(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】時間経過に伴い望ましい温度プロフィールに従って温度を制限するための電気ヒーターを制御するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20220909BHJP
【FI】
A24F40/57
(21)【出願番号】P 2020204348
(22)【出願日】2020-12-09
(62)【分割の表示】P 2017551170の分割
【原出願日】2016-04-11
【審査請求日】2021-01-08
(32)【優先日】2015-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ベルナウアー ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】タロン パスカル
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/040988(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/102091(WO,A1)
【文献】特表2005-525131(JP,A)
【文献】特表2015-503916(JP,A)
【文献】特開平09-219278(JP,A)
【文献】特開2000-041654(JP,A)
【文献】特開平06-068957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターを備えたエアロゾル発生システム内での加熱を制御する方法であって、
前記ヒーターの温度を表す、前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)を、目標値(I*R
target)と比較する工程と、
前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が第一の量より大きいかまたはそれに等しい量で前記目標値(I*R
target)を超えた場合に、第一の期間にわたり前記ヒーターへの電力供給を阻止する工程と、
前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が前記目標値(I*R
target)を超えるが、それが前記第一の量に満たない場合に、前記第一の期間よりも短い第二の期間にわたり前記ヒーターへの前記電力供給を阻止する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記目標値(I*R
target)を時間と共に変化させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標値(I*R
target)を時間と共に不連続的に変化させる工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が前記目標値(I*R
target)を超えない場合に、電力を前記ヒーターに供給する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
電力を電流パルスとして前記ヒーターに供給する工程を含み、また前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が前記目標値(I*R
target)を超えない場合に、前記電力供給の結果として第一の期間にわたり前記電流パルスの
負荷サイクルが最大負荷サイクルを超えるか否かを決定する工程と、前記電力供給の結果として前記電流パルスの前記負荷サイクルが前記最大負荷サイクルを超えない場合にのみ、電力を前記ヒーターに供給する工程と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記電力供給が前記ヒーターになされているとき、前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)測定される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記エアロゾル発生システムが電気加熱式の喫煙システムである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気加熱式の喫煙システムがたばこ基体を加熱するように構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
電気加熱式エアロゾル発生システムであって、
ヒーターと、
電力供給源と、
コントローラとを備え、前記コントローラが、前記ヒーターの温度を表す、前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)を、目標値(I*R
target)と比較し、
前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が第一の量より大きいかまたはそれに等しい量で前記目標値(I*R
target)を超えた場合に、第一の期間にわたり前記ヒーターへの電力供給を阻止し、
前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が前記目標値(I*R
target)を超えるが、それが前記第一の量に満たない場合には、前記第一の期間よりも短い第二の期間にわたり前記ヒーターへの前記電力供給を阻止するように構成されている、システム。
【請求項10】
前記コントローラが、メモリ内に格納されている望ましい目標プロフィールに従い、時間と共に前記目標値(I*R
target)を変化させるように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラが時間と共に前記目標値(I*R
target)を不連続的に変化させるように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラが、前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が前記目標値(I*R
target)を超えない場合に、電力を前記電
力供給源から前記ヒーターに供給するように構成されている、請求項9~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラが電力を電流パルスとして前記ヒーターに供給するように構成され、また、前記ヒーターにかかる測定された電圧(V2-V1)が前記目標値(I*R
target)を超えない場合に、前記電力供給の結果として、第一の期間にわたり前記電流パルスの
負荷サイクルが最大負荷サイクルを超えるか否かを決定し、前記電力供給の結果として前記電流パルスの前記負荷サイクルが前記最大負荷サイクルを超える場合にのみ、電力を前記ヒーターに供給する、請求項9~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記ヒーターに電力が供給されている期間中に前記ヒーターにかかる電圧を測定するように構成されている、請求項9~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが電気加熱式の喫煙システムである、請求項9~14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電気ヒーター、ならびに所定の温度プロフィール温度を上回る温度スパイクを回避するためにヒーターを制御する方法および装置に関連する。より具体的には、本明細書は特にエアロゾル形成基体を加熱するよう構成された電気ヒーターと、エアロゾル形成基体の望ましくない過熱を回避するための方法および装置に関連する。記載した装置および方法は、特に電気加熱式の喫煙装置に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来的な紙巻たばこは、喫煙時に摂氏800度を超えうる温度で発生するたばこおよびラッパーの燃焼の結果として煙を生成する。これらの温度で、たばこは熱分解および燃焼により熱的に劣化する。燃焼の熱は、たばこから様々なガス状燃焼生成物および留出物を放出・生成する。生成物は、紙巻たばこを通して吸い込まれ、冷却・凝縮して喫煙に関連した風味および芳香を含む煙を形成する。燃焼温度で、風味および芳香が生成されるだけでなく、多くの望ましくない化合物も生成される。
【0003】
低めの温度で動作する電気加熱式の喫煙システムが知られている。低めの温度で加熱することにより、エアロゾル形成基体(これは喫煙装置のケースではたばこがベース)は燃焼せず、また望ましくない化合物の生成ははるかに少ない。
【0004】
こうした電気加熱式喫煙システムでは、またその他の電気加熱式のエアロゾル発生システムでは、極端な環境条件で、また極端な使用パターン下でさえも、可能な限り基体の燃焼が発生しないことを確保することが望ましい。したがって、装置内の発熱体または要素の温度を制御して、燃焼のリスクを低減しつつも、望ましいエアロゾルを確保するために十分な温度に加熱されることが望ましい。
【0005】
また、電気加熱式エアロゾル発生システムが時間経過に伴い一貫したエアロゾルを生成できることが望ましい。これは、エアロゾルが加熱式喫煙装置のような人間による消費用である時に、特に場合である。枯渇可能な基体が時間経過に伴い連続的にまたは反復的に加熱される装置では、どちらも基体内に残っているエアロゾル形成成分の量および分布に関連して、また基体の温度に関連して、連続的または反復的な加熱によりエアロゾル形成基体の属性は著しく変化しうるため、これは困難でありかねない。特に、連続的または反復的に加熱される装置のユーザーは、基体がニコチンおよび特定の場合には風味を運ぶエアロゾル形成体を枯渇させるため、エアロゾルの風味、味覚、および感触の減退を経験することがある。したがって、第一の送達されたエアロゾルが動作中に最終的に送達されるエアロゾルに実質的に匹敵するように、一貫したエアロゾルの送達は時間経過に伴い提供される。
【0006】
一貫したエアロゾルを生成するためには、特定の時間的な温度プロフィールに従い、基体の温度を制御することが望ましい場合がある。これを実現するためのシステムおよび方法は、WO2014/102091号に開示されている。ところが、エアロゾル形成基体の目標温度が急激に変化するプロフィール、特に急激に下降するプロフィールは、基体を加熱するために使用されるヒーターの温度を制御するための高速制御プロセスを必要とする。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一つの目的は、電気ヒーターの高速制御を提供されて、過熱することなく望ましい温度プロフィールに従うことができるようなエアロゾル発生システムおよび方法を提供することである。
【0008】
本開示の第一の態様では、ヒーターを備えたエアロゾル発生システム内での加熱を制御する方法が提供されており、この方法は、
【0009】
測定されたパラメータ(ヒーターの温度を示す)を、そのパラメータの目標値と比較する工程と、
【0010】
測定されたパラメータが第一の量より大きいかまたはそれに等しい量で目標値を超えた場合に、第一の期間にわたりヒーターへの電力供給を阻止する工程と、
【0011】
測定されたパラメータが目標値を超えるが、それが第一の量に満たない場合に、第一の期間よりも短い第二の期間にわたりヒーターへの電力供給を阻止する工程と、を含む。
【0012】
方法は、時間と共に目標値を変化させる工程を含みうる。方法は、時間と共に目標値を不連続的に変化させる工程を含みうる。目標温度の段差変化を表す、目標値の急激な段差変化は、ヒーターへの電力供給の急激な変化を必要とする。測定されたパラメータが目標値を超える量に応じて電力供給を阻止するための異なる期間を提供することにより、目標値が急激に低下した時にはヒーター温度を急速に減少させ、目標値が一定であるかまたは徐々にのみ変化する時には温度を比較的ゆっくりと減少させることが可能である。
【0013】
方法は、単純かつ反応性の高いヒーター温度の制御方法を提供する。従来のエアロゾル発生システムは、ヒーター用に比例・積分・微分(PID)制御を使用する傾向があった。ところが、PID制御は、比較的計算コストが高く、そのため長めに反応時間がかかり、時には、特に吸煙作動システムで、オーバーシュート問題を起こすことがある。また、PID制御は、特定のシステム設計に適するにはPID計数の最適化を必要とし、これは実験室での広範な分析作業を必要とする。
【0014】
有利なことに、方法は、測定されたパラメータが目標値を超えない場合に、電力をヒーターに供給する工程を含む。
【0015】
測定されたパラメータに基づきヒーターに供給される電力を制御することに加え、ヒーターに供給される電力は、所定の期間内にヒーターに供給されることができる電力の量を制限することにより制御されうる。これにより、ヒーター温度が目標レベル以下に留まっている場合でさえも、過度のエネルギーがエアロゾル形成基体に供給されることが阻止される。方法は、電力を電流パルスとしてヒーターに供給する工程と、測定されたパラメータが目標値を超えない場合に、電力供給の結果として第一の期間にわたり電流パルスの負荷サイクルが最大負荷サイクルを超えないかどうかを決定する工程と、電力供給の結果として電流パルスの負荷サイクルが最大負荷サイクルを超えない場合にのみ、電力をヒーターに供給する工程と、を含みうる。
【0016】
測定されたパラメータは、ヒーターの電気抵抗である。これには、別個のセンサーの必要性をなくすという利点がある。ところが、これはまた、ヒーターの温度を測定するためには電力がヒーターに適用されなければならず、それによってエアロゾル形成基体を加熱することを意味する。したがって、ヒーターを急速に冷却するためには、第一または第二の期間中にヒーターの抵抗を測定しないことが望ましい。
【0017】
エアロゾル発生システムは、電気加熱式の喫煙システムとしうる。電気加熱式の喫煙システムは、エアロゾル形成基体(たばこ基体など)を加熱するように構成されうる。
【0018】
本開示の第二の態様では、電気加熱式のエアロゾル発生装置が提供され、この装置は、 ヒーターと、
電力供給源と、
コントローラとを備え、
コントローラが、測定されたパラメータ(前記ヒーターの温度を示す)をそのパラメータの目標値と比較し、測定されたパラメータが第一の量より大きいかまたはそれに等しい量で前記目標値を超えた場合に、第一の期間にわたりヒーターへの電力供給を阻止し、
測定されたパラメータが目標値を超えるが、それが第一の量に満たない場合には、第一の期間よりも短い第二の期間にわたりヒーターへの電力供給を阻止するように構成されている。
【0019】
エアロゾル発生装置は、使用時にエアロゾル形成基体を受け入れて加熱するように構成されうる。
【0020】
コントローラは、メモリ内に格納された望ましい目標プロフィールに従い、時間と共に目標値を変化するように構成されてもよい。メモリ内に格納された目標プロフィールは、装置内のエアロゾル形成基体のタイプや、ユーザーの喫煙行動や、ユーザーの個性など、測定されたパラメータに基づき修正しうる。
【0021】
コントローラは、時間と共に目標値を不連続的に変化させるように構成されうる。
【0022】
コントローラは、測定されたパラメータが目標値を超えない場合に、電源からヒーターに電力を供給するよう構成されうる。
【0023】
コントローラは、電力を電流パルスとしてヒーターに供給し、測定されたパラメータが目標値を超えない場合に、電力供給の結果として第一の期間にわたり電流パルスの負荷サイクルが最大負荷サイクルを超えないかどうかを決定し、電力供給の結果として電流パルスの負荷サイクルが最大負荷サイクルを超えない場合にのみ、電力をヒーターに供給するように構成されうる。
【0024】
測定されたパラメータは、ヒーターの電気抵抗としうる。コントローラは、電力がヒーターに供給されている期間中にヒーターの抵抗を測定するよう構成されうる。
【0025】
このシステムは電気加熱式の喫煙システムであってもよい。
【0026】
コントローラが電力を電流パルスとして発熱体に供給するように配置されている場合、発熱体に供給される電力は、電流の負荷サイクルを調節することにより調節されうる。負荷サイクルは、パルス幅またはパルスの周波数またはその両方を変化させることにより調節されうる。別の方法として、コントローラは電力を連続的DC信号として発熱体に供給するように配置されうる。
【0027】
コントローラは、発熱体の温度または発熱体付近の温度を測定して温度測定値を提供するように構成される温度センシング手段を含みうる。
【0028】
コントローラは、装置内のエアロゾル形成基体の特性を識別するための手段と、電力制御命令および対応するエアロゾル形成基体の特性のルックアップテーブルを保持するメモリと、をさらに備えうる。
【0029】
本発明の第一および第二の両方の態様で、ヒーターは電気抵抗性材料を備えうる。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含む場合がある。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例は、チタン、ジルコニウム、タンタル、プラチナ、金および銀を含む。適切な合金の例は、ステンレス鋼、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-、金-および鉄を含有する合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、および鉄-マンガン-アルミニウム系の合金を含む。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要なエネルギー移動の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料へ埋込、封入、または塗布されてもよく、あるいはその逆であってもよい。
【0030】
本発明の第一および第二の両方の態様において、ヒーターは、内部発熱体または外部発熱体、または内部および外部の両方の発熱体を含みうるが、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体についてである。内部発熱体は、任意の適切な形態をとりうる。例えば、内部発熱体は、加熱用ブレードの形態をとりうる。加熱用ブレードは、プラチナまたは別の適切な材料から形成され、ブレードの片側または両側に蒸着された、1つ以上の抵抗性加熱トラックを有するセラミック基体から形成されうる。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態をとりうる。別の方法として、内部発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を貫通する1つ以上の加熱用の針または棒としうる。その他の代替物は、加熱用のワイヤまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケル・クロム)、プラチナ、タングステンまたは金属製のワイヤまたは加熱板を含む。随意に、内部発熱体は、固い担体材料内またはその上に配置しうる。こうした一つの実施形態で、電気抵抗性のある発熱体は、温度と比抵抗の間で明確な関係を持つ金属を使用して形成しうる。こうした模範的装置で、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成した後、ガラスなどの別の断熱材料内にはさむことができる。このように形成されたヒーターは、動作中の発熱体の加熱と、その温度の監視の両方に使用しうる。
【0031】
外部発熱体は、任意の適切な形態をとりうる。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の柔軟性のある加熱ホイルの形態をとりうる。柔軟性のある加熱ホイルは、基体を受けるくぼみの周辺に適合するような形状としうる。別の方法として、外部発熱体は、金属グリッド(単一または複数)、柔軟性のあるプリント基板、成形相互接続装置(MID)、セラミックヒーター、柔軟性のある炭素繊維ヒーターの形態をとりうるほか、適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などのコーティング技術を利用して形成しうる。外部発熱体はまた、温度と比抵抗との間に明確な関係を持つ金属を使用して形成される。こうした例示的な装置では、金属は2層の適切な断熱材料の間のトラックとして形成される。このように形成された外部発熱体は、動作時の外部発熱体の加熱およびその温度の監視の両方に使用しうる。
【0032】
ヒーターは、有利なことに、伝導の手段によってエアロゾル形成基体を加熱する。ヒーターは基体と、または基体が付着している担体と、少なくとも部分的に接触する場合がある。別の方法として、内部または外部のいずれかの発熱体からの熱は、熱伝導性要素の手段によって基体に伝導しうる。
【0033】
本発明の第一および第二の両方の態様で、作動時に、エアロゾル形成基体はエアロゾル発生装置内に完全に含まれうる。その場合に、ユーザーは、エアロゾル発生装置のマウスピースで喫煙しうる。別の方法として、動作中、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に収容されうる。その場合に、ユーザーは直に喫煙物品で喫煙しうる。発熱体は装置内にあるくぼみ内に位置しうるが、ここでくぼみは、使用時に発熱体がエアロゾル形成基体内にあるように、エアロゾル形成基体を受けるように構成されうる。
【0034】
喫煙物品は、実質的に円筒形の形状としうる。喫煙物品は、実質的に細長くてもよい。喫煙物品はまた、長さおよび長さと実質的に直交する円周も有してもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒形の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さおよび実質的に長さと直交する円周も有してもよい。
【0035】
喫煙物品の全長は、およそ30mm~およそ100mmであってもよい。喫煙物品の外径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。喫煙物品は、フィルタープラグを含んでもよい。フィルタープラグは、喫煙物品の下流端に位置しうる。フィルタープラグは、酢酸セルロースフィルタープラグであってもよい。フィルタープラグは、一実施形態では長さがおよそ7mmであってもよいが、およそ5mm~およそ10mmの長さであってもよい。
【0036】
一実施形態では、喫煙物品の全長は、およそ45mmである。喫煙物品の外径は、およそ7.2mmであってもよい。さらに、エアロゾル形成基体の長さは、およそ10mmであってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体の長さは、およそ12mmであってもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。喫煙物品は、外側の紙ラッパーを含んでもよい。さらに、喫煙物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間の分離部を含んでもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲であってもよい。分離部は、喫煙物品が基体からフィルタープラグに通過する際にエアロゾルを冷却する熱交換器によって喫煙物品内で充填されることが好ましい。熱交換器は、例えば、ポリマー系のフィルター、例えば捲縮したPLA材料としうる。
【0037】
本発明の第一および第二の両方の態様で、エアロゾル形成基体は、固体のエアロゾル形成基体としうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の構成要素を含みうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0038】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうち1つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジを提供してもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルを含みうるが、こうしたカプセルは、固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶ける。
【0039】
本明細書で使用される時、「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で5%より多くてもよい。別の方法では、均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントであってもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕またはその他の方法で細分することによって得られた粒子状たばこを凝集することにより形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうち1つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、1つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、1つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶剤およびその組み合わせを含むが限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0040】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとってもよい。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0041】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲルまたはスラリーの形態の担体の表面上に配置されてもよい。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用中、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。
【0042】
上記では、固体エアロゾル形成基体を参照したが、当業者には、その他の実施形態でその他の形態のエアロゾル形成基体を使用しうることが明らかであろう。例えば、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体としうる。液体エアロゾル形成基体が提供される場合、エアロゾル発生装置は、液体を保持する手段を含むことが好ましい。例えば、液体エアロゾル形成基体は、容器内に保持されうる。代替的または追加的に、液体エアロゾル形成基体は、多孔性担体材料に吸収されうる。多孔性担体材料は、適切な任意の吸収性のプラグまたは本体、例えば、発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成しうる。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置を使用する前に、多孔性担体材料内に保持されてもよく、あるいは別の方法として、液体エアロゾル形成基体材料は、使用中またはその直前に多孔性担体材料内に放出されてもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体は、カプセル内に提供しうる。カプセルのシェルは、加熱に伴い溶けて、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料に放出することが好ましい。カプセルは液体と組み合わされて、任意選択的に固体を含む場合がある。
【0043】
別の方法として、担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維の束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0044】
本発明の第一および第二の両方の態様で、エアロゾル発生装置はさらに、電力を発熱体に供給するための電源を備えうる。電源は、例えばDC電圧電源などの適切な任意の電源としうる。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。あるいは、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リン酸鉄リチウム、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池であってもよい。
【0045】
コントローラは、マイクロプロセッサを備えうるが、有利なことにプログラム可能マイクロプロセッサを備える。コントローラは、不揮発性メモリを備えうる。装置は、外部装置からのコントローラとの間でのデータの移動を許容するように構成されたインターフェースを備えうる。インターフェースは、プログラム可能なマイクロプロセッサ上で実行されるソフトウェアのコントローラへのアップロードを許容しうる。インターフェースは、micro USBポートなどの有線インターフェースでもよく、無線インターフェースでもよい。
【0046】
本発明の第三の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生装置のための電気回路が提供されており、電気回路は本発明の第一の態様の方法を実施するように配置されている。
【0047】
本発明の第四の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生装置用のプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路が本発明の第一の態様の方法を実行させるコンピュータプログラムが提供されている。本発明の第五の態様では、コンピュータ可読記憶媒体が提供されており、コンピュータ可読記憶媒体はその上に本発明の第四の態様によるコンピュータプログラムを格納している。
【0048】
ここで本発明の例を、以下の添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図2】
図1に示すタイプの装置を使用した喫煙セッション中の、最大負荷サイクル限度の変遷を図示したものである。
【
図3】本発明の実施形態による発熱体についての温度プロフィールの概略図である。
【
図4】
図3の温度プロフィールに起因する一定のエアロゾル送達の概略図である。
【
図5】本発明による目標温度プロフィールを図示したものである。
【
図6】
図1に示すタイプの装置用の温度制御回路の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態による制御プロセスを図示した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1で、電気加熱式のエアロゾル発生装置100の実施形態の構成要素を簡略化された方法で示す。特に、電気加熱式のエアロゾル発生装置100の要素は、
図1では等尺度では表示されていない。本実施形態の理解に関連性のない要素は、簡略された
図1では省略されている。
【0051】
電気加熱式のエアロゾル発生装置100は、ハウジング10と、例えば、紙巻たばこといったエアロゾル形成基体12とを含む。エアロゾル形成基体12は、ハウジング10内に押し込まれ、発熱体14と熱的に近接するようになる。エアロゾル形成基体12は、多様な揮発性化合物を異なる温度で放出する。電気加熱式のエアロゾル発生装置100の最大動作温度を、一部の揮発性化合物の放出温度よりも低く制御することにより、これらの煙成分の放出または形成を回避できる。
【0052】
ハウジング10内には、電気エネルギー供給源16、例えば再充電可能リチウムイオン電池がある。マイクロコントローラ18は、発熱体14、電気エネルギー供給源16、およびユーザーインターフェース20(例えばボタンまたはディスプレイ)に接続されている。マイクロコントローラ18は、その温度を調節するために発熱体14に供給される電力を制御する包埋型ソフトウェアを有する。一般に、エアロゾル形成基体は、250~450℃の温度に加熱される。
【0053】
マイクロコントローラは、発熱体に電力を電流パルスとして供給する。マイクロコントローラは、電流パルスの最大許容される負荷サイクルを制限するようプログラムしうる。最大許容される負荷サイクルが発熱体の作動後に時間に伴い変化するように、格納された時間的プロフィールに基づき、絶対最大負荷サイクル(この例では95%)および可変最大負荷サイクルがありうる。
図2は、図の簡略化のために、目標温度が一定である例として
図1に示すタイプの装置を使用した喫煙セッションの進行を図示したものである。発熱体の目標温度は線30で示され、全体で6分間持続する喫煙セッション全体を通して375℃に維持されていることがわかる。喫煙セッションは、マイクロコントローラにより段階に分離され、段階が異なると、最大負荷サイクル限度が異なる。この文脈での負荷サイクルは、電力が供給されている時間の比率を意味する。
図2に図示した例で、第一段階は30秒で負荷サイクルは95%に制限されている。この期間中、発熱体は目標温度まで高められる。第二段階も30秒で、負荷サイクルは65%に制限される。発熱体の温度を維持するために要する電力は、加熱中に必要な電力よりも少ない。第三段階の30秒で、負荷サイクルは60%に制限される。第四段階の90秒では負荷サイクルは55%に制限され、第五段階の60秒では負荷サイクルは50%に制限され、第六段階の120秒では負荷サイクルは45%に制限される。
【0054】
エアロゾル形成基体が枯渇するにつれて蒸発によって除去される熱は少なくなるため、発熱体の温度を目標温度に維持するのに必要な電力も少なめとなる。そのうえ、装置の部品の周囲での温度は時間と共に高くなるため、時間と共に少なめのエネルギーが吸収される。したがって、燃焼の可能性を低減するために、所定の目標温度について最大許容される電力は、時間と共に低減される。原則として、最大許容される電力または最大負荷サイクルを目標温度で割った値は、単一の喫煙セッション中の発熱体の作動後、時間の経過と共に低減される。
【0055】
ところが、一般に喫煙サイクルの過程に伴い変化する温度を持つことが望ましい。
図3は、発熱体についての温度プロフィールの概略図である。線60は、時間経過に伴う発熱体の温度を表す。
【0056】
第一の段階70では、発熱体の温度が周囲温度から第一の温度62へと上げられる。温度62は、最低温度66と最高温度68の間の許容可能な温度範囲内である。許容可能な温度の変化は、望ましい揮発性化合物が基体から蒸発するが、より高い温度で蒸発する望ましくない化合物は蒸発しないように設定される。許容可能な温度範囲はまた、正常な動作条件、すなわち正常な温度、圧力、湿度、ユーザーの吸煙行動および空気の組成で基体の燃焼が発生しうる温度よりも低い。
【0057】
第二の段階72では、発熱体の温度は、第二の温度64に下げられる。第二の温度64は、許容可能な温度範囲内であるが第一の温度よりも低い。
【0058】
第三の段階74では、発熱体の温度は、作動停止時間76まで徐々に上げられる。発熱体の温度は、第三の段階全体を通して許容可能な温度範囲内に留まる。
【0059】
図4は、
図3に図示した発熱体の温度プロフィールを持つ主要エアロゾル成分の送達プロフィールの概略図である。発熱体の作動後に当初送達が増大した後、送達は発熱体の作動が停止されるまで一定に保たれる。第三の段階での温度上昇は、基体のエアロゾル形成体の枯渇を補う。
【0060】
図5は、
図3に図示した実際の温度プロフィールに基づく目標温度プロフィールの一例を図示したもので、三段階の動作が明瞭にみられる。第一の段階70では、目標温度はT
0に設定される。電力は、発熱体の温度をT
0までできるだけ迅速に上昇させるために発熱体に供給される。時間t
1で、目標温度はT
1に変化するが、これは第一の段階70が終わり、第二の段階が始まることを意味する。目標温度は、時間t
2までT
1に維持される。時間t
2で第二の段階は終わり、第三の段階74が始まる。第三の段階74中に、目標温度は、時間t
3まで時間の増加に伴い直線的に上昇し、その時点で目標温度はT
2であり、電力はもはや発熱体に供給されない。
【0061】
図6は、本発明の一つの実施形態に従い説明した温度調節を提供するために使用される制御回路を図示したものである。
【0062】
ヒーター14は、接続22によって電池に接続されている。電池16は、電圧V2を供給する。発熱体14と直列に、既知の抵抗rを持つ追加的抵抗器24が挿入され、電圧V1に接続されるが、これは接地と電圧V2の中間である。電流の周波数変調は、マイクロコントローラ18によって制御され、そのアナログ出力30を介して、単純なスイッチとしての役目をするトランジスタ26に供給される。
【0063】
調整は、後述する通り、マイクロコントローラ18内に統合されたソフトウェアの一部である。発熱体の温度表示(この例では、発熱体の電気抵抗)は、発熱体の電気抵抗の測定により決定される。発熱体を目標温度の付近に維持するために、発熱体に供給される電流を調節するために温度表示が使用される。温度表示は、制御プロセスに必要なタイミングに合わせて選択された周波数で決定され、1ms毎に1回の頻度で決定されうる。
【0064】
マイクロコントローラ18でのアナログ入力21は、ヒーター14の電池側で電圧V2を得るために使用される。マイクロコントローラのアナログ入力23は、ヒーターの接地側で電圧V1を得るために使用される。マイクロコントローラ上のアナログ入力25は、追加抵抗器24および発熱体14を流れる電流Iのイメージを提供する。
【0065】
特定の温度で測定されるヒーター抵抗は、R
heaterである。マイクロプロセッサ18がヒーター14の抵抗R
heaterを測定するために、ヒーター14を通る電流、およびヒーター14での電圧の両方を決定できる。次に、オームの法則を利用して抵抗を決定できる。
【数1】
【0066】
図6で、ヒーターの両端にかかる電圧はV2-V1であり、ヒーターを流れる電流はIである。よって
【数2】
【0067】
その抵抗rが既知である追加的な抵抗器24を使用して、再び上記の(1)を使用して、電流Iを決定する。抵抗器24を流れる電流はIであり、抵抗器24での電圧はV1である。よって、
【数3】
【0068】
ゆえに、(2)と(3)を組み合わせると、
【数4】
【0069】
よって、マイクロプロセッサ18は、V2およびV1を測定でき、エアロゾル発生システムが使用されているため、rはわかっているため、特定の温度でのヒーターの抵抗Rheaterが決定できる。
【0070】
ヒーター抵抗は温度に相関する。線形近似を利用して、次の公式に従い、温度Tを、温度Tで測定した抵抗R
heaterと関連付けることができる。
【数5】
【0071】
式中、Aは発熱体材料の熱伝導抵抗比抵抗、およびR0は室温温度T0での発熱体の抵抗である。
【0072】
よって、発熱体の温度はメモリ内に格納されている目標温度と比較でき、実際の温度が目標温度を超えるかどうか、およびどの程度超えるかが決定されうる。
【0073】
ところが、制御プロセスでは温度を計算する必要はない。実際に、Rheaterを計算する必要さえもない。代わりに、マイクロコントローラ18が、V2-V1がI*Rtarget以下であるかどうかを決定し、ここでRtargetは目標抵抗プロフィールである。これにより、除算をする必要が一切なくなり、そのため、必要な計算サイクル数が低減される。Rtargetは、メモリ内に格納されている目標温度プロフィールとヒーター較正値とに基づき、加熱プロフィールの各段階の開始時点で計算されうる。
【0074】
単純な線形近似では動作温度の範囲全体で十分に正確でない場合には、抵抗と温度の間の関係を近似するためにその他のより複雑な方法を使用することができる。例えば、別の実施形態において、それぞれ異なる温度範囲を網羅する2つ以上の直線近似の組み合わせに基づき、関係を導くことができる。この方式では、ヒーターの抵抗が測定される3つ以上の温度較正点に依存する。較正点の中間の温度について、抵抗値は較正点での値から外挿される。較正点温度は、動作中のヒーターの期待される温度範囲を網羅するように選択される。
【0075】
これらの実施形態の利点は、かさばる上に高価なことがある温度センサーが不要なことである。また、温度の代わりに、抵抗値がマイクロコントローラによって直に使用できる。抵抗値が望ましい範囲内に保持されている場合は、発熱体の温度も保持される。したがって、発熱体の実際の温度を計算する必要がない。ただし、個別の温度センサーを使用して、それをマイクロコントローラに接続し、必要な温度情報を提供することは可能である。
【0076】
図7は、ヒーターの温度を制御し、加熱プロセス全体を通して
図2に示すとおり、目標温度プロフィール(
図5に示すプロフィールなど)を追跡し、最大負荷サイクルより低い値に留まるように確保するために使用されうる制御プロセスを図示する。
【0077】
制御プロセスは、1msの期間を持つ制御ループである。プロセスは、電流を発熱体に500μs供給することによりステップ100で始まる。温度観察を記録するには、この期間はヒーターがオンであることが必要である。次に、ステップ110では、発熱体の抵抗Rが目標抵抗と比較される(または、説明した通り、発熱体前後の電圧がI* Rtargetと比較される)。RがRtarget以下である場合、プロセスはステップ120に移り、ここでさらなる電流パルスの供給によって、先行する50msにわたり、供給される電力負荷サイクルが最大許容される負荷サイクルを超えるかどうかがチェックされる。さらなる電流パルスの供給の結果として最大許容される負荷サイクルを超えない場合には、プロセスがステップ100に戻る前に、持続時間500μsのさらなるパルスがステップ130で発熱体に供給される。さらなる電流パルスの供給の結果として最大許容される負荷サイクルを超える場合には、ステップ100に戻る前に、プロセスはステップ140に進み、ここで制御ループ1サイクルに対応する1msにわたりヒーターに電流は供給されない。
【0078】
ステップ110で、RがRtargetよりも大きい場合には、プロセスはステップ150に移り、ここでRが10℃以上の温度に相当する量でRtargetよりも大きいかどうかがチェックされる。そうでない場合には、プロセスはステップ160に進み、ここで発熱体への電力の供給が7msにわたり阻止される。Rが10℃以上の温度に相当する量でRtargetよりも大きい場合には、プロセスはステップ170に進み、ここで発熱体への電力の供給が100msにわたり阻止される。温度を再チェックするまではるかに長い電力を発熱体に供給しないこの期間によって、より急速な冷却が起こるが、これは目標温度が急速に下がった時に必要とされる。発熱体の温度をチェックするプロセスには本質的に発熱体への電力供給が関与するため、急速な冷却が必要とされる時に温度をさらに頻繁にチェックすることは望ましくない。
【0079】
図7に図示したプロセスでは、電流パルスがヒーターに供給されるようにするには、2回のテストに合格しなければならないことが明らかである。第一のテストはヒーター温度が目標を越えていないことで、第二のテストは電流パルスの供給の結果として最大許容される負荷サイクルを超えないことである。この第二のテストは、エアロゾル形成基体が過熱していないことを確認する。
【0080】
当然ながら、上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。