(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】リジッド内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220909BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
A61B1/00 732
G02B23/24 A
A61B1/00 R
(21)【出願番号】P 2018562341
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2017063335
(87)【国際公開番号】W WO2017211686
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-03-13
(31)【優先権主張番号】102016006903.1
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】キードロウスキ,グレゴール
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-237960(JP,A)
【文献】米国特許第04776668(US,A)
【文献】実開昭62-142017(JP,U)
【文献】特開2000-121962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向スライド可能に内視鏡(1)で支承されるスライド部材(19)に、近位の端部領域に位置する取付区域(33)をもって取り付けられた、長手方向スライド可能に内視鏡(1)の中で支承されるファイバイメージガイド(11)を有しているリジッド内視鏡(1)において、前記取付区域(33)で前記ファイバイメージガイド(11)が画像回転のためにねん回されており、その安定化のために保護スリーブ(23)で外装されていることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記スライド部材(19)は回り止め(35,36)によって内視鏡(1)に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記スライド部材(19)は長手方向穴を有し、その中に前記取付区域(33)を、横方向穴に据え付けられたクランプねじ(22)によって取付可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記取付区域(33)が前記スライド部材(19)の管部材(21)の端から端までの範囲に及ぶことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項5】
前記保護スリーブ(23)は金属管であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載されているリジッド内視鏡に関し、ならびに請求項4に記載されている利用法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような内視鏡は特許文献1から公知である。
【0003】
リジッド内視鏡は、直径と長さに応じて異なる程度で弾性的に曲げることができるリジッドなシャフト管を有しており、したがって、その低い可撓性に基づいて好適であるロッドレンズ光学系を装備することができる。
【0004】
それに対して、ファイバイメージガイドを有する当分野に属するリジッド内視鏡が適用されるのは、いっそう良好に可撓性でありロッドレンズが破損する恐れがある非常に薄いシャフトが用いられる場合である。当分野に属するこのような内視鏡は、特に、泌尿器科において膀胱を通じて尿管まで押し込まれ、さらには尿管を通して腎臓まで押し込まれる尿管鏡である。その場合、所与の解剖学的状況に基づき、400mmを超えるシャフト長さで、5mmを上回ることのないシャフト直径が必要となる。
【0005】
曲げの影響をまったく受けることがないファイバイメージガイドを有する、当分野に属する内視鏡はリスクなしに曲げることができるが、システム上の欠点も有しており、特に、ファイバイメージガイドと周囲のシャフト管とのそれぞれ異なる熱膨張を有している。シャフト管の中でのファイバイメージガイドの偏心的な支承によって、曲げたときに長手方向スライドが生じることもあり、そのために、光学システムの正確なアライメントが乱される。
【0006】
ファイバイメージガイドの近位端は、上述した理由により長手方向にスライドすることができなければならないが、その際には、光学システムのアライメントを乱さないために、可能な限り正確に保持されなければならない。通常の案内技術によって非常に正確に長手方向スライド可能に支承され得るスライド部材が、そのための役目を果たす。これにファイバイメージガイドの近位の端部領域が取り付けられるが、この取付に関してもやはり非常に高い正確性要求が課されなければならない。特にその際には、影響を受けやすいガラスファイバの損傷の危険のない正確な取付が重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】ドイツ特許出願公開第102004009219A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、当分野に属する設計において、スライド部材へのファイバイメージガイドの取付を、正確性とファイバの保全性とに関して改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は請求項1の特徴部の構成要件によって解決される。
【0010】
取付区域によって意味されるのは、ファイバイメージガイドがスライド部材に取り付けられる、ファイバイメージガイドの長手方向領域である。そこではたとえば接着を行うことができるであろうが、そのような取付は取外し可能でなく、そのため、ファイバイメージガイドを脱離することができず、もしくは多大な労力をもってしか脱離できないという大きな欠点を伴う。このような種類の取付課題では、設計者はクランプも考える。たとえば側方でファイバイメージガイドに係合する、鉗子状のジョーを設けることができよう。しかしその場合、ファイバの損傷という大きな危険がただちに生じ、あるいは、滑りの危険が生じる程度までクランプ力が低下する。本発明はこの点に驚くべき方策で対処を提供する。本発明が前提とするのは、1つの区域で画像回転をするように構成された、すなわちねん回されたファイバを有する、特別なファイバイメージガイドが存在することである。このような特別なファイバイメージガイドは、画像を回転させるために内視鏡でも使用されている。それにより、たとえば省スペースな方式で画像回転を惹起することができ、そのために追加の正立レンズを設ける必要がない。ただし、このようなファイバイメージガイドの回転区域は、機械的に非常に影響を受けやすいという欠点を有しており、したがって通常、危険な引張力や曲げ力を、影響を受けやすいファイバから遠ざける保護スリーブで外装される。本発明では、このような保護スリーブが別の目的のために利用され、すなわち保護スリーブの上で、それによってガラスファイバを脅かすことなく、高い力によってクランプをするために利用される。
【0011】
請求項2に基づき、スライド部材に回り止めが設けられていると好ましく、これによってスライド部材が長手方向スライドしたときにその回転位置およびこれに伴って画像の向きが保全されたまま保たれる。
【0012】
請求項3に基づき、ファイバイメージガイドは長手方向穴の中でスライド部材に通され、そこで、横方向穴の中に据え付けられたクランプねじによって取り付けられるのが好ましい。それにより、保全的であるにもかかわらず固定的なクランプを、空間的に狭い状況のもとで実現することができる。
【0013】
請求項4に記載されている利用法に基づき、公知のコンポーネントのまったく異なる利用によって、著しい利点がもたらされる。
【0014】
図面には本発明が例示として模式的に掲げられており、次のものを示している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による内視鏡のシャフトの遠位の端部領域を示す縦断面図である。
【
図2】
図1のシャフトの近位の端部領域を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および
図2は、本実施例では尿管鏡として図示された、本発明による内視鏡1の両方の端部領域を縦断面図として示している。
【0017】
図示した内視鏡1は、長手方向に延びるシャフト2を有しており、このシャフトは外側のシャフト管3で構成されていて、その中にイメージガイド4と作業通路5が配置されており、これら両者は、シャフト2の端面6における遠位端から、シャフト2の近位端に後続する内視鏡1の本体7まで延びている。このときイメージガイド4は本体7を直線状の経路で通過するのに対して、作業通路5はそこで折れ曲がって作業通路5の斜め横の入口8まで延びている。
【0018】
シャフト管3の内部で、作業通路5は通路管9によって包囲されている。図示した実施例では、イメージガイド4は長さ全体で案内管10の中に延びている。イメージガイド4の主要な構成要素は、対物レンズ13を担持する対物レンズ管12の中に遠位端で保持されるファイバイメージガイド11である。
【0019】
対物レンズ管12は、たとえば接着によって固定的にファイバイメージガイド11と結合される。ただし、ファイバイメージガイド11と対物レンズ管12は長手方向スライド可能に案内管10へ収容されている。
【0020】
図1は可能な限り遠位に向かって送られたファイバイメージガイド11と対物レンズ管12の位置を示しており、後者は案内管10のストッパ14に突き当たっている。
図1に示すファイバイメージガイド11の遠位での突き当りは、それが近位に配置されたばね15によって遠位の方向へストッパ14まで送られることによって維持される。
【0021】
シャフト管3の中には、イメージガイド4と作業通路5に加えて、残りの横断面領域にさらにガラスファイバからなる光ガイド16が敷設されており、これは
図2に示す通り、模式的に図示する屈曲領域17を通って、本体7の壁部にある接続管16まで延びている。そこから、図示しない光ガイド接続ケーブルによって光ガイド16へ光が入力結合され、そしてこの光が、シャフト2の端面6における光ガイド16の遠位の端面から、内視鏡1の前方の観察領域へと射出される。この観察領域が対物レンズ13により、端面に位置している窓18を通して観察される。
【0022】
図2に示す通り、ファイバイメージガイド11は自由に長手方向スライド可能に本体7を通過する。ファイバイメージガイド11の近位の端部領域は、本体7の円筒領域20でファイバイメージガイド11の長手方向へ長手方向スライド可能に支承されたスライド部材19で保持されている。
【0023】
スライド部材19は管部材21を担持していて、これがファイバイメージガイド11により、両方の破線の間に位置している取付区域33をもって通過される。これは、
図2に示すように、取付区域33でねん回されたファイバを有するように構成された特別なファイバイメージガイドである。それに対して、ファイバイメージガイド11のその他の長手方向領域では、各ファイバはまっすぐに延びている。これらのファイバはそこで画像を常に角度位置を維持しながら伝達する。
【0024】
それに対して取付区域33では各ファイバは、本実施例では180°だけ、ねん回されて延びている。したがって画像はこの領域でちょうど倒立する。それにより、場合により追加的に必要となる正立レンズを省略することができる。
【0025】
この取付区域33にはファイバ構造のある程度の構造脆弱性があり、これを補うためにファイバイメージガイド11は取付区域33で保護スリーブ23により外装されている。これは金属管であって、ガラスファイバからなるファイバイメージガイド11にその製造時に一体成形され、後から取り付けられるスリーブよりも大幅に安定的に据え付けられる。
【0026】
このように、本発明によるファイバイメージガイド11を製造するには、別の理由から画像回転をする区域33を備え、そこでその保護のために保護スリーブ23で外装されたファイバイメージガイドが求められる。このときファイバイメージガイド11は、外装23がスライド部材19の領域に位置するように調整される。
【0027】
管部材21にある横方向穴の中に無頭ねじ22が配置されていて、これによりスライド部材19に対する保護スリーブ23のクランプが行われる。
【0028】
シャフト2が曲がったときや熱で膨張したときに、スライド部材19のスライドが生じる。このようなスライドは、画像安定性にとって不都合であるねじれにつながりかねない。このような意図しないねじれを防止するために、スライド部材19には横方向穴の中に、外方に向かって突出する端部が長手方向溝36の中に延びる別の無頭ねじ35が設けられている。
【0029】
ばね15は、ファイバイメージガイド11を周回するように配置されたコイルばねとして構成される。本実施例では、ばね15は円錐状に構成されている。
図2に見られる通り、このばねは巻回が互いに接触することなく、1つの平面になるまで平坦に圧縮することができる。
【0030】
ばね15は、管部材21を取り囲むとともに、狭いほうの端面をもってスライド部材19の近位の端部面に対して当接するように配置される。このばねは他方の端部をもって、ユニオンナット25として構成されたねじ付きリングの内方を向くフランジ24に対して当接する。このねじ付きリングは、近位の方向に突出する環状突起26の上で本体7の近位の端面に取り付けられ、それはたとえば溶接や接着、あるいは図示した実施形態ではねじ止めによる。ねじ止めは、ユニオンナット25をばね15とともに内視鏡から外すことができるという利点がある。そしてスライド部材19を近位の方向に引き出すことができる。それに伴ってファイバイメージガイド11が近位の方向に引き出され、交換やメンテナンスを行うことができる。
【0031】
スライド部材19の近位端では、管部材21に閉止キャップ27が装着されて、たとえばねじ止めによって固定される。閉止キャップ27にはレンズ28が配置されていて、これが接眼レンズとしての役目を果たすとともに、ファイバイメージガイド11の遠位の端面を汚れに対して保護する。
【0032】
閉止キャップ27は気密であってもよく、ファイバイメージガイド11を近位端のところで水分に対して保護する。追加または単独の汚れ保護および水蒸気保護が外側キャップ29によって与えられていてもよく、この外側キャップは窓30を有し、同じくたとえばねじ止めによって、ユニオンナット25のねじ止めと同様に、本体7の近位の端面の別の段部に取り付けられる。
【符号の説明】
【0033】
01 内視鏡
02 シャフト
03 シャフト管
04 イメージガイド
05 作業通路
06 端面
07 本体
08 入口
09 通路管
10 案内管
11 ファイバイメージガイド
12 対物レンズ管
13 対物レンズ
14 ストッパ
15 ばね
16 光ガイド
17 屈曲領域
18 窓
19 スライド部材
20 円筒領域
21 管部材
22 無頭ねじ
23 保護スリーブ
24 フランジ
25 ユニオンナット
26 環状突起
27 閉止キャップ
28 レンズ
29 外側キャップ
30 窓
31 -
32 -
33 取付区域
34 -
35 無頭ねじ
36 長手方向溝