IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン ディキンソン フランスの特許一覧

特許7138655コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ
<>
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図1
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図2
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図3
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図4
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図5
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図6
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図7
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図8
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図9
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図10
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図11
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図12
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図13
  • 特許-コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】コネクタを薬物送達デバイスに接続するためのアダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A61M39/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019553822
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2018057814
(87)【国際公開番号】W WO2018178096
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】17305386.9
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレディ ミルズ
(72)【発明者】
【氏名】ライオネル マリタン
(72)【発明者】
【氏名】マルク フリップ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0243797(US,A1)
【文献】特表2016-525003(JP,A)
【文献】特表2016-538917(JP,A)
【文献】特表2016-518225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ねじ(201)を備えるコネクタ(200)に薬物送達デバイス(100)を接続するためのアダプタ(1)であって、近位領域(2a)および遠位領域(2b)を有する全体的に管状の本体(2)を備え、前記近位領域は、前記アダプタを前記薬物送達デバイス上に装着するための係合手段(3)を備え、前記遠位領域は、その内壁上に、前記コネクタを前記アダプタに接続するように前記外ねじと協働することが意図されている内ねじ(5)を備え、前記内ねじは、内ねじ山頂(5a)を画定し、前記内ねじ山頂は、前記コネクタが前記アダプタ内に螺着されるとき半径方向に変形されるように構成された少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分(6;7)を備え、
前記変形可能な半径方向端部分(6;7)は、第1の材料(8;10)製であり、前記内ねじ山頂(5a)は、前記第1の材料とは異なる第2の材料(9;11)製であり、
前記変形可能な半径方向端部分は、前記内ねじ山頂(5a)の長さに沿って延びる連続的な要素(7)の形態にあることを特徴とするアダプタ(1)。
【請求項2】
前記変形可能な半径方向端部分(6;7)は、三角形、方形、矩形、半球、およびそれらの組合せからなる群から選択される断面を有する請求項1に記載のアダプタ(1)。
【請求項3】
前記変形可能な半径方向端部分(6;7)の断面は、三角形である請求項に記載のアダプタ(1)。
【請求項4】
前記内ねじ山頂(5a)の断面は、台形形状を有する請求項1乃至のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項5】
前記第1の材料(8;10)は、前記第2の材料(9;11)のヤング率より小さいヤング率を有する請求項1に記載のアダプタ(1)。
【請求項6】
前記変形可能な半径方向端部分(6;7)は、弾性変形可能である請求項1乃至のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のアダプタ(1)と、外ねじ谷底(201b)を画定する外ねじ(201)を備えるコネクタ(200)とを備えるアセンブリであって、前記アダプタの前記内ねじ(5)は、前記コネクタを前記アダプタに接続するように前記外ねじと協働することが意図されており、前記外ねじ谷底は、前記コネクタが前記アダプタ内に螺着されるとき、前記変形可能な半径方向端部分を変形させることが意図されているアセンブリ。
【請求項8】
D2を前記半径方向端部分の非変形状態における前記変形可能な半径方向端部分(6;7)の場所での前記内ねじ山頂(5a)の直径と定義し、D3を前記外ねじ谷底(201b)での直径と定義すると、D3-D2は、0.05mmから0.80mm、好ましくは0.20mmから0.60mmの範囲である請求項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
薬物送達デバイス内に含まれる製品を移送するための軸方向通路(102)を画定する遠位先端(101)を備える薬物送達デバイス(100)であって、前記遠位先端上に装着された請求項1乃至6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアダプタ(1)をさらに備えることを特徴とする薬物送達デバイス(100)。
【請求項10】
前記遠位先端(101)はガラス製である請求項に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項11】
前記遠位先端(101)は、円錐形であり遠位にテーパ化されている請求項または10に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項12】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のアダプタ(1)上に外ねじ(201)を備えるコネクタ(200)を接続するための方法であって、少なくとも、前記外ねじ(201)を前記アダプタ(1)の前記内ねじ(5)内に螺着する、ステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば無針アクセスデバイスなど、薬物送達デバイスをコネクタに接続するための改善されたアダプタに関する。また、本発明は、そのような改善されたアダプタを備える薬物送達デバイスに関する。さらに、本発明は、アダプタをコネクタに接続するための方法、およびそのようなアダプタを介して薬物送達デバイスをコネクタに接続するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジ、針アセンブリ、潅流デバイス、輸液デバイス、および、たとえばIV(静脈内)、IM(筋肉内)、皮下コネクタなどのコネクタなど、医療流体を移送および/または貯蔵するための、様々な医療デバイスが知られている。安全上の理由で、これらの様々な医療デバイスは、正しくしっかりと共に組み立てることができることが必須である。
【0003】
これに鑑みて、また医療手順を簡素にするために、標準化された接続システムが開発されており、これらは、ISO594および/または80369-7標準に定義された基準に準拠する特定の寸法を有する円錐形フィッティングの組立てを必要とする。
【0004】
基本的に、たとえば皮下シリンジなど薬物送達デバイスは、通常、医療製品を含むためのリザーバを形成する中空体を備える。さらに、リザーバを形成する中空体の遠位端は、通常、医療溶液がリザーバから針を通して患者の体内に放出されることを可能にするように軸方向通路が配置されている遠位先端を備える。針は、医療スタッフによって使用される時にのみ遠位先端上に接続されることが意図されている針ハブを備え得る。
【0005】
本願では、構成部品の遠位端またはデバイスの遠位端は、ユーザの手から最も遠い端部を意味するものと理解されるべきであり、近位端は、ユーザの手に最も近い端部を意味するものと理解されるべきである。同様に、本願では、「遠位方向」は、本発明のアダプタが装着されることが意図されている薬物送達デバイスに対して注射の方向を意味するものと理解されるべきであり、「近位方向」は、注射の方向の反対方向を意味するものと理解されるべきである。
【0006】
ISO594および/または80369-7標準に準拠して、薬物送達デバイスの遠位先端は、円錐形であり、6%のテーパリングを示し、それにより、ルアー接続システムと呼ばれるものの雄部を構成する。ルアー接続システムの雌部は、たとえば、遠位先端に接続されることが意図されている針ハブの対応する6%のテーパリング孔である。そのようなルアー接続システムは、たとえば、薬物送達デバイスと針ハブとの間で漏れのない接続を可能にし、それらが含む医療液体製品の汚染に対する保護を提供する。
【0007】
単純なルアー接続システムは、雄雌フィッティングを備え、これらのフィッティングは、単純にルアーテーパ寸法に一致し、共に押圧され、摩擦によって保持される。いずれにしても、雄フィッティングと雌フィッティングとの間の接続のセキュリティおよび安定性を改善するために、ロックまたはロッキング手段が提供されており、これらは、ルアーロックフィッティングと呼ばれる。そのような場合、雄フィッティングを囲むカラー内に設けられたねじ山内に螺着する外側レリーフが雌フィッティング上に設けられる。
【0008】
薬物送達デバイスがプラスチック製であるとき、雄フィッティングを囲むカラー、すなわち遠位先端は、薬物送達デバイスと一体成形されてもよい。しかし、ガラス製の薬物送達デバイスは、通常、それらの遠位先端にしっかり装着される別個のカラーを有する。
【0009】
アダプタとも呼ばれるそのような別個のカラーは、ガラス送達デバイスに使用されてもプラスチック送達デバイスに使用されてもよく、通常、最初に薬物送達デバイスの遠位先端に装着される。次いで、第2のステップにおいて、たとえば針ハブなど、薬物送達デバイスに接続されることが意図されているコネクタが、アダプタ内に螺着され得る。
【0010】
無針アクセスデバイスなど他のタイプのコネクタが、上述のようにアダプタを介して薬物送達デバイスに接続されてもよい。無針アクセスデバイスは、針刺しのリスクを低減し、血液由来の病原体に誤ってさらされるリスクを少なくし、また血流感染(BSI)を防止するうえでの重要な要素になると考えられている。
【0011】
無針アクセスデバイスは、たとえば患者への非経口投与の場合、注入デバイスを介して注射が実施される場合、特に有用である。そのような場合、無針アクセスデバイスは、患者の静脈に、送達されることになる製品を含む薬物送達デバイスを連結するIV(静脈内)ラインである。当然ながら、IVラインおよび薬物送達デバイスは、共に正しくしっかり組み立てられなければならない。
【0012】
いずれにしても、これらのコネクタのいくつかは、元々、薬物送達デバイスに接続されることに鑑みて開発されておらず、ルアーテーパコネクタのために明記されている標準化された寸法に準拠しておらず、それにより、最終的には誤接続に至る可能性のある不十分な円錐形フィッティングをもたらす。さらに、いくつかのコネクタは、薬物送達デバイスに対するそれらの接続を必然的に弱める内部安全システムを備える。実際、そのような内部安全システムは、通常、製品へのアクセスを可能にするために変位させることを必要とする、ばね式の部片または弁を備える。そのようなばね/弁があることは、コネクタが薬物送達デバイスに接続される時点で、またコネクタがアダプタを介して薬物送達デバイスに接続される間中にも抗することを必要とする高い反対力を有するコネクタをもたらす。
【0013】
その結果、コネクタが以前に螺着されたアダプタから自然に螺脱し、その結果として、薬物送達デバイスから誤って切り離されるということが起こり得る。具体的には、コネクタの潜在的な反対力が、コネクタの寸法が標準に準拠していないことがあるということと相まって、接続の抵抗より高く、アダプタからの、したがって薬物送達デバイスからのコネクタの不時の切り離しを引き起こし得る螺脱力に至る。この現象は、薬物送達デバイスおよびその遠位先端がガラス製であるとき、ガラス表面は必然的に摺動しやすい表面であるために増大され得る。コネクタと薬物送達デバイスとの間の接続は、確実なものではなく、製品漏れに至ることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、コネクタがアダプタ内に螺着される時点で高すぎるトルクを加える必要なく、かつコネクタを損傷することなく、アダプタに対するコネクタの確実な組立てを確保することが可能な改善されたアダプタが求められている。実際、コネクタを薬物送達デバイスの遠位先端上に装着されたアダプタ内に螺着するためのトルクを増大することは、アダプタが薬物送達デバイスの遠位先端周りで回転するリスクを高める。そのような回転は、遠位先端上のアダプタの固定を弱め、コネクタがアダプタ内に正しく螺着されているか否かユーザが判定することができないので、望ましくない。
【0015】
また、そのような改善されたアダプタを備える薬物送達デバイスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、その端部の一方、特にその近位端にて、薬物送達デバイス上、たとえばその遠位先端上に装着され、その他端、すなわちその遠位端にて、外ねじを備えるコネクタに装着されることが意図され、コネクタとアダプタとの間、したがってコネクタと薬物送達デバイスとの間の安全な接続を可能にするアダプタである。具体的には、本発明のアダプタは、コネクタ上へのアダプタの最適な固定を確保する特定の内ねじを備え、その結果、前記コネクタは、使用時にアダプタから自然に誤って切り離され得ない。
【0017】
本発明の第1の態様は、外ねじを備えるコネクタに薬物送達デバイスを接続するためのアダプタであって、近位領域および遠位領域を有する全体的に管状の本体を備え、前記近位領域は、前記アダプタを薬物送達デバイス上に装着するための係合手段を備え、前記遠位領域は、その内壁上に、前記コネクタをアダプタに接続するように前記外ねじと協働することが意図されている内ねじを備え、前記内ねじは、内ねじ山頂を画定し、前記内ねじ山頂は、前記コネクタがアダプタ内に螺着されるとき半径方向に変形されるように構成された少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分を備えることを特徴とするアダプタである。
【0018】
本発明のアダプタは、i)変形可能な半径方向端部分の変形により生成されるコネクタの外ねじとアダプタの内ねじとの間の接触力、およびii)コネクタがアダプタ内に螺着される時点でコネクタの外ねじとアダプタの内ねじとの間で生み出される追加の摩擦力の組合せの結果、アダプタに対するコネクタの改善された確実な接続を提供する。
【0019】
本願では、「コネクタ」は、薬物送達デバイスから、ポケットドリップ、バイアル、IV(静脈内)ライン、IM(筋肉内)ライン、カテーテル、針ハブ、無針アクセスデバイスなど別の医療デバイスへ製品の移送を可能にするために、または一方、たとえば薬物送達デバイスの貯蔵位置におけるクロージャキャップのように、充填された薬物送達デバイスをその使用前に、および汚染を防止するために安全に閉じるために、アダプタに接続されることが意図されている任意のデバイスを意味する。
【0020】
実際、コネクタの外ねじは、外ねじ山頂および外ねじ谷底を画定する。
【0021】
わかりやすくするために、本願では、「外ねじ」、「外ねじ山頂」、および「外ねじ谷底」という用語がそれらだけで使用されるとき、それらは、暗黙にコネクタの外ねじ、外ねじ山頂、および外ねじ谷底を指す。同様に、本願では、「内ねじ」、「内ねじ山頂」、および「内ねじ谷底」という用語がそれらだけで使用されるとき、それらは、暗黙にアダプタの内ねじ、内ねじ山頂、および内ねじ谷底を指す。
【0022】
本発明のアダプタでは、薬物送達デバイスに接続されることになるコネクタの外ねじが本発明のアダプタの内ねじ内に螺着されるとき、外ねじ谷底は、内ねじ山頂上に設けられた少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分と接触し、前記変形可能な半径方向端部分に対して、半径方向端部分を半径方向、特に外向きに変形させる半径方向力の形態にある応力を加える。この現象は、内ねじ山頂と外ねじ谷底との間で接触力を増大する。結果として、コネクタをアダプタから螺脱するために必要なトルクである螺脱トルクが増大される。さらに、コネクタを、螺脱するのではなく長手方向に引くことによってアダプタから分離するために必要な力である引き抜き力もまた増大される。したがって、この接続は、より確実である。
【0023】
たとえば、本発明のアダプタの場合、螺脱トルクは、20%増大され得る。
【0024】
本願では、「内向きに」および「外向きに」という用語が、アダプタを形成する管状の本体の長手方向軸に対して使用され、「内向きに」は、長手方向軸に向かう半径方向を意味し、「外向きに」は、反対の半径方向を意味する。
【0025】
内ねじ山頂上に少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分があることは、コネクタがアダプタ内に螺着されるとき、半径方向の締め代がアダプタとコネクタとの間に生み出されることを可能にし、しかし、従来技術のアダプタに比べて、コネクタをアダプタ内に螺着するために高すぎるトルクが加えられることを必要としない。それによりコネクタと本発明のアダプタとの間にもたらされるより高い摩擦は、螺着を強め、結果的に得られる接続を安定化することを可能にし、しかしコネクタの完全性に影響を及ぼさない。実際、コネクタがアダプタ内に螺着されるとき、外ねじ谷底の形状に一致するように変形し形状を変化させるのは、内ねじ山頂の半径方向端部分であり、一方、コネクタは元の状態のままである。したがって、コネクタは、このステップ中に損傷しない。したがって、コネクタは、数回再使用され得る。
【0026】
それにより外ねじと内ねじとの間にもたらされる追加の接触力および摩擦力は、コネクタと本発明のアダプタとの間のよりセキュアな接続を可能にする。この増大された接触力および摩擦力は、コネクタ内に潜在的に存在する高い反対力を補償することができる。
【0027】
したがって、本発明のアダプタ内に螺着されたコネクタが誤って切り離されるリスクは、大きく制限される。その結果、本発明のアダプタは、前記アダプタ内への、また延長線上で考えると薬物送達デバイスへのコネクタの再現可能かつ安全な接続を可能にする。
【0028】
本発明のアダプタは、たとえばIVラインを薬物送達デバイスに接続するために使用されてもよい。
【0029】
「変形可能な半径方向端部分」は、本願では、コネクタがアダプタ内に螺着されるとき外ねじ谷底によって加えられる半径方向外向きの力を受けて変形されることを可能にする形状および/または性質を有する半径方向端部分を意味する。
【0030】
たとえば、コネクタがアダプタ内に螺着される時点で外ねじ谷底によって変形される本発明のアダプタの半径方向端部分の能力は、半径方向端部分の設計、それが作られている材料の性質、またはこれらの2つのパラメータの組合せに由来し得る。
【0031】
変形可能な半径方向端部分は、塑性変形可能であってもよく、その場合、その外側形状は、外ねじ谷底によって加えられる圧力が解放された後(たとえば、切り離し後)でさえ、それに対する外ねじ谷底の作用下で永続的に修正されることになる。
【0032】
あるいは、変形可能な半径方向端部分は、弾性変形可能であってもよく、その場合、その外側形状は、外ねじ谷底によって加えられる圧力が解放された後でその初期形状に戻ることができることになる。そのような場合、アダプタは、数回再使用され得る。
【0033】
実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、少なくとも1つの半径方向突起を備える。半径方向突起は、コネクタがアダプタ内に螺着されるとき外ねじ谷底が前記半径方向突起に接触し圧力を加える限り、内ねじ山頂の長さのどこに配置されてもよい。
【0034】
実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、複数の半径方向突起を備える。したがって、螺脱トルクが引き抜き力と共に増大され得る。
【0035】
実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、内ねじ山頂によって画定される直径に対して、直径上で対向して内ねじ山頂上に配置された2つの半径方向突起を備える。そのような実施形態は、アダプタ内へのコネクタの規則的かつ対称的な螺着を可能にする。そのような実施形態は、コネクタと本発明のアダプタとの間の最適化された安定した接続を提供する。
【0036】
実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、内ねじ山頂の長さに沿って延びる連続的な要素を備える。実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、内ねじ山頂の長さに沿って延びる連続的な要素の形態にある。そのような実施形態は、増大された螺脱トルク、ならびに増大された引き抜き力を確保する。
【0037】
変形可能な半径方向端部分は、半径方向端部分が外ねじ谷底によって接触されたとき変形することが、形状により可能になる限り、任意の形状を示してよい。たとえば、変形可能な半径方向端部分用により大きく半径方向に延びる形状を形成するために使用される材料が少ないほど、半径方向端部分が、変形するためにより良好な能力を有することになる。
【0038】
実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、三角形、方形、矩形、半球、およびそれらの組合せからなる群から選択される断面を有する。実施形態では、前記変形可能な半径方向端部分の断面は、三角形である。半径方向端部分の断面のための三角形状は、半径方向端部分用により少ない材料を使用することを可能にし、それにより、半径方向端部分が外ねじ谷底の作用下で変形する能力を改善する。また、三角形状は、変形しやすい内向き半径方向(三角形の先端)に延びるファインフリーリップ(fine free lip)を提供するという利点を有し、それにより半径方向端部分を形成する材料の性質にかかわらず、前記半径方向端部分が外ねじ谷底の作用下で変形する能力を改善する。
【0039】
実施形態では、内ねじ山頂の断面は、台形形状を有する。たとえば、内ねじ山頂は、台形形状を有する断面を示してもよく、半径方向端部分は、三角形状を有する断面を示してもよく、三角形は、内ねじ山頂の台形形状のトラペジウムの相補的な形状を形成する。
【0040】
実施形態では、前記変形可能な半径方向端部分および前記内ねじ山頂は、同じ材料製である。たとえば、変形可能な半径方向端部分および内ねじが同じ材料製であるとき、変形可能な半径方向端部分は、三角形の断面形状を有することが好ましい。
【0041】
実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、第1の材料製であり、内ねじ山頂は、前記第1の材料とは異なる第2の材料製である。そのような実施形態は、変形可能な半径方向端部分用に、内ねじ山頂に使用される材料より良好な変形する能力を有する材料を選ぶことを可能にする。具体的には、そのような実施形態は、変形可能な半径方向端部分の形状にかかわらず変形するように変形可能な半径方向端部分の能力を設計することを可能にする。
【0042】
弾性率としても知られる材料のヤング率は、前記材料の堅さの尺度である。ヤング率が高いほど、材料はより剛性またはより堅い。実施形態では、前記第1の材料は、前記第2の材料のヤング率より小さいヤング率を有する。
【0043】
たとえば、第1の材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、およびそれらの組合せから選択されてよく、第2の材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、およびそれらの組合せから選択されてよい。
【0044】
上記からわかるように、変形可能な半径方向端部分は、弾性変形可能または塑性変形可能であってよい。実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、弾性変形可能である。そのような実施形態は、アダプタを後で数回使用することを可能にする。
【0045】
本発明の別の態様は、上記のアダプタと、外ねじ谷底を画定する外ねじを備えるコネクタとを備えるアセンブリであって、アダプタの内ねじは、前記コネクタをアダプタに接続するように前記外ねじと協働することが意図されており、前記外ねじ谷底は、前記コネクタが前記アダプタ内に螺着されるとき、前記変形可能な半径方向端部分を変形させることが意図されているアセンブリである。実施形態では、D2を前記半径方向端部分の非変形状態における変形可能な半径方向端部分の場所での内ねじ山頂の直径と定義し、D3を外ねじ谷底での直径と定義すると、D3-D2は、約0.05mmから約0.80mm、好ましくは約0.20mmから約0.60mmの範囲である。そのような実施形態は、アダプタとコネクタとの間で摩擦力を生み出すことを可能にし、それらの間で安全かつ確実な接続を確保する。
【0046】
本発明の別の態様は、前記薬物送達デバイス内に含まれる製品を移送するための軸方向通路を画定する遠位先端を備える薬物送達デバイスであって、前記遠位先端上に装着された本明細書に記載の少なくとも1つのアダプタをさらに備える薬物送達デバイスである。
【0047】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のアダプタ内に外ねじを備えるコネクタを接続するための方法であって、少なくとも、前記外ねじをアダプタの内ねじ内に螺着するステップを含む方法である。
【0048】
実施形態では、係合手段は、薬物送達デバイスの遠位先端上で摩擦係合可能な近位の内側リムを備える。たとえば、前記遠位先端は、円錐形であり、前記薬物送達デバイス内に含まれる製品を移送するための軸方向通路を画定する。
【0049】
実際、たとえば、本発明のアダプタは、通常、最初に、全体的に管状の本体の近位領域上に設けられたその係合手段が、たとえば摩擦力によって、遠位先端に係合することにより、薬物送達デバイスの遠位先端上に装着される。次いで、コネクタは、本発明のアダプタの特定の内ねじ内に螺合される。この特定の内ねじの結果、アダプタ内へのコネクタの接続が最適化され、コネクタは、アダプタから誤って切り離され得ない。
【0050】
実施形態では、薬物送達デバイスの遠位先端はガラス製である。実施形態では、遠位先端は、円錐形であり遠位にテーパ化されている。
【0051】
本発明の別の態様によれば、外ねじを備えるコネクタに薬物送達デバイスを接続するためのアダプタが提供される。アダプタは、近位領域および遠位領域を備える全体的に管状の本体を備える。前記近位領域は、薬物送達デバイスに係合するように構成され、前記遠位領域は、前記コネクタをアダプタに接続するように前記外ねじと協働する内ねじを備える内壁を備え、前記内ねじは、内ねじ山頂を画定する。前記内ねじ山頂は、前記コネクタがアダプタ内に螺着されるとき半径方向に変形する少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分を備える。
【0052】
本発明の別の態様によれば、アセンブリが提供される。アセンブリは、外ねじを備えるコネクタに薬物送達デバイスを接続するためのアダプタを含む。アダプタは、近位領域および遠位領域を備える全体的に管状の本体を備え、前記近位領域は、薬物送達デバイスに係合するように構成され、前記遠位領域は、前記コネクタをアダプタに接続するように前記外ねじと協働する内ねじを備える内壁を備え、前記内ねじは、内ねじ山頂を画定する。前記内ねじ山頂は、前記コネクタがアダプタ内に螺着されるとき半径方向に変形する少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分を備える。コネクタの外ねじは、外ねじ谷底を画定する。アダプタの内ねじは、前記コネクタをアダプタに接続するように前記外ねじと協働する。前記外ねじ谷底は、前記コネクタが前記アダプタ内に螺着されるとき前記変形可能な半径方向端部分を変形させる。
【0053】
本発明の別の態様によれば、薬物送達デバイスが提供される。薬物送達デバイスは、前記薬物送達デバイス内に含まれる製品を移送するための軸方向通路を画定する遠位先端と、外ねじを備えるコネクタに薬物送達デバイスを接続するための少なくとも1つのアダプタとを備える。アダプタは、近位領域および遠位領域を備える全体的に管状の本体を備える。前記近位領域は、薬物送達デバイスに係合するように構成され、前記遠位領域は、前記コネクタをアダプタに接続するように前記外ねじと協働する内ねじを備える内壁を備え、前記内ねじは、内ねじ山頂を画定する。前記内ねじ山頂は、前記コネクタがアダプタ内に螺着されるとき半径方向に変形する少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分を備える。
【0054】
本発明の別の態様によれば、外ねじを備えるコネクタをアダプタ上に接続するための方法が提供される。方法は、薬物送達デバイスをコネクタに接続するためのアダプタを提供するステップを含む。アダプタは、近位領域および遠位領域を備える全体的に管状の本体を備え、前記近位領域は、薬物送達デバイスに係合するように構成され、前記遠位領域は、前記コネクタをアダプタに接続するように前記外ねじと協働する内ねじを備える内壁を備え、前記内ねじは、内ねじ山頂を画定する。前記内ねじ山頂は、前記コネクタがアダプタ内に螺着されるとき半径方向に変形する少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分を備える。方法は、前記外ねじをアダプタの内ねじ内に螺着するステップをさらに含む。
【0055】
本発明、およびそこから生じる利点は、添付の図面を参照して以下に与えられる詳細な説明から明確にわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明のアダプタの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1のアダプタの断面図である。
図3図1のアダプタの上面図である。
図4図1のアダプタ上にコネクタを螺着するステップを示す断面図である。
図5】外ねじ谷底と内ねじ山頂上に設けられた変形可能な半径方向突起との間の締め代を示す図4の部分拡大図である。
図6図5のアダプタの変形された半径方向突起を示す部分拡大図である。
図7】変形可能な半径方向端部分および内ねじ山頂が2つの異なる材料製である本発明のアダプタの第2の実施形態における外ねじ谷底と内ねじ山頂上に設けられた変形可能な半径方向突起との間の締め代を示す部分拡大図である。
図8図7のアダプタの変形された半径方向端部分を示す部分拡大図である。
図9】本発明のアダプタの第3の実施形態の斜視図である。
図10図9のアダプタの断面図である。
図11図9のアダプタの上面図である。
図12図9のアダプタ上にコネクタを螺着するステップを示す断面図である。
図13図9のアダプタに対する代替的実施形態の断面図である。
図14図1のアダプタを介した薬物送達デバイスへのコネクタの接続の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1~3を参照すると、図14に表されている薬物送達デバイス100など薬物送達デバイスを、図4に部分的に示されているコネクタ200などのコネクタに接続するための本発明のアダプタ1が示されている。
【0058】
アダプタ1は、長手方向軸Aを有する管状の本体2と、近位領域2aと、遠位領域2bとを備える。以下の説明から明らかになるように、アダプタ1は、その近位領域2aによって薬物送達デバイス100に接続されることが意図されている。
【0059】
具体的には、全体的に管状の本体2の近位領域2aが、薬物送達デバイス100に係合するように適合されている。
【0060】
これに鑑みて、管状の本体2の近位領域2aは、中央孔4を画定する内側環状リム3を備える。内側環状リム3は、摩擦で薬物送達デバイス100の遠位先端101上に嵌合するように半径方向に伸長可能であってもよい。図14から明らかなように、遠位先端101は、円錐台状である。環状リム3薬物送達デバイス100に係合するように構成され、および/またはアダプタ1を薬物送達デバイス100の遠位先端101上に係合するための係合手段を形成する。図示されない他の実施形態では、内側リムは、代替の設計によりリムが薬物送達デバイスの遠位先端上に摩擦嵌めされることが可能である限りこれらの設計を示すことができる。
【0061】
アダプタ1は、その遠位領域2bを介してコネクタ200に接続されることが意図されている。
【0062】
管状の本体2の遠位領域2bは、その内壁上に、内ねじ山頂5aおよび内ねじ谷底5bを画定する内ねじ5を備える。以下の説明から明らかになるように、内ねじ5は、アダプタ1内に螺着されるようにコネクタ200の外ねじ201と協働することが意図されている(図4)。
【0063】
図4を参照すると、外ねじ201は、外ねじ山頂201aおよび外ねじ谷底201bを画定する。図の例では、外ねじ201は、真っ直ぐな外ねじであり、ねじ山が螺旋の形態で円筒周りに巻かれ、ねじ山の高さおよび円筒の直径は、共に一定値である。
【0064】
図1~3を参照すると、内ねじ山頂5aは、2つの変形可能な半径方向突起6の形態にある変形可能な半径方向端部分を備える。これらの図から明らかなように、各半径方向突起6は、内ねじ山頂5aから半径方向に延び、管状の本体2の中央孔の中心に向かって内向きに突出する。以下の説明から明らかになるように、各半径方向突起6は、コネクタ200がアダプタ1内に螺着されるとき外ねじ谷底201bによって半径方向外向きに変形されることが可能である。
【0065】
図示されない実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、コネクタがアダプタ内に螺着される時点で外ねじ谷底201bがそれらと接触する限り、内ねじ山頂5aの長さに沿ってどこにでも配置される1つだけの半径方向突起を含むことができ、またはその形態にあることができる。
【0066】
図示されない他の実施形態では、変形可能な半径方向端部分は、規則的に配置された、または内ねじ山頂5aの長さに沿っていない複数の半径方向突起を含むことができ、またはそれらの形態にあることができる。
【0067】
図の例では、図2および図3を特に参照して、2つの半径方向突起6は、内ねじ山頂5aに半径方向突起がない場所で内ねじ山頂5aの直径であるものとして定義される直径D1に対して直径上で対向して内ねじ山頂5a上に配置される。
【0068】
コネクタ200がアダプタ1に螺着される時点で半径方向突起6が外ねじ谷底201bによって変形される能力は、半径方向突起6の設計、それらが作られている材料の性質、またはこれらの2つのパラメータの組合せに由来し得る。
【0069】
半径方向突起6の設計は、半径方向長手方向平面によるその断面の形状によって定義され得る。
【0070】
図の例では、内ねじ山頂5aの断面は、台形であり、各半径方向突起6の断面は、三角形であり、特に図2および図4に示されているように、半径方向突起6の三角形は、内ねじ山頂5aを形成するトラペジウムの形状に対して相補的である。そのような実施形態は、半径方向突起6用により少ない材料を使用することを可能にする。さらに、半径方向突起6の断面の三角形態は、半径方向突起に良好な変形能力を与える。
【0071】
図示されない他の実施形態では、変形可能な半径方向端部分、特に半径方向突起6は、コネクタがアダプタ内に螺着される時点で断面形状により変形可能な半径方向端部分が外ねじ谷底の作用下で変形されることが可能である限り、半円形、方形、矩形など異なる断面を有することができる。
【0072】
図2を参照すると、D2は、半径方向突起6の非変形状態において内ねじ山頂5a上に設けられた2つの半径方向突起6の場所での内径として定義される。
【0073】
図4を参照すると、D3は、外ねじ谷底201bでの直径として定義される。
【0074】
述べたように、外ねじ201および内ねじ5は、コネクタ200をアダプタ1内に接続するように協働することが意図されており、この図では、D1およびD3は、従来のねじ係合のための規則的螺着のためにコネクタ200とアダプタ1との協働を可能にするように寸法設定される。
【0075】
図の例では2つの半径方向突起6の形態にある少なくとも1つの変形可能な半径方向端部分があることにより、内ねじ山頂5aの或る場所にて内ねじ山頂5aの初期直径D1が縮小された直径D2に縮小する。D2はD1より小さいので、内ねじ山頂5aの少なくとも一部は、外ねじ201との従来のねじ係合のための通常の寸法をもはや有していない。さらに、D2もまたD3より小さく、それにより、外ねじ谷底201bと半径方向突起6との間に締め代を生み出す。具体的には、半径方向突起6は、コネクタ200とアダプタ1との間の接触力を増大する。
【0076】
図4には、アダプタ1内に螺着されたコネクタ200が部分的に示されており、半径方向突起6は、図4ではIDとして参照されている外ねじ谷底201bと半径方向突起6との間の締め代を示すために、コネクタに仮想的に重ねられている。図5は、半径方向突起6と外ねじ谷底201bとの間の締め代を示すこの詳細な部分の拡大図である。
【0077】
たとえば、0.05mmから0.80mmの範囲、好ましくは0.20mmから0.60mmの範囲のD3-D2の値から結果的に得られる締め代IDは、コネクタ200とアダプタ1との間の良好な摩擦力、したがってそれらの間の改善された接続を作り出すことを可能にする。
【0078】
上記でわかるように、各半径方向突起6が変形される能力は、それが作られている材料の性質に、択一で、または組合せで由来し得る。
【0079】
半径方向突起6を形成する材料は、コネクタ200がアダプタ1に螺着される時点で外ねじ谷底201bによって加えられる半径方向圧力によって変形されることが可能な材料から選択されてよい。
【0080】
半径方向突起6を形成する材料は、半径方向突起6の形状と半径方向突起6を形成する材料の組合せにより、コネクタ200がアダプタ1に螺着される時点でコネクタ200の外ねじ谷底201bによって加えられる半径方向圧力下で変形される能力が半径方向突起6にもたらされる限り、アダプタ1の材料と同じであってよい。
【0081】
半径方向突起6および内ねじ山頂5aは、同じ材料製であってもよい。
【0082】
たとえば、半径方向突起6および内ねじ山頂5aが同じ材料製である場合、材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、およびそれらの組合せから選択されてよい。
【0083】
アダプタ1の残りの部分もまた、半径方向突起6および内ねじ山頂5aを形成する材料と同じ材料、たとえばポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、およびそれらの組合せから作られてもよい。
【0084】
実施形態では、半径方向突起6の断面は、三角形であり、半径方向突起6を形成する材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、およびそれらの組合せから選択される。半径方向突起の断面が三角形であることにより、材料のヤング率、半径方向突起の形状によって与えられる半径方向突起の変形能力にかかわらず、半径方向突起のために任意の材料を選択することが可能になる。
【0085】
アダプタ1を形成する材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、およびそれらの組合せから選択されてよい。たとえば、アダプタ1を形成する材料は、ポリカーボネート(PC)である。そのような材料は、アダプタ1にコネクタ200を受け取るための良好な剛性をもたらす。
【0086】
実施形態では、内ねじ山頂5aおよび半径方向突起6は、アダプタ1の残りの部分を形成する材料とは異なる材料から作られる。そのような場合、好ましくは、内ねじ山頂5aおよび半径方向突起6を形成する材料は、アダプタ1の残りの部分を形成する材料のヤング率より小さいヤング率を示す。
【0087】
他の実施形態では、半径方向突起6だけがアダプタ1の残りの部分を形成する材料とは異なる材料から作られてもよい。たとえば、半径方向突起6を形成する材料は、内ねじ山頂5aを含めてアダプタ1の残りの部分を形成する材料のヤング率より小さいヤング率を示す。
【0088】
図14に示されているように、図1図6のアダプタ1は、薬物送達デバイス100をコネクタ200に接続することが意図されている。次に、薬物送達デバイス100に対するコネクタ200の接続について図1図6および図14を参照して述べる。
【0089】
図4および図14のコネクタ200は、部分的に示されている。外ねじ201は、コネクタ200の近位端を形成する。コネクタ200は、薬物送達デバイスから、ポケットドリップ、バイアル、IV(静脈内)ライン、IM(筋肉内)ライン、カテーテル、針ハブ、無針アクセスデバイスなど、針のない別の医療デバイスに製品を移送することを可能にするために、または一方、たとえば薬物送達デバイスの貯蔵位置におけるクロージャキャップのように、充填された薬物送達デバイスをその使用前に、および汚染を防止するために安全に閉じるために、アダプタ1に接続されることが意図されている任意のデバイスであってよい。
【0090】
コネクタ200は、通常、剛性材料から作られる。具体的には、コネクタ200は、変形可能な半径方向端部分、すなわち図の例では半径方向突起6を形成する材料より大きい剛性を有する材料から作られる。たとえば、コネクタ200を形成する材料は、変形可能な半径方向端部分のものより大きいヤング率を有する。
【0091】
図14を参照すると、薬物送達デバイス100およびアダプタ1は、位置合わせされ、共通の長手方向軸Aを有する。薬物送達デバイスの遠位先端101は円錐形の、遠位にテーパ化されたものであり、そこに含まれる製品(図示せず)を移送するための軸方向通路102を画定する。軸方向通路102は、その遠位端で開いている。図示されない実施形態では、遠位先端101の外側表面は、環状の溝、あるいは環状のねじ山を備えてもよい。
【0092】
遠位先端101は、プラスチックまたはガラス材料製であってもよい。実施形態では、遠位先端101は、ガラス材料製である。別の実施形態では、遠位先端101、ならびに薬物送達デバイス100は、クリスタルクリアポリマー(CCP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびそれらの組合せから選択されるプラスチック材料製である。
【0093】
第1のステップでは、アダプタ1は、薬物送達デバイス100の遠位先端101にその内側リム3によって係合される。図示されない実施形態では、アダプタの係合およびその正しい配置は、薬物送達デバイスの遠位先端上に位置する環状の溝とのその適切な嵌合の結果、可能である。図示されない他の実施形態では、アダプタは、遠位先端上に位置する環状のねじ山の結果、薬物送達デバイスの遠位先端の近位部上で維持され得る。
【0094】
図14を参照すると、次いでアダプタ1は、薬物送達デバイス100の遠位先端101上で、遠位先端101上での内側リム3の摩擦嵌めによって固定される。
【0095】
次いで、ユーザは、外ねじ201をアダプタ1の内ねじ5内に螺着する。D2はD3未満であるため、外ねじ谷底201bは、半径方向突起6と接触するとき、図6に示されているように、変形可能な半径方向突起6に対して、半径方向突起6を半径方向外向きに変形させる半径方向力の形態にある応力を加える。外ねじ201と内ねじ山頂5aとの間で摩擦が増大する。この増大された摩擦は、アダプタ1内での外ねじ201の完全な螺着を妨げない。さらに、ユーザは、外ねじ201と内ねじ5との間のより大きな摩擦を得るために自身の加える螺着トルクを著しく増大する必要がない。その結果、コネクタ200がアダプタ1に螺着される時点でアダプタ1が遠位先端101に対して回転するリスクは、大きく制限される。
【0096】
図5および図6は、半径方向突起6の変形の現象を詳細に示す。図6から明らかなように半径方向突起6が変形されるとき、半径方向突起6の場所における内ねじ山頂5aの直径は、D3に向かう傾向がある。
【0097】
半径方向突起6が弾性変形可能な材料から作られている場合には、それ以上圧力がそれに加えられていないとき、たとえばコネクタ200がアダプタ1から螺脱されているとき、半径方向突起6は、それらの初期形状に戻り得る。次いで、アダプタ1は、数回使用されてもよい。弾性変形可能な半径方向突起を形成するのに適した材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、およびそれらの組合せから選択されてよい。
【0098】
半径方向突起6が塑性変形可能な材料から作られている実施形態では、半径方向突起6は、コネクタがアダプタから螺脱されているときでさえ、それらの変形された状態のままにある。塑性変形可能な半径方向突起を形成するのに適した材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、およびそれらの組合せから選択されてよい。
【0099】
半径方向突起6に加えられる応力の強度に応じて、プロピレンが塑性的な半径方向突起を形成するために使用されてもよい。実際、ポリプロピレンは、ポリエチレンなど他の材料のように、材料に加えられる応力が比較的低いときの弾性変形可能な材料から、材料に加えられる応力の強度がより高いときの塑性変形可能な材料に進化する特性を有する。本発明のアダプタでは、半径方向突起6に加えられる応力の強度は、図4に示されているように締め代IDの値に依存することになる。締め代IDが高いほど、コネクタがアダプタ内に螺着されるとき半径方向突起に加えられる応力は高い。
【0100】
どちらの場合も、コネクタ200は損傷を受けない。具体的には、外ねじ谷底201bは、半径方向突起6の接触およびさらなる変形によって損傷を受けない。したがって、コネクタ200が別の薬物送達デバイスとの別の接続のために再使用され得るので、これは特に有利である。
【0101】
ユーザは、コネクタ200の近位端が遠位先端101上の接触点に達するまでコネクタ200をアダプタ1内に引き続き螺着してもよい。したがって、コネクタ200とアダプタ1との間の良好かつ確実な接続が得られる。
【0102】
具体的には、半径方向突起6の場所での内ねじ山頂5aの直径の減少は、半径方向突起6の変形と組み合わされて、コネクタ200と本発明のアダプタ1との間でより良好な摩擦力を可能にする。コネクタ200がアダプタ1内で螺着された後で、螺脱トルクは、コネクタ200をアダプタ1から分離するために必要な引き抜き力と共に、増大される。たとえば、螺脱トルクは、20%増大され得る。
【0103】
例として、螺脱トルクは、2つの以下のアダプタについて、同じコネクタを使用して、ISO594およびISO80639-7に記載の方法に従って測定された。
- 本発明のアダプタA:アダプタ、内ねじ山頂5a、および連続的な半径方向要素7がすべて同じ材料、すなわちポリカーボネート製である図10のアダプタ1。
- 比較例のアダプタB:連続的な半径方向要素がないことで本発明のアダプタAとは異なるアダプタ。
【0104】
本発明のアダプタについて測定された螺脱トルクは、比較例のアダプタのものより20%大きいと判定された。
【0105】
したがって、本発明のアダプタ1は、コネクタをアダプタ内に螺着するためにより高いトルクを加える必要なく、またコネクタ200を損傷することなく、より安定な結果的に得られる接続を可能にする。
【0106】
図7および図8を参照すると、変形可能な半径方向端部分、すなわち半径方向突起6、および内ねじ山頂5aが2つの異なる材料製である、図1図6のアダプタの代替的実施形態が示されている。図1図6と同じ要素を示す符号が図7および図8において維持されている。
【0107】
図7および図8を参照すると、半径方向突起6を形成する第1の材料8は、たとえばポリプロピレンであり、一方、内ねじ山頂5aを形成する第2の材料9は、たとえばポリカーボネートである。ポリプロピレンのヤング率は、1500Mpaであり、一方、ポリカーボネートのヤング率は、2000Mpaである。さらに、上記でわかるように、ポリプロピレンは、半径方向突起6に、塑性変形されるための特性をもたらし得る。そのような実施形態は、コネクタ200がアダプタ1に螺着される時点で高すぎるトルクを加える必要なく、半径方向突起6に対して良好な変形能力、したがってコネクタ200とアダプタ1との間の改善された接続を確保する。
【0108】
あるいは、第1の材料8は、熱可塑性エラストマー(ヤング率1000Mpa)とすることができ、第2の材料9は、ポリプロピレン(ヤング率1500Mpa)とすることができる。
【0109】
図9図13を参照すると、変形可能な半径方向端部分が、内ねじ山頂5aの長さ全体に延びる連続的な半径方向要素7の形態にある、図1図6のアダプタの代替的実施形態が示されている。
【0110】
図1図6と同じ要素を示す符号が図9図13において維持されている。
【0111】
図9図13に示されている例では、内ねじ山頂5aは、台形断面を有し、連続的な半径方向要素7は、内ねじ山頂5aの台形断面に対して相補的な三角形の断面を有する。
【0112】
図9図12を参照すると、内ねじ山頂5aおよび連続的な半径方向要素7は、同じ材料、たとえばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、および/またはそれらの組合せ製である。
【0113】
図13を参照すると、内ねじ山頂5aおよび連続的な半径方向要素7が2つの異なる材料製であることだけが図9図12の実施形態と異なる本発明のアダプタの実施形態が示されている。図9図12と同じ要素を示す符号が図13において維持されている。 図13を参照すると、連続的な半径方向要素7を形成する第1の材料10は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、およびそれらの組合せから選択されてよく、一方、内ねじ山頂5aおよびアダプタ1の残りの部分を形成する第2の材料11は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリスルホン(PSU)、およびそれらの組合せから選択されてよい。
【0114】
図9図12または図13のアダプタ1内にコネクタ200を螺着することは、図1図6および図14について上記されているのと同じようにして実施される。コネクタ200がアダプタ1内に螺着されるとき、連続的な半径方向要素7は、アダプタ1の内ねじ5の長さ全体に変形する。したがって、螺脱トルクが増大され、結果的に得られる接続は、より安定している。
【0115】
具体的には、本発明のアダプタの場合、螺脱トルクは、20%増大され得る。したがって、接続は、変形可能な半径方向突起を備えていない従来技術のアダプタの場合より確実である。
【0116】
したがって、遠位先端がガラス製であるとき、および/または、たとえば無針アクセスデバイス用のようにコネクタが接続に抗する高い反対力をもたらすばね式の部片を備えるときでさえ、本発明のアダプタ内に螺着されたコネクタが自然に切り離されるリスクは、大きく制限される。したがって、本発明のアダプタは、アダプタ上へのコネクタの再現可能かつ安全な接続を可能にし、薬物送達デバイスおよびコネクタからの流体の安定かつ確実な通過を可能にする。さらに、本発明のアダプタは、市場の多数の入手可能なコネクタと互換であり得る。
【0117】
本発明のアダプタは、薬物送達デバイスの遠位先端上へのコネクタの確実な接続を可能にする。コネクタが自然に、および/または誤って本発明のアダプタから螺脱するリスクは、非常に制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14