(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20220909BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20220909BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20220909BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/507
H01M50/588
(21)【出願番号】P 2019015353
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】土屋 信明
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特許第6400808(JP,B1)
【文献】特開2016-131093(JP,A)
【文献】特開2016-131094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0018417(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0111649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/209
H01M 50/507
H01M 50/588
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズ本体と、前記ヒューズ本体に接続されているヒューズ端子とを有するヒューズと、
前記ヒューズ端子に接続されているバスバと、
前記バスバと前記ヒューズとを保持するヒューズ保持部を有するケースと
を備え、
前記ケースは、前記バスバの位置を決定するバスバ位置決め部を有し、
前記ヒューズ端子は、前記バスバを介して前記ケースに締結されており、
前記バスバと前記ヒューズ本体との間のクリアランスは、前記バスバと前記バスバ位置決め部との間のクリアランスよりも大きい、組電池。
【請求項2】
前記ヒューズ端子と前記バスバ位置決め部との間のクリアランスは、前記バスバと前記バスバ位置決め部との間のクリアランスよりも大きい、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記ケースは、前記ヒューズ本体の位置を決定するヒューズ位置決め部をさらに有し、
前記ヒューズ端子と前記バスバ位置決め部との間のクリアランスは、前記ヒューズ本体と前記ヒューズ位置決め部との間のクリアランスよりも大きい、請求項1又は2に記載の組電池。
【請求項4】
前記ヒューズ位置決め部は、前記ヒューズ本体の側面に当接するリブを有する、請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記ヒューズ本体の側面は、互いに交差する第1側面と第2側面とを含み、
前記リブは、前記第1側面に当接する第1リブと、前記第2側面に当接する第2リブとを含む、請求項4に記載の組電池。
【請求項6】
前記リブは、前記第1リブ及び前記第2リブのうち少なくとも一方を、少なくとも2つ含む、請求項5に記載の組電池。
【請求項7】
前記ヒューズ端子は、第1ヒューズ端子と第2ヒューズ端子とを含み、
前記ヒューズ保持部は、前記第1ヒューズ端子を保持する第1ヒューズ保持部と、前記第2ヒューズ端子を保持する第2ヒューズ保持部とを含み、
前記ケースは、前記第1ヒューズ保持部と前記第2ヒューズ保持部と前記ヒューズ本体とに囲まれている空間を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組電池。
【請求項8】
前記バスバは、前記ヒューズ保持部から見て、前記ヒューズ端子よりも外側に位置する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒューズブロックにヒューズ端子が締結される際に、ヒューズ端子の外側に位置するバスバがヒューズ端子とともにヒューズブロックに締結される構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2011/0111649号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスバは、ワッシャとして機能するものの、締結時に回動することによってヒューズ本体に接触し、ヒューズ本体に応力を与えるおそれがある。
【0005】
かかる観点に鑑みてなされた本開示の目的は、ヒューズ本体に与えられる応力が低減されうる組電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の観点に係る組電池は、ヒューズと、バスバと、ケースとを備える。前記ヒューズは、ヒューズ本体と、前記ヒューズ本体に接続されているヒューズ端子とを有する。前記バスバは、前記ヒューズ端子に接続されている。前記ケースは、前記バスバと前記ヒューズとを保持するヒューズ保持部を有する。前記ケースは、前記バスバの位置を決定するバスバ位置決め部を有する。前記ヒューズ端子は、前記バスバを介して前記ケースに締結されている。前記バスバと前記ヒューズ本体との間のクリアランスは、前記バスバと前記バスバ位置決め部との間のクリアランスよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
第1の観点に係る組電池によれば、ヒューズ本体に加えられる応力が低減されうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る組電池の構造の一例を示す外観斜視図である。
【
図5】ヒューズ保持部の構成例を示す平面図である。
【
図6】ヒューズ保持部の上にヒューズが載置されている構成の一例を示す図である。
【
図9】ヒューズ保持部の上にヒューズとバスバとが載置されている構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る一実施形態が、図面を参照して説明される。図面は、模式的なものである。図面上の寸法又は比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。各図面における各構成部の描写は、部分的に簡略化されることがある。
【0010】
図1に示されるように、一実施形態に係る組電池100は、ケース110と、ホルダ120とを備える。
【0011】
本実施形態に係る組電池100は、内燃機関を備えた車両、又は内燃機関と電動機との双方の動力で走行可能なハイブリッド車両等の車両に搭載されて使用されると仮定する。本実施形態に係る組電池100は、Z軸の正の方向が上に向くように車両等に搭載されると仮定する。組電池100は、例えば、車両の座席の下に搭載されてよい。組電池100は、例えば、車両のセンターコンソールに搭載されてよい。組電池100は、車両用に限られず、他の用途で用いられてよい。
【0012】
組電池100は、
図2に例示される電池セル150を備える。電池セル150は、ケース110とホルダ120とによって取り囲まれた状態で、組電池100に設けられている。電池セル150がケース110とホルダ120とによって取り囲まれている構成は、電池モジュールともいう。ケース110と、ホルダ120とは、例えば、PBT(Poly-Butylene Terephthalate)等の樹脂で構成されてよい。
【0013】
図2に示されているように、電池セル150は、6つの面を有する略直方体形状である。電池セル150の6つの面のうち2つの面は、他の4つの面よりも大きい面積を有する。電池セル150の面のうち比較的面積の大きい2つの面は、扁平面ともいう。電池セル150は、扁平面がZ軸の正の方向の側及び負の方向の側に位置するように配置される。
【0014】
本実施形態に係る組電池100において、電池セル150は、2段と3段とに分けてZ軸方向に積層されるとする。つまり、組電池100は、5つの電池セル150を備えるとする。電池セル150の数は、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。2段に積層された電池セル150は、Y軸の正の方向の側に配置されるとする。3段に積層された電池セル150は、Y軸の負の方向の側に配置されるとする。電池セル150が積層される数量は、組電池100に収容される電池セル150の数量に応じて、適宜変更されうる。電池セル150の配置は、これらの例に限られず、適宜変更されうる。
【0015】
電池セル150のX軸の正の方向の側の面は、キャップ面151ともいう。電池セル150は、キャップ面151に、正電極152と、負電極153とを備える。キャップ面151は、長辺と短辺とを有する略長方形状である。正電極152及び負電極153は、キャップ面151の長辺方向の両端付近に設けられる。電池セル150は、正電極152及び負電極153によって、電力を外部機器に供給したり、外部機器から供給される電力を受けたりできる。
【0016】
組電池100が備える5つの電池セル150は、電極間バスバを介して直列に接続されている。直列に接続されている電池セル150の各電極のうち、正極側の端に位置する正電極152、及び、負極側の端に位置する負電極153はそれぞれ、総プラス電極バスバ164及び総マイナス電極バスバ165に接続されている。電極間バスバ、総プラス電極バスバ164及び総マイナス電極バスバ165は、銅又はアルミニウム等の高い導電率を有する材料で構成されてよい。
【0017】
電池セル150は、X軸の負の方向に向けてケース110に収容されている。つまり、ケース110は、電池セル150のキャップ面151の反対側の部分を収容している。電池セル150は、キャップ面151の側でホルダ120に保持されている。ホルダ120は、例えば接着剤等によって電池セル150と接合している。ホルダ120は、正電極152及び負電極153それぞれに電気的に接続する電極間バスバを、電池セル150とあわせて保持している。電極間バスバは、ホルダ120が電池セル150を保持している部分よりもX軸の正の方向の側に突出している。
【0018】
組電池100は、正極端子250と、負極端子270とを備える。正極端子250は、正極バスバ230と、リレー220と、ヒューズ240とを介して、総プラス電極バスバ164に接続されている。正極バスバ230は、第1バスバ231と、第2バスバ232と、第3バスバ233と、第4バスバ234とを含む。リレー220は、第1リレー221と第2リレー222とを含む。第1バスバ231は、正極端子250とヒューズ240とを接続している。第2バスバ232は、ヒューズ240と第1リレー221とを接続している。第3バスバ233は、第1リレー221と第2リレー222とを接続している。第4バスバ234は、第2リレー222と総プラス電極バスバ164とを接続している。負極端子270は、負極バスバ235を介して、総マイナス電極バスバ165に接続されている。正極バスバ230及び負極バスバ235は、例えば銅等の高い導電率を有する材料で構成されてよい。正極バスバ230及び負極バスバ235の形状は、板状であるとする。正極バスバ230及び負極バスバ235の形状は、屈曲している部分を含んでもよい。正極バスバ230及び負極バスバ235は、単にバスバともいう。
【0019】
正極端子250及び負極端子270は、Z軸の正の方向に突出しており、外部機器に接続可能である。組電池100は、正極端子250及び負極端子270を介して、電池セル150が放電する電力を外部機器に供給したり、外部機器の電力で電池セル150を充電したりできる。
【0020】
図3に、ヒューズ240が三面図として示されている。
図3に示される三面図は、左上に位置する平面図と、平面図の下に位置する第1側面図と、平面図の右に位置する第2側面図とを含む。平面図は、ヒューズ240をZ軸の正の方向から見た構成を表している。第1側面図は、ヒューズ240をX軸の正の方向から見た構成を表している。第2側面図は、ヒューズ240をY軸の正の方向から見た構成を表している。
【0021】
ヒューズ240は、ヒューズ本体242と、ヒューズ本体242の両端に接続しているヒューズ端子244とを有する。ヒューズ240は、一方のヒューズ端子244から他方のヒューズ端子244に流れる電流を所定値以下に制限する。ヒューズ本体242は、所定値を超える電流を遮断するヒューズエレメントを含む。ヒューズ端子244は、ヒューズ本体242の両端から突出している。2つのヒューズ端子244はそれぞれ、第1バスバ231及び第2バスバ232に接続される。
【0022】
本実施形態において、ヒューズ本体242の形状は、略直方体状であるとする。ヒューズ本体242は、第1面242aと第2面242bと第3面242cと第4面242dとを有する。
【0023】
第1面242aと第2面242bとは、ヒューズ本体242の外形を構成する面のうち最も広い面に対応している。第1面242aと第2面242bとは、互いに反対側に位置している。ヒューズ240がケース110に載置されている場合に、第1面242aは、Z軸の正の方向の側を向くとする。第1面242aは、ヒューズ上面とも称される。第2面242bは、Z軸の負の方向の側を向くとする。第2面242bは、ヒューズ底面とも称される。
【0024】
第3面242cと第4面242dとは、第1面242a及び第2面242bに交差している面に対応している。第4面242dは、ヒューズ本体242の外形を構成する面のうち、ヒューズ端子244が位置している側の2つの面に対応している。第3面242cは、ヒューズ本体242の外形を構成する面のうち、他の2つの面に対応している。第3面242cは、ヒューズ側面とも称される。
【0025】
ヒューズ本体242は、第4面242dの一部からヒューズ端子244に向けて突出している突出部をさらに有する。突出部は、その外形を構成する第5面242eを有する。第5面242eは、突出部の外形を構成する面のうち第4面242dと略平行である面に対応しており、ヒューズ本体242の中心から見て第4面242dよりも遠くに位置している。ヒューズ端子244は、第5面242eにおいてヒューズ本体242と接続している。つまり、ヒューズ端子244は、第5面242eから突出している。第5面242eの形状は、
図3に示される第2側面図に示されるようにH字状である。これによって、突出部の剛性が向上する。第5面242eの形状は、H字状に限られず、他の種々の形状であってよい。
【0026】
ヒューズ端子244の形状は、板状である。ヒューズ端子244は、その外形を構成する面のうち最も広い面に対応する第1面244aと、第1面244aに交差する第2面244bとを有する。第1面244aは、ヒューズ端子244の板面ともいう。第2面244bは、ヒューズ端子244の側面ともいう。ヒューズ240がケース110に載置されている場合に、第1面244aは、Z軸の正の方向の側及び負の方向の側を向くとする。ヒューズ端子244は、第1面244aを貫通する孔の内面に対応する第3面244cを有する。第3面244cの形状は、円筒面状であってよいが、これに限られず、他の種々の形状を含んでもよい。
【0027】
図4~
図8を参照して、ヒューズ240がケース110に載置されている構成の一例が説明される。ケース110は、Z軸の正の方向を向いている上面112を有する。ケース110は、上面112に、第1ヒューズ保持部410と、第2ヒューズ保持部420とを有する。第1ヒューズ保持部410及び第2ヒューズ保持部420は、単にヒューズ保持部とも称される。2つのヒューズ保持部は、ヒューズ端子244を保持する。つまり、ヒューズ240は、ケース110のヒューズ保持部で保持されることによって、上面112に載置されている。第1ヒューズ保持部410で保持されるヒューズ端子244は、第1ヒューズ端子とも称される。第2ヒューズ保持部420で保持されるヒューズ端子244は、第2ヒューズ端子とも称される。
【0028】
第1ヒューズ保持部410及び第2ヒューズ保持部420はそれぞれ、それらの外形を構成する第1壁部418及び第2壁部428を有する。第1壁部418及び第2壁部428は、単に壁部とも称される。
図5において、第1壁部418及び第2壁部428はそれぞれ、破線で囲まれた構成として示されている。壁部は、Z軸の正の方向から見て略矩形の外周に位置している。つまり、ヒューズ保持部は、Z軸の正の方向から見て略矩形状である。第1壁部418の一部である第1壁部418aは、第2ヒューズ保持部420と対向する側の辺から、第2ヒューズ保持部420に向けて突出している。第2壁部428の一部である第2壁部428aは、第1ヒューズ保持部410と対向する側の辺から、第1ヒューズ保持部410に向けて突出している。
【0029】
図5に示されるように、第1ヒューズ保持部410及び第2ヒューズ保持部420はそれぞれ、ヒューズ端子244を支持する第1支持部415及び第2支持部425を有する。第1支持部415及び第2支持部425は、単に支持部とも称される。支持部は、Z軸の正の方向を向く面に対応する。ヒューズ240は、ヒューズ端子244が支持部で支持されている状態でケース110に載置されている。第1ヒューズ保持部410は、第1支持部415を第1壁部418に接続する第1接続部419をさらに有する。第2ヒューズ保持部420は、第2支持部425を第2壁部428に接続する第2接続部429をさらに有する。第1接続部419及び第2接続部429は、単に接続部とも称される。接続部は、壁部と支持部との位置関係を決定している。
【0030】
第1ヒューズ保持部410及び第2ヒューズ保持部420はそれぞれ、第1締結部414及び第2締結部424を有する。第1締結部414及び第2締結部424は、単に締結部とも称される。締結部は、支持部に含まれてもよい。2つのヒューズ端子244のうち一方のヒューズ端子244は、第1締結部材281(
図4参照)によって、第1締結部414に締結される。言い換えれば、第1締結部材281は、ヒューズ端子244を第1締結部414に締結する。第1締結部材281は、ヒューズ端子244とともに第1バスバ231もあわせて第1締結部414に締結する。第1バスバ231は、第1締結部414において、ヒューズ端子244と重なっている。他方のヒューズ端子244は、第2締結部材282(
図4参照)によって、第2締結部424に締結される。言い換えれば、第2締結部材282は、ヒューズ端子244を第2締結部424に締結する。第2締結部材282は、ヒューズ端子244とともに第2バスバ232もあわせて第2締結部424に締結する。第2バスバ232は、第2締結部424において、ヒューズ端子244と重なっている。第1締結部材281及び第2締結部材282は、単に締結部材ともいう。締結部材は、ボルト等の螺合部材を含んでよい。締結部は、ナット等の螺合部材を含んでよい。締結部材がボルトである場合、締結部材は、第3面244cを内面とする孔を貫通している。
【0031】
第1ヒューズ保持部410は、第1ヒューズY位置決めリブ412を有する。第1ヒューズY位置決めリブ412は、第1壁部418のうちX軸の負の方向に突出している第1壁部418aに、互いに対向するように位置している。Y軸の正の方向の側に位置する第1ヒューズY位置決めリブ412は、第1壁部418aからY軸の負の方向に突出している。Y軸の負の方向の側に位置する第1ヒューズY位置決めリブ412は、第1壁部418aからY軸の正の方向に突出している。
【0032】
第2ヒューズ保持部420は、第2ヒューズY位置決めリブ422を有する。第2ヒューズY位置決めリブ422は、第2壁部428のうちX軸の正の方向に突出している第2壁部428aに、互いに対向するように位置している。Y軸の正の方向の側に位置する第2ヒューズY位置決めリブ422は、第2壁部428aからY軸の負の方向に突出している。Y軸の負の方向の側に位置する第2ヒューズY位置決めリブ422は、第2壁部428aからY軸の正の方向に突出している。
【0033】
第1ヒューズY位置決めリブ412及び第2ヒューズY位置決めリブ422は、単にヒューズY位置決めリブとも称される。ヒューズY位置決めリブは、
図6及び
図8に示されるように、ヒューズ本体242の第3面242cに当接することによって、ヒューズ本体242のY軸方向の移動を制限する。その結果、ヒューズY位置決めリブは、ヒューズ本体242のY軸方向の位置を決定できる。ヒューズY位置決めリブは、第1リブとも称される。第1リブが当接する第3面242cは、ヒューズ本体242の第1側面とも称される。
【0034】
図5に示されるように、第1ヒューズ保持部410は、第1ヒューズX位置決めリブ413を有する。第1X位置決めリブ413は、第1壁部418のうち、Y軸に沿って延在し、且つ、X軸の負の方向の側に位置している第1壁部418bからX軸の負の方向の側に突出している。第1ヒューズX位置決めリブ413の少なくとも一部は、第1壁部418bよりもZ軸の正の方向に突出している。
【0035】
第2ヒューズ保持部420は、第2ヒューズX位置決めリブ423を有する。第2X位置決めリブ423は、第2壁部428のうち、Y軸に沿って延在し、且つ、X軸の正の方向の側に位置している第2壁部428bからX軸の正の方向の側に突出している。第2ヒューズX位置決めリブ423の少なくとも一部は、第2壁部428bよりもZ軸の正の方向に突出している。
【0036】
第1ヒューズX位置決めリブ413及び第2ヒューズX位置決めリブ423は、単にヒューズX位置決めリブとも称される。ヒューズX位置決めリブは、
図7に示されるように、ヒューズ本体242の第4面242dに当接することによって、ヒューズ本体242のX軸方向の移動を制限する。その結果、ヒューズX位置決めリブは、ヒューズ本体242のX軸方向の位置を決定できる。ヒューズX位置決めリブは、第2リブとも称される。第2リブが当接する第4面242dは、ヒューズ本体242の第2側面ともいう。
【0037】
本実施形態において、ケース110は、2対のヒューズX位置決めリブと、2対のヒューズY位置決めリブとを有する。ヒューズX位置決めリブの数、及び、ヒューズY位置決めリブの数はそれぞれ、2対に限られず、1対であってもよいし、3対以上であってもよい。ヒューズX位置決めリブの数とヒューズY位置決めリブの数とが異なっていてもよい。ヒューズX位置決めリブ及びヒューズY位置決めリブは、対になっていなくてもよい。例えば、ヒューズX位置決めリブは、X軸の負の方向から1箇所で第4面242dに当接し、X軸の正の方向から2箇所で第4面242dに当接してもよい。少なくとも2つのヒューズX位置決めリブが第4面242dに当接する場合、又は、少なくとも2つのヒューズY位置決めリブが第3面242cに当接する場合、ヒューズ本体242の回転が制限される。その結果、ヒューズ本体242の回転方向の位置精度が向上する。つまり、第1リブ及び第2リブのうち少なくとも一方のリブが少なくとも2つあることによって、ヒューズ本体242の回転方向の位置精度が向上する。ヒューズX位置決めリブ及びヒューズY位置決めリブは、単にヒューズ位置決めリブとも称される。
【0038】
ヒューズ位置決めリブは、壁部から突出する突起で置き換えられてもよい。この場合、突起がヒューズ本体242の第1側面又は第2側面に当接することによってヒューズ本体242の位置が決定される。ヒューズ位置決めリブは、突起に限られず、他の構成で置き換えられてもよい。ヒューズ位置決めリブと、それに置き換えられうる構成とは、まとめてヒューズ位置決め部とも称される。
【0039】
図4~
図6に示されるように、第2ヒューズ保持部420は、第1バスバ位置決め部426と、第2バスバ位置決め部427とを有する。第1バスバ位置決め部426及び第2バスバ位置決め部427は、単にバスバ位置決め部とも称される。第1バスバ位置決め部426は、第2壁部428のうち、X軸方向に延在し、且つ、Y軸の正の方向の側に位置している第2壁部428cの一部からZ軸の正の方向に突出している部分に対応する。第1バスバ位置決め部426は、第2バスバ232のY軸方向の位置を決定する。第2バスバ位置決め部427は、第2壁部428のうち、Y軸方向に延在し、且つ、X軸の負の方向の側に位置している第2壁部428dの一部からZ軸の正の方向に突出している部分に対応する。第2バスバ位置決め部427は、第2バスバ232のX軸方向の位置を決定する。第1バスバ位置決め部426及び第2バスバ位置決め部427は、第2バスバ232の突き当てによって、第2バスバ232の位置を決定してもよい。第1バスバ位置決め部426及び第2バスバ位置決め部427は、第2バスバ232のX軸方向及びY軸方向それぞれの動きを限定してもよい。
【0040】
図4に示されるように、第2バスバ232は、ヒューズ端子244とともに、第2ヒューズ保持部420に締結されている。
図9を参照して、第2ヒューズ保持部420における、第2バスバ232とヒューズ端子244との間の位置関係が説明される。第2バスバ232のうち、第2ヒューズ保持部420に締結されている部分は、第2バスバ232の端部とも称される。第2バスバ232の端部の形状は、板状である。第2バスバ232の端部は、最も広い面に対応する第1面232aと、第1面232aを貫通する孔の内面に対応する第2面232bとを有する。第2面232bの形状は、円筒面状であってよいが、これに限られず、他の種々の形状を含んでもよい。第2締結部材282(
図4参照)は、第2バスバ232の第2面232bを内面とする孔を貫通する。
【0041】
第2バスバ232は、第1面232aに交差する第3面232c、第4面232d及び第5面232eをさらに有する。第3面232c、第4面232d及び第5面232eは、第2バスバ232の端部の側面とも称される。第3面232cは、Y軸の正の方向の側に位置し、第1バスバ位置決め部426の内面426aに対向している。第3面232cと内面426aとの間のクリアランスは、C1で表されるとする。第4面232dは、X軸の正の方向の側に位置し、ヒューズ本体242の第5面242eに対向している。第4面232dと第5面242eとの間のクリアランスは、C2で表されるとする。第5面232eは、X軸の負の方向の側に位置し、第2バスバ位置決め部427の内面427aに対向している。
【0042】
ヒューズ端子244は、第2バスバ232と重なって第2ヒューズ保持部420に締結されている。ヒューズ端子244の第2面244bは、Y軸の正の方向の側で第1バスバ位置決め部426の内面426aに対向している。第2面244bと内面426aとの間のクリアランスは、C3で表されるとする。
【0043】
第2バスバ232は、第2ヒューズ保持部420から見てヒューズ端子244よりも外側に重なって第2締結部424に締結される。第2締結部材282がボルトである場合、第2バスバ232がワッシャとして機能することによって、ボルトの締結に起因するトルクがヒューズ端子244に伝達しにくくなる。その結果、ヒューズ240は、ケース110に締結される際に、故障しにくくなる。
【0044】
第2バスバ232は、ワッシャとして機能する場合、第2締結部材282としてのボルトの締結によって、ボルトの軸を中心として時計回りに回動することがある。本実施形態において、クリアランスC2がクリアランスC1よりも大きい。つまり、C2>C1が成立する。C2>C1が成立する場合、第2バスバ232が時計回りに回動したとしても、第2バスバ232の第3面232cが第1バスバ位置決め部426の内面426aに当接する。第3面232cが内面426aに当接することによって、第2バスバ232の第4面232dは、ヒューズ本体242の第5面242eに接触しない。仮に第2バスバ232が回動してヒューズ本体242に接触した場合、ヒューズ240が損傷する可能性がある。C2>C1が成立することによって、第2バスバ232が回動したとしても、ヒューズ240が損傷する可能性が低くなる。
【0045】
第2バスバ232がワッシャとして機能する場合であっても、ヒューズ端子244がボルトの軸を中心として時計回りに回動する可能性もある。ヒューズ端子244が回動して第1バスバ位置決め部426の内面426aに接触した場合、ヒューズ端子244が損傷する可能性がある。ここで、仮にヒューズ端子244が時計回りに回動したとしても、ヒューズ端子244が回動する角度は、第2バスバ232が回動する角度以下である。本実施形態において、クリアランスC3がクリアランスC1よりも大きい。つまり、C3>C1が成立する。C3>C1が成立する場合、仮にヒューズ端子244が回動したとしても、ヒューズ端子244の第2面244bは、内面426aに接触しない。これによって、ヒューズ端子244が回動したとしても、ヒューズ端子244が損傷する可能性が低くなる。
【0046】
ヒューズ端子244の第2面244bと内面427aとの間のクリアランスは、第2バスバ232の第5面232eと第2バスバ位置決め部427の内面427aとの間のクリアランスよりも大きくされてよい。この場合、仮にヒューズ端子244が回動したとしても、ヒューズ端子244の第2面244bは、内面426aに接触しない。これによって、ヒューズ端子244が回動したとしても、ヒューズ端子244が損傷する可能性が低くなる。
【0047】
ヒューズ本体242の第3面242cとヒューズY位置決めリブとの間のクリアランス、及び、ヒューズ本体242の第4面242dとヒューズX位置決めリブとの間のクリアランスのうち少なくとも一方は、クリアランスC3よりも小さくされてよい。このようにすることで、ヒューズ240の位置は、ヒューズ本体242の位置によって決定される。仮に、ヒューズ240の位置がヒューズ端子244の位置によって決定される場合、ヒューズ端子244は、第1バスバ位置決め部426又は第2バスバ位置決め部427と接触することによって、損傷する可能性がある。また、この場合、ヒューズ端子244を通じてヒューズ本体242に応力が加わる可能性がある。ヒューズ本体242に加わる応力は、ヒューズ本体242内のヒューズエレメントを損傷させうる。本実施形態において、ヒューズ240の位置がヒューズ本体242の位置によって決定されることによって、ヒューズ端子244の損傷の可能性、及び、ヒューズエレメントの損傷の可能性が低くなる。
【0048】
図4、
図6及び
図7に示されるように、ヒューズ本体242の第2面242bとケース110の上面112との間に、空間430が形成されている。空間430は、第2面242bと上面112と第1壁部418bと第2壁部428bとによって囲まれている領域に対応する。ヒューズ本体242が空間430に接していることによって、ヒューズ本体242に流れる電流で生じるジュール熱は、空間430に放出されやすくなる。つまり、ヒューズ本体242が空冷されやすくなる。仮にヒューズ本体242が空間430に接していない場合、ヒューズ本体242に熱がこもりやすくなる。ヒューズ本体242に熱がこもることによって、ヒューズ本体242の温度は、流れる電流に応じた温度よりも高くなることがある。この場合、ヒューズ240は、所定の電流より小さい電流を遮断してしまう。本実施形態によれば、ヒューズ本体242から空間430に熱が放出されることによって、ヒューズ本体242の温度は、流れる電流に応じた温度となる。この場合、ヒューズ240は、所定の電流を遮断することができる。
【0049】
空間430は、第1ヒューズ保持部410と第2ヒューズ保持部420との間に位置する開口440(
図5参照)を通じて外部と連通している。第1ヒューズ保持部410は、第1壁部418aのX軸の負の方向の側の端に開口端411を有する。第2ヒューズ保持部420は、第2壁部428aのX軸の正の方向の側の端に開口端421を有する。空間430が外部と連通するための開口440は、開口端411と開口端421と上面112とによって形成されている。空間430が開口440を通じて外部と連通することによって、空間430に熱がこもりにくくなる。この場合、ヒューズ本体242がより一層空冷されやすくなる。
【0050】
本開示に係る一実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段等を1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【0051】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1バスバは、第2バスバと識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0052】
本開示において、X軸、Y軸及びZ軸は、説明の便宜上設けられたものであり、互いに入れ替えられてよい。本開示に係る構成は、X軸、Y軸及びZ軸によって構成される直交座標系を用いて説明されてきた。本開示に係る各構成の位置関係は、直交関係にあると限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
100 組電池
110 ケース
112 上面
120 ホルダ
150 電池セル
151 キャップ面
152 正電極
153 負電極
164 総プラス電極バスバ
165 総マイナス電極バスバ
220(221、222) リレー(第1、第2リレー)
230(231~234) 正極バスバ(第1~第4バスバ)
232a~232e 第2バスバの端部の第1面~第5面
235 負極バスバ
240 ヒューズ
242 ヒューズ本体(242a~242e 第1面~第5面)
244 ヒューズ端子(244a~244c 第1面~第3面)
250 正極端子
270 負極端子
281、282 第1、第2締結部材
410、420 第1、第2ヒューズ保持部
411、421 開口端
412、422 第1、第2ヒューズY位置決めリブ
413、423 第1、第2ヒューズX位置決めリブ
414、424 第1、第2締結部
415、425 第1、第2支持部
418(418a~418b)、428(428a~428d) 第1、第2壁部
419、429 第1、第2接続部
426、427 第1、第2バスバ位置決め部
426a、427a 内面
430 空間
440 開口