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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】垂直昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/06 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
B66F7/06 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020033806
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021080100
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】108141670
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520070703
【氏名又は名称】昆霖儀器有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】楊健成
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-193240(JP,A)
【文献】特開2007-039221(JP,A)
【文献】特開2015-080820(JP,A)
【文献】特開昭63-022498(JP,A)
【文献】特開昭60-139963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸座、第2軸座、第3軸座、両端がそれぞれ前記第1軸座及び前記第2軸座と可動的に結合された上部支持ユニット、及び両端がそれぞれ前記第2軸座及び前記第3軸座と可動的に結合された下部支持ユニットを含み、
前記上部支持ユニットは、平行四辺形を構成する4本の上部リンクアームで構成され、
前記下部支持ユニットは、平行四辺形を構成する4本の下部リンクアームで構成され、
前記上部支持ユニットの前記上部リンクアームのうち最も下に位置するものには第1ギヤが取り付けられており、前記下部支持ユニットの前記下部リンクアームのうち最も上に位置するものには前記第1ギヤと相互に噛合する第2ギヤが取り付けられている、リンク機構群と、
一端は前記上部支持ユニットに取り付けられており、他端は前記下部支持ユニットに取り付けられている、プッシャー装置と、を含む、垂直昇降装置。
【請求項2】
前記プッシャー装置は固定端、可動端及び駆動ユニットを含み、前記可動端及び前記固定端は、それぞれ前記上部支持ユニット及び前記下部支持ユニットと結合され、前記駆動ユニットが前記可動端を駆動して前記固定端に対して伸縮させる、請求項1に記載の垂直昇降装置。
【請求項3】
前記プッシャー装置は油圧シリンダーであり、前記油圧シリンダーの前記可動端及び前記固定端は、それぞれ前記上部支持ユニット及び前記下部支持ユニットと結合し、前記駆動ユニットは前記油圧シリンダーを増圧又は減圧するためのものである、請求項2に記載の垂直昇降装置。
【請求項4】
前記プッシャー装置は電動スクリューセットであり、前記電動スクリューセットの前記可動端及び前記固定端はそれぞれ前記上部支持ユニット及び前記下部支持ユニットと結合されており、前記駆動ユニットは、前記電動スクリューセットのボルトの正転又は逆転を駆動するためのものである、請求項2に記載の垂直昇降装置。
【請求項5】
前記プッシャー装置は液圧制御装置であり、前記液圧制御装置の前記可動端及び前記固定端はそれぞれ前記上部支持ユニット及び前記下部支持ユニットと結合されており、前記駆動ユニットは前記液圧制御装置の液圧シリンダーを増圧又は減圧するためのものである、請求項2に記載の垂直昇降装置。
【請求項6】
前記リンク機構群に前記第3軸座を支持する台座が含まれている、請求項1に記載の垂直昇降装置。
【請求項7】
前記上部支持ユニットは第1上部リンクアーム、第2上部リンクアーム、第3上部リンクアーム、第4上部リンクアーム、及び前記第1上部リンクアーム、前記第2上部リンクアーム、前記第3上部リンクアーム、前記第4上部リンクアームに接続された第1上部軸体、第2上部軸体、第3上部軸体、第4上部軸体を有しており、前記第1上部リンクアームと前記第2上部リンクアームの一端は前記第1上部軸体により前記第1軸座の両側に可動的に結合されており、前記第1上部リンクアームと前記第2上部リンクアームの他端は前記第2上部軸体により前記第2軸座の両側に可動的に結合されており、前記第3上部リンクアームと前記第4上部リンクアームの一端は前記第3上部軸体により前記第1軸座の両側に可動的に結合されており、前記第3上部リンクアームと前記第4上部リンクアームの他端は前記第4上部軸体により前記第2軸座の両側に可動的に結合されており、前記第1上部リンクアームと前記第3上部リンクアームは前記第1軸座と前記第2軸座の片側において平行四辺形を呈しており、前記第2上部リンクアームと前記第4上部リンクアームは前記第1軸座と前記第2軸座のもう一方の側において平行四辺形を呈している、請求項1に記載の垂直昇降装置。
【請求項8】
前記下部支持ユニットは第1下部リンクアーム、第2下部リンクアーム、第3下部リンクアーム、第4下部リンクアーム、及び前記第1下部リンクアーム、前記第2下部リンクアーム、前記第3下部リンクアーム、前記第4下部リンクアームに接続された第1下部軸体、第2下部軸体、第3下部軸体、第4下部軸体を有しており、前記第1下部リンクアームと前記第2下部リンクアームの一端は前記第1下部軸体により前記第2軸座の両側に可動的に結合されており、前記第1下部リンクアームと前記第2下部リンクアームの他端は前記第2下部軸体により前記第3軸座の両側に可動的に結合されており、前記第3下部リンクアームと前記第4下部リンクアームの一端は前記第3下部軸体により前記第2軸座の両側に可動的に結合されており、前記第3下部リンクアームと前記第4下部リンクアームの他端は前記第4下部軸体により前記第3軸座の両側に可動的に結合されており、前記第1下部リンクアームと前記第3下部リンクアームは前記第2軸座と前記第3軸座の片側において平行四辺形を呈しており、前記第2下部リンクアームと前記第4下部リンクアームは前記第2軸座と前記第3軸座のもう一方の側において平行四辺形を呈している、請求項7に記載の垂直昇降装置。
【請求項9】
前記第1ギヤは前記第1上部リンクアームと前記第2上部リンクアームの間の前記第2上部軸体に設けられ、前記第2ギヤは前記第1下部リンクアームと前記第2下部リンクアームの間の前記第1下部軸体に設けられている、請求項8に記載の垂直昇降装置。
【請求項10】
前記リンク機構群は少なくとも2つの弾性ユニットを含み、各前記弾性ユニットはそれぞれ前記上部支持ユニットと前記下部支持ユニットの両側に設けられている、請求項1に記載の垂直昇降装置。
【請求項11】
各前記弾性ユニットはそれぞれ上部固定ホルダ、下部固定ホルダ、ガイドバー及びバネを有しており、各前記上部固定ホルダはそれぞれ前記上部支持ユニットの両側に設けられ、各前記下部固定ホルダはそれぞれ前記下部支持ユニットの両側に設けられ、各前記ガイドバーはそれぞれ各前記下部固定ホルダに設けられ、且つ各前記ガイドバーはそれぞれ各前記上部固定ホルダに可動的に貫設され、各前記バネはそれぞれ各前記ガイドバーに環装され、且つそれぞれ各前記上部固定ホルダ及び各前記下部固定ホルダに当接している、請求項10に記載の垂直昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は垂直昇降装置に係り、特に構造が簡単であると同時に、体積が小さく、行程が高く、大きな積載荷重を支持することができる垂直昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の垂直昇降装置は、電子制御ユニット、前記電子制御ユニットに制御される油圧シリンダー、油圧シリンダーに接続されたZ字形リンク機構及び前記リンク機構上に設けられた物体を有しており、前記電子制御ユニットは前記油圧シリンダーの伸縮を制御し、前記Z字形リンク機構が前記油圧シリンダーに連動して昇降することにより、前記物体は前記Z字形リンク機構との連動によって上昇又は下降する。
【0003】
しかし、従来の垂直昇降装置(Z字形リンク機構、又は単一の平行四辺形タイプの昇降機)は、電子制御ユニットの構造が複雑であるうえに、一つ行程で設計されているため、体積も二つ行程より大きくなる。その中で、Z字形リンク機構で構成されるため、推力の出力抵抗が大きいし、梃子の相殺も大きくなり、その打ち消す力は本来の推力の約3分の2(例えば、600kgの推力のうち約400kgが相殺される)となる。さらに、押し上げる行程がリンクアームの長さに依存せざるを得ず、アーム長の行程幅を大きくすれば押し上げが高くなるものの、アーム長を長くした分だけ抵抗も大きくなり、Z字形リンク機構上に重い物体を設置できなくなるため、使用においては明らかに欠点となっていた。単一の平行四辺形タイプの昇降機の設計は、支点と重心の位置のずれが大きすぎるため、ステージの昇降時により大きなモーメントを加えなければステージを押動して昇降させることができず、昇降機の効率低下を招いていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、所望の物体を第1軸座に結合し、プッシャーユニットに連動されて上部支持ユニットが上昇移動又は下降移動し、且つ第1ギヤと第2ギヤの相互作用により反作用力を生じさせ、下部支持ユニットを同期的に上昇又は下降させて、上部支持ユニットと下部支持ユニットが展開状態又は折り畳み状態を呈するようにし、物体は連動ユニットとの連動によって上昇又は下降することで、構造が簡単で大きな積載荷重を支持可能な機能を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明が提供する垂直昇降装置は、リンク機構群とプッシャー装置を含む。リンク機構群は、第1軸座、第2軸座、第3軸座、両端がそれぞれ第1軸座及び第2軸座と可動的に結合された上部支持ユニット、及び両端がそれぞれ第2軸座及び第3軸座と可動的に結合された下部支持ユニットを含む。上部支持ユニットには第1ギヤが取り付けられており、下部支持ユニットには第1ギヤと相互に噛合する第2ギヤが取り付けられている。プッシャー装置の一端は上部支持ユニットに取り付けられており、他端は下部支持ユニットに取り付けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の垂直昇降装置は、従来における欠点を確実かつ効果的に改善するものであり、所望の物体を第1軸座に結合し、上部支持ユニットがプッシャー装置に連動して上昇移動又は下降移動し、且つ第1ギヤと第2ギヤの相互作用により反作用力を生じさせ、下部支持ユニットを同期的に上昇又は下降させて、上部支持ユニットと下部支持ユニットが展開状態又は折り畳み状態を呈するようにし、物体はリンク機構群との連動によって上昇又は下降することで、構造が簡単であると同時に、体積が小さく、行程が高く、大きな積載荷重を支持可能な機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の外観の立体概念図である。
図2】本発明の立体分解概念図である。
図3】本発明が上昇した状態の概念図である。
図4】本発明が下降した状態の概念図である。
図5】本発明における別の応用実施例の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の詳細な説明及び技術内容に関して、図に基づき以下の通り説明する。本発明中の図面は、説明の便宜上、比率を実際の比率で描いていないが、それらの図面及び比率は本発明の範囲を限定するものではないことを予め理解されたい。
【実施例
【0009】
図1図4はそれぞれ本発明の外観の立体概念図、本発明の立体分解概念図、本発明が上昇した状態の概念図及び本発明が下降した状態の概念図であり、図に示す通り、本発明の垂直昇降装置は、少なくともリンク機構群1とプッシャー装置によって構成されている。
【0010】
リンク機構群1は、第1軸座11、第2軸座12、第3軸座13、上部支持ユニット14、及び下部支持ユニット15を含む。上部支持ユニット14の両端はそれぞれ第1軸座11及び第2軸座12と可動的に結合されており、下部支持ユニット15の両端はそれぞれ第2軸座12及び第3軸座13と可動的に結合されている。上部支持ユニット14には第1ギヤ16が取り付けられており、下部支持ユニット15には第1ギヤ16と相互に噛合する第2ギヤ17が取り付けられている。
【0011】
上述の「可動的に結合」とは、枢着又はヒンジ連結などにより、上部支持ユニット14(又は下部支持ユニット15)を第1軸座11(又は第2軸座12、第3軸座13)と結合位置で固定しつつ、上部支持ユニット14(又は下部支持ユニット15)を第1軸座11(又は第2軸座12、第3軸座13)に対して相対的に回転可能に固定することをいい、本発明では限定されない。
【0012】
プッシャー装置2の一端は上部支持ユニット14の第1位置決めユニット146に取り付けられており、他端は下部支持ユニット15の第2位置決めユニット156に取り付けられている。そのうち、第1位置決めユニット146及び第2位置決めユニット156は、位置決めロッド、位置決めピース又は他の類似機構でよく、それらの機構は主にプッシャー装置2の必要に基づいて配置され、本発明では限定されない。一つの可能な実施例では、プッシャー装置2は固定端21、可動端22及び駆動ユニット23を含む。可動端22及び固定端21は、それぞれ上部支持ユニット14及び下部支持ユニット15と結合され、駆動ユニット23が可動端22を駆動して固定端21に対して伸縮させる。本発明では、プッシャー装置2は電動スクリューセット、油圧シリンダー、液圧制御装置、又は空気圧シリンダーなどでよいが、これらに限定されず、本発明では限定されない。
【0013】
本発明を使用する場合、リンク機構群1はさらに台座18を含み、第3軸座13が台座18の片面に固定されて、第3軸座13及び第3軸座13上の部材を支持するために用いられ、所望の物体3は第1軸座11に結合される。例えば、製品の応用範囲には、歯科用設備、手術台、産婦人科用設備、工業用昇降ステージ、チェアーなどに関する所望の物体の使用(図4及び図6に示す通り)を含むことができるが、それらの応用実施例は本発明が限定する範囲に属さないことを予め理解されたい。本実施例では、歯科用設備を具体的な実施例として説明する。
【0014】
物体3を上昇させる場合、上部支持ユニット14がプッシャー装置2に連動して上昇移動し、且つ第1ギヤ16と第2ギヤ17の相互作用により必要な反作用力が生じ、下部支持ユニット15の第1下部軸体155Aが上部支持ユニット14の第2上部軸体145Bと協働して回転することにより、下部支持ユニット15が同期上昇し、これにより上部支持ユニット14と下部支持ユニット15が展開状態を呈し、第1軸座11がこれに連動して上昇し、物体3はリンク機構群1との連動によって上昇する(図3に示す通り)。これにより、構造が簡単で大きな積載荷重を支持可能な機能が達成され、リンク機構群1が物体3の上昇を容易に連動させることが可能となる。
【0015】
物体3を下降させる場合、上部支持ユニット14がプッシャー装置2に連動して下降移動し、且つ第1ギヤ16と第2ギヤ17の相互作用により必要な反作用力が生じ、下部支持ユニット15が同期下降することにより、上部支持ユニット14と下部支持ユニット15が相互に近接した状態を呈し、物体3はリンク機構群1との連動によって下降する。
【0016】
本発明は、2つの平行四辺形を用いた設計になっており、軸と軸に結合されたギヤとの間に生じる逆推力が2つの平行四辺形に同期的な上昇や下降を生じさせる。
【0017】
本発明の一つの実施例において、上部支持ユニット14は第1上部リンクアーム141、第2上部リンクアーム142、第3上部リンクアーム143、第4上部リンクアーム144、及び第1上部リンクアーム141、第2上部リンクアーム142、第3上部リンクアーム143、第4上部リンクアーム144に接続された第1上部軸体145A、第2上部軸体145B、第3上部軸体145C、第4上部軸体145Dを有しており、軸体とリンクアームの間は固定結合(枢動できない)されているが、軸体と軸座の間は可動的に結合されている。そのうち、第1上部リンクアーム141と第2上部リンクアーム142の一端は第1上部軸体145Aにより第1軸座11の両側に可動的に結合されており、第1上部リンクアーム141と第2上部リンクアーム142の他端は第2上部軸体145Bにより第2軸座12の両側に可動的に結合されている。第3上部リンクアーム143と第4上部リンクアーム144の一端は第3上部軸体145Cにより第1軸座11の両側に可動的に結合されており、第3上部リンクアーム143と第4上部リンクアーム144の他端は第4上部軸体145Dにより第2軸座12の両側に可動的に結合されており、第1上部リンクアーム141と第3上部リンクアーム143は第1軸座11と第2軸座12の片側において平行四辺形を呈しており、第2上部リンクアーム142と第4上部リンクアーム144は第1軸座11と第2軸座12のもう一方の側において平行四辺形(即ち長さが等しく平行である)を呈している。
【0018】
本発明の一つの実施例において、下部支持ユニット15は第1下部リンクアーム151、第2下部リンクアーム152、第3下部リンクアーム153、第4下部リンクアーム154、及び第1下部リンクアーム151、第2下部リンクアーム152、第3下部リンクアーム153、第4下部リンクアーム154に接続された第1下部軸体155A、第2下部軸体155B、第3下部軸体155C、第4下部軸体155Dを有しており、軸体とリンクアームの間は固定結合(例えば溶接などの方法で固定する)されているが、軸体と軸座の間は可動的に結合されている。そのうち、第1下部リンクアーム151と第2下部リンクアーム152の一端は第1下部軸体155Aにより第2軸座12の両側に可動的に結合されており、第1下部リンクアーム151と第2下部リンクアーム152の他端は第2下部軸体155Bにより第3軸座13の両側に可動的に結合されている。第3下部リンクアーム153と第4下部リンクアーム154の一端は第3下部軸体155Cにより第2軸座12の両側に可動的に結合されており、第3下部リンクアーム153と第4下部リンクアーム154の他端は第4下部軸体155Dにより第3軸座13の両側に可動的に結合されており、第1下部リンクアーム151と第3下部リンクアーム153は第2軸座12と第3軸座13の片側において平行四辺形を呈しており、第2下部リンクアーム152と第4下部リンクアーム154は第2軸座12と第3軸座13のもう一方の側において平行四辺形(即ち長さが等しく平行である)を呈している。
【0019】
本発明の一つの実施例において、第1ギヤ16は第1上部リンクアーム141と第2上部リンクアーム142の間の第2軸座12に近接した第2上部軸体145Bに設けられている。第2ギヤ17は第1下部リンクアーム151と第2下部リンクアーム152の間の第2軸座12に近接した第1下部軸体155Aに設けられている。第1ギヤ16及び第2ギヤ17はそれぞれ第2上部軸体145B及び第1下部軸体155Aに固定結合(例えば溶接などの方法で固定する)されている。第2上部軸体145B及び第1下部軸体155Aが軸上の第1ギヤ16及び第2ギヤ17を連動して反作用力が生じ、同期的な上昇や下降が生じる。
【0020】
本実施例において、プッシャー装置2は電動スクリューセットであり、電動スクリューセットの可動端22及び固定端21はそれぞれ上部支持ユニット14及び下部支持ユニット15と結合されており、駆動ユニット23は、電動スクリューセットのボルトの正転又は逆転を駆動して、可動端22を伸長又は収縮させるためのものであり、これにより上昇又は下降する機能を成している。一つの可能な実施例では、駆動ユニット23は直流モーター、交流モーター、ステッピングモーター、又はサーボモーターなどでよく、本発明では限定されない。
【0021】
別の実施例では、プッシャー装置2は液圧制御装置(図示しない)でもよく、液圧制御装置の可動端及び固定端をそれぞれ上部支持ユニット14及び下部支持ユニット15と結合し、駆動ユニットは液圧制御装置の液圧シリンダーを増圧又は減圧するのに用いる。具体的には、液圧制御装置は主に液圧ポンプを用いて機械的エネルギーを圧力に変換し、作動油を押すものであり、各種バルブの制御を通して作動油の流れ方向を変化させることにより、液圧シリンダーを押して様々なストロークで動作させる。同じ原理で、プッシャー装置2は油圧シリンダー(図示しない)でもよく、油圧シリンダーの可動端及び固定端をそれぞれ上部支持ユニット14及び下部支持ユニット15と結合し、駆動ユニットは油圧シリンダーを増圧又は減圧するのに用い、油圧の圧力を上昇の推力及び/又は下降時の張力に変換する。
【0022】
以下、本発明の使用状態について説明する。図1図4を参照して、プッシャー装置2が作動すると、駆動ユニット23が可動端22を駆動して伸長させ、可動端22に押されて第3上部リンクアーム143及び第4上部リンクアーム144が第2軸座12の両側で第3上部軸体145C、第4上部軸体145Dと協働して上昇移動し、同時に連動して第1上部リンクアーム141及び第2上部リンクアーム142が第2軸座12の両側で第1上部軸体145A、第2上部軸体145Bと協働して上昇移動し、且つ第1上部リンクアーム141、第2上部リンクアーム142、第3上部リンクアーム143及び第4上部リンクアーム144と各軸体とが第1軸座11の両側で協働することにより、第1軸座11が連動して上昇移動し、これによって第1軸座11が上部支持ユニット14に連動して上昇し、且つ上部支持ユニット14が上昇移動した際に、第1上部リンクアーム141と第2上部リンクアーム142の間に設けられた第1ギヤ16が第1下部リンクアーム151と第2下部リンクアーム152の間に設けられた第2ギヤ17と協働し、相互に噛合して回転する方法で生じた所望の反作用力により下部支持ユニット15の軸体を牽引して回転させ、第1下部リンクアーム151及び第2下部リンクアーム152が第2軸座12の両側で第1下部軸体155A、第2下部軸体155Bと協働して上昇移動し、同時に連動して第3下部リンクアーム153及び第4下部リンクアーム154が第2軸座12の両側で第3下部軸体155C、第4下部軸体155Dと協働して上昇移動し、第1下部リンクアーム151、第2下部リンクアーム152、第3下部リンクアーム153及び第4下部リンクアーム154と各軸体とが第3軸座13の両側で協働することにより、第2軸座12が連動して上昇移動し、これによって下部支持ユニット15が同期上昇し、上部支持ユニット14と下部支持ユニット15が展開状態を呈し、物体3はリンク機構群1との連動によって上昇する(図3に示す通り)。反対に、駆動ユニット23が可動端22を駆動して収縮させると、反対方向に折り畳むことができ、物体3はリンク機構群1との連動によって下降する。
【0023】
これにより、構造が簡単で大きな積載荷重を支持可能な機能が達成され、リンク機構群1が物体3の上昇又は下降を容易に連動させることが可能となる。
【0024】
単一の上部支持ユニット14又は単一の下部支持ユニット15だけを設置した場合には、単一の平行四辺形だけにより押動すると、昇降過程における抵抗が大きく、前記抵抗と推力を相殺して、垂直に昇降することができなくなるだけではなく、移動速度も遅くなる。本発明では、上部支持ユニット14及び下部支持ユニット15を共に設置しており、プッシャー装置2が上部支持ユニット14及び下部支持ユニット15を押す際に、第2上部軸体145B及び第1下部軸体155Aが連動されて、第1ギヤ16と第2ギヤ17の間に反作用力が生じて同期的に上昇又は下降することにより、2倍の行程を生成する。2つの平行四辺形を利用した設計は、昇降推力の支点設計が異なっており、作動方法はジャッキで加力するようなもので、抵抗の発生が比較的に減少し、物体3を押す推進力は単一の平行四辺形に比べると、推力が倍に増加し、推進抵抗も小さくなり、且つ垂直昇降を実現することができ、行程の作動における移動速度を2倍に増加可能であり、エネルギー消費を減らすことができ、より環境に優しく省エネが実現できる。
【0025】
本発明の一つの実施例では、リンク機構群1はさらに少なくとも2つの弾性ユニット19を含み、前記各弾性ユニット19はそれぞれ上部支持ユニット14と下部支持ユニット15の両側に設けられている。前記各弾性ユニット19はそれぞれ上部固定ホルダ191、下部固定ホルダ192、ガイドバー193及びバネ194を有しており、各上部固定ホルダ191はそれぞれ上部支持ユニット14の両側の第1上部リンクアーム141及び第2上部リンクアーム142に設けられ、各下部固定ホルダ192はそれぞれ下部支持ユニット15の両側の第1下部リンクアーム151及び第2下部リンクアーム152に設けられ、前記各ガイドバー193はそれぞれ前記各下部固定ホルダ192に設けられ、且つ各ガイドバー193はそれぞれ各上部固定ホルダ191に可動的に貫設され、各バネ194はそれぞれ各ガイドバー193に環装され、且つそれぞれ各上部固定ホルダ191及び各下部固定ホルダ192に当接している。バネ194が環境に露出していることで酸化したり、バネ194が圧縮する時に人が挟まれて怪我したりすることを防ぐために、一つの可能な実施例では、バネ194の外側に保護スリーブ195を設けて、バネ194を保護スリーブ195の内側に収納することができる。
【0026】
これにより、上部支持ユニット14と下部支持ユニット15が展開状態を呈することにより、第1軸座11を上昇させて、物体3がリンク機構群1に連動されて上昇するときに、各バネ194の解放及び圧縮状態によって昇降補助力を提供する。例えば、従来のモーターを採用した設計では、下降時に物体3が載せられていない場合、モーターのパワーが無駄に消耗される。下降時に各弾性ユニット19を協働させて、200kgの負荷応力を追加した場合には、反対方向の上昇時に強力バネの200kgの推力が追加され、プッシャー装置2により生じる600kgの推力が加わり、足し合わされて800kgの推力が生じ、力を利用する効果が実現できるとともに、より省エネで環境に優しい。また、各弾性ユニット19は、プッシャー装置2が急速に下降するのを防止するダンピング効果も有する。
【0027】
本発明の応用実施例のうち、本発明の別の応用実施例の概念図である図5を参照する。図に示すように、本発明の一つの実施例において、本発明の全体のサイズを大きくして、リンク機構群1の第1軸座11に大型の積載ステージ4を設置することができ、積載ステージ4は車両5の駐車に供して、タワー式駐車場として使用することができる。
【0028】
積載ステージ4及び車両5を上昇させる場合、上部支持ユニット14がプッシャー装置2に連動して上昇移動し、且つ第1ギヤ16と第2ギヤ17の相互作用により必要な反作用力が生じ、下部支持ユニット15が同期上昇し、これにより上部支持ユニット14と下部支持ユニット15が展開状態を呈し、第1軸座11がこれに連動して上昇し、積載ステージ4及び車両5はリンク機構群1との連動によって上昇する。これにより、構造が簡単で大きな積載荷重を支持可能な機能が達成され、リンク機構群1が積載ステージ4及び車両5の上昇を容易に連動させることが可能となる。
【0029】
積載ステージ4及び車両5を下降させる場合、上部支持ユニット14がプッシャー装置2に連動して下降移動し、且つ第1ギヤ16と第2ギヤ17の相互作用により必要な反作用力が生じ、下部支持ユニット15が同期下降することにより、上部支持ユニット14と下部支持ユニット15が相互に近接した状態を呈し、積載ステージ4及び車両5はリンク機構群1との連動によって下降する。
【0030】
要約すると、本発明の垂直昇降装置は、従来における欠点を確実かつ効果的に改善するものであり、所望の物体を第1軸座に結合し、上部支持ユニットがプッシャー装置に連動して上昇移動又は下降移動し、且つ第1ギヤと第2ギヤの相互作用を利用して反作用力を生じさせ、下部支持ユニットを同期的に上昇又は下降させて、上部支持ユニットと下部支持ユニットが展開状態又は折り畳み状態を呈するようにし、物体はリンク機構群との連動によって上昇又は下降することで、構造が簡単であると同時に、体積が小さく、行程が高く、大きな積載荷重を支持可能な機能を達成することができる。本発明は明らかにより進歩的、実用的であり、且つ使用者のニーズに適合しており、特許出願における基本的な要件を具備するものであるため、法に基づき特許出願を提出する。
【0031】
上述において、本発明の最良の実施例を挙げて説明したが、本発明の実施における技術範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲及び明細書を参考にして行われる等価的修正や実施はすべて本発明が後に認定される特許請求の範囲に属することを理解すべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 リンク機構群
11 第1軸座
12 第2軸座
13 第3軸座
14 上部支持ユニット
141 第1上部リンクアーム
142 第2上部リンクアーム
143 第3上部リンクアーム
144 第4上部リンクアーム
145A 第1上部軸体
145B 第2上部軸体
145C 第3上部軸体
145D 第4上部軸体
146 第1位置決めユニット
15 下部支持ユニット
151 第1下部リンクアーム
152 第2下部リンクアーム
153 第3下部リンクアーム
154 第4下部リンクアーム
155A 第1下部軸体
155B 第2下部軸体
155C 第3下部軸体
155D 第4下部軸体
156 第2位置決めユニット
16 第1ギヤ
17 第2ギヤ
18 台座
19 弾性ユニット
191 上部固定ホルダ
192 下部固定ホルダ
193 ガイドバー
194 ばね
195 保護スリーブ
2 プッシャー装置
21 固定端
22 可動端
23 駆動ユニット
3 物体
4 積載ステージ
5 車両
図1
図2
図3
図4
図5