(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】建築板の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/14 20060101AFI20220912BHJP
B28B 3/02 20060101ALI20220912BHJP
B28B 3/20 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
E04F13/14 102C
B28B3/02 J
B28B3/20 D
(21)【出願番号】P 2021086753
(22)【出願日】2021-05-24
(62)【分割の表示】P 2019169492の分割
【原出願日】2016-05-30
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城本 浩之
(72)【発明者】
【氏名】古宮 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山本 智久
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-136892(JP,A)
【文献】特開平11-129230(JP,A)
【文献】特開平02-014105(JP,A)
【文献】特開平06-182735(JP,A)
【文献】特開2008-246773(JP,A)
【文献】特許第6973990(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/14
B28B 3/02
B28B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のコア部と、少なくとも前記コア部の表面及び裏面を覆って前記コア部と一体化しているスキン部と、を備えた未硬化の成形体の前記スキン部の表面にプレスにより凹部を形成して模様を付ける際、前記スキン部を形成するスキン材料の一部が、前記コア部を形成するコア材料に食い込
み、前記スキン部の一部が前記コア部の一部に食い込むことでリブが形成されている、建築板の製造方法であって、
前記建築板は、矩形板状をなし、スキン部の厚みが1mm以上であり、前記リブが長手方向に延びており、前記リブ間の間隔が1本/100mm以上である、
建築板の製造方法。
【請求項2】
前記スキン部が前記コア部よりも比重が高い、
請求項1に記載の建築板の製造方法。
【請求項3】
前記スキン部が前記コア部の互いに対向する両側面を更に覆う、
請求項1
又は2に記載の建築板の製造方法。
【請求項4】
前記リブが4本以上形成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建築板の製造方法。
【請求項5】
前記リブの高さが3mm以上である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建築板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板の製造方法に関する。詳しくは、水硬性無機質材料を主成分とする成形材料から形成され、コア部と、このコア部を覆うスキン部とを有する建築板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントや石膏等の材料を主成分とする建築板は、建築物の外壁等、種々の建材用途として利用されている。近年、職人不足、高齢化等により、建築板の軽量化が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基材の長手方向に貫通する中空部を基材の短手方向(幅方向)に複数設けた建築板が記載されている。このような建築板は、中空部のない建築板に比べて重量が軽くなり、運搬性及び施工性、更には建物躯体への負担軽減に優れる。
【0004】
また、建築板の更なる軽量手法として、建築板を形成する材料の低比重化が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、低比重化した材料で形成される建築板は、強度が低下する傾向にあり、職人等の作業者が建築板を運搬や施工する際に、建築板に振り折れなどの破損が生じやすいという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、従来より軽量であるにもかかわらず、十分な強度を有し、振り折れ等の破損が生じにくい建築板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様の建築板の製造方法は、板状のコア部と、少なくとも前記コア部の表面及び裏面を覆って前記コア部と一体化しているスキン部と、を備えた未硬化の成形体の前記スキン部の表面にプレスにより凹部を形成して模様を付ける際、前記スキン部を形成するスキン材料の一部が、前記コア部を形成するコア材料に食い込み、前記スキン部の一部が前記コア部の一部に食い込むことでリブが形成されている、建築板の製造方法であって、前記建築板は、矩形板状をなし、スキン部の厚みが1mm以上であり、前記リブが長手方向に延びており、前記リブ間の間隔が1本/100mm以上である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の建築板の製造方法によれば、スキン材料よりも低比重のコア材料を用いてコア部が形成されていても、コア材料よりも高比重のスキン材料で形成されるリブを有しているので、このリブで補強して強度を大きくすることができ、従来より軽量であるにもかかわらず、振り折れ等の破損が生じにくい建築板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは、本発明の第一の実施形態に係る建築板の概略の断面図である。
図1Bは、
図1Aに示す建築板の要部の拡大図である。
【
図2】
図2Aは、本発明の第二の実施形態に係る建築板の概略の断面図である。
図2Bは、本発明の第三の実施形態に係る建築板の概略の断面図である。
図2Cは、本発明の第四の実施形態に係る建築板の概略の断面図である。
図2Dは、本発明の第五の実施形態に係る建築板の概略の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一の実施形態に係る建築板の製造に使用する押出成形機、及び押出成形機が備える金型の概略の平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示される金型の内部に設けられる中子の概略の斜視図である。
【
図6】
図6Aは、
図5に示される金型の内部に設けられる中空ピンの概略の平面図である。
図6Bは、
図6Aに示される中空ピンの概略の側面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示される中子の内部に
図6Aに示される中空ピンを設けた状態を示す概略の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の第一の実施形態に係る建築板を製造する際のスキン材料の流れ方を示す概略の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第二の実施形態に係る建築板の製造に使用する中子の概略の斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第三の実施形態に係る建築板の製造に使用する中子の概略の斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第四の実施形態に係る建築板の製造に使用する中子の概略の斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第五の実施形態に係る建築板の製造に使用する中子の概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0012】
(第一の実施形態)
図1Aに本実施形態の建築板1を示す。この図では、建築板1を短手方向と平行な線で切断した場合の断面図を示している。従って、建築板1は短手方向と直交する方向(
図1Aの紙面に対して垂直な方向)に対して長尺に形成されている。建築板1は、平面視で略矩形状に形成されており、両側端部(短手方向の両端部)には、他の建築板1と接続可能な実部が設けられている。
【0013】
建築板1は、コア部2とスキン部3とを備えて形成されている。コア部2は板状に形成されており、スキン部3はコア部2の表面と裏面及び両側端面(短手方向の端面)とを覆って形成されている。またコア部2とスキン部3とは一体化して形成されており、スキン部3にはコア部2に食い込むような複数のリブ30が一体的に形成されている。リブ30はコア部2の長手方向(建築板1の長手方向と同じ)に沿って延びるように形成されている。またコア部2には複数の中空部4が形成されている。中空部4はコア部2の長手方向の略全長にわたって形成される空洞部分である。
【0014】
各リブ30及び各中空部4はコア部2の長手方向の一の端縁に沿って延びるように形成されており、また複数のリブ30及び複数の中空部4はコア部2の上記一の端縁に直交する方向(建築板1の短手方向)に並列している。スキン部3の厚みは、外観等を考慮すると、1mm以上であることが好ましく、建築板1全体の厚みの1/3以下であることが好ましい。
【0015】
建築板1の表面(スキン部3の表面)には、凹部31によって模様が形成されている。また建築板1の表面には、必要に応じて、表面仕上げのためのシーラー及び塗料が塗布されていてもよい。
【0016】
建築板1は、リブ30に沿う方向(長手方向)の一端が固定された状態において、振幅200mm、周期1回/秒の条件で5回以上振幅可能である。ここでいう振幅可能とは、建築板1をこの条件で振幅させたとしても、建築板1に振れ折れなどの破損が生じないことを意味する。建築板1がこのような構成を備えることにより、建築板1を施工したり運搬したりする際の建築板1の振り折れを抑制することができる。
【0017】
リブ30の本数およびリブ30間の間隔は、リブ30の形状、リブ30の大きさ等によって影響されるが、1本/100mm以上であることが好ましい。この場合、建築板1の運搬時等の破損を特に抑制できる。複数のリブ30の高さXは、それぞれ異なっていてもよく、全て同じであってもよい。複数のリブ30の断面形状は、それぞれ異なっていてもよく、全て同じであってもよい。建築板1の破損を十分に抑制するためには、
図1Bに示すリブ30の高さXは3mm以上であることが好ましい。リブ30の高さXが3mm未満であると、建築板1の破損を十分に抑制できないことがある。コア部2の裏面側に設けられたリブ30の断面形状は、三角形状であるが、これに限定されない。例えば、リブ30の断面形状が、四角形状であってもよく、半円形状であってもよい。
【0018】
上記のような建築板1ではリブ30を備えているため破損しにくい。すなわち、職人等の作業者が一人で建築板1を運搬する際、建築板1を長手方向の略中央部で脇に抱えることがある。この場合、作業者が移動することにより、建築板1が振り動かされて、建築板1の長手方向の両端に厚み方向に折れ曲がるような荷重がかかりやすくなる。そこで、本実施形態の建築板1では、建築板1の長手方向と平行方向に長いリブ30を設けるようにしており、これにより、建築板1に上記のような荷重が掛かっても、建築板1をリブ30で補強することができ、建築板1の運搬時の振り折れ等の破損を抑制することができる。
【0019】
一方、作業者が二人の場合、各作業者が建築板1の長手方向の両端をそれぞれ持って運搬することが行われている。また建築板1はその長手方向を上下にして壁等に立掛けて置いておく場合がある。これらの場合は、建築板1の長手方向の略中央部が撓むように反って変形し、建築板1の略中央部に荷重が掛かるが、建築板1では上記のようなリブ30を備えるため、建築板1の略中央部に荷重が掛かる場合であっても破損を抑制することもできる。
【0020】
またリブ30はコア部2の裏面側に設けられていることが好ましい。上記のように、作業者が二人で建築板1を運搬する場合や壁に立掛ける場合は、建築板1の表面側を上にすることが多い。このため、建築板1には裏面側に長手方向に引っ張られる方向の荷重が掛かりやすい。そこで、リブ30をコア部2の裏面側に設けることにより、リブ30で建築板1の裏面が補強されることになり、建築板1を二人で運搬する場合や壁に立掛けた場合の破損を特に抑制することができる。もちろん、リブ30はコア部2の表面側にも設けられていてもよく、この場合、さらに建築板1の強度を向上させることができて破損が生じにくい。
【0021】
以下、上記の建築板1の製造方法について説明する。
【0022】
コア部2はコア材料の硬化物により形成され、スキン部3はスキン材料の硬化物により形成されている。コア材料及びスキン材料はいずれも水硬性無機質材料を含む成形材料であるが、コア材料はスキン材料よりも低比重に調製されている。コア材料及びスキン材料は、例えば、無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、補強繊維、及び水を含有している。
【0023】
無機質系主材としては、ケイ素とカルシウムのうち少なくとも一方を含む化合物が使用可能であって、セメントなどの水硬性無機質材料を使用することができる。無機質系主材には、更に、フライアッシュ、シリカヒューム、珪石粉などが含有されていてもよい。
【0024】
無機質系混和材は軽量骨材として使用される無機発泡体などであって、パーライト、フライアッシュバルーン、及びバーミキュライトなどを例示することができる。無機質系混和材としては、更に、マイカ、ワラストナイトなどを使用することができる。
【0025】
有機質系混和材としては、メチルセルロース、有機質系発泡粒子等を例示することができる。有機質系発泡粒子としては、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、及びアクリロニトリル系樹脂などの発泡粒子を例示することができる。
【0026】
補強繊維としては、例えば、パルプ繊維等の天然繊維、ポリプロピレン、ビニロン等の有機繊維、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維等の無機繊維などを例示することができる。
【0027】
コア材料及びスキン材料に含まれる各成分の配合割合は特に限定されないが、コア材料の比重がスキン材料の比重よりも低比重になるように、各成分の配合割合が適宜調製される。コア材料の比重をスキン材料の比重よりも低くすることで、コア部2の絶乾比重をスキン部3の絶乾比重よりも低くすることができ、建築板1の軽量化を図ることができる。また高比重のスキン部3がコア部2よりも高密度化されて、スキン部3の強度をコア部2よりも高くすることができ、建築板1全体の強度を向上させることができる。
【0028】
コア材料に含まれる各成分の配合割合は、例えば、コア材料に無機質系主材が73~97重量%の範囲内、無機質系混和材が1~20重量%の範囲内、有機質系混和材が1~3.5重量%の範囲内、補強繊維が1~3.5重量%の範囲内で含まれることが好ましい。スキン材料に含まれる各成分の配合割合は、例えば、スキン材料に無機質系主材が69.5~97.5重量%の範囲内、無機質系混和材が1~20重量%の範囲内、有機質系混和材が1~3.5重量%の範囲内、補強繊維が1~7重量%の範囲内で含まれていることが好ましい。
【0029】
建築板1は、
図3に示すような押出成形機10でコア材料及びスキン材料を押出成形することで製造される。
【0030】
押出成形機10は、第一押出機11及び第二押出機12を備える。第一押出機11及び第二押出機12は金型100に接続されている。金型100は、その先端に流入口103を、後端に押出口104を備える。流入口103は第一押出機11と接続されている。このため、流入口103には第一押出機11からスキン材料が流れ込む。
【0031】
図4には、この金型100の概略の断面図が示されている。この金型100は上型101、下型102、中子105、流路106、流路107、及び流路108を備えている。上型101と下型102とは、上下に対向して重ねられている。流路106、流路107、及び流路108は、金型100内における流路106及び流路107に対して押出口104側に設けられた合流部109で合流している。このため、押出口104は、流路106、流路107、及び流路108と接続している。
【0032】
金型100の内部には空洞が形成されている。この空洞内に中子105が設けられている。
図4の断面図に現れる上型101の下面と、中子105の上面との間が、流路106であり、下型102の上面と、中子105の下面との間が、流路107である。流路106及び流路107は、流入口103と繋がっている。このため、流路106及び流路107には、スキン材料が流れる。中子105は、その流入口103付近から流入口103に向かって厚みが徐々に小さくなっている。また、中子105の押出口104側の端部は、押出口104に向かって厚みが徐々に小さくなっている。中子105の押出口104側の先端は、押出口104と対向するように配置されている。中子105の先端部の上面は、先端に向かう平坦な傾斜面111として形成され、中子105の先端部の下面は先端に向かう平坦な傾斜面112として形成されている。中子105の内部に流路108が形成されている。この流路108は第二押出機12と接続されている。詳細には、中子105内の流路108は、第二押出機12とパイプ17を介して連結している。このため、流路108には、第二押出機12で混練されたコア材料が流れ込む。また、中子105の先端には、流路108に通じる矩形の開口部110が形成されている。
【0033】
図5に中子105の概略の斜視図を示す。中子105の先端部は、上下に設けられた一対の先端部材121で形成されている。先端部材121は、上面が下流側に向かって下り傾斜する傾斜面122として形成されている。先端部材121の両側端部には、傾斜部123が設けられている。各傾斜部123は、傾斜面122の側端部から側方に向かって下り傾斜するように、平面視において略三角形状に形成されており、各傾斜部123の外方に位置する二辺には側壁部124が設けられている。
【0034】
中子105の先端部は、上記のような先端部材121を上下対称に設けて形成される。この場合、上側の先端部材121と下側の先端部材121は、互いに上下反転して設けられる。上側の先端部材121と下側の先端部材121は、上下に向かい合う側壁部124同士が接合され、対向する傾斜面122の先端縁の間に流路108に通じる開口部110が形成される。開口部110は傾斜面122の先端縁と傾斜部123と側壁部124とで囲まれて形成される。また上側の先端部材121の傾斜面122が、中子105の傾斜面111として形成され、下側の先端部材121の傾斜面122が、中子105の傾斜面112として形成される。また上側の先端部材121の傾斜部123は、傾斜面122の側端部から側方に向かって下り傾斜するように形成されている。また下側の先端部材121の傾斜部123は、傾斜面122の側端部から側方に向かって上り傾斜するように形成されている。
【0035】
中子105の流路108内には中空成形体300が設けられる。
図6Aに示すように、中空成形体300は、本体部301と、複数の突出棒302とを備える。
図6Bに示すように、複数の突出棒302は、間隔をあけて一列に並んでいる。複数の突出棒302の寸法および形状は特に限定されない。
【0036】
図7に、流路108内に中空成形体300を配置した中子105を示す。流路108内に中空成形体300が配置されると、複数の突出棒302の一部が開口部110から突出する。中子105を金型100内に設け、この金型100を使用して押出成形することで、コア部2に中空部4が形成された中空構造の建築板1を製造することができる。
【0037】
そして、押出成形機10を用いて以下のように建築板1を製造する。
【0038】
まず、第一押出機11の投入口13にスキン材料を投入すると共に、第二押出機12の投入口15にコア材料Cを投入する。スキン材料S及びコア材料Cは、それぞれ、第一押出機11内に設けられたスクリュー14、及び第二押出機12内に設けられたスクリュー16によって混練されながら搬送される。
【0039】
次に、コア材料Cは第二押出機12からパイプ17を介して流路108に流入する。また、スキン材料は第一押出機11から流入口103を通って流路106及び流路107に流入する。
【0040】
次に、流路108を通ったコア材料Cが開口部110に達する。この際、コア材料Cは、流路108内に設けられた中空成形体300の突出棒302を避けて流れる。開口部110から吐出されるコア材料Cは、開口部110の形状および突出棒302の形状に合わせて、中空構造の板状に成形される。
【0041】
更に、流路106を通ったスキン材料Sと流路107を通ったスキン材料Sとが合流部109において合流する。これにより、板状に成形されたコア材料Cが、スキン材料Sによって包まれる。合流部109におけるスキン材料Sの流れ方を
図8に示す。この図は金型100の合流部109における断面図である。この図に示す矢印のように、スキン材料Sは、開口部110から突出した突出棒302を回避するように突出棒302の両サイドに流動する。このため、隣合う突出棒302の間に多くのスキン材料Sが流れ込む。特に突出棒302よりも下方に多くのスキン材料Sが流れ込む。その結果、コア材料Cがスキン材料Sによって包まれる際に、スキン材料Sの一部がコア材料Cに食い込み、建築板1のコア部2の裏面側において中空部4の両サイドにリブ30に相当する部分が形成される。
【0042】
次に、コア材料Cがスキン材料Sによって包まれたまま、コア材料C及びスキン材料Sが押出口104から押し出される。このコア材料C及びスキン材料Sを任意の長さで切断することにより、未硬化の成形体(グリーンシート)が形成される。
【0043】
次に、この未硬化の成形体の表面側にプレス等を施すことにより、
図1Bに示す建築板1のスキン部3の表面に設けられた凹部31に相当する凹部を形成する。この凹部31によって、建築板1の表面に模様を付けることができる。更に、この凹部が形成される際、スキン材料の一部がコア材料に食い込み、コア部2の表面側に設けられたリブ30に相当するリブを形成することができる。すなわち、未硬化の成形体の表面にプレス等で凹部を形成することにより、建築板1の表面模様を形成することができると共に、コア部2に表面側にリブを形成することができる。
【0044】
この未硬化の成形体を養生して硬化させることにより、上記のような建築板1が製造される。
【0045】
(第二の実施形態)
図2Aに示す第二の実施形態の建築板1は、
図1A及び
図1Bの建築板1と比較して、リブ30の形状や間隔、本数が異なって形成されている。この建築板1を製造する場合には、上記の中子105に代わって、
図9に示す中子205を使用することが好ましい。
【0046】
図9に示すように、中子205の先端部は、二つの先端部材221から形成されていること以外は、
図7に示す中子105と同じ構成を備える。先端部材221の傾斜面222には、複数のリブ形成用凹部223が設けられている。リブ形成用凹部223は、傾斜面222から凹んで形成されている。複数のリブ形成用凹部223は、それぞれ平面視で帯状に形成されている。リブ形成用凹部223は、それぞれ、傾斜面222の傾斜方向と直交する方向に並べられている。リブ形成用凹部223の断面形状は、例えば矩形であるが、これに限られず、例えば、三角形状であってもよく、半円形状であってもよい。中子205の開口部110は、上側の辺が傾斜面222の先端縁で形成され、下側の辺が傾斜面222の先端縁で形成される。中子205の流路108内には、
図6A、
図6Bに示す中空成形体300が設けられる。このため、開口部110から、複数の突出棒302が突出している。
【0047】
中子205を適用した金型100を用いて、建築板1を製造する場合には、流路106を通ったスキン材料と流路107を通ったスキン材料とが合流部109において合流するが、流路106を通ったスキン材料の下面と、流路107を通ったスキン材料の上面とには、リブ形成用凹部223に沿ったリブに相当する部分が形成される。また、流路108を通ったコア材料は、複数の突出棒302によって、中空構造の板状に形成される。この状態で、コア材料がスキン材料によって包まれる。このため、スキン材料のリブに相当する部分が、コア材料に食い込み、コア部2の裏面側及び表面側にリブ30に相当する部分が形成される。この未硬化の成形体を養生して硬化させることにより、
図2Aに示す建築板1が製造される。
【0048】
(第三の実施形態)
図2Bに示す第三の実施形態の建築板1は、コア部2に中空部4が形成されていない構造、すなわち中実構造を有する。この建築板1のスキン部3はコア部2の裏面側及び表面側に複数のリブ30が設けられている。この建築板1を製造する場合には、
図10に示す中子305を使用することが好ましい。中子305は、流路108内に中空成形体300が設けられていないこと以外は、
図9に示す中子205と同じ構成を備える。
【0049】
中子305を適用した金型100を用いて、建築板1を製造する場合には、流路106を通ったスキン材料と流路107を通ったスキン材料とが合流部109において合流するが、流路106を通ったスキン材料の下面と、流路107を通ったスキン材料の上面とには、リブ形成用凹部223に沿ったリブに相当する部分が形成される。また、流路108を通ったコア材料は、中実構造の板状に形成される、この状態で、コア材料がスキン材料によって包まれる。このため、スキン材料が、コア材料に食い込み、コア部2の裏面側及び表面側にリブ30に相当する部分が形成される。この未硬化の成形体を養生して硬化させることにより、
図2Bに示す建築板1が製造される。
【0050】
(第四の実施形態)
第四の実施形態の建築板1は、
図2Cに示すように、スキン部3がコア部2の表面側のみにリブ30を備えている。この建築板1を製造する場合には、
図11に示す中子405を使用することが好ましい。中子405は、上下二つの先端部材221のうち、上側の先端部材221のみにリブ形成用凹部223が形成され、下側の先端部材221にはリブ形成用凹部223が形成されていないこと以外は、
図10に示す中子305と同じ構成を備える。
【0051】
中子405を適用した金型100を用いて、建築板1を製造する場合には、流路106を通ったスキン材料と流路107を通ったスキン材料とが合流部109において合流するが、流路106を通ったスキン材料の下面には、リブ形成用凹部223に沿ったリブに相当する部分が形成されるが、流路107を通ったスキン材料の上面にはリブに相当する部分が形成されない。また、流路108を通ったコア材料は、中実構造の板状に形成される、この状態で、コア材料がスキン材料によって包まれる。このため、上側のスキン材料のリブに相当する部分が、コア材料に食い込み、コア部2の表面側に設けられたリブ30に相当する部分が形成される。この未硬化の成形体を養生して硬化させることにより、
図2Cに示す建築板1が製造される。
【0052】
(第五の実施形態)
第五の実施形態の建築板1は
図2Dに示すように、スキン部3が、コア部2の裏面側のみにリブ30を備えている。この建築板1を製造する場合には、
図12に示す中子405を使用することができる。中子405は、上下二つの先端部材221のうち、下側の先端部材221のみにリブ形成用凹部223が形成され、上側の先端部材221にはリブ形成用凹部223が形成されていないこと以外は、
図10に示す中子305と同じ構成を備える。そして、中子405を適用した金型100を用いて、建築板1を製造する場合には、流路106を通ったスキン材料と流路107を通ったスキン材料とが合流部109において合流するが、流路107を通ったスキン材料の上面には、リブ形成用凹部223に沿ったリブに相当する部分が形成されるが、流路106を通ったスキン材料の下面には形成されない。また、流路108を通ったコア材料は、中実構造の板状に形成される、この状態で、コア材料がスキン材料によって包まれる。このため、下側のスキン材料のリブに相当する部分が、コア材料に食い込み、コア部2の表面側に設けられたリブ30に相当する部分が形成される。この未硬化の成形体を養生して硬化させることにより、
図2Dに示す建築板1が製造される。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0054】
(実施例1~2、比較例2)
無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、補強繊維、及び水を、下記の表1に示す割合で配合することで、コア材料及びスキン材料を調製した。尚、表1中の水含有量は、コア材料及びスキン材料の各々における全固形分に対する水の比率である。
【0055】
【0056】
上記のコア材料及びスキン材料を、第一押出機11、第二押出機12、及び
図3に示す金型100を備える押出成形機10を使用して成形し、成形体を作製した。尚、この金型100は、
図12に示す中子505を備える。この中子505は、下側の先端部材221の傾斜面222にリブ形成用凹部223が設けられているが、リブ形成用凹部の数、すなわちリブ30の数は、下記の表2に示すように変化させた。リブ形成用凹部間の間隔は100mmとした。
【0057】
この成形体を、60~80℃で24時間の条件で蒸気養生を行った後、最高温度160℃で合計10時間のオートクレーブ養生を行った。その後、乾燥機によって成形体の含水率を10%に調節した。
【0058】
これにより、幅500mm、厚み16mm、長さ3000mmの寸法を有し、且つ
図1A及び
図1Bに示すようにコア部2とスキン部3とを備えた建築板1を製造した。この建築板1のスキン部3の厚みは1mmであった。またスキン部3が備える複数のリブ30の高さXは、3~5mmの範囲内に収まっていた。
【0059】
この建築板1のコア部2の絶乾比重は0.70であり、スキン部3の絶乾比重は1.02であった。この建築板1の曲げ強度は8.0MPaであった。
【0060】
(比較例1)
金型100が備える中子505の下側の傾斜面222に、リブ形成用凹部223が設けられていないこと以外は、実施例1~2、比較例2と同様にして建築板を製造した。
【0061】
この建築板の寸法、絶乾比重、曲げ強度は、実施例1~2と同じであった。
【0062】
(ハンドリング性評価)
実施例1~2、及び比較例1~2の建築板1の一端を持って固定し、建築板1の固定していない方の端部を振幅約200mm、周期1回/秒で振幅させた。建築板1が折れるまでの振幅の回数を、リブ30の本数と共に、下記の表2に示す。
【0063】
【0064】
表2に示すように、スキン部3がコア部2の裏面側に設けられたリブ30を備えている実施例1~2の建築板は、スキン部3がリブ30を備えていない比較例1の建築板やリブ30の本数が少ない比較例2の建築板よりも、折れるまでの振幅の回数が多い。このため、実施例1~2の建築板は、比較例1~2の建築板よりも、運搬時等の破損が起きにくい。
【符号の説明】
【0065】
1 建築板
2 コア部
3 スキン部
30 リブ
31 凹部