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特許7138954工作機械の刃物マガジンに用いられるケース構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】工作機械の刃物マガジンに用いられるケース構造
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
B23Q3/157 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020097094
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021186949
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】515207329
【氏名又は名称】聖杰國際股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sanjet International Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.288-1,Desheng Rd. Daya District Taichung City 428,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 慶三
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-005087(JP,U)
【文献】実開昭61-127935(JP,U)
【文献】特開昭62-218038(JP,A)
【文献】実開平02-139041(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178797(US,A1)
【文献】実開昭54-132882(JP,U)
【文献】特表2009-501340(JP,A)
【文献】特表2015-525683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/157
B23Q 3/12
B23B 31/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の工具マガジンに用いられ、端部を有する刃物棒を収容するためのケース構造であって、
刃物収容空間を有し、前記刃物収容空間の中心を通過する軸線に沿って前記刃物棒が前記刃物収容空間を出入りするケースと、
前記ケースに固定連結された軸管、少なくとも一つの押圧部材、可動リング及び少なくとも一つの押し上げ部材を備えるロック手段と、を含み、
前記軸管が軸孔を有し、管壁には前記軸孔に連通する少なくとも一つの通孔があり、前記軸線が前記軸孔の中心を通過しており、前記押圧部材が、前記軸管の通孔に収容されており、前記可動リングが第一位置と第二位置との間に移動できるように前記軸管に外嵌されており、前記押し上げ部材が、前記可動リングを前記第一位置へ移動させるように該可動リングに付勢力を付与し、
前記可動リングが前記第一位置に位置するとき、前記刃物棒が前記刃物収容空間から退出することを規制するように、前記押圧部材は前記刃物棒の前記端部に当接し、前記可動リングが前記第二位置に位置するとき、前記刃物棒が前記刃物収容空間から退出できるように、前記押圧部材は前記刃物棒の前記端部に当接せず、
前記可動リングが前記軸管に対して回転不能に該軸管に外嵌され、
前記ロック手段はリードピンを含み、前記軸管の一端が障碍壁に連結されており、前記可動リングは貫通孔を有し、前記リードピンは、前記貫通孔を貫通するとともに、一端が前記障碍壁に連結されるように配置されている、工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項2】
工作機械の工具マガジンに用いられ、端部を有する刃物棒を収容するためのケース構造であって、
刃物収容空間を有し、前記刃物収容空間の中心を通過する軸線に沿って前記刃物棒が前記刃物収容空間を出入りするケースと、
前記ケースに固定連結された軸管、少なくとも一つの押圧部材、可動リング及び少なくとも一つの押し上げ部材を備えるロック手段と、を含み、
前記軸管が軸孔を有し、管壁には前記軸孔に連通する少なくとも一つの通孔があり、前記軸線が前記軸孔の中心を通過しており、前記押圧部材が、前記軸管の通孔に収容されており、前記可動リングが第一位置と第二位置との間に移動できるように前記軸管に外嵌されており、前記押し上げ部材が、前記可動リングを前記第一位置へ移動させるように該可動リングに付勢力を付与し、
前記可動リングが前記第一位置に位置するとき、前記刃物棒が前記刃物収容空間から退出することを規制するように、前記押圧部材は前記刃物棒の前記端部に当接し、前記可動リングが前記第二位置に位置するとき、前記刃物棒が前記刃物収容空間から退出できるように、前記押圧部材は前記刃物棒の前記端部に当接せず、
アンロック手段をさらに備え、
前記ケースは、前記刃物収容空間に連通する少なくとも一つの挿入孔を有し、
前記可動リングは、傾斜に配置された案内面を有し、
前記アンロック手段が、前記可動リングを前記第二位置に移動させるため移動させて前記挿入孔に挿入させ前記案内面に押し当てさせるように操作される先端棒を少なくとも1本含む、工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項3】
前記軸管の一端は障碍壁に連結されており、前記押し上げ部材は、一端が前記障碍壁に当接し、他端が前記可動リングに当接するばねである、請求項1又は2に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項4】
前記障碍壁及び前記可動リングの少なくとも一方は少なくとも一つのブラインドホールを有し、前記ばねの一端が前記ブラインドホールの底面に当接する、請求項3に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項5】
前記可動リングが前記軸管に対して回転不能に該軸管に外嵌されている、請求項2に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項6】
前記ロック手段はリードピンを含み、前記軸管の一端が障碍壁に連結されており、前記可動リングは貫通孔を有し、前記リードピンは、前記貫通孔を貫通するとともに、一端が前記障碍壁に連結されるように配置されている、請求項5に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項7】
前記障碍壁は位置決め孔を有し、前記リードピンは、外径が前記可動リングの貫通孔の孔径よりも小さく、一端が前記位置決め孔に挿入されたスプリングピンである、請求項6に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項8】
前記可動リングは、内周面及び押し当て面を有し、前記押し当て面が前記内周面に連結されるとともに傾斜するように配置されており、前記押圧部材は鋼球であり、前記軸管の外壁から前記可動リングの内周面までの距離は、前記鋼球の直径よりも小さい、請求項1又は2に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項9】
アンロック手段をさらに備え、
前記ケースは、前記刃物収容空間に連通する少なくとも一つの挿入孔を有し、
前記可動リングは、傾斜に配置された案内面を有し、
前記アンロック手段が、前記可動リングを前記第二位置に移動させるため移動させて前記挿入孔に挿入させ前記案内面に押し当てさせるように操作される先端棒を少なくとも1本含む、請求項1に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【請求項10】
前記軸管の一端が障碍壁に連結されており、
前記ロック手段は前記軸管の他端に配置された止め輪を含み、前記可動リングが前記障碍壁と前記止め輪との間に配置されており、前記先端棒が前記挿入孔に挿入して前記止め輪に接触するとき、前記止め輪が前記先端棒に反力を付与する、請求項2または9に記載の工作機械の工具マガジンに用いられるケース構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の刃物の収容に関し、特に工作機械の刃物マガジンに用いられるケース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の工作機械刃物マガジンシステムは、チェーン式刃物マガジン又は円盤式刃物マガジンを有する。前記刃物マガジンは、刃物棒を差し込んで実装するための複数のケースを備える。刃物棒を安定化するために、ケースから不適切に離脱して刃物棒や刃物の損害を避けるように、ケース構造は、その内部に通常、係止構造を設ける。係止構造は、刃物棒を刃物ケースに差し込む端を係止するように作用して、刃物棒の不適切的な離脱を防止する。台湾特許第I426978号の「刃物マガジンのスライドステージにおけるケースの押圧装置」及び台湾実用新案登録M477934号の「ケース構造」に開示されたように、複数の径方向孔はケースの中後端の部分に設けられ、径方向孔にはそれぞればねと鋼球とを配置し、ばねを実装することにより鋼球に対して径方向の付勢力を付与して、鋼球を刃物棒のケースに差し込ませる端に当接させる。当然、前記係止構造は、刃物棒の位置を規制することができるが、刃物棒は、ばねによる径方向の付勢力だけでは、安定性を充分に確保することができない。さらに、通常、従来の係止構造は、刃物棒をケースに安定に差し込んでいるため、材料剛性の高いばねを利用して鋼球によって刃物棒に付与される付勢力を高める。しかしながら、刃物棒を取り外すとき、ばねの付勢力を打ち勝つには大きな引っ張り力が必要であるが、刃物棒を取り外しにくいし、力を適切に制御しないと操作者がけがをする恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾特許第I426978号
【文献】台湾実用新案登録M477934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明は、刃物棒の差し込み後の安定性を向上させるとともに刃物棒が簡単に退出することができる工作機械の刃物マガジンに用いられるケース構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の刃物マガジンに用いられるケース構造は、刃物収容空間を有し、前記刃物収容空間の中心を通過する軸線に沿って前記刃物棒が前記刃物収容空間を出入りするケースと、ケースに固定連結された軸管、押圧部材、可動リング及び押し上げ部材を備えるロック手段と、を含み、軸管が軸孔を有し、管壁には前記軸孔に連通する少なくとも一つの通孔があり、前記軸線が前記軸孔の中心を通過しており、前記押圧部材が、前記軸管の通孔に収容されており、前記可動リングが第一位置と第二位置との間に移動できるように前記軸管に外嵌されており、前記押し上げ部材が、前記可動リングを前記第一位置へ移動させるように該可動リングに付勢力を付与する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前記可動リングが第一位置に位置するとき、前記刃物棒が前記刃物収容空間から退出することを規制するように、前記押圧部材は前記刃物棒の前記端部に当接し、前記可動リングが第二位置に位置するとき、前記刃物棒が前記刃物収容空間から退出できるように、前記押圧部材は前記刃物棒の前記端部に当接しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の好ましい実施形態による工作機械の刃物マガジンに用いられるケース構造及び刃物棒の斜視図である。
図2】本発明の好ましい実施形態によるケース構造におけるロック手段の分解図である。
図3(A)】図2に示すロック手段の可動リングの斜視図である。
図3(B)】図2に示すロック手段の可動リングの斜視図である。
図4】本発明の好ましい実施形態によるケース構造の上面図である。
図5図4の5-5方向に沿う断面図である。
図6図5の6-6方向に沿う断面図である。
図7図6におけるA部位の部分拡大図である。
図8】刃物棒を刃物収容構造に差し込む過程を示し、さらに刃物ロック手段の可動リングが第一位置に位置する様子を示す断面図である。
図9】刃物棒を刃物収容構造に差し込む過程を示し、さらに刃物ロック手段の可動リングが第二位置に位置する様子を示す断面図である。
図10】刃物棒を刃物収容構造に差し込む過程を示す断面図である。
図11】刃物棒をケースに差し込み、アンロック手段の先端棒を差し込でいることを示す斜視図である。
図12図11の12-12方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明をより明確に説明するために、好ましい実施形態を図面を参照して以下に詳細に説明する。図1ないし図6は、本発明の好ましい実施形態による工作機械の刃物マガジンに用いられるケース構造100を示す。それが円盤式刃物マガジンに適用できるが、これに限らない。当該ケース構造100は、刃物棒200をケースに安定させるとともに刃物棒200をケース構造100から簡単に離脱させない効果を有する。前記刃物棒200は、本体部201、ネック部202及び端部203を順に連結してなり、その本体部201の一端は刃物(図示せず)に固定して連結する。端部203の外径は、ネック部202の外径よりも大きい。図8図10を参照すると、端部203は、フロント押し面203a、外周面203b及び後ろ傾斜面203cを有し、フロント押し面203a及び後ろ傾斜面203cが外周面203bの両側に傾斜するように配置されている。
【0009】
ケース構造100は、ケース10及びロック手段20を含み、前記ケース10は、両端がそれぞれ開口を有し、内部が円錐孔からなる刃物収容空間12aを有する中空の筒体であり、前記刃物収容空間12aの中心を通過すると規定されている軸線Lに沿って、前記刃物棒200が前記刃物収容空間12を出入りする。更に、図6に示すように、ケース10において、刃物収容空間12の周りに複数のボルト孔14が設けられている。
【0010】
ロック手段20がケース10の内部に結合されており、刃物棒200のケース10からの退出を規制するように配置されている。図2に示すように、前記ロック手段20は、軸管21、可動リング22、ボルト23、押圧部材及び押し上げ部材などの部材を含む。以下に前記部材をそれぞれを説明する。
【0011】
前記軸管21が軸孔21aを有し、管壁には該軸孔21aに連通する複数の通孔を有し、軸管21の一端の外径は、収束して当接面21cを形成し、前記当接面21cの前方に嵌合溝部21dがある。軸管21の他端は、外径が軸管21の外径よりも大きい障碍壁24に連結され、前記障碍壁24には複数のボルト孔24aがある。
【0012】
前記可動リング22は、図8に示す第一位置P1と図9に示す第二位置P2との間に移動できるように前記軸管21に外嵌されている。図3(A)及び図3(B)に示すように、該可動リング22の前側面22Aの外周に傾斜に配置された案内面22aがあり、前側面22Aの中間部位に内周面22bと押し当て面22cとで形成された凹部がある。該内周面22bが水平に伸びており、該押し当て面22cが該内周面22bに連結されるとともに傾斜するように配置されており、該可動リング22の後側面22Bには複数のブラインドホール22dがある。更に、可動リング22の周縁部には切欠き部22eがあり、その数は該障碍壁24のボルト孔24aの数に相当する。これによって、組み立てるためのボルト23を容易に通過できる。ボルト23が障碍壁24の穿孔24aを貫通して、ケース10のボルト孔14にロックされる。ボルト23のヘッド部が障碍壁24にしっかり当接して軸管21をケースに固定連結させ、軸線Lが該軸孔21aの中心を通過する。
【0013】
上述の可動リング22が該軸管21に対して回転不能に該軸管21に外嵌されていることが好ましい。一つの実施形態では、上記の目的を達成するために、リードピン25で可動リング22を貫通するとともに、該障碍壁24に連結させるが、本実施形態では、障碍壁24に位置決め孔24bを設け、可動リング22に貫通孔22fを設け、リードピン25はスプリングピンであり、その外径が位置決め孔24bの孔径に相当するとともに貫通孔22fの孔径よりも小さい。図7に示すように、スプリングピンが貫通孔22fを貫通して一端が位置決め孔24bに挿入する。スプリングピンは、自体の径方向の付勢力によって位置決め孔24bに固定されるが、貫通孔22fの孔壁との間に隙間を隔てて配置され、これによって可動リング22が軸管21に対して回転不能かつ前後移動可能に該軸管21に外嵌されている。
【0014】
押圧部材は、丸い鋼球26であり、その数が該軸管21の管壁の通孔21bの数に相当する。これらの鋼球26の直径が該軸管21の外壁から該可動リング22の内周面22bまでの距離Dより大きい。従って、鋼球26はそれぞれ対応する通孔21bに収容される時、鋼球26は可動リング22の内周面22bに規制されるため、通孔21bから逃げない。
【0015】
押し上げ部材はばね27であり、その数が該可動リング22のブラインドホール22dの数に相当する。これらのばね27がそれぞれ対応するブラインドホール22dに配置され、ばね27の一端がブラインドホール22dの底面に当接し、他端が該障碍壁24の表面に当接する。ばね27が該障碍壁24を固定支点として該可動リング22に押し上げ力を付与する。可動リング22の押し当て面22cが鋼球26を押し当てて鋼球26の一部を該軸孔21aから露出させる。この時、鋼球26も可動リング22が外へスライドすることを規制する。ここで、この状態の可動リング22が第一位置P1に位置すると定義され、ばね27の押し上げ力により可動リング22が第一位置P1へ移動するように維持する。
【0016】
図8図10は、刃物棒200を実装する動作を示す模式図である。図8に示すように、可動リング22がばね27の押し当て力により第一位置P1に保持する。刃物棒200が軸線Lに沿ってケース10の刃物収容空間12に差し込んで、刃物棒200の端部203のフロント押し面203aは、これらの鋼球26の軸孔21aから露出した部分に接触する。そして、前進の刃物棒200は、その端部203のフロント押し面203aで鋼球26を外へ移動するように案内し、即ち、可動リング22に向かう方向へ移動する。鋼球26が外へ移動する過程において、通孔21bの規制により、鋼球26は径方向にしか移動できない。また、可動リング22の押し当て面22cが傾斜面であるため、外へ移動する鋼球26が可動リング22を障碍壁24に向けて後退移動させるように押すとともに、スプリング27を圧縮させる。図9に示すように、鋼球26が該端部203の外周面203bに接触するとき、可動リング22が第二位置P2に後退移動したことを意味する。一方、刃物棒200を前進させるように連続的に押して、鋼球26が前記ネック202に対応すると、ネック部202の外周面から軸管21の軸孔21aの孔壁との間に隙間があるため、ばね27は、圧縮能をリリースして可動リング22を外へ移動させるように押し、可動リング22の押し当て面22cが鋼球26を再び押して下へ移動させ、鋼球26が該可動リング22の押し当て面22cと該端部203の後ろ傾斜面203cと同時に当接すると(図10を参照)、可動リング22が再び第一の位置P1で停止し、鋼球26が該刃物棒200の端部203をブロックして、刃物棒200の刃物収容空間12からの退出は規制される。上述のばね27は可動リング22を押し上げて、可動リング22が、再び傾斜面である押し当て面22cで鋼球26を押し、鋼球26によって刃物棒200の端部203に径方向の付勢力(垂直分力)及び軸方向の付勢力(水平分力)を作用する。これによって、刃物棒200のケース10に差し込み後の安定性を向上させるので、該刃物棒200が簡単に刃物収容空間12から退出することはない。
【0017】
以上は、本発明が刃物棒のケースからの退出を規制する構造を説明した。ケース10及びロック手段20の他に、本発明のケース構造はアンロック手段をさらに備えてもよい。アンロック手段が可動リング22に対して推力を作用して可動リング22を第一位置P1から第二位置P2へ後退移動させる。可動リング22が第二位置P2に位置するとき、鋼球26(すなわち、押圧部材)は刃物棒200の端部203に当接しない。これによって、ロック手段20の刃物棒200に対する規制は解除されて、刃物棒200はケース10の刃物収容空間12から簡単に退出することができる。
【0018】
図5及び図11を参照すると、アンロック手段30は、2本の先端棒32を含む。該ケース10が、該2本の先端棒32に合わせて頂面に設けられた、刃物収容空間12に連通する二つの挿入孔16を有する。前記挿入孔16の投影領域は、第一位置P1に位置する可動リング22の構造の一部を覆っている。更に、図12を参照すると、該2本の先端棒32が同期に移動するように操作されると、略テーパ状の一端が挿入孔16を通過した後、先端棒32が下へ移動するのにしたがって、可動リング22を第一位置P1から第二位置P2に後退移動させるように、先端棒32が案内面22aを押し当てる。即ち、可動リング22が障碍壁24に向かって移動するとともにばね27を圧縮する。この時、鋼球26は可動リング22の案内面22aにもはや押されず、軸管21の外壁と可動リング22の内周面22bとの間には距離Dがあるので、鋼球26が自由に通孔21bの中に移動できる。即ち、ロック手段20の刃物棒200の端部に対する規制を解除する。これによって、刃物棒200をケース10から簡単に取り外すことが可能である。刃物棒200をケース10から離脱させて、さらに先端棒32をケース10から退出させるように操作されると、該ロック手段20が図6に示される状態に戻る。空気圧または油圧の変化を制御することで上述の先端棒32を上下動させることができる。また、上述の先端棒32の数は2本であるが、他の実施形態では、1本の先端棒32を利用してロック手段20の刃物棒200に対する規制を解除してもよい。
【0019】
上述のアンロック手段30は、止め輪34及びC型バックル36を更に含むこともできる。図2に示すように、止め輪34が、軸管21の、障碍壁24に連結された他端に外嵌されるとともに、該支持面21cに当接している。止め輪34の位置を固定させるようにC型バックル36が嵌合溝部21dに結合され、該可動リング22を該障碍壁24と該止め輪34との間に位置させる。上述の止め輪34は固定されているものであり、先端棒32を下に向かってケース10に差し込ませる場合、前記止め輪34は先端棒32を側面から支持できる。即ち、先端棒32が可動リング22を押すとき、止め輪34が先端棒32に反力を印加してばね27の押し上げる力により先端棒32が曲げられることを対応する。
【0020】
ばね27を安定させて離脱を回避させるように、上記において、ばね27は、可動リング22のブラインドホール22dに配置され、ばね27の一端はブラインドホール22dの底面に当接し、他端は障碍壁24の表面に当接するが、他の実施形態では、ブラインドホールが障碍壁24に設けられてもよいし、または障碍壁24および可動リング22の両方にブラインドホールが設けられてもよい。
【0021】
上述したものは本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲の均等な変化はすべて、本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0022】
[本発明]
100:ケース構造
10:ケース
12:刃物収容空間
14:ボルト孔
16:挿入孔
20:ロック手段
21:軸管
21a:軸孔
21b:通孔
21c:支持面
21d:嵌合溝部
22:可動リング
22A:前側面
22B:後側面
22a:案内面
22b:内周面
22c:押し当て面
22d:ブラインドホール
22e:切欠き部
22f:貫通孔
23:ボルト
24:障碍壁
24a:ボルト孔
24b:位置決め孔
25:リードピン
26:鋼球
27:ばね
30:アンロック手段
32:先端棒
34:止め輪
36:C型バックル
D:軸管の外壁から可動リングの内周面までの距離
L:軸線
P1:第一位置
P2:第二位置
200:刃物棒
201:本体部
202:ネック部
203:端部
203a:フロント押し面
203b:外周面
203c:後ろ傾斜面
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12