(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】診断支援装置、診断支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20220909BHJP
【FI】
A61B1/045 618
(21)【出願番号】P 2021506837
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2019011102
(87)【国際公開番号】W WO2020188682
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 達喜
(72)【発明者】
【氏名】窪田 明広
(72)【発明者】
【氏名】神田 大和
(72)【発明者】
【氏名】木村 光隆
(72)【発明者】
【氏名】北村 誠
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/016912(WO,A1)
【文献】特開2012-152279(JP,A)
【文献】特開2011-212094(JP,A)
【文献】特開2002-165757(JP,A)
【文献】特開2012-249956(JP,A)
【文献】特開2012-157384(JP,A)
【文献】特開2016-7354(JP,A)
【文献】国際公開第2016/151711(WO,A1)
【文献】特表2018-517188(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039259(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の診断対象の臓器の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報、及び、前記診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像のうちの少なくとも一方に基づき、前記診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行うように構成された異常症状特定部と、
前記内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として、前記診断対象の臓器において現れ得る異常症状毎に特化された異なる処理を行う複数の病変抽出部を有して構成された病変抽出機能部と、
前記複数の病変抽出部の中から前記異常症状特定部により特定された前記一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、前記一の病変抽出部において前記病変抽出処理を行わせるための制御を前記病変抽出機能部に対して行うように構成された病変抽出機能制御部と、
を有することを特徴とする診断支援装置。
【請求項2】
前記身体情報には、前記診断対象の臓器に係る検査を行って得られた検査結果を示す情報、前記診断対象の臓器における治療歴を示す情報、前記診断対象の臓器に係る薬剤の服用歴を示す情報、及び、前記被検者の自覚症状の有無を示す情報のうちの少なくとも1つが含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項3】
前記異常症状特定部は、さらに、前記一の異常症状における病変リスクの大きさを特定するための処理を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項4】
前記病変抽出機能制御部は、前記異常症状特定部により特定された前記病変リスクの大きさに応じた感度を設定するための処理を行うとともに、前記一の病変抽出部において前記感度による前記病変抽出処理を行わせるための制御を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項5】
前記異常症状特定部は、さらに、前記一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非を特定するための処理を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項6】
前記病変抽出機能部は、前記病変抽出処理として、前記診断対象の臓器において現れ得る特定の異常症状に特化されていない処理を行う他の病変抽出部をさらに有して構成されており、
前記病変抽出機能制御部は、前記異常症状特定部により前記一の異常症状が特定されなかった場合に、前記他の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、前記他の病変抽出部において前記病変抽出処理を行わせるための制御を前記病変抽出機能部に対して行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項7】
前記異常症状特定部は、さらに、前記内視鏡画像に含まれる前記診断対象の臓器の解剖学的部位に相当する観察対象部位を特定するための処理と、前記観察対象部位に現れている前記一の異常症状に応じた病変リスクの大きさを特定するための処理と、を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項8】
前記病変抽出機能制御部は、前記異常症状特定部により特定された前記病変リスクの大きさに応じた感度を設定するための処理を行うとともに、前記一の病変抽出部において前記感度による前記病変抽出処理を行わせるための制御を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の診断支援装置。
【請求項9】
前記内視鏡画像と、前記一の病変抽出部により抽出された前記病変候補領域の位置を示す情報と、を併せて表示装置に表示させるための処理を行うように構成された表示制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項10】
前記一の異常症状に対して前記特殊光観察への切替を推奨することを検出した場合に、前記内視鏡画像と、前記一の病変抽出部により抽出された前記病変候補領域の位置を示す情報と、前記特殊光観察の実施を促す情報と、を併せて表示装置に表示させるための処理を行うように構成された表示制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項5に記載の診断支援装置。
【請求項11】
前記病変抽出機能制御部は、ユーザの指示に応じて感度を設定するための処理を行うとともに、前記一の病変抽出部において前記感度による前記病変抽出処理を行わせるための制御を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項12】
異常症状特定部が、被検者の診断対象の臓器の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報、及び、前記診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像のうちの少なくとも一方に基づき、前記診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行い、
病変抽出機能部における複数の病変抽出部が、前記内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として、前記診断対象の臓器において現れ得る異常症状毎に特化された異なる処理を行い、
病変抽出機能制御部が、前記複数の病変抽出部の中から前記異常症状特定部により特定された前記一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において前記病変抽出処理を行わせるための制御を前記病変抽出機能部に対して行う
ことを特徴とする診断支援方法。
【請求項13】
コンピュータに、
被検者の診断対象の臓器の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報、及び、前記診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像のうちの少なくとも一方に基づき、前記診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理と、
前記内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として前記診断対象の臓器において現れ得る異常症状毎に特化された異なる処理を行う複数の病変抽出部の中から、前記一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理と、
前記一の病変抽出部において前記病変抽出処理を行わせるための処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断支援装置、診断支援方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡検査においては、生体組織等の被写体を撮像して得られた画像内に存在する病変部の診断に用いられる情報である診断支援情報を医師等のユーザに提示するための技術として、例えば、コンピュータ診断支援(Computer-Aided Diagnosis:CAD)に係る技術が従来知られている。そして、例えば、日本国特開2011-212094号公報には、CADに係る技術を用いて構成されたシステム等が提案されている。
【0003】
具体的には、日本国特開2011-212094号公報には、種類の異なる複数の病変をそれぞれ抽出可能な複数の病変抽出部を備えたシステムにおいて、患者情報に基づいて診断情報を取得し、当該診断情報における確定診断の有無の判別結果に応じた一の病変抽出部を当該複数の病変抽出部の中から選択し、当該一の病変抽出部により抽出された病変を表示する構成が開示されている。
【0004】
しかし、日本国特開2011-212094号公報には、診断対象の臓器における病変の抽出精度に対して影響を及ぼす要因を考慮しつつ、複数の病変抽出部の中から一の病変抽出部を選択するための手法について特に開示等されていない。そのため、日本国特開2011-212094号公報に開示された構成によれば、例えば、診断対象の臓器が被検者の病歴等に応じた組織学的な影響を受けることにより当該診断対象の臓器において病変の検出を妨げる要因が発生した場合に、当該診断対象の臓器における病変の抽出精度が低下してしまう、という課題が存在している。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、診断対象の臓器における病変の抽出精度を確保することが可能な診断支援装置、診断支援方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の診断支援装置は、被検者の診断対象の臓器の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報、及び、前記診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像のうちの少なくとも一方に基づき、前記診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行うように構成された異常症状特定部と、前記内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として、前記診断対象の臓器において現れ得る異常症状毎に特化された異なる処理を行う複数の病変抽出部を有して構成された病変抽出機能部と、前記複数の病変抽出部の中から前記異常症状特定部により特定された前記一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、前記一の病変抽出部において前記病変抽出処理を行わせるための制御を前記病変抽出機能部に対して行うように構成された病変抽出機能制御部と、を有する。
【0007】
本発明の一態様の診断支援方法は、異常症状特定部が、被検者の診断対象の臓器の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報、及び、前記診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像のうちの少なくとも一方に基づき、前記診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行い、病変抽出機能部における複数の病変抽出部が、前記内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として、前記診断対象の臓器において現れ得る異常症状毎に特化された異なる処理を行い、病変抽出機能制御部が、前記複数の病変抽出部の中から前記異常症状特定部により特定された前記一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において前記病変抽出処理を行わせるための制御を前記病変抽出機能部に対して行う。
【0008】
本発明の一態様のプログラムは、コンピュータに、被検者の診断対象の臓器の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報、及び、前記診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像のうちの少なくとも一方に基づき、前記診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理と、前記内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として前記診断対象の臓器において現れ得る異常症状毎に特化された異なる処理を行う複数の病変抽出部の中から、前記一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理と、前記一の病変抽出部において前記病変抽出処理を行わせるための処理と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る診断支援装置を含む内視鏡システムの要部の構成を示す図。
【
図2】第1の実施形態に係る診断支援装置の構成の具体例を説明するためのブロック図。
【
図3】第1の実施形態に係る診断支援装置の処理において用いられるテーブルデータの一例を示す図。
【
図4】第1の実施形態に係る診断支援装置の処理に応じて表示される表示画像の一例を示す図。
【
図5】第1の実施形態の変形例に係る診断支援装置の処理において用いられるテーブルデータの一例を示す図。
【
図6】第1の実施形態の変形例に係る診断支援装置の処理に応じて表示される表示画像の一例を示す図。
【
図7】第2の実施形態に係る診断支援装置の構成の具体例を説明するためのブロック図。
【
図8】第2の実施形態に係る診断支援装置の処理に応じて表示される表示画像の一例を示す図。
【
図9】第3の実施形態に係る診断支援装置の構成の具体例を説明するためのブロック図。
【
図10】第3の実施形態に係る診断支援装置の処理において用いられるテーブルデータの一例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0011】
(第1の実施形態)
図1から
図6は、第1の実施形態に係るものである。
【0012】
内視鏡システム1は、
図1に示すように、内視鏡11と、本体装置12と、診断支援装置13と、表示装置14と、を有して構成されている。
図1は、実施形態に係る診断支援装置を含む内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0013】
内視鏡11は、例えば、被検体内に挿入可能な細長形状の挿入部(不図示)と、当該挿入部の基端部に設けられた操作部(不図示)と、を具備して構成されている。また、内視鏡11は、例えば、操作部から延びるユニバーサルケーブル(不図示)を介し、本体装置12に対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、内視鏡11の内部には、例えば、本体装置12から供給される照明光を導光して挿入部の先端部から出射するための光ファイバ等の導光部材(不図示)が設けられている。また、内視鏡11の挿入部の先端部には、撮像部111が設けられている。
【0014】
撮像部111は、例えば、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサのような撮像素子を具備して構成されている。また、撮像部111は、内視鏡11の挿入部の先端部を経て出射された照明光により照明された被写体からの戻り光を撮像し、当該撮像した戻り光に応じた撮像信号を生成して本体装置12へ出力するように構成されている。
【0015】
本体装置12は、内視鏡11及び診断支援装置13のそれぞれに対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、本体装置12は、例えば、
図1に示すように、光源部121と、画像生成部122と、入力I/F(インタフェース)123と、制御部124と、記憶媒体125と、を有して構成されている。
【0016】
光源部121は、例えば、LED等のような1つ以上の発光素子を具備して構成されている。具体的には、光源部121は、例えば、青色光(以降、B光とも称する)を発生する青色LEDと、緑色光(以降、G光とも称する)を発生する緑色LEDと、赤色光(以降、R光とも称する)を発生する赤色LEDと、を有して構成されている。また、光源部121は、例えば、B光及びG光の波長帯域を光学フィルタ等で制限することにより、415nm付近にピーク波長を有する狭帯域光に相当するBN光と、540nm付近にピーク波長を有する狭帯域光に相当するGN光と、を発生することができるように構成されている。また、光源部121は、制御部124の制御に応じた照明光を発生して内視鏡11に供給することができるように構成されている。
【0017】
画像生成部122は、内視鏡11から出力される撮像信号に基づいて内視鏡画像を生成し、当該生成した内視鏡画像を診断支援装置13へ1フレームずつ順次出力することができるように構成されている。
【0018】
入力I/F123は、ユーザの操作に応じた指示及び情報等を入力することが可能な1つ以上のスイッチ及び/またはボタンを具備して構成されている。具体的には、入力I/F123は、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報を入力することができるように構成されている。また、入力I/F123には、内視鏡11による観察を行う際の観察モードを、B光、G光及びR光が照明光として照射された被写体を観察する白色光観察モードと、BN光及びGN光が照明光として照射された被写体を観察する特殊光観察(狭帯域光観察)モードと、のうちのいずれかに設定するための指示を行うことが可能な観察モード切替スイッチが設けられている。また、入力I/F123には、現在観察中の内視鏡画像から異常所見の検出を行う旨の指示(以降、異常所見検出指示と略記する)を行うことが可能な異常所見検出指示スイッチが設けられている。なお、前述の観察モード切替スイッチ及び/または異常所見検出指示スイッチは、本体装置12の入力I/F123に設けられているものに限らず、例えば、内視鏡11の操作部に設けられていてもよい。
【0019】
制御部124は、入力I/F123において入力された指示に基づき、内視鏡11及び本体装置12の各部の動作に係る制御を行うように構成されている。また、制御部124は、入力I/F123において入力された指示を診断支援装置13へ出力するための動作を行うことができるように構成されている。また、制御部124は、入力I/F123において入力された身体情報等の情報を診断支援装置13へ出力するための動作を行うことができるように構成されている。
【0020】
本実施形態においては、本体装置12の画像生成部122及び制御部124が、個々の電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態においては、例えば、本体装置12が1つ以上のプロセッサ(CPU等)を具備して構成されていてもよい。また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、コンピュータが、画像生成部122及び制御部124の機能を実行させるためのプログラムをメモリ等の記憶媒体125から読み込むとともに、当該読み込んだプログラムに応じた動作を行うようにしてもよい。
【0021】
診断支援装置13は、例えば、1つ以上のプロセッサ131と、記憶媒体132と、を有するコンピュータとして構成されている。また、診断支援装置13は、本体装置12及び表示装置14のそれぞれに対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、診断支援装置13は、本体装置12から出力される指示及び/または情報に基づき、本体装置12から出力される内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理を行うように構成されている。なお、前述の病変候補領域は、例えば、良性腫瘍または悪性腫瘍のような異常所見を含む領域として抽出されるものとする。また、診断支援装置13は、前述の病変抽出処理により抽出した病変候補領域の位置を示す視覚情報を内視鏡画像に対して付加することにより表示画像を生成し、当該生成した表示画像を表示装置14へ出力するように構成されている。また、診断支援装置13は、例えば、
図2に示すように、異常症状特定部13Aと、病変抽出機能制御部13Bと、病変抽出機能部13Cと、表示制御部13Dと、を有して構成されている。
図2は、第1の実施形態に係る診断支援装置の構成の具体例を説明するためのブロック図である。
【0022】
異常症状特定部13Aは、本体装置12から出力される身体情報に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行うように構成されている。また、異常症状特定部13Aは、前述の処理により特定した一の異常症状を示す情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力するように構成されている。
【0023】
病変抽出機能制御部13Bは、異常症状特定部13Aから出力される情報に基づき、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から当該情報に含まれる一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うように構成されている。また、病変抽出機能制御部13Bは、前述の処理により選択した一の病変抽出部において病変抽出処理を行わせるための制御を行うように構成されている。
【0024】
病変抽出機能部13Cは、複数の病変抽出部LESと、病変抽出部LESYと、を有して構成されている。
【0025】
複数の病変抽出部LESは、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として、当該診断対象の臓器において現れ得る異常症状毎に特化された異なる処理を行うように構成されている。
【0026】
病変抽出部LESYは、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための病変抽出処理として、当該診断対象の臓器において現れ得る特定の異常症状に特化されていない処理を行うように構成されている。
【0027】
病変抽出機能部13Cは、病変抽出機能制御部13Bの制御に応じ、複数の病変抽出部LESの中から選択された病変抽出部LESX、または、当該病変抽出部LESXの代わりに選択された病変抽出部LESYのいずれかにおいて、本体装置12から出力される内視鏡画像から病変候補領域を抽出するための処理に相当する病変抽出処理を行うように構成されている。また、病変抽出機能部13Cは、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYの病変抽出処理により抽出された病変候補領域の位置を特定可能な情報を表示制御部13Dへ出力するように構成されている。
【0028】
表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に基づき、本体装置12から出力される内視鏡画像における病変候補領域の位置を特定するとともに、当該特定した病変候補領域の位置を示す視覚情報を生成するための処理を行うように構成されている。また、表示制御部13Dは、前述の視覚情報を内視鏡画像に付加することにより表示画像を生成するとともに、当該生成した表示画像を表示装置14へ出力するための処理を行うように構成されている。
【0029】
本実施形態においては、診断支援装置13の少なくとも一部の機能が、プロセッサ131により実現されるようにすればよい。また、本実施形態においては、診断支援装置13の少なくとも一部が、個々の電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、コンピュータが、診断支援装置13の少なくとも一部の機能を実行させるためのプログラムをメモリ等の記憶媒体132から読み込むとともに、当該読み込んだプログラムに応じた動作を行うようにしてもよい。
【0030】
表示装置14は、診断支援装置13に対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、表示装置14は、モニタ等を具備し、診断支援装置13から出力される表示画像を表示することができるように構成されている。
【0031】
続いて、本実施形態の作用について説明する。なお、以降においては、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器が胃である場合を例に挙げて説明する。また、以降においては、内視鏡11による観察を行う際の観察モードが白色光観察モードに予め設定されているものとして説明する。
【0032】
術者等のユーザは、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、入力I/F123を操作することにより、内視鏡検査を受ける被検者の身体情報として、当該被検者の胃の状態を推定可能な1つ以上の情報を入力する。
【0033】
具体的には、ユーザは、内視鏡検査を受ける被検者の身体情報として、例えば、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)検査の検査結果、ペプシノゲン検査の検査結果、ピロリ菌の除菌治療歴の有無、CDH1遺伝子の検査結果、切除治療歴の有無、HER2遺伝子の検査結果、EBウイルス検査の検査結果、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の服用の有無、及び、被検者の自覚症状の有無等の情報を入力する。
【0034】
すなわち、本実施形態によれば、内視鏡検査を受ける被検者の身体情報として、診断対象の臓器に係る検査を行って得られた検査結果を示す情報、当該診断対象の臓器における治療歴を示す情報、当該診断対象の臓器に係る薬剤の服用歴を示す情報、及び、当該被検者の自覚症状の有無を示す情報のうちの少なくとも1つが入力される。
【0035】
ユーザは、内視鏡検査を受ける被検者の身体情報を入力した後、当該被検者の内部へ内視鏡11の挿入部を挿入するとともに、当該被検者の胃の内部における所望の被写体を撮像可能な位置に当該挿入部の先端部を配置する。
【0036】
制御部124は、内視鏡検査を受ける被検者の身体情報の入力を完了するための指示が入力I/F123において行われたことを検出した際に、当該身体情報を診断支援装置13へ出力するための動作を行う。
【0037】
制御部124は、本体装置12の電源が投入された際に、B光、G光及びR光を照明光として順次または同時に発生させるための制御を光源部121に対して行う。そして、このような制御部124の制御に応じ、光源部121から内視鏡11へ照明光が供給され、当該照明光により照明された被写体からの戻り光が撮像部111において撮像され、撮像部111から本体装置12へ出力される撮像信号に応じた内視鏡画像EGが画像生成部122において生成され、当該生成された内視鏡画像EGが診断支援装置13へ1フレームずつ順次出力される。
【0038】
異常症状特定部13Aは、本体装置12から出力される身体情報に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状を特定するための処理を行う。また、異常症状特定部13Aは、前述の処理により特定した一の異常症状を示す情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。
【0039】
具体的には、異常症状特定部13Aは、例えば、
図3に示すようなテーブルデータTDAを記憶媒体132から読み込むとともに、当該読み込んだテーブルデータTDAと、本体装置12から出力される身体情報と、を照合することにより、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状を特定する。
図3は、第1の実施形態に係る診断支援装置の処理において用いられるテーブルデータの一例を示す図である。
【0040】
図3のテーブルデータTDAの「身体情報」欄には、本体装置12から出力される身体情報(入力I/F123において入力された情報)に対応する複数の項目が含まれている。また、
図3のテーブルデータTDAの「異常症状」欄には、「身体情報」欄の項目各々に対応する胃の症状を示す複数の項目が含まれている。
【0041】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査の検査結果が含まれていない場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が細菌感染であることが特定される。
【0042】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査が陰性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であることが特定される。
【0043】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であることが特定される。
【0044】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陰性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であることが特定される。
【0045】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌の除菌治療が完了している旨を示す情報が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が除菌治療済であることが特定される。
【0046】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にCDH1遺伝子に変異がある旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状がびまん性胃がんであることが特定される。
【0047】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報に切除治療済である旨を示す情報が含まれており、かつ、HER2遺伝子に変異がある旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が切除治療済であることが特定される。
【0048】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にEBウイルス検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であることが特定される。
【0049】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にNSAIDsを服用中である旨を示す情報が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であることが特定される。
【0050】
図3のテーブルデータTDAによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報に被検者の自覚症状がある旨を示す情報が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける当該被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であることが特定される。なお、このような場合における自覚症状としては、例えば、みぞおち付近の痛み、胃酸過多、黒い便、及び、貧血等が挙げられる。
【0051】
本実施形態の異常症状特定部13Aは、例えば、本体装置12から出力される身体情報に対応する異常症状がテーブルデータTDAに含まれていない等の理由により、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状を特定することができなかった場合に、当該被検者の胃において現れている異常症状の有無が不明である旨を示す情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。
【0052】
本実施形態の異常症状特定部13Aは、例えば、
図3のテーブルデータTDAに応じた複数の異常症状を同時に特定した場合に、当該複数の異常症状の中で最も優先度の高い一の異常症状を示す情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。なお、
図3のテーブルデータTDAに含まれる各異常症状の優先度は、例えば、後述のリスク値の大きさ等に応じた所定の順番に設定されていればよい。
【0053】
病変抽出機能制御部13Bは、異常症状特定部13Aから出力される情報に基づき、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から当該情報に含まれる一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0054】
具体的には、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に異常症状が細菌感染である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中からピロリ菌感染時における病変抽出に特化された病変抽出部LESAを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESAにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0055】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に異常症状が潰瘍である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から潰瘍発現時における病変抽出に特化された病変抽出部LESBを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESBにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0056】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に異常症状が萎縮性胃炎である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から萎縮性胃炎発現時における病変抽出に特化された病変抽出部LESCを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESCにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0057】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に異常症状が除菌治療済である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中からピロリ菌除菌後における病変抽出に特化された病変抽出部LESDを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESDにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0058】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に異常症状がびまん性胃がんである旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中からびまん性胃がん発現時における病変抽出に特化された病変抽出部LESEを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESEにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0059】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に異常症状が切除治療済である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から胃切除後における病変抽出に特化された病変抽出部LESFを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESFにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0060】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に異常症状の有無が不明である旨を示す情報が含まれている場合(異常症状特定部33Aにより異常症状が特定されなかった場合)に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から一の病変抽出部LESXを選択する代わりに、胃において現れ得る特定の異常症状に特化されていない病変抽出処理を行う病変抽出部LESYを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESYにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0061】
すなわち、以上に述べた具体例においては、6つの病変抽出部LESA、LESB、LESC、LESD、LESE及びLESFのうちのいずれか1つが病変抽出部LESXに相当する。
【0062】
病変抽出機能部13Cは、病変抽出機能制御部13Bの制御に応じ、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYのいずれかにおいて、本体装置12から出力される内視鏡画像EGから病変候補領域LAを抽出する病変抽出処理を行うとともに、当該病変抽出処理により抽出された病変候補領域LAの位置を特定可能な情報を表示制御部13Dへ出力する。
【0063】
表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に基づき、本体装置12から出力される内視鏡画像EGにおける病変候補領域LAの位置を特定するとともに、当該特定した病変候補領域LAの周囲を囲む矩形の枠に相当するマーカMGを生成するための処理を行う。また、表示制御部13Dは、前述のマーカMGを内視鏡画像EGに付加することにより表示画像を生成し、当該生成した表示画像を表示装置14へ出力するための処理を行う。すなわち、本実施形態の表示制御部13Dは、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像EGと、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYにより抽出された病変候補領域LAの位置を示す情報と、を併せて表示装置14に表示させるための処理を行う。そして、このような表示制御部13Dの処理によれば、例えば、
図4に示すような表示画像DGAが表示装置14に表示される。
図4は、第1の実施形態に係る診断支援装置の処理に応じて表示される表示画像の一例を示す図である。
【0064】
ところで、例えば、胃の内部を撮像して得られた内視鏡画像から病変候補領域を抽出する処理においては、当該病変候補領域の抽出精度が、内視鏡検査を受ける被検者の胃粘膜の状態に応じて変化する傾向がある。具体的には、例えば、ピロリ菌の除菌治療が行われた後の胃粘膜においては、当該除菌治療が行われる前の胃粘膜に比べて病変のサイズが小さくなる及び病変の色調が目立たなくなる等の要因により、内視鏡画像から病変候補領域を抽出する処理における抽出精度が、当該除菌治療が行われる前よりも低下する傾向がある。
【0065】
これに対し、本実施形態によれば、内視鏡検査を受ける被検者の胃(診断対象の臓器)の状態を推定可能な1つ以上の情報を含む身体情報が異常症状特定部13Aに入力され、当該身体情報に応じた一の異常症状が異常症状特定部13Aにより特定され、複数の病変抽出部の中から当該一の異常症状に最も適した一の病変抽出部が病変抽出機能制御部13Bにより選択されるとともに、当該一の病変抽出部において内視鏡画像から病変候補領域を抽出する処理が病変抽出機能部13Cにより行われるようにしている。そのため、本実施形態によれば、診断対象の臓器における病変の抽出精度を確保することができる。
【0066】
なお、本実施形態によれば、例えば、病変抽出機能制御部13Bが、入力I/F123において行われた指示(ユーザの指示)に応じて感度を設定するための処理を行うとともに、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYにおいて当該感度による病変抽出処理を行わせるための制御を行うように構成されていてもよい。そして、このような病変抽出機能制御部13Bの構成によれば、例えば、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYにおいて行われる病変抽出処理の感度が相対的に高い感度に設定された場合に、内視鏡画像EGから抽出される病変候補領域の抽出頻度を相対的に高めることができる。また、前述のような病変抽出機能制御部13Bの構成によれば、例えば、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYにおいて行われる病変抽出処理の感度が相対的に低い感度に設定された場合に、内視鏡画像EGから抽出される病変候補領域の蓋然性(当該病変候補領域に実際に病変が含まれている可能性)を相対的に高めることができる。なお、本実施形態においては、病変抽出処理の感度の大きさが、例えば、内視鏡画像EGに含まれる病変候補領域を検出する際に当該内視鏡画像EGから取得した画素値等のパラメータに対して適用される閾値の大きさに反比例するような値として設定されるものとする。
【0067】
また、本実施形態によれば、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYにおける病変抽出処理が、内視鏡検査中に得られた(本体装置12から出力される)内視鏡画像に対して行われるものに限らず、例えば、図示しない録画装置等に予め記録されている内視鏡検査の映像から得られた内視鏡画像に対して行われるものであってもよい。
【0068】
また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器が胃とは異なる臓器である場合に対応させるようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態によれば、内視鏡検査を受ける被検者の身体情報として、例えば、当該被検者の食習慣、当該被検者の喫煙歴、当該被検者の年齢、当該被検者の性別、当該被検者の人種、及び、当該被検者の家族におけるがんの家族歴のうちの少なくともいずれか1つを示す情報がさらに含まれていてもよい。
【0070】
また、本実施形態によれば、
図3に示したテーブルデータTDAの代わりに、例えば、
図5に示すようなテーブルデータTDBが記憶媒体132に格納されている場合に、当該テーブルデータTDBに応じた動作が診断支援装置13の各部で行われるようにしてもよい。このような本実施形態の変形例に係る動作等について、以下に説明する。なお、以降においては、簡単のため、既述の動作等を適用可能な部分に関する具体的な説明を適宜省略するものとする。
図5は、第1の実施形態の変形例に係る診断支援装置の処理において用いられるテーブルデータの一例を示す図である。
【0071】
異常症状特定部13Aは、本体装置12から出力される身体情報に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状と、当該一の異常症状における病変リスクの大きさと、当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、をそれぞれ特定するための処理を行う。また、異常症状特定部13Aは、前述の処理により特定した一の異常症状と、前述の処理により特定した病変リスクの大きさと、前述の処理により特定した当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、を関連付けた情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。
【0072】
具体的には、異常症状特定部13Aは、例えば、
図5のテーブルデータTDBを記憶媒体132から読み込むとともに、当該読み込んだテーブルデータTDBと、本体装置12から出力される身体情報と、を照合することにより、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状と、当該一の異常症状に応じて予め設定されているリスク値と、当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、をそれぞれ特定する。
【0073】
図5のテーブルデータTDBの「身体情報」欄には、本体装置12から出力される身体情報(入力I/F123において入力された情報)に対応する複数の項目が含まれている。また、
図5のテーブルデータTDBの「異常症状」欄には、「身体情報」欄の各々の項目に対応する胃の症状を示す複数の項目が含まれている。また、
図5のテーブルデータTDBの「病変リスク」欄には、「異常症状」欄における胃の症状毎の病変の発生頻度の高さに応じて設定された値に相当するリスク値を示す複数の項目が含まれている。また、
図5のテーブルデータTDBの「特殊光観察」欄には、「異常症状」欄における胃の症状各々に対する特殊光観察(狭帯域光観察)の推奨の是非を示す複数の項目が含まれている。なお、
図5のテーブルデータTDBの「病変リスク」欄における各項目の値は、0より大きくかつ100より小さい相対値として設定されているものとする。
【0074】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査の検査結果が含まれていない場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が細菌感染であること、当該異常症状に対応するリスク値が10であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0075】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査が陰性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であること、当該異常症状に対応するリスク値が5であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0076】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であること、当該異常症状に対応するリスク値が20であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0077】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌検査が陰性である旨を示す検査結果が含まれており、かつ、当該身体情報にペプシノゲン検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であること、当該異常症状に対応するリスク値が30であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0078】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にピロリ菌の除菌治療が完了している旨を示す情報が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が除菌治療済であること、当該異常症状に対応するリスク値が50であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨することがそれぞれ特定される。
【0079】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にCDH1遺伝子に変異がある旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状がびまん性胃がんであること、当該異常症状に対応するリスク値が50であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨することがそれぞれ特定される。
【0080】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報に切除治療済である旨を示す情報が含まれており、かつ、HER2遺伝子に変異がある旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が切除治療済であること、当該異常症状に対応するリスク値が50であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0081】
図3のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にEBウイルス検査が陽性である旨を示す検査結果が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であること、当該異常症状に対応するリスク値が10であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0082】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報にNSAIDsを服用中である旨を示す情報が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であること、当該異常症状に対応するリスク値が5であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0083】
図5のテーブルデータTDBによれば、例えば、本体装置12から出力される身体情報に被検者の自覚症状がある旨を示す情報が含まれている場合に、内視鏡検査を受ける当該被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であること、当該異常症状に対応するリスク値が5であること、及び、当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0084】
本変形例の異常症状特定部13Aは、例えば、本体装置12から出力される身体情報に対応する異常症状がテーブルデータTDBに含まれていない等の理由により、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状を特定することができなかった場合に、当該被検者の胃において現れている異常症状の有無が不明である旨を示す情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。
【0085】
また、本変形例の異常症状特定部13Aは、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状をテーブルデータTDBから特定することができなかった場合に、本体装置12から出力される身体情報に含まれる情報に応じて設定したリスク値及び特殊光観察の推奨の是非を示す情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。具体的には、本変形例の異常症状特定部13Aは、例えば、本体装置12から出力される身体情報に胃のX線画像に所見がある旨を示す情報が含まれている場合には、リスク値が80であること、及び、特殊光観察への切替を推奨しないことを示す情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。
【0086】
なお、本変形例の異常症状特定部13Aは、例えば、本体装置12から出力される身体情報に被検者が積極的な病変の検出を希望するか否か等の要望を示す情報が含まれている場合に、テーブルデータTDBから取得したリスク値を当該情報に応じて増減させるようにしてもよい。
【0087】
具体的には、本変形例の異常症状特定部13Aは、例えば、本体装置12から出力される身体情報に被検者が積極的な病変の検出を希望する旨を示す情報が含まれている場合に、テーブルデータTDBから取得したリスク値を当該情報に応じて増加させるようにしてもよい。また、本変形例の異常症状特定部13Aは、例えば、本体装置12から出力される身体情報に被検者が積極的な病変の検出を希望しない旨を示す情報が含まれている場合に、テーブルデータTDBから取得したリスク値を当該情報に応じて減少させるようにしてもよい。
【0088】
本変形例の異常症状特定部13Aは、例えば、
図5のテーブルデータTDBに応じた複数の異常症状を同時に特定した場合に、当該複数の異常症状の中で最も優先度の高い一の異常症状と、当該一の異常症状に対応するリスク値と、当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、を関連付けた情報を病変抽出機能制御部13Bへ出力する。なお、
図5のテーブルデータTDBに含まれる各異常症状の優先度は、例えば、「病変リスク」欄に含まれるリスク値の大きさ等に応じた所定の順番に設定されていればよい。
【0089】
本変形例の病変抽出機能制御部13Bは、異常症状特定部13Aから出力される情報に基づき、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から当該情報に含まれる一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行い、当該情報に含まれるリスク値(病変リスクの大きさ)に応じた感度を設定するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において当該感度による病変抽出処理を行わせるための制御を行う。また、本変形例の病変抽出機能制御部13Bは、前述のように選択した一の病変抽出部における病変抽出処理の処理結果と、異常症状特定部13Aから出力される情報に含まれる特殊光観察の推奨の是非を示す情報と、を関連付けて出力させるための制御を病変抽出機能部13Cに対して行う。
【0090】
具体的には、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状が細菌感染である旨を示す情報と、リスク値が10である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESAを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSPに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESAにおいて当該感度SPによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0091】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状が潰瘍である旨を示す情報と、リスク値が5である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESBを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSPに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESBにおいて当該感度SPによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0092】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状が萎縮性胃炎である旨を示す情報と、リスク値が20または30のいずれかの値である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESCを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSQ(>SP)に設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESCにおいて当該感度SQによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0093】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状が萎縮性胃炎である旨を示す情報と、リスク値が10である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESCを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSPに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESCにおいて当該感度SPによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0094】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状が除菌治療済である旨を示す情報と、リスク値が50である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESDを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSR(>SQ)に設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESDにおいて当該感度SRによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0095】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状がびまん性胃がんである旨を示す情報と、リスク値が50である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESEを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSRに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESEにおいて当該感度SRによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0096】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状が切除治療済である旨を示す情報と、リスク値が50である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESFを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSRに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESFにおいて当該感度SRによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0097】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状の有無が不明である旨を示す情報と、リスク値が80である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる病変抽出部LESYを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSRに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESYにおいて当該感度SRによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0098】
また、病変抽出機能制御部13Bは、例えば、異常症状特定部13Aから出力される情報に、異常症状の有無が不明である旨を示す情報と、リスク値が10である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる病変抽出部LESYを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSPに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESYにおいて当該感度SPによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0099】
病変抽出機能部13Cは、病変抽出機能制御部13Bの制御に応じ、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYのいずれかにおいて、本体装置12から出力される内視鏡画像EGから病変候補領域LAを抽出する病変抽出処理を行うとともに、当該病変抽出処理により抽出された病変候補領域LAの位置を特定可能な情報と、異常症状特定部13Aにより特定された特殊光観察の推奨の是非を示す情報と、を併せて表示制御部13Dへ出力する。
【0100】
表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に基づき、本体装置12から出力される内視鏡画像EGにおける病変候補領域LAの位置を特定するとともに、当該特定した病変候補領域LAの周囲を囲む矩形の枠に相当するマーカMGを生成するための処理を行う。
【0101】
表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に特殊光観察への切替を推奨しない旨を示す情報が含まれている場合に、
図4に例示した表示画像DGAと同様の表示画像を生成して表示装置14へ出力するための処理を行う。
【0102】
表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に特殊光観察への切替を推奨する旨を示す情報が含まれている場合に、白色光観察モードから特殊光観察モードへの切り替えを促す文字列等を有する文字情報MJを生成するための処理を行う。また、表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に特殊光観察への切替を推奨する旨を示す情報が含まれている場合に、前述のマーカMGを内視鏡画像EGに付加するとともに、前述の文字情報MJを当該内視鏡画像EGの外部の表示領域に付加することにより表示画像を生成し、当該生成した表示画像を表示装置14へ出力するための処理を行う。すなわち、本変形例の表示制御部13Dは、異常症状特定部13Aにより特定された一の異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨することを検出した場合に、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像EGと、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYにより抽出された病変候補領域LAの位置を示す情報と、特殊光観察の実施を促す情報と、を併せて表示装置14に表示させるための処理を行う。そして、このような表示制御部13Dの処理によれば、例えば、
図6に示すような表示画像DGBが表示装置14に表示される。
図6は、第1の実施形態の変形例に係る診断支援装置の処理に応じて表示される表示画像の一例を示す図である。
【0103】
なお、本変形例によれば、文字情報MJを表示装置14に表示させる代わりに、例えば、当該文字情報MJに対応する音声を図示しないスピーカから出力させるようにしてもよい。
【0104】
また、本変形例によれば、例えば、病変抽出機能部13Cに含まれる各病変抽出部が、内視鏡画像EGから抽出した病変候補領域LAの尤度LKを算出するための処理をさらに含むような病変抽出処理を行うとともに、当該病変候補領域LAの位置を示す情報と、当該尤度LKの算出結果を示す情報と、異常症状特定部13Aにより特定された特殊光観察の推奨の是非を示す情報と、を併せて表示制御部13Dへ出力するように構成されていてもよい。さらに、このような構成において、例えば、病変抽出機能部13Cから出力される情報に特殊光観察への切替を推奨する旨を示す情報が含まれており、かつ、病変抽出機能部13Cから出力される情報により示される尤度LKが所定の範囲内に属している場合に、文字情報MJを生成して表示装置14に表示させるための動作が表示制御部13Dにより行われるようにしてもよい。
【0105】
また、本変形例によれば、例えば、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部のうちの少なくとも1つの病変抽出部が、病変抽出処理における感度に応じて細分化されていてもよい。具体的には、例えば、病変抽出部LESAの代わりに、ピロリ菌感染時における病変抽出に特化された病変抽出処理を感度SPで行う病変抽出部LESAPと、当該病変抽出処理を感度SQで行う病変抽出部LESAQと、当該病変抽出処理を感度SRで行う病変抽出部LESARと、が病変抽出機能部13Cに設けられていてもよい。
【0106】
以上に述べたように、本変形例によれば、前述の実施形態の方法(テーブルデータTDAを用いた方法)と略同様の方法を用い、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から一の病変抽出部を選択することができる。さらに、本変形例によれば、前述のように選択された一の病変抽出部における病変抽出処理を、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器における病変の発生頻度に応じて設定された感度で行うことができる。そのため、本変形例によれば、診断対象の臓器における病変の抽出精度を確保することができる。
【0107】
なお、本変形例によれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器が食道であり、かつ、当該被検者の人種が欧米人であることを示す情報が本体装置12から出力される身体情報に含まれている場合に、当該診断対象の臓器においてバレット食道が現れているか否かを特定するための処理が異常症状特定部13Aにより行われるようにしてもよい。さらに、本変形例によれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の食道において現れている一の異常症状がバレット食道であることが特定された場合に、当該一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理と、当該一の異常症状に応じた感度を設定するための処理と、当該一の病変抽出部において当該感度による病変抽出処理を行わせるための制御と、が病変抽出機能制御部13Bにおいて行われるようにしてもよい。
【0108】
(第2の実施形態)
図7及び
図8は、第2の実施形態に係るものである。
【0109】
なお、本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成等を有する部分に関する詳細な説明を適宜省略するとともに、第1の実施形態と異なる構成等を有する部分に関して主に説明を行う。
【0110】
本実施形態の内視鏡システム1は、診断支援装置13の代わりに、例えば、
図7に示すような診断支援装置23を有して構成されている。
図7は、第2の実施形態に係る診断支援装置の構成の具体例を説明するためのブロック図である。
【0111】
診断支援装置23は、診断支援装置13の異常症状特定部13Aを異常症状特定部23Aに置き換えるとともに、診断支援装置13の病変抽出機能制御部13Bを病変抽出機能制御部23Bに置き換えたものと略同様の構成を有して構成されている。
【0112】
異常症状特定部23Aは、本体装置12から出力される異常所見検出指示を検出した場合に、当該異常所見検出指示を検出したタイミングで入力された内視鏡画像に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行うように構成されている。また、異常症状特定部23Aは、前述のように特定した一の異常症状を示す情報を病変抽出機能制御部23Bへ出力するように構成されている。すなわち、異常症状特定部23Aは、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像に基づき、当該診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行うように構成されている。
【0113】
具体的には、異常症状特定部23Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像の色調を表す特徴量(色相、彩度及び明度のうちの少なくとも1つ)と、当該内視鏡画像内に設定した関心領域に含まれる複数の画素の画素値に基づいて算出される統計量(画素値の分散及び輝度勾配の分布のうちの少なくとも1つ)と、を用いて一の異常症状を特定するための処理を行う。
【0114】
あるいは、異常症状特定部23Aは、例えば、所定の臓器の内部を撮像して得られた画像を用いた機械学習により当該所定の臓器において現れ得る複数の異常症状を認識して異常症状毎に分類することができるように構成された分類器を有している場合に、本体装置12から出力される内視鏡画像の画素値等を当該分類器に入力して得られた出力結果に基づいて一の異常症状を特定するための処理を行う。
【0115】
異常症状特定部23Aは、本体装置12から出力される一の異常所見検出指示を検出したタイミングから、本体装置12から出力される次の異常所見検出指示を検出するタイミングまでの期間において、当該一の異常所見検出指示に応じて特定した一の異常症状を示す情報を病変抽出機能制御部23Bへ出力し続けるように構成されている。
【0116】
病変抽出機能制御部23Bは、異常症状特定部23Aから出力される情報に基づき、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から当該情報に含まれる一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において病変抽出処理を行わせるための制御を行うように構成されている。
【0117】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0118】
ユーザは、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、被検者の内部へ内視鏡11の挿入部を挿入するとともに、当該被検者の胃の内部における所望の被写体を撮像可能な位置に当該挿入部の先端部を配置する。また、ユーザは、例えば、被検者の胃の内部における所望の被写体を観察している期間に属する時刻TPにおいて、入力I/F123の異常所見検出指示スイッチを操作することにより異常所見検出指示を行う。
【0119】
制御部124は、本体装置12の電源が投入された際に、B光、G光及びR光を照明光として順次または同時に発生させるための制御を光源部121に対して行う。そして、このような制御部124の制御に応じ、光源部121から内視鏡11へ照明光が供給され、当該照明光により照明された被写体からの戻り光が撮像部111において撮像され、撮像部111から本体装置12へ出力される撮像信号に応じた内視鏡画像EGが画像生成部122において生成され、当該生成された内視鏡画像EGが診断支援装置23へ1フレームずつ順次出力される。
【0120】
制御部124は、入力I/F123において異常所見検出指示が行われたことを検出した際に、当該異常所見検出指示を診断支援装置23へ出力するための動作を行う。
【0121】
異常症状特定部23Aは、本体装置12から出力される異常所見検出指示を時刻TPにおいて検出した場合に、当該時刻TPにおいて本体装置12から入力された内視鏡画像EGに基づき、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行う。また、異常症状特定部23Aは、前述の処理により特定した一の異常症状を示す情報を病変抽出機能制御部23Bへ出力する。
【0122】
具体的には、異常症状特定部23Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGの色調が高彩度の赤色調(発赤した粘膜に相当する色調)であることを検出した場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が細菌感染であることを特定する。
【0123】
また、異常症状特定部23Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGの色調が低彩度の赤色調(退色した粘膜に相当する色調)であることを検出した場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が細菌感染であることを特定する。
【0124】
また、異常症状特定部23Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGの色調が白色調(白濁した粘液により生じる色調)であることを検出した場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が細菌感染であることを特定する。
【0125】
また、異常症状特定部23Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGに対して日本国特開2015-181594号に開示された手法等を用いた処理を施すことにより、当該内視鏡画像EGに黒苔または白苔が存在していることを検出した場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であることを特定する。
【0126】
また、異常症状特定部23Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGに対して所定の処理を施すことにより、当該内視鏡画像EGに樹枝状血管が存在していることを検出した場合に、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であることを特定する。
【0127】
すなわち、以上に述べた異常症状特定部23Aの動作等によれば、時刻TPの時点で本体装置12から出力された内視鏡画像EGPに基づいて内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器において現れている一の異常症状が特定されるとともに、当該特定した一の異常症状を示す情報が病変抽出機能制御部23Bへ出力される。
【0128】
異常症状特定部23Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGから一の異常症状を特定することができなかった場合に、被検者の胃において現れている異常症状の有無が不明である旨を示す情報を病変抽出機能制御部23Bへ出力する。
【0129】
異常症状特定部23Aは、本体装置12から出力される一の異常所見検出指示を検出した時刻TPから、本体装置12から出力される次の異常所見検出指示を検出する時刻TQまでの期間において、当該一の異常所見検出指示に応じて特定した一の異常症状を示す情報を病変抽出機能制御部23Bへ出力し続ける。
【0130】
病変抽出機能制御部23Bは、異常症状特定部23Aから出力される情報に基づき、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から当該情報に含まれる一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0131】
具体的には、病変抽出機能制御部23Bは、例えば、異常症状特定部23Aから出力される情報に異常症状が細菌感染である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESAを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESAにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0132】
また、病変抽出機能制御部23Bは、例えば、異常症状特定部23Aから出力される情報に異常症状が潰瘍である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESBを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESBにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0133】
また、病変抽出機能制御部23Bは、例えば、異常症状特定部23Aから出力される情報に異常症状が萎縮性胃炎である旨を示す情報が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESCを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESCにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0134】
また、病変抽出機能制御部23Bは、例えば、異常症状特定部23Aから出力される情報に異常症状の有無が不明である旨を示す情報が含まれている場合(異常症状特定部23Aにより異常症状が特定されなかった場合)に、病変抽出機能部13Cに含まれる病変抽出部LESYを選択するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESYにおいて病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0135】
すなわち、以上に述べた具体例においては、3つの病変抽出部LESA、LESB及びLESCのうちのいずれか1つが病変抽出部LESXに相当する。
【0136】
病変抽出機能部13Cは、病変抽出機能制御部23Bの制御に応じ、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYのいずれかにおいて、本体装置12から出力された内視鏡画像EGPから病変候補領域LAPを抽出する病変抽出処理を行うとともに、当該病変抽出処理により抽出された病変候補領域LAPの位置を特定可能な情報を表示制御部13Dへ出力する。
【0137】
表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に基づき、時刻TPの時点で入力された内視鏡画像EGPにおける病変候補領域LAPの位置を特定し、当該特定した病変候補領域LAPの周囲を囲む矩形の枠に相当するマーカMGPを生成するための処理を行う。また、表示制御部13Dは、前述のマーカMGPを内視鏡画像EGPに付加することにより表示画像を生成し、当該生成した表示画像を表示装置14へ出力するための処理を行う。すなわち、本実施形態の表示制御部13Dは、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器を撮像して得られた内視鏡画像EGPと、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYにより抽出された病変候補領域LAPの位置を示す情報と、を併せて表示装置14に表示させるための処理を行う。そして、このような表示制御部13Dの処理によれば、例えば、
図8に示すような表示画像DGCが表示装置14に表示される。
図8は、第2の実施形態に係る診断支援装置の処理に応じて表示される表示画像の一例を示す図である。
【0138】
以上に述べたように、本実施形態によれば、内視鏡検査を受ける被検者の胃の内部(診断対象の臓器)を撮像して得られた内視鏡画像が異常症状特定部23Aに入力され、当該内視鏡画像に対する処理の処理結果に応じた一の異常症状が異常症状特定部23Aにより特定され、複数の病変抽出部の中から当該一の異常症状に最も適した一の病変抽出部が病変抽出機能制御部23Bにより選択されるとともに、当該一の病変抽出部において当該内視鏡画像から病変候補領域を抽出する処理が病変抽出機能部13Cにより行われるようにしている。そのため、本実施形態によれば、診断対象の臓器における病変の抽出精度を確保することができる。
【0139】
また、以上に述べたように、本実施形態によれば、入力I/F123において異常所見検出指示が行われたタイミング毎に、被検者の胃において現れている一の異常症状を内視鏡画像に基づいて特定するための処理が異常症状特定部23Aにより行われるようにしている。そのため、本実施形態によれば、例えば、ユーザが、噴門部、胃底部、胃体部及び幽門部等のような胃の内部における所望の観察対象部位を観察している状況において、適宜のタイミングで入力I/F123の異常所見検出指示スイッチを操作することにより、当該所望の観察対象部位において現れている異常症状に応じた病変を精度良く抽出することができる。
【0140】
なお、本実施形態によれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器が胃である場合に、細菌感染、潰瘍及び萎縮性胃炎以外の一の異常症状を特定するための処理が異常症状特定部23Aにおいて行われるとともに、当該一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理と、当該一の病変抽出部において病変抽出処理を行わせるための制御と、が病変抽出機能制御部23Bにおいて行われるようにしてもよい。
【0141】
また、本実施形態によれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器が食道である場合に、本体装置12から出力される内視鏡画像EGに基づいて当該診断対象の臓器において現れている一の異常症状がバレット食道であることが異常症状特定部23Aにより特定されるとともに、当該一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理と、当該一の病変抽出部において病変抽出処理を行わせるための制御と、が病変抽出機能制御部23Bにおいて行われるようにしてもよい。
【0142】
(第3の実施形態)
図9及び
図10は、第3の実施形態に係るものである。
【0143】
なお、本実施形態においては、第1及び第2の実施形態のうちの少なくともいずれか一方と同様の構成等を有する部分に関する詳細な説明を適宜省略するとともに、第1及び第2の実施形態のいずれともと異なる構成等を有する部分に関して主に説明を行う。
【0144】
本実施形態の内視鏡システム1は、診断支援装置13の代わりに、例えば、
図9に示すような診断支援装置33を有して構成されている。
図9は、第3の実施形態に係る診断支援装置の構成の具体例を説明するためのブロック図である。
【0145】
診断支援装置33は、診断支援装置13の異常症状特定部13Aを異常症状特定部33Aに置き換えるとともに、診断支援装置13の病変抽出機能制御部13Bを病変抽出機能制御部33Bに置き換えたものと略同様の構成を有して構成されている。
【0146】
異常症状特定部33Aは、本体装置12から出力される身体情報に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器において現れている一の異常症状を特定するための処理を行うように構成されている。
【0147】
異常症状特定部33Aは、本体装置12から出力される内視鏡画像に含まれる診断対象の臓器の解剖学的部位に相当する観察対象部位を特定するための処理を行うように構成されている。換言すると、前述の観察対象部位は、診断対象の臓器を解剖学的に分類した場合における複数の部位のうちの一の部位として特定される。
【0148】
具体的には、異常症状特定部33Aは、例えば、所定の臓器の内部における複数の部位を撮像して得られた画像を用いた機械学習により当該複数の部位を認識して部位毎に分類することができるように構成された分類器を有している場合に、本体装置12から出力される内視鏡画像の画素値等を当該分類器に入力して得られた出力結果に基づいて観察対象部位を特定するための処理を行う。
【0149】
なお、本実施形態によれば、例えば、内視鏡11の挿入部の先端部のアングルを変化させるための操作を行うことが可能なアングルノブ(不図示)が内視鏡11の操作部に設けられている場合に、当該アングルノブの操作状態を検出して得られた検出結果を用いて観察対象部位を特定するための処理が異常症状特定部33Aにより行われるようにしてもよい。
【0150】
異常症状特定部33Aは、前述の処理により特定した一の異常症状及び観察対象部位に基づき、当該観察対象部位に現れている当該一の異常症状に応じた病変リスクの大きさと、当該観察対象部位に現れている当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、をそれぞれ特定するための処理を行うように構成されている。また、異常症状特定部33Aは、前述の処理により特定した一の異常症状と、前述の処理により特定した病変リスクの大きさと、前述の処理により特定した特殊光観察の推奨の是非と、を関連付けた情報を病変抽出機能制御部33Bへ出力するように構成されている。
【0151】
病変抽出機能制御部33Bは、異常症状特定部33Aから出力される情報に基づき、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から当該情報に含まれる一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行い、当該情報に含まれる病変リスクの大きさに応じた感度を設定するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において当該感度による病変抽出処理を行わせるための制御を行うように構成されている。また、病変抽出機能制御部33Bは、前述のように選択した一の病変抽出部における病変抽出処理の処理結果と、異常症状特定部33Aから出力される情報に含まれる特殊光観察の推奨の是非を示す情報と、を関連付けて出力させるための制御を病変抽出機能部13Cに対して行うように構成されている。
【0152】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0153】
ユーザは、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、被検者の内部へ内視鏡11の挿入部を挿入するとともに、当該被検者の胃の内部における所望の被写体を撮像可能な位置に当該挿入部の先端部を配置する。
【0154】
制御部124は、本体装置12の電源が投入された際に、B光、G光及びR光を照明光として順次または同時に発生させるための制御を光源部121に対して行う。そして、このような制御部124の制御に応じ、光源部121から内視鏡11へ照明光が供給され、当該照明光により照明された被写体からの戻り光が撮像部111において撮像され、撮像部111から本体装置12へ出力される撮像信号に応じた内視鏡画像EGが画像生成部122において生成され、当該生成された内視鏡画像EGが診断支援装置33へ1フレームずつ順次出力される。
【0155】
異常症状特定部33Aは、本体装置12から出力される身体情報に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状を特定するための処理を行う。
【0156】
具体的には、異常症状特定部33Aは、例えば、
図3に示したようなテーブルデータTDAを記憶媒体132から読み込むとともに、当該読み込んだテーブルデータTDAと、本体装置12から出力される身体情報と、を照合することにより、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状を特定する。
【0157】
異常症状特定部33Aは、本体装置12から出力される内視鏡画像に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の胃における観察対象部位を特定するための処理を行う。
【0158】
具体的には、異常症状特定部33Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像に基づき、胃における観察対象部位が胃体部、前庭部、穹窿部、胃角部、及び、その他の部位のうちのいずれに属するかを特定する。
【0159】
異常症状特定部33Aは、前述の処理により特定した一の異常症状及び観察対象部位に基づき、当該観察対象部位に現れている当該一の異常症状に応じた病変リスクの大きさと、当該観察対象部位に現れている当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、をそれぞれ特定するための処理を行う。また、異常症状特定部33Aは、前述の処理により特定した一の異常症状と、前述の処理により特定した病変リスクの大きさと、前述の処理により特定した特殊光観察の推奨の是非と、を関連付けた情報を病変抽出機能制御部33Bへ出力する
【0160】
具体的には、異常症状特定部33Aは、例えば、
図10に示すようなテーブルデータTDCを記憶媒体132から読み込むとともに、当該読み込んだテーブルデータTDCと、前述の処理により特定した一の異常症状及び観察対象部位と、を照合することにより、当該観察対象部位に現れている当該一の異常症状に応じた病変リスクの大きさと、当該観察対象部位に現れている当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、をそれぞれ特定する。
図10は、第3の実施形態に係る診断支援装置の処理において用いられるテーブルデータの一例を示す図である。
【0161】
図10のテーブルデータTDCの「異常症状」欄には、
図3のテーブルデータTDAの「異常症状」欄に含まれる胃の症状のうちの少なくとも1つの症状を胃の部位に応じて細分化した複数の項目が含まれている。また、
図10のテーブルデータTDCの「詳細部位」欄には、「異常症状」欄の各々の項目に対応する胃の部位を示す複数の項目が含まれている。また、
図10のテーブルデータTDCの「病変リスク」欄には、「異常症状」欄における胃の症状と「詳細部位」欄における胃の部位との組み合わせ毎の病変の発生頻度の高さに応じて設定された値に相当するリスク値を示す複数の項目が含まれている。また、
図10のテーブルデータTDCの「特殊光観察」欄には、「詳細部位」欄の胃の部位における「異常症状」欄の胃の症状に対する特殊光観察(狭帯域光観察)の要否を示す複数の項目が含まれている。なお、
図10のテーブルデータTDCの「病変リスク」欄における各項目の値は、0より大きくかつ100より小さい相対値として設定されているものとする。
【0162】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が胃体部または前庭部のいずれかであることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が25であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0163】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が穹窿部であることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が8であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0164】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が萎縮性胃炎であることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が胃体部、前庭部及び穹窿部のいずれにも該当しないその他の部位であることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が20であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0165】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が胃角部または胃体部のいずれかであることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が10であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0166】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍であることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が胃角部及び胃体部のいずれにも該当しないその他の部位であることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が5であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0167】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状がびまん性胃がんであることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が胃角部であることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が50であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨することがそれぞれ特定される。
【0168】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状がびまん性胃がんであることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が胃体部であることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が40であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨することがそれぞれ特定される。
【0169】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状がびまん性胃がんであることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が穹窿部であることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が20であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨しないことがそれぞれ特定される。
【0170】
図10のテーブルデータTDCによれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状がびまん性胃がんであることが特定され、かつ、当該胃における観察対象部位が胃角部、胃体部及び穹窿部のいずれにも該当しないその他の部位であることが特定された場合に、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対応するリスク値が35であること、及び、当該観察対象部位に現れている当該異常症状に対して特殊光観察への切替を推奨することがそれぞれ特定される。
【0171】
すなわち、以上に述べた異常症状特定部33Aの動作等によれば、本体装置12から出力された身体情報と、本体装置12から出力された内視鏡画像EGQと、に基づき、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器において現れている一の異常症状と、当該診断対象の臓器における観察対象部位に現れている当該一の異常症状に応じた病変リスクの大きさと、当該観察対象部位に現れている当該一の異常症状に対する特殊光観察の推奨の是非と、がそれぞれ特定される。
【0172】
異常症状特定部33Aは、例えば、本体装置12から出力される身体情報に対応する異常症状がテーブルデータTDAに含まれていない等の理由により、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている一の異常症状を特定することができなかった場合に、当該被検者の胃において現れている異常症状の有無が不明である旨を示す情報を病変抽出機能制御部33Bへ出力する。
【0173】
病変抽出機能制御部33Bは、異常症状特定部33Aから出力される情報に基づき、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から当該情報に含まれる一の異常症状に応じた一の病変抽出部を選択するための処理を行い、当該情報に含まれるリスク値(病変リスクの大きさ)に応じた感度を設定するための処理を行うとともに、当該一の病変抽出部において当該感度による病変抽出処理を行わせるための制御を行う。また、本変形例の病変抽出機能制御部33Bは、前述のように選択した一の病変抽出部における病変抽出処理の処理結果と、異常症状特定部33Aから出力される情報に含まれる特殊光観察の推奨の是非を示す情報と、を関連付けて出力させるための制御を病変抽出機能部13Cに対して行う。
【0174】
具体的には、病変抽出機能制御部33Bは、例えば、異常症状特定部33Aから出力される情報に、異常症状が萎縮性胃炎である旨を示す情報と、リスク値が20または25である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESCを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSMに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESCにおいて当該感度SMによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0175】
また、病変抽出機能制御部33Bは、例えば、異常症状特定部33Aから出力される情報に、異常症状が萎縮性胃炎である旨を示す情報と、リスク値が8である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESCを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSK(<SM)に設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESCにおいて当該感度SKによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0176】
また、病変抽出機能制御部33Bは、例えば、異常症状特定部33Aから出力される情報に、異常症状が潰瘍である旨を示す情報と、リスク値が10である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESBを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSL(但し、SK<SL<SMを満たすものとする)に設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESBにおいて当該感度SLによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0177】
また、病変抽出機能制御部33Bは、例えば、異常症状特定部33Aから出力される情報に、異常症状が潰瘍である旨を示す情報と、リスク値が5である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESBを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSKに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESBにおいて当該感度SKによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0178】
また、病変抽出機能制御部33Bは、例えば、異常症状特定部33Aから出力される情報に、異常症状がびまん性胃がんである旨を示す情報と、リスク値が35、40または50のいずれかの値である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESEを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSN(>SM)に設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESEにおいて当該感度SNによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0179】
また、病変抽出機能制御部33Bは、例えば、異常症状特定部33Aから出力される情報に、異常症状がびまん性胃がんである旨を示す情報と、リスク値が20である旨を示す情報と、が含まれている場合に、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部LESの中から病変抽出部LESEを選択するための処理を行い、当該リスク値に応じた感度をSMに設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESEにおいて当該感度SMによる病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0180】
また、病変抽出機能制御部33Bは、例えば、異常症状特定部33Aから出力される情報に異常症状の有無が不明である旨を示す情報が含まれている場合(異常症状特定部33Aにより異常症状が特定されなかった場合)に、病変抽出機能部13Cに含まれる病変抽出部LESYを選択するための処理を行い、感度SK、SL、SM及びSNのうちのデフォルト値に相当する一の感度に設定するための処理を行うとともに、当該病変抽出部LESEにおいて当該一の感度による病変抽出処理を行わせるための制御を行う。
【0181】
すなわち、以上に述べた具体例においては、3つの病変抽出部LESB、LESC及びLESEのうちのいずれか1つが病変抽出部LESXに相当する。
【0182】
病変抽出機能部13Cは、病変抽出機能制御部33Bの制御に応じ、病変抽出部LESXまたは病変抽出部LESYのいずれかにおいて、本体装置12から出力された内視鏡画像EGから病変候補領域LAを抽出する病変抽出処理を行うとともに、当該病変抽出処理により抽出された病変候補領域LAの位置を特定可能な情報を表示制御部13Dへ出力する。
【0183】
表示制御部13Dは、病変抽出機能部13Cから出力される情報に基づき、本体装置12から出力された内視鏡画像EGにおける病変候補領域LAの位置を特定し、当該特定した病変候補領域LAの周囲を囲む矩形の枠に相当するマーカMGを生成するための処理を行う。また、表示制御部13Dは、前述のマーカMGを内視鏡画像EGに付加することにより表示画像を生成し、当該生成した表示画像を表示装置14へ出力するための処理を行う。そして、このような表示制御部13Dの処理によれば、
図4に例示した表示画像DGAと同様の表示画像が表示装置14に表示される。
【0184】
以上に述べたように、本実施形態によれば、第1の実施形態において述べた方法(テーブルデータTDAを用いた方法)と略同様の方法を用い、病変抽出機能部13Cに含まれる複数の病変抽出部の中から一の病変抽出部を選択することができる。さらに、本実施形態によれば、前述のように選択された一の病変抽出部における病変抽出処理を、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器のうちの観察対象部位における病変の発生頻度に応じて設定された感度で行うことができる。そのため、本実施形態によれば、診断対象の臓器における病変の抽出精度を確保することができる。また、本実施形態によれば、例えば、内視鏡検査を受ける被検者の診断対象の臓器のうち、所定の病変の発生頻度が相対的に高い部位が観察されている場合における病変候補領域の抽出を確実に行うことができるとともに、当該所定の病変の発生頻度が相対的に低い部位が観察されている場合における病変候補領域の抽出を抑制することができる。
【0185】
なお、本実施形態の異常症状特定部33Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGに対して第2の実施形態において述べた処理と同様の処理を適用することにより、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状が潰瘍または萎縮性胃炎のいずれかであることを特定するようにしてもよい。また、本実施形態の異常症状特定部33Aは、例えば、本体装置12から出力される内視鏡画像EGに対して日本国特許第5242381号公報に開示された処理等を適用することにより、内視鏡検査を受ける被検者の胃において現れている異常症状がびまん性胃がんであることを特定するようにしてもよい。
【0186】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。