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特許7138577釣糸ガイドのガイドフレーム、釣糸ガイド、釣竿及びガイドフレームの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】釣糸ガイドのガイドフレーム、釣糸ガイド、釣竿及びガイドフレームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/04 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019005004
(22)【出願日】2019-01-16
(65)【公開番号】P2020110124
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一真
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-072283(JP,U)
【文献】実開昭57-072284(JP,U)
【文献】特開平04-281730(JP,A)
【文献】特開2018-143199(JP,A)
【文献】特開2017-046640(JP,A)
【文献】特開2001-238577(JP,A)
【文献】特開2013-126384(JP,A)
【文献】特開昭58-111630(JP,A)
【文献】特開2015-213473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00-87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿に取り付けられる取付脚部と、ガイドリングを保持するリング保持部を有するフレーム本体部とを備えた、釣糸ガイドのガイドフレームであって、
少なくとも一部中空部を備え、
中空部は、一つの空洞孔が複数に分岐する分岐部を有する、釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項2】
フレーム本体部は、リング保持部と取付脚部とを連結する支持脚部を有し、
リング保持部と支持脚部にそれぞれ中空部が設けられ、
リング保持部と支持脚部が接続している部分において、支持脚部の空洞孔は、リング保持部における周方向一方側に向かう空洞孔と周方向他方側に向かう空洞孔に分岐している、請求項1記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項3】
フレーム本体部は、左右一対の支持脚部を有し、
取付脚部と左右一対の支持脚部にそれぞれ中空部が設けられ、
左右一対の支持脚部と取付脚部が接続している部分において、取付脚部の空洞孔は、左右一対の支持脚部の各空洞孔に分岐している、請求項記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項4】
取付脚部は、リング保持部に対して竿先側と竿尻側の両方に向けて延びており、
リング保持部と一方の取付脚部と他方の取付脚部にそれぞれ中空部が設けられ、
リング保持部と一方の取付脚部と他方の取付脚部が接続している部分において、リング保持部の空洞孔は、一方の取付脚部の空洞孔と他方の取付脚部の空洞孔に分岐している、請求項記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項5】
リング保持部の全体が中空部であり、リング保持部の空洞孔は、リング保持部の全周に亘って連続している、請求項1乃至4の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項6】
請求項1乃至の何れかに記載のガイドフレームと、該ガイドフレームのリング保持部に装着されたガイドリングとを備えている、釣糸ガイド。
【請求項7】
請求項記載の釣糸ガイドを備えている、釣竿。
【請求項8】
請求項1記載のガイドフレームの製造方法であって、3Dプリンタにより製造する釣糸ガイドのガイドフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を案内するための釣糸ガイドにおけるガイドフレームと、釣糸ガイドと、釣竿と、ガイドフレームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1記載の釣糸ガイドのガイドフレームは、金属板を打ち抜くことによって形成されている。しかしながら、ガイドフレームが金属板を打ち抜いて形成されたものであるため、ガイドフレームの強度を確保しつつ軽量化を図ることには限界がある。一方、下記特許文献2の釣糸ガイドのガイドフレームは、合成樹脂から射出成形により形成されている。しかしながら、この場合においてもガイドフレームの強度を確保しつつ軽量化を図ることには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-238577号公報
【文献】特許第2916400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、釣糸ガイドの強度確保と軽量化とを両立させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る釣糸ガイドのガイドフレームは、釣竿に取り付けられる取付脚部と、該取付脚部から立ち上がり、ガイドリングが装着されるリング装着孔を有するフレーム本体部とを備えた、釣糸ガイドのガイドフレームであって、少なくとも一部が中空部であり、該中空部は、複数の空洞孔が合流して一体となった合流部を有している。
【0006】
該構成のガイドフレームは、中空部を備えているため、強度を確保しつつ軽量化できる。そして、中空部が合流部を有していて、その合流部においては、中空部の断面形状が徐々に変化しながら、複数の空洞孔が合流して一つの空洞孔となっている。そのため、ガイドフレームの強度を容易に確保できる。尚、合流部は、一つの空洞孔が複数の空洞孔に分岐する分岐部でもある。
【0007】
また、フレーム本体部は、リング装着孔の周囲全周に位置してガイドリングを保持するリング保持部を備え、リング保持部の全体が中空部であり、リング装着孔の壁面は、全周に亘って連続していることが好ましい。このようにリング保持部の全体が中空部であると、リング保持部を軽量化できる。また、リング装着孔の壁面が全周に亘って連続していると、リング装着孔の壁面が不連続部分を有している場合に比して、ガイドリングの外周面を全周に亘ってしっかりと保持できる。
【0008】
また、ガイドフレームが焼結体であることが好ましい。焼結体とすることで、肉厚が変化するガイドフレームを容易に形成できる。
【0009】
また、本発明に係る釣糸ガイドは、このようなガイドフレームと、該ガイドフレームのリング装着孔に装着されたガイドリングとを備えている。
【0010】
また、本発明に係るガイドフレームの製造方法は、3Dプリンタによりガイドフレームを製造するものである。3Dプリンタにより、肉厚が変化する構成の中空部を容易に形成でき、強度と軽量化を両立させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、少なくとも一部が中空部であり、該中空部は、複数の空洞孔が合流して一体となった合流部を有していることで、ガイドフレームの強度を確保しつつ軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施形態における釣糸ガイドのガイドフレームを後側から見た斜視図。
図2】同ガイドフレームを前側から見た斜視図。
図3】同ガイドフレームの底面図。
図4】同ガイドフレームの側面図。
図5】同ガイドフレームを後側から前後方向に見た図。
図6図5のA-A断面図。
図7図5のB-B断面図。
図8図5のC-C断面図。
図9図5のD-D断面図。
図10図5のE-E断面図。
図11図5のF-F断面図。
図12図5のG-G断面図。
図13図5のH-H断面図。
図14】本発明の第二の実施形態における釣糸ガイドのガイドフレームを前側から見た斜視図。
図15】同ガイドフレームの平面図。
図16】同ガイドフレームを後側から前後方向に見た図。
図17】同ガイドフレームの側面図。
図18図16のJ-J断面図。
図19図16のK-K断面図。
図20図16のL-L断面図。
図21図16のM-M断面図。
図22図16のN-N断面図。
図23図16のP-P断面図。
図24図16のQ-Q断面図。
図25図16のR-R断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一の実施形態に係る釣糸ガイドのガイドフレームについて図1図13を参酌しつつ説明する。釣糸ガイドは、釣糸を直接案内するための図示しないガイドリングと、該ガイドリングを保持する共に釣竿の竿本体の外周面に取り付けられるガイドフレームとを備えている。尚、本実施形態においては、釣糸ガイドは、釣竿の竿本体の外周面に接着等により固定される固定ガイドであるが、釣竿の竿本体の外周面に対して移動可能な移動ガイドであってもよい。ガイドリングは、代表的には円形の環状であるが、楕円形や長円形等であってもよい。
【0014】
<全体構成>
ガイドフレームは、釣竿に取り付けられる取付脚部1と、該取付脚部1から立ち上がり、ガイドリングが装着されるリング装着孔4を有するフレーム本体部とを備えている。フレーム本体部は、リング装着孔4の周囲全周に位置してガイドリングを保持する環状のリング保持部3を備えている。本実施形態では、フレーム本体部は、リング保持部3と取付脚部1との間に位置してリング保持部3と取付脚部1とを連結する支持脚部2を備えている。尚、以下の説明では、釣竿の中心線の方向を前後方向とし、竿先側を前側、竿尻側を後側とする。また、取付脚部1側を下側とし、フレーム本体部側を上側とする。即ち、釣竿の竿本体の中心線に近い方向を下側とし、竿本体から径方向外側に離れる方向を上側とする。そして、竿本体の周方向を左右方向とする共に幅方向と称することがある。尚、図3図5に、左右方向、前後方向及び上下方向をそれぞれ矢印X、Y,Zで示している。ガイドフレームは複数の部材から構成されていてもよいが、本実施形態では一つの部材から構成されている。従って、取付脚部1とフレーム本体部は一つの部材からなり一体的に形成されたものである。ガイドフレームの材質は任意であって、金属製や合成樹脂製である。特に、焼結体であることが好ましく、焼結合金製とすることが好ましい。
【0015】
<取付脚部1>
取付脚部1は、前後方向に延びている。本実施形態では、取付脚部1は、フレーム本体部に対して後側のみに延びた一本足の構成であるが、前後両側に延びた二本足の構成であってもよい。取付脚部1の下面は、竿本体の外周面に沿いやすいように、左右方向に沿って上側に向けて凹状に湾曲している。取付脚部1の上面は、後側に向けて徐々に下降しており、このように上面が後側に向けて下降していくことにより、取付脚部1の上下方向の寸法は、後側に向けて徐々に小さくなっている。取付脚部1の左右方向の寸法である幅は、後側に向けて徐々に狭くなっている。尚、取付脚部1は、竿本体の外周面に例えば巻糸により巻き付け固定されると共に接着固定される。
【0016】
<リング保持部3と支持脚部2>
フレーム本体部は、取付脚部1の前端部から上側に向けて延びている。フレーム本体部は、取付脚部1の前端部から湾曲しつつ上側に向けて延びている。フレーム本体部は取付脚部1に対して略直角に立ち上がっていてもよいが、本実施形態では前側に傾斜しつつ立ち上がっている。従って、フレーム本体部は前側に傾斜している。
【0017】
支持脚部2の下端部は取付脚部1の前端部と接続されている。支持脚部2は、一本足の構成であってもよいが、本実施形態では、左右に並んだ二本足の構成である。左右一対の支持脚部2は、互いに左右対称関係にある。左右の支持脚部2は、上側に向けて徐々に左右に開きつつ延びている。両支持脚部2間の離間距離は、上側に向けて徐々に大きくなっていて、左右の支持脚部2は、全体として略V字状である。左右の支持脚部2は、それぞれ取付脚部1の前端部に接続されている。左右の支持脚部2は、その下端部において、左右に離間していて、それぞれ独立して上側に延びている。但し、左右の支持脚部2は、その下端部において左右に離間せずに一体となっていてもよい。左右の支持脚部2の上端部はそれぞれリング保持部3の左右両側部に接続されている。左右の支持脚部2は、図5のように前後方向に沿って見たときに、取付脚部1からリング保持部3に向けて直線状に延びていて、左右の支持脚部2は、取付脚部1の前端部からリング保持部3に向けて、リング保持部3の接線方向に延びている。リング保持部3と左右両支持脚部2と取付脚部1によって囲まれた貫通孔5が形成されており、貫通孔5は前後に貫通している。
【0018】
リング保持部3は、無端状であって環状である。本実施形態では円形のガイドリングを保持するため、リング装着孔4は円形であり、リング保持部3も円形の環状である。リング保持部3は、リング装着孔4の周囲全周に位置している。リング装着孔4の壁面は、リング保持部3の内周面であって、ガイドリングの外周面を保持するための保持面である。リング装着孔4の壁面は、全周に亘って連続していて、不連続部分を有していない。尚、リング装着孔4の壁面に凹凸が形成されていてもよく、例えば接着溜まりのための凹部が形成されていてもよい。リング保持部3の外周面の断面形状は略一定であってもよいが、本実施形態では、図6のように、リング保持部3の最上部における外周面の断面形状と最下部における外周面の断面形状が異なっている。リング保持部3の最上部においては、外周面の後部が前後方向に沿って大きく湾曲している一方、リング保持部3の最下部においては、外周面の前部が前後方向に沿って大きく湾曲している。このように、リング保持部3の断面形状は、最上部と最下部とで互いに異なっている。
【0019】
リング保持部3をその周方向と直交する方向、即ち、リング装着孔4の径方向に切断したときの断面形状と、支持脚部2を水平面で切断したときの断面形状は、互いに異なっており、何れも非円形である。取付脚部1を前後方向と直交する方向に切断したときの断面形状は、リング保持部3の断面形状や支持脚部2の断面形状とは異なっている。
【0020】
上述のようにガイドフレームは全体が一つの部材から構成されていて、従って、取付脚部1とフレーム本体部は一体的に形成されている。そして、本実施形態では、ガイドフレームの全体が中空状であり、ガイドフレームの全体が中空部である。中空部は、内部空間である空洞孔と、その空洞孔を包囲する外壁部とから構成される。ガイドフレームの空洞孔は、全体として一つであって、リング保持部3から取付脚部1まで連通した一つの空間を構成している。即ち、リング保持部3の全体、左右の支持脚部2の全体、及び、取付脚部1の全体が、それぞれ中空部であると共に、リング保持部3における空洞孔13と、左右の支持脚部2における空洞孔12と、取付脚部1における空洞孔11は、互いに連通していて、全体として一つの内部空間を形成している。空洞孔は、リング保持部3から支持脚部2を介して取付脚部1まで連続している。ガイドフレームの空洞孔は、外壁部によって密封された空間である。
【0021】
詳細には、取付脚部1の空洞孔11は全体として一つであって、後端部から前端部にかけて徐々に左右方向と上下方向の二方向に拡大している。取付脚部1の空洞孔11は、取付脚部1の前端部において、左右の支持脚部2のそれぞれの空洞孔12とつながっている。従って、取付脚部1の空洞孔11は、取付脚部1の前端部において左右に分岐して各支持脚部2の空洞孔12と連通している。換言すれば、左右の支持脚部2の空洞孔12は、取付脚部1の前端部において一つの取付脚部1の空洞孔11に合流している。即ち、取付脚部1の前端部が合流部Sであり、その合流部Sにおいて、左右の支持脚部2の空洞孔12が合流して一体となって取付脚部1の空洞孔11となっている。そして、図11及び図12のように、取付脚部1の前端部から左右の支持脚部2にかけて、断面形状が大きく変化しており、中空率も大きく変化している。尚、中空率とは、断面全体の中に占める空洞部分の面積比率であって、断面形状における全体の断面の面積に対する空洞孔の断面の面積の比率である。
【0022】
左右の支持脚部2の上端部は、それぞれリング保持部3の左右両側部に接続している。リング保持部3は、その全体が中空部であって、リング保持部3の空洞孔13は、リング装着孔4の全周に亘って連続している。そして、リング保持部3の空洞孔13と左右の支持脚部2の空洞孔12とは互いに連通している。即ち、左側の支持脚部2の空洞孔12は、左側の支持脚部2の上端部において、リング保持部3の空洞孔13と連通しており、右側の支持脚部2の空洞孔12は、右側の支持脚部2の上端部において、リング保持部3の空洞孔13と連通している。リング保持部3の下部は、左右の支持脚部2の上端部同士をリング装着孔4の下側において左右に連結しており、リング保持部3の上部は、左右の支持脚部2の上端部同士をリング装着孔4の上側において左右に連結している。従って、左右の支持脚部2の上端部において、それぞれ支持脚部2の空洞孔12とリング保持部3の上部における空洞孔13とリング保持部3の下部における空洞孔13とが合流している。即ち、左右の支持脚部2の上端部がそれぞれ合流部Sであって、各合流部Sにおいて、支持脚部2の空洞孔12とリング保持部3の空洞孔13とが合流して一体となっている。換言すれば、リング保持部3の上部における空洞孔13は、左右の支持脚部2の上端部において、それぞれ左右の支持脚部2の空洞孔12とリング保持部3の下部における空洞孔13とに分岐している。そして、図8のように、左右の支持脚部2の上端部において断面形状が大きく変化しており、中空率も大きく変化している。
【0023】
このように本実施形態では、取付脚部1の前端部と左右の支持脚部2の上端部という合計三つの合流部Sを有しており、各合流部Sにおいて外壁部の肉厚はほとんど変化せずに断面形状が変化して中空率が変化している。これにより、合流部Sにおける重量増加を抑制でき、ガイドフレームの強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。また、リング保持部3の全体が中空部であって、リング装着孔4の壁面が全周に亘って連続しているので、リング保持部3によってガイドリングを強固に保持できる。
【0024】
更に、リング保持部3と左右の支持脚部2との接続部分において断面形状が拡大して中空率が拡大しているので、重量増加を抑制しつつ接続部分の強度を容易に確保することができる。また、図9図11のように、支持脚部2はその下端部において断面形状が拡大していて中空率が拡大しているので、重量増加を抑制しつつ、支持脚部2と取付脚部1との接続部分における強度を十分に確保できる。そして、取付脚部1は、上下方向に対して左右方向に広い偏平形状であるが、一つの空洞孔を有する中空形状であって肉厚が略一定であるので、重量増加を抑制しつつ十分な強度を確保できると共に竿本体に対する大きな取付面も確保できる。
【0025】
次に、本発明の第二の実施形態におけるガイドフレームについて図14図25を参酌しつつ説明する。但し、第一の実施形態と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。尚、図15図17に、左右方向、前後方向及び上下方向をそれぞれ矢印X、Y,Zで示している。本実施形態のガイドフレームは、支持脚部2を実質上有しない構成であって、フレーム本体部は、実質上、リング保持部3のみから構成されている。そして、リング保持部3の最下部が取付脚部1に接続されている。
【0026】
取付脚部1は、リング保持部3に対して前後に延びており、二本足の構成である。ガイドフレームの前後の向きは任意であって何れの向きでも使用可能であるが、一方の取付脚部20を前側とし、他方の取付脚部21を後側として説明する。リング装着孔4の中心線は、第一の実施形態とは異なり、前傾しておらず、前後方向に沿っている。従って、リング保持部3は取付脚部1に対して全体として略直角に立ち上がっている。但し、図14図18に示しているように、リング保持部3の最下部の前面は前側の取付脚部20の上面から滑らかに湾曲しつつ立ち上がっており、リング保持部3の最下部の後面は、後側の取付脚部21の上面に対して湾曲することなく略直角に立ち上がっている。
【0027】
リング保持部3の後面から後側の取付脚部21の上面にかけて、左右一対のガード壁22が形成されている。左右一対のガード壁22は、リング保持部3の後面下部の両側部からそれぞれ後側に向けて延びている。左右一対のガード壁22は、図16のように後側から見たときに、上側に向けて徐々に互いの離間距離が大きくなっていて、略V字状に形成されている。ガード壁22の上面は、図17のように後側に向けて徐々に下降している。
【0028】
本実施形態のガイドフレームも一つの部材から構成されていて、取付脚部1とリング保持部3は一つの部材として一体的に形成されている。また、ガイドフレームの全体が中空部である。空洞孔は、全体として一つであって、リング保持部3から取付脚部1まで連通した一つの内部空間を構成している。詳細には、図18及び図24のように、前後の取付脚部20,21の空洞孔30,31は全体として一つであって、前後方向に延びている。リング保持部3の空洞孔13は、環状であってリング装着孔4を周回していてリング装着孔4の全周に亘って連続している。そして、前後の取付脚部20,21の前後方向の中央部において、取付脚部20,21の空洞孔30,31は、リング保持部3の空洞孔13とつながっている。従って、リング保持部3の最下部は、前側の取付脚部20の空洞孔30と、後側の取付脚部21の空洞孔31と、リング保持部3の空洞孔13とが合流して一つになる合流部Sである。
【0029】
また、図19図24のように、左右一対のガード壁22もそれぞれ中空部である。左右一対のガード壁22の空洞孔32は、それぞれ前端部においてリング保持部3の空洞孔13とつながっている。左右一対のガード壁22の前端部は、それぞれガード壁22の空洞孔32とリング保持部3の空洞孔13とが合流する合流部Sである。また、図23のように、左右一対のガード壁22の空洞孔32は、それぞれの下端部において取付脚部20,21の空洞孔30,31とつながっている。従って、左右一対のガード壁22の下端部は、左右のガード壁22の空洞孔32と取付脚部20,21の空洞孔30,31とが合流する合流部Sである。ガード壁22を前後左右方向に沿った水平面で切断したときの断面形状は、図19図24のように、上側から下側に向けて変化しており、空洞孔32の断面形状も変化している。
【0030】
本実施形態におけるガイドフレームも合流部Sを有しており、合流部Sにおいて外壁部の肉厚はほとんど変化せずに断面形状が変化し、中空率が変化している。そのため、合流部Sにおける重量増加を抑制でき、ガイドフレームの強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。
【0031】
<製造方法>
第一及び第二の実施形態におけるガイドフレームは何れも3Dプリンタによって製造することができる。3Dプリンタの造形方式は種々であってよい。例えば、金属粉末やナイロン等の樹脂粉末を焼結させる粉末焼結積層造形方式、紫外線硬化型の樹脂に紫外線を照射して硬化させる光造形方式等があり、インクジェット方式や熱溶解積層方式等もある。
【0032】
第一の実施形態におけるガイドフレームでは、例えば、水平方向に切断したときの断面形状を順次上下方向に積層していくことで中空状のガイドフレームを形成できる。例えば、図12のような断面形状から順次、図11の断面形状、図10の断面形状、図9の断面形状、図8の断面形状、図7の断面形状というように、各断面形状の薄肉部を積層していくことで中空状のガイドフレームを形成できる。同様に、第二の実施形態におけるガイドフレームも、図24の断面形状、図23の断面形状、図22の断面形状、図21の断面形状、図20の断面形状、図19の断面形状というように、各断面形状の薄肉部を積層していくことで中空状のガイドフレームを形成できる。尚、焼結粉末の残部が空洞孔に生じる場合には、空洞孔からガイドフレームの外部に粉末の残部を排出するための排出孔を、ガイドフレームの外壁部に貫通形成してもよい。
【0033】
尚、上記実施形態ではガイドフレームの全体が中空部であったが、ガイドフレームの一部のみが中空部で他の部分が中実部であってもよい。ガイドフレームの一部のみが中空部である場合においても、上述したようにガイドフレームの全体を3Dプリンタで製造することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 取付脚部
2 支持脚部(フレーム本体部)
3 リング保持部(フレーム本体部)
4 リング装着孔
5 貫通孔
11 取付脚部の空洞孔
12 支持脚部の空洞孔
13 リング保持部の空洞孔
20 前側の取付脚部
21 後側の取付脚部
22 ガード壁
30 前側の取付脚部の空洞孔
31 後側の取付脚部の空洞孔
32 ガード壁の空洞孔
S 合流部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22
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図25