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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】ATP増量装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/32 20060101AFI20220912BHJP
   A61N 1/44 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A61N1/32
A61N1/44
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021145759
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2022-02-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520051458
【氏名又は名称】田丸 滋
(73)【特許権者】
【識別番号】511093384
【氏名又は名称】株式会社大瀧
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田丸 滋
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-325678(JP,A)
【文献】特開平10-272191(JP,A)
【文献】特開2002-355319(JP,A)
【文献】特開2006-289236(JP,A)
【文献】特表2008-543358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 ― 18/28
A61N 1/00 ― 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体(21)と該導電体(21)を被覆する絶縁部材(22)とを有して使用者(P)の皮膚に接離可能である電位パッド(20)と、使用時には使用者の周辺に配置可能な装置本体(10)と、前記装置本体(10)に設けられて前記電位パッド(20)の前記導電体(21)にマイナス電位を印加可能なマイナス電位付与装置(T1)と、前記装置本体(10)に設けられて該装置本体(10)の周辺で電磁界を発生させ且つその発生と消滅とを繰り返し可能な電磁界発生装置(D)とを備え
前記電磁界発生装置(D)は、水(W)を貯溜可能な上面開放の空間部を有して前記装置本体(10)内に出入れ可能な水容器(31)と、前記水容器(31)の水面上方に配置される電極(32)と、その電極(32)に高周波高電圧パルスを出力可能な電源装置(T2)とを少なくとも備えていて作動時には前記高周波高電圧パルスを前記電極(32)から前記水容器(31)の水(W)に向けて放電させてプラズマ放電流(X)を生じさせるプラズマ放電装置(30)を含んでおり、
前記プラズマ放電装置(30)の作動に伴い前記電磁界の発生と消滅とが繰り返され ることを特徴とする、ATP増量装置。
【請求項2】
前記装置本体(10)内に設けられて、該装置本体(10)の外部より空気を吸込み且つ該装置本体(10)の外部に再び吐き出す空気強制流動装置(B)と、その空気強制流動装置(B)により前記装置本体(10)内を流動する空気に電子を付与する電子付与装置(ES)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のATP増量装置。
【請求項3】
前記導電体(21)は、導電性の金属細線を少なくとも3重の螺旋状に編み込んで構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のATP増量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の体内にATP(即ちアデノシン三リン酸)を効果的に増量可能として健康増進に寄与し得るようにしたATP増量装置、特に使用者の皮膚に接触させる電位パッドを含むATP増量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電位パッドを用いた電位治療器は知られているが、従来では、[1]プラス電位を印加する電位パッドとマイナス電位を印加する電位パッドとを併用するもの(例えば特許文献1を参照)や、或いは[2]マイナス電位を印加する電位パッドのみを使用するもの(例えば特許文献2を参照)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-95930号公報
【文献】特開2007-185369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電位治療器は、上記した電位パッドにより生体内に微弱電流を流したり、或いは電位パッドが接触する皮膚やその近傍に電子を集めたりすることで、生体の一部を刺激したり神経系のバランスを整えたりする等の目的で使用される。
【0005】
しかしながら従来の電位治療器では、生体の血管壁に電子や一酸化窒素を効果的に生じさせることはできず、血流を効果的に増加させたり体内のATPを効果的に増量させることはできなかった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもので、使用者の血管壁に電子(従って一酸化窒素)を効果的に生じさせて、血流量を効果的に増やすと共に体内のATPを効果的に増量させ、使用者の健康増進に寄与し得るATP増量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、導電体と該導電体を被覆する絶縁部材とを有して使用者の皮膚に接離可能である電位パッドと、使用時には使用者の周辺に配置可能な装置本体と、前記装置本体に設けられて前記電位パッドの前記導電体にマイナス電位を印加可能なマイナス電位付与装置と、前記装置本体に設けられて該装置本体の周辺で電磁界を発生させ、且つその発生と消滅とを繰り返し可能な電磁界発生装置とを備え、前記電磁界発生装置は、水を貯溜可能な上面開放の空間部を有して前記装置本体内に出入れ可能な水容器と、前記水容器の水面上方に配置される電極と、その電極に高周波高電圧パルスを出力可能な電源装置とを少なくとも備えていて作動時には前記高周波高電圧パルスを前記電極から前記水容器の水に向けて放電させてプラズマ放電流を生じさせるプラズマ放電装置を含んでおり、前記プラズマ放電装置の作動に伴い前記電磁界の発生と消滅とが繰り返されることを第1の特徴とする。
【0008】
また請求項の発明は、第1の特徴に加えて、前記装置本体内に設けられて、該装置本体の外部より空気を吸込み且つ該装置本体の外部に再び吐き出す空気強制流動装置と、その空気強制流動装置により前記装置本体内を流動する空気に電子を付与する電子付与装置とを備えることを第の特徴とする。
【0009】
また請求項の発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記導電体は、導電性の金属細線を少なくとも3重の螺旋状に編み込んで構成されることを第の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、電位パッドにより使用者のパッド直下及びその周辺の体内(従って無数の血管)にマイナス電位を印加した状態で、電磁界発生装置により、装置本体周辺の使用者の体内に電磁界を断続的に発生させると、その電磁誘導作用により血管に自由電子を効率よく生じさせて、血管壁に一酸化窒素を効果的に発生させることができる。これにより、血流を効果的に改善させて、血流量を増やすと共に体内のATPを効果的に増量させることが可能となり、使用者の健康増進を図る上で有効である。
【0011】
た、電磁界発生装置は、装置本体内に出入れ可能な水容器と、水容器の水面上方に配置される電極と、その電極に高周波高電圧パルスを出力可能な電源装置とを備えていて作動時には前記高周波高電圧パルスを電極から水容器の水に向けて放電させてプラズマ放電流を生じさせるプラズマ放電装置を含み、このプラズマ放電装置の作動に伴い上記電磁界の発生と消滅とを繰り返すので、プラズマ放電流を水無しで所謂空打ちする構造と比べ、プラズマ放電装置(従って電磁界発生装置)の構造を簡単且つ小型化することが可能となり、コスト節減に寄与することができる。しかも、このプラズマ放電後の水には、電子と一酸化窒素が十分に含まれるため、これを使用者が飲用することで、血液(従って血管壁)への電子及び一酸化窒素の供給量を更に増やすことができて、第1の特徴による前記効果(即ち血管壁での電子・一酸化窒素の発生による血流改善とATP増量の効果)がより高められる。
【0012】
また第の特徴によれば、装置本体外より空気を吸込み装置本体外に再び吐き出す空気強制流動装置と、その空気強制流動装置により装置本体内を流動する空気に電子を付与する電子付与装置とを備えるので、使用者は、本発明装置の使用中、自由電子が十分に含まれる空気を吸い込むことで、血液(従って血管壁)への電子供給量を増やすことができて、第1の特徴による前記効果(即ち血管壁での電子・一酸化窒素の発生による血流改善とATP増量の効果)が更に高められる。
【0013】
また第の特徴によれば、電位パッドの導電体は、導電性の金属細線を少なくとも3重の螺旋状に編み込んで構成されるので、皮膚直下の生体内に在って同じく3重螺旋状をなす三次元網目構造の間質(コラーゲン)と導電体とを共振させ易くなって、前述の電磁誘導作用をより効果的に発揮可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るATP増量装置の使用状態の一例を示す説明図
図2】前記ATP増量装置の一実施形態を示す全体正面図(図1の2矢視部拡大図)
図3図2の3-3線断面図
図4図2の4-4線断面図
図5】電位パッドの一例を示すものであって、(A)は要部平断面図(即ち図5(B)の5A-5A線断面図)、また(B)は、図5(A)の5B-5B線断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0016】
本発明に係るATP増量装置1は、使用者Pの皮膚に接離可能である電位パッド20と、使用時には使用者Pの周辺に配置可能なボックス状の装置本体10と、装置本体10に設けられて電位パッド20の導電体21にマイナス電位を印加可能なマイナス電位付与装置としての第1電源部T1と、装置本体10に設けられて装置本体10の周辺で電磁界を発生させ且つその発生と消滅とを繰り返し可能な電磁界発生装置Dとを主要部として構成される。
【0017】
装置本体10内には、ATP増量装置1の各電装品の作動を制御するための制御基板Cと、この制御基板Cへの通電も担う電源ユニットUとが収納される。電源ユニットUからは、外部の交流電源に接続可能なコネクタ付き接続コード37が延びている。また装置本体10の正面壁には、操作スイッチ群16やパイロット表示灯群17が設けられ、これら操作スイッチ群16やパイロット表示灯群17も制御基板Cに接続される。そして、操作スイッチ群16の任意の操作入力に基づいてATP増量装置1の各電装品を適宜作動させることができる。
【0018】
図1に例示したように、ATP増量装置1は、使用状態では装置本体10がテーブル51上に設置され、そのテーブル51(従って装置本体10)の周辺で使用者Pが椅子52に座るか或いは不図示のベッド又はソファに横たわる等してケアを受ける。その使用者Pの局所(例えば胸、手足、腹部等)には、装置本体10より延びる接続コード23に連なる電位パッド20が接触・保持される。尚、その電位パッド20の保持手段としては、電位治療器の技術分野において従来周知であるパッド保持手段(例えば、剥がし易い接着テープや、自在ファスナ付きの緊締バンド等)が適宜使用される。
【0019】
電位パッド20は、図5で明らかなように、導電体21と導電体21を被覆する絶縁部材22とを有していて、全体として扁平な板状(実施例では矩形板状)に形成される。実施形態の導電体21は、導電性の金属細線(例えばステンレス細線)を3重の螺旋状に編み込んで構成されていて、平面視で8字状に形成される。尚、導電体21の形状・構造は任意に設定可能であり、必ずしも螺旋状に編み込む必要はなく、例えば、扁平な平板状に形成してもよい。
【0020】
また絶縁部材22は、可撓性を有する絶縁材料から構成され、実施形態では導電体21を相互間に上下に挟む一対の内部絶縁体22aと、その両内部絶縁体22aの周囲を取り囲むように被覆する扁平な袋状の外部絶縁体22bとを有した多層構造となっている。尚、絶縁部材22の形状・構造も任意に設定可能であり、必ずしも実施形態のように多層構造とする必要はない。
【0021】
導電体21は、電位パッド20より延出する接続コード23の芯線24に接続され、その接続コード23の外端に連設した入力端子23t(図3の鎖線参照)が、装置本体10の正面壁に並設した複数の出力端子15の少なくとも1つに抜差可能に挿入される。前記電源ユニットUは、出力端子15に接続される第1電源部T1を含むものであり、その第1電源部T1は、出力端子15に接続コード23を介して電位パッド20が接続された状態で、電位パッド20の導電体21(従って当該電位パッド20が接触・保持される使用者Pの皮膚直下)にマイナス電位を継続的に印加できるように構成される。
【0022】
次に、図2および図4を主として参照して、前記した電磁界発生装置Dの一例を説明する。
【0023】
その電磁界発生装置Dは、水Wを貯溜可能な上面開放の空間部を有して(即ち水槽状に形成されて)装置本体10内に出入れ可能な絶縁材製の水容器31と、その水容器31の水面上方に存する複数の電極32と、それら電極32を保持する電極保持枠33と、各々の電極32に高周波高電圧パルス(例えば周波数:3000Hz、最大電圧:3000ボルト)を出力可能な第2電源部T2とを備えるプラズマ放電装置30で構成される。上記第2電源部T2は、本発明の電源装置の一例であって、実施形態では電源ユニットUの一部に含まれる。
【0024】
装置本体10内には、装置本体10の内部空間を第1,第2空間部10c1,10c2に区画する隔壁14が固設される。そして、第1空間部10c1には、水容器31が出入れ可能に収容され、また第2空間部10c2には、電源ユニットUや制御基板C等が収納される。
【0025】
プラズマ放電装置30は、これの作動時には第2電源部T2が出力した前記高周波高電圧パルスを電極32から水容器31内の水Wに向けて放電させてプラズマストリーマと呼ばれるプラズマ放電流(図4に矢印Xで簡略的に表示)を生じさせることができる。そして、このプラズマ放電装置30の作動(即ち第2電源部T2から電極32への高周波高電圧パルスの出力)に伴い、プラズマ放電装置30の周囲、例えば1.5mの範囲内で所定強度以上(但し人体に無害であり且つ本発明の所期の作用効果を達成可能な強度範囲)の電磁界が断続的に発生、即ちその電磁界の発生と消滅とが短い周期で繰り返される。
【0026】
尚、図1には、上記電磁界の範囲の一例が、点線円内の微小ドット群により簡略的に示される。
【0027】
水容器31は、装置本体10内、特に第1空間部10c1の内底部に突設した支持台11上に、その支持台11に固定の導電性ベース板12を介して載置される。また装置本体11の正面壁、特に第1空間部10c1に対応する壁部は、支持台11上への水容器31の出入れを許容する容器出入口101と、この容器出入口101を閉じる開閉扉13が開閉揺動可能に軸支13aされ、その開閉扉13を閉じ位置を保持する不図示の保持手段が、開閉扉13と装置本体10間に設けられる。
【0028】
また上記した複数の電極32は、例えば各々の先部が先細り状に尖った下向きの針状電極より構成されて第1空間部10c1内に配置されており、各電極32の先端は、水容器32内の水面に上下方向に空隙を挟んで対向する。それら電極32の基部(上部)は、共通の電極保持枠33に相互に間隔をおいて保持され、その電極保持枠33は、装置本体10の上壁、特に第1空間部10c1に臨む天井壁部内面に固定、支持される。
【0029】
また第2電源部T2は、従来周知の高周波高電圧パルス放電用の電源装置と同様に昇圧トランス機能や整流機能を具備していて、交流電圧を例えばマイナスの高周波高電圧パルスに変換して電極32に出力できるように構成される。第2電源部T2の出力側は複数の電極32に並列に接続され、またアース側は上記ベース板12に接続される。
【0030】
而して、水を入れた水容器31を支持台11のベース板12上に載置し、第2電源T2が出力する高周波高電圧パルスが各電極32から放電されると、各電極32の先端より水容器31内の水Wに向かって延びるプラズマ放電流X(プラズマストリーマ)が発生する。このようにしてプラズマ放電処理された水容器31内の水Wは、プラズマ放電の影響で、放電前の状態よりもオゾン濃度や酸化還元電位が高く且つ一酸化窒素や自由電子が多く含まれるプラズマ放電処理水となる。
【0031】
ところで装置本体10の内部、特に第2空間部10c2には、装置本体10の外部より空気を吸込み且つ装置本体10の外部に再び吐き出す空気強制流動装置Bと、その空気強制流動装置Bにより装置本体10内を流動する空気に自由電子を付与する電子付与装置ESとが配備される。
【0032】
空気強制流動装置Bは、装置本体10の正面壁・背面壁にそれぞれ設けた空気吐出口102・空気吸込口103の相互間を連通させる通風ダクト41と、通風ダクト41内(実施例では空気吸込口103の近傍)に配置されて空気吸込口103より外気を吸込み空気吐出口102より噴出させる電動ファン42とを備え、空気吐出口102は網状フィルタ43で覆われる。
【0033】
また電子付与装置ESは、通風ダクト41内において相互間隔をおいて配置固定される針状電極45及び板状電極46と、その両電極45,46にそれぞれ接続される第3電源部T3とを備えており、その第3電源部T3は、前記した電源ユニットUの一部に含まれる。
【0034】
尚、実施形態では、針状電極45が複数個有って、図3紙面と直交する方向に互いに間隔をおいて並列配置(従って図3では1個の針状電極45のみが図示)がされ、且つ通風ダクト41内に固定の電極支持体47に支持される。そして、通風ダクト41内を流れる空気は、電極支持体47の周囲空間や電極支持体47の通風孔47h、並びに針状電極45及び板状電極46間の空間を通り抜ける。
【0035】
第3電源部T3は、各針状電極45から板状電極46に向かってコロナ放電(従って大量の自由電子の放出)を開始させ得るように針状電極45に直流高電圧を印加し得るように構成される。
【0036】
而して、電動ファン42を回転駆動して空気吸込口103より空気吐出口102に向かって通風ダクト41内に空気を強制流動させている状態で、針状電極45からコロナ放電を起こさせると、通風ダクト41内を連続的に流れる空気に多量の自由電子やマイナスイオンを補充、拡散させることができる。従って、装置本体10の周辺に居る使用者Pは、空気吐出口102より吹き出す空気を直接吸い込むことで、その空気中の電子を体内(従って血液内)に効率よく取り込めるようになっている。
【0037】
次に前記実施形態の作用を説明する。
【0038】
ATP増量装置1を使用する際には、例えば図1に示すように装置本体10をテーブル51上に設置すると共に、そのテーブル51の周辺に椅子52又はベッド(図示せず)を配置し、使用者Pを椅子52に座らせるか或いはベッドに寝かせる。この状態で、使用者Pの一箇所又は複数箇所の局部(例えば胸、手足、腹部等)には、装置本体10より延びる接続コード23に連なる電位パッド20が貼られる。そして、この状態で電源ユニットUの第1電源部T1を作動させると、この第1電源部T1が出力する直流高電圧により、電位パッド20を通してマイナス電位が使用者Pのパッド直下及びその周辺の体内に連続的に印加される。
【0039】
その一方で、装置本体10内においては、水Wを入れた水容器31を支持台11上に導電性ベース板12を介して載置させ、この水容器31のセット状態でプラズマ放電装置30の針状電極32は、水容器31の水面に上下方向に空間を挟んで対向している。そして、プラズマ放電装置30の第2電源部T2が出力する高周波高電圧パルスが針状電極32から放電されると、針状電極32より水容器31内の水Wに向かってプラズマ放電流Xが放射される。このようにしてプラズマ放電処理された水Wは、プラズマ放電の影響を受けることで、前述のようにオゾン濃度や酸化還元電位が高く且つ自由電子や一酸化窒素が多く含まれるプラズマ放電処理水となる。
【0040】
そして、このプラズマ放電装置30の作動に伴い、その周囲(従ってそこに居る使用者Pの体内)に所定強度以上の電磁界が発生し、しかもその電磁界の発生と消滅とが短い周期(例えば3000Hz)を繰り返される。
【0041】
かくして、本実施形態のように、電位パッド20により使用者Pのパッド直下及びその周辺の体内(従って無数の血管)にマイナス電位を印加した状態で、電磁界発生装置D即ちプラズマ放電装置30により、装置本体10周辺の使用者Pの体内で電磁界(磁束)の発生・消滅を繰り返させると、その電磁誘導作用により使用者Pの血管壁に自由電子を効率よく生じさせることができる。即ち、上記したマイナス電位の印加状態で、プラズマ放電装置30の作動に伴い使用者Pの体内で電磁界(磁束)の発生・消滅を繰り返させると、コンデンサの原理により体内の、誘電体として機能する管状組織には、該組織の体内深部方向の表面(内皮表面)に自由電子が発生する。
【0042】
上記管状組織としては、例えば血管、神経鞘、腱鞘、消化管、間質,肺の気管支や小胞等があるが、そのうち特に血管内には血液が絶えず流れているため、血管壁の内皮表面に発生した自由電子は、血液中に拡散してゆき、このとき、一部の電子がローレンツ力により拡散方向とは逆方向、即ち内皮表面から細胞内方向に逆流する。この逆流した自由電子が血管壁の内皮細胞内に逆浸透する刺激で、血管壁のカルシウムチャンネルが作動して、一酸化窒素合成酵素(NOS) 正確には血管内皮型のeNOS (NOS3) を活性化させ、血管壁内皮細胞内でL-アルギニン(L-Arg)からL-シトルリン(L-Cit)と一酸化窒素(NO)を合成する。かくして、血管壁内皮細胞内で一酸化窒素が効果的に発生し、これが血管壁を拡張させることで血管内の血流量を増大させることができる。
【0043】
しかも、上記の如く血管壁から血中に放出された自由電子は、血液中の赤血球の構成物質内の電気極性を中和して赤血球相互の凝着状態を解除することで、赤血球相互が容易に乖離(即ち、所謂ドロドロ血かサラサラ血に変化)し、これによっても血流がよりスムーズな流れとなり、血流量を増やすことができる。尚、この事象は、例えば使用者Pの局所(例えば爪の甘皮)の毛細血管中で滞留する赤血球の塊が、ATP増量装置1を作動に伴い徐々にバラバラとなって血流が改善した様子を光学顕微鏡で確認できたことにより、明確に検証することができた。
【0044】
このように本発明のATP増量装置1を用いることで、使用者Pの血管壁に電子、延いては一酸化窒素を効果的に生じさせて体内の血流量を増やすことができるため、高血圧の改善効果や脳卒中のリスク低減効果、糖尿病やアルツハイマー病の改善効果等が期待できる。また上記したように血流量が増えることにより、体内の各組織への酸素供給能力が効果的に高められるため、組織の代謝が促進され、その代謝促進と共に体内のATPが増える。
【0045】
その上、このATP増量装置1の使用により、使用者Pの体内に自由電子が多量に発生すると、細胞内のミトコンドリア内膜と外膜の間に存在する水素イオン濃度が上昇して、水素イオンがATP合成酵素を通過するため、細胞内小器官から戻ってきたADPをATPに再合成する総量を増やすことができ、これによっても体内のATPが増える。
【0046】
以上の結果、実施形態のATP増量装置1を使用することで、使用者Pは、体内のATPを効果的に増量させることができ、健康増進を図る上で有効である。より具体的に言えば、体内のATPが増量することで、例えば[1]新陳代謝が向上し老化防止に有効であり、[2]生合成が向上し細胞再生が図られ、[3]抑制性神経調節作用が向上し神経バランスが改善し、[4]DNAリガーゼ(遺伝子修復作用)が向上して遺伝病や悪性腫瘍が改善し、[5]糖新生作用が向上し糖尿病が改善する等の効果が期待できる。
【0047】
更にまた、血管壁で一酸化窒素が増えると、体内での癌細胞の成長を阻害するシステムが活性化することでアトポーシス誘導作用が発揮され、悪性腫瘍に対する改善効果も期待できる。また血管壁に生じた電子や一酸化窒素は、ウイルスや細菌を殺す効果も期待できる。
【0048】
ところで実施形態では、電磁界発生装置Dが、装置本体10内に出入れ可能な水容器31と、水容器31の水面上方に存する電極32と、その電極32に高周波高電圧パルスを出力可能な電源装置としての第2電源部T2とを少なくとも備えたプラズマ放電装置30を含んでおり、このプラズマ放電装置30は、これの作動時には上記高周波高電圧パルスを電極32から水容器31内の水Wに向けて放電させてプラズマ放電流Xを生じさせる。そして、このプラズマ放電装置30の作動中は、前述のように装置本体10の周辺(従ってそこに居る使用者Pの体内)において電磁界(磁束)の発生と消滅とが繰り返される。
【0049】
この場合、プラズマ放電流を水無しで所謂空打ちする構造と比べ、プラズマ放電装置30(従って電磁界発生装置D)の構造が簡単且つ小型化されるため、コストの節減に寄与することができる。しかも、このプラズマ放電後の水容器31内の水Wは、自由電子と一酸化窒素が十分に含まれるため、これを使用者Pが飲用することで、血液(従って血管壁)への電子及び一酸化窒素の供給量を増やすことができ、従って、前記電磁誘導作用でもたらされる前述の血流改善効果及びATP増量効果が更に高められる。
【0050】
また実施形態の装置本体10には、装置本体10外より空気を吸込んで装置本体10外に再び吐き出す空気強制流動装置Bと、その空気強制流動装置Bにより装置本体10内を流動する空気に電子を付与する電子付与装置ESとが設けられており、使用者Pは、ATP増量装置1の使用中、自由電子が十分に含まれる空気を吸い込むことで、血液(従って血管壁)への電子供給量を更に増やすことができる。これにより、前記電磁誘導作用でもたらされる前述の血流改善効果及びATP増量効果が更に高められる。
【0051】
また実施形態の電位パッド20では、導電体21が、導電性の金属細線を少なくとも3重の螺旋状に編み込んで構成されるので、皮膚直下の生体内に在って同じく3重螺旋状をなす三次元網目構造の間質(コラーゲン)と導電体21とを共振させ易くなって、前述の電磁誘導作用をより効果的に発揮可能となる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はそれら実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0053】
例えば、前記実施形態では、電磁界発生装置Dの一例として、水容器31内の水をプラズマ放電処理可能なプラズマ放電装置30を利用したものを例示したが、電磁界発生装置は、実施形態に限定されず、少なくとも装置本体10の周囲に電磁界の発生・消滅を繰り返す機能を発揮するものであればよく、例えばプラズマ放電処理水を作成する機能が無くてもよい。
【0054】
また前記実施形態では、装置本体10に空気強制流動装置B及び電子付与装置ESを特設して、使用者Pが吸い込む空気中に電子を多量に供給可能としたものを示したが、空気強制流動装置B及び電子付与装置ESは、本発明の実施に必須要素ではなく、省略してもよい。
【符号の説明】
【0055】
B・・・・・空気強制流動装置
D・・・・・電磁界発生装置
ES・・・・電子付与装置
P・・・・・使用者
T1・・・・マイナス電位付与装置としての第1電源部
T2・・・・電源装置としての第2電源部
X・・・・・プラズマ放電流
1・・・・・ATP増量装置
10・・・・装置本体
20・・・・電位パッド
21・・・・導電体
22・・・・絶縁部材
30・・・・プラズマ放電装置
31・・・・水容器
32・・・・電極
【要約】
【課題】使用者の血管壁に電子(従って一酸化窒素)を効果的に生じさせて、血流量を増やすと共に体内のATPを効果的に増量させ、健康増進に寄与し得るATP増量装置を提供する。
【解決手段】ATP増量装置は、導電体21と導電体21を被覆する絶縁部材22とを有して使用者Pの皮膚に接離可能である電位パッド20と、使用時には使用者Pの周辺に配置可能な装置本体10と、装置本体10に設けられて電位パッド20の導電体21にマイナス電位を印加可能なマイナス電位付与装置T1と、装置本体10に設けられて装置本体10の周辺で電磁界を発生させ且つその発生と消滅とを小刻みに繰り返し可能な電磁界発生装置Dとを備える。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5