(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】他の領域よりも厚い局所制御領域を有する薄肉半導体ウェハの作製方法および装置、ならびに該ウェハ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20220912BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L31/04 200
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020041497
(22)【出願日】2020-03-11
(62)【分割の表示】P 2016565394の分割
【原出願日】2015-04-17
【審査請求日】2020-03-11
(32)【優先日】2014-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510276685
【氏名又は名称】1366 テクノロジーズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サックス,エマヌエル,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンツェック,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ,アダム,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウオレス,リチャード,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヒューデルソン,ジー.ディ.スティーブン
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519650(JP,A)
【文献】特開2006-062928(JP,A)
【文献】特開2004-123433(JP,A)
【文献】特開2007-294809(JP,A)
【文献】特開2002-094098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハの製造方法であって、
a.表面を有する溶融半導体材料を提供するステップと、
b.テンプレートを備えるステップであって、
i.半導体ウェハ形成中に前記溶融半導体材料に面し、接触する表面である溶解側面と、
ii.半導体ウェハ形成中に前記溶融半導体材料から離れる側を向く裏面と、
iii.前記溶解側面の一部の領域に設けられた、第1の熱抽出性を有する第1のテンプレート領域と、
iv.前記溶解側面の前記第1のテンプレート領域と別の領域に設けられた、前記第1の熱抽出性よりも高い第2の熱抽出性を有する第2のテンプレート領域と、を備える多孔体を備えるテンプレートを設けるステップと、
c.前記溶解側面の少なくとも一部の圧力が前記溶融半導体材料表面の圧力よりも低くなるように、圧力差レジメを提供するステップと、
d.前記溶解側面と前記溶融半導体材料とが相互に接触する接触期間の少なくとも一部、前記溶融半導体材料の表面に前記テンプレートの前記溶解側面を接触させるステップと、を含み、
半導体材料本体が前記溶解側面上で固体化し、形成される本体が、
i.第1の薄肉本体平均厚を有し、前記第1のテンプレート領域に隣接して形成される第1の薄肉本体領域と、
ii.第2の厚肉本体平均厚を有し、前記第2のテンプレート領域に隣接して形成される第2の厚肉本体領域であって、前記第2の
厚肉本体平均厚が前記第1の
薄肉本体
平均厚よりも大きい第2の厚肉本体領域と、を備えるように、前記圧力差レジメが提供される、方法。
【請求項2】
前記第1のテンプレート領域が内側領域を備えることによって、前記第1の薄肉本体領域が内側領域である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のテンプレート領域が外周領域を備え、前記第2の厚肉本体領域が外周領域を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のテンプレート領域が外周領域を備え、前記第2の厚肉本体領域が外周部を備え、前記第2
のテンプレート領域が、
a.前記内側領域全体に延在し、前記第2の厚肉本体領域が前
記内側
領域にわたって延在するストライプを備えるストライプ領域と、
b.前記第2の厚肉本体領域がランディングを備えるランディング領域と、
c.前記第2の厚肉本体領域がアイランド部を備えるアイランド領域と、から成る群から選択される少なくとも1つをさらに備える、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
前
記テンプレートが前記第1のテンプレート領域で第1の低平均厚を有するテンプレート材料と、前記第2のテンプレート領域で第2の高平均厚を有するテンプレート材料と、を備え、前記第1のテンプレート領域と比較した前記第2のテンプレート領域の高熱抽出性は、前記第1のテンプレート領域の前記テンプレート材料よりも前記第2のテンプレート領域の前記テンプレート材料の方が、平均厚が高いことに少なくとも部分的に依る、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前
記テンプレートが前記第1のテンプレート領域で第1の熱伝導率を有する機能的材料と、前記第2のテンプレート領域で第2の高熱伝導率を有する機能的材料とを有し、前記第1のテンプレート領域と比較した前
記第2の
テンプレート領域の高熱抽出性は、前記第1のテンプレート領域のテンプレート材料よりも前記第2のテンプレート領域のテンプレート材料の方が機能的材料の熱伝導率が高いことに少なくとも部分的に依る、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記機能的材料が相互に同一の組成を有し、第1の領域の機能的材料が第1の厚を有し、第2の領域の機能的材料が前記第1の厚よりも薄い第2の厚を有する、請求項6の方法。
【請求項8】
前
記テンプレートが前記第1のテンプレート領域で第1の気体透過性を有するテンプレート材料と、前記第2のテンプレート領域で第2の高気体透過性を有するテンプレート材料とを備え、前記第1のテンプレート領域と比較した前
記第2の
テンプレート領域の高熱抽出性は、前記第1のテンプレート領域のテンプレート材料よりも前記第2のテンプレート領域のテンプレート材料の方が、透過性が高いことに少なくとも部分的に依る、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のテンプレート領域を第1の圧力差のソースに連結するステップと、前記第2のテンプレート領域を第2の圧力差のソースに連結するステップとをさらに備え、前記第2の圧力差のソースが前記第1の圧力差のソースよりも高圧力差を提供し、前記第1のテンプレート領域と比較した前記第2のテンプレート領域の高熱抽出性は、前記第1のテンプレート領域に提供される圧力差よりも前記第2のテンプレート領域に提供される圧力差の方が高いことに少なくとも部分的に依る、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
a.半導体ウェハ形成中に溶融半導体材料に面し、接触する表面である溶解側面と、
b.半導体ウェハ形成中に前記溶融半導体材料から離れる側を向く裏面と、
c.前記溶解側面の一部の領域に設けられた、第1の熱抽出性を有する第1の領域と、
d.前記溶解側面の前記第1の領域と別の領域に設けられた、前記第1の熱抽出性よりも高い第2の熱抽出性を有する第2の領域と、を備える多孔体を備え、
前記多孔体が前記第1の領域で第1の低平均厚を有する材料と、前記第2の領域で第2の高平均厚を有する材料とを備え、前記第1の領域の低熱抽出性と比較した前記第2の領域の高熱抽出性が、前記第2の領域の材料よりも前記第1の領域の方が薄いことに少なくとも部分的に依り、
前記溶解側面が前記裏面よりも平面的な表面を備え、高厚の前記第2の領域が、前記溶解側面から離れて、前記裏面の基準面から拡張する隆起部によって画定される、テンプレート。
【請求項11】
前記多孔体が前記第1の領域に第1の高厚を有する機能的材料と、前記第2の領域に第2の低厚を有する機能的材料とを前記溶解側面に備え、前記第1の領域の低熱抽出性と比較した前記第2の領域の高熱抽出性が、前記第1の領域の前記機能的材料よりも前記第2の領域の前記機能的材料の方が薄いことに少なくとも部分的に依る、請求項10に記載のテンプレート。
【請求項12】
前記多孔体が前記第1の領域に第1の低熱伝導率を有する機能的材料と、前記第2の領域に第2の高熱伝導率を有する機能的材料とを前記溶解側面に備え、前記第1の領域の低熱抽出性と比較した前記第2の領域の高熱抽出性が、前記第1の領域の前記機能的材料よりも前記第2の領域の前記機能的材料の方が、熱伝導率が高いことに少なくとも部分的に依る、請求項10または11に記載のテンプレート。
【請求項13】
前記第1の領域が内側領域を備える、請求項10から12のいずれか一項に記載のテンプレート。
【請求項14】
前記第2の領域が外周領域を備える、請求項10から13のいずれか一項に記載のテンプレート。
【請求項15】
前記第2の領域が外周領域と、
a.前記内側領域にわたって延在するストライプ領域、
b.ランディング領域、及び、
c.アイランド領域、から成る群から選択される少なくとも1つと、を備える請求項13に記載のテンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連文献]
本願は、2014年4月30日に提出された米国仮出願第61/986,388号、「カーフレスウェハの自動製造用の方法および装置」に優先権を主張し、2014年6月13日に提出された米国仮出願第62/011,866号、「カーフレスウェハの自動製造の技術、方法、装置」にも優先権を主張する。上記出願はいずれも引用により全文を本願に組み込む。
【背景技術】
【0002】
通常、太陽電池用のシリコンウェハは、156mm×156mmおよび180~200ミクロン厚である。これらのウェハの作製に使用される高精細シリコンは非常に高価であるため、材料コストを低減させるには、より薄肉のウェハを使用することが好都合であろう。さらに、適切な電池構造では、薄肉シリコンウェハは厚肉シリコン電池よりも効率が高い。薄肉ウェハを用いて高い効率を発揮する電池構造は、低い表面再結合および良好な光トラッピングにつながる電池構造である。PERC電池構造は、現在最も広く採用されている電池構造(PERCは、Passivated Emitter Rear Contact(不動態化エミッタ背面接点)を表す)である。これが高効率である理由は、厚肉本体よりも薄肉本体の方が集合pn接合までの距離が短いために体積が小さくなるからであると考えられる。薄さから生じる電池効率の向上量は、電池構成または電池構造、さらにウェハの電子的品質に左右される。概して、効率の向上はウェハ電子品質の低下と結びつく。よって、ウェハコストの低減と電池効率の向上のために薄肉ウェハを使用する動機は強い。薄肉ウェハのもう1つの利点は、同数の光子が高い注入レベルを得るために少ない材料に吸収され、多結晶シリコン材料が高注入レベルで大体積少数担体の長寿命を有するため、単位体積当たりの少数担体注入レベルが高いことである。
【0003】
典型的には、太陽光発電(PV)用のシリコンウェハは、インゴットを成長または鋳造した後、通常はワイヤソーイングによってインゴットをウェハにスライスすることによって作製される。ワイヤソーイングを利用して、標準的な180~200ミクロン厚よりも薄いウェハを製造することができる。しかしながら、このような薄肉ウェハは、電池製造、電気的接続、モジュールへの封止中に破断することが分かっている。これらの理由から、業界は薄肉ウェハ(120ミクロンほどの薄さ)を試験した後、以前の標準的な180~200ミクロンに回帰している。多結晶シリコン材料を使用するPERCなどの標準的な電池構造の場合、80ミクロンよりも薄いウェハは、それ以上顕著な効率性の向上が望めない。
【0004】
薄肉ウェハの破断が増える原因はいくつかある。電池製造中、ウェハは、ウェハの縁部からの瑕疵の伝播によって破断する場合が多い。縁部の瑕疵は亀裂と薄肉箇所を含む。さらに、取扱中、新たな亀裂と瑕疵が、製造工程中に機器の別のピースと接触する位置にある縁部で発生する。縁部から始まる亀裂は、電池作製とモジュール製造中の課題である。概して、現在使用される機械および方法では、150ミクロンよりも薄いPVウェハは、実用するのに許容不能な頻度で損傷することが分かっている。
【0005】
また、バスワイヤおよびその他の電気的接続部は、電池の上側電極と下側電極に装着されて、電極同士を相互接続させなければならない。これらのワイヤは、太陽電池によって生成される大電流を搬送することのできるように大断面を有することができる。たとえば、3バスワイヤ電池内の標準的なバスワイヤは1.6mm幅、0.15mm厚とすること
ができる。これらのワイヤは、半田付けまたは導電性接着剤を用いて、電池上のメタライゼーションに装着される。装着自体は、特に半田付けの場合、ワイヤとメタライゼーション間に応力を生成する。ワイヤとシリコン電池の熱膨張係数は異なるため(ワイヤの方がシリコンよりも高い)、温度変化によってワイヤと電池間の応力がさらに増大する。装着と熱膨張応力のせいで、特に電池の近傍では、電池からワイヤおよび/またはメタライゼーションが剥離する。さらに、バスワイヤは、電池の上面から屈曲させて、隣接電池の裏面まで巻き付けなければならない。この屈曲ワイヤは、電池縁部の近傍のメタライゼーションに剥離応力を追加する。さらに、不適切に屈曲させられた場合、ワイヤが実際に電池の縁部に接触して縁部亀裂を引き起こす、あるいは縁部亀裂を拡げる場合がある。
【0006】
別の製造方法によると、半導体ウェハは、Sachsらによる2012年10月23日に発行された特許文献1、「太陽電池などの溶融材料から薄半導体本体を効率的に製造する方法」に開示される技術を用いて、(該特許は引用により全文を本願に組み込む)、半導体溶融物から形成される。本特許に開示する技術は、本明細書では、概してダイレクトウェハ(R)(DW)ウェハ形成技術と称する。この技術によると、ウェハなどの薄半導体本体は、インゴットから切断されたり、ストリング間で成長させたり、あるいはその他の何らかの方法で形成されたりするのではなく、半導体材料の溶融物から形成される。
【0007】
簡潔に言うと、ダイレクトウェハ(DW)ウェハ形成技術では、圧力差が多孔性モールドシート全体に印加されて、半導体(たとえば、シリコン)ウェハがその上に形成される。圧力差が軽減すると、ウェハが解放される。モールドシートは溶融物よりも低温の場合がある。熱は形成ウェハの厚みを通じて抽出される。液体と固体の界面はモールドシートとほぼ平行である。固体化する本体の温度は幅全体にわたって均一であるため。低応力、低転位密度、高結晶品質につながる。多孔性モールドシートは、気体を通過させるのに十分な透過性を有していなければならない。多孔性モールドシートは、圧力差が提供されている間、孔の開口に溶融材料を侵入させる透過性を有していてはならない。そうしていなければ、孔が詰まって圧力差を維持することができない。溶融物は、溶融物の上部との全領域接触、水平、垂直、またはその中間のいずれかの溶融物とモールドシートとの部分領域接触、あるいは、溶融物へのモールドの浸漬によってシートに導入することができる。粒径は様々な手段で制御することができる。圧力差は、ダイレクトウェハ技術特許と称することもあるが、本明細書では圧力差レジメと称する。この圧力差は、大気圧で溶解面を維持し、大気圧未満の圧力でモールドシートの裏面を維持することによって設定することができる。別の実施形態では、モールドシートの両面間の圧力差は、モールドシートの形成面上で局所大気圧よりも高い圧力で大気を維持しつつ、モールドシートの裏面を排気することによって生成される。本実施形態の利点は、真空ポンプが不要なことである。モールド面と溶解面は、接触期間と称する期間、相互に接触する。接触期間の少なくとも一部、圧力差レジメが提供される。溶融物からウェハを形成することは有益であり、溶融物内に固体を生成し、この固体、たとえばウェハをモールドシート(または、本明細書に開示する発明の場合、テンプレート)上に形成することが、ダイレクトウェハ技術特許の発明、および本明細書に開示する発明のうちの1つと考えられる。モールドシート(またはテンプレート)から解放させて有価製品を構成する必要はない。しかし、形成されたウェハは、様々な方法でモールドシートから取り外すことができる。場合によっては、圧力差レジメを解消することができる。すなわち、真空が使用される場合、圧力差を遮断することができ、ウェハは落下する。もしくは、圧力差レジメは低減することができる。すなわち、真空度を低減する、あるいは圧力差を低減することができる。さらに、ストリッピングピン、ストリッピングフレーム、またはウェハと機械的に接触し、ウェハをモールドシートから引き剥がすその他のツールなどの機械的手段を使用することもできる。
【0008】
モールドシートの多孔性に関して言えば、一実施形態では、最初に溶解した後に固体化する半導体材料と接触する表面の孔は、溶融半導体が孔に侵入しにくいように小さくなけ
ればならない。通常、当該粒径は0.1~10.0ミクロンとすることができる。孔は相互接続されるため、通常、モールドの多孔性媒体を通過する気体は、障害物の周囲に連続路を見出すことによって局所的障害物を収容するように、複雑なパターンで流れる。
【0009】
溶融材料の表面に対向し、接触する面を形成する多孔体の外面は、(微細またはわずかに)非平面状として、特定の、だが多数の密集位置で溶融半導体をモールド表面に接触させることができる。この構造で、気体は溶融材料と多孔性モールドの表面間をほぼ横方向に流れることができる。この結果、圧力差レジメにより提供される吸引によって、表面積の非常に大きな割合、たとえば約100%にわたってウェハ表面に力を印加することができる。これは、孔圧力差を提供して、等価の圧力差を設定することができる小数の大径孔を設ける場合と全く異なる。後者の場合、圧力差の場所は、少数の大径孔の比較的小さな表面積に限定される。対照的に、真の多孔体である前者の場合、気体は横方向に流れることができるため、圧力差はモールドと装着されたウェハの表面積全体にわたって、さらに分散された状態で実際に存在する。多孔性という文言は、本明細書では後者ではなく前者の場合を説明するために使用する。
【0010】
ダイレクトウェハ(DW)ウェハ形成方法によって作製されるウェハは、ワイヤ切断ウェハよりも明確な利点を有する。たとえば、粉末に挽いて、ソーイングで失われる材料がないために、シリコン原料の無駄が大幅に減る。さらに、主としてモールドを溶融材料の表面に接触させることによってウェハを作製する方法では、後述するようにウェハ製造の特定の態様を具体的に制御することができる。しかしながら、ワイヤ切断ウェハと同様に、標準厚のダイレクトウェハ特許技術方法によって作製されるウェハは、上述した効率化の理由のため、同じ技術によって作製される薄肉ウェハほど効率的ではない。また、ダイレクトウェハ特許技術によって作製される薄肉ウェハは、同じダイレクトウェハ特許技術によって作製される標準厚の厚肉ウェハよりも脆く、さほど強靱ではない。また、ダイレクトウェハ特許技術方法によって作製される薄肉ウェハは、ダイレクトウェハ特許技術を使用して作製される厚肉ウェハほど半導体原料を使用しない。
【0011】
よって、PVモジュールのコストを低減する、特に、強度、耐久性、性能を犠牲とせずに、任意の方法で製造される各ウェハに必要なシリコンの量およびコストを低減することが望ましい。また、コスト、重量、サイズ、剛性、またはその他の特性を過度に増加させずに、製造されるウェハの強度を向上させることが望ましい。また、標準的な180~200ミクロン厚のウェハよりも効率的なウェハを提供することが望ましい。また、相互に、および他の構成要素と接続できるように薄肉半導体ウェハと電気的接続させることができることが望ましい。
【0012】
研究者らは、他よりも薄い領域、たとえば内側薄肉部と厚肉外周部とを有するウェハを作製するため、粉末ベース技術とセッターを使用して実験を行った。たとえば、Jonczykらの特許文献2、「ネット状半導体ウェハ製造時に凹部を有するセッターを使用する方法」(’084特許)を参照されたい。このセッター作業において、粉末シリコンは所望形状のモールド(’084特許ではセッターと称する)で提供された後、加熱されて溶融し、多結晶シリコンの固体へと融合する。’084特許に開示される技術およびすべての粉末技術において主要な課題は、格子間酸素含有量が半導体、特に光電池用途にとって許容不能なほど高いことである。これは、特別なステップを実行しないと、粉末粒子上の純粋酸化物により、ウェハ内の格子間酸素レベルが高くなるからである。粒子が小さいほど、完成品の格子間酸素量が大きくなる。薄肉ウェハを達成するには、小さな粒子を使用しなければならない。よって、薄肉ウェハを達成するには、粒子から作製される場合、多くの格子間酸素がウェハ内に存在する。
【0013】
たとえば、’084特許は、粉末から製造される300~1000ミクロンの比較的厚
い範囲のウェハについて記載している。本発明者らによる論理的解析に基づくと、これにより、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)法ASTEM-F1188によって測定されるように、6×1017~2×1018原子/cc間の格子間酸素含有量を有するウェハがもたらされると考えられる。論理上の1例として、1nm厚の純酸化物シェルを伴う球状150ミクロン径の粉末を仮定すると、1×1018原子/ccの総酸素濃度が存在する。実質上、シリコン粉末は側面比>2:1の非球状であるため、上記推定値、およびさらに高い酸素濃度で使用される理論的球体の表面積対体積比は大きくなる。300ミクロン未満厚の薄肉ウェハを達成するため、さらに小さな粒子が要求される結果、より高い酸素濃度となる。’084特許は理論的には100ミクロンの薄さに言及しているが、より一般的には350~900ミクロンであると述べていることを強調しておくべきである。最も重要な点として、’084特許は正式な例を全く述べておらず、本明細書に開示する工程によって作製される実際のウェハについて言及していない。’084特許が厚肉領域と薄肉領域を有するとして記載している唯一のウェハは、薄肉部が900ミクロン厚であり、このようなウェハが作製されたことを明確に記載していない。
【0014】
概して、薄肉ウェハを製造するのに使用される粒子は、ウェハの最終厚の1/3以下であるはずと考えられる。たとえば、150ミクロンよりも薄いウェハを製造するため、粉末粒子は50ミクロンよりも小さいはずである。このような小寸法の粒子は、提供される材料の体積に対して非常に大きな表面積を有する。この大きな表面積は必然的に、純酸化物、炭化水素、金属を通じて、大量の格子間酸素によって達成される。多すぎる格子間酸素は性能を低下させるだけでなく、極端な場合、粉末が適切に溶解し結晶化するのを阻む場合がある。また、このような小粉末上の酸素は大量のSiOを形成し、溶解温度よりもわずかに低い温度となる炉内のどこかで凝結する可能性がある。
【0015】
’084特許の段5の第1~10行において、半導体材料内のシリコン酸化物(または他の半導体の場合はその他の酸化物)の存在は不所望の汚染物であり、小さい粒径になるほど不良であることが認識されている。よって、最終的ウェハで達成可能である薄さを制限する粒径の下限は、起こりうる格子間酸化物汚染によって制限される。150ミクロン以下の厚さのウェハを製造するのに必要とされる50ミクロン粒径の粉末を使用すると、300~600ミクロンのウェハを作製するのに使用する粒子のように、粉末の小径粒子には約4倍の酸素が生じる。よって、(150ミクロン厚のウェハを達成するため)50ミクロン粒子を使用すると、3×1018原子/cc超、および大抵はそれ以上の量の格子間酸素を有するウェハが生じると予測される。
【0016】
6×1017原子/cc未満、好ましくは2×1017原子/cc未満の任意の値で格子間酸素レベルを有することが望ましい。少量の格子間酸素(たとえば、2つの中断点を採り上げると、5×1017原子/cc、4×1017原子/ccなど)を達成することは、大量の格子間酸素よりも有益である。
【0017】
残留ガス除去などの既知の熱処理を通じて、約2×1017原子/cc超の格子間酸素を析出させることが理論的に可能である。よって、格子間酸素はほぼその値まで低減するが、結晶内の総酸素は、ミシガン州セントジョーセフのLECO社が提供するようなIGA(格子間気体解析)方法によって測定されるように、8.75×1017原子/cc(=10ppmw)超と有害なほど多く残る。しかしながら、8.74×1017原子/cc未満の総酸素レベルを有することが望ましい。この値未満、好ましくは5.25×1017原子/cc(=6ppmw)未満の値であれば有益である。少量の総酸素(たとえば、2つの中断点を採り上げると、7×1017原子/cc、6×1017原子/cc)を達成することは、大量の総酸素量よりも有益である。
【0018】
特にシリコンなどの半導体を伴う粉末ベースのウェハ形成に関連するもう1つの問題は
、シリコンの非常に高い表面張力を原因とする。全シリコンが同時に任意の位置で溶解される場合、薄肉ウェハは粉末およびセッター技術から作製することができない。特定の最少量の未溶融シリコンが、表面張力を破るために必要とされる。そうでない場合、平坦な薄肉構造ではなく、球状シリコンが形成される。’084特許に開示されるウェハ製造工程は、シリコン粉末を部分的に溶解した後、他方の側から残りの未溶解粉末を溶解させ、予め成長したシリコン上のエピタキシャル成長を継続させる前に、一方の側でシリコン粉末を結晶化することを含む。段7の55行~段8の64行、
図1および
図2を参照されたい。この本文は、トップダウン加熱と粒成長工程について説明している。’084特許の
図2は、熱が溶融物の上部と下部、ついで固体化本体から印加される様子を示し、該特許の
図12と段15の4~19行は、上記の様子と、粒子材料(参照符号なし)上の部分溶解材料89を示す。このような工程は、超薄粉末ベッド厚では非常に困難である。任意の1箇所でシリコン粉末の全層溶解はどこでも回避しなければならない。そうしない場合、溶融材料の薄層が球状化して、球状領域に隣接して孔を形成する。よって、粉末とセッター技術を使用する際、シリコン(および同様に高表面張力を有する他の半導体)で200ミクロンより薄いウェハを得ることは、不可能でないにせよ困難である。というのは、粉末粒子のこのような浅い本体の深さのごく一部を、一度に残りの深さ全部を溶解させて溶融半導体の領域の球状化を招くことなく溶解させることは非常に困難となる。
【0019】
粉末粒子からウェハを製造することは、ある位置から別の位置へ段階的に厚肉化されることに関する別の問題を生む。その問題は、粉末が最大50%、より一般的には33%の密度を有するという事実に基づく。この問題のために、形成される本体の反対面、および厚肉領域と薄肉領域間の遷移領域の薄肉部において、平坦性を大きく損なうことなく、隣接領域よりも20%~30%より厚い領域を設けることが不可能となる(別の言い方をすると、隣接領域の厚さの比は、1.3:1を超えることができない、あるいは、品質と寸法の均一性を必須として粒径に応じて1.2:1まで低減させることができる)。粉末密度は、固体材料の密度の約1/3である。(粒径がこの割合にいくらかの影響を及ぼす)。セッター装置を’084特許の
図9および12を参照して説明する。セッター70の凹部73が完成品において、薄肉内側領域の上方に隆起し、セッターの領域74で形成される外周部を形成するのに使用される場合、凹部73と浅い領域74の両方にまず十分な深さ/体積の粒子を提供して完成品を作製しなければならない。
【0020】
以下の設定に関して発生することを考えてみる。セッターの凹部74が深さ100ミクロンであり、ウェハ厚が主内側領域において300ミクロン厚であることが望ましいとすれば、合計900ミクロンの場合、この領域の上方に最終300ミクロン厚の3倍まで粉末を堆積させる必要がある。これは、溝部の上方で、厚さが1000ミクロンとなることを意味する。熔解後、完成品の厚さは、上方にあった粉末の深さの約1/3となる。よって、内側領域では、厚さは300ミクロン厚となる。溝部の上方では、厚さは1/3×1000ミクロン=333ミクロン厚となる。しかし、溝部は内側部よりも100ミクロン深い。よって、外周部の厚さは中央領域下方100ミクロンの溝部の底部から測定した場合は333ミクロンとなり、内側領域の厚さは平坦な内側領域から測定した場合は300ミクロンとなる。形成される本体の裏面は、対向面が溝部の100ミクロンによってオフセットされるために平坦からはほど遠い。溝部の底部から溝部上方の裏面までの距離は333ミクロンとなる。内側領域上方の厚さは300ミクロンであり、内側領域は深さ100ミクロンの溝部から100ミクロン離れているため、溝部の底部から内側領域上方の裏面までの距離は400ミクロンとなる。よって、溝部上方の外周部と内側部上方の領域との界面において、裏面の隣接領域は、溝部の下部からの距離が333ミクロンおよび400ミクロンと異なり、両領域間に67ミクロンの不揃いを残す。
【0021】
平坦性を欠くため、溝部と内側領域間の角部に隣接して薄肉部が生じる。この薄肉部はさらに薄くすることができる、あるいは、応力を高める役割を果たし、通常は望ましくな
い。外周部周囲に大きな拡張部を設定するために設けられる溝部が深いほど、平坦性の欠如が問題になる。これは、拡張部の追加による違いは、増加した拡張部と同程度まで端部に存在するが、追加拡張部による追加粉末が追加量の1/3まで圧縮されるからである。よって、深さ200ミクロンの外周溝部の場合、裏面での不揃いは124ミクロン(=300-((1100ミクロン/3)-200)の違いをもたらす。
【0022】
上記の考慮事項は、厚肉領域の隆起拡張部と薄肉領域の厚さとの比に関して表すことができる。薄肉領域の表面を基準面と考えると、セッター方法では、基準面上方の隆起拡張部と薄肉領域との厚さの比が0.11よりも大きくなる程度まで、基準面を超えて拡張する隆起部を備えた本体を製造することが通常は困難である。いずれにせよ、’084特許は、さらに大きな比を有する本体の例を1つも開示していない。本明細書に開示する唯一の例は、薄肉領域が900ミクロンであり、隆起部が最大100ミクロンであるため、比は100/900=0.11である。
【0023】
よって、本発明の目的は、特定の制御領域では標準的な180~200ミクロン厚の半導体ウェハよりも薄く、大半の部分では80ミクロンと薄く、さらに場合によっては50~60ミクロンと薄いにもかかわらず、従来の光電池用途で使用するのに十分強靱かつ頑丈である薄い半導体ウェハを提供することである。本発明の別の目的は、同じ表面積の標準的な半導体ウェハよりも半導体の体積の少ない半導体ウェハを提供することである。本発明のさらに別の目的は、局所的に薄いものの強靱なウェハの製造方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、このような小体積の半導体ウェハの製造方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、3次元形状のウェハを作製することである。本発明の別の目的は、たとえば6×1017原子/cc未満、好ましくは2×1017原子/cc未満の値の許容可能な格子間酸素含有量を備えた薄肉ウェハを作製することである。関連の目的は、IGAによって測定されるように、8.75×1017原子/cc(=10ppmw)未満、好ましくは5.25×1017原子/cc(=6ppmw)未満の値の総酸素量を備えたウェハを作製することである。さらに別の目的は、隣接領域が1.28:1超の厚さ比を有する、厚さの異なる領域を備えた半導体ウェハを提供することである。上記と関連する目的は、薄肉領域の基準面上方の厚肉領域の拡張部が、薄肉領域の厚さの0.11倍超である、厚さの異なる領域を備えた半導体ウェハを提供することである。本発明のさらに別の目的は、薄肉領域が好ましくは180ミクロンよりも薄く、特定の実施形態では、表面積の80%以上、および95%にわたって延在する、厚さの異なる領域を備えた半導体ウェハを提供することである。
【発明の概要】
【0024】
概して、本発明は、他の領域よりも厚い領域を有し、厚肉領域がウェハの特別に設計された、あるいは制御された位置に配置される半導体ウェハである。概して、本発明は、基準面ではほぼ水平であり、基準面から突出する隆起部を有する半導体ウェハであって、隆起部は特別に設計または制御されたウェハ位置に設けられる。特に、本発明は、薄肉内側領域と厚肉外周領域とを有し、均一厚のウェハよりも半導体材料の消費量が少なく、表面積の大半にわたって厚肉であるウェハよりも効率が高い半導体ウェハである。特に、もう1つの発明は、比較的薄い領域と、電気的および機械的接続、ならびにその他の結合のための補強領域を提供する、矩形、円形、その他の幾何学形状などの1つ以上の別々の厚肉領域、たとえば、相互に間隔をおいて配置されるリブ、ランディング、ストライプ、アイランドと、を有するウェハである。概して、本発明は、180ミクロンよりも薄いウェハであり、60ミクロン程度の薄さ、より一般的には80ミクロン以上となるウェハであり、好適な実施形態では、薄肉領域が本体の表面積の80%以上にわたって延在する。本発明は、180ミクロンよりも薄い薄荷区部と厚肉部とを含み、厚さの比が1.3:1以上であるウェハも含む。さらに別の発明は、格子間酸素含有量が6×1017原子/cc未満、より好ましくは2×1017原子/cc未満であり、最も好ましくは検出可能な格子
間酸素がない、厚肉部を備えた薄肉ウェハである。さらに、上記ウェハは、IGAによって測定される総酸素量が8.75×1017原子/cc(=10ppmw)未満、好ましくは5.25×1017原子/cc(=6ppmw)未満である。さらに別の発明は、相対的薄肉部と相対的厚肉部とを備え、相対的薄肉部が180ミクロン厚未満であり、相対的厚肉部が40ミクロン以上、さらには120~200ミクロンも薄肉部よりも拡張するウェハである。
【0025】
上述の発明はすべて、好都合なことに、もし存在すれば、相対的に少量、たとえば6×1017原子/cc未満、好ましくは2×1017原子/cc未満の格子間酸素を有する半導体から成ることができる。これらの値間の差は動作上あまり重大ではないように思われるが、6×1017原子/cc超と6×1017原子/cc未満、好ましくは2×1017原子/cc未満との差は、結果として生じる光電池性能の観点から非常に重要である。6×1017原子/ccまたはそれ以上の格子間酸素を含む光電池用の半導体が、効率が低く、光誘発劣化が2%超である一方、2×1017原子/cc未満の格子間酸素を含むウェハは好適であり、光誘発劣化は2%未満とかなり低い。好都合なことに、上述の発明はすべて、存在するとしても、たとえば8.75×1017原子/cc(=10ppmw)未満、好ましくは5.25×1017原子/cc(=6ppmw)未満の相対的少量の総酸素量を含有する半導体を含むことができる。
【0026】
もう1つの発明は、上記ウェハから成り、上述したように、相対的厚肉領域に電気的接続を設けることのできる太陽電池と、上述したように、電気的接続とウェハ厚肉部を介して相互に接続され、構成ウェハの合計厚による高効率を利用する太陽電池を備えた太陽熱モジュールである。他の本発明は、上述の厚さの変動するウェハ、電池、モジュールのいずれかを製造する方法である。
【0027】
一実施形態では、ウェハの外周部周囲の全体領域は、内側あるいは中央領域よりも厚くすることができる。たとえば、ウェハの内側領域は約100ミクロン厚、外周領域は約180~200ミクロン厚とすることができる。厚肉外周部は、
図1に示すように、縁部から通常、内側に約1~3mm拡張することができる。このように、ウェハの縁部の強度は、標準的な均一厚のウェハの強度と同様である。
【0028】
後述のように、厚肉縁部は、様々な形状をとることができ、様々な輪郭を有することができる。
【0029】
別の実施形態では、ウェハの内側の特別に選択された領域を、他の領域よりも相対的に厚くすることができる。たとえば、ウェハは、相互接続バスバーを後で収容するより厚い厚肉領域のストライプを備えて作製することができる。
図2は、上記厚くしたストライプを備えたウェハの1例を示す。上記ストライプは、厚肉金属導体に対する半田付けまたは接着剤など、電気的接続の応力に耐える、より頑強な亀裂に強い領域を提供する。
【0030】
外周部と内側部の厚肉化を組み合わせた他の実施形態も本発明として企図され、その実施形態について以下説明する。外周部または内側領域の一部のみが厚肉化される実施形態も企図され、その実施形態について以下説明する。
【0031】
別の発明は、厚肉境界部、または厚肉領域、薄肉内側ウェハを用いて作製される太陽電池である。それらは、太陽熱エネルギー収集装置として、従来の均一厚の半導体ウェハを有する太陽電池よりも軽量で、安価で、耐久性が高く、効率的である。損傷のリスクが少なく、ある電池と別の電池を接続してモジュールを製造するのに必要な電気的接続をウェハに提供することができる。
【0032】
さらに別の発明は、本発明の半導体ウェハを備える本発明の太陽電池から成るモジュールである。上記モジュールはウェハの厚さにより高効率を発揮するが、相対的厚肉外周領域および電気的接続用の相対的厚肉領域の一方または両方によって強度が与えられるため、許容不能なほど脆くはない。
【0033】
また、本発明は、このような厚肉境界部、薄肉内側ウェハ、または選択的な厚肉領域とそれ以外の薄肉領域を有するウェハを製造する方法である。上記方法の1つは、ダイレクトウェハ(R)(DW)ウェハ製造方法に基づき、本明細書に開示する大幅な変形を含む。基本的な方法は、上述のダイレクトウェハ技術特許にすべて記載されている。本発明であるDW技術の方法の変形を以下説明する。変形ダイレクトウェハ(R)法に基づき製造されるウェハの格子間酸素含有量は、6×1017原子/cc未満、典型的には2×1017原子/cc未満であり、さらには検出可能な格子間酸素を含まないほど少ない。さらに、上記ウェハは、8.75×1017原子/cc(=10ppmw)未満、通常は5.25×1017原子/cc(=6ppmw)未満の総酸素量を有する。
【0034】
DW技術の方法によってモールド上に形成されるウェハの厚さは、溶融物から抽出された後、該当位置で半導体材料を固体化する熱質量に依存し、およびその位置での熱抽出量(熱流量)にもやや依存する。固体化シリコンの厚さは、総熱抽出量に基づく上限を有する。これは、特定量の熱を液体から抽出して、液体を冷凍しなければならないからである。その量は融解の潜熱と呼ばれる。たとえば、シリコンの場合、溶解の潜熱は4.138kJ/cm3である。よって、ある体積のシリコンを冷凍するため、局所熱抽出は、ウェハ厚の100ミクロン毎に41.4J/cm2でなければならない。これは、溶融物から抽出される熱がすべて潜熱から得られると仮定する。別の言い方をすると、溶融物が既に凍結温度に達していると仮定する。しかしながら、この熱質量があまりにも緩やかに-長すぎる期間-抽出される場合、熱が下方の高温の溶融物から固体ウェハへ伝達されることによって、溶融材料から抽出される真熱質量を低減し、ひいては結果としてできるウェハの厚さを低減する。よって、低速で抽出される場合、たとえ必須量の熱が抽出されるとしても、溶融物が固体材料を再度加熱するため、同じように凝固しない。
【0035】
ある領域で別の領域よりも熱が比較的多く抽出され、その位置で厚肉ウェハ領域が形成されることは本発明と考えられる。逆に、ある領域で別の領域よりも熱が比較的少なく抽出され、その位置で薄肉ウェハ領域が形成されることも本発明と考えられる。概して、多い熱流を経る位置では熱抽出量も大きくなり、少ない熱質量を経る位置では熱抽出量も小さくなる。
【0036】
後述する理由により、本発明のウェハを製造するのに使用される方法は、重要な点でダイレクトウェハ(R)技術の方法と異なり、ウェハに形状を付与する本体は、モールドシートまたはモールドと類似し、それらの文言がDW技術特許において使用されるように、従来のモールドとしては機能しない。本体の機能を以下説明する。しかし、このために、本明細書では、テンプレート、あるいは場合によっては、モールドではなくパターンと称する。
【0037】
たとえば、相対的厚肉外周領域を有するウェハを形成するには、ウェハが内側領域よりも厚い領域では、外周部周囲の溶融材料からさらに多くの熱を抽出するように、半導体溶融物からテンプレートまでの熱流を制御することによって達成することができる。形成されるウェハは、内側領域よりも外周部周囲の方が厚い。同様に、特に電気的接続と関連する相対的厚肉ストライプまたはその他の幾何学形状の場合、相対的に厚いことが望ましい位置で相対的に多くの熱が抽出される結果、熱抽出量が相対的に少ない領域よりも相対的に厚く形成される。
【0038】
特別に配置および設計される領域と別の領域間で、特別に制御および設計される熱抽出の差異を提供する多くの様々な方法について以下説明する。これらの方法は、未被覆領域よりも熱抽出を遅らせる(あるいは所望に応じて増大させる)コーティングをテンプレートの1以上の領域に設けることと、異なる位置で熱質量が増減し、厚肉領域は一般的には薄肉領域よりも熱質量が大きく、熱抽出量が大きくなるように、テンプレート位置によってテンプレート厚さの異なる領域を設けることと、テンプレート表面にわたって、位置によって異なる量の圧力差を設けることと、たとえば熱質量を低減するように空隙を含む、あるいは熱抽出量が位置によって異なるように異なる材料を挿入することによって、テンプレート自体に異なる熱特性を局所的に提供することと、位置によってテンプレートに異なる透過度を提供することによって、透過性自体、あるいは異なる透過度から生じる異なる程度の圧力差のいずれかのために異なる熱抽出度を提供することと、を含むがそれらに限定されない。
【0039】
以下、主に光電池用途の半導体ウェハの形成、たとえば太陽熱収集ウェハの形成について説明する。標準的なウェハは、156mm×156mmのほぼ平面である太陽熱収集面を画定する。ウェハは、この面に直交する厚さ、通常は180~200ミクロンの厚さを有する。以下この厚さ寸法に特に焦点を当てて説明する。薄と厚という文言は通常、太陽熱収集面に直交する、この寸法内の構造のサイズを指すために用いる。ある寸法を太陽熱収集面内に有する構造について説明する。広、狭、またはそれらに類似する文言は、太陽熱収集面の平面上の構造のサイズを指すために通常使用する。他の用途でウェハを形成することもできる。光電池用途に関して挙げた例は、単に説明のためのものであり、請求項で明記されない限り、本文書で請求する発明を光電池に限定すると解釈すべきではない。
【0040】
本明細書に記載する溶解方法から直接製造されるウェハは、格子間酸素含有量が6×1017原子/cc未満、通常は2×1017原子/cc未満の所望の低酸素レベルを有し、さらには検出可能な格子間酸素を含まない。さらに、上記ウェハの総酸素量は、8.75×1017原子/cc(=10ppmw)未満、標準的には5.25×1017原子/cc(=6ppmw)である。
【0041】
本明細書に開示する発明のこれらおよびその他の目的および態様は、図面を参照することでさらに適切に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】比較的薄い100ミクロン厚の内側領域と、比較的厚い200ミクロン厚の外周領域とを有する本発明のウェハの概略図であり、内側領域は標準的な180~200ミクロン厚のシリコンPVウェハよりも薄く、厚肉外周領域は約2mm幅であり、傾斜内側縁を有する。
【0043】
【
図1A】
図1のAにおけるウェハの外周領域の拡大図である。
【0044】
【
図1B】線B-Bに沿った
図1のウェハの断面図であり、外周部が内側領域よりも厚いことを示す。
【0045】
【
図2】100ミクロンの内側領域と、バスワイヤ接続用のストライプを備える厚肉の200~300ミクロン厚領域とを有する本発明のウェハの概略図である。
【0046】
【
図2A】線A-Aに沿った
図2のウェハの断面図であり、ストライプが隣接内側領域よりも厚く、傾斜縁部を有する。
【0047】
【
図3】PERC電池構造の電池効率とウェハ厚との関係を示す図である。
【0048】
【
図4】たとえば100ミクロン厚の薄肉内側領域と、約150ミクロン厚および1.5mm幅の厚肉外周領域と、内側領域よりも厚く、高さ約150ミクロンおよび幅2.7mmのストライプを備える領域とを有する本発明のウェハの概略図である。
【0049】
【0050】
【
図5】100ミクロンの相対的薄肉内側領域と、200ミクロンの相対的厚肉外周領域とを有し、厚肉外周部が約1mm幅であり、内側縁部に急な角部を有する本発明のウェハの概略図である。
【0051】
【
図5A】
図5のAにおけるウェハの外周領域の拡大図である。
【0052】
【
図5B】線A-Aに沿った
図5のウェハの断面図であり、外周部が内側領域よりも厚いことを示す。
【0053】
【
図6】極薄肉の60ミクロン厚の内側領域と200ミクロン厚の外周領域とを有し、外周部は約2mm幅であり、4mmの遷移領域を画定する傾斜内側縁部を有する本発明のウェハの概略図である。
【0054】
【
図6A】
図6のAにおけるウェハの外周領域の拡大図である。
【0055】
【
図6B】線A-Aに沿った
図6のウェハの断面図であり、外周部が内側領域よりも厚いことを示す。
【0056】
【
図7】相対的薄肉の100ミクロン厚の内側領域と相対的厚肉の200ミクロン厚の外周領域とを有し、薄肉内側部から厚肉外周部までの遷移は漸進的であるため、厚肉領域は約2mm幅であり、約2mmの遷移領域が内側領域の薄さまで薄肉化する本発明のウェハの概略図である。
【0057】
【
図7A】
図7のAにおけるウェハの外周領域の拡大図である。
【0058】
【
図7B】線A-Aに沿った
図7のウェハの断面図であり、外周部が内側領域よりも厚いことを示す。
【0059】
【
図8】100ミクロンの薄肉内側領域と、相互に間隔をおいて配置された約2.4mm幅の相対的厚肉バスワイヤ補強ランディングとを有する本発明のウェハの概略図であって、ランディングは外周部から内方に延在し、その厚さは縁部の200ミクロン厚から内側領域の厚さまで漸減し、ランディングの縁部以外には厚肉外周領域はほぼ存在しない。
【0060】
【0061】
【
図9】相対的に薄い100ミクロンの内側領域と、約150ミクロン厚で1.5mm幅の相対的厚肉境界領域と、相互に間隔をおいて配置される約2.7mm幅のバスワイヤランディングとを有する本発明のウェハの概略図であって、バスワイヤランディングは厚肉境界領域から内方に延在し、その厚さは縁部の境界領域の厚さから内側領域の厚さまで漸減する。
【0062】
【0063】
【
図10】たとえば100ミクロン厚の相対的薄肉内側領域と、約150ミクロン厚で1.5mm幅の相対的厚肉境界領域と、厚肉境界領域から内方に延在し、縁部の境界領域の約150ミクロン厚から内側領域のたとえば100ミクロン厚まで厚さの漸減する、約2.7mm幅の相互に間隔をおいて配置されるバスワイヤランディングと、バスワイヤを支持するためウェハの幅にわたって間隔をおいて配置されるバスワイヤアイランドとを有する本発明のウェハの概略図である。
【0064】
【
図11】ランディング、アイランド、薄肉内側部を有し、メタライゼーションが設けられ、2つのバスワイヤで相互接続される、
図11に示すような2つのウェハの概略図である。
【0065】
【
図11A】
図11の部分Aの概略拡大図であり、単独のバスワイヤ、メタライゼーション、ランディング、アイランドの一部を示す。
【0066】
【
図11B】下のメタライゼーションを示すためにバスバー素子を取り除いた、
図11Aに示すウェハの拡大部分の部分展開図である。
【0067】
図12A、12B、12C、12D、12Eは、機能層の印加段階を概略的に示し、
該機能層は、薄肉内側部と厚肉外周部とを有するウェハを提供する2ステップで蒸着される。
【0068】
【
図12A】第1の機能層が表面全体に設けられたテンプレートを示す。
【0069】
【0070】
【
図12C】
図12Bのマスクされたテンプレートを示し、第2の機能層がマスクの内側に蒸着されている。
【0071】
【
図12D】マスクが取り除かれた
図12Cのテンプレートを示し、表面積の異なる機能層が2つ積層されている。
【0072】
【
図12E】通常使用時のように、溶解側面が下方に向くように反転された
図12Dのテンプレートを示す。
【0073】
図13A、13B、13C、13Dは、2つのインターポーザ層の貼付段階を概略的
に示す。
【0074】
【0075】
【
図13B】表面全体を第1のインターポーザ層で覆った
図13Aのテンプレートを示す。
【0076】
【
図13C】追加インターポーザ層が内側部を覆って、薄肉内側部と厚肉外周部とを有するウェハを生成する、
図13Bに示す覆われたテンプレートを示す。
【0077】
【
図13D】通常使用時のように、溶解側面が下方に向くように反転された
図13Cのテンプレートを示す。
【0078】
【
図14A】粉末またはその他の流体形状で蒸着された、あるいは自立型インターポーザ体として、機能的材料のストリップで覆われたテンプレートの概略図である。
【0079】
【
図14B】通常使用時のように、溶解側面が下方に向くように反転された
図14Aのテンプレートを示す。
【0080】
【
図15】2つの機能的材料層を有するテンプレートの概略部分断面図であり、ウェハがテンプレートの溶解側面に形成されている。
【0081】
【
図16】テンプレートから分離された
図15のウェハの概略部分断面図である。
【0082】
【
図17】領域によって厚さが異なり、薄肉内側領域と厚肉外周領域とを有するテンプレートの概略図である。
【0083】
【
図18】厚さの変動するテンプレートの概略部分断面図であり、ウェハがテンプレートの溶解側面に形成されている。
【0084】
【
図19】
図17に示すように領域によって厚さの異なるテンプレートの概略図であり、薄肉内側領域と、厚肉外周領域と、ストライプ、ランディング、アイランドを形成するための厚肉内側領域とを有する。
【0085】
【0086】
【0087】
【
図20A】
図19Aに示す、厚さの変動するテンプレートの一部を示す概略部分断面図であり、ウェハがテンプレートの溶解側面に形成されている。
【0088】
【
図20B】
図19Bに示す、厚さの変動するテンプレートの一部を示す概略部分断面図であり、ウェハがテンプレートの溶解側面に形成されている。
【0089】
【
図21】外周領域と熱特性の異なる内側領域を有するテンプレートを提供するため、内側部に孔を設けたテンプレートを示しており、例示を簡易化するため孔は概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本明細書に開示する発明は、半導体ウェハと、当該ウェハの形成方法に関する。それらは、光電池アセンブリで使用される半導体ウェハ、および上記ウェハとアセンブリの作製方法に特に適用可能であるが、他の用途でウェハ状の製品を形成するために使用することができる。シリコンウェハを1例として示したが、本発明は半導体としてシリコンに限定しない。同様に、光電池用途を1例として説明するが、本明細書に開示する方法は、本明細書に記載するテンプレートなどの多孔体を用いて、溶融材料から製造される半導体製品で使用することができ、多孔体は他よりも薄い領域を有することが望ましく、具体的には、薄肉領域は非常に薄く、厚肉領域の存在によってある程度強化される。
【0091】
上述したように、概して、本明細書に開示する発明は、表面積の大半にわたって、標準的な光電池ウェハよりも薄い、通常は180~200ミクロン厚のウェハに関する。さらに、本発明のウェハは、180ミクロン未満の均一厚のウェハよりも強度を向上させるのに役立つ厚肉領域、たとえば厚肉外周領域、または厚肉ストライプ、アイランド、拡張リブ、ランディング、タブ、または電気的接続用のその他の幾何学形状を有する。電気的接続用の強靱さ向上など、強度以外の特徴は、これらの他の厚肉構造によって提供すること
ができる。本明細書で使用されるように、ウェハが薄肉内側領域を有すると記載される際、ストライプ、アイランドなどのこれらの他の幾何的形状を除き、内側領域の大半は薄肉であることを意味する。概して、内側領域の50%以上が薄肉であり、より一般的には80%超または90%超が薄肉である。概して、本発明のウェハは、140ミクロン未満、好ましくは100ミクロン未満、60ミクロンの薄さまでの内側領域を有する。特別な手段を利用すれば、60ミクロンよりもずっと薄いウェハを作製することが可能である。概して、厚肉領域と薄肉領域の比は1.3:1~3:1であるが、より大きくても少なくてもよい。最も一般的なケースでは、光電池用途の場合、薄肉領域が50ミクロンより薄く、厚肉領域が250ミクロンよりも厚いことはあり得ないと考えられる。これらの極端な厚さの両方を有するウェハは将来可能であるが、現行の実践下では同じウェハにおいてこれらの限度の両方とも発生しない。
【0092】
本明細書で使用される厚肉領域と薄肉領域の意味は、従来のワイヤ切断光電池ウェハの厚さも自然に変動するため、いくらか説明する必要がある。ワイヤ切断ウェハは通常、ソーイング方向にくさび状となる。というのは、切断ワイヤがブリックの先端縁部に進入してウェハを切断すると、切断スラリー、たとえばSiCが破断し、摩耗したSiを担持する結果、切断中のブリックの出口縁部まで移動する間にカーフ厚が変動するためである。よって、切断路の前縁部よりも後縁部の方で、より多くの材料がブリックから除去される。切断ウェハの標準的な厚さ変動は10~30ミクロンであり、厚さは縁部から別の縁部まで系統的に変化する。切断ワイヤの長さと平行なウェハ厚は、ワイヤの一端から他端までほぼ均等である。上記変動は、ワイヤの移動方向で生じる。概して、ソーイング関連の原因によるウェハ内の厚さの変化は、厚肉部の20%以下である。
【0093】
本明細書で使用される際、本発明のウェハのある領域が別の領域よりも厚いと言及されるとき、特別に設計された局所的な厚さ変動が存在し、形成されていることを意味する。変動部の配置は設計され、具体的に制御される。厚肉という文言は、上述したソーイングによる、ソーイング切断の前縁から後縁までの変動とは異なることを意図する。パーセンテージの観点から検討すると、特別に設計され、局所的に制御される差が生じるウェハ厚の差は通常、厚肉部の厚さの20%以上である。
【0094】
本明細書で使用される際、領域の厚さとは、容量厚センサによって測定される、一方のウェハ表面から反対のウェハ表面までの平均厚を意味し、位置毎の厚さのx-yマップを形成する。たとえば、大きな薄肉内側領域と、第2の厚肉領域(外周部などの連続領域、あるいは後述するアイランドまたはランディングなどの非連続領域部)とを有するウェハを考えると、ウェハ表面のx-yマップは(高厚の)第2の領域を排除することができる。第1の薄肉領域内で厚さは変動することがあるが(たとえば、本発明により作製されるウェハ上のすべての点の最大-最小として算出される標準的なTTV、すなわち総厚変化は、200ミクロン厚のウェハの場合は40~80ミクロンとなる場合がある)、第1の領域の平均厚は第2の領域の平均厚よりもかなり(>20%)小さい。
【0095】
第2の領域の狭い外周部の場合、容量性センサは~5mmの測定点を有し、狭い画像を検出することができないため、エッジビジョンカメラなど厚さを判定する測定方法が異なることがある。
【0096】
まず、いくつかの異なる種類および形状の本発明のウェハについて以下説明する。次に、このウェハの形成方法について説明する。
【0097】
図1は、180ミクロンよりも薄い、たとえば約100ミクロンの内側領域120の空間110を有するウェハ100の概略図である。外周領域130はより厚く、標準的なシリコンPVウェハの全体厚を含む、たとえば180~250ミクロン厚とすることができ
る。よって、厚肉部と薄肉部との厚さの差は1.8:1以上となり、この比は、’084特許に記載するような粉末ベースの技術では達成不可能である。厚肉外周部130は、
図1に示すように縁部から内方へ通常は0.5~3mm、好ましくは1~2mm延在することができる。よって、幅wは約1~3mmとすることができる。内側角部134は高い厚肉外周部130から低い薄肉内側部120まで傾斜する。ウェハ100の縁部132の強度は、標準的ウェハの縁部の強度と同様である。
図1に示す実施形態は、厚い部分から薄い部分までの約0.4mmの漸進的な遷移領域を備えた、2mmの幅wの外周部を有する。
【0098】
実際には、いくつかの場合、厚肉外周部130は、一般的な均一圧のウェハと同じ厚さを有する縁部よりも強靱である。たとえば、平均薄肉ウェハ100は質量が少なく、ひいては運動量も少なく、停止する力が小さくてすむため、薄肉中央部110および薄肉縁部132がウェハキャリアまたはその他のハードウェアピースに衝突する際、本発明のウェハ100は均一厚のウェハよりも小さい力で衝突する。さらに、薄肉内側部を有するウェハは、標準厚のウェハと比べて、この内側領域においてずっと大きな偏向および屈曲に耐えることができる。厚肉境界領域でも、同じ厚さの完全ウェハよりも屈曲に耐えることができる。というのは、固体の力学技術において理解されるように、前者がビームのように屈曲する一方、後者はプレートのように挙動するからである。よって、概して、薄肉内側部と厚肉外周部を有するウェハは、均一な標準厚の標準ウェハ、または(薄いが)均一な厚さの薄肉ウェハよりも強靱で頑丈である。
【0099】
さらに、このようなウェハは、外周部またはその他の厚肉領域を除き、その相対全体厚により、電池構造の効率が高いため、上述のPERCのように低い表面結合と良好な光トラッピングをもたらす。このような厚肉境界部(または厚肉領域)と薄肉内側ウェハは、同一またはそれ以下の強度、同一またはそれ以下の効率、あるいはその両方で、従来の均一厚のウェハよりも相当少ない半導体材料で構成される。
【0100】
よって、本発明のウェハは、均一厚のウェハよりも少ない半導体材料で構成されるため、材料コストがかなり低減される。たとえば、100ミクロン厚の内側部と200ミクロン厚、2mm幅の外周部とを有する上述の寸法のウェハは、均一な200ミクロン厚のウェハにとって必要とされる半導体の約60%以下で構成される。
【0101】
たとえば、156mm×156mm×200ミクロン厚の標準的なウェハは、体積が4.87cm3、質量が約11.2グラムである。100ミクロン厚で2mm幅の中央部と、200ミクロン厚の境界部とを有するウェハは、標準的ウェハの質量の約50%を節減するため、体積が2.56cm3、質量が約5.88グラムである。
【0102】
本明細書で使用する際、外周領域は、正方形、矩形、円形、またはその他の形状などの任意の形状の、ウェハの境界全体をほぼ囲む領域である。
【0103】
別の実施形態では、特定の機能的理由のため、ウェハの内側のある領域は他の領域よりも厚い。たとえば、
図2で概略的に示すように、ウェハ200は、後で相互接続バスバーを収容するウェハ200の領域に配置される高厚のストライプ240a、240b、240i(中間ストライプは図示しない)、240cを有することができる。ストライプ240a~240cは、内側領域210において、標準的な180~200ミクロン厚のウェハよりも薄く、たとえば100ミクロンに設定される。ストライプは250ミクロンと厚くすることもできるが、この目的では必要ではない。電気的接続部の厚さは150~250ミクロンが有益であると考えられる。よって、厚肉部と薄肉部の厚さの比は1.5:1以上であるが、’084特許に開示するような粉末ベースの技術を用いての達成は不可能である。
【0104】
外周領域と厚肉内側領域の厚さは、中央領域の厚さに関連して選択することができる。通常、厚肉領域と薄肉領域の厚さの比は1.28:1~3:1だが、いくつかの典型的なケースでは5:1まで広げることができる。薄肉領域表面の基準面からの厚肉領域拡張部のサイズの比の観点から言えば、拡張部と薄肉領域の比は通常、0.28~4である。
【0105】
当該技術で既知なように、特定の種類の電池構造の場合、薄肉ウェハを有する太陽電池は、厚肉ウェハを有する太陽電池よりも効率が良い。これが当てはまる電池構造の種類は、PERC(不動態化エミッタ背面接点)およびPASHAを含むが、それらに限定されない。PASHA構造では、電池の裏側は高ドープ領域から成り、当該技術において既知であるように、裏面フィールドを生成し、少数担体が電池の表側に向かうのを防ぐ。電池導体の裏側の導体は、全金属領域ではなく指状である。これらの指部間のシリコン表面は不動態化することができ、裏面フィールドと組み合わせて、広範な不動態化を提供する。電池の裏側に達する赤外光は、良好な光反射面に衝突し、電池に再度入ることができる。裏側の金属範囲が少ないと、シリコンと希少金属間の熱膨張の不一致により、ウェハの反りが少なくなるため、この構造は薄肉ウェハに特に適する。以下、物理的な原因をいくつか説明する。
【0106】
薄肉ウェハを使用すると、開回路電圧(Voc)と短回路電流(Isc)の両方を増加させることによって、上記ウェハ上に作製される電池の効率を向上させることができる。ウェハの塊内で少数担体の再結合が少なく、ウェハの量が少ない、すなわち、ウェハが薄いため、Vocが上昇する。電流も増大させることができる。これは、電池の後側近傍の赤外光光子の吸収から生じる格子生成担体が、電池の前側でのp-n接合まで移動しなくてもよいからである。したがって、再結合で失われる格子生成担体が減少し、電池の外部で電流を生成することができる接合点に達する格子生成担体が増加する。
【0107】
これらの改良を最大限に活用するため、電池は好ましくは、赤外光が電池内で何度も跳ねて吸収されるように利用可能となるべく優れた光トラッピングを達成すべきである。具体的には、好ましくは、電池の裏側で良好な光反射を達成すべきである。これは、当該技術において既知なPERC背面で実現される。厚さの低減からもたらされる効率性の利得は、実際には、電子品質の主要尺度である少数担体寿命の低い材料で大きくなる。低寿命材料では、電池の裏側で形成される格子生成担体が高寿命材料と比べて、電池の前側に達する前に再結合しやすいからである。よって、格子生成担体が移動しなければならない距離を短縮することは、低寿命材料にとってより有益である。
【0108】
図3は、電池効率(縦軸)とウェハ厚(横軸)との関係を概略的に示す。このグラフは、PV業界で広く使用される、PC1Dとして知られるシミュレーションソフトウェアを用いて作製したものである。PERC背面は96%の光反射率と20cm/secの表面再結合速度を有すると仮定する。曲線群は少数担体寿命(時定数)の異なる値に関する。概して、標準的な180~200ミクロン厚のウェハは約150マイクロ秒の時定数と、約19%~19.1%の効率を有する。上記の標準ウェハ厚を100ミクロンまで低減することで、この効率はわずかに約19.3%まで上昇する。対照的に、180~200ミクロンの標準厚で、約18%の効率で、低い時定数、たとえば35マイクロ秒のウェハは100ミクロンの薄肉である場合、さらに高い効率を、18.4%に接近させる、達成させることができる。よって、時定数の低いウェハの厚さを低減することは、時定数の高いウェハの厚さを低減するよりも、効率性利得においてより大きな恩恵を得る。薄肉ウェハのもう1つの利点は、同数の光子がより小量の材料に吸収される結果、高注入レベルとなるために、単位体積当たりの少数担体注入レベルが高いことである。多結晶シリコン材料とダイレクトウェハ(R)法で製造した材料は高注入レベルで上昇する高体積少数担体寿命を有するため、薄肉ウェハは実質上、高時定数を達成する。
【0109】
よって、上述した薄肉ウェハの恩恵は、効率性の向上と、シリコン節減から得られるコスト削減の両方である。第1の薄肉領域と第2の厚肉領域とを有するウェハを用いてこれらの恩恵を得るため、厚さの異なる領域を製造するために取らなければならない余分な手間と比較した恩恵のバランス、ならびに半導体の溶融体から直接作製されるウェハの材料および効率の2015年のコストを伴う実際的観点からすると、第1の領域の面積の割合はウェハ表面の大半、好ましくは80%超、より好ましくは90%超とすべきである。
【0110】
よって、いくつかの異なる基本的な幾何学的形状とパターンおよび薄肉領域と厚肉領域の使用に関して、表面積の相当範囲にわたって、業界標準の180~200ミクロンのウェハよりもかなり薄いウェハのいくつかの基本的実施形態について上述した。さらに、これらの薄肉ウェハが厚肉ウェハ(同じ時定数)よりも効率的であり、選択的厚肉領域を有する薄肉ウェハは均一に薄いまたは均一に厚いウェハよりも強靱であることも開示した。上記薄肉ウェハの製造方法を以下説明する。ただし、ウェハの製造方法について説明する前に、薄肉領域と厚肉領域の様々な異なるパターンを以下説明する。
幾何学的形状
【0111】
本発明の重要な態様は、内側部が非常に薄い、通常は180ミクロン未満のウェハを提供することである。好適な実施形態では、厚さは140ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、厚さは100ミクロン未満である。いくつかの特別な実施形態では、厚さは80ミクロン未満であり、効率性の利点は80ミクロンよりも薄いウェハでは得られないが、材料コストの利点は存在すると考えられる。いくつかの非常に特別な実施形態では、厚さは60ミクロン未満とすることができる。180ミクロン未満のウェハは通常、取扱の際に脆く、150ミクロンより薄いウェハの場合、それが明らかであると当該技術において理解される。さらに、ウェハが極薄である場合、通常ウェハは担体に搭載させることによって取り扱わなければならず、担体はウェハに装着されたままであり、完成モジュールの一部となることが多いことは、当該技術において認識されている。よって、特に自立型ウェハとして実質上取り扱えない厚さのウェハを取り扱うことができるようにすることが本発明の主要な態様である。ある程度、本発明のウェハには一体担体部、すなわち、厚肉境界部が設けられると考えることができる。
【0112】
図1に示す厚肉外周部132を備えた薄肉ウェハ100と、
図2に示すバスバー導体またはその他の電気的素子に接続する、あるいはバスバー導体またはその他の電気的素子を担持するための厚肉ストライプ240a、240b、240cなどを備えた薄肉ウェハ200の基本的実施形態を上述した。組み合わせ、変形、変形の組み合わせも可能である。
【0113】
図4は、たとえば100ミクロン厚の相対的薄肉内側領域410と、約150~250ミクロン厚の相対的厚肉外周領域430とを有し、総幅wが約1.5mmである(
図4A)本発明のウェハ400の概略図である。また、ストライプの形状である領域440a、440b、440cは、約150~250ミクロン厚であり、幅rが約2.7mmである内側410全体よりも相対的に厚い。よって、
図4に示すウェハ400の実施形態は、薄肉内側領域410、さらには相対的厚肉外周部430と相対的厚肉ストライプ440a、440bなどの両方を有する。縁部432も示す。
【0114】
図5は、180ミクロンよりも薄い、たとえば約100ミクロン、内側領域520の空間510を有するウェハ500を概略的に示す。外周領域530は、たとえば200ミクロンよりも厚い。この厚肉外周部530は、
図5Bに示すように、縁部532から内側に約1mm拡張している。よって、その幅wは約1mmとすることができる。内側角部534は、拡大して示されるようにほぼ直角と比較的急であり、厚肉部から薄肉部への遷移が急激である。
図5Bは、線B-Bに沿った
図5のウェハを示す。
図5Aは、
図5のAの部
分のウェハの拡大図である(
図5、5A、5Bのいずれも等縮尺ではない)。
【0115】
図6は、180ミクロンよりも薄い、たとえば約60ミクロンの、内側領域620の空間610を有するウェハ600を概略的に示す。外周領域630は、それよりも厚く、たとえば200ミクロン厚である。
図6に示すように、この厚肉外周部630は縁部632から内側に約約2mm延在する。よって、幅wは約2mmとすることができる。内側角部634は高い厚肉外周部630から下側薄肉内側620まで傾斜している。
図6に示す実施形態は、幅wが2mmの外周部を有し、厚肉部から薄肉部への漸進的な遷移領域は約0.4mmである。
図6Bは、線B-Bに沿った
図6のウェハを示す。
図6Aは、
図6のAの部分のウェハの拡大図である(
図6、6A、6Bのいずれも等縮尺ではない)。
【0116】
図7は、180ミクロンよりも薄い、たとえば約100ミクロンの、内側領域720の空間710を有するウェハ700を概略的に示す。外周領域730はさらに厚く、たとえば200ミクロン厚にすることができる。
図7に示すように、この厚肉外周部730は縁部732から内側に約約2mm延在する。よって、幅wは約2mmとすることができる。内側遷移部734は円滑かつ非常に漸進的であり、高い厚肉外周部730から低い薄肉内側部720までの上述の実施形態の遷移領域を超えて拡張する。
図7に示す実施形態は、幅wが2mmの外周部を有し、厚肉部から薄肉部への漸進的な遷移領域は約2mmの幅sを有する。
図7Bは、線B-Bに沿った
図7のウェハを示す。
図7Aは、
図7のAの部分のウェハの拡大図である(
図7、7A、7Bのいずれも等縮尺ではない)。
【0117】
図8は、
図2を参照して示す実施形態といくつかの点で類似する実施形態を示す。ウェハ800は、バスワイヤのウェハ800への装着のための補強部である短いランディングまたはタブ840a、840b、840cを有する。ランディング840aなどは、832などの縁部近傍で厚肉部を有し、短い長さの後、内側領域810の厚さまで次第に厚さが漸減する。ランディングは本明細書ではタブと称する場合もある。通常、ランディングは、後で相互接続バスバーを収容するウェハ800の領域に特別かつ意図的に配置される。ふつう、バスワイヤは、縁部832近傍のウェハ上で最も強く引っ張られる傾向があるため、この部分が補強タブの最も有効な位置である。バスワイヤは、縁部832から離れ、中央部810に近づくほど大きい力で引っ張られることがない。よって、ウェハ内側810の全体厚は、上述するように、100ミクロン以下に薄くすることができる。バスワイヤ補強ランディング840a、840b、840cは200~250ミクロン厚であり、最も厚い部分ではそれ以上厚いが、すべての目的でその厚さである必要はない。電気的接続部の厚さは150~250ミクロンが有益であると考えられる。標準的な実施形態では、補強ランディング840aなどは約2.4mm幅とし、幅rに垂直な長さ、たとえば約18~20mmにわたって200ミクロンから100ミクロン厚へと漸減させることができる。このような構造は、本明細書では、バスワイヤランディング、補強部、またはタブと称する場合もある。
図8Aは、
図8の領域Aの拡大図である。
【0118】
ランディングおよびタブという文言は本明細書では、互換可能にウェハの隣接縁部である隆起領域を指すために使用され、縁部から薄肉内側領域まで延在する。ランディング自体は内側領域よりも厚い。ランディングは、縁部近傍の最厚肉部から内側部近傍の薄肉部まで漸減させ、薄肉部は薄肉内側部と同程度に薄くすることができる。また、ウェハの縁部自体は、ウェハ本体の外周部の少なくとも一部にわたって厚く、実際には外周部全体を厚肉部とすることができる。よって、ランディングは厚肉外周部から薄肉内側部まで延在し、ランディングの厚さは隣接する外周部の厚さ以上、隣接する内側部と同程度の厚さとすることができる。
【0119】
図9は、厚肉外周部境界930とバスワイヤ補強ランディング(またはタブ)の両方を有する、
図8および1に示す実施形態といくつかの点で類似する一実施形態を示す。ウェ
ハ900は、バスワイヤのウェハ900への装着のための補強部である、上記ランディング840a、840bと同様のランディング940a、940b、940cなどを有する。ランディング940aなどは、932などの縁部近傍で厚肉部を有し、短い長さの後、内側領域910の厚さまで次第に厚さが漸減する。これらは、相互接続バスバーを後で収容するウェハ900の領域に配置される。ウェハ内側910の全体厚は、上述したように100ミクロン未満の薄さにすることができる。バスワイヤ補強ランディング940a、b、cなどは、200~250ミクロン、またはそれ以上の厚さとすることができるが、あらゆる目的でその厚さである必要はない。さらに、本実施形態は各縁部932に厚肉外周領域930を有し、上述した実施形態のように200ミクロン厚とすることができる。代表的な実施形態では、補強ランディング940aなどは約2.7mm幅とすることができ、外周領域930の厚さと同じ200ミクロンから100ミクロンまで約18~20mmの長さにわたって先細りとなる。外周領域930は、上述したように約1~3mmまたはそれ以上の幅wを有することができ、幅wは1.5mmが有益である。
図9Aは、
図9の領域Aの拡大図である。
【0120】
図10は、たとえば100ミクロン厚の薄肉内側領域1010と、約150~250ミクロン厚の厚肉外周領域1030とを有し、幅が約1.5mmである本発明のウェハ1000の概略図である。また、ランディングまたはタブの形状の隆起領域1040a、1040bは内側部よりも厚く、高さが約150~250ミクロン、幅が約2.7mmである。ランディングまたはタブ1040a、1040bは、
図4で上述したランディング440a、440bと同様、バスワイヤの端部における補強用である。また、厚肉のアイランド1042a、1042bは、内側部に沿って1列(または複数列)にウェハにわたって相互に間隔をおいて配置され、外周部1030の他方の側に橋を架ける。これらの隆起ランディング1040aなどおよびアイランド1042aなどは、バスワイヤを収容するために設けられる。アイランド1042a、1042bなどは内側1010よりも厚く、たとえば、ランディング1040a、1040bと同様に150~250ミクロンの高さを有する。本明細書で使用される際、アイランドという文言は、低い、通常は薄肉領域によって囲まれる隆起領域を意味する。
【0121】
図11は、一対のバスワイヤ1170aおよび1170bによって接続される、
図10に示すような一対のウェハ1000aおよび1000bを概略的に示す。
図11Aおよび11Bは
図11の拡大部Aを示す。ウェハ1100aを1構成要素として使用する太陽電池用のメタライゼーションのバス部1172は、ランディング1040aとアイランド1042aなどとの間で上下に起伏する連続ストライプ、たとえば
図11Aおよび11Bに示すように粗面に設けられるリボンとしてスクリーン印刷することができる。しかしながら、バスワイヤ自体1170bは、起伏の少ない平面に置かれ、バスワイヤ内側領域に沿ってバスワイヤ端部および隆起アイランド1042a1、1042a2などにおいて、隆起パッド1040a、1040bのみに装着されることで、バスワイヤの大半はウェハ1000aの表面から機械的に離れた位置sで間隔をおいて配置される。
図11Aは、
図11のAの部分の拡大図であり、下方のメタライゼーション1172を示すためにバスワイヤ1170bをやや移動させている。
図11Bはバスワイヤ1170bを適所に置いた同じ部分を示す。
図11Aおよび11Bが示すように、位置sでは、ウェハ表面およびメタライゼーション1172とバスバー1170bの下側との間に縦方向に間隔がおかれている。このように、シリコンウェハ材料と銅製バスワイヤ間の熱膨張の不一致は、ランディングパッド1040aとアイランド1042a間の空間sで幾分か対応し、バスワイヤを幾分屈曲させる(たとえば伸長させる)ことができる。これにより、ウェハにかかる応力を低下させ、亀裂、およびバスワイヤの剥離などのその他の瑕疵の原因を低減することができる。
【0122】
よって、
図10および
図11に示すウェハ1000の実施形態は、薄肉内側1010、
厚肉外周部1030、ランディングパッド1040a、1040bなど、およびアイランド1042a、1042bなどを有する。
【0123】
図11は、バスワイヤ1170a、1170bを1つの電池1000aの上面から下方に屈曲させて、隣接電池1000bの裏面まで巻き付ける方法を示す。この屈曲ワイヤは、電池1000aの装着点および近傍縁部1132でのメタライゼーションに剥離応力を追加する。さらに、不適切に屈曲させられる場合、ワイヤは電池の縁部1132に実際に接触することによって、縁部亀裂を引き起こす、あるいは縁部亀裂を拡げる。よって、ランディング1040bおよびアイランド1042b1などの厚肉装着点や厚肉外周部1030を設けることで、ウェハ強度が向上し、剥離および亀裂が最小となる。
【0124】
薄肉部および厚肉部について上述した実施形態は、一般的な基準面を有するウェハについて説明することもできると理解される。たとえば、表面120と、隆起外周部130などの基準面から延在する隆起部とを有する
図1のウェハ100があげられる。同様に、
図4に示すように、ウェハ400は、ほぼ基準面420、基準面から拡張するストライプ440a、440bなどの拡張隆起部、外周部430を有する。概して、隆起部は、たとえば60ミクロンの内側部と180ミクロンの外周部を有するウェハの場合、薄肉部の基準面から20ミクロン、より一般的には40ミクロン、さらには120ミクロン拡張することができる。実際的には、拡張部のサイズは薄肉部の厚さにも依存する。概して、厚肉部と薄肉部の比は通常5:1を超過し、さらに一般的には3:1未満である。
【0125】
幾何学的形状と相対厚さとは、効率、取扱、電気的接続の観点で考察することができる。概して、ウェハ効率は、表面領域の最も広い部分の薄さによって決定される。というのは、表面の80%以上で薄肉内側領域を有することが、効率性を高める上で重要だからである。同様に、現在使用されている機械の種類に基づくと、取り扱い易さは外周部と厚肉部の厚さによって左右されるが、ウェハ表面積の5%超または5%未満である必要はない。最後に、電気的接続の容易さは、電気的接続を行う必要があり、バスワイヤが設けられる位置、たとえばストライプ、および/または、場合によっては半田接続を行う位置、たとえばランディングおよびアイランドでのウェハ厚によって左右される。
【0126】
上述したように、最近開発されたウェハ製造方法では、2012年10月23日にSachsらによって発行され米国特許第8,293,009号「太陽電池など用に溶融材料から薄肉半導体本体を効率的に製造する方法」に開示される技術(引用により全文を本願に組み込む)を用いて、半導体ウェハが半導体溶融物から製造される。’009特許に開示される技術は、一般的にダイレクトウェハ(R)(DW)ウェハ形成技術と称する。この技術によると、ウェハなどの薄肉半導体本体は、インゴットから挽かれたり、ストリング間で成長させたり、あるいはその他の方法を使用したりではなく、溶融物から形成される。
【0127】
先に概説したように、テンプレートに形成されるウェハの厚さは、溶融物から抽出され、当該位置で半導体材料を固体化する熱の量と、幾分かは熱抽出速度とに依存する。他の領域よりも多く熱が抽出される領域(高速で抽出される場合)では、熱抽出量の大きなテンプレート位置に厚肉ウェハ領域が形成される。逆に、他の領域よりも少なく熱が抽出される領域では、熱抽出量の小さなテンプレート位置に薄肉ウェハ領域が形成される。これを
図15、
図16、
図17、
図18、
図19、
図19A、19B、
図20A、
図20B、
図21を参照して例示し、以下より詳細に説明する。
【0128】
よって、テンプレート領域の熱抽出性は、当該領域に形成されるウェハの厚さを左右する。熱抽出量の大きい位置での熱抽出および形成ウェハ厚を増大させるため、他の領域よりもテンプレートの特別に設計および制御された領域において熱抽出性を向上させる様々
な方法について考察する。
【0129】
熱抽出性を向上および変更する様々な方法について説明する前に、形成されるウェハの格子間酸素および総酸素含有量に関連する本発明の利点について以下説明する。上述したように、粉末ベースの技術は、最終的に形成されるウェハまたはその他の半導体本体において不所望の格子間酸素レベルをもたらす。これは、特別なステップを実行しないと、粉末粒子上の純酸化物がウェハ内の高格子間酸素レベルをもたらすからである。粒子が相対的に小さいほど、完成品の格子間酸素量が相対的に大きくなる。相対的に薄肉ウェハを達成するには、相対的に小さな粒子を使用しなければならない。よって、相対的に薄肉ウェハを達成するには、相対的に多くの格子間酸素がウェハに存在することになる。たとえば、’084特許は、350~1000ミクロンの厚さ範囲のウェハと、20~1000ミクロンの粉末についても記載している。350ミクロン厚を達成するには、120ミクロン未満の粉末を使用する必要がある。本発明者らによる解析に基づくと、これにより、6×1017原子/cc~2×1018原子/ccの格子間酸素含有量を有するウェハが製造されると考えられる。
【0130】
溶融半導体から直接作製されるウェハは、溶融材料の原料は固有の純酸化物含有量を有する小粒子である必要はないため、酸化物と格子間酸素汚染の問題を持たない。よって、ウェハまたはその他の本体を形成する溶融材料は酸素含有量が少ないため、形成される本体も格子間酸素が少ない。たとえば、上述の方法を用いて溶融半導体から直接形成されるシリコンウェハは通常、粉末ベース技術を使用した場合の3倍以上である、2×1017原子/cc未満の格子間酸素含有量を有する。さらに、上記ウェハは、粉末ベースの技術の場合の8.75×1017原子/cc超と比べて、8.75×1017原子/cc(=10ppmw)未満、通常は5.25×1017原子/cc(=6ppmw)未満の総酸素量を有する。
【0131】
次に、熱抽出性を向上および変動させる様々な方法について説明するため、たとえば、
図1に示す相対的厚肉外周領域130を備えたウェハについて考える。さらに多くの熱が、内側領域よりも厚いことが望ましい外周部において溶融材料から抽出されるように、半導体溶融物からテンプレートまでの熱抽出を制御することによって、形成されるウェハは内側部よりも外周部で厚くなる。
【0132】
同様に、
図2の相対的厚肉ストライプまたはその他の幾何学形状240a、240bや、
図8の電気的接続と関連付けられるバスワイヤランディング840a、840bで示すように、相対的に厚いことが望ましい位置でより相対的にに多くの熱を抽出すると、これらの位置では、熱抽出量が相対的に少ない内側領域810の大半と比べて相対的に厚肉となる。
【0133】
以下、ある領域と別の領域間で制御および設計される熱流および熱抽出性の差を提供する様々な方法を多数説明する。これらの方法は、熱流および/または熱抽出を遅らせる(あるいは小数のケースでは増大させる)コーティングなどの機能層、またはテンプレート上の自立型インターポーザ層をテンプレート上に一つまたはそれ以上の領域に設けることと、薄く、熱質量が小さく、熱抽出性が低い他の領域よりも熱質量が大きく,熱抽出性が高い領域を備えたテンプレートを設けることと、テンプレート表面にわたって位置によって異なる量の圧力差を提供することと、たとえば空隙を含んで、空隙位置でテンプレートを有効に薄肉化することによって薄肉テンプレート自体に局所的に異なる熱特性を提供することと、位置によってテンプレートに異なる透過度を提供することによって、透過性自体、あるいは異なる透過度から生じる異なる程度の圧力差のいずれかのために異なる熱抽出度を提供することと、を含むがそれらに限定されない。
【0134】
テンプレート形状またはテンプレート処理は、形成または処理をしていないテンプレートによって抽出されるよりも、その位置で高い熱抽出性を提供するという範囲で、形成または処理は本明細書では熱抽出性を高めるもの、あるいは、高熱抽出性を提供する処理と称する。たとえば、相対的薄肉テンプレート部、その位置でテンプレートの熱質量を実質上低減する複数の空隙、あるいは、熱流を遅らせて熱抽出量を低減し、熱抽出性を低下させるコーティングを提供することによって、低熱抽出性を提供するテンプレート処理または形成は、本明細書では熱抽出性を減じるものと称する。
【0135】
よって、概して、本発明の方法は、厚いことが望ましい熱抽出性の相対的に高い領域と、薄いことが望ましい熱抽出性の相対的に低い領域とを有するウェハを形成することによって、ウェハを作製する方法である。本発明のテンプレートは、上述の相対的熱抽出性を有するテンプレートである。高または低熱抽出性の位置が、テンプレートの所望される位置に特別に生成される。
【0136】
なお、溶融物からウェハを形成することは有益であり、溶融物内に固体を形成し、たとえばウェハなどの本体を本発明のテンプレート上に形成することは本明細書に開示する発明と考えられる。形成される本体は、テンプレートから解放させて有価製品を構成する必要はない。しかし、形成されるウェハは、様々な方法でテンプレートから取り外すことができる。場合によっては、圧力差レジメを解消することができる。すなわち、真空が使用される場合、圧力差を遮断することができ、ウェハが落下する。もしくは、圧力差レジメは低減することができる。すなわち、真空度を低減する、あるいは圧力差を低減することができる。さらに、機械的手段を単独で、あるいはストリッピングピン、ストリッピングフレーム、またはウェハと機械的に接触させて、ウェハを圧迫しモールドシートから脱離させるその他のツールなど、圧力差レジメの低減または排除と組み合わせて使用することができる。テンプレートから形成されるウェハを脱離させる適切な手段はいずれも許容可能であり、本発明と考えられる。
【0137】
他のテンプレート領域よりもテンプレートのある特定領域で多くの熱を抽出する方法は、以下説明する方法を含むが、それらに制限されない。概説すると、
図1の130などの厚肉外周領域と薄肉内側領域110とを有することが望ましいとまず仮定する。よって、薄肉内側部と厚肉外周部について説明する。しかしながら、以下の説明は、厚肉領域が所望されるすべてのパターンに適用され、
図2に示すストライプ240a、240b、
図8に示すバスワイヤ補強ランディング840a、840b、および/または本明細書に記載するその他の相対的厚肉領域、ならびに任意の形状と任意の目的のその他の相対的厚肉領域などが、本発明の方法により作製される構造において設計されるものと理解すべきである。このような場合、厚肉外周部を形成するための本明細書に記載する方法は、所望に応じて外周部以外に厚肉領域を形成するように調節することができる(薄肉外周領域が所望される場合、逆の動作をとる)。
【0138】
熱抽出を制御するため、所望幅の厚肉外周部によって囲まれる内側部を画定するパターンで、テンプレートまたは溶解面上に機能層コーティングを設けることができる。このような機能層は、上述のダイレクトウェハ技術特許第8,293,009号に記載する種類のものであってもよい。テンプレートからの固体本体の解放促進、結晶化の核形成箇所の低減、結晶化の核形成箇所の頻度増加、所望位置における結晶化の核形成箇所の確定など、様々な機能を提供する機能層について説明する。DW技術特許の段落00101および00128~00141を参照されたい。DW技術特許の
図32A~32Eおよび
図33A~33Hは、溶解面に貼付される機能層を用いる方法の2つの異なる実施形態を示す。
【0139】
本明細書に記載する発明に特に関連性が高いのが、機能層を設けたテンプレート領域において溶融物から抽出される熱が低減されるように、テンプレート上に設けられた熱流を
阻む種類の機能層コーティングである(よって、このような機能層は通常、熱抽出性を低下させ、その存在により、同一の熱抽出性を有する機能的材料を備えていない、あるいは機能的材料の薄い領域と比較して熱抽出性の低いテンプレート領域が形成される)。機能層は、テンプレート上のコーティングとして、あるいはテンプレートが接触する位置で溶解面に設けられる粉末として提供することができる。このような機能的材料は、カーテンコーティング、噴霧、スロットダイコーティング、メニスカスコーティングなどの当該技術において既知な方法、ならびに未知であるが、今後開発または開示される任意の適切な方法によって蒸着することができる。機能的材料は、同じように、テンプレートと溶融表面間に配置される自立型のシート状インターポーザ層として設けることができる。
【0140】
自立型インターポーザ層は、テンプレートに接着させる、またはその他の形で固定する、あるいは別々に配置することができる。このようなインターポーザ層は、ある程度自立型の形状の機能層である。上記インターポーザ層は、公開米国出願第13/990,498号(2011年12月1日に提出されたPCT出願第PCT/US11/62914号の米国国内段階)であり、2010年12月1日に提出された仮出願に優先権を主張し、2014年4月24日に公開された米国公開第2014-0113156-A1号「自立型インターポーザシートを用いた溶融材料からの半導体本体製造」に記載されており、その開示の全文を引用により本願に組み込み、本明細書ではインターポーザ層技術特許出願と称する。
【0141】
テンプレート上の機能層の厚さまたは材料を局所的に設定して、テンプレート上に形成されるウェハの部分の厚さを制御することができる。たとえば、
図12A、12B、12C、12Dに概略的に示すように、機能層は、溶融物の表面ではなくテンプレート1200自体に蒸着させてもよい。機能層は、2つのステップで蒸着することができる。
図12Aに示すように、第1のステップでは、第1の層1252がテンプレート1200の表面1250全体にわたって均一に蒸着され、
図12Bおよび
図12Cに示すように、第2のステップでは、マスク1253を使用してテンプレート1200の外周部1230を覆う(テンプレートは、機能的材料の第1の層1252で完全に覆われる)。次に、
図12Cに示すように、機能的材料の追加層1258は、テンプレート1200の内側領域1220に蒸着される。その後、マスク1253が取り除かれて、
図12Dに示すように、機能層がテンプレート1200の全表面1250を覆い、内側1220には機能層1258のより深く厚い領域、外周部1230の周囲には浅く薄い領域1252が形成される。機能層1252および1258で覆われた表面1250は、後に使用されるテンプレート1200の溶解側面1256となる。
【0142】
次に、テンプレート1200を用いて、その上に半導体ウェハを形成することができる。たとえば、使用時、
図12A~12Dに示す配向から
図12Eに示す配向へ縦方向に反転させると、厚肉の2レベル機能層1252、1258で覆われる元の表面1250を構成する溶解側面1256は、溶融材料面に下方に面する。次に、この覆われた表面は、
図3Aおよび3Bに示す(機能層のない実施形態の場合)ようにDW特許のたとえば段落0047に記載されるとおり、溶融材料の表面と接触させられる。
【0143】
機能層は、液体シリコンのプールから抽出される量を、機能層が存在しない場合と比べて低減させる(熱抽出性を低下させる)。よって、機能層1258が単独機能層1252のみを担持する外周部1230よりも厚い内側領域1220では、ウェハの薄肉部はテンプレートの内側部の中央部1220に隣接して形成される。よって、
図1に示すようなウェハ100は、薄肉内側領域120と厚肉外周領域130とを有することになる。
【0144】
機能層は上述したように粉末、噴霧、またはその他の流体材料として貼付することができる、あるいは、上述のインターポーザ層技術特許出願に記載されるように立型インター
ポーザ層の一部として貼付することができる。
図13A~13Cは、テンプレート1300(
図13A)とのセットアップ、ウェハ全体面の熱抽出性を確定する第1のインターポーザ層1352(
図13B)と、テンプレート1300の表面の内側部1320に配置される第2のインターポーザ層1358(
図13C)との設定を概略的に示し、内側領域1320における第1のインターポーザ層1352と第2のインターポーザ層1358の合計厚は、テンプレート1300の外周部1330周囲のインターポーザ層1352よりも大きい(厚い)。
【0145】
機能層1352および1358が、上述したように溶融半導体材料本体の表面と接触させられる溶解側面1356を形成するように、テンプレート1300は、
図13Cに示す配向から反転させることで
図13Dに示すように使用される。テンプレート1300の裏面1354は溶融材料の遠い側を向く。外周領域1330の単層1352と異なり、内側部1320にインターポーザ層1352と1358の相対的厚肉層を設けることで、内側1320は外周部1330の周囲よりも熱流と熱抽出とが少なくなる。このように、ウェハの薄肉内側領域がテンプレート1300に形成される。自立型インターポーザ層を使用する工程は、粉末またはその他の流体機能層を用いる工程と類似するが、インターポーザ層を使用する場合、インターポーザ層は機械的マニピュレータによって個々に直接配置することができるためにマスクは不要である。マスクは必要ではない。通常、インターポーザ層は熱抽出を減じ、熱抽出性を有するテンプレートの局所領域を低減する。
【0146】
図14Aおよび14Bは、テンプレートを設けて、
図2および
図4に示すようなウェハ内側部よりも厚いストライプと、
図8、9、および/または10に示すような厚肉ランディングおよび/またはアイランドを有するウェハを製造する仕組みを概略的に示す。使用中に溶解側面となる表面1456を有するテンプレート1400が設けられ、該表面は、
図14に網掛けで示す機能的材料の第1の均一層1452で覆われる。機能的材料の第1の均一層1452の7つのパッチを、以下より詳細に説明するように
図14Aに示す。溶解側面とは、ウェハ形成中に溶解面に面し、接触する表面を意味する。追加の機能的材料は、機能的材料1465a、1465b、1465cの3つの不規則な形状の領域(
図14Aでは白で示す)として設けられる。このため、ストライプ1460a、1460b、ランディング領域1462a、1462b、またはアイランド1464a、1464bの形状でテンプレート領域を覆う機能的材料の単層が形成される。機能的材料の追加領域(その位置では合計2層の機能的材料となる)1465a、1465b、1465cは、たとえば対応する凹状のマスクを通じてコーティングとして、あるいは自立型インターポーザ素子として設けることができる。
【0147】
ストライプ1460a、1460bなどを有するテンプレート領域(単独層の機能的材料で覆われる)は、1465a、1465b、1465cとして網掛けなしで示す2層の機能的材料の熱抽出量の少ないテンプレート領域と、1460a、1460b、1462a、1462b、1464a、1464bとして網掛けで示す単独層の機能的材料の熱抽出量の多いテンプレート領域とを含み、単独層の機能的材料のストライプ1460a、1460bに対応する位置に厚肉ストライプを備えたウェハとなる。同様に、単独層の機能的材料の短い網掛け領域1462a、1462bは、それらが形成される成型材料の短く厚いタブとなり、単層の機能的材料で覆われるテンプレート表面のアイランド1464a、1464bは、
図10に示すような厚肉ウェハのアイランドとなる。
【0148】
図14Bは、使用時のように配向されているテンプレート1400を示しており、溶解側面1456は下方を向いているため、パターニングされた機能層を設けた表面が溶融材料の表面と接触し、テンプレート1400の裏面1454が溶融物から離れた面を向く
【0149】
機能的材料は、液体または粉末配置システムによる直接配置、あるいは流体機能的材料
をあらゆる場所に蒸着させることができ、テンプレート表面1454の選択領域に機能的材料が収容されるのを遮断するマスクの使用によって、粉末または液体などの流体で提供することができる。
【0150】
図12Dおよび12Eを参照して例示した一実施形態を再度検討すると、通常、熱抽出性の差を有効に生成するため、テンプレート1200の表面1250(
図12A)全体を覆う機能的材料1252の厚さと、テンプレート1200の内側領域1220を覆う機能的材料1258および1252の全体厚との間で、約20ミクロンの厚さの差が存在する。この20ミクロン厚は小さいが、無視できるほどではなく、機能的材料を設けたテンプレートに形成されるウェハにおいて視覚的または触覚的に検出することができる(機能的材料のベース層はこの厚さ、その厚さ超または未満となる可能性がある。たとえば、ベース層は40ミクロン、外層は20ミクロンとして、計60ミクロン厚とすることができる。もしくは、機能的材料は相互に異なる材料であってもよい)。
【0151】
これは、ウェハの一部と、ウェハを上部に形成したテンプレートとに沿った部分断面を示す
図15および
図16に概略的に示す(
図12Eに示す左側部は
図1B、5B、6B、7Bの左側部に類似する)。ウェハ1500は、
図12Eに示すテンプレート1200とほぼ同一のテンプレート1200に対して形成されている。テンプレートは、テンプレート1200の全体を覆う第1の全体層1252と、内側領域の第2の層1258とを有する機能的材料を有する。よって、内側領域の機能層の方が厚い。形成されるウェハ1500は厚肉外周部1530と薄内側部1520を有する。ウェハは、テンプレート1200の溶解側面1256に面する表面1556では平坦ではない。むしろ、ウェハ1500のテンプレートに面する表面1556は、内側領域1258と全体層1252における機能的材料の合同領域の高さの違いにより生じる凹部1557(おそらく
図16に最も良く示される)を有する。全体層1252は、テンプレート外周領域1230に存在する唯一の機能的材料である。本発明のウェハの代表的な実施形態では、約100ミクロン厚の内側部1520と、200~250ミクロン厚の外周領域1530とを有するウェハの場合、この凹部の深さは約20ミクロン(ウェハ1500の厚さ方向)とすることができる。
【0152】
図示するように、成長したウェハ1500の外周領域1530は内側領域1520よりも厚く、外周部は内側部の基準面1521から離れて延在する。上述の寸法の場合、外周部は、基準面1521から約100~150ミクロン拡張する内側領域に対する隆起部を構成する(
図16およびその他の図面は等縮尺ではない)。
【0153】
外周部1530が内側部1520よりも厚く、そこから拡張する主な理由は、被覆されたテンプレート1200の熱抽出性が内側1220よりも外周部1230において高い、外周部1230の周囲の機能的材料の厚さが薄い(すなわち、外周部には層1252のみが存在するが、内側部には層1258と層1252が存在する)、内側部1220よりも外周部の方が熱流と熱抽出量が制限されるからである。機能的材料層1258および1252は同一の材料および熱特性とすることができ、その場合、厚さが異なると熱抽出性が異なる。層1258および1252は、熱特性が異なるように異なる材料または密度で構成することができ、その場合、第1の薄い機能的材料は、第2の厚い機能的材料よりも熱抽出に大きな影響を及ぼす。別の種類のテンプレートと、テンプレートの表面にわたって熱抽出性を変動させるその他の方法を参照して、このことについて以下より詳細に説明する。
【0154】
成長したウェハが厚肉であることが望ましい領域における機能的材料のわずかな厚肉領域により形成される小さな凹部1557は、機能的材料が流体材料(液体または粒子)などのコーティングとして提供される場合でも、自立型インターポーザシートとして提供される場合でも存在する。
図10(ウェハ)と
図14Aおよび14B(テンプレートを示す
)に示すように、厚肉ストライプ、ランディング、アイランドを構成する形状などのその他のウェハ幾何形状の場合でも、この凹部は存在する。
厚さの異なる特別に設計された領域を備えるテンプレート
【0155】
図17で概略的に示すように、表面領域にわたって厚さが変動するテンプレート1700は、ウェハ表面積の設計および制御された異なる位置に、厚さの異なるウェハを作製するために設けることもできる。上記テンプレートは溶解側面1756と裏面1754を有する。溶解側面とは、ウェハ形成中に溶解面に面し、接触する表面を意味する。通常、テンプレート1700の溶解側面1756がまず溶融物に接触すると、テンプレート表面1754の温度は、シリコンの固体化温度未満の温度である。熱は、テンプレート1700への伝導(上述するように存在する機能層を通じて)によって溶融物から抽出される。テンプレートは加熱され、これによりテンプレート上に形成されるウェハの厚さを制限される。というのは、テンプレートが半導体の溶解温度まで加熱されると、材料が、溶解温度まで上昇された位置においてテンプレート上でもはや凝固できないからである。テンプレート領域が厚くなるほど、薄肉テンプレート領域と比べて、この領域がこの温度まで加熱される時間が長くなり、厚肉領域でテンプレートに対して凝結するウェハ材料が厚くなる。よって、テンプレートの厚肉領域は、薄肉領域よりも熱抽出能力/熱抽出性が高い。よって、厚肉テンプレート領域は熱抽出性を高め、薄肉テンプレート領域は熱抽出性を減じる。
【0156】
よって、
図17に概略的に示す本発明の方法の別の実施形態では、テンプレート1700自体の厚さは、テンプレートの1領域、たとえば内側領域1720と別の領域、たとえば、外周領域1730との間で異ならせることができる。たとえば内側領域1720などの特定の領域を外周領域1730などの他の領域よりも局所的に薄くすることによって熱質量が少ない部分がテンプレート1700内に存在する場合、熱質量と熱抽出量が少なくなり、テンプレート1700の内側領域1720は厚肉外周領域1730よりも迅速に溶解温度まで加熱される。よって、テンプレート1720の薄肉領域では、固体化されるシリコンが少なくなり、
図1および
図1Aのウェハ100に示すように、たとえば内側領域で局所的に薄肉のウェハとなる。
【0157】
なお、テンプレート1700は、テンプレートのほぼ平面状の溶解側面1756を溶解面に接触させることによって、厚肉外周部130と薄内側110とを有する
図1に示すようなウェハ100を形成することは、非自明であり、非直観的であり、新規である。
図18は、
図17に示すようにモールド1700上に成長した
図1のウェハ100の1部の概略断面図であり、ウェハ100はテンプレート1700の溶解側面1756から遠くで溶融物へと成長する。しかし、テンプレート1700の内側部1720と外周部1730間で厚さの違いにより熱抽出性が異なるため、裏面1754から見ると、成長したウェハ100は、厚肉外周部130と薄肉内側120とを有するテンプレート1700の厚さを質的に(だが量的ではない)模倣する厚さを有する(テンプレートとウェハの薄肉部と厚肉部の厚さの差の程度は相互に異なり、
図18はそれを等縮尺ではなく概略的に示す)。
【0158】
形成されるウェハ100の非平坦表面154(
図1Aに示すように、
図1では見ている者の方を向く)は、成長してテンプレートの溶解側面1756の反対側を向く。よって、形成されるウェハ100のほぼ平坦面156は、テンプレート1700のほぼ平坦溶解側面1756上に形成されて該面と結合する一方、各ウェハ100(面154)とテンプレート1700(裏面1754)の非平坦面は相互に反対側を向く。
【0159】
(なお、実質上、テンプレートは、テンプレート温度がシリコンの溶解点に達する前にウェハ成長をある程度継続させるのに十分な熱を抽出するのを停止する。テンプレートは、溶融シリコンの温度以上である溶融シリコンとるつぼよりも小さい熱容量を有し、テン
プレートは溶融物を局所的に冷却する。テンプレートが加熱するにつれ、熱抽出速度が低下し、最終的には残りの溶融物からの熱流入に勝るのに必要な温度よりも低くなって、溶融材料の局所層を溶解点未満まで冷却させて、融解熱を圧倒する。)
【0160】
なお、
図15に示すテンプレート1200のように機能的材料で処理された部分と共に機能するテンプレートでも、
図17および18に示すテンプレート1700のように様々な厚さの部分と共に機能するテンプレートでも、溶解側面である表面1256および1756はほぼ平坦であるが、ウェハは、それぞれ制御テンプレートから離れた側に向く非平坦面1554および1754と共に成長する。
【0161】
上述のその他のウェハ幾何学形状に対応する異なる領域に異なる厚さを有するテンプレートを設けることもできる。たとえば
図19に概略的に示すように、ほぼ平坦溶解側面1956(
図19には示さず)、裏面1954、比較的薄い全体内側領域1920を有するテンプレート1900を設けることができる。薄肉領域1920は、突起部の位置でテンプレートの厚さが基準面である薄肉部1920よりも厚くなるように、隆起部または突起部が拡張する基準面を画定する。突起部は、上述したように、外周部1930の形状および位置において、ストライプ1960、ランディングまたはタブ1940、アイランド1942などのうちの1つ以上とすることができる。上記テンプレートの裏面1954は非平坦であり、テンプレートは、テンプレートが厚い特別に設計された位置1930、1940、1942、1960で熱抽出性が高い。よって、上記テンプレートに形成されるウェハは、厚肉外周部1730を有するテンプレート1700上で成長するとき、ウェハ100の厚肉外周部130と同様に、隆起突起部と対応する位置に厚肉領域を有する。ウェハの厚肉部は溶融物へと成長する。
【0162】
概して、厚肉であるテンプレートの面積が小さいほど、表面積対体積比が大きくなるため、外周部の熱抽出力が薄れる。たとえば、200ミクロン厚の外周部と、外周部よりも表面積対体積比が大きな200μm厚の小さなアイランドを達成するには、設計者は、外周部を画定するテンプレート領域よりも厚いアイランドを画定するテンプレート領域(または、熱容量の体積毎熱損失のために、大きくかつ表面積の小さな任意の領域)を形成する必要がある。
【0163】
図19Aは、面A-Aで切断される
図19のテンプレート1900を示し、薄肉内側領域1920と、
図1に示すようにウェハ100の厚肉外周領域130、あるいは
図10に示すように外周部1030を成長させる厚肉外周領域1930とを示す。
図19は、
図10に示すように1040a、1040bなどの厚肉ランディングまたはタブとなるテンプレートの厚肉領域1940と、
図2に示すように240a、240bなどの厚肉ストライプとなるテンプレートの厚肉領域1960とを示す。
【0164】
図19Bは、面B-Bによって切断される
図19のテンプレート1900を示し、上述したように、薄肉内側領域1920、厚肉外周領域1930、厚肉ストライプとなる厚肉領域1950を示す。厚肉外周領域1930と厚肉ストライプ領域1960の間には、
図10で1042a、1042bで示される厚肉アイランドを成長させる厚肉領域1942が設けられる。
【0165】
図20Aは、テンプレート1900上に成長させられるウェハ2000の一部の断面と対応する
図19Aのテンプレート1900の部分の断面図であり、厚肉テンプレート領域1930と合致する厚肉外周領域2030、ウェハの厚肉タブまたはランディング領域2040、厚肉ストライプ領域2060を示す。
図20Bは、テンプレート1900上に成長させられるウェハ2000の同じ部分の断面図と対応する
図19Bのテンプレート1900の部分を示し、厚肉外周領域2030、厚肉ストライプ領域2060、厚肉アイラン
ド領域2042も示す。
図18で概略的に示される単純なテンプレートとウェハ対と同様、成長したウェハの厚肉領域はテンプレートから離れて溶融物内へ成長するため、ウェハはテンプレートと質的にミラー構造へと成長することが分かる(質的にとは、厚肉領域と薄肉領域が相互に隣接する/ミラーリングすることを意味する。ただし、質的ミラーリングとは、ウェハに沿った横方向の範囲ではサイズがほぼ均等であるが、相互に離れる突起部はサイズが均等ではないことを意味する)。
【0166】
このような基準面と突起部を有するテンプレートは、従来の機械加工、研磨、穿孔、ソーイングなどの任意の適切な手段によって製造することができる。たとえば、1つの方法は、従来のようにテンプレートの領域にポケットを形成して厚さを低減しつつ、真空チャックを用いて薄シート材料を固定することによって、該材料を機械加工することである。レーザ加工は、切断力を回避することによって固定要件を緩和するもう1つの緩和方法である。
【0167】
形成されたウェハの厚さを変動させる別の手段は、ウェハ形成中に様々な程度の圧力差が印加されることに関する。ダイレクトウェハ技術特許は、溶解面の領域と比べて、モールド面にわたって圧力差を提供することを記載しており、圧力差は通常、溶解面の大気圧とモールド面の真空との差である。外周領域などのテンプレートの1領域と、内側領域などのテンプレートの別の領域との圧力差を増大することで、圧力差の大きい位置で熱流と熱抽出量が大きくなると判定された。これは、真空レベルが高いほど、テンプレートへの熱伝達速度が速くなり、シリコンが最大厚まで高速に固体化するためであると考えられる。
【0168】
実際、圧力差の大きい領域は熱抽出性が高いと判定され、さらに、高圧力差のテンプレート領域に対して形成されるウェハの領域は、低圧力差の領域に隣接して、あるいは面して成長するウェハの領域よりも厚いと判定されている。上述の文言では、高圧力差は熱抽出性を高め、低圧力差は熱抽出性を減じる。よって、特別に設計された位置に応じて異なる圧力差を提供することが本発明であり、形成されたウェハの厚さが異なることが望ましい。
【0169】
ダイレクトウェハ技術特許は、ある位置に他の位置よりも高い圧力差(たとえば真空)を提供する方法について記載している。これを実行する、DW技術特許の
図27に示し、段落00160、00163に記載する方法は、第1の圧力を維持する第1の内側領域と、異なる圧力差を設けた第2の外周領域とによる二重プレナムを提供することである。よって、高圧力差を外周領域に提供することができ、圧力差が高いと熱流が増大することによって、外周領域において溶融物からより多くの熱を抽出し、外周領域に厚肉ウェハを形成する(DW特許に記載される二重プレナムモールドは、薄肉内側部を形成する内側部と外周部とで異なる圧力差レジメを設定する理由と全く異なる理由で、異なる方法で使用される。段落00114の
図27に関連して記載される二重プレナム装置の1つの理由は、モールドの急峻な保持縁近傍にウェハが形成されることを防ぐことによって、形成された後の形成面からウェハを除去するのを助けることである。DW技術特許の段落00118に記載されるもう1つの理由は、モールドシート自体を真空プレナムアセンブリに固定するのを助けることである。)
【0170】
形成されるウェハの厚さを変動させるもう1つの方法は、テンプレートの領域によって異なる透過度を有するコーティングなどの機能的材料を設けることによって、印加される圧力差を変動させることである。このような構造はDW技術特許に記載されており、同特許の段落00118は、真空が望ましくない領域で、モールドシート2705の裏側に設けられる非透過性コーティング2712について述べている。上記コーティングの例はCVD SiN(窒化ケイ素)または熱分解グラファイトである。上述したようなすべての
機能的材料層はある程度の透過性を有する。しかしながら、透過度は異なるが、それ以外の特性(厚さ、熱質量、熱伝導率など)は同一である機能的材料を用いて、異なる厚さを生成することができる。上述の文言では、透過性の高い機能的材料層は高圧力差につながり、熱抽出性を高める一方、透過性の低い機能的材料は低圧力差につながり、熱抽出性を低下させる。しかしながら、この特性は、ウェハ厚に関して、コーティングなどの機能的材料の比較的影響力の小さな特性であると予測される。
【0171】
本発明の別の実施形態では、テンプレートの温度は、溶融物に接触させる前に、予熱段階中に局所的に変動させることができる。テンプレートの温度が低い(冷たい)領域では、シリコンの厚肉部が凝結して厚肉領域となる。よって、ウェハの厚肉外周領域を達成するため、テンプレートの外周部はテンプレートの内側部よりも低い温度で維持される(もしくは、別の言い方をすれば、このような厚肉外周領域を達成するには、テンプレートの内側部を加熱する、あるいはテンプレートの外周領域よりも高い温度で維持させることができる)。上述の文言では、テンプレートの低温領域は熱抽出性を高め、テンプレートの高温領域は熱抽出性を減じる。概して、テンプレート温度は、厚さ制御のための重要な機構である。しかしながら、本明細書に記載する構造を形成することに基づき、本明細書に記載するその他の技術はより実際的であり、コスト効率が高いと考えられる。ただし、コストと効果の観点からテンプレート温度調節のバランスについて比較検討するという点で、成型加熱素子、熱シールド、または局所的冷却などの従来手段によって達成することができる。ウェハの外周部を厚肉化する効果は、熱抽出性を局所的に変動させる方法の場合は漸進的であり、厚肉外周部と薄肉内側領域との間では円滑である。厚肉境界領域は比較的幅広い、たとえば10mm幅であるが、ウェハの中央内側領域の76%は薄く、低シリコン使用量と高効率という利点を提供する。
【0172】
外周領域からより多くの熱を抽出し、厚肉外周領域を有するウェハを提供するもう1つの方法を、
図21を参照して説明する。これは、通常は内側部、外周部、またはその両方に孔を設けることによって、テンプレートの内側領域と外周領域とで異なる熱特性を提供する方法であり、孔は空である、部分的に充填される、あるいはその組み合わせである。
【0173】
モールドのある領域と別の領域で異なる熱特性を提供する1つの方法は、ダイレクトウェハ技術特許の段落00103~00104に記載される(その方法は、異なる厚さの領域を有するウェハの作製を目的としておらず、その可能性を企図も記載もしていない。動的に安定したメニスカスを必要とせずに、固体-液体界面の面内水平伝播を実行することを目的とする。これは、モールドの特性および幾何的形状を変動させることによって、モールドシートへの伝熱速度を空間的に変動させることで達成される。)
【0174】
DW特許の
図20は、モールドシートの本体2005内に相互に間隔をおいて配置された空隙2016を示しており(本段落の参照符号はDW特許図面を参照する)、(空隙2016における)モールドシートの部分は、モールドの他の部分(空隙間の位置2004)よりも薄い。空隙部分は、空隙間の他の領域よりも薄い。
【0175】
本発明に関しては、本願の
図21に概略的に示すように、外周部2130の周囲ではなく、内側2120に配置される孔2102のフィールドを設けたテンプレート2100を使用することができる。概して、孔は径を相当小さくすることができ、相互に密な間隔をおいて配置することができる。孔は、たとえば、テンプレートの厚さ以下の中心間間隔を有することができる。たとえば、1mm厚のグラファイトテンプレート(溶解側面から裏面へ)では、孔は、相互に1mmの間隔をおいた径0.5mm、深さ0.6mmの孔とすることができる。通常は六角形配置が好ましいが、正方形配置も有効である。孔径は、テンプレートの厚さとほぼ同等か、それよりも小さい。孔の深さは、熱抽出性を有効に変化させる任意のサイズとすることができ、通常はテンプレートの厚さの少なくとも半分以上
であり、上限はテンプレートの全体厚である。
【0176】
孔は止まり孔とすることができる、つまり、孔がテンプレート厚を部分的に貫通し、溶融材料から遠い側を向くテンプレート2100の裏面2154に開放端を有する。溶解側面2156は溶融材料に面し、少なくとも孔に関してはほぼ円滑である(すなわち、孔が貫通しない)。もしくは、孔は、裏面2154から溶解側面2156までテンプレート本体を貫通することもできる。もしくは、孔は、まずテンプレートの裏面に開放端を有する止まり孔を設け、裏面を塞ぐことによって作製することができ、孔の少なくともいくつかに関して2つの充填された、あるいは中空ではない領域間に捕捉された空隙領域を形成する。
【0177】
孔が止まり孔であり、空にされ、溶解側面2156の閉鎖端が溶融材料に面し、裏面2154の開放端が溶融材料から離れた側に面し、孔が空のまま維持されると、孔はその位置で薄肉テンプレート領域を生成し、該位置での溶融物からの熱抽出が減り、該位置に隣接する薄肉ウェハ体ができる。よって、孔が空にされ、十分過密であり、熱抽出のため内側部内に薄テンプレートの連続領域を形成するのに十分小さい場合、テンプレートは(
図17に示すモールド1700の内側領域1720に類似する)内側部で有効に薄肉化され、内側部に空の止まり孔を設けたテンプレートと共に形成されるウェハは、所望され、
図1に概略的に示す薄肉内側領域を有する。
【0178】
よって、空隙または孔を設けることは、他の領域よりも薄いテンプレート領域を作製する代替的方法である。よって、テンプレート領域に複数の空隙を設けることで、薄肉テンプレート領域が形成され、熱抽出を低下させる。
図17の1720のような連続薄肉領域と対照的に、孔を使用することによって、熱質量の少ないテンプレートが形成されることによって、
図17に示す連続薄肉領域よりも熱抽出は小さいが、機械的強度は向上する。
【0179】
孔は、既知の機械的および機械加工手段によって形成することができる。1つの方法は、所望位置に穿孔することである。別の方法は、円形のこぎり刃を用いて複数の密に詰まった平行な切り目を設けることであり、これらの切り目はテンプレートを貫通せず、所望の孔間隔から離れて配置される。次に、第2のセットの平行な切り目を、所望の孔間隔から離れて配置される第1の複数の切り目に(切り目の切り口を考慮に入れて)垂直に(あるいは少なくともほぼ垂直)に配向するように設けることができる。この結果、切り目間の間隔の交差点に、複数の直立ピン状構造が生じる。ピンは残りの材料のグリッドを画定し、すべてのピン間の空間は、表面の孔に類似することによって、テンプレートの有効薄肉内側領域を設定する。
【0180】
熱抽出の大きな領域を設ける別の関連方法は、他の領域よりも気体透過性が高いテンプレート領域を設けることである。高透過性領域を形成することで、圧力差レジメにより形成本体に印加される圧力を増大させ、高圧力差により熱抽出性を高めることができる。多孔性材料を通る粘性流の圧力勾配は、材料の流量×粘度÷気体透過性によって決定される。これは、ダルシーの法則として当業者にとって既知な式が定める現象によって特徴付けられる。
【0181】
設けられる位置の気体透過性を変動させる機能的材料を提供する、あるいは、位置によって透過性の異なる機能的材料を設けることによって、これを実行する方法を上述した。場合によって、止まり孔(または開放孔)のフィールドを設けると、孔の存在しない領域よりも、孔を設けた領域で気体透過性が向上する。よって、止まり孔を設けた領域は、熱抽出性が向上する結果、その領域に形成される半導体領域が厚肉化する。なお、この効果は、薄肉領域が低熱質量領域を構成する効果と反対であるため、ウェハの薄肉部は孔を設けたテンプレート領域に隣接して形成される。高透過性および低熱質量のいずれの効果も
十分に定義されており、当業者であれば、それらの相対規模を理解することで、孔のサイズと位置の適切な選択によって所望される効果を決定および設計することができる。概して、熱質量の効果が優勢であると考えられるが、透過性の効果も検討しなければならない。
【0182】
また、テンプレートの非強化領域よりも多く熱が近傍で抽出されるような熱特性を有する材料で孔を充填することもできる。よって、外周部の孔には、テンプレートの大半よりも熱的に大きな材料で充填することができるため、形成されるウェハの外周部は、上述し
図1に示したように厚肉化する。しかしながら、材料を上記孔に挿入する方法はやや困難である。
【0183】
テンプレートおよび任意のテンプレートインサートの材料を選択する際、およびテンプレートの孔を空にするか否か、あるいはどの程度の孔(深さ、径)を作製するかを検討する際、設計者は、熱伝導率と熱慣性(熱容量)の両方が固体厚に影響を及ぼすことができることを検討すべきである。厚さを決定する熱伝達は、-テンプレートに引き込まれる熱と下方の溶融物からウェハに伝達される熱との間で競合するという事実により-遷移側面(熱伝導率)と定常側面(熱慣性)を有するという点で、これは上述した説明と類似する。
【0184】
異なるパターンで配置されるインサートを有するテンプレートを使用して、上述したようなその他のウェハ幾何学形状を形成することができる。孔は空のままにして、孔位置にほぼ薄肉領域を提供することができる、あるいは、熱特性を有する材料を充填して、テンプレートの本体よりも高いまたは低い熱抽出性を提供することによって、孔位置にウェハの厚肉領域または薄肉領域を形成することができる。
【0185】
以下の説明では、厚肉外周領域を有する薄肉ウェハについて説明する。外周部は、
図1に示すように、たとえば4面で内側領域を完全に包囲する外周部が示されている。外周部の一部の領域が内側領域よりも厚くてもよい。たとえば、1、2、または3つの境界縁部(本明細書では境界部と称する)を厚肉部とすることができる。もしくは、境界領域全体が厚肉ではなく、厚肉領域が単独の境界部の一部を構成することができる。
【0186】
さらに、上記の説明は、業界標準の正方形ウェハに焦点を当てている。この正方形ウェハは現在最も一般的な形状であるが、本明細書に開示する発明は、正方形以外の矩形、円形、三角形などの形状のウェハにも適用可能である。重要なのは、ほぼ薄肉領域と、少なくとも1つの特別に設計された位置に少なくとも1つの厚肉領域とが存在することであり、厚さはウェハの表面(正方形、矩形、円形など)に直交する方向で測定される。近年(2015年)の業界の趨勢は、156mm
2のシリコンウェハを156mm
2の太陽電池に完全に加工することであって、この加工では、上記サイズを扱うサプライチェーンのインフラおよび標準機器を利用するが、モジュールのタブ化、ストリング化、カプセル化の直前に、それらのウェハを156mm×78mmの半電池に切断する。これにより、低電流で高電圧を実現し、直列抵抗損失を最小化する。局所厚を制御した本明細書に開示するウェハを用いてこのオプションを支援するうえで、一列に設けた中央隆起部は、半電池を製造するための切断線となる。隆起部は、
図2に示すようなストライプ240bと類似する。次に、ウェハを、形成される2つの半電池の厚肉外周部の一部を後に形成するこの隆起部/ストライプの中心線に沿ってスライスすることができる。
【0187】
概して、本発明のウェハは、薄肉部と厚肉部を有する。好適な1実施形態では、薄肉部はウェハの表面積の80%以上、好ましくは90%以上にわたって延在する。これは、追加の手間とコストのバランスを取って、厚さと材料の節減から得られる材料コストと効率性の利点を有するより複雑なウェハを作製することである。概して、端部の薄肉部は50
ミクロン以上の厚さを有し、効率性の利得を達成するには、80ミクロン以上の厚さを有する。厚肉部と薄肉部の比は通常、1.28:1(たとえば180ミクロンの外周部と140ミクロンの内側部)以上であり、約3:1または5:1に拡大することもできる。
【0188】
概して、薄肉部の効率性は、使用される特定の電池構造に応じて、約80ミクロンまでの任意のサイズで達成される。標準厚のウェハは180~200ミクロンであるため、この厚さ範囲の厚肉部は有効な実施形態となる。同様に、厚肉部は強度向上のために250ミクロン厚とすることができ、この厚さは比較的標準的なサイズ範囲に含まれる。よって、80ミクロンの薄さの薄肉部と、200ミクロン、さらには250ミクロンの厚さの厚肉部とを有するウェハを容易に製造することができる。上記ウェハは3:1よりもわずかに高い厚さ比を有し、厚肉部は薄肉部の基準面を超えて170ミクロン拡張する。重量節減のための約50ミクロンの超薄肉内側部と、現行の上限である250ミクロンの厚肉外周部とを備えることが実用的であると考えられる。上記ウェハは、厚肉部と薄肉部の比が5:1である。
【0189】
なお、厚肉領域と薄肉領域の上記の比は、業界標準の156mm×156mmのシリコンウェハ、またはそのサイズの半分のウェハという状況下で提示される。上記のサイズ要件は、上記ウェハに関して現在使用されている機械や工程を考慮して開発されている。しかしながら、PV以外の用途や、標準的サイズのウェハ以外の用途の場合、より大きいまたは小さいサイズの面積は、ダイレクトウェハ製造技術特許方法を使用して、たとえば長さ、幅、またはその両方でさらに小さく、あるいは大きくすることによって達成することができるこのような非標準的なサイズの本体の場合、厚肉部と薄肉部の比は、上述の比を上限として、1.28:1~5:1の範囲となることが多い。同様に、約50ミクロンの極薄肉ウェハ、または250ミクロンの厚肉部を有するウェハの用途の方が多い場合がある。
【0190】
なお、位置によって異なる熱抽出性を有するテンプレートを設ける上記の技術の多く/いずれかは他の技術と共に利用することができる。たとえば、テンプレートは、
図17に示すようにかなり均一な密度で、あるいは空隙を設けて、位置によって厚さを異ならせることで、有効に薄いか、より透過性の高いテンプレート領域を形成する。それらを組み合わせて、コーティングまたはインターポーザ層として、機能層を貼付することができる。テンプレートおよびウェハの幾何的形状に示される厚肉領域の様々な形状のいずれも他の形状と共に利用することができる。上述のどのテンプレートも、加熱または冷却領域、あるいはその他の局所的なテンプレート温度制御または向上領域を有することができる。さらに、説明したテンプレート形状のいずれも、2つ以上のプレナム、異なる透過性のコーティング、または異なる透過性の異なるテンプレート領域を用いて設定される複数の程度の異なる圧力差レジメにおいて利用することができる。
【0191】
成長したウェハには、
図15に示すような機能層と、ウェハの両面から延在する隆起部を備えた
図16に示すようなウェハ1500を設けることによって、成長ウェハの両面-テンプレートに面して成長した表面と、溶融物に面して成長した表面-に隆起領域を設けることができる。ウェハの不揃い1557の厚さが外周部1530またはその他の厚肉領域と比べて著しく大きくなるように、厚さが大きく異なる(たとえば、20ミクロン超)機能層を設けることができる。もしくは、テンプレートに面する表面の隆起部の高さの差を設定するために機能層を設けることができ、テンプレート厚の差または圧力差などを利用して、溶解側面上の隆起部の高さを提供することができる。
【0192】
本開示は、2つ以上の発明を説明および開示する。本発明は、提出されているものだけでなく、本開示に基づく特許出願の手続き中に発生する請求項および関連文書でも記載する。発明者らは、後に判定されるように、様々な発明のすべてを従来技術によって許容さ
れる限定に対して請求することを目的とする。本明細書に記載する特徴は、本明細書に開示する各発明に必須である。よって、発明者らは、本明細書に記載しているが、本開示に基づき特許の特定の請求項で請求されていない特徴は、請求項に組み込むべきではないと意図する。
【0193】
たとえば、機能的材料を使用して熱抽出を制御する発明は、単独で、あるいは、異なる局所厚を有し、異なる程度の圧力差、異なる程度の多孔性、異なる局所テンプレート温度、異なる気体透過度を提供するテンプレートを用いるなどの他の方法と組み合わせて利用することができる。同様に、局所厚が異なるテンプレートは、上述の方法のいずれかと共に使用することができる。幾何学形状のいずれも、単独で、他の幾何学形状と共に、あるいは言及していない任意の他の妥当な幾何学形状と共に使用することができる。厚肉外周部は、アイランド、ランディング、ストライプ、完全または部分境界部の一部または全部と共に使用することができ、これらのいずれも他の部分の一部または全部と共に使用することができる。
【0194】
本発明は、光電池用途のシリコン半導体について主に説明した。しかしながら、この技術は、どんな用途の半導体でも利用することができる。製造される代表的な製品としてPVウェハを使用したが、開示したテンプレートベースの方法を用いて、異なる種類の電気的接続を有する他の半導体も作製することができる。
【0195】
ハードウェアのいくつかのアセンブリ、またはステップ群を、本明細書では発明と称する。しかしながら、上記のアセンブリまたは群は、1つの特許出願または一体の発明において検討される発明の数に関して法律および規則によって具体的に意図されるように、必然的に特許可能な個々の発明であることを認めるものではない。それが、発明の一実施形態について説明する簡単な方法であることが意図される。
【0196】
要約書を本明細書に添付する。本要約書は、審査官および他のサーチャーが技術的開示の主題を迅速に理解できるように、要約書に求められる規則を遵守して提供されることを強調しておく。要約書は、特許庁規則に取り決められるように、請求項の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないという認識の下で提出される。
【0197】
上記の説明は例示と理解すべきであり、いかなる意味でも限定的とみなすべきではない。好適な実施形態を参照して発明を具体的に図示し説明したが、当業者であれば、請求項に定義されるような発明の精神と範囲を逸脱せずに、形状と細部に様々な変更を加えることができると理解される。
【0198】
下記請求項内のすべての手段またはステップおよび機能要素の対応する構造、材料、動作、およびそれらの等価物は、具体的に請求されるその他の構成要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことを意図する。
【0199】
[発明の態様]
以下の本発明の態様は、本明細書に記載されることを目的とし、このセクションは、それらの態様が言及されるように確保するものである。これらは態様と称しており、請求項に類似するように見えるが請求項ではない。しかしながら、将来のいずれかの時点で、出願人は、本願および関連出願において、これらの態様をすべて請求する権利を保有する。
【0200】
A1.
a.第1の表面と、
b.第2の表面と、
c.第1の表面に直交する方向で第1の平均厚を有する第1の領域と、
d.規制位置に、第1の平均厚よりも厚い第2の平均厚を有する第2の領域と、
e.6×1017原子/cc未満の格子間酸素含有量と、
f.8.75×1017原子/cc未満の総酸素含有量と、を備える半導体ウェハ。
【0201】
A2.
a.第1の表面と、
b.第2の表面と、
c.第1の表面に直交する方向で第1の平均厚を有する第1の領域と、
d.規制位置に第2の平均厚を有する第2の領域と、を備え、第2の平均厚と第1の平均厚との比が1.28:1~5:1である半導体ウェハ。
【0202】
A3.
a.第1の表面と、
b.第2の表面と、
c.第1の表面に直交する方向で160ミクロン未満の第1の平均厚を有する第1の領域と、
d.規制位置に180ミクロン以上の第2の平均厚を有する第2の領域と、を備える半導体ウェハ。
【0203】
A4.第2の平均厚と第1の平均厚の比が1.28:1~5:1である、態様1または3の半導体ウェハ。
【0204】
A5.6×1017原子/cc未満の格子間酸素含有量と、8.75×1017原子/cc未満の総酸素含有量とを備える、態様2~3のウェハ。
【0205】
A6.第1の平均厚が140ミクロン未満であり、第2の平均厚が180ミクロン以上である、態様1および2のいずれかによるウェハ。
【0206】
A7.第2の表面が基準面と、第2の領域に第2の表面隆起特徴とを備え、第2の表面隆起特徴が、第1の平均厚の0.25~4倍の距離、基準面を超えて第2の表面から拡張する、態様1の半導体ウェハ。
【0207】
A8.2×1017原子/cc未満の格子間酸素含有量を備える、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0208】
A9.5.25×1017原子/cc未満の総酸素含有量を備える、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0209】
A10.第1の領域が150ミクロン未満の平均厚を有する、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0210】
A11.先行する態様のいずれかのウェハ。第1の領域が、
a.120ミクロン、
b.80ミクロン、
c.60ミクロン、のいずれか未満の平均厚を有する、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0211】
A12.第2の領域が、外周部、境界部、内側ストライプ、ランディング、アイランド部のうちの少なくとも1つから成る群から選択される、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0212】
A13.第2の領域が、250ミクロン未満、好ましくは180~250ミクロン、より好ましくは180~200ミクロンの厚さを有する、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0213】
A14.第2の領域がストライプ領域を備え、ストライプの少なくとも一部にメタライゼーションを備える、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0214】
A15.メタライゼーションに接触するバスワイヤをさらに備える、態様14のウェハ。
【0215】
A16.第2の領域がランディング領域を備える、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0216】
A17.第2の領域が少なくとも1つのアイランド部を備える、態様16のウェハ。
【0217】
A18.ランディング領域とアイランド領域を連結するメタライゼーションをさらに備える、態様17のウェハ。
【0218】
A19.ランディングおよびアイランド部でメタライゼーションと接触するバスワイヤをさらに備える、態様18のウェハ。
【0219】
A20.バスワイヤが、ランディングとアイランド部間でメタライゼーションと接触するように位置決めされる、態様19のウェハ。
【0220】
A21.バスワイヤが、ランディングとアイランド部間の領域で、メタライゼーションから離れて配置される、態様19のウェハ。
【0221】
A22.ランディングが、第2の領域に隣接して厚肉であり、第1の領域に隣接して薄肉である、態様16のウェハ。
【0222】
A23.高厚から低厚へと漸進的に遷移する厚さを有する、態様22のウェハ。
【0223】
A24.第1の領域と第2の領域の間に厚さ遷移領域をさらに備え、遷移が急激遷移と漸進遷移から成る群から選択される、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0224】
A25.第2の領域が幅を有する外周領域を備え、ウェハが、第2の領域から第1の領域までの厚さ遷移領域をさらに備え、遷移領域が幅も有する、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0225】
A26.外周領域幅が遷移領域幅とほぼ等しい、態様25のウェハ。
【0226】
A27.外周領域幅が遷移領域幅よりもかなり大きい、態様25のウェハ。
【0227】
A28.第2の表面およびバスワイヤを覆う封入材料と、バスワイヤに連結される第2のウェハとをさらに備える、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0228】
A29.第1の表面がほぼ平坦面を含む、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0229】
A30.第1の表面が基準面と第1の表面隆起特徴とを備え、第1の表面隆起特徴が、第2の表面隆起特徴が第2の表面から拡張する距離よりも短い距離、第1の表面から拡張する、態様7のウェハ。
【0230】
A31.半導体がシリコンを含む、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0231】
A32.ウェハが、太陽熱コレクタを備えるウェハを含む、先行する態様のいずれかのウェハ。
【0232】
A33.ウェハの第1の表面が、156mm以上の長さの第1の辺と、77mm以上の直交辺とを有する、態様32のウェハ。
【0233】
A34.半導体ウェハの製造方法であって、
a.表面を有する溶融半導体材料を提供するステップと、
b.テンプレートを備えるステップであって、
i.溶解側面と、
ii.裏面と、
iii.第1の熱抽出性を有する第1のテンプレート領域と、
iv.第1の熱抽出性よりも高い第2の熱抽出性を有する第2のテンプレート領域と、を備える多孔体を備えるテンプレートを設けるステップと、
c.溶解側面の少なくとも一部の圧力が前記溶融半導体材料表面の圧力よりも低くなるように、圧力差レジメを提供するステップと、
d.溶解側面と溶融半導体材料とが相互に接触する接触期間の少なくとも一部、溶融半導体材料の表面に前記テンプレート溶解側面を接触させるステップと、を備え、半導体材料本体が前記溶解側面上で固体化し、形成される本体が、
i.第1の薄肉本体平均厚を有し、第1のテンプレート領域に隣接して形成される第1の薄肉本体領域と、
ii.第2の厚肉本体平均厚を有し、第2のテンプレート領域に隣接して形成される第2の厚肉本体領域であって、第2の本体平均厚が第1の本体厚よりも大きい第2の厚肉本体領域と、を備えるように、圧力差レジメが提供される、方法。
【0234】
A35.形成された半導体材料本体をテンプレートから取り外すステップをさらに備える、態様34の方法。
【0235】
A36.形成された本体を取り外すステップが、圧力差レジメの程度を低減することを備える、態様35の方法。
【0236】
A37.形成された本体を取り外すステップが、形成された本体に脱離力を機械的に印加することを備える、態様35の方法。
【0237】
A38.第1のテンプレート領域が内側領域を備えることによって、第1の薄肉本体領域が内側領域である、態様34の方法。
【0238】
A39.第2のテンプレート領域が外周領域を備え、第2の厚肉本体領域が外周領域を備える、態様38の方法。
【0239】
A40.第2のテンプレート領域が内側領域にわたって延在するストライプ領域を備え、第2の厚肉本体領域が本体内側領域にわたって延在するストライプ領域を備える、態様38および39の方法。
【0240】
A41.第2のテンプレート領域がランディング領域を備え、第2の厚肉本体領域がランディングを備える、態様38ないし40のいずれかの方法。
【0241】
A42.第2のテンプレート領域がアイランド領域を備え、第2の厚肉本体領域がアイランド部を備える、態様38ないし41のいずれかの方法。
【0242】
A43.第2のテンプレート領域が外周領域を備え、第2の厚肉本体領域が外周部を備え、第2の厚肉テンプレート領域が、
a.内側領域全体に延在するストライプ領域であって、第2の厚肉本体領域が、本体内側部にわたって延在するストライプを備えるストライプ領域と、
b.ランディング領域であって、第2の厚肉本体領域がランディングを備えるランディング領域と、
c.アイランド領域であって、第2の厚肉本体領域がアイランド部を備えるアイランド領域と、から成る群から選択される少なくとも1つをさらに備える、態様38の方法。
【0243】
A44.形成される本体上に、第1のアイランドから第2のアイランドとランディングのうちの少なくとも一方まで延在するメタライゼーション材料を設けるステップをさらに備える、態様41ないし43のいずれかの方法。
【0244】
A45.第1のアイランドから第2のアイランドとランディングの少なくとも一方まで延在するバスワイヤを設けるステップをさらに備え、バスワイヤが第1のアイランドと第2のアイランドとランディングの少なくとも一方との間でメタライゼーションと接触する、態様44の方法。
【0245】
A46.第1のアイランドから第2のアイランドとランディングの少なくとも一方まで延在するバスワイヤを設けるステップをさらに備え、バスワイヤが第1のアイランドと第2のアイランドとランディングの少なくとも一方との間でメタライゼーションから遠くに配置される、態様44の方法。
【0246】
A47.第2の領域がストライプ領域を備え、形成される本体に、ストライプ領域に沿って延在するメタライゼーション材料を設けるステップをさらに備える、態様41ないし43のいずれかの方法。
【0247】
A48.メタライゼーションに沿って延在するバスワイヤを設けるステップをさらに備える、態様47の方法。
【0248】
A49.多孔性テンプレートが第1のテンプレート領域で第1の低平均厚を有するテンプレート材料と、第2のテンプレート領域で第2の高平均厚を有するテンプレート材料と、を備え、第1のテンプレート領域と比較した第2のテンプレート領域の高熱抽出性は、第1のテンプレート領域のテンプレート材料よりも前記第2のテンプレート領域のテンプレート材料の方が、平均厚が高いことに少なくとも部分的に依る、態様34ないし48のいずれかの方法。
【0249】
A50.多孔性テンプレートが第1のテンプレート領域で第1の熱伝導率を有する機能的材料と、第2のテンプレート領域で第2の高熱伝導率を有する機能的材料とを有し、第1のテンプレート領域と比較した第2のテンプレート領域の高熱抽出性は、第1のテンプレート領域のテンプレート材料よりも第2のテンプレート領域のテンプレート材料の方が機能的材料の熱伝導率が高いことに少なくとも部分的に依る、態様34ないし49のいずれかの方法。
【0250】
A51.機能的材料が相互に同一の組成を有し、第1の領域の機能的材料が第1の厚を有し、第2の領域の機能的材料が第1の厚よりも薄い第2の厚を有する、態様50の方法。
【0251】
A52.少なくとも1つの機能的材料がコーティングを備える、態様50および51の方法。
【0252】
A53.少なくとも1つの機能的材料が少なくとも1つのインターポーザ層を備える、態様50または51の方法。
【0253】
A54.インターポーザ層が異なるサイズの2層のインターポーザ層を備える、態様53の方法。
【0254】
A55.インターポーザ層が、異なる位置で異なる厚さを有する単独のインターポーザ層を含む、態様53の方法。
【0255】
A56.多孔性テンプレートが前記第1のテンプレート領域で第1の気体透過性を有するテンプレート材料と、第2のテンプレート領域で第2の高気体透過性を有するテンプレート材料とを備え、第1のテンプレート領域と比較した第2のテンプレート領域の高熱抽出性は、第1のテンプレート領域のテンプレート材料よりも第2のテンプレート領域のテンプレート材料の方が、透過性が高いことに少なくとも部分的に依る、態様34ないし53のいずれかの方法。
【0256】
A57.第1のテンプレート領域を第1の圧力差のソースに連結するステップと、第2のテンプレート領域を第2の圧力差のソースに連結するステップとをさらに備え、第2の圧力差のソースが第1の圧力差のソースよりも高圧力差を提供し、第1のテンプレート領域と比較した第2のテンプレート領域の高熱抽出性は、第1のテンプレート領域に提供される圧力差よりも前記第2のテンプレート領域に提供される圧力差の方が高いことに少なくとも部分的に依る、態様34ないし56のいずれかの方法。
【0257】
A58.第1のテンプレート領域での第1の低厚が、第1のテンプレート領域に設けられる複数の孔による、態様49の方法。
【0258】
A59.多孔体の裏面から多孔体の溶解側面まで部分的に延在する止まり孔を含む、態様58の方法。
【0259】
A60.
a.溶解側面と、
b.裏面と、
c.第1の熱抽出性を有する第1の領域と、
d.第1の熱抽出性よりも高い第2の熱抽出性を有する第2の領域と、を備える多孔体を備えるテンプレート。
【0260】
A61.多孔体が第1の領域で第1の低平均厚を有する材料と、第2の領域で第2の高平均厚を有する材料とを備え、第1の領域の低熱抽出性と比較した第2の領域の高熱抽出性が、第1の領域の材料よりも第2の領域の方が薄いことに少なくとも部分的に依る、態様60のテンプレート。
【0261】
A62.溶解側面が前記裏面よりも平面的な表面を備え、高厚の第2の領域が、前記溶解側面の反対側で、前記裏面の基準面から拡張する隆起部によって画定される、態様62のテンプレート。
【0262】
A63.第1の領域が、裏面から溶解側面に向かって延在する、相互に間隔をおいて配置された空隙を備える、態様60ないし62のいずれかのテンプレート。
【0263】
A64.空隙が、空隙の存在する領域におけるテンプレートのほぼ平均厚またはそれ未満
の中心間間隔を有する、態様63のテンプレート。
【0264】
A65.空隙が、空隙の存在する領域におけるテンプレートのほぼ平均厚またはそれ未満の径を有する、態様63または64のテンプレート。
【0265】
A66.空隙が、空隙の存在する領域におけるテンプレートの平均厚以上の深さを有する、態様63ないし65のいずれかのテンプレート。
【0266】
A67.空隙が止まり孔を含む、態様63ないし66のいずれかのテンプレート。
【0267】
A68.止まり孔が空孔を含む、態様67のテンプレート。
【0268】
A69.多孔体が前記第1の領域に第1の高厚を有する機能的材料と、第2の領域に第2の低厚を有する機能的材料とを溶解側面に備え、第1の領域の低熱抽出性と比較した第2の領域の高熱抽出性が、第1の領域の前記機能的材料よりも第2の領域の機能的材料の方が薄いことに少なくとも部分的に依る、態様60ないし68のいずれかのテンプレート。
【0269】
A70.多孔体が第1の領域に第1の低熱伝導率を有する機能的材料と、第2の領域に第2の高熱伝導率を有する機能的材料とを溶解側面に備え、第1の領域の低熱抽出性と比較した第2の領域の高熱抽出性が、第1の領域の機能的材料よりも第2の領域の機能的材料の方の熱伝導率が高いことに少なくとも部分的に依る、態様60ないし68のいずれかのテンプレート。
【0270】
A71.機能的材料がコーティングを備える、態様69または70のいずれかのテンプレート。
【0271】
A72.コーティングが、カーテンコーティング、噴霧、スロットダイコーティング、メニスカスコーティングから成る群から選択される方法によって塗布されるコーティングを備える、態様71のテンプレート。
【0272】
A73.機能的材料が少なくとも1つの自立型インターポーザ層を備える、態様69のテンプレート。
【0273】
A74.インターポーザ層が異なる表面積の2層のインターポーザ層を含む、態様73のテンプレート。
【0274】
A75.インターポーザ層が、異なる位置で異なる厚さを有する単独のインターポーザ層を含む、態様73のテンプレート。
【0275】
A76.多孔体が第1の領域で第1の透過性を有する材料と、第2の領域で第2の高透過性を有する材料とを備え、第1の領域の低熱抽出性と比較した第2の領域の高熱抽出性が、第1の領域の材料よりも第2の領域の方が薄いことに少なくとも部分的に依る、態様60ないし75のいずれかのテンプレート。
【0276】
A77.第1の領域が内側領域を備える、態様60ないし76のいずれかのテンプレート。
【0277】
A78.第2の領域が外周領域を備える、態様60ないし77のいずれかのテンプレート。
【0278】
A79.第2の領域が内側領域にわたって延在するストライプ領域を備える、態様77または78のテンプレート。
【0279】
A80.第2の領域がランディング領域を備える、態様77ないし79のいずれかのテンプレート。
【0280】
A81.第2の領域がアイランド領域を備える、態様77ないし80のいずれかのテンプレート。
【0281】
A82.第2の領域が外周領域と、
a.前記内側領域にわたって延在するストライプ領域と、
b.ランディング領域と、および
c.アイランド領域と、から成る群から選択される少なくとも1つと、を備える態様77のテンプレート。
【0282】
本明細書に開示する発明を説明し、以下の通り請求する。