(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】蛇型ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20220912BHJP
B25J 18/06 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B25J17/00 L
B25J18/06
(21)【出願番号】P 2018517759
(86)(22)【出願日】2016-10-06
(86)【国際出願番号】 US2016055791
(87)【国際公開番号】W WO2017062648
(87)【国際公開日】2017-04-13
【審査請求日】2019-09-26
(32)【優先日】2016-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522135581
【氏名又は名称】エフエルエックス ソリューションズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】FLX Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(72)【発明者】
【氏名】ビルスキー、マシュー
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153499(JP,A)
【文献】特開2015-017633(JP,A)
【文献】特開平06-055483(JP,A)
【文献】特開2004-216535(JP,A)
【文献】国際公開第2009/038212(WO,A1)
【文献】特開平07-293667(JP,A)
【文献】特開2011-130875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0107013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H01L 21/68
F01C 1/00 - 21/18
H02G 3/22 - 3/40
F16H 19/00 - 37/16
F16H 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇型ロボットであって、
第1の遠位端、第1の近位端、および、前記第1の遠位端と前記第1の近位端との間で延在する第1の縦軸を有する第1のリンクと、
第2の近位端、前記第1の近位端に動作可能に結合される第2の遠位端、および、前記第2の近位端と前記第2の遠位端との間で延在する第2の縦軸を有する第2のリンクと、を有し、
前記第1のリンクは、外側ハウジングと、前記外側ハウジングと回転可能に係合される内筒とを備え、
前記第2の遠位端は、前記第2のリンクと、前記第1のリンクの前記外側ハウジングとを相対的に回転させる機械駆動装置を備え、
前記第1のリンクの前記外側ハウジングが前記第2のリンクに対して回転すると、前記外側ハウジングと前記内筒とが螺合していることにより、前記内筒に対する前記外側ハウジングの回転による前記ロボットの伸長が可能であり、
さらに、前記外側ハウジングと前記内筒とが一体的に回転する状態にすることが可能であり、前記状態において、
前記第1のリンクの前記外側ハウジングが前記第2のリンクに対して回転することに伴って、前記第1の縦軸と前記第2の縦軸とが相対的に回転可能である、
蛇型ロボット。
【請求項2】
前記第1のリンクは前記第1の遠位端と前記第1の近位端との間で延在する第1の軸方向通路を備え、前記第2のリンクは前記第2の遠位端と前記第2の近位端との間で延在する第2の軸方向通路を備え、それによって、前記第1の軸方向通路と前記第2の軸方向通路との間で連通されるようにする、請求項1に記載の蛇型ロボット。
【請求項3】
前記内筒は前記外側ハウジングに対して縦方向に平行移動するようにする、請求項1に記載の蛇型ロボット。
【請求項4】
前記第1の近位端はここから近位に延在する複数の半径方向に間隔をあけた歯を含む、請求項3に記載の蛇型ロボット。
【請求項5】
前記内筒に動作可能に結合される第1のモータをさらに備え、前記第1のモータの回転によって前記内筒が回転するようにする、請求項3に記載の蛇型ロボット。
【請求項6】
前記内筒の近位の前記外側ハウジングに配設される球状調節部をさらに備え、前記第1のモータは前記球状調節部に配設されるようにする、請求項5に記載の蛇型ロボット。
【請求項7】
前記球状調節部は、遠位端と、前記遠位端から遠位に延在する複数の傾斜路とを有する、請求項6に記載の蛇型ロボット。
【請求項8】
外側ハウジングと螺合される近位端、および、前記近位端の遠位に延在する複数の遠位ピンを有する軸受支柱をさらに備え、前記軸受支柱は前記球状調節部と動作可能に係合されている、請求項7に記載の蛇型ロボット。
【請求項9】
前記第2の遠位端に動作可能に結合されるドリルアセンブリをさらに備え、前記ドリルアセンブリは、外側ドリルハウジングと、前記外側ドリルハウジングと螺合される内側ドリルナットと、を備え、前記外側ドリルハウジングに対する前記内側ドリルナットの回転によって、前記内側ドリルナットに対する前記外側ドリルハウジングの縦方向の平行移動が生じるようにする、請求項1に記載の蛇型ロボット。
【請求項10】
前記機械駆動装置は、前記第2の遠位端に装着される偏心体を有する入力シャフトと、前記偏心体に動作可能に結合される入力カムと、前記入力カムに動作可能に結合される減速装置と、前記減速装置に動作可能に結合される出力部と、を備える、請求項1に記載の蛇型ロボット。
【請求項11】
前記入力カムは前記偏心体を受けるように適応される受け部を備え、前記入力カムは平面で平行移動可能である、請求項10に記載の蛇型ロボット。
【請求項12】
前記出力はロック歯の第1のセットを含む、請求項10に記載の蛇型ロボット。
【請求項13】
前記ロック歯の第1のセットは前記出力の外周部に延在し、前記出力は前記出力の内周部に沿って延在するロック歯の第2のセットをさらに含む、請求項12に記載の蛇型ロボット。
【請求項14】
前記機械駆動装置は、前記第2のリンクを前記第1のリンクから離れるように延在させ、前記第2のリンクを前記第1のリンクに対して回転させ、前記第1のリンクを前記第2のリンクの方へ引っ込める、請求項10に記載の蛇型ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年10月6日に出願された特許文献1、および、2016年1月14日に出願された特許文献2に対する優先権を主張するものであり、それら双方の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
新しい家が建てられる時、必要な電気関係、配管などの全ては壁を塞ぐ前に渡らせる。これは、適切には新規の電気工事と言われる。壁に無制限に立ち入ることで、熟練した専門の労働者にとってこれらの系統の設置を行うことは些細なことである。同様に、乾式壁または漆喰が施されると、該壁の範囲内で変更を行うことは急激に困難になる。壁面に開ける立ち入り用の穴の数を最小限に抑えるように、進路を計画しなければならない。家をどのように構築するかの意識は、侵入を最小限に抑えるやり方で工事計画を巧みに完了させるための必要条件となる。この技術は旧式の電気工事として既知である。
【0003】
構造部材に穿孔できる穴あけ装置を開発すること、および、構造部材を通して可撓性電線管を渡らせることを、壁に穴を開ける必要なく行うことは、有益となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許仮出願第62/237,987号
【文献】米国特許仮出願第62/278,487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この概要は、発明を実施するための形態でさらに後述される概念を簡略にした形態で選択的に紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することを意図するものでもない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡潔に言うと、本発明によって、第1の遠位端、第1の近位端、および、第1の遠位端と第1の近位端との間で延在する第1の縦軸を有する第1のリンクを備える蛇型ロボットが提供される。第2のリンクは、第2の近位端、第1の近位端に動作可能に結合される第2の遠位端、および、第2の近位端と第2の遠位端との間で延在する第2の縦軸を有する。第2のリンクに対する第1のリンクの回転は代替的には、以下の効果:ロボットの伸長、第2の縦軸に対する第1の縦軸の旋回、および、第2の縦軸に対する第1の縦軸の回転をもたらす。
【0007】
本発明の他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、別記の特許請求の範囲、および、添付の図面によってより十分に明らかとなるであろう。該図面において、同様の参照番号は同様のまたは同一の要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の例示の実施形態による蛇型ロボットを示す図である。
【
図1A】
図1のロボットであって、リンクのいくつかが、隣接するリンクに対するある角度で方向転換されるロボット100を構成する、ロボットを示す図である。
【
図2】
図1に示されるロボットにおけるリンクの断面図である。
【
図2A】
図2に示されるリンクの近位端の拡大図である。
【
図2B】
図2に示されるリンクの中間端の拡大図である。
【
図2C】
図2に示されるリンクの遠位端の拡大図である。
【
図3】
図2に示されるリンクで使用される外側ハウジングの断面斜視図である。
【
図3A】
図2に示されるリンクで使用される湾曲した雄コネクタの斜視図である。
【
図3B】
図2に示されるリンクの近位端の部分斜視図である。
【
図3C】隣接するリンクの間の接続部の拡大断面図である。
【
図4】
図2に示されるリンクで使用されるらせん状球形調節部の側立面図である。
【
図5】
図2に示されるリンクで使用されるナット配置軸受支柱の斜視図である。
【
図6】
図5に示されるナット配置軸受支柱の遠位端の斜視図である。
【
図6A】
図5に示されるナット配置軸受支柱の遠位端の斜視断面図である。
【
図7A】
図2に示されるリンクで使用されるスペーサの近位端の斜視図である。
【
図7C】
図2に示されるリンクにおいて合わせて組み付けられるナット配置軸受支柱およびスペーサの側立面図である。
【
図7D】
図2に示されるリンクの内側ハウジングと位置合わせさせた、
図7Aに示されるスペーサの側立面図である。
【
図8】
図2に示されるリンクで使用される出力円板の斜視図である。
【
図9】
図2に示されるリンクで使用される円形ロータの斜視図である。
【
図10】
図2に示されるリンクで使用される円形ハウジングの正面立面図である。
【
図11】
図2に示されるリンクで使用される出力円板の斜視図である。
【
図11A】
図2に示されるリンクで使用されるカムの斜視図である。
【
図11B】
図2に示されるリンクで使用される円形アセンブリの分解斜視図である。
【
図12】
図2に示されるリンクで使用するロータ支持部の斜視図である。
【
図13】
図2に示されるリンクで使用されるステータ支持部の斜視図である。
【
図14】
図2に示されるリンクで使用されるカービック雌ピンの斜視図である。
【
図14A】
図2に示されるリンクと隣接するリンクとの間の接続部の断面斜視図である。
【
図14B】第1のリンクが第2のリンクと相互接続されている、
図14Aに示される接続部の上面図である。
【
図14C】第1のリンクが第2のリンクとの接続から外れるように移動している、
図14Bに示される接続部の上面図である。
【
図14D】第1のリンクが第2のリンクと再び接続するように移動している、
図14Cに示される接続部の上面図である。
【
図14E】第1のリンクが第2のリンクと再び接続するように移動している、
図14Dに示される接続部の上面図である。
【
図14F】
図2に示されるリンクで使用する線心の斜視図である。
【
図14G】歯車回転系統の個々の構成要素の細部と共に機械駆動装置の代替的な実施形態を使用するリンクの断面図である。
【
図14H】回転式電源から駆動列に対する入力の断面図である。
【
図14K】リフタを有する円形ロータの断面図である。
【
図14M】カービック歯および円形歯を有する近位ベースプレートの上面図である。
【
図14O】カービック歯を含有するピンを有する遠位トッププレートの斜視図である。
【
図14P】リフト機構の2つのカービック歯セットおよびピンを有する出力円板の下面斜視図である。
【
図14R】
図14Iにおける円形ロータに接続される回転ロックアウトキーの斜視図である。
【
図15】
図1に示されるロボットで使用されるドリルヘッドの側立面図である。
【
図16A】
図16に示されるドリルヘッドの内部構成要素の拡大図である。
【
図17】
図16に示されるドリルヘッドにおいて使用されるドリルの拡大斜視図である。
【
図18】
図16に示されるドリルヘッドの外側ハウジングの斜視図である。
【
図19】
図16に示されるドリルヘッドの内部スリーブの斜視図である。
【
図19A】
内筒の近位端の内部構造を示す図である。
【
図20】
図16に示されるドリルヘッドに対する出力駆動装置の斜視図である。
【
図21】
図16に示されるドリルヘッドのナットの近位側の斜視図である。
【
図22】
図16に示されるドリルヘッドにおいて使用される円形ロータの斜視図である。
【
図23】
図16に示されるドリルヘッドにおいて使用される円形ハウジングの斜視図である。
【
図24】ドリルヘッドにおいて使用される出力円板ドリルヘッドハブの斜視図である。
【
図25】
図16に示されるドリルヘッドにおいて使用される出力円板を示す図である。
【
図26】穿孔時に使用するためにスプールから外されている、
図1に示されるロボットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面において、同様の数字は全体を通して同様の要素を指示する。ある特定の専門用語は、本明細書では単に便宜上使用され、本発明における限定としてとられるものではない。該専門用語は、具体的に述べられる語、この派生語、および同様の意味を含む語を含む。本明細書で使用されるように、「遠位」という用語は、使用者からより遠い本発明の装置の端部を意味し、「近位」という用語は、使用者により近い本発明の装置の端部を意味する。
【0010】
以下で示される実施形態は、網羅的であるとは意図されないし、本発明を開示された精確な形態に限定するとも意図されない。これらの実施形態は、本発明の原理、ならびにこの応用および実際的な使用を最も良く説明するために、かつ、当業者が本発明を最も良く利用できるように、選定されかつ記載される。
【0011】
本明細書における「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性を、本発明の少なくとも1つの実施形態に含めることが可能であることを意味している。本明細書内のさまざまな箇所に「1つの実施形態では」という語句が用いられているが、この語句は必ずしもその全てが同じ実施形態に言及しているわけではないし、別個のまたは代替的な実施形態が必ずしも他の実施形態と相互に排他的であると言及するものでもない。「実装」という用語についても同じことが言える。
【0012】
本願において使用されるように、「例示」という語は、本明細書では、例、事例、または例証としての役割を果たすことを意味するために使用される。「例示」として本明細書に説明されるいずれの態様または設計も、必ずしも、他の態様または設計に対して好ましいまたは有利であると解釈される訳ではない。もっと正確に言えば、例示という語の使用は、概念を具体的になるように提示することが意図される。
【0013】
さらに、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図される。すなわち、別段指定されない限り、または文脈から明確ではない限り、「XはAまたはBを用いる」は、自然で包括的な配列のいずれかを意味することが意図される。すなわち、「XはAまたはBを用いる」は、次の事例、XはAを用いる、XはBを用いる、またはXはAおよびB両方を用いる、のいずれかによって満たされる。加えて、本願および別記の特許請求の範囲において使用される冠詞「a」および「an」は、別段指定されない限り、または文脈から単数形を対象とすることが明確でない限り、一般的に、「1つまた複数の」を意味すると解釈されるべきである。
【0014】
別段明示的に記されていない限り、それぞれの数値および範囲は、値または範囲でこれらの前に「約」または「およそ」という語が付けられているかのようにおおよそであると捉えられるべきである。
【0015】
特許請求の範囲における図番号および/または図参照標示の使用は、特許請求の範囲の解釈を容易にするために特許請求された主題の1つまたは複数の可能な実施形態を特定することが意図される。このような使用は、それらの特許請求の範囲を対応する図に示される実施形態に限定する必要があると解釈されるものではない。
【0016】
本明細書に示される例示の方法のステップが、必ずしも記載された順序で行われる必要はないことは理解されるべきであり、このような方法のステップの順序は単なる例示であると理解されるべきである。同様に、追加のステップはこのような方法に含まれてよく、ある特定のステップは、本発明のさまざまな実施形態と一致する方法において省略または組み合わせ可能である。
【0017】
以下の方法の請求項における要素は、ある場合は、対応する標示による特定の並びで列挙されるが、請求項の列挙がこれらの要素のいくつかまたは全てを実装するための特定の並びを別段暗示しない限り、それらの要素は必ずしもこの特定の並びで実装されるように限定されると意図されているわけではない。
【0018】
図を参照すると、本発明の例示の実施形態による蛇型ロボット100(「ロボット100」)が示されている。ロボット100は、建物の内壁、建物の残骸、トンネルまたは縦坑の陥没、または他のこのような立ち入り不可能な場所など、その他の場合では立ち入り不可能である場所を抜けるために使用可能である。さらに、ロボット100は、宇宙空間、大気圏外、および、軸方向に延在しかつ軸方向に横断するロボットが必要とされる場合がある他の用途で使用可能である。ロボット100は、本明細書においてより詳細に論じられるように、例えば、ドリルビット、カメラ、センサ、酸素などの流体供給線、または他のタイプの備品などのエンドエフェクタが装着可能である。ロボット100は複数のリンク片から構築される。これらのリンク片は、ロボット100を回転させかつ平行移動させるために、互いに独立してかつ隣接片が協働して動作可能である。
【0019】
代替的には、ロボット100は、閉鎖空間の外部で使用可能であり、ロボット100の少なくとも1つの点が基準点(すなわち、宇宙船または宇宙ステーション)に固着されると仮定すると、表面を走行する、垂直に立ち上がる、または、無重力においても動作するように使用可能である。
【0020】
図1および
図1Aは、ロボット100の例示の実施形態を示す。ロボット100の例示の実施形態において使用される7つの接続済みリンク102が
図1Aに示されているが、ロボット100が7つより多いまたは少ないリンクを含むことができることを、当業者は認識するであろう。例示のドリルヘッド105は、ロボット100が固体材料において穿孔するために使用でき、それによって、ロボット100が自身でかかる穴から進むことができるように、ロボット100の近位端に取り付け可能である。
【0021】
図2および
図2A~
図2Cは、リンク102の断面図を示す。リンク102は、遠位端104と近位端106との間で延在する縦軸103を含む。リンク
102はまた、
図3においてより詳細に示される外側ハウジング108を含む。外側ハウジング108は、リンク102の縦軸103に略直交して延在する遠位端110と、縦軸103に対する斜角Θで延在する近位端112とを含む。例示の実施形態では、Θは約22.5度であるが、nが整数である等式360度/nによって生じたΘの値の整数倍が90度に等しい限り、Θを他の値にもできることを、当業者は認識するであろう。プレート113は外側ハウジング108の近位端112を覆う。
図1Aはリンク102を示し、このリンク102が約22.5度のΘの値を有することで隣接するリンク102が約45度の角度を形成できるようにし、その結果、複数のこのようなリンク102によってロボット100を90度方向転換させることができる。
【0022】
一連の雌ねじ114は、近位端112の方へと遠位端110から延在する。例示の実施形態では、雌ねじ114は1つのらせん形を形成する。複数の縦溝115は外側ハウジング108の長さで延在する。溝115は軌道を形成し、この軌道に沿って、リンク102内の非回転要素は、隣接するリンク102に対してリンク102の動作中に縦方向に平行移動する。
【0023】
図2を参照すると、内筒118は、雌ねじ114との螺合をもたらす雄ねじ120を含み、それによって、内筒118に対する外側ハウジング108の回転は、回転方向に応じて、リンク102を伸長するまたは縮小させることで、ロボット100の近位端の縦方向の平行移動が生じる。例示の実施形態では、内筒118は、ステンレス鋼321から構築され、約0.03インチの壁厚を有する。
図2Cを参照すると、エンドプレート111は内筒118の遠位端に取り付けられる。
図7Dを参照すると、複数の突出部119は内筒118の近位端から近位に延在する。
【0024】
ロボット100はここで、
図2に示されるように概して左から右へ延在するこの個々の構成要素に関して説明される。
図3Aに詳細に示されるカービック雄ピン122は、プレート113から近位に延在する。カービック雄ピン122は、隣接するリンク102の遠位端110に位置するカービック雌ピン128を係合する複数の半径方向に間隔をあけた歯124を含む。軸方向の貫通路126は、カービックピン122の長さにわたって延在し、例えば、(
図15に示される)ドリル504の可撓性駆動シャフト505などの材料、および、例えば、流体(例えば、ガス、液体、粘着性物質など)を伝達するための管類、電気ケーブル布線、および、リンク102の長さにわたる他の長尺材などの任意の他の材料の通過を可能にする。さらに、
図3Bに詳細に示される波形ばね130は、プレート113の近位に、カービック雄ピン122の周りに延在する。波形ばね130は、リンク102を、この隣接するリンク102から離すように付勢する。波形ばねは付勢特徴をもたらすように使用されるが、他のタイプの付勢部材が使用可能であることを当業者は認識するであろう。
【0025】
図3Cは、ピン122と一体化したプレート113を示す。プレート113は、この周辺部で延在する複数の傾斜歯
116を含む。リテーニングリング117は隣接するリンク102のプレート111に対してピン122を留めつける。波形ばね130は、リテーニングリング117と傾斜歯
116との間に位置する。波形ばね130は、かさ歯車306をピン122から離すように付勢する(
図14Aを参照)。
【0026】
図2Aは、
図4に詳細に示されるらせん状球形調節部150内に装着される第1のモータ140を示す。第1のモータ140は、ロータ144によって取り囲まれるステータ142を含む。ロータ144は、球形調節部150において近位通路152と固定して係合させることで、モータ140を動作させる時、ロータ144はまた球形調節部150を回転させる。球形調節部150はまた、近位通路152より外径が狭い中間通路154を含む。近位通路152および中間通路154は、該調節部を通して軸方向に延在することで、駆動シャフト505を通すことができる。ステータ
142は、内筒118に対して線状に回転するように固定される。
【0027】
(
図2Aに示される)第1の玉軸受アセンブリ160は、中間通路154の外周部に固定される。球形調節部150の遠位端156は、球形調節部150から遠位に離れるように延在する複数の傾斜路158を含む。例示の実施形態では、3つの傾斜路158が使用されるが、3つより多いまたは少ない傾斜路158が使用可能であることを、当業者は認識するであろう。
【0028】
図5に詳細に示されるナット配置軸受支柱162は近位通路164を含み、この通路に、第1の玉軸受アセンブリ160の外輪が挿入される。近位通路164の外周部は、外側ハウジング108の雌ねじ114と螺合される螺面166を含む。複数のピン168は近位通路164の遠心面から延在する。支柱162の遠位端169は、ここから外方に延在する略環状円板171を含む。支柱162の遠位端169はまた、縦軸103を中心に半径方向に間隔をあけた複数の経路173を含む。
【0029】
図6および
図6Aに示されるように、一対の玉170は、それぞれの傾斜路158の経路173に設けられる。スペーサ172が
図7Aおよび
図7Bに示される。スペーサ172は、ここを通して軸方向に延在する通路174を有する略環状リングである。スペーサ172の近位端176は、この外周部に間隔をあけて配置された複数の突出部178を含む。環状プレート180は、突出部178によって画定される周辺部内で近位端176から外方に延在する。スペーサ172の近位端176は、円板171とピン168との間で、支柱162の遠位端169にフィットする。
【0030】
図6Aに戻って参照すると、玉170は、環状プレート180上で進行し、傾斜路158が縦方向に玉170を回転させかつ平行移動させると、支柱162はスペーサ172から縦方向に変位し、それによってピン168は突出部178から縦方向に変位する。
【0031】
複数のタブ182
がスペーサ172の外周部に延在する。タブ182は、外側ハウジング108に
おける縦溝115
に摺動可能に係合する。複数のピン184
がスペーサ172の遠位端186から外方に延在する。ピン184は内筒118上
の突出部119と係合する。
図2Aおよび
図7Cを再び参照すると、第2の波形ばね130
が円板171とスペーサ172の近位端176との間に位置し、それによって、ばね130は円板171からスペーサ172を近位
側に付勢する。第2の玉軸受アセンブリ190
が円板171の遠位
側でこれに隣接する支柱162上に位置することで、内筒118は支柱162から独立して自由に回転する。
【0032】
スペーサ172に対する波形ばね130からの圧力は、ピン168を突出部178と係合させようとする。しかしながら、傾斜路158が玉170を押しているため、玉170によってピン168および突出部178は離れ(およびピン184は内筒118上の突出部119と下で係合され)たままである。回転式傾斜路158はばね130をスペーサ172に押し付けることができ、さらにまた、傾斜路158に沿って経路173において玉170を軸方向に押す。この特徴によって、支柱162は、スペーサ172および内筒118に対して回転することができるが、その縦方向の運動は制限され続ける。
【0033】
第3の玉軸受アセンブリ192は、第2の玉軸受アセンブリ190の遠位に延在し、かつ、支柱162の遠位端169を中心に軸方向に内筒118の回転を支持する。
図8により詳細に示される出力円板194は、ここから遠位に延在する複数の突出部196を有する略環状円板である。それぞれの突出部196は、
図9に詳細に示される円形ロータ200において対応する開口部198に適合する。円形ロータ200は、ここから外方に延在する遠位歯車202を有する略環状スリーブである。例示の実施形態では、歯車202は、約25のインボリュート歯を有する。さらに、開口部198は、これらの突出部196よりわずかに大きい直径を有することで、円形ロータ200は出力円板194に対して偏心して回転できる。
【0034】
円形ハウジング204は、
図10に詳細に示される。円形ハウジング204は、内筒118内で歯車202の外方に周方向に延在し、かつ歯車202上のインボリュート歯の数より多い複数の渦巻き形206を有する。例示の実施形態では、円形ハウジング204は26の渦巻き形206を含む。
【0035】
第4の玉軸受アセンブリ210は、遠位歯車202の遠位の円形ロータ200の内周部208内に装着される。第5の玉軸受アセンブリ212は、第4の玉軸受アセンブリ210の遠位に位置し、かつ、環状スペーサ214によって内筒118の内部に対して支持される。
【0036】
スリーブを有する出力円板220は、
図11に詳細に示される。円板220は、第4の玉軸受アセンブリ210を支持する遠位スリーブ222、およびこの玉軸受アセンブリ212を支持する中間スリーブ224を有する。円板220はまた、この遠位に延在する複数の突出部228を有する遠位面226を含む。例示の実施形態では、突出部228は、出力円板194上の突出部196と同じ数およびサイズである。
【0037】
図11Aにより詳細に示されるカム221を使用して、円形ロータ200の偏心回転を相殺する。カム221は、遠位スリーブ222上を摺動し、かつ第4の玉軸受アセンブリ210を支持する。
【0038】
円板220は、
図2Bに示されるように、円形ロータ200および円形ハウジング204の第2のセットと相互作用する。第6の玉軸受アセンブリ230は、第2の円形ロータ200の内周部208内に装着される。例示の実施形態では、第1の円形アセンブリおよび第2の円形アセンブリの組み合わせによって、約625:1の減速比がもたらされる。上述される円形駆動装置の分解組立図は
図11Bに示される。
【0039】
図12を詳細に参照すると、第1のロータ支持スリーブ234は、第6の玉軸受アセンブリ230を支持し、かつ第6の玉軸受アセンブリ230の遠位に位置する第7の玉軸受アセンブリ236を収容する。ロータスリーブ支持部234は、第6の玉軸受アセンブリ230が支持される近位スリーブ236と、スリーブ236の遠位に延在するハウジング238とを含む。
【0040】
図13を詳細に参照すると、ステータ支持部240は、第7の玉軸受アセンブリ236を支持する遠位リップ242と、第2のモータ250を支持するスリーブ244とを含む。第2のモータ250は、スリーブ244によって支持されるステータ252と、ロータスリーブ支持部234上で近位スリーブ236と係合され、それによって、第2のモータ250が回転する時、ロータスリーブ支持部234も回転するロータ256とを含む。
【0041】
ステータ支持部240は、近位リップ264および遠位リップ266によって囲まれたスプール262を含む中間部260を含む。近位リップ264および遠位リップ266は内筒118に固定される。
図2Bに示されていないが、電子駆動装置は、モータ、およびリンク102に位置する任意の他の電気/電子要素を制御するために中間部260内に位置することができる。ステータ支持部240はまた、第8の玉軸受アセンブリ271を支持する近位リップ268と、(
図2Bおよび
図2Cに示される)第3のモータ272を支持するスリーブ270とを含む。第1のロータ支持スリーブ234と同一であるが、180度回転することで、スリーブ236がハウジング238の遠位に延在する第2のロータ支持スリーブ236が設けられ、それによって、ハウジング238は、第3のモータ272のロータ273のみならず、第8の玉軸受アセンブリ271を係合する。さらに、第9の玉軸受アセンブリ280はスリーブ236の外側に位置する。第3の円形ロータ200は第9の玉軸受アセンブリ280に取り付けられる。ロータ200は、歯車202が内周部208の遠位に延在するように位置合わせされて、第9の玉軸受アセンブリ280は内周部208内に挿入され、かつ第3の円形部220はロータ200の遠位に延在する。
【0042】
第10の玉軸受アセンブリ284および第11の玉軸受アセンブリ286はそれぞれ、第3の円形部220のスリーブ224、222にそれぞれ装着されて、スペーサ214は内筒118の内側に対して第10の玉軸受アセンブリ284を支持する。第11の玉軸受アセンブリ286は第4の円形ロータ200に固定され、さらにまた、第4の円形部220と係合されることで、例示の実施形態において、第3の円形アセンブリおよび第4の円形アセンブリの組み合わせによって、約625:1の減速比がもたらされる。
【0043】
第12の玉軸受アセンブリ290は、第4の円形アセンブリの遠位に延在し、かつ、リンク102の遠位端
(エンドプレート)111において縦軸103に沿ってかさ歯車302を縦方向に平行移動させるために使用される機械駆動装置300と係合される。例示の機械駆動装置300は
図14A~
図14Fに示される。
【0044】
中空シャフト310は、軸受290を通して出力円板220に固定して接続される。
図14B~
図14Eに見られるように、シャフト310は略T字形溝312を含む。円板314はシャフト310の遠位端に位置する。波形ばね130は円板314の遠位に位置する。出力シャフト320はシャフト310内に配設される。出力シャフト320は溝312内に延在する突出部322を含む。突出部322は、突出部322が溝312内を動き回れるようなサイズに作られる。溝312および突出部322の1つの組み合わせが示されるが、さらなる組み合わせをシャフト310の周りに設けることができることを、当業者は認識するであろう。
【0045】
シャフト320の遠位端はまた、円板324を含み、それによって、ばね130は、円板324を円板314から離れるように付勢するように、円板314と円板324との間に挟まれる。円板324はかさ歯車302に接続される。かさ歯車302は内部かさ歯車304と動作可能に係合される。内部かさ歯車304は、外側ハウジング306内に位置する複数の遠位歯308を含む。さらに、遠位の外側ハウジング306は、別の複数の歯316を含む。歯308は歯316より長く、それによって、歯308は常にピン122上で歯124と係合されて、先のリンク102の傾斜歯116に対して固定される。
【0046】
かさ歯車302が遠位に平行移動させられると、かさ歯車302は、
図14に詳細に示される内部かさ歯車304を係合する。内部かさ歯車304は、かさ歯車302と係合する近位端306と、隣接するリンク102のカービック雄ピン122上で歯124と係合する複数の内歯308とを含む。
【0047】
機械駆動装置300の代わりに、全体が参照により本明細書に組み込まれる、本発明者によって2016年1月14日に出願された特許文献2において開示される駆動装置などの代替的な機械駆動装置1000が使用可能である。駆動装置1000は
図14G~
図14Rに示される。
【0048】
図14Gは、エンドプレート111の平面の周りの隣接するリンク102に対して作動する近位リンク102に適用される一体化ロック機構による3次元円形駆動装置の断面図を示す。さらにまた、現行の実施形態において、前述の歯車列およびロック系統は、ロボットの関節作動に適用されているが、本発明の駆動装置が平面間で動力を伝達するために必要であるいずれの状況においても用いられてもよいことを、当業者は認識するであろう。さらに、例示の実施形態では、回転が生じる軸の交点は、必ずしも機構内の点で交差する必要はない。本明細書に説明される解決策がこれを補正するために考案されかつ実装されているが、2つの軸が作用点で交差するような些細なケースでもこの設計を使用して実装されてよい。
【0049】
図14Gはまた、本発明の、一体化ロック機構による3次元円形駆動装置の構成部分を示し、該部分は、この遠位端に装着される偏心体を有する入力シャフトを含む。入力カムは偏心体に動作可能に結合される。減速装置は入力カムに動作可能に結合される。出力は減速装置に動作可能に結合される。
【0050】
具体的には、入力シャフト1700は、(
図14Hに詳細に示される)偏心球体1720を有する遠位端1702を有する。球体1720は、円形ロータ1900内に挿入されかつこれと相互作用する偏心入力カム1600を駆動する。(
図14Pおよび
図14Qに詳細に示される)カービック出力円板1500上のピン1560は、円形ロータ1900と相互作用しながらまた、(
図14Mおよび
図14Nに詳細に示される)近位面1200上の歯1240、および遠位ピン面1300を選択的に係合する。リンク1100における楔留め円板1800を使用して、リンク1100内の偏心入力1600の位置合わせを維持する。
【0051】
図14Hは入力シャフト1700の主要部分を示す。シャフト1700は、これを通して中央に延在する縦軸1704を含む。シャフト1710は、電気モータ、手動クランク、または回転動力をもたらすための他の適した機構とすることができる、近位供給源(図示せず)から回転動力を受ける。空洞1730はシャフト700の長さ全体にわたって維持される。空洞1730は、例えば、電気ケーブル、ガス(酸素または他のガス)ケーブル、または流体ケーブル(図示せず)などの他の要素がここを通過できるようにする。さらに、後述されるロボット1000の残りの要素も、概して中央に集められた通路を有して、ケーブル、電線管、または、直上に説明した他の材料を通過させることができる。
【0052】
図14Iおよび
図14Jは偏心入力円板1600を示す。入力円板1600は、ハウジング1610内に同心円状に位置する管状受け部1650を含む。受け部1650は、偏心球体1720をここに同心円状に挿入かつ回転できるようなサイズに作られる。円形ロータ出力1630はハウジング1610に偏心するように装着される。空洞1640は、
図14Jに示されるように、ロータ出力1630内に設けられることで、空洞1640によって受け部1650に連通する。ロータ出力1630は、偏心入力円板1600を回転しないようにするがこの平面上の平行移動を可能にする(
図14Rに示される)端面キー溝1820内で走行するようなサイズに作られた直線縁部1620を含む。軸が直接交差する配置において、球形受け部1650はロータ出力1630と同心円状であってよい。さらに、直線縁部1620は、ハウジング1610の底部に位置するように、
図14Iに示されるが、直線縁部1620がハウジング1620の長さ(高さ)に沿ったどの場所にでも存続できることを、当業者は認識するであろう。例えば、
図14Gに示されるロボット1000の実施形態において、直線縁部1620は円板1800の平面と同一平面上とすることができ、それによって、直線縁部1620は端面キー溝1820内で振動することができる。
【0053】
図14Kおよび
図14Lは円形ロータ1900を示す。円形ロータ1900は、ロータ出力1630と同心のままである偏心入力受け部1920を含む。出力ピン穴1910はピン1560への動力を伝達できるようにする。本発明の駆動装置がまた自動ロックおよび解放が可能である場合の示される例示の実施形態では、穴1910の壁はテーパ状になっており、それによって、接線方向に負荷をかけることでピン1560に対する押上げ力が生じる。より一般的な使用には、穴1910は円筒状のままであってよい。テーパ状に改造した壁が示されているが、同じ運動を達成するための他の方法が存在することを、当業者は認識するであろう。円形外郭1930は円形ロータ1900の周辺部となるように機械加工され、それによって、円形外郭1930はハウジング外郭1220と整合可能である。
【0054】
図14Mおよび
図14Nは近位面1200を示す。溝部1210は、
リンク(本体)1100と連動するような角度で切削されることによって、
本体1100と近位面1200との間の相対的回転を防止する。近位面1200の外周部に間隔をあけて配置された円形ハウジング歯1220は、
図14Gに示されるように、面1200に切り込まれてロータ1900と相互作用する。カービック歯1240は中空開口部1230に対して同心の面から外方に延在する。歯1240は、オプションで面取りして改造した縁部1250を有して、機構のより円滑な動作を促進する。オプションとして、代替的な実施形態では、円形ハウジング1220は一部分を面および追加のカービック歯のないものにすることができる。
【0055】
図14Oはピン1320およびカービック歯1340を有する遠位面1300を示す。溝部1310は、リンク1400と係合しかつ相対的回転を防止するように周辺部に機械加工される。ピン1320は、面1302から突出し、かつ近位面1200上で中空開口部1230と同心のままである。溝部1330および対応する改造したカービック歯によって、
図14Pに示されるリテーニングリング1390は、近位面1200および遠位面1300が互いに分離しないように挿入できるようにする。カービック歯1340はピン1320に切り込まれる。空隙1350はピン1320の中央に機械加工される。
【0056】
図14Pおよび
図14Qはカービックロックアウト歯を有する出力円板1500を示す。歯車列がまた自動ロックおよび解放の運動を可能にするこの実施形態では、内歯1540および外歯1510は両方共、セットとしてこの例示の実施形態ではカービックであり、ピン1560から円板1500の反対側に加えられる。解放ピン1560を必要としない代替的な実施形態は外郭が円筒状のままであってよい。解放特徴を有するこの実施形態では、円錐形先端1570は、円形ロータ1900上で対応する改造部1910と相互作用するようにそれぞれの解放ピン1560の自由端に施されている。当業者はまた、かかる改造部がロータ1900と出力円板1500との間で一致する限り、他の改造が可能であることを認識するであろう。カービック歯1510は近位面上で歯1240と整合し、歯1540は面1300上で歯1340と整合する。歯1540は歯1510より長いことで、歯1540は係合されたままであってよく、歯1510は解除される。面取りして改造した縁部1520は、歯1510のロックおよび解放の動作を改善するために施されてよい。溝部1530は、リテーニングリング(図示せず)を設置できるようにするために歯1540に機械加工されてよい。
【0057】
図14Qは
図14Pに対する円板1500の裏面を示す。円板1500は、ここから外方に延在する環状リング1580を含み、このリングに歯1540が装着される。
【0058】
図14Rは、例示の実施形態に示されるように、偏心の交差しないシャフトの場合に設置される楔留めリング1800を示す。外リング1810は、
本体1100に対する外リング1810の回転を防止するように、
本体1100内で同心円状にフィットする。同様に、キー溝1820は偏心入力円板1600の回転を防止するが、この平面上の平行移動は依然可能にされる。
【0059】
遠位リンク1400に対する近位リンク本体1100の運動は以下のように説明される。停止した状態では、全てのカービック歯は係合され、リンク間の相対的運動は、外部負荷の影響下でも防止される。
【0060】
(いずれの方向にしても)運動を始めるために、偏心球体1700を有する入力円板は、近位のリンク本体1100と同心のこの縦軸1704を中心とした回転を開始する。球体受け部1650内の偏心入力円板1600の水平面における球体1720の偏心回転は、偏心入力円板1600を水平面で平行移動させるカムとして働く。
【0061】
キー1620は、キー溝1820内で走行することによって、円板1800に対する入力円板1600のいずれの回転も防止する。
【0062】
円形ロータ1900の入力外郭1920は出力1630と同心である。これはさらにまた、ロータを、円形ハウジング外郭1220に対する偏心運動で移動するような外郭1930にする。自動ロックのない簡易な歯車列の場合、この運動は出力円板1500の回転をもたらすことになる。
【0063】
自動ロックがあるこの例示の実施形態では、近位面1200上で歯1240と最初に係合されているカービック歯1510、および面1300上で歯1340と最初に係合されている出力円板1500上のカービック歯1540の両方のセットによって、近位ハウジングならびにリンク本体1100および面1200も出力円板1500も回転不可能とされる。従って、円形ロータ1900を回転させる、ロータ1900の偏心運動は、円錐改造部1910を、出力円板1500上のピン1560の円錐改造部1570に押し付ける。この力によって、出力円板1500全体は、上方に平行移動するが、ピン1320に対して同心のままである。図示されないが、出力円板1500と円形ロータ1900との間にばねがあり、これによって、この運動を阻止し、かつ、出力円板1500をロック位置に戻すために必要とされるエネルギーを蓄える。該ばねは、波形ばね、つる巻きばね、または他の適したタイプのばねとすることができる。
【0064】
円形ロータ1900の所定の角度の変位が生じた後に、出力円板1500はカービック歯1510および歯1240の歯の対を解除するのに十分遠く上方に平行移動しているが、歯1340および歯1540は係合されたままである。これによって、出力円板1500とピンとの間の相対的回転が防止され、リンク本体1100および面1200を、リンク本体1400および面1300に対して回転させることができる。
【0065】
解除されると、円形ロータ1900の後続の運動および回転は、ピン1320および面1300を中心にした面1200およびリンク1100の回転をもたらす。歯1510は、ばねの圧力下で1240に沿って進行する。
【0066】
面1300に対する面1200の十分な回転が生じると、片方が先行している歯1510および1240は、再び整列することになる。この時点で、ばねは出力円板1500を下方に後退させるように平行移動させることになり、それによって、歯1510および1240は回転運動を再ロックするように再係合される。
【0067】
このプロセスは、リンク1400に対するリンク1100の所望の回転が生じるまで、いずれの方向にしても繰り返されてよい。
【0068】
図2に戻って参照すると、縦軸103に沿ったリンク102の内部は開放されており、例えば、
図2、
図2A、および
図2Cに示されるように、材料の通過を可能にして、可撓性駆動シャフト505はリンク102を通して延在する。可撓性駆動シャフト505の近位端はドリル504に動作可能に接続される。駆動シャフト505は、全体を通して、シャフトの最小曲げ半径が持続されるような曲げ半径を有する。
【0069】
ドリルヘッド105の構成がここで論じられる。ドリルヘッド105は
図15~
図25に詳細に示される。ドリルヘッド105の断面図は
図16に提供され、ドリルヘッド105の内部の拡大図は
図16Aに提供される。
【0070】
ドリルヘッド105はロボット100において最も近位のリンク102と相互接続する遠位端502を含む。ドリル504は、ドリルヘッド105の近位端506に位置する。例示の実施形態では、ドリル504は、近位先端508と、ドリルヘッド105内に延在する細長いシャフト510とを含むことができる。大きい直径(少なくともロボット100の幅の大きさ)の穴を開けるための同心ドリル514は、近位先端508とシャフト510との間に位置する。
図16におけるドリルヘッド105の断面図において示されるように、シャフト510はドリルヘッド105の近位端506に対して位置するつば516を含むことができる。
図17に詳細に示されるように、ドリル504の遠位端518は、ドリル504の締結および(
図16に示される)駆動シャフト520による後続の回転を可能にする六角シャフト519を含む。
【0071】
上述されるリンク102と同様に、ドリルヘッド105は外側ハウジング521と入れ子式内筒522とを含む。ドリルヘッド105は、リンク102に含まれるいくつかの部分を含むが、リンク102における要素番号への言及は本明細書では適切な図番に沿って使用されることになる。
【0072】
外側ハウジング521は
図18に詳細に示される。外側ハウジング521は、ドリルヘッド105の(
図16に示される)縦軸509に略直交して延在する遠位端530と、近位端532とを含む。一連の雌ねじ534は、近位端532の方へと遠位端530から延在する。例示の実施形態では、雌ねじ534は1つのらせん形を形成する。複数の縦溝536は外側ハウジング521の長さで延在する。溝536は軌道を形成し、この軌道に沿って、ドリルヘッド105内の非回転要素は、直近のリンク102に対してドリルヘッド105の動作中に縦方向に平行移動する。
【0073】
内筒522は
図19に詳細に示される。内筒522は、円筒522の近位端538から半径方向外方に延在する、縦方向に延在するタング540を含む。タング540は外側ハウジング521において溝536内に延在し、かつ溝536に沿って縦方向に摺動し、その結果、ドリルヘッド105は縦方向に伸長する/縮小する。内筒522の近位端538の内部は
図19Aに示される。近位端538は、一連のさらに小さくなる同軸の円筒状通路544、546、548を含み、該通路内に、ドリルヘッド105の構成要素が装着される。これらの構成要素は以下で詳細に論じられる。
【0074】
円筒522の遠位端542は、縦軸509に対して角度Φで延在する角度が付けられた面を含む。例示の実施形態では、Φは約22.5度であるが、Φの値の整数倍が90度に等しい限り、Φは他の値にもすることができることを、当業者は認識するであろう。
【0075】
ドリルヘッド出力駆動装置550は
図20に詳細に示される。出力駆動装置550は、ドリル504上で六角シャフト519を係合するようなサイズに作られた略六角形通路552を含む。出力駆動装置550は、近位端554、遠位端556、および、近位端554と遠位端556との間で延在するより狭く細長い円筒558を含む。
【0076】
ドリルヘッドナット560は
図21および
図21Aに詳細に示される。ナット560は外側ハウジング521においてねじ534を係合するようなサイズに作られたねじ564を有する螺合式近位端562を含む。ナット560は、出力駆動装置550の近位端554とナット560の近位端562との間に位置する第1の軸受アセンブリ568と共に、出力駆動装置550の近位端554を収めるようなサイズに作られた内部通路566も含む。
【0077】
3つの半径方向に間隔があけられた通路570はナット560の遠位壁572を通って延在する。遠位に延在するスリーブ574は遠位壁572から外方に延在する。
【0078】
リンク102に関して上述される円形部と同様の第1のドリルヘッド円形部580は、カム221と同様のカム584に装着される
、軸受アセンブリ
210と同様の軸受アセンブリ582を含む。カム221は出力駆動装置550の近位端554に装着される。
図22に詳細に示される円形ロータ590は、ナット560において内部通路566内に挿入され、かつ軸受アセンブリ582を保持する。
図23に詳細に示される円形ハウジング592、および
図24に示される出力円板ドリルヘッドの円板ドリルヘッドハブ594によって、第1のドリルヘッド円形部580は完成する。
【0079】
第2の軸受アセンブリ596は、ナット560の遠位末端スリーブ574に装着され、かつ、内筒522の円筒状通路544に挿入される。第3の軸受アセンブリ598は、第2の軸受アセンブリ596の遠位に装着され、また、ナット576の遠位に延在するスリーブ574に装着され、内筒522の円筒状通路546に挿入される。
【0080】
第4の軸受アセンブリ600は、円筒状通路548の遠位に装着され、かつ出力駆動装置550の遠位端556に装着される。スペーサ602によって、第4の軸受アセンブリ600は内筒522から間隔があけられる。
【0081】
第1のドリルヘッド円形部580と同様の第2のドリルヘッド円形部603は、
図25に詳細に示される出力円板604と、円形ハウジング592と、円形ロータ590とを含む。第5の軸受アセンブリ606は円形ロータ590の遠位端において装着される。第6の軸受アセンブリ610は第5の軸受アセンブリ606の遠位に装着され、第7の(スラスト)軸受アセンブリ612は第6の軸受アセンブリ610の遠位に装着される。
【0082】
例示の実施形態では、ロボット100で使用するために上述されたモータは、約5~約40,000RPMで動作し、上方に約10ミリニュートンメートルのトルクを生成する、概して高速の低トルクモータである。該モータは、2アンペア、24V直流で動作する。例示の実施形態では、
図14Fに詳細に示される線心400は、モータなどに対して、2つの連通導体404、406および2つの電力導体408、410を有する略環状体402を含む。
【0083】
スリップリング(図示せず)は、リンク102のそれぞれにおけるモータ、およびドリルアセンブリ105に電力を提供するように、隣接するリンク102の間に無線電気接続をもたらすために、それぞれのリンク102のどちらかの端部に設けられ得る。例示の実施形態では、5導体スリップリングが使用可能である。さらに、符号器(図示せず)または他の既知の角度位置測定装置は、それぞれのリンクの要素の相対的位置、および隣接するリンク102の相対的位置を判断するために、リンク102のそれぞれにおけるさまざまな場所に設けられ得る。さらに、センサ(図示せず)も、リンク102の長さおよび加えられる外力、および隣接するリンク102の間を測定するために設けられ得る。
【0084】
図1に示される例示の実施形態において、ロボット100の近位端には、ロボット100が、例えば、木材、コンクリート、または他の物質などの固形物を穿孔できるようにし、かつ、ロボット100が該物質を通って自走できるようにするドリルアセンブリ105が備え付けられている。ロボット100の近位端は、ビデオカメラ(図示せず)であって、ロボット100がドリル504の周辺で遭遇するものを操作者が見ることができるようなビデオカメラ、および、ビデオカメラ用の光をもたらすライト(図示せず)を含むこともできる。
【0085】
ロボット100は、
図26に示されるように、スプール700上に格納可能である。ロボット100を使用するために、ロボット100は、スプール700から少なくとも部分的に外されることが可能であり、ドリル105は、穿孔されかつ方向転換される場所で障害物に対して置かれることで、ドリル105は障害物を穿孔し始める。スプール700は回転エネルギーを駆動シャフト505に提供するモータ(図示せず)を含む。また、テンショナ(図示せず)は必須の張力を保ち、かつ駆動シャフト505の使用可能な長さを制御する。
【0086】
ロボット100が障害物を完全に通過すると、ロボット100は自走しかつ次の障害物を通って穿孔することができるようになる。
【0087】
ロボット100の動作についてここで説明する。それぞれのリンク102は、3つの個別の運動:先のリンク102のピン122を中心にした回転、リンク102の延長(内筒118に対する外側ハウジング108の縦方向の平行移動)、およびそれぞれのリンク102におけるピン122の回転を可能にする。
【0088】
これらの運動のそれぞれは、以下のように説明される。停止した状態で、隣接するリンク102の回転関節は、リンク102内のモータから入力されるいずれの外部エネルギーもなく、リンク102が互いに対して停留するようにロックされる。
【0089】
リンク102上
のピン122を回転させるために、以下のステップが行われる。最初に、スペーサ172上の突出部
(ピン184)はリンクの本体(内筒118)上の歯
(突出部119)と係合される。(
図7Cに示される)波形ばね130はこの時点で圧縮され、
突出部119からピン184を分離しスペーサ172を上方に移動させようとする力をかける。下向きの圧力が、らせん状球形調節部150に取り付けられた傾斜路158および玉170を介してかけられて、系統を適所に保つ。スペーサ172
におけるタブ182は、外側ハウジング108にお
ける溝/キー溝115
内を走行する。
タブ182がスペーサ172に取り付けられ
ているため、
タブ182は、外側ハウジング108とスペーサ172との間の回転運動を防止し、
内筒118にロックされる。ピン122は外側ハウジング108の端部でプレート113に取り付けられる。
【0090】
外側ハウジング108および取り付けられたピン122を内筒118に対して回転可能にするために、この例示の構成において以下の動きが生じる。初めに、らせん状球形調節部150と同心のモータステータ142は、内筒118に対して回転可能にかつ平行移動可能に固定される。第1のモータ140にエネルギー供給することによって、らせん状球形調節部150に対して回転可能にかつ平行移動可能にロックされているロータ144を回転させる。これによってさらにまた、らせん状球形調節部150は内筒118に対して回転する。この回転によって、球形調節部150の底部上の傾斜路158は玉170に対して回転するが、通路173内に制約される。これによってさらにまた、玉170は回転せずにナット配置軸受支柱(ナット)162に対して縦方向に平行移動することができる。傾斜路158の回転によって、ばね130によって押圧されるスペーサ172によって押されて、玉170は縦方向に平行移動できる。スペーサ172が上昇する時、スペーサ172は、同時に、内筒118上で突出部119を解除する一方で、ナット162上でピン168を係合する。この時点で、ピン168および突出部178は完全に係合されて、ナット162およびスペーサ172を共に回転させる。タブ(キー)182は外側ハウジング108上の溝115において係合されるため、これによって、ねじの動きは回避され、外側ハウジング108を、内筒118に対してナット162およびスペーサ172と共に単に回転させる。ピン122およびアングルプレート113はまた、ハウジング108に取り付けられるため、この動きによって、内筒118に対するピン122の回転が生じる。
【0091】
本体(内筒118)に対して外側ハウジング108を回転させるために必要なトルクをもたらすために、以下の運動が生じる。モータ250は、モータ250から高速を受け、かつ該速度を落とす一方でトルクを増大させる2段階円形減速機を駆動する。軸受支柱(ナットねじアセンブリ)162に取り付けられた出力円板194は、スペーサ172を回転させるようにナット162を回転させることで、タブ182が外側ハウジング108における溝115で係合されることに起因して回転を引き起こす。
【0092】
内筒118に対する外側ハウジング108の所望の角度の回転が達成される時、上述したプロセスと反対の事が生じる。モータステータ142がロータ144に対するトルクを入力すると、らせん状球形調節部150および傾斜路158は回転し、玉170はスペーサ172上の環状プレート180に対して押下される。この動きによってピン168および突出部178は互いから外れるが、突出部119およびピン184は係合され、ばね130は圧縮される。この動きによって、次いで、スペーサ172と内筒118との間の回転はロックされるが、ナット162はもう一度スペーサ172および内筒118に対して回転可能とされて、リンク102は上述される初期状態に戻る。
【0093】
リンク102を延長/縮小するために、以下のステップが行われる。この動きによって、スペーサ172のピン184は内筒118上の歯と係合される。モータ250は(上述されるような)歯車列を回転させることで、ナット162は、スペーサ172上のタブ182を介して内筒118に対して回転可能に固定される外側ハウジング108に対して回転する。この相対的回転によって、外側ハウジング上のねじ114、およびナット162上の螺面(ねじ)166は係合して、外側ハウジング108を内筒118に対して延長させる。モータ250の入力方向/トルクを逆にすることで、外側ハウジング108は内筒118の方へ縮小することになる。延長および縮小プロセスの間、スペーサ172上のキー182は外側ハウジング108上の溝115内で摺動して、外側ハウジング108が内筒118に対して回転しないようにする。
【0094】
隣接するリンク102のピン122に対してリンク102を回転させるために、以下のステップ
がこの例示的な実施形態において行われる。円形駆動装置からの出力円板220は入力シャフト310を回転させる。かさ歯車304上の歯316は
図14Bに示されるように係合される。出力シャフト320は、歯316が係合されることに起因して回転不可能であるため、出力シャフト320に対するシャフト310の回転はばね130におけるエネルギーを高め、かつ、シャフト310に取り付けられたピン322、およびかさ歯車304を横方向に平行移動させる。これによってさらにまた、かさ歯車302はかさ歯車304から引き離される。ばね130は、その後、かさ歯車304をプレート113から遠ざける。
図14Cにおいて、雄ピン122上の歯124がかさ歯車304上の内歯308と係合されたままであることは留意されたい。
【0095】
プレート113上の外側カービック歯(傾斜歯)116、および歯316がもはや係合されない程十分遠く離れるようにピン122が歯車302および304を引き離すと、プレート113および内筒118は、かさ歯車304に対して歯車302と共に回転し始めることで、より長いカービック歯124が歯308と係合されたままであるため、先のリンクから雄ピン122に回転可能に固定される。リテーニングリング117によって分離は防止される。
【0096】
ばね
130は、かさ歯車302に、さらにまたかさ歯車304に横力を加えることで、
図14Dに示されるように、かさ歯車304の歯316はプレート113上の歯の最上部に沿って進行する。
【0097】
かさ歯車304上の歯316、およびプレート113が再び整列するように十分遠く回転した後、ばね130からの力によって、かさ歯車302は、プレート113と歯車304との間のばね130からのばね力を解消する。この動きによって、プレート113上の外側カービック歯、およびかさ歯車304の閉鎖が生じるため、隣接するリンク間の回転はロックされる。
【0098】
上で挙げられたステップは、1つのカービック歯の間隔より大きい回転を達成するために複数回繰り返される可能性がある。さらに、この機構は、双方向に、かつモータ250の回転を逆にすることを除いていずれの追加のアクチュエータも必要なく機能するように設計される。
【0099】
ドリルヘッド105の目標は、ドリル504を回転させるために、可撓性駆動シャフト520における高速で低トルクの回転エネルギーを、低速で高トルクのエネルギーに変換することである。ドリルヘッド105はまた、作業材料を通してドリル504を進ませるために必要なスラスト力を加える。
【0100】
空間を節約するために、ドリル504および外側ハウジング521は延長することによって、ビット504の回転運動に機械的に結合される。本質的には、ドリル504の転回が早いほど、内筒522からのドリル504の延長は早くなる。これは、従来の加工具上の機械送りと同様である。ドリルヘッド105内の追加のアクチュエータを使用することによって、ドリルの回転から独立して延長させることも可能である。
【0101】
高速の回転エネルギーは可撓性駆動シャフト520を通して進入する。シャフト520は次いで、(図示されない)円形駆動装置の入力カムに取り付けられ、かつ、スラスト軸受612およびラジアル軸受610によって支持される。これによって、次いで、ロータハウジング592内の円形ロータ550が移動して、この速度を落とし、かつ穿孔のために必須の値までトルクを増大させる。出力円板603は、所望の速度で転回し、かつ連結器550に取り付けられる。
【0102】
連結器550は2つの主要な目的を果たす。第1の目的は、回転エネルギーをドリル504に伝達することである。既知の簡易なクラッチ機構(図示せず)は、遠位端556から楔留め/ブローチ加工出力552まで通過させることができるトルクの量を限定して、ドリル504が動かなくなる際に駆動シャフト510を保護する。近位端554には第2の偏心カム584がある。カム584は第2の減速装置の入力である。カム584はハウジング592内で偏心ロータ590を移動させる。この構成において、出力円板およびピン594は、ドリル本体522に線状に回転するように据え付けられる。これによって、ハウジング592は入力部品554より遅い速度で回転する。ハウジング592はナット560に固く取り付けられる。歯車列は、ねじ564を外側ハウジング506における雌ねじ534と係合させるようにナット560を方向転換させる。内筒522に対する外側ハウジング521の回転は、溝536において進行する内筒522に機械加工されたキー540によって防止される。よって、ナット560および外側ハウジング506の相対的回転によってドリル504は進む。
【0103】
ドリル504の回転運動は、シャフト518/519上のキーが出力駆動装置550において接合用切り欠き552内で進行する際に、位置の変更にかかわらず維持される。万一ドリル504が動かなくなると、出力駆動装置550上のクラッチ機構は、ドリル504が方向転換できるかどうかにかかわらず、ドリル504を取り外しおよび放棄可能であるように、カム584は回転し続けるように位置付けられる。
【0104】
ドリル504の先端508は、ドリル504がドリルヘッド105の縦軸509に対して約0度~約45度で傾けられる時に歯514が切削する前に先端508が係合できるのに十分長くなるように設計される。フランジ516は、外側ハウジング506内で軸受アセンブリ582によって支持されるように設計される。
【0105】
この発明の本質を説明するために記載されかつ示されている部分の詳細、材料、および配置のさまざまな変更が、以下の特許請求の範囲に表される本発明の範囲から逸脱することなく当業者によってなされてよいことは、さらに理解されるであろう。