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特許7138913積層容器列の移載装置及び積層容器列の移載方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】積層容器列の移載装置及び積層容器列の移載方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20220912BHJP
   B65G 59/04 20060101ALI20220912BHJP
   B65G 59/02 20060101ALI20220912BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B65G47/91 B
B65G59/04
B65G59/02 Z
B25J15/06 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018085546
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019189417
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】大野 秋彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 昌
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-136458(JP,A)
【文献】特開平09-272093(JP,A)
【文献】実開平04-100129(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/91
B65G 59/04
B65G 59/02
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器が積み重ねられてなる積層容器列を吸着して移載する積層容器列の移載装置であって、
一段につき複数の前記積層容器列が収容された箱の開口から一段分の前記積層容器列を吸着する複数の吸着部と、
前記吸着部に吸着のための負圧を与える吸引気流を発生させる吸引部と、
複数の前記吸着部を移動させることにより複数の前記積層容器列を移載する移載機構とを備え、
前記吸着部は、前記積層容器列を吸着する凹状の吸着面と、前記吸着面に開口する吸引口とを有し、
一段分の前記積層容器列を吸着するときの複数の前記吸着部の間の部分には、上下に連通し前記吸引口へ流入する空気の取込み口となる連通部が設けられており、
前記吸着部が複数の前記積層容器列を吸着する状態において、前記吸引部は、吸引した空気を、前記連通部がある側の面から排気することを特徴とする積層容器列の移載装置。
【請求項2】
前記吸引口は、前記吸着面において当該吸着面に吸引保持される前記積層容器列の長手方向と交差する幅方向の中央部に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の積層容器列の移載装置。
【請求項3】
前記吸着部には、吸引保持された前記積層容器列の外周面に積層方向に列設される容器間の凹部に一部入り込む長さの可撓性部材が、当該積層容器列の長手方向に沿って設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層容器列の移載装置。
【請求項4】
複数の前記吸着部に吸引保持された前記積層容器列の長手方向と交差する方向に複数の当該吸着部を相対移動可能に構成し、複数の前記吸着部の間隔を変更させる間隔変更機構を更に備え、
前記間隔変更機構により複数の前記吸着部が、前記箱内の前記積層容器列を吸着するときの間隔にあるとき、前記吸着部間に前記連通部として間隙が形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の積層容器列の移載装置。
【請求項5】
前記間隔変更機構は、前記間隔の変化させる幅方向に伸縮する伸縮機構であり、複数の前記吸着部が前記箱から一段分の前記積層容器列を吸着するときの前記間隔にあるときに、前記間隔変更機構の少なくとも下側の一部が、前記箱の開口の幅未満の寸法に収縮することを特徴とする請求項4に記載の積層容器列の移載装置。
【請求項6】
複数の容器を積み重ねてなる積層容器列を吸着して移載する積層容器列の移載方法であって、
一段分に相当する複数の前記積層容器列を個々に吸着するための複数の吸着部と、
前記吸着部に吸着のための負圧を与える吸引気流を発生させる吸引部と、を備え、
前記吸着部は吸引口が開口する凹面よりなる吸着面を有し、
一段につき複数の前記積層容器列が収容された箱内へ複数の前記吸着部を入れて一段分の前記積層容器列を吸着する吸着工程と、
前記吸着部が吸着した一段分の前記積層容器列を前記箱から一斉に取り出して移載する移載工程と、を備え、
複数の前記吸着部の間の部分には、当該複数の吸着部が箱に挿入された状態において、前記箱の内外を上下に連通する連通部が形成され、
前記吸着工程では、前記吸着面と前記積層容器列との隙間を流れて前記吸引口へ流入する吸引気流は、前記連通部を通って前記箱の外から内へ空気を取り込んで生成されるとともに前記吸着部が複数の前記積層容器列を吸着する状態において、前記吸引部は、吸引した空気を、前記連通部がある側の面から排気することを特徴とする積層容器列の移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカップ状の容器が積み重ねられてなる積層容器列を移載する積層容器列の移載装置及び積層容器列の移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、カップ状容器が複数積み重ねられた略柱状容器群(積層容器列の一例)を容器供給用マガジンの垂直固定ガイドに供給する供給装置が開示されている。この種の供給装置は、容器に所定の内容物を注入する注入装置などに設けられ、供給された積層容器列から容器を下側から順番に注入装置に供給する。
【0003】
また、供給装置に供給される積層容器列は、箱(例えば段ボール箱)に収容された状態で納入される。箱には複数本の積層容器列が1つの袋(例えばビニール袋)にまとめて収容されているか、又は1本ずつ個別に袋(例えばビニール袋)に入れられた状態で収容されている。例えば、前者の場合、箱を開けると共に袋を開けてから積層容器列を取り出し、移送先まで移送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平4-100129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、箱から積層容器列を取り出す作業は、作業者が手作業で行っている。作業者は、積層容器列を箱から取り出して供給装置まで運んで供給ガイドに供給する。注入装置は比較的高速で運転されるため、作業者は比較的高い頻度で供給装置に積層容器列を供給する必要がある。そのため、これら一連の作業のうち少なくとも箱から積層容器列を取り出す作業を自動化したいというニーズがある。
【0006】
例えば物品を箱から取り出す方法として、吸着パッドを用いて物品を吸着して取り出す方法が知られている。しかし、積層容器列の場合、その外周面には容器間に相当する箇所に周状の凹部(段差)が存在し、その外周面は凹凸状となる。このため、吸着パッドで吸着しようとしても積層容器列の外周面に存在する凹凸により空気が漏れて積層容器列の吸着が困難であるという課題がある。なお、この種の課題は、注入装置で使用される供給装置に積層容器列を供給する場合に限らず、積層容器列を箱から取り出して移載先の目標位置まで移載する場合に、概ね共通する。
【0007】
本発明の目的は、積層容器列の外周面に容器間の隙間による凹凸が存在しても、箱から一段分の積層容器列を吸着して取り出して移載できる積層容器列の移載装置及び積層容器列の移載方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する積層容器列の移載装置は、複数の容器が積み重ねられてなる積層容器列を吸着して移載する積層容器列の移載装置であって、一段につき複数の積層容器列が収容された箱の開口から一段分の前記積層容器列を吸着する複数の吸着部と、前記吸着部に吸着のための負圧を与える吸引気流を発生させる吸引部と、複数の前記吸着部を移動させることにより複数の前記積層容器列を移載する移載機構とを備え、前記吸着部は、前記積層容器列を吸着する凹状の吸着面と、前記吸着面に開口する吸引口とを有し、一段分の前記積層容器列を吸着するときの複数の前記吸着部の間の部分には、上下に連通し前記吸引口へ流入する吸引気流の空気の取込み口となる連通部が設けられている。
【0009】
この構成によれば、箱から一段分の積層容器列を取り出す際に、吸引口へ流入する吸引気流の空気は連通部を通じて取り込まれる。このため、複数の積層容器列と箱との隙間を通って吸引口へ流入する吸引気流が発生しにくい。この結果、複数の吸着部で一段分の積層容器列を箱から取り出す際に、吸引力によって内袋を吸着したり、箱ごと持ち上がったりする吸着ミスを回避できる。よって、積層容器列の外周面に容器間の隙間による凹凸が存在しても、箱から一段分の積層容器列を吸着して取り出して移載することができる。
【0010】
上記積層容器列の移載装置では、前記吸着部が複数の積層容器列を吸着する状態において、前記吸引部は、吸引した空気を、前記連通部がある側に面する部分から排気することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、吸引部が排気した空気が複数の吸着部の間の連通部を通って取り込まれることで、吸引口へ至る吸引気流が形成されるため、吸引気流が円滑に流れ易く、高い吸引力を得ることができる。例えば、吸引部の吸引抵抗を小さく且つ排気抵抗を小さくできる。
【0012】
上記積層容器列の移載装置では、前記吸引口は、前記吸着面において当該吸着面に吸引保持される前記積層容器列の長手方向と交差する幅方向の中央部に位置することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、吸引気流が、吸着面と積層容器列の外周面との間を、吸着面の幅方向の中央部に位置する吸引口に至るまで流れるので、積層容器列の外周面に負圧が作用する面積を広く確保できる。よって、吸着部による積層容器列の吸引力を高く確保できる。
【0014】
上記積層容器列の移載装置では、前記吸着部には、吸引保持された前記積層容器列の外周面に積層方向に列設される容器間の凹部に一部入り込む長さの可撓性部材が、当該積層容器列の長手方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、吸着部に吸引保持された積層容器列の凹部に可撓性部材が一部入り込むことで、積層容器列と吸着面との隙間の開口面積が小さく抑えられるので、可撓性部材がない構成に比べ、吸着面と積層容器列の外周面との間の密閉性を上げることができ、吸着部の負圧を上げることができる。よって、吸着部が積層容器列を吸引保持する吸引力を高く確保できる。このとき、吸着部の吸着面と積層容器列との隙間の開口面積の総和に対する吸引口の開口面積の総和の比率を、可撓性部材によって高め吸着部の負圧を大きくすることができるので、吸着部が積層容器列を吸着する際に高い吸引保持力を確保できる。
【0016】
上記積層容器列の移載装置では、複数の前記吸着部に吸引保持された前記積層容器列の長手方向と交差する方向に複数の当該吸着部を相対移動可能に構成し、複数の前記吸着部の間隔を変更させる間隔変更機構を更に備え、前記間隔変更機構により複数の前記吸着部が、前記箱内の前記積層容器列を吸着するときの間隔にあるとき、前記吸着部間に前記連通部として間隙が形成されることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、複数の吸着部が箱内の積層容器列を吸引保持する際の間隔にあるとき、吸着部間に連通部として間隙が形成される。複数の吸着部が一段分の積層容器列を吸着するために箱内に挿入されたとき、間隙によって複数の吸着部の間の部分が箱の内外を上下に連通する。複数の吸着部の間隙を経由して吸引口へ流入する吸引気流の空気が取り込まれる。よって、箱ごと吸引することなく、一段分の積層容器列を一斉に吸着して箱から取り出すことができる。また、間隔変更機構により複数の吸着部の間隔が変更されることにより、複数の積層容器列を移載先で要求される適切な間隔で移載できる。すなわち、複数の吸着部の間隔を狭くして箱に挿入して一段分の複数の積層容器列を吸着して取り出し、その取り出した一段分の複数の積層容器列を移載先で必要とされる適切な間隔で置くことができる。
【0018】
上記積層容器列の移載装置では、前記間隔変更機構は、前記間隔の変化させる幅方向に伸縮する伸縮機構であり、複数の前記吸着部が前記箱から一段分の積層容器列を吸着するときの前記間隔にあるときに、前記間隔変更機構の少なくとも下側の一部が、前記箱の開口の幅未満の寸法に収縮することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、複数の吸着部が一段分の積層容器列を吸着するときの間隔にあるとき、間隔変更機構は少なくとも下側の一部が箱に収容可能なので、箱の一番底に位置する段(1段目)にある複数の積層容器列を吸着する際に間隔変更機構が邪魔にならない。よって、一段分の積層容器列を吸着して取り出すことのできる箱の深さをより深くできる。
【0020】
上記課題を解決する積層容器列の移載方法は、複数の容器を積み重ねてなる積層容器列を吸着して移載する積層容器列の移載方法であって、一段分に相当する複数の前記積層容器列を個々に吸着するための複数の吸着部を備え、前記吸着部は吸引口が開口する凹面よりなる吸着面を有し、一段につき複数の積層容器列が収容された箱内へ複数の前記吸着部を入れて一段分の積層容器列を吸着する吸着工程と、前記吸着部が吸着した一段分の積層容器列を前記箱から一斉に取り出して移載する移載工程と、を備え、複数の前記吸着部の間の部分には、当該複数の吸着部が箱に挿入された状態において、前記箱の内外を上下に連通する連通部が形成され、前記吸着工程では、前記吸着面と前記積層容器列との隙間を流れて前記吸引口へ流入する吸引気流は、前記連通部を通って前記箱の外から内へ空気を取り込んで生成される。この積層容器列の移載方法によれば、上記積層容器列の移載装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、積層容器列の外周面に容器間の隙間による凹凸が存在しても、箱から一段分の積層容器列を吸着して取り出して移載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態における積層容器列の移載装置を含む移載システムを示す模式正面図。
図2】積層容器列を箱から取り出す様子を示すハンドユニットの模式正面図。
図3】同じくハンドユニットの模式側面図。
図4】積層容器列が収容された箱を開いた状態を示す模式平面図。
図5】積層容器列を取り出すときのハンドユニットを示す模式平面図。
図6】積層容器列を移載先へ載置する様子を示す模式正面図。
図7】箱から積層容器列を取り出す際の間隔変更機構を示す模式平面図。
図8】積層容器列を移載先へ載置する際の間隔変更機構を示す模式平面図。
図9】吸着ヘッドを示す模式斜視図。
図10】吸着ヘッドの一部を破断した模式側面図。
図11】積層容器列を吸着する吸着ヘッドの図10における11-11線断面図。
図12】積層容器列を吸着する吸着ヘッドの図11における12-12線断面図。
図13】移載装置の電気的構成を示すブロック図。
図14】第2実施形態における間隔変更機構を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、積層容器列の移載装置について図面を参照して説明する。なお、図1において、移載装置11が移載対象とする複数の積層容器列17を吸着する後述する吸引ユニット50の配列方向をX方向、X方向と交差(例えば直交)する方向をY方向とし、X方向及びY方向と交差し重力方向と平行な方向を高さ方向Zとする。また、X方向は吸引ユニット50が吸着ヘッド60で吸着する積層容器列17の幅方向に相当するので、積層容器列17について用いるときは幅方向Xともいう。また、Y方向は吸引ユニット50が吸着ヘッド60で吸着する積層容器列17の長手方向に相当するので、積層容器列17について用いるときは長手方向Yともいう。
【0024】
図1に示す容器移載システム10は、複数の容器18が積み重ねられてなる略柱状の積層容器列17を、箱15から一段分ずつ取り出して移載先へ移載する。容器18は、カップ形状を有し、例えば紙製又は合成樹脂製である。容器移載システム10は、箱15を取出位置まで搬送する搬入コンベヤ12と、搬入コンベヤ12上の取出位置に配置された箱15から複数の積層容器列17を一段分ずつ吸着(吸引保持)して取り出して移送する移載装置11と、移載装置11が移送した一段分の積層容器列17を載置する移載先となる搬出コンベヤ13とを備える。すなわち、移載装置11は、搬入コンベヤ12上の箱15から積層容器列17を一段分(本例では6本)ずつ吸着して取り出し、その取り出した一段分の積層容器列17を移載先の搬出コンベヤ13上に載置する移載作業を行う。
【0025】
ここで、図1図4を参照して、箱15内における積層容器列17の収容態様について説明する。図1及び図4に示すように、箱15には、M×N本(但し、M,Nは、2以上の自然数)の積層容器列17が収容されている。詳しくは、箱15には、一段につきM本の積層容器列17がN段収容されている。複数本(M×N本)の積層容器列17は、箱15内に透明な合成樹脂製の1つの袋16(例えばビニール袋)にまとめて収容されている。箱15は、例えば段ボール製であり、上方に向かって開放された開口15Kを有する直方体形状の箱本体15Aと、箱本体15Aの開口15Kの周縁で折られ開口15Kを開閉可能な複数のフラップ15B(蓋部)とを有する。
【0026】
搬入コンベヤ12の搬入経路の途中位置には、搬入コンベヤ12上を搬送されてきた箱15を開封する不図示の開封装置が設けられている。箱15は、搬入コンベヤ12上の開封位置に配置されると、箱15の上面側のフラップ15Bを封止しているテープを切断して箱15を開封する。搬入コンベヤ12の取出位置と対応する箇所には、開封後の箱15における上側の複数のフラップ15Bと、箱15内の全ての積層容器列17を包む袋16(ビニール袋)の口部を広げた周縁部16Aとを、箱15の外側に折り返して外側面に押さえ込む4つ(図1では2つを図示)の押さえレバー19が設けられている。なお、取出位置と同じ位置で箱15の開封作業を行ってもよい。
【0027】
箱15が搬入コンベヤ12上の取出位置に配置されると、箱15のフラップ15Bが外側へ折り返されるとともに、箱15内で全ての積層容器列17をひとまとめに収容する袋16の口部が開けられてその周縁部16Aが箱15の外側へ折り返される。4つの押さえレバー19は、折り返されたフラップ15Bと袋16の周縁部16Aとを押さえ込み、取出位置にある箱15に対して移載装置11が取り出しできる状態に箱15の開口15Kから最上段の積層容器列17が全て露出した状態とする。これにより、図1に示す移載装置11による一段分の積層容器列17を吸着して移載する移載作業が可能になる。なお、箱15は、例えば段ボールよりなる紙製であるが、合成樹脂製、金属製及び木製のうちいずれかでもよい。
【0028】
図1に示すように、移載装置11は、移載機構の一例としての多関節ロボット20(以下、単に「ロボット20」ともいう。)と、ロボット20のアーム23の先端部に吊下状態に支持されたハンドユニット30とを備える。図1に示すように、ロボット20は、床面に設置された台部21と、台部21に対して鉛直軸を中心に回転可能な回転台22と、回転台22に支持された多関節のアーム23と、アーム23の先端部に支持されたハンドユニット30とを備えた多関節式の産業ロボットである。ロボット20は、箱15内の積層容器列17をハンドユニット30で吸引保持し、その吸引保持した一段分の積層容器列17を搬出コンベヤ13上の所定位置に所定の間隔で載置する移載作業を行う。
【0029】
アーム23は、台部21上に配設された動力源25の動力により回転台22と共に軸回転する。また、アーム23は、角度変更可能に連結された複数のアーム部23A~23Cを有する。駆動機構26は、例えば電動モータ又は電動シリンダ等の不図示の動力源を含む。複数のアーム部23A~23Cは、駆動機構26が駆動されることにより駆動リンク26A~26Cを介して角度変更される。ハンドユニット30は、アーム23の先端部にモータ27を動力源とする回転部28を介して回転可能な状態で吊下状態に支持されている。
【0030】
図1に示すように、ハンドユニット30には、台部21及び回転台22を経由してアーム23の内部または外部を通る経路で配線された電線(図示略)を通じて電力が供給される。移載装置11は、ロボット20及びハンドユニット30を制御する制御部80(コントローラ)を備える。制御部80は、ロボット20の動力源25、駆動機構26及び電動モータ27を駆動制御してロボット20によるハンドユニット30の移載制御を行うと共に、ハンドユニット30が有する後述するファンユニット53等を制御してハンドユニット30による積層容器列17の吸着と解放との切り換え制御などを行う。制御部80は、ロボット20及びハンドユニット30を制御することにより、移載装置11に一段分の積層容器列17を箱15から取り出して搬出コンベヤ13上へ移載する移載作業を行わせる。なお、制御部80は、ロボット20とハンドユニット30とを別々に制御する2つのコントローラにより構成してもよい。
【0031】
図1に示すように、ハンドユニット30は、回転部28に支持される間隔変更機構40と、一段分に相当する6列の柱状の積層容器列17を一斉に吸着する複数の吸引ユニット50を備える。吸引ユニット50は、ハンドユニット30が一度に吸着できる積層容器列17の数と同数設けられている。吸引ユニット50は、下端部に1つの積層容器列17を吸着するための吸着部の一例としての吸着ヘッド60を備える。間隔変更機構40は、6つの吸引ユニット50、つまり6つの吸引ユニット50が下部に有する6つの吸着ヘッド60のX方向の間隔を変更する機能を有する。
【0032】
間隔変更機構40は、複数の吸着ヘッド60が吸着した積層容器列17の長手方向であるY方向と交差するX方向に複数の吸引ユニット50を相対移動可能に支持し、複数の吸着ヘッド60のX方向の間隔を変更させる。なお、X方向は、吸着ヘッド60が吸着した積層容器列17の幅方向Xに等しい。
【0033】
間隔変更機構40は、ハンドユニット30が箱15から一段分の積層容器列17を取り出す際に複数の吸着ヘッド60を箱15内に挿入可能な間隔に調整する。また、間隔変更機構40は、一段分の積層容器列17を移載先の搬出コンベヤ13に載置するときは、6つの吸着ヘッド60を一段分の積層容器列17を、搬出コンベヤ13上に一定の間隔に設けられた載置部13Aに載置可能な間隔に調整する。つまり、間隔変更機構40は、6つの吸着ヘッド60の間隔を搬出コンベヤ13上の載置部13Aの間隔に合わせる。なお、図1では、一段分の積層容器列17の数を6つの例としているが、その数は一段分であれば幾つでもよく、2つ、3つ、4つでもよいし、8つ以上でもよい。
【0034】
次に、図2図3を参照して、ハンドユニット30の詳細な構成を説明する。図2図3に示すように、ハンドユニット30は、ロボット20のアーム23の先端部に設けられた回転部28に対して軸回転可能な状態で吊下状態に支持されている。ハンドユニット30は、回転部28に対して支持された間隔変更機構40と、間隔変更機構40により間隔が変更可能に支持された複数(例えば6つ)の支持板42~44にそれぞれ個別に吊下状態に支持された複数(例えば6つ)の吸引ユニット50を有する。6つの吸引ユニット50は、ハンドユニット30が箱15に挿入されるときX方向に並んで配置される。各吸引ユニット50は下部に吸着ヘッド60を有する。
【0035】
図2図3に示す間隔変更機構40は、6つの吸引ユニット50のX方向の間隔を変更する。間隔変更機構40は、一対のシリンダ41と、各シリンダ41のピストンロッド41Aの先端部が支持部42Aにて固定された支持板42を含む複数の支持板42~44を備える。また、間隔変更機構40は、複数の支持板42~44をX方向に相対移動可能に支持する6つのレール45A~45Cを備える。
【0036】
図7に示すように、間隔変更機構40は、6つの支持板42~44のうちX方向に隣合うもの同士をX方向へ相対移動可能に連結する2種類(計4つ)の連結部材46,47と、支持板44を上方に配置された不図示の支持部に対してX方向へ相対移動可能に連結する1種類(計2つ)の連結部材48とを備える。連結部材46~48は、それぞれの長手方向に延びる長孔よりなるガイド孔46A~48Aを有する。第1連結部材46は、一端部が第2支持板43に固定されるとともに、他端部のガイド孔46Aに第1支持板42に突設されたピン49が挿入されている。第2連結部材47は、一端部が第2支持板43に固定されるとともに、他端部のガイド孔47Aに第3支持板44に突設されたピン49が挿入されている。また、第3連結部材48は、一端部が上方の支持部(図示略)の下面に固定されるとともに、他端部のガイド孔48Aに第3支持板44に突設されたピン49が挿入されている。
【0037】
このため、一対のシリンダ41が図7に示す収縮状態から図8に示す伸長状態に伸長駆動されることで、図8に示すように6つの支持板42~44の間隔が広がる。すなわち、一対のシリンダ41が図7に示す収縮状態から伸長駆動される過程で、各支持板42,44に突設されたピン49が各連結部材46~48のガイド孔46A~48A内を順番に移動する。これにより第1支持板42、第2支持板43、第3支持板44がこの順にX方向の外側へ向かって移動し、各支持板42~44が図8に示す間隔を広げた状態に配置される。この結果、6つの支持板42~44に支持された6つの吸引ユニット50の間隔が広がる(図6を参照)。
【0038】
また、一対のシリンダ41が図8に示す伸長状態から収縮駆動される過程で、各支持板42,44に突設されたピン49が各連結部材46~48のガイド孔46A~48A内を前述とは反対側へ順番に移動することで、第1支持板42、第2支持板43、第3支持板44がこの順にX方向の内側へ移動する。これにより、各支持板42~44が図7に示す間隔を狭めた状態に配置される。この結果、6つの支持板42~44に支持された6つの吸引ユニット50の間隔が狭まる(図2図5を参照)。
【0039】
図2図3図6に示すように、吸引ユニット50は、シリンダ51と、シリンダ51のピストンロッド51Aの先端部に固定された吸引部52と、吸引部52の下部に支持された吸着ヘッド60とを備える。吸引部52は、ファンユニット53と、ファンユニット53の下側に設けられた吸引ダクト54と、ファンユニット53の上側に設けられた排気ダクト55とを備える。吸着ヘッド60は、吸引ダクト54と連通する吸引室63を備え、吸引室63を形成する板材の下面により、1つの積層容器列17を吸着して保持するための凹状の吸着面61が形成されている。吸着面61は幅方向Xの中央ほど上方に位置する一対の斜状面を有し、幅方向Xの中央部に吸引口62を有している。なお、図2及び図6では、吸引ダクト54及び吸着ヘッド60を断面で描いており、図3では吸着ヘッド60の一部を断面で描いている。
【0040】
図2に示すシリンダ51は、吸着ヘッド60が積層容器列17に対してその上方に所定距離となる所定の位置まで近づいた状態で伸長駆動され、吸引部52及び吸着ヘッド60が下方へ移動することで吸着面61が積層容器列17の上面に軽く押し当てられる。この押し当て時よりも前のタイミングでファンユニット53の駆動が開始され、吸着面61が押し当てられることで積層容器列17が吸着ヘッド60に吸着される。なお、図2図3に示すように、吸引室63には、一対のシリンダ64が配設され、その下方へ吸引口62を貫通して延びるピストンロッドの先端部に押圧部材65が連結されている。積層容器列17を吸着する際はシリンダ64が収縮状態にあることで押圧部材65は吸着面61の奥側(上側)に退避しており、シリンダ64が伸長駆動して押圧部材65が下方へ移動することで、吸着ヘッド60に吸着された積層容器列17を押し出して解放する。なお、シリンダ64は、吸引口62を開閉する弁の駆動系を兼ねてもよく、シリンダ64の収縮駆動時に弁が吸引口62を開放し、シリンダ64の伸長駆動時に弁が吸引口62を閉じる構成でもよい。
【0041】
図2に示すファンユニット53が駆動されると、吸着ヘッド60の吸着面61の幅方向Xの中央部に開口する吸引口62へ流入する吸引気流SF(図10図11を参照)が発生する。図2に示すファンユニット53は、同図に白抜き矢印で示す方向へ空気を送り込むことで、吸着ヘッド60の吸引口62から吸引した空気を吸引室63及び吸引ダクト54を介して吸引すると共に上側の排気ダクト55へ排出する。排気ダクト55は、そのX方向を向く面部に排気孔(図示略)を有し、ファンユニット53が吸着ヘッド60の吸引口62から吸引して取り込んだ空気を排気孔から隣の吸引ユニット50との間隙CLに向かって排気する。このため、図2に示すように、排気ダクト55の排気孔から排気された空気が吸着ヘッド60へ取り込まれるように間隙CLを下方へ流れる流入気流Fが発生する。
【0042】
図5は、箱15から一段分の積層容器列17を吸着する際のハンドユニット30の平面視を示す。図5に示すように、箱15の開口15Kから挿入した複数の吸着ヘッド60は、吸着時の間隔で配置されている。6つの吸着ヘッド60の上側に配置された吸引部52の上部は、吸着ヘッド60の幅よりも大径の略円柱状を有している。図5に示すように、6つの吸引部52は、隣同士が吸着ヘッド60の長手方向に互いに位置をずらして配置され、図5に示す平面視で千鳥状に配置されている。このため、6つの吸着ヘッド60が箱15に挿入される際の狭い間隔で接近した状態にあっても、吸着ヘッド60の上側にその幅よりも大径な吸引部52は互いに干渉しない。
【0043】
図2図5に示すように、ハンドユニット30は複数の吸引ユニット50の間隔を狭めた状態で、箱15に対して一段分(例えば6つ)の積層容器列17を吸着により取り出す。このとき、図2に示すように、箱15内の1段目の積層容器列17を吸着するときなど、最上段以外の段の積層容器列17を吸着するときには吸引ユニット50の一部(吸着部60の部分)または大部分が箱15内に挿入される。6つの吸引ユニット50の一部又は大部分が箱15内に挿入された状態において、図2図5に示すように、6つの吸引ユニット50間には連通部の一例としての間隙CLが形成される。これらの間隙CLは、ハンドユニット30の下側一部が箱15内に挿入された状態で、複数の吸着ヘッド60の間の部分で上下に連通し箱15の内外を連通する。このため、一段分の積層容器列17を吸着するときの間隔にある複数の吸着ヘッド60の間の部分には、間隙CLが空気の取込み口となって、排気ダクト55の側方から吸着ヘッド60の下端外側に至る範囲で下方へ向かって流れる流入気流Fが形成される。
【0044】
図2に示す複数の吸引ユニット50は、間隔変更機構40(図2参照)を介して間隔を変更可能にX方向に相対移動可能な状態で連結されている。複数の吸引ユニット50を吊下状態に支持する間隔変更機構40は、自身のX方向の寸法が変化する伸縮機構を有している。間隔変更機構40が収縮した第1位置にあるときに複数の吸着ヘッド60は、箱15に収容された積層容器列17の間隔に合わせた第1間隔に配置される。つまり、間隔変更機構40が第1位置にあるとき、複数の吸着ヘッド60のX方向のピッチ(ヘッドピッチ)が、箱15に収容された積層容器列17の幅方向Xのピッチ(容器ピッチ)に対して許容誤差の範囲内で等しくなる。
【0045】
また、間隔変更機構40が伸長した第2位置にあるときに複数の吸着ヘッド60は、第1間隔よりも広い第2間隔に配置される。このため、複数の吸着ヘッド60が箱15から取り出した一段分の積層容器列17を移載先の搬出コンベヤ13の載置部13Aに置くまでの移送期間において、間隔変更機構40が第1位置から第2位置へ駆動することにより、移載先で要求される第2間隔をあけた状態で複数の積層容器列17を載置部13Aに置くことができる。
【0046】
図9図11に示すように、吸着ヘッド60が吸着面61は、奥側ほど狭くなる一対の斜面を有する凹形状を有する。移載装置11が扱う容器18には直径の異なる複数種類があり、容器18は直径が異なっても吸着面61に内接することができる。吸着ヘッド60の吸着面61は、最小径の積層容器列17Sから最大径までのどのサイズの積層容器列17にも共通に使用可能となっている(図11を参照)。
【0047】
図9に示すように、吸着ヘッド60は、吸着面61の幅中央位置に開口する吸引口62を有する。吸引口62は、吸着ヘッド60の長手方向Yに延びる長孔よりなる。吸着ヘッド60における吸着面61を挟んだ両側には、吸着面61に吸着された積層容器列17の外周面と接触可能な一対の可撓性部材66が設けられている。なお、吸引口62は、吸着ヘッド60の長手方向Yに延びる1つに限定されず、吸着ヘッド60の長手方向Yに断続的に開口する複数の長孔よりなる構成であってもよい。
【0048】
図9に示すように、可撓性部材66は、吸着ヘッド60の幅方向Xの両端部にその長手方向Yのほぼ全域に亘る長さで設けられている。可撓性部材66は、吸着ヘッド60の長手方向Yの長さよりも若干短い長さの長尺状の弾性部材である。可撓性部材66は、例えば長尺な薄板状のゴム片にその長手方向Yと直交する方向に多数の切れ目を入れることで多数の短冊状の弾性片66Aを有する。弾性片66Aの幅は、積層容器列17における容器18のピッチ、つまり容器18間の隙間C1(図10を参照)の長手方向Yの寸法よりも短い。可撓性部材66の弾性片66Aの幅は、例えば1~10mmの範囲内の値に設定されている。例えば、弾性片66Aの幅は、容器18間の隙間C1に複数入る程度の幅が好ましい。本例の容器18のサイズでは、弾性片66Aの幅は、例えば2~5mmの範囲内の値としている。なお、可撓性部材66の取付位置は、積層容器列17の外径に応じて積層容器列17の外周面の凹部に挿入可能な位置に適宜調整される。
【0049】
図10に示すように、積層容器列17の外周面には、容器18間の隙間によって形成される(J-1)個の隙間C1が存在する。図10に示す積層容器列17を構成する容器18は開口側ほど拡開する形状を有している。このため、積層容器列17の外周面には積層方向にほぼ一定ピッチで容器18間の隙間C1が存在する。隙間C1は、容器18の周方向の全周に亘って延びている。本実施形態の吸着ヘッド60は、ファンユニット53を利用して隙間C1の流路(隙間流路C1ともいう。)を流れる吸引気流SFを、積層容器列17を吸着面61に吸着しうる負圧を発生できる流速に高める。積層容器列17を構成する容器18の個数がJ個の場合、積層容器列17の外周面には、(J-1)個の隙間C1が存在する。
【0050】
図10に示すように、吸着ヘッド60は凹状の吸着面61に一部が入り込む状態で積層容器列17を吸着する。ファンユニット53(図2を参照)が駆動されているとき、吸着面61と積層容器列17の外周面との間には、吸引口62へ流入する吸引気流SFが発生する。積層容器列17の外周面が吸着面61の内周面に接触する図10に示す状態では、積層容器列17の外周面と吸着面61との間には容器18の周方向に延びる隙間流路C1が、容器18の積層方向にほぼ一定ピッチで形成される。
【0051】
積層容器列17の外周面に沿って周方向に延びる隙間流路C1を通って空気が吸引口62へ流れ込むことにより、図10及び図11に矢印で示す吸引気流SFが発生する。この隙間流路C1を流れる吸引気流SFが積層容器列17の外周面に及ぼす負圧により積層容器列17は吸着ヘッド60に吸着される。特に本例では、吸引口62が吸着面61の幅方向Xの中央に位置するので、(J-1)個の隙間流路C1を吸引気流SFが流れる面積、つまり積層容器列17の外周面が吸引気流SFから負圧を受ける受圧面積を広く確保できる。
【0052】
図12は、図11における12-12線で切った断面を示す。図12に示すように、吸引口62の開口面積S1と、吸着面61と積層容器列17の外周面との間の隙間流路C1の開口の面積ΔS2の総和S2との間には、S1>S2の関係が成り立っている。J個の容器18が積み重なられた積層容器列17では、隙間流路C1が(J-1)個あり、1つの隙間流路C1につき吸引気流SFの取込み口となる開口を両側に2つ有するため、隙間流路C1の開口の面積ΔS2の総和S2は、S2=2(J-1)・ΔS2で表わされる。そして、本実施形態では、次式を満たすように吸引口62の開口面積S1を設定している。
S1>2(J-1)・ΔS2…(1)
ここで、隙間流路C1の開口の面積ΔS2とは、隙間流路C1に直交する方向に切った場合にその開口断面の面積が最小となる部分の開口面積を指す。上記(1)式を満たすことにより、隙間流路C1を流れる吸引気流SFに、吸着ヘッド60の吸着面61に積層容器列17を吸着できる負圧を発生しうる流速が確保される。さらに本実施形態では、可撓性部材66の一部が隙間流路C1に入り込むことで、隙間流路C1の開口の面積ΔS2が小さく抑えられる。このため、吸引口62の開口面積S1と、隙間流路C1の開口の面積ΔS2の総和S2との差(=S1-S2)を更に大きくし、吸引気流SFの流速を更に高めることで、吸着ヘッド60が積層容器列17を吸着する際の吸着力を更に高めることができる。
【0053】
次に図13を参照して、移載装置11の電気的構成を説明する。図13に示すように、移載装置11は、移載装置11を統括的に制御する制御部80を備える。制御部80には、ロボット20、ハンドユニット30を構成する間隔変更機構40及び吸引ユニット50が電気的に接続されている。制御部80は、ロボット20及びハンドユニット30を制御することにより、移載装置11に箱15から一段分ずつ積層容器列17を吸着して移載する移載作業を行わせる。なお、制御部80が移載装置11を制御して行う移載作業には、吸着工程と移載工程とが含まれる。
【0054】
次に、図1図13を参照して、移載装置11の作用を説明する。移載システム10の運転開始後、搬入コンベヤ12に搬入された箱15が開封されて押さえレバー19がフラップ15B及び袋16の周縁部16Aを押さえた状態になる。すると、制御部80は、移載装置11を駆動させて箱15から一段分ずつ積層容器列17を取り出して搬出コンベヤ13上に載置する移載作業を開始する。
【0055】
制御部80は吸着工程を行う。制御部80はロボット20を制御し、ハンドユニット30を箱15の上方まで水平姿勢で移動させる。制御部80は、作業対象の箱15の位置と、吸着対象の積層容器列17が箱15内の何段目の位置であるかを示す高さ位置とを把握している。制御部80はファンユニット53を駆動させ、吸着ヘッド60の吸着面61に吸引口62へ流入する吸引気流SFを発生させた状態でハンドユニット30を水平姿勢のまま箱15内の吸着対象となる一段分の積層容器列17に対してその上方に所定距離を離した所定高さまで下降させる。次に、制御部80は、複数のシリンダ51を駆動して複数の吸引ユニット50を一斉に下降せ、複数の吸着ヘッド60を吸着位置に配置することで、複数の吸着ヘッド60により一段分の積層容器列17を上側から軽く押さえ付ける。こうしてハンドユニット30は複数の吸着ヘッド60にて一段分の積層容器列17を吸着する。このとき、図2図5に示すように、複数の吸着ヘッド60間の間隙CLを通じて排気ダクト55から排気された空気を一部に含む空気が下方へ流れる流入気流Fにより間隙CLを取込み口として箱15の外から内へ空気が取り込まれ、その取り込まれた空気が吸着ヘッド60の吸引口62へ流入することで吸引気流SF(図11を参照)が形成される。なお、ファンユニット53の駆動開始タイミングは、吸着ヘッド60が吸着位置に配置されるまでの間であればいつでもよい。
【0056】
次に、制御部80は移載工程を行う。制御部80はファンユニット53の駆動を継続させたまま、シリンダ51を収縮駆動して複数の吸引ユニット50を上方へ移動させて一段分の積層容器列17を少し上昇させる。次に制御部80は、ロボット20のアーム23を制御してハンドユニット30を上方へ移動させることで複数の吸着ヘッド60に吸着された一段分の積層容器列17を箱15から取り出す。
【0057】
制御部80は、ロボット20のアーム23を駆動してハンドユニット30を搬出コンベヤ13の上方の所定高さまで移動させる。制御部80は、吸引ユニット50を箱15から取り出した一段分の積層容器列17を、搬出コンベヤ13の上方位置に移動させるまでの間に、間隔変更機構40を伸長駆動させて複数の吸引ユニット50の間隔を第1間隔から、移載先の搬出コンベヤ13上の載置部13Aの間隔に応じた第2間隔に広げる。次に制御部80は、ファンユニット53の駆動を停止させると共に、シリンダ64を伸長駆動させて押圧部材65を下降させて積層容器列17を下方へ押し出す。この結果、複数の吸着ヘッド60から解放された一段分の積層容器列17が、搬出コンベヤ13上の載置部13Aに載置される。以下、制御部80は、ロボット20のアーム23を制御して次の段の積層容器列17を箱15から取り出すためにハンドユニット30を箱15の上方位置に移動させる。そして、このハンドユニット30を次の吸着のために戻す過程で、間隔変更機構40が収縮駆動され、複数の吸着ヘッド60の間隔が狭まる。こうしてロボット20が移載作業を繰り返すことで、箱15に収容された積層容器列17が一段分ずつ搬出コンベヤ13上の載置部13Aに移載される。
【0058】
以上詳述したように、この実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)移載装置11は、複数の容器18が積み重ねられてなる積層容器列17を吸着して移載する。移載装置11は、一段につき複数の積層容器列17が収容された箱15の開口15Kから一段分の積層容器列17を吸着する複数の吸着ヘッド60(吸着部の一例)と、吸着ヘッド60に吸着のための負圧を与える吸引気流SFを発生させる吸引部52とを備える。さらに移載装置11は、複数の吸着ヘッド60を移動させることにより複数の積層容器列17を移載するロボット20(移載機構の一例)を備える。吸着ヘッド60は、積層容器列17を吸着する凹状の吸着面61と、吸着面61に開口する吸引口62とを有する。一段分の積層容器列17を吸着するときの複数の吸着ヘッド60の間の部分には、上下に連通し吸引口62へ流入する吸引気流SFの空気の取込み口となる間隙CL(連通部の一例)が設けられている。
【0059】
よって、箱15から一段分の積層容器列17を取り出す際に、吸引口62へ流れ込む吸引気流SFを形成するための空気は間隙CLを通って吸着ヘッド60よりも上側の外部空間(箱15の開口15K側の外側空間)から取り込まれる。このため、複数の積層容器列17と箱15との隙間を通って吸引口62へ流入する吸引気流SFが発生しにくい。この結果、吸着ヘッド60で一段分の積層容器列17を箱15から取り出す際に、吸引力によって袋16を吸着したり、箱15ごと持ち上がったりする吸着ミスを回避できる。よって、積層容器列17の外周面に容器18間の隙間による凹凸が存在しても、箱15から一段分の積層容器列17を吸着して取り出して移載することができる。
【0060】
(2)吸着ヘッド60が複数の積層容器列17を吸着する状態において、吸引部52は、吸引した空気を、間隙CLがある側に面する部分から排気する。よって、吸引部52が排気した空気が複数の吸着ヘッド60の間隙CLを通って吸引口62へ至る吸引気流SFが形成されるため、吸引気流SFが円滑に流れ易く、高い吸引力を確保できる。例えば、吸引部52の吸引抵抗を小さく且つ排気抵抗を小さくできる。
【0061】
(3)吸引口62は、吸着面61において当該吸着面61に吸引保持される積層容器列17の長手方向Yと交差する幅方向Xの中央部に位置する。よって、吸引気流SFが、吸着面61と積層容器列17の外周面との間を、吸着面61の幅方向Xの中央部に位置する吸引口62に至るまで流れるので、積層容器列17の外周面に負圧が作用する面積を広く確保できる。よって、吸着ヘッド60により、積層容器列17を高い吸引力で吸引保持できる。
【0062】
(4)吸着ヘッド60には、吸引保持された積層容器列17の外周面に積層方向に列設される容器間の凹部に一部入り込む長さの可撓性部材66が、積層容器列17の長手方向Yに沿って設けられている。よって、吸着ヘッド60に吸引保持された積層容器列17の凹部に可撓性部材66が一部入り込むことで、積層容器列17と吸着面61との隙間の開口面積が小さく抑えられる。このため、可撓性部材66を有する吸着ヘッド60では、可撓性部材66がない構成に比べ、吸着面61と積層容器列17の外周面との間の密閉性を上げることができ、吸着ヘッド60の負圧を上げることができる。よって、吸着ヘッド60が積層容器列17を吸引保持する吸引力を高くできる。このとき、吸着ヘッド60の吸着面61と積層容器列17との隙間の開口面積の総和に対する吸引口62の開口面積の総和の比率を、可撓性部材66によって高め吸着ヘッド60の負圧を大きくすることができるので、吸着ヘッド60が積層容器列17を吸着する際に高い吸引保持力を確保できる。
【0063】
(5)複数の吸着ヘッド60に吸引保持された積層容器列17の長手方向Yと交差する幅方向Xに複数の吸着ヘッド60を相対移動可能に構成し、複数の吸着ヘッド60の間隔を変更させる間隔変更機構40を更に備える。間隔変更機構40により複数の吸着ヘッド60が、最小径の積層容器列17を吸着するときの間隔にあるとき、吸着ヘッド60間に連通部として間隙CLが形成される。
【0064】
よって、複数の吸着ヘッド60が最小径の積層容器列17を吸引保持する際の間隔にあるとき、吸着ヘッド60間に間隙CLとして間隙が形成される。間隙によって複数の吸着ヘッド60の間の部分が箱15の内外を連通する。複数の吸着ヘッド60の間隙を経由する経路で吸引口62へ流入する吸引気流SFが形成される。よって、箱15ごと吸引することなく、一段分の積層容器列17を一度に吸着して箱15から取り出すことができる。また、間隔変更機構40により吸着ヘッド60の間隔が変更されることにより、複数の積層容器列17を移載先で要求される適切な間隔で移載できる。すなわち、複数の吸着ヘッド60の間隔を狭くして箱15に挿入して一段分に相当する複数の積層容器列17を吸着して取り出し、取り出した複数の積層容器列17を移載先で必要とされる適切な間隔で置くことができる。
【0065】
(6)間隔変更機構40は、間隔の変化させる幅方向に伸縮する伸縮機構であり、複数の吸着ヘッド60が箱15から一段分の積層容器列17を吸着するときの間隔にあるときに、間隔変更機構40の少なくとも下側の一部が、箱15の開口15Kの幅未満の寸法に収縮する。よって、複数の吸着ヘッド60が一段分の積層容器列17を吸着するときの間隔にあるとき、間隔変更機構40は少なくとも下側の一部が箱15に収容可能なので、箱15の一番底に位置する段(1段目)にある複数の積層容器列17を吸着する際に間隔変更機構40が邪魔にならない。よって、一段分の積層容器列17を吸着するときの間隔変更機構40が箱15の開口15Kの幅以上のサイズである構成に比べ、一段分の積層容器列17を吸着して取り出すことのできる箱15の深さをより深くできる。
【0066】
(7)複数の容器18を積み重ねてなる積層容器列17を吸着して移載する積層容器列17の移載方法では、一段分に相当する複数の積層容器列17を個々に吸引するための複数の吸着ヘッド60を備え、吸着ヘッド60は吸引口62が開口する凹面よりなる吸着面61を有する。移載方法は、一段につき複数の積層容器列17が収容された箱15内へ複数の吸着ヘッド60を入れて一段分の積層容器列17を吸着する吸着工程と、吸着ヘッド60が吸着した一段分の積層容器列17を箱15から一斉に取り出して移載する移載工程とを含む。複数の吸着ヘッド60の間の部分には、複数の吸着ヘッド60が箱15に挿入された状態において、箱15の内外を上下に連通する間隙CL(連通部の一例)が形成される。吸着工程では、吸着面61と積層容器列17との隙間を流れて吸引口62へ流入する吸引気流SFは、間隙CLを通って箱15の外から内へ空気を取り込んで生成される。この積層容器列17の移載方法によれば、積層容器列17の移載装置11と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態では、移載装置11における間隔変更機構40の構成が第1実施形態と異なる。本実施形態の間隔変更機構40は幅方向Xに伸縮可能な伸縮機構を備えていない。つまり、間隔変更機構40の幅方向Xの寸法は、複数の吸引ユニット50の間隔が変更しても変化しない。間隔変更機構40以外の他の構成は、吸着ヘッド60の数が異なること以外は、第1実施形態と同じなので、以下では、間隔変更機構40の構成についてのみ説明する。
【0068】
図14に示す間隔変更機構40は、吸着ヘッド60(図2等を参照)の数が5つの例である。吸着ヘッド60の数が奇数個の場合、中央の1つの吸着ヘッド60は移動しない。そのため、中央の吸着ヘッド60に対して両側の2つずつの吸着ヘッド60を相対移動可能な構成としている。図14に示すように、吸着ヘッド60を下部に有する吸引ユニット50を支持する支持板は5つある。
【0069】
5つの支持板94~96をX方向に挟む両側に一対の支持フレーム92が配置されている。一対の支持フレーム92には、X方向に延びる2本のレール93の両端部が固定されている。5つの支持板94~96は、吸着ヘッド60を下部に有する5つの吸引ユニット50を支持する。5つの支持板94~96のうち中央の支持板94は、2本のレール93に対してX方向の中央位置に固定されている。また、中央の支持板94の両側に配置される2つずつの支持板95,96は、2本のレール93に対して間隔変更方向であるX方向に移動可能に取着されている。
【0070】
一対の支持フレーム92に対してX方向に外側となる位置には、一対のシリンダ91が対向する状態でそれぞれ対応する支持フレーム92に固定されている。一対のシリンダ91のピストンロッド91Aの先端部は、5つの支持板94~96のうちX方向に最も外側に位置する支持板96にそれぞれ固定されている。
【0071】
ここで、以下、5つの支持板94~96について、中央に位置する1つを第1支持板94、第1支持板94の両側隣に位置する2つを第2支持板95、第2支持板95の外側隣に位置する2つを第3支持板96ともいう。第1支持板94と第2支持板95は両者の間隔変更方向(X方向)の相対移動距離を所定範囲内に制限する第1連結部材97を介して連結されている。第1連結部材97は、所定長さを有する板材であり、一端部が第1支持板94に固定されるとともに、他端部にX方向に延びる長孔よりなるガイド孔97Aを有し、ガイド孔97Aには第2支持板95の上面に突設されたピン99が挿入されている。このため、第2支持板95は、第1支持板94に対して第1連結部材97を介して所定距離範囲内で間隔変更方向Xに相対移動可能である。
【0072】
また、第2支持板95と第3支持板96は両者の間隔変更方向(X方向)の相対移動距離を所定範囲内に制限する第2連結部材98を介して連結されている。第2連結部材98は、所定長さを有する板材であり、一端部が第3支持板96に固定されるとともに、他端部にX方向に延びる長孔よりなるガイド孔98Aを有し、ガイド孔98Aには第2支持板95の上面に突出するピン99が挿入されている。このため、第3支持板96は、第2支持板95に対して第2連結部材98を介して所定距離範囲内で間隔変更方向Xに相対移動可能である。
【0073】
図14に示す状態は、5つの支持板94~96、つまり吸着ヘッド60を含む5つの吸引ユニット50が、箱15から一段分(5つ)の積層容器列17を取り出す際の接近状態にある。この状態では、一対のシリンダ91はピストンロッド91Aが伸長した伸長状態にある。吸着ヘッド60が接近状態にある図14に示す平面視において紙面と直交する高さ方向Zにおいて上下に連通する連通部の一例としての間隙CLが形成される。よって、箱15の例えば最も底に位置する1段目の一段分の積層容器列17を吸着するために、複数の吸着ヘッド60が箱15に挿入された状態では、吸着ヘッド60の間の部分で上下に連通する間隙CLを空気の取込み口として吸着ヘッド60の吸引口62へ流入する吸引気流SF(いずれも図2図11を参照)が発生する。複数の吸着ヘッド60が一段分の積層容器列17を吸着して箱15から取り出した後、一対のシリンダ91が図14に示す伸長状態から収縮駆動することで、複数の吸着ヘッド60の間隔を広く変更する。
【0074】
この第2実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(8)第1実施形態と同様に、ハンドユニット30が箱15から取り出した一段分の積層容器列17を、間隔変更機構40により複数(5つ)の吸着ヘッド60の間隔を変更して移載先の搬出コンベヤ13上の載置部13Aに置くことができる。
【0075】
実施形態は、上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・箱15内に袋16が無くてもよい。例えば箱15自体が可撓性を有し、吸引力により箱15が内方へ変形して箱ごと持ち上がりそうになる場合がある。箱15内に挿入される複数の吸引ユニット50間の部分に上下に連通して箱15の内外を連通する所定サイズ以上の間隙CLが確保されることで、複数の吸着ヘッド60が一段分の積層容器列17を吸着する際に箱15ごと吸着する事態を回避できる。
【0076】
・複数の吸着ヘッド60(吸着部の一例)が間隔の変更が不能に一体に形成された一体型の吸引ユニットであってもよい。この場合、吸引ユニットにおける複数の吸着ヘッド60間に相当する箇所に上下に連通する連通部を設ければよい。
【0077】
・吸着ヘッド60の凹状の吸着面61は、円弧面であってもよい。
・容器は、軸線方向から見た形状が四角形でもよい。この場合、吸着面61の凹面の形状を、略四角柱状の積層容器列の外周面に合わせた形状に変更するとよい。
【0078】
・移載機構は多関節ロボットに限定されない。例えば天井に架設されたレールと、レール上を移動するとともにハンドユニット30を昇降可能に吊り下げ支持するキャリッジとを備えた移載機構でもよい。この移載機構でも、箱15から一段分ずつ積層容器列17を吸着して取り出して移載することができる。
【0079】
・吸引部52は、ファンユニット53に替えてブロワでもよい。ここで、ファンは、羽根車の回転運動によって気体にエネルギーを与える機械で、単位質量当たりのエネルギーが25kNm/kg(約30kPa)未満のものを指す。また、ブロワは、羽根車又はロータの回転運動によって気体を圧送する圧縮機のうち有効吐出し圧力が200kPa以下のものを指す。なお、ブロワ又はファンは、遠心式、斜流式、軸流式のどの方式でもよい。
【0080】
・吸引口62は複数でもよい。吸引口62が吸着面61の幅中央位置に加え、それ以外の位置にもあってもよい。また、積層容器列17を吸着可能な吸引気流SFを確保できれば、吸引口62の形成位置は吸着面61の幅方向Xの中央部から外れた位置でもよい。
【0081】
・可撓性部材66の材質は、ゴムや、弾性を有する合成樹脂に限定されず、ブラシまたは繊維であってもよい。また、可撓性部材66は、可撓性が非常に高く隙間C1に入り込むことが可能に弾性変形できる材質であれば、切れ目のない長尺状の薄い板材でもよい。さらに可撓性部材66は、蛇腹状の部材でもよい。要するに、可撓性部材66は、積層容器列17を構成する容器18間の隙間C1に入り込むことができればよい。
【符号の説明】
【0082】
10…移載システム、11…移載装置、12…搬入コンベヤ、13…搬出コンベヤ、13A…載置部、15…箱、15A…箱本体、15B…フラップ、15K…開口、16…袋、17,17S…積層容器列、18…容器、20…移動機構の一例としての多関節ロボット、30…ハンドユニット、40…間隔変更機構、50…吸引ユニット、51…シリンダ、52…吸引部、53…ファンユニット、54…吸引ダクト、55…排気ダクト、60…吸着部の一例としての吸着ヘッド、61…吸着面、62…吸引口、63…負圧室、64…シリンダ、65…押圧部材、66…可撓性部材、80…制御部、CL…連通部の一例としての間隙、C1…隙間(隙間流路)、F…流入気流、SF…吸引気流、S1…吸引口の開口面積、ΔS2…隙間流路の開口面積、X…幅方向(X方向)、Y…長手方向(Y方向)、Z…高さ方向(Z方向)。
図1
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図14