(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】磁歪式センサーの位置検出方法、磁歪式センサー、液面計、及び、磁歪信号の到達時刻同定方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/48 20060101AFI20220912BHJP
G01F 23/62 20060101ALI20220912BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
G01D5/48 A
G01F23/62 N
G01B7/00 101E
(21)【出願番号】P 2021010754
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2021-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026996
【氏名又は名称】東京計装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000175490
【氏名又は名称】サンテスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085497
【氏名又は名称】筒井 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 一政
(72)【発明者】
【氏名】井灘 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】京和泉 宏三
(72)【発明者】
【氏名】東 勇児
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5212444(US,A)
【文献】特開昭57-124211(JP,A)
【文献】特開平7-321617(JP,A)
【文献】米国特許第5334933(US,A)
【文献】特開平5-187855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/48
G01B 7/00
G01F 23/62
G01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットを有する計測対象物を磁歪線に沿って移動可能に設け、前記磁歪線の軸線方向に電流パルスを流すことにより、前記マグネットの近接する磁歪線の部位で捩り弾性波を発生させ、磁歪線の特定部位に設けた検出器で捩り弾性波を検出し、マグネットから検出器までの捩り弾性波の伝搬時間を計測することにより、マグネットの軸方向位置を検出する磁歪式センサーにおいて、
前記検出器によって捩り弾性波を電気信号に変換し、磁歪信号を得るステップと、
前記磁歪信号をトリガー電圧の異なる複数のコンパレータを用いて波形成形するステップと、
当該波形成形された複数の時刻を示す波形の中から、前記磁歪信号の振幅変動に関係なくマグネットの軸方向位置に関係する特定の時刻を規定する1個の波形を選択し、当該波形の到達時刻と前記磁歪線に印加された電流パルスの印加時刻との間の時間に基づき、前記マグネットの軸方向位置を決定するステップと、
を有
し、
前記複数のコンパレータのうち、少なくとも1個はシュミットトリガ・コンパレータであり、前記特定の時刻を規定する1個の波形は前記シュミットトリガ・コンパレータの出力波形によって得られ、
前記シュミットトリガ・コンパレータのONレベルは、他のコンパレータのONレベルより絶対値が低く、前記シュミットトリガ・コンパレータのOFFレベルは、特定の時刻を規定するために予め同定された電位レベルである、
磁歪式センサーの位置検出方法。
【請求項2】
マグネットを有する計測対象物を磁歪線に沿って移動可能に設け、前記磁歪線の軸線方向に電流パルスを流すことにより、前記マグネットの近接する磁歪線の部位で捩り弾性波を発生させ、マグネットから磁歪線の特定部位までの捩り弾性波の伝搬時間を計測することにより、マグネットの軸方向位置を検出する磁歪式センサーにおいて、
前記磁歪線の特定部位に設けられ、捩り弾性波を電気信号に変換して磁歪信号を得る検出器と、
前記磁歪信号を波形成形するための、トリガー電圧の異なる複数のコンパレータと、
前記複数のコンパレータによって成形された複数の時刻を示す波形の中から、前記磁歪信号の振幅変動に関係なくマグネットの軸方向位置に関係する特定の時刻を規定する1個の波形を選択し、当該波形の到達時刻と前記磁歪線に印加された電流パルスの印加時刻との間の時間に基づき、前記マグネットの軸方向位置を決定する論理判断回路と、
を備え
、
前記複数のコンパレータのうち、少なくとも1個はシュミットトリガ・コンパレータであり、前記特定の時刻を規定する1個の波形は前記シュミットトリガ・コンパレータの出力波形によって得られ、
前記シュミットトリガ・コンパレータのONレベルは、他のコンパレータのONレベルより絶対値が低く、前記シュミットトリガ・コンパレータのOFFレベルは、特定の時刻を規定するために予め同定された電位レベルである、
磁歪式センサー。
【請求項3】
液面を検知すべき液体容器に沿って連通状態で立設され、マグネットを有するフロートを上下動自在に収容した非磁性の連通管と、
前記マグネットからの磁界を受けて回動する多数の液面指示体を前記連通管に沿わせて縦方向に配列し、前記液面指示体の回転によって液面表示を行なう液面表示装置と、
前記連通管に沿わせて縦方向に配置された請求項
2に記載の磁歪式センサーと、を備え、
前記磁歪式センサーのマグネットは、前記フロートに設けられたマグネットである、
液面計。
【請求項4】
マグネットを有する計測対象物を磁歪線に沿って移動可能に設け、前記磁歪線の軸線方向に電流パルスを流すことにより、前記マグネットの近接する磁歪線の部位で捩り弾性波を発生させ、磁歪線の特定部位に設けた検出器で捩り弾性波を検出し、マグネットから検出器までの捩り弾性波の伝搬時間を計測することにより、マグネットの軸方向位置を検出する磁歪式センサーにおいて、
前記マグネットを磁歪線との接近、離間方向に変位可能に設け、前記マグネットの軸方向位置を一定に保持した状態で、前記マグネットと磁歪線との離間距離を種々変えたときに、前記検出器によって前記捩り弾性波を電気信号に変換した複数の磁歪信号をそれぞれ計測するステップと、
前記複数の磁歪信号のうち、マグネットと磁歪線との離間距離が変わっても変化しない特定の時刻を同定するステップとを有する、
磁歪信号の到達時刻同定方法。
【請求項5】
前記同定するステップは、
前記複数の磁歪信号が交わる交点であって、最大ピーク波形のピーク直後の交点の信号レベルを決定することである、
請求項
4に記載の磁歪信号の到達時刻同定方法。
【請求項6】
前記特定の時刻は、前磁歪信号の最大ピーク波形のピーク直後のゼロ点またはその近傍の時刻である、
請求項
4又は
5に記載の磁歪信号の到達時刻同定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置を検出すべき計測対象物がマグネットを有する場合、当該マグネットの位置を検出する磁歪式センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
磁歪式センサーとは、特許文献3,4に記載のように、マグネットを有する計測対象物を磁歪線に沿って移動可能に設け、磁歪線の軸線方向に電流パルスを流すことにより、マグネットの近接する磁歪線の部位で捩り弾性波を発生させ、磁歪線の特定部位に設けた検出器で捩り弾性波を検出し、マグネットから検出器までの捩り弾性波の伝搬時間を計測することにより、磁歪線の軸方向におけるマグネットの位置を検出するものである。
【0003】
上記磁歪式センサーの効果的な応用例として、マグネット・ゲージ式液面計のフロートの位置を検出する例が知られている。これは、マグネット・ゲージ式液面計の近傍に磁歪式センサーを平行設置して、液面位置検出分解能を向上させるだけでなく、遠隔で液面位置を正確に知り、その信号を用いて液面位置を遠隔制御することを可能にするものである。
【0004】
マグネット・ゲージ式液面計は、液体が貯蔵されるタンクに沿って鉛直方向の連通管を設け、当該連通管の中にマグネットを内蔵固定したフロートを上下動自在に挿入し、マグネットからの磁界を受けて回動する多数の液面指示体を連通管に沿わせて縦方向に配列し、これら液面指示体の回転によって液面表示を行なうものである(特許文献1、2参照)。フロートはタンク内の液面の変動に応じて変化するから、連通管に併設されたマグネット・ゲージ式液面計の液面指示体の示す位置がタンク内の液面位置を直接表示することになり、タンク外部から容易に液面位置を視認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭55-179330号公報
【文献】特開平9-138155号公報
【文献】米国特許第3,898,555号明細書
【文献】特開平4-16722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液面変動に応じて移動するフロート内部に固定されたマグネットは、あくまでもマグネット・ゲージ式液面計の液面指示体を確実に回転させるのに最適な磁界とその強さを有したものであり、必ずしも磁歪式センサーに最適なものではなく、磁歪式センサーの調整に困難を生じていた。つまり、磁歪式センサーで検出すべきマグネットの磁界やその強さに変動があっても、検出に誤差を招かないよう慎重な調整作業が必要であった。
【0007】
さらに、連通管内径とフロート外径の間には液面変動に対しフロートが円滑に動くように隙間が設けられており、当該隙間のために磁歪式センサーから見ると、同じ液面高さであっても、検出すべきマグネットの位置が磁歪式センサーの軸方向と直角方向に変動する。そのため、マグネットの磁歪式センサーに与える磁場の強さが変動して磁歪信号の波形が変化し、フロートの正確な位置を検出できないという問題があった。
【0008】
本発明は、この欠点を取り除くべく創案されたものであり、マグネットの磁歪式センサーに与える磁場の強さが変動しても、安定して正確なマグネットの位置を検出しうる磁歪式センサー及びその位置検出方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、検出器によって検出された磁歪信号の中に、マグネットの磁場の強さが変動しても磁歪信号の到着を特定の時刻として示す点が存在し、その特定の時刻を検出することで、正確なマグネット(計測対象物)の位置を特定できるという知見に基づいている。そこで、本発明の第1実施形態である磁歪式センサーの位置検出方法は、検出器によって捩り弾性波を電気信号に変換し、磁歪信号を得るステップと、磁歪信号をトリガー電圧の異なる複数のコンパレータを用いて波形成形するステップと、当該波形成形された複数の時刻を示す波形の中から、磁歪信号の振幅変動に関係なくマグネットの軸方向位置に関係する特定の時刻を規定する1個の波形を選択し、当該波形の到達時刻と磁歪線に印加された電流パルスの印加時刻との間の時間に基づき、マグネットの軸方向位置を決定するステップと、を有することを特徴とする。ここで、「マグネットの軸方向位置」とは、磁歪式センサーの長さ方向または軸線方向に沿ったマグネットの位置のことである。
【0010】
磁歪信号をトリガー電圧の異なる複数のコンパレータを用いて波形成形すると、複数の異なるパルス波形が得られる。それらパルス波形の中から、論理判断によって、磁歪信号の振幅変動に関係なくマグネットの位置に関係する特定の時刻を規定する1個の波形を選択する。この選択波形の例えば立ち下がり時刻を特定の時刻に決定してもよい。
【0011】
前記複数のコンパレータのうち、少なくとも1個はシュミットトリガ・コンパレータであり、前記特定の時刻を規定する1個の波形は前記シュミットトリガ・コンパレータの出力波形によって得てもよい。シュミットトリガ・コンパレータとは、ON電圧とOFF電圧とが異なる、所謂ヒステリシスを持ったコンパレータである。例えば、OFF電圧を予め同定した特定時刻を規定する電圧に設定しておくことにより、このOFF時刻を特定時刻、つまり磁歪信号の振幅変動に関係なく捩り弾性波の正確な到達時刻として検出できる。このOFF電圧は0v、つまりゼロ点を検出してもよい。
【0012】
シュミットトリガ・コンパレータのON電圧は、他のコンパレータのON電圧より絶対値が低く、シュミットトリガ・コンパレータのOFF電圧は、特定の時刻を規定するために予め同定された電位レベルであってもよい。シュミットトリガ・コンパレータのON電圧が他のコンパレータのON電圧より絶対値が低いので、シュミットトリガ・コンパレータの出力波形が最も多くの波形を含む。この中で、最も低いON電圧(絶対値)を持つコンパレータが最大ピーク波を成形したときの波形、つまり他のコンパレータの出力波形と最も重なる波形を選択し、その波形のOFF時点、つまり立ち下がり時点を最終的な特定時刻として決定することができる。
【0013】
本発明の第2実施形態は、磁歪線の特定部位に設けられ、捩り弾性波を電気信号に変換して磁歪信号を得る検出器と、前記磁歪信号を波形成形するための、トリガー電圧の異なる複数のコンパレータと、前記複数のコンパレータによって成形された複数の時刻を示す波形の中から、前記磁歪信号の振幅変動に関係なくマグネットの軸方向位置に関係する特定の時刻を規定する1個の波形を選択し、当該波形の到達時刻と前記磁歪線に印加された電流パルスの印加時刻との間の時間に基づき、前記マグネットの軸方向位置を決定する論理判断回路と、を備える磁歪式センサーを提供する。この磁歪式センサーの作用は、前述の通りである。
【0014】
本発明の第3実施形態は、磁歪式センサーの磁歪信号の到達時刻同定方法を提供する。すなわち、この方法は、マグネットを磁歪線との接近、離間方向に変位可能に設け、マグネットの軸方向位置を一定に保持した状態で、マグネットと磁歪線との離間距離を種々変えたときに、検出器によって捩り弾性波を電気信号に変換した複数の磁歪信号をそれぞれ計測するステップと、複数の磁歪信号のうち、マグネットと磁歪線との離間距離が変わっても変化しない特定の時刻を同定するステップとを有する。
【0015】
マグネットと磁歪線との離間距離とは、磁歪線の軸線と直角方向のマグネットと磁歪線との距離のことである。この離間距離が変わると、磁歪線に対するマグネットの磁界強度が変化するので、磁歪信号の波形(特に振幅)も変化する。したがって、マグネットの軸方向位置を一定に保持したままでマグネットと磁歪線との離間距離を種々変えたときに、夫々の磁歪信号を計測することで、磁歪信号の変化を観測することができる。これら複数の磁歪信号のうち、マグネットと磁歪線との離間距離が変わっても変化しない特定の時刻を示す点が存在する。その磁歪信号の特定の時刻を同定することにより、この同定された時刻を用いて安定した位置検出を行うことができる。
【0016】
同定するステップは、複数の磁歪信号が交わる交点であって、最大ピーク波形のピーク直後の交点の信号レベルを決定することであってもよい。例えば、この信号レベルを、前述のシュミットトリガ・コンパレータのOFF電圧に設定することにより、特定の時刻を容易に検出することが可能になる。
【0017】
特定の時刻は、磁歪信号の最大ピーク波形直後のゼロ点またはその近傍の時刻であってもよい。磁歪信号の波形は、マグネットの形状や磁界の方向などによって変化するが、マグネットと磁歪線との離間距離が変わっても変化しない特定の時刻は、最大ピーク波形直後のゼロ点付近に存在することが多い。その点を同定することにより、特定の時刻を容易に検出できるようになる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、磁歪信号をトリガー電圧の異なる複数のコンパレータを用いて波形成形し、波形成形された複数の時刻を示す波形の中から、磁歪信号の振幅変動に関係なくマグネットの軸方向位置に関係する特定の時刻を規定する1個の波形を選択し、当該波形の到達時刻と磁歪線に印加された電流パルスの印加時刻との間の時間に基づきマグネットの軸方向位置を決定するので、マグネットの磁歪式センサーに与える磁場の強さが変動しても、安定して正確なマグネットの位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】マグネット・ゲージ式液面計を備えるタンクと連通管内のフロートを示す概略図である。
【
図2】連通管内のフロートとマグネット・ゲージ式液面計の液面指示体との関係を示し、(a)は液面指示体の動作を示す断面図、(b)は右側面図である。
【
図3】マグネット・ゲージ式液面計の傍に磁歪式センサーを併設した液面測定装置の部分図である。
【
図4】磁歪式センサーの動作原理の一例を示す図である。
【
図5】磁歪式センサーに印加される電流パルス、磁歪信号と波形成形の関係を示す図である。
【
図9】マグネットの磁歪式センサーに与える磁場の強さが変動したときに検出される磁歪信号の例を示す図である。
【
図10】離間距離が12mmの場合に、磁歪信号を波形成形して特定の時刻を検出する方法の一例を示す図である。
【
図11】離間距離が15mmの場合に、磁歪信号を波形成形して特定の時刻を検出する方法の他の例を示す図である。
【
図12】離間距離が20mmの場合に、磁歪信号を波形成形して特定の時刻を検出する方法のさらに他の例を示す図である。
【
図13】本発明のコントローラの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に係る磁歪式センサーが適用される液面測定装置の一例を
図1~
図3を参照して説明する。
図1は従来から使用されているマグネット・ゲージ式液面計5が連通管3に平行に取り付けられている様子を示すもので、非磁性の連通管3が備えられたタンク1内の液体の液面2に連動してフロート4は上下に移動し、当該フロート4の内部にはマグネット4mが固定されている。
【0021】
マグネット・ゲージ式液面計5は連通管3の近傍に平行に配置され、その動作原理は特許文献1や特許文献2に示されているが、理解を容易にするために
図2を用いてあらためて説明する。
図1と同じものは同じ記号を用いた。
【0022】
フロート4内部に固定されたマグネット4mは、軸方向着磁2個のマグネットの同極を対抗させたものであるが、これはフロート4が挿入されている連通管3の外へ強い磁界を与え、マグネット・ゲージ式液面計5の構成部品であるローター(液面指示体)6を安定して回転保持するためであって、軸方向着磁に代えて半径方向着磁のマグネットなど、他のマグネットを使用しても良い。
【0023】
ローター6も
図2の(a)に示したように、その回転中心から離れた外周部を着磁しているから、フロート4の接近によってローター6は回転する。ローター6の側面の一方に、たとえば6aのような他の側面と区別できる色彩などを施せば、
図2の(b)に示すようにタンク1内の液面2がローター6の反転で明瞭に分かる。
【0024】
図3はマグネット・ゲージ式液面計と磁歪式センサーを組み合わせた一実施例を示すものである。磁歪式センサー7がそのロッド部7rを連通管3の近傍で長手方向に沿うように、マグネット・ゲージ式液面計5とともに設置される。磁歪式センサー7とそのロッド部7rの詳細は後述の
図4でその動作原理を示す。磁歪式センサー7はフロート4内部のマグネット4mの軸方向位置(液面2の高さに比例)を検出するのであるが、
図2に示すように連通管3の内径とフロート4の外径の間には、フロート4の円滑な動きを得るための隙間g1やg2があり、フロート4の外周と磁歪センサー7のロッド部7rの外周の離間距離は数ミリから十数ミリ変動し、そのために磁歪センサー7の磁歪信号は影響を受けることになる。
【0025】
磁歪式センサー7の1つの動作原理は特許文献3に詳しいが、ここで
図4を用いて簡単に補足説明する。変位を測定すべき軸方向に磁歪線8を配置して、これに定期的に電流パルス9を印加すれば(
図4では電流パルスの印加を記号9の導線、その戻線を記号17で示し、電流パルス発生回路は周知なので
図4に図示しない)、磁歪線8の軸方向全域に瞬時に円周方向磁場9aを生じ、軸方向に移動可能なマグネット10の磁場10aとベクトル合成して、マグネット10の近傍の磁歪線8にヴィーデマン効果によって電流パルス印加時のみ(図示しない)捩り弾性波を生じる。
【0026】
図4のマグネット10は磁歪線8に対し直角方向着磁であるが、磁歪線8に平行な着磁でも構わない。マグネット10はあくまでも模式的に図示したもので、
図2のフロート4内のマグネット4mに相当する。先述の捩り弾性波は横波となって磁歪線8の両端に向かって伝搬し、磁歪線8の始端に設けられた検出手段12で当該横波の到着を電気信号に変換することができる。一方、マグネット10の
図4の右方向に伝搬する捩り弾性波による横波は、ダンパー16で減衰され磁歪線8の先端での反射が抑制される。
【0027】
磁歪線8を伝搬する横波の伝搬速度は、磁歪線8の材質やマグネット10の磁歪線8に与える磁界などによって決まるが、一般的に約2.8mm/μsecと知られていて、上記マグネット10が磁歪線の始端からたとえば2800mm(
図4のLによって示された距離)の位置にあるとすれば、電流パルスが印加されてから約1000μsec後に検出手段12は当該横波の到着を知ることになる。
【0028】
図4に示した検出手段12は、強磁性体の短冊13とコイル15とバイアス・マグネット14から構成され、短冊13は磁歪線8の始端近傍に抵抗溶接あるいは他の機械的方法で固着され、バイアス・マグネット14によって短冊13の長手方向にバイアス磁界を与える。短冊13の外周をコイル15が周回し、捩り弾性波が到着すると短冊13の長手方向に歪を生じ、その歪の変化に応じてコイル15に逆ヴィラリー効果に従った電圧変化を誘起する。当該電圧変化の極性は、バイアス・マグネット14の極性を逆にする、あるいはコイル15の極性を逆にすることなどで反対にすることもできる。
【0029】
捩り弾性波は図示したようには直接観察することは不可能であるが、捩り弾性波は検出手段12で観察された電気信号としてその到着を知ることになる。
図5を用いて上述の現象をさらに具体的に説明すると、電流パルス9が磁歪線8に定期的に印加され、電流パルス9が印加された瞬間に検出手段12は電磁気的ノイズ18を観察するが、適宜の手段でこれを無視し、捩り弾性波の到着を磁歪信号19の特定部位を検出して判断すれば良い。磁歪信号19はコイル15に誘起された電圧を直接観察しても良いし、あるいは増幅器(
図4に図示せず)などで増幅した電圧として観察しても良い。
【0030】
即ち、電流パルス9の印加時から磁歪信号19の到着までの時間Tを計測すれば、マグネット10の位置を知ることになる。磁歪信号19は既述のように磁歪線8の材質・形状など、あるいはマグネット10の磁歪線8に与える磁界・その強さ、あるいは検出手段12のインピーダンスによって異なるがほぼ正弦波状の振動を呈し、
図6に示す磁歪信号19の時間拡大図の黒丸印26で示す所謂ゼロクロス点、もしくはその近傍をもって磁歪信号19の到着時刻としても良い。
【0031】
図4ではソリッドワイヤーを用いた磁歪線8を示したが、これに限らず磁歪管(図示せず)でもよく、その場合は電流パルスを加える導線を磁歪管の中に挿入すればよく、あるいは磁歪管に直接電流パルスを加えても良い。ここでは、上述の横波(機械弾性波の一つである捩り弾性波)の到着を電気信号に変換する手段として、横波を縦波に変える磁性部材を磁歪線の始端近傍に設け、逆ヴィラリー効果を用いて電気信号に変換する方法(この方法は特許文献3参照、そして
図4で具体的に示した)を述べた。
【0032】
先述の方法以外に、磁歪線始端近傍の磁歪線周囲にコイルを設け、逆ヴィーデマン効果を用いて電気信号に変換する方法(図示せず)、あるいは横波の到着を圧電素子などの機械的歪に感応する素子で直接電気信号に変換する方法(図示せず)などを挙げることができる。なお、
図3の磁歪式センサー7のロッド部7rは非磁性のパイプ状に作製され、その中に
図4で示す磁歪線8などが収納される。
【0033】
図3の磁歪式センサー7の液面計への応用は、例えば特許文献4に詳述されているが、磁歪式センサー7のロッド部7rを取り囲むドーナツ状のマグネットをフロート内部に固定して、フロートが液面の変化に応じて変動するから、既述のような動作原理で液面位置を知ることが可能となる。この特許文献4の例では、磁歪式センサーに与えられる磁界・磁場の強さは、マグネットが磁歪式センサーを取り囲んでいるので比較的安定しているから、磁歪信号を検出することは比較的容易である。ただし、ドーナツ状のマグネットが磁歪線の半径方向に変位しうる場合には、
図3のフロート4と同様の課題が存在するので、本発明を適用することができる。
【0034】
図5を用いて必要な時間をどのように計測するかを説明する。既述のように磁歪線8に定期的に電流パルス9が印加され、当該印加と同時に
図4のコイル15が受ける電磁気的ノイズ18と一定の時間後に到着する磁歪信号19を知る。これらの信号はコイル15の電圧信号を直接見ても良いし、必要に応じて
図7、
図8の増幅器27の出力を見ても良い。なお、
図5に付随する
図7と
図8で同じ機能を有するものには同じ記号を用いた。
【0035】
図5の記号20は磁歪信号19のゼロ電位を示す(ゼロ電位とは、換言すると磁歪信号のない場合の観察された電位を示す)。破線で示す21は、例えばゼロ電位20より下位にある電位で、当該電位より下位に存在する電気的信号(電磁気的ノイズ18や磁歪信号19など)があれば、
図7の反転型コンパレータ28の出力がONになり、その様子を
図5の出力23に示す。出力23は電磁気的ノイズ18に関連する3個のパルスと磁歪信号19に関連する3個のパルスからなる(厳密には、これらのパルスは時間的幅を持つが、分かり易くするためパルスを線状に描いた)。電磁気的ノイズ18は、既に述べたように不要であるから、電流パルス9に同期した適当な幅を有するマスキングパルス9aと出力23のANDをとると、
図7のAND素子29の出力は記号24の如く、磁歪信号19に関連した3個のパルスのみを得ることができる。
【0036】
これを分かり易く説明したのが、磁歪信号19の近辺の時間を拡大した
図6である。電位21で動作する
図7に示す反転型コンパレータ28の出力23、そして電磁気的ノイズ18をマスキングしたAND素子29の出力24に見るように、電位21よりも磁歪信号19が下位にあるとき出力24はONになり、磁歪信号19が電位21より上位にあるとき、AND素子29の出力24はOFFになる回路を示す。しかしながら、磁歪信号19に関連する3個のパルスを得ることになって、そのうちのどの時刻を磁歪信号19の到達時刻にするのか決定できない。
【0037】
磁歪信号19、あるいは
図6の磁歪信号19のゼロクロス点26近傍、即ち図に見るようにゼロクロス点26に対し若干の誤差を含むが、出力24の2個目のパルスの立下り時刻を磁歪信号19の到着時刻と考えても良い。電位21に代えてコンパレータのトリガー電圧を22にすれば、簡単に磁歪信号19に関連した1個の出力25を得ることが出来る。
図6からも分かるように、当該コンパレータを
図8の反転型シュミットトリガ・コンパレータ33にすれば、磁歪信号19が電位22以下でONになり、電位26以上でOFFになる出力25を得ることが出来るから、求める時間Tを電流パルス9の印加時刻から出力25の立下りまでとすれば、簡単にマグネットの位置を特定出来ることになる。
【0038】
図8に見るように、反転型シュミットトリガ・コンパレータ33は、入力信号あるいは磁歪信号19が22を下回るとONになり、26を上回るとOFFになる、所謂ヒステリシスを持ったコンパレータである。ここで改めて
図7のコントローラ201と
図8のコントローラ202を説明する。破線で囲まれた
図7のコントローラ201は、コイル15で検出された磁歪信号などを増幅する増幅器27、反転型コンパレータ28、AND素子29、電流パルス駆動回路31、電流パルスを定期的に発生させるとともにマスキングパルス9aを作る制御回路30、必要な時間Tを得るための論理判断回路32からなる。
【0039】
また、
図8に示す破線で囲まれたコントローラ202は、コイル15で検出された磁歪信号などを増幅する増幅器27、反転型シュミットトリガ・コンパレータ33、電流パルス駆動回路31、電流パルスを定期的に発生させる制御回路30、必要な時間Tを得るための論理判断回路32からなる。コントローラ202の場合は、電位22が電磁気的ノイズ18以下にあるので、コントローラ201のようなAND素子29は不要となる。
【0040】
図9は、
図3に示したフロート4内のマグネット4mによって磁歪式センサー7に生じた磁歪信号を、
図4の検出手段12のコイル15の出力電圧(あるいは適宜の増幅器の出力電圧)として観察し、それをシンクロスコープの画面で示した一例である。磁歪信号34はフロート4の外周と磁歪式センサー7のロッド部7rの外周の離間距離が12mm、磁歪信号35はその離間距離が15mm、そして磁歪信号36はその離間距離が20mmの場合を示す。このとき、マグネット4mの磁歪式センサー7のロッド部7rの軸方向位置に変化はなく、上述の離間距離のみが変化する場合である。あるいは、離間距離をマグネット4mと磁歪式センサー7のロッド部7rの軸直角方向離間距離と言ってもよい。なお、参考のために磁歪信号のゼロ電位20とゼロクロス点26も
図9に示した。
【0041】
このように、当該離間距離が変化すると、磁歪信号のとりわけ振動振幅が大きく異なり、従前の手段ではフロート4の正確な位置を知ることは出来ない。本発明は、磁歪信号がこのように変動しても、常に正確なフロート4の位置を検出しうる手段を提供するものである。
図9を詳しく見ると、磁歪信号のゼロクロス点26近辺に、丸印37に示されるような磁歪信号が変動しても(このとき上記離間距離は変化してもフロート4の示す液面2に変動は無いと考える)、磁歪信号の到着を特定の時刻として示す点の存在することが分かる。本明細書では、先述の丸印37を磁歪信号の結節点と称する。そこで、本発明では、磁歪式センサー7の特定の時刻を与える結節点37を予め同定する。具体的には、マグネットを磁歪線との接近、離間方向に変位可能に設け、マグネットの軸方向位置を一定に保持した状態で、マグネットと磁歪線との離間距離を種々変えたときに、複数の磁歪信号をそれぞれ計測する。これら複数の磁歪信号の波形の中で、マグネットと磁歪線との離間距離が変わっても変化しない特定の時刻、即ち結節点37を同定する。例えば、結節点37を決定する要素として、最大ピーク波形のピーク直後の、複数の磁歪信号が交わる交点の電位37vを決定してもよい。この電位37vは、全ての磁歪式センサーにおいて一定である訳ではないので、個々の磁歪式センサーについて電位37vを決定するのがよい。実際の検出作業において、電位37vが分かれば、直ちに結節点37を決定できる訳ではなく、後述するような論理判断によって結節点37を決定する必要がある。電流パルス9の印加時刻と磁歪信号の結節点37が示す時刻の間の時間Tを測定すれば、正確なフロート4の位置を知ることが可能となる。なお、結節点37に代えて、結節点37の近傍のゼロ点26の電位を用いることも可能である。
【0042】
図10は、フロート4の外周と磁歪式センサー7のロッド部7rの外周の離間距離が12mmの場合に、磁歪信号34と、後で詳述する
図13の反転型シュミットトリガ・コンパレータ33と2個の反転型コンパレータ28a,28bの夫々の出力信号41、42、43とを示す。
図10には、各コンパレータ33、28a、28bの各トリガー基準点(トリガー電圧)38、39、40が破線で示されている。そのうち、1個のコンパレータは、そのトリガーONとOFFのレベルが異なる所謂反転型シュミットトリガ・コンパレータ33を用いるのが望ましい。シュミットトリガ・コンパレータ33のON電圧38の絶対値は、他のコンパレータ28a,28bのトリガー電圧39、40の絶対値より低い。
【0043】
反転型シュミットトリガ・コンパレータ33は、入力19が電位38を下回るとONになり、電位37vを上回るとOFFになるヒステリシスを有するコンパレータである。この電位37vは、前述の同定段階で求めた結節点37の電位であるが、ゼロ電位を用いることも可能である。
図10に示すコンパレータの出力信号41、42、43を比較して明らかなように、出力信号41は反転型シュミットトリガ・コンパレータ33の出力だから、出力信号41のパルス列の2個目のパルスの立下り時刻が結節点37の時刻に一致する。この例では2個の反転型コンパレータ28a、28bとして一般的なコンパレータを用いたが、これらを反転型シュミットトリガ・コンパレータに代えても良いことは当然である。全てのコンパレータ33、28a、28bとして反転型シュミットトリガ・コンパレータを用い、それらのOFF電圧を電位37vとした場合には、出力信号41の2個目のパルス、出力信号42の1個目のパルス、出力信号43のパルスの立ち下がり時刻が同じ時間Tを示すことになる。
【0044】
磁歪信号34は比較的大きいので、トリガー基準点39も下回り、コンパレータの出力信号42のように2個のパルス列を得て、さらにトリガー基準点40に対しても磁歪信号34のピーク電圧は下回るから、コンパレータの出力信号43は1個のパルスを得る。このように、連続した正弦波状に変化する電気信号(ここでは
図10の磁歪信号34を意味する)の特定電位でON/OFFするパルス信号を得ることを“波形成形する”とも言う。
【0045】
図11は、フロート4の外周とセンサー7のロッド部7rの外周の離間距離が15mmの時の磁歪信号35の場合であって、コンパレータの出力信号41、42、43のパルスは夫々2個、1個そして1個となる。この場合は測定したい時間幅Tは、反転型シュミットトリガ・コンパレータ33の出力信号41の1個目のパルスの立下り時刻に注目すれば得ることができる。
【0046】
図12は、フロート4の外周とセンサー7のロッド部7rの外周の離間距離が20mmの時の磁歪信号36の場合であって、コンパレータの出力信号41、42、43のパルスは夫々2個、1個そして0個となる。この場合は、測定したい時間Tとして、反転型シュミットトリガ・コンパレータ33の出力信号41の1個目のパルスの立下り時刻に注目すれば良い。
【0047】
図10、
図11そして
図12を見て分かることは、もし磁歪信号の特定の到着時刻を得るためのコンパレータが1個の場合、つまり反転型シュミットトリガ・コンパレータ33の出力信号41しか得られないとすると、出力信号41の3個のパルスのどのパルスのどの部位の示す時刻が正しいのか判別しえないことである。ところが、独立したコンパレータの数を増やして、夫々のトリガー基準点を異なるものにすれば、論理判断によって、反転型シュミットトリガ・コンパレータ33の出力信号41の複数のパルスの示すどの時刻を特定すれば良いかが容易に分かることになる。例えば、論理判断の一例として、出力信号41の3個のパルスのうち、他の出力信号42,43のパルスと最も重なる回数が多いパルス(2個目のパルス)を選択してもよい。これは、換言すると、最大ピーク波形を選択していることと同義になる。出力信号41の2個目のパルスの立下がり時点は、予め同定した結節点37に等しいから、これを「特定された時刻」とすればよい。
【0048】
図10の場合は、コンパレータの出力信号42と43から容易に反転型シュミットトリガ・コンパレータ33の出力信号41の2個目のパルスの立下り時点を特定された時刻とすれば良く、
図11の場合も同様にコンパレータの出力信号42と43から容易に反転型シュミットトリガ・コンパレータ33の出力信号41の1個目のパルスの立下り時点を特定された時刻とすれば良く、
図12の場合もコンパレータの出力信号42と43から容易にコンパレータの出力信号41の1個目のパルスの立下り時点を特定された時刻とすれば良いことが分かる。このようにして求めたい時間Tを一義的に決めることが可能となる。この時間Tは、マグネットの離間距離が変動しても、変化しない。
【0049】
以上のように、時間Tを求めるべき論理演算方法についてアナログ回路を用いて説明したが、DSPやマイクロプロセッサーを用いて簡単にこれらの論理演算ができ、即ち本発明の中心的課題である「磁歪信号が使用環境の大きな変動によって変化しても常に計測対象物の位置あるいは正確なフロートの位置検出」を達成できる。本発明では、得られた正弦波状に変化しかつ振幅なども変化する磁歪信号の特定の時刻を確定するために、本明細書で述べた結節点37を事前に求め、独立した3個のコンパレータを用いる例を示したが、磁歪信号の変動があまり大きくない場合は2個でもよく、あるいはいかなる環境でも磁歪信号の振動モードや振幅に変化のない場合はコンパレータの数は1個でも良い。
【0050】
なお、以上の説明で明らかなように、コンパレータの数は3個に限定する必要はなく、数が多くなればなるほど、特定の時刻を決定するための論理的判断条件が多くなり好ましい。次に
図13に示すコントローラ203の構成を述べるが、これに限るわけではなく、同じ目的が得られるのであれば他の構成でも良いことは当然である。なお、
図13のAND素子29やコンパレータ33や28a、28bの機能をDSPやマイクロプロセッサーなどの半導体集積回路に持たせても良い。
【0051】
図13は本発明によるコントローラの一例である。コントローラ203は
図4の検出手段12が観察した磁歪信号を増幅する増幅器27、反転型シュミットトリガ・コンパレータ33、2個の反転型コンパレータ28、3個のAND素子29、論理判断回路32、制御回路30と電流パルス駆動回路31から構成される。図の磁歪信号19は上述の増幅器27の出力を示すが、
図10、
図11、
図12の磁歪信号34、35、36をも意味することは既述で明らかである。ここでは、論理判断回路32が本発明においてどのような働きをするかについて述べたい。制御回路30は電流パルス9の印加時刻の情報を論理判断回路32にも伝達するから、その時刻を基準にして必要な時間Tを計測する。
【0052】
図10の場合、コンパレータの出力43が出現しているので、当該パルス発生時刻を包含するコンパレータの出力41の2個目のパルスの立下り時刻と電流パルス9の印加時刻の間の時間を計測すべき時間Tとする。
図11の場合も出力43が出現しているから、当該パルス発生時刻を包含するコンパレータの出力41の1個目のパルスの立下り時刻と電流パルス9の印加時刻の間の時間を計測すべき時間Tとすればよい。
図12の場合は、出力43にパルスが出現していないことを確認して、出力42のパルス発生時刻を包含するコンパレータの出力41の1個目のパルスの立下り時刻と電流パルス9の印加時刻の間の時間を計測すべき時間Tとすれば良いことになる。
【0053】
以上のように、本発明の磁歪式センサーの位置検出方法は、マグネットが磁歪線に対して接近、離間方向に変位しうる場合に非常に有効である。すなわち、
図3のように、マグネットが磁歪式センサーの外周の一方側に偏って(オフセット)配置されている場合には、マグネットの離間方向の変化によって磁歪信号が変動するため、マグネットの軸方向位置を正確に検出することが難しいからである。本発明を適用することによって、フロートの位置を安定かつ精度よく検出することが可能になる。なお、本発明の磁歪式センサーは、
図3のようにマグネット・ゲージ式液面計のフロートの位置を検出する用途に限らないことは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 タンク
3 連通管、
4 フロート
4m フロート内マグネット
5 マグネット・ゲージ式液面計
6 マグネット・ゲージ式液面計の液面指示体
7 磁歪式センサー
8 磁歪線
9 電流パルス
10 マグネット
12 磁歪信号の検出器
19 磁歪信号
20 磁歪信号のゼロ電位
21、22 トリガー電圧
23~25 コンパレータ出力信号
26 ゼロクロス点
28 反転型コンパレータ
30 制御回路
31 電流パルス駆動回路
32 論理判断回路
33 反転型シュミットトリガ・コンパレータ
34~36 磁歪信号
37 磁歪信号の到着を示す特定の点(結節点)
37v シュミットトリガ・コンパレータのOFFトリガー電圧
38 シュミットトリガ・コンパレータのONトリガー電圧
39~40 コンパレータのトリガー電圧
41 シュミットトリガ・コンパレータの出力パルス
42~43 コンパレータの出力パルス
201 コントローラの例1
202 コントローラの例2
203 本発明のコントローラの例
T 特定すべき時間