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特許7138941ステロールO-アシルトランスフェラーゼ2(SOAT2)阻害活性を有する新規化合物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】ステロールO-アシルトランスフェラーゼ2(SOAT2)阻害活性を有する新規化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/22 20060101AFI20220912BHJP
   C12P 17/16 20060101ALI20220912BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
C07D491/22 CSP
C12P17/16
C12N1/14 A
A61K31/407
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P9/10 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018231046
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020093982
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-21
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-02827
(73)【特許権者】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】供田 洋
(72)【発明者】
【氏名】大城 太一
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-363184(JP,A)
【文献】特開平08-056688(JP,A)
【文献】特開平06-192264(JP,A)
【文献】特開昭59-095896(JP,A)
【文献】Shiomi, K.; Tabata, N.; Tomoda, H.; Huang, X. -H.; Yang, D. J.; Nishida, H.; Omura, S.; Takayanagi, H.,Structures and activities of terpendoles, ACAT inhibitors,Tennen Yuki Kagobutsu Toronkai Koen Yoshishu,1994年,36th,,33-40
【文献】Studies in mycology,2011年,68,79-113 ,doi: 10.3114/sim.2011.68.04.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C12P
C12N
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R1は、水素又はメチルであり、
R2は、水素であり
R 3は、水素であり、
R4及びR5は、いずれもヒドロキシルである。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、
式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ属菌BF-0440株(受託番号NITE P-02827)である微生物を培地中で培養して、式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させる、化合物蓄積工程;
化合物蓄積工程で得られた式(I)で表される化合物を前記微生物の培養物から精製する、化合物精製工程;
を含む、前記方法。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ属菌BF-0440株(受託番号NITE P-02827)である微生物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む、ステロールO-アシルトランスフェラーゼ2(SOAT2)阻害剤。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬。
【請求項6】
脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための、請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項8】
脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための、請求項7に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロールO-アシルトランスフェラーゼ2(以下、「SOAT2」とも記載する)阻害活性を有する新規化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心筋梗塞又は脳卒中等の死に直結する疾患へと発展するリスクが高い動脈硬化症及び脂質異常症の日本における患者数は、自覚症状のない予備軍を含めて、3000万人に上ると言われている。日本において、動脈硬化性疾患ガイドラインが改訂された現在も、前記のような疾患の進行過程を経た死は、死因の上位を占めている。動脈硬化症及び脂質異常症は、日本だけでなく、欧米諸国においても重大な健康問題となっている。
【0003】
現在、動脈硬化症及び/又は脂質異常症の予防治療薬としては、ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCo-A)(以下、「HMG-CoA」とも記載する)還元酵素を特異的に阻害する、スタチン系医薬品が主に用いられている。スタチン系医薬品は、2001年から8年連続して世界で最も多く販売されている医薬品であり、2008年度の売上高トップ30に2製品も入るほど、広く使用されている。
【0004】
しかし、現実には、スタチン系医薬品による治療では、治療を受けている患者の30~40%しか発症抑制効果が得られず、治療を受けている患者の半数では、心血管疾患等を抑制していないことが明らかとなってきた(非特許文献1)。動脈硬化症の予防治療薬であるスタチン系医薬品のようなHMG-CoA還元酵素阻害剤が、心血管疾患等を十分に抑制しない理由は、動脈硬化症の発症メカニズムが複雑であるためと考えられる。動脈硬化症は、遺伝的要因、糖尿病等の病歴、又は薬剤服用歴等のような様々な要因が関連して発症することが多いと考えられる。それ故、動脈硬化症及び/若しくは脂質異常症の予防又は治療には、個々の患者の病態に合わせた診断及び治療が必要となる。また、スタチン系医薬品とは作用機序が異なり、且つ冠状動脈における発症抑制及び/又は冠状動脈病変の退縮が期待できる、新しい作用機序を有する医薬品の開発が急務である。
【0005】
新しい作用機序を有する動脈硬化症及び/又は脂質異常症の予防治療薬の薬剤標的として、ステロールO-アシルトランスフェラーゼ(以下、「SOAT」とも記載する)が期待されている。SOATは、従来、コレステロールアシル転移酵素(以下、「ACAT」とも記載する)と呼称されていた酵素と同一の酵素を意味する(非特許文献2)。SOATは、コレステロールにアシル基を導入する酵素である。これまでに、多数の合成SOAT(又はACAT)阻害剤が開発されてきた。しかしながら、副作用の存在及び不十分な効果等の問題から、未だに臨床への実用化に結びついていない(非特許文献3)。
【0006】
SOATには、生体内での機能及び局在部位が異なる2種のアイソザイムである、SOAT1及びSOAT2が存在することが知られている(非特許文献4)。SOAT1は、生体内の多くの細胞又は組織に広く分布し、特にマクロファージ又は平滑筋細胞に高発現している。また、SOAT1は、動脈壁においては、動脈硬化症の原因となるマクロファージ泡沫化を引き起こすことが知られている。これに対し、SOAT2は、小腸又は肝臓に特異的に発現している。SOAT2は、それぞれの組織において、食餌性コレステロールの吸収及び超低密度リポタンパク質の分泌に関与していると考えられている。
【0007】
前記の通り、SOAT1及びSOAT2の生体内での機能の相違が知られている。このため、SOATを薬剤標的とした創薬においては、SOAT1及びSOAT2の選択性を明確にすることが重要となる。例えば、これまでに開発が中止された合成SOAT阻害剤は、SOAT1に対する選択的阻害活性(例えば、Wu-V-23及びK-604)、又はSOAT1及びSOAT2の両アイソザイムに対する阻害活性(例えば、アバシミベ及びパクチミベ)を有することが明らかとなった(非特許文献5)。これら合成SOAT阻害剤の開発は、いずれも副作用のために中止になっており、また、これまでのSOAT1ノックアウトマウスは、副作用を示した(非特許文献6及び7)。これらの事実に対し、SOAT2ノックアウトマウスは、抗動脈硬化作用を示した(非特許文献8)。それ故、動脈硬化症及び/又は脂質異常症(高脂血症、脂肪肝及び肥満症等を含む)の予防治療薬として、SOATのアイソザイムであるSOAT2に対する選択的阻害剤からの創薬が強く期待されている(非特許文献9)。
【0008】
SOAT2選択的阻害剤として、天然有機化合物であるピリピロペンA(非特許文献10)、及びピリピロペンAから半合成的手法によって得られたピリピロペンA誘導体群(特許文献1~3)が見出された。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた肝SOAT2ノックアウトマウスの抗動脈硬化作用(非特許文献11)、ピリピロペンAを用いた動物実験での抗動脈硬化作用(非特許文献12)、及びピリピロペンAの全合成(非特許文献13)の結果も報告された。
【0009】
特許文献4は、土壌から分離した新規真菌が産生する新規SOAT2選択的阻害剤として、式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2009/081957号
【文献】国際公開第2010/150739号
【文献】国際公開第2011/122468号
【文献】特開2018-115117号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】Libbyら, J. Am. Coll. Cardiol., 第46巻, 1225-1228頁, 2005年
【文献】Roth, Drug Discovery Today, 第3巻, 19-25頁, 1998年
【文献】Meuweseら, Curr. Opin. Lipidol., 第17巻, 426-431頁, 2006年
【文献】Changら, Acta. Biochim. Biophys. Sin., 第38巻, 151-156頁, 2006年
【文献】Farese, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 第26巻, 1684-1686頁、2006年
【文献】Yagyuら, J. Biol. Chem., 第275巻, 21324-21330頁, 2000年
【文献】Mccadら, J. Clin. Invest., 第105巻, 711-719頁, 2000年
【文献】Buhmanら, Nat. Med., 第6巻, 1341-1347頁, 2000年
【文献】Ohshiro & Tomoda, Future Med.Chem., 第3巻, 2039-2061頁, 2011年
【文献】Tomodaら, J. Antibiot., 第47巻, 148-153頁, 1994年
【文献】Bellら, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 第27巻, 1396-1402頁, 2007年
【文献】Ohshiroら, Arterioscler. Thromb. Vasc.Biol., 第31巻, 1108-1115頁, 2011年
【文献】Odaniら, Tetrahedron, 第67巻, 8195-8203頁, 2011年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記の通り、スタチン系化合物とは異なる作用機序に基づく動脈硬化症の予防治療薬として、ピリピロペンA等をリード化合物とする新規医薬化合物の開発が進められている。しかしながら、より有効性の高い医薬化合物を開発するために、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有し、且つ公知の医薬化合物とは異なる骨格構造を有する新規化合物が求められていた。
【0013】
それ故、本発明は、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有し、且つ公知の医薬化合物とは異なる骨格構造を有する新規化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、土壌から分離した新規ボルテラ属菌が、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有する化合物をその培養液中に産生することを見出した。本発明者らは、前記培養液中の化合物が、公知の医薬化合物とは異なる骨格構造を有する新規化合物であることを見出した。また、本発明者らは、当該ボルテラ属菌を用いる培養的手段によって前記化合物を製造できることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(1) 式(I):
【化1】
[式中、
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のアシルであり、
R2は、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであり、
但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく、
R3は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のアシルであり、
R4及びR5は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノである。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(2) R1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、又は置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニルである、前記実施形態(1)に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(3) R1が、水素であり、
R2が、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノである、前記実施形態(1)又は(2)に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(4) R2が、水素である、前記実施形態(1)~(3)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(5) R3が、水素である、前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(6) R4及びR5が、互いに独立して、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシである、前記実施形態(1)~(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(7) R1が、水素又はメチルであり、
R2が、水素であり、
R3が、水素であり、
R4及びR5が、いずれもヒドロキシルである、
前記実施形態(1)、(2)及び(4)~(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(8) 前記実施形態(1)~(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、
式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ属菌BF-0440株(受託番号NITE P-02827)又はその変異株である微生物を培地中で培養して、式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させる、化合物蓄積工程;
化合物蓄積工程で得られた式(I)で表される化合物を前記微生物の培養物から精製する、化合物精製工程;
を含む、前記方法。
(9) 前記実施形態(1)~(7)のいずれかに記載の式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ属菌BF-0440株(受託番号NITE P-02827)又はその変異株である微生物。
(10) 前記実施形態(1)~(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む、ステロールO-アシルトランスフェラーゼ2(SOAT2)阻害剤。
(11) 前記実施形態(1)~(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬。
(12) 脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための、前記実施形態(11)に記載の医薬。
(13) 前記実施形態(1)~(7)のいずれかに記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
(14) 脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための、前記実施形態(13)に記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様により、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有し、且つ公知の医薬化合物とは異なる骨格構造を有する新規化合物を提供することが可能となる。
【0017】
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0019】
<1. 新規化合物>
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C6アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても6個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシル等の直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキルを挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ペンテニル及び1-ヘキセニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルケニルを挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、1-ペンチニル及び1-ヘキシニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルキニルを挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3~C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3~C6シクロアルキルを挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC4~C6シクロアルケニルを挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC4~C6シクロアルキニルを挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等の3~6員のヘテロシクロアルキルを挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロヘキシルメチル及びシクロヘキセニルメチル等のC7~C11シクロアルキルアルキルを挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えば3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルを挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「アルコキシ」及び「アルコキシル」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシ及びアルコキシルは、限定するものではないが、例えばメトキシ又はメトキシル、エトキシ又はエトキシル、プロポキシ又はプロポキシル、ブトキシ又はブトキシル、ペントキシ又はペントキシル、及びヘキソキシ又はヘキソキシル等のC1~C6アルコキシ又はC1~C6アルコキシルを挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「シクロアルコキシ」及び「シクロアルコキシル」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシ及びシクロアルコキシルは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ又はシクロプロポキシル、シクロブトキシ又はシクロブトキシル及びシクロペントキシ又はシクロペントキシル等のC3~C6シクロアルコキシ又はC3~C6シクロアルコキシルを挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」及び「ヘテロシクロアルコキシル」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルコキシ及びヘテロシクロアルコキシルは、限定するものではないが、例えば3~6員のヘテロシクロアルコキシ又は3~6員のヘテロシクロアルコキシルを挙げることができる。
【0031】
本明細書において、「アリール」は、芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6~C18アリールを挙げることができる。
【0032】
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、ビフェニルメチル、テルフェニルメチル及びスチリル等のC7~C20アリールアルキルを挙げることができる。
【0033】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立してN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等の5~15員のヘテロアリールを挙げることができる。
【0034】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばピリジルメチル等の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルを挙げることができる。
【0035】
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6~C18アリールオキシを挙げることができる。
【0036】
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ、2-フェネチルオキシ及びスチリルオキシ等のC7~C20アリールアルキルオキシを挙げることができる。
【0037】
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等の5~15員のヘテロアリールオキシを挙げることができる。
【0038】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えば5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシを挙げることができる。
【0039】
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される一価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1~C6脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7~C20芳香族アシルを包含するC1~C20アシルを挙げることができる。
【0040】
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数個の前記で説明した一価基によってさらに置換することもできる。
【0041】
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を意味する。
【0042】
本発明の一態様は、式(I):
【化2】
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。
【0043】
本発明者らは、土壌から分離した新規ボルテラ属菌が、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有する化合物をその培養液中に産生することを見出した。本発明者らは、前記培養液中から、SOAT2に対する選択的阻害活性を有する新規化合物BF-0440A及びBF-0440Bを見出した。化合物BF-0440A及びBF-0440Bは、SOAT2に対して高い阻害活性を有する一方、SOAT1に対する阻害活性は低い。本態様の式(I)で表される化合物は、天然有機化合物BF-0440A及びBF-0440B、並びにその類縁化合物を包含する。それ故、本態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0044】
式(I)において、R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のアシルである。R1は、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルであることが好ましく;水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであることがより好ましく;水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、又は置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニルであることがさらに好ましく;水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであることがさらにより好ましく;水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであることが特に好ましく;水素又はメチルであることがとりわけ好ましい。R1が前記で例示した基である場合、本態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して特に高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0045】
式(I)において、R2は、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノである。但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではない。R2は、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであることが好ましく、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであることがより好ましく、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであることがさらに好ましく、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;水素、ヒドロキシル、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシであることがさらにより好ましく、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;水素、ヒドロキシル、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル又はヘキソキシルであることが特に好ましく、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;水素であることがとりわけ好ましい。R2が前記で例示した基である場合、本態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して特に高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0046】
一実施形態において、R1が水素の場合、R2は、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであることが好ましく、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであることがより好ましく;水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであることがさらに好ましく;水素、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシであることがさらにより好ましく;水素、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル又はヘキソキシルであることが特に好ましく;水素であることがとりわけ好ましい。R2が前記で例示した基である場合、本態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して特に高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0047】
式(I)において、R3は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のアシルである。R3は、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルであることが好ましく;水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであることがより好ましく;水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、又は置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニルであることがさらに好ましく;水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであることがさらにより好ましく;水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであることが特に好ましく;水素であることがとりわけ好ましい。R3が前記で例示した基である場合、本態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して特に高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0048】
式(I)において、R4及びR5は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノである。R4及びR5は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであることが好ましく;互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであることがより好ましく;互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであることがさらに好ましく;互いに独立して、水素、ヒドロキシル、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシであることがさらにより好ましく;互いに独立して、水素、ヒドロキシル、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル又はヘキソキシルであることが特に好ましく;R4及びR5が、いずれもヒドロキシルであることがとりわけ好ましい。R4及びR5が前記で例示した基である場合、本態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して特に高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0049】
式(I)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることがより好ましく、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、及び置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシからなる群より選択される少なくとも1個の一価基であることがさらに好ましく、ヒドロキシルであることが特に好ましい。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0050】
式(I)で表される化合物は、前記で例示されるR1、R2、R3、R4及びR5の任意の組み合わせによって定義される化合物を包含することができる。
【0051】
好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルであり;
R2が、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであり、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0052】
より好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであり;
R2が、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0053】
さらに好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、又は置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニルであり;
R2が、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、又は置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0054】
さらにより好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであり;
R2が、水素、ヒドロキシル、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシであり、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0055】
特に好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであり;
R2が、水素、ヒドロキシル、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル又はヘキソキシルであり、但し、R1が水素の場合、R2は、ヒドロキシルではなく;
R3が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル又はヘキソキシルである。
【0056】
とりわけ好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素又はメチルであり;
R2が、水素であり;
R3が、水素であり;
R4及びR5が、いずれもヒドロキシルである。
【0057】
特定の一実施形態において、好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素であり;
R2が、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであり;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、又は置換若しくは非置換のアミノであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0058】
特定の一実施形態において、より好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素であり;
R2が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0059】
特定の一実施形態において、さらに好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素であり;
R2が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、又は置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、又は置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0060】
特定の一実施形態において、さらにより好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素であり;
R2が、水素、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシであり;
R3が、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキニルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、又は置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシであり;
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0061】
特定の一実施形態において、特に好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素であり;
R2が、水素、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル又はヘキソキシルであり;
R3が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル又はヘキソキシルである。
【0062】
特定の一実施形態において、とりわけ好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、水素であり;
R2が、水素であり;
R3が、水素であり;
R4及びR5が、いずれもヒドロキシルである。
【0063】
とりわけ特に好ましい式(I)で表される化合物は、以下:
9-((3,3-ジメチルオキシラン-2-イル)メチル)-1,1,13b,13c-テトラメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)-1,4a,4b,6,7,7a,13b,13c,14,15,15a,16a-ドデカヒドロ-5bH-[1,3]ジオキシノ[5'',4'':2',3']オキシレノ[2'',3'':4',4a']クロメノ[5',6':6,7]インデノ[1,2-b]インドール-5b,8a,13a(8H,13H)-トリオール(BF-0440A);及び
9-((3,3-ジメチルオキシラン-2-イル)メチル)-13a-メトキシ-1,1,13b,13c-テトラメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)-1,4a,4b,6,7,7a,13,13a,13b,13c,14,15,15a,16a-テトラデカヒドロ-5bH-[1,3]ジオキシノ[5'',4'':2',3']オキシレノ[2'',3'':4',4a']クロメノ[5',6':6,7]インデノ[1,2-b]インドール-5b,8a(8H)-ジオール(BF-0440B);
である。本態様の式(I)で表される化合物が前記化合物である場合、該化合物は、SOAT2に対して特に高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0064】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の一態様の式(I)で表される化合物の塩としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、若しくは置換若しくは非置換のアンモニウムイオンのようなカチオンとの塩、又は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸若しくはリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸のような有機酸アニオンとの塩が好ましい。式(I)で表される化合物が前記の塩の形態である場合であっても、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0065】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。前記化合物又はその塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、水、或いは、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1~6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン又は酢酸エチルのような有機溶媒が好ましい。式(I)で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合であっても、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0066】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数個の官能基(例えばアミノ基、ヒドロキシル基又はカルボン酸基)に保護基が導入された形態を意味する。本明細書において、前記各式で表される化合物の保護形態を、前記各式で表される化合物の保護誘導体と記載する場合がある。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、アミノ基の保護基の場合、t-ブトキシカルボニル(Boc)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(BrZ)、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が、ヒドロキシル基の保護基の場合、シリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、又はアルコキシ(例えば、メトキシメトキシ(MOM)若しくはメトキシ(Me))が、カルボン酸基の保護基の場合、アルキルエステル(例えばメチル、エチル若しくはイソプロピルエステル)、アリールアルキルエステル(例えばベンジルエステル)、又はアミド(例えばオキサゾリジノン類とのアミド)が、それぞれ好ましい。前記保護基による保護化及び脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。本発明の一態様の式(I)で表される化合物が前記の保護基による保護形態である場合であっても、SOAT2阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる場合がある。
【0067】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物が1個又は複数個の互変異性体を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々の互変異性体の形態も包含する。
【0068】
また、本発明の一態様の式(I)で表される化合物が1個又は複数個の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物も包含する。
【0069】
前記特徴を有することにより、本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0070】
<2. 培養的手段による新規化合物の製造方法>
本発明者らは、新規糸状菌が、本発明の一態様の式(I)で表される化合物に包含される化合物BF-0440A及びBF-0440Bをその培養液中に産生することを見出した。それ故、本発明の別の一態様は、新規糸状菌を用いる本発明の一態様の式(I)で表される化合物を製造する方法に関する。
【0071】
本態様において、本発明の方法は、化合物蓄積工程及び化合物精製工程を含む。以下、各工程について、詳細に説明する。
【0072】
[2-1. 化合物蓄積工程]
本態様において、本発明の方法は、式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ(Volutella)属菌BF-0440株(受託番号NITE P-02827)又はその変異株である微生物を培地中で培養して、式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させる、化合物蓄積工程を含む。
【0073】
ボルテラ属菌BF-0440株は、日本国内より分離されたボルテラ属に属する新規糸状菌である。本菌株は、BF-0440として、2018年11月21日付にて、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に寄託されている(受託番号NITE P-02827)。
【0074】
本工程において、培養に使用される微生物は、式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ属菌BF-0440株又はその変異株であることが好ましく、ボルテラ属菌BF-0440株であることがより好ましい。本発明において、ボルテラ属菌BF-0440株の変異株は、ボルテラ属菌BF-0440株の自然変異株又は人工変異株を意味する。ボルテラ属菌BF-0440株の人工変異株は、当該技術分野で通常使用される任意の人工変異株の作出手段によって得ることができる。ボルテラ属菌BF-0440株自体だけでなく、ボルテラ属菌BF-0440株の変異株であっても、式(I)で表される化合物を産生する能力を有する微生物であれば、本工程において式(I)で表される化合物を培地中に蓄積することができる。それ故、前記微生物を使用することにより、式(I)で表される化合物を培地中に大量に蓄積させることができる。
【0075】
微生物の培養に使用される培地は、該微生物の性質に基づき適宜選択することができる。培地は、通常は、1個以上の炭素源及び1個以上の窒素源、並びに場合により1個以上の無機塩及び1個以上のビタミンを含有する。炭素源としては、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、デキストリン及びデンプン等の糖類、並びに大豆油等の植物性油脂類を挙げることができる。窒素源としては、ポリペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、大豆粉、綿実粉、コーン・スティーブ・リカー、カゼイン、アミノ酸、尿素、アンモニウム塩及び硝酸塩を挙げることができる。無機塩としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、銅イオン、コバルトイオン又は亜鉛イオン等のカチオンと、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸又はリン酸のような無機酸アニオンとの塩を挙げることができる。本工程において使用される培地は、例えば、ポテト・デキストロース・寒天(PDA)培地(ポテト・デキストロース・アガー 3.9%(Becton, Dickinson and Company))、種培地(グルコース 2.0% (和光純薬)、酵母エキス 0.2% (Becton, Dickinson and Company)、MgSO4・7H2O 0.05% (和光純薬)、ポリペプトン 0.5% (日本製薬)、KH2PO4 0.1% (和光純薬)、寒天 0.1% (Becton, Dickinson and Company)、精製水、pH無調整)、又は生産培地(ポテト・デキストロース・アガー 2.4 %(Becton, Dickinson and Company)、MgSO4・7H2O 0.05% (和光純薬)、KH2PO4 0.1% (和光純薬)、Mg3(PO4)2・8H2O 0.4% (和光純薬)、精製水、pH無調整、及び玄米 2 g/mL (カカシ米穀))が好ましい。前記培地中で、式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ属菌BF-0440株又はその変異株である微生物を培養することにより、式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させることができる。
【0076】
微生物の培養は、固体培養又は液体培養のいずれであってもよい。大スケールで前記微生物を培養する場合には、液体培養であることが好ましい。この場合、培養容器の振盪若しくはプロペラ等による培地の攪拌、又はポンプ等による空気の吹き込みによって培地中に通気することが好ましい。培地中に導入される空気は、滅菌フィルター等の滅菌手段を用いて滅菌することが好ましい。前記条件で微生物を培養することにより、式(I)で表される化合物を効率的に培地中に蓄積させることができる。
【0077】
大スケールで前記微生物を培養する場合、予め少量の培地中で前記微生物を培養(以下、「種培養」とも記載する)し、その後、種培養で得られた培養物を大容量の培地に植菌して培養(以下、「生産培養」とも記載する)することが好ましい。この場合、種培養及び生産培養に使用される培地の成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。種培養及び生産培養を含む複数段階の培養によって本工程を実施することにより、微生物の生育の遅延を実質的に抑制することができる。
【0078】
本工程において、微生物を培養する条件は、該微生物の性質に基づき適宜設定することができる。培養温度は、通常は25~27℃の範囲であり、典型的には約27℃である。培地のpHは、通常はpH3~9であり、典型的にはpH5.6である。培養期間は、液体培地を振盪培養する場合、種培養及び生産培養の合計として、通常は1日間~3週間であり、典型的には3~17日間である。前記条件で微生物を培養することにより、式(I)で表される化合物を効率的に培地中に蓄積させることができる。
【0079】
[2-2. 化合物蓄積工程]
本態様において、本発明の方法は、化合物蓄積工程で得られた式(I)で表される化合物を前記微生物の培養物から精製する、化合物精製工程を含むことが必要である。
【0080】
本工程において、式(I)で表される化合物を微生物の培養物から精製する手段としては、当該技術分野で通常使用される有機化合物の分離法を使用することができる。式(I)で表される化合物を微生物の培養物から精製する手段としては、例えば、抽出、濾過、遠心分離、吸着、再結晶、蒸留、及び各種クロマトグラフィー等を挙げることができる。好ましくは、本工程は、化合物蓄積工程で得られた微生物の培養物から濾過又は遠心分離等によって菌体を分離する工程、分離した菌体をエタノール又は酢酸エチル等の有機溶媒で抽出する工程、及び有機溶媒で抽出した菌体抽出物を溶媒抽出又は分取クロマトグラフィー等の手段でさらに分離して、式(I)で表される化合物を得る工程を含む。前記分取クロマトグラフィーとしては、吸着、順相若しくは逆相分配、又はゲル濾過等の各種クロマトグラフィーを適用することができる。最終工程において、分取クロマトグラフィーで得られた画分を、例えば再結晶又は蒸留等の手段でさらに精製してもよい。前記各工程は、所望により同一又は異なる条件下で複数回繰り返してもよい。前記手段を用いることにより、式(I)で表される化合物を微生物の培養物から精製し単離することができる。
【0081】
本態様の培養的手段による本発明の化合物の製造方法において、式(I)で表される化合物は、前記で例示した基R1、R2、R3、R4及びR5を有することが好ましい。この場合、式(I)で表される化合物は、ボルテラ属菌BF-0440株が産生する化合物BF-0440A及びBF-0440Bを包含する。本態様の方法を用いることにより、化合物BF-0440A及びBF-0440Bに対応する式(I)で表される化合物を効率的に製造することができる。
【0082】
以上の特徴を有する本態様の培養的手段による本発明の化合物の製造方法により、医薬の有効成分となり得る本発明の一態様の式(I)で表される化合物を、高純度且つ低コストで大量に提供することができる。
【0083】
本発明の別の一態様は、本発明の一態様の式(I)で表される化合物を産生する能力を有するボルテラ属菌BF-0440株(受託番号NITE P-02827)又はその変異株である微生物に関する。本態様において、式(I)で表される化合物は、前記で例示した基R1、R2、R3、R4及びR5を有することが好ましい。本態様の微生物を用いることにより、化合物BF-0440A及びBF-0440Bに対応する式(I)で表される化合物を効率的に製造することができる。
【0084】
<3. 医薬用途>
本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有する。それ故、本発明の別の一態様は、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含むSOAT2阻害剤に関する。また、本発明の一態様の式(I)で表される化合物を対象に投与した場合、SOAT2阻害活性を介して、該対象の有する特定の症状、疾患若しくは障害を予防又は治療し得る。それ故、本発明の別の一態様は、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む骨代謝阻害剤、医薬又は医薬組成物に関する。
【0085】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2阻害活性は、限定するものではないが、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の小腸又は肝臓から調製したミクロソーム画分をSOAT2酵素タンパク質の酵素源として、本発明の一態様の式(I)で表される化合物の存在下で該酵素源によるアシル基転移反応の進行を定量的に測定することにより、決定することができる。SOAT2酵素タンパク質の酵素源は、前記ヒト又は非ヒト哺乳動物のSOAT2を高発現させた培養細胞から調製したミクロソーム画分であってもよい。アシル基転移反応の進行は、例えば、放射性同位元素等で標識した基質(オレオイルコエンザイムA)を用いて測定することができる。
【0086】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT1阻害活性は、限定するものではないが、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)のマクロファージから調製したミクロソーム画分をSOAT1酵素タンパク質の酵素源として、本発明の一態様の式(I)で表される化合物の存在下で該酵素源によるアシル基転移反応の進行を定量的に測定することにより、決定することができる。SOAT1酵素タンパク質の酵素源は、前記ヒト又は非ヒト哺乳動物のSOAT1を高発現させた培養細胞から調製したミクロソーム画分であってもよい。アシル基転移反応の進行は、例えば、放射性同位元素等で標識した基質(オレオイルコエンザイムA)を用いて測定することができる。
【0087】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2に対する選択的阻害活性は、該化合物のSOAT1阻害活性及びSOAT2阻害活性に基づき、決定することができる。本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2に対する選択的阻害活性は、限定するものではないが、例えば、SOAT1活性又はSOAT2活性を50%阻害する該化合物の濃度(SOAT1に対するIC50又はSOAT2に対するIC50)を決定し、SOAT2阻害に対する選択性(SI値)を、以下の式に基づき算出することにより、決定することができる。
SI=log[(SOAT1に対するIC50)/(SOAT2に対するIC50)]
【0088】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、前記手順により決定したSOAT2阻害活性のIC50値が、通常は10 μM以下、典型的には1 μM以下、特に0.5 μM以下、とりわけ0.1 μM以下である。また、本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、前記手順により決定したSOAT2阻害に対するSI値が、通常は0.1を超える値であり、典型的には0.2以上、特に0.45以上、とりわけ1以上である。前記範囲のIC50値及び/又はSI値を有する場合、本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を発現することができる。
【0089】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物も包含する。本発明の一態様の式(I)で表される化合物の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物としては、限定するものではないが、例えば、前記で例示した塩又は溶媒和物が好ましい。式(I)で表される化合物が前記の製薬上許容される塩又は製薬上許容される溶媒和物の形態である場合、SOAT2阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を所望の医薬用途に適用することができる。
【0090】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物のプロドラッグ形態も包含する。本明細書において、「プロドラッグ」は、生体内で親薬物に変換される化合物を意味する。前記化合物のプロドラッグ形態としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基が存在する場合、該ヒドロキシル基と任意のカルボン酸とのエステル、及び該ヒドロキシル基と任意のアミンとのアミド等を、例えば、アミノ基が存在する場合、該アミノ基と任意のカルボン酸とのアミド等を、挙げることができる。本発明の一態様の式(I)で表される化合物が前記のプロドラッグ形態である場合、親薬物である式(I)で表される化合物のSOAT2阻害活性を実質的に低下させることなく、対象へのプロドラッグ形態の投与時の薬物動態を向上させることができる。
【0091】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、該化合物を単独で使用してもよく、1種以上の製薬上許容される成分と組み合わせて使用してもよい。本態様の医薬は、所望の投与方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本態様の医薬はまた、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物の形態で提供されることもできる。本態様の医薬組成物は、前記成分に加えて、製薬上許容される1種以上の媒体(例えば、滅菌水のような溶媒又は生理食塩水のような溶液)、賦形剤、結合剤、ビヒクル、溶解補助剤、防腐剤、安定剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、乳化剤、油性液(例えば、植物油)、懸濁剤、緩衝剤、無痛化剤、酸化防止剤、甘味剤及び香味剤等を含んでもよい。
【0092】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬の剤形は、特に限定されず、非経口投与に使用するための製剤であってもよく、経口投与に使用するための製剤であってもよい。また、本態様の医薬の剤形は、単位用量形態の製剤であってもよく、複数投与形態の製剤であってもよい。非経口投与に使用するための製剤としては、例えば、水若しくはそれ以外の製薬上許容される媒体との無菌性溶液又は懸濁液等の注射剤を挙げることができる。注射剤に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、生理食塩水、ブドウ糖若しくはその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、D-マンノース若しくは塩化ナトリウム)を含む等張液のようなビヒクル、アルコール(例えばエタノール若しくはベンジルアルコール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール)若しくはエステル(例えば安息香酸ベンジル)のような溶解補助剤、ポリソルベート80(商標)又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のような非イオン性界面活性剤、ゴマ油又は大豆油のような油性液、リン酸塩緩衝液又は酢酸ナトリウム緩衝液のような緩衝剤、塩化ベンザルコニウム又は塩酸プロカインのような無痛化剤、ヒト血清アルブミン又はポリエチレングリコールのような安定剤、保存剤、並びに酸化防止剤等を挙げることができる。調製された注射剤は、通常、適当なバイアル(例えばアンプル)に充填され、使用時まで適切な環境下で保存される。
【0093】
経口投与に使用するための製剤としては、例えば、錠剤、丸薬、散剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液等を挙げることができる。錠剤は、所望により、糖衣又は溶解性被膜を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠又はフィルムコーティング錠の剤形として製剤してもよく、或いは二重錠又は多層錠の剤形として製剤してもよい。
【0094】
錠剤又はカプセル剤等に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム又はアラビアゴムのような結合剤;結晶性セルロース、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン又はケイ酸のような賦形剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉又は乳糖のような崩壊剤;白糖、ステアリンカカオバター又は水素添加油のような崩壊抑制剤;第四級アンモニウム塩又はラウリル硫酸ナトリウムのような吸収促進剤;グリセリン又はデンプンのような保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト又はコロイド状ケイ酸のような吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウム)、ホウ酸末又はポリエチレングリコールのような潤滑剤;ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤;及びペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤等を挙げることができる。製剤がカプセル剤の場合、さらに油脂のような液状担体を含有してもよい。
【0095】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、デポー製剤として製剤化することもできる。この場合、デポー製剤の剤形の本態様の医薬を、例えば皮下若しくは筋肉に埋め込み、又は筋肉注射により投与することができる。本態様の医薬をデポー製剤に適用することにより、本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2阻害活性を、長期間に亘って持続的に発現することができる。
【0096】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、医薬として有用な1種以上の他の薬剤と併用することもできる。本発明の一態様の式(I)で表される化合物と併用される他の薬剤としては、限定するものではないが、例えば、スタチン系医薬品(例えば、アトロバスタチン)、並びにピリピロペンA及びその類縁体若しくは誘導体等を挙げることができる。この場合、本態様の医薬は、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを含む併用医薬の形態となる。前記併用医薬は、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物の形態であってもよく、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を含む、1種以上の前記他の薬剤と併用される医薬組成物の形態であってもよい。本態様の医薬が前記のような併用医薬の形態である場合、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の他の薬剤とを含む、単一製剤の形態で提供されてもよく、1種以上の他の薬剤とが別々に製剤化された複数の製剤を含む医薬組合せ又はキットの形態で提供されてもよい。医薬組合せ又はキットの形態の場合、それぞれの製剤を同時又は別々に(例えば連続的に)投与することができる。
【0097】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、SOAT2が関与する種々の症状、疾患及び/又は障害を、同様に予防又は治療することができる。前記症状、疾患及び/又は障害としては、限定するものではないが、例えば、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症を挙げることができる。前記症状、疾患及び/又は障害は、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の疾患、症状又は障害であることが好ましい。前記疾患、症状若しくは障害の予防又は治療を必要とする対象に本態様の医薬を投与することにより、前記疾患、症状若しくは障害を予防又は治療することができる。
【0098】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、SOAT2が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする様々な対象に適用することができる。前記対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の被験体又は患者であることが好ましい。前記対象に本態様の医薬を投与することにより、該対象におけるSOAT2が関与する種々の症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0099】
本明細書において、「予防」は、症状、疾患及び/又は障害の発生(発症又は発現)を実質的に防止することを意味する。また、本明細書において、「治療」は、発生(発症又は発現)した症状、疾患及び/又は障害を抑制(例えば進行の抑制)、軽快、修復及び/又は治癒することを意味する。
【0100】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、前記で説明したSOAT2が関与する症状、疾患及び/又は障害(例えば、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝又は肥満症)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本態様の医薬は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用するための医薬であることが好ましく、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用するための医薬であることがより好ましい。本態様の医薬を、SOAT2が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0101】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝又は肥満症)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の別の一態様は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、有効量の本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を投与することを含む、前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療方法である。前記症状、疾患及び/又は障害は、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の症状、疾患及び/又は障害であることが好ましい。SOAT2が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、本発明の一態様の式(I)で表される化合物を投与することにより、本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0102】
本発明の別の一態様は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝又は肥満症)の予防又は治療に使用するための、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物である。本発明の別の一態様は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝又は肥満症)の予防又は治療に用いるための医薬の製造のための、本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用である。前記症状、疾患及び/又は障害は、脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の症状、疾患及び/又は障害であることが好ましい。本発明の一態様の式(I)で表される化合物を、SOAT2が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0103】
本発明の一態様の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬を、対象、特にヒト患者に投与する場合、正確な用量及び用法(例えば、投与量、投与回数及び/又は投与経路)は、対象の年齢、性別、予防又は治療されるべき症状、疾患及び/又は障害の正確な状態(例えば重症度)、並びに投与経路等の多くの要因を鑑みて、担当医が治療上有効な投与量、投与回数及び投与経路等を考慮して、最終的に決定すべきである。それ故、本態様の医薬において、有効成分である式(I)で表される化合物は、治療上有効な量及び回数で、対象に投与される。例えば、本態様の医薬をヒト患者に投与する場合、有効成分である式(I)で表される化合物の投与量は、通常は、1回投与あたり、0.001~100 mg/kg体重の範囲であり、典型的には、1回投与あたり、0.01~10 mg/kg体重の範囲であり、特に、1回投与あたり、0.1~10 mg/kg体重の範囲である。また、本態様の医薬の投与回数は、例えば、1日に1回又は複数回、或いは数日に1回とすることができる。また、本態様の医薬の投与経路は、特に限定されず、経口的に投与されてもよく、非経口的(例えば、直腸内、径粘膜、腸内、筋肉内、皮下、骨髄内、鞘内、直接心室内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内又は眼内)に単回若しくは複数回投与されてもよい。本態様の医薬を、前記の用量及び用法で使用することにより、本発明の一態様の式(I)で表される化合物のSOAT2阻害活性を介して、SOAT2が関与する前記症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【実施例
【0104】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0105】
<I. 培養的手段による新規化合物の製造>
[BF-0440株の分離]
BF-0440株は、日本国静岡県の土壌より分離された糸状菌である。BF-0440株の形態的特徴、培養性状及び生理的性状に基づき、公知菌種との比較を行った。その結果、本菌株は、ボルテラ(Volutella)属に属する新規糸状菌株であることが明らかとなった。本菌株を、BF-0440株と命名した。本菌株は、BF-0440として、2018年11月21日付にて、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に寄託されている(受託番号NITE P-02827)。BF-0440株の菌学的性質は、以下の通りである。
【0106】
1. 形態的特徴
BF-0440株は、PDA培地等の栄養寒天培地等の培地で良好に生育した。PDA培地上で、27℃、好気的条件下で2週間生育させたコロニーを顕微鏡で観察したところ、コロニーの表面は、ビロード状から羊毛状であり、一部は束状の性状であった。さらに微視的に観察したところ、栄養菌糸から直立した多数の分生子柄が束状に集合し(分生子柄束)、その先端に黄色から黄クリーム色の粘性の分生子塊を形成していた。複数分岐した分生子柄の先端部に形成される分生子形成細胞(フィアライド)から、分生子が形成されていた。分生子は、フィアロ型分生子であり、長楕円形、1細胞且つ無色であった。
【0107】
2. 培養性状
PDA培地上で、27℃、好気的条件下で2週間生育させたBF-0440株のコロニーの表面は、クリーム色から淡黄色であり、裏面は褐色から黄褐色からクリーム色であった。また、水溶性色素による培地の着色は認められなかった。
【0108】
3. DB-FU10.0及び国際塩基配列データベースに対するBLAST相同検索
28S rDNA-D1D2塩基配列は、子嚢菌門の一種のボルテラ・シトリネラ(Volutella citrinella) DAOM 226720(アクセッション番号HQ897821)の塩基配列と、相同率99.6%を示した。また、ITS-5.8 rDNA塩基配列は、子嚢菌門の一種のボルテラ属で構成される系統樹に含まれ、ボルテラ・シトリネラ DAOM 226720(アクセッション番号HQ897821)の塩基配列と、相同率100%を示した。
【0109】
4. 生理的性状
BF-0440株の最適生育条件は、好気性条件、pH5.6±0.2、温度27℃であった。また、本菌株の生育可能条件は、好気性条件、静置培養、pH3~9の範囲、温度25~27℃の範囲、培養期間1~3週間の範囲であった。
【0110】
[製造例I-1:BF-0440株の培養]
ポテト・デキストロース・寒天培地(ポテト・デキストロース・アガー 3.9%(Becton, Dickinson and Company))で培養したBF-0440株を、種培地(グルコース 2.0% (和光純薬)、酵母エキス 0.2% (Becton, Dickinson and Company)、MgSO4・7H2O 0.05% (和光純薬)、ポリペプトン 0.5% (日本製薬)、KH2PO4 0.1% (和光純薬)、寒天 0.1% (Becton, Dickinson and Company)、精製水、pH無調整)100 mLを分注した500 mL容三角フラスコに一白金耳摂取し、27℃で3日間、ロータリーシェーカー (200 rpm) で培養した(種培養)。その後、培養物を、25 mLの生産培地(ポテト・デキストロース・アガー 2.4 %(Becton, Dickinson and Company)、MgSO4・7H2O 0.05% (和光純薬)、KH2PO4 0.1% (和光純薬)、Mg3(PO4)2・8H2O 0.4% (和光純薬)、精製水、pH無調整)及び玄米 50 g(カカシ米穀)を含む1 L容カルチャーボトル (25 本) に、10 mLの量で植菌し、27℃で14日間、静置培養した(生産培養)。
【0111】
[製造例I-2: BF-0440株の培養液からの新規化合物BF-0440Aの精製]
製造例I-1で得られた培養液(35 mL×25本)に、70%エタノール(2.5 L)を加え、1時間攪拌して、菌体抽出液を得た。減圧下で、菌体抽出液から溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル(2.5 L)で抽出した。減圧下で、抽出液から溶媒を留去し、茶褐色の粗物質(2.5 g)を得た。この粗物質(2.5 g)を、ODSカラム(ODS 114 g)を用いて精製した。40%、60%、80%、及び100% アセトニトリル水溶液の各混合溶媒を展開溶媒とするODSクロマトグラフィーを行った。溶出液は、各溶媒条件について300 mLを2画分ずつ(40%-1及び-2、60%-1及び-2、80%-1及び-2、並びに100%-1及び-2画分)分画した。80%アセトニトリル溶出液の第1画分(80%-1画分)を減圧下で濃縮し、茶褐色物質(183 mg)を得た。これを少量のメタノールに溶解し、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(カラム:PEGASIL ODS SP100、20 φ× 250 mm、センシュー科学)を用いて精製した。分取HPLCによる精製では、70%アセトニトリル水溶液を移動相として用いて、溶出液を、8 mL/分の流速において溶出した。溶出液は、UV 210 nmにおける吸収をモニターした。溶出液の活性試験の結果、保持時間 30分に活性を示すピークを観察した。このピークを分取した。分取液を、減圧下濃縮し、白色粉末の化合物BF-0440Aを、収量 37.6 mgで単離した。
【0112】
[化合物BF-0440A]
(1)性状:白色粉末
(2)分子式:C37H51N1O8
ESI-MS (m/z) [M+Na]+ 計算値 660.3512、実測値 660.3515
(3)分子量:637
EI-MS(m/z) [M+Na]+660、[M-H]- 636を観測
(4)紫外部吸収スペクトル:メタノール溶液中で測定:
λmax (MeOH, ε):251 (3.2)、303 (2.6)に吸収
(5)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤法で測定:
νmax 2931、1601、1460、1385、1119 cm-1等に特徴的な吸収極大
(6)比旋光度:[α]D 27 -11.2 (c= 0.1、メタノール)
(7)溶剤に対する溶解性:メタノール、クロロホルム、酢酸エチル及び
ジメチルスルホキシドに可溶
(8)プロトン及びカーボン核磁気共鳴スペクトル:重ジメチルスルホキシド中で、バリアン社製 400 MHz 核磁気共鳴スペクトロメーターで測定した水素の化学シフト(ppm)及び炭素の化学シフト(ppm)は下記に示す通り:
δH:0.84 (3H), 1.12 (3H), 1.21 (3H), 1.22 (3H), 1.24 (3H), 1.29 (3H), 1.30 (2H), 1.40 (2H), 1.42 (1H), 1.55 (1H), 1.65 (3H), 1.65 (3H), 1.72 (1H), 2.00 (1H), 2.01 (1H), 2.29 (1H), 2.40 (1H), 2.76 (1H), 2.84 (1H), 2.92 (1H), 3.36 (1H), 3.47 (1H), 4.01 (1H), 4.10 (1H), 4.12 (1H), 4.55 (1H), 5.07 (1H), 5.10 (1H), 5.50 (1H), 6.23 (1H), 6.25 (1H), 6.33 (1H), 6.86 (1H) ppm
δC:13.6, 16.7, 18.4, 18.9, 20.7, 21.6, 24.6, 25.0, 25.8, 26.7, 28.3, 28.3, 30.2, 38.3, 42.9, 44.0, 54.4, 57.8, 60.2, 63.3, 67.8, 70.2, 70.9, 71.0, 74.1, 77.9, 85.5, 92.0, 101.6, 104.8, 115.9, 122.6, 128.9, 129.7, 134.8, 137.4, 150.6 ppm。
【0113】
前記物理化学的性状及びスペクトルデータを詳細に検討した結果、化合物BF-0440Aを、下記の式で表される構造を有する9-((3,3-ジメチルオキシラン-2-イル)メチル)-1,1,13b,13c-テトラメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)-1,4a,4b,6,7,7a,13b,13c,14,15,15a,16a-ドデカヒドロ-5bH-[1,3]ジオキシノ[5'',4'':2',3']オキシレノ[2'',3'':4',4a']クロメノ[5',6':6,7]インデノ[1,2-b]インドール-5b,8a,13a(8H,13H)-トリオールであると構造決定した。
【化3】
【0114】
[製造例I-3: BF-0440株の培養液からの新規化合物BF-0440Bの精製]
製造例I-1で得られた培養液(35 mL×25本)に、70%エタノール(2.5 L)を加え、1時間攪拌して、菌体抽出液を得た。減圧下で、菌体抽出液から溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル(2.5 L)で抽出した。減圧下で、抽出液から溶媒を留去し、茶褐色の粗物質(2.5 g)を得た。この粗物質(2.5 g)を、ODSカラム(ODS 114 g)を用いて精製した。40%、60%、80%、及び100% アセトニトリル水溶液の各混合溶媒を展開溶媒とするODSクロマトグラフィーを行った。溶出液は、各溶媒条件について300 mLを2画分ずつ(40%-1及び-2、60%-1及び-2、80%-1及び-2、並びに100%-1及び-2画分)分画した。80%アセトニトリル溶出液の第1画分(80%-1画分)を減圧下で濃縮し、茶褐色物質(183 mg)を得た。これを少量のメタノールに溶解し、分取HPLC(カラム:PEGASIL ODS SP100、20 φ× 250 mm、センシュー科学)を用いて精製した。分取HPLCによる精製では、70%アセトニトリル水溶液を移動相として用いて、溶出液を、8 mL/分の流速において溶出した。溶出液は、UV 210 nmにおける吸収をモニターした。溶出液の活性試験の結果、保持時間 45分に活性を示すピークを観察した。このピークを分取した。分取液を、減圧下濃縮し、白色粉末の化合物BF-0440Bを、収量 11 mgで単離した。
【0115】
[化合物BF-0440B]
(1)性状:白色粉末
(2)分子式:C38H53N1O8
ESI-MS (m/z) [M+Na]+計算値 674.3669、実測値 674.3662
(3)分子量:651
EI-MS(m/z) [M+ Na]+ 674を観測
(4)紫外部吸収スペクトル:メタノール溶液中で測定:
λmax (MeOH, ε):250 (3.2)、306 (2.7)に吸収
(5)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤法で測定:
νmax 3546、2929、1606、1461、1381、1080 cm-1 等に特徴的な吸収極大
(6)比旋光度:[α]D 25 -17.5(c= 0.1、メタノール)
(7)溶剤に対する溶解性:メタノール、クロロホルム、酢酸エチル及び
ジメチルスルホキシドに可溶
(8)プロトン及びカーボン核磁気共鳴スペクトル:重ジメチルスルホキシド中で、バリアン社製 600 MHz 核磁気共鳴スペクトロメーターで測定した水素の化学シフト(ppm)及び炭素の化学シフト(ppm)は下記に示す通り:
δH:0.82 (3H), 1.12 (3H), 1.19 (3H), 1.21 (3H), 1.24 (3H), 1.29 (2H), 1.29 (3H), 1.37 (2H), 1.55 (1H), 1.65 (1H), 1.65 (3H), 1.65 (3H), 1.96 (1H), 2.00 (1H), 2.25 (2H), 2.56 (1H), 2.78 (1H), 2.82 (1H), 2.92 (1H), 3.14 (3H), 3.36 (1H), 3.49 (1H), 4.00 (1H), 4.12 (1H), 4.13 (1H), 4.72 (1H), 5.10 (1H), 5.51 (1H), 6.31 (1H), 6.34 (1H), 6.37 (1H), 6.87 (1H) ppm
δC:14.0, 16.7, 18.4, 18.9, 20.9, 21.7, 24.6, 25.1, 25.9, 26.7, 28.3, 28.4, 30.3, 38.0, 44.1, 45.0, 50.6, 55.5, 57.8, 60.2, 63.3, 67.9, 70.2, 70.9, 71.0, 74.1, 78.1, 86.9, 92.0, 104.9, 106.1, 116.2, 122.6, 128.7, 130.5, 134.5, 137.5, 150.4 ppm。
【0116】
前記物理化学的性状及びスペクトルデータを詳細に検討した結果、化合物BF-0440Bを、下記の式で表される構造を有する9-((3,3-ジメチルオキシラン-2-イル)メチル)-13a-メトキシ-1,1,13b,13c-テトラメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)-1,4a,4b,6,7,7a,13,13a,13b,13c,14,15,15a,16a-テトラデカヒドロ-5bH-[1,3]ジオキシノ[5'',4'':2',3']オキシレノ[2'',3'':4',4a']クロメノ[5',6':6,7]インデノ[1,2-b]インドール-5b,8a(8H)-ジオールであると構造決定した。
【化4】
【0117】
<II. 新規化合物の薬理試験>
前記の手順で製造された試験化合物(化合物BF-0440A及び化合物BF-0440B)について、下記の手順でSOAT1阻害活性及びSOAT2阻害活性を調査した。
【0118】
[II-1:SOAT1及びSOAT2酵素タンパク質の調製方法]
SOAT1及びSOAT2酵素タンパク質の調製は、Uelmenらの方法(Uelmenら, J. Biol. Chem., 第270巻, 26192-26210頁, 1995年)を一部改変して行った。SOAT1酵素タンパク質の抽出源としては、マウスマクロファージミクロソーム由来の膜画分を用いた。SOAT2酵素タンパク質の抽出源としては、マウス肝臓ミクロソーム由来の膜画分を用いた。マウスマクロファージ及びマウス肝臓を、緩衝液A[50 mMトリス塩酸緩衝溶液(pH 7.8)、1 mMエチレンジアミン四酢酸及び1 mMフェニルメタンスルフォニルフルオリド]中で、ポッター型ホモジナイザー(Tokyo-RIKO社製)を用いて、それぞれホモジナイズした。これらを、12000×gで遠心し、それぞれの上清を、100,000×gで超遠心した。得られた沈渣を、マウスマクロファージミクロソーム画分及びマウス肝臓ミクロソーム画分とした。これらの画分を、5 mg/mlのタンパク質濃度となるように緩衝液Aで調製して、SOAT1酵素タンパク質及びSOAT2酵素タンパク質の酵素源を得た。
【0119】
[II-2:SOAT1阻害活性及びSOAT2阻害活性の測定方法]
SOAT1活性及びSOAT2活性の測定は、下記の手順で行った。200μgタンパク質量の前記酵素源、200 mM牛血清アルブミン及び[1-14C]オレオイルコエンザイムA(最終濃度170 μM, 0.09 μCi)と、所定量の各試験化合物を含む試料とを緩衝液Aに加えて、全量を200 μlに調節して、反応溶液を得た。前記反応溶液を、37℃で5分間インキュベートして反応させた。前記試料の代わりに、10 μlのメタノールを加えて調製した反応溶液を、コントロールの反応溶液とした。
【0120】
インキュベート後、反応溶液に、1.2 mlクロロホルム/メタノール(1:2)溶液を加えて反応を停止させた。反応停止後の反応溶液から、Blish & Dyer法(Blish & Dyer, Can. J. Biochem. Physiol., 第37巻, 911-917頁, 1959年)にしたがって、脂質を回収した。得られたクロロホルム層を乾固した。乾固したクロロホルム層を、薄層クロマトグラフィー(TLC)用プレート(シリカゲルプレート、厚さ0.5 mm、メルク社製)にスポットし、ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(70:30:1, v/v)の溶媒で展開して分離した。次に、BAS2000バイオイメージアナライザー(富士フィルム社製)を用いて、TLCプレート上で分離された[14C]コレステリルオレートを定量した。各試験化合物を含む試料の測定結果を、コントロールの測定結果と比較することにより、各試験化合物のSOAT1阻害率又はSOAT2阻害率を以下の式に基づき算出した。なお、前記[14C]コレステリルオレートの定量においては、何もスポットしていないTLCプレート上の放射活性を、バックグラウンド値とした。
【数1】
【0121】
前記手順で算出した阻害率から、SOAT1活性又はSOAT2活性を50%阻害する各試験化合物の濃度(SOAT1に対するIC50又はSOAT2に対するIC50)を決定した。また、SOAT2阻害に対する選択性(SI値)を、以下の式に基づき算出した。
SI=log[(SOAT1に対するIC50)/(SOAT2に対するIC50)]
【0122】
試験化合物のSOAT1阻害率、SOAT2阻害率及びSI値の結果を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
公知のSOAT2選択的阻害剤であるピリピロペンAは、試験II-2と同様の試験において、0.1 μM超且つ1 μM以下の範囲のSOAT2に対するIC50値、及び1のSI値を示すことが知られている(特許文献1)。それ故、化合物BF-0440A及びBF-0440B、特に化合物BF-0440Bは、ピリピロペンAと同程度又はそれを上回る高いSOAT2選択的阻害活性を有することが明らかとなった。
【0125】
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。