(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】箱、及びブランクシート
(51)【国際特許分類】
B65D 5/10 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
B65D5/10 A
(21)【出願番号】P 2018225914
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597176393
【氏名又は名称】新光化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】三上 礼
(72)【発明者】
【氏名】大川 裕也
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-535529(JP,A)
【文献】実開昭49-96319(JP,U)
【文献】特開2004-136982(JP,A)
【文献】米国特許第3578154(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端が開口し、前記少なくとも一方の開口の縁の少なくとも一部が直線状の形状を有する直線部に構成される胴部と、
前記直線部を有する前記開口の前記縁に設けられ、前記開口を開閉可能な端面部と、
前記端面部の縁の、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記直線部に対向する部分に設けられ、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記胴部内に配置されるタック部であって、前記端面部に対して反対側の一端側に向かうにつれて、前記端面部から前記一端へ向かう方向に直交する幅方向で内側に延びる側縁部を具備する本体、及び前記側縁部に設けられ、前記本体から前記一端へ向かう方向、及び前記幅方向のそれぞれに対して直交する方向に突出する係合部を具備するタック部と、
前記直線部を有する前記開口の前記縁の前記直線部の側方に設けられ、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記胴部の内面との間に、前記本体を配置するフラップ部と、
前記フラップ部の、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記本体と対向する縁の前記胴部側の一端から所定距離離間した位置に形成され、前記端面部を閉じる際に、前記係合部が通過可能な形状に構成された切り欠き部と、
を具備する箱。
【請求項2】
前記直線部に設けられる表示部を具備する、請求項1に記載の箱。
【請求項3】
前記係合部は、前記側縁部に回動可能に設けられ、
前記係合部を通る前記タック部の前記幅方向の最大長は、前記開口の幅よりも長い
請求項1に記載の箱。
【請求項4】
少なくとも一端が開口し、前記少なくとも一方の開口の縁の少なくとも一部が直線状の形状を有する直線部に構成される胴部を構成する胴部構成部と、
前記直線部を有する前記開口の前記縁に設けられ、前記開口を開閉可能な端面部を構成する端面部構成部と、
前記端面部の縁の、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記直線部に対向する部分に設けられ、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記胴部内に配置されるタック部を構成するタック部構成部であって、前記端面部に対して反対側の一端側に向かうにつれて、前記端面部から前記一端へ向かう方向に直交する幅方向で内側に延びる側縁部を具備する本体を構成する本体構成部と、前記側縁部に設けられる係合部を構成する係合部構成部と、を具備するタック部構成部と、
前記直線部を有する前記開口の前記縁の前記直線部の側方に設けられ、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記胴部の内面との間に、前記本体を配置するフラップ部を構成するフラップ部構成部と、
前記フラップ部の、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記本体と対向する縁の前記胴部側の一端から所定距離離間した位置に形成され、前記端面部を閉じる際に、前記係合部が通過可能な形状に構成された切り欠き部を構成する切り欠き部構成部と、
を具備し、シート状に構成されるブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤等の被収容物を収容する箱、及びブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、芳香剤や消臭剤等の商品を、樹脂や紙から構成された箱に収容された状態で販売することが知られている。使用者は、商品を購入後、この箱から商品を取り出して使用する。この種の箱として、例えばサック箱が用いられる。
【0003】
サック箱は、一枚のブランクシートに対して折り曲げ加工を施し、かつ、一部を接着剤等により固定することで構成される。サック箱は、筒状の胴部と、胴部の両端に設けられて開口を覆う端面部と、胴部の両端に設けられて胴部の開口内に折り込まれるフラップ部と、を有する。
【0004】
端面部は、胴部内に収容されるタック部が連設される。フラップ部が折り込まれ、端面部が開口を覆い、かつ、タック部が胴部内に収容されることで、端面部により開口が覆われる状態が維持される。使用者は、端面部を開く際には、指をタック部及び開口の間に差し込み、タック部及び端面部を引き上げることで、端面部を開く。
【0005】
このような箱では、不意に端面部が開くことを防止する為に、端面部により胴部の開口が覆われた状態をロックするロック構造を設ける技術が知られている。
ロック構造として、端面部に設けられたスリットと、胴部の開口に設けられてスリットに差し込まれるロック片と、を有するインナーロック構造が知られている。
【0006】
また、他のロック構造として、フラップ部に設けられるスリットと、タック部の端部に設けられて、折り曲げた状態でスリットを通過可能な係合部と、を有するロック構造が知られている。フラップ部に設けられるスリットは、フラップ部の胴部側の一端から、フラップ部の内側に向けて、延びる形状に構成される。
【0007】
このロック構造では、端面部により開口を覆う際に、タック部の係合部を、スリットを通過可能な角度に折り曲げてから、フラップ部のスリットを通過させる。係合部は、フラップ部のスリットを通過すると、胴部内に収容される。さらに、係合部は、フラップ部のスリットを通過した後、弾性により、折り曲げられた状態から復帰する。係合部が復帰することにより、係合部はスリットに対してずれた位置に移動する。この為、端面部を開こうとすると、係合部がフラップ部に当接することで引っかかるので、端面部が開くことが防止される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、インナーロックにより端面部が開くことを防止するロック構造を有する箱には以下の問題があった。すなわち、端面部を開く為に、胴部の端部に設けられたロック片を端面部に形成されたスリットから引き抜く動作と、スリットからロック片を引き抜いた後の端面部を開く動作と、の異なる2つの動作を要する為、端面部を開く動作が面倒であるという問題がある。同様に、端面部を閉じる為に、端面部を閉じる動作と、ロック片をスリットに差し込む動作と、の異なる2つの動作を要する為、端面部を閉じる動作が面倒である。
【0010】
また、タック部に設けられた係合部、及びフラップ部に形成されたスリットを有するロック構造を有する箱は、スリットが、フラップ部の胴部側の一端からフラップ部の内側に延びる形状に構成されることから、端面部を閉じる動作の際に、係合部の折り曲げ角度を、係合部がスリットを通過する角度に調整する必要があり、面倒であるという問題がある。さらに、端面部を閉じると、端面部を開くことができなくなる為、商品を箱から取り出すことができないという問題がある。
【0011】
この為、本発明は、不意に開くことを防止しつつ、単純な動作で開くことが可能な箱、及びブランクシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の箱は、少なくとも一端が開口し、前記少なくとも一方の開口の縁の少なくとも一部が直線状の形状を有する直線部に構成される胴部と、前記直線部を有する前記開口の前記縁に設けられ、前記開口を開閉可能な端面部と、前記端面部の縁の、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記直線部に対向する部分に設けられ、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記胴部内に配置されるタック部であって、前記端面部に対して反対側の一端側に向かうにつれて、前記端面部から前記一端へ向かう方向に直交する幅方向で内側に延びる側縁部を具備する本体、及び前記側縁部に設けられ、前記本体から前記一端へ向かう方向、及び前記幅方向のそれぞれに対して直交する方向に突出する係合部を具備するタック部と、前記直線部を有する前記開口の前記縁の前記直線部の側方に設けられ、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記胴部の内面との間に、前記本体を配置するフラップ部と、前記フラップ部の、前記端面部が前記開口を閉じた状態にあるときに前記本体と対向する縁の前記胴部側の一端から所定距離離間した位置に形成され、前記端面部を閉じる際に、前記係合部が通過可能な形状に構成された切り欠き部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不意に開くことを防止しつつ、単純な動作で開くことが可能な箱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る箱の構成を示す斜視図。
【
図2】一実施形態に係る箱を構成するブランクシートを示す平面図。
【
図3】一実施形態に係る箱のブランクシートの要部を示す平面図。
【
図4】一実施形態に係る箱に用いられる第1の端面部を閉じる動作を示す斜視図。
【
図5】一実施形態に係る箱に用いられる第1の端面部を閉じる動作を示す斜視図。
【
図6】一実施形態に係る箱に用いられる第1の端面部が閉じた状態の箱の要部を示す側面図。
【
図7】一実施形態に係る箱に用いられる第1の端面部が閉じた状態の箱を示す平面図。
【
図8】一実施形態に係る箱に用いられる第1の端面部を開く動作を示す斜視図。
【
図9】一実施形態に係る箱に用いられる第1の端面部を開く動作を示す平面図。
【
図10】一実施形態に係る箱の変形例の構成を示す斜視図。
【
図11】一実施形態に係る箱の変形例の構成を示す斜視図。
【
図12】一実施形態に係る箱の変形例を構成するブランクシートを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態に係る箱10を、
図1乃至
図9を用いて説明する。
図1は、箱10の構成を示す斜視図である。
図2は、箱10を構成するブランクシート5を示す平面図であり、すなわち、箱10を展開した状態を示す図である。
図3は、ブランクシート5の要部を拡大して示す平面図であり、具体的には、第1のタック部50の一方の係合部52の近傍を示す平面図である。
【0016】
図4及び
図5は、箱10の第1の端面部30を閉じる動作の一例を示す斜視図である。
図6は、第1の端面部30が閉じた状態の箱10の要部を示す側面図である。
図7は、第1の端面部30が閉じた状態の箱10の要部を示す平面図である。
図8は、箱10の第1の端面部30を開く動作を示す斜視図である。
図9は、箱10の第1の端面部30を開く動作を示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、箱10は、一例として、外観が直方体状に構成される。
図1及び
図2に示すように、箱10は、筒状の胴部20と、第1の端面部30と、第2の端面部40と、第1のタック部50と、第2のタック部60と、第1のフラップ部70と、第2のフラップ部80と、第3のフラップ部90と、第4のフラップ部100と、を有する。
【0018】
胴部20は、開口20aを構成する縁が、例えば矩形状となる筒状に構成される。胴部20は、第1の主面部21と、第2の主面部22と、第1の側面部23と、第2の側面部24と、グルーフラップ部25と、を有する。
【0019】
第1の端面部30は、胴部20の一方の開口20aの縁に設けられる。第2の端面部40は、他方の開口20aの縁に設けられる。第1の端面部30及び第2の端面部40のそれぞれは、胴部20に対して折り曲げられることで、開閉される。
【0020】
第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80は、第1の端面部30が設けられる開口20aの縁に設けられる。第3のフラップ部90及び第4のフラップ部100は、第2の端面部40が設けられる開口20aの縁に設けられる。フラップ部70,80,90,100は、胴部20に対して折り曲げられることで、開閉される。
【0021】
このような構成を有する箱10は、芳香剤等の被収容物を収容する。なお、被収容物は、限定されない。箱10は、一例として、サック箱である。箱10は、ブランクシート5に対して、折り曲げ加工、及び一部を接着剤等で接着する加工を施すことにより、構成される。
【0022】
図2に示すように、ブランクシート5は、第1の主面部21、第2の主面部22、第1の側面部23、第2の側面部24、グルーフラップ部25と、第1の端面部30、第2の端面部40、第1のタック部50、第2のタック部60、第1のフラップ部70、第2のフラップ部80、第3のフラップ部90、及び第4のフラップ部100が、一体に形成される構成を有する。ブランクシート5は、一例として、透明な樹脂から構成される。なお、ブランクシート5は、樹脂から構成されることに限定されない。ブランクシート5は、他の例では、紙から構成されてもよい。以降、箱10の構成について、ブランクシート5の状態での形状に基づいて、説明する。
【0023】
第1の主面部21は、例えば長方形状に構成される。第1の主面部21の一方の短辺部21bは、一方の開口20aの縁の一部を構成する。他方の短辺部21bは、他方の開口20aの一部を構成する。第2の主面部22は、第1の主面部21に対向配置される。第2の主面部22は、第1の主面部21と同形状に構成される。第2の主面部22の一方の短辺部22bは、一方の開口20aの縁の一部を構成する。他方の短辺部22bは、他方の開口20aの縁の一部を構成する。
【0024】
第1の側面部23は、例えば長方形状に構成される。第1の側面部23は、第1の主面部21の2つの長辺部21aの一方に連設される。また、第1の側面部23の一方の短辺部23bは、一方の開口20aの縁の一部を構成する。他方の短辺部23bは、他方の開口20aの縁の一部を構成する。
【0025】
第2の側面部24は、第1の側面部23に対向配置される。第2の側面部24は、第1の側面部23と同形状に構成される。第2の側面部24は、第1の主面部21の2つの長辺部21aのうち他方の長辺部21a、及び第2の主面部22の2つの長辺部22aの一方に連設される。第2の側面部24の一方の短辺部24bは、一方の開口20aの縁の一部を構成する。他方の短辺部24bは、他方の開口20aの縁の一部を構成する。
【0026】
グルーフラップ部25は、例えば、第1の側面部23の2つの長辺部23aの一方に連設される。グルーフラップ部25が、第2の主面部22に、接着剤等により固定されることで、胴部20の筒状の形状が維持される。グルーフラップ部25は、一例として、第1の側面部23の一方の長辺部23aの、一端の近傍の位置から、他端の近傍の位置までの領域に、例えば長方形状に構成される。
【0027】
第1の端面部30は、胴部20の一方の開口20aを覆うことが可能な形状に構成されており、一例として、開口20aと略同じ形状となる長方形状に構成される。第1の端面部30は、第1の主面部21の2つの短辺部21bの一方に連設される。この短辺部21bは、例えば、第1の端面部30の一方の長辺部30aと共通の構成である。第1の端面部30の一方の長辺部30aは、第1の端面部30が閉じた状態にあるときに、一方の開口20aの縁の一部を構成する第2の主面部22の短辺部22bと対向する。
【0028】
第2の端面部40は、胴部20の他方の開口20aを覆うことが可能な形状に構成されており、一例として、開口20aと略同じ形状となる長方形状に構成される。第2の端面部40は、第1の端面部30と対向する。第2の端面部40は、第2の主面部22の2つの短辺部22bの一方に連設される。この短辺部22bは、例えば、第2の端面部40の一方の長辺部40aと共通の構成である。第2の端面部40が連設される第2の主面部22の短辺部22bは、第1の端面部30が連設される第1の主面部21の短辺部21bに対して相対する側に配置される。第2の端面部40の一方の長辺部40aは、第2の端面部40が閉じた状態にあるときに、他方の開口20aの縁の一部を構成する第1の主面部21の短辺部21bと対向する。
【0029】
第1のタック部50は、第1の端面部30の2つの長辺部30aの他方に連設される。第1のタック部50は、第1の端面部30が開口20aを閉じた状態にあるときに、第2の主面部22と、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80と、の間に配置される。換言すると、第1のタック部50は、第1の端面部30が胴部20の開口20aを覆う位置にあるときに、胴部20内に配置される。
【0030】
第1のタック部50は、本体51と、2つの係合部52と、を有する。本体51は、例えば、台形状に構成される。本体51の縁53は、長辺部53aと、短辺部53bと、2つの側辺部(側縁部)53cと、を有する。長辺部53aは、例えば、第1の端面部30の他方の長辺部30aと共通の構成である。短辺部53bは、長辺部53aに対向配置される。短辺部53bは、長辺部53aに平行に構成される。
2つの側辺部53cは、例えば、左右対称な形状に構成される。ここで言う左右対称な形状とは、長辺部53aの中間位置と、短辺部53bの中間位置と、を結ぶ中心線C1に対して対称な形状であることである。一方の側辺部53c及び短辺部53bのなす角度は、他方の側辺部53c及び短辺部53bのなす角度と、同じに設定される。
【0031】
係合部52は、例えば、2つの側辺部53cのそれぞれに1つずつ設けられる。係合部52は、側辺部53cに沿って折り曲げ可能に構成される。例えば、側辺部53cの、係合部52との境界には、折り曲げやすくするための溝が形成されてもよい。係合部52は、側辺部53cで折り曲げ可能であることで、側辺部53cに対して回動可能となる。このように、折り曲げ可能である構造は、回動可能とする構造の一例である。係合部52は、側辺部53cの領域Aに連設される。領域Aは、
図3に示すように、側辺部53cの第1の位置P1及び第2の位置P2の間の領域である。
【0032】
第1の位置P1は、側辺部53cの中途位置である。中途位置とは、側辺部53cの一端及び他端の間のいずれかの位置である。第1の位置P1は、一例として、側辺部53cの一端及び他端間の中間位置である。
【0033】
第2の位置P2は、第1の位置P1よりも長辺部53a側の位置であって、かつ、側辺部53cの長辺部53a側の一端に対して短辺部53b側に所定の距離ずれた位置である。側辺部53cの長辺部53a側の一端から第2の位置P2までの、長辺部53aに直交する方向に沿う長さL1は、ブランクシート5の厚みと略同じ長さである。
【0034】
係合部52は、側辺部53cから、外側に突出する形状に構成される。ここで言う外側とは、長辺部53aに平行な方向に、本体51から離れる側である。係合部52の、長辺部53aに平行な方向の先端54は、本実施形態では一例として、長辺部53aよりも、長辺部53aに平行な方向で外側に位置する。
【0035】
換言すると、係合部52の一部は、長辺部53aに対して、長辺部53aに平行な方向で外側に位置する。この為、係合部52を通る第1のタック部50の幅方向の最大長は、開口20aの幅方向の長さよりも、長い。係合部52を通る第1のタック部50の幅方向の最大長とは、本実施形態では、2つの係合部52が本体51と面一となる状態での、2つの係合部52のそれぞれの先端54間の長さである。開口20aの幅方向の長さは、第1の端面部30から、第1のタック部50の短辺部53bへ向かう方向に直交する方向であり、本実施形態では、第1の主面部21の短辺部21bに平行な方向となる。
【0036】
ここで、係合部52において、長辺部53aよりも、長辺部53aに平行な方向で外側に位置する部分を、突出部55と称する。また、先端54は、長辺部53aに平行な方向に、第2の位置P2と対向する。換言すると、係合部52の縁56の、先端54及び第2の位置P2間の領域は、長辺部53aと平行に構成される。
【0037】
また、第1の主面部21及び第2の主面部22が同形状であり、かつ開口20aが矩形状に構成されることから、係合部52が第1のタック部50の本体51に対して面一であり、すなわち係合部52が本体51に対して折り曲げられていない状態において、突出部55は、第1の端面部30を閉じるときに第1のタック部50が対向する、開口20aの縁の一部を構成する直線状の短辺部22bに対して、短辺部22bに平行な方向で外側に位置することとなる。
【0038】
係合部52の縁56の、突出部55及び他部の境の部分を、境界部57と称する。境界部57は、長辺部53aに平行な方向で、先端54よりも本体51側に位置する。
【0039】
係合部52の縁56は、第1の端面部30を閉じる際に、後述する切り欠き部72の縁に接触する。縁56は、第1の端面部30を閉じる際に、係合部52が切り欠き部72を通過可能とするガイド部として機能する。縁56は、一例として、以下の形状を有する。
係合部52の縁56の、側辺部53cの第1の位置P1、及び境界部57の間の領域Bは、一例として、外側に向かって突出する曲線状に構成される。係合部52の縁56の、境界部57及び先端54の間の領域Cは、一例として、直線状に構成される。領域Cは、具体的には、第1の端面部30に向かうにつれて、本体51から離れる傾斜を有する直線状に構成される。
【0040】
また、係合部52は、第1の端面部30が閉じた状態から開く際に、第1の端面部30を開く方向に、後述する第1のフラップ部70と接触することで第1の端面部30を開く動作の抵抗となる接触部を有する。本実施形態では、係合部52の縁56の、先端54及び第2の位置P2の間の領域Dが接触部として機能する。領域Dは、一例として、係合部52が第1のタック部50の本体51に対して面一である状態にあるときに長辺部53aに平行な直線状に構成される。
【0041】
係合部52の幅W1は、側辺部53cの係合部52以外の部分から、当該係合部52以外の部分に対して直交する方向で係合部52の最も離れた部分Yまでの、当該直交する方向に沿う長さである。
【0042】
第2のタック部60は、
図2に示すように、第2の端面部40の2つの長辺部40aの一方に連設される。第2のタック部60は、第1のタック部50と同様に構成される。この為、第2のタック部60において、第1のタック部50と同様の機能を有する構成は、第1のタック部50と同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
第2のタック部60がこのように構成されることで、第2のタック部60の係合部52が第2のタック部60の本体51に対して面一であり、すなわち係合部52が本体51に対して折り曲げられていない状態において、係合部52は、第2の端面部40を閉じるときに第2のタック部60が対向する、開口20aの縁の一部を構成する直線状の短辺部21bに対して、短辺部21bに平行な方向で外側に位置することとなる。
【0044】
第1のフラップ部70は、第1の側面部23の一方の短辺部23bに連設される。第1のフラップ部70は、短辺部23bの一端から他端までの範囲に設けられる。ここで言う一方の短辺部23bは、第1の端面部30側の短辺部である。第1のフラップ部70は、
図3に示すように、例えば略矩形状に構成される。第1のフラップ部70の縁71は、第1の側面部23の短辺部23bと共通の構成である第1の辺部71aと、第1の辺部71aに相対する第2の辺部71bと、第3の辺部71cと、第4の辺部71dと、を有する。第3の辺部71cは、ブランクシート5の状態において、第1の端面部30と対向配置される。第4の辺部71dは、第3の辺部71cと相対する辺部である。
【0045】
第1のフラップ部70の縁71は、
図1に示すように、第1の端面部30が閉じた状態において、第1のタック部50と対向する部分に、切り欠き部72を有する。なお、第1の端面部30が閉じた状態では、第1の端面部30が開口20aを覆う位置にあり、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80部は開口20a内に折り込まれ、第1のタック部50は第1のフラップ部70部及び第2のフラップ部80と第2の主面部22との間に配置される。
【0046】
第1の端面部30が閉じた状態では、第1のフラップ部70の縁71の第4の辺部71dが、第1のタック部50と対向する。この為、切り欠き部72は、第4の辺部71dに形成される。
【0047】
切り欠き部72は、第4の辺部71dの第1の側面部23側の一端から所定の距離を有する第3の位置P3に形成される。第3の位置P3は、係合部52及びフラップ部70,80が所定の状態にあるときに、第1の端面部30を閉じる方向に、係合部52の第1の端面部30を閉じる方向の先端側の部分が対向する位置である。
【0048】
なお、ここで言う、係合部52の第1の端面部30を閉じる方向の先端側の部分は、先端となる第1の位置P1及び第1の位置P1の近傍を含む部分の少なくとも一部であり、第1の位置P1にのみ限定されるものではない。本実施形態では、係合部52の第1の端面部30を閉じる方向の先端側の部分は、一例として、第1の位置P1の近傍の部分である。なお、他の例では、第3の位置P3は、係合部52の第1の端面部30を閉じる方向の先端が対向する位置であってもよい。さらに換言すると、第3の位置P3は、係合部52及びフラップ部70,80が所定の状態で第1の端面部30を閉じたときに、係合部52が切り欠き部72にスムーズに進入可能となる位置である。ここで言うスムーズに進入可能とは、係合部52が、切り欠き部72の縁に当接することなく侵入可能であること、または、係合部52が切り欠き部72の縁に当接するが、当該当接の直後、係合部52が切り欠き部72に入り込むことが可能であることである。
【0049】
係合部52、及びフラップ部70,80の所定の状態とは、本実施形態では一例として、第1のフラップ部70を第1の側面部23に対して開口20a側に90度折り曲げ、第2のフラップ部80を第2の側面部24に対して開口20a側に90度折り曲げ、第1のタック部50の係合部52を、係合部52及び本体51のなす角度が所定角度、例えば所定の鈍角折り曲げた状態である。なお、係合部52及び本体51がなす所定角度が鈍角であることは一例であり、この角度に限定されない。
【0050】
係合部52、及びフラップ部70,80が所定の状態にあるときに、第1の端面部30を閉じる際には、第1のタック部50を、第2の主面部22と、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80との間に差し込みながら第1の端面部30を閉じることとなる。
【0051】
切り欠き部72は、係合部52、及びフラップ部70,80が所定の状態にあるときに、第1の端面部30を閉じる際に係合部52が通過可能な形状に形成される。切り欠き部72は、一例として、幅が、第1のフラップ部70の内側に向かうに従い漸次短くなる形状に構成される。切り欠き部72の深さD1は、本実施形態では一例として、係合部52の幅W1より深い。ここで言う深さD1は、第4の辺部71dの切り欠き部72以外の部分から、切り欠き部72の底端Xまでの、第4の辺部71dに直交する方向に沿う長さである。
【0052】
図2に示すように、第2のフラップ部80は、第2の側面部24の、第1の端面部30側の短辺部24bに連設される。第2のフラップ部80は、第1のフラップ部70と左右対称に構成される。ここで、左右対称とは、第1の端面部30の2つの長辺部30aのそれぞれの中心を通る中心線C2に対して対称であることである。第2のフラップ部80において第1のフラップ部70と同様の機能を有する構成は、第1のフラップ部70と同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
第3のフラップ部90は、第1の側面部23の他方の短辺部23bに連設される。第3のフラップ部90は、短辺部23bの一端から他端までの範囲に設けられる。第3のフラップ部90は、平面視で矩形状に構成される。第3のフラップ部90の縁91は、一例として、第1の側面部23の短辺部23bと同一の構成となる第5の辺部91aと、第5の辺部91aに相対する第6の辺部91bと、第7の辺部91cと、第8の辺部91dと、を有する。
【0054】
第3のフラップ部90の縁91は、第2の端面部40が閉じた状態において、第2のタック部60と対向する部分に、切り欠き部92を有する。なお、第2の端面部40が閉じた状態では、第2の端面部40は開口20aを覆う位置にあり、第3のフラップ部90及び第4のフラップ部100部は開口20a内に折り込まれ、第2のタック部60は第3のフラップ部90及び第4のフラップ部100と第1の主面部21との間に配置される。
【0055】
第2の端面部40が閉じた状態では、第3のフラップ部90の縁91の第8の辺部91dが、第2のタック部60と対向する。この為、切り欠き部92は、第8の辺部91dに形成される。
【0056】
切り欠き部92は、第8の辺部91dの第1の側面部23側の一端から所定の距離を有する第4の位置P4に形成される。第4の位置P4は、係合部52及びフラップ部90,100が所定の状態にあるときに、第2の端面部40を閉じる方向に、係合部52の第2の端面部40を閉じる方向の先端側の部分が対向する位置である。
【0057】
なお、ここで言う、係合部52の第2の端面部40を閉じる方向の先端側の部分は、先端となる第1の位置P1及び第1の位置P1の近傍を含む部分の少なくとも一部であり、第1の位置P1にのみ限定されるものではない。本実施形態では、係合部52の第2の端面部40を閉じる方向の先端側の部分は、一例として、第1の位置P1の近傍の部分である。なお、他の例では、第3の位置P3は、係合部52の第1の端面部30を閉じる方向の先端が対向する位置であってもよい。さらに換言すると、第4の位置P4は、係合部52及びフラップ部90,100が所定の状態で第2の端面部40を閉じたときに、係合部52が切り欠き部92にスムーズに進入可能となる位置である。ここで言うスムーズに進入可能とは、係合部52が、切り欠き部92の縁に当接することなく侵入可能であること、または、係合部52が切り欠き部92の縁に当接するが、当該当接の直後、係合部52が切り欠き部92に入り込むことが可能であることである。
【0058】
切り欠き部92は、係合部52、及びフラップ部90,100が所定の状態にあるときに、第2の端面部40を閉じる際に係合部52が通過可能な形状に形成される。係合部52、及びフラップ部90,100の所定の状態とは、第3のフラップ部90を第1の側面部23に対して開口20a側に90度折り曲げ、第4のフラップ部100を第2の側面部24に対して開口20a側に90度折り曲げ、第2のタック部60の係合部52を、係合部52及び本体51がなす角度が所定角度、例えば鈍角となる位置まで折り曲げた状態である。なお、係合部52及び本体51がなす所定角度が鈍角であることは一例であり、この角度に限定されない。
【0059】
第2の端面部40を閉じる際には、第2のタック部60を、第1の主面部21と、第3のフラップ部90及び第4のフラップ部100との間に差し込みながら第2の端面部40を閉じることとなる。
【0060】
切り欠き部92は、一例として、幅が、第3のフラップ部90の内側に向かうに従い漸次短くなる形状に構成される。切り欠き部92の深さD2は、本実施形態では、一例として、係合部52の幅W1より深い。ここで言う、切り欠き部92の深さD2は、第8の辺部91dの切り欠き部92以外の部分から、切り欠き部92の底端までの、第8の辺部91dに直交する方向に沿う長さである。
【0061】
切り欠き部92は、一例として、幅が、第3のフラップ部90の内側に向かうに従い漸次短くなる形状に構成される。切り欠き部92の深さD2は、本実施形態では一例として、第2のタック部60の係合部52の幅W1より深い。ここで言う深さD2は、第3のフラップ部90の第8の辺部91dの切り欠き部92以外の部分から、切り欠き部92の底端X1までの、第8の辺部91dに直交する方向に沿う長さである。切り欠き部92の形状は、例えば切り欠き部72と同形状に構成される。
【0062】
第4のフラップ部100は、第2の側面部24の、第2の端面部40側の短辺部24bに連設される。第4のフラップ部100は、第3のフラップ部90と左右対称に構成される。ここで、左右対称とは、第1の端面部30の2つの長辺部30aのそれぞれの中心を通る中心線C3に対して対称であることである。第4のフラップ部100において第3のフラップ部90と同様の機能を有する構成は、第3のフラップ部90と同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
なお、本実施形態では、ブランクシート5は、箱10を展開した状態の一例の形状を有する。箱10を構成するブランクシート5の形状は、上述の構成に限定されない。例えば、上述の例では、グルーフラップ部25は、第1の側面部23の一方の長辺部23aに連設される構成が説明されたが、これに限定されない。他の例では、グルーフラップ部25は、第2の主面部22の長辺部22aに連設される構成であってもよい。
【0064】
次に、第1の端面部30を閉じる動作を説明する。
図4は、第1の端面部30、第1のフラップ部70、及び第2のフラップ部80が開いた状態を示す斜視図である。
【0065】
まず、使用者は、係合部52、及びフラップ部70,80を所定の状態にする。具体的には、第1のタック部50の2つの係合部52のそれぞれを、本体51に対して、開口20a側に所定角度(本実施形態では所定の鈍角となる角度)折り曲げる。ここで言う開口20a側とは、開口20aが第1の端面部30により覆われた状態のときに、係合部52が開口20aの内側に配置される、側である。
【0066】
係合部52は、上述のように折り曲げられることで、本体51に対して、第1の端面部30から第1のタック部50の短辺部53bへ向かう方向、及び開口20aの幅方向(第2の主面部22の短辺部22bの延びる方向)の2方向に対して直交する方向に突出する。なお、ここで言う、2方向に対して直交する方向に突出するとは、係合部52及び本体51がなす角度が90度であることに限定されない。本実施形態のように、係合部52がブランクシート5の状態から折り曲げられることで、係合部52及び本体51のなす角度が90度より大きく180度未満となる状態も、90度未満になる状態も含む。すなわち、上述の、係合部52、及びフラップ部70,80の所定状態のように、係合部52及び本体51のなす角度が鈍角となる状態であっても、係合部52は、本体51に対して、第1の端面部30から第1のタック部50の短辺部53bへ向かう方向、及び開口20aの幅方向(第2の主面部22の短辺部22bの延びる方向)の2方向に対して直交する方向に突出する状態である。
【0067】
次に、使用者は、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80のそれぞれを、第1の辺部71aを折り目として、開口20a側に90度折り曲げる。
【0068】
次に、使用者は、
図5に示すように、第1のタック部50を、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80のそれぞれの第4の辺部71dと、第2の主面部22との間に差し込む。
【0069】
使用者は、さらに、第1の端面部30を、当該第1の端面部30を閉じる方向に移動させる。このとき、係合部52、及びフラップ部70,80が所定の状態にあるので、2つの係合部52のそれぞれの、第1の端面部30を閉じる方向の先端側の部分が、第1の端面部30を閉じる方向に切り欠き部72に対向する位置に配置されている。この為、2つの係合部52のそれぞれは、切り欠き部72を通過可能である。係合部52は、本体51の側辺部53cが傾斜することから、切り欠き部72を通過する部分が、第1の端面部30を閉じるにつれて、切り欠き部72に対して次第に幅方向外側に移動する。しかしながら、係合部52は、縁56が第1の端面部30を閉じるにつれて切り欠き部72の縁に接触して変形することで、切り欠き部72を通過する。このとき、係合部52及び本体51のなす角度は、変化する。例えば、係合部52の幅W1、及び切り欠き部72の深さD1によっては、係合部52及び本体51のなす角度が、鋭角となる状態も生じえる。
【0070】
さらに、係合部52の縁56がガイド部に構成されることで、係合部52がスムーズに切り欠き部72を通過する。係合部52は、切り欠き部72を通過することで、第1のフラップ部70または第2のフラップ部80を乗り越える。2つの係合部52がフラップ部70,80を乗り越えることで、第1の端面部30を、開口20aを覆う位置まで閉じることが可能となる。係合部52は、フラップ部70,80を通過すると、係合部52の弾性や、係合部52及び本体51の間の折り曲げ部の弾性等によって形状が復帰し、本体51との間の角度が、上述の所定の鈍角に戻る。
【0071】
第1のフラップ部70、第2のフラップ部80、及び2つの係合部52の少なくとも1つが、所定の状態からずれた場合では、第1のフラップ部70、第2のフラップ部80、及び2つの係合部52の少なくとも1つが、第1の端面部30を閉じる動作に伴い変形することで、係合部52が、切り欠き部72を通過する。
【0072】
例えば、一方の係合部52の折り曲げ部が、弾性により一部復帰することで、係合部52及び本体51のなす角度が、所定の角度(本実施形態では所定の鈍角となる角度)より大きくなる場合が想定される。この場合では、第1の端面部30を閉じると、係合部52の、第1の端面部30を閉じる方向の先端側の部分は、第1のフラップ部70の第4の辺部71dの切り欠き72からずれた部分に当接する。
【0073】
この当接により、第1のフラップ部70及び係合部52が変形する。さらに、本体51の側辺部53cが、長辺部53aから短辺部53bへ向かう方向に対して傾斜する方向に延びることから、第1の端面部30を閉じる方向に移動することで、切り欠き部72に対する係合部52の位置が、相対的に外側に移動する。
【0074】
これらの要因により、第1の端面部30を閉じる動作のいずれかのタイミングで、係合部52が切り欠き部72に入り込む。そして、係合部52が切り欠き部72に入り込んだ後は、係合部52は、第1の端面部30を閉じるにつれて、切り欠き部72を通過する。
【0075】
または、係合部52が、第1のフラップ部70及び第2の主面部22の間、または、第2のフラップ部80及び第2の主面部22の間を通過可能な程度まで折り曲げ状態が解除されると、係合部52は、切り欠き部72を通過することなく、第1のフラップ部70または第2のフラップ部80を乗り越える。
【0076】
このように、2つの係合部52のそれぞれがフラップ部を乗り越えることで、第1の端面部30を、開口20aを覆う位置まで閉じることが可能となる。
【0077】
第1のタック部50が、第1の端面部30により開口20aが覆われる位置まで胴部20内に押し込まれると、一方の係合部52が第1のフラップ部70を乗り超え、かつ、他方の係合部52が第2のフラップ部80を乗り越える。係合部52がフラップ部を乗り越えるとは、係合部52が、縁53の領域Dがフラップ部に当接する位置、または、領域Dがフラップ部に当接する位置を越えてさらに押し込まれた位置に配置されることである。すなわち、係合部52がフラップ部を乗り越えた状態では、係合部52は、フラップ部に対して胴部20の内側に位置することとなる。
【0078】
使用者は、係合部52がフラップ部を乗り越えるときに生じる音により、係合部52がフラップ部を乗り越える位置まで差し込まれたことを認識できる。この音は、ブランクシート5を構成する材料によって異なるが、ブランクシート5が樹脂で形成される場合は、例えば「パチン」という音が発生する。
【0079】
係合部52がフラップ部を乗り越えた状態では、第1の端面部30を閉じる方向に移動することで切り欠き部72に対する係合部52の位置が相対的に外側に移動することで、2つの係合部52のそれぞれは、第1の端面部30を開く方向に、切り欠き部72に対向しない。
【0080】
この為、第1の端面部30を閉じた状態から開こうとすると、係合部52の突出部55の縁56の領域Dが、フラップ部に当接する。このように、係合部52がフラップ部に当接することにより、第1の端面部30の開き防止がなされる。さらに、領域Dは、フラップ部の内面に平行、または、略平行な姿勢で、フラップ部に当接するので、第1の端面部30はより一層開きにくくなる。
【0081】
なお、2つの係合部52が、本体51と面一となる状態では、2つの係合部52の先端54間の長さは、開口20aの幅よりも長い。この為、2つの係合部52がフラップ部を乗り越えた状態において、弾性により折り曲げ部が延びても、先端54が第1の側面部23または第2の側面部24に当接することで、係合部52は、本体51に対して折り曲げられた状態が維持される。
【0082】
第2の端面部40により胴部20の他方の開口20aを閉じる動作も、第1の端面部30により胴部20の一方の開口20aを閉じる動作と同様である。
【0083】
次に、閉じた状態の第1の端面部30を開く動作を、
図8及び
図9を用いて説明する。使用者は、箱10内に収容された芳香剤等の被収容物を取り出す場合には、第1の端面部30または第2の端面部40を開く。ここでは、一例として、第1の端面部30を開く。使用者は、まず、指Fを第1のタック部50及び第2の主面部22の間に挿入して、指Fを第1のタック部50の縁にかける。
【0084】
次に、使用者は、指Fを引き上げる。指Fを引き上げることにより、第1のタック部50及び第1の端面部30が、開口20aに対して持ち上げられる。第1のタック部50及び第1の端面部30が持ち上げられることにより、第1のタック部50及び第1の端面部30が湾曲する。具体的には、第1のタック部50及び第1の端面部30は、第1のタック部50の指Fがかけられる部分に対して両側が下がる形状に湾曲する。
【0085】
第1のタック部50及び第1の端面部30が引き上げられることで、一方の係合部52が第1のフラップ部70に押し付けられ、かつ、他方の係合部52が第2のフラップ部80に押し付けられる。この為、抵抗が生じ、第1の端面部30を開きにくくなる。
【0086】
2つの係合部52がフラップ部に当接した状態から、第1のタック部50及び第1の端面部30をさらに引き上げると、
図7に示すように、一方の係合部52は、第1のフラップ部70に当接したまま、切り欠き部72に向かって移動する。他方の係合部52は、第2のフラップ部80に当接したまま、切り欠き部72に向かって移動する。使用者が指Fをさらに引き上げると、2つの突出部55のそれぞれは、
図9に示すように切り欠き部72に入りこむ。
【0087】
使用者が指Fをさらに引き上げると、2つの係合部52のそれぞれは切り欠き部72を通過する。係合部52が切り欠き部72を通過することで、係合部52及びフラップ部の当接により生じた、第1の端面部30の開き動作に対する抵抗が解消されるので、第1の端面部30を開くことが可能となる。
【0088】
このように構成された箱10では、第1の端面部30が閉じた状態では、2つの係合部52がフラップ部に当接することで、第1の端面部30を開きにくくなる。さらに、切り欠き部72が、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80のそれぞれの第4の辺部71dの、開口20aの縁から所定距離離間した第3の位置P3に形成されることにより、第1の端面部30を、係合部52が切り欠き部72を通過するまで引き上げることで、第1の端面部30をスムーズに開くことが可能となる。
【0089】
第2の端面部40においても同様であり、切り欠き部92が、第3のフラップ部90及び第4のフラップ部100の第8の辺部91dの、開口20aから所定距離離間した第4の位置P4に形成されることで、第2の端面部40を係合部52が切り欠き部92を通過するまでは第2の端面部40を開きにくくなる。そして、係合部52が切り欠き部92を通過することで、第2の端面部40をスムーズに開くことが可能となる。
【0090】
このように、係合部52が切り欠き部72を通過するまでの間は、第1の端面部30が開くことを防止できるので、第1の端面部30が不意に開くことを防止できる。同様に、係合部52が切り欠き部92を通過するまでの間は、第2の端面部40が開くことを防止できるので、第2の端面部40が不意に開くことを防止できる。
【0091】
さらに、第1のタック部50を引き上げるという1回の動作のみで、係合部52を、切り欠き部72を通過させ、かつ、その後に第1の端面部30を開くことが可能となるので、単純な動作で第1の端面部30を開くことが可能となる。同様に、第2のタック部60を引き上げるという1回の動作のみで、係合部52を、切り欠き部92を通過させ、かつ、その後に第2の端面部40を開くことが可能となるので、単純な動作で第2の端面部40を開くことが可能となる。
【0092】
さらに、係合部52は、第1の端面部30を閉じる際には、第1の端面部30を閉じる方向に移動するだけで、切り欠き部72を通過してフラップ部を乗り越える。または、係合部52は、フラップ部及び第2の主面部22の間を通過することで、フラップ部を乗り越える。この為、第1の端面部30を閉じる方向に移動しながら、係合部52の位置を切り欠き部72に合わせて調整することがないので、第1の端面部30をスムーズに閉じることが可能となる。
【0093】
同様に、第2の端面部40を閉じる際には、係合部52は、第2の端面部40を閉じる方向に移動するだけで、切り欠き部92を通過してフラップ部を乗り越える。または、係合部52は、フラップ部及び第1の主面部21の間を通過することで、フラップ部を乗り越える。この為、第2の端面部40を閉じる方向に移動しながら、係合部52の位置を切り欠き部92に合わせて調整することがないので、第2の端面部40をスムーズに閉じることが可能となる。
【0094】
さらに、2つの係合部52が本体51と面一となる状態において、2つの係合部52のそれぞれの先端54間の長さが、開口20aの幅よりも長いことによって、第1の端面部30を閉じた状態において、2つの係合部52が弾性によって折り曲げた状態から延びても、2つの係合部52のそれぞれが、第1の側面部23または第2の側面部24に当接することで、本体51に対して折り曲げられた状態が維持される。
【0095】
この為、第1の端面部30を閉じた状態から開く際に、2つの係合部52のそれぞれが第1のフラップ部70または第2のフラップ部80に当接することで抵抗が生じるので、第1の端面部30が不意に開くことを防止できる。第2の端面部40についても、同様である。
【0096】
なお、上述の例では、胴部20の2つの開口20aのそれぞれに係合部及び切り欠き部を有するロック構造が設けられた構成が、一例として説明された。しかしながら、胴部20の2つの開口20aのそれぞれに係合部及び切り欠き部を有するロック構造が設けられる構成に限定されない。係合部及び切り欠き部を有するロック構造は、少なくとも一方の開口20aに設けられればよい。
【0097】
この構成の一例としては、
図10乃至第12に示す変形例のように、第2の端面部40が閉じた状態を維持するロック構造は係合部52及び切り欠き部92を有するロック構造が用いられ、第1の端面部30が閉じた状態を維持するロック構造としてインナーロック構造110が用いられる構成であってもよい。
【0098】
図10は、本変形例に係る箱10の構成を示す斜視図であり、第2の端面部40側を示している。
図11は、本変形例に係る箱10の構成を示す斜視図であり、第1の端面部30側を示している。
図12は、本変形例に係る箱10を構成するブランクシート5を示す平面図である。
【0099】
図10乃至
図12に示すように、本変形例の箱10では、第1の端面部30は、インナーロック構造110により、閉じた状態がロックされる。インナーロック構造110は、第1の端面部30の長辺部30aに形成されたスリット111と、第2の主面部22の短辺部22bに形成されたロック片112と、を有する。なお、本変形例では、第1のタック部50は、係合部52を有していない。また、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80は、切り欠き部72を有していない。ロック片112は、第1の端面部30が閉じた状態にあるときに、スリット111に差し込まれる。ロック片112がスリット111に差し込まれることにより、第1の端面部30が開口20aを覆う状態がロックされる。
【0100】
また、本変形例では、
図10及び
図12に示すように、第1の主面部21の、第1の端面部30が形成される短辺部21bと相対する短辺部21bに、表示部120が形成される。表示部120は、第2の端面部40が閉じた状態において、外部に露出する。表示部120には、例えば、商品の名前等の情報が記載される。
【0101】
本変形例のように、表示部120を有することで、ブランクシート5以外の部材を用いなくとも商品の宣伝効果を向上することが可能となる。なお、表示部120は、係合部52により第2の端面部40が開口20aを覆う状態をロックすることにより、第1の主面部21の、第1の端面部30に相対する側の短辺部21bにロックに要する構造を設けることがない構成であることから、設けることが可能となっている。
【0102】
この為、表示部120は、
図1乃至
図9に示す構成においても、第1の主面部21の一方の短辺部21b、及び第2の主面部22の一方の短辺部22bにも設けることが可能である。
【0103】
なお、
図10乃至
図12に示す本変形例の構成において、インナーロック構造110及び表示部120が新たに設けられる点、並びに、第1のフラップ部70及び第2のフラップ部80のそれぞれに切り欠き部72が形成されない点、以外の構成については、
図1乃至
図9に示す構成と同じであるので、共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
さらに、
図1乃至
図13に示す上述の例では、胴部20は、開口20aが矩形に構成される例が説明されたが、これに限定されない。胴部20は、開口20aを構成する縁の少なくとも一部が直線状に構成される直線部を有する構成であればよい。上述の例では、第1の主面部21の短辺部21b、及び第2の主面部22の短辺部22bが、直線部の一例を構成する。
【0105】
胴部20の構成の他の例として、開口20aを構成する縁が4角形や5角形等の多角形となる筒状の構成や、開口20aを構成する縁の一部が直線部に構成され、縁の他部が湾曲した形状に構成される筒状の構成であってもよい。
【0106】
このような構成であっても、第1のフラップ部70が設けられる側の開口20aについて代表して説明すれば、第1のフラップ部70が、開口20aを構成する縁の直線部を挟んで一方側に設けられ、第2のフラップ部80が、開口20aを構成する縁の直線部を挟んで他方側に設けられ、第1のタック部50が、第1の端面部30の縁の、第1の端面部30が開口20aを閉じた状態にあるときに直線部に対向する部分に形成され、第1のタック部50が、長辺部53a、短辺部53b、及び2つの側辺部53cを有する形状に構成され、そして、係合部52が側辺部53cに形成される構成を有することで、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0107】
また、
図1乃至
図13に示す上述の例では、箱10は、ブランクシート5を折り曲げることにより構成される例が説明されたが、これに限定されない。
また、
図1乃至
図13に示す上述の例では、胴部20は、一例としてブランクシート5から構成されることから、両端が開口する筒状に構成される例が説明された。しかしながら、胴部20は、両端が開口する形状に構成されることに限定されない。胴部20は、例えば、一端が開口し、かつ、他端が閉塞される構成であってもよい。ここで言う閉塞とは、開閉不能な壁部により覆われることである。この構成の場合は、開口する一端が、例えば第1の端面部30により開閉される。このように、胴部20は、少なくとも一端が開口する形状であればよい。
【0108】
また、
図1乃至
図13に示す例では、第1のタック部50及び第2のタック部60のそれぞれの本体51は、一例として台形状に構成され、2つの側辺部53cのそれぞれが、第1の端面部30または第2の端面部40に対して反対側となる短辺部53bに向かうにつれて、幅方向内側に延びる、直線状に構成された例が説明された。
【0109】
しかしながら、本体51は、上述の構成に限定されない。本体51は、例えば、一方の側辺部53cのみが、短辺部53bに向かうにつれて他方の側辺部53cに向かって延びる形状に構成されてもよい。または、本体51は、台形以外の形状に形成されてもよい。この例としては、短辺部53bが曲線状に構成され、さらに、少なくとも一方の側辺部53cが、短辺部53bに向かうにつれて、他方の側辺部53cに近づく曲線状に構成されてもよい。
【0110】
また、
図1乃至
図13に示す例では、第1のタック部50、及び第2のタック部60のそれぞれに2つ設けられた構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、第1のタック部50は、一方の側辺部53cのみに係合部52が形成される構成であってもよい。このように、係合部は、1つのタック部に対して1つのみ形成される構成であってもよい。
【0111】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0112】
5…ブランクシート、10…箱、20…胴部、20a…開口、21…第1の主面部、21a…長辺部、21b…短辺部、22…第2の主面部、22a…長辺部、22b…短辺部、23…第1の側面部、23a…長辺部、23b…短辺部、24…第2の側面部、24b…短辺部、25…グルーフラップ部、30…第1の端面部、30a…長辺部、30b…短辺部、40…第2の端面部、40a…長辺部、50…第1のタック部、51…本体、52…係合部、53…縁、53a…長辺部、53b…短辺部、53c…側辺部、54…先端、55…突出部、56…縁、57…境界部、60…第2のタック部、70…第1のフラップ部、71…縁、71a…第1の辺部、71b…第2の辺部、71c…第3の辺部、71d…第4の辺部、72…切り欠き部、80…第2のフラップ部、90…第3のフラップ部、91…縁、91a…第5の辺部、91b…第6の辺部、91c…第7の辺部、91d…第8の辺部、92…切り欠き部、100…第4のフラップ部、110…インナーロック構造、120…表示部。