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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】ロックファスナ具
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20220912BHJP
   B29C 65/58 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B60R13/02 A
B29C65/58
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019232207
(22)【出願日】2019-12-24
(62)【分割の表示】P 2019065918の分割
【原出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020138724
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019031542
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504452789
【氏名又は名称】ニッタモールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(73)【特許権者】
【識別番号】000124454
【氏名又は名称】河西工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】茂呂 拓実
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-139519(JP,A)
【文献】特開昭57-84243(JP,A)
【文献】特開平8-238112(JP,A)
【文献】特開2015-2794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B29C 65/58
A44B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側に取り付けられるベース基材と、複数の係合部を有する面ファスナとを備え、前記面ファスナのベース部に前記ベース基材が設けられるロックファスナ具において、
前記ベース基材には、樹脂材料が充填される充填空間が設けられ、前記ベース基材の片側表面には、充填空間に連通する複数の接着開口が設けられ、前記複数の接着開口のうち隣接する一対の接着開口は、連通凹部を介して連通されていることを特徴とするロックファスナ具。
【請求項2】
前記ベース基材の前記片側表面に設けられた前記複数の接着開口の全ては、前記連通凹部を介して連通されていることを特徴とする請求項1に記載のロックファスナ具。
【請求項3】
前記ベース基材の前記片側表面には、外周縁部の内側に所定方向及び前記所定方向に対して垂直な方向に間隔をおいて4つの接着開口が設けられ、前記4つの接着開口の全てが矩形状に形成され、前記連通凹部を介して連通されていることを特徴とする請求項2に記載のロックファスナ具。
【請求項4】
車両側に取り付けられるベース基材と、複数の係合部を有する面ファスナとを備え、前記面ファスナのベース部に前記ベース基材が設けられるロックファスナ具において、
前記ベース基材には、樹脂材料が充填される充填空間が設けられ、前記ベース基材の片側表面には、充填空間に連通する接着開口が設けられており、
前記ベース基材には、更に、空気貫通孔が貫通して設けられ、前記接着開口は空気流出流路を介して前記空気貫通孔に連通されており、
前記ベース基材のインサート成形の際に、前記接着開口の空気は、前記空気流出流路を通して前記空気排出孔に流れることを特徴とするロックファスナ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井などにシート状材を内張りするために用いるロックファスナ具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両本体に装着される内装材としてのシート状材(例えば、天井に装着されるシート状天井材)を取り付けるのにロックファスナ具が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このロックファスナ具は、ベース基材と、このベース基材の表面に設けられた面ファスナ(例えば、雄型面ファスナ)とを備え、この雄型面ファスナがベース基材に接着剤により固着される。
【0003】
例えば、天井材を取り付ける場合、車両本体側の所定部位に複数のロックファスナ具が例えば接着固定され、かく取り付けられた複数のロックファスナ具の雄型面ファスナの多数の雄型係合部に、天井材側に設けられた多数の被係合部(例えば、雄型面ファスナの雄型被係合部)が係合され、このようにして天井材が複数のロックファスナ具を介して車両本体の天井に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-145112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロックファスナ具では、面ファスナ(例えば、雄型面ファスナ)が接着剤を用いてベース基材に固着されていたので、この接着の際に、塗布した接着剤が面ファスナの多数の係合部(例えば、雄型係合部)側にはみ出し、このはみ出した接着剤が多数の係止部間の隙間に流れ込むという問題が生じる。この接着剤の流れ込みが生じると、多数の係合部間の隙間の一部が流れ込んだ接着剤により埋まり、この接着剤による埋まりが原因となって、ロックファスナ具と例えば天井材側の多数の被係合部(例えば、雄型面ファスナの雄型被係合部)との係合が所要の通りに行われず、天井材を取り付けたときにロックファスナ具との嵌合不良が生じる(換言すると、嵌合力が弱くなる)。
【0006】
また、このようなロックファスナ具を製造する場合、各ベース基材の表面に接着剤を塗布して面ファスナ(例えば、雄型面ファスナ)を一つ一つ貼り付けようとしたときには、その貼付作業が非常に煩雑となり、製作コストが高くなる。このような方法に代えて、大きいサイズのベース基材の表面に接着剤を塗布して大きいサイズの面ファスナを貼り付けようとしたときには、貼付作業は効率化することができるが、この貼付作業の後に面ファスナ付きベース基材を所定サイズに切断しなければならず、その切断作業が煩雑となり、このようにしても製作コストが高くなる。
【0007】
本発明の目的は、面ファスナにベース基材を確実に付けることができるととともに、面ファスナとの係合時における嵌合不良の発生を抑えることができるロックファスナ具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロックファスナ具は、車両側に取り付けられるベース基材と、複数の係合部を有する面ファスナとを備え、前記面ファスナのベース部に前記ベース基材が設けられるロックファスナ具において、
前記ベース基材には、樹脂材料が充填される充填空間が設けられ、前記ベース基材の片側表面には、充填空間に連通する複数の接着開口が設けられ、前記複数の接着開口のうち隣接する一対の接着開口は、連通凹部を介して連通されていることを特徴とする。
【0009】
このロックファスナ具では、ベース基材の片側表面に設けられた複数の接着開口の全ては、連通凹部を介して連通されているのが好ましく、このように構成することによって、例えば一つの接着開口付近での樹脂材料の充填圧力が高くなった際には連通凹部を通して他の接着開口付近に流れ、これにより充填圧力の上昇を抑えて、接着開口からの樹脂材料の漏出、面ファスナの破損を防止することができる。
【0010】
また、このロックファスナ具では、ベース基材の片側表面に所定方向及び所定方向に対して垂直な方向に間隔をおいて4つの接着開口を設け、これら4つの接着開口の全てを連通凹部を介して連通するのが好ましく、このように構成することにより、面ファスナのベース部に比較的小さなベース基材を樹脂材料の漏れがないようにインサート成形することができる。
【0011】
更に、本発明の他のロックファスナ具では、車両側に取り付けられるベース基材と、複数の係合部を有する面ファスナとを備え、前記面ファスナのベース部に前記ベース基材が設けられるロックファスナ具において、
前記ベース基材には、樹脂材料が充填される充填空間が設けられ、前記ベース基材の片側表面には、充填空間に連通する接着開口が設けられており、
前記ベース基材には、更に、空気貫通孔が貫通して設けられ、前記接着開口は空気流出流路を介して前記空気貫通孔に連通されており、
前記ベース基材のインサート成形の際に、前記接着開口の空気は、前記空気流出流路を通して前記空気排出孔に流れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のロックファスナ具によれば、ベース基材には充填空間が設けられ、このベース基材の片側表面には、充填空間に連通する複数の接着開口が設けられているので、ベース基材の片側表面に面ファスナのベース部を位置付けて充填空間に樹脂材料を充填すると、充填した樹脂材料がこの充填空間を通して複数の接着開口に流れ、これにより、面ファスナのベース部にベース基材をインサート成形することができる。また、複数の接着開口のうち隣接する一対の接着開口が連通凹部を介して連通されているので、一方の接着開口付近での樹脂材料の充填圧力が高くなった際には連通凹部を通して他方の接着開口に流れ、これにより充填圧力の上昇を抑えて、接着開口からの樹脂材料の漏出、面ファスナの破損を防止することができる。
【0013】
また、本発明の他のロックファスナ具によれば、ベース基材には充填空間が設けられ、ベース基材の片側表面には、この充填空間に連通する接着開口が設けられ、この接着開口が、空気流出流路を介して空気排出孔に連通されているので、ベース基材のインサート成形の際に、接着開口の空気が空気流出流路を通して空気排出孔に流れ、これにより、ベース基材と面ファスナとの間に空気が溜まることがなく、ベース基材を面ファスナに確実にインサート成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従うロックファスナ具の一実施形態を正面側から見た斜視図。
図2図1のロックファスナ具を背面側から見た斜視図。
図3図1のロックファスナ具におけるベース基材を正面側から見た斜視図。
図4図3のベース基材を背面側から見た斜視図。
図5図3のベース基材の外周縁部及び接着開口と面ファスナとの位置関係を説明するための簡略平面図。
図6図1のロックファスナ具における充填硬化した樹脂材料と面ファスナとの位置関係を説明するための簡略斜視図。
図7】面ファスナへのベース基材のインサート成形を説明するための図であって、図7(a)は、第1及び第2可動金型が開いた状態を示す簡略図、図7(b)は、第1及び第2可動金型が閉じた状態を示す簡略図。
図8】ベース基材の変形形態の片側表面を示す図であって、図8(a)は、第1の変形形態の片側表面を簡略的に示す図、図8(b)は、第2の変形形態の片側表面を簡略的に示す図。
図9】ベース基材の第3の変形形態を正面側から見た斜視図。
図10図9のベース基材を背面側から見た斜視図。
図11図9のベース基材の面ファスナへのインサート成形を説明するための図であって、第1及び第2可動金型が閉じた状態を一部断面で示す簡略図。
図12】ベース基材の第4の変形形態の片側表面を示す簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うロックファスナ具の一実施形態について説明する。図1及び図2において、図示のロックファスナ具2は、ベース基材4と、このベース基材4の片側表面に設けられる面ファスナ6とを備え、このベース基材4が後述するようにして面ファスナ6にインサート成形される。
【0016】
まず、面ファスナ6について説明すると、図示の面ファスナ6は、ベース基材4の片側表面(図1において手前側表面、図2において後側表面)に対向するベース部8と、このベース部8に設けられた複数の係合部10とを備え、ベース部8及び複数(実施例では、多数設けられている)の係合部10が例えば一体的に設けられる。この形態では、多数の係合部10はきのこ状に形成され、ベース部8から上方に延びる脚部12と、この脚部12の先端部に設けられた拡大部14を有している。このような面ファスナ6は、合成樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂など)の成型により形成される。
【0017】
次に、図3及び図4をも参照して、ベース基材4について説明する。図示のベース基材4は矩形状の基材本体16を備え、この基材本体16の片側表面18に面ファスナ6のベース部8が配設される。この片側表面18の外形は、面ファスナ6のベース部8の外形に対応した形状であり、図5に示すように、実質上同じ大きさになっている(図5においては、判りやすく図示するために、この片側表面18をベース部8よりも幾分大きく示している)。
【0018】
基材本体16は、上壁20、底壁22、左側壁24及び右側壁26を有し、これら4つの壁20~26の片側に表面壁28が設けられ、それらの他側に裏面壁30が設けられ、この基材本体16の内部(即ち、これらの壁20~30の内側)に充填空間32が設けられている。また、上壁20と左側壁24との角部には、一方(左側)の注入口34が設けられ、この上壁20と右側壁26との角部には、他方(右側)の注入口36が設けられ、これら注入口34,36は充填空間32に連通されている。尚、上述の実施形態では、二つの注入口34,36から充填しているが、このような構成に限定されず、一つ又は三つ以上の注入口から充填空間32に樹脂材料を充填するようにしてもよい。
【0019】
このベース基材4(基材本体16)の片側表面(この形態では、表面壁28)には、4つの接着開口38,40,42,44が設けられ、これら接着開口38~44は、表側表面(即ち表面壁28)の外周縁部50,52,54,56の内側に配設されている。これら外周縁部50~56は、面ファスナ6のベース部8の外周縁部を支持する支持壁部として機能し、この表面壁28の外周全体にわって連続して設けられており、それらの幅W1(図3及び図5参照)は、0.01~5.0mmであるのが好ましく、0.1~4.0mmであるのが更に好ましい。この外周縁部50~56の幅W1が0.01mmより小さいと、インサート成形の際に樹脂材料が外周縁部50~56の外側に漏れ出るおそれがあり、一方、この幅W1が5.0mmを超えると、ベース基材4(基材本体16)に設ける接着開口38~44の面積(即ち、面ファスナ6との接着面積)が小さくなり、ベース基材4と面ファスナ6との接着強度が弱くなるおそれがある。
【0020】
左側(図3において右側)の接着開口38,40と右側(図3において左側)の接着開口42,44とは、縦中間壁部46を挟んで所定方向(即ち、ベース基材4の横方向であって、図3において左下から右上の方向、図5において左右方向)に間隔をおいて配設され、また上側の接着開口38,42と下側の接着開口40,44とは横中間壁部48を挟んで所定方向に対して垂直な方向(即ち、ベース基材4の上下方向であって、図3及び図5において上下方向)に間隔をおいて配設されている。縦中間壁部46及び横中間壁部48は、ベース基材4の片側表面側において基材本体16外周縁部50~56と同一面を規定し、またベース基材4の他側表面側において基材本体16の外周縁部74と同一面を規定する。
【0021】
この形態では、4つの接着開口38~44は、実質上同じ大きさに形成されており、このように構成することにより、面ファスナ6のベース部8の裏面側に樹脂材料58を介してベース基材4を所要の通りにインサート成形することができる。
【0022】
この実施形態では、ベース基材4の表面壁28の縦中間壁部46の一端部(上端部)に、所定方向(この形態では、横方向)に隣接する上側の一対の接着開口38,42を連通する上横連通凹部62が設けられているとともに、この縦中間壁部46の他端部(下端部)に、所定方向に隣接する下側の一対の接着開口40,44を連通する下横連通凹部64が設けられている。また、ベース基材4の表面壁28の横中間壁部48の一端部(左端部)に、所定方向に対して垂直な方向(この形態では、縦方向)に隣接する左側の一対の接着開口38,40を連通する左縦連通凹部66が設けられているとともに、この横中間壁部48の他端部(右端部)に、所定方向に対して垂直な方向に隣接する右側の一対の接着開口42,44を連通する右縦連通凹部68が設けられている。
【0023】
このように構成することにより、4つの接着開口38~44が連通凹部62~68を介して連通され、インサート成形の際にこれら連通凹部62~68を通しての樹脂材料58の流れが許容される。従って、インサート成形の際に例えば接着開口38付近を流れる樹脂材料58の充填圧力が上昇すると、この接着開口38付近の樹脂材料58が連通凹部62~68を通して隣の接着開口40~44付近に流れ、これにより、接着開口38付近における樹脂材料58の充填圧力の上昇が抑えられ、接着開口38付近における面ファスナ6の破損を防止することができる。
【0024】
これらの連通凹部62~68は、基材本体16の外周縁部50~56の内側から幾分離れた部位に設けるのが好ましく、かかる外周縁部50~56の内側から離す距離W2(図3及び図5参照)は、0.8mm以上であるのが好ましく、1.2mm以上であるのが更に好ましい。この距離W2が0.8mmより小さくなると、連通凹部62~68を流れる樹脂材料が外周縁部50~56を超えて外側に漏れ出るおそれが生じる。
【0025】
この実施形態では、ベース基材4(基材本体16)の他側表面(この形態では、裏面壁30)には、2つの開口70,72が設けられ、これら開口70,72は、裏側表面(即ち、裏面壁30)の外周縁部74の内側に設けられている。一対の開口70,72は、縦中間壁部46を挟んで所定方向(即ち、ベース基材4の横方向)に間隔をおいて配設されている。このようなベース基材4は、例えば合成樹脂の一体成型により形成することができ、合成樹脂としては、例えばABS樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いることができ、強度を高めるためにガラス繊維などを入れるときには不飽和ポリエステル樹脂などが好ましい。
【0026】
この実施形態では、特に設けられていないが、縦中間壁部46の上下方向中間部に、一対の開口70,72を連通する中間連通凹部を設けるようにしてもよく、このように構成することによって、中間連通凹部を通しての充填された樹脂材料の流れが許容される。
【0027】
また、この実施形態では、ベース基材4(基材本体16)の他側表面(裏面壁30)に2つの開口70,72を設けているが、その片側表面(表面壁28)と同様に4つの開口を設けるようにしてもよい。
【0028】
面ファスナ6のベース部8へのベース基材4のインサート成形は、例えば次のようにして行われる。主として図7を参照して、このインサート成形には、例えば、図7(a)及び(b)に示す金型構造82が用いられる。この金型構造82では、固定金型本体84を備え、この固定金型本体84の片側(図7(a)及び(b)において左側)に第1取付開口部86が設けられ、この第1取付開口部86内に第1可動金型88が矢印90で示す方向に移動自在に配設されている。また、固定金型本体84の他側(図7(a)及び(b)において右側)に第2取付開口部92が設けられ、この第2取付開口部92に第2可動金型94が矢印96で示す方向に移動自在に配設されている。更に、この形態では、第1取付開口部86に関連して一対の補助金型100,102が配設されている。
【0029】
この金型構造82の型を開いた状態(所謂、型開き状態)では、図7(a)で示す状態となり、第1及び第2可動金型88,94が相互に離れる方向に後退し、固定金型本体84、第1及び第2可動金型88,94並びに一対の補助金型100,102の内側に、ベース基材4及び面ファスナ6を収容するための成形用空間Sが生じる。
【0030】
そして、この型開き状態において、成形用空間Sにベース基材4及び面ファスナ6を図7(a)で示すように収容する。即ち、面ファスナ6については、第1可動金型88側に複数の係合部10(即ち、係合部10の拡大部14)が位置するように一対の補助金型100,102間に上方から挿入し、またベース基材4については、第2可動金型94側に基材本体16の開口70,72が位置するように固定金型本体84に上方から挿入する。
【0031】
その後、第1及び第2可動金型88,94を矢印90,96で示す方向に移動させて型締めを行い、この型締めの状態では、図7(b)で示すように、固定金型本体84及び一対の補助金型100,102によって、面ファスナ6及びベース基材4の横方向の移動が拘束され、第1可動金型88によって、面ファスナ6の外側(矢印90と反対方向)への移動が拘束され、また第2可動金型94によって、ベース基材4の外側(矢印96と反対方向)への移動が拘束され、このようにして面ファスナ6及びベース基材4は、面ファスナ6のベース部8(その外周縁部)とベース基材4の表面壁28(その外周縁部50~56)が整合され且つこの整合状態が圧接した状態に保持され、面ファスナ6のベース部8は、ベース基材4の外周縁部50~56(支持壁部として機能する)、縦中間壁部46及び横中間壁部48(これらも支持壁部として機能する)により支持される。
【0032】
しかる後、この型締め状態において、ベース基材4の一対の注入口34,36から樹脂材料58をベース基材4(基材本体16)の充填空間32に充填する。かく充填すると、充填した樹脂材料58が充填空間32及び接着開口38~44を通して面ファスナ6のベース部8の背面まで流れ、かくしてこの面ファスナ6にベース基材4をインサート成形することができる。
【0033】
この実施形態では、樹脂材料58はベース基材4の充填空間32に図6に示すように充填され、ベース基材4の接着開口38~44に流れた樹脂接着部104~110及び連通凹部62~68に流れた樹脂接着部112~118により、ベース基材4が面ファスナ6のベース部8に固着され、このようにしてベース基材4が面ファスナ4のベース部8にインサート成形されて一体的となる。このインサート成形に用いる樹脂材料58としては、接着性、剛性に優れたものを用いるのが望ましく、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0034】
このインサート成形時においては、ベース基材4の表面壁28の外周縁部50~56が面ファスナ6のベース部8と直接接触して圧接状態に保たれているので、ベース基材4の充填空間32に充填された樹脂材料58は、その接着開口38~44からこれら外周縁部50~56を超えて外側の多数の係合部10(脚部12及び拡大部14)まで漏出することがなく、この外周縁部50~56が、樹脂材料58が存在しない非成形領域として機能し、その外周縁部50~56の幅W1が0.01mm以上である(0.1mm以上であるのがより好ましい)ので、樹脂材料58の外側への漏出を効果的に抑えることができる。
【0035】
また、このインサート成形時においては、ベース基材4の接着開口38~44が連通凹部62~68により連通されているので、接着開口38~44付近で充填圧力の変動が生じたとしてもこれら連通凹部62~68を通して樹脂材料58が流れ、これにより、面ファスナ6のベース部8に部分的に大きな圧力が作用することがなく、面ファスナ6の破損を防止することができる。
【0036】
例えば、車両の内装材(例えば、シート状天井材)の取り付けに用いるロックファスナ具2におけるベース基材4では、縦寸法が例えば8~30mm程度、横寸法が例えば20~50mm程度、厚さ寸法が例えば2.5~5.0mm程度であり、このようなベース基材4の充填空間32は小さく、従って樹脂材料58の充填圧力の少しの変動が接着開口38~44を通して面ファスナ6に大きな圧力となって作用するが、これら接着開口38~44の全てを連通凹部62~68を介して連通することにより、樹脂材料58の充填圧力変動による圧力上昇を抑えることができ、これにより、面ファスナ6の破損などの成形不良を防止することができる。
【0037】
この実施形態では、第1及び第2可動金型88,94の双方を可動にし、型締めのときに矢印90,96の方向に移動させているが、第2可動金型94(又は第1可動金型88)を固定的に設け、第1可動金型88(又は第2可動金型94)のみを移動させて型締めするようにしてもよい。
【0038】
このロックファスナ具2は、面ファスナ6にベース基材4をインサート成形することにより製造することができるので、両者を確実に接合することができるとともにその製造コストを低減することができる。このようなロックファスナ具2は、例えば、車両本体(図示せず)側に接着剤により固定的に、或いは車両本体側に取り付けられたレール部材などに固定的に所要の通りに取り付けられ、かく取り付けられた複数のロックファスナ具2に、内装材(図示せず)側に設けられたロックファスナ具(図示せず)が取り付けられ、このようにして車両本体にロックファスナ具2を介して内装材(例えば、シート状天井材)が取り付けられる。
【0039】
このようなベース基材は、例えば、図8(a)及び(b)で示すように構成するようにしてもよい。尚、図8(a)及び(b)においては、ベース基材の片側表面(即ち、表面壁)のみを簡略的に示している。尚、以下の変形形態において、上述した実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図8(a)に示す第1の変形形態では、ベース基材4A(基材本体16A)の表面壁28A(片側表面)に2つの接着開口38A,40Aが設けられ、これら接着開口38A,40Aは、表面壁28Aの外周縁部50A,52A,54A,56Aの内側に配設され、これら外周縁部50A~56Aは、面ファスナ6のベース部8の外周縁部を支持する支持壁部として機能し、上述した実施形態と同様に、この表面壁28Aの外周全体にわって連続して設けられ、かかる外周縁部50A~56Aが非成形領域として機能し、それらの幅W1は、上述したと同様の大きさにするのが好ましい。
【0041】
また、片側の接着開口38Aと他側の接着開口40Aとは、縦中間壁部46Aを挟んで所定方向(即ち、ベース基材4Aの横方向)に間隔をおいて配設され、この縦中間壁部46Aの中間部に一対の接着開口38A,40Aを連通する横連通凹部62Aが設けられており、この横連通凹部62Aは、上述した実施形態と同様に、基材本体16Aの外周縁部50A~56Aの内側から幾分離れた部位に設けるのが好ましく、かかる外周縁部50A~56Aの内側から離す距離W2は、上述したと同様の大きさにするのが好ましい。
【0042】
また、図8(b)に示す第2の変形形態では、ベース基材4B(基材本体16B)の表面壁28B(片側表面)に6つの接着開口38B,40B,42B,44B,43B,45Bが設けられ、これら接着開口38B~45Bは、表面壁28Bの外周縁部50B,52B,54B,56Bの内側に配設され、これら外周縁部50B~56Bは、面ファスナ6のベース部8の外周縁部を支持する支持壁部として機能し、上述した実施形態と同様に、この表面壁28Bの外周全体にわって連続して設けられており、それらの幅W1は、上述したと同様の大きさにするのが好ましい。
【0043】
また、片側の接着開口38B,40Bと中間の接着開口43B,45Bと他側の接着開口42B,44Bとは、縦中間壁部46B,47Bを挟んで所定方向(即ち、ベース基材4Bの横方向)に間隔をおいて配設され、縦中間壁部46B,47Bの一端部(上端部)に上横連通凹部62B,63Bが設けられ、この縦中間壁部46B,47Bの他端部(下端部)に下横連通凹部64B,65Bが設けられている。更に、上側の接着開口38B,42B,43Bと下側の接着開口40B,44B,45Bとは、横中間壁部48Bを挟んで所定方向に対して垂直な方向(即ち、ベース基材4Bの上下方向)に間隔をおいて配設され、横中間壁部48Bの左端部に左縦連通凹部66Bが設けられ、この横中間壁部48Bの右端部(又は中間部)に右縦連通凹部68B(又は中間縦連通凹部69B)が設けられている。これら横連通凹部62B~65B及び縦連通凹部66B,68Bは、上述した実施形態と同様に、基材本体16Bの外周縁部50B~56Bの内側から幾分離れた部位に設けるのが好ましく、かかる外周縁部50B~56Bの内側から離す距離W2は、上述したと同様の大きさにするのが好ましい。
【0044】
次に、図9図11を参照して、ベース基材の第3の変形形態について説明する。この第3の変形形態では、ベース基材の複数の接着開口の空気を逃がすために基材本体に空気排出孔が設けられている。
【0045】
更に説明すると、図示のベース基材4Cは、上述した実施形態と同様に、矩形状の基材本体16Cを備え、この基材本体16Cは、上壁20、底壁22、左側壁24及び右側壁26を有し、これら4つの壁20~26の片側に表面壁28Cが設けられ、それらの他側に裏面壁30Cが設けられ、この基材本体16Cの内部に充填空間32Cが設けられている。また、上壁20と左側壁24との角部には、一方(左側)の注入口34が設けられ、この上壁20と右側壁26との角部には、他方(右側)の注入口36が設けられ、これら注入口34,36は充填空間32Cに連通されている。
【0046】
このベース基材4C(基材本体16C)の片側表面(即ち、表面壁28C)には、4つの接着開口38C,40C,42C,44Cが設けられ、これら接着開口38C~44Cは、表面壁28Cの外周縁部50,52,54,56の内側に配設されている。これら外周縁部50~56は、上述した実施形態と同様に、面ファスナ図11参照)の外周縁部を支持する支持壁部として機能し、それらの幅は、0.01~5.0mmであるのが好ましく、0.1~4.0mmであるのが更に好ましい。
【0047】
左側(図9において右側)の接着開口38C,40Cと右側(図9において左側)の接着開口42C,44Cとは、縦中間壁部46Cを挟んで所定方向(即ち、ベース基材4Cの横方向)に間隔をおいて配設され、また上側の接着開口38C,42Cと下側の接着開口40C,44Cとは横中間壁部48Cを挟んで所定方向に対して垂直な方向(即ち、ベース基材4の上下方向)に間隔をおいて配設されている。ベース基材4Cの片側表面側においては、図9に示すように、縦中間壁部46C及び横中間壁部48Cは基材本体16C外周縁部50C~56Cと同一面を規定する。一方、ベース基材4Cの他側表面側においては、図10に示すように、縦中間壁部46Cは基材本体16Cの外周縁部74Cと同一面を規定するが、横中間壁部48Cは、縦中間壁部46Cよりも内側に位置にある。
【0048】
第3の変形形態では、縦中間壁部46C及び横中間壁部48Cの交差部に略楕円状の中央補助壁部132が設けられている。この中央補助壁部132の表面側は、図9に示すように、縦中間壁部46C及び横中間壁部48Cよりも内側にあり、従って、縦中間壁部46C及び横中間壁部48Cは、中央補助壁部132よりも表面側に突出して設けられている。また、中央補助壁部132の背面側は、図10に示すように、縦中間壁部46Cよりも内側にあるが、横中間壁部48Cと同一面を規定し、縦中間壁部46Cが中央助壁部132及び横中間壁部48Cよりも背面側に突出している。
【0049】
この第3の変形形態においても、上述した実施形態と略同様に、ベース基材4Cの縦中間壁部46Cの片側部(上部)に上横連通凹部62Cが設けられているとともに、この縦中間壁部46Cの他側部(下部)に下横連通凹部64Cが設けられている。また、ベース基材4Cの横中間壁部48の片側部(左部)に左縦連通凹部66Cが設けられているとともに、この横中間壁部48Cの他側部(右部)に右縦連通凹部68Cが設けられ、4つの接着開口38C~44Cが連通凹部62C~68Cを介して連通されている。
【0050】
この変形形態では、ベース基材4C(基材本体16C)の他側表面には、2つの開口70C,72Cが設けられ、これら開口70C,72Cは、基材本体16Cの外周縁部74Cの内側に設けられている。一対の開口70C,72Cは、縦中間壁部46Cを挟んで所定方向(即ち、ベース基材4Cの横方向)に間隔をおいて配設され、この縦中間壁部46Cの上下方向中間部に、一対の開口70C,72Cを連通する中間連通凹部134,136が設けられている。
【0051】
この第3の変形形態では、更に、縦中間壁部46C及び横中間壁部48Cの交差部に筒状部138が設けられ、筒状部138の一端側(基材本体16Cの表面側)は、図9に示すように、中央補助壁部132から表面側に突出し、縦中間壁部46C及び横中間壁部48Cと同一面を規定し、その他端側(基材本体16Cの背面側)は、図10に示すように、中央助壁部132から背面側に突出し、縦中間壁部46Cと同一面を規定する。
【0052】
この筒状部138には空気排出孔140が設けられ、この空気排出孔140は、図11に示すように、筒状部138及び中央補助壁部132を貫通して設けられている。この筒状部138の一端面(横中間壁部48Cに繋がる面)には、周方向に間隔をおいて放射状に延びる4つの凹状部142が設けられている。これら凹状部142は、各接着開口38C~44Cに対応して設けられ、対応する接着開口38C~44Cと空気排出孔140とを連通し、接着開口38C~44C内の空気を空気排出孔140に導く空気流出流路として機能する。
【0053】
このベース基材4Cを用いて面ファスナ6にインサート成形する場合、例えば、図11に示す金型構造82Cが用いられる。この金型構造82Cでは、第2可動金型94Cには吸引流路144が設けられ、この吸引流路144が吸引ポンプの如き吸引源146に連通されている。この金型構造82Cのその他の構造は、図7に示す金型構造と同様に構成される。
【0054】
この金型構造82の型を開いた状態(所謂、型開き状態)では、図示していないが、第1及び第2可動金型88,94Cが相互に離れる方向に後退し、固定金型本体84、第1及び第2可動金型88,94C並びに一対の補助金型100,102の内側に、ベース基材4C及び面ファスナ6が収容される。
【0055】
また、第1及び第2可動金型88,94Cを型締めした型締め状態では、図11に示すように、面ファスナ6のベース部8(その外周縁部)とベース基材4Cの表面壁28C(その外周縁部50~56)が整合され且つこの整合状態が圧接した状態に保持され、面ファスナ6のベース部8は、ベース基材4Cの外周縁部50~56(支持壁部として機能する)、縦中間壁部46C及び横中間壁部48C(これらも支持壁部として機能する)により支持される。また、この型締めの状態では、基材本体16Cの空気排出孔140の一端側は、面ファスナ6のベース部8により閉塞されるが、その他端側は、第2可動金型94Cの吸引流路144に連通され、これにより、ベース基材4Cの4つの接着開口38C~44Cは、対応する凹状部142を通して吸引流路144に連通され、更にこの吸引流路144を通して吸引源146に連通される。
【0056】
そして、この型締め状態において、ベース基材4Cの一対の注入口34,36から樹脂材料をベース基材4C(基材本体16C)の充填空間32Cに充填すると、充填した樹脂材料が充填空間32C及び接着開口38C~44Cを通して面ファスナ6のベース部8の背面まで流れ、かくしてこの面ファスナ6のベース部8にベース基材4Cをインサート成形することができる。
【0057】
このベース基材4Cを用いた場合においても、樹脂材料はベース基材4Cの充填空間32Cに充填され、ベース基材4Cの接着開口38C~44C及び連通凹部62C~68Cに流れた樹脂材料により、ベース基材4Cが面ファスナ6のベース部8に固着される。加えて、この第3の変形形態のベース基材4Cを用いた場合には、インサート成形の際に減圧源146が作動され、この減圧源146の吸引作用により、基材本体16Cの接着開口38C~44C内の空気が凹状部142(空気流出流路)を通して空気排出孔140に流れ、更に吸引流路144を通して外部に排出されるので、面ファスナ6のベース部8と充填された樹脂材料との間に空気が残留することがなく、その結果、ベース基材4Cを面ファスナ6のベース部8により確実にインサート成形することができる。
【0058】
また、このインサート成形の際には、上述した実施形態と同様に、これら接着開口38C~44C付近で充填圧力の変動が生じたとしてもこれら連通凹部62C~68Cを通して樹脂材料が流れ、これにより、面ファスナ6のベース部8に部分的に大きな圧力が作用することを回避することができる。
【0059】
次に、図12を参照して、ベース基材の第4の変形形態について説明する。この第4の変形形態では、空気を排出するための空気排出孔が二つの排出孔部から構成されている。図12を参照して更に説明すると、空気排出孔140Dは、左側(図12において右側)の接着開口38D,40Dに関連して設けられた第1排出孔部152と、右側(図12において左側)の接着開口42D,44Dに関連して設けられた第2排出孔部154とから構成されている。
【0060】
ベース基材4Dの基材本体16Dには4つの接着開口38D~44Dが設けられ、これら接着開口38D~44Dは、基材本体16Dの外周縁部(非成形領域として機能する)50~56の内側に配設されている。左側(図12において右側)の接着開口38D、40Dと右側(図12において左側)の接着開口42D,44Dとは縦中間壁部46Dにより区切られ、この縦中間壁部46Dには、図12において上側にて横方向に隣接する接着開口38D,42Dを連通する上横連通凹部62D及び下側にて横方向に隣接する接着開口40D,44Dを連通する下横連通凹部64Dが設けられている。
【0061】
また、上側の接着開口38D,42Dと下側の接着開口40D,44Dとは横中間壁部48Dにより区切られ、この横中間壁部48Dには、左側にて上下方向に隣接する接着開口38D,40Dを連通する左縦連通凹部66D及び右側にて上下方向に隣接する接着開口42D,44Dを連通する右縦連通凹部68Dが設けられ、このように構成することによって、4つの接着開口38D~44Dは、連通凹部62D~68Dを介して連通されている。
【0062】
この第4の変形形態では、横中間壁部48Dの左部に第1筒状部156が設けられ、この第1筒状部156を貫通して空気排出孔140Dの第1排出孔部152が設けられている。また、横中間壁部48Dの右部に第2筒状部158が設けられ、この第2筒状部158を貫通して空気排出孔140Dの第2排出孔部154が設けられている。尚、このような構成に代えて、第1及び第2筒状部156,158を省略し、第1及び第2排出孔部152,154を横中間壁部48Dに直接的に設けるようにしてもよい。
【0063】
第1筒状部156の一端面には、上下方向に隣接する接着開口38D,40Dに対応して一対の第1凹状部160,162(空気流出流路として機能する)が設けられ、一方の第1凹状部160は、左上側の接着開口38Dと第1排出孔部152とを連通し、他方の第1凹状部162は、左下側の接着開口40Dと第1排出孔部152とを連通する。また、第2筒状部158の一端面には、上下方向に隣接する接着開口40D,42Dに対応して一対の第2凹状部164,166(空気流出流路として機能する)が設けられ、一方の第2凹状部164は、右上側の接着開口42Dと第2排出孔部154とを連通し、他方の第2凹状部166は、右下側の接着開口44Dと第2排出孔部154とを連通する。
【0064】
図示していないが、空気排出孔140Dの第1排出孔部152は、例えば、金型構造の第2可動金型に設けられた第1吸引流路を通して吸引源に連通され、またその第2排出孔部154は、例えば、この第2可動金型に設けられた第2吸引流路を通して吸引源に連通される。このように構成されるので、吸引源が作動すると、基材本体16Dの接着開口38D,40D内の空気は、一対の第1凹状部160,162を通して第1排出孔部152に流れ、この第1排出孔部152を通して外部に排出され、また基材本体16Dの接着開口42D,44D内の空気は、一対の第2凹状部164166を通して第2排出孔部154に流れ、この第2排出孔部154を通して外部に排出され、このように構成しても第3の変形形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0065】
この第4の変形形態では、左側の接着開口38D,40Dに関連して第1排出孔部152を設け、右側の接着開口42D,44Dに関連して第2排出孔部154を設けているが、このような構成に代えて、上側の接着開口38D,42Dに関連して第1排出孔部152を設け、下側の接着開口40D,44Dに関連して第2排出孔部154を設けるようにしてもよい。この場合、例えば、縦中間壁部46Dの上部に第1筒状部156が設けられ、この第1筒状部156を貫通して空気排出孔140Dの第1排出孔部152が設けられ、また縦中間壁部46Dの下部に第2筒状部158が設けられ、この第2筒状部158を貫通して空気排出孔140Dの第2排出孔部154が設けられる。また、第1筒状部156の一端面に、横方向に隣接する接着開口38D,42Dに対応して一対の第1凹状部160,162(空気流出流路として機能する)が設けられ、また第2筒状部158の一端面に、横方向に隣接する接着開口40D,44Dに対応して一対の第2凹状部164,166(空気流出流路として機能する)が設けられ、このように構成しても、第4の変形形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0066】
以上、本発明に従うロックファスナ具の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0067】
2 ロックファスナ具
4,4A,4B,4C,4D ベース基材
6 面ファスナ
8 ベース部
10 係合部
16,16A,16B,16C,16D 基材本体
28 表面壁
32 充填空間
38,38A~38D,40,40B~40D,42,42A~42D,43B,44,44B~44D,45B 接着開口
50,50A~50D,52,52A~52D,54,54A~54D,56,56A~56D 外周縁部
58 樹脂材料
62,62B~62D,63B,64,64B~64D,65B 横連通凹部
66,66B~66D,68,68B~68D,69B 縦連通凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12