(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】濾過装置および方法
(51)【国際特許分類】
B01D 24/46 20060101AFI20220909BHJP
B01D 33/44 20060101ALI20220909BHJP
B01D 33/58 20060101ALI20220909BHJP
B01D 33/06 20060101ALI20220909BHJP
B01D 33/21 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
B01D33/36
B01D33/06 A
B01D33/26
(21)【出願番号】P 2021525705
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2019074913
(87)【国際公開番号】W WO2020098997
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102018000010259
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102018000010430
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102019000011046
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102019000011058
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521201366
【氏名又は名称】オーエムアイティー エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】O.M.IT S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via dei Castelli Romani 22, 00071 Pomezia (RM) Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】エリア、カルミネ
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-273261(JP,A)
【文献】特開2016-159241(JP,A)
【文献】特表平05-505553(JP,A)
【文献】国際公開第2014/170533(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02514500(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0285867(US,A1)
【文献】特表平07-508920(JP,A)
【文献】特表平05-505554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 33/00-33/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面および第2の面(10、11)を有する液体透過性の濾過要素(9)と、ここで、前記液体透過性の濾過要素は、少なくとも部分的に液体に浸かるようになっており、前記液体透過性の濾過要素は、
・第1の位置において、前記濾過要素の前記第1の面の領域が圧力を掛けられた液体にさらされ、前記濾過要素に掛かる圧力が0kPaよりも大きく5.9kPa以下であり、
・第2の位置において、前記領域が、圧力を掛けられた液体にさらされない、または、
前記濾過要素が前記第1の位置にあるときの前記圧力よりも低い圧力を掛けられた液体にさらされる様に、
前記液体を通って循環する様に配置され、
前記濾過要素の前記第1の面に蓄積された固体分の除去および/または除去の促進をするために、前記濾過要素の前記第2の面において前記濾過要素を介して前記濾過要素の前記第1の面に向かって少なくとも1つのジェット(16)を向けるための少なくとも1つのノズル(15)とを備える装置であって、
前記濾過要素は、2μmから40μmの細孔径を有しており、
前記装置は、
前記液体透過性の濾過要素により濾過されるべき前記液体に気泡(7)を導入するための
少なくとも1つのガス供給装置(6)をさらに備える、装置。
【請求項2】
前記液体透過性の濾過要素(9)は、異なる細孔径の範囲を有する複数の細孔を含み、前記細孔径が2μmから40μmである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細孔径が15μmから25μmである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記液体透過性の濾過要素(9)が網目を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の位置において、前記領域が前記液体の上にある様に構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
動作可能な高さ(L)まで
前記液体(2)を入れる容器(5)をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記液体が廃水である、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
第1の面および第2の面(10、11)を有する液体透過性の濾過要素(9)を使用して合計で1g/Lから50g/Lの懸濁物質を有する液体を濾過し、合計で10mg/L以下の懸濁物質を有する濾過された液体(4)を生成する方法であって、前記液体透過性の濾過要素は、少なくとも部分的に液体に浸かるようになっており、前記液体透過性の濾過要素は、前記液体を通って循環する様に配置されており、前記方法は、
前記液体透過性の濾過要素を前記液体を通過させて循環させるステップを備え、それにより、
・第1の位置において、前記濾過要素の前記第1の面の領域が圧力を掛けられた液体にさらされ、前記濾過要素に掛かる圧力が0kPaよりも大きく5.9kPa以下であり、
・第2の位置において、前記領域が、圧力を掛けられた液体にさらされない、または、
前記濾過要素が前記第1の位置にあるときの前記圧力よりも低い圧力を掛けられた液体にさらされ、前記濾過要素の前記第2の面において前記濾過要素を介して前記濾過要素の前記第1の面に向かって少なくとも1つのジェットを向ける事により、前記濾過要素の前記第1の面に蓄積された固体分を除去する事が可能であり、
前記濾過要素は、2μmから40μmの細孔径を有し、
前記方法は、
前記液体透過性の濾過要素により濾過されるべき前記液体(2)に
気泡(7)を導入するステップをさらに備える、方法。
【請求項9】
透過流束が200L/(m
2h)から5,000L/(m
2h)となるように前記濾過要素を循環させるステップと、
0cmから6cmの蓄積された固体分の層の厚さを除去するステップとを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細孔径が15μmから25μmである、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記濾過要素の循環速さが0.25m/minから30m/minである、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記液体透過性の濾過要素(9)の50%から75%が前記液体(2)に浸かっている、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記蓄積された固体分を定期的に除去する、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記濾過要素(9)に掛かる前記圧力を制御するために、前記液体(2)と前記濾過要素(9)を横切る前記濾過された液体(4)との間に高低差を生じさせるステップを備える、請求項8~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の位置において前記領域が前記液体(2)の上にある、請求項8~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本発明は、廃水などの液体を濾過し、濾過された流体を得る事、および/または、液体を濃縮する事、あるいは、固体分を回収する事に関するものである。
【0002】
また、本発明は、廃水などの液体を濾過し、濾過された流体を得る事、および/または、液体を濃縮する事、あるいは、固体分を回収する事を目的とした装置に関するものである。
【背景】
【0003】
液体、特に懸濁物質を含む懸濁液の濾過は、自治体、工業、農業の廃水処理プロセスなどの様々な用途で利用できるものである。自治体の廃水処理などでは、懸濁物質の含有量が少ない濾過された液体を得るために濾過を行う場合がある。しかし、他のケースでは、濾過は、液体を濃縮する、または固体分(繊維や破片など)を回収するために使用される場合がある。
【0004】
フィルタの1つの形態としては回転式ディスクフィルタがある。回転式ディスクフィルタの例が、US5,759,397A、US4,639,315A、US5,296,143Aに記載されている。回転式ディスクフィルタは、高い流束を得る事が可能なもので、長時間にわたって連続的に動作可能であり、一般的に目詰まりしにくい傾向があるものである。しかし、回転式ディスクフィルタは、細孔径の大きい濾布を使用するため、濾過の程度が犠牲になる傾向を有する。
【0005】
フィルタの別の形態としては膜型バイオリアクタがある。膜型バイオリアクタは、有効細孔径が非常に小さい傾向を有する。細孔径が小さいと、濾過の程度が高まるが、その代償として流束が減少し(回転式ディスクフィルタに比べて数桁低い)、膜が目詰まりする傾向がある。そのため、膜型バイオリアクタは、低流束で特殊な用途に使用される傾向を有する。
【要約】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、液体を濾過する装置が提供される。前記装置は、第1の面および第2の面(すなわち、これらは、後述の濾過要素の第1の側および第2の側それぞれにおけるものである。)を有する液体透過性の濾過要素を備え、前記液体透過性の濾過要素は、少なくとも部分的に液体に浸かるようになっており、前記液体透過性の濾過要素は、第1の位置において、前記濾過要素の前記第1の面の領域が圧力を掛けられた液体にさらされ、前記濾過要素に掛かる圧力が0kPaよりも大きく5.9kPa(60cmH2O)以下であり、第2の位置において、前記領域が、圧力を掛けられた液体にさらされない、または、低い圧力を掛けられた液体にさらされる様に、前記液体を通って循環する様に配置される。前記装置は、前記濾過要素の前記第1の面に蓄積された固体分の除去および/または除去の促進をするために、前記濾過要素の前記第2の面において(すなわち、前記濾過要素の前記第2の側から)前記濾過要素を介して前記濾過要素の前記第1の面に向かって(すなわち、前記第1の側に向かって)少なくとも1つのジェットを向けるための少なくとも1つのノズルを備える。前記濾過機は、合計で1g/Lから50g/Lの懸濁物質を有する液体を濾過し、合計で10mg/L以下の懸濁物質を有する濾過された液体を生成する様に構成される。前記濾過要素は、細孔径を有しており、前記濾過要素は、透過流束が200L/(m2h)から5,000L/(m2h)であり、前記濾過要素が前記第2の位置に到達したときの蓄積された固体分の層の厚さが0cmから6cmであるような速さで循環する様に構成される。
【0007】
前記液体透過性の濾過要素は、前記液体を通って循環する様に配置され、前記第1の位置においては、前記濾過要素の前記第1の面の前記領域が、圧力を掛けられた液体にさらされて、前記濾過要素に掛かる前記圧力が、0kPaよりも大きく3.9kPa(40cmH2O)以下になる場合がある。前記濾過機は、合計で15g/Lから40g/L以下、例えば20g/Lから40g/Lの懸濁物質を有する液体を濾過する様に構成される場合がある。前記細孔径は、2μmから40μmである場合がある。前記細孔径は、15μmから25μmである場合がある。前記蓄積された固体分の厚さは、前記濾過要素が前記第2の位置に到達したときに0cmから2cmである場合がある。前記速さは、0.25m/minから30m/minである場合がある。前記濾過要素は、0rad/sから1.047rad/s(10rpm)、0rad/sから0.21rad/s(2rpm)、または0rad/sから0.105rad/s(1rpm)で循環する様に構成される場合がある。前記透過流束は、1,000L/(m2h)から5,000L/(m2h)、例えば、2,000L/(m2h)から5,000L/(m2h)になる様に構成される場合がある。前記液体透過性の濾過要素は、異なる範囲の細孔径を有する細孔を含む場合があり、前記細孔径は、2μmから40μmである。前記液体透過性の濾過要素は、網目を備える場合がある。前記液体透過性の濾過要素は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、PTFE、またはナイロンなどのポリマーを備える場合がある。前記液体透過性の濾過要素は、ステンレス鋼などの金属を備える場合がある。前記装置は、前記蓄積された固体分が定期的に除去される様に構成される場合がある。前記装置は、前記蓄積された固体分が周期ごとに除去される様に構成される場合がある。前記周期は、10秒から1000秒である場合がある。前記装置は、前記第2の位置において、前記領域が前記液体の上にある様に構成される場合がある。
【0008】
前記装置は、動作可能な高さまで液体を入れる容器をさらに備える場合がある。前記装置は、前記液体に気泡を導入するためのガス供給装置をさらに備える場合がある。前記装置は、前記容器内において前記高さまでの液体をさらに備える場合がある。前記装置は、前記濾過要素に掛かる前記圧力を制御するために、前記液体と前記濾過要素を横切る前記濾過された液体との間の高低差を調整するための制御システムをさらに備える場合がある。前記制御システムは、コンピュータシステムと、リザーバからの濾過された液体の排出を制御するために前記コンピュータシステムによって制御可能な少なくとも1つのバルブおよび/または少なくとも1つのポンプとを備える場合がある。前記装置は、前記濾過された水を受け取るためのリザーバを備え、前記リザーバは、底部と頂部と前記底部および前記頂部の間における第1の高さhとを有する堰を備え、前記堰は、前記リザーバを第1の部分および第2の部分に分割し、前記装置は、前記リザーバの前記第1の部分に濾過された水を供給するための入口と、濾過された水を受け取るための出口とを備え、前記出口は、前記堰の前記底部と前記頂部との間における第2の高さに設けられる場合がある。
【0009】
前記液体は廃水である場合がある。
【0010】
前記装置は、同軸上で互いに間隔を設けて配置された複数のディスクを有する構造体を備え、各ディスクは、複数の対向する対のフィルタセクタを保持し、中央の内部空間と連通し、外側の円筒形スリーブによって閉じられている場合がある。前記構造体は、2つの円形端板を備え、前記2つの円形端板のそれぞれは、回転可能な支持体のための開口を中央に備えており、前記構造体は、複数の円筒部を備え、前記複数の円筒部それぞれは、前記円筒部のそれぞれに隣接する2つのディスクを隔てて前記中央の内部空間の範囲を定め、前記構造体は、矩形波形態のモジュール部品から構成された複数の長手部材を備え、前記複数の長手部材は、前記複数の長手部材それぞれの端部において前記2つの円形端板に結合されている場合がある。矩形波形態の各モジュール部品は、前記複数の円筒部それぞれに固定された波底と、連続する前記フィルタセクタを支持するための上昇波縁および下降波縁と、前記外側の円筒形スリーブを支持するための、一方または他方の円形端板から等距離にある他の波頂と相互作用する波頂とを有する矩形波を有する場合がある。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、回転式ディスクフィルタのための構造体が提供され、前記構造体は、同軸上で互いに間隔を設けて配置された複数のディスクを有し、各ディスクは、複数の対向する対のフィルタセクタを保持し、中央の内部空間と連通し、外側の円筒形スリーブによって閉じられている。前記構造体は、2つの円形端板を備え、前記2つの円形端板のそれぞれは、回転可能な支持体のための開口を中央に備えており、前記構造体は、複数の円筒部を備え、前記複数の円筒部それぞれは、前記円筒部それぞれに隣接する2つのディスクを隔てて前記中央の内部空間の範囲を定め、前記構造体は、矩形波形態のモジュール部品から構成された複数の長手部材を備え、前記複数の長手部材は、前記複数の長手部材それぞれの端部において前記2つの円形端板に結合されている場合がある。矩形波形態の各モジュール部品は、前記複数の円筒部それぞれに固定された波底と、連続する前記フィルタセクタを支持するための上昇波縁および下降波縁と、前記外側の円筒形スリーブを支持するための、一方または他方の円形端板から等距離にある他の波頂と相互作用する波頂とを有する矩形波を有する場合がある。
【0012】
各矩形波はU字型要素であり、前記矩形波の前記上昇波縁および前記下降波縁には、対向するフィルタセクタを受け入れて支持するために、U字型の断面を有する支持ガイドが突き合わせ溶接される場合がある。前記装置または構造体は、互いに間隔を設けて配置される近位リングおよび遠位リングを備えている一対のリングを備え、前記一対のリングは、前記支持ガイドの下端を支持するために前記円筒部の両側に取り付けられ、前記近位リングは、前記円筒部と接触しており、角度的に等間隔のくぼみを有している場合がある。前記波底は、前記上昇波縁および前記下降波縁と同軸上に一対のくぼみを有しており、前記一対のくぼみは、内側の前記円筒部と接触する前記近位リング上において角度的に等間隔の一対の前記くぼみと噛み合う様に設計されている場合がある。前記U字型要素は、連続するU字型要素への接続に適合した波頂を有しており、前記波頂は、外側の円筒形スリーブの一部を支持するための対向プレートを支持している場合がある。
【0013】
前記装置は、濾過される液体に部分的に浸かって濾過された液体を得る様になっているフィルタを備える場合がある。前記フィルタは、フィルタセクタを支持する構造体を備え、前記フィルタセクタは、前記濾過される液体を含む外部領域と前記濾過された液体を含む内部空間とを分離する様に配置され、前記濾過された液体は、前記濾過される液体の高さLよりも低い高さに維持され、前記支持構造体は、外部支持体に軸の周りに回転可能に取り付けられ、前記濾過された液体の流出を可能にする少なくとも1つの通路を有し、前記フィルタは、逆洗装置と、濾過された液体を前記逆洗装置に供給するための供給システムとを備える場合がある。前記供給システムは、前記内部空間を通過する様に配置された逆洗接続管と、前記内部空間の内側へ延びて前記逆洗接続管に接続された複数のスプレー管とを備える場合がある。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、フィルタまたは回転式ディスクフィルタを備える装置が提供され、前記フィルタまたは回転式ディスクフィルタは、濾過される液体に部分的に浸かって濾過された液体を得る様になっている。前記フィルタは、フィルタセクタを支持する構造体を備え、前記フィルタセクタは、前記濾過される液体を含む外部領域と前記濾過された液体を含む内部空間とを分離する様に配置され、前記濾過された液体は、前記濾過される液体の高さLよりも低い高さに維持され、前記支持構造体は、外部支持体に軸の周りに回転可能に取り付けられ、前記濾過された液体の流出を可能にする少なくとも1つの通路を有し、前記フィルタは、逆洗装置と、濾過された液体を前記逆洗装置に供給するための供給システムとを備える場合がある。前記供給システムは、前記内部空間を通過する様に配置された逆洗接続管と、前記内部空間の内側へ延びて前記逆洗接続管に接続された複数のスプレー管とを備える場合がある。
【0015】
前記装置は、外部支持体に軸の周りに回転可能に取り付けられた2つの円形端板と、複数のディスクとで形成された構造体を備え、前記複数のディスクの端部ディスクは前記2つの円形端板に固定され、各ディスクは、内側半径と外側半径とを有する円形リングの形状をしており、前記内側半径と前記外側半径との間に複数のフィルタセクタを保持しており、前記複数のフィルタセクタは、互いに対向していて内部ディスク区画の範囲を定め、前記内部デイスク区画は、円筒形スリーブによって前記外側半径において周方向に閉じられ、1つのディスクを別のディスクから分離する円筒部によって形成された共通の内部空間に向かって前記内側半径において開いている場合がある。前記装置は、リザーバとポンプと器具とを含む、濾過された液体を供給するための供給システムをさらに備え、前記器具は、前記供給システムを操作するためのものである。前記供給システムは、前記共通の内部空間を通過する逆洗接続管と、前記濾過された液体の高さの上方で、前記濾過された液体を含む前記内部空間の内側へ延びて前記逆洗接続管に接続された複数のスプレー管とを備える逆洗装置を供給する様に構成される場合がある。
【0016】
前記装置は、前記構造体を回転させる様に配置されたモータおよびギアボックスをさらに備える場合がある。前記装置は、前記逆洗接続管の回転を引き起こすための振動装置を備える場合がある。前記振動装置は、前記共通の内部空間の外側で前記円形端板のそれぞれに配置され、前記共通の内部空間を通過して前記軸と同軸の支持体に取り付けられる場合がある。前記円形端板の少なくとも1つは、前記共通の内部空間と連通する開口部を有し、前記濾過された液体の流出を可能にする。前記振動装置は、前記開口部に固定的に取り付けられたリングギアと、前記逆洗装置において前記逆洗接続管の近傍に回転可能に取り付けられた偏心ピニオンとを備え、前記偏心ピニオンが前記リングギアに噛み合う場合がある。あるいは、前記振動装置は、前記開口部に固定的に取り付けられたローブ状カムと、前記逆洗装置において前記逆洗接続管の近傍に回転可能に取り付けられたローラカムフォロワとを備える場合がある。各スプレー管は、前記フィルタセクタに向けられた複数の対向ノズルを有する場合がある。前記逆洗装置に濾過された液体を供給する前記供給システムは、洗浄装置を供給する様に構成される場合がある。前記洗浄装置は、前記軸に平行な前記構造体の外側に取り付けられた洗浄接続管と、前記洗浄接続管に接合された複数のスプレー管とを備え、各スプレー管は、前記フィルタセクタに外部から作用して、濾過された液体のジェットを接線方向下向きにする様に、2つの隣接するディスクの間に延びている場合がある。濾過された液体を供給するための前記供給システムは、少なくとも1つの圧力計、少なくとも1つの圧力スイッチ、および/または、少なくとも1つのカートリッジフィルタをさらに備える場合がある。前記装置は、濾過された液体が前記フィルタセクタを介して前記円形端板に設けられた少なくとも1つの開口部から流出する様に、構成される場合がある。前記装置は、前記濾過される液体のための容器をさらに備える場合がある。前記装置は、前記容器内に配置された棚を備え、前記フィルタは、前記容器内の前記濾過される液体の高さよりも上に突出する様に、前記棚上に配置される場合がある。あるいは、前記装置は、前記フィルタが前記容器内の前記濾過される液体の高さより上に突出する様に、前記フィルタを支持する一組の脚部を備える場合がある。前記液体は、前記フィルタからの前記濾過された液体の流出を可能にするために、前記フィルタの内側において開口部における高さを有する場合がある。前記濾過された液体の高さは、前記容器内の前記濾過される液体の高さよりも低い場合がある。前記フィルタセクタは、2μmから40μmの範囲の細孔を有する濾材を備える場合がある。前記フィルタセクタは、ポリエステル、ポリエチレン、PTFE、ステンレス鋼およびナイロンを含むグループから選ばれる布または濾材を備える場合がある。前記濾過される液体は、1g/Lから50g/Lの濃度の懸濁物質を含む場合がある。前記装置は、前記フィルタセクタに向かう外部からの乱流運動と、前記フィルタセクタの近傍における乱流運動とを起こすために、マクロバブルとナノバブルとの間のサイズの気泡を注入するための空気供給装置を備える場合がある。前記濾過される液体の高さと前記濾過された液体の高さとの間の高さは、0mから3mである場合があり、前記フィルタセクタ上に堆積した層の厚さは、0mから0.06mである場合がある。前記濾過された液体(4)の流束は、0L/(m2h)から5,000L/(m2h)である。前記濾過された液体の懸濁物質含有量は、0mg/Lから10mg/Lである場合がある。前記ディスクの回転速度は、0rad/sから1.047rad/s(10rpm)である場合がある。前記ディスクの数は、1枚から40枚である場合がある。前記ディスクの直径は、0.5mから4mである場合がある。
【0017】
前記装置は、濾過される液体に部分的に浸かって濾過された液体を得る様になっているフィルタを備える場合がある。前記フィルタは、フィルタセクタを支持する構造体を備える場合がある。前記フィルタが部分的に浸かると、前記フィルタセクタは、前記濾過される液体を含む外部領域と前記濾過された液体を含む内部領域とを分離し、前記濾過された液体は、前記濾過される液体の高さよりも低い高さに維持され、前記支持構造体は、外部支持体に軸の周りに回転可能に取り付けられ、前記濾過された液体の流出を可能にする少なくとも1つの通路を有し、ここで、前記内部領域は、液体を保持するための少なくとも2つの分離した非接続の部分に分割される。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、濾過される液体に部分的に浸かって濾過された液体を得る様になっているフィルタを備える装置が提供される。前記フィルタは、フィルタセクタを支持する構造体を備える場合がある。前記フィルタが部分的に浸かると、前記フィルタセクタは、前記濾過される液体を含む外部領域と前記濾過された液体を含む内部領域とを分離し、前記濾過された液体は、前記濾過される液体の高さよりも低い高さに維持され、前記支持構造体は、外部支持体に軸の周りに回転可能に取り付けられ、前記濾過された液体の流出を可能にする少なくとも1つの通路を有し、ここで、前記内部領域は、液体を保持するための少なくとも2つの分離した非接続の部分に分割される。
【0019】
前記フィルタは、フレームの内部に配置されて容器内に位置し、フィルタ構造体を有しており、前記フィルタ構造体は、外部支持体に軸の周りに回転可能に取り付けられた第1の円形端板および第2の円形端板と、前記第1の円形端板および前記第2の円形端板にそれぞれ取り付けられた第1の端部ディスクおよび第2の端部ディスクを含む複数のディスクとを備え、各ディスクは、内側半径と外側半径とを有する円形リングの形状をしており、前記内側半径と前記外側半径との間に複数のフィルタセクタを保持しており、前記複数のフィルタセクタは、互いに対向していて内部ディスク区画の範囲を定め、前記内部デイスク区画は、円筒形スリーブによって前記外側半径において周方向に閉じられ、1つのディスクを別のディスクから分離する円筒部によって形成された共通の内部空間に向かって前記内側半径において開いており、前記フィルタ構造体は、前記濾過された液体の流出を可能にするための前記共通の内部空間に連通している少なくとも1つの流出開口部を備え、前記流出開口部は、第1フランジによって、前記第1の円形端板または前記第2の円形端板の一方のフランジ付き開口部に接続されており、前記共通の内部空間は分離壁によって分割されている場合がある。各部品には、それぞれ濁度センサが設けられる場合がある。前記装置は、少なくとも1つの電動式停止弁をさらに備え、前記少なくとも1つの電動式停止弁は、前記濾過された液体の流出を停止させるために、それぞれの流出開口部の下流に設けられる場合がある。各円形端板は、前記ディスクの内側半径に等しい内側半径を持つ円形リングの形状をしており、前記内側半径と前記ディスクの外側半径に等しい外側半径との間において複数のフィルタセクタを保持しており、前記複数のフィルタセクタは、前記端部ディスクに属する同一の複数のフィルタセクタと対向する場合がある。各外部支持体は、自身の円形端板のフランジ付き開口部に第1フランジによって接続された流出開口部を支持する様に構成され、前記フィルタの前記フレームに第2フランジによって接合されたブッシュベアリングスリーブ内に滑り摩擦またはブッシュを有し、前記ブッシュは、内部で前記流出開口部に隣接しており、前記流出開口部および前記ブッシュベアリングスリーブと同軸の近位ラビリンスシールおよび遠位ラビリンスシールを各端部に有し、前記ブッシュおよび第2のラビリンスシールの移動は、前記流出開口部においてハードストップにより制限されている場合がある。前記装置は、近位ラビリンスシールおよび遠位ラビリンスシールと、外部溝を有する内部リングおよび内部溝を有する外部リングとを備え、前記内部溝は、前記外部溝に同軸で結合されて前記リング間における内部空間の範囲を定め、両者は、前記流出開口部と前記ブッシュベアリングスリーブとに強固に接続されている場合がある。前記内部リングと前記外部リングとは、ポリテトラフルオロエチレンで作られている。前記装置は、外部スリーブの上部に、前記遠位ラビリンスシールおよび前記近位ラビリンスシールの内部空間にチャネルによって接続されたグリスアップノズルを備え、前記ブッシュの内側の範囲は、前記流出開口部によって定められている場合がある。前記構造体は、外部支持体に軸の周りに回転可能に取り付けられ、ギアボックスと伝動軸とを備える第1のグループによって回転する場合がある。前記装置は、前記第1のグループと連動する様に配置された第2のギアボックスと伝動軸とを備える第2のグループをさらに備え、前記第1のグループおよび前記第2のグループは、前記機械の反対側の端部にある場合がある。前記装置は、第1および第2の濾過された水の供給システムを備え、それぞれの濾過された水の供給システムは、濾過された水のためのリザーバと、ポンプと、逆洗装置および洗浄装置への前記濾過された水の供給を制御するための制御装置とを備える場合がある。前記逆洗装置は、前記共通の内部空間を通過する逆洗接続管と、前記逆洗接続管に接続された複数のスプレー管とを含み、各スプレー管は、各ディスクのそれぞれの内部領域において延びており、各スプレー管は、前記フィルタセクタに向けられた複数の対向ノズルを有する場合がある。前記装置は、前記濾過された液体の高さより上の内部領域に連通する第1の端部と外部環境に選択的に連通する第2の端部とを有する少なくとも1つの圧力補償管と、大気圧よりも大きい圧力を前記内部領域に選択的かつ局所的に与えるためのポンプとをさらに備える場合がある。
【0020】
本発明の第5の態様によれば、第1の面および第2の面を有する液体透過性の濾過要素を使用して合計で1g/Lから50g/Lの懸濁物質を有する液体を濾過し、合計で10mg/L以下の懸濁物質を有する濾過された液体を生成する方法が提供され、前記方法は、前記液体透過性の濾過要素を前記液体を通過させて循環させるステップを備え、それにより、第1の位置において、前記濾過要素の前記第1の面の領域が圧力を掛けられた液体にさらされ、前記濾過要素に掛かる圧力が0kPaよりも大きく5.9kPa以下であり、第2の位置において、前記領域が、圧力を掛けられた液体にさらされない、または、低い圧力を掛けられた液体にさらされ、前記濾過要素の第2の側から前記濾過要素を介して層の第1の側に向かって少なくとも1つのジェットを向ける事により、前記濾過要素の前記第1の面に蓄積された固体分を除去する事が可能であり、前記濾過要素は細孔径を有し、前記濾過要素は、透過流束が200L/(m2h)から5,000L/(m2h)であり、蓄積された固体分の層の厚さが除去される時に0cmから6cmになるような速さで循環する。
【0021】
前記液体透過性の濾過要素は、前記第1の位置において、前記濾過要素の前記第1の面の前記領域が、圧力を掛けられた液体にさらされ、前記濾過要素に掛かる圧力が、0kPaよりも大きく3.9kPa以下になる様に、前記液体を通過して循環する様に配置される場合がある。前記細孔径は、2μmから40μmである場合があり、そして、15μmから25μmである場合がある。前記速さは、0.25m/minから30m/minである場合がある。前記方法は、合計で15g/Lから40g/L、例えば20g/Lから40g/Lの懸濁物質を有するものを提供するステップを備える場合がある。前記蓄積された固体分の厚さは、前記濾過要素が前記第2の位置に到達したときにおいて0cmから2cmである場合がある。前記濾過要素は、0rad/sから1.047rad/s(10rpm)、0rad/sから0.21rad/s(2rpm)、または0rad/sから0.105rad/s(1rpm)で循環する様に構成される場合がある。前記透過流束は、1,000L/(m2h)から5,000L/(m2h)、例えば、2,000L/(m2h)から5,000L/(m2h)になる様に構成される場合がある。前記液体透過性の濾過要素は、異なる範囲の細孔径を有する複数の細孔を含み、前記細孔径は、2μmから40μmである場合がある。前記方法は、前記液体に気泡を導入するステップを含む場合がある。
【0022】
前記液体透過性の濾過要素は、網目を備える場合がある。前記液体透過性の濾過要素は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、PTFE、またはナイロンなどのポリマーを備える場合がある。前記液体透過性の濾過要素は、金属、ステンレス鋼を備える場合がある。前記液体透過性の濾過要素は、前記液体に部分的に浸かる場合がある。前記液体透過性の濾過要素の50%から75%が前記液体に浸かる。前記蓄積された固体分は、定期的に除去される場合がある。前記蓄積された固体分は、周期ごとに除去される場合がある。前記周期は、10秒から1000秒である場合がある。前記方法は、前記濾過要素に掛かる前記圧力を制御するために、前記液体と前記濾過要素を横切る前記濾過された液体との間に高低差を生じさせるステップを備える場合がある。前記第2の位置では、前記領域は前記液体の上である場合がある。前記方法は、前記濾過要素に掛かる前記圧力が所定のレベルを超えたことに応じて、前記濾過要素の前記第1の面にジェットを向けるステップを備える場合がある。前記方法は、前記濾過要素に掛かる前記圧力が所定のレベルを超えた事に応じて、前記液体に気泡を導入するステップ、または、前記液体への気泡の速さを増加させるステップをさらに備える場合がある。
【0023】
前記液体は廃水である場合がある。
【0024】
本発明の第6の態様によれば、コンピュータプログラムが提供され、前記コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されると前記コンピュータに前記方法を実行させる。
【0025】
本発明の第7の態様によれば、前記コンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読媒体(非一時的である場合がある)を備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0026】
本発明の第8の態様によれば、前記装置と、前記装置を監視する様に配置された一又は複数のセンサの組と、前記装置を制御する様に配置された一もしくは複数のアクチュエータの組および/または一もしくは複数のモータの組と、前記一又は複数のセンサの組から信号を受け取り、前記一もしくは複数のアクチュエータの組および/または前記一もしくは複数のモータの組を制御するための制御信号を提供する様に配置されたコンピュータシステムとを備えるシステムが提供される。
【0027】
前記コンピュータシステムは、前記濾過要素における固体分の堆積速度、前記固体分の圧縮度、および/または前記液体へ戻る固体分の再導入速度を制御する様に配置される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
次に、本発明の特定の実施形態について、例として添付の図面を参照しながら説明する。
【
図1】
図1は、液体を濾過するための装置の概略図である。
【
図2】
図2は、濾過要素の配置の概略的な透視図である。
【
図3】
図3は、代わりの濾過要素の配置の概略的な透視図である。
【
図5】
図5は、濾過中の異なる段階を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、懸濁液、基板、および濾液を模式的に示しており、基板が懸濁液に導入されているときのものである。
【
図7】
図7は、懸濁液、基板、および濾液を模式的に示しており、基板が懸濁液から取り除かれているときのものである。
【
図8】
図8は、濾過装置を制御するコンピュータシステムの概略ブロック図である。
【
図9】
図9は、回転式ディスクフィルタの構造体の斜視図である。
【
図10】
図10は、構造体の長手部材と同構造体の内側の円筒部との組み合わせの斜視図である。
【
図12】
図12は、
図9に示した構造体の内側の円筒部とモジュール部品との組み合わせの斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明による構造体のモジュール部品を内側の円筒部とともに示す分解斜視図である。
【
図16】
図16は、浄化器内にある回転式ディスク濃縮真空フィルタの斜視図である。
【
図17】
図17は、回転式ディスクフィルタとその逆洗装置との構造を一部断面で示した概略側面図である。
【
図19】
図19は、説明を明快にするために部品を取り除いた状態の、
図17に示す回転式ディスクフィルタの斜視図である。
【
図20】
図20は、説明を明快にするために部品を取り除いた状態の、
図19に示した逆洗装置の斜視図である。
【
図21】
図21は、逆洗装置が第1の位置にある状態を示す、
図19に示す回転式ディスクフィルタの左端図である。
【
図22】
図22は、逆洗装置が第2の位置にある状態を示す、
図19に示す回転式ディスクフィルタの左端図である。
【
図24】
図24は、
図19に示す回転式ディスクフィルタの左端図であってディスク洗浄装置を示している。
【
図31】
図31は、説明を明快にするためにいくつかの部品を取り外した状態の、
図30に示す支持体の分解斜視図である。
【
図32】
図32は、説明を明快にするためにいくつかの部品を取り外した状態における、
図31に示す支持体を組み立てたものの斜視図である。
【
図33】
図33は、
図30に示した支持体におけるシール用ラビリンス型の内部要素の斜視図である。
【
図43】
図43は、堰とバルブとを備える濾過機の第1の出力配置を示す図である。
【
図44】
図44は、堰を備えずにバルブを備える濾過機の第2の出力配置を示す図である。
【
図45】
図45は、吸引ポンプを備える濾過機の第3の出力配置を示す図である。
【
図46】
図46は、水中ポンプを備える濾過機の第4の出力配置を示す図である。
【
図47】
図47は、吸引ポンプと従属パイプとを備える濾過機の第5の出力配置を示す図である。
【特定の実施形態の詳細な説明】
【0029】
以下では、同様の要素は同様の参照番号で示される。
【0030】
導入
図1を参照すると、廃水などの懸濁液2(本明細書では「液体」または「フィード」と呼ぶ)を、液体2から固体分3を除去する事によって濾過し、濾過された液体4を生成する装置1が示されている。
【0031】
装置1は、タンクなどの容器5を含み、容器5には、液体2が高さLまで充填されている。高さLは、濾過された液体4(本明細書では「濾液」とも呼ぶ)が流出側から取り出されるときに、流入側で容器5に液体2を供給する事によって維持され得る。 詳しくは後述するが、液体2の高さLと、濾過された液体4の高さLfとは、濾過プロセスを制御するために変化させる事ができるものである。
【0032】
装置1は、液体2中に、気体好ましくは空気の気泡7を導入するための気体供給装置6(または「エアレータ」)と、気体供給装置6の上で液体2に少なくとも部分的に浸かった濾過機8(
図1では一部のみが示されている)とを含む。ここで、濾過機8を単に「フィルタ」と呼ぶ場合がある。
【0033】
濾過機8は、一又は複数の液体透過性の濾過要素9(本明細書では、「濾過要素」、「フィルタセクタ」、「基板」または「網目」とも呼ぶ)を含み、各濾過要素9は、第1および第2の対向面10、11(本明細書では、「外側面および内側面」または「外面および内面」とも呼ぶ)を有し、これらは、液体2の内部と外部とを循環(または「周期的に移動」)できるものである。
【0034】
濾過要素9が液体2に浸かっている間、液体2は圧力を掛けられてそれを通過する事ができる。液体2が濾過要素9を通過する際に、固体分3が液体2から除去され、濾過要素9の第1の面10上に層14として堆積(または「蓄積」)する。ここで、層14は、「堆積層」、「蓄積層」、「スラッジ層」、「ケーキ」、および「ダイナミック膜」とも呼ばれる。
【0035】
一又は複数の内部ノズル15(本明細書では、「スプレーバー」とも呼ぶ)は、濾過要素9上に堆積した層14の厚さを制御するために、濾過要素9の内側面11に液体(濾過された流体4など)のスプレーまたはジェット16を向ける為に使用され得る。スプレー16は、濾過要素9の外側面10と層14との間に流体の薄い境界層17を維持するために使用され得る。
【0036】
一又は複数の外部ノズル18は、層14の除去を促進する為に、液体(濾過された流体4など)の外部のスプレーまたはジェット19を濾過要素9の外側面10に向ける為に使用され得る。
【0037】
装置1は、固体分の堆積速度、固体分の圧縮度、および液体2に戻る固体分の再導入速度を制御する様に配置される。膜型バイオリアクタでは、膜上への固体分の堆積が防止または回避されるのに対し、本明細書に記載の装置1では、液体透過性である堆積層14が追加的で微細な濾過を提供するのに使用される。
【0038】
5μmから40μmの網目自由通路を有する液体透過性の濾過要素9の場合、測定の結果、堆積層14は0.04μmから0.4μmと同等の公称細孔径を有する事が分かった。
【0039】
図2も参照すると、濾過要素9は、環状フィルタ20を形成するために組み立てられる薄型環状扇形の濾過要素9(以下「フィルタセクタ」とも呼ぶ。)の形をとる。
【0040】
以下において詳細に説明するが、各フィルタセクタ9は、フィルタセクタを交換可能なそれぞれのU字型要素(「ホルダー」または「ラック」)で保管できるものである。
【0041】
以下において詳細に説明するが、軸方向にずらして配置された一対の環状フィルタ20は、環状の空間34(
図4)を有するディスク31(
図4)の一部を形成しており、その中に、浸かっている濾過要素9を通過して両側から液体が流れ込む。濾過機8は、一列に配置されたディスク31(
図26)のアレイ(または「組」)を備える。
【0042】
環状フィルタ20は、部分的に浸かっており、液体2の高さLに対して垂直であり、または傾斜しており、回転軸21の周りを回転する。したがって、濾過要素9は、円形の経路に沿って進みながら、液体2の中に入り、液体2の中を移動した後に液体2から離れる。濾過要素9が液体2の中にある間、液体2は圧力を掛けられて濾過要素9を通るように押し出される。
【0043】
本明細書では、環状扇形形状の濾過要素9を有する回転式ディスク濾過機の形態をとる濾過機の実施形態を説明しているが、濾過機および濾過要素9は、それらが液体2の内部と外部とを循環する事ができる他の形態をとる事ができる。
【0044】
図3を参照すると、濾過要素9は、円筒形フィルタ20'を形成する円筒形の濾過要素9の形態をとる場合がある。あるいは、濾過要素9は、円筒形フィルタ20'を形成する様に組み立てられ得る湾曲部品の形態を取る場合がある。円筒形フィルタ20'は、その回転軸21'としても機能する中心軸を有する。円筒形フィルタ20'は、その中心軸21'が液体2の高さLと平行になる様に、部分的に浸かっている。
【0045】
他の濾過要素の形状や配置、例えば、液体透過性の濾材のベルトやバンドなどを使用することができる。
【0046】
図4を参照すると、濾過機8は、水平に分離されて鉛直に(または、ある角度に)方向付けられた複数の(明確性を考慮して1つだけを示しているが)ディスク31を含み、各ディスク31は、第1および第2の環状フィルタ20を備え、各環状フィルタ20は、好ましくはプラスチックから作られた濾過要素9を備える。
【0047】
ディスク31は、40%から75%の浸漬率(すなわち、浸かっているディスクの領域の割合)を有する流体2に部分的に浸かっている。したがって、各ディスク31の第1の部分32(影が付されていない)は流体2の高さの上にあり(すなわち、浸かっていない)、ディスク31の第2の部分33(影が付されている)は浸かっている。
【0048】
第1および第2の環状フィルタ20の間には、濾過された液体4が集まる環状の空間34が設けられる。濾過された液体4は、内部空間35を通って排出される。
【0049】
濾過機8は、ディスク31が0から10回転/分(0から10(2π/60)rad/s)で回転する様に配置される。
【0050】
図5を参照すると、液体2、濾過要素9、およびスラッジ14の間の静電引力および静電反発力が、濾過プロセスに影響を与える事がある。例えば、水は、親水性であり、負の電荷を帯びている。濾過要素9は、特にポリエチレンなどのプラスチックで形成されている場合、高い疎水性を有し、正の電荷を帯びる傾向を有する。スラッジ14は、疎水性であり、小さな正電荷を帯びる傾向を有する。
【0051】
t=0からt=t1(0≦t≦t1)の第1の期間において、基板9が最初に液体2に入り、ヘッド差Δが0からΔ1(0≦Δ≦Δ1)にあるとき、基板9は、基板9を通る液体2の流れに実質的に抵抗を与えない。ヘッド差が小さいので、流束Fは、0からF1(0≦F≦F1)の低い値である。t1の値は約1秒であり、Δ1の値は約0.5cmである。
【0052】
基板9には一般的にスラッジ14が付着しない。基板の開口部(すなわち、細孔)よりも大きい、細孔径Pを有する固体粒子3は、はじかれる傾向を有する。しかし、基板9がより浸かって、ヘッド差Δが大きくなると、基板9を通る流体2の流れが固体粒子3を基板9に向かって押し付け、それによって薄いケーキ14が形成される。
【0053】
t=t1からt=t2の第2の期間においては、ヘッド差Δは、増加してΔ1からΔ2(Δ1≦Δ≦Δ2)にある。基板9は、基板9を通過する液体2の流れに多少の抵抗を与え始める。粒子3は基板9上にゆるやかに集まり始め、ケーキ14が形成され始める。t2の値は約2秒であり、Δ2=1cmである。
【0054】
図6も参照すると、薄いケーキ14は、水および小さな粒子などの液体2の流れを制限するため、ケーキ層14は大きくなるが、水2は依然としてケーキ層14と基板とを通って流れる。ケーキ14が成長すると、基板9およびスラッジ14の正の電荷と水2の負の電荷とが、基板とケーキとの間に薄い水境界層22を形成するのを促進する。
【0055】
t=t2からt=t3の第3の期間に、ヘッド差Δはさらに増加する。したがって、流束Fは増加する。t3の値は約5秒であり、Δ3=5cmである。
【0056】
ケーキが回転すると、ケーキ14と基板とにわたる圧力降下が減少し、水の速度が低下するため、濾過プロセスが容易になる。
【0057】
ケーキ14と基板9とが濾液4に入るときに最も高い流束が発生する。しかし、ケーキ14が厚くなると、流束Fは減少し始める。
【0058】
図7を参照すると、ケーキ14が固体の懸濁液2から引き出されると、重力が基板の背面の濡れによって助けられた水境界層22に作用する。重力によるケーキ14への力が境界摩擦よりも大きくなると、ケーキ14は固体の懸濁液の中に滑り落ち、きれいな基板9が残る。
【0059】
このプロセスは、基板が懸濁液2に再導入される際に繰り返される。
【0060】
先に述べた様に、本明細書に記載されている濾過プロセスは、例えば20μmの網目サイズを有するポリエチレンなどのプラスチック網目を使用すると有益である。
【0061】
これらのプロセスは、表面張力に加えて、吸い込み効果である毛細管現象を有効に利用できるものである。毛管力は、非常に強くなり得るものであり、通路またはチャネル(すなわち、基板の細孔)を形成するための材料、通路またはチャネル(「毛管」)の寸法、さらに水の供給源と供給先との位置に依存する。さらに、基板の内側の面(つまり濾液側)にある水膜は空気に触れているため、表面張力によっても、毛管内の水が引っ張られて毛管内を水が加速する。同時に、この力は、固体分を反発する同等で反対の力を生み出し、網目上に大きな正電荷を作り出す。この様に、濾材9が空気に触れるときに完全に濡れている様にする事で、濾過を促進する事ができ、驚くほど高い流束と高品質の濾液とを得る事ができる。
【0062】
図1および
図4を参照すると、このプロセスは、基板9を液体2を通過させて循環させる事によって実行される。ディスク31の一部が液体2に入ると、固体分3がディスク31に付着して結合する様になる。ディスク31が回転し続けると、固体分3がさらに蓄積されていく。1/4回転の終わりまでに、蓄積層14は、0.5mmから10mmの厚さtを有する事ができる。この厚さtは、固体分3と流束Fとに依存する。
【0063】
液体2が基板9を通るように促し、固体分3の堆積を引き起こすために使用される駆動力は、フィルタの外側と内側との間、すなわち第1の面および第2の面10、11の間の差動高さΔによって生成される。駆動力は、典型的には3cmから5cm(すなわち、3cm≦Δ≦5cm)であるが、0.4m(Δ≦0.4m)程度でもあり得る。
【0064】
濾過プロセスは、基板の特定の表面を通過する流体の流れによって特徴付けられ、これは、流束F(L/(m2h)または「LMH」で測定される)で定義する事ができるものである。濾過サイクルにより、最大高低差、すなわちΔ=40cmの場合、250L/(m2h)以上5,000L/(m2h)以下の流束が可能である。
【0065】
ディスク31の回転(すなわち、循環)は、基板9を液体2中に配置してダイナミック膜14を形成するためだけでなく、基板9を液体2から除去してダイナミック膜14の形成を制御するためにも用いられる。
【0066】
固体分3の堆積は、放置されると基板9が目詰まりして部分的に脱水するまで続き得る。
【0067】
脱水を避けるために、濾液(すなわち、濾過された流体4)または他の供給源からの流体のスプレー16を、流体の高さLの上または下の基板9の内側面11に当てる事ができる。内部のスプレー16を生物学的曝気または追加の機械曝気と組み合わせて、過剰な固体分の蓄積を防止する事を促進する事ができる。回転、曝気、濾液(または他のきれいな液体)の外部のスプレー19、ヘッド差、基板の細孔径(または「開口サイズ」)、および内部のスプレーの組み合わせは、所定の用途のためのダイナミック膜14の所望の厚さtを維持するのに役立つ。
【0068】
以下の表Aは、濾過の様々なプログラム(回転速度と時間との設定、逆洗と曝気との使用)を示す。
【0069】
【0070】
より厚いダイナミック膜14を使用して、濾過の程度を高める(すなわち、分離を強化する)事ができる。最大高低差とダイナミック膜の厚さとは、要求される分離度と濾液の品質とを達成するために選択できるものである。
【0071】
ディスク31がさらに回転すると、ダイナミック膜14は、流体2から引き出されて空気にさらされる。基板9とダイナミック膜14との間の流体薄層17によって、膜14は、重力によって基板9から剥がれ落ちて、流体2の中に落下する事ができる。スプレーは、膜のない基板領域の形成を促進する事ができる。膜のない基板上には水の薄層が存在する場合がある。重力ならびに内部および外部のスプレーの組み合わせにより、水の薄層を有する場合がある膜のない基板領域が生じる場合がある。
【0072】
図8を参照すると、濾過装置1は、少なくとも1つのプロセッサ42、メモリ43、不揮発性のストレージ44、およびネットワークインターフェース45を含むコンピュータシステム41を含んでいる。コンピュータシステム41は、ストレージ44からメモリ43にロードされてプロセッサ42によって実行される制御ソフトウェア46を実行する。コンピュータシステム41は、フィルタのアレイの回転を駆動する一又は複数のモータ47と、スプレーバー15、18のためのポンプおよび/またはバルブ48とを制御する。コンピュータシステム41は、センサ49、例えば、高さセンサからの信号を受信する場合がある。
【0073】
制御ソフトウェア46は、高低差に応じて上記機械を異なる動作状態に切り替えるために使用され得る。例えば、高低差が比較的大きい場合には、ソフトウェア46は、ディスク31を速く回転させ、より激しいスプレーおよび曝気を行う事ができる。高低差が比較的小さい場合には、ソフトウェア46は、ディスク31を遅く回転させ(あるいは全く回転させず)、激しいスプレーを行い(あるいは全く行わず)、かつ/または、少ない曝気を行う(あるいは全く行わない)場合がある。
【0074】
固体分が過剰に堆積すると、ダイナミック膜14の脱水が生じて脱水濾過が生じ得る。脱水濾過により、ケーキの局所的な脱水が引き起こされ、動かずに固定された高密度の層が形成され得る。ケーキを除去するために、外部のスプレーバー18が使用され得る。スプレー19は、ケーキを粉砕して基板9を通過させるのではなく、基板9からケーキを切り離すような角度になっている。この形態の回復洗浄は、例えば、他の方法では高低差を十分に低減できない場合に使用され得る。
【0075】
堆積層14は、いったん除去されると流体2内に戻り、そこで流体に混ざり(「再懸濁」と呼ぶ)、流体2内で再分配される。
【0076】
濾過機8は、2g/Lから20g/Lまたは40g/Lの懸濁物質含有量を有する流体2を処理可能であり、それは、フィルタの近傍では局所的に50g/Lの懸濁物質含有量まで上昇する場合もある。ダイナミック膜14では、3%から5%を超える乾燥物質(DS)が測定されており、ダイナミック膜14は、流体2(5%DS=50g/L)の内部に落ちる。
【0077】
回転式ディスクフィルタの構造体
図9を参照すると、回転式ディスクフィルタの構造体50が斜視図で示されている。 ディスク31は、同軸上で互いに間隔を設けて配置される。各ディスク31は、複数の対向する対のフィルタセクタ(図示せず)を保持し、中央の内部空間と連通する。各ディスク31は、外側の円筒形スリーブ52によって閉じられている。回転式フィルタは、2つの円形端板53を備えており、各端板53には、回転可能な支持体のための開口部55が中央に設けられている。円筒部54は、2つの隣接するディスク31を隔てて、上記ディスクフィルタの中央の内部空間の範囲を定めている。
【0078】
端板53は、フィルタ面積を増やすためにフィルタを保持する場合がある。これは、数枚のディスク31しか使用しない場合に利用され得る。例えば、4枚のディスクユニットの端板にフィルタを設けると、面の数は6面から8面に増える。
【0079】
図10を参照すると、構造体の長手部材と同構造体の内側の円筒部との組み合わせの斜視図が示されている。
【0080】
長手部材56(本明細書では、「直立部材」と呼ぶ)は、円筒部54から径方向に延びている。
図10に示す長手部材56の組は、構造体に設けられた長手部材56の12個の組のうちの1つである。
図14に最もよく示されている様に、長手部材56は、中心軸の周りに30度の間隔で配置される。各長手部材56は、
図10の細部を拡大した
図11に詳細に示されている様に、矩形波形態の連続したモジュール部品で構成されている。
【0081】
図12および
図13は、それぞれ、構造体の内側の円筒部とモジュール部品との組み合わせの組立斜視図および分解斜視図である。
【0082】
図12と
図13とを参照すると、モジュール部品は、矩形波と内側の円筒部とが組み合わさった形状を有している。特に、各矩形波は、U字型要素58で構成されている。 U字型要素58は、円筒部54に固定された波底59と、連続するフィルタセクタを支持するための上昇波縁60と下降波縁61とを有する。また、各U字型要素58は、外側の円筒形スリーブ52(
図9)の一部を支持するための、一方または他方の円形端板53から等距離にある他の波頂と相互作用する波頂63を有する。
【0083】
各U字型要素58は、好ましくは上昇波縁60と下降波縁61とを有し、これらにU字型断面を有するチャネルの形態を有する支持ガイド64が突き合わせ溶接され、対向するフィルタセクタ9を支持する。
【0084】
一対のリング、すなわち、互いに間隔を設けて配置された近位リング65と遠位リング66とは、支持ガイド64の下端を支持するために円筒部54の両側に取り付けられる。それぞれの近位リング65は、内側の円筒部54と接触しており、角度的に等間隔のくぼみ67を有しており、その数は、構造体の実施形態の長手部材の数と等しい。これに対応して、波底59は、上昇波縁60および下降波縁61と同軸上に一対のくぼみ68を有している。くぼみ68は、円筒部54と接触する上記リング上において角度的に等間隔の一対のくぼみ67と噛み合う様に設計される。
【0085】
また、U字型要素58は、連続するU字型要素58への接続に適合した波頂63も有する。好適な態様では、波頂63は、外側の円筒形スリーブ52の一部を支持するために適合された対向プレート69を支持する。
【0086】
【0087】
まず
図14を参照すると、本実施形態では、12個ある内側の円筒部54ごとにモジュール部品57が追加されている。モジュール部品57は、連続して溶接され、
図16の組み立てられた構造体50を形成する。一方の端部のモジュール部品が円形端板に接合するための頂点63を有しており、その円形端板がU字型要素の頂点63に追加される事は明らかであろう。
【0088】
構造体50は、安定して強固であり、フィルタセクタの迅速な交換を可能にする。
【0089】
濾過装置
図16は、液体2を濾過するための回転式ディスク濾過機8の第1の例を示す斜視図である。以下の説明を簡単にするために、濾過される液体2を廃水と呼ぶ。回転式ディスク濾過機8は、液体2を濃縮する為に使用できるものである。
【0090】
図16を参照すると、回転式ディスク濾過機8(以下、「回転式ディスクフィルタ」または単に「フィルタ」と呼ぶ)は、棚70の上に置かれて容器5(または「容器」)の内部に配置されている。容器5の底部には、空気供給装置6が配置されている。処理される廃水2の高さLは、フィルタ8の大部分を覆っている。
【0091】
フィルタ8は、フレーム73の内部に回転可能に配置された構造体50を備えており、その性質は残りの説明から明らかになるであろう。より正確には、それは、棚70の上に置かれたこのフレーム73である。棚は使用される必要は無い。例えば、フレーム73は、容器5の床に置かれる脚部(図示せず)を備える場合があり、または容器5の壁に固定される場合がある。金属で構成されたハッチを有するカバー74が、フレーム73により支持される。濾過機8には、濾過された水の供給システム75が設けられる。
【0092】
第1の矢印Fは、濾過機8の内部の構造体50の回転方向を示す。1組の第2の矢印Uは、濾過機8の一方側(または一端)からの、濾過された水4の流出を模式的に示している。
【0093】
図17は、濾過機8の構造体50とその逆洗装置との模式的な側面図であり、その上部は、部分的に断面になっている。
【0094】
図17を参照すると、濾過機8の反対側にも、同様に濾過された水4が流出している。濾過機8の両側からの流出Uは、フランジ77に接続されたチューブ76において搬送される。あるいは、濾過機8は、単一の流出Uを有するように実装され得る。
【0095】
図18は、構造体50の一部をより詳細に示したものである。
【0096】
図17および
図18を参照すると、構造体50は、ギアモータ47およびトランスミッションの配置81によって軸xの周りに回転可能な外部支持体79、80に取り付けられた2つの円形端板53によって形成されている。外部79、80は、円形端板53の中央に配置された開口部87に配置され、濾過された水のための2つの対向する流出Uを形成する。明らかに、単一の流出Uの場合には、単一の端板上の単一の開口部87で十分である。この実施形態は、簡潔性を考慮して図示されない。
【0097】
2つの円形端板53には、複数のディスク31が同軸上に固定される。ディスク31は、平面視で、内側半径rと外側半径Rとを有する円形リングの形状をしている。
【0098】
各ディスク12は、内側半径rと外側半径Rとの間に複数のフィルタセクタ9を保持し、複数のフィルタセクタ9は、互いに対向していて内部ディスク区画84の範囲を定めており、内部ディスク区画84は、円筒形スリーブ52によって外側半径Rにおいて周方向に閉じられており、1つのディスクを別のディスクから分離する円筒部54によって形成される共通の内部空間35に向かって内側半径rにおいて開いている。
【0099】
各フィルタセクタ9は、支持フレーム上に、2μmから40μmの範囲の細孔もしくは開口部を有する布、網目、基板、または濾材を備える。製造公差を含めて、細孔は、2±1μm、4±1μm、6±1μm、8±1μm、10±1μm、12±1μm、14±1μm、16±1μm、18±1μm、20±1μm、22±1μm、24±1μm、26±1μm、28±1μm、30±1μm、32±1μm、34±1μm、36±1μm、38±1μm、または40±1μmのサイズを持つ。
【0100】
異なる細孔径を持つフィルタセクタ9を使用して、濾過機のテストを実施した。結果として得られた流束と濾液の品質(TSSと表される)とが以下の表Bに示されている。
【0101】
【0102】
布または濾材は、ポリエステル、ポリエチレン、PTFE、ステンレス鋼、ナイロンを含むグループから選択される。
【0103】
図17では、矢印arが濾過される液体2を示しており、容器内の液体2の高さはLで示されている。
【0104】
気泡7は、空気供給装置6(
図16)から供給される。気泡7は、マクロバブル、マイクロバブルまたはナノバブルであり得る。なお、濾過される液体2は廃水以外のものであり得る事が、注記されるべきである。気泡7の供給は、フィルタ8の外側に乱流運動を生じさせる。この運動は、フィルタセクタ9の外側面に形成されるスラッジ層14(
図1)の厚さと、フィルタ8によって達成できる流量とを安定させることに役立ち得る。濾過された水4は、チューブ76内で上昇可能な高さLfを有する。
【0105】
濾過された水を供給するための供給システム75は、開口部87を介してフィルタ8の内部と連通するリザーバ78を含む。リザーバ78内の濾過された水の高さLfは、ディスク31内の濾過された水の高さと同じである事が理解されるべきである。この理由は、濾過された水の流出は、開口部87から重力によって流れるものであり、次の事実により引き起こされるものであることであり、その事実は、外側の濾液出口管の下端が、流量に対して過大であるために実質的に空であり、濾過された水の高さLfと内部高さとを(これらは同一である)同時に決定することである。フィルタが容器5内において浸かっているとき、濾過された水の高さLfは、フィルタの寸法に依存する量だけ、水の高さLを下回る。この高低差により、水はフィルタの内側から外側へと移動する。上記機械が容器内において浸かるのとほぼ同時に、容器内に水の差圧が発生し,水が濾過膜を通過する。
【0106】
通常、濾過される液体2には、1g/Lから40g/L、または50g/Lの濃度TSSである懸濁物質が含まれる。
【0107】
容器5内の濾過される液体2の高さLと回転式フィルタ内の濾過された液体4の高さLfとの間の距離は0mから0.4mであり、したがって回転式フィルタ内において同じ間隔で減圧が発生する。濾過膜上には、0mから0.06mの厚さの堆積層が形成される。
【0108】
濾過された液体4の流束は0L/(m2h)から5000L/(m2h)であり、濾過された液体4の懸濁物質含有量は0mg/Lから10mg/Lである。
【0109】
ディスクの回転速度は、0rad/sから1.047rad/s(10rpm)である。
【0110】
ディスク31の数は1枚から40枚の間隔において選択され、その外側半径は0.5mから4mの範囲にある。
【0111】
図19および
図20は、洗浄操作のために濾過された水を供給するための供給システム75を示している。
図16は、説明を明快にするために部品を取り除いた回転式ディスクフィルタの斜視図である。
【0112】
図19および
図20を参照すると、供給システム75は、リザーバ78の内部において浸かっているポンプ48を備え、その下端は、濾過された水4の高さLfより低い。
【0113】
濾過された水4を供給するための供給システム75は、ポンプ48と同様に、その操作のための一連の器具、すなわち、圧力計89、圧力スイッチ90、カートリッジフィルタ91を含んでおり、それらは、逆洗装置93と後述する洗浄装置の縦供給管97とに達する横長管92に設けられている。
【0114】
逆洗装置は、第2のL字型コネクタ96につながっている第1のL字型コネクタ95を備え、第2のL字型コネクタ96は、逆洗接続管97につながっており、逆洗接続管97は、共通の内部空間35を通過し、支持体98に対して振動可能に第2のL字型コネクタ96に取り付けられている。支持体98は、濾過機8の両側の端部において、その円形端板53の近くにある。接続管97は、濾過機8(
図17)の構造体50の軸xと同軸である。円形端板53は、フィルタセクタがない状態で示されている。
【0115】
複数のスプレー管99は、逆洗接続管97から直交して分岐し、内部ディスク区画84の内部において延びている。オプションの振動装置が、第2のL字型コネクタ96において接続管97の近傍で、それぞれの円形端板53(
図16にはそのうちの1つだけが示されている)に設けられ、軸xと同軸の支持体98の周りに逆洗接続管97とスプレー管99とを回転させる場合がある。
【0116】
上述した逆洗装置93の配置は、
図17の斜視図に、より明確に示されている。この図では、各スプレー管99(
図19)が、フィルタセクタ9(
図20には示されていない)に向けられた複数の対向ノズル15(
図1)を有している事について、より明確に確かめる事ができる。
【0117】
図21および
図22は、逆洗装置93がそれぞれ第1の位置および第2の位置にある状態を示す回転式ディスクフィルタの左端図である。
【0118】
逆洗接続管97の振動装置101は、共通の内部空間35と連通する開口部87にオプションとして設けられる。
【0119】
振動装置101は、開口部87の外側面に固定的に取り付けられたリングギア102を備える。リングギア102は、逆洗装置において逆洗接続管97の近傍に回転可能に取り付けられた偏心ピニオン103と噛み合う。フィルタ8の構造体50の反時計回りの回転により、偏心ピニオン103が逆方向に回転し、逆洗接続管97が、
図21および
図22に示す2つの位置に支持体98の周りを揺動運動する事が理解されるべきである。これは、歯付きカムと偏心カムフォロワとによって生じる動きである。この揺動運動の結果として、スプレー管99のノズル15からの濾過された水のジェットは、常に同じ点でフィルタセクタ9に当たるわけではなく、これらのセクタの実質的に全ての表面にわたって逆洗効果を提供する。これを実現するために、ピニオンとリングギアとの歯数は、それらが素数である様に(すなわち、それらが公約数を有さない様に)選択されている。よって、ノズルは同じ箇所を通過しないため、フィルタセクタの膜における筋の形成が回避または防止される。
【0120】
図23を参照すると、逆洗装置の変形が示されている。
【0121】
逆洗装置の変形は、カムおよびカムフォロワの振動装置101'を備えている点で、先に説明した逆洗装置とは異なる。この変形では、カムは、ローブ状カム102'であり、カムフォロワは、ローブ状カム102'に追従する事で逆洗接続管97に同様の振動をもたらすローラ103'である。この変形では、ローブ状カム102'は、開口部87に固定的に取り付けられ、ローラカムフォロワ103'は、逆洗装置93において逆洗接続管97の近傍に回転可能に取り付けられる。
【0122】
図24は、回転式ディスクフィルタの左端図であって外部のディスク洗浄装置を示している。
図25は、ディスク洗浄装置のスプレー管の斜視図である。
【0123】
図19、21および22を参照すると、濾過された水4を供給するための供給システム75は、第1のL字型コネクタ95への分岐の下流に延長部94を有している。延長部94は、洗浄装置105(
図24)を供給するために使用され、洗浄装置105は、軸xに平行なフィルタ8の構造体50の外側に取り付けられた洗浄接続管106と、複数のスプレー管18とを備え、複数のスプレー管18は、洗浄接続管106に接合され、構造体50の1つのディスク31と別のディスクとの間において少なくとも1つずつ延びており、接線方向下向きの水のジェットをフィルタセクタ9に外部から作用させる。洗浄は、逆洗に先行する。その結果、ディスクの回転により濾過される水からフィルタセクタが浮かび出るとすぐに、フィルタセクタの外側面に付着したスラッジの層が除去され、ここで、フィルタセクタには非常に低い圧力が垂直に加わるに過ぎない。これは、フィルタセクタの細孔を塞いでいた不純物から細孔を解放する事を目的とした後続の逆洗の効果を大幅に高める事ができる。接線方向の洗浄と逆洗とは、出口リザーバの1つからポンプによって引き出された濾過された水を必ずまたは場合によって使用する。
【0124】
気泡の供給により、フィルタセクタの外側と近傍とに乱流運動が発生する。この運動は、フィルタセクタの外側面に形成されるスラッジ層の厚さと、このタイプの濃縮フィルタで達成できる流量とを安定させる事に役立ち得る。それにより、流体力学的濾過による濾過された水の品質も確保される。ディスクの回転運動は、容器の内側に向かって、厚くなったスラッジに水力/遠心力による推力を作り出す。
【0125】
濾過装置
図26は、液体2を濾過するための回転式ディスク濾過機8の第2の例の斜視図である。第2の回転式ディスク濾過機8は、ディスク31が4枚である事を除いて、回転式ディスク濾過機8の第1の例と同様である。
図27は、ディスク構造体50の部分斜視図である。
図28は、容器内において浸かっている上記機械の縦断面図である。
【0126】
図26から
図28を参照すると、フィルタ構造体50は、第1および第2の端部ディスク31
0、31
1を含む複数のディスク31を備える。ディスク31は、内側半径rと外側半径Rとを有する円形リングの形状をしている。ディスクの数は1枚から40枚であり、その直径は0.5mから4mである。ディスクの数が1枚である場合、上記機械をドラムマシンと呼ぶ事もできる。
【0127】
端部ディスク31
0、31
1は、径方向に配置された支持部108がフランジ開口部109に合流する(すなわち、「結合する」)ことで補強された円形端板51を備える。各ディスク31は、内側半径rと外側半径Rとの間において、互いに対向していて内部ディスク区画84の範囲を定める複数のフィルタセクタ9を保持する。内部ディスク区画84は、円筒形スリーブ52によって外側半径Rにおいて周方向に閉じられており、1つのディスクを別のディスクから分離する円筒部54(
図19)によって形成される共通の内部空間35に向かって内側半径rにおいて開いている。
【0128】
図29は、端部ディスク31の一部の細部を拡大した概略図である。
【0129】
図29を参照すると、網目、基板または他の濾材で作られた濾材114の外周は、台形のフレーム116に受け止められて保持されるエッジ115において厚くなっている。ディスク31の外側に面する濾材114の側で、しかし他のディスクの同じ側でも、布または濾材上に堆積したケーキまたは層14が0mから0.06mの厚さに形成される。ディスク内のフィルタセクタ9を保持する台形のフレーム116は、一般的に0.007mの幅を有しており、濾過に伴う厚い層またはケーキの堆積を可能にし、その効果を高める。さらに、ケーキの厚さは、機械8の出力流束に影響を与える要因の1つである。エッジの特異な収束形状により、ディスクの回転と重力による引っ張りとの影響に対抗して、ケーキを所定の位置に保つ事ができる。ケーキの厚さは、容器5における流出量と濾過される水の高さとを測定し、容器5におけるマクロバブル、マイクロバブルおよびナノバブルによる曝気の強度を決定する制御ユニットによって制御される。
【0130】
円形端板51は、外部支持体79、80(
図28)に取り付けられており、軸xに沿って上記機械の両側の端部に模式的にのみ表されたギアボックス119および動力伝達シャフト120からなる2つのグループによって、選択的に軸xの周りを回転する事ができる。フィルタ構造体50の回転負荷を共有し、よりバランスよく回転させるために、2つのグループの数が規定される。
【0131】
【0132】
図30を参照すると、外部支持体79(および、同様に、他の外部支持体80)は、第1フランジ122によって自身の円形端板51のフランジ付き開口部159に接続された管状のジョイントとしての流出開口部121を支持する。外部支持体79は、上記機械の上記フレームに接合された第2フランジ125に溶接されたブッシュベアリングスリーブ124の中に、滑り摩擦またはブッシュ123を選択的に有する。ブッシュ123は、内部で流出開口部121に隣接しており、両端に近位ラビリンスシール126と遠位ラビリンスシール127とを有する。これらラビリンスシールは、流出開口部121およびブッシュベアリングスリーブ124と同軸である。
【0133】
図31および
図32は、明確性を考慮して、いくつかの部品を省略した外部支持体79の分解斜視図および組立斜視図である。流出開口部121は、タブ129によって近位ラビリンスシール126を受け入れるための近位セグメント128と、ブッシュ123に外部から隣接する中間セグメント130と、動力伝達シャフト120(
図30)の一部であるギア133が取り付けられた分離セグメント132に挿入されるための接続セグメント131とに分かれている。接続セグメント131と分離セグメント132とは、対応する穴134、135内のねじ式継手138によって強固に接続されている。分離セグメント132には、タブ137によって遠位ラビリンスシール127を受け入れる様になっている遠位セグメント136が接している。外部スリーブ124には、グリスアップノズル139が設けられており、グリスアップノズル139は、チャネル140によって、遠位および近位ラビリンスシール126、127の内部空間と、流出開口部121によって範囲を定められたブッシュの内側部分とに接続されている。詳細には説明しないが、流出開口部121には、ブッシュ123およびラビリンスシール126、127を止めるためのハードストップが設けられる。
【0134】
図33は、ラビリンスシールの内部要素の斜視図である。
図34は、
図33に示すラビリンスシールの内部要素の端面図である。
図35は、ラビリンスシールの内部要素のA-A線断面であり、
図36は、その断面の拡大図である。
図37は、ラビリンスシールの外部要素の斜視図である。
図38は、
図37に示すラビリンスシールの外部要素の端面図である。
図39は、ラビリンスシールの外部要素のB-B線断面であり、
図40は、その断面の拡大図である。
【0135】
図33から
図40を参照すると、ラビリンスシール126、127は同軸の溝型要素で構成されている。
【0136】
各ラビリンスシールは、外部溝を有する内部リング141と、内部溝を有する外部リング142とで構成される。内部リング141と外部リング142とは、互いに同軸であり、これらリング間の内部空間の範囲を定める様に結合される。内部リング141は、流出開口部121と、溝143によって保持されるタブ129、138を有する分離セグメント132とに強固に接続される。外部リング142は、外部リング142およびブッシュベアリングスリーブ124にそれぞれ設けられた対応する穴144に挿入された結合手段によって、ブッシュベアリングスリーブ124に強固に結合される。
【0137】
図36および
図40は、最適なシーリングを保証するための溝の外形の好ましいサイズを示す。
【0138】
内部および外部リング141、142は、低摩擦で長寿命のテフロン(登録商標)で作られているのが好ましい。材料の弾性のため、外部リング142は切断され、それを内部リング141に取り付ける事ができ、このようにして形成されたラビリンスシールのグループが支持体79と支持体80との両方に取り付けられる。
【0139】
再び
図28を参照すると、フィルタ構造体50の共通の内部空間35は、それを2つの別々の領域に水力学的に分割する壁145によって仕切られている。この内部空間の分割により、フィルタセクタが機械的に故障した場合、上記機械は、壊れたフィルタセクタを有するディスクを含む部分を隔離する事によって動作を維持する事ができる。この目的のために、2つの部分のそれぞれは、濾過された液体4の濁度を確認するためのそれぞれの濁度センサ146(
図26)と、濾過された液体4を遮断するための電動バルブ147とを備えている。電動バルブ147は、濾過された液体の流出パイプ148上に配置される。各流出パイプ148は、上流側で濾過された液体のタンク149に接続される。
【0140】
フィルタ構造体50の共通の内部空間35は、フィルタセクタが機械的に故障した場合に、より良い性能を得るために、2つより多くの部分に分割できるものである事が理解されるべきである。
【0141】
濾過される液体2には、1g/Lから50g/Lの濃度の懸濁物質が含まれている。
【0142】
容器内の濾過される液体2の高さLと回転式フィルタ内の濾過された液体4の高さLfとの間の距離は0 mから3mであり、したがって、回転式フィルタ内の同じ間隔で減圧が発生する。濾過膜上には、前述の様に0mから0.06mの厚さで堆積層が形成される。
【0143】
濾過された液体4の流束は、0L/(m2h)から5000L/(m2h)である。
【0144】
濾過された液体4の懸濁物質含有量は、0mg/Lから50mg/Lである。
【0145】
ディスクの回転速度は、0rad/sから1.047rad/s(10rpm)である。
【0146】
先に説明した様に、空気供給手段6によるマクロバブル、マイクロバブルまたはナノバブルとしての空気の供給は、フィルタ構造体50の外側における乱流運動の発生を促進する。この運動は、フィルタセクタ9の外側面に形成されるスラッジ層14の厚さと、フィルタ構造体50によって達成できる流量とを安定させる事を助ける。
【0147】
濾過機8の両端には、流出開口部121(
図30)を介してフィルタ構造体50の内部と連通するリザーバ149に収容された濾過された水4を供給するための供給システム75が設けられる。リザーバ149内の濾過された水の高さLfは、フィルタ構造体50の内部の濾過された水の高さと同じである事について理解されるべきである。フィルタが容器5内において浸かっているとき、濾過された水の高さLfは、フィルタ構造体50の寸法に依存する量だけ、濾過される水の高さLを下回る。上記機械が容器内において浸かるのとほぼ同時に、容器内に水の差圧が発生し、水がフィルタセクタ9を通過する。
【0148】
また、
図26および
図28には、洗浄操作用の濾過された水を供給するための供給システム75が示されている。供給システム75は、リザーバ149の内部において浸かっているポンプ150を備え、その下端は、濾過された水4の高さLfの下にある。濾過された水4を供給するための供給システム75は、ポンプ150と同様に、カートリッジフィルタを含む、その操作のための一連の器具を含むことが分かるだろう。これらの器具は、逆洗装置152(
図41)につながる横長管151に設けられている。また、洗浄装置105は、容器V内の濾過される液体の高さLの上方においてディスクの外部に配置されたノズル153(
図28)を備える。
【0149】
図41を参照すると、逆洗装置152は、フィルタ構造体50の共通の内部空間35の各部分に向かう分離管154を含む。
【0150】
複数のスプレー管155は、逆洗接続管154から直交して分岐し、内部ディスク区画84の内側において延びている。各スプレー管155は、濾過される水または液体4の高さLよりも上方に配置され、フィルタセクタ9に向けられた複数の対向ノズル156を有する。
【0151】
必要に応じて、ディスクの外部洗浄を作動させる事ができる。その結果、ディスクの回転により濾過される水からフィルタセクタが浮かび出るとすぐに、フィルタセクタの外側面に付着したスラッジの層が除去され、ここで、フィルタセクタには非常に低い圧力が垂直に加わるに過ぎない。これは、フィルタセクタ9の細孔又は開口部を塞いでいた不純物から細孔又は開口部を解放する事を唯一の目的とした後続の逆洗の効果を大幅に高める。接線方向の洗浄と逆洗とには、出口リザーバの1つからポンプで引き出された濾過された水を使用する。
【0152】
濾過される液体によっては、フィルタセクタ9の濾材114上において堆積層を維持する事が有利な場合がある。重要なことは、濾材114がフィルタセクタ9のフレーム116上においてディスクの内部空間に向かって凹まないことである。この問題に対処するために、濾液を流出させるべく(ただし、濾液の流出は、上記布の上記洗浄と上記ディスクの内部空間83に生じる圧力の低下とによって際立っている。)、上記機械の外部の大気と各ディスクの内部空間83とを接続する圧力補償管157が設けられる。圧力補償管157は、屈曲した内部端部158を有しており、流出開口部21の近傍に、わずかに傾斜した、好ましくは水平に対して3°傾斜した長尺物159を有しており、これにより、排水を促進する事ができる。この外部環境との接続は、内圧を増加させてフィルタセクタの濾材114の凹みを減少させる事を可能にし、これは、性能の低下と、場合によっては濾材114自体の機械的故障とにつながる可能性を有する。フィルタセクタを通る濾液の流れによって決まる凹みに対抗するのに大気圧が十分でない場合には、圧力補償管157は、例えばフィルタセクタの濾材114の内部表面の近傍で、大気圧よりも大きい圧力を局所的に得るために、ポンプに接続される。
【0153】
上記の説明ではディスク濾過機について言及しているが、ディスクの数が1枚の場合にはドラムとして実施する事ができる。廃水の処理を目的としているが、他の液体も処理される場合があり、洗浄および逆洗を濾過された液体により実施できる事が明らかである事が理解されるべきである。濾過機の実施形態は、濃縮機としても機能することができる。液体と固体または半固体の物質との混合物を含む容器から濾過された液体を抽出する事により、容器内のこれらの物質の濃度を高める効果も得られる。
【0154】
液体の高さの制御
先に説明した様に、濾過される液体および濾過された液体2、4の高さL、Lfを変化させる事で、流束と濾液の品質とを調整する事ができる。これらの高さは、互いに独立して変化させる事ができるものである。
【0155】
図9、
図17、
図18、および
図43から
図47を参照すると、濾過される液体の高さLは、濾過要素9(
図9)の内側半径部分または円筒部54(
図17)の上端に対応する最大高さLmaxを超えて増加してはならず、なぜなら、これにより、逆洗装置93(
図20)の濾過要素9を適切に洗浄する能力を妨げる可能性があるからである。
【0156】
濾液の高さLfは、最小高さLfminと最大高さLfmaxとの間に位置する様に、いくつかの異なる配置を使用して制御できるものである。
【0157】
図18を参照すると、パイプ76の底部は、高さLfを制御するために使用できる堰として機能する場合がある。
【0158】
特に
図43を参照すると、第1の変更された配置では、濾液の高さLfは、リザーバ78の内部の堰161(または「壁」)を使用して制御される場合がある。堰を横切る濾液の高さLfは、流量が多いとわずかに上昇する。
【0159】
特に
図44を参照すると、第2の変更された配置では、濾液の高さLfは、比例流量弁の形態である場合がある弁147を使用して制御される場合がある。
【0160】
濾液の高さは、所望の高さまでリザーバ78から濾液を送り出すポンプを使用して制御され得る。
【0161】
特に
図45を参照すると、第3の変更された配置では、濾液の高さLfは、吸引ポンプ164から垂れ下がっている吸引チューブ162を使用して制御される場合がある。濾液の高さLfは、高さセンサ163を使用して感知される場合がある。
【0162】
特に
図46を参照すると、第4の変更された配置では、濾液の高さLfは、チューブ165を介して濾液をより高い高さまで送り出す水中ポンプ164を使用して制御される場合がある。高さセンサ(図示せず)が使用される場合がある。
【0163】
特に
図47を参照すると、第5の変更された配置では、濾液の高さLfは、吸引ポンプ164から垂れ下がっている階段状の吸引管配置166、167、168を使用して制御される場合がある。階段状の吸引管配置166、167、168は、円筒部54の底部の下の内部区画84内へ延びている。高さセンサ(図示せず)が使用される場合がある。
【0164】
この様に、濾過要素9を横切る濾液の高さLfは、濾過される液体の高さLを制御するか否かにかかわらず、高低差Δを制御することにより、フィルタ機8の性能を高めるために様々に調整される場合がある。
【0165】
実験結果
表I、表II、表III、表IVは、異なる動作条件で濾過機を使用した結果を示している。
【0166】
表中、A~Kの列は以下の通りである。
【0167】
Aは上記機械の入力部と出力部との間の圧力差であり、単位はcmH2Oである。
Bは上記機械の出力部での流量であり、単位はm3/hである。
Cは流束であり、単位はL/m2である。これは、流量(B列)を上記機械の有効表面積(H列)で割って立方メートルからリットルに変換したものである。
Dはコントローラの周波数であり、単位は%であり、ここで100%=50Hzで0.66rpmである。
Eは通常時の容器内の空気の流量であり、単位はm3/hである。
Fは逆洗管内の水圧であり、単位はbar(=1kPa)である。
Gは通常時の膜型バイオリアクタ内の空気の流量であり、単位はm3/hである。
Hは、濾材の有効面積、すなわち水に浸水した濾材の表面積であり、単位はm2である。これは、直径1700mmの4枚のディスクそれぞれを回転軸まで浸水させた機械の上記表面積に相当する。
Iは懸濁物質であり、単位はmg/Lである。
Jは上記機械の出力部における濁度であり、単位はmg/Lである。
Kは上記機械が吸収する電力であり、単位はkWである。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
変更
本明細書で説明した実施形態には様々な変更が加えられる場合がある事が理解されるであろう。そのような変更は、濾過機およびその構成部品の設計、製造および使用において既に知られている同等な他の特徴を伴う場合があり、その特徴は、本明細書に既に記載されている特徴の代わりに、またはそれに加えて使用される場合がある。ある実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴によって置換または補完される場合がある。
【0173】
前述の説明では、回転式ディスクフィルタを廃水の処理を目的とするものとして言及したが、他の液体も処理される場合があり、洗浄および逆洗が濾過された液体で実施され得る事は明らかであることが理解されるべきである。
【0174】
フィルタは濃縮機としても機能することができる。液体と固体または半固体の物質との混合物を含む容器から濾過された液体を抽出する事は、容器内のこれらの物質の濃度を増加させる効果を有する。
【0175】
本出願では、特定の特徴の組み合わせに対して請求項が設定されているが、本発明の開示の範囲には、本明細書で明示的または暗示的に開示されている新規の特徴または新規の特徴の組み合わせ、あるいはそれらの一般化も含まれ、そのことは、それが任意の請求項で現在請求されているのと同じ発明に関連するかどうか、および、それが本発明が軽減する技術的問題と同じものの一部または全部を軽減するかどうかにかかわらないことが理解されるべきである。出願人は、本出願またはそれから派生するさらなる出願の審査中に、そのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせに対して新たな請求項が設定される可能性がある事をここに通知する。