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特許7138978飲料用容器の栓体及びそれを備えた魔法瓶
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  • 特許-飲料用容器の栓体及びそれを備えた魔法瓶 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】飲料用容器の栓体及びそれを備えた魔法瓶
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
B65D47/08 220
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021036707
(22)【出願日】2021-03-08
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2021191693
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518050562
【氏名又は名称】Reach Will 魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】山口 考克
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-50009(JP,A)
【文献】特開2006-298449(JP,A)
【文献】特開2006-158729(JP,A)
【文献】特開2018-34891(JP,A)
【文献】特許第5498613(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第104276338(CN,A)
【文献】特許第6684008(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用容器本体の開口部に被着される栓本体と、前記栓本体の一端にヒンジ部を介して回動自在に連結される蓋体と、前記栓本体の他端で前記蓋体を閉状態に保持するロック機構と、を備えた飲料用容器の栓体において、
前記ロック機構は、前記蓋体に設けられた係合部と係合する係合片と、前記係合片の外側に併設され上下に摺動自在なスライド片と、前記係合片を軸支し且つ前記スライド片をガイドするガイド枠体と、を有し、
前記スライド片は、前記係合片に対して上位置にあるとき該係合片と共に回動し、前記係合片に対して下位置にあるとき前記係合片の回動を規制し、前記係合片の両側部を挟持する一対の側壁部を有し、
前記一対の側壁部は、前記係合片の両側部へ向けて突出した突起部を夫々有し、
前記係合片は、その両側部から前記側壁部に向けて夫々突出した一対の凸部を有し、
前記スライド片が前記係合片に対して上下に摺動するとき、前記突起部は、前記凸部を乗り越えて前記凸部の上端部側又は下端部側に到達することでクリック感を発生させることを特徴とする請求項1に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項2】
前記ガイド枠体は、前記スライド片が前記係合片に対して下位置にあるとき該スライド片の下端部面と当接する保護枠部を有することを特徴とする請求項1に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項3】
前記係合片は、前記蓋体に設けられた係合部と係合する爪部と、前記ガイド枠体との連結用の軸支棒が挿通される軸孔を有する軸部と、を有し、
前記凸部は、前記軸部よりも前記爪部側に設けられ、前記突起部は、前記側壁部の上端部側に設けられ、
前記スライド片の正面側のうち下端部側に操作突起部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の飲料用容器の栓体を備えた魔法瓶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器の栓体及びそれを備えた魔法瓶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、魔法瓶といった飲料用容器には、容器本体の開口部に被着される栓本体にヒンジ部を介して連結される蓋体を備えた栓体が用いられている。このような栓体を備えた飲料容器として、栓本体の他端で蓋体を閉状態に保持するロック機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の飲料容器では、容器本体の開口部に装着された栓体に対して、ヒンジを介して回動可能に装着された蓋体を、閉状態で保持するロック機構を有する。このロック機構は、蓋体に設けられた係合受け部と係合する係合部材と、係合部材の外面側に対して上下方向に摺動可能に取り付けられたスライドボタンと、から構成される。このロック機構では、スライドボタンが上位置にあるとき、スライドボタンに一体に設けられた突出片が、栓体に設けたストッパに当接して、係合部材の係合爪が蓋体の係合受け部に係合され閉蓋状態となる。一方、スライドボタンが下位置にあるとき、突出片がストッパに当接せず、係合部材の係合爪が蓋体の係合受け部から解除され開蓋状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3142053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の飲料容器のように、スライドボタンが外方に突出していると、例えば、飲料容器を鞄等から出し入れする際に、スライドボタンが何かの物体に接触して移動してしまい、ロック機構が使用者の意図に反して解除されてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロック機構が意図せず解除されることを抑制することができる飲料用容器の栓体及びそれを備えた魔法瓶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、飲料用容器本体の開口部に被着される栓本体と、前記栓本体の一端にヒンジ部を介して回動自在に連結される蓋体と、前記栓本体の他端で前記蓋体を閉状態に保持するロック機構と、を備えた飲料用容器の栓体であって、前記ロック機構は、前記蓋体に設けられた係合部と係合する係合片と、前記係合片の外側に併設され上下に摺動自在なスライド片と、前記係合片を軸支し且つ前記スライド片をガイドするガイド枠体と、を有し、前記スライド片は、前記係合片に対して上位置にあるとき該係合片と共に回動し、前記係合片に対して下位置にあるとき前記係合片の回動を規制し、前記係合片の両側部を挟持する一対の側壁部を有し、前記一対の側壁部は、前記係合片の両側部へ向けて突出した突起部を夫々有し、前記係合片は、その両側部から前記側壁部に向けて夫々突出した一対の凸部を有し、前記スライド片が前記係合片に対して上下に摺動するとき、前記突起部は、前記凸部を乗り越えて前記凸部の上端部側又は下端部側に到達することでクリック感を発生させることを特徴とする。
【0008】
上記飲料用容器の栓体において、前記ガイド枠体は、前記スライド片が前記係合片に対して下位置にあるとき該スライド片の下端部面と当接する保護枠部を有することが好ましい。
【0009】
上記飲料用容器の栓体において、前記係合片は、前記蓋体に設けられた係合部と係合する爪部と、前記ガイド枠体との連結用の軸支棒が挿通される軸孔を有する軸部と、を有し、前記凸部は、前記軸部よりも前記爪部側に設けられ、前記突起部は、前記側壁部の上端部側に設けられ、前記スライド片の正面側のうち下端部側に操作突起部が設けられていることが好ましい。
【0010】
上記飲料用容器の栓体は、魔法瓶に備えられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロック機構において、スライド片が、下位置にあるとき、スライド片の下端部面が、ガイド枠体の保護枠体に当接しているので、殆ど外方に突出していない。従って、スライド片が何かの物体に接触し難く、ロック機構が使用者の意図に反して解除されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る飲料用容器の栓体を備えた魔法瓶の斜視図、(b)容器本体とは栓体とを分離した斜視図。
図2】(a)は上記魔法瓶の正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図、(e)は右側面図、(f)は右側断面図。
図3】(a)は上記栓体の斜視図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は背面図、(e)は平面図、(f)は底面図。
図4】(a)は上記栓体においてスライド片が下位置にあるときの右側断面図、(b)はスライド片が上位置にあるときの右側断面図。
図5】(a)は係合片に対してスライド片が下位置(ロック状態)の正面側からの斜視図、(b)は係合片に対してスライド片が上位置(解除状態)の正面側からの斜視図、(c)はロック状態の背面側からの斜視図、(d)は解除状態の背面側からの斜視図、(e)はロック状態の背面図、(f)は解除状態の背面図。
図6】(a)は係合片及びスライド片を回動させた状態を示す右側面図、(b)は栓本体に対して蓋体が開状態となったときの右側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る飲料用容器の栓体について、図面を参照して説明する。図1(a)(b)及び図2(a)乃至(f)に示すように、本実施形態の飲料用容器の栓体(以下、栓体1)は、魔法瓶10に備えられる。魔法瓶10は、栓体1と、飲料用容器本体(以下、容器本体2)と、を備える。栓体1は、容器本体2の開口部20に被着される栓本体3と、栓本体3の一端にヒンジ部4を介して回動自在に連結される蓋体5と、栓本体3の他端で蓋体を閉状態に保持するロック機構6と、を備える。なお、本例では、ロック機構6が設けられた他端側を正面側といい、ヒンジ部4が設けられた一端部側を背面側と
いう。
【0014】
容器本体2は、ステンレス製の内外容器21により真空断熱壁を形成した魔法瓶タイプとされている(特に、図2(f)参照)。開口部20は筒状に形成されており、開口部20の径は内外容器21の径より小さく、内外容器21の上端部から開口部20の下端部にかけて肩部22が形成されている。本実施形態では、肩部22から開口部20かけて、ストラップ取付部材23が装着されている。
【0015】
ストラップ取付部材23は、下リング部24と、この下リング部24と一体形成され、下リング部24より径の小さい上リング部25と、を有する(図1(b)、図2(f)参照)。下リング部24は、肩部22を囲うように配置され、その外周部にストラップ取付用の突軸26を有する。なお、容器本体2の内外容器21の上部外周には、ストラップ取付部材23を固定するための周溝部27が形成されており、下リング部24の内周面に形成された固定突部28が周溝部27に嵌合する。上リング部25は、開口部20を囲うように配置され、その外周部に雄ネジ部29を有する。本例では、ストラップ取付部材23に設けられた雄ネジ部29を介して栓体1が螺合される構成を示すが、ストラップ取付部材23がなく、開口部20の外周面に形成された雄ネジ部(不図示)を介して栓体1が螺合される構成であってもよい。
【0016】
ロック機構6は、蓋体5に設けられた係合部51(図2(f)参照)と係合する係合片7と、係合片7の外側に併設され上下に摺動自在なスライド片8と、係合片7を軸支し且つスライド片8をガイドするガイド枠体9と、を有する。
【0017】
図3(a)乃至(f)に示すように、栓本体3は、栓本体3の主体を成す胴部31を有し、胴部31の上面には、上方に突出した筒状の飲口32が設けられている(図2(f)、後述する図6(b)も参照)。また、胴部31の背面側の上端部には、ヒンジ軸部33が設けられている。ヒンジ軸部33は、後述する蓋体5のヒンジ軸部56を挟持されるように突出片として形成されている。胴部31の下面は開口しており、胴部31の内周面には、ストラップ取付部材23の雄ネジ部29に螺合するための雌ネジ部34(図3(f)、図4(a)参照)が設けられている。胴部31の側周面には、装飾及び滑り止め用の窪み部35が左右の面に夫々設けられている。胴部31の正面側には、ガイド枠体9の一部を構成する保護枠部(両壁部91a、91b、下壁部92)が、正面方向に突出するように形成されている。
【0018】
蓋体5は、周面部52及び上面部53を有し、下面が開口した略椀形状の部材である。周面部52の外形は、正面側の高さが背面側よりも高くなるよう形成されている。上面部53の外形は、正面側から背面側へ下がるように傾斜している。上面部53の左右両端は周面部52にかけて凹部54となるように形成されている。周面部52の正面側には、ガイド枠体9の一部を構成する保護枠部(両壁部93a、93b、上壁部94)が正面方向に突出するように形成されている(図3(b)参照)。
【0019】
蓋体5の上面部53の内面には、飲口32に嵌合する口栓部55が設けられている(図6(b)も参照)。なお、蓋体5の係合部51は、周面部52の正面側の内面に、係合爪51aが外方に向けて突出するように形成されている。なお、係止爪51aは、突出した部分の下方面が傾斜しており、上方面が略水平である(図4(a)参照)。また、上面部53の背面側端部には、ヒンジ軸受部56が形成されている。ヒンジ軸受部56には、ヒンジ軸部33を挟持するように一対の突出片として形成されている。なお、ヒンジ軸受部56の内側面には、回動方向への付勢力を発生させる付勢バネ(不図示)が内装されている。
【0020】
ガイド枠体9は、栓本体3側の両壁部91a、91bと、蓋体5側の両壁部93a、93bとで、スライド片8を挟持し、スライド片8の上下の摺動方向をガイドする。栓本体3側の両壁部91a、91bには、係合片7を軸支する軸支棒の軸受孔95が夫々形成されている(図3(a)(b)参照)。また、栓本体3側の両壁部91a、91b、下壁部92及び胴部31の正面側外面は、係合片7及びスライド片8の下部分が押し込まれるための収容空間96(図4(a)参照)を形成する。ガイド枠体9の下壁部92には、スライド片8の下端部面と当接すると共に、スライド片8の背面側の下端部と当接する段差部92a(保護枠体)が設けられている。胴部31の正面側外面のうち収容空間96を成す面には、付勢用のコイルバネ97が取付けられ、係合片7及びスライド片8の下部分の押し込みに反する付勢力を発生させる。
【0021】
図4(a)(b)及び図5(a)乃至(f)に示すように、係合片7は、板状部71と、板状部71の上端側に形成され、蓋体5の係合部51(係合爪51a)と係合する爪部72と、ガイド枠体9との連結用の軸支棒が挿通される軸孔73を有する軸部74と、を有する。軸部74は、板状部71の上下方向の略中央位置に設けられ、板状部71のうち軸部74より下方側の端部が押し込まれると、板状部71の軸部74より下方側の部分及び爪部72が外方に引き出される(図6(a)も参照)。
【0022】
爪部72は、正面側の形状がスライド片8の上端部と略同形状となるよう形成されており、スライド片8が上位置にあるとき、スライド片8によって隠されて正面方向からは見えなくなる(図5(b)参照)。爪部72は、側面視形状では、突出した部分の上方面が傾斜しており、下方面が略水平である(図4(a)参照)。
【0023】
板状部71は、軸部74と爪部72との間が幅狭となるよう形成されており、この幅狭な部分に、左右両方に(後述するスライド片8の側壁部82に向けて)突出した凸部75が形成されている。凸部75の上下方向の長さは、スライド片8の摺動距離と略等しく、その上端部及び下端部の角は、斜面となるよう面取りされている。また、板状部71の下方側端部には、コイルバネ97の受け部が設けられている。
【0024】
スライド片8は、板状部81と、板状部81の背面側から立設されて係合片7の両側部を挟持する一対の側壁部82と、係合片7の下方端部を囲うように保持・ガイドする一対のL字ガイド部83と、を有する。板状部81の正面側には、操作突起部84が形成されている。操作突起部84は、側面視で山形の突起であり、板状部81の上下方向の中央よりもやや下端部側に配置されている。また、操作突起部84は、スライド片8を上方向にスライドさせるときに力が掛かり易いように、下面側の傾斜が上面側の傾斜よりも強くなっている。スライド片8の上下左右の4側周面は、ガイド枠体9を構成する両壁部91a、91b、93a、93b、下壁部92及び上壁部94で覆われており、側面視では、スライド片8の正面側の僅かな一部と、操作突起部84が外方に突出している。
【0025】
側壁部82は、板状部81の上下の上下方向の略中央位置に設けられ、係合片7の軸孔73に挿通される軸支棒が挿通される長孔85が形成されている。そのため、スライド片8は、軸支棒を軸として係合片7と共に回動する一方で、スライド片8は、長孔85に沿って軸支棒がガイドされることで、係合片7に対して上下に摺動自在となる。また、L字ガイド部83で係合片7の背面側面がサポートされるので、係合片7の下端部とスライド片8の下端部が押し込まれたときに、係合片7の下端部との間でグラつくこともなく、係合片7と共に回動する。
【0026】
また、一対の側壁部82は、係合片7の両側部へ向けて突出した突起部86を夫々有する。突起部86は背面視形状が略三角形であり、面取りされた係合片7の凸部75の上端部又は下端部と適度な抵抗で移動する。従って、スライド片8が係合片7に対して上下に摺動するとき、突起部86は、弾性変形しながら係合片7の凸部75を乗り越えて、凸部75の上端部側又は下端部側で復元することで、クリック感を発生させる。
【0027】
上記のように構成されたロック機構6では、係合片7が蓋体5の係合爪51aに係合された状態で、スライド片8が、係合片7に併設された状態で上下方向に摺動自在となる。図4(a)に示したように、スライド片8が、下位置にあるとき、スライド片8の下端部が、ガイド枠体9の下壁部91(保護枠体)の段差部92aの鉛直面に当接し、スライド片8の下端部を外方から内方に押し込んでも、スライド片8は押し込まれないので、スライド片8に併設された係合片7の回動も規制され、ロック機構6がロック状態となる。このとき、スライド片8の下端部面が段差部92aの水平面に当接しており、スライド片8は、操作突起部84を除いて、殆ど外方に突出していない。従って、使用者が、例えば、魔法瓶10を鞄等から出し入れする際に、スライド片8が何かの物体に接触し難く、ロック機構6が使用者の意図に反して解除されることを抑制することができる。
【0028】
そして、図4(b)に示したように、スライド片8を、上位置に摺動させたとき、スライド片8の突起部86が、係合片7の凸部75を乗り越えることで(図5(e)(f)参照)、使用者に適度な操作抵抗を与えると共に、凸部75に対して凹状となった凸部75の上端側位置に嵌って復元することで、パチンとしたクリック感を発生させる。
【0029】
なお、上記のような操作抵抗及びクリック感を与えるために、例えば、係合片とスライド片とが対向する両面に夫々凸部を設けた場合には、スライド片が押し込み操作されたときに、夫々の凸部が擦り減ってしまうと、スライド片が抵抗なく上下に摺動するようになる虞がある。一方、本実施形態によれば、側壁部82に夫々形成された一対の突起部86と、係合片7側の一対の凸部75とは、互いの接触方向がスライド片8の押し込み方向とは直交するので、スライド片8が押し込み操作されても、突起部86及び凸部75が擦り減ることもない。また、突起部86及び凸部75は夫々2組なので、凸部が1組である場
合に比べて、擦り減り難くなり、繰り返しの摺動操作がなされても、長期間にわたって適度な操作抵抗とクリック感を発生させることができ、意図に反するロック機構6の解除をより効果的に抑制することができる。
【0030】
また、凸部75は、軸部74よりも爪部72側に設けられており、突起部86は、側壁部82の上端部側に設けられている(図5(e)(f)参照)。また、操作突起部84は、スライド片8の正面側のうち下端部側に設けられており、凸部75や突起部86とは離れている。そのため、操作突起部84が使用者の指で押されられても、凸部75や突起部86は押さえられないので、凸部75又は突起部86がスライド片8のスライド時に適度に変形し、パチンと快活なクリック感を得ることができる。
【0031】
なお、本発明は、スライド片8が、係合片7に対して上位置にあるときロック機構6が解除され、係合片7に対して下位置にあるときロック状態となり、ガイド枠体9が、ロック状態にあるスライド片8の下端部面と当接する下壁部(保護枠部)を有する構成であれば、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。栓本体3や蓋体5の形状は、上述した形状に限らず、適宜に変更され得、例えば、蓋体5は、凹部54のような凹みがなく、より丸みを帯びた外形形状であってもよい。また、容器本体2についても、任意の形状のものが採用され得、上述した内外容器21に限られず、また、ストラップ取付部材23を備えない構成であってもよい。更に、例えば、係合片7は、可撓性のある樹脂材料で形成されていてもよい。この場合、例えば、蓋体5が栓本体3に対して開いた状態であるが、スライド片8が、図4(a)に示したように下位置(ロック状態)にあるとき、係合片7に可撓性がない硬質な樹脂材料で形成されていると、スライド片8を上位置に移動させないと蓋体5を閉めることができない。また、この状態で無理に蓋体5を閉めようとすると、係合片7の爪部72が損傷する虞がある。一方、係合片7が、可撓性のある樹脂材料で形成されていると、係合片7が僅かに変形するので、スライド片8が下位置(ロック状態)のまま、蓋体5を閉めることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 栓体
10 魔法瓶
2 容器本体
20 開口部
3 栓本体
4 ヒンジ部
5 蓋体
51 係合部
6 ロック機構
7 係合片
72 爪部
74 軸部
75 凸部
8 スライド片
82 側壁部
84 操作突起部
86 突起部
9 ガイド枠体
92a 段差部(保護枠部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6