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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】複数の圧力解放装置の作動用システム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/12 20060101AFI20220909BHJP
   F16K 17/38 20060101ALI20220909BHJP
   F17C 13/04 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
F17C13/12 301Z
F16K17/38 Z
F17C13/04 301D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020543579
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019017471
(87)【国際公開番号】W WO2019160803
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】62/630,409
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】セダーバーグ チャド
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-151291(JP,A)
【文献】特表2012-519816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0199764(US,A1)
【文献】米国特許第05788212(US,A)
【文献】国際公開第2004/014683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/12
F16K 17/38
F17C 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バルブおよび第2バルブを備えたシステムであって、前記第1バルブは第1容器に流体接続され、前記第2バルブは第2容器に流体接続され、前記第1バルブは、ボディとピストンとを備え、
前記ボディは、
穴と、
前記穴および前記第1容器の内部と流体連通している第1ポートと、
前記穴、前記第2バルブ、および前記第1容器の外部の大気と流体連通している第2ポートと、を備え、
前記ピストンは、前記穴の内部に移動可能に配置され、
前記ピストンの第1の位置は前記第1ポートを閉鎖し、前記ピストンの第2の位置は前記第1ポートと前記第2ポートとの間の流体連通を可能にし、
前記第1バルブは、前記第2バルブが開くことにより、前記ピストンが前記第2の位置に付勢されるように構成されている、システム。
【請求項2】
前記ピストンに接続されるとともに、2つの状態を持つトリガ要素を備え、
前記トリガ要素が第1の状態にあるとき、前記ピストンは前記第1の位置にあり、
前記トリガ要素を閾値状態にさらすことにより、前記トリガ要素に前記ピストンを前記第2の位置に付勢させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記トリガ要素は形状記憶合金要素であり、
前記形状記憶合金要素の少なくとも一部が前記第1容器に沿って配置され、
前記閾値状態は、前記形状記憶合金要素の変態温度または該変態温度を超える温度である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の位置から前記第2の位置へ前記ピストンを押すように構成されたソレノイドを備えた、請求項1から3のうちいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
トリガ導管を備え、該トリガ導管を介して前記第2バルブからの流体圧力が、前記第2ポートに連通される、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
ベント導管と、
前記第2ポート、前記トリガ導管、および前記ベント導管との間のコネクタとを備えた、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トリガ導管内の閾値圧力レベルが到達されるまで、前記コネクタが前記トリガ導管と前記第2ポートとの間の流体連通を開く、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記トリガ導管内の前記閾値圧力レベルが超えられたとき、前記コネクタが前記トリガ導管と前記ベント導管との間の流体連通を開く、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記トリガ導管内の前記閾値圧力レベルが超えられたとき、前記コネクタが前記第2ポートと前記ベント導管との間の流体連通を開く、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
第1容器に流体接続された第1バルブと、第2容器に流体接続された第2バルブとを備えたシステムにおいて、前記第2バルブからの流体圧力で前記第1バルブを開く方法であって、前記第1バルブは、ボディと、ピストンとを備え、
前記ボディは、
長手軸を有する穴と、
前記穴および前記第1容器の内部と流体連通している第1ポートと、
前記穴、前記第2バルブ、および前記第1容器の外部の大気と流体連通している第2ポートとを備え、
前記ピストンは前記穴の内部に配置され、前記長手軸に沿って移動可能であり、
前記ピストンの第1の位置は前記第1ポートを閉鎖し、前記ピストンの第2の位置は前記第1ポートと前記第2ポートとの間の流体連通を可能にし、
前記方法は、前記第2ポートを介して前記第2バルブから流体圧力を連通させることにより、前記ピストンを前記第2の位置に付勢することを含む、方法。
【請求項11】
前記ピストンを引くことにより、前記ピストンを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
細長い形状記憶合金要素の少なくとも一部を、該形状記憶合金要素のオーステナイト変態温度または該形状記憶合金要素のオーステナイト変態温度を超える温度にさらすことにより、該形状記憶合金要素が縮んで前記ピストンを引く、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の位置から前記第2の位置へ前記ピストンを押すことをさらに含む、請求項10~12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項10~13のうちいずれか一項に記載の方法であって、前記システムがトリガ導管をさらに備え、該トリガ導管を介して前記第2バルブからの前記流体圧力が前記第2ポートへ連通され、前記方法が、
前記トリガ導管内における閾値流体圧力を設定することと、
前記閾値流体圧力が超えられたときに前記トリガ導管を介して流体を排出することを含む方法。
【請求項15】
前記閾値流体圧力が超えられたとき、前記第1バルブを介して流体を排出することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
高圧タンクアレイにおいては、例えば火災などの緊急の場合に備えて、効率的な排出システムが必要である。高圧タンクアレイは、配管で互いに接続された複合巻線圧力容器で構成され、大きな燃料貯蔵器として機能する。このようなタンクシステムは、固定式または移動式であってもよく、燃料補充ステーション用の保管場所としてスタンドアロンであってもよく、あるいは車両に動力を供給する車両燃料システムの一部であってもよい。排出システムは、圧力容器が(火災などで)過熱されるかまたは他の悪条件や事象にさらされた際の破裂を防ぐため、緊急時において圧力容器の中身の排出および減圧を可能にする手段である。
[概要]
一つの態様において、システムは、緊急状態に対応して、シリンダからの流体の流出を可能にするように構成されたいくつかのバルブを含んでいる。本開示のために、システムは、2つの容器を別々にカバーするように構成された少なくとも2つのバルブを持つことが考えられる。容器は、複数の個別のシリンダを備えていてもよいが、シリンダ同士は共有の排出用ベント導管を介して流体連通している必要がある。第1バルブは第1容器に流体接続され、第2バルブは第2容器に流体接続されている。第1バルブは、第1ポートと、第2ポートと、2つのポート間の連通を分離する分離機構(一例としてピストンなど)とを備える。第1ポートは第1容器の内部と流体連通している。第2ポートは第2バルブと流体連通するとともに、第1容器の外部の大気と流体連通している。一例では、分離機構は、物理的な動きを伴うピストンであるが、他の機構を用いてもよい。ピストンは、穴内部に配置され、その長手軸に沿って移動可能である。ピストンの第1の位置は第1ポートを閉鎖し、ピストンの第2の位置は第1ポートと第2ポートの間の流体連通を可能にする。一例では、第1バルブは、第2ポートと連通する第2バルブからの流体圧力がピストンを第2の位置に付勢するように構成されている。
【0002】
別の態様では、第2バルブからの流体圧力により第1バルブを共鳴的に開く方法が説明されている。第1バルブおよび第2バルブを備えたシステムにおいて、第1バルブは第1容器に流体接続され、第2バルブは第2容器に流体接続されている。第1バルブは、ボディとピストンとを備える。ボディは、第1ポートと第2ポートとを備える。第1ポートは第1容器と流体連通している。第2ポートは第2バルブと流体連通するとともに、第1容器の外部の大気と流体連通している。ピストンの第1の位置は第1ポートを閉鎖し、ピストンの第2の位置は第1ポートおよび第2ポート間の流体連通を可能にする。該方法は第2バルブが開いた時にピストンを第2の位置に付勢することを含む。ピストンのこの動きは、第2バルブからの流体圧力を第1バルブの第2ポートに連通させ、ピストンの機械的な移動を生じさせることにより達成可能である。ピストンのこの動きはまた、第2バルブが開いた時に電気信号を第1バルブに送ることでピストンの機械的な移動を生じさせることに由来してもよい。
【0003】
本開示はまた、様々な組み合わせで、装置または方法の形態で、以下の項目のリストにより特徴づけられてもよい。
1.第1バルブおよび第2バルブを備えたシステムであって、第1バルブは第1容器に流体接続され、第2バルブは第2容器に流体接続され、第1バルブは、ボディとピストンとを備え、
ボディは、
穴と、
穴および第1容器の内部と流体連通している第1ポートと、
穴、第2バルブ、および第1容器の外部の大気と流体連通している第2ポートとを備え、
ピストンは、穴の内部に移動可能に配置され、
ピストンの第1の位置は第1ポートを閉鎖し、ピストンの第2の位置は第1ポートと第2ポートとの間の流体連通を可能にし、
第1バルブは、第2バルブが開くことにより、ピストンが第2の位置に付勢されるように構成されている、システム。
2.ピストンに接続されるとともに、2つの状態を持つトリガ要素を備え、
トリガ要素が第1の状態にあるとき、ピストンは第1の位置にあり、
トリガ要素を閾値状態にさらすことにより、トリガ要素にピストンを第2の位置に付勢させる項目1のシステム。
3.トリガ要素は形状記憶合金要素であり、
形状記憶合金要素の少なくとも一部が第1容器に沿って配置され、
閾値状態は、形状記憶合金要素の変態温度または該変態温度を超える温度である項目2のシステム。
4.第1の位置から第2の位置へピストンを押すように構成されたソレノイドを備えた項目1~3のいずれかのシステム。
5.トリガ導管を備え、該トリガ導管を介して第2バルブからの流体圧力が、第1バルブの第2ポートに連通される項目1~4のうちのいずれかのシステム。
6.ベント導管と、
第2ポート、トリガ導管、およびベント導管の間のコネクタとを備えた項目5のシステム。
7.トリガ導管内の閾値圧力レベルが到達されるまで、コネクタがトリガ導管と第2ポートとの間の流体連通を開く項目6のシステム。
8.トリガ導管内の閾値圧力レベルが超えられたとき、コネクタがトリガ導管とベント導管との間の流体連通を開く項目7のシステム。
9.トリガ導管内の閾値圧力レベルが超えられたとき、コネクタが第2ポートとベント導管との間の流体連通を開く項目7または8のいずれかのシステム。
10.第1容器に流体接続された第1バルブと、第2容器に流体接続された第2バルブとを備えたシステムにおいて、第2バルブからの流体圧力で第1バルブを開く方法であって、第1バルブは、ボディと、ピストンとを備え、
ボディは、
穴と、
穴および第1容器の内部と流体連通している第1ポートと、
穴、第2バルブ、および第1容器の外部の大気と流体連通している第2ポートとを備え、
ピストンは穴の内部に配置され、
ピストンの第1の位置は第1ポートを閉鎖し、ピストンの第2の位置は第1ポートと第2ポートとの間の流体連通を可能にし、
方法は、第2ポートを介して第2バルブから流体圧力を連通させることにより、ピストンを第2の位置に付勢することを含む、方法。
11.第1の位置から第2の位置へピストンを移動することをさらに含む項目10の方法。
12.可融要素の少なくとも一部をその可融相転移温度またはその可融相転移温度を超える温度にさらすことにより、ピストンを第2の位置へ付勢する項目11の方法。
13.第1の位置から第2の位置へピストンを押すことをさらに含む項目10~12のいずれかの方法。
14.システムがピストンを押すために起動されるソレノイドを備える項目13の方法。
15.システムがトリガ導管をさらに備え、該トリガ導管を介して第2バルブからの流体圧力が第2ポートへ連通される項目10~14のうちのいずれかの方法であって、方法が、
トリガ導管内の閾値流体圧力を設定することと、
閾値流体圧力が超えられたとき、トリガ導管から流体を排出する(すなわち、ベントする)ことを含む方法。
16.閾値流体圧力が超えられたとき、第1バルブを介して流体を排出する(すなわち、ベントする)ことをさらに含む項目15の方法。
【0004】
本概要は、詳細な説明において以下で更に説明される概念を、簡略化された形で紹介するために提供されている。本概要は、開示または特許請求された主題の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図するものではなく、それぞれの開示された実施形態、または開示または特許請求された主題の全ての実施形態を説明することを意図するものでもない。特に、一実施形態に関して本願明細書で開示される特徴は、別の実施形態にも同様に適用され得る。さらに、本概要は、特許請求された主題の範囲を決定するための補助として用いることも意図していない。他にも多くの新規の利点、特徴、及び関係性が、この説明が進むにつれて明らかになるであろう。後に続く図及び説明は、実施形態をより詳細に例示している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の主題は添付の図を参照して更に説明されるが、複数の図を通して、同様の構成または同様のシステム要素は同様の参照番号により示されている。全ての説明は、複数の実施形態を通じて、同様の構造や類似の構造に適用可能であると考えられる。
図1】開示されたシステムでの使用に適した例示的な圧力解放装置の概略断面図である。図1に示す圧力解放装置は閉じた構成で示されている。
図2図1と似ているが、開いた構成の圧力解放装置を示している。
図3】圧力解放装置が閉じている例示的なシステムの概略図である。
図4図3と似ているが、システムのすべての圧力解放装置を開いた構成で示し、第2圧力解放装置が開くことが、第1圧力解放装置を介して連通する流体圧力によって共鳴して引き起こされている。
図5図3および図4と似ているが、システムのベント(流体の排出)を提供するために加圧された(短い破線で表された)すべてのラインを示している。
【0006】
上記の図は、開示された主題の1つまたは複数の実施形態を説明しているが、本開示において言及されているように、他の実施形態も考慮されている。いかなる場合も、本開示は、開示された主題を代表として提示するものであって、限定として提示するものではない。当業者であれば、本開示の原理の範囲内にある多くの他の変更及び実施形態に想到し得るものと解すべきである。
【0007】
図は、必ずしも正確な縮尺で描かれない。特に、明確化のため、ある特徴を他の特徴に対して拡大する場合もある。さらに、上方、下方、上、下、上部、下部、側方、右、左、垂直、水平等の用語が用いられる場合、それらの用語は説明の理解を容易にするためにのみ用いられていると解されるべきである。構成は、異なる方向に向けられてもよいと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、緊急状態への一次的対応に加え、相補的な圧力解放装置(PRD:pressure release device)が互いに対する共鳴モードで効果的に作動することへの反応の結果として、システム内のPRDのトリガを可能にする、より信頼性が高くより効率的な排出システムについて説明する。
【0009】
開示に係る概念は、特定の圧力容器の過熱の結果として当該圧力容器のベントを行い得るとともに、システム内で接続された複数の圧力容器のいずれか一つが過熱されることに応じて、複数の接続された圧力容器のベントを同時に行う共鳴モードにおいても圧力容器のベントを行い得る、圧力解放装置(PRD)、圧力解放装置アクチュエータまたはバルブのシステムに関する。
【0010】
個別の圧力容器は、ベントポートと選択的に連通する高圧ライブポートを有する。例示的な実施形態において、PRDのトリガ要素は、圧力容器の外表面に沿って配置されている。例示のみを目的として、図示されたPRDのトリガ要素は形状記憶合金(SMA:shape memory alloy)を含んでいる。本開示の焦点はPRDの共鳴トリガにあり、トリガ要素の特定の設計にあるわけではない。トリガ要素がSMAワイヤである例において、いずれかの圧力容器の近傍の温度がその変態温度を超えて上昇する場合、トリガ要素は(図1および図2に示すように、右への)圧力解放アクチュエータのピストンの移動を可能にし、それにより高圧ライブポートとベントラインとの間の連通を開く。したがって、1つのモードにおいて、PRDは、熱起動ソレノイド、形状記憶合金ワイヤ、または可融要素などのトリガ機構によって作動する。
【0011】
例示的な実施形態において、システムの複数の圧力容器のベントラインは、(1つの圧力容器の高圧の内容物のベントにより生じた)ベントラインにおける上昇した圧力により、システムに接続された他のPRDのピストンが右に押されることで、システム内の他のすべての接続された圧力容器のベントを行うように接続される。したがって、作動のための第2の機構は、高熱によるいずれか1つのPRDの起動に応じた、システム内の複数の圧力容器に接続されたすべてのPRDの共鳴背圧起動を通じてのものである。例示的なPRDの特定の作動機構が説明されているが、本明細書に記載の共鳴背圧起動の教示は、具体的に記載された機構とは異なる機構を持つ他のアクチュエータにも適用可能である。
【0012】
図1は、開示されたシステムで使用可能な例示的な圧力解放装置(PRD)の断面の模式図である。図示された例示的なPRD10は熱で起動するが、記載のシステムは、他の手段で作動するPRDで使用できると考えられる。他の手段としては、例えば、温度、圧力、化学物質濃度、およびその他の条件と操作とを含むトリガに応じて、手動および自動の作動に反応する電気的に起動するソレノイドおよびバルブが含まれる。
【0013】
図1に示すように、例示的な実施形態において、PRDバルブ10は穴またはくぼみ14を内部に有するボディ12を備える。穴14は長手軸16を有し、ピストンまたはシャトル18が長手軸16に沿って摺動するように移動可能である。穴14は、高圧ポート20およびベントポート22と流体連通している。図1において、PRD10は閉じた構成で示されており、シャトル18が高圧ポート20とベントポート22との間の連通を閉じている。高圧ポート20は、例えば圧力容器または圧力シリンダなどの加圧流体の流体源38(図3~5に示されている)と流体連通するように構成されている。ベントポート22は、システム外部の大気、ならびに、システム32の他のバルブ10とも連通するように構成されている。
【0014】
PRD10を開くには、例示的な実施形態における一次的および二次的機構を介して、方向24において、図1および図2の右側に、シャトル18を移動する。一次的機構は、例としてSMAワイヤ28として示されているトリガ要素の使用である。一次的機構はSMA設計に限られず、温度の入力によりピストンを移動させることが可能であればどのようなトリガ要素であってもよい。例示的な実施形態では、図3図5のシステム図に示すように、SMA要素28aは圧力容器30aに沿って配置される。例示的な実施形態では、SMA要素28aは、チャネル、チューブ、プーリー、その他の手段、またはそれらの組み合わせを使用することによって制御される経路内に圧力容器30aに沿って配置され、その端部29の近くで固定される。SMA28は、その変態温度よりも高い温度にさらされると縮んで方向24にシャトル18を引く。したがって、システム32においては、圧力容器30aまたは30bがSMA28の変態温度より高い温度にさらされると、その高い温度によって対応するSMA28aまたは28bが縮んでシャトル18を引き、PRD10aまたは10bを開いた構成にすることが期待される。
【0015】
二次的機構は、共鳴トリガと称されるものであり、直接熱にさらされることに応じてというよりむしろシステム内のいずれかのPRDのトリガに応じて生じる。最初の例として、一つのPRD10がトリガされると、システム32内では、特定の圧力容器30に接続された高圧ポート20とその関連するベントポート22との間の流体連通が開かれることにより、その他の接続されたPRD10と連通する流体ラインが加圧され、それにより、PRD10も方向34(図1に示されている)にベントポート22を介して流れる加圧流体によって作動されることが考えられる。したがって、共鳴作動モードにおいては、方向34に、異なる圧力容器30から流れる加圧流体が、シャトル18を右方向24に押す役割を果たし、その結果、高圧ポート20とベントポート22との間のベント経路を開く。ベント経路を開いた後、加圧流体は方向36(図2に示す)に流れ得る。
【0016】
代替的にまたは追加的に、共鳴トリガをソレノイド26の作動を介して電気的に取り扱い、方向24にシャトル18を押すようにしてもよい。例示的な実施形態におけるこのようなソレノイド26は、上昇した温度、圧力、化学物質濃度、またはその他の感知された状態などの、一次的トリガのためにシステムを監視する1つ以上のセンサに取り付けられた関連するコントローラとの連絡によって起動される。ソレノイド26と関連付けられたセンサが一次的トリガを感知すると、ソレノイド26は起動し、図2に示すように、高圧ポート20とベントポート22との間の流体連通経路を開くのに十分な程度、シャトル18を方向24に右に押す。ただし、PRD10を開くための他の機構が使用可能であることが考えられ、他の機構には、他の機械的および/または電気的手段により作動される機構が含まれる。
【0017】
図2に示すように、接続されたシリンダまたは圧力容器からの加圧流体の排出は、高圧ポート20を介して圧力容器からの加圧流体をベントポート22から方向36に流すことにより行われる。PRD10の構成要素の特定の構造および機能が例示的な実施形態において図示されているが、システム32は他の構造および構成のPRDを使用可能であることが考えられる。
【0018】
図3は例示的なシステム32の概略図であり、“a”および“b”で指定される2セットの圧力流体源38と、圧力容器30と、トリガ要素28と、PRD10と、関連する導管およびコネクタとを備えている。それぞれ2セットのこれらの要素が説明されているが、同様のシステムでより多くの類似のセットが使用可能であることが考えられる。本開示において、特定のセットの特定の要素ではなく、要素全般を参照する場合、“a”や“b”なしで特定の要素の数字による表示を用いる。さらに、例示的なシステムにおいては要素の特定の構成及び接続が説明されているが、それらの要素は異なるように配置されてもよく、システムの教示は、記載されない構成部品を含むより多くのまたはより少ない要素を用いるシステムに適用され得ることが考えられる。さらに、例えば、単一の加圧流体源38を圧力容器30a、30bの両方に使用するなど、システムは複数の要素を組み合わせてもよい。
【0019】
図3図5において、加圧導管は短い破線で示されており、非加圧導管は、実線で示されている。ライン40は、加圧流体源38をそれぞれの対応する圧力容器30に接続する。図3において、システム32の日常的な使用では、加圧導管40は、加圧流体源38から圧力容器30に高圧流体を連通させる。高圧流体は高圧導管42を介してPRD10に連通する。通常の動作では、PRD10は、図1に示すように閉じているため、高圧ポート20とベントポート22との間には流体連通はない。したがって、ベント導管50は、実線で示すように、加圧されていない。
【0020】
導管42は、PRD10の高圧ポート20などで、各圧力解放装置10をそれぞれの対応する圧力容器30に接続する。図3は通常の動作状態のシステム32を示す。圧力容器30は大気圧より高圧の流体を含んでおり、加圧流体は加圧流体源38から供給される。各PRD10の高圧ポート20は(図1に示すように)シャトル18によって閉じられている。したがって、PRD10と圧力容器30との間の導管42は、接続された圧力容器30からの流体によって加圧されるが、ベントポート22に接続された導管44は加圧されない。導管44は、ティーコネクタ46でトリガ導管48とベント導管50に分岐する。各ベント導管50は、大気への出口となり得るベント孔52で終端する。
【0021】
システム32の動作において、圧力容器30aに関連付けられたPRD10aは、1)圧力容器30aの近傍における所望の温度を超える高温によるトリガ要素28、および/または2)接続されたセンサにおける高温によるソレノイド26の起動、の一次的起動によって開いてもよい。さらに、PRD10aは、以下に説明する二次的共鳴作動によって開いてもよい。それを超えることでPRD10が開く閾値温度は、例えば、ソレノイド26の制御パラメータの選択、および/またはSMA要素24の寸法および材料、および/またはシャトル18を動かすために方向34に必要とされる圧力の較正、によって較正されてもよい。さらに、説明したようなPRDは閾値温度に応答するが、システムもまた、圧力または特定の空気成分の検知濃度を含むがそれらに制限されない他の環境条件に応じてトリガされ得ると考えられる。
【0022】
圧力が二次的共鳴トリガとして使用される例示的な実施形態において、各ティーコネクタ46は、ベント導管50にというよりむしろトリガ導管48を優先的に介して、加圧流体の流れを優先的に方向付けるように構成されている。したがって、図4に示すように、いずれかのPRD10が起動されて高圧ポート20とベントポート22との間の流体連通が可能になると、その流れはベントポート22に接続された導管44を加圧する。この加圧された流体は、ティーコネクタ46を介して流れ、その後、図4に示すように、トリガ導管48を加圧する。トリガ導管48におけるこのような流体圧力は、システム32内のすべての他の接続されたPRD10のベントポート22に入り、図1に示すように、流体圧力がシャトル18を方向34に押すことにより、それらの他のRPD10を開く。こうして、少なくとも1つのPRD10がトリガされると、システム32内のすべてのPRD10が、共鳴モードにおいて自動的に開かれる。各PRD10は上述した一次的および二次的機構の1つ以上、すなわち、第一に、トリガ要素28の作動、または、温度センサなどの接続されたセンサからのソレノイド26の起動によるシャトル18の変位、第二に、接続されたシステム32における他の圧力容器30のベントからのベントポート22を介した共鳴背圧作動または共鳴ソレノイド起動によるシャトル18の方向24への変位、にしたがって開かれる。
【0023】
図5に示すように、システム32内のすべての接続されたPRD10が開かれた後、圧力容器30および/または加圧流体源38からの過剰な加圧流体は、ティーコネクタ46によってベントライン50に方向付けられ、最終的にベント孔52で大気(または適当な排出受容チャンバ)に排出される。導管44aは、ベントポート22とティーコネクタ46とを接続するものとして図示されているが、異なる実施形態においては、トリガ導管48とベント導管50の分岐は、PRD10に直接配管されるか、または、組み込まれることが可能であると考えられる。
【0024】
開示されたシステム32は、接続されたPRD10のいずれか一つが開くのに応じて、システム32内のすべてのPRD10の自動的な共鳴作動を提供する。このような設計は、システム内のPRDの個々の機械的なトリガに必要とされる時間を削減する。さらに、すべての接続されたPRD10をほぼ同時に開かせることにより、システムからのベント流量は増加し得る。したがって、システム32は、単に一次的機構を使用するシステムよりも、緊急時において簡単で信頼性が高い。
【0025】
圧力不均衡を二次的トリガとして使用する例示的な実施形態において、PRD10は、図2に示す開位置にシャトル18を移動するのに必要とする圧力不均衡(すなわち、大気圧とベントポート22の方向34に流れる流体の圧力との間の差)を比較的小さくするように設計される。
【0026】
システム32の例示的かつ非限定的な実施形態は、第1バルブ10aと第2バルブ10bとを備える。第1バルブ10aは、第1容器30aに流体接続され、第2バルブ10bは第2容器30bに流体接続されている。第1バルブ10aは、ボディ12とピストン18とを備える。ボディ12は、長手軸16を有する穴14と、第1ポート20と、第2ポート22とを備える。第1ポート20は、穴14および第1容器30aの内部と流体連通している。第2ポートは、穴14、第2バルブ10b、および第1容器30aの外部の大気52と流体連通している。ピストン18は穴14内に配置され、長手軸16に沿って移動可能である。ピストン18の第1の位置は、図1に示すように、第1ポート20を閉鎖する。ピストン18の第2の位置は、図2に示すように、第1ポート20と第2ポート22との間の流体連通を可能にする。第1バルブ10aは、第2ポート22を介して連通している第2バルブ10bからの流体圧力がピストン18を第2の位置へ付勢するように構成されている。
【0027】
例示的な実施形態において、トリガ要素28はピストン18に接続された第1端部を有する。可融要素28は、第1の位置を有し、ピストン18は、図1に示すように、その第1の位置(閉じ位置)にある。トリガ要素28を閾値状態にさらすことにより、トリガ要素28は、図2に示すように、ピストン18を第2の位置(開き位置)に付勢する。例示的な実施形態において、トリガ要素28は、形状記憶合金要素であり、閾値状態は、変態温度または変態温度を超える温度である。図3図5に示すように、トリガ要素28aの少なくとも一部は第1容器30aに沿って配置される。例示的な実施形態において、システム32はさらにソレノイド26を備え、ソレノイド26は、ピストン18を方向24に、(図1に示す)第1の位置から(図2に示す)第2の位置へ押すように構成される。このソレノイドは一次的または二次的トリガのために使用され得る。
【0028】
例示的な実施形態において、システム32はトリガ導管48を備え、トリガ導管48を介して第2バルブ10bからの流体圧力が、第1バルブ10aの第2ポート22へ連通される。例示的な実施形態において、システム32は、ベント導管50と、第2ポート22a、トリガ導管48、およびベント導管50の間のコネクタ46aとを備える。コネクタ46aは、トリガ導管48内の閾値圧力レベルが到達されて二次的共鳴トリガが起きるまで、トリガ導管48と第2ポート22aとの間の流体連通を開く。コネクタ46aは、トリガ導管48内の閾値圧力レベルが超えられると、トリガ導管48とベント導管50との間の流体連通を開く。例示的な実施形態において、コネクタ46aはまた、トリガ導管48内の閾値圧力レベルが超えられると、第2ポート22aとベント導管50との間の流体連通を開く。
【0029】
本開示の主題が幾つかの実施形態を参照して説明されたが、本開示の範囲を逸脱することなく態様及び詳細において変更を行い得ることは、当業者であれば理解するであろう。さらに、1つの実施形態に関連して開示されたいかなる特徴も別の実施形態に組み込むことができ、その逆もまた可能である。
図1
図2
図3
図4
図5