりであるが、最も好適にはRB1はt-ブチルである。
【0231】
別の実施形態では、一次金属錯体は、式IIIによって定義されるか、または式IIIによって定義される単位を含む:
[M 8-y (OCRB115(Gluc-NH-RO1)]
式中:
は、本明細書で定義される三価の金属イオンであり、最も好適にはCr3+であり、
は、本明細書で定義される二価の金属イオンであり、最も好適にはNi2+であり、
yは0または1であり、
B1は、塩基またはキレート基を含まない基であり、好適には、(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリール、アリール(1~3C)アルキルから選択され、
Gluc-NH-RO1はN-(1~8C)アルキル-D-グルカミン(すなわちRO1は(1~8C)アルキル、より好適には(1~2C)アルキルである)またはその脱プロトン化形態である。
【0232】
別の実施形態では、一次金属錯体は、式IIIaによって定義されるか、または式IIIaによって定義される単位を含む:
[CrNiF(OCRB115(Gluc-NH-RO1)]
式中、RB1およびGluc-NH-RO1は本明細書で定義されるとおりであるが、最も好適にはRB1はt-ブチルであり、RO1はメチルである。
【0233】
上記のとおり、散乱防止化合物の一次金属錯体は、1つ以上のレジスト配位子(すなわち、潜在的に、隣接する一次金属錯体および/または隣接する散乱防止化合物において、他のこのような配位子と架橋するように誘導され得る一次金属錯体に対する配位子)を含む場合、単座、二座、またはその他のいずれであっても、前述の配位子のいずれかを前述のレジスト構成成分のいずれかに置き換えることができる。しかし、一次金属錯体当たりのレジスト配位子の数にかかわらず、好適には、本明細書で定義される代替的配位子によって、一次金属錯体全体の配位球が十分に集まっている(例えば、電子欠損でないか、または別の方法で熱力学的に安定である)。このように、前述の配位子のいくつかは、レジスト配位子(例えば、アルケン酸およびアルケノエート配位子)としても機能し得るが、レジスト配位子および任意の前述の配位子の混合物を含む一次金属錯体を想定し得る。
【0234】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、架橋可能部分(例えば、レジスト配位子)、例えば、π系を含む部分、を担持する1つ以上の配位子を含む多金属ケージ錯体である。特定の実施形態では、多金属ケージ錯体は、クロムイオンおよびニッケルイオンを含む。特定の実施形態では、架橋可能部分を有する配位子(複数可)は、好適には1つ以上の孤立電子対担持ヘテロ原子を介して、最も好適にはカルボキシレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、または前述の配位子(複数可)のカルボン酸-アミド部分を介して多金属錯体の金属イオンに供与結合される。好適には、問題になっている架橋可能部分はアルケンまたはアルキン部分、最も好適にはアルケン部分、最も好適には末端アルケン部分である。好適には、隣接する一次金属錯体の架橋可能部分は、直接的に(例えば、1つの一次金属錯体の配位子のアルケンが隣接する一次金属錯体の配位子のアルケンと結合する場合)、または、例えば介在するレジスト架橋剤を介して間接的に(例えば、2つの隣接する一次金属錯体の配位子のアルケンが、好適なジ-エンなどの共通のレジスト架橋剤と結合する場合)のいずれかで(例えば、光分解または光分解誘導反応(photolyically-induced reactions)を介して、任意により光開始剤または光酸などの中間種を介して)架橋され得る。
【0235】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIfによって定義されるか、または式IIfによって定義される単位を含む:
[M (OCRB1];
式中、Mは第1の金属種であり、xは一次金属錯体1モル当たりのMのモル数であり(好適にはxは4~10の数である)、Mは第2の金属種であり、yは一次金属錯体1モル当たりのMのモル数であり(好適にはyは0~2の数である)、RB1は、π系、好適には、末端π系を含む、任意的に置換されていてもよい(1~20C)ヒドロカルビル基であり、rは1以上(好適には1~16)の値を有する整数であり、式IIfの単位は、任意により、1つ以上の他の会合した配位子(すなわち、錯体内に供与結合している)を含む。
【0236】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIgによって定義されるか、または式IIgによって定義される単位を含む:
[CrNi(OCRB1];
式中、RB1は、π系、好適には、末端π系を含む、任意的に置換されていてもよい(1~20C)ヒドロカルビル基であり、rは1以上(好適には1~16)の値を有する整数であり、式IIgの単位は、任意により、1つ以上の他の会合した配位子(すなわち、錯体内に供与結合している)を含む。
【0237】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIhによって定義されるか、または式IIhによって定義される単位を含む:
[CrNiF(OCRB1];
式中RB1は、アルケンまたはアルキン部分、好適には末端アルケンまたはアルキン部分、最も好適にはアルケン部分を含む任意的に置換されていてもよい(1~10C)ヒドロカルビル基であり、rは1以上(好適には1~16)の値を有する整数であり、式IIhの単位は、任意により、1つ以上の他の会合した配位子(すなわち、錯体内に供与結合している)を含む。
【0238】
特定の実施形態では、一次金属錯体は、式IIiによって定義されるか、または式IIiによって定義される単位を含む:
[CrNiF(OCRB1];
式中RB1は、アルケン部分、好適には末端アルケンまたはアルキン部分、最も好適にはアルケン部分を含む任意的に置換されていてもよい(1~6C)ヒドロカルビル基であり、rは1以上(好適には1~16)の値を有する整数であり、式IIiの単位は、任意により、1つ以上の他の会合した配位子(すなわち、錯体内に供与結合している)を含む。
【0239】
一般に、一次金属錯体当たりの配位子が多いほど、対応するレジスト組成物はより敏感になる。これは、架橋速度が、関連する架橋レジスト配位子間の有益な衝突の可能性に関係するためである。
【0240】
対イオン
一次金属錯体は、錯体内の金属種および会合した配位子のバランスおよびタイプに依存して、中性または荷電(正または負のいずれか)であってもよい。これは、任意の追加の金属錯体(複数可)および任意のリンカー構成成分(複数可)についても同様である。さらに、一次金属錯体(複数可)、任意のリンカー構成成分(複数可)、および/または任意の追加の金属錯体(複数可)の、これらの関連する化学量論における組み合わせは、正味電荷を生じ得る。このように、散乱防止化合物は、好適には本明細書で定義されるように、1つ以上の対イオン(例えば、C、C、…、C)を含み得る。このような対イオン(複数可)は、一次金属錯体、1つ以上の追加の金属錯体(複数可)、リンカー構成成分、および/またはハイブリッド錯体全体と好適に会合する。ハイブリッド錯体は、式Eによって定義され得るか、または式Eによって定義される単位を含み得る:
(PMC)p-a(AMC)(LINK)
式中、PMC、AMC、LINK、p、aおよびlは、好適には式Dに関しては、本明細書で定義されるとおりであり、
上記の対イオンが会合する対応するハイブリッド錯塩は、好適には、式Dによって定義されるか、または式Dによって定義される単位を含む:
(C i1 i2…C ic)(PMC)p-a(AMC)(LINK)
式中、式Dおよびその構成部分は本明細書で定義されているとおりである。
【0241】
式Eのハイブリッド錯体(または実際には式B)が中性である場合、散乱防止化合物は、本明細書で定義される対イオンを含まなくてもよいが、これは、錯体またはハイブリッド錯体の構成成分が互いに対イオンとして作用する場合を排除する必要はない。
【0242】
対イオン(複数可)は、いずれかの好適な対イオン(複数可)であってもよく、また、対イオンが中和することが意図されている種に担持された電荷の極性に応じて正(対カチオン)または負(対アニオン)のいずれかに荷電させ得る。
【0243】
好ましい実施形態では、一次金属錯体の正味電荷は負であり(すなわちアニオン性錯体を生成する)、最も好適には約-1の負電荷を有する。さらに、好ましい実施形態では、ハイブリッド錯体(式BまたはEのいずれか)の正味電荷は負である。このようなものとして、散乱防止化合物は好適には、関連する錯体(複数可)の負の電荷を中和するために、1つ以上の対カチオン、好適には単一の対カチオン(すなわちCのみであるがC…Cは含まない)を追加的に含む。
【0244】
対カチオン(複数可)は、任意の好適なカチオン(複数可)であり得る。しかし、好ましい実施形態では、対カチオン(複数可)は、一価のカチオン(すなわち、+1荷電)、好適には、アルカリ金属カチオンまたはアンモニウム系カチオン(任意のアンモニウム、第一級アンモニウム、第二級アンモニウム、第三級アンモニウム、第四級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムを含む)から選択される一価のカチオン、最も好適には、NHcat1 、NHcat1cat2 、Cs、Rbなどの群から選択されたカチオンを含み(好ましくは、本質的にそれからなる)、Rcat1およびRcat2は、(1~12C)アルキル(最も好適には(1~4C)アルキル、特にエチルまたはプロピル)からそれぞれ独立して選択される。ジプロピルアンモニウム塩が特に有用である。
【0245】
リンカー構成成分(または中心錯体)
散乱防止化合物は、好適にはリンカー構成成分を含むことができるが、これは必須ではない。好適には、リンカー構成成分は、1つ以上の追加の金属錯体を、好適にはリンカー構成成分を介して、2つ以上の一次金属錯体を一緒に間接的に連結(または会合)させ、かつ/または1つ以上の一次金属錯体を一緒に間接的に連結(または会合)させる。好適には、リンカー構成成分は、2つ以上の一次金属錯体および/または1つ以上の一次金属錯体ならびに1つ以上の追加の金属錯体と静電的結合および/または共有結合を形成することができる。
【0246】
好適には、リンカー構成成分がラジカル種(例えば、ハロ)に言及して定義される場合、リンカー構成成分はその代わりにそのイオン形態(例えばハロゲン化物)を指してもよい。
【0247】
リンカー構成成分は、1つ以上、好適には2つ以上のルイス塩基性部分および/または1つ以上のルイス酸性部分を含むことができる。このように、リンカー構成成分は、1つ以上の、好適には2つ以上の電子対供与体および/または1つ以上の、好適には2つ以上の電子対受容体を含み得る。好ましい実施形態では、リンカー構成成分は、2つ以上の一次金属錯体間および/または1つ以上の一次金属錯体と1つ以上の追加の金属錯体との間に橋(またはハブ)を形成し、このように、リンカー構成成分は、好適には1つの錯体と結合する(好適には供与結合を介して)少なくとも1つのルイス酸または塩基部分、および別の錯体に結合する(好適には供与結合を介して)少なくとも1つの他のルイス酸または塩基部分を含む。
【0248】
散乱防止化合物またはハイブリッド錯体(またはその塩)は、化合物またはハイブリッド錯体1モル当たり1モル以上のリンカー構成成分(複数可)(同一または異なるリンカー構成成分、好適には同一であるかどうかにかかわらず)を含むことができるが、最も好適には、散乱防止化合物またはハイブリッド錯体(またはその塩)は、化合物またはハイブリッド錯体1モル当たり1モルのリンカー構成成分のみを含む。ハイブリッド錯体内で、このように、リンカー構成成分は、一次金属錯体(複数可)および/または追加の金属錯体(複数可)(ただし、最も好適にはちょうど一次金属錯体)が接続(または会合)されている共通の中心ハブとして最も好適に機能する。好適には、この共通の中心ハブは、2つ以上の一次金属錯体(複数可)および/または追加の金属錯体(複数可)によって、より好適には4つ以上の一次金属錯体(複数可)および/または追加の金属錯体(複数可)によって取り囲まれている。このように、好適には、リンカー構成成分は、適した数のルイス酸または塩基部分を含み、リンカー構成成分が周囲の一次金属錯体(複数可)および/または追加の金属錯体(複数可)の全てに、好適には供与結合を介して結合する(好ましくは供与結合を介して)ことを可能にする。しかし、リンカー部分が単一の一次金属錯体のみと会合し、追加の金属錯体を伴わない状況では、リンカー構成成分は、単に、例えば、溶媒分子(例えば、水、THF、ピリジン、または置換ピリジン)などのoptLIGから選択されるものなどの末端配位子であってもよい。
【0249】
散乱防止化合物は、好適には、式Eによって定義されるか、または式Eによって定義される単位を含むハイブリッド錯体を含む:
(PMC)p-a(AMC)(LINK)
lは1であり、pは、≧2(好適には2~8、より好適には2、4または6であるが、pは23~49であり得る)であり、aは0~7(好適には0)である。
【0250】
リンカー構成成分またはLINK基/分子は、好適には、1つ以上、好ましくは2つ以上の電子対供与配位および/または電子対受容配位基を提供する。いくつかの実施形態では、リンカー構成成分は、電子対供与配位基と電子対受容配位基との混合物を含むことができるが、最も好ましくは、リンカー構成成分は電子対供与配位基または電子対受容配位基のいずれかを排他的に含む。リンカー構成成分が電子対供与配位基または電子対受容配位基を含むかどうかは、好適には、対応する一次金属錯体および任意の追加の金属錯体(特にこれらの配位子)の電子対供与または電子対受容能力に応じて決まる。
【0251】
リンカー構成成分または各々のリンカー構成成分は、特に、2つ以上のPMCまたは2つ以上のPMC/AMCが組み合わされてリンカー構成成分と会合している場合、以下から選択されるか、または独立して以下から選択される単位を含んでもよい:
i)2つ以上の孤立電子対を受容または供与することができる単一の配位部分を含む単一の原子、分子、イオンまたは錯体、
ii)2つ以上の配位部分(例えば、窒素、酸素もしくは硫黄などの内部ヘテロ原子、または任意の置換基によって担持された外部ヘテロ原子、または電子不足金属中心、もしくは脱離基もしくは置換可能な配位子に接着された金属中心)を含む単一の分子、イオン、または錯体(例えば、複数のヘテロ原子を含む、任意的に置換されていてもよい、非環式、環式、多環式、もしくは大環状分子、または、ルイス酸性金属中心の化合物もしくは錯体、もしくは脱離基または置換可能配位子に接着された金属中心の化合物または錯体)であって、各配位部分が、1つ以上の孤立電子対を受容または供与することができる、単一の分子、イオン、または錯体、
iii)式IVで定義される分子、イオン、または錯体であって、
Q-[CORE]-[W]
式中:
[CORE]は存在しないか、またはリンカー構成成分のコアであり、1つまたは任意に2つ以上のコア基を含み、
Qは[CORE]またはその1つ以上のコア基(複数可)に直接接着された基であり、Qは配位部分(好適には一次金属錯体と配位する配位部分)を含み、
各Wは、独立して[CORE]またはその1つ以上のコア基(複数可)に直接接着された基であり、任意により1つ以上の他のW基またはQ基にさらに接着されており、そのW基の各々は、独立して、配位部分(好適には、Q基に会合するものとは異なる一次金属錯体または追加の金属錯体に配位する配位部分)を含み、
wは0より大きい整数である、分子、イオン、または錯体。
【0252】
Q基およびW基の1つ、それ以上、または全ては、同一であっても異なっていてもよい。しかし、Q基と、W基の1つ、それ以上、または全てが異なっていても、好適には、受容可能な基の同じプールから選択される。
【0253】
リンカー構成成分が、2つ以上の孤立電子対を供与することができる単一の配位部分を含む単一の原子、分子、イオン、または錯体である場合、好適には、単一の配位部分は、酸素、硫黄、またはハロ(特にフルオロまたはクロロ、特にフルオロ)原子を含むか、またはこれらから構成される。例えば、リンカー構成成分(複数可)は、ハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、オキソ、酸化物、水酸化物(OH-)、(1~6C)アルコキシド、(2~6C)アルケニルオキシ、(2~6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1~6C)アルコキシカルボニル、(2~6C)アルカノイル、(2~6C)アルカノイルオキシ、スルホ、硫化物、硫化水素、(1~6C)アルキルチオ、(2~6C)アルケニルチオ、(2~6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、酸素もしくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子、または(必要に応じて)脱プロトン化形態またはその塩を含有するヘテロシクリルから選択される基であるか、またはこれらの基を含んでもよく、任意のCH、CHまたはCHは、任意により置換されている。
【0254】
リンカー構成成分が、2つ以上の孤立電子対を受容することができる単一の配位部分を含む単一の原子、分子、イオン、または錯体である場合、好適には、単一の配位部分は、ルイス酸性金属原子(ホウ素またはケイ素を含み得る)、または脱離基もしくは置換可能な配位子に接着された金属原子を含むか、またはこれらからなる。例えば、リンカー構成成分(複数可)は、金属カチオン(例えば、二価の金属カチオン)、ルイス酸性金属化合物(好適にはAlCl、FeCl、ZnClなどのルイス酸金属化合物)、ルイス酸性金属錯体(好適には、ルイス酸または1つ以上の自由配位部位を有する錯体、例えば、金属中心がその原子価シェル中に18個未満の電子を有する錯体など)および/または脱離基もしくは置換可能な配位子を含む金属化合物もしくは錯体(好適には、脱離基もしくは置換可能な配位子の共役酸が、標準的な周囲温度および圧力にて、水中で1以下、好適には0以下、好適には-1以下、より好適には-5以下のpKaを有する)から選択される基であるか、またはこれらの基を含んでもよい。好適な金属カチオンは、二価カチオン(例えば、アルカリ土類金属、遷移金属(II)、またはSn2+カチオン)、三価カチオン(例えば、Al3+、遷移金属(III)またはf-ブロック金属(III)カチオン)、または四価カチオン(Sn4+、Pb4+、遷移金属(IV)またはf-ブロック金属(IV)カチオン)、最も好適には二価カチオンを含んでもよい。好適には、ルイス酸性金属化合物は、ホウ素化合物(例えば、ハロゲン化ホウ素、アルコキシドなど)、ケイ素化合物(例えばシラン、シリオキサン(silioxane)、ハロゲン化ケイ素など)、ルイス酸性金属化合物(AlCl、FeCl、ZnClなど)を含んでもよい。好適なルイス酸性金属錯体または脱離基もしくは置換可能な配位子を含む錯体は、例えば二金属カルボン酸錯体(例えば、[M(OC-R)]であり、MはCu2+、Ru2+、Rh2+であってもよい)、三金属カルボン酸錯体(例えば、[MM’O(OCR)]であり、Mは三価の金属イオンであってもよく、M’は二価の金属イオンであってもよい)、六金属カルボン酸錯体(例えば[M’(OCR)12]であり、Mは、三価の金属イオンであってもよく、M’は二価の金属イオンであってもよい)、十二金属錯体(例えば、[Ni12(chp)12(OCMe)(HO)]であり、式中chp=6-クロロ-2-ピリドネート)などのカルボン酸錯体、金属中心が脱離基に結合した金属化合物(例えば塩化物、例えばAlClなどのハロゲン化物)であり、金属中心(複数可)が、ハロゲン化物、水、THFなどの溶媒、ピリジン、またはさらにカルボキシレートなどの置換可能な配位子と配位している錯体、を含んでもよい。
【0255】
リンカー構成成分が、1つ以上の孤立電子対をそれぞれ供与することができる2つ以上の配位部分を含む単一分子、イオン、または錯体である場合、好適には2つ以上の配位部分の各々は、酸素、窒素、硫黄もしくはハロ(特に、フルオロもしくはクロロ、特にフルオロ)原子を含むか、またはこれらから構成される。例えば、リンカー構成成分(複数可)は、ハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、アミノ、シアノ、イミノ、エナミノ、(1~6C)アルキルアミノ、ジ-[(1~6C)アルキル]アミノ、トリ-[(1~6C)アルキル]アミノ、オキソ、酸化物、水酸化物(OH-)、(1~6C)アルコキシド、(2~6C)アルケニルオキシ、(2~6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1~6C)アルコキシカルボニル、(2~6C)アルカノイル、(2~6C)アルカノイルオキシ、スルホ、硫化物、硫化水素、(1~6C)アルキルチオ、(2~6C)アルケニルチオ、(2~6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロシクリル、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロアリール(例えばピリジル)、または(必要に応じて)その脱プロトン化形態もしくはその塩から選択される1つ以上、好適には2つ以上の基であるか、またはこれらを含み得、任意のCH、CHまたはCHは、任意により置換されている。前述の基のいずれかは、相互に直接連結されるか、または本明細書で定義される[CORE]を介して間接的に連結されて、リンカー構成成分を形成してもよい。
【0256】
リンカー構成成分が、1つ以上の孤立電子対をそれぞれ受容することができる2つ以上の配位部分を含む単一分子、イオン、または錯体である場合、好適には2つ以上の配位部分の各々は、ルイス酸性金属原子(ホウ素またはケイ素を含み得る)、または脱離基もしくは置換可能な配位子に接着された金属原子を含むか、もしくはそれらからなる。例えば、リンカー構成成分(複数可)は、金属カチオン(例えば、二価の金属カチオン)、ルイス酸性金属化合物(好適にはAlCl、FeCl、ZnClなどのルイス酸金属化合物、またはその錯体化誘導体)、ルイス酸性金属錯体(好適には、ルイス酸または1つ以上の自由配位部位を有する錯体、例えば、金属中心がその原子価シェル中に18個未満の電子を有する錯体など)および/または脱離基もしくは置換可能な配位子を含む金属化合物もしくは錯体(好適には、脱離基もしくは置換可能な配位子の共役酸が、標準的な周囲温度および圧力にて、水中で1以下、好適には0以下、好適には-1以下、より好適には-5以下のpKaを有する)から選択される1つ以上、好適には2つ以上の基であるか、またはこれらの基を含んでもよい。好適な金属カチオンは、二価カチオン(例えば、アルカリ土類金属、遷移金属(II)、またはSn2+カチオン)、三価カチオン(例えば、Al3+、遷移金属(III)またはf-ブロック金属(III)カチオン)、または四価カチオン(Sn4+、Pb4+、遷移金属(IV)またはf-ブロック金属(IV)カチオン)、最も好適には二価カチオンを含んでもよい。好適には、ルイス酸性金属化合物は、ホウ素化合物(例えば、ハロゲン化ホウ素、アルコキシドなど)、ケイ素化合物(例えばシラン、シリオキサン、ハロゲン化ケイ素など)、ルイス酸性金属化合物(AlCl、FeCl、ZnClなど)を含んでもよい。好適なルイス酸性金属錯体または脱離基もしくは置換可能な配位子を含む錯体は、例えば二金属カルボン酸錯体(例えば、[M(OC-R)]であり、MはCu2+、Ru2+、Rh2+であってもよい)、三金属カルボン酸錯体(例えば、[MM’O(OCR)]であり、Mは三価の金属イオンであってもよく、M’は二価の金属イオンであってもよい)、六金属カルボン酸錯体(例えば[M’(OCR)12]であり、Mは、三価の金属イオンであってもよく、M’は二価の金属イオンであってもよい)、十二金属錯体(例えば、[Ni12(chp)12(OCMe)(HO)]であり、式中chp=6-クロロ-2-ピリドネート)などのカルボン酸錯体、金属中心が脱離基に結合した金属化合物(例えば塩化物、例えばAlClなどのハロゲン化物)であり、金属中心(複数可)が、ハロゲン化物、水、THFなどの溶媒、ピリジン、またはさらにカルボキシレートなどの置換可能な配位子と配位している金属錯体、を含んでもよい。前述の基のいずれかは、相互に直接連結されるか、または本明細書で定義される[CORE]を介して間接的に連結されて、リンカー構成成分を形成してもよい。
【0257】
好適には、2つ以上の配位部分は、2つの異なる電子供与もしくは電子受容種または錯体と配位することができる。例えば、配位部分は、好適には、それぞれが別個の種もしくは錯体に独立して結合できるほど十分に遠位である。配位部分は、一次および/もしくは追加の金属錯体(複数可)の金属中心(複数可)(うちの1つ)と直接配位し得ることができ、かつ/または一次および/もしくは追加の金属錯体(複数可)に会合する配位子(のうちの1つ)と配位し得ることができる。
【0258】
リンカー構成成分が式IVで定義される分子、イオンまたは錯体である場合、[CORE]は1つ以上の配位基を含むことができるが、好適には[CORE]内に存在する任意の配位基は、リンカー構成成分の外部の任意の種または錯体と配位させるために(実質的に)利用することはできない。いくつかの実施形態では、[CORE]は完全になくてもよく、Q基および1つ以上のW基は互いに直接連結している。
【0259】
[CORE]は、Q基により一次金属錯体と配位することができ、W基または各W基が別の一次金属錯体または追加の金属錯体のいずれかと同時に配位することできる任意の好適なコアであり得る。
【0260】
[CORE]は、Q基およびW基またはW基(複数可)の各々に共通して接着された単一のコア基を含むことができる。このように、[CORE]は、二価または多価コア基(原子価はwの値に依存する)であってもよい。このような単一のコア基(特に、電子対供与能力を有するリンカー構成成分(複数可)に適用可能である)は、以下から選択され得る:
a)二価または多価の任意的に置換されていてもよい非環式コア基(例えば、任意により1個以上の介在するヘテロ原子または介在するヘテロ原子含有部分を含む、任意的に置換されていてもよい、(1~nC)アルキレン、(1~nC)アルケニレン、(1~nC)アルキニレン、すなわち、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有部分が炭素鎖内に散在している)、
b)例えば、任意的に置換されていてもよい、シクロカーボン(例えば、シクロアルカン)、ヘテロ環(例えば、モルホリン)、アレーン(ベンゼン、ナフタレン)またはヘテロアレーン(ピリジン、イミダゾール、インドール)などの二価または多価の環式または多環式コア基、
c)1つ以上の非環式部分および/または環式もしくは多環式部分に連結された少なくとも1つの環式または多環式基(例えば、任意的に置換されていてもよい、シクロカーボン、ヘテロ環、アレーンまたはヘテロアレーン)を含む二価または多価コア基、
d)(大環状基が、それ自体、1つ以上の任意的に置換されていてもよい、シクロカルビル、ヘテロシクリル、アリール、および/またはヘテロアリール基を含み得る)(例えば、ポルフィリンまたはフタロシアニン)二価または多価の大環状コア基。
【0261】
単一のコア基は、それ自体、コア金属錯体またはコアカチオン中心錯体であってもよく、またはこれらを含んでよい。単一のコア基がコア金属錯体であるかまたはそれを含む場合、好適には、コア金属錯体は、コア配位子および少なくとも1つのコア金属種(好適にはMg2+などの中心金属イオン)を含む。好適には、コア配位子は、1つ以上の金属イオン、例えば中心金属イオン(例えば、Mg2+)に配位されている1つ以上の原子または基(特に、窒素、酸素および/または硫黄などの電子対供与原子)を含む。例えば、大環状単一のコア基は、二価または多価の以下の基:
【化2】
またはそれらの塩であるか、またはこれらを含んでもよく、
または二価もしくは多価の錯体もしくはその塩、例えば、以下の錯体:
【化3】
(式中、Mx+は、任意の好適な金属カチオン、特にMg2+などの二価の金属カチオンであり得る)であってもよい。
【0262】
リンカー構成成分は、単一のコアを含むことができ、また橋架けジ-イミン(例えば、4,4’-ビピリジル、1,2-ジピリジルエテン、1,4-ジピリジルテトラジン)、2つ以上のピリジル基(すなわち、ポリ-ピリジル化合物)で置換した大員環(例えば、ポルフィリンまたはフタロシアニン)を含む群から選択されてもよい。
【0263】
[CORE]が上記で定義したものなどの単一のコア基を含む場合、リンカー構成成分は、好適には、例えば、窒素、酸素、および/または硫黄などの1つ以上のヘテロ原子を含むものなど、電子対供与配位部分を有するQ基およびW基を含む。しかし、当業者であれば、単一のコア基はそれ自体、1つ以上の、好適には2つ以上の配位部分(例えば、窒素、酸素および/または硫黄など1つ以上のヘテロ原子を含むものなど)を含んでもよく、それら自体が電子対受容部分を含むQ基および/またはW基に接続していてもよいことが理解されるだろう。
【0264】
好適には、各電子対供与Q基および/またはW基は、孤立電子対を担持する内部または外部ヘテロ原子を含む任意の好適な基から選択される。最も好適には、電子対供与Q基および/またはW基またはそれらのそれぞれは、任意的に置換されていてもよい、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1~6C)アルキル、ヘテロアリール(1~6C)アルキルから独立して選択されるか、または、(1~12C)アルキル、(1~12C)アルケニル、(1~12C)アルキニル、(3~8C)シクロアルキル、(3~8C)シクロアルケニル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルキル、(1~3C)アルキル(3~8C)シクロアルケニル、アリール、(1~3C)アルキルアリールもしくはアリール(1~3C)アルキルから選択され、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、(1~6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニルなどの1つ以上の塩基またはキレート基で置換されている。一実施形態では、電子供与Q基および/またはW基またはそれぞれの各電子供与Q基および/またはW基は、ピリジル、アミノフェニル、N-(1~3C)アルキルアミノフェニル、N,N-ジ(1~3C)アルキルアミノフェニル、最も好ましくはピリジル、最も好適には4-ピリジルから独立して選択される。例えば、特定の実施形態では、リンカーは以下のとおりである。
【化4】
【0265】
好適には、各ピリジル部分は、一次金属錯体と配位することができる。
【0266】
[CORE]は、Q基および/または1つ以上のW基もしくはW基(複数可)の各々を介して[CORE]を形成するために一緒に間接的に連結された複数のコア基を含むことができる。このような[CORE]は、1つ以上のQ基および/またはW基が金属中心である場合(この場合、ホウ素およびケイ素を中心とし、標準的な金属中心を含み、例えば、ルイス酸/電子対受容配位基を提供するため)に、特に重要である。このようなコア基の各々は、以下から独立して選択され得る:
a)2つ以上の孤立電子対(例えば、O2-、オキソ)を供与することができる単一の配位部分を含む単一の原子、分子、イオン、または錯体;
b)2つ以上の配位部分を含み、それぞれの配位部分が独立して孤立電子対(例えば、窒素、酸素もしくは硫黄などの内部ヘテロ原子など、または任意の置換基によって担持された外部ヘテロ原子)(例えば、カルボキシレート)を供与することができる単一の分子、イオン、または錯体(例えば、複数のヘテロ原子を含有し、任意的に置換されていてもよい、非環式、環式、多環式または大環状分子)。
【0267】
例えば、各コア基は、酸素、硫黄もしくはハロ(特に、フルオロもしくはクロロ、特にフルオロ)原子、最も好適には、ハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、オキソ、酸化物、水酸化物(OH-)、(1~6C)アルコキシド、(2~6C)アルケニルオキシ、(2~6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1~6C)アルコキシカルボニル、(2~6C)アルカノイル、(2~6C)アルカノイルオキシ、スルホ、スルフィド、硫化水素、(1~6C)アルキルチオ、(2~6C)アルケニルチオ、(2~6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、酸素もしくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子、または(必要に応じて)脱プロトン化形態もしくはその塩を含むヘテロシクリルを含むか、またはそれらからなる単一の原子、分子、イオンもしくは錯体から独立して選択されてもよく、任意のCH、CHまたはCHは、任意的に置換されている。
【0268】
例えば、各コア基は、酸素、窒素、硫黄もしくはハロ(特にフルオロもしくはクロロ、特にフルオロ)原子を含むかまたはそれらからなる2つ以上の配位部分を含む、単一の分子、イオン、もしくは錯体から独立して選択されてもよく、2つ以上の配位部分は、最も好適には、ハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、アミノ、シアノ、イミノ、エナミノ、(1~6C)アルキルアミノ、ジ-[(1~6C)アルキル]アミノ、トリ-[(1~6C)アルキル]アミノ、オキソ、酸化物、水酸化物(OH-)、(1~6C)アルコキシド、(2~6C)アルケニルオキシ、(2~6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1~6C)アルコキシカルボニル、(2~6C)アルカノイル、(2~6C)アルカノイルオキシ、スルホ、硫化物、硫化水素、(1~6C)アルキルチオ、(2~6C)アルケニルチオ、(2~6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロシクリル、窒素、酸素または硫黄、または(必要に応じて)脱プロトン化形態もしくはその塩から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロアリール(例えば、ピリジル)から選択される2つ以上の基を含むかまたはそれらからなり、任意のCH、CHまたはCHは、任意的に置換されている。
【0269】
特定の実施形態では、各コア基は、本明細書で定義されるbiLIG基、本明細書で定義されるbiLIG基、または本明細書で定義されるoptLIG基から独立して選択されてもよい。特定の実施形態では、各コア基は、本明細書で定義されるbiLIG基または本明細書で定義されるbiLIG基、最も好適にはbiLIG基から独立して選択される。最も好適には、コア基、コア基の各々、または全ては、カルボキシレートまたはカルボン酸であり、最も好適には式-OCRB1によって定義されるかまたは式-OCRB2(またはRB2CO )によって定義されるカルボキシレートまたはカルボン酸であり、式中、RB1およびRB2は、好適には本明細書で定義されるとおりであるが、最も好適にはRB1は(1~5C)アルキルであり、RB2はピリジル、アミノフェニル、N-(1~3C)アルキルアミノフェニル、N,N-ジ(1~3C)アルキルアミノフェニルである。
【0270】
好適には、[CORE]が複数のコア基を含む場合、コア基は同じである。
【0271】
一例として、[CORE]が複数のコア基を含むリンカーは、以下によって定義され得る:
【化5】
各[core]は本明細書で独立して定義されるコア基であり、WおよびQは、本明細書で定義される電子対受容Q基および/またはW基であり、wは、本明細書で定義されるとおりである。
【0272】
好適には、電子対受容Q基および/またはW基または各電子対受容Q基および/またはW基は、1つ以上の、好適には2つ以上の孤立電子対を受容することができる配位部分を含む単一の原子、分子、イオンまたは錯体である。好適には、関連する配位部分は、ルイス酸性金属原子(ホウ素またはケイ素を含み得る)、または脱離基もしくは置換可能な配位子に接着された金属原子を含むか、もしくはそれらからなる。例えば、配位部分は、金属カチオン(例えば、二価の金属カチオン)、ルイス酸性金属化合物(好適にはAlCl、FeCl、ZnClなどのルイス酸金属化合物)、ルイス酸性金属錯体(好適には、ルイス酸または1つ以上の自由配位部位を有する錯体、例えば、金属中心がその原子価シェル中に18個未満の電子を有する錯体など)および/または脱離基もしくは置換可能な配位子を含む金属化合物もしくは錯体(好適には、脱離基もしくは置換可能な配位子の共役酸が、標準的な周囲温度および圧力にて、水中で1以下、好適には0以下、好適には-1以下、より好適には-5以下のpKaを有する)から選択される基であるか、またはこれらの基を含んでもよい。好適な金属カチオンは、二価カチオン(例えば、アルカリ土類金属、遷移金属(II)、またはSn2+カチオン)、三価カチオン(例えば、Al3+、遷移金属(III)またはf-ブロック金属(III)カチオン)、または四価カチオン(Sn4+、Pb4+、遷移金属(IV)またはf-ブロック金属(IV)カチオン)、最も好適には二価カチオンを含んでもよい。好適には、ルイス酸性金属化合物は、ホウ素化合物(例えば、ハロゲン化ホウ素、アルコキシドなど)、ケイ素化合物(例えばシラン、シリオキサン、ハロゲン化ケイ素など)、ルイス酸性金属化合物(AlCl、FeCl、ZnClなど)を含んでもよい。好適なルイス酸性金属錯体または脱離基もしくは置換可能な配位子を含む錯体は、例えば二金属カルボン酸錯体(例えば、[M(OC-R)]であり、MはCu2+、Ru2+、Rh2+であってもよい)、三金属カルボン酸錯体(例えば、[MM’O(OCR)]であり、Mは三価の金属イオンであってもよく、M’は二価の金属イオンであってもよい)、六金属カルボン酸錯体(例えば[M’(OCR)12]であり、Mは、三価の金属イオンであってもよく、M’は二価の金属イオンであってもよい)、十二金属錯体(例えば、[Ni12(chp)12(OCMe)(HO)]であり、式中chp=6-クロロ-2-ピリドネート)などのカルボン酸錯体、金属中心が脱離基に結合した金属化合物(例えば塩化物、例えばAlClなどのハロゲン化物)であり、金属中心(複数可)が、ハロゲン化物、水、THFなどの溶媒、ピリジン、またはさらにカルボキシレートなどの置換可能な配位子と配位している金属錯体、を含んでもよい。しかし、好ましい実施形態では、電子対受容Q基および/またはW基または各電子対受容Qおよび/もしくはW基は、独立して金属カチオンであり、好適には独立して、二価または三価の金属カチオンであり、好適には本明細書で定義されたとおりである。好適には、Q基は、少なくとも1つのW基と異なっていてもよい。好適には、全てのQ基およびW基は同じであってもよい。
【0273】
特定の実施形態では、リンカーは、以下から選択される:
-二金属カルボン酸錯体(例えば[M(O]であり、式中、M=Cu、Ru、Rhである)、
-三金属カルボン酸錯体(例えば[MM’O(OCR)]であり、Mは三価の金属イオンであり、M’は二価の金属イオンである)、
-六金属カルボン酸錯体(例えば[M’(OCR)12]であり、式中、M=三価の金属イオン、M’は二価の金属イオンである)、
-[Ni12(chp)12(OCMe)(HO)](式中、chp=6-クロロ-2-ピリドネートである)などの十二金属錯体。
【0274】
リンカー構成成分(複数可)は、以下から独立して選択することができる:-本明細書で定義されるmonoLIG基、
-本明細書で定義されるbiLIG基、
-本明細書で定義されるoptLIG基、
-金属錯体、
-任意に金属と配位する大環状分子、
-二金属カルボン酸錯体(例えば[M(O]であり、式中、M=Cu、Ru、Rhである)、
-三金属カルボン酸錯体(例えば[MM’O(OCR)]であり、Mは三価の金属イオンであり、M’は二価の金属イオンである)、
-六金属カルボン酸錯体(例えば[M’(OCR)12]であり、式中、M=三価の金属イオン、M’は二価の金属イオンである)、
-[Ni12(chp)12(OCMe)(HO)](式中、chp=6-クロロ-2-ピリドネートである)などの十二金属錯体、
-末端配位子、例えばHO、ピリジンまたは置換ピリジン(n=1)、
-例えば、4,4’-ビピリジル、1,2-ジピリジルエチレン、1,4-ジピリジルテトラジンなどの橋架けジ-イミン、
-ポルフィリンまたはフタロシアニンなどの大員環の周囲で置換されたピリジルなどの他のポリ-ピリジル配位子。
【0275】
リンカーは、これらに会合した他の溶媒和物または配位子(好適には不活性)を有するか、または塩であってもよい。
【0276】
二次電子発生剤(SEG)
本発明のレジスト組成物は、好適には、「二次電子発生剤」(SEG)を含むことができる。SEGは、好適には、レジスト組成物の他の構成成分(複数可)と比較して比較的高いZeffを有する化合物または構成成分であり、また、好適には、レジストの他の構成成分(複数可)と比較して比較的高い密度(好適には高い電子密度)を有してもよい。SEGは、好適には、照射線、特に紫外線(例えば、eUVまたはUV)への暴露時に二次電子の生成を促進する。二次電子は、一般に「横方向に」(好適には、入射ビームから80°)散乱し、これによって「書き込み」効果を広げ、レジストの感度を増大させ、また、これによって一次照射線から必要とされる「線量」を減少させる。このように、二次電子発生剤は、好適には、散乱防止剤とは反対の役割を果たす。
【0277】
SEGは、レジスト組成物中の(実質的に)別個のまたは独立した構成成分(例えば、レジスト構成成分内の任意の他の構成成分、例えば散乱防止構成成分に接着されていないもの)であってもよく、または、SEGは、好適には共有結合および/または供与結合を介して、レジスト組成物の1つ以上の他の構成成分(複数可)に接着されてもよく、例えば、散乱防止化合物/構成成分に配位により接着されてもよい(SEGが金属化合物である場合特に適切であり、その対イオンまたは配位子の1つ以上が、散乱防止化合物/構成成分の供与結合部分によって置換されていてもよい)。
【0278】
特許公開WO2015/145144(同じ発明者/出願人による)は、これらの使用の根底にある原理とともに、一連の好適な二次電子発生剤の範囲を記載している。これらのSEGのいずれも、別個の/独立した構成成分としてであろうと、または(上記のような)他の構成成分のうちの1つと接着されていても、本発明のレジスト組成物内に組み込むことができる。WO2015/145144は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0279】
二次電子発生剤は、好適には、化合物(およびSEG化合物)または15以上の実効原子番号(Zeff)を有するこのような化合物に由来する基(例えば、SEG基は別の構成成分と供与結合していてもよい)であるか、またはこれらを含む(任意により、Zeff計算では、前述の化合物と会合する、100kPaの圧力で150℃以下の沸点を有する溶媒和物、好適には前述の圧力で120℃以下の沸点を有する任意の溶媒和物、好適には前述の圧力で105°C以下の沸点を有する任意の溶媒和物を除外する)。
【0280】
SEGが、SEG化合物から誘導されたSEG基(例えば、散乱防止化合物などの別の構成成分に供与結合している-HgCl基または-HgI基、)の形態である場合、好適には、Zeff(またはSEG化合物に関連して本明細書で定義される任意の他の特性および特徴)は、SEG基が誘導される初期化合物のZeff(または対応する特性もしくは特徴)を参照することによって定義され得る。しかし、代替的には、所与のSEG基のZeff(またはSEG化合物に関連して本明細書で定義される任意の他の特性および特徴)は、SEG基自体のZeff(または対応する特性または特徴)を参照することによって定義され得る(それが接着されている分子、例えば、散乱防止化合物を排除することによって計算される)。
【0281】
好適には、Zeffは、18以上、好適には23以上、好適には25以上、好適には30以上、好適には32以上、好適には40以上である。好適には、Zeffは、70以下、好適には66以下、好適には61以下、好適には60以下、好適には55以下である。二次電子発生剤は、好適には、散乱防止構成成分よりも高い、好適には少なくとも10単位高い、好適には少なくとも20単位高い、好適には少なくとも30単位高い、Zeffを有する。
【0282】
好適には、二次電子発生剤は、500g/mol以下の分子量を有する化合物または基であるかまたはそれらを含む。
【0283】
二次電子発生剤は、好適には、金属化合物(または、例えば、別の化合物に供与結合または共有結合される場合、-HgClまたは-HgIなどの金属基)であるかまたはそれを含む。これは、元素金属(すなわち、金属(0))でなくても、またはこれを含まなくてもよい。実際、好適には、レジスト組成物は、(実質的に)任意の金属(0)を含まない。好適には、金属化合物の任意の金属種は金属イオンである。
【0284】
二次電子発生剤の化合物(複数可)(またはSEG基(複数可)が誘導される化合物(複数可))は、好適には、ベースポリマー構成成分の密度よりも高い密度を有する。二次電子発生剤の化合物(複数可)は、好適には、1.7g/cm以上、好適には2g/cm以上、好適には2.5g/cm以上、好適には3g/cm、好適には4g/cm以上、より好適には4.1g/cm以上、好適には4.5g/cm以上、より好適には4.7g/cm以上、最も好適には5g/cm以上の密度を有する。二次電子発生剤の化合物(複数可)は、好適には9g/cm以下、好適には8.5g/cm以下、好適には8g/cm以下の密度を有する。特定の実施形態では、二次電子発生剤の化合物(複数可)は、好適には3.5~8.3g/cmの密度を有する。好適には、密度は、散乱防止構成成分の密度より少なくとも2倍高く、好適には少なくとも3倍高い。
【0285】
好適には、二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、+1以上、好適には+2以上、好適には+3以上の酸化状態を有する金属種を含む。好適には、二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、+4以下の酸化状態を有する金属種を含む。好適には、二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、+3の酸化状態を有する金属種を含む。
【0286】
好適には、二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、単一の金属種または他の優勢な金属種(すなわち、全金属種の少なくとも50重量%、好適には少なくとも80重量%、好適には少なくとも90重量%、好適には少なくとも95重量%で構成されている金属種)を含む。二次電子発生剤のこのような金属化合物(複数可)の金属種または金属イオン(単一または優勢にかかわらず)は、好適には+1以上、好適には+2以上、好適には+3以上の酸化状態を有する。二次電子発生剤のこのような金属化合物(複数可)の金属種または金属イオン(単一または優勢にかかわらず)は、好適には+4以下の酸化状態を有する。二次電子発生剤のこのような金属化合物(複数可)の金属種または金属イオン(単一または優勢にかかわらず)は、好適には+3の酸化状態を有する。一実施形態では、二次電子発生剤のこのような金属化合物(複数可)の金属種または金属イオンは、+2の酸化状態を有する。
【0287】
二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、好適には、原子番号(Z)が21以上(すなわち、スカンジウムまたはそれ以降)である金属種(または単一もしくは優勢な金属種)を含む。二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、好適には、原子番号(Z)が22以上(すなわち、チタンまたはそれ以降)の金属種(または単一もしくは優勢な金属種)を含む。二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、好適には、原子番号(Z)が39以上(すなわち、イットリウムまたはそれ以降)である金属種(または単一もしくは優勢な金属種)を含む。二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、好適には、原子番号(Z)が49以上(すなわち、インジウムまたはそれ以降)である金属種(または単一もしくは優勢な金属種)を含む。二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、好適には、原子番号(Z)が57以上(すなわち、ランタンまたはそれ以降)の金属種(または単一もしくは優勢な金属種)を含む。二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、好適には、原子番号(Z)が82以上(すなわち、鉛またはそれ以降)である金属種(または単一もしくは優勢な金属種)のみを含む。二次電子発生剤の任意の金属化合物(複数可)は、好適には、原子番号(Z)が80以上(すなわち、水銀またはそれ以降)である金属種(または単一もしくは優勢な金属種)のみを含む。金属化合物(複数可)の金属種は、好適には、d-ブロック、p-ブロックまたはf-ブロック金属種、またはこれらの混合物であり得る。好適には、金属化合物(複数可)は非照射性である。
【0288】
好適には、二次電子発生剤は、金属ハロゲン化物またはその錯体(例えば、HAuCl)であるか、またはそれらを含む。好適には、二次電子発生剤は、ハロゲン化金属(I)、ハロゲン化金属(II)、ハロゲン化金属(III)、もしくはハロゲン化金属(IV)、またはこれらの錯体である。好適には、二次電子発生剤は、ハロゲン化金属(III)またはハロゲン化金属(I)、またはこれらの錯体である。好適には、二次電子発生剤は、金属塩化物、好適には金属(I)塩化物、金属(II)塩化物、金属(III)塩化物または金属(IV)塩化物である。好適には、二次電子発生剤は、金属塩化物、好適には金属(I)塩化物または金属(III)塩化物である。
【0289】
二次電子発生剤は、ハロゲン化金属(II)(例えば、HgCl)またはその錯体(例えば、散乱防止構成成分に供与配位された場合、-HgCl)であってもよい。特定の実施形態では、二次電子発生剤は金属(II)塩化物である。
【0290】
二次電子発生剤は、好適には、AlCl、TiCl、TiCl、CrCl、GaCl、YCl、MoCl、AgCl、InCl、SbCl、HfCl、TaCl、WCl、OsCl、IrCl、AuCl、AuCl、HAuCl、HgCl、CeCl、NdCl、ErCl、OsOまたはそれらの任意の好適な錯体(任意の好適な塩または塩錯体を含む)を含む群から選択されてもよい。特定の実施形態では、金属化合物は、クロロ金酸(金塩化水素酸、HAuCl)またはその水和物(HAuCl・4HO)である。別の実施形態では、金属化合物は、塩化金酸ナトリウム(NaAuCl)またはその水和物(例えばNaAuCl・2HO)である。特定の実施形態では、金属化合物はハロゲン化水銀(II)である。特定の実施形態では、金属化合物は二塩化水銀である。特定の実施形態では、金属化合物は二ヨウ化水銀である。
【0291】
二次電子発生剤は、好適には、特に溶媒中に好適に溶解されるレジスト組成物内で、非粒子状である。二次電子発生剤は、好適には、レジスト組成物に溶解する。これにより、最終的に塗布されたレジストコーティングにおいてその均一な分布が可能になり、金属有機ナノ複合コーティングの形成が促進され得る。
【0292】
本発明の文脈において、SEGは、好適には、散乱防止化合物/構成成分によって付与される有益な特性に対する解像度に(実質的に)悪影響を及ぼすことなく、関連する暴露照射線に対するレジスト感度を高めるために組み入れられる。これは、過剰量の二次電子発生剤を使用しないことによって実現可能である。追加的にまたは代替的に、これは、好適には最終的なレジスト組成物の形成前に、二次電子発生剤をレジスト組成物の別の構成成分に慎重に接着させることによって実現可能である。このような実施形態では、二次電子発生剤は、SEG基、好適には別のレジスト構成成分(例えば、散乱防止化合物)に接着させたSEG基の形態であってもよい。
【0293】
特定の実施形態では、二次電子発生剤は、散乱防止化合物に接着されている。好適には、1つ以上の二次電子発生剤(複数可)は、1つ以上の散乱防止化合物に接着していてもよい。このような実施形態では、1つ以上の二次電子発生剤(複数可)は、1つ以上の散乱防止化合物に、好適には1つ以上の散乱防止化合物(複数可)に会合させた1つ以上の配位子を介して、好適には共有結合または供与結合される。好適には、「未加工」散乱防止化合物(すなわち、SEG基(複数可)が接着していない)は、二次電子発生化合物と反応させるか、または他の方法で混合させて、散乱防止化合物を二次電子発生剤と会合させるか、または二次電子発生剤に接着させる。従って、得られた二次電子発生剤は、元のSEG化合物から誘導されたSEG基であってもよい。このような反応は、散乱防止化合物内の配位基または結合基による初期の二次電子発生化合物の1つ以上の基、対イオン、または配位子の置換を含み得る。あるいは、二次電子発生化合物は未処置のままであってよく、また、いかなる置換も伴わずに散乱防止化合物と供与結合を形成し得る。例えば、二次電子化合物がルイス酸として作用してもよい。
【0294】
一例として、遊離孤立電子対を担持する1つ以上の配位子(アミン、イミン、ピリジンなど、例えば、ニコチン酸など)を含む散乱防止化合物(またはその前駆体)、好適には多金属ケージ型散乱防止化合物を二次電子発生化合物、例えば二ハロゲン化水銀(II)と反応させて、二次電子発生化合物またはそれらから誘導された二次電子発生剤基(例えば、対応する水銀(II)モノハライド基(-HgX))に共有結合または供与結合により結合した散乱防止化合物を含む散乱防止-SEG錯体を生成してもよい。
【0295】
特定の実施形態では、この散乱防止化合物は、好適には、本明細書で定義され、1つ以上の孤立電子対(複数可)を担持する1つ以上の配位子(好適には、アミン、イミン、ピリジン、アミドなどの孤立電子対を担持する窒素中心)を含む多金属ケージであり、(好適には、ルイス酸であるか、または置換可能な対イオン、配位子、もしくは基を含むかのいずれかである化合物から誘導される)二次電子発生剤基は、前述の孤立電子対(複数可)を介して散乱防止化合物に供与結合されている。代替的実施形態では、二次電子発生剤基は、反対の方法で、散乱防止化合物に接着されてもよい。例えば、二次電子発生化合物が、散乱防止化合物の金属中心と配位結合を形成する1つ以上の孤立電子対(複数可)を担持する1つ以上の配位子を含む。
【0296】
特定の実施形態では、散乱防止化合物は、散乱防止化合物の1分子当たり1つ以上のニコチン酸配位子を含む多金属ケージであり、1つ以上のハロゲン化水銀(II)二次電子基(好適には水銀モノハライド)は、それぞれ、ニコチン酸配位子のピリジル部分に供与結合される。
【0297】
二次電子発生剤(複数可)を散乱防止化合物に化学的に結合させることは(例えば、共有結合または供与結合を介して)、電子密度の高い散発的な(かつ好適には規則的にきちんと定義された)領域を導入し、局所的散乱を促進してレジスト感度を増大させ、高解像度のリソグラフィを促進する一般的に低濃度のレジスト組成物を有するという利点を損なうことがないことから、特に有益である。
【0298】
感光性構成成分
レジスト組成物/コーティングは、光開始剤、光酸または光増感剤などの感光性構成成分、好適にはレジスト組成物のレジスト構成成分(複数可)の変換の反応性を促進する構成成分を含むことができる。
【0299】
いくつかの実施形態では、レジスト構成成分は、感光性構成成分であり得るか、そうでなければ、感光性構成成分を含有するかまたは含んでもよい。例えば、いくつかのレジスト構成成分(例えば、追加の光開始剤、光触媒などの補助なく光分解反応を受けることができるもの)は、それ自体で光分解反応性であってもよい(ただし、これは、照射線源の関連する入射波長にも依存し得る)。したがって、レジスト組成物は、好適には、光酸または光開始剤を(実質的に)含まなくてもよい。
【0300】
しかし、感光性構成成分は、別個の光開始剤または光電子生成剤であってもよい。こうした光開始剤は、吸収された光エネルギー、UVまたは可視光を開始種、すなわちフリーラジカルまたはカチオンの形態の化学エネルギーに変換する化合物であってもよい。開始ラジカルが形成されるメカニズムに基づいて、光開始剤は一般に2つのクラスに分類される:
タイプI:照射時に単分子結合開裂を受けてフリーラジカルを生じる光開始剤、
タイプII:光開始剤の励起状態が第2の分子(共開始剤)と相互作用してフリーラジカルを生成する2分子反応を受ける光開始剤。
【0301】
本発明のレジスト組成物/コーティング内での使用に好適な感光性構成成分(複数可)としては、
アセトフェノン、アントラキノン、アントラキノン-2-スルホン酸、ナトリウム塩一水和物、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン/1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ジメチルベンゾフェノン、4-エトキシアセトフェノン、フェロセン、4-ヒドロキシアセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート(Methybenzoylformate)、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン、チオキサンテン-9-オン、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩を挙げることができる。
【0302】
特定の実施形態では、感光性構成成分は、2,2-ジエトキシアセトフェノンおよびトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラートからなる群から選択される。
【0303】
本発明のレジスト構成成分内での感光性構成成分の使用の決定は、例えば、入射波長、要求される感度、要求される解像度、関連するレジスト構成成分の固有の光分解反応性などのいくつかの要因に依存し得る。
【0304】
特定の実施形態では、レジスト組成物は、(実質的に)任意の追加の感光性構成成分(複数可)を含有しない(レジスト構成成分(複数可)の任意の固有の感光性にかかわらず(これが好適に望ましい))か、またはレジスト組成物は、散乱防止構成成分(複数可)とレジスト構成成分(複数可)との合計重量100重量部(pbw)当たり、1pbw以下の追加の感光性構成成分(複数可)、好適には、散乱防止構成成分(複数可)とレジスト構成成分(複数可)との合計重量500pbw当たり、1pbw以下の追加の感光性構成成分(複数可)、好適には、散乱防止構成成分(複数可)とレジスト構成成分(複数可)との合計重量1000pbw当たり、1pbw以下の追加の感光性構成成分(複数可)を含む。
【0305】
レジスト架橋剤
レジスト組成物は、好適には、レジスト架橋剤をさらに含むことができ、これは、好適には、レジスト構成成分に反応し(例えば、暴露中または暴露後処理中に)、レジスト構成成分間またはレジスト構成成分と別の構成成分との間の架橋を促進する架橋構成成分である。レジスト構成成分が別のレジスト構成成分と反応することができると言われる場合、このような反応は間接的であってもよく、かつ介在するレジスト架橋剤を含んでもよい。好適な架橋剤は当該技術分野において公知である。
【0306】
架橋剤は、好適には、照射暴露後の現像液不溶性レジストの形成を促進する。
【0307】
任意の好適な架橋剤を使用することができるが、架橋剤は、照射源およびレジスト組成物およびその構成成分との最大の相溶性のために慎重に選択されるのが最も有利である。
【0308】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、ジペンタエリスリオール(erythriol)ペンタアクリレート(DPEPA)もしくはペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET)、または任意の他の好適な混和性多官能性アクリレートおよび/もしくはその混合物である。他の架橋剤はエポキシ(SU8)が挙げられるか、または使用されるコポリマーが例えばポリヒドロキシスチレンである場合、溶解性の変化をもたらすために好適な光酸発生剤を使用することができる。
【0309】
プラズモン構成成分
レジスト組成物/コーティングはプラズモン構成成分を含んでもよい。プラズモン構成成分は、好適には、本発明のレジスト組成物でコーティングされた表面上の表面プラズモン共鳴(SPR)効果を生じさせる構成成分または材料である。これらのプラズモン共鳴効果は、表面プラズモンが非常に低い波長を有し、入射照射線を非常に小さい次元に閉じ込める能力を継承することができるため、高解像度のリソグラフィを容易にすることができる。これについては、文献に報告されているとおりである(例えば、Lewis Sら「High density self assembled nanoparticle film with temperature-controllable interparticle spacing for deep sub-wavelength nanolithography using localized surface Plasmon modes on planar silver nanoparticle tunable grating」Microelectronic Engineering 85(2008年)486-491)。
【0310】
表面プラズモン共鳴は、誘電率の異なる(典型的には負および正の誘電率材料)材料間の界面に位置する伝導帯電子の照射線刺激(例えば、UVまたは光)共鳴振動を含む当該技術分野において周知の現象である。共鳴は、正の核の復元力に抗して振動する表面電子の固有振動数に周波数が一致する光子によって誘発される。
【0311】
このように、プラズモン構成成分は、前述のSPR効果をもたらす構成成分である。好適には、プラズモン構成成分は、微粒子、好適にはナノ粒子である。したがって、レジスト組成物は、こうしたプラズモン構成成分のコロイド分散液または懸濁液であってもよい。したがって、得られるコーティングは、好適には、ナノ粒子プラズモン構成成分の薄い層(すなわち、ナノ粒子フィルム)を含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、レジスト組成物自体がプラズモン構成成分を含まなくてもよいが、その代わりにプラズモン構成成分は、関連する基板表面(別個のプラズモンコーティング組成物の一部として)上に、好ましくはそのプレレジストコーティング表面上に別個にコーティングされてもよい。リソグラフィの解像度をさらに改善するために、必要に応じて複数のプラズモンコーティングを施してもよい。
【0313】
任意の好適なプラズモン構成成分を使用することができる。最も好適には、プラズモン構成成分は、金属ナノ粒子、例えば銀または金ナノ粒子を含む。
【0314】
特定の実施形態
特定の実施形態では、レジスト組成物は、二次電子発生剤に共有結合または供与結合により結合された散乱防止化合物を含み、散乱防止化合物は、好適には、二次電子発生剤と供与結合を形成する1つ以上の孤立電子対を担持する配位子と会合した多金属ケージであり、二次電子発生剤は、金属化合物、金属含有基もしくは断片、または25以上のZeffを有する金属種である。
【0315】
特定の実施形態では、レジスト組成物は、散乱防止-二次電子発生ハイブリッド化合物(または錯体)(AS-SEGハイブリッド)を含み、AS-SEGは、
-1つ以上の金属種(好適には少なくとも2つの金属種、最も好適なクロムおよびニッケル)ならびに会合配位子のセットを含む多金属ケージであって、配位子の少なくとも1つは、供与孤立電子対を含み、かつ配位子のうちの少なくとも1つは、隣接する多金属ケージと架橋を形成することが可能なπ系またはπ結合を含む、多金属ケージと、
-多金属ケージの配位子のうちの1つによって担持された供与孤立電子対を介して多金属ケージに結合された二次電子発生基であって、金属中心(好適には、多金属ケージ内の任意のものとは異なり、好適には、より高い原子数を有する金属)化合物または基を含み、好適にはハロゲン化金属を含む、二次電子発生基と、を含む。
【0316】
本発明のレジスト組成物を用いたリソグラフィ
本発明は、リソグラフィを実施する方法を提供し、この方法は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
iii)上記暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、上記レジストパターン層は、上記レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と上記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、
iv)上記レジストパターン層の下にある上記基板、基板表面またはその一部分(複数可)を改変する任意的ステップと、
v)任意によりレジストパターン層を除去して改変された基板を提供するステップと、
vi)上記改変された基板において、ステップiv)および/またはステップi)~v)を任意的に1回以上繰り返すこと(任意により、上記レジストコーティングの代わりに標準的なフォトレジストなどの代替的レジストコーティングを用いて、および任意により、暴露中に代替照射線を使用すること)と、を含み、
この方法のステップ(i)より前に、レジストコーティングまたは代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、および暴露中に電磁波照射線または代替照射線のいずれかを用いて、ステップ(i)~(vi)(すなわち、前工程(i)~(vi))を実施することが、任意により1回以上繰り返され、
上記レジストコーティングは、本明細書で定義される、任意的に、乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含む。
【0317】
好適には、この方法は、少なくとも1回のフォトリソグラフィサイクル、好適には本発明のレジストコーティングを伴う。好適には、こうしたフォトリソグラフィは、本発明の方法によって生成されたフォトマスクであるか、または標準的なフォトマスクであるか、フォトマスクを使用して実施することができる。
【0318】
この方法のステップ(i)は、レジストコーティングまたは代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、および暴露中に電磁波照射線または代替照射線のいずれかを用いて、任意により、ステップ(i)~(vi)を実施すること先に行って(すなわち、前工程(i)~(vi))、任意により1回以上繰り返される。
【0319】
レジストコーティングは、好適には、本明細書で定義される任意により乾燥されたおよび/または硬化されたレジスト組成物を含むかまたは本質的にそれからなる。しかし、レジストコーティングは、1つ以上のコーティング層を含むことができ、そのうちの少なくとも1つの層が本発明のレジストコーティングである。一実施形態では、レジストコーティングは、その上に1つ以上の追加のコーティング(例えば、プラズモンコーティング)を含み得る。
【0320】
本発明はさらに、この方法によって得ることができるか、この方法によって得られるか、またはこの方法によって直接得られるイメージングされた基板を提供する。
【0321】
このような方法は、イメージングのために、パターン形成された基板を調製するため、基板の表面を選択的に改変するために、および多層基板(例えば、集積回路)を製造するために、好適には本明細書で定義されているとおり使用されてもよい。
【0322】
特定の実施形態では、上記の方法は、集積回路(多層基板の一例である)または複数の集積回路(例えば、ウェハ上の)の製造に使用される。当業者は、集積回路の製造に使用される標準的な製造プロセスを十分に認識している。本発明の方法は、集積回路の1つ以上の層を生成するために使用され、いくつかの実施形態では、全ての層を生成するために使用されてもよい。しかし、1つまたはいくつかの解像度限界層にのみ高解像度が必要とされることがあるので(例えば、解像度が全ての層にとって重要ではない場合)、他の層の製造に代替的リソグラフィ方法(例えば、標準的フォトリソグラフィ)を伴うことがある。このようにして、本発明のリソグラフィ方法は、集積回路の組み立てにおけるリソグラフィの他の形態(例えば、既存のフォトリソグラフィ技術)を補完することができる。
【0323】
基板
リソグラフィが実施される基板は、任意の好適な基板であってもよい。
【0324】
基板は、好適には、単一の固体またはその一部である。基板は、好適には、(実質的に剛性の)プレート、ウェハ、またはシート、最も好適にはウェハの形態である。
【0325】
本発明の方法によれば、特定の処理ステップは、(例えば、「基板」を指すステップを含む)「繰り返す」ことができるので、「基板」は、最初の「投入基板」(すなわち、本発明の任意の方法ステップが実施される前に)または「改変された基板」(特定の方法ステップの後)を指すことができる。このように、原理的には、「基板」は、リソグラフィによる処理に好適な任意の基板(部分的に作られた製品または集積回路など)であってもよい。
【0326】
基板(投入基板または改変された基板のいずれか)は、好適には、予め形成されたレジストコーティング基板の一部分であるか、または本明細書で開示される多くの方法(例えば、ステップi)のレジストコーティングが塗布される基板である。このように、基板は、レジストコーティング自体に言及することなく(その性質、パラメータ、材料の形態などに関して)定義されてもよい。基板または改変された基板は、レジストコーティングでコーティングする前に平坦化されてもよい。
【0327】
いくつかの実施形態では、本発明の方法(複数可)が適用される基板(またはその一部分)は、最終(印刷された)製品(例えば、集積回路)に組み込まれるが、それ自体が製品(例えば、集積回路および/または電子デバイス)に組み込まれてもよい。換言すれば、「イメージングされた基材」は、消耗品であるか、もしくは消耗品になるか、または消耗品に組み込まれるか、もしくは組み込まれるようになる可能性がある。このような消耗品には、集積回路、集積回路ダイもしくはウェハ、集積回路パッケージ、回路基板、または電子デバイスもしくはシステムが含まれる。
【0328】
しかし、いくつかの実施形態では、本発明の方法(複数可)が適用される基板(またはその一部分)は、最終(印刷された)製品(例えば、集積回路)には組み込まれず、むしろ、例えば、このような最終(印刷された)製品を製造するために使用されるフォトリソグラフィに使用するためのフォトマスクなどのリソグラフィマスク(ポジティブまたはネガティブのいずれでもよい)などのツールに組み込まれる。換言すれば、「イメージングされた基板」は、消耗品を製造するためのツールであってもよい。従って、本発明の利点(例えば、高解像度)は、リソグラフィツール(例えば高解像度のリソグラフィマスク)に付与されてもよく、その後、前述のツールを使用して作製された最終(印刷された)製品に付与されてもよい。このように、(本発明による)超高解像度フォトリソグラフィは、対応する超高解像度リソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)を生成するために使用され得、フォトリソグラフィなどの超高解像度リソグラフィにおいて使用して、超高解像度集積回路(またはその1つ以上の超高解像度層)を製造され得る。このように、本発明は、リソグラフィマスクおよび本明細書で定義されるリソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)を製造する方法、ならびに集積回路、集積回路ダイもしくはウェハ、集積回路パッケージ、回路基板、または電子デバイスもしくはシステムの製造におけるこのようなリソグラフィマスクの使用を提供する。
【0329】
基板は、好適には、基板の基部材料を含むか、またはそれから本質的になる。
【0330】
基板の基部材料は、本発明の方法(複数可)において使用するための任意の好適な材料を含むか、または本質的にそれらからなることができる。基板の基部材料(および好適には全体としての基板の基部層)は、好適には単一の物質(元素もしくは化合物)または単一の複合材料(2つ以上の元素および/もしくは化合物の混合物)である。しかし、基板の基部材料は、多層複合材料であってもよい。
【0331】
基板(またはその一部)が最終(印刷された)製品(例えば、集積回路)に組み込まれず、むしろ、ツール(例えばリソグラフィマスク)に組み込まれる場合には、好適には、基板の基部材料は問題になっているツールに適した材料である。好適には、基板の基部材料は、(潜在的に、1つ以上の材料の1つ以上の層を含む)リソグラフィプレートである。ツールがリソグラフィマスク(例えばフォトマスク)である場合、基板の基部材料は、最終的なマスクの性質に応じて、関連する照射線(例えば、フォトマスクの場合はUVまたは可視光)に対して(実質的に)透明または(実質的に)非透明であってもよい。例えば、マスク製造プロセス中に基板の基部材料上に不透明領域を生成することによってリソグラフィマスクが形成される場合には、関連する照射線に対して(実質的に)透明な基板の基部材料を使用することができる(例えば、除去されないレジストコーティングは不透明領域を提供してもよく、または不透明領域は、慎重な表面改変によって生成され得る)。あるいは、マスク製造プロセスの間に基板の基部材料上に透明領域を生成することによってリソグラフィマスクが形成される場合、関連する照射線に対して(実質的に)不透明または非透明である基板の基部材料を使用してもよい(例えば、このプロセスは、例えば、エッチングを介して基板の基部材料の一部分を除去する表面改変を伴う)。他の実施形態では、基板の基部材料は、関連する照射線に対して(実質的に)透明である材料(例えば、ガラス、透明プラスチック)の少なくとも1つの層と、関連する照射線に対して(実質的に)不透明である材料の少なくとも1つの層を含む、積層複合材であってもよく、このような状況下で、リソグラフィマスクを製造するプロセスは、透明部分を残すために不透明材料領域を除去することを伴ってもよい。
【0332】
フォトマスクなどのリソグラフィマスクは、クロム金属吸収フィルムで画定されたパターンによって覆われた透明な溶融シリカの層を含むことができ、このパターンは本発明の方法に従って生成され、これにより高解像度パターンが得られる。次いで、このようなマスクは、集積回路などの高解像度製品を製造するために、本発明のリソグラフィ方法で使用することができる。
【0333】
基板(またはその一部分)を最終(印刷された)製品に組み込む場合、好適には、基板の基部材料は、問題になっている製品に適した材料である。特定の実施形態では、ベース基板は電子部品基板である。好適な電子部品基板としては、シリコン(例えば、シリコンウェハ)、銅、クロム、鉄、アルミニウム、またはガラスを含むか、またはそれらから(実質的に)作製された基板を挙げることができる。ベース基板自体は、例えばそれに塗布されるレジストコーティングの下地としての表面コーティングを含むことができる。特定の実施形態では、ベース基板はシリコン基板である。基板の基部材料は、半導体材料、最も好適にはシリコン、最も好適には単一のモノリシックシリコン結晶を含むか、またはそれらから本質的になることができる。最も好適には、基板の基部層はシリコンウェハである。好適には、本発明のレジストコーティングおよび組成物が集積回路の組み立てに使用される場合、投入基板は、部分的に組み立てられた集積回路であってもよく、集積回路のいくつかの層が既に形成されている(任意により、本発明のレジストコーティングまたは組成物を用いてまたは用いずに、標準的なフォトリソグラフィなどの従来のIC組み立て技術を用いて他の層を形成してもよい)。さらに、集積回路の一部分の組み立て中に本発明のレジストコーティングが使用され(かつ好適には除去され)た後、集積回路のさらなる層が形成されてもよい(任意により、本発明のレジストコーティングまたは組成物を用いてまたは用いずに、ここでも標準的なフォトリソグラフィなどの従来のIC組み立て技術を用いて他の層を形成してもよい)。
【0334】
基板は、(例えば、投入基板が表面酸化、リソグラフィおよび/または他の基板改変ステップ(複数可)を介して、まだ改変されていない場合などの)基板の基部材料から本質的に構成されてもよい。
【0335】
しかし、代替的に、基板(投入基板を含み得る)は、好適には、改変にさらされた基板の基部材料(好適には、基板の基部材料から本質的になる)(例えば、改変された基板)を含む。このような改変された基板は、本発明の方法(複数可)に基板が供される前に、前処理ステップまたは事前コーティングステップ(例えば、レジストコーティングでコーティングする前に酸化シリコン絶縁層を製造するためなどの表面の熱酸化)によって改変されているか、本発明の方法(複数可)に供される前に別の方法で改変されている(例えば、フォトリソグラフィなどの代替技術を使用して、形成された部分的に形成された集積回路)か、または本発明の方法(複数可)(もしくはそれらのいくつかのステップ(複数可))に基板が供されている間、もしくはその後に改変されている、基板の基部材料を含むことができる。各さらなる基板層は、好適には、さらなる基板材料を含むかまたは本質的にそれからなり、これらは基板の基部材料と同一であっても、または異なっていてもよい。特定の実施形態では、1つ以上のさらなる基板層は、基板の基部材料を含むかまたは本質的にそれらからなるが、必ずしも基板の基部層の一部分ではない。
【0336】
好適には、基板の基部層は、基板の基部に向かって(または基板の基部で)、好適には、その暴露面(すなわちレジストコーティングが照射線に暴露される表面であって、この表面は、処理中でのレジストコーティングされた基板の最終的な配向とは関係なく、基板の最上面と考えられ得る)に対して配置される。
【0337】
好適には、本発明の方法(複数可)は、基板の基部層上に、任意によりその後に互いの上に追加の層(複数可)(部分層(複数可)を含む)を生成するステップと、基板の基部層もしくは任意のさらなる基板層(複数可)のいずれかの中に追加の層(複数可)を組み込む(例えば、ドーピングを介して)ステップと、ならびに/または基板の基部層の一部分(複数可)および/もしくはさらなる基板層の一部分(複数可)を除去する(例えば、エッチングによって)ステップと、を含む。好適には、本発明の方法(複数可)は、その底部に向かって(またはその底部に)基板の基部材料を含む多層基板を製造する。基板の基部層は、好適には基礎であり、その上に他の層が構築される。
【0338】
好ましい実施形態では、投入基板は、酸化された(好ましくは熱酸化された)基板の基部材料の層の下にある基板の基部層を含む。特定の実施形態では、投入基板は、酸化シリコン(または二酸化シリコン)層の下にあるシリコンウェハ(好適にはシリコン単結晶)を含む。
【0339】
当業者には理解されるように、リソグラフィマスク(例えばフォトマスク)が、標準的なフォトマスクであるか、または本発明の方法(複数可)によって形成されたものであり、その後のリソグラフィ(例えば、代替的にイメージングされた基板、多層基板、集積回路などを形成するために)で使用される場合、同じ基板の基部材料(例えば、シリコンウェハ)を使用してもよい。さらに、本明細書で定義したものと同じリソグラフィ方法を使用することができるが、代替的レジストコーティング(複数可)、リソグラフィ方法(例えば、暴露および現像方法)では、レジストコーティング(複数可)および本発明の特定の方法ステップの代わりにまたはこれらに加えて(例えば、繰り返しステップ)、リソグラフィマスクと共に使用されてもよい。
【0340】
本発明の方法は、シリコンベースの集積回路およびそれに由来する製品の製造に特に適用可能であるが、本発明は、電子部品の構築に使用される将来の材料、例えばグラフェンベースの材料にも等しく適用可能である。
【0341】
レジストコーティング材料およびその形成
本発明は、本明細書で定義されるレジストコーティング材料、およびレジストコーティング材料の形成方法を提供する。レジストコーティング材料または基板は、本明細書で定義される「基板」であり、その表面(または表面の一部分)上にレジストコーティングを有する。
【0342】
レジストコーティング材料は、好適には、本明細書で定義されるレジスト組成物で投入基板をコーティングすること、および任意によりその後、コーティングを硬化および/または乾燥させて、基板上にレジスト組成物のコーティングを形成することを含む。
【0343】
投入基板をコーティングすることは、好適には、レジスト組成物を投入基板の表面(複数可)に塗布することを伴って、当業者に周知の任意の数の方法によって行われてもよい。好適には、基板(基板の基部材料、多層基板、投入基板または改変された基板の単一体である)にレジストコーティングを塗布することは、レジスト組成物をその表面(または表面の一部分)に塗布すること(好適には、本発明のレジスト組成物が本発明の方法(複数可)において少なくとも1回は使用される限り本明細書で定義されるようにであるが、加えて本発明の範囲外の代替的レジスト組成物を使用してもよい)、ならびに任意によりその後に、塗布したレジスト組成物を硬化および/または乾燥させて、レジストコーティングを形成することを含む。レジスト組成物は、レジスト組成物は任意の好適な方法で塗布してもよいが、最も好適には、レジスト組成物は浸漬、噴霧、はけ塗り、ローラーコーティング、および/またはスピンコーティングによって塗布される。最も好ましくは、レジスト組成物は、集積回路の組み立て中に特に好適であるスピンコーティングによって基板に塗布される。特定の実施形態では、レジスト組成物は、スピンコーティング(例えば、スピナーを使用)を介してベース基板または投入基板に塗布され、好適には、これによりレジストスピンコーティングされた投入基板が形成される。最も好適には、塗布されたレジスト組成物は、硬化および/または乾燥される(好適にはベークによって)。レジストコーティングは、好適には、(実質的に)均一な厚さを有する。当業者は、リソグラフィの前に基板にレジストコーティングを塗布する方法について精通している。
【0344】
基板がレジストコーティングなどのコーティングを含むか、またはコーティングによってコーティングされていると言われる場合には、好適には、コーティングは基板の表面(またはその一部分)を覆っている。
【0345】
ベース基板または投入基板にレジスト組成物でコーティングした後、好ましくは、コーティングは硬化および/または乾燥させる。好適には、コーティングは、ベース基板または投入基板上にレジスト膜を形成するのに好適な温度、圧力、および時間で、乾燥される。温度(および圧力、特に減圧を使用する場合の圧力)は、レジスト組成物の特定の溶媒との相溶性の(例えば、溶媒を蒸発させる)ために選択され得る。特定の実施形態では、コーティング(またはコーティングされたベース基板またはコーティングされた投入基板)は、大気圧(約1バール)および60~200℃(より好適には80~180℃)の温度で30秒~5分(好適には90~150秒、好適には約120秒)間ベークさせる。好適には、このような硬化/乾燥により、レジスト組成物中に存在する溶媒(複数可)の一部、大部分または全てが除去され得る。散乱防止化合物(複数可)が溶媒和物と会合している場合、好適には、溶媒和物の一部、大部分または全てが硬化および/または乾燥によって除去される。
【0346】
コーティングの平均厚さは、好適には10~500nm、好適には50~200nmである。コーティングの最大厚さは、好適には1000nm、好適には500nmである。コーティングの最小厚さは、好適には5nm、好適には20nmである。本発明の技術により、極めて薄いレジストコーティングの効果的で高品質なパターニングが可能になる。
【0347】
本発明のレジストコーティングは、ベース基板および投入基板、特に電子部品に適したそれらの基板に対して良好な接着性をもたらす。
【0348】
暴露および照射
レジストコーティングの一部分(複数可)が照射線に暴露されることで、暴露されたレジストコーティングが得られる。
【0349】
好適には、レジストコーティング材料のコーティングの一部分(複数可)を照射線に暴露させることは、この部分(複数可)が選択的に暴露され、他の部分(複数可)は選択的に暴露されないことを伴う。このように、この方法は、好適には、コーティングの全てを照射線に暴露させることを含まない。
【0350】
コーティングの一部分(複数可)が選択的に暴露されることは、集束されたまたは標的とされたビーム(例えば、電子ビームまたはレーザービーム、例えばUV-レーザービーム)またはブランケットフラッド暴露(すなわち、集束されていない/標的とされていない)により関連部分(複数可)を直接照射すること、コーティングの暴露部分(複数可)の位置に対応する所定の孔を含むマスク(好ましくは、例えば、フォトレジストを使用する場合はフォトマスク)を介してコーティングを暴露させることを伴ってもよい。使用される特定の暴露技法は、用られる特定の照射線に依存し得る。
【0351】
好適には、コーティングの暴露部分(複数可)は、好適には任意の暴露後ベークの前または後であっても、好適には任意のこのような暴露後ベーク前であっても、(好適には、例えば、本明細書に記載される現像媒体のうちの1つである所定の現像媒体に対して)変換、好適には化学的変換を受け、好適にはその溶解特性を変化させる。
【0352】
好適には、「照射暴露」されたコーティングの部分は、「照射暴露」されていないコーティングの部分とは異なる溶解特性を有する。好適には、この溶解性の差により、(レジストがポジティブ型レジストであるかネガティブ型レジストであるかに依存して)コーティングの「照射暴露」された部分または「照射暴露」されていない部分の現像および選択的除去が可能になる。
【0353】
コーティングの暴露は、現像可能な基板(すなわち、パターン形成された基板を生成するために現像を受けることができる基板)に直接導かれ得る。しかし、追加の後続の処理ステップを用いることができる。好適には、コーティングの照射暴露に続いて、暴露後ベークが行われてもよい。暴露後ベークは、現像可能な基板を形成するのに好適な温度および圧力および時間で、ベークすることを含むことができる。温度(および圧力、特に減圧を使用する場合の圧力)は、レジスト組成物の特定の溶媒との相溶性の(例えば、溶媒を蒸発させる)ために選択され得る。特定の実施形態では、暴露されたコーティング(または暴露されたコーティングベース基板もしくは暴露されたコーティング投入基板)は、大気圧(約1バール)および60~200℃の温度(より好適には80~180℃)で、30秒~5分(好適には90~150秒、好適には約120秒)でベークさせる。
【0354】
レジスト組成物との使用に好適な任意の照射線を使用することができる。好適には、特定の照射線で暴露するためにレジスト組成物が配合され、このため、問題のレジスト組成物に基づいて照射線を選択することができる。好適には、問題になっている照射線は、電磁波照射線(特に紫外線)または電子ビームのいずれかである。好ましくは、照射線は電磁波照射線である。
【0355】
好適には、電磁波照射線は、10nm~1000nm、好適には50nm~700nm、好適には100nm~400nm、好適には150~300nm、好適には170~280nmの波長の照射線を含む。最も好適には、電磁波照射線は紫外線照射線である。好適には、電磁波照射線は、10~30nm、好適には11~20nm、好適には12~15nmの波長の照射線を含むことができる。
【0356】
好適には、「照射線」は規定された波長または規定された波長範囲を有すると言われる場合はいずれも、好適には、この規定された波長または波長範囲は、「照射線」の全強度の少なくとも20%、好適には少なくとも50%、好適には少なくとも80%、または好適には実質的に全てから構成される。
【0357】
レジストコーティングおよび現像媒体の開発
本発明は、本明細書で定義されるパターン形成された基板、およびその調製方法(例えば、暴露されたレジストコーティング材料を現像する方法)を提供する。好適には、「現像」はレジストコーティング内に溝を形成し、これによりパターン層を形成する。
【0358】
暴露されたレジストコーティングを現像するステップは、レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)を含むレジストパターン層と、レジストパターン層を通って延在する溝の列とを生成する。特定の実施形態では、レジストパターン層の下にある基板の表面は、隆起によって好適にマスキングされるが、溝の中/側に暴露される。
【0359】
暴露されたレジストコーティング材料を現像することは、好適には、現像媒体を用いて行われる。このようにして、暴露されたレジストコーティング材料または少なくともその暴露されたコーティングは、好適には、レジスト組成物のコーティングの暴露部分(複数可)(ポジティブ型レジスト用)または非暴露部分(複数可)(ネガティブ型レジスト用)のいずれかを除去するのに充分な方法(好適には溶解を介して)で、現像媒体(好適には液体)と好適に接触(例えば、それにより洗浄および/またはその中に浸漬)される。最も好適には、現像媒体は、好適には、非暴露部分(複数可)を除去する。
【0360】
上述したように、レジストコーティング材料を暴露させることで、一般に、コーティングの暴露部分(複数可)に、コーティングの非暴露部分(複数可)に対して異なる溶解性(好適には所定の現像媒体について)を持たせる。コーティングの暴露部分(複数可)と非暴露部分(複数可)との間のこの溶解性の差は、暴露されたコーティングレジスト材料のその後の現像を容易にするのに役立つ。このように、コーティングの暴露部分(複数可)または非暴露部分(複数可)のいずれかを選択的に除去して(好ましくは溶解させるか、または別の方法で動員させる)、コーティングをパターン層を通って(すなわち、元のコーティングを通って)延在する溝の列を含むパターン層に変換させ得る。次いで、パターン層の溝は、除去されたコーティングの部分(複数可)に対応し、パターン層の隆起/突起(すなわち、非溝)部分(複数可)は、残存しているコーティングの部分(複数可)に対応する。したがって、パターン層(好適には、その非溝部分(複数可))は、好適には、レジスト組成物のコーティングの暴露部分(複数可)(ポジティブ型レジスト用)または非暴露部分(複数可)(ネガティブ型レジスト用)のいずれかである隆起または突起(すなわち、溝の間)を含む。
【0361】
特定の現像条件は、例えば、得られたパターン形成された基板の品質を最適化するため、または現像プロセスを最適化するために調整することができる(コスト、速度、または最終製品の品質を考慮して)。現像時間(例えば、暴露させたコーティングの浸漬時間)は、例えば、除去することが意図されたコーティングの部分(複数可)の除去を最大にし、かつ残存することが意図されたコーティングの部分(複数可)の除去または損傷を最小にするように最適化され得る。同様に、現像媒体は、現像プロセスまたは得られる製品のいずれかまたは両方を最適化するように調整することができる。
【0362】
好適には、現像後、パターン形成された基板を調製する方法は、好適には有機溶媒を含む、好適にはすすぎ媒体でパターン層をすすぐことを含む。
【0363】
好適には、現像後、および任意によりすすぎ後に、この方法はさらに、パターン形成された基板を乾燥(またはベーク)することを含む。
【0364】
現像媒体自体は、当技術分野で公知の任意の好適な現像媒体であってもよい。好適には、現像媒体は、レジスト組成物(またはそのコーティング)を補完する。最も好適には、現像媒体は、好適にはレジストコーティングの暴露部分と未暴露部分との間のコントラスト(すなわち、差のある溶解性および/または可溶化速度)を最適化するために、レジスト組成物およびその暴露後の対応物の溶解特性を補完する。
【0365】
レジスト組成物(またはそのコーティング)がネガティブ型レジストである場合、好適には、現像媒体は、溶媒を含み、その中で、散乱防止構成成分および/もしくはレジスト構成成分は(実質的に)可溶性であるか、または散乱防止化合物および/もしくはレジスト構成成分の暴露後の対応物よりも少なくとも溶解性が高い。レジスト組成物(またはそのコーティング)がポジティブ型レジストである場合、好適には、現像媒体は、溶媒を含み、その溶媒中で、散乱防止化合物および/もしくはレジスト構成成分は(実質的に)不溶性であるか、または散乱防止化合物および/もしくはレジスト構成成分の暴露後の対応物よりも少なくとも可溶性が低い。
【0366】
現像媒体は、現像による除去を意図した暴露または非暴露(ポジティブまたはネガレジストのいずれかによって異なる)レジスト組成物(またはそのコーティング)の全ての構成成分が溶解されても溶解されなくてもよいが、任意の不溶性(または可溶性の低い)構成成分は、不溶性構成成分が混合されたレジスト構成成分またはその暴露後の対応物の溶解(または部分溶解)後にスラリー、懸濁液または分散液中でさらに除去されてもよい。
【0367】
本発明のレジストコーティングのための現像媒体は、有機溶媒、好適には非極性有機溶媒を好適に含むかまたはそれらからなり、好適にはこれは有機化合物である。有機溶媒は、1つ以上の炭化水素溶媒、好適には1つ以上の(4~12C)の炭化水素溶媒から好適に選択される。例えば、有機溶媒は、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルペンタン、ペルフルオロヘキサンおよびペルフルオロペンタン(perfluronpetane)、ならびに、芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエン、エチルメチルプロピルベンゼン(ethylmethpropylbenzene)、ジメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼンおよびジプロピルベンゼン)のうちの1つ以上から選択され得る。特定の実施形態では、本発明のレジストコーティング用現像媒体はヘキサンである。特定の実施形態では、本発明のレジストコーティングのための現像媒体はMTBEである。
【0368】
パターン層は、パターン層を通って延在する溝の列(すなわち、溝パターン)および隆起/突起の列(すなわち、パターン層の非溝部分(複数可))を含むと考えられ得る。好適には、隆起は現像液不溶性コーティング部分に対応し、好適には、溝は現像液可溶性コーティング部分に対応する(すなわち現像時に除去される)。
【0369】
好適には、溝のアスペクト比(すなわち、幅/高さ比)は、1:1以上、好適には5:1以上、好適には10:1以上であり、驚くべきことにアスペクト比15:1以上、またはさらには20:1以上に達してもよい。本発明の根底にある技術は、特に、散乱防止化合物が使用される場合に、極めて高いアスペクト比を達成可能となる。
【0370】
パターン形成/現像された基板のさらなる処理
暴露されたレジストコーティングを現像した後、特許対象層の下にある基板の表面は、いくつかの方法のうちの任意の1つ以上で選択的に改変され得る。基板、基板表面、またはそれらの一部分(複数可)を選択的に改変するステップは、無期限に(残留レジストパターン層を除去する前または後、および任意により更なるリソグラフィ段階後に)繰り返し得ることから、1つ以上の連続的な選択的基板/表面の改変ステップを続いて行ってもよい。これは、任意により本明細書に詳述されたもののいずれか、またはこれらの組み合わせから選択され得る。
【0371】
好適には、このような選択的改変の間に改変された基板/表面の部分(複数可)は、パターン層内の溝によってまたはそれらの溝の下にある暴露された部分(複数可)である(すなわち、改変される下にある表面は、暴露されても/可視化されてもよく、またはその上に残存しているレジストの比較的薄い層のみを有してもよい)。
【0372】
基板/表面を選択的に改変することは、基板/基板表面の一部分(複数可)を除去すること、基板/基板表面に(上に)材料を追加もしくは堆積すること、ならびに/または基板/基板表面の一部分(複数可)を変更すること、を伴ってもよい。
【0373】
基板/表面を改変することは、基板/基板表面の一部分(複数可)を除去することによって、例えば、基板/表面をエッチングすることを伴ってもよい。集積回路の組み立ての文脈において、典型的には、このようなエッチングは、絶縁材料(例えば、酸化シリコン/二酸化シリコン層、好適には、これにより下にある導電材料を保護する)を除去し、好適には、これにより下にある導電性材料(例えばシリコン)が露わになるように行われる。代替的にまたは付加的に、エッチングは、導電性材料(例えば、シリコン)をエッチングすることを伴ってもよく、例えば、シリコン表面の深部にエッチングされたトレンチを介してキャパシタを生成することができる。
【0374】
リソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)を製造する文脈においては、このようなエッチングにより、不透明材料または層を除去して、(例えば、得られたリソグラフィマスクを通ってリソグラフィ暴露中に)照射線が通過し得る下にある透明材料を曝露させ得る。
【0375】
エッチングは、(本質的に保護されている)隆起の下にある基板/表面の部分(複数可)ではなく、パターン層の溝(複数可)の下にある基板/表面の部分(複数可)を好適に選択的にエッチングする。
【0376】
基板/基板表面の部分(複数可)を変更することによって基板/表面を改変することは、例えば、(例えば、リソグラフィマスクの製造において)基板/表面の透明性を変えること、または(例えば、集積回路を製造する場合)基板/表面(またはその関連部分(複数可))の電気的特性を変えることを伴ってもよい。基板/表面の電気的特性を変えることは、改変される(例えば、溝によって暴露される)下にある基板/表面が半導体(例えばシリコン)である場合に特に適用可能である。基板/表面(複数可)の電気的特性を変えることは、基板/表面の関連する部分(複数可)を「ドープすること」を伴うことができる。ドープすることは、半導体技術の分野において周知の現象であり、集積回路内の電子部品(例えば、ダイオード、論理ゲート、トランジスタなど)の作製が容易になる。このようなドープすることは、拡散(例えば、ドーパントが基板に拡散し、これにより基板内に埋め込まれるように)、イオン注入(例えば、イオンビームにより基板にイオンを注入する)など、当技術分野で周知の技術を用いて行うことができる。
【0377】
しかし、ドープすることは、ドープされた堆積物のエピタキシャル成長(例えば、Si-Ge層のエピタキシャル成長)によるなど事前に堆積することによって達成することができる。
【0378】
基板/表面の一部分(複数可)を変えることによって基板/表面を改変することは、代替的にまたは追加的に、好適には基板/表面の一部分(複数可)を変換させることによって、例えば、熱酸化(例えば、シリコンなどの導体の熱酸化により、絶縁体の二酸化シリコンを生成すること)を介して、絶縁層(または分離層)またはゲートを形成することを伴ってもよい。
【0379】
基板/基板表面に(またはその上に)材料を追加または堆積することによって基板/表面を改変することは、例えば、電子部品または導電性素子を絶縁するために、例えば、絶縁材料を堆積することを伴うことができる。あるいは、導電性材料(例えば、金属めっきなど)を堆積することを伴ってもよい。
【0380】
前述の表面改変ステップのいずれか、いくつか、または全てを展開させて、(好適には、連続して、任意により、例えば、再コーティング、再暴露、再現像などのリソグラフィステップにより分散させることにより)集積回路(例えば、ダイまたはウェハ)などの多層基板を形成することができる。
【0381】
好適には、ある段階(例えば、1つ以上の表面改変後)で、1つ以上のレジストパターン層(レジストパターン層であってもなくてもよい)が除去される。このような除去(例えば、化学的除去、物理的除去、熱処理、照射線除去またはプラズマ灰化、または組み合わせ)のために、当技術分野で公知の様々な技術を展開することができるが、集積回路の組み立ての文脈においてプラズマ灰化が用いられ得る。あるいは、残留レジストパターン層(複数可)は、溶媒を用いて(例えば、溶解によって)または選択的エッチングプロセスを介して除去することができる。
【0382】
いくつかの実施形態では、一旦レジストパターン層が除去されると、改変された表面全体が全体として処理/改変されてもよい。
【0383】
ステップ(vi)は、(パターン層の除去の前および/または後の)連続的な表面改変ステップが実施され得るように、表面改変ステップを繰り返し行うことが可能になる。さらに、ステップ(vi)は、全てのリソグラフィステップ(ステップi)~iii))、さらなる表面改変ステップ(ステップiv))および任意のパターン層の除去(ステップv))ステップを任意の回数繰り返し行うことができる。この方法が、本発明のレジスト組成物/コーティングを伴う少なくとも1つのステップ、または本発明のツール(例えば、リソグラフィマスク)を伴う少なくとも1つのステップを含む限り、繰り返されるステップのいずれかまたは全てにおいて、(暴露中)本発明のレジストコーティングの代わりに代替的レジストコーティングを用いてもよい。あるいは、繰り返されるステップのいずれかまたは全てにおいて、本発明のレジストコーティングを使用することができる。したがって、繰り返すステップは限定されるものではなく、本発明の範囲外で、好適には集積回路などの製造において、多数の方法ステップが可能であることは明らかであるべきである。
【0384】
集積回路を作る文脈においては、基板/表面(またはその一部分(複数可))を選択的に改変することは、フロントエンドオブライン(FEOL)処理(例えば、トランジスタなどの電子部品を直接的に基板、すなわちシリコンに形成すること)を伴ってもよい。実際には、ステップ(i)~(vi)は、フロントエンドオブライン(FEOL)処理をまとめて構成してもよい。多層基板(その一例として集積回路)は、複数の繰返しステップおよび任意により前段階によっても作り上げることができることは理解されよう。
【0385】
前述の処理の選択肢および特徴は、リソグラフィマスクを製造する方法(集積回路の組み立てに関する特徴は明らかにリソグラフィマスクの作製には特に適用できないが)、リソグラフィを実施する方法(本発明の方法によって形成されたリソグラフィマスクを用いて)、多層基板の製造方法、または集積回路ダイもしくは複数の集積回路ダイを含む集積回路ウェハの組み立て方法に同様に適用され得る。
【0386】
典型的には、ステップ(vi)の後に、バックエンドオブライン(BEOL)処理(集積回路の組み立てにおいて使用される場合)などの1つ以上の仕上げステップを続けることができる。これは、電子部品を導電的に相互接続することおよび/または外部接触端子を提供することを伴ってもよい。
【0387】
任意の数の前段階がこの方法のステップ(i)の前に存在し得ることは明らかであろう。特定の実施形態では、投入基板は、それ自体、複数の前処理ステップを既に受けている、部分的に構築された集積回路ダイ(またはダイのウェハ)である。
【0388】
集積回路ウェハおよびダイ
本発明は、集積回路ダイ、または複数の集積回路ダイを含む集積回路ウェハを作る方法であって、上記集積回路ダイまたは上記複数の集積回路ダイの各ダイが、複数の電子部品を含む方法を提供し、この方法は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、
または
i)レジストコーティングされた基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップ(レジストコーティングは、リソグラフィマスク、例えばフォトレジストを介して暴露させるのに適した任意のレジストコーティングであり得る)と、
ii)暴露されたレジストコーティングをもたらすために、本明細書で定義されるリソグラフィマスク(例えば、フォトマスク)を通って(または本明細書で定義される方法によって得ることができる)レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線(例えばUVまたは可視光線)に暴露させるステップと、
および
iii)上記暴露されたレジストコーティングを現像してレジストパターン層を生成するステップであって、上記レジストパターン層は、上記レジストコーティングの現像液不溶性コーティング部分(すなわち隆起)と上記レジストパターン層を通って延在する溝の列と、を含む、ステップと、
iv)上記レジストパターン層の下にある上記基板、基板表面またはその一部分(複数可)を改変するステップ(これには、上記ダイまたは上記各ダイの上記電子部品を導体(複数可)に導電的に相互接続することを伴い得る)と、
v)上記レジストパターン層を除去して改変された基板を提供するステップと、
vi)上記改変された基板上で(本発明のレジストコーティングまたは代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、リソグラフィマスクの有無にかかわらず、本発明のレジストコーティングに適用可能な照射線または代替照射線のいずれかを用いて)ステップiv)および/またはステップi)~v)を任意的に1回以上繰り返すことと、
vii)外部接触端子を集積回路に提供するために、(1つ以上の基板/基板表面改変ステップ中にまだ実施されていない場合)、上記ダイまたは上記各ダイの上記電子部品を導体(複数可)に任意により導電的に相互接続するステップと、
viii)任意により1つ以上の更なる仕上げステップを実施するステップと、
ix)集積回路ダイを複数の集積回路ダイを含むウェハから任意により分離させるステップと、を含む。
【0389】
この方法のステップ(i)は、本発明のレジストコーティング、もしくは代替的レジストコーティングのいずれかを用いて、適した暴露照射と伴に、この方法のステップ(i)~(vi)を実施すること(すなわち、任意により2つのステップ(i)/(ii)の組み合わせのいずれかを使用して、前段階(i)~(vi)を行い)、および/またはリソグラフィを実施する方法のステップ(i)~(vi)を実施することを任意により先に行って、任意により1回以上繰り返される。
【0390】
好適には、レジストコーティングは、任意的に、乾燥および/または硬化されたレジスト組成物を含み、レジスト組成物は、散乱防止化合物を含む。
【0391】
特定の実施形態では、ステップ(i)および(ii)は、
i)本明細書で定義されるレジストコーティング基板を提供するステップ、または基板にレジストコーティングを塗布するステップと、
ii)レジストコーティングの一部分(複数可)を照射線に暴露させて、暴露されたレジストコーティングをもたらすステップと、を含む。
【0392】
集積回路ダイ、または複数の集積回路ダイを含む集積回路ウェハを作るこの方法に関する特徴(任意の、好適な、好ましい特徴を含む)は、前述のリソグラフィを実施する方法に関連して説明される。
【0393】
しかし、1以上の集積回路ダイ(dies or dice)の組み立てには多くの処理ステップを伴う可能性があり、多層基板の製造を伴い得ることを理解することが重要である。
【0394】
当業者には理解されるように、(回路基板に含めるための)集積回路の製造は、典型的には、ウェハ処理(すなわちシリコンウェハの処理)、ダイの調製(例えば、処理されたウェハからの各ダイの切断/分離)、集積回路のパッケージング(回路基板内で使用され得るように各ダイがパッケージングされる)、および好適には集積回路試験を行うことを伴う。
【0395】
ウェハ処理は当該技術分野において十分に理解されているが、ある実施形態では、ウェハ処理はウェットクリーニング;フォトリソグラフィ;イオン注入;ドライエッチングおよび/もしくはウェットエッチング;プラズマ灰化;熱処理(例えば、アニールまたは熱酸化);化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、分子線エピタキシー(MBE)、および/もしくは電気化学的堆積(ECD);ウェハ試験(例えば、電気的性能を検証するため)、およびウェハ裏面研削(ウェハの厚さを減少させ、結果として得られるダイおよびチップ)を含むことは注目に値する。本発明の方法、レジスト組成物/コーティングおよびリソグラフィマスクは、好適には、ウェハ処理中に少なくとも1回使用される。ウェハ処理中にレジストコーティングが使用される場合、好適には、少なくとも1回のリソグラフィ操作(基板レジストコーティング、暴露および現像を組み合わせたもの)が、通常のレジストの代わりに本発明のレジストコーティングを使用するリソグラフィ操作に置き換えられる。本発明のレジストコーティングを使用して製造されたリソグラフィマスクがウェハ処理中に使用される場合、好適には少なくとも1回のフォトリソグラフィ操作は、暴露中リソグラフィマスクを利用するリソグラフィ操作(それ自体がフォトリソグラフィまたはeBeamを含む他のタイプのリソグラフィを伴ってもよいが、もっとも好ましくはフォトリソグラフィを伴ってもよい)によって置き換えられる。しかし、本発明のレジストコーティングまたはリソグラフィマスクが1回のみ使用されても(または単一の層または単一の電子部品または単一の組の電子部品のみを製造するために)本発明の利点が実現されてもよく、および任意のさらなるリソグラフィ操作(例えば、フォトリソグラフィ)は、集積回路を作る技術分野において公知の標準的な技術を使用することができることが理解されよう。したがって、本発明の方法は、本発明のコーティングまたはリソグラフィマスクなく実施される任意のまたは全ての繰り返しステップ(および任意のまたは全ての任意のプレステップでも)についての選択肢を提供する。
【0396】
前述のとおり、この方法のステップ(i)~(vi)は、フロントエンドオブライン(FEOL)処理を構成し得る。任意より、この処理は、少なくともある程度は、ダイまたは各ダイの電子部品を導電的に相互接続することを伴う。しかし、最も好適には、ステップvii)~ix)は、バックエンドオブライン(BEOL)処理を構成する。
【0397】
好適には、電子部品を導電的に相互接続することは、金属化を伴う。好適には、電子部品を導電的に相互接続することは、1つ以上の誘電体(すなわち絶縁)層によって絶縁された金属相互接続ワイヤを作製することを伴い、絶縁材料は、典型的には二酸化ケイ素(典型的にはケイ素の熱酸化により形成される)またはケイ酸塩ガラスであるが、絶縁材料はこれらに限定されるものではない。
【0398】
金属化は、銅線またはアルミニウム線などの金属線網を生成することを伴ってもよい。このようなプロセスは、好適には、a)改変された基板を金属(例えば、銅またはアルミニウム)でブランケットコーティングするステップと、パターニングするステップ(例えばリソグラフィを用いてレジストパターン層を生成するステップ)と、レジストパターン層の下にある金属をエッチングするステップ(すなわち別個の金属ワイヤを製造するために)、金属ワイヤの上に絶縁材料を形成または堆積するステップと、を伴ってもよい。例えば、実施可能な集積回路を作製するために金属ワイヤの複数の層が必要とされる場合、このような金属ワイヤ層のいくつかまたは全てが、代わりに、表面改変ステップの間に形成され得ることが理解されよう。これらは、同じ手順を伴い得る。
【0399】
ダイのウェハが製造された後、ダイを切断することにより、パッケージングの準備ができている全てのダイを確実に分離し得る。
【0400】
本発明の方法によって製造されたウェハおよびダイは、一つには、得られた高解像度に起因する高性能を特徴とする。これらはまた、標準的なICダイより小さくてもよい。
【0401】
集積回路パッケージ
集積回路分野における当業者は、標準的なワークショップ技術を使用して、集積回路ダイから集積回路パッケージを製造することが適切にできる。しかし、本発明は、集積回路パッケージを製造する方法を提供し、上記集積回路パッケージは、複数のピンおよび対応する複数のピンに導電的に接続された外部接触端子を有する集積回路ダイを備え、この方法は、
i)本明細書で定義される集積回路ダイを提供するステップ、または本明細書で定義される集積回路ダイを作る方法によって集積回路ダイを作るステップと、
ii)上記集積回路ダイをパッケージ基板に取り付けるステップであって、上記パッケージ基板は電気接点を含み、上記電気接点の各々は、対応するピンに任意により、接続されるかまたは接続可能である、ステップと、
iii)上記集積回路ダイの上記外部接触端子の各々を上記パッケージ基板の対応する電気接点に導電的に接続するステップと、
iv)上記パッケージ基板の上記電気接点を対応するピンに任意により(必要に応じて)接続するステップと、
v)上記集積回路ダイをカプセル封入するステップと、を含む。
【0402】
ダイとパッケージ基板との導電的接続
典型的には、この方法は、ワイヤボンディング、サーモソニックボンディング、フリップチップ、ウェハボンディングまたはタブボンディングなどの当技術分野で公知の様々な方法のうちの1つによってダイをパッケージ基板に導電的に接続することを伴う。
【0403】
ピンを接続することにより、ICを実用化し、かつ簡単に回路基板に組み込ませる。したがって、この方法は、好適には、適した接点を介してICパッケージピンをダイに電気的に接続することを伴う。典型的には、接続ピンはカプセル封入デバイスの一部であり、このため、このステップはカプセル封入ステップと組み合わせてもよい。
【0404】
ダイは空気/水分に敏感であり得るため、通常はカプセル封入されている。好適にはカプセル封入されたICパッケージは、ベーク、メッキ化、ラスターマーク、およびトリミングが行われる。最後に、好適には、ICパッケージは、品質保証のために電子的試験が行われる。
【0405】
回路基板、電子デバイスまたはシステム
好適には、本発明の(複数のピンを有する)集積回路パッケージを組み込んだ回路基板は、集積回路パッケージを回路基板に単に導電的に接続することによって容易に製造することができる。
【0406】
さらに、回路基板は、本明細書で定義される電子デバイスまたはシステムに容易に組み込むことができる。このように、本発明の電子デバイスまたはシステムであるか、またはこれらが組み込まれた消費者製品は、本発明の方法によって提供される高解像度(および他の顕著な利点)集積回路および本明細書に記載される新規レジストコーティングの利点を享受する。
【0407】
実施例
材料と装置
他に記載がない限り、全ての試薬および溶媒は市販されており、受け取ったまま使用した。元素分析は、University of Manchesterの部門別サービスによって実施された。Flash 200 elemental analyserを用いて炭素、窒素および水素の分析を行った。金属分析は、Thermo iCap 6300 Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectroscopy(ICP-OES)によって実施した。
【0408】
シリコンウェハ基板(厚さ500μmのウェハ)10mm×10mmは、University wafer.comから市販されており、供給されたまま使用した。
【0409】
スピンコーティング装置には、8インチボウルとスピン速度100~10000rpmのSCS G3P-8スピンコーターを備えていた。
【0410】
10倍の対物レンズを用いるLeica光学顕微鏡を使用して、現像後のパターン形成された基板を検査し、分析した。
【0411】
UV暴露は、5個の254nmの電球を有するUV架橋剤AHライトボックスを用いて実施する。これらの電球は、248nm照射線ラインを網羅する11nmの暴露幅の暴露プロファイルを有していた。193nmの波長のパルスレーザーを用いて193nmの暴露を行った。使用したガスは、アルゴンとフッ素の混合物であった。パルスは100mSであり、各パルスにおいて193nmの光子を10nSの期間照射した。レーザー出力は18.8mWと測定された。
【0412】
実施例1-散乱防止化合物の調製
一般に、本発明のレジスト組成物(例えば、フォトレジスト)は、本明細書で定義される散乱防止化合物を含む組成物を形成することによって製造することができる。好適には、組成物はまた、散乱防止化合物をレジストコーティングとして塗布し得るコーティング溶媒を含む。
【0413】
好適には、散乱防止化合物は、低密度、高分子量の多金属ケージを含むことから(このような構造は、このようなケージ構造内の空きスペース量のためにより少ない散乱とするため)、任意の多金属ケージを使用して関連する有益な効果を得ることができる。当業者への指針として、好適な構造は、G.F.S.Whitehead,F.Moro,G.A.Timco,W.Wernsdorfer,S.J.Teat and R.E.P.Winpenny「A Ring of Rings and Other Multicomponent Assemblies of Clusters」Angew.Chem.Int.編、2013年、52、9932-9935に開示されたものと同一または同様の任意の多金属ケージ錯体を含み得る。この文献は、このような多金属ケージの合成を記載しており、広範囲の潜在的な散乱防止化合物を製造するためにその文献中に開示された手順を適合させることは当業者にとっては容易になるであろう。
【0414】
一般に、多金属ケージは、関連する無機塩(ケージに組み込むことを意図した金属(複数可)を含む)と関連する配位子、典型的にはフッ化物塩と共にカルボン酸と混合することによって(例えば、G.A.Timcoら、Nat.Nanotechnol.2009年、4、173-178に開示された手順を適用することを介して)形成される。場合によっては、多金属ケージは、ルイス酸として作用することができ(すなわち、1つ以上の電子対を配位により受容することができる)、好適な相補的ルイス塩基リンカー(例えば、ピリジル置換ポルフィリン)と混合して、全錯体を生成することができ、好適にはその中では複数の金属ケージがリンカーを取り囲む。あるいは、多金属ケージは、好適には、ケージの会合する配位子の1つ以上内に存在する塩基性部分によって、ルイス塩基として作用することができ(すなわち、1つ以上の電子対を配位により供与することができる)、かつ、好適な相補的ルイス酸リンカー(例えば、任意により、ルイス酸性であるか、または置換可能な配位子を有する別の金属中心ケージ構造)と混合し得る。好適には、散乱防止化合物のルイス酸およびルイス塩基構成成分は、所望の数の一次金属錯体で囲まれたリンカーを生成する化学量論比で混合されてもよい。
【0415】
さらに、同時係属中の国際特許出願番号PCT/GB2015/052204号(2015年7月30日出願)は、参照により本明細書に組み込まれ、広範囲の好適な多金属ケージ化合物を開示している。
【0416】
一例として、11モル当量の第二級アミン、好適にはジ-プロピルアミンの存在下で28モル当量のフッ化クロム(III)と2.7モル当量のニッケル(II)無機塩、および137モル当量の2-メチル-4-ペンテン酸を共に混合することにより[HNR][CrNiF(2-メチル-4-ペンテノアート)16]金属ケージ錯体を生成する。本手順の変化形態は、F.K.Larsenら、Synthesis and Characterisation of Heterometallic{CrM}Wheels、Angew.Chem.Int.編、42、101-105(2003年)に開示されている。
【0417】
実施例1A-金属ケージ錯体[HNPr][CrNiF(2-メチル-4-ペンテノアート)16]の調製
一次金属錯体である[HNR][CrNiF(2-メチル-4-ペンテノアート)16]金属ケージ錯体は、11モル当量の第二級アミン、好適にはジ-プロピルアミンの存在下で28モル当量のフッ化クロム(III)と2.7モル当量のニッケル(II)無機塩、および137モル当量の2-メチル-4-ペンテン酸を共に混合することにより製造され得る。本手順の変化形態は、F.K.Larsenら、Synthesis and Characterisation of Heterometallic{CrM}Wheels、Angew.Chem.Int.編、42、101-105(2003年)に開示されている。混合物を撹拌しながら140℃で5時間加熱し、その間にフッ化クロムが溶解し、緑色の結晶生成物が形成される。フラスコを室温まで冷却し、50mlのアセトンを撹拌しながら加えた。結晶生成物を濾過し、大量のアセトンで洗浄し、空気中で乾燥させ、トルエンから再結晶して[HNPr][CrNiF(2-メチル-4-ペンテノアート)16]を得た。
【0418】
元素分析(%):C102160CrNNiO32計算値:Cr14.63、Ni2.36、C49.26、H6.48、N0.56
実測値:Cr14.51、Ni2.07、C49.41、H6.79、N0.50
ESI-MS(THFに溶解した試料、MeOH中で操作):m/z:2487[M+H];2509[M+Na]
【0419】
好適にはルイス酸として作用するCrNi(2-メチル-4-ペンテノアート)16金属ケージ錯体は、任意により様々なルイス塩基リンカー構成成分(例えば、中心電子供与ハブ)と混合して、異なる分子量、密度、および平均イオン化ポテンシャルを有する様々な散乱防止化合物を生成し得る。次いで、混合物を濃縮して、いくつかの金属ケージで囲まれた関連するリンカー(例えばポルフィリン)を含む最終的な散乱防止化合物を得る。しかし、本明細書の場合には、ルイス塩基リンカーは使用されず、その代わりにこれまでに試験されたレジスト組成物は一次金属錯体であった。しかし、これらの原理および利点は容易に外挿され得る。
【0420】
[(CNHCrNiF(4-ペンテノアート)16]:CrF・4HO(3.0g、16.5mmol)、[2NiCO・3Ni(OH)・4HO](0.4g、6.8mmol)、ジプロピルアミン(0.7g、6.9mmol)および4-ペンテン酸(15.0g、150.0mmol)を撹拌しながら120℃で20時間加熱した。この間、フッ化クロムが溶解し、緑色の結晶生成物が形成された。フラスコを室温まで冷却し、50mlの水/アセトニトリル(9/1)を撹拌しながら添加した。結晶性生成物を濾過し、多量の水/アセトニトリル(9/1)で洗浄し、得られた油状生成物を600mLの水に溶解した10gの炭酸カリウム溶液と共に一晩撹拌した。沈殿物を濾過によって収集し、水で洗浄し、空気中で乾燥させ、ヘキサン:ジクロロメタン1:1から1:4までを用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製して、緑色の生成物を得た。
収量:2.14g(40%)
元素分析(%):C86128CrNNiO32
計算値:Cr16.09、Ni2.59、C45.66、H5.70、N0.62
実測値:Cr15.81、Ni2.29、C45.95、H5.99、N0.53
ESI-MS(THFに溶解した試料、MeOH中で操作):m/z:2266[M+H];2288[M+Na]
【0421】
実施例1B-中央のジアリルアミン分子を有する金属カゴ錯体[HNPr][CrNiF(2-メチル-4-ペンテノアート)16]の調製
[(CNHCrNiF(2-メチル-4-ペンテノアート)16]CrF・4HO(3.0g、16.5mmol)、[2NiCO・3Ni(OH)・4HO](0.4g、6.8mmol)、ジアリルアミン(0.7g、7.2mmol)および2-メチル-4-ペンテン酸(15.0g、131.5mmol)を140℃で14時間撹拌しながら加熱した。この間、フッ化クロムが溶解し、緑色の結晶生成物が形成された。フラスコを室温まで冷却し、50mlの水/アセトニトリル(1/1)を撹拌しながら添加した。結晶性生成物を濾過し、多量のアセトニトリル/水(1/1)で洗浄し、得られた油状生成物を600mLの水に溶解した15gの炭酸カリウム溶液と共に一晩撹拌した。沈殿物を濾過により収集し、水およびアセトニトリルで洗浄し、空気中で乾燥させ、ジクロロメタン(dichlomethane):ジエチルエーテル(EtO)10:1から5:1までのフラッシュクロマトグラフィにより精製して緑色の生成物を得た。
収量:2.06g(35%)
元素分析(%):C102156CrNNiO32
計算値:Cr14.66、Ni2.36、C49.34、H6.33、N0.56
実測値:Cr14.30、Ni2.11、C49.61、H6.59、N0.49
ESI-MS(THFに溶解した試料、MeOH中で操作):m/z:2483[M+H];2505[M+Na]
【0422】
実施例2-レジスト組成物の調製
実施例1Aおよび1Bの散乱防止化合物は、散乱防止構成成分(すなわち、全体的に低密度である金属ケージ化合物)およびレジスト構成成分(すなわち、架橋可能である末端アルケン基を担持する2-メチル-4-ペンテノアートレジスト配位子)の両方を組み込んでいるため、散乱防止-レジストハイブリッド化合物と考えられ得る。
【0423】
このように、種々のレジスト組成物が形成され、有効性の試験が行われた。
【化6】
【0424】
実施例2A(i)および(ii)-配合物A(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート錯体+スルホニウムトリフラート)
配合物A(i)および(ii)は、実施例1Aの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。一方はトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラートを含まず(A(i))、他方はトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラートを含んだ(A(ii))。
【0425】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Aの20mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解し、0.2μmのPTFEフィルターで濾過して配合物A(i)を得る。
【0426】
別の容器中で、配合物A(ii)を製造するために、4mgのトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラート(一般的な光酸発生剤および光開始剤)を8gのアセトンに溶解し、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。最後に、100mgのトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラート/アセトン生成物をCrNiの散乱防止-レジストハイブリッド化合物溶液に導入して、配合物A(ii)を得る。
【0427】
実施例2B-配合物B(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート/ジアリルアミン錯体)
配合物Bは、実施例1Bの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。
【0428】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Bの15mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解し、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。
実施例2C-配合物C(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート/ジアリルアミン錯体+ジエトキシアセトフェノン光開始剤)
【0429】
配合物Cは、実施例1Bの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。
【0430】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Bの15mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を50μgの2,2-ジエトキシアセトフェノンとともに1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解し、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。
実施例2D-配合物D(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート/ジアリルアミン錯体+ジエトキシアセトフェノン光開始剤+さらなるジアリルアミンまたはN,Nメチレンビスアクリルアミド(ビス-AMD)
【0431】
配合物Dは、実施例1Bの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。
【0432】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Bの15mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を50μgの2,2-ジエトキシアセトフェノン、および4mgのジアリルアミンまたはN,Nメチレンビスアクリルアミド(ビス-AMD)とともに1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解した後、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。
【0433】
実施例2E-配合物E(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート/ジアリルアミン錯体+ジエトキシアセトフェノン光開始剤+ジアリルアミンまたはN,Nメチレンビスアクリルアミド(ビス-AMD)
配合物Eは、実施例1Bの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。
【0434】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Bの15mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を50μgの2,2-ジエトキシアセトフェノン、および1mgのペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET)とともに1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解した後、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。
【0435】
実施例2F-配合物F(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート/ジアリルアミン錯体+スルホニウムトリフラート)
配合物Fは、実施例1Bの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。
【0436】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Aの15mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を50μgのトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラートとともに1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解した後、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。
【0437】
実施例2G-配合物G(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート/ジアリルアミン錯体+スルホニウムトリフラート)
配合物Gは、実施例1Bの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。
【0438】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Bの15mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を50μgのトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラート、および4mgのジアリルアミンまたはN,Nメチレンビスアクリルアミド(ビス-AMD)とともに1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解した後、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。
【0439】
実施例2H-配合物H(CrNi/2-メチル-4-ペンテノアート/ジアリルアミン錯体+スルホニウムトリフラート)
配合物Hは、実施例1Bの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を用いて調製した。
【0440】
レジスト組成物を形成するために、実施例1Bの15mgの散乱防止-レジストハイブリッド化合物を50μgのトリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムトリフラート、および1mgのペンタエリスリトールテトラアクリレートとともに1gのtertブチルメチルエーテル(MTBE)に溶解した後、0.2μmのPTFEフィルターで濾過する。
【0441】
実施例3-レジストコーティング基板の調製
前述の実施例のレジスト組成物2A~2Hの各々を10mm×10mmのシリコン基板上でスピンさせた。各レジスト組成物を、8000rpmのスピンサイクルを用いて60秒間スピンさせた後、100℃で2分間ソフトベークして、キャスト溶媒を蒸発させた。厚さ100nmのレジスト膜を得た。レジスト膜を、250および200nmのフィーチャからなる銀光学マスクを介して248および193nmの照射線に暴露させた。各材料は、ヘキサン溶液を用いて30秒間現像され、続いてNブロー乾燥された。
【0442】
結果と考察
図1は、配合物A(i)(すなわち、CrNi金属錯体のみ)および配合物A(ii)(CrNi錯体+光酸発生剤)の各々について、照射線吸収が入射波長によってどのように変化するかを示すグラフである。
【0443】
(フォトリソグラフィに適した)248nmの波長で、Cr7Ni環分子のみが利用可能な照射線の総量の約0.5%を吸収し、光酸発生剤と組み合わせると、利用可能な照射線の約2%を吸収することが、図1から明らかである。このように、光酸発生剤は、使用される光酸発生剤が超低濃度(すなわち、Cr7Ni環分子よりも400倍少ない重量)であっても、その吸収スペクトルに基づいて4倍の効率効果を与えるようである。非常に低濃度のPAGまたは光開始剤を使用すると、近接効果を低減することによって得られる解像度が改善されるため、これは有望であると考えられた。
【0444】
図2は、実施例2A(i)および2A(ii)のレジスト組成物をベースとする現像後レジストコーティングのSEM画像である:(a)配合物A(i)を用いて248nmの波長で生成されたピッチ600nmの250nmナノ構造であり、(b)配合物A(i)を用いて(a)で生成されたナノ構造(黒い四角で示される)の拡大図である。(c)配合物A(ii)を用いてPAGを使用して組み立てられた250nmナノ構造であり、(d)配合物A(ii)を用いて(c)で生成されたナノ構造(黒い四角によって示される)の拡大図である。
【0445】
これらのナノ構造は非常に低い暴露量(配合物A(i)については3.29mJ/cm)を用いて製造され、これは高感度のレジスト組成物であることを示唆している。このような高い感度は、本質的に16個の架橋可能なアルケン基で飽和された金属ケージ化合物の周囲から生じると考えられる。従って、実効光子衝突の可能性は全分子の45.6%と高く、したがってCr7Ni環分子が互いに架橋して重合プロセスを形成する条件を作り出す。
【0446】
同様に、光感受性は、配合物A(ii)(PAG-2.4mJ/cm)についても明らかに非常に高かった。このように、PAGを添加することにより、明らかに暴露時間が1.37倍短縮された(したがって、感光度が増加した)。しかし、これは、図1に示される吸収係数の観点から予測されたものよりも低い。したがって、光開始剤または光酸がなくても、本発明のレジスト組成物は高感度および高解像度をもたらしたと結論づけられた。
【0447】
図3は、実施例2A(i)および2A(ii)のレジスト組成物をベースとする現像後レジストコーティングのSEM画像である:(a)193nmの波長で配合物A(i)を用いて生成された200nmナノ構造のSEM画像であり、(b)配合物A(i)を用いて(a)で生成されたナノ構造(黒い四角で示される)の拡大図である。(c)PAG(すなわち、配合物A(ii))を用いて組み立てられた200nmナノ構造であり、(d)配合物A(ii)を用いて(c)で生成されたナノ構造(黒い四角によって示される)の拡大図である。
【0448】
暴露線量4.6mJ/cmを用いて図3(a)および(b)のナノ構造(すなわちPAGなし)を作製し、ここでも非常に印象的な感度を示した。
【0449】
暴露線量3.4mJ/cmを用いて図3(c)および(d)のナノ構造(すなわちPAGを用いて)を作製したが、ここでも非常に印象的な感度を示した。
【0450】
ここでも、(PAGを有する)配合物A(ii)のレジスト組成物は、PAGを含まない場合(すなわち、配合物A(i))よりも1.35感受性が高いと考えられる。したがって、比較的、CrNi環それ自体は、248nmの照射線波長においてより感受性が高いと考えられる。
【0451】
193nmの光子は分子よりも大きいため相互作用は同じであるが、単位体積当たり約1014の分子が存在するため、光を任意の方向に散乱させることができる(これはミー散乱と称される)。感度および解像度を定義するのはこのメカニズムである。これは、分子の密度が1.6g/cmであり(これは、光子散乱の観点からは低く、分子の高密度部分は実際には光子が吸収されるべき基によって構成される)、その分子量が大きい(2501g/mol)ためである。このことから、フィルムの大部分が自由空間であり、結果として、散乱相互作用が小さいために光子が制約され、したがって側方散乱が禁止される。従って、より高い解像度を達成することができる。
【0452】
図4は、248nmの波長で暴露された後のCr7Ni環分子のコントラスト曲線を示す。この材料は5.67のコントラストを生じ、以下の式によって求められることが分かる:
【数1】
の値は3であり、Dの値は2であったことが図6からわかる。PAGを加えたとき、Dの値は2.3であり、Dの値は1.45であった。これにより、コントラストは4.99となった。したがって、PAGの導入がコントラストに与えた影響はほとんどなかった。
【0453】
図5は、193nmの波長で暴露された後のCr7Ni環分子のコントラスト曲線を示す。この材料によりコントラストが3.15となることが分かる。PAGをCrNi環分子に加えると、コントラストは2.86であった。したがって、PAGの導入がコントラストに与えた影響はほとんどなかった。
【0454】
結論
架橋可能なまたは重合可能なアルケン含有配位子を含有するCr7Ni錯体などの多金属ケージ化合物に基づく新規レジストシステムが開発されている。このレジストシステムは、248nmおよび193nmの照射線をそれぞれ照射すると、250nmおよび200nmのナノ構造を明らかに示した。両方の暴露は、3.29および4.6mJ/cmの特別な感度を示し、4.64および3.15のコントラスト(それぞれ248および193nmにおいて)を有していた。PAGをCrNi環分子に導入することによって感度が1.3倍増加したが、コントラストはそれぞれ4.99および2.86に低下したことが判明した。この感度は、明らかに、重合プロセスが生じるのに有効な非常に多くの架橋可能部分(すなわち、分子の外側に会合した16個のアルケン基)を有するCr7Ni環分子に起因する。従って、Cr7Ni環分子が互いに架橋する架橋条件を作り出す確率は45.6%である。アルケン含量は、感度を調節するために容易に適合させることができた。
【0455】
理論に束縛されるものではないが、初期の電子励起(約3.6eV)の結果として、光分解架橋が隣接するアルケン基間で生じ、1つのアルケンのπ結合が破壊され(例えば、π->π*単電子遷移後)、次いで隣接するアルケンとのラジカル反応(これは未励起であると考えられる)が生じると考えられる。このようなπ→π*遷移およびその後の反応は、原理的に、様々な要因(例えば、立体効果、周囲の基の電子伝達特性、停止反応の速度論、光電子放出など)に応じて、反応のカスケードにつながる可能性がある。光開始剤または光酸が存在することにより、ある状況下では、感度を改善し得るが、特に関連するレジスト構成成分が本来、十分に光分解に反応する場合には、本発明のレジスト組成物が、このような感光性化合物を含有する必要はない。
【0456】
散乱防止化合物によってもたらされる暴露制御の改良の根底にある原理は、レジスト構成成分がそれ自体、散乱防止化合物に結合していないレジスト組成物にも等しく適用可能である。本明細書中に提示された教示を考慮して、当業者は、現在、本発明の根底にある原理から利益を得るレジスト組成物の製造を可能にする慎重な調整および選択を行うことができる。
【0457】
実施例4-二次電子発生剤を含有するさらなるレジスト組成物の調製および極紫外線(eUV)照射線を用いた試験
[C10NH][CrNiF(OBu)15(OCCN)](化合物1)および[C10NH][CrNiF(OBu)14(OCCN)](化合物2)の合成
[C10NH][CrNiF(OBu)16](4.3g、1.78mmol)(実施例1で使用した手順を単純に適合させることによって得ることができる)、イソ-ニコチン酸(0.68g、5.34mmol)およびn-プロパノール(100mL)を絶えず撹拌しながら24時間還流した。得られた溶液を室温まで冷却し、濾過した。濾液からの溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテル(100mL)中で抽出した。得られた溶液を濾過し、ジエチルエーテルを減圧下で除去して固体を残した。トルエン/酢酸エチル(97/3)を用いたフラッシュクロマトグラフィにより生成物1を得た後、トルエン/酢酸エチル(50/50)までの勾配溶出により生成物2を得た。いずれも溶媒混合物の蒸発後に緑色固体として得た。
【0458】
1 収量:4.89g(32%)元素分析(%)C87151CrNiO32
計算値:Cr15.72、Ni2.53、C45.12、H6.75、N1.21
実測値:Cr15.97、Ni2.56、C44.90、H6.90、N1.19
ES-MS(THFに溶解した試料、MeOH中で操作):m/z=2334[M+Na];2312[M+H]
【0459】
2 収量:1.62g(10%)元素分析(%)C88146CrNiO32
計算値:Cr15.60、Ni2.52、C45.31、H6.31、N1.80
実測値:Cr15.56、Ni2.39、C45.56、H6.77、N1.82
ES-MS(THFに溶解した試料、MeOH中で操作):m/z=2355[M+Na];2333[M+H]
【0460】
塩化水銀との配位:
[C10NH][CrNiF(OCC15(OCCN).HgCl]の合成(化合物3)
化合物1(100mg、0.04mmol)を熱いアセトン(10mL)に溶解した。塩化水銀(11.7mg、0.04mmol)/アセトン(2mL)溶液を滴下し、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温まで冷却し、濃縮した。緑色の微結晶粉末3を得た。元素分析(%)C87151CrNiO32HgCl
計算値:Cr14.29、Ni2.30、C41.02、H5.97、N1.10
実測値:Cr14.22、Ni2.28、C41.10、H5.99、N1.16
【0461】
[C10NH][CrNiF(OCC14(OCCN).2HgCl]の合成(化合物4)
化合物2(100mg、0.04mmol)を熱いアセトン(10mL)に溶解した。塩化水銀(23.1mg、0.08mmol)/アセトン(2mL)溶液を滴下し、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温まで冷却し、濃縮した。緑色の微結晶粉末4を得た。
元素分析(%)C88146CrNiO32HgCl
計算値:Cr12.66、Ni2.04、C36.76、H5.12、N1.46
実測値:Cr12.80、Ni2.09、C36.96、H5.21、N1.46
【0462】
ヨウ化水銀との配位:
[C10NH][CrNiF(OCC15(OCCN).HgI]の合成(化合物5)
化合物1(100mg、0.04mmol)を熱いアセトン(10mL)に溶解した。ヨウ化水銀(19.4mg、0.04mmol)/アセトン/テトラヒドロフラン(1.5mL/0.5mL)溶液を滴下して、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温まで冷却し、濃縮した。緑色の微結晶粉末5を得た。
元素分析(%)C87151CrNiO32HgI
計算値:Cr13.79、Ni2.22、C39.59、H5.77、N1.06
実測値:Cr13.98、Ni2.20、C39.92、H5.86、N1.10
【0463】
[C10NH][CrNiF(OCC14(OCCN).2HgI]の合成(化合物6)
化合物2(100mg、0.04mmol)を熱いアセトン(10mL)に溶解した。ヨウ化水銀(38.9mg、0.08mmol)/アセトン/テトラヒドロフラン(1.5mL/0.5mL)溶液を滴下して、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温まで冷却し、濃縮した。緑色の微結晶粉末6を得た。
元素分析(%)C88146CrNiO32Hg
計算値:Cr11.23、Ni1.81、C32.61、H4.54、N1.30
実測値:Cr11.30、Ni1.79、C32.76、H4.66、N1.19
【0464】
レジスト組成物の形成
レジスト配合物は、20mgのCrNi誘導体(すなわち、上記の化合物3、4、5および6)を5gのtertブチルメチルエーテルに溶解して作製し、0.2μmのPTFEフィルターを通してそれを濾過した。
【0465】
レジスト組成物のスピンコーティング、暴露、および現像
組み立てプロセスは次のとおりである:上記のように調製されたレジスト配合物はネガティブ型レジストであった。このようなレジスト組成物を10mm×10mmのシリコン基板上にスピンコーティングした。レジストを、8000rpmのスピンサイクルを用いて60秒間スピンさせた後、100℃で2分間ソフトベークして、キャスト溶媒を蒸発させた。厚さ25nmのレジスト膜を得た。レジスト膜を、44nmのピッチの22nmのフィーチャおよび32のピッチの16nmのフィーチャからなる光学マスクを介して、13.4nmの照射線(極紫外線-eUV)に暴露た。各材料は、ヘキサン溶液を用いて30秒間現像され、続いてNブロー乾燥された。
【0466】
以下に述べる実験では、化合物3(塩化水銀誘導体)および化合物5(ヨウ化水銀誘導体)のレジスト組成物を用い、暴露量を変化させた。
【0467】
図6は、396mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物3(HgCl由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約22nmであり、ピッチが約44nmである。
【0468】
図7は、322mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物3(HgCl由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約16nmであり、ピッチが約32nmである。
【0469】
図8は、357mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約22nmであり、ピッチが約44nmである。
【0470】
図9は、268mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約16nmであり、ピッチが約32nmである。
【0471】
図10は、244mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約13nmであり、ピッチが約32nmである。この暴露は、その条件下で最適な結果をもたらした。
【0472】
図11は、222mJ/cm暴露量でeUVに暴露された化合物5(HgI由来)をベースにした現像後/乾燥させたレジストコーティング基板の拡大図であり、フィーチャ幅が約13nmであり、ピッチが約32nmである。この暴露は、その条件下で最適な結果をもたらした。
【0473】
結果と考察
以下の表1は、合成されたレジスト組成物を用いて実施されたeUV実験の結果を照合する。
【表1】
【0474】
実験5は、優勢な試験条件、すなわち244mJ/cm暴露されたヨウ化水銀誘導体で最善の結果をもたらした。一部の暴露におけるラインエッジラフネス(LER)は、フォトマスクによって課せられる品質の制限によるものである。
【0475】
HgClおよび/またはHgIなどの二次電子発生剤を組み込むことで、解像度を損なうことなくレジストの感度が改善された。例えば、本発明者らは、HgIを使用すると、HgIを含まない同等の配合物と比較して、少なくとも1.32倍感度が改善されることを見出した。これは、暴露中に必要とされるより低い暴露量に反映される。
【0476】
図12は、現在開発されている6世代のレジストコーティングを通って減少する(したがって感度が増加する)必要な暴露線量を示すグラフであり、コーティングのそれぞれの6世代は以下のとおりである:
第1世代-化合物1の60nm厚のレジストコーティング(二次電子発生剤なし)
第2世代-化合物3の60nm厚のレジストコーティング
第3世代-化合物5の60nm厚のレジストコーティング
第4世代-化合物3の50nm厚のレジストコーティング
第5世代-化合物3の20nm厚のレジストコーティング
第6世代-化合物5の20nm厚のレジストコーティング
【0477】
本発明者らは、上述の6世代のレジストをEUV照射線(エネルギー=92eV)に暴露させた。
【0478】
第1世代のレジスト材料は、990mJ/cm暴露線量を有し、これは所望のものよりも高い。二次電子発生剤および本発明のレジスト組成物へのこれらの組み込みの根底となる化学がよりよく理解されるにつれて、本発明者らはレジスト感度の顕著な改善を生み出すことができた。第6世代のレジストは、ライン暴露線量244mJ/cmまで低減された暴露線量を呈した。この進捗は、図12のグラフに見ることができる。
【0479】
このように、二次電子発生剤(例えば、高Zeffおよび高密度金属化合物)を含めることは感度を高めるために望ましく、都合のよいことに、二次電子発生剤をレジスト化合物に配位させることが実施可能である。これにより、低密度レジスト組成物(例えば、主に散乱防止材料を有する)を本質的に提供して、高解像度を促進して、散乱を低減し、かつ、散発的な(かつ規則的な)高密度の領域を提供して、局所的な散乱を促進してレジスト感度を増加させる。
【0480】
上記は、他のレジスト化合物、レジスト組成物、および他の二次電子発生剤に適用され得る広範な概念の単なる例であることは、当業者には理解されるであろう。二次電子発生剤構成成分に関しては、特許公開WO2015/145144(同じ発明者/出願人による)は、自由に分散した形態であるか、かつ/または散乱防止物質および/もしくはレジスト物質(複数可)に配位させるかのいずれかで、本発明のレジスト組成物に混合し得る好適な代替的二次電子発生剤の範囲を記述している。これに関して、WO2015/145144は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0481】
結論
上記の実験結果は、紫外波長の全範囲にわたる本発明のレジスト組成物の適応度を示す。このように、これらのレジストは、本明細書の他の箇所で概説した重要な利点(例えば、高解像度、感度、スピンコーティング性など)を提供するだけでなく、これらの利点を多方面にわたり、ある条件の範囲にわたって利用し、実現することができ、これによりその産業上の適用性が広がる。本発明のレジストは、電子回路および集積回路の分野に特別に貢献することとなり、本発明の利点は、最高品質の次世代の高性能エレクトロニクスを製造するために普遍的に実現され得る。
【0482】
参考文献
1)G.E.Moore,「Cramming more components onto intergrated circuits」,Electronics,38(80(1965年)
2)R.Mahajan,R.Nair,V.Wakharkar,J.Swan,G.Vandentop,「Emerging directions for packaging technologies」、Intel Technology Journal,6(2),pp.62-75、(2002年)
3)H.Bakoglu、「Circuit,interconnection and packaging for VLSI」Addison-Wesley publication Company,Reading MA,(1990年)
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