(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】食品包装
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20220912BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220912BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20220912BHJP
B65D 85/34 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B65D85/50 120
B32B27/00 H
B32B27/34
B65D85/34
(21)【出願番号】P 2018514453
(86)(22)【出願日】2016-09-15
(86)【国際出願番号】 GB2016052887
(87)【国際公開番号】W WO2017046595
(87)【国際公開日】2017-03-23
【審査請求日】2019-08-30
(32)【優先日】2015-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】503261487
【氏名又は名称】ステパック エル.エー.,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴーイマン, アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ワード, ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】トゥンシェル, イヴォ
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-316942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0142310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0121054(US,A1)
【文献】米国特許第05698249(US,A)
【文献】特表2005-509564(JP,A)
【文献】特表平09-506129(JP,A)
【文献】米国特許第06190710(US,B1)
【文献】国際公開第2013/121622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 85/50
B32B 27/00
B32B 27/34
B65D 85/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮農産物の包装に適する積層包装用フィルムであって、第1のポリマーフィルム層と、第1のポリマーフィルム層の第1の表面に接着した第2のポリマーフィルム層とを含み、
第1のポリマーフィルム層が、ポリアミドを含み、210℃以上のシール温度を有し、
第2のポリマーフィルム層が、第1のポリマーフィルム層と組成上異なり、5μm以下の厚さを有し、205℃以下のシール温度を有し、
積層包装用フィルムが、少なくとも1日当たり30gm
-2の水蒸気透過速度を有し、
第2のポリマーフィルム層が、
(i)PA66/69/610/6Iなどのマルチポリアミドと任意選択的に組み合わせた、PA6/66、PA6/12などのコポリアミド;
又は
(i
i)PS(ポリスチレン)又はHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)と任意選択的にブレンドされた、一又は複数のスチレンコポリマー、例えば、SBS(スチレンブタジエンスチレンコポリマー)、SBC(スチレンブタジエンコポリマー)、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレン)、SEPS(スチレンエチレンプロピレンスチレン)、SIS(スチレンイソプレンコポリマー)からなる群から選択される一又は複数のスチレンコポリマー
;
を含む、積層包装用フィルム。
【請求項2】
少なくとも1日当たり30gm
-2の水蒸気透過速度がASTM E96に準拠して、23℃及び50%の相対湿度で決定される、請求項1に記載の積層包装用フィルム。
【請求項3】
第1のポリマーフィルム層が、ポリカプロラクタムを含む、請求項1又は2に記載の積層包装用フィルム。
【請求項4】
第1のポリマーフィルム層が、2つ以上の副層を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の積層包装用フィルム。
【請求項5】
第2のポリマーフィルム層が、200℃以下のシール温度を有する、請求項1から4の何れか一項に記載の積層包装用フィルム。
【請求項6】
第2のポリマーフィルム層がPA6/66とPA66/69/610/6Iのブレンドを含む、請求項1に記載の積層包装用フィルム。
【請求項7】
第2のポリマーフィルム層がSBSを含む、請求項1に記載の積層包装用フィルム。
【請求項8】
生鮮農産物を包装するための、請求項1から7の何れか一項に記載の積層包装用フィルムの使用。
【請求項9】
生鮮農産物をバルク包装するための、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項1から7の何れか一項に記載の積層包装用フィルムによって包まれた生鮮農産物を含み、下側及び上側を有する生鮮農産物の包装体であって、積層包装用フィルムが、包装体の下側に沿って延びる細長いシールによってシールされ、
細長いシールが、2MPaから20MPaの範囲のシール強度を有する、生鮮農産物の包装体。
【請求項11】
バルクの生鮮農産物の包装体である、請求項10に記載の生鮮農産物の包装体。
【請求項12】
少なくとも2kgの生鮮農産物を含む、請求項11に記載の生鮮農産物の包装体。
【請求項13】
生鮮農産物が、包装用フィルムの内側にある容器中に保持されている、請求項10から12の何れか一項に記載の生鮮農産物の包装体。
【請求項14】
積層包装用フィルムが、生鮮農産物を包むように適合される1枚の包装用フィルムである、請求項10から13の何れか一項に記載の生鮮農産物の包装体。
【請求項15】
細長いシールが、包装体の下側の片側から、包装体の下側の反対側まで、実質的に完全に延びている、請求項10から14の何れか一項に記載の生鮮農産物の包装体。
【請求項16】
細長いシールが、包装体の下側の実質的に中心線に沿って延びている、請求項10から15の何れか一項に記載の生鮮農産物の包装体。
【請求項17】
細長いシールが、フィンシールである、請求項10から16の何れか一項に記載の生鮮農産物の包装体。
【請求項18】
生鮮農産物をフローパックして、請求項10から
17の何れか一項に記載の生鮮農産物の包装体を形成することを含む、生鮮農産物の包装方法。
【請求項19】
第1の層を形成するための第1のポリマー、及び第2の層を形成するための第2のポリマーを押し出すことと、第1及び第2のポリマーを積層フィルムに成形することとを含む、請求項1から7の何れか一項に記載の積層包装用フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮農産物用の包装、具体的には、包装用フィルムに包まれた生鮮農産物を含む生鮮農産物の包装体、生鮮農産物を包装する方法、及び生鮮農産物の包装に適する積層包装用フィルムに関する。本発明は、生鮮農産物のバルク包装に特に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
低いO2及び高いCO2濃度は、多くの生鮮農産物品目の呼吸数を減少させ、エチレン(エイジング及び熟成方法の原因となる植物ホルモン)を阻害し、(CO2濃度が、十分に高い場合)微生物の増殖を阻害する。したがって、低いO2及び高いCO2濃度を維持することは、生鮮農産物の保存期間を増加させることができる。O2及びCO2レベルの制御は、生鮮農産物用の平衡ガス置換包装の主要な特徴である。最適なO2及びCO2は、生鮮農産物次第で変動する。
【0003】
さらに、包装体内側の水蒸気の蓄積、及び具体的には、生鮮農産物の表面上の結露が、微生物による腐敗への感受性を向上し得るため、生鮮農産物の包装体内側の水蒸気濃度を制御することは、重要である。いくつかの生鮮農産物品目は、余分な水分に特に感受性を有し、そこでこのような蓄積を回避し得る包装を供することが重要である。したがって、生鮮農産物の多くの品目にとって、高い水蒸気透過速度(WTVR)を示す包装用フィルムを使用することは、包装の外への水蒸気の拡散を促進し、それにより微生物による腐敗のリスクを低減させるため有益である。
【0004】
米国特許第6190710号において記載されているように、ポリアミドフィルム、例えばナイロン-6又はナイロン-66などは、多くの生鮮農産物品目に対して適切なWVTRをもたらす。さらに、米国特許第6190710号は、包装に使用されるポリアミドフィルムがどのように穿孔され、包装体内部の雰囲気と取り巻く環境の間で、O2及びCO2拡散の制御をもたらすことができるかについて記載している。典型的には、ポリアミドフィルムは、ポリオレフィンフィルムより有意に高いWVTRをもたらす。
【0005】
しかしながら、WVTRの高いガス置換包装に典型的に用いられるポリアミドフィルムの欠点は、高い融点及び狭いシール温度範囲を特徴とすることである。このことは、このようなフィルムでのシールを困難にし、自動包装方法、例えばフローラップ方法を難題化し得る。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、積層包装用フィルムを提供することによって、上記の問題を克服、又は低減し得ることを見出した。具体的には、本発明者らは、多くの生鮮農産物用途に対して、必要な高いWVTRをもたらすが、改善されたシール特性を有する、一連の積層包装用フィルムを作製した。以前は、このような用途に対して、適切なWVTRと低いシール温度の組合せを達成することが困難であった。
【0007】
したがって、第1の好ましい態様において、本発明は、生鮮農産物の包装に適する積層包装用フィルムであって、第1のポリマーフィルム層と、第1のポリマーフィルム層の第1の表面に接着した第2のポリマーフィルム層とを含み、
第1のポリマーフィルム層が、ポリアミドを含み、210℃以上のシール温度を有し、
第2のポリマーフィルム層が、第1のポリマーフィルム層と組成上異なり、5μm以下の厚さを有し、205℃以下のシール温度を有し、
少なくとも1日当たり30gm-2の水蒸気透過速度を有する、
積層包装用フィルムを提供する。
【0008】
積層包装用フィルムは、第1のポリマーフィルム層の第2の表面に接着した第3のポリマーフィルム層をさらに含むことができ、第3のポリマーフィルム層は、第1のポリマーフィルム層と組成上異なり、5μm以下の厚さを有し、200℃以下のシール温度を有する。第2のポリマーフィルム層、及び第3のポリマーフィルム層は、同じ材料から構成される。第3の層は、小売包装用途、例えば、まちを有する袋の作製において、特に適している。いくつかの実施態様において、第3の層が存在しない方が好ましい場合がある。
【0009】
第2の層は、第1の層に直接接着することができる(すなわち、中間層なし)。第3の層は、第1の層に直接接着することができる(すなわち、中間層なし)。包装用フィルムは、第1、第2、及び任意選択的に第3のポリマーフィルム層から本質的になり得る。
【0010】
驚くべきことに、本発明者らは、第2の(及び任意選択的に第3の)ポリマーフィルム層の、第1のポリマーフィルム層への接着は、第1の層のWVTRを実質的に低下させない、したがって、本発明は、いくつかの農産物の包装に必要とされる、所望の低いシール温度と高いWVTRの組合せを提供することを見出した。
【0011】
本発明のフィルムは、生鮮農産物の連続包装のためのフローラップ方法において、特に有用である。したがって、第2の好ましい態様において、本発明は、生鮮農産物の包装に関する第1の態様による積層包装用フィルムの使用を提供する。例えば、積層包装用フィルムは、生鮮農産物の包装に関する連続(例えば、自動)方法、例えばフローラップ方法において使用することができる。
【0012】
ガス置換包装による保存期間の延長が特に重要である1つの領域は、最初の栽培業者/荷造業者から最終の小売業者までのサプライチェーンにある。典型的には、生鮮農産物は、栽培業者/荷造業者から小売業者までの出荷品の一部又はすべてに対して、バルクで包装されるであろう。したがって、バルクガス置換包装は、本分野における特に関心のある領域である。小売業者又は中間荷造業者による、バルク包装の取り除きの容易さは、重要な検討事項である。
【0013】
従来から、生鮮農産物のバルクガス置換包装は、生鮮農産物のバッチを、
図1に示されるように、シールするために束ねられるガス置換包装用フィルムで作製された、大きな袋に入れることを伴っていた。
【0014】
本発明者らは、生鮮農産物のバルクでの包装のために、フロー包装方法を使用することにより、的確な解決策を提供できることを見出した。具体的には、本発明者らは、生鮮農産物を包装するためにフロー包装方法を使用することにより、密封されているが、包装の取り除きのためにシールを容易に破ることができるように十分に低いシール強度を有する、細長いシールを下側に有する、生鮮農産物の包装体が形成され得ることを見出した。したがって、第3の好ましい態様において、本発明は、包装用フィルムによって包まれた生鮮農産物を含み、下側及び上側を有する生鮮農産物の包装体であって、包装用フィルムが、包装体の下側に沿って延びる細長いシールによってシールされ、包装用フィルムを生鮮農産物の包装体の上側から持ち上げた場合、細長いシールは、1回の持ち上げ動作で引き裂かれて、生鮮農産物から包装用フィルムを取り除けるようなシール強度を有する、生鮮農産物の包装体を提供する。典型的には、生鮮農産物の包装体は、ガス置換された生鮮農産物の包装体である。
【0015】
代替として、細長い引き裂き線を包装体の下側に提供することができ、引き裂き線が、包装用フィルムが、生鮮農産物の包装体の上側から持ち上げられる場合、1回の持ち上げ動作で引き裂き線が引き裂かれ、生鮮農産物から包装用フィルムが取り除かれ得るような強度を有する。引き裂き線は、包装用フィルムの切れ目(例えば、レーザースコアリング)によって、又は穿孔(例えば、レーザー穿孔)によって提供することができる。この代替において、シールの位置及び強度は特に限定されない。
【0016】
このようにして生鮮農産物の包装は、フィルムの使用量及び人件費を低減し、従来のバルクガス置換包装の魅力的な代替を提供する。
【0017】
本発明の第1の態様のフィルムは、これらのシール特性が、1回の持ち上げ動作で、フィルムの取り除きができる適切なシール強度を有する細長いシールを提供することに適しており、フィルムの水蒸気透過速度が、水に感受性を有する農産物の包装に適しているので、第3の態様において使用される包装用フィルムとして特に適している。第1の態様によるフィルムが使用される場合、細長いシール又は細長い引き裂き線は、あるいは包装体の上側表面に、又は包装体の一又は複数の側に沿って(例えば、包装体の周囲を囲むように)位置することができる。しかしながら、これはあまり好ましくない。
【0018】
さらなる好ましい態様において、本発明は、本発明の第3の態様による生鮮農産物の包装体を形成するために、生鮮農産物をフローパックすることを含む、生鮮農産物の包装方法を提供する。
【0019】
さらなる好ましい態様において、本発明は、第1の層を形成するための第1のポリマー、及び第2の層を形成するための第2のポリマーを押し出し、第1及び第2のポリマーを積層フィルムに成形することを含む、第1の態様による積層包装用フィルムの製造方法を提供する。典型的には、第1及び第2のポリマーは、同時に押し出される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来から使用される典型的なバルク包装の配置を示す写真である。
【
図2】本発明の実施態様による生鮮農産物の包装体を提供するための、生鮮農産物を包装する方法を示す図である。
【
図3】本発明の実施態様による生鮮農産物の包装体を提供するための、生鮮農産物を包装する方法を示す図である。
【
図4】本発明の実施態様による生鮮農産物の包装体を提供するための、生鮮農産物を包装する方法を示す図である。
【
図5】本発明の実施態様による生鮮農産物の包装体を提供するための、生鮮農産物を包装する方法を示す図である。
【
図6】本発明の実施態様による生鮮農産物の包装体を提供するための、生鮮農産物を包装する方法を示す図である。
【
図7】本発明の実施態様による生鮮農産物の包装体からの包装用フィルムの取り除きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい及び/又は任意選択の特徴をこれから記載する。本発明の任意の態様は、特に前後関係によって要求されない限り、本発明の任意の他の態様と組み合わせることができる。任意の態様の好ましい及び/又は任意選択の特徴の何れかを、特に前後関係によって要求されない限り、単独で又は組み合わせて、本発明の任意の態様と組み合わせることができる。
【0022】
積層包装用フィルム
第1のポリマーフィルム層は、ポリアミドを含む。典型的には、第1のポリマーフィルム層は、第2の(及び任意選択的な第3の)ポリマーフィルム層とは別に測定される場合、少なくとも1日当たり30gm-2の水蒸気透過速度を有する。第1の層は、第2の(及び任意選択的な第3の)ポリマーフィルム層とは別に測定される場合、少なくとも1日当たり50gm-2、少なくとも1日当たり70gm-2、少なくとも1日当たり100gm-2、少なくとも1日当たり120gm-2の水蒸気透過速度を有することができる。本発明において、最大水蒸気透過速度は、特に限定されないが、1日当たり200gm-2以下、又は1日当たり160gm-2以下であってもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、水蒸気透過速度(WVTR)とは、ASTM E96に準拠して、23℃、50%の相対湿度で決定される水蒸気透過速度を意味する。
【0024】
ポリマーフィルムの水蒸気透過速度は、出典明示によりその全体が本明細書に援用され、具体的には、ポリマーフィルムの水蒸気透過速度を調節する手順を記載及び限定する目的で、米国特許第6190710号において記載されているように、例えば、熱処理すること、又はフィルムを配向することによって調節することができる。
【0025】
典型的には、第1のポリマーフィルム層は、少なくとも5μm、より好ましくは少なくとも10μm、少なくとも15μm、又は少なくとも18μmの厚さを有する。第1のポリマーフィルム層は、30μm以下、又は25μm以下の厚さを有する。
【0026】
第1のポリマーフィルム層は、一緒になって、第1のポリマーフィルム層を形成する、2つ以上の副層から構成することができる。副層は、お互いに同一の組成を有してもよく、又は副層の一又は複数は、異なる組成を有してもよい。例えば、副層の一又は複数は、下記により詳細に記載されるように、添加剤(複数可)を含むことができる。副層の一又は複数は、実質的に添加剤を含まなくてもよい。典型的には、すべての副層は、同じポリアミドを含む。
【0027】
典型的には、第1のポリマーフィルム層は、PA6(ポリカプロラクタム)を含む。第1の層は、EVA(ポリ(エチレンビニルアセテート))、EBA(ポリ(エチレンブチルアクリレート))及び/又はEMA(ポリ(エチルメチルアクリレート))と組み合わせて、PA6を含むことができる。第1の層は、積層包装用フィルムの総重量に対して、EVA、EBA及び/又はEMAの合計で少なくとも1重量%、例えば、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%を含むことができる。第1の層は、積層包装用フィルムの総重量に対して、EVA、EBA及び/又はEMAの合計で少なくとも85重量%以下、例えば、70重量%以下、又は50重量%を含むことができる。EVA、EBA及び/又はEMAの添加は、第1のポリマーフィルム層の水蒸気透過速度の操作を可能にする。典型的には、これらのポリマーの添加は、水蒸気透過速度を低減させる傾向がある。
【0028】
第1のポリマーフィルム層は、210℃以上のシール温度を有する。例えば、第1の層は、215℃以上、又は220℃以上のシール温度を有する。本発明において、最高シール温度は、特に限定されないが、典型的には、300℃以下、又は250℃以下である。例えば、PA6は、220-245℃のシール温度を有する。
【0029】
本明細書で使用される場合、シール温度という用語は、ヒートシール装置において、熱と圧力を受ける際、当該の層が十分に溶融して、同じ組成物の別の層と融着し、密封シールを形成する、最低温度であることが意図されている。シール温度は、実験室ヒートシーラーを使用して、ASTM F2029に準拠して、一定の圧力及びシール時間で、測定することができる。圧力は、0.05MPaから0.7MPa(例えば、0.5MPa)の範囲であってもよく、シール時間は、0.15秒から0.5秒(例えば、0.3秒)の範囲であってもよい。シール温度は、温度の範囲全体にわたって、例えば、150℃から300℃又は250℃で決定することができる。
【0030】
典型的には、第2のポリマーフィルム層(第1のポリマーフィルム層とは別に測定される場合)は、第1の層(第2の層とは別に測定される場合)の水蒸気透過速度より低い水蒸気透過速度を有する。例えば、第2の層の水蒸気透過速度は、第1層の水蒸気透過速度、例えば、少なくとも1日当たり20、少なくとも40、又は少なくとも50gm-2よりも低い、少なくとも1日当たり10gm-2であってもよい。
【0031】
第2の層の水蒸気透過速度は、(第1のポリマーフィルム層とは別に測定される場合)典型的には、1日当たり100gm-2以下、例えば1日当たり80gm-2以下、1日当たり60gm-2以下、又は1日当たり50gm-2以下である。第2の層の水蒸気透過速度は、少なくとも1日当たり10gm-2、少なくとも1日当たり20gm-2、少なくとも1日当たり30gm-2、又は少なくとも1日当たり50gm-2であってもよい。
典型的には、第2のポリマーフィルム層は、5μm以下、より好ましくは4μm以下、3μm以下、又は2μm以下の厚さを有する。典型的には、第2のポリマーフィルム層は、少なくとも0.53μm、又は少なくとも0.8μmの厚さを有する。
【0032】
第2のポリマーフィルム層は、一緒になって、第2のポリマーフィルム層を形成する、2つ以上の副層から構成することができる。副層は、お互いに同一の組成を有してもよく、又は副層の一又は複数は、異なる組成を有してもよい。例えば、副層の一又は複数は、下記により詳細に記載されるように、添加剤(複数可)を含むことができる。副層の一又は複数は、実質的に添加剤を含まなくてもよい。典型的には、すべての副層は、同じポリマーを含む。いくつかの実施態様において、第2のポリマーフィルム層は、単一層から形成される(すなわち、副層を含まない)ことが、好ましい場合がある。
【0033】
第2のポリマーフィルム層は、205℃以下のシール温度を有する。例えば、第2の層は、200℃以下、195℃以下、190℃以下、185℃以下、180℃以下、175℃以下、又は165℃以下のシール温度を有することができる。本発明において、最低シール温度は、特に限定されないが、典型的には、100℃以上、125℃以上、又は140℃以上である。特に適切な範囲は、165-195℃、又は135-200℃である。
【0034】
第2のポリマーフィルム層が、広い範囲のシール温度を有する場合は、特に有利であり、密封シールは、様々な温度の範囲で達成し得ることを意味するが、このことは、異なるフローパック装置におけるフィルムの使用をより簡単にし、密封シールをより簡単に、迅速に得るので、機械の処理量を向上させる。
【0035】
第2のポリマーフィルム層は、
(i)PA66/69/610/6Iなどのマルチポリアミドと任意選択的に組み合わせた、PA6/66、PA6/12などのコポリアミド;
(ii)例えばPA6(ポリカプロラクタム)、PA66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、PA12(ポリドデカノラクタム)、PA69(ポリヘキサメチレンアゼラアミド)、PA610(ヘキサメチレンセバカミド)、PA11(ポリ(11-アミノウンデカノアミド)、PA612ポリ(ヘキサメチレンドデカノアミド)、PA6/66、PA6/12、及びPA66/69/610/6Iからなる群から選択される、2つ以上のポリアミド(ホモ、コ、又はマルチポリアミド)のブレンド;
(iii)PS(ポリスチレン)又はHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)と任意選択的にブレンドされた、一又は複数のスチレンコポリマー、例えば、SBS(スチレンブタジエンスチレンコポリマー)、SBC(スチレンブタジエンコポリマー)、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレン)、SEPS(スチレンエチレンプロピレンスチレン)、SIS(スチレンイソプレンコポリマー)からなる群から選択される一又は複数のスチレンコポリマー;又は
(iv)PA11及びPA12から選択される単一のホモポリマー
を含むことができる。
【0036】
当業者は、PA6I(上記で特定された、マルチポリアミドPA66/69/610/6Iに含まれる)が、ポリヘキサメチレンイソフタルアミドであることを理解するであろう。
【0037】
特に適切なのは、PA6/66とPA66/69/610/6Iとのブレンドである。特に適切なのは、SBSである。
【0038】
コポリアミドが、マルチポリアミドと組み合わされる場合、典型的には、第2の層は、40-90重量%のコポリアミド及び10-60重量%のマルチポリアミドを含む。
【0039】
本明細書で記載される第2のポリマーフィルム層の好ましい及び任意選択的な特徴は、任意選択的な第3のポリマーフィルム層に、存在する場合には、等しく適用される。
【0040】
第1、第2及び/又は第3の層は、一又は複数の添加剤を含むことができる。
【0041】
例えば、ブロッキング防止添加剤は添加されて、フィルムの2つの隣接する層の接着である、ブロッキングのリスクを低減させることができる。ブロッキング防止添加剤は、第1、第2及び/又は第3の層に提供することができる。ブロッキング防止添加剤は、典型的には、第1のポリマーフィルム層の一又は複数の副層に、副層の総重量に対して、0.1-5重量%の量で提供される。あるいは、0.1-5重量%のブロッキング防止添加剤を、ポリマーフィルムの第2及び/又は第3の層(又はこれらの副層)に添加することができる。当業者は、適切なブロッキング防止添加剤の選択に精通している。適切なブロッキング防止添加剤としては、BASFから入手可能なUltramid B40LN(成核剤及びスリップ剤の添加によって、成形性が高められた高粘度PA6)、及びStyrolutionから入手可能なStyrolux NB10(活性ワックス系を含み、シートブロッキングを低減させるSBCポリマー)が挙げられる。
【0042】
曇り防止添加剤は、添加されて、積層包装用フィルムの曇りを低減させることができる。曇り防止添加剤は、層又は副層の何れか1つに、例えば、添加される層又は副層の総重量に対して、0.1-20重量%のレベルで、例えば、0.5-15重量%のレベルで添加することができる。当業者は、適切な曇り防止添加剤の選択に精通している。適切な曇り防止添加剤としては、A.Shulmanから入手可能なPolybatch AF1088(ポリオレフィン系曇り防止添加剤)が挙げられる。
【0043】
結合剤は、ポリマーフィルムの第2及び/又は第3の層に添加されて、結合を高めることができる。当業者は、適切な結合剤の選択に精通している。典型的には、結合剤は、第2及び/又は第3の層が、一又は複数のスチレンコポリマーを含む場合に、添加される。結合剤は、典型的には、添加される層又は副層の総重量に対して、5-40重量%、例えば10-35重量%のレベルで添加される。適切な結合剤は、変性ポリオレフィン、例えば変性直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリオレフィンは、無水マレイン酸を用いて変性することができる。適切な結合剤は、Arkemaから入手可能なOrevac 18910である。
【0044】
任意の特定の生鮮農産物の包装用途に関して選択される特定の層は、要素、例えばパックされる農産物、サプライチェーンの長さ、余分な水分に対する感受性、脱水に対する感受性、及び表面積対容積比などによって決定される。例えば、Galiaメロンは、表面的な形状を悪化させる、余分な水分に対する感受性を有する。一方で、メロンの厚い皮は、メロンが脱水に対する感受性を特に有さないことを意味する。したがって、1日当たり145gm-2の水蒸気透過速度を有するフィルムは、ブラジルからヨーロッパ大陸へのGaliaメロンの出荷に適している。
【0045】
本発明の積層包装用フィルムは、典型的には、50μm以下、例えば40μm以下、又は25μm以下の総厚さを有する。積層包装用フィルムは、少なくとも5μm、又は少なくとも10μmの厚さを有する。
【0046】
本発明の積層包装用フィルムは、典型的には、少なくとも1日当たり30gm-2の水蒸気透過速度を有する。積層包装用フィルムは、少なくとも1日当たり50gm-2、少なくとも1日当たり70gm-2、少なくとも1日当たり100gm-2、又は少なくとも1日当たり120gm-2の水蒸気透過速度を有する。本発明において、最大水蒸気透過速度は、特に限定されないが、1日当たり200gm-2以下、又は1日当たり160gm-2以下であってもよい。積層包装用フィルムは、当該の生鮮農産物の典型的な保管及び出荷条件下で、その農産物を包装するために使用される場合、好ましくは、包装用フィルムの内側表面上にほとんど又は全く結露を生じさせないのに適した水蒸気透過速度を有する。
【0047】
典型的には、本発明の積層包装用フィルムは、出典明示によりその全体が本明細書に援用される、具体的には、O2及びCO2透過性を向上させるために包装用フィルムの穿孔を記載する目的である、米国特許第6190710号において記載されているように、穿孔されて、包装される生鮮農産物のために、適切なO2及びCO2透過性を提供する。必要とされる穿孔の数、寸法、パターンは、パックされる農産物の呼吸数及び所望のガス置換次第である。
【0048】
例えば、積層包装用フィルムは、マクロ穿孔されて、包装用フィルムの表面積の約0.5%以下を覆う、約1-10mmの直径を有する孔を提供することができる、及び/又は包装用フィルムは、マイクロ穿孔されて、材料1平方メートル当たり約2000個以下の孔の密度で、約0.05-1mmの直径を有する孔を提供することができる。包装用フィルムは、マイクロ穿孔されて、材料1平方メートル当たり約500個以下の孔の密度で、約0.1-0.8mmの直径を有する孔を提供することが好ましい。マイクロ穿孔は、典型的には、レーザーによって提供される。マクロ穿孔は、物理的に孔をあけること、又はフィルムを切断することによって提供することができる。
【0049】
例えば、40×30cmの箱に、5kgのGaliaメロンをパックするために使用される包装用フィルムは、典型的には、125±15μmの合計44個のレーザー穿孔を含有し、Galiaメロンの最適保管温度である7℃で定常条件下で、10-15%O2及び5-10%CO2のガス置換条件を提供する。本発明の包装用フィルムは、メロン、例えばGaliaメロンなどのバルク包装に有利に使用することができる。
【0050】
典型的には、本発明の積層包装用フィルムは、第1の層を形成するための第1のポリマー、及び第2の層を形成するため第2のポリマーを押し出し、第1及び第2のポリマーを、積層フィルムに成形することによって形成される。典型的には、第1及び第2のポリマーは、同時に押し出(共押出し)される。押出しは、典型的には、例えば、ダイの中心から半径方向の異なる距離に位置する、異なる層のためのマニホールドを有する、環状フィルムダイを通して実施される。典型的には、空気をダイの中心に注入して、押出しポリマーのバブルを膨張させる。次いで、バブルは、典型的には、冷却し、折りたたんで、フラットフィルムを形成する。積層包装用フィルムは、典型的には、一度冷却されると巻き取られ、包装用フィルムのロールを提供する。当業者は、押出しによって積層ポリマーフィルムを形成する技術に精通しているであろう。
【0051】
生鮮農産物の包装体
本発明は、包装用フィルムによって包まれた生鮮農産物を含む、生鮮農産物の包装体を提供する。生鮮農産物は、1枚の包装用フィルムによって包まれることが好ましい。
【0052】
生鮮農産物は、典型的には、包装用フィルムの内側にある容器中に保持されている。容器の材料は、特に限定されないが、例えば厚紙、木材、パルプ又はプラスチックであってもよい。容器は、典型的には、上側が開いており、生鮮農産物を上から見ることができる。このことはまた、ガス置換包装を可能にして、最も効果的に作用する。したがって、容器は、例えばトレーであってもよい。
【0053】
細長いシールは、包装体の下側に沿って延びる。細長いシールは、好ましくは、包装体の下側の片側から、包装体の反対側まで実質的に完全に延びることにより、本明細書に記載の包装フィルムの取り除きを促進する。細長いシールは、好ましくは、生鮮農産物の包装体の下側の実質的に中心線に沿って延びる。
【0054】
包装用フィルムは、典型的には、(細長いシールで1枚の包装用フィルムをシールすることによって形成される)チューブの形態であり、チューブは生鮮農産物を包むために両端部でシールされる。端部のシールは、典型的には、密封である。
【0055】
細長いシールは、好ましくは、フィンシールであってもよい。あるいは、シールは、包装用フィルムの重なり合う端部によって形成されて、重なり合うシールを形成することができる。
【0056】
当業者は、包装体の下側が、典型的には、パッキング、保管、輸送、及び/又は陳列中、生鮮農産物の下に位置する包装体の部分であることを理解する。上側は、包装体の反対側にあり、典型的には、パッキング、保管、輸送、及び/又は陳列中、生鮮農産物の上に位置する。生鮮農産物が、トレー又は他の容器内で保持されている場合、包装体の下側は、典型的には、トレー又は容器の底部の直接下にある。
【0057】
包装フィルムは、1回の持ち上げ動作で、生鮮農産物の包装体の上側から持ち上げることによって、取り除くことができる。包装の取り除き中、細長いシールは、典型的には、その長さの少なくとも60%又は少なくとも80%に沿って破れる。例えば、シールは、実質的にその全体の長さに沿って破ることができる。包装フィルムが、上向きに生鮮農産物の包装体の上側から持ち上げられるので、典型的には、シールは、シールに対して作用する生鮮農産物の重量によって破られる。
【0058】
シールは、典型的には、少なくとも4MPaのシール強度を有する。これは、適当なシール強度を提供して、運送中包装体がシールされたままの状態を確実にする。シールは、典型的には、20MPa未満、15MPa未満、又は10MPa未満のシール強度を有する。このことは、本明細書に記載されるように、1回の持ち上げ動作で包装用フィルムを容易に取り除くことができることを意味する。
【0059】
シール強度は、ASTM F88に準拠して測定される。シールを有するフィルムの15mm幅の試料は、袋から切り出される。シールされた試験片の各末端は、Lloyd LRX引張試験機の対向するグリップで固定化される。シールの両端部を分離するために必要とされる最大張力が記録される。
【0060】
細長いシールは、典型的には、加熱及び加圧によって形成され、包装用フィルムの2つの領域を一緒に固定し、それらを融着させる(例えば、1枚の包装用フィルムの2つの端部)。融着領域は、細長いシールを形成する。細長いシールは、典型的には、密封シールである。細長いシールは、典型的には、約2mmから約20mmの間の幅を有する。
【0061】
生鮮農産物の包装体は、包装フィルムによって包まれた生鮮農産物を含む。包装用フィルムは、本明細書に記載及び定義されるように、有利には積層包装用フィルムであってもよい。しかしながら、これは必須ではない。
【0062】
他の適切なフィルムとしては、単層包装用フィルム、例えば、一又は複数のコポリアミド若しくはマルチポリアミドとブレンドされたPA6を含む単層包装用フィルム、又はマルチポリアミドと任意選択的にブレンドされたコポリアミドを含む単層包装用フィルムなどが挙げられる。単層フィルムは、積層包装用フィルムに関連して、上記に記載及び定義されるような、一又は複数の添加剤を含むことができる。コポリアミド及びマルチポリアミドは、典型的には、積層包装用フィルムに関連して、上記に記載及び定義されるようなものである。
【0063】
単層包装用フィルム、一緒になって、包装用フィルムを形成する、2つ以上の副層から構成することができる。サブ層は、お互いに同一の組成を有してもよく、又は副層の一又は複数は、異なる組成を有してもよい。例えば、副層の一又は複数は、添加剤(複数可)を含むことができる。副層の一又は複数は、実質的に添加剤を含まなくてもよい。典型的には、すべての副層は、同じポリマー又はポリマーブレンドを含む。いくつかの実施態様において、単層包装用フィルムは、副層を含まないことが、好ましい場合がある。
【0064】
典型的には、本発明の生鮮農産物の包装体において有用な包装フィルムは、積層包装用フィルムに関して、上記に記載されたような水蒸気透過速度を有する。典型的には、本発明の生鮮農産物の包装体において有用な包装フィルムは、積層包装用フィルムに関して、上記に記載されたような、穿孔されて、当該の生鮮農産物のために、適切なO2及びCO2透過性を提供する。
【0065】
生鮮農産物の包装体は、典型的には、ガス置換包装である。本明細書で使用される場合、ガス置換包装は、包装用フィルムが、選択又は改質されて、包装された生鮮農産物の保存期間を長くするために、包装体内部の水蒸気、CO2及びO2濃度の一又は複数を制御する包装を含むことが意図される。
【0066】
本明細書で使用される場合、生鮮農産物という用語は、腐敗しやすい、及び腐る傾向がある、又はさもなければ限られた保存期間を有する、果物、野菜、花、植物、キノコ、及び他の食用又は非食用の園芸用又は植物性製品を含むことが意図される。本発明は、ガス置換包装が有益であり、その後でフローパックされる容器内でのパッキングに適している、果物及び野菜、例えばGalia及びカンタループメロン、ザクロ、ネクタリン、桃、及びプラムを含む核果、並びにキウイなどの包装に特に適している。
【0067】
本発明の生鮮農産物の包装体は、バルク農産物の包装に、例えば、元の生産者から最終小売業者までのサプライチェーンのすべて又は一部に、特に適している。バルク包装は、典型的には、生鮮農産物の2kgから20kg、例えば少なくとも2kg、少なくとも3kg、少なくとも5kg、又は少なくとも10kgが入っている。
【0068】
細長い引き裂き線が、包装体の下側に沿って提供される場合、細長い引き裂き線は、好ましくは、包装体の下側の片側から、包装体の反対側まで、実質的に完全に延びることにより、本明細書に記載の包装フィルムの取り除きを促進する。細長い引き裂き線は、好ましくは、生鮮農産物の包装体の下側の実質的に中心線に沿って延びる。
【0069】
包装用フィルムは、1回の持ち上げ動作で、生鮮農産物の包装体の上側から持ち上げることによって、取り除くことができる。包装の取り除き中、細長い引き裂き線は、典型的には、その長さの少なくとも60%又は少なくとも80%に沿って破れる。例えば、引き裂き線は、実質的にその全体の長さに沿って破れ得る。
【0070】
本発明の実施態様による例となる包装方法を、
図2から6を参照してこれから説明し、包装用フィルムの取り除きは、
図7を参照して説明する。
【0071】
図2は、コンベヤ5上の生鮮農産物3(例えば、メロン)が入っているトレー1を示す。コンベヤ5は、トレー1を、水平フロー包装機に移動させる。包装用フィルム7(
図3を参照)は、フローパック機に供給され、トレー1を包む細長いチューブに形成される。
図3に示されるように、縦方向のフィンシール9は、トレー1の下側8に沿って加熱及び加圧によって形成され、シール9を形成する。縦方向のフィンシール9は、密封であるが、十分に弱く、
図7を参照して下記に説明されるように、1回の持ち上げ動作でフィルムを生鮮農産物のトレーから容易に取り除くことができる。
【0072】
フィルム7は、典型的には、フローパック機への供給の前に穿孔されて、本明細書に記載されるように、生鮮農産物3に対する所望のO2及びCO2透過速度を提供する。フィルム7は、適切な方向で供給され、レーザー穿孔は、包装体の上側10に位置する。
【0073】
本発明の第1の態様による積層包装用フィルムが、フィルム7として使用される場合、フィルム7は、適切な方向で供給され、第2の層が、フィルム7の下側にあり、その結果第2の層の2つの領域が、縦方向のフィンシール9を形成するために互いに接触する。
【0074】
図4に示されるように、交差方向シール11,13は、加熱及び加圧によって形成されて、包装体15をシールする。包装体15は、上流包装体17及び下流包装体19から切断される。
【0075】
図5に示されるように、包装体15は、次いでコンベヤ5によって、
図6に示されるように、包装体15が枠組箱21に配置される、箱詰め領域に移される。あるいは、枠組箱21が、下のコンベヤ上に提供されて、包装体15は、上から箱の中に滑り込む。
【0076】
枠組箱21が、スーパーマーケットのこともある最終目的地に到達する際、包装用フィルム7は、
図7に示されるように、容易に取り除かれる。フィルム7は、上部から持ち上げられ、それで、十分な力を包装体の下側のフィンシール9に供給し、1回の持ち上げ動作でフィルム7を生鮮農産物3のトレー1から取り除くことができる。生鮮農産物3は、小売業者によって、生鮮農産物3を他の容器に移す必要なく、トレー1内で陳列することができる。
【実施例】
【0077】
インフレーションフィルムダイを通した押出しによって、本発明による積層包装用フィルムを調製した。押出成形機を使用して、溶融させて、溶融樹脂を環状フィルムダイに押し出した。ダイの中心から異なる半径方向の距離で、別個のスパイラルマンドレルマニホールドによって、各層を形成した。空気を環状ダイの中心に注入して、ポリマーバブルを膨張させた。バブルの表面に空気を吹き付ける、エアリングによってバブルを冷却して、凝固するまで温度を下げた。ダイ上方で、案内板においてバブルを折りたたんでフラットフィルムを作製する際に、安定化ケージを使用して、バブルの動きを最小限に抑えた。次いで、ロール上にフィルムを引っ張り、フィルム巻取機に送り込んで、完成フィルムロールを作製した。
【0078】
以下の温度プロファイルを使用して、積層フィルムを調製した。
【0079】
試験方法
Millimess Inductive Digital Comparator Extramess 2001を使用して、フィルムの幅全域にわたって24カ所の厚さを測定した。
【0080】
ASTM E96に準拠して、23℃、50%相対湿度で、WVTRを測定した。
【0081】
ASTM F88に準拠して、シール強度を測定した。シールを有するフィルムの15mm幅の試料を、袋から切り出す。シールされた試験片の各末端を、Lloyd LRX引張試験機の対向するグリップで固定化する。シールの両端部を分離するために必要とされる最大張力を記録した。
【0082】
実験室ヒートシーラーを使用して、ASTM F2029に準拠して、一定の圧力及び時間で、シール温度範囲を測定した。150-200℃の温度範囲における、滞留時間は0.15-0.5秒であった。
【0083】
材料
下記の実施例において、以下の材料を使用した。
【0084】
【0085】
実施例1-ブレンドされたポリアミドシール層を有するフィルム
コポリアミドのブレンドから形成されたシール層を有するフィルム構造の4つの実施例を、上記に記載された方法によって調製し、上記に記載された試験方法を使用して、WVTR、シール温度、及びシール強度を試験した。組成及び試験結果を下記に示す。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
実施例2-スチレン系シール層を有するフィルム
スチレンコポリマーと結合剤のブレンドから形成されたシール層を有するフィルム構造の2つの実施例を、上記に記載された方法によって調製した。フィルムの組成を下記に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
試験結果
上記実施例1及び2によって調製された包装用フィルムを、上記に記載されたように試験した。結果は以下の通りであった:
【0094】
PA6の20μmフィルムのWVTRもまた、145gm-2日-1であり、したがって、シール層の追加は、WVTRに悪影響を及ぼさないことがわかる。しかしながら、PA6のシール温度は、220-245℃であり、したがって、シール層の追加は、シール温度を有利に低減させることがわかる。