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  • 特許-空気入りタイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 1/00 20060101AFI20220909BHJP
   B60C 17/00 20060101ALI20220909BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220909BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220909BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20220909BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20220909BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
B60C1/00 A
B60C17/00 B
C08K3/013
C08K3/36
C08L7/00
C08L15/00
C08L101/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019539674
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2018032425
(87)【国際公開番号】W WO2019045061
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2017167969
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】坪田 毅
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052330(JP,A)
【文献】特開2009-143487(JP,A)
【文献】国際公開第2009/087878(WO,A1)
【文献】特開2012-087175(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079703(WO,A1)
【文献】特開2009-263456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00、17/00-17/10
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00ー101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部間に跨ってトロイド状に延在する、1枚以上のカーカスプライからなるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部タイヤ半径方向外側に配置された1枚以上のベルト層を備えており、前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に、踏面部を形成するトレッド部が配設されており、トレッド部の左右、タイヤ幅方向外側に一対のサイドウォール部を具え、該サイドウォール部にゴム補強層が配設されている空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部ゴム組成物が
ゴム成分(A)、熱可塑性樹脂(B)、と補強性充填剤(C)を含み、
前記ゴム成分(A)はゴム成分100質量部に対し、
50質量%以上の天然ゴム:NRを含み、
5~50質量%の末端変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム:末端変性SBRを含み、
前記ゴム補強層がゲージ厚4~15mmであることを特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記トレッド部ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対して、C5系樹脂、C5-C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中からなる群から選択される、1種以上の熱可塑性樹脂(B)を、ゴム成分(A)100質量部に対し5~50質量部配合したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記トレッド部の30℃での、1%動歪と4%動歪における動的貯蔵弾性率E’をそれぞれE’(1%,30℃)、E’(4%,30℃)とするとき、
E’(1%,30℃)-E’(4%,30℃)≧1.5MPa
であることを満たす、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記トレッド部ゴム組成物において、前記補強性充填剤(C)がシリカを70質量%以上含むことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記トレッド部ゴム組成物において末端変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴムが、下記一般式(IV):
【化1】

一般式(IV)中、q1+q2=3、但し、q1は0~2の整数、q2は1~3の整数であり、R31は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なってもよい化合物;
または下記一般式(V):
【化2】

一般式(V)中、r1+r2=3、但し、r1は1~3の整数であり、r2は0~2の整数である)であり、R36は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい化合物;で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物で変性されていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記ゴム補強層のゴム組成物が、
変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分(a)100質量部に対して、
充填材(b)、熱硬化性樹脂(c)、メチレン供与体(d)、チウラム系加硫促進剤(e)、およびスルフェンアミド系加硫促進剤(f)とを配合してなるゴム組成物である請求項1~の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記ゴム補強層のゴム組成物が、
変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分100質量部に対して、
充填材(b)を60~100質量部、
熱硬化性樹脂(c)を0.9~2.4質量部、
メチレン供与体(d)を0.07~0.2質量部
チウラム系加硫促進剤(e)を1.5~2.1質量部、および
スルフェンアミド系加硫促進剤(f)を3.2~4.5質量部、
配合してなるゴム組成物である請求項1~の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記ゴム補強層のゴム組成物充填材(b)熱硬化性樹脂(c)の配合量が下記式(XIV)を満たすことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
1.0≦[質量比{熱硬化性樹脂(c)の配合量/充填材(b)の配合量}]×100≦4.0 ・・・(XIV)
【請求項9】
前記ゴム補強層のゴム組成物チウラム系加硫促進剤(e)とスルフェンアミド系加硫促進剤(f)の配合量が下記式(XV)を満たすことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
0.45≦質量比[チウラム系加硫促進剤(e)の配合量/スルフェンアミド系加硫促進剤(f)の配合量]≦0.65 ・・・(XV)
【請求項10】
前記空気入りタイヤがランフラットタイヤであることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットグリップ性を向上したトレッド部と、ランフラット耐久性に優れたサイド部の構成を具えた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の高速化に伴い、タイヤも高性能化への要求が一段と高まっている。一方、車両の軽量化要求からスペアタイヤを不要とできることが望ましい。パンクして本来であれば処置を施さなければタイヤの充填内圧が低下して走行不能に至る場合にも、内圧低下を抑制し即時の修理や交換といった処置をせず、少なくとも安全に処置ができる場所までは、継続して走行して移動可能なタイヤが要求されている。このようなタイヤの一つとしてランフラットタイヤが提案され実用化されている。
従来のランフラットタイヤのサイド補強ゴムへの要求特性としては、ランフラット耐久性を向上させることと、通常走行時の乗り心地性を維持することが求められてきた。
【0003】
ランフラットタイヤはランフラット耐久を確保するためにサイドウォール部内側に高剛性の補強ゴムを荷重支持体として使用している。その一方で、補強ゴムのためにタイヤショルダー部において特異的に接地圧が増加してしまう。そのため、ショルダー部分の偏摩耗やトレッド中央部分の接地/変形不足のため、グリップ性能が十分に発揮できないと制動距離の増大を招く。このためランフラット耐久を確保しつつも十分な摩耗性/制動性能を両立させるのは難しい。とはいえトレッド自身の耐久を上げて偏摩耗を抑制すると、今度は弾性率増加により、さらに接地時の変形が減り、結局制動距離の増大抑制には寄与しない。
【0004】
グリップ性能を向上させるためには、例えば特許文献1に天然ゴム、熱可塑性樹脂と、シリカを特定量で配合することにより、湿潤路面での制動性能のみならず、乾燥路面、マンホールといった滑りやすい湿潤路面での制動性能にも優れたタイヤが得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開 2015/079703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ランフラット耐久性を確保しつつも、耐摩耗性に優れ、ランフラット走行時には制動距離が抑制でき、ウェット性能に優れたグリップ性を両立した空気入りタイヤが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
弾性率において、歪依存性が大きいゴム組成物を用いたトレッド部により、十分な耐摩耗性を確保しつつ、接地時の変形が大きいのでグリップ性に優れ、さらにサイドウォール部を強化してランフラット耐久性を向上した、ランフラットタイヤである空気入りタイヤを提供する。
【0008】
すなわち、本発明は次の(1)~(11)に存する。
(1) 一対のビード部間に跨ってトロイド状に延在する、1枚以上のカーカスプライからなるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部タイヤ半径方向外側に配置された1枚以上のベルト層を備えており、前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に、踏面部を形成するトレッド部が配設されており、トレッド部の左右、タイヤ幅方向外側に一対のサイドウォール部を具え、該サイドウォール部にゴム補強層が配設されている空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部ゴム組成物がゴム成分(A)、熱可塑性樹脂(B)、と補強性充填剤(C)を含み、前記ゴム成分(A)はゴム成分100質量部に対し、50質量%以上の天然ゴム:NRを含み、前記ゴム補強層がゲージ厚4~15mmであることを特徴とする、空気入りタイヤ。
(2) 前記トレッド部ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対して、C系樹脂、C-C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中からなる群から選択される、1種以上の熱可塑性樹脂(B)を、ゴム成分(A)100質量部に対し5~50質量部配合したことを特徴とする(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3) 前記トレッド部の30℃での、1%動歪と4%動歪における動的貯蔵弾性率E’をそれぞれE’(1%,30℃)、E’(4%,30℃)とするとき、E’(1%,30℃)-E’(4%,30℃)≧1.5MPaであることを満たす、(1)または(2)に記載の空気入りタイヤ。
(4) 前記トレッド部ゴム組成物において、前記補強性充填剤(C)がシリカを70質量%以上含むことを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
(5) 前記空気入りタイヤにおけるトレッド部ゴム組成物が、変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム:変性SBRを含む、(1)~(4)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
(6) 前記トレッド部において、前記末端変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴムが、下記一般式(IV):
【化1】

一般式(IV)中、q1+q2=3、但し、q1は0~2の整数、q2は1~3の整数であり、R31は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なってもよい化合物;
または下記一般式(V):
【化2】

一般式(V)中、r1+r2=3、但し、r1は1~3の整数であり、r2は0~2の整数である)であり、R36は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい化合物;で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物で変性されていることを特徴とする(1)~(5)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
(7) 前記ゴム補強層のゴム組成物が、変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分(a)100質量部に対して、充填材(b)、熱硬化性樹脂(c)、メチレン供与体(d)、チウラム系加硫促進剤(e)、およびスルフェンアミド系加硫促進剤(f)とを配合してなるゴム組成物である(1)~(6)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
(8) 前記ゴム補強層のゴム組成物が、変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分100質量部に対して、充填材(b)を60~100質量部、熱硬化性樹脂(c)を0.9~2.4質量部、メチレン供与体(d)を0.07~0.2質量部、チウラム系加硫促進剤(e)を1.5~2.1質量部、およびスルフェンアミド系加硫促進剤(f)を3.2~4.5質量部、配合してなるゴム組成物である(1)~(7)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
(9) 前記ゴム補強層のゴム組成物の前記充填材(b)と前記熱硬化性樹脂(c)の配合量が下記式(XIV)を満たすことを特徴とする(1)~(8)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
1.0≦[質量比{熱硬化性樹脂(c)の配合量/充填材(b)の配合量}]×100≦4.0 ・・・(XIV)
(10) 前記ゴム補強層のゴム組成物の前記チウラム系加硫促進剤(e)とスルフェンアミド系加硫促進剤(f)の配合量が下記式(XV)を満たすことを特徴とする(1)~(9)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
0.45≦質量比[チウラム系加硫促進剤(e)の配合量/スルフェンアミド系加硫促進剤(f)の配合量]≦0.65 ・・・(XV)
(11) 前記空気入りタイヤがランフラットタイヤであることを特徴とする(1)~(10)の何れか1つに記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0009】
(1)により、グリップ性に優れたトレッド部と強靭なゴム補強層を具えた空気入りタイヤが提供される。
(2)~(6)により、トレッド部においてさらにグリップ性が向上する。
(7)~(11)により、ゴム補強層の強化により、ランフラット耐久性が向上する。
(12)により、(1)~(11)の特徴を具えたランフラット耐久性に優れ、グリップ性も両立したランフラットタイヤが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のタイヤの一実施態様の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のトレッド部とゴム補強層を有する空気入りタイヤのトレッド部ゴム組成物は、天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)を配合してなり、ゴム成分100質量部に対して、C系樹脂、C-C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を5~50質量部、並びにシリカを含む充填剤(C)を配合してなることを特徴とする。また、該トレッド部の30℃での、1%動歪と4%動歪における動的貯蔵弾性率E’をそれぞれE’(1%,30℃)、E’(4%,30℃)とするとき、E’(1%,30℃)-E’(4%,30℃)≧1.5MPaであることを満たすことが好ましい。
【0012】
<<ゴム成分(A)>>
本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分(A)には、天然ゴム:NRが50質量%以上、好適には70質量%以上、さらに好適には80質量%以上含まれる。ゴム成分(A)中のNR含有量を50質量%以上とすることで、後述するC系樹脂配合の効果が充分に発揮されやすい、という効果を奏する。
【0013】
さらに、ゴム成分(A)には、末端変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム:末端変性SBRが5~50質量%、好適には5~30質量%、さらに好適には10~20質量%含まれることが好ましい。末端変性SBRを配合することで、ゴム組成物のガラス転移点:Tgを高め、乾燥路面での制動性能と、操縦安定性を向上させることが出来る。ゴム成分(A)中のSBRの含有量が5質量%未満では、上記の効果が充分に得られない可能性がある。また、ゴム成分(A)中の末端変性SBRの含有量を50質量%超とすると、必然的にゴム成分(A)中のNRの含有量が50質量%未満となり、NRの配合による前述の効果が得られにくくなる。加えて、ゴムの発熱性が上がるため転がり抵抗が上昇しやすい、ゴムの柔軟性が下がるため滑りやすい湿潤路面での路面追従性が得られにくい、といった問題が生じ得る。
【0014】
ゴム成分(A)は、他のゴム材料として、ブタジエンゴム:BR、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム:NBR、クロロプレンゴム:CR、ポリイソプレンゴム:IR、ブチルゴム:IIRといったゴムを適宜含有することが出来る。
【0015】
<<熱可塑性樹脂(B)>>
本発明のゴム組成物は、C系樹脂、C-C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を、ゴム成分100質量部に対して5~50質量部配合してなる。規定量の熱可塑性樹脂(B)を配合することで、本発明のゴム組成物は、ガラス転移点:Tgが高くなり、0℃での損失正接:tanδが向上するため、主にタイヤの湿潤路面での性能を向上させることができる。本発明のゴム組成物におけるゴム成分(A)は、上記の通り、NRを50質量%以上含有するものであるが、上記の熱可塑性樹脂(B)は、NRとの相溶性が高いため、上記の効果が特に得られやすい。
【0016】
本発明において「C系樹脂」とは、C系合成石油樹脂を指し、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C留分を重合して得られる固体重合体を指す。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3-ペンタジエン及び1-ペンテンなどを主成分とする共重合体、2-ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3-ペンタジエンを主体とする重合体などが例示される。なお、熱可塑性樹脂(B)としてC系樹脂を用いれば、さらに氷雪路面上での制動性能を向上させることもできる。
【0017】
本発明において「C-C系樹脂」とは、C-C系合成石油樹脂を指し、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C-C留分を重合して得られる固体重合体を指す。「C-C系樹脂」としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。本発明においては、このC-C樹脂として、C以上の成分の少ない樹脂が、(A)成分との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることをいうものとする。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてC-C系樹脂を用いれば、さらにハンドリング特性を向上させることもできる。
ここで、「C-C系樹脂」としての固体重合体の重合に用いられるC-C留分には、C留分及びC留分以外の留分も含まれるものとする。
【0018】
本発明において「C系樹脂」とは、C系合成石油樹脂を指し、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C留分を重合して得られる固体重合体を指す。「C系樹脂」としては、例えば、インデン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。なお、熱可塑性樹脂(B)としてC 系樹脂を用いれば、さらにハンドリング性能を向上させることもできる。
【0019】
前記テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油、或いはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β-ピネン樹脂、α-ピネン樹脂などがある。また、テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、代表例としてテルペン-フェノール樹脂を挙げることができる。このテルペン-フェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、或いはさらにホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α-ピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素が好ましく、α-ピネンを含むものがより好ましく、特にα-ピネンであることが好ましい。本発明においては、フェノール成分の比率の少ないテルペン-フェノール樹脂が好適である。ここで、「フェノール成分の比率が少ない」とは、樹脂全量中のフェノール成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを指すものとする。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてテルペン-芳香族化合物系樹脂、特にテルペン-フェノール樹脂を用いれば、さらにハンドリング性能を向上させることもできる。
【0020】
前記ロジン系樹脂としては、天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどがある。また、変性ロジン、ロジン誘導体、変性ロジン誘導体として、例えば重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジン;といったロジンがある。なお、熱可塑性樹脂(B)としてロジン系樹脂を用いれば、さらにハンドリング性能を向上させることもできる。
【0021】
前記ジシクロペンタジエン樹脂は、例えばAlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒等を用い、ジシクロペンタジエンを重合して得られる樹脂を指す。前記ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、日本ゼオン製のクイントン1920、クイントン1105、丸善石油化学製のマルカレッツM-890A、といった樹脂が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂(B)としてジシクロペンタジエン樹脂を用いれば、さらに氷雪路面上での制動性能を向上させることもできる。
【0022】
前記アルキルフェノール系樹脂としては、例えばp-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂などのアルキルフェノール-アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
なお、熱可塑性樹脂(B)としてアルキルフェノール系樹脂を用いれば、さらにハンドリング性能を向上させることもできる。具体的にはノボラック型アルキルフェノール樹脂である日立化成工業社製の商品名ヒタノール1502、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂であるBASF社製の商品名コレシンが挙げられる。
【0023】
熱可塑性樹脂はASTM E28-58-Tに基づく測定による軟化点が100℃以上のものを用いることができ、さらには100~150℃の範囲であることが好ましい。
上記樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。ゴム成分100重量部に対し、5~50重量部、好ましくは10~30重量部配合する。熱可塑性樹脂(B)の配合量をゴム成分(A)100質量部に対して5~50質量部とすることで、所望の破壊特性や耐摩耗性を確保することができる。熱可塑性樹脂(B)の配合量が5質量部以上であると、湿潤路面での制動性能が充分に発揮される。熱可塑性樹脂(B)の配合量が50質量部以下であると、所望の耐摩耗性や破壊特性が得られる。
【0024】
<<補強性充填剤(C)>>
本発明のゴム組成物には、補強性充填剤(C)が、ゴム成分(A)100質量部に対して20~120質量部、好ましくは50~100質量部配合される。また、補強性充填剤(C)中には、シリカが70質量%以上、好ましくは80~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%含まれる。すなわち、本発明のゴム組成物には、ゴム成分(A)100質量部に対して、シリカが10~120質量部、好ましくは45~100質量部含まれる。補強性充填剤(C)の配合量をゴム成分(A)100質量部に対して20~120質量部とすることで、ゴム成分(A)の柔軟性等の特性を損ねることなく、その補強効果を奏することができる。さらに、補強性充填剤(C)中のシリカの配合量を70質量%以上とすることで、特に、転がり抵抗の低減、湿潤路面での制動性能の向上といった効果を奏しつつ、かつ、ゴム成分の柔軟性を損ねにくい、という利点がある。
【0025】
本発明のゴム組成物におけるシリカ配合の効果は、NRと熱可塑性樹脂(B)とが良好に分散した状態で、その柔軟性を損ねることなく、充分な補強性と低発熱性とを付与することができることである。そのため、本発明のゴム組成物は、その柔軟性により、摩擦係数の低い路面、例えば、マンホールのような滑りやすい湿潤路面への追従性が高く、このような滑りやすい湿潤路面で充分な制動性能を奏することができる。
【0026】
シリカとしては、例えば湿式シリカ、すなわち含水ケイ酸、乾式シリカ、すなわち無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムといったものが挙げられるが、中でも、湿式シリカを好適に使用できる。この湿式シリカのBET比表面積は40~350m/gであるのが好ましく、150~300m/gであるのがより好ましく、200~250m/gであるのがさらに好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。このようなシリカとしては東ソー・シリカ(株)社製、商品名「ニプシルAQ」、「ニプシルKQ」、エボニック社製、商品名「ウルトラジルVN3」といった市販品を用いることができる。シリカは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
補強性充填剤(C)としては、シリカの他に、カーボンブラック、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等を適宜配合することができる。
【0028】
〔末端変性〕
本発明のゴム組成物において、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム:SBRは、変性剤を用いて、ゴム成分高分子の末端基を変性されたものを用いることが好ましい。
本発明で用いる変性剤は、シリカに対して相互作用性を有する官能基を含む変性剤であり、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤であることが好ましい。
前記シリカに対して高い親和性を有する観点から前記変性剤は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
【0029】
上記ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
-Si-(OR4-a ・・・(I)
一般式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0~2の整数であり。ORが複数ある場合、各ORは互いに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。
【0030】
前記一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【0031】
【化3】

一般式(II)中、n1+n2+n3+n4=4、但し、n2は1~4の整数であり、n1、n3及びn4は0~3の整数であり、Aは、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、エポキシ基、チオエポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、ケトン基、チオケトン基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、アミド基、カルボン酸エステル基、チオカルボン酸エステル基、カルボン酸エステルの金属塩、チオカルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又はメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、Aは、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R21は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R23は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基又はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン原子であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R22は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成しており、R24は、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
前記加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又は前記加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
なお、「炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基」とは、「炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3~20の一価の脂環式炭化水素基」をいう。二価の炭化水素基の場合も同様である。
【0032】
さらに、前記一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
【0033】
【化4】

一般式(III)中、p1+p2+p3=2、但し、p2は1~2の整数、p1及びp3は0~1の整数であり、Aは、NRa或いは、硫黄であり、Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。R25は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R27は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基又はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン原子であり、R26は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一もしくは異なり、或いは、一緒になって環を形成しており、R28は、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である。
【0034】
さらに、前記一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)又は(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
【0035】
【化5】
一般式(IV)中、q1+q2=3、但し、q1は0~2の整数、q2は1~3の整数であり、R31は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なってもよい。
【0036】
【化6】

一般式(V)中、r1+r2=3、但し、r1は1~3の整数であり、r2は0~2の整数である)であり、R36は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
【0037】
また、本発明で用いる変性剤は、下記一般式(VI)又は(VII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化7】

前記一般式(VI)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R40はトリメチルシリル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R42は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である。
【0038】
【化8】

前記一般式(VII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R43及びR44はそれぞれ独立して炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R45は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、複数のR45は、同一でも異なっていてもよい。
【0039】
また、前記一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(VIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化9】

前記一般式(VIII)中、s1+s2=3、但し、s1は0~2の整数であり、s2は1~3の整数であり、TMSはトリメチルシリル基であり、R46は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47及びR48はそれぞれ独立して炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47又はR 48は、同一でも異なっていてもよい。
【0040】
さらに、本発明で用いる変性剤は、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化10】

前記一般式(IX)中、Xはハロゲン原子であり、R49は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R 50及びR51はそれぞれ独立して加水分解性基又は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R50及びR51は結合して二価の有機基を形成しており、R52及びR53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基である。R50及びR 51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0041】
一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(X)~(XIII)で表される構造を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】

一般式(X)~(XIII)中、記号U、Vはそれぞれ0~2かつU+V=2を満たす整数である。一般式(X)~(XIII)中のR54~R92は同一でも異なっていてもよく、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である一般式(XIII)中のαおよびβは0~5の整数である。
【0042】
一般式(X)~(XII)の化合物の中でも、2-((ヘキシル-ジメトキシシリル)メチル)-N1,N1,N3,N3-2-ペンタメチルプロパン-1,3-ジアミン、N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル-N3,N3-ジメチル-N1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン-1,3-ジアミン、4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N1,N1,N7,N7-テトラメチル-4-((トリメトキシシリル)メチル)ヘプタン-1,7-ジアミンが好ましい。
【0043】
一般式(XIII)の化合物の中でも、N,N-ジメチル-2-(3-(ジメトキシメチルシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-2-(3-(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N-ジメチル-2-(3-トリメトキシシリルプロポキシ)エタンアミン、N,N-ジメチル-3-(3-(3-トリメトキシシリルプロポキシ)エタン-1-アミンが好ましい。
【0044】
以上の一般式(I)~(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、前記変性共役ジエン系重合体がアニオン重合により製造される場合の変性剤として用いられることが好ましい。
【0045】
また本発明においては、トレッド部ゴム組成物が30℃での、1%動歪と4%動歪における動的貯蔵弾性率E’をそれぞれE’(1%,30℃)、E’(4%,30℃)とするとき、E’(1%,30℃)-E’(4%,30℃)≧1.5MPaであることを満たすことを特徴とする。
【0046】
すなわち、動歪に対する貯蔵弾性率E’の依存性が大きいゴム組成物を用いることを示している。動歪1%の低歪時に、十分に大きな貯蔵弾性率を有していることで、ブロック剛性が高くなるため、耐摩耗性や操縦安定性を向上させることができる。一方、動歪4%の高歪時に、小さな貯蔵弾性率を有していることで、ウェットブレーキ性能が向上する。本発明の空気入りタイヤのトレッド用ゴム組成物は、動歪に対する、貯蔵弾性率の依存性が大きいため、E’(1%,30℃)-E’(4%,30℃)で、該特徴が示される。E’(1%,30℃)-E’(4%,30℃)≧1.5MPaが好ましい。
【0047】
また、本発明においては、サイドウォール部に配設される、ゴム補強層のゲージ厚が4~15mmであることを特徴とする。
【0048】
ゴム補強層のゲージ厚を厚くすれば、サイドウォール部の剛性は増大し、内圧低下時におけるランフラットタイヤとしての性能、すなわち、ランフラット耐性は向上する。通常走行時においては、上記のように、元々、動歪に対する、貯蔵弾性率の依存性が大きいゴム組成物を用いていることに加え、タイヤ重量が増加するため、トレッド部の変形の増大に伴い、接地面積が大きくなる。その結果、ウェット性能をはじめ、制動性が向上する。他タイヤに比べ、特にランフラットタイヤへ本願で規定するトレッドゴム組成物を適応した場合には、圧縮剛性が低くなるので、ゲージを厚くしても乗り心地を損ねることなく、ランフラット耐久性やウェット性能を確保することができる。但し、ゴム補強層のゲージ厚の過度の増大は当然ながら、低燃費性の観点からは不利である。従って、4mm以上のゲージ厚でランフラット性能を向上しつつ、制動性能を高めることができ、15mm以下とすることで、燃費性能を過度に損なわず良好に保つことができる。
【0049】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、(a)変性共役ジエン系重合体を20~80質量%含有するゴム成分100質量部に対し、(b)充填材を60~100質量部、(c)フェノール樹脂を0.9~2.4質量部、(d)メチレン供与体を0.07~0.2質量部、(e)チウラム系加硫促進剤を1.5~2.1質量部、(f)スルフェンアミド系加硫促進剤を3.2~4.5質量部配合してなるゴム組成物であることが好ましい。
この配合組成により、加硫後のゴム組成物の高温時における弾性率の低下が抑制され、高い弾性率を有することができる。サイド補強ゴム層において例えば、180℃のような高温時での高い剛性を確保することができ、同時に、25℃のような常温付近での柔軟性を確保して、通常走行における乗り心地性を満足させることができる。
【0050】
(ゴム成分)
本発明のゴム補強層用ゴム組成物におけるゴム成分としては、(a)変性共役ジエン系重合体を20~80質量%含有することが好ましい。本発明のゴム組成物に係る(a)変性共役ジエン系重合体は、1種単独又は2種以上併用して用いられる。(a)変性共役ジエン系重合体がゴム成分中、20質量%以上であれば、低発熱性が向上し、ランフラット耐久性を向上できる。低発熱性向上と、ランフラット耐久性の向上の観点から、40質量%以上がさらに好ましい。
(a)変性共役ジエン系重合体としては、アミン変性したアミン変性共役ジエン系重合体を含むものを好ましく用いることができ、得られるゴム組成物は低発熱化し、ランフラット耐久性がさらに向上したタイヤ与えることができる。
【0051】
このアミン変性共役ジエン系重合体としては、分子内に、変性用アミン系官能基として、脱離可能基で保護された第1級アミノ基又は脱離可能基で保護された第2級アミノ基を導入したものが好ましく、さらにケイ素原子を含む官能基を導入したものが好ましく挙げられる。
脱離可能基で保護された第1級アミノ基、あるいは保護化第1級アミノ基ともいうアミノ基の例としては、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ基を挙げることができ、脱離可能基で保護された第2級アミノ基の例としてはN,N-(トリメチルシリル)アルキルアミノ基を挙げることができる。このN,N-(トリメチルシリル)アルキルアミノ基含有基としては、非環状残基、及び環状残基のいずれであってもよい。
上記のアミン変性共役ジエン系重合体のうち、保護化第1級アミノ基で変性された第1級アミン変性共役ジエン系重合体がさらに好適である。
【0052】
前記ケイ素原子を含む官能基としては、ケイ素原子にヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなるヒドロカルビルオキシシリル基及び/又はシラノール基を挙げることができる。
このような変性用官能基は、共役ジエン系重合体の重合開始末端、側鎖及び重合活性末端のいずれかに存在すればよいが、本発明においては、好ましくは重合末端、より好ましくは同一重合活性末端に、脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及びヒドロキシ基が結合したケイ素原子を1以上、例えば、1つ又は2つとを有するものである。
【0053】
<共役ジエン系重合体>
変性に用いる共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物単独重合体または2種以上の共役ジエン化合物の共重合体であってもよく、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体であってもよい。
前記共役ジエン化合物としては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3-ブタジエンが特に好ましい。
また、共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロへキシルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
前記共役ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン-ブタジエン共重合体、エチレン-ブタジエン共重合体、プロピレン-ブタジエン共重合体及びスチレン-ブタジエン共重合体から選ばれる少なくとも1種の共役ジエン系重合体が好ましく、ポリブタジエンが特に好ましい。
【0054】
共役ジエン系重合体の活性末端に、保護化第1級アミンを反応させて変性させるには、該共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性または擬似リビング性を有するものが好ましい。このようなリビング性を有する重合反応としては、有機アルカリ金属化合物を開始剤とし、有機溶媒中で共役ジエン化合物単独、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させる反応か、あるいは有機溶媒中でランタン系列希土類元素化合物を含む触媒による共役ジエン化合物単独、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを配位アニオン重合させる反応が挙げられる。前者は、後者に比較して共役ジエン部分のビニル結合含有量の高いものを得ることができるので好ましい。ビニル結合量を高くすることによって耐熱性を向上させることができる。
【0055】
上述のアニオン重合の開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
【0056】
前記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2~20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチルフェニルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられるが、これらの中で、特にn-ブチルリチウムが好適である。
【0057】
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ-2-エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、第2級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中、in situで調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2~20mmolの範囲で選定される。
【0058】
前記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる。
また、有機リチウム化合物を重合開始剤として用いた場合には、前述のランタン系列希土類元素化合物を含む触媒を用いた場合に比べ、活性末端を有する共役ジエン系重合体のみならず、活性末端を有する共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体も効率よく得ることができる。
【0059】
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3~8のものが好ましく、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-へキセン、2-へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は55質量%以下の範囲が好ましい。
【0060】
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン-スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加等、あるいは共役ジエン化合物一芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエン-スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、特に2,2-ビス(2-テトラヒドロフリル)-プロパンを含む物等であるオキソラニルプロパンオリゴマー類、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジピぺリジノエタン等のエーテル類及び第3級アミン類等を挙げることができる。また、カリウムtert-アミレート、カリウムtert-ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウムtert-アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
【0061】
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1mol当たり、好ましくは0.01~1000mol当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0~150℃、より好ましくは20~130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
【0062】
<変性剤>
本発明においては、上記のようにして得られた共役ジエン系重合体の活性末端に、変性剤として、保護化第1級アミン化合物を反応させることにより、第1級アミン変性共役ジエン系重合体を製造することができ、保護化第2級アミン化合物を反応させることにより、第2級アミン変性共役ジエン系重合体を製造することができる。上記保護化第1級アミン化合物としては、保護化第1級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物が好適であり、保護化第2級アミン化合物としては、保護化第2級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物が好適である。
【0063】
当該変性剤として用いられる保護化第1級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えばN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン及びN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン等を挙げることができ、好ましくは、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたは1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタンである。
【0064】
また、変性剤としては、N-メチル-N-トリメチルシリルアミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N-メチル-N-トリメチルシリルアミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン、N-トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン-2-イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N-トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン-2-イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N-トリメチルシリル(ピロリジン-2-イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N-トリメチルシリル(ピロリジン-2-イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N-トリメチルシリル(ピペリジン-2-イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N-トリメチルシリル(ピペリジン-2-イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N-トリメチルシリル(イミダゾール-2-イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N-トリメチルシリル(イミダゾール-2-イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N-トリメチルシリル(4,5-ジヒドロイミダゾール-5-イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N-トリメチルシリル(4,5-ジヒドロイミダゾール-5-イル)プロピル(メチル)ジエトキシシランなどの保護化第2級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物;N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンなどのイミノ基を有するアルコキシシラン化合物;3-ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3-ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3-ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3-ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2-ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2-ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3-ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3-ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランなどのアミノ基を有するアルコキシシラン化合物なども挙げられる。
これらの変性剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。またこの変性剤は部分縮合物であってもよい。
ここで、部分縮合物とは、変性剤のSi-OR結合同士の一部であって全部ではないが、縮合によりSi-O-Si結合したものをいう。
【0065】
前記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5~200mmol/kg・共役ジエン系重合体である。同使用量は、さらに好ましくは1~100mmol/kg・共役ジエン系重合体であり、特に好ましくは2~50mmol/kg・共役ジエン系重合体である。ここで、共役ジエン系重合体とは、製造時または製造後、添加される老化防止剤等の添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を前記範囲にすることによって、補強性充填材、特にカーボンブラックの分散性に優れ、加硫後の耐破壊特性、低発熱性が改良される。
なお、前記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法等が挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
また、変性剤は、重合開始末端や重合終了末端以外に重合体主鎖や側鎖のいずれに結合させることもできるが、重合体末端からエネルギー消失を抑制して低発熱性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0066】
<縮合促進剤>
本発明では、前記した変性剤として用いる保護化第1級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物が関与する縮合反応を促進するために、縮合促進剤を用いることが好ましい。
このような縮合促進剤としては、第三アミノ基を含有する化合物、または周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかの属する元素を一種以上含有する有機化合物を用いることができる。さらに縮合促進剤として、チタン:Ti、ジルコニウム:Zr、ビスマス:Bi、アルミニウム:Al、及びスズ:Snからなる群から選択される少なくとも一種以上の金属を含有する、アルコキシド、カルボン酸塩、またはアセチルアセトナート錯塩であることが好ましい。
ここで用いる縮合促進剤は、前記変性反応前に添加することもできるが、変性反応の途中及びまたは終了後に変性反応系に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、活性末端に保護された第一アミノ基を有するヒドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分~5時間後、好ましくは変性反応開始15分~1時間後である。
【0067】
縮合促進剤としては、具体的には、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラ-n-プロポキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラ-n-ブトキシチタニウム、テトラ-n-ブトキシチタニウムオリゴマー、テトラ-sec-ブトキシチタニウム、テトラ-tert-ブトキシチタニウム、テトラ(2-エチルヘキシル)チタニウム、ビス(オクタンジオレート)ビス(2-エチルヘキシル)チタニウム、テトラ(オクタンジオレート)チタニウム、チタニウムラクテート、チタニウムジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリブトキシステアレート、チタニウムトリプロポキシステアレート、チタニウムエチルヘキシルジオレート、チタニウムトリプロポキシアセチルアセトネート、チタニウムジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリプロポキシエチルアセトアセテート、チタニウムプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリブトキシアセチルアセトネート、チタニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、チタニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2-エチルヘキサノエート)チタニウムオキサイド、ビス(ラウレート)チタニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)チタニウムオキサイド、ビス(ステアレート)チタニウムオキサイド、ビス(オレエート)チタニウムオキサイド、ビス(リノレート)チタニウムオキサイド、テトラキス(2-エチルヘキサノエート)チタニウム、テトラキス(ラウレート)チタニウム、テトラキス(ナフテネート)チタニウム、テトラキス(ステアレート)チタニウム、テトラキス(オレエート)チタニウム、テトラキス(リノレート)チタニウム等のチタニウムを含む化合物を挙げることができる。
【0068】
また、縮合促進剤としては、例えば、トリス(2-エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス、テトラエトキシジルコニウム、テトラ-n-プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ-n-ブトキシジルコニウム、テトラ-sec-ブトキシジルコニウム、テトラ-tert-ブトキシジルコニウム、テトラ(2-エチルヘキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2-エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2-エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテネート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等を挙げることができる。
【0069】
また、トリエトキシアルミニウム、トリ-n-プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ-n-ブトキシアルミニウム、トリ-sec-ブトキシアルミニウム、トリ-tert-ブトキシアルミニウム、トリ(2-1エチルヘキシル)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2-エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテネート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等を挙げることができる。
【0070】
上述の縮合促進剤の内、チタン化合物が好ましく、チタンのアルコキシド、チタンのカルボン酸塩、またはチタンのアセチルアセトナート錯塩が特に好ましい。
この縮合促進剤の使用量としては、前記化合物のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1~10となることが好ましく、0.5~5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を前記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
なお、縮合反応時間は、通常、5分~10時間、好ましくは15分~5時間程度である。縮合反応時間を前記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
また、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01~20MPa、好ましくは0.05~10MPaである。
【0071】
<(a)変性共役ジエン系重合体>
このようにして得られた(a)変性共役ジエン系重合体は100℃におけるムーニー粘度:ML1+4が、好ましくは10~150、より好ましくは15~100である。ムーニー粘度が10未満の場合は耐破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、150を超える場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。
また、前記(a)変性共役ジエン系重合体を配合した本発明に係るゴム補強層用未加硫ゴム組成物の130℃におけるムーニー粘度:ML1+4は、好ましくは10~150、より好ましくは30~100である。
本発明に係るゴム組成物に用いられる(a)変性共役ジエン系重合体は、重量平均分子量:Mwと数平均分子量:Mnとの比であるMw/Mn、即ち分子量分布:Mw/Mnが1~3であることが好ましく、1.1~2.7であることがより好ましい。
(a)変性共役ジエン系重合体の分子量分布:Mw/Mnを前記範囲内にすることで該変性共役ジエン系重量体をゴム組成物に配合しても、ゴム組成物の作業性を低下させることがなく、混練りが容易で、ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
【0072】
また、本発明に係るゴム補強層用ゴム組成物に用いられる(a)変性共役ジエン系重合体は、数平均分子量:Mnが100,000~500,000であることが好ましく、150,000~300,000であることがさらに好ましい。(a)変性共役ジエン系重合体の数平均分子量を前記範囲内にすることによって加硫物の弾性率の低下、ヒステリシスロスの上昇を抑えて優れた耐破壊特性を得るとともに、該(a)変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の優れた混練作業性が得られる。
本発明に係るゴム組成物に用いられる(a)変性共役ジエン系重合体は、低発熱性向上の観点から、アミン変性ポリブタジエンであることが好ましく、第1級アミン変性アミン変性ポリブタジエンまたは第2級アミン変性アミン変性ポリブタジエンであることがさらに好ましく、第1級アミン変性ポリブタジエンであることが特に好ましい。
本発明に係る(a)変性共役ジエン系重合体は、ブタジエン部分のビニル結合量として10~60質量%が好ましく、12~60質量%がさらに好ましく、Mwとして100,000~500,000が好ましく、Mw/Mnとして2以下が好ましく、第1級アミノ基含有量として2.0~10.0mmol/kgが好ましい。
【0073】
<他のゴム成分>
本発明に係るゴム成分において、所望により、上記(a)変性共役ジエン系重合体と併用される他のゴム成分は、天然ゴム及び(a)変性共役ジエン系重合体以外のジエン系合成ゴムから選ばれる1種以上のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分中の(a)変性共役ジエン系重合体20~100質量%の残余として、80~0質量%含有することが好ましい。さらに、ゴム成分中の(a)変性共役ジエン系重合体35~100質量%の残余として、他のゴム成分を65~0質量%含有することがより好ましく、ゴム成分中の(a)変性共役ジエン系重合体40~100質量%の残余として、他のゴム成分を60~0質量%含有することがさらに好ましい。
上記のジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン-ブタジエン共重合体:SBR、ポリブタジエン:BR、ポリイソプレン:IR、スチレン-イソプレン共重合体:SIR、エチレン-ブタジエン共重合体:EBR、プロピレン-ブタジエン共重合体:PBR、ブチルゴム:IIR、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体:EPDM及びこれらの混合物が挙げられる。また、他のジエン系合成ゴムの一部または全てが多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているジエン系変性ゴムであることがより好ましい。
【0074】
<(b)充填材>
本発明に係るゴム補強層用ゴム組成物においては、(b)成分として充填材を、ゴム成分100質量部に対して、60~100質量部であることが好ましい。(b)充填材量が60質量部以上であれば、得られるゴム組成物の加硫ゴム物性において、充分な補強効果が発揮されることになる。また、(b)充填材量が100質量部以下であれば、得られるゴム組成物の加硫ゴム物性において、例えば25℃における正接損失tanδが高過ぎることはなく、通常走行時での低燃費性、言いかえれば低発熱性が向上し、転がり抵抗が小さくなる。
本発明において、(b)充填材として、カーボンブラック及びシリカから選ばれる少なくとも1種が好ましく、(b)充填材中、カーボンブラックを50質量%以上、かつシリカを50質量%以下含むことがさらに好ましく、(b)充填材がカーボンブラック単独であることが特に好ましい。
本発明に係るゴム補強層用ゴム組成物において用いられるカーボンブラックとしては、得られるゴム組成物の加硫ゴム物性が、上記の加硫ゴム物性を満たすためには、FEF級グレード、FF級グレード、HAF級グレード、N339、IISAF級グレード、ISAF級グレード及びSAF級グレードの中から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、特にFEF級グレードが好適である。
シリカとしては、特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましく、湿式シリカが特に好ましい。シリカは1種を単独にまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0075】
<(c)熱硬化性樹脂>
本発明のゴム補強層においては(c)熱硬化性樹脂が用いられる。該熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂:メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂:尿素-ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール系熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、グアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができ、その他、これら樹脂に匹敵する硬度を有する樹脂も使用することが可能である。
【0076】
本発明に用いる(c)熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型キシレノール樹脂、ノボラック型レゾルシノール樹脂及びこれらの樹脂をオイル変性したフェノール系熱硬化性樹脂が挙げられ、これらの樹脂を少なくとも一種を用いるのがよい。
上記フェノール樹脂のオイル変性に用いるオイルとしては、ロジン油、トール油、カシュー油、リノール油、オレイン酸、リノレイン酸が挙げられこれらのオイルを少なくとも一種用いるのがよいが、ランフラット耐久性、乗り心地の両立の観点からはカシュ―油変性されていることが好ましい。
これら熱硬化性樹脂の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.9~2.4質量部である。熱硬化性樹脂の配合量が0.9質量部以上であれば、加硫後のゴム組成物をより高弾性率化することができ、未加硫ゴム組成物の作業性を向上することができる。一方、熱硬化性樹脂の配合量が2.4質量部以下であれば、加硫後のゴム組成物の柔軟性が損なわれることを抑えることができる。
【0077】
本発明のゴム補強層用ゴム組成物は、(b)充填材と(c)熱硬化性樹脂の配合量(質量部)が下記式(XIV)、
1.0≦[質量比{(c)熱硬化性樹脂の配合量/(b)充填材の配合量}]×100≦4.0 ・・・(XIV)
を満たすことが好ましい。[質量比{(c)熱硬化性樹脂の配合量/(b)充填材の配合量}]×100が1.0以上であれば、常温、25℃前後の弾性率と比較して例えば、180℃のような高温時の弾性率が相対的に高くなり、ランフラット耐久性が向上するので好ましく、4.0以下であれば、常温、25℃前後の柔軟性が確保され易くなるので好ましい。
【0078】
<(d)メチレン供与体>
本発明に用いる(d)メチレン供与体は上記(c)熱硬化性樹脂の硬化剤として使用するものであり、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドアンモニア、α-ポリオキシメチレン、多価メチロールメラミン誘導体、オキサゾリジン誘導体及び多価メチロール化アセチレン尿素から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。なかでも、硬化速度が速く、より高弾性化したゴム組成物が得られるという点から、ヘキサメチレンテトラミン及びヘキサメトキシメチルメラミンから選ばれる少なくとも一種がさらに好ましい。
これら(d)メチレン供与体は、ゴム成分100質量部に対し、0.07~0.2質量部配合される。メチレン供与体の配合量を上記範囲にすることによって、熱硬化性樹脂の硬化が確保されると共に、ゴムの架橋系に悪影響を及ぼすことがなく、さらにランフラット耐久性の乗心地の両立の観点からは0.08~0.18質量部配合されることが好ましい。この観点から、(c)熱硬化性樹脂100質量部に対して、(d)メチレン供与体を3~80質量部配合することが好ましく、5~80質量部配合することがより好ましく、5~50質量部配合することがさらに好ましく、5~30質量部配合することがよりさらに好ましく、5~20質量部配合することが特に好ましい。
【0079】
<(e)チウラム系加硫促進剤及び(f)スルフェンアミド系加硫促進剤>
本発明のゴム補強層用ゴム組成物は、加硫促進剤として、(e)チウラム系加硫促進剤及び(f)スルフェンアミド系加硫促進剤を併用することが重要である。(e)チウラム系加硫促進剤と(f)スルフェンアミド系加硫促進剤とを組み合わせることにより、加硫後のゴム組成物の例えば、180℃のような高温での弾性率をより高くすると共に、加硫後のゴム組成物の低発熱性、すなわち低燃費性をより向上することができる。ゴム組成物の高温での弾性率を高くすることにより、タイヤのサイド補強ゴムに適用した場合、タイヤのサイドウォールの撓みを抑制することができる。また、タイヤのサイド補強ゴムに適用した場合、低発熱性が向上することにより、ランフラット走行時のタイヤの発熱が抑えられると共に、通常走行のタイヤの転がり抵抗が低減する。
上記の観点から、(e)チウラム系加硫促進剤と(f)スルフェンアミド系加硫促進剤の質量部における配合量が、下記式(XV)を満たすことが好ましい。
0.45≦質量比[(e)チウラム系加硫促進剤の配合量/(f)スルフェンアミド系加硫促進剤の配合量]≦0.65 ・・・(XV)
[(e)チウラム系加硫促進剤の配合量/(f)スルフェンアミド系加硫促進剤の配合量]が0.45以上であれば、常温、25℃付近の弾性率と比較して例えば、180℃のような高温時の弾性率が相対的に高くなり、ランフラット耐久性が向上するので好ましく、0.65以下であれば、未加硫ゴム組成物の加工工程でゴム焦けが起こりにくくなり、未加硫ゴム組成物の作業性が向上するので好ましい。
【0080】
<(e)チウラム系加硫促進剤>
本発明のゴム補強層用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対し、(e)チウラム系加硫促進剤は1.5~2.1質量部配合される。この配合範囲であれば、(f)スルフェンアミド系加硫促進剤との併用効果を高めることができる。
【0081】
本発明に係る(e)チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラプロピルチウラムジスルフィド、テトライソプロピルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラペンチルチウラムジスルフィド、テトラヘキシルチウラムジスルフィド、テトラヘプチルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラノニルチウラムジスルフィド、テトラデシルチウラムジスルフィド、テトラドデシルチウラムジスルフィド、テトラステアリルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラプロピルチウラムモノスルフィド、テトライソプロピルチウラムモノスルフィド、テトラブチルチウラムモノスルフィド、テトラペンチルチウラムモノスルフィド、テトラヘキシルチウラムモノスルフィド、テトラヘプチルチウラムモノスルフィド、テトラオクチルチウラムモノスルフィド、テトラノニルチウラムモノスルフィド、テトラデシルチウラムモノスルフィド、テトラドデシルチウラムモノスルフィド、テトラステアリルチウラムモノスルフィド、テトラベンジルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。これらの内、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド及びテトラベンジルチウラムジスルフィドは、加硫速度を調整し易いので好ましい。
【0082】
<(f)スルフェンアミド系加硫促進剤>
本発明のゴム補強層用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対し、(f)スルフェンアミド系加硫促進剤は3.2~4.5質量部配合される。この配合範囲であれば、(e)チウラム系加硫促進剤との併用効果を高めることができる。
本発明に係る加硫促進剤として、(e)チウラム系加硫促進剤及び(f)スルフェンアミド系加硫促進剤の配合量を、上記のように、多くすることにより、加硫後のゴム組成物の例えば、180℃のような高温での弾性率をさらに高くすると共に、加硫後のゴム組成物の低発熱性、すなわち低燃費性をさらに向上することができる。
【0083】
本発明に係る(f)スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-メチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-エチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-プロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オクチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-2-エチルヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-デシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ドデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ステアリル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジメチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジエチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジプロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジオクチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジ-2-エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-デシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジドデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジステアリル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。これらの内、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド及びN,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドは、加硫速度を調整し易いので好ましい。
【0084】
<加硫剤>
本発明に係る加硫剤は、硫黄及び硫黄供与体から選ばれる1種以上の硫黄含有加硫剤が好ましく挙げられ、その配合量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として1.0~10.0質量部が好ましく、硫黄分として2.0~10.0質量部がさらに好ましく、硫黄分として2.0~8.0質量部が特に好ましい。硫黄分として1.0質量部以上であれば、加硫後のゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が向上し、硫黄分として10.0質量部以下であれば、ゴム弾性を確保できる。
【0085】
本発明のゴム補強層用ゴム組成物は、上記、ゴム成分に加え、ゴム工業で通常使用されている種々の成分を含むことができる。例えば、種々の成分として、老化防止剤;酸化亜鉛;ステアリン酸;軟化剤;及びオゾン劣化防止剤といった添加剤を挙げることができる。
【0086】
本発明のトレッド部またはゴム補強層用ゴム組成物は、上記各成分を、例えば、バンバリーミキサー、ニーダーといった機器により混練して、製造することができ、成型・加硫を経て、タイヤのトレッド部またはゴム補強層用として好適に使用できる。
【0087】
図1に本発明の空気入りタイヤを以下、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様の断面を示す模式図である。
図1において、本発明の空気入りタイヤの好適な実施態様は、一対のビードコア1、1’を有する。なお、1’は図示されていない。少なくとも1枚のラジアルカーカスプライからなるカーカス層2が一対のビードコア1、1’間にわたってトロイド状に連なり、両端部が該ビードコア1をタイヤ内側から外側へ巻き上げられる。サイドウォール部3が該カーカス層2のサイド領域のタイヤ軸方向外側に配置されて外側部を形成する。トレッドゴム層4が該カーカス層2のクラウン領域のタイヤ径方向外側に配置されて接地部を形成する。ベルト層5が該トレッドゴム層4と該カーカス層2のクラウン領域の間に配置されて補強ベルトを形成する。インナーライナー6が該カーカス層2のタイヤ内方全面に配置されて気密膜を形成する。ビードフィラー7が一方の該ビードコア1から他方の該ビードコア1’へ延びる該カーカス層2本体部分と該ビードコア1に巻き上げられる巻上部分との間に配置される。タイヤ回転軸に沿った断面形状が略三日月形である、少なくとも1枚のサイド補強層8が該カーカス層のサイド領域の該ビードフィラー7側部からショルダー区域10にかけて、該カーカス層2と該インナーライナー6との間に配設される。
【実施例
【0088】
次に、実施例、比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
【0089】
[製造例1 末端変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの製造]
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3-ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn-ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行う。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行う。その後、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)の2-プロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得る。
【0090】
[製造例2 変性共役ジエン系重合体(a)の製造方法]
(1)未変性ポリブタジエンの製造
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン1.4kg、1,3-ブタジエン250g、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン(0.285mmol)シクロヘキサン溶液として注入し、これに2.85mmolのn-ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なう。1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%である。この重合体溶液の一部を、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り重合を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、変性前のポリブタジエンを得る。
【0091】
(2)第1級アミン変性ポリブタジエン(a)の製造
上記(1)で得られた重合体溶液を、重合触媒を失活させることなく、温度50℃に保ち、第1級アミノ基が保護されたN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg(3.364mmol)を加えて、変性反応を15分間行う。この後、縮合促進剤であるテトラキス(2-エチル-1,3-ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、さらに15分間攪拌する。最後に反応後の重合体溶液に、金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素242mgを添加し、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加する。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第1級アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、第1級アミン変性ポリブタジエンを得る。
【0092】
[E’の測定]
表1に示した配合に従い、トレッドゴム組成物を配合して混練し、各ゴム組成物を145℃で33分間で加硫して、得られた加硫ゴムに対して、株式会社上島製作所製スペクトロメーターを用いて、初期荷重160mg、周波数52Hzの条件下で、30℃における歪1%時の貯蔵弾性率と、30℃における歪4%時の貯蔵弾性率を測定する。
【0093】
[タイヤの製造]
表1に示した配合に従って配合した、トレッド用ゴム組成物とゴム補強層用ゴム組成物を、実施例と比較例のゴム組成物して用いて225/45R17の乗用車用ラジアルタイヤを定法に従って製造し、それらのタイヤについてランフラット耐久性及びウェットグリップ性能及び転がり抵抗を評価する。
【0094】
タイヤサイズ225/45R17の乗用車ラジアルタイヤである供試タイヤを常圧でリム組みし、内圧230kPaを封入してから38℃の室内中に24時間放置後、バルブのコアを抜き、内圧を大気圧として、荷重4.17kN、425kg、速度89km/h、室内温度38℃の条件でドラム走行テストを行なう。各供試タイヤの故障発生までの走行距離の予測結果を、実施例1および比較例1~3において、比較例1の走行距離を100として、以下の式により、指数表示する。指数が大きい程、ランフラット耐久性が良好である。
ランフラット耐久性指数=(供試タイヤの走行距離/比較例1のタイヤの走行距離)×100
【0095】
[ウェットグリップ性能の評価]
上記のようにして得られた供試タイヤを試験車に装着し、湿潤路面での操縦安定性を予測評価し、比較例1を100とする指数で示す。数値が大きいほど、ウェット性能が優れている。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
表1、2において、phrは重量部を表し、ゴム成分全量を100phrとする。
*1:天然ゴム RSS#3
*2:上記、製造例1の方法で製造したもの
*3:JSR株式会社製 #1500
*4:C-C系樹脂、東燃化学株式会社製、T-REZ RD104
*5:C系樹脂、新日本石油化学社製 ネオポリマー140
*6:ISAF、N330、Cabot社製、Vulcan3
*7:東ソー・シリカ工業株式会社製、ニプシルAQ、BET比表面積205m/g
*8:6PPD、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、ノクラック6C
*9:加硫促進剤 DPG 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*10:天然ゴム RSS#1
*11:上記、製造例2、(2)の方法で製造したもの
*12:FEF、N550、旭カーボン株式会社製、旭#60
*13:カシュー変性フェノール樹脂、住友ベークライト株式会社製、スミライトレジンPR-BSN-21
*14:和光純薬工業株式会社製
*15:TOT、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、大内新興化学工業社製、ノクセラー TOT-N
*16:NS、N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、サンセラーNS-G
【0099】
実施例1~6は、ランフラット耐久性の向上と、ウェット性能とのバランスが優れている。比較例1~4では、ゴム補強層をもたない比較例1と2は、ランフラット耐久性で向上が見られない。ゴム補強層をもつ比較例3と4は、ランフラット耐久性は向上しても、ウェット性能が低下する。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明を利用すれば、ウェット性能とランフラット耐久性を両立した空気入りタイヤが得られる。
【符号の説明】
【0101】
1 ビードコア
2 カーカス層
3 サイドウォール部
4 トレッドゴム層
5 ベルト層
6 インナーライナー
7 ビードフィラー
8 サイドゴム補強層
10 ショルダー区域
図1