(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】おにぎり用包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20220912BHJP
B65D 65/10 20060101ALI20220912BHJP
B65D 75/62 20060101ALI20220912BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20220912BHJP
【FI】
B65D85/50 140
B65D65/10 A
B65D75/62 A
A23L7/10 F
(21)【出願番号】P 2018149030
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591016080
【氏名又は名称】株式会社スズパック
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【氏名又は名称】丸山 英之
(74)【代理人】
【識別番号】100214503
【氏名又は名称】田中 かおり
(72)【発明者】
【氏名】清水 渡
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-205798(JP,A)
【文献】特開2012-001258(JP,A)
【文献】登録実用新案第3067919(JP,U)
【文献】国際公開第2009/028742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 65/10
B65D 75/62
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側フィルムと、前記外側フィルムと外縁が接合されている内側フィルムと、前記外側フィルムと前記内側フィルムの間に設けられた食品収納部に封入されている汚れ防止シートとを備え、
前記汚れ防止シートは、前記食品収納部においてシート状食品と重ねて収納されると共に、前記シート状食品と前記外側フィルムの間に位置しており、さらに前記シート状食品と略同一形状であり、しかもその大きさが前記食品収納部の長手方向の80%以上であり、同じく短手方向の80%以上である矩形状としており、前記外側フィルムと前記内側フィルムが外縁で接合される接合部近傍まで配されており、
前記シート状食品が巻かれたおにぎり全体を前記汚れ防止シートで覆うようにしていることを特徴とするおにぎり用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム包装された海苔等のシート状食品が巻かれたおにぎりを食する場合、フィルムを開封してから食べ終わるまでの間、汚れた手で直接おにぎりに触れることを防ぐ汚れ防止シートを備えるおにぎり用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売されているおにぎりの包装材は、海苔などとおにぎりが直接的に接触しないように間にフィルムを介した状態で包装されている。したがって、おにぎりを食する際には包装フィルムを取り去り、おにぎりを海苔などで包んで食することができるため、海苔であればパリパリの海苔が巻かれたおにぎりを食することができる。
【0003】
そして、海苔が巻かれたおにぎりを、手が汚れていてもおにぎりを汚さずに食することができるように海苔とは異なるフィルム材が包装材に同封されていることもある。
【0004】
例えば、特許文献1には、そのようなフィルム材として、汚れ防止フィルム片6が、表面フィルム2に積層された開封用片3に点状の熱融着部10によって剥離可能に貼着されているお握り用包装袋が開示されている。当該段落における符号は特許文献1における符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のお握り用包装袋では、表面フィルム2と裏面フィルム4,5の間の収容空間に対して、汚れ防止フィルム片6はかなり大きいため、お握り用包装袋を搬送したり梱包したりしているときに、上下方向や左右方向に偏ってしまい使用者に気づかれずに使用されないことを防止するために、表面フィルム2に積層された開封用片3に点状の熱融着部10によって貼着し固定しているが、貼着するための設備を導入したり貼着する工程が必要であったりするので、手間もコストもかかるという問題があった。当該段落における符号は特許文献1における符号である。
【0007】
そのため、本発明において、包装材に汚れ防止シートを貼着する必要がなく、外側フィルムと内側フィルムの間で上下方向や左右方向に大きく偏り使用者に看過されることがないおにぎり用包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、外側フィルム1と、前記外側フィルム1と外縁が接合されている内側フィルム2と、前記外側フィルム1と前記内側フィルム2の間に設けられた食品収納部3に封入されている汚れ防止シート4とを備えている。前記汚れ防止シート4は、前記食品収納部3においてシート状食品6と重ねて収納されると共に、前記シート状食品6と前記外側フィルム1の間に位置しており、さらに前記シート状食品6と略同一形状であり、しかもその大きさが前記食品収納部3の長手方向の80%以上であり、同じく短手方向の80%以上である矩形状としており、前記外側フィルム1と前記内側フィルム2が外縁で接合される接合部J近傍まで配されており、前記シート状食品6が巻かれたおにぎり7全体を前記汚れ防止シート4で覆うようにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のおにぎり用包装材によれば、汚れ防止シートが、外側フィルムと内側フィルムが外縁で接合されている接合部近傍まで配されているため、包装材に汚れ防止シートを貼着する必要がなく、外側フィルムと内側フィルムの間で上下方向や左右方向に大きく偏り使用者に看過されることがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】おにぎり用包装材の外側フィルムの内側面(おにぎり設置側面)に汚れ防止シートを配置した状態の正面図である。
【
図4】
図3のA-A線断面を模式的に示した分解断面図である。
【
図5】本発明において、開封したおにぎり全体をシート状食品で被覆したのち、汚れ防止シートで覆っている状態を示す参考斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るおにぎり用包装材について、添付の図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。
【0015】
図1から
図5に示すように、本実施形態のおにぎり用包装材は、主として、外側フィルム1と、外側フィルム1と外縁が接合されている内側フィルム2と、外側フィルム1と内側フィルム2の間に設けられた食品収納部3と、食品収納部3に封入された汚れ防止シート4と、外側フィルム1の一方上端部側の中央付近に設けられた開封用片5などを備えている。
【0016】
外側フィルム1は、1枚のフィルムからなる部材である。外側フィルム1の外縁は内側フィルム2の外縁と接合され接合部Jを形成している。
図2、
図3に示すように、接合部Jは、外側フィルム1及び内側フィルム2の長手方向に沿って断続的に形成される複数の長手接合部J1と、同じく短手方向に沿って形成される短手接合部J2から成る。接合部Jにより、汚れ防止シート4及びシート状食品6を外部に飛び出さないように外側フィルム1と内側フィルム2との間で封入することができる。接合手段としては、熱による融着、接着剤による接着など種々の手段を用いることができる。
【0017】
図1から
図3に示すように、外側フィルム1は、上端部及び下端部の中央付近に2本の切込線11を備え、2本の切込線11によって挟まれた外側フィルム1の一部が、開封用片5として形成されている。
図1から
図3などに示すように、使用者は上端側の開封用片5を掴み下方へ引っ張ることによって、または下端側の開封用片5を掴み上方へ引っ張ることによって、外側フィルム1を引き裂くことができ、シート状食品6を容易に取り出すことができる。なお、本実施形態において、2本の切込線11によって挟まれた外側フィルム1の一部である開封用片5を用いて、外側フィルム1を開封しているが、他の実施形態において、2本の切込線11を入れずに、外側フィルム1の中央付近にミシン目を入れて左右方向に力を加えてミシン目を裂きシート状食品6を取り出すようにすることもできる。
【0018】
図1から
図3に示すように、外側フィルム1は、中央付近に上端部及び下端部の開封用片5を繋ぎ、所定間隔をあけた平行な2本のガイド線12を備える。
図1から
図3などに示すように、ガイド線12により、使用者は上端側又は下端側の開封用片5を掴み引っ張ることによって、2本のガイド線12に沿って直線状に外側フィルム1を引き裂くことができる。
【0019】
内側フィルム2は、2枚の内側フィルム2a、2bからなる部材であり、外側フィルム1に重合するため外側フィルム1と等しい形状からなる。また、内側フィルム2a、2bは、外側フィルム1の長手方向における中央付近において端縁部同士が重なるように設けられた一対のフィルムからなる。内側フィルム2a、2bが互いに重なり合う端縁部は、開封用片5に対向する位置にある。したがって、外側フィルム1が開封用片5によって分離され、分離した一方を掴み、他方を引っ張ると、外側フィルム1と接合している内側フィルム2も分離されるが、内側フィルム2a、2bが互いに重なり合う端縁部は接合されていないため、外側フィルム1と内側フィルム2を容易に分離することができ、シート状食品6を容易に取り出し、おにぎり7を巻くことができる。
【0020】
さらに、内側フィルム2a、2bの端縁部が開封用片5に対向する位置にあるため、上述のように、外側フィルム1と内側フィルム2を左右均一に分離することができ、使用者はシート状食品6を容易に取り出し、おにぎり7を巻くことができる。
【0021】
食品収納部3は、外側フィルム1と内側フィルム2の間に設けられ、長手接合部J1及び短手接合部J2によって囲まれた空間である。また、食品収納部3には汚れ防止シート4とシート状食品6が重ねて収納されている。具体的には、汚れ防止シート4は外側フィルム1側に、シート状食品6は内側フィルム2側に収納されている。このため、開封用片5を掴み引っ張って外側フィルム1を引き裂くと汚れ防止シート4が露出するために、使用者は直接シート状食品6に触れずに済むので衛生的である。
【0022】
汚れ防止シート4は、外側フィルム1と内側フィルム2が外縁で接合されている接合部J近傍まで配されている部材である。汚れ防止シート4の大きさとしては、
図2,
図3における食品収納部3の長手方向の50%以上であり、同じく短手方向の50%以上である矩形状であることがさらに好ましく、食品収納部3の長手方向の70%以上であり、同じく短手方向の70%以上である矩形状であることがさらに好ましく、食品収納部3の長手方向の80%以上であり、同じく短手方向の80%以上である矩形状であることが最も好ましい。このような汚れ防止シート4によって、食品収納部3において、汚れ防止シート4が上下方向や左右方向に大きく偏り使用者に看過されることがなく、また、開封用片5を掴み引っ張って外側フィルム1を引き裂くと汚れ防止シート4が必ず中央部には露出している状態となる。このため、
図5に示すように、汚れ防止シート4がシート状食品6の付着したおにぎり7を包み、使用者は汚れ防止シート4を介しておにぎりを掴むことができるため、衛生的におにぎりを食することができる。
【0023】
また、汚れ防止シート4は、食品収納部3においてシート状食品6と重ねて収納されているため、外側フィルム1と内側フィルム2が左右に分離されると、シート状食品6とおにぎりの間にある内側フィルム2が取り除かれ、シート状食品6がおにぎり7に付着し、使用者は汚れ防止シート4を介しておにぎりを掴むことができるため、衛生的におにぎりを食することができる。
【0024】
そして、汚れ防止シート4はシート状食品6と略同一形状である。このような汚れ防止シート4によって、使用者はシート状食品6が巻かれたおにぎり7を全体的につかむことができる。外側フィルム1と内側フィルム2を均一に剥がすことができない場合であっても、おにぎり7全体を覆う汚れ防止シート4を介しておにぎり7を掴むことができるため、使用者は衛生的におにぎりを食することができる。また、おにぎり7を食べている途中で食べきれないときには、汚れ防止シート4によって包んで持ち運ぶこともできる。
【0025】
汚れ防止シート4の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。また、シート状食品6などが視認できるように透明又は透光性であることが好ましい。さらに、必要に応じて着色したり、模様を付したりすることもできる。
【0026】
シート状食品6は、食品収納部3に収められている海苔や昆布などのシート状の食品である。シート状食品6は、食品収納部3に収められているためおにぎり7に直接的に接触していない。したがって、外側フィルム1と内側フィルム2が左右に分離されると同時に、シート状食品6とおにぎりの間にある内側フィルム2が引き出され、シート状食品6はおにぎり7に付着する。したがって、例えば、シート状食品6が海苔の場合、使用者はおにぎりを食する際に海苔のパリパリとした触感を楽しむことができる。
【0027】
本実施形態において、シート状食品6は使用されているが、他の実施形態において、シート状食品6は必ずしも使用される必要はない。例えば、かやくごはんのおにぎりや焼きおにぎりなど、海苔や昆布などのシート状食品6を巻かずに食するおにぎりも存在することから、シート状食品6は必要に応じて使用される部材である。
【0028】
おにぎり7は、おにぎり用包装材によって包まれる部材である。使用者はおにぎりを食する際に、外側フィルム1と内側フィルム2から汚れ防止シート4を取り外すことによって、おにぎり全体を、シート状食品6により覆い間接的に、またはシート状食品6を使用せずに直接的に汚れ防止シート4を介しておにぎりを掴むことができるため、衛生的におにぎりを食することができる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・外側フィルム
11・・・切込線
12・・・ガイド線
2、2a、2b・・・内側フィルム
3・・・食品収納部
4・・・汚れ防止シート
5・・・開封用片
6・・・シート状食品
7・・・おにぎり
J・・・接合部