(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】相接触及び化学反応を高めるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/18 20060101AFI20220909BHJP
B01F 27/73 20220101ALI20220909BHJP
【FI】
B01J19/18
B01F27/73
(21)【出願番号】P 2019565079
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(86)【国際出願番号】 IB2018050850
(87)【国際公開番号】W WO2018146647
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】102017000015144
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519291249
【氏名又は名称】ビーオービー・サービス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】カバリア,ジュリアーノ
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-134634(JP,A)
【文献】特開平05-137990(JP,A)
【文献】特表2007-508133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00-12/02
B01J 14/00-19/32
B01F 27/00-27/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相接触及び化学反応を高めるための装置(11)であって、
少なくとも1つの第1の高乱流混合ステージ(13)と、
少なくとも1つの第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)と、を含み、
前記第1の高乱流混合ステージ(13)及び前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)は、前記第1の高乱流混合ステージ(13)及び前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)を通過する多相流れに関わる相の相対滑り速度の増加を引き起こすように適合され、
前記第1の高乱流混合ステージ(13)は、ステータ(21)によって囲まれた混合チャンバ(19)の内部で回転可能なロータ(17)を含み、前記ロータ(17)は、前記ロータ(17)と一体である少なくとも1つの径方向ピン(23)を含み、
前記少なくとも1つの径方向ピン(23)は、前記ピン(23)の描く外周の直径が0.3~0.9xDの範囲であり、Dが前記混合チャンバ(19)の直径であるような、長さの全体にわたって、前記ロータ(17)のシャフト(39)の回転軸から、径方向に延び、
少なくとも1つの前記第1の高乱流混合ステージ(13)は、前記多相流れをRe>500,000の高乱流レジメンに従わせるように適合され、少なくとも1つの前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)は、前記多相流れを、キャビテーション数σ<1によって特徴付けされるキャビテーションレジメンに従わせるように適合され、
少なくとも1つの前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)は、第2のラジアル歯(33)を具備するステータ(31)によって囲まれたキャビテーションチャンバ(29)の中に収容され、且つ第1のラジアル歯(27)を具備するロータ(25)を含み、
前記ロータ(25)及び前記ステータ(31)の前記第1のラジアル歯(27)及び前記第2のラジアル歯(33)の対向面(35、37)は、放物線プロファイルを有し、
前記ロータ(25)及び前記ステータ(31)の前記第1のラジアル歯(27)及び前記第2のラジアル歯(33)は、周方向の放物線プロファイル(27a、33a)を有し、前記第1のラジアル歯(27)及び前記第2のラジアル歯(33)の前記放物線プロファイルは、前記ロータ(25)の回転方向(F1)に対して前記第1のラジアル歯(27)の第1の後縁(27b)及び前記第2のラジアル歯(33)の第2の後縁(33b)にその頂点(Vr、Vs)が配置される放物線(Pr、Ps)の曲線に沿って、また、前記第1の後縁(27b)及び前記第2の後縁(33b)を前記ロータ(25)又は
前記ステータ(31)の中心(Cr)にそれぞれ連結する半径(Rr)に沿って、存在し、前記放物線(Pr、Ps)の焦点は、前記半径(Rr)上にも位置する、
装置。
【請求項2】
複数の前記第1の高乱流混合ステージ(13)と、複数の前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)と、を含み、
前記第1の高乱流混合ステージ(13)及び前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)は、直列で、互いに交互に配置され、したがって、前記多相流れは、前記第1の高乱流混合ステージ(13)及び前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)のそれぞれを通過し、
各前記第1の高乱流混合ステージ(13)及び各前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)は、共通の回転シャフト(39)を有し、前記回転シャフト(39)には、前記ピン(23)と、前記第1のラジアル歯(27)を具備する前記ロータ(25)と、が関連付けされる、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の高乱流混合ステージ(13)は、物質又は物質の混合物の流れを前記混合チャンバ(19)の中に注入するように適合された注入ノズル(49a、49b)を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のラジアル歯(33)は、前記第1のラジアル歯(27)の前記プロファイルと同一であり且つ前記第1のラジアル歯(27)の前記プロファイルの鏡像である放物線プロファイル(33a)を有し、前記第2のラジアル歯(33)の前記プロファイル(33a)は、前記ロータ(25)の回転方向に対して前記第2のラジアル歯(33)の前記第2の後縁(33b)にその頂点(Vs)が位置する放物線(Ps)の曲線に沿って、また、前記第2の後縁(33b)を、前記ロータ(25)の中心(Cr)と一致するステータ中心(Cs)に連結する半径(Rs)に沿って、存在し、前記放物線(Pr、Ps)の焦点は、前記半径(Rs)上にも位置する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のラジアル歯(27)及び/又は前記第2のラジアル歯(33)の前記プロファイルの前記放物線の式は、Y=0.0062974X
2である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ギャップ(51)は、前記第1のラジアル歯(27)と前記第2のラジアル歯(33)との間に設けられ、前記ギャップは、前記第1のラジアル歯(27)の前記第1の後縁(27b)及び前記第2のラジアル歯(33)の前記第2の後縁(33b)が、前記ロータ(25)及び
前記ステータ(31)の対応する半径(Cr、Cs)に沿って実質上整列しているとき、前記第1の後縁(27b)及びの前記第2の後縁(33b)で最小である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項7】
前記ロータ(25)は、50~500mmに及ぶ直径と、対応する前記ロータ(25)の直径の0.05~2.5倍に及ぶ軸方向長さと、を有し、前記第1のラジアル歯(27)と前記第2のラジアル歯(33)との間の最小ギャップは、0.2~5.0mmに及ぶ、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項8】
前記ロータ(25)は、100~300mmに及ぶ直径を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ロータ(25)の軸方向長さは、前記ロータの直径の0.1~1.0倍に及ぶ、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のラジアル歯(27)と前記第2のラジアル歯(33)との間の前記最小ギャップは、0.5~2.5mmに及ぶ、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記混合チャンバ(19)及び前記キャビテーションチャンバ(29)の内径は、50~500mmに及び、前記第1の高乱流混合ステージ(13)の軸方向長さは、対応する混合チャンバ(19)の内径の0.1~2.5倍に及ぶ、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項12】
前記混合チャンバ(19)及び前記キャビテーションチャンバ(29)の内径は、100~300mmに及ぶ、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の高乱流混合ステージ(13)の軸方向長さは、前記混合チャンバ(19)の内径の0.25~1.5倍に及ぶ、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記ロータ(17)の回転速度は、1000~3000rpmに及ぶ、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、向流モードで動作し、
前記第1の高乱流混合ステージ(13)のうち1つは、第1の物理的状態にある第1の物質の入口用の第1のポート(165)と第2の物理的状態にある第2の物質の出口用の第2のポート(167)とを具備し、
前記第1の高乱流混合ステージ(13)のうち別の1つは、前記第2の物理的状態にある物質の入口用の第1のポート(173)と前記第1の物理的状態にある物質の出口用の第2のポート(175)とを具備する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、等流モードで動作し、
前記第1の高乱流混合ステージ(13)のうち1つは、第1の物理的状態にある第1の物質の入口用の第1のポート(165)と第2の物理的状態にある第2の物質の入口用の第2のポート(167)とを具備し、
前記第1の高乱流混合ステージ(13)のうち別の1つは、前記第2の物理的状態にある物質の出口用の第1のポート(173)と前記第1の物理的状態にある物質の出口用の第2のポート(175)とを具備する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも2つの前記ピン(23)は、同じ前記第1の高乱流混合ステージ(13)に関連付けされ、前記ロータ(17)の回転軸に垂直な同じ面上、又は前記ロータ(17)の回転軸に垂直な平行面上に配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項18】
相接触及び化学反応を高めるための方法であって、請求項1から17のいずれか1項に記載の装置を提供するステップと、前記装置において、多相流れを、少なくとも1つの前記第1の高乱流混合ステージ(13)、並びに少なくとも1つの前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)に、従わせるステップとを含み、前記第1の高乱流混合ステージ(13)及び前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)は、前記第1の高乱流混合ステージ(13)及び前記第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージ(15)を通過する多相流れに関わる前記相の相対滑り速度の増加を引き起こすように適合される、方法。
【請求項19】
前記多相流れは、向流モードで異なった相を供給することによって得られる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相接触及び化学反応を高めるための装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は、相接触、したがって、物質及び熱の輸送を高めるための、また、化学反応速度を高めるための装置及び方法に関する。様々な種類の相、特に、固液相、気液相、気液固相、及び、液液相が、本発明に係る装置及び方法に関係し得る。
【背景技術】
【0002】
相接触に関連する動作では、プロパティ、例えば、物や熱、の移動のプロセスは、次の種の式によって主として決定される。
Fp=AxKxΔC
ここで、
Fp=プロパティ(例えば、物、熱)の流れ;
A=相間面積;
K=プロパティ交換係数;
ΔC=スラスト力
である。
【0003】
上の関係が明確に示していることは、所与のスラスト力ΔCについてプロパティ移動を高める目的で、A、即ち、相間面積、及び、K、即ち、プロパティ交換係数が、最大化されねばならないということである。相間面積及びプロパティ交換係数を増加可能にする公知の現象は、主として乱流、せん断応力、及びキャビテーションである。そういった現象は、関連する様々な相の相対滑り速度の大幅な増加を実際に引き起こす。
【0004】
現在、気液相接触を高めるための最も効率的な装置は、エジェクタ気液接触器である。O3(オゾン)のガス流れを水と接触させるこのような装置を使用することによって、0.025~0.062s-1の範囲にある体積物移動係数(kLa)が得られる。
【0005】
同じく、多相システムでは、反応する相の混合が最も効果的で、相間面積が大きいほど、化学反応が最も効果的に起こるということも知られている。更に、化学反応の反応速度がアレニウスの式によって主としてルール化されることが考慮に入れられる。
K=k0Exp[-Ea/RT]
ここで、
K=反応速度;
k0=事前指数因子(実験的に決定);
Ea=活性化エネルギ(実験的に決定);
R=一般ガス定数;
T=絶対温度
である。
【0006】
次に、アレニウスの式は、マクスウェル・ボルツマン方程式に基づいており、平衡システムの分子エネルギEの分布F(E)を説明している。
F(E)=2(E/π)1/2(1/kT)3/2Exp[-E/kT]
ここで、kは、ボルツマン定数である。
【0007】
ボルツマン方程式は、所与の温度で、それがどのぐらい低いかにかかわらず、分子エネルギが活性化エネルギを超える、即ち、E>Eaである分子が存在して、それによって、衝突の場合に、化学反応が起こる、ということを明確に示している。アレニウスの式は、マクスウェル・ボルツマン方程式を積分することによって得られるので、反応速度Kは、活性化エネルギEaと、温度Tと、に指数関数的に依存する。
【0008】
したがって、上で述べられたことから、以下の考察が生じる。
・マクスウェル・ボルツマン方程式は、各反応に関して、低温でも反応する幾つかの分子(たとえその数が無視できる場合でも)が存在することを伴い、
・アレニウスの式の指数関数的性質は、10℃単位の各増加で、反応速度が2倍(3倍、4倍、・・・)になることを伴う。
【0009】
そういった考察から、従来の実務では、許容可能な化学反応速度を達成する方法は、所望の化学反応の活性化エネルギEaに対応するレベルを超えるまで、Tを増加することから成る、という現実が起こる。その理由から、化学反応が現在行われている殆どの装置は、温度上昇と分子間の無作為衝突に基づいていて、分子は次には空間内の無作為移動によって決定される攪拌状態にある。
【0010】
相接触及び化学反応を高めることのできる装置の例は、国際公開第2005/039745号、国際公開第2013/191713号、国際公開第2016/001476号、米国特許出願公開第2011/0151524号明細書、及び、米国特許出願公開第2014/0363855号明細書に開示されている。
【0011】
依然として、従来のシステムで達成できる結果は、多くの用途で満足のいくものではなく、こうして、より良い結果とより高い性能を達成する装置及び方法の必要性は、強く感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の第1の目的は、従来技術の欠点や制限を克服してより高い性能の達成を可能にする、相接触を高めると共に化学反応を高めるための装置及び方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、多種の用途に適して多くの産業の分野や用途における増加する要求を満たすことを可能にする、上記の種類の装置及び方法を提供することである。
【0014】
本発明の最後ではない更なる目的は、産業上製造でき、限られた価格で実施できる、相接触を高めると共に化学反応を高めるための装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の及び他の目的は、本発明に関する本明細書に提供される技術的な教示の不可欠な部分である添付の特許請求の範囲で権利請求されているような装置及び方法によって達成される。
【0016】
本発明に係る相接触及び化学反応を高めるための装置は、少なくとも1つの第1の高乱流混合ステージと、少なくとも1つの第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージと、を主として含む。上記ステージは、上記ステージを通過する多相流れに含まれる相の相対滑り速度の増加を引き起こすように有利に適合される。本発明によれば、多相流れは、等流モード又は向流モードで形成することができる。
【0017】
有利なことに、本発明によれば、各高乱流混合ステージと、各高せん断応力及び高キャビテーションステージは、ロータと、ロータを囲む対応するステータと、を含む。好ましくは、混合ステージのロータは、対応するステータによって画定されるチャンバの中心に位置する回転シャフトと、ロータを囲むステータによって画定されるチャンバ内に存在する物質に乱流運動を引き起こすように配置された少なくとも1つの径方向部材、例えば、径方向ピン又はペグと、を含む。更に好ましくは、高せん断応力及び高キャビテーションステージは、歯付き周囲面を具備するロータと、それぞれのロータの歯に対面する歯付き周囲面も具備する対応ステータと、を有する。
【0018】
好ましくは、本発明によれば、高乱流混合ステージと、高せん断応力及び高キャビテーションステージと、の各ロータは、装置の全ステージを中心的に通過する同じロータシャフトに関連付けられる。
【0019】
本発明の好適な実施形態では、装置に属する複数のステージのうちの最初及び最後のステージは、処理されるべき物質のそれぞれ入口及び出口のための少なくとも1つの対応するポートを具備する。
【0020】
装置が向流モードで動作する本発明の特定の実施形態に従って、装置は、第1の物理的状態にある第1の物質の入口用の第1のポートと第2の物理的状態にある第2の物質の出口用の第2のポートとを具備する第1の高乱流混合ステージと、上記第2の物理的状態にある物質の入口用の第1のポートと上記第1の物理的状態にある物質の出口用の第2のポートとを具備する第2の高乱流混合ステージと、を含む。
【0021】
装置が等流モードで動作する本発明の別の特定の実施形態に従って、装置は、第1の物理的状態にある第1の物質の入口用の第1のポートと第2の物理的状態にある第2の物質の入口用の第2のポートとを具備する第1の高乱流混合ステージと、上記第2の物理的状態にある物質の出口用の第1のポートと上記第1の物理的状態にある物質の出口用の第2のポートとを具備する第2の高乱流混合ステージと、を含む。
【0022】
なお、本発明によれば、上記第1及び第2の物理的状態は、好ましくは相互に異なり、また、液体状態、固体状態、及び、ガス状態を含むことがある。
【0023】
好ましくは、上記ポートを具備する上記2つの高乱流混合ステージは、高乱流混合ステージと高せん断応力及び高キャビテーションステージの交互に並んだ一連のものの両端に位置する。
【0024】
更に好ましくは、上記ポートを具備する上記2つの高乱流混合ステージは、装置によって処理される物質が通過する最初及び最後のステージである。したがって、好ましくは、装置が向流モードで動作するとき、上記ポートを具備する上記2つの高乱流混合ステージは、それぞれ装置によって処理される、第1の上記物質が通過する最初及び最後のステージと第2の上記物質が通過する最後及び最初のステージとであり、これに対して、装置が等流モードで動作するとき、上記ポートを具備する上記2つの高乱流混合ステージは、装置によって処理される両物質が通過する最初及び最後のステージである。
【0025】
本発明に係る相接触及び化学反応を高めるための方法は、好ましくは上の装置を利用し、そして、等流又は向流モードの多相流れを、少なくとも1つの第1の高乱流混合ステージ、並びに少なくとも1つの第2の高せん断応力及び高キャビテーションステージに、従わせることを含み、それによって、ステージを通過する上記多相流れに含まれる相の相対滑り速度の増加を引き起こす。
【0026】
本発明の第1の利点は、多相流れのプロパティ移動プロセスを決定する3つの現象の組合せ作用から生じる。実際には、本発明に係る装置は、多相流れを、少なくとも1つの第1の高乱流混合ステージ、並びに少なくとも1つの第2の高せん断応力及び制御されたキャビテーションステージに、従わせることを提供する。
【0027】
いずれにしても、多相流れに対する装置のステージの連続的作用のおかげで、本発明に係るマルチステージ装置は、相間面積を作り出して相混合を高めるのに特に効果的である。
【0028】
例として、O3(オゾン)のガス流れを水と接触させることによって、約0.45~0.95s-1の範囲にある体積物移動係数(kLa)は、得られ、その結果、供給されるオゾンの99質量%が液相に移動する。
【0029】
本発明の特定の実施形態に従って、向流相接触が有益である場合、例えば、単一のストリッピング、抽出、浸出などの操作で起こるので、相は、向流モードで供給することができ、それによって、実ステージ数よりも遥かに高い平衡ステージ数を形成することが可能である。
【0030】
例えば、本発明に従って作られて、2つの高せん断応力及び制御された高キャビテーションステージと交互に配置される2つの乱流混合ステージを含む装置の場合、固形植物マトリックスを一方向に、抽出液相を向流モードで、供給するとき、得られる抽出性能は、一連の15を超える理論的な平衡ステージで到達可能な性能に相当する。
【0031】
本発明によれば、抽出液相は、本発明に係る装置の動作がクロスフローレジメンにおいて有益である場合、高乱流混合ステージでステータ壁を通過するサイドノズルを通して供給することもできる。
【0032】
なお、本発明によれば、気相は、例えば、「ガスアシスト抽出」、「ガスアシスト固液混合」、「ガスアシスト動作」、「ガスアシストキャビテーション」の場合に起こるように、その相が最良の結果を達成するのに有益である場合に、高乱流混合ステージの混合チャンバにつながるサイドノズルを通して供給することもできる。
【0033】
いずれにしても、本発明によれば、装置を軸方向に通過する連続流れにオンデマンドで供給される反応物として作用することを目的とした気相又は液相は、気液反応器として又は気液固反応器としての用途の場合、サイドノズルを通して供給することもできる。
【0034】
いずれにしても、本発明によれば、熱的な調整目的のための気相又は液相は、サイドノズルを通して供給することもでき、実行されている単一の操作にとって有益である。
【0035】
本発明に係る装置は、以下で特徴付けされる反応体積内で化学反応を行う可能性を有利に与える。
・0.05~5ミクロンに及ぶことのある気泡サイズを有する連続的展開(0.1~2.5マイクロ秒に及ぶ平均気泡寿命)の気泡クラスタであって、気泡温度が、内破の瞬間に最大1000~2000°Kに上昇するが、反応体積内の流体の平均温度を上げることがなく、また、気泡圧力が、最大1000~2000バールに上昇するが、反応体積内の平均圧力を上げることがない気泡クラスタ;
・100~750m/sのオーダの、狭幅セクションにつながった、制御されたキャビテーションロータ-ステータ空洞に含まれる流体のための衝突速度を決定する領域であって、非常に高速の一方向流れを有する領域(放物線ステータ歯の放物線ロータ歯との重複から生じる狭幅セクション)。
【0036】
本発明は、ステータ及びロータ歯に放物線プロファイルを備え付けさせ、放物線の式は、断面が間近に狭くなるにつれて、流線の採る曲率に出来る限り近付く。
【0037】
有利なことに、放物線プロファイルを有する歯は、「分離領域」及び「縮流部」に関連するエネルギ消散(即ち、圧力降下)を最小限にするように、狭幅のセクションの近くの流体の流線の採る湾曲プロファイルに出来る限り近似する。
【0038】
「分離領域」の形成と「縮流部」とに関連する消散は、表面生成の目標に、また、相対滑り速度の増加に、したがって、物や熱の移動係数の増加に、殆ど有益でない消散である。逆に、それらは、処理される流体の(不所望の)温度上昇、したがって、動作のエネルギ消費全体、に関係する限り、負の影響を有する消散である。
【0039】
放物線プロファイルは、ステータ歯-ロータ歯の重複の最小ギャップの点で水平接線を有しなければならず、したがって、流体流れは、同じ沈降チャンバのラジアル面に直交する単一方向に非常に高速で次の沈降チャンバに入る。このような具合に、噴出する力は、単一の方向性の利点に対する方向ファンの拡散から防止され、それは化学反応やプロパティ(即ち、物や熱)の輸送などの分子の衝突に応じて、事象での発生の可能性を増やす。
【0040】
実際には、ステータ歯-ロータ歯カップリングに続く各沈降チャンバでは、キャビテーション現象は、急激な拡張による圧力降下のせいで生起する。キャビテーションは、数マイクロ秒間活発である気泡のクラスタを連続的に生成し、その後、内破して、高温度/高圧力(個々の気泡内)や非常に高速のジェットを生成する。連続的に生成されるキャビテーションジェットは、放物線プロファイルを有するステータ歯/ロータ歯が重複する高せん断領域から生じる入射ジェットと連続的に衝突する。キャビテーション、せん断応力、及び、キャビテーションジェットと歯のカップリングによるジェットとの衝突は、相接触と化学反応を高めることをもたらす。
【0041】
有利なことに、このような具合に、本発明に係る装置は、低温でさえ化学反応を得ることを可能にするが、そのような低温での反応は、従来のシステムを使用するとき、起こらないであろう。更に、いずれにしても、本発明に係る装置のおかげで、従来システムで化学反応の発生が始まって検出される温度で動作することによって、反応速度を1桁~2桁増加させることが可能である。
【0042】
そのような結果の達成を可能にする主要因は、高せん断応力及び制御されたキャビテーションステージ内のキャビテーテッド領域でのキャビテーションによって生成されたクラスタ内の個々の気泡内の温度及び圧力の増加と、高せん断応力及び制御されたキャビテーションステージのステータ歯/ロータ歯間の狭幅セクションで強く加速された流体の、キャビテーション気泡の内破から生じる非常に高速のマイクロジェットとの衝突に起因する高い分子衝突速度と、である。更に、高速流れ領域の一方向性は、上記の結果の達成を引き起こす更なる要因である。
【0043】
反応速度の増加は、キャビテーション気泡の内破から生じるマイクロジェットと、ステータ歯とロータ歯との間の狭い高せん断応力セクションの一方向の流れ加速と、の組合せ作用から生じる非常に高速(典型的には、約100~750m/sの範囲)の衝突を受ける分子が、運動成分E(v)と熱成分E(T)とを加えることによって得られる包括的な分子エネルギ(活性化エネルギEaを超える)を有する、という事実に依存する。
【0044】
即ち、次の関係が当て嵌まる。
E(v)+E(T)≧Ea
【0045】
質量がそれぞれM1及びM2である2つの衝突分子を仮定すると、次のことが決定される。
E(v)=M1v2/2+M2v2/2
次には、M1=M2=M(例えば、分解反応及び解離反応で何が起こるか)を仮定すると、
Mv2+E(T)≧Ea
それ故に、
v=[(Ea-E(T))/M]1/2
低温で動作することによって、E(T)は無視できるようになり、したがって:
v=[Ea/M]1/2
例えば、アンモニア解離反応を考慮すると:
2NH3⇔N2+3H2
これは、46.4kj/molを必要とする吸熱反応であり、また、活性化エネルギEa=190kj/molによって特徴付けされ、反応を起こすために、NH3分子(M=17,031kg/mol)を次の速度で衝突させることで十分であるということが理解できる。
V=[190,000/17.031]1/2≒110m/s
【0046】
高せん断応力とキャビテーションの組合せ作用は、内破の段階中に気泡内にTとPのピークを生じさせるが、更には、本発明に係る装置を液相に対する微生物消毒の動作と、生物学的プロセスの終了時の酵素及び蛋白質の回復の動作と、に関して非常に高性能にする。
【0047】
キャビテーション数は、次のように表現することができる。
σ=(pr-pv)/(1/2ρv2)
ここで、
σ=キャビテーション数;
pr=基準圧力(Pa);
pv=流体の蒸気圧(Pa);
ρ=流体の密度(kg/m3);
v=流体の速度(m/s)
である。
【0048】
キャビテーションは、キャビテーション数σが1より小さいか又は等しいときに起こる。
【0049】
本発明によれば、約0.2~0.3の範囲のキャビテーション数での動作によって、酵素及び蛋白質は、90%より高い回収が達成できる。
【0050】
要約すると、本発明に係る装置の、多相システムへの適用は、次の主要な利点を達成することを可能にする。
(a)より大きい相間面積とより高い交換係数のおかげによる、従来のシステムの反応速度を2桁超える大きさの反応速度での物質移動又は熱移動;
(b)より大きい相間面積と、運動エネルギが、熱成分に対する絶対的な最も重要な役割を差し引くことによって、反応活性化エネルギの達成に著しい貢献を提供するという本発明による事実と、のおかげによる、従来のシステムに対して1~2桁高い反応速度での、また、従来のシステムに対して著しく低めの温度での、化学反応。
【0051】
本発明の幾つかの好適な実施形態は、添付の図面を参照して非限定の例として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明に係る装置の好適な実施形態の部分断面斜視図である。
【
図2A】
図1に示された装置のステージの断面図である。
【
図2B】ノズルがはっきりと見えるように置かれている
図1に示された装置のステージの断面図である。
【
図3A】
図1に示された装置の高せん断応力及び高キャビテーションステージのロータ歯及びステータ歯の概略図である。
【
図4A】3つの高せん断応力及び高キャビテーションステージを備えた本発明に係る装置の部分断面後部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
全ての図面において、同一の参照番号は、等しいか又は機能的に等価な構成要素を示すために使用される。
【0054】
図1~3を参照すると、本発明に係る装置は、全体的に参照符号11によって示されている。例証された装置11は、本発明の好適な実施形態に従って作られており、相接触及び化学反応を高めるための複数の直列に配置されたステージを主として含む。より具体的には、装置11は、高せん断応力及び高キャビテーションステージ15と交互に配置される高乱流混合ステージ13を含む。以下の説明からより明らかになるであろうように、装置11のステージ13、15は、上記ステージ13、15を通過する多相流れを、関連する相の相対滑り速度の増加に従わせるように適合される。
【0055】
例証された実施形態では、3つの高乱流混合ステージ13は、全体的に設けられ、2つの高せん断応力及び高キャビテーションステージは、全体的に設けられる。他の実施形態は、少なくとも1つの高乱流混合ステージ13と、少なくとも1つの高せん断応力及び高キャビテーションステージ15を含むことが可能である。
【0056】
いずれにせよ、例証された好適な実施形態を参照すると、ステージ13は、ステータ21によって囲まれた混合チャンバ19内で回転可能なロータ17を含む。更に、本発明によれば、ロータ17は、混合チャンバ19内で回転する上記ロータ17と一体の少なくとも1つの径方向ピン23を含む。上記ピン23は、ロータ17のシャフト39の回転軸から半径方向に、好ましくは、ピン23によって描かれる外周の直径が0.3×D~0.9×D(Dは混合チャンバ19の直径)の範囲にあるような長さ全体に延びる。例証された実施形態では、4つのピン23は、各混合ステージ13に設けられるが、任意の数のピンを備えた実施形態が想定され得る。更に、同じ混合ステージ13に関連付けされたピン23は、例証された実施形態におけるように、ロータ17の回転軸に垂直な同じ平面上、又は、平行な平面上に配置されることがある。更に、例証された実施形態では、混合ステージ13は、実質上同一であり、全く同じ数のピン23を有する。しかしながら、本発明によれば、相互に異なった混合ステージ13を備える実施形態が想定され得て、加えて、ピン23の数は、異なったステージでは異なる。例証された実施形態では、ピン23は、縦方向のピン軸の全体にわたって実質上一定の円形断面を有するが、円形状とは異なった断面形状、例えば、長円や他の形状を備えたピン、或いは、縦方向の軸に沿って断面が変化するピンは、可能的に設けられる場合がある。好ましくは、本発明によれば、混合ステージ13は、多相流れをレイノルズ数(Re)>500,000の高乱流レジメンに従わせるように適合される。
【0057】
ステージ15は、ラジアル歯33を具備するステータ31によって囲まれたキャビテーションチャンバ29の中に収容された、ラジアル歯27を具備するロータ25を含む。好ましくは、ロータ25のラジアル歯27とステータ31のラジアル歯33の数は、同じである。更に、本発明によれば、ロータ25及びステータ31の歯27、33の対向面35、37は、それぞれ周方向の放物線プロファイルを有する。
【0058】
図3B及び3Cからより良く理解できるように、ロータ歯27は、周方向の放物線プロファイル27aを有する。本発明によれば、歯27のプロファイル27aは、ロータ25の回転方向(矢印F1)に対して歯27の後縁27bにその頂点Vrが位置する放物線Prの曲線に沿って、また、上記縁27bをロータ25の中心Crに連結する半径Rrに沿って、存在する。放物線Prの焦点もまた、上記半径Rr上に存在する。
【0059】
相応して、特に、
図3B及び3Cから理解できるように、ステータ歯33は、好ましくは、歯27のプロファイルと同一であり且つ歯27のプロファイルの鏡像である放物線プロファイル33aを有する。より正確には、本発明によれば、歯33のプロファイル33aは、ロータ25の回転方向に対してステータ歯33の後縁33bにその頂点Vsが位置する放物線Psの曲線に沿って、また、上記縁33bをロータ25の中心Crと一致するステータ中心Csに連結する半径Rsに沿って、存在する。放物線Psの焦点もまた、上記半径Rs上に存在する。
【0060】
本発明の好適な実施形態では、ロータ歯及び/又はステータ歯のプロファイルの放物線の式は、Y=0.0062974X2である。
【0061】
ロータ歯27とステータ歯33との間のギャップ51は、歯27、33の縁27b、33bが、対応するロータ及びステータの半径Rr、Rsに沿って実質上整列しているとき、歯27、33の縁27b、33bで最小である。
【0062】
本発明によれば、ロータ17及びロータ25は、共通の回転シャフト39と一体である。好ましくは、シャフト39は、支持フレーム43に着実に関連付けされる電気モータ41によって回転するようにされている。
【0063】
例証された実施形態では、混合ステージ13は、入口ポート45a及び出口ポート45bを有し、どちらも対応する混合チャンバ19に開いている。ポート45a及び45bは、物質や物質の混合物をチャンバ19の中に又は外に輸送するためのダクト47a、47bに関連付けされる。
【0064】
更に、混合ステージ13は、物質又は物質の混合物を混合チャンバ19の中に注入するように適合された注入ノズル49a、49bを具備する場合がある。少なくとも1つの注入ノズル49a、49bは、各混合ステージ13に設けられる場合があり、更に、1つ又は複数の混合ステージ13は、ノズルを欠く場合がある。例証された例では、2つの連続するステージ13が対応するノズル49a、49bを具備することが仮定される。
【0065】
本発明に係る装置11の非限定の例示的な実施形態は、
・約50~500mm、好ましくは、約100~300mmに及ぶ歯付きロータ25の直径、
・約0.2~5.0mm、好ましくは、約0.5~2.5mmに及ぶロータ歯27とステータ歯33との間の最小ギャップ、
・ロータ25の直径の約0.05~2.5倍に及び、好ましくは、ロータ25の直径の約0.1~1.0倍に及ぶ、歯付きロータ25の軸方向長さ、
・約50~500mmに及び、好ましくは、約100~300mmに及ぶ、混合チャンバ19及びキャビテーションチャンバ29の内径、
・対応する混合チャンバ19の内径の約0.1~2.5倍に及び、好ましくは、チャンバ19の内径の約0.25~1.5倍に及ぶ、高乱流混合ステージ13の軸方向長さ、
・500~5000rpm、好ましくは、1000~3000rpmに及ぶ回転速度を有する。
【0066】
図4A、4B及び4Cを参照すると、本発明の好適な実施形態に従った装置111が示されており、3つの高せん断応力及び高キャビテーションステージ15と交互に配置される4つの混合ステージ13を含む。装置111の例証された実施形態は、向流作用のために構成される。
図4Cの矢印F2は、ステージ13、15における液相の一般的な流れ方向を示し、矢印F3は、固相の一般的な流れ方向を示す。
【0067】
装置111は、新鮮な固体マトリックスのための入口ホッパ161を装備する。例証された構成は、ホッパ161の下流において、ホッパ161の中に導入された固体マトリックスの材料を、モータ41に対して近位の第1の混合ステージ13に、移動させるように適合されたモータ駆動式の圧搾デバイス163を含む。圧搾デバイス163は、例えば、電気モータ163aによって駆動される円錐ねじ又は円錐オーガを含む場合がある。圧搾デバイス163は、ステータ21に設けられたポート165を介して、近位の第1の混合ステージ13と連通する。更に、第2のポート167は、近位混合ステージ13からの液相の出口のために、最初の近位混合ステージ13に設けられる。上記第2のポート167は、液相と共に固相がポート167を通して近位混合ステージ13から排出されるのを防ぐためのグリッド167aを好ましくは装備する。ポート167は、液相排出のためにダクト169と連通し、例えば、上記ダクト169の下流に位置する収集タンクと連通する。
【0068】
例証された好適であるが排他的ではない実施形態では、固相入口用の入口ポート165及び液相出口用の出口ポート167は、それぞれ装置111の上側部分及び下側部分に正反対に位置しており、そのとき後者は、作動構成にある。
【0069】
いずれにせよ、例証された実施形態を参照すると、近位混合ステージ13は、ロータ17から半径方向に延びる一対の平行アーム171a、171bを用いてロータ17に固定式に連結された回転可能なブレード171を更に含む。ブレード171の目的は、排出ダクト169からステージ13を分離するグリッド167aが、固体材料の蓄積のせいで詰まるようになるのを防ぐことであり、それはダクト169を通る液相の排出を防ぐであろう。ブレード171は、上記グリッド167aをフリーに保持するが、それは主として近位ステージ13に存在する混合液固物質に分与された周方向の渦運動のおかげである。
【0070】
本発明によれば、装置111が向流作用のために構成されている例証された実施形態では、近位混合ステージ13から排出される液相物質の量は、排出ダクトを同じ近位混合ステージ13から分離するグリッドを通して排出される固相物質の量に対して支配的である。
【0071】
例証された構成では、電気モータ41に対して遠位の混合ステージ13は、液相入口用の第1のポート173と、固相排出用の第2のポート175と、を具備する。例証された実施形態では、ポート173及び175は、それぞれ装置111の上側部分及び下側部分に正反対に位置しており、そのとき後者は、作動構成にある。
【0072】
液相、例えば、水を供給するためのダクト177は、ポート173の上流に設けられる。例えば、ダクト177は、ポート173の上流で、適切なタンクから来る液体物質を送達する回路に連結されることがある。いずれにせよ、例証された好適であるが排他的ではない実施形態を参照して、スクリュプレス179は、遠位混合ステージ13から排出された物質に包含される固相及び液相を分離するように適合されており、ポート175の下流に設けられる。スクリュプレス179は、排出された固相又は固体マトリックスの排出用の第1のポート179aと、液相出口用の第2のポート179bと、を有する。本発明によれば、装置111が向流作用のために構成されている例証された実施形態では、遠位混合ステージ13から排出される固相物質の量は、同じ遠位混合ステージ13から排出される液相物質の量に対して支配的である。
【0073】
好ましくは、装置111は、スクリュプレス179からポート179bを通して排出された残留液相を回収するための再循環ポンプ181を装備する。上記ポンプ181は、液相をスクリュプレス179からポンプ181まで搬送するために、その上流側で、スクリュプレス179に、第1のダクト183aを通して、連結され、また、液相を遠位混合ステージ13の方に搬送するために、その下流側で、パイプティー177aを用いて、供給ダクト177に、第2のダクト183bを通して、連結される。
【0074】
以下、本発明に従って作製される装置11の幾つかの用途例が与えられるであろう。
【実施例1】
【0075】
本発明に係る装置は、残留バイオマスから低コストで糖を得る方法で麦を前処理するために使用された。
【0076】
最近10年間で、化石燃料を置き換えるための実用的な代替物を特定する目的で、バイオ燃料及びリファイナリ中間体のリグノセルロースバイオマスを変換するためのプロセスへの関心がかなり存在していた。第2世代のバイオ燃料と第2世代のバイオリファイナリの概念は、残留バイオマスの分野に属する原材料から出発すること、及び、そこから糖(C5及びC6、即ち、5つ又は6つの炭素原子)の流れを得ることを提供する。なお、植物の細胞壁の構造的複雑さは、同じバイオマスに化学的又は生物学的攻撃に対する高い抵抗力を作り出す。異なった前処理プロセス(異なった温度及び圧力レベルでの異なった化学的アプローチによる)は、化学的又は生物学的攻撃に対する植物的抵抗性を低減するために存在する。そういったプロセスの中で、希釈酸性溶液での前処理は、セルラーゼ型酵素による酵素攻撃に対してバイオマスを利用可能にするために、最も効果的なプロセスとして現在認識されている。これに関連して、動作条件の所与の厳密さについて、前処理が実行される反応器又は装置の種類は、前処理された材料のプロパティ、したがって、その後の酵素加水分解の性能にかなりの影響を有する。これは、相間面積生成能力、及び細孔の全体サイズ及び包括体積の増加の観点から、したがって、バイオマスの細胞壁の破壊能力の観点から、反応器又は装置の特有性によるものである。
【0077】
「蒸気爆発」は、一般的な植物基質(ヘミセルロース、セルロース、及びリグニン)を形成する3つのフラクションの分離を、環境の観点から、より容易に、厳しくないものにする公知の熱水処理である。方法は、連続又は不連続の反応器でバイオマスを急速に加熱するために高圧飽和蒸気を使用することから構成されている。材料は、短い期間(1~10分)の間、所望の温度(180~230℃)に保たれ、その間、ヘミセルロースは、加水分解され、可溶性にされる。この期間の終わりに、圧力は、急速に大気圧に戻され、それによって、バイオマスを更にほぐす爆発的な減圧が得られる。
【0078】
以下の特徴(重量%)を有する麦わらの希釈酸性溶液での前処理の場合において、本発明に係る装置と、「蒸気爆発」のための装置とで達成可能な結果が比較された。
湿気含有量 10%
セルロース 38.2%
ヘミセルロース 24.1%
リグニン 7.3%
蛋白質 3.4%
灰分 7%
【0079】
従来技術装置では、以下の動作条件が採用された。L/S比=10、温度=150℃、時間=6分、酸濃度=2重量%H2SO4、L/Sは、液相流量と固相流量の比である。
【0080】
温度が30℃であったことを除いて、同じ動作条件が本発明に係る装置のために採用された。採用された装置は、次の特徴を更に有していた。
・乱流混合チャンバの数:2;
・ロータ-ステータステージの数:2(放物線プロファイルを備えた歯を有するロータ及びステータ要素);
・ステータの内径:195mm;
・ロータ-ステータギャップ:1mm(第1のステージ)及び0.75mm(第2のステージ);
・回転速度:2100rpm
【0081】
その後に、前処理されたバイオマスの標本は、セルラーゼ型酵素複合体を使用することによって酵素消化方法に供され(pH=5で、更に、120rpsで攪拌される容器内で、グルカンセルロース1グラム当たり、Genenco/Daniscoによって製造された酵素GC220が18mgの濃度で)、セルロース基質の変換対時間の図がプロットされた。
【表1】
【表2】
【実施例2】
【0082】
この第2の適用例では、本発明に係る装置は、高度に汚染された生乳の細菌不活化の処理のために使用された。採用された装置は、次の特徴を有していた(混合チャンバの番号付けは、処理されるべき相の進行方向を指す)。
・乱流混合チャンバの数:2;
・ロータ-ステータステージの数:2(放物線プロファイルを備えた歯を有するロータ及びステータ要素);
・混合チャンバの直径:206mm(D);
・混合チャンバの軸方向長さ:70mm(即ち、0.29xD);
・第1の混合チャンバのピン:シャフトが回転するときに前方スラストを有する螺旋を形成するように平行面に配置された4つのピン。径方向サイズ59.75mmを有するピン、即ち、回転中にピンの描く円周が0.58xDであるようなサイズ;
・第2の混合チャンバのピン:シャフトが回転するときに前方スラストを有する螺旋を形成するように平行面に配置された6つのピン。径方向サイズ59.75mmを有するピン、即ち、回転中にピンの描く円周が0.58xDであるようなサイズ;
・ステータの内径:195mm;
・ロータ-ステータギャップ(即ち、最小ロータ-ステータスパン):1mm(第1のステージ)及び0.75mm(第2のステージ);
・ロータ及びステータの軸方向長さ:40mm;
・回転速度:1500rpm;
・モータ駆動:据付け動力15kWを有する3相電気モータ。
【0083】
高い細菌汚染の生牛乳の標本は、次の特徴を有していた。
脂肪 6.6%v/v
蛋白質 4.0%w/w
乳糖 3.7%w/w
総固形分 17.25%w/w
pH 6.36
灰分 0.83%w/w
また、次の微生物学的内容物を有していた。
中温菌好気性細菌(TC)の総数 6.35log cfu/ml
細菌内生胞子(BE) 2.62log cfu/ml
乳酸菌(LAB) 5.04log cfu/ml
大腸菌群(CF) 3.36log cfu/ml
大腸菌(EC) 1.89log cfu/ml
黄色ブドウ球菌(SA) 2.34log cfu/ml
【0084】
装置の上流での方法のセットアップ乃至開始ステップは、処理されるべき液相(特定のケースでは、上の特徴を備えた汚染ミルク)用のタンクと、流量調整弁が連結された送達ライン上のミルクを装置に供給するための遠心ポンプと、流量メータ又はフロート流量計(Asametro(登録商標)の種類)と、を含んでいた。処理済みミルク用の出口ラインは、装置の下流に設けられ、そのラインは、サンプリング弁を装備しており、その後には、処理済みミルクをミルク収集タンク又は再循環ライン(装置を数回通過するのを内包する処理のケースにおいて)のどちらかに方向付けるための三方弁が続いた。プレート交換器(冷却流体に関する限り向流モードで冷水が供給される:入口温度2℃及び出口温度7℃)は、再循環ライン上に位置し、また、各通過の終わりに装置への供給点のために設定された10℃の温度にミルクを戻すように適合された。
【0085】
3種類の処理が、実行された。
(a)装置を1回通過(装置内の永続時間:15秒;処理開始温度:10℃;処理終了温度:15℃);
(b)連続する通過の間に中間冷却をしながら装置を5回通過(装置内の永続時間:15秒/通過、合計75秒;処理開始温度:10℃;処理終了温度:15℃);
(c)第1の混合チャンバ内にCO2注入して、装置を1回通過(装置内の永続時間:15秒;処理開始温度:10℃;処理終了温度:15℃;CO2投与量:20g/l)。
【0086】
説明される全ての処理では、装置に供給される液相(即ち、汚染されたミルク)の流量は、15リットル/分であった。
【0087】
処理終了時での細菌含有量が測定された(log cfu/mlで表現された値):
【表3】
【0088】
装置(CO2注入の支援が有っても無くても)の細菌不活化処理における有効性は、こうして確認された。
【実施例3】
【0089】
この例では、本発明に係る装置は、抽出器として採用された。
【0090】
採用された装置は、次の特徴を有していた。
・乱流混合チャンバの数:3
・ロータ-ステータステージの数:2(放物線プロファイルを備えた歯を有するロータ及びステータ要素);
・高せん断応力及び高キャビテーションステージと交互に配置される乱流混合チャンバ;
・ステータの内径:195mm;
・ロータ-ステータギャップ1mm(第1のステージ)及び0.75mm(第2のステージ);
・回転速度:2000rpm。
【0091】
エキストラバージンオリーブオイルを用いてトマトの皮からのカロチン(主にリコピン)の抽出が、実行された。
【0092】
採用されたエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)は、次の特徴を有していた。
密度(20℃) 910kg/m3
粘度(20℃) 82cP
一価不飽和脂肪含有量 71.7%w/w
多価不飽和脂肪含有量 15.5%w/w
遊離酸度 0.221%
過酸化物指数 3.905meq O2/kg
総カロチン 3mg/kg(そのうちの0mg/kgのリコピン)
【0093】
処理されているトマトの皮は、次の特徴を有していた。
形態 フレーク
サイズ 1~3mm
湿気 10%w/w
リコピン含有量 1140mg/kg
【0094】
2種類の処理が、実行された。
(a)比率1:5w/wのトマトの皮とEVOOとの等流供給で、装置を1回通過(装置内の永続時間:5秒;処理開始温度:25℃;処理終了温度:28℃);
(b)比率1:5w/wのトマトの皮とEVOOとの向流供給で、装置を1回通過(装置内の永続時間:5秒;処理開始温度:25℃;処理終了温度:28℃)。
【0095】
総カロチン及びリコピンの含有量は、抽出処理の終了時に得られた濃縮EVOOを基に評価された(値はlog mg/Kgで表される)。
【表4】
【0096】
本発明に係る装置の抽出器としての有効性、とりわけ、多重ステージの抽出器性能を得る可能性は、固相と抽出する液相が向流モードで供給される場合に証明された。
【実施例4】
【0097】
この例では、本発明に係る装置は、抽出器として採用された。
【0098】
採用された装置は、次の特徴を有していた。
・乱流混合チャンバの数:4;
・ロータ-ステータステージの数:3(放物線プロファイルを備えた歯を有するロータ及びステータ要素);
・高せん断応力及び高キャビテーションステージと交互に配置される乱流混合チャンバ;
・混合チャンバの直径:206mm;
・混合チャンバの軸方向長さ:70mm;
・第1の混合チャンバのピン:シャフトが回転するときに前方スラストを有する螺旋を形成するように平行面に配置された6つのピン。径方向サイズ75mmを有するピン、即ち、回転中にピンの描く円周が0.73xD(Dは混合チャンバの直径)であるようなサイズ;
・第2の混合チャンバのピン:シャフトが回転するときに前方スラストを有する螺旋を形成するように平行面に配置された6つのピン。径方向サイズ75mmを有するピン、即ち、回転中にピンの描く円周が0.73xDであるようなサイズ;
・第3の混合チャンバのピン:シャフトが回転するときに前方スラストを有する螺旋を形成するように平行面に配置された6つのピン。径方向サイズ75mmを有するピン、即ち、回転中にピンの描く円周が0.73xDであるようなサイズ;
・第4の混合チャンバのピン:シャフトが回転するときに前方スラストを有する螺旋を形成するように平行面に配置された4つのピン。径方向サイズ59.75mmを有するピン、即ち、回転中にピンの描く円周が0.58xDであるようなサイズ;
・ステータの内径:195mm;
・最小ロータ-ステータギャップ:2.5mm(第1のステージ)、1.25mm(第2のステージ)及び0.75mm(第3のステージ);
・ロータ及びステータの軸方向長さ:35mm;
・回転速度:2250rpm;
・モータ駆動:据付け動力22kWを有する3相電気モータ。
装置は、等流モード及び向流モードで動作した。
・等流モード:オーガフィーダを用いて固相を第1の混合チャンバに供給することにより、また、流量が経時的に一定である蠕動容積式ポンプを用いて液相を第1の混合チャンバに同じく供給することにより;最終懸濁液を最後の混合チャンバ(即ち、第4の混合チャンバ)から抽出し、次いで、それを、デカンテーションを用いて液固分離させ、それに最終プレスが続くことによる。その後に、ディスク遠心機での遠心分離と、絶対保持度50ミクロンのポリエステルバグフィルタでのフィルタ濾過と、が液相で実行され、次いで、抽出された液相の脱水が、「rotovapor」の種類の真空蒸発器を用いて実行され、それに真空キャビネット乾燥機が続き、それによって、粉末形式の乾燥抽出物が得られた。
・向流モード:オーガフィーダを用いて固相を第1の混合チャンバに供給することにより、また、流量が経時的に一定である蠕動容積式ポンプを用いて、抽出している液相を第4の混合チャンバに供給することにより;第4の混合チャンバで圧搾された液相の再循環を伴うオーガ抽出‐圧搾器を用いて第4の混合チャンバからの排出された固相を抽出することにより、メッシュスパンは、0.5x0.5mmサイズを有し、液相を外に出し、固相を保持するように適合されたメッシュグリッドであって、上記グリッドは、機械シャフトに適合されたブレードによって動かされる液相流の乱流を用いて清潔に維持され、ブレードの描く円周は、0.9xDの直径を有する、メッシュグリッドが上に置かれるチューブを通して第1の混合チャンバから抽出された液相を抽出することによる。抽出された液相は、ディスク型遠心分離機で遠心分離され、絶対保持度50ミクロンのポリエステルバグフィルタでフィルタ濾過され、「rotovapor」の種類の真空蒸発器によって、脱水させられ、それに真空キャビネット乾燥機が続き、それによって、粉末形式の乾燥抽出物が得られた。
【0099】
水を抽出液相として使用することによって、オリーブの木の葉(固相)からのポリフェノール(主にオレウロペイン)の抽出は実行された。
【0100】
TURBEX抽出器に供給された水は、次の特徴を有していた。
pH 7.7
180℃での固定残留物 143mg/l
硬度 21°F
20℃での導電率 362マイクロジーメンス/cm
温度 25℃
【0101】
固相として供給されたオリーブの木の葉は、次の特徴を有していた。
形態 フレーク
サイズ 1~2mm
湿気 10%w/w
オレウロペイン含有量 76g/kg
オレウロペイン以外の水抽出性物質の含有量 512g/kg
温度 5℃
【0102】
2つの種類の処理の動作条件は、次の通りである。
・等流モード:比率1:7w/wのオリーブの木の葉と水との等流供給[液相(水)流量700kg/h-固相(オリーブの木の葉)流量100kg/h]で、装置を1回通過(装置内の永続時間:36秒;処理開始温度:25℃;処理終了温度:30℃)。
・向流モード:比率1:7w/wのオリーブの木の葉と水との向流供給[液相(水)流量700kg/h-固相(オリーブの木の葉)流量100kg/h]で、装置を1回通過(装置内の永続時間:36秒;処理開始温度:25℃;処理終了温度:30℃)、。
【0103】
得られた固体抽出物は、重み付けされ、固体抽出物中のオレウロペイン含有量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)技術により分析され、オレウロペイン抽出収率は、計算された。
【0104】
等流処理の結果:
得られた総固体抽出物の量: 305g/kg
そのうちで
オレウロペイン含有量: 16.7%w/w(50.9gに対応)
他の抽出性物質の含有量: 83.3%w/w(254.1gに対応)
オレウロペイン抽出収率: 50.9/76=67%w/w
他の抽出性物質の抽出収率: 254.1/512=49.6%w/w
【0105】
向流処理の結果:
得られた総固体抽出物の量: 375g/kg
そのうちで
オレウロペイン含有量: 20.05%w/w(75.2gに対応)
他の抽出性物質の含有量: 79.95%w/w(299.8gに対応)
オレウロペイン抽出収率: 75.2/76=98.9%w/w
他の抽出性物質の抽出収率: 299.8/512=58.6%w/w
【0106】
本発明のこの第4の例示的な実施形態で開示される装置で得られる結果は、抽出器としての装置の有効性を、とりわけ、固相と抽出する液相が向流モードで供給される場合の多重ステージの抽出器性能を得る可能性を、証明する。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明に係る装置は、幾つかの産業分野で、例えば、抽出器、ミキサ、ホモジナイザ、反応器、バイオリファイナリ及びバイオ燃料施設のためのバイオマス前処理装置として有利な用途を発見する。
【0108】
本装置は、NH3の除去を得ると共にCOD除去用の先進酸化技術の性能を高める目的で、例えば、1次水及び2次水の処理の分野におけるストリッパ及び反応器として使用される場合がある。更に、本発明に係る装置は、パラキシレンをテレフタル酸に酸化するための反応器として、また、ポリエステルを重合するための反応器として、使用される場合があり、運動成分を用いて主として又は排他的に反応活性化エネルギを達成するのを可能にし、結果的に、従来の実務におけるよりも低めの温度で反応を導いて、更に、勿論、相間面積の生成及びプロパティ輸送係数を高めることのおかげで、反応時間の劇的な減少を達成し、その結果、投資や運転費用の節約になる。
【0109】
説明されて示されたような本発明は、同じ発明の原理に存する幾つかの代替例や変更例を経ることができる。