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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】建設車両の自律走行制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220912BHJP
【FI】
G05D1/02 W
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018155966
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2020030625
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000182384
【氏名又は名称】酒井重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 涼平
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 成基
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-207516(JP,A)
【文献】特開昭59-111508(JP,A)
【文献】特開2008-050859(JP,A)
【文献】特開平03-233710(JP,A)
【文献】特開平07-011605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/12
E01C 19/00-19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行目標ラインに設定した目標点に向けてステアリング角度を修正する建設車両の自律走行制御装置であって、
車速とステアリング角度とから車両の所定時間後の予想到達点を算出する予想到達点算出手段と、
前記予想到達点が前記目標点に向かうように、修正ステアリング角度を算出する修正ステアリング角度算出手段と、を備え
前記予想到達点を中心に目標円を設定し、
前記修正ステアリング角度算出手段は、
前記予想到達点が或る目標点に所定距離だけ近づいたとき次の目標点に向かうように修正ステアリング角度を算出するとともに、前記予想到達点が前記目標円よりも外側の目標点に向かうように修正ステアリング角度を算出し、
前記目標円の半径を、前記走行目標ラインが直線或いは曲率半径の大きい曲線のときには、大きく、前記走行目標ラインが曲率半径の小さい曲線のときには、小さくなるように可変に設定することを特徴とする建設車両の自律走行制御装置。
【請求項2】
走行目標ラインに設定した目標点に向けてステアリング角度を修正する建設車両の自律走行制御装置であって、
車速とステアリング角度とから車両の所定時間後の予想到達点を算出する予想到達点算出手段と、
前記予想到達点が前記目標点に向かうように、修正ステアリング角度を算出する修正ステアリング角度算出手段と、を備え
前記予想到達点を中心に目標円を設定し、
前記修正ステアリング角度算出手段は、前記予想到達点が前記目標円よりも外側の目標点に向かうように修正ステアリング角度を算出し、
前記目標円の半径を、前記走行目標ラインが直線或いは曲率半径の大きい曲線のときには、大きく、前記走行目標ラインが曲率半径の小さい曲線のときには、小さくなるように可変に設定することを特徴とする建設車両の自律走行制御装置。
【請求項3】
前記建設車両は、ロールで地面を締め固める締固め車両であり、
前記予想到達点は、前記ロールの中心点を基準に算出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建設車両の自律走行制御装置。
【請求項4】
前記目標点の座標データに施工データを紐づけて記憶する紐づけ記憶手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建設車両の自律走行制御装置。
【請求項5】
前記施工データは、前記走行目標ラインの軌道データであることを特徴とする請求項に記載の建設車両の自律走行制御装置。
【請求項6】
転圧輪を振動させて地面を締め固める起振手段と、
地面の締固め度を検出する締固め度検出手段と、
を車両に備え、
前記施工データは、前記起振手段の振動条件データと、前記締固め度検出手段で検出した締固め度と、であることを特徴とする請求項または請求項に記載の建設車両の自律走行制御装置。
【請求項7】
前記走行目標ラインを往復走行する場合に、
前回走行で記憶した目標点毎の締固め度に応じて、次回走行時に前記振動条件データを変えることを特徴とする請求項に記載の建設車両の自律走行制御装置。
【請求項8】
前記走行目標ラインを往復走行する場合に、
前回走行で記憶した目標点毎の締固め度に応じて、次回走行時に車速を変えることを特徴とする請求項に記載の建設車両の自律走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設車両の自律走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動ローラ等での地盤の締固め施工では、一般に振動ローラを一定のレーンで往復走行させている。均一な締固め度を得るためには、車両を同一レーン上で正確に走行させ、ロールのオーバーラップ代を出来る限り一致させる必要がある。しかし、手動による走行では熟練度を要し、昨今のオペレータの人員不足で熟練オペレータを確保することが難しくなっている。これに対し、人手によらず、車両を自律走行させて車両の位置ずれを抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-212705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自律走行車両では、車両が、走行目標ライン上に設定された目標点に向けて走行するようになっており、或る目標点に達すると次の目標点に向けて走行するようになっている。しかしながら、この構成では、車両が或る目標点に達した後に、次の目標点への方向制御としてステアリング角度の修正を開始するので、修正タイミングが遅れて修正ステアリング角度の値が大きくなり、走行軌跡がジグザグ状になって、走行目標ラインに対する車両の位置ずれが生じやすい。
【0005】
また、地盤の締固め度の品質管理手法の一例として、加速度応答法を利用した締固め管理装置を振動ローラに搭載し、オペレータが締固め管理装置のモニターを確認しながら締固め状況を把握し、その状況に応じて振動条件や車速、走行回数を決定することが行われている。しかしながら、人手により振動条件や走行回数を決定することには、やはり熟練度を要する。そのため、自律走行車両において、地盤の締固め度を人手によらず自動で管理できることが望まれている。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために創作されたものであり、走行目標ラインに対して車両の位置ずれを抑制できる建設車両の自律走行制御装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、車両の自律走行と地盤の締固め管理とを容易に連動させることができる建設車両の自律走行制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、走行目標ラインに設定した目標点に向けてステアリング角度を修正する建設車両の自律走行制御装置であって、車速とステアリング角度とから車両の所定時間後の予想到達点を算出する予想到達点算出手段と、前記予想到達点が前記目標点に向かうように、修正ステアリング角度を算出する修正ステアリング角度算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、車両の所定時間後の予想到達点を目標点に向かわせるため、車両自体を目標点に向かわせる場合に比して、急なステアリング角度の修正が抑えられ、滑らかな車両の走行軌跡を得られる。予想到達点は、車速を加味した所定時間後の推定点であるため、車速の変化に追従して予想到達点の位置も変化する。したがって、複雑なフィードフォワード制御を要することなくこれと同等の効果を得ることができ、高精度な自律走行運転を実現できる。
【0009】
また、本発明は、前記修正ステアリング角度算出手段は、前記予想到達点が或る目標点に所定距離だけ近づいたとき次の目標点に向かうように修正ステアリング角度を算出することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、簡単な演算処理で、修正ステアリング角度を繰り返し算出することができる。
【0011】
また、本発明は、前記予想到達点を中心に目標円を設定し、前記修正ステアリング角度算出手段は、前記予想到達点が前記目標円よりも外側の目標点に向かうように修正ステアリング角度を算出することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、予想到達点を目標円よりも外側の目標点に向かわせれば、予想到達点は遠くの目標点を目指すことになるので、直近の目標点に向かう場合に比して、急なステアリング角度の修正が抑えられ、直線の走行目標ラインに沿って滑らかな直線軌道で走行する。目標点同士の間隔を大きくする必要がないので、或る目標点同士間の車両の直線軌道と、次の目標点同士間の車両の直線軌道との間にずれもほとんど生じない。
また、目標円を設定する構成は、車両の向きにかかわらず、目標半径を比較因子とすることで、予想到達点を容易に次の目標点へ向かわせることができ、複雑な演算処理を要しない。目標円は、車速に追従して位置が変化する予想到達点を中心点としているので、目標円の位置も車速に追従して変化する。したがって、複雑なフィードフォワード制御を要することなくこれと同等の効果を得ることができる。
【0013】
また、本発明は、前記目標円の半径を、前記走行目標ラインが直線或いは曲率半径の大きい曲線のときには、大きく、前記走行目標ラインが曲率半径の小さい曲線のときには、小さくなるように可変に設定することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、車両の直線走行機能と曲線走行機能の両立を図ることができる。
【0015】
また、本発明は、前記建設車両は、ロールで地面を締め固める締固め車両であり、前記予想到達点は、前記ロールの中心点を基準に算出されることを特徴とする。
【0016】
締固め車両の自律走行運転では、ロールによる締固め範囲を正確に管理することが重要となるので、予想到達点をロールの中心点を基準に算出することで、走行後の締固め範囲を高精度で管理できる。
【0017】
また、本発明は、前記目標点の座標データに施工データを紐づけて記憶する紐づけ記憶手段を備えることを特徴とする。
【0018】
一般に自律走行車両は、マップデータから目標点の座標データを自律運転ソフトウェアに読み込んで走行する。したがって、座標データに施工データを紐づけて記憶することで、汎用の自律運転ソフトウェアをほぼそのまま利用して、施工データを施工エリア上に反映できる。
【0019】
また、本発明は、走行目標ラインに設定した目標点に向けてステアリング角度を修正する建設車両の自律走行制御装置であって、前記目標点の座標データに施工データを紐づけて記憶する紐づけ記憶手段を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記施工データは、前記走行目標ラインの軌道データであることを特徴とする。
【0021】
施工データを走行目標ラインの軌道データとすることで、自律走行車両をスムーズに走行させることができる。
【0022】
また、本発明は、転圧輪を振動させて地面を締め固める起振手段と、地面の締固め度を検出する締固め度検出手段と、を車両に備え、前記施工データは、前記起振手段の振動条件データと、前記締固め度検出手段で検出した締固め度と、であることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、車両の自律走行と地盤の締固め管理とを容易に連動させることができ、締固め度の品質の安定と効率化を図ることができる。
【0024】
また、本発明は、前記走行目標ラインを往復走行する場合に、前回走行で記憶した目標点毎の締固め度に応じて、次回走行時に前記振動条件データを変えることを特徴とする。
また、本発明は、前記走行目標ラインを往復走行する場合に、前回走行で記憶した目標点毎の締固め度に応じて、次回走行時に車速を変えることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、容易な演算処理で地盤の締固め管理を行える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、走行目標ラインに対して車両の位置ずれを抑制できる。
また、車両の自律走行と地盤の締固め管理とを容易に連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る自律走行制御装置の構成ブロック図である。
図2】締固め車両の側面図である。
図3】第1実施形態において、締固め車両を平面視した状態での、予想到達点の算出手順を示す説明図である。
図4】第1実施形態において、締固め車両を平面視した状態での、直線の走行目標ラインに対しての修正ステアリング角度の算出手順を示す説明図である。
図5】第1実施形態において、締固め車両を平面視した状態での、曲線の走行目標ラインに対しての修正ステアリング角度の算出手順を示す説明図である。
図6】予想到達点と修正ステアリング角度の算出手順のフロー図である。
図7】第2実施形態において、締固め車両を平面視した状態での、予想到達点の算出手順を示す説明図である。
図8】直線の走行目標ラインに沿って、締固め車両を試験走行させたグラフである。
図9】曲線の走行目標ラインに沿って、締固め車両を試験走行させたグラフである。
図10】第3実施形態に係る自律走行制御装置の構成ブロック図である。
図11】紐づけ記憶手段の構成図である。
図12】軌道データの算出手順を示す説明図である。
図13】施工エリアの平面図であり、1回目の走行が終了した状態を示す。
図14】施工エリアの平面図であり、2回目の走行を始める前の状態を示す。
図15】施工エリアの平面図であり、3回目の走行を始める前の状態を示す。
図16】施工エリアの平面図であり、3回目の走行が終了した状態を示す。
図17】締固め管理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
「第1実施形態」
車両を締固め車両とした形態について説明する。図2において、ダブルドラムローラ(タンデムローラ)71は、ロールでアスファルト路面等を締め固める締固め車両であり、前進および後進での締固め施工が可能である。ダブルドラムローラ71は、転圧輪として前輪側の前ロール72と,後輪側の後ロール73を備えており、車体74の上部に運転席75が配置されている。図示したタイプはアーティキュレート式であり、後ロール73が車体74に軸装され、前ロール72が、車体74にセンターピンCを介して連結したヨーク76に軸装されている。車両の操向制御、すなわちステアリング角度の制御は、例えば図示しない油圧シリンダでセンターピンCを支点として車体74とヨーク76と互いに旋回させることにより行なう。
【0029】
図1において、自律走行制御装置1は、走行目標ラインに設定した目標点に向けて車両のステアリング角度を修正する装置であり、CPUやメモリ等で構成された自動運転制御ユニット4を備えている。自動運転制御ユニット4は、例えば図2に示した運転席75周りに配置されている。
【0030】
自動運転制御ユニット4は、車両情報検出手段5からのセンサー情報に基づいて、車両制御ユニット11に制御信号を送り、車両の自動運転を制御する。車両制御ユニット11は、エンジン、走行油圧系機器、ステアリング機器等である。また、自動運転制御ユニット4は、通信アンテナ12を介して無線通信により図示しないホストコンピュータと接続し、例えば、自己位置の補正データ、自動運転の制御、車両の制御、走行マップ、転圧条件、その他の車両情報のやり取りを行う。
【0031】
車両情報検出手段5は、自己位置検出センサ6と、進行方向検出センサ7と、車両姿勢検出センサ8と、ステアリング角度検出センサ9と、速度検出センサ10と、を備えている。
自己位置検出センサ6は、車両の現在位置を検出するセンサであり、GNSS(全地球航法衛星システム)や、トータルステーション等の測位システムなどが挙げられる。
進行方向検出センサ7は、車両の進行方向(前進方向、後進方向)を検出するセンサであり、GNSSを2つ用いることで正確な進行方向の精度を得ることができる。その他、ジャイロセンサや加速度センサを利用してもよい。
車両姿勢検出センサ8は、車両の傾斜姿勢を検出するセンサであり、傾斜センサの他、ジャイロセンサや加速度センサを利用できる。
【0032】
ステアリング角度検出センサ9は、ステアリング角度θを検出するセンサであり、前記した油圧シリンダに設けたシリンダ位置測定センサでもよいし、センターピンCに設けた回転角度センサ等であってもよい。
速度検出センサ10は、車速Vを検出するセンサであり、例えば走行用油圧モータの回転数を検出するロータリエンコーダである。
【0033】
自動運転制御ユニット4は、予想到達点算出手段2と修正ステアリング角度算出手段3とを備えている。
「予想到達点算出手段2」
予想到達点算出手段2は、速度検出センサ10で検出した車速Vと、ステアリング角度検出センサ9で検出したステアリング角度θとから、図3に示すように、車両の所定時間後の予想到達点Pを算出する。ダブルドラムローラ等の締固め車両では、ロールによる締固め範囲を正確に管理することが重要となるので、車両の位置の基準はロールの位置とすることが好ましい。したがって、車両の予想到達点Pとしてはロールの中心点を基準点として算出することが好ましい。以下、車両の前進時に前ロール72の中心点を基準に予想到達点Pを算出する場合について説明する。
【0034】
図3において、符号Cはアーティキュレート中心点、すなわち図2に示したセンターピンCを示し、符号Fは前ロール72のロール中心点、符号Rは後ロール73のロール中心点を示している。センターピンCとロール中心点Fとの距離をL、センターピンCとロール中心点Rとの距離をLとする。ステアリング角度θは、車両の直進方向線S1と、センターピンCとロール中心点Fとを通る前ロール方向線S2との交差角度であり、前ロール72の軸線S3と後ロール73の軸線S4との交差角度でもある。軸線S3と軸線S4との交差点を回転中心Oとする。
【0035】
今、このステアリング角度θの状態でダブルドラムローラ71が前進している場合、車両はカーブして走行していることとなるから、予想到達点Pは前ロール方向線S2上ではなく、回転中心Oを中心とする前ロール72の曲線軌道S5上に設定する必要がある。曲線軌道S5の回転半径Rは以下のように求められる。
【0036】
先ずステアリング角度θのうちで、センターピンCとロール中心点Fとの間の前側の角度をθとすると、
「θ=k×θ」…式(1)
により角度θを求めることができる。kは、距離Lと距離Lとの比率によって決まる係数である。距離Lと距離Lとが等しい場合には、前側の角度θと後側の角度θとは等しくなる。
回転半径Rは、
「R=L/tan(θ)」…式(2)
により求めることができる。
【0037】
以上のように求めた回転半径Rの曲線軌道S5上に、ロール中心点Fのt秒後の予想到達点Pを設定するにあたっては、
「δ=(V×t)/R」…式(3)
で角度δを算出することにより設定できる。
角度δは、回転中心Oと予想到達点Pとを通る径線S6と、前ロール72の軸線S3との交差角度であり、Vは車速、tは時間である。
具体的には、ロール中心点Fを中心に前ロール方向線S2から径内方向側に「δ/2」の角度で交差する線S7と、曲線軌道S5との交点が予想到達点Pとなる。
【0038】
式(3)から明らかなように、予想到達点Pは車速Vによって変化する。すなわち、車速Vが速いほど予想到達点Pはロール中心点Fから離れた位置に設定される。式(3)における時間tは、ステアリング機構の反応速度、車両の幅寸法、車両の前後長さ寸法、路面状況等によって、適宜に設定される値である。時間tは、固定値とする場合の他、路面状況や回転半径Rの値などに応じて可変となるようにしてもよい。
また、車両の後進の場合は、後ロール73のロール中心点Rを基準点とし、前進時と同様にして算出したδを基に、曲線軌道S8上に予想到達点Pを設定する。
【0039】
「修正ステアリング角度算出手段3」
図4を参照して修正ステアリング角度算出手段3について説明する。
<直線走行の場合>
図4は、車両を直線の走行目標ラインG1に沿って直線状に走行させる場合の説明図である。修正ステアリング角度算出手段3は、予想到達点Pが走行目標ラインG1上の目標点Iに最短距離で向かうように、修正ステアリング角度θexを算出する。
【0040】
走行目標ラインG1には、複数の目標点In-1,I,In+1が間隔をおいて設定されている。各目標点の座標は、例えばGNSS(全地球航法衛星システム)等で取得でき、またはそれらから算出できる。予想到達点Pが、前進方向で最も近い位置にある目標点Iに向かう場合を説明すると、修正ステアリング角度算出手段3は、予想到達点Pと目標点Iとを結ぶ線S9と、車両の直進方向線S1との交差角度を修正ステアリング角度θexとして算出する。そして、センターピンCと予想到達点Pとの間における車両の直進方向線S1に沿う距離LPfを算出するとともに、センターピンCと目標点Iとの間における車両の直進方向線S1に沿う距離LInを算出する。「LPf≧LIn」となったとき、修正ステアリング角度算出手段3は、予想到達点Pが次のIn+1に向かうように、新たに修正ステアリング角度θexを算出する。つまり、予想到達点Pは、或る目標点Iに所定距離だけ近づいたとき次の目標点In+1に向かう。以降これを繰り返し行い、図1において、自動運転制御ユニット4は、修正ステアリング角度θexに基づいて、車両制御ユニット11のステアリング機器にステアリング角度の修正信号を送信する。
【0041】
以上のように、車速Vとステアリング角度θとから車両の所定時間後の予想到達点Pを算出する予想到達点算出手段2と、予想到達点Pが目標点Iに向かうように、修正ステアリング角度θexを算出する修正ステアリング角度算出手段3と、を備える構成とすれば、次のような効果が奏される。
【0042】
車両の所定時間後の予想到達点Pを目標点Iに向かわせるため、車両自体を目標点Iに向かわせる場合に比して、急なステアリング角度の修正が抑えられ、滑らかな車両の走行軌跡を得られる。予想到達点Pは、車速Vを加味した所定時間後の推定点であるため、車速Vの変化に追従して予想到達点Pの位置も変化する。したがって、複雑なフィードフォワード制御を要することなくこれと同等の効果を得ることができ、高精度な自律走行運転を実現できる。
【0043】
ここで、直線の走行目標ラインG1の場合、予想到達点Pを、常に前進方向で最も近い位置の目標点Iに向かわせるようにすると、修正ステアリング角度θexの修正度合いが比較的大きくなって、若干ではあるが、走行目標ラインG1に対して車両の直線軌道がジグザグ状になりやすいという問題がある。理由としては、実際の車両の進行方向と、進行方向検出センサ7で検出した進行方向との誤差、路面状況による負荷変動に伴うステアリング機器の修正速度の変化等が考えられる。仮に、目標点I同士の間隔を大きくすれば、予想到達点Pは遠くの目標点Iの1点をしばらく目指すことになるので、ジグザグ状の軌道は均されるものと思われる。しかし一方で、目標点I同士の間隔を大きくとると、或る目標点I同士間の車両の直線軌道と、次の目標点I同士間の車両の直線軌道との間にずれを生じるおそれがある。
【0044】
この問題に対して、予想到達点Pを中心に目標円Mを設定し、修正ステアリング角度算出手段3に、予想到達点Pが目標円Mよりも外側の目標点Iに向かうように修正ステアリング角度θexを算出させる。目標円Mは円弧である場合も含む。図4では、予想到達点Pを中心とする目標半径ROvの目標円Mを設定し、予想到達点Pよりも前方に位置する目標点Iとして、目標円Mの内側に目標点I,In+1,Im-1が位置し、目標円Mの外側に目標点I,Im+1が位置している。修正ステアリング角度算出手段3は、目標点I,In+1,Im-1についてはスキップし、目標円Mの外側の目標点I,Im+1のうちで予想到達点Pに最も近い目標点Iに向かうように、予想到達点Pと目標点Iとを結ぶ線S10と、車両の直進方向線S1との交差角度を修正ステアリング角度θexとして算出する。予想到達点Pと目標点Iとの距離をLImとすると、「ROv≧LIm」となったとき、修正ステアリング角度算出手段3は、予想到達点Pが次のIm+1に向かうように、新たに修正ステアリング角度θexを算出する。以降これを繰り返す。
目標半径ROvの値は、ステアリング機構の反応速度、車両の幅寸法、車両の前後長さ寸法、路面状況等によって、適宜に設定される値である。
【0045】
以上のように、予想到達点Pを目標円Mよりも外側の目標点Iに向かわせれば、予想到達点Pは遠くの目標点Iを目指すことになるので、直近の目標点Iに向かう場合に比して、急なステアリング角度の修正が抑えられ、直線の走行目標ラインG1に沿って滑らかな直線軌道で走行する。目標点I同士の間隔を大きくする必要がないので、或る目標点I同士間の車両の直線軌道と、次の目標点I同士間の車両の直線軌道との間にずれもほとんど生じない。
【0046】
また、目標円Mを設定する構成は、車両の向きにかかわらず、目標半径ROvと前記距離LImとの比較だけで、予想到達点Pを容易に次の目標点Iへ向かわせることができ、複雑な演算処理を要しない。目標円Mは、車速Vに追従して位置が変化する予想到達点Pを中心点としているので、目標円Mの位置も車速Vに追従して変化する。したがって、複雑なフィードフォワード制御を要することなくこれと同等の効果を得ることができ、高精度な自律走行運転を実現できる。
【0047】
<曲線走行の場合>
図5を参照して車両を曲線の走行目標ラインG2に沿って曲線状に走行させる場合について説明する。曲線の走行目標ラインG2には、複数の目標点In+1,I,In-1が間隔をおいて設定されている。曲線走行においても、予想到達点算出手段2、修正ステアリング角度算出手段3により修正ステアリング角度θexを算出する処理は直線走行と同じである。曲線走行において異なる点は、目標円Mを設定した際、直線走行の場合よりも目標半径ROvの値を小さくする点である。つまり、目標半径ROvは、図4のように走行目標ラインG1が直線のときには、大きく、図5のように、走行目標ラインG2が曲線のときには、小さくなるように可変に設定されている。
【0048】
仮に、曲線の走行目標ラインG2の場合で目標半径ROvの値を大きくとると、予想到達点Pが、大きな目標半径ROvよりもさらに遠い目標点Iを目指すことになるので、車両が走行目標ラインG2に沿って曲線状に走行せず、直線状に走行してしまう。したがって、曲線の走行目標ラインG2の場合には、目標半径ROvの値を目標点I同士の間隔よりも小さくして、図5のように、予想到達点Pを、目標円Mよりも外側であって前進方向で最も近い位置の目標点Iに向かわせる。「LPf≧LIn」または「ROv≧LIm」となったとき、予想到達点Pは次のIn+1に向かう。以上により、曲線の走行目標ラインG2に対する車両の追従性が向上する。曲線走行の場合はもともと車両のステアリング角度が大きいこともあり、たとえ急なステアリング角度の修正があったとしても、直線の走行目標ラインG1ほど走行軌跡が乱れることもない。
【0049】
なお、走行目標ラインG2の曲率半径Rが直線状のように大きい場合などには、図4の直線走行のときのように、目標半径ROvの値を大きくすればよく、曲率半径Rの値に合わせて目標半径ROvを変化させればよい。また、場合により、走行目標ラインが直線または曲率半径が大きいときには、目標円Mの機能をONにして予想到達点Pを遠くの目標点Iに向かわせ、走行目標ラインの曲率半径が小さいときには、目標円Mの機能をOFFにすることで予想到達点Pを直近の目標点Iに向かわせるようにしてもよい。
【0050】
以上に説明した予想到達点Pと修正ステアリング角度θexの算出フローを図6に示す。ステップST1で、予想到達点算出手段2が進行方向の予想到達点Pを算出し、ステップST2で、自動運転制御ユニット4が、次の目標点Iまでの走行目標ラインが直線(直線に近い曲線半径の大きな曲線も含む)であるか否かを判定する。「直線」か「曲線」かの判断は、予め目標点I毎に記憶してあるものを読み込む態様でもよいし、走行しながら得る目標点I間の傾き具合から判断する態様でもよい。
【0051】
ステップST2において、YESの場合はステップST3で目標半径ROvを大きくし、NOの場合はステップST4で目標半径ROvを小さくする。次いで、ステップST5で、修正ステアリング角度算出手段3が、予想到達点Pが目標円Mの外側の目標点Iに向かうように、修正ステアリング角度θexを算出する。
【0052】
「第2実施形態」
第1実施形態では、対象車両を2つのロールを備えたダブルドラムローラとしたが、第2実施形態では、前輪または後輪のどちらか一方のみにロールを備えたシングルドラムローラとしている。シングルドラムローラは、土の締固めなど土工用に多く用いられる締固め車両である。、
【0053】
図7にシングルドラムローラ81を模式的に示す。シングルドラムローラ81は、前輪にロール82を備え、後輪に一対のタイヤ83を備えており、締固めに寄与するのはロール82のみである。このシングルドラムローラ81において、仮にタイヤ83の軸中心点TRを基準点として後進の予想到達点を算出すると、予想到達点が、締固めに寄与するロール82の曲線軌道S5から外れやすくなる。既述したように、締固め車両では、ロールによる締固め範囲を正確に管理することが重要であり、車両の位置の基準はロールの位置とすることが好ましい。したがって、シングルドラムローラ81の場合には、前進の予想到達点Pも後進の予想到達点Pr´も、同じロール82のロール中心点Fを基準点として算出することが好ましい。これにより、前進の予想到達点Pと後進の予想到達点Pr´とは共に、ロール82の曲線軌道S5上に設定されることとなる。それ以外の予想到達点Pと予想到達点Pr´の算出方法は第1実施形態と同様であり、以降の修正ステアリング角度算出手段3の処理も第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0054】
「実施例」
図8図9は、本発明の予想到達点算出手段2および修正ステアリング角度算出手段3を実施して車両を走行させた試験結果のグラフである。図8の試験走行では、土工用シングルドラムローラを2km/hの走行速度で、アスファルト路面の平坦部を前進モードで直線走行させた。図9の試験走行では、土工用シングルドラムローラを3km/hの走行速度で、土面の凹凸のある不陸部を前進モードで曲線走行させた。
【0055】
図8に示すように、車両走行軌跡は、最大にずれた突出点Qでも走行目標ラインG1から10cm程度であり、全体が概ね10cm以内のずれに収まっている。したがって、直線の走行目標ラインG1に対して、高精度な走行軌跡を得られることが確認できた。曲線走行においても、図9に示すように、走行目標ラインG2で最も曲率の小さい部分で、最大のずれ幅Uが20cm程度に収まっている。図9の試験は、土面の凹凸のある不陸部での走行であり、車両の姿勢が大きく傾斜することも考慮すれば、曲線の走行目標ラインG2に対しても、高精度な走行軌跡を得られることが確認できた。
【0056】
「第3実施形態」
図10において、第3実施形態の自律走行制御装置1Aは、自動運転制御ユニット4に紐づけ記憶手段20を備えている。その他の第1実施形態の図1と同じ構成要素については、同じ符号を付してその説明は省略する。なお、第3実施形態は紐づけ記憶手段20に特徴を有するものであり、走行目標ラインに設定した目標点に向けてステアリング角度を修正する機能を有していれば、必ずしも予想到達点算出手段2と修正ステアリング角度算出手段3とを備える必要はない。
【0057】
図11に示すように、紐づけ記憶手段20は、(x,y)座標からなる目標点の座標データD1に、施工データD2を紐づけて記憶する。座標データD1は、例えばGNSS(全地球航法衛星システム)等で取得した、または取得したデータから算出したものを利用できる。施工データD2とは、締固め施工に影響する地盤側のデータまたは車両側のデータであり、例えば、軌道データD21、前後進データD22、車速データD23が挙げられる。
【0058】
軌道データD21は、目標点の走行軌道形状に関するデータである。例えば直線軌道であるか曲線軌道であるか、また曲線軌道の場合の曲率等がデータとして記憶される。
軌道データD21は、
(1)目標点毎に、直線軌道であるか曲線軌道であるかを予め記憶しておく。
(2)走行時にリアルタイムで計測して記憶する。
のどちらでもよい。初回走行時に(1)で予め記憶した軌道データD21に基づいて走行させ、そのときに(2)でリアルタイムに計測した軌道データD21を上書きし、座標データD1に紐づけて記憶させれば、より正確な走行軌道を得られる。(2)の計測方法としては、例えば、図12に示すように、目標点In-1-I間の軌道と目標点I-In+1間の軌道との傾きθaから、軌道が直線か曲線かを正確に知ることができる。
また、曲率半径が極めて大きい曲線の場合には、直線として記憶させてもよい。すなわち、曲率半径が閾値以上である場合には、一律に直線として記憶させる。
【0059】
図11において、前後進データD22は、目標点において車両を前進状態にするか後進状態にするかのデータである。通常、締固め車両は締固め範囲を往復走行させるので、前後進データD22は、車両通過毎にデータが上書きされて記憶される。
車速データD23は、目標点での車両の速度のデータである。車速データD23は各目標点で固定値としてもよいし、車両通過毎に速度を変え、データが上書きされて記憶されるようにしてもよい。
【0060】
車両が、転圧輪(ロール)を振動させて地面を締め固める起振手段22と、地面の締固め度を検出する締固め度検出センサ21を備えた振動締固め車両である場合、施工データD2としては、振動条件データD24、締固め度データD25も含むことができる。
起振手段22は、ロールに内蔵された起振装置等であり、公知のものでよい。
締固め度検出センサ21は、ロール付近に取り付けた加速度センサ等からなり、地盤からの応答加速度信号を取得することで地盤の締固め度を検出する。
振動条件データD24は、目標点で振動をONにするかOFFにするか、または振動力を「強」にするか「弱」にするか等のデータである。
締固め度データD25は、締固め度検出センサ21で検出した締固め度Wのデータである。
【0061】
振動条件データD24および締固め度データD25を利用した締固め管理手順の一例を説明する。図13図16は、複数列の締固めエリアを有する施工エリアの上面図である。左端の締固めエリアAには、複数の目標点I~Iが設定されている。1回目走行における振動条件データD24は例えば全て振動力を「強」としておき、車速は一定の中速とする。振動締固め車両91が1回目の走行を終えたとき、各目標点I~Iの座標データD1には、1回目の走行時に所得した締固め度データD25等の施工データD2が紐づけされて記憶される。
【0062】
自動運転制御ユニット4(図10)は、各目標点I~Iの締固め度データD25が所定値に達しているか否かを判定する。その結果、目標点Iの締固め度データD25が所定値に達しており、目標点I,Iでは締固め度が所定値よりも少し不足し、目標点I,Iでは締固め度が所定値よりも多く不足していると仮定する。自動運転制御ユニット4は、図14に示すように、目標点Iではこれ以上の締固めは必要無しと判断して、振動条件データD24で振動をOFFにし、目標点I,Iでは締固め度が少し不足しているので、振動力を「弱」に変更し、目標点I,Iでは締固め度が多く不足しているので、振動力を「強」のままとし、振動条件データD24を上書きする。この上書きされた振動条件データD24を基にして2回目の走行を行う。2回目の走行時において、締固め度検出センサ21からの締固め度Wのデータにより、締固め度データD25は上書きされる。
【0063】
2回目の走行終了後も同様に、各目標点I~Iの締固め度データD25の判定が行われる。目標点I~Iでは締固め度データD25が所定値に達し、目標点Iでは締固め度が所定値よりも多く不足していると仮定すると、図15に示すように、目標点I~Iでは振動をOFFにし、目標点Iでは振動力を「強」のままとし、さらに車速を「低速」にして振動条件データD24を上書きする。車速を低くすることで、振動ロールの滞留時間が長くなるので、その目標点で多くの振動力を与えることができる。この条件で3回目の走行を行う。
【0064】
3回目の走行終了後の判定の結果、目標点I~Iの全てで締固め度データD25が所定値に達していたら、左端の締固めエリアAの締固め施工が完了したものとし、図16に示すように、振動締固め車両91は隣りのレーンに移動して同様の手順で締固め施工を行う。
【0065】
図17は、締固め管理の手順を示すフロー図である。ステップST11で、自動運転制御ユニット4は、設定した目標点の座標データD1を含む走行データと、施工データD2とを読み込み、ステップST12で自動運転を開始する。所定の締固めエリアに達したら、ステップST13で振動による締固めを開始し、ステップST14で、目標点の座標データD1に締固め度データD25を紐づけて記憶する。ステップST15で、締固め度データD25が所定値に達したか否かの判定を行い、NOの場合は、ステップST16で振動条件データD24または車速を最適値に変更し、ステップST13に戻る。ステップST15でYESの場合は、ステップST17で次の締固めエリアに移動する。なお、所定回数の走行の後でも、目標点が設定値以上に締め固まらない場合は、そこで一旦走行を終了して、その締固め度を記録管理しておき、後で別途施工処理するようにしてもよい。
【0066】
以上のように、目標点の座標データD1に施工データD2を紐づけて記憶する紐づけ記憶手段20を備えることにより、次のような効果が奏される。
自律走行車両において、地盤の締固め度を人手によらず自動で管理できる。
また、一般に自律走行車両は、マップデータから目標点の座標データを自律運転ソフトウェアに読み込んで走行する。つまり、自律運転ソフトウェアのプログラム自体には目標点の座標データは含まれていないのが普通である。したがって、座標データD1に施工データD2を紐づけて記憶することで、汎用の自律運転ソフトウェアをほぼそのまま利用して、施工データを施工エリア上に反映できる。
【0067】
施工データD2を走行目標ラインの軌道データD21とすることで、自律走行車両をスムーズに走行させることができる。
また、起振手段22と締固め度検出センサ21を備えた振動締固め車両において、施工データD2を、起振手段22の振動条件データD24と、締固め度検出センサ21で検出した締固め度Wからなる締固め度データD25とすれば、車両の自律走行と地盤の締固め管理とを容易に連動させることができ、締固め度の品質の安定と効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 自律走行制御装置
2 予想到達点算出手段
3 修正ステアリング角度算出手段
4 自動運転制御ユニット
20 紐づけ記憶手段
21 締固め度検出センサ
22 起振手段
C センターピン
D1 座標データ
D2 施工データ
G1 走行目標ライン(直線)
G2 走行目標ライン(曲線)
I 目標点
M 目標円
Ov 目標半径
θex 修正ステアリング角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17