(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】ジメチルホスフィンオキシド化合物
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6561 20060101AFI20220909BHJP
C07F 9/6558 20060101ALI20220909BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220909BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220909BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
C07F9/6561 Z
C07F9/6558 CSP
A61K31/506
A61P43/00 111
A61P25/00
(21)【出願番号】P 2021506035
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2019083462
(87)【国際公開番号】W WO2019201334
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201810360120.0
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520408010
【氏名又は名称】▲貴▼州伊▲諾▼其尼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUIZHOU INOCHINI TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 1402-136, 14th Floor, Building A2, Taisheng International, No.9 Airport Road, Shuanglong Airport Economic District,Guiyang , Guizhou 550000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 凌云
(72)【発明者】
【氏名】魏 霞蔚
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 鵬
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 兆国
(72)【発明者】
【氏名】王 才林
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲楽▼▲楽▼
(72)【発明者】
【氏名】黎 健
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 曙▲輝▼
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-506937(JP,A)
【文献】国際公開第2016/130920(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/127642(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/137728(WO,A1)
【文献】特表2017-521436(JP,A)
【文献】特表2015-518490(JP,A)
【文献】特表2014-514348(JP,A)
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2012年,22(5),1864-1869
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化38】
ここで、R
1はハロゲン、OH、NH
2、およびC
1-6アルキルから選択され、C
1-6アルキルは、任意に1、2、または3個のR
aで置換される、WはN、VはC(R
3)から選択される、または、WがC(R
3)、VはNから選択される、R
2はH、R
3は
【化39】
から選択される、または、R
2は
【化40】
R
3はHから選択される、
T
1はNとCHから選択される、
T
2は、-o-、-CH
2-と-CH
2CH
2-から選択される、ここで、-CH
2-は、任意に1または2個のR
bで置換される、-CH
2CH
2-は、任意に1、2または3個のR
bで置換される、
D
1、D
2は、それぞれ独立して単結合、-CH
2-および-CH
2CH
2-から選択される、ここで、-CH
2-は、任意に1または2個のR
cで置換され、-CH
2CH
2-は、任意に1、2または3個のR
cで置換され、D
1とD
2は、同時に単結合から選択しない、
D
3、D
4は、それぞれ独立して単結合、-o-、-CH
2-および-CH
2CH
2-から選択される、ここで、-CH
2-は、任意に1または2個のR
bで置換され、-CH
2CH
2-は、任意に1、2または3個のR
dで置換され、D
3とD
4は、同時に単結合から選択しない、
R
aは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
R
bは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
R
cは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
R
dは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH
2、C
1-6アルキルおよびC
1-6ヘテロアルキルから選択される。ここで、C
1-6アルキルおよびC
1-6ヘテロアルキルは、任意に1、2、または3個のRで置換される、
Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
前記C
1-6ヘテロアルキルには、それぞれ独立して-o-、-S-と-NH-から選択される1、2または3個のヘテロ原子とヘテロ原子団を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、R
1は、F、Cl、Br、I、OH、NH
2およびC
1-3アルキルから選択され、そのうち、C
1-3アルキルは、任意に、1、2または3のR
aで置換される。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、R
1は、F、Cl、Br、I、OH、NH
2およびCF
3から選択される。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、D
1、D
2は、それぞれ独立して単結合、-CH
2-と-CH
2CH
2-から選択され、かつD
1とD
2は同時に単結合から選択しない。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、R
dは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH
2、C
1-3アルキルとC
1-3アルコキシから選択され、そのうち、C
1-3アルキルとC
1-3アルコキシは、任意に1、2または3個のRで置換される。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、R
dは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH
2、C
1-3アルキルとC1-3アルコキシから選択される。
【請求項7】
請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、R
dは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH
2、CF
3と
【化41】
から選択される。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、D
3、D
4は、それぞれ独立して単結合、-o-、-CH
2-、-CF
2-、-CH
2CF
2-と
【化42】
から選択され、D
3、D
4は同時に単結合から選択しない。
【請求項9】
請求項1、4または8に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、ここで、
【化43】
は
【化44】
と
【化45】
から選択される。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化46】
と
【化47】
から選択され、
ここで、R
1、T
1、T
2、D
1、D
2、D
3とD
4の定義は請求項1~8で定義されてい
る。
【請求項11】
次の22の化学構造式のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩である、
【化48】
と
【化49】
。
【請求項12】
LRRK2キナーゼ阻害に関連する薬物の調製における請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LRRK2キナーゼ活性阻害剤関連薬物の調製における一連のジメチルホスフィンオキシド化合物の使用に関し、具体的には、LRRK2キナーゼ活性阻害剤関連薬物の調製における、式(1)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
LRRK2キナーゼの変異と過剰発現は、神経変性疾患を誘発する基本的な要因であることがますます証明されており、主に、黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの選択的変性と細胞死を特徴としている。65歳以上の人々の1%に影響を及ぼし、そのうち遺伝性患者は患者総人数の5-10%を占める。病気の初期段階では、最も明白な症状は震え、動きの遅さ、歩行困難である。その後に認知および行動の問題も発生し、認知症症状は通常末期で発生する。
【0003】
ロイシンリッチリピートシーケンスキナーゼ2(LRRK2)の変異は、神経変性疾患と密接に関連していることを示す証拠がますます増えている。LRRK2は、触媒リン酸化とGTP-GDP加水分解に関与する2527アミノ酸タンパク質である。NCBIにおけるヒトLRRK2mRNAの関与配列はNM_198578.2である。証拠は、LRRK2がセリン-129でα-シヌクレインをリン酸化し、このリン酸化された形態がリューイ体の重要な部分を構成することを示している。さらに、LRRK2の機能ドメインにおける単一ヌクレオチド多型は、一般的で散発的な神経変性疾患を引き起こすことが示されている。これまで、研究者は、遅発性神経変性疾患に苦しんでいる家族で20を超えるLRRK2変異を同定していた。例えば、G2019S変異は常染色体優性と共分離し、ヨーロッパでは家系症例の約6%、散発症例の3%を引き起こしている。G2019S変異は高度に保存されたキナーゼドメインで発生するため、G2019S変異はキナーゼ活性に影響を与える可能性がある。さらに、別の残基R1441でのアミノ酸置換も神経変性疾患に関連しており、LRRK2キナーゼの活性を増加させることが示されている。トランスジェニックマウスモデルにおける変異体LRRK2タンパク質R1441Gの過剰発現は、ドーパミン放出の減少に関連しており、LRRK2阻害剤もドーパミン放出を積極的に調節でき、ドーパミンレベルの低下を特徴とする疾患の治療に潜在的な有用性があることを示している。関連するデータはさらに、LRRK2キナーゼ活性阻害剤が関連する神経変性疾患の治療にも使用できることを示している。
【0004】
したがって、効果的なLRRK2キナーゼおよび変異体LRRK2キナーゼの阻害剤の開発は、神経変性疾患の治療のための重要な手段となっている。 本発明の目的は、LRRK2キナーゼを高度に阻害することができる化合物を発明し、神経変性疾患を効果的に治療することができる薬物をさらに発明することである。
【0005】
ACS Med.Chem.Lett.2015、6,584-589は、LRRK2キナーゼ阻害剤に属する化合物JH-II-127を開示しており、その構造式は次のとおりである。
【0006】
【化1】
J. Med.Chem.2012,55,9416-9433は、LRRK2キナーゼ阻害剤に属する化合物GNE-7915も開示しており、その構造式は次のとおりである。
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、LRRK2キナーゼ活性阻害剤関連薬物の調製における一連のジメチルホスフィンオキシド化合物の適用に関し、具体的には、LRRK2キナーゼ活性阻害剤関連薬物の調製における、式(1)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の適用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(1)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、
【0010】
【化3】
ここで、R
1はハロゲン、OH、NH
2、およびC
1-6アルキルから選択される。ここで、C
1-6アルキルは、任意に1、2、または3個のR
aで置換される、Wは、N、VはC(R
3)から選択される、または、WがC(R
3)、VがNから選択される、R
2はH、R
3は
【0011】
【0012】
【化5】
R
3がHから選択される、
T
1はNとCHから選択される、
T
2は、-o-、-CH
2-と-CH
2CH
2-から選択される、ここで、-CH
2-は、任意に1または2個のR
bで置換される、-CH
2CH
2-は、任意に1、2または3個のR
bで置換される、
D
1、D
2は、それぞれ独立して単結合、-CH
2-および-CH
2CH
2-から選択される、ここで、-CH
2-は、任意に1または2個のR
cで置換され、-CH
2CH
2-は、任意に1、2または3個のR
cで置換され、D
1とD
2は、同時に単結合から選択しない、
D
3、D
4は、それぞれ独立して単結合、-o-、-CH
2-および-CH
2CH
2-から選択される、ここで、-CH
2-は、任意に1または2個のR
bで置換され、-CH
2CH
2-は、任意に1、2または3個のRdで置換され、D
3とD
4は、同時に単結合から選択しない、
R
aは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
R
bは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
R
cは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
R
dは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH
2、C
1-6アルキルおよびC
1-6ヘテロアルキルから選択される。ここで、C
1-6アルキルおよびC
1-6ヘテロアルキルは、任意に1、2、または3個のRで置換される、
Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、およびNH
2から選択される、
前記C
1-6ヘテロアルキルには、それぞれ独立して-o-、-S-と-NH-から選択される1、2、または3個のヘテロ原子とヘテロ原子団を含む。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1は、F、Cl、Br、I、OH、NH2およびC1-3アルキルから選択され、ここで、C1-3アルキルは、任意に、1、2、または3個のRaで置換され、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1は、F、Cl、Br、I、OH、NH2およびCF3から選択され、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、前記D1、D2は、それぞれ独立して-CH2-と-CH2CH2-から選択され、かつD1とD2は同時に単結合から選択しない、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、前記Rdは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH2、C1-3アルキルとC1-3アルコキシから選択され、そのうち、C1-3アルキルとC1-3アルコキシは、任意に1、2、または3個のRで置換され、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、前記Rdは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH2、C1-3アルキルとC1-3アルコキシから選択され、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、前記Rdは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH2、CF3と
【0019】
【化6】
から選択され、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、前記D3、D4は、それぞれ独立して単結合、-o-、-CH2-、-CF2-、-CH2CF2-と
【0021】
【化7】
から選択され、かつD
3、D
4は同時に単結合から選択しない、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、
【0023】
【0024】
【0025】
【化10】
から選択され、他の変数は本発明で定義された通りである。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物またはその薬学的に許容される塩は、
【0027】
【0028】
【化12】
から選択され、
ここで、R
1、T
1、T
2、D
1、D
2、D
3とD
4の定義は前記のとおりである。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態は、上記の変数の任意の組み合わせに由来する。
【0030】
本発明は、さらに次の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0031】
【0032】
【0033】
【化15】
本発明はまた、LRRK2キナーゼ阻害に関連する薬物の調製における前記の化合物またはその薬学的に許容される塩の
使用を提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明の化合物は、LRRK2に対して有意なキナーゼ阻害、細胞活性、膜透過性および溶解性を有し、同時に、優れた薬物動態学的および薬力学的特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】脳組織のウェスタンブロット(Western Blot)結果。
【
図2】末梢血単核細胞(PBMC)のウェスタンブロット(Western Blot)結果。
【発明を実施するための形態】
【0036】
特に明記しない限り、本書で使用される以下の用語および句は、以下の意味を有することを意図している。特定の用語または句は、特別な定義なしに不確実または不明確であると見なされるべきではないが、通常の意味で理解されるべきである。本書に記載する商品名は、それが対応する商品またはその有効成分を指すことを意味する。本書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、その他の問題や合併症がなく、合理的な利益/リスク比に見合った人間や動物の組織との接触での使用に適する信頼できる医学的判断の範囲内にある化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0037】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明によって発見された特定の置換基を有する化合物と比較的毒性のない酸または塩基から調製される本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、化合物の中性形態を、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中の十分な量の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミンまたはマグネシウム塩または同様の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、化合物の中性形態を、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中の十分な量の酸と接触させることによって得ることができる。
【0038】
薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸水素塩、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸塩、および酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸および他の同様の酸などの有機酸塩、さらに、アミノ酸(アルギニンなど)の塩、およびグルクロン酸などの有機酸の塩も含まれる。本発明の特定の化合物は、塩基性および酸性官能基を含むので、任意の塩基または酸付加塩に変換することができる。
【0039】
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、酸または塩基を含む親化合物から合成することができる。一般的に、そのような塩は、水または有機溶剤または両方の混合物において、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物は化学計量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製される。
【0040】
本発明の化合物は、化合物を構成する1つまたは複数の原子上に不自然な割合の原子同位体を含み得る。たとえば、化合物は、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、またはC-14(14C)などの放射性同位元素で標識できる。また、水素を重水素に置き換えることで重水素化薬を形成することができる。重水素化薬と炭素によって形成される結合は、通常の水素と炭素によって形成される結合よりも強力である。重水素化薬は、重水素化されていない薬と比較して、毒性と副作用を減らし、薬の安定性と有効性を高め、薬の生物学的半減期を延ばすという利点がある。本発明の化合物のすべての同位体組成の変化は、放射性であるかどうかにかかわらず、本発明の範囲に含まれる。
【0041】
「任意」または「任意に」とは、後述する事象または状態が発生する可能性があるが、必ずしも発生しないことを意味し、記載には、事象または状態が発生する状況と発生しない状況が含まれる。
【0042】
「置換され」という用語は、特定の原子上の任意の1つまたは複数の水素原子が置換基によって置き換えられることを意味し、特定の原子の価数が正常であり、置換された化合物が安定している限り、重水素および水素変異体を含むことができる。「任意に置換」という用語は、置換または置換しないことができることを意味する。特に指定のない限り、置換基のタイプと数は、化学的に実現できれば任意にすることができる。
【0043】
化合物の組成または構造に変数(Rなど)が複数回出現する場合、それぞれの場合の定義は独立である。したがって、たとえば、グループが0~2個のRで置換されている場合、そのグループは最大2個のRで任意に置換でき、それぞれの場合にRは独立したオプションがある。さらに、置換基および/またはその変異体の組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物を生成できる場合にのみ許可される。
【0044】
変数の1つが単結合から選択される場合、接続されている2つのグループが直接接続されていることを意味する。たとえば、A-L-ZのLが単結合を表す場合、その構造は実際にはA-Zであることを意味する。
【0045】
記載されている置換基がどの原子を介して置換基に接続しているかを示していない場合、そのような置換基は任意の原子を介して結合できる。たとえば、ピリジル基は置換基としてピリジン環上の任意の炭素原子を介して置換基に接続することができる。
【0046】
特に明記しない限り、「C1-6アルキル」という用語は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を含む直鎖または分岐飽和炭化水素基を示すために使用される。いくつかの実施形態において、前記C1-6アルキルには、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、s-ブチルおよびt-ブチルを含む)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチルおよびネオペンチル)、ヘキシルなどが含まれる。 一価(メチルなど)、二価(メチレンなど)、または多価(メチンなど)であっても良い。
【0047】
特に明記しない限り、「C1-3アルキル」という用語は、1、2または3個の炭素原子を含む直鎖または分岐飽和炭化水素基を示すために使用される。いくつかの実施形態において、C1-3アルキルには、C1-3アルキル、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)などが含まれる。一価(メチルなど)、二価(など メチル)または多価(メチンなど)であっても良い。
【0048】
特に明記しない限り、「C1-6ヘテロアルキル」という用語は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ原子団で構成される安定した直鎖または分岐アルキル原子団またはそれらの組み合わせを意味する。いくつかの実施形態において、前記C1-6ヘテロアルキルには、C1-6ヘテロアルキル、C1-5ヘテロアルキル、C1-4ヘテロアルキル、C1-3ヘテロアルキル、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH2(CH3)2、-CH2-CH2-O-CH3、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCH2CH3、-N(CH3)(CH2CH3)、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-SCH3、-SCH2CH3、-SCH2CH2CH3、-SCH2(CH3)2と-CH2-S-CH2-CH3などが含まれる。ヘテロ原子またはヘテロ原子団は、分子の残りの部分へのアルキルの接続位置を含むヘテロアルキルの任意の内部位置に位置することができる。 最大2つのヘテロ原子を連続させることができる、例えば-CH2-NH-OCH3。
【0049】
特に明記しない限り、「C1-3ヘテロアルキル」という用語は、1、2または3個の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ原子団で構成される安定した直鎖または分岐アルキル原子団またはそれらの組み合わせを意味する。いくつかの実施形態において、前記C1-3ヘテロアルキルには、C1-3ヘテロアルキル、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH2(CH3)2、-CH2-CH2-O-CH3、-NHCH3、- N(CH3)2、-NHCH2CH3、-N(CH3)(CH2CH3)、-CH2-CH2- NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-SCH3、-SCH2CH3、-SCH2CH2CH3、-SCH2(CH3)2と-CH2-S-CH2-CH3などが含まれる。ヘテロ原子またはヘテロ原子団は、分子の残りの部分へのアルキルの接続位置を含むヘテロアルキルの任意の内部位置に位置することができる。最大2つのヘテロ原子を連続させることができる、例えば-CH2-NH-OCH3。
【0050】
「C1-6アルコキシ」という用語は慣習的な表現であり、C1、C2、C3、C4、C5およびC6アルコキシを含む酸素原子を介して分子の残りの部分に接続されたC1-6アルキル基を指す。 いくつかの実施形態において、C1-6アルコキシには、C1-6アルコキシ、C1-5アルコキシ、C1-4アルコキシ、C1-3アルコキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシとS-ペントキシなどを含むが、これらに限定されない。「C1-3アルコキシ」という用語は慣習的な表現であり、C1、C2およびC3アルコキシを含む酸素原子を介して分子の残りの部分に接続されているC1-3アルキル基を指す。いくつかの実施形態において、C1-6アルコキシには、C1-3アルコキシ、メトキシ、エトキシ、N-プロポキシ、イソプロポキシなどを含むが、これらに限定されない。
【0051】
特に明記しない限り、Cn-n+mまたはCn-Cn+mには、nからn+m 個の炭素の任意の状況が含まれる。たとえば、C1-6にはC1、C2、C3、C4、C5、およびC6だけでなく、nからn+m までの任意の範囲が含まれる。たとえば、C1-6にはC1-3、C1-4、C1-5、C2-6、C2-5、C2-4などが含まれる。
【0052】
本発明の化合物は、以下に列挙する特定の実施形態、それらを他の化学合成法と組み合わせることによって形成される実施形態、および当業者に周知の実施形態を含む当技術分野に周知の様々な合成方法によって調製することができる。 同等の代替、好ましい実施形態には、本発明の実施形態が含まれるが、これに限定されない。
【0053】
本発明で使用される溶媒は市販品である。本発明は、以下の略語を使用する:CDCl3は重水素化クロロホルムを表し、CD3ODは重水素化メタノールを表し、DMSO-d6は重水素化ジメチルスルホキシドを表す。
【0054】
化合物は、当業界の従来の命名原則に従って、またはChemDraw(R)ソフトウェアを使用して命名され、市販化合物は、サプライヤーのカタログ名を使用する。
【実施例1】
【0055】
本発明は、以下の実施例を通して詳細に説明されるが、本発明を限定することを意味するものではない。
[実施例1]
【0056】
【化16】
(手順1)
0℃条件下で、臭化メチルマグネシウム(3.0Mテトラヒドロフラン溶液、160.00mL、480mmol)のテトラヒドロフラン溶液(300mL)に1a(20.00g、144.82mmol、18.69mL)をゆっくりと滴下し、内部温度を10℃以下に制御する。ゆっくりと室温まで昇温し、5時間攪拌する。反応終了後、反応溶液を氷浴に入れ、飽和重炭酸ナトリウム溶液40mLとエタノール160mLを添加し、大量の白色固体が沈殿する。白色固体をろ過して除去し、ろ液を40mLに濃縮し、トルエン150mLを添加する。 濃縮終了後、ジクロロメタン130mL、エタノール13mLを添加し、1h撹拌し、ろ過し、濾液を濃縮して、次のステップ1bで直接使用される粗生成物を得る。
【0057】
1HNMR:(400MHz,CDCl3)δ1.59(dd,J=3.6,14.4 Hz,6H)
(手順2)
1c(12.50g、57.07mmol)と1b(5.35g、68.49mmol)、リン酸カリウム(14.54g、68.49mmol)、4,5-ビス(ジフェニルリン)-9,9-ジメチルキサンテン(660.44 mg、1.14 mmol)と酢酸パラジウム(256.26 mg、1.14 mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(80 mL)に入れ、反応混合物を窒素保護下で150℃に加熱し、16h撹拌する。混合物をろ過して濃縮し、得られた残留物を水性塩酸(1N、80mL)で希釈し、pHを約2に調整し、得られた混合物をろ過する。ろ液をジクロロメタン(100mL×2)で抽出し、水層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液でpH値を約9に調整した後、ジクロロメタン(200mL×2)で抽出する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固させる。粗生成物を再結晶(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)によって精製して1dを得る。1HNMR:(400MHz、CDCl3)δ7.20(m、1H)、7.04(m、1H)、6.69-6.58(m、2H)、5.35(brs、2H)、1.75(s、3H)、1.71(s、3H)。
【0058】
MS-ESI計算値[M+H]+170、測定値170.1。
【0059】
(手順3)
16℃で、1d(2.50g、14.8mmol)と1e(2.85g、15.5mmol)を得たN、N-ジメチルホルムアミド(20mL)の混合物にジイソプロピルエチルアミン(3.82g、29.6mmol)を添加する。次に、反応混合物を70℃に加熱し、16h撹拌する。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(40mL×3)で抽出する。合わせた有機相を飽和食塩水(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空で濃縮する。粗生成物をエタノール中で再結晶化して1fを得る。
【0060】
1HNMR:(400MHz,CD3OD)δ8.50(m,1H),8.35-8.28(m,1H),7.69-7.59(m,2H),7.36-7.28(m,1H),1.91(s,3H),1.88(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]+316;317;318、測定値316;317;318。
【0061】
(手順4)
炭酸カリウム(73.3mg、530μmol)を1g(50.0mg、265μmol)および1h(43.4mg、265μmol)のN、N-ジメチルホルムアミド(1.00mL)溶液に加え、反応溶液を50℃で16h撹拌する。反応溶液を蒸発乾固し、粗生成物を分取薄層クロマトグラフィープレートで分離し、精製し、1iを得る。MS-ESI計算値[M+H]+280、測定値280。
【0062】
(手順5)
1i(60.0mg、215μmol)の酢酸エチル(3.00mL)溶液に、ウェットパラジウムカーボン(5.00mg、含有量10%)を加え、20℃、水素(50psi)条件下で8時間撹拌する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させて1jを得る。MS-ESI計算値[M+H]+250、測定値250。
【0063】
(手順6)
1j(50.0mg、200μmol)、1f(63.4mg、200μmol)およびtert-ブトキシドナトリウム(38.6mg、401μmol)のテトラヒドロフラン(4.00mL)溶液にメタンスルホン酸(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ- 2 ’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(7.97mg、10.0μmol )を加え、反応溶液を65℃で16時間撹拌する。反応溶液をろ過させ、蒸発乾固させ、粗生成物を高速液体クロマトグラフィーによって分離し、精製し、1を得る。
【0064】
1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.39-8.30(brs,1H),8.10-7.91(m,1H),7.72-7.52(m,2H),7.49-7.38(m,1H),7.26-5.91(d,J=8.4Hz,1H),3.97(t,J=7.2Hz,2H),3.90(s,3H),3.77-3.67(m,2H),3.62-3.43(m,4H),2.15-1.97(m,4H),1.87(s,3H),1.84(s,3H)。MS-ESI計算値[M+H]+529と531、測定値529と531。
【実施例2】
【0065】
【化17】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して2bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+294、測定値294。
【0066】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して2cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+264、測定値264。
【0067】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して2を得る。
【0068】
1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.35(brs,1H),8.00(s,1H),7.66-7.53(m,2H),7.46-7.38(m,1H),7.24-7.18(m,1H),5.91(d,J=8.4Hz,1H),3.91(s,3H),3.80-3.73(m,1H),3.70-3.63(m,1H),3.61-3.45(m,5H),3.26-3.20(m,1H),2.11-1.96(m,2H),1.87(s,3H),1.84(s,3H),1.82-1.68(m,4H)。MS-ESI計算値[M+ H]+543と545、測定値543と545。
【実施例3】
【0069】
【化18】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して3bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+280、測定値280。
【0070】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して3cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+250、計算値250。
【0071】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して3を得る。1HNMR(400MHz,CD3OD) δ8.33(br s,1H),8.02(s,1H),7.72(d,J=8.4Hz,1H),7.63-7.56(m,1H),7.53-7.44(m,1H),7.28-7.20(m,1H),5.89(d,J=8.4Hz,1H),3.91(s,3H),
3.78(s,4H),3.74-3.67(m,4H),1.91-1.79(m,10H).MS-ESI計算値[M+H]+529と531、計算値529と531。
【実施例4】
【0072】
【化19】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して4bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+294、測定値294。
【0073】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して4cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+264、計算値264。
【0074】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して4を得る。1HNMR(400MHz,CD3OD) δ8.34(br s,1H),7.99(s,1H), 7.62(d,J=8.4Hz,1H),7.59-7.51(m,1H),7.45-7.37(m,1H),7.23-7.12(m,1H),5.89(d,J=8.4Hz,1H),3.90(s,3H),3.83-3.67(m,3H),3.60-3.46(m,2H),3.41-3.35(m,1H),2.39-2.27(m,1H),2.00-1.89(m,1H),1.87(s,3H),1.83(s,3H),1.80-1.68(m,4H),1.66-1.55(m,2H)MS-ESI計算値[M+H]+543と545、測定値543と545。
【実施例5】
【0075】
【化20】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して5aを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+280、測定値280。
【0076】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して5bを得る。MS-ESI計算値[M+H]+250、測定値250。
【0077】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して5を得る。1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.31(brs,1H),8.02(s,1H),7.72(d,J=8.0Hz,1H),7.64-7.54(m,1H),7.52-7.44(m,1H),7.28-7.20(m,1H),5.91(d,J=8.4Hz,1H),3.93-3.87(m,5H),3.86-3.81(m,2H),3.75-3.69(m,2H),1.91-1.82(m,8H),1.79-1.71(m,2H),1.63-1.55(m,2H).MS-ESI計算値[M+H]+529と531、測定値529と531。
【実施例6】
【0078】
【化21】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して6bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+280、測定値280。
【0079】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して6cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+250、測定値250。
【0080】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して6を得る。1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.33(br s,1H),8.02(s,1H),7.72(d,J=8.0Hz,1H),7.64-7.55(m,1H),7.51-7.45(m,1H),7.27-7.22(m,1H),5.88(d,J=8.4Hz,1H),3.90(s,3H),3.78-3.73(m,4H),3.69-3.63(m,4H),1.94-1.89(m,2H),1.87(s,3H),1.84(s,3H),1.70-1.63(m,2H)。MS-ESI計算値[M+H]+529と531、測定値529と531。
【実施例7】
【0081】
【化22】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して7bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+280、測定値280。
【0082】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して7cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+250、測定値250。
【0083】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して7を得る。1HNMR(400MHz,CD3OD)δ 8.34(br s,1H),7.99(s,1H),7.69-7.50(m,2H),7.42(brs,1H),7.24-7.14(m,1H),5.89(brd,J=8.4Hz,1H),3.90(s,5H),3.67-3.39(m,4H),2.29-1.95(m,6H),1.87(s,3H),1.84(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]+529と531、測定値529と531。
【実施例8】
【0084】
【化23】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して8bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+308、測定値308。
【0085】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して8cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+278、測定値278。
【0086】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して8を得る。1HNMR(400MHz,44)δ8.41-8.28m,1H),8.01(s,1H),7.75(d,J=8.4Hz,1H),7.64-7.53(m,1H),7.47(t,J=8.0Hz,1H),7.27-7.19(m,1H),6.20(d,J=8.4Hz,1H),3.89(s,3H),3.79-3.67(m,4H),3.58-3.44(m,4H),1.87(s,3H),1.83(s,3H),1.71-1.63(m,4H),1.62-1.54(m,4H).MS-ESI計算値[M + H]+557と559、測定値557と559。
【実施例9】
【0087】
【化24】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して9bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+266、測定値266。
【0088】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して9cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+236、測定値236。
【0089】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して9を得る。1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.21(br s,1H),7.91(s,1H),7.65(d,J=8.4Hz,1H),7.53-7.44(m,1H),7.42-7.32(m,1H),7.18-7.09(m,1H),5.79(d,J=8.4Hz,1H),3.89-3.74(m,11H),2.13(t,J=7.2Hz,2H),1.76(s,3H),1.73(s,3H)。MS-ESI計算値[M + H] +515と517、測定値515と517。
【実施例10】
【0090】
【化25】
(手順1)
実施例1の手順1を参照して10bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+294、測定値294。
【0091】
(手順2)
実施例1の手順2を参照して10cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+264、測定値264。
【0092】
(手順3)
実施例1の手順3を参照して10を得る。1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.36(brs,1H),7.97(s,1H),7.64(d,J=8.4Hz,1H),7.58-7.47(m,1H),7.43-7.34(m,1H),7.24-7.12(m,1H),5.91-5.81(m,1H),3.89(s,3H),3.80-3.64(m,4H),3.55-3.44(m,2H),3.37(s,2H),1.98-1.90(m,2H),1.85(s,3H),1.82(s,3H),1.70-1.58(m,4H). MS-ESI計算値[M + H] +543と545、測定値+543と545。
【実施例11】
【0093】
【化26】
(手順1)
11a(320mg、1.50mmol)をテトラヒドロフラン(8.0mL)に溶解し、0℃で水素ナトリウム(480mg、12.0mmol、純度60%)を加え、10分間攪拌した後、ヨウ化メチル(1.70g、12.0mmol)を加え、室温で2時間攪拌する。 水でクエンチングし、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過させ、真空で濃縮する。分取薄層クロマトグラフィープレートで残留物を分離し、精製し、11bを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ3.89(s,2H),3.86(s,2H),3.77-3.73(m,1H),3.21(s,3H),2.47-2.44(m,2H),2.09-2.04(m,2H),1.42(s,9H).
(手順2)
11b(300mg、1.32mmol)をジクロロメタン(6.0mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.51 g、13.2 mmol)を加える。室温で2時間攪拌する。反応溶液を直接濃縮して11cを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ4.09(s,2H),4.04(s,2H),3.84-3.81(m,1H),3.23(s,3H),2.64-2.59(m,2H),2.19-2.14(m,2H).
(手順3)
1g(110mg、0.583mmol)および11c(148mg、1.17mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(2.0mL)に溶解し、次に炭酸カリウム(322mg、2.33mmol)を加え、50℃で16時間攪拌する。 反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、水(2.0mL)を加え、酢酸エチル(8.0mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、飽和ブライン(10.0mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濾液を減圧濃縮する。残留物を分取薄層クロマトグラフィープレートで分離し、精製し、11dを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ8.24(d,J=8.0Hz,1H),5.77(d,J=9.2Hz,1H),4.15(s,2H),4.12(s,2H),4.03(s,3H),3.89-3.82(m,1H),3.26(s,3H),2.62-2.56(m,2H),2.23-2.18(m,2H).
(手順4)
11d(74.0mg、0.265mmol)を酢酸エチル(10.0mL)に溶解し、ウェットパラジウムカーボン(7.0mg、含有量10%)を加え、反応溶液を水素(50psi)雰囲気下25℃で8h撹拌する 。反応終了後、ろ過し、濾液を減圧濃縮して11eを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ6.87(d,J=7.6Hz,1H),5.76(d,J=8.0Hz,1H),3.92(s,3H),3.88(s,2H),3.84(s,2H),3.82-3.79(m,1H),3.24(s,3H),2.54-2.50(m,2H),2.15-2.10(m,2H),1.60(s,2H).
(手順5)
1f(85.0mg、0.269mmol)、11e(67.0mg、0.269mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(51.7mg、0.537mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(10.7mg、0.0134mmol) を反応溶液に加え、70℃で16h撹拌し反応する。反応溶液をろ過させ、蒸発乾固させ、高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、11を得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ10.82(s,1H),8.58(dd,J=4.0,8.0Hz,1H),8.16(d,J=8.4Hz,1H),8.07(s,1H),7.47(t,J=8.0Hz,1H),7.31-7.28(m,1H),7.14-7.10(m,1H),6.91(s,1H),5.82(d,J=8.4Hz,1H),3.96(s,2H),3.94(s,3H),3.92(s,2H),3.87-3.80(m,1H),3.25(s,3H),2.57-2.52(m,2H),2.18-2.13(m,2H),1.85(s,3H),1.82(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]
+529と531、測定値529と531。
【実施例12】
【0094】
【化27】
(手順1)
1g(200mg、1.06mmol)と12a(116mg、1.17mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)に溶解し、炭酸カリウム(366mg、2.65mmol)を加え、25℃で攪拌して4時間反応する。 反応終了後、水(5mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、飽和ブライン(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過させ、濾液を減圧濃縮し、残留物に石油エーテル/酢酸エチル=1/1(20mL/20mL)を加え、0.5時間撹拌し、ろ過して12bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+252、測定値252。
【0095】
(手順2)
12b(250mg、0.995mmol)を酢酸エチル(10.0mL)に溶解し、ウェットパラジウムカーボン(7.00mg、含有量10%)を加える。水素(50 psi)雰囲気下で、25℃で8h反応する。反応終了後、ろ過し、濃縮し、12cを得る。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.84(d,J=8.0Hz,1H),5.77(d,J=8.0Hz,1H),4.68(s,4H),4.09(s,2H),3.90(s,4H),3.79(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]+222、測定値222。
【0096】
(手順3)
1f(85.0mg、0.269mmol)、12c(59.5mg、0.269mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(51.7mg、0.538mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(10.7mg、0.0134mmol) を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、12を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.85(s,1H),8.58(dd,J=4.0,8.4Hz,1H),8.22(d,J=8.4Hz,1H),8.07(s,1H),7.48(t,J=8.0Hz,1H),7.32-7(m,1H),7.15-7.11(m,1H),6.94(s,1H),5.86(d,J=8.4Hz,1H),4.85(s,4H),4.12(s,4H),3.95(s,3H),1.86(s,3H),1.82(s,3H)MS-ESI計算値[M+H]+501と503、測定値501と503。
【実施例13】
【0097】
【化28】
(手順1)
1g(80mg、0.424mmol)と13a(56.5mg、0.424mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)に溶解し、炭酸カリウム(147mg、1.06mmol)を加え、50℃で攪拌して16時間反応する。反応終了後、水(5mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、飽和ブライン(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濾液を減圧濃縮し、残留物に石油エーテル/酢酸エチル= 1/1(20mL/4mL)を加え、0.5時間撹拌し、ろ過し、13bを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ8.26(d,J=8.8Hz,1H),5.80(d,J=8.8Hz,1H),4.25(s,4H),4.04(s,3H),2.87(t,J=12.0Hz,4H).MS-ESI計算値[M+H]
+286、測定値286。
【0098】
(手順2)
13b(75.0mg、0.263mmol)を酢酸エチル(10.0mL)に溶解し、ウェットパラジウムカーボン(7.00mg、含有量10%)を加える。水素(50 psi)雰囲気下で、25℃で8h反応する。反応終了後、ろ過し、濃縮し、13cを得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ6.88(d,J=8.0Hz,1H),5.79(d,J=8.0Hz,1H),3.96(s,4H),3.93(s,3H),3.31(s,2H),2.78(t,J =12.0Hz,4H).MS-ESI計算値[M+H]+256、測定値256。
【0099】
(手順3)
1f(70.0mg、0.221mmol)、13c(56.5mg、0.221mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(53.2mg、0.553mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(8.8mg、0.0111mmol)を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、13を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.83(s,1H),8.58(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.22(d,J=8.4Hz,1H),8.07(s,1H),7.48(t,J=8.0Hz,1H),7.31-7.28(m,1H),7.15-7.10(m,1H),6.95(s,1H),5.85(d,J=8.4Hz,1H),4.04(s,4H),3.94(s,3H),2.81(t,J=12.0Hz,4H),1.86(s,3H),1.82(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]+535と537、測定値535と537。
【実施例14】
【0100】
【化29】
(手順1)
1g(100mg、0.530mmol)と14a(51.5mg、0.530mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)に溶解し、炭酸カリウム(183mg、1.33mmol)を加え、50℃で攪拌して16時間反応する。 反応終了後、水(5mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、飽和ブライン(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濾液を減圧濃縮し、残留物に石油エーテル/酢酸エチル(20mL)を加え、0.5時間撹拌し、ろ過して14bを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ8.23(d,J=9.2Hz,1H),5.76(d,J=9.2Hz,1H),4.11(s,4H),4.03(s,3H),2.26(t,J=7.6Hz,4H),1.95-1.87(m,2H).
(手順2)
14b(50.0mg、0.201mmol)を酢酸エチル(10.0mL)に溶解し、ウェットパラジウムカーボン(7.00mg、含有量10%)を加える。水素(50psi)雰囲気下で、25℃で8h反応する。反応終了後、ろ過し、濃縮し、14cを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ6.87(d,J=8.0Hz,1H),5.76(d,J=8.0Hz,1H),3.93(s,3H),3.84(s,4H),3.26(s,2H),2.19(t,J=7.6Hz,4H),1.90-1.82(m,2H).
(手順3)
1f(57.0mg、0.180mmol)、14c(39.5mg、0.180mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(43.3mg、0.451mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(7.2mg、0.009mmol) を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、14を得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ10.81(s,1H),8.58(dd,J=4.4,8.2Hz,1H),8.12(d,J=8.4Hz,1H),8.06(s,1H),7.47(t,J=7.6Hz,1H),7.30-7.24(m,1H),7.13-7.09(m,1H),6.91(s,1H),5.82(d,J=8.4Hz,1H),3.93(s,3H),3.92(s,4H),2.21(t,J=7.6Hz,4H),1.91-1.88(m,2H),1.85(s,3H),1.81(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]
+499と501、測定値499と501。
【実施例15】
【0101】
【化30】
(手順1)
1g(100mg、0.530mmol)と15a(63.1mg、0.530mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)に溶解し、炭酸カリウム(183mg、1.33mmol)を加え、50℃で攪拌して16時間反応する。 反応終了後、水(5mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、飽和ブライン(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濾液を減圧濃縮し、残留物に石油エーテル/酢酸エチル(20mL/2mL)を加え、2時間撹拌し、ろ過し、15bを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ8.29(d,J=8.8Hz,1H),5.86(d,J=8.8Hz,1H),4.38(d,J=9.2Hz,2H),4.22(d,J=9.2Hz,2H),4.05(s,3H),1.60(t,J=8.4Hz,2H).
(手順2)
15b(100mg、0.369mmol)を酢酸エチル(10.0mL)に溶解し、ウェットパラジウムカーボン(7.00mg、含有量10%)を加える。水素(50 psi)雰囲気下で、25℃で8h反応する。反応終了後、ろ過し、濃縮し、15cを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ6.91(d,J=7.6Hz,1H),5.83(d,J=7.6Hz,1H),4.14(d,J=8.0Hz,2H),3.96(d,J=8.0Hz,2H),3.94(s,3H),3.33(s,2H),1.46(t,J=8.4Hz,2H).
(手順3)
1f(55.0mg、0.174mmol)、15c(42.0mg、0.174mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(41.8mg、0.435mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(6.9mg、0.009mmol) を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、15を得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ10.84(s,1H),8.58(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.24(d,J=8.4Hz,1H),8.08(s,1H),7.48(t,J=7.6Hz,1H),7.32-7.26(m,1H),7.12(t,J=7.6Hz,1H),6.97(s,1H),5.90(d,J=8.4Hz,1H),4.21(d,J=8.4Hz,2H),4.04(d,J=8.4Hz,2H),3.95(s,3H),1.86(s,3H),1.83(s,3H),1.50(t, J=8.4Hz,2H).MS-ESI計算値[M+H]
+521と523、測定値521と523。
【実施例16】
【0102】
【化31】
(手順1)
16a(300mg、1.29mmol)と塩化アンモニウム(345mg、6.45mmol)をエタノール(6.0 mL)と水(2.0 mL)に溶解し、鉄粉(720mg、12.9mmol)を加える。25℃で6時間攪拌する。反応終了後、混合物をろ過して濃縮し、濾液を酢酸エチル(5mL×3)で抽出し、水層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固させ、16bを得る。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ7.38(d,J=2.4Hz,1H),6.98(d,J=2.4Hz,1H),5.29(s,2H),3.83(s,3H).
(手順2)
16b(255mg、1.26mmol)とトリエチルアミン(152mg、1.51mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、それにジクロロメタン(5ml)に溶解したジ-tert-ブチルジカルボナート(329mg、1.51mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(154mg、1.26mmol)の混合液を加える。50℃で16h攪拌する。反応終了後、水(10mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出する。 有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濾液を減圧濃縮する。カラムクロマトグラフィーによって残留物を分離し、精製し、16cを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ8.48(s,1H),7.82(d,J=2.4Hz,1H),6.95(s,1H),3.98(s,3H),1.54(s,9H)
(手順3)
16c(90.0mg、0.297mmol)、9a(33.6mg、0.297mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(71.3mg、0.742mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(11.8mg、0.0148mmol) を反応溶液に加え、70℃で16h撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取薄層クロマトグラフィープレートで残留物を分離し、精製し、16dを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ7.66(s,1H),7.02(d,J=2.4Hz,1H),6.97(s,1H),3.93(s,3H),3.92(s,2H),3.87-3.84(m,6H),1.53(s,9H).MS-ESI計算値[M+H]
+336、測定値336。
【0103】
(手順4)
16d(75.0mg、0.224mmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.00mL)を添加し、25℃で4h撹拌する。反応溶液を直接濃縮し、16eを得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.02(d,J=2.4Hz,1H),6.64(d,J=2.4Hz,1H),4.19(s,3H),4.08(s,4H),3.98(s,2H),3.93(t,J=7.2Hz,2H),2.28(t, J=7.2Hz,2H).
(手順5)
1f(70.0mg、0.221mmol)、16e(52.0mg、0.221mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(85.1mg、0.886mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(8.8mg、0.0111mmol) を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、16を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.95(s,1H),8.59(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.17(s,1H),7.99(d,J=2.4Hz,1H),7.60(t,J=8.0Hz,1H),7.44(s,1H),7.35-7.29(m,1H),7.17-7.13(m,1H),7.03(d,J=2.8Hz,1H),3.99(s,3H),3.90(s,2H),3.85(t,J=8.0Hz,2H),3.69(s,4H),2.17(t,J=8.0Hz,2H),1.89(s,3H),1.86(s,3H).MS-ESI計算値,[M+H]+515と517、測定値515と517。
【実施例17】
【0104】
【化32】
(手順1)
16c(100mg、0.330mmol)、10a(46.6mg、0.297mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(79.3mg、0.825mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(13.1mg、0.0165mmol) を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液に水(1.0mL)を加え、酢酸エチル(5.0mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をろ過し、回転蒸発させ、薄層液体クロマトグラフィープレートで残留物を分離し、精製し、17aを得る。
1HNMR:(400MHz,CDCl
3)δ7.77(s,1H),7.08(d,J=2.8Hz,1H),6.97(s,1H),3.93(s,3H),3.76-3.66(m,4H),3.35(t,J=6.8Hz,2H),3.18(s,2H),1.92(t,J=6.8Hz,2H),1.68-1.60(m,4H),1.54(s,9H).
(手順2)
17a(45.0 mg、0.124 mmol)をジクロロメタン(3.00 mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.0 mL)を添加し、25℃で4時間撹拌する。反応溶液を直接濃縮し、17bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+264、測定値264。
【0105】
(手順3)
17b(32.0mg、0.120mmol)、1f(38.0mg、0.120mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(46.2mg、0.480mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(4.8mg、0.006mmol) を反応溶液に加え、100℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、17を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.94(s,1H),8.62(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.18(s,1H),8.07(d,J=2.4Hz,1H),7.51(t,J=8.0Hz,1H),7.38(s,1H),7.33-7.28(m,1H),7.15-7.07(m,2H),3.97(s,3H),3.76-3.68(m,2H),3.67-3.59(m,2H),3.22(t,J=6.8Hz,2H),3.05(s,2H),1.88(s,3H),1.86(s,2H),1.84(s,3H),1.63-1.59(m,4H)MS-ESI計算値,[M+H]+543と545、測定値543と545。
【実施例18】
【0106】
【化33】
(手順1)
18a(100mg、0.330mmol)、12a(32.7mg、0.297mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(79.3mg、0.825mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(13.1mg、0.0165mmol) を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液に水(3.0mL)を加え、酢酸エチル(8.0mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をろ過し、回転蒸発させ、薄層液体クロマトグラフィープレートで残留物を分離し、精製し、18aを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ7.64(s,1H),7.00(d,J=2.8Hz,1H),6.97(s,1H),4.83(s,4H),4.00(s,4H),3.93(s,3H),1.53(s,9H)MS-ESI計算値[M + H]
+322、測定値322。
【0107】
(手順2)
18a(70.0 mg、0.218 mmol)をジクロロメタン(3.00 mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.0 mL)を添加し、25℃で4時間撹拌する。反応溶液を直接濃縮して18bを得る。MS-ESI計算値[M+H]+222、測定値222。
【0108】
(手順3)
18b(48.0mg、0.218mmol)、1f(69.0mg、0.218mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(83.9mg、0.873mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(8.70mg、0.0109mmol) を反応溶液に加え、100℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、18を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.97(s,1H),8.57(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.16(s,1H),7.98(d,J=2.4Hz,1H),7.57(t,J=7.6Hz,1H),7.42(s,1H),7.36-7.30(m,1H),7.17-7.12(m,1H),6.99(d,J=2.4Hz,1H),4.80(s,4H),3.97(s,3H),3.83(s,4H),1.89(s,3H),1.86(s,3H)
MS-ESI計算値[M+H]+501と503、測定値501と503。
【実施例19】
【0109】
【化34】
(手順1)
16c(100mg、0.330mmol)、3a(42.0mg、0.330mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(79.3mg、0.825mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(13.1mg、0.0165mmol)を反応溶液に加え、70℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液に水(3.0mL)を加え、酢酸エチル(8.0mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をろ過し、回転蒸発させ、分取薄層クロマトグラフィープレートで残留物を分離し、精製し、19aを得る。
【0110】
(手順2)
19a(40.0 mg、0.114mmol)をジクロロメタン(3.00mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.0mL)を添加し、25℃で3時間撹拌する。反応溶液を直接濃縮し、19bを得る。MS-ESI計算値[M+H]+250、測定値250。
【0111】
(手順3)
1f(35.0mg、0.111mmol)、19b(27.6mg、0.111mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(42.6mg、0.443mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(4.4mg、0.006mmol) を反応溶液に加え、100℃で16h撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、19を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.95(s,1H),8.58(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.42(d,J=2.4Hz,1H),8.18(s,1H),7.54(t,J=7.6Hz,1H),7.39-7.37(m,2H),7.34-7.29(m,1H),7.16-7.12(m,1H),4.45(s,4H),3.99(s,3H),2.93-2.90(m,4H),1.96-1.93(m,4H),1.88(s,3H),1.85(s,3H)
【実施例20】
【0112】
【化35】
(手順1)
20a(1.24g、7.82mmol)およびトリエチルアミン(949mg、9.38mmol)をジクロロメタン(10.0mL)に溶解し、ジ-tert-ブチルジカルボナート(2.05g、9.38mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(955 mg、7.82 mmol)のジクロロメタン溶液(10.0 mL)を反応溶液に加え、50℃で16時間撹拌して反応させる。反応終了後、水(20mL)を加え、ジクロロメタン(20.0mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濾液を減圧濃縮する。カラムクロマトグラフィーによって残留物を分離し、精製し、20bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+259と261、測定値259と261。
【0113】
(手順2)
20b(120.0mg、0.464mmol)、9a(52.5mg、0.464mmol)、1,1’-ビナフチル-2,2'-ビスジフェニルホスフィン(28.9mg、0.046mmol)およびtert-ブトキシドナトリウム(111mg、1.16mmol)を1,4-ジオキサン(2.00mL)に溶解し、窒素保護下で酢酸パラジウム(5.2mg、0.023 mmol)を反応溶液に加え、110℃で16時間撹拌し反応する。 水(1mL)を加え、酢酸エチル(5mL×3)で抽出する。 有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濾液を減圧濃縮する。残留物を分取薄層クロマトグラフィーで分離し、精製し、20cを得る。MS-ESI計算値[M+H]+336、測定値336。
【0114】
(手順3)
20c(60.0 mg、0.179 mmol)をジクロロメタン(3.00 mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.0 mL)を添加し、25℃で3時間撹拌する。反応溶液を直接濃縮して20dを得る。MS-ESI計算値[M+H]+236、測定値236。
【0115】
(手順4)
1f(55.0mg、0.174mmol)、20d(40.9mg、0.174mmol)とtert-ブチルアルコキシドナトリウム(66.9mg、0.696mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(6.9mg、0.0087mmol) を反応溶液に加え、100℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固させ、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、20を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.99(s,1H),8.56(dd,J=4.4,8.0Hz,1H),8.17(s,1H),7.86-7.85(m,1H),7.81-7.80(m,1H),7.62(s,1H),7.55(t,J=8.0Hz,1H),7.36-7.29(m,1H),7.22-7.15(m,1H),4.07(s,4H),3.95(s,2H),3.88(t,J=6.8Hz,2H),3.72(s,3H),2.21(t,J=6.8Hz,2H),1.88(s,3H),1.84(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]+515と517、測定値515と517。
【実施例21】
【0116】
【化36】
(手順1)
20b(100.0mg、0.387mmol)、14a(37.5mg、0.387mmol)、1,1’-ビナフチル-2,2'-ビスジフェニルホスフィン(24.1mg、0.039mmol)およびtert-ブトキシドナトリウム(92.9mg、0.966mmol)を1,4-ジオキサン(2.00mL)に溶解し、窒素保護下で酢酸パラジウム(3.4mg、0.023 mmol)を反応溶液に加え、110℃で16時間撹拌し反応する。水(2mL)を加え、酢酸エチル(5mL×3)で抽出する。 有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濾液を減圧濃縮する。残留物を分取薄層クロマトグラフィーで分離し、精製し、21aを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ7.83(d,J=5.6Hz,1H),7.45(d,J=5.6Hz,1H),7.12(s,1H),4.01(s,4H),3.66(s,3H),2.20(t,J=7.2Hz,4H),1.91-1.83(m,2H),1.53(s,9H).
(手順2)
21a(55.0 mg、0.172 mmol)をジクロロメタン(3.00mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.0mL)を添加し、25℃で3時間撹拌する。反応溶液を直接濃縮して21bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+220、測定値220。
【0117】
(手順3)
21b(36.9mg、0.111mmol)、1f(35.0mg、0.111mmol)およびtert-ブチレートナトリウム(42.6mg、0.443mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2 -ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム (II)(4.4 mg、0.0055 mmol)を反応溶液に加え、90℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固し、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、21を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.88(s,1H),8.48(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.08(s,1H),7.73-7.70(m,2H),7.55(s,1H),7.47(t,J=8.0Hz,1H),7.27-7.22(m,1H),7.12-7.08(m,1H),3.97(s,4H),3.62(s,3H),2.14(t,J=7.8Hz,4H),1.84-1.82(m,1H),1.80(s,3H),1.78-1.77(m,1H),1.76(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]+499と501、測定値499と501。
【実施例22】
【0118】
【化37】
(手順1)
21b(100mg、0.387mmol)、12a(38.3mg、0.387mmol)、1,1’-ビナフチル-2,2’-ビスジフェニルホスフィン(24.1mg、0.039mmol)およびtert-ブトキシドナトリウム(92.9mg、0.966mmol)を1,4-ジオキサン(2.00mL)に溶解し、窒素保護下で酢酸パラジウム(3.4mg、0.023 mmol)を反応溶液に加え、110℃で16時間撹拌し反応する。水(3mL)を加え、酢酸エチル(6mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過させ、濾液を減圧濃縮する。 残留物を分取薄層クロマトグラフィーによって分離し、精製し、22aを得る。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ7.84(d,J=5.6Hz,1H),7.51(d,J=5.6Hz,1H),7.12(s,1H),4.85(s,4H),4.21(s,4H),3.66(s,3H),1.54(s,9H).
(手順2)
22a(100mg、0.311mmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解し、0℃でトリフルオロ酢酸(1.0mL)を添加し、25℃で3時間撹拌する。反応溶液を直接濃縮し、22bを得る。MS-ESI計算値[M+H]
+222、測定値222。
【0119】
(手順3)
22b(63.0 mg、0.285mmol)、1f(90.0mg、0.111mmol)およびtert-ブチレートナトリウム(109mg、1.14mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、窒素保護下で(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(11.3mg、0.014 mmol)を反応溶液に加え、100℃で16時間撹拌し反応する。反応溶液をろ過し、蒸発乾固し、分取高性能液体クロマトグラフィーによって精製し、22を得る。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ10.98(s,1H),8.55(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),8.16(s,1H),7.88-7.83(m,1H),7.82-7.76(m,1H),7.61(s,1H),7.55(t,J=7.6Hz,1H),7.35-7.30(m,1H),7.20-7.16(m,1H),4.86(s,4H),4.24(s,4H),3.70(s,3H),1.87(s,3H),1.84(s,3H).MS-ESI計算値[M+H]+501と503、測定値501と503。
【0120】
試験例1:invitroでのLRRK2キナーゼ阻害活性の評価
試験目的:リン酸化Fluorescein-ERM(LRRKtide)peptideリン酸基とLanthaScreen(R)RTb-pERM(pLRRKtide)抗体の組み合わせによって生成されるエネルギー信号伝達(520nM/485nM蛍光信号比)を均一な時間分解蛍光によって検出し、試験化合物のLRRK2キナーゼ阻害IC50値を計算する。
【0121】
試験材料:
1.反応溶液:10mMヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(PH7.5);2mM塩化マグネシウム;0.5mMエチレングリコールジエチルエーテルジアミン四酢酸; 0.002%ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル;1mMジチオスレイトールおよび 1%DMSO;
2.試験溶液:TR-FRET Dilution Buffer
3.LRRK2ヒト組換えタンパク質:GSTタグを使用して、バキュロウイルスを含む昆虫Sf9細胞で組換え完全長ヒトLRRK2タンパク質を発現させる。
【0122】
4.基質:0.4uM Fluorescein-ERM(LRRKtide)peptide;57uMATP。
【0123】
試験方法:
均一な時間分解蛍光技術(HTRF)
485nMと520nMの間のFluorescein-ERM(LRRKtide)peptideペプチドとLanthaScreen(R)RTb-pERM(pLRRKtide)抗体の共鳴エネルギー移動。
【0124】
試験手順:
1、Echo550ナノリミットレベルの非接触型ソニックピペッティングシステムを介して試験化合物のDMSO溶液を加える。
【0125】
2、酵素とペプチドの混合溶液を新たに調製した反応溶液で調製し、それを反応キャビティに加え、室温で20分間培養する。
【0126】
3、57uMATPを追加して反応を開始し、室温で90分間反応させる。
【0127】
4、検出システム(Fluorescein-ERM(LRRKtide)peptide)ペプチド、LanthaScreen(R)RTb-pERM(pLRRKtide)Antibody抗体および10mMエチレンジアミン四酢酸)を追加し、室温で60分間反応させ、Em/Ex520 / 485を使用して蛍光信号を検出する。
【0128】
5、信号比によってDMSOブランクに対する相対的な酵素活性阻害を計算し、ソフトウェアXlfit5フィッティング曲線を利用してIC50値を計算する。
【0129】
試験結果:
【0130】
【表1】
試験例2:invitroでのLRRK2細胞(pSer935)阻害活性の評価
細胞準備:
1、細胞解凍
293T細胞を液体窒素から取り出し、37℃の水中に置く。氷が完全に溶けたら、細胞を5mlの温かい培養液に移し、遠心分離して上清を捨て、懸濁した細胞を新しい細胞として培地中で培養する。
【0131】
2、細胞培養と継代
293T細胞を培地中で2~3日間培養する。
【0132】
3、細胞凍結
培養細胞株を新鮮な培養液に入れ、濃度を1*10^7に希釈し、同量の培養液と混合する。それぞれ1mLに均等に分割し、-80℃で1日置き、液体窒素に移して保存する。
【0133】
試験手順:
1、(1回目)293T細胞播種
培養用プレートに1.4×10^6/293T細胞を植える。2日間の培養後、細胞数は5×10^6に成長する可能性があるため、N96ウェルプレートでの実験にはN+1プレートで十分である。
2、(2回目)293T細胞のトランスフェクション
一、5μl0.5μg/μlのpcmv-flag- lrrk2を145μlのDMEM培養液に加え、ピペットで完全に混合する。
【0134】
二、15μlのトランスフェクション試薬を加え、ピペットで完全に混合する。
【0135】
三、室温で10分間平衡化する。
【0136】
四、あらかじめ温めておいた細胞培養液0.5mlを加え、完全に混合する。
【0137】
五、混合物650μlを6ウェルプレートに滴下し、完全に攪拌する。
【0138】
六、培養用プレートは、37℃の5%二酸化炭素含有の加湿インキュベーター内で20~24時間培養する。
【0139】
3.(3日目)293T細胞を96ウェルプレートに植える
4.(4日目)阻害剤処理
一、遠心機で化合物を処理する。
【0140】
二、55μlの細胞培地を阻害剤プレートに加える。プレートを37℃条件下で予熱する。
【0141】
三、50μlの阻害剤含有細胞を細胞培養用プレートに移す。
【0142】
四、培養用プレートは、37℃の5%二酸化炭素含有の加湿インキュベーター内で20~24時間培養する。
【0143】
五、スポイトを使用して、300μlの阻害剤含有の培養液を吸引し、200μlを取り、100μlの分解剤を加え、プレートを密封し、4℃で30分間振とうする。
【0144】
六、プレートは、使用するまで-20℃で保存する。
【0145】
5、(5番目)MDS手順
一、2μg/25μl/標識抗体をMSDプレートに加え、2時間培養する(50μl 3.9μg/μl Flag抗体+2.5 mlウシ胎児血清/プレート)。10秒間遠心する(1000rpm)。
【0146】
二、標識抗体を捨て、300μl/洗浄緩衝液で低速かつ複数のポイントで2回洗浄する。
【0147】
三、50μl/ブロックの緩衝液を加え、2時間培養する。
【0148】
四、緩衝液を捨て、300μl/洗浄緩衝液で手動で2回洗浄する。
【0149】
五、12.5μlの溶解緩衝液と12.5μlの細胞溶解液をMSDプレートに移し、室温で1時間培養する。
【0150】
六、溶解液を捨て、300μl/洗浄緩衝液で複数のポイントおよび低速で3回洗浄する。
【0151】
七、ps935(1:200)抗体を希釈し、25μl/抗体を加え、室温で1時間培養する。
【0152】
八、第1抗体を捨て、300μl/洗浄緩衝液で複数のポイントおよび低速で3回洗浄する。
【0153】
九、ヤギ抗ウサギ抗体を1:500に希釈し、25μl/抗体をインキュベーションプレートに加え、室温で1時間培養する。
【0154】
十、第2抗体を捨て、300μl/洗浄緩衝液で複数のポイントおよび低速で3回洗浄する。最後の洗浄緩衝液はMSDリーダーに加える。
【0155】
十一、データを2回収集する。
【0156】
十二、最後の洗浄液を捨て、読み取るウェルプレートに150μl/2倍の緩衝液を加える。
【0157】
十三、培養の約3分後、15分でデータを読み取る。
試験結果:
【0158】
【表2】
結論:本発明の化合物は、有意なLRRK2酵素および細胞(pSer935)阻害活性を有する。
【0159】
試験例3:化合物薬物動態評価
試験目的:C57BL/6マウスにおける化合物の薬物動態---脳組織と血漿薬物濃度比を研究
試験材料:C57BL/6マウス(オス、8週齢、体重25g~30g)
試験手順:
経口投与後の化合物のげっ歯類の薬物動態特性は、標準的なプロトコルによって試験する。実験では、候補化合物は1mg/mL懸濁液として調製され、マウスに単回経口投与する。経口溶媒は、10%ジメチルスルホキシド/10%Tween 80/20%ポリエチレングリコール400水溶液である。この試験は、C57BL / 6マウスを使用し、強制経口投与し、投与量は5 mg / kgである。投与後0.5、1、2、4時間で、脳全体のデーターを収集する。組織試料を15mMウシの胎児血清[ウシ胎児血清(pH=7.4)緩衝液:メタノール(体積比、2:1)]でホモジナイズし、ホモジナイズ比は1:5(w:v)、ホモジネートを2つのアリコートに分割する。1つは分析用、もう1つは保存しておく。また、投与0.5、1、2、4h後に血漿を採取し、30分以内に血漿試料を採取した30分内で、約4℃、3000g、15分で遠心処理して上清を分離し、血漿試料を得る。血漿試料はポリプロピレンチューブに保存し、乾燥氷上で急速に凍結し、LC/MS/MS分析まで-80℃で保存する。内部標準を含むアセトニトリル溶液を加えてタンパク質を沈殿させ、よく混合し、遠心分離して上澄み液を注入し、LC-MS / MS分析法によって血中薬物濃度を定量的に分析し、ピーク濃度(Cmax)、半減期(T1/2)、ピーク到達時間(Tmax)、異なる組織薬物濃度(AUC0-last)、脳組織および血漿薬物濃度比(B/P)などの薬物動態パラメーターを計算する。
【0160】
マウスにおける本発明の実施例の薬物動態パラメータを以下の表3に示す。
【0161】
【表3】
結論:本発明の化合物は、良好な脳組織薬物濃度ならびに脳組織および血漿薬物濃度比(B/P)を含む、良好な生体内薬物動態特性を有する。
【0162】
試験例4:生体内薬物効果試験
試験目的:化合物は、マウス脳組織におけるLRRK2のリン酸化、および末梢血単核細胞(PBMC)におけるLRRK2およびRab10のリン酸化阻害効果を確認する。
【0163】
試験材料:
動物:C57BL/6Jマウス(オス、6~7週齢、体重20g~22g)。
【0164】
試験過程:
1、群決定:すべてのマウスの体重を試験の前日に測定し、体重に応じてランダムに6つの群に分ける。各群には4つのマウスがあり、各群の平均体重が一定になるように、過体重と過小体重のマウスを除去する。試験の群は以下の表4に示す。合計6つの群であり、すなわちブランク対照群(群1、n=4、溶媒)、陽性対照薬(群2~3、n=4、GNE-7915およびMLi-2)、 試験薬実施例11(群4~6、n=4,11)。
【0165】
【表4】
溶媒:10%ジメチルスルホキシド/10%Tween 80/20%ポリエチレングリコール400水溶液
2.試験手順:
2.1投薬と組織収集
各群の動物に、表4の設計に従って、溶媒または試験化合物を時間の順で2分ごとに経口投与する。投与1時間後、すべての動物を時間の順でCO
2で安楽死させ、600μlの全血を心臓穿刺により採取してEDTA-K2含有の抗凝固チューブに注入し、100μlの全血を分離し、4℃、8000rpmで10分間遠心分離する。血漿を分離し、液体窒素で凍結した後、次の研究のために乾燥氷に移す。残りの血液は、細胞分離溶液の密度勾配遠心によって末梢血単核細胞(PBMC)を分離する。同時に、動物の脳、肺、腎臓組織を採取し、乾燥氷で凍結した後、-80℃雰囲気に移す。
【0166】
2.2末梢血単核細胞(PBMC)の分離
各群の残りの血液試料(500μl)に2倍量(1mL)のウシ胎児血清を加え、緩やかに混合し、3mLの分離溶液を50ml遠心チューブに加え、希釈した血液試料を遠心溶液の上層液面に緩やかに加え、800g、室温で20分間遠心分離し、上昇速度と下降速度はすべて0である。遠心分離後、3層が表示される。上層は血漿、中間層は分離液、下層は赤血球である。血漿と分離液の間に雲層があり、雲層を新しい15mL遠心チューブに緩やかに吸引し、ウシの胎児血清を加えて8mLに希釈し、800g、4℃、5分間遠心する。上清を捨て、上清がきれいに吸引されていることを確認し、各チューブに1mLのACK赤血球溶解物を加え、室温で10分間放置する。 10分後、ウシの胎児血清を10mLに加え、よく混合し、800g、4℃、5分間で遠心分離する。上清を廃棄し、1mlのウシ胎児血清を加えて再懸濁し、混合する。50μlの細胞溶液を吸引し、450μlのウシ胎児血清細胞を加えてカウントする。 すべての試料をカウントした後、800g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨て、細胞をドライアイスに挿入して急速冷凍し、-80℃冷蔵庫に保存する。
【0167】
2.3薬効確認
(1)BCA法による脳組織試料のタンパク質定量後、同量のタンパク質試料を4~15%勾配のプレキャストゲルになるまで添加する。
【0168】
(2)末梢血単核細胞(PBMC)の細胞数に応じて、対応する量のSDS Lysis緩衝液を加え、すべての試料は、4~15%プレキャストゲルになるまで同量の13μlを加える。
【0169】
(3)200V電圧で30minのタンパク質電気泳動を行い、次にMidi PVDF Transfer Packで7 minメンブレンに転写し、次にTBSBlockerで室温で1時間密封する。
【0170】
(4)スキムミルクパウダーを使用して5%ミルクを調製し、次に抗体p-LRRK2(1:250の比率で20μlの抗体を 5mlの5%のスキムミルクに添加する)、total-LRRK2(1:500の比率で10μlの抗体を5mlの5%スキムミルクに添加する)、p-Rablo(1:500の比率で10mlの抗体を5μlの5%スキムミルクに添加する)およびp-actin(1:1000の比率で、5μlの抗体を5mlの5%ミルクに添加する)を調製し、一晩培養する。
【0171】
(5)一次抗体を回収し、TBSで膜を3回、毎回10分間洗浄する。
【0172】
(6)抗ウサギ二次抗体(1:2000の比率で5μlの抗体を10mlの5%ミルクに加える)を室温で1時間密封し、膜をTBSで3回洗浄した後、カラーバンドを発色させる。
【0173】
3試験結果
3.1脳組織ウェスタンブロット試験(Western Blot)の結果を
図1に示す。
【0174】
3.2末梢血単核細胞(PBMC)のウェスタンブロットの結果を
図2に示す。
【0175】
結論:本発明の化合物は、マウス脳組織におけるLRRK2のリン酸化に対して有意な阻害効果を有し、3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgの用量でのLRRK2のリン酸化の阻害は、用量依存的な傾向を示す。3mpkの用量でのLRRK2のリン酸化に対する本発明の化合物の阻害度は、10mg/kgの用量での参照化合物GNE-7915によるLRRK2のリン酸化の阻害と同等である。マウス末梢血単核細胞(PBMC)において、本発明の化合物は、LRRK2およびその下流タンパク質Rab10のリン酸化レベルに対して有意な阻害効果を有する。3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgの用量でのLRRK2のリン酸化の阻害は、用量依存的傾向を示す。本発明の化合物は、10mg/kgの用量でLRRK2およびRab10のリン酸化を阻害する点で、参照化合物GNE-7915よりも優れている。
【0176】
この出願は、次の優先権を主張する。CN201810360120.0、出願日2018年4月20日。