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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】格納式荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/46 20060101AFI20220912BHJP
   B60P 1/44 20060101ALI20220912BHJP
   B60R 3/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B60P1/46 Z
B60P1/44 E
B60P1/44 G
B60R3/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018181357
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020050131
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】平井 正則
(72)【発明者】
【氏名】兪 貴裕
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030423(JP,A)
【文献】実開平05-086679(JP,U)
【文献】特開2003-112554(JP,A)
【文献】特開2005-119372(JP,A)
【文献】特開2004-210050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0018975(US,A1)
【文献】特開平08-132967(JP,A)
【文献】特開2013-067214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
B60P 1/46
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、
前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、
前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、
前記アームの先端に連結された前記荷受台と、
前記荷受台から後方に突出するように設けたステップとを備え、
前記荷受台は、前記アームに連結された基端側荷受台と、前記基端側荷受台の後部に回動可能に連結された少なくとも1枚の先端側荷受台とを含み、格納時には前記基端側荷受台の上部に前記先端側荷受台が重なる状態に折り畳まれるように構成されており、
前記ステップは、
前記基端側荷受台と前記先端側荷受台との連結部に、折り畳んだ状態の前記荷受台の後方に突出するように設けられていると共に、
左右に延びる軸を介して前記荷受台に対して回動可能に連結された可動式であり、不使用時には折り畳んだ状態の前記荷受台の後端面に沿って上向きに延びる格納姿勢に起立させることができ、
ロック機構により前記格納姿勢で拘束され、又は付勢機構により前記格納姿勢に付勢されるように構成されている
格納式荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の格納式荷受台昇降装置において、
前記ステップは、前記基端側荷受台に設けられている格納式荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1の格納式荷受台昇降装置において、
前記基端側荷受台及び前記先端側荷受台の下面には、それぞれ左右のスチフナが設けられており、
前記ステップは、前記基端側荷受台に設けられた前記左右のスチフナの間に配置され、前記荷受台を展開した状態では、前記基端側荷受台に設けられた前記左右のスチフナの間に収納されるように構成されている
格納式荷受台昇降装置。
【請求項4】
荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、
前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、
前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、
前記アームの先端に連結された前記荷受台と、
前記荷受台から後方に突出するように設けたステップとを備え、
前記ステップは、平行リンクを介して前記荷受台に連結されており、可動式で不使用時に格納可能である格納式荷受台昇降装置。
【請求項5】
荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、
前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、
前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、
前記アームの先端に連結された前記荷受台と、
前記荷受台から後方に突出するように設けたステップとを備え、
前記ステップは、前記荷受台に対してスライド可能に連結されており、可動式で不使用時に格納可能である格納式荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の荷台に対する荷物等の積み卸し作業を支援する荷受台昇降装置に関し、特に荷受台を車枠の下側に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置に係る。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置とは、車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させ、車両の荷台に対する荷物等の積み卸し作業を支援する装置である(特許文献1等参照)。荷受台昇降装置の中には荷受台を車枠の下側(荷台の床下)に引き込んで格納する格納式のものがある(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-096525号公報
【文献】特開2017-178171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2のような格納式の荷受台昇降装置を架装した車両においては、車枠の下側に格納された状態の荷受台の後端部分に足を掛け、作業者が荷受台を踏み台にして荷台に上がることがある。しかし、格納姿勢の荷受台の後端は、車枠の上部に搭載された荷台の後端位置にあるか、又は若干前方に位置している。そのため作業者は荷台に上がる際に荷受台に重心を確りと乗せることができず、不安定な姿勢を強いられる。荷台の床下に格納する荷受台昇降装置は、荷台後方で荷受台を起立させる特許文献1のような荷受台昇降装置とは異なり、荷受台を格納した状態でも作業者が荷台の荷物の積み卸し作業を行うことができる点で好まれている。作業の利便性や迅速性に役立つ点に加えて、さらに安全性も高めることができればより好ましいものとなる。
【0005】
本発明の目的は、荷受台を格納した状態でも荷台に上り下りする際の利便性に優れた格納式荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、前記アームの先端に連結された前記荷受台と、前記荷受台から後方に突出するように設けたステップとを備え、前記荷受台は、前記アームに連結された基端側荷受台と、前記基端側荷受台の後部に回動可能に連結された少なくとも1枚の先端側荷受台とを含み、格納時には前記基端側荷受台の上部に前記先端側荷受台が重なる状態に折り畳まれるように構成されており、前記ステップは、前記基端側荷受台と前記先端側荷受台との連結部に、折り畳んだ状態の前記荷受台の後方に突出するように設けられていると共に、左右に延びる軸を介して前記荷受台に対して回動可能に連結された可動式であり、不使用時には折り畳んだ状態の前記荷受台の後端面に沿って上向きに延びる格納姿勢に起立させることができ、ロック機構により前記格納姿勢で拘束され、又は付勢機構により前記格納姿勢に付勢されるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、前記アームの先端に連結された前記荷受台と、前記荷受台から後方に突出するように設けたステップとを備え、前記ステップは、平行リンクを介して前記荷受台に連結されており、可動式で不使用時に格納可能であることを特徴とする。
また、本発明は、荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、前記アームの先端に連結された前記荷受台と、前記荷受台から後方に突出するように設けたステップとを備え、前記ステップは、前記荷受台に対してスライド可能に連結されており、可動式で不使用時に格納可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、荷受台を格納した状態でも荷台に上り下りする際に格納式荷受台昇降装置を便利に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る格納式荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図
図2】本発明の第1実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図
図3】本発明の第2実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図
図4】本発明の第3実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図
図5】本発明の第4実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
-格納式荷受台昇降装置-
図1は本発明の第1実施形態に係る格納式荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図、図2は第1実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図である。本願明細書においては、格納式荷受台昇降装置を単に荷受台昇降装置と適宜略称し、図1及び図2における左右を荷受台昇降装置の前後とする。図1では荷受台昇降装置を車両の後部に架装して荷受台を車両の後側に引き出す場合を例示しており、荷受台昇降装置の前後方向が車両の前後方向に一致している。但し、車両の側部に荷受台を引き出すように荷受台昇降装置を架装する場合もある。その場合には、荷受台昇降装置の前後方向は車両の前後方向に直交する。
【0011】
図1に示した車両は、車枠Fと、車枠Fの前方に設けた運転室Cを備えている。車枠Fの上部には図示しない荷台(荷箱を含む)Lが搭載される。本実施形態では、荷受台昇降装置1は車枠Fの後部下側に架装されている。この荷受台昇降装置1は、例えば車両の走行時には荷受台(プラットフォーム)20を折り畳み、車枠Fの下側に引き込んで格納する。一方で荷役作業(荷台に対する荷物の積卸作業)時には、荷受台20を車枠Fの外側(本実施形態では後方)に引き出して展開し、荷台の床面高さと地面高さとの間で昇降させて荷役作業を支援する(図1)。
【0012】
図2に示したように、荷受台昇降装置1は、荷受台20、スライダユニット(不図示)、リフタユニット40、パワーユニット(不図示)及び制御装置(不図示)を備えている。スライダユニットは、荷受台20等を前後方向に移動させるアクチュエータを含むユニットである。リフタユニット40は、荷受台20を昇降させるアクチュエータを含むユニットである。パワーユニットは、スライダユニット及びリフタユニット40を駆動する駆動装置である。制御装置は、パワーユニットを制御する装置である。スライダユニット、リフタユニット40及び荷受台20について順次説明する。
【0013】
-スライダユニット-
スライダユニットは、左右のガイドレール31、スライダ(不図示)、及びスライドシリンダ(不図示)を備えている。左右のガイドレール31は、車枠Fの後部下側に前後に平行に延びる姿勢で取り付けられている。スライダは左右のガイドレール31にスライド可能に取り付けられ、ガイドレール31に沿って前後に移動可能である。スライドシリンダは複動式の油圧シリンダであり、ガイドレール31及びスライダに適宜支持部材を介して両端が固定されている。スライドシリンダの伸縮動作によりガイドレール31に沿ってスライダが前後に移動し、リフタユニット40を介してスライダに支持された荷受台20が前後に移動する。
【0014】
-リフタユニット-
リフタユニット40は、チルトアーム(不図示)、リフトアーム42、コンプレッションアーム43及びリフトシリンダ44を左右一組ずつ備えている。このリフタユニット40は荷受面に干渉しないように荷受台20を支持している。チルトアームはスライダに対して上部がピンを介して連結され、下部が前後に回動する。リフトアーム42は、前端部がチルトアームに、後端部が荷受台20に、左右に延びる軸を介してそれぞれ回動可能に連結されている。コンプレッションアーム43は、前端部がスライダに、後端部が荷受台20に、左右に延びる軸を介してそれぞれ回動可能に連結されている。リフトシリンダ44は単動式油圧シリンダ(複動式でも良い)であり、本実施形態ではロッド側がチルトアームの下部に、ボトム側がリフトアーム42に、それぞれ回動可能に連結されている。リフトアーム42及びコンプレッションアーム43は、スライダに対して荷受台20を昇降可能に連結する平行リンクを形成する。この平行リンクがリフトシリンダ44の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで、荷受台20が水平姿勢を保って昇降する(図1)。
【0015】
-荷受台-
荷受台20は荷物等を受けて昇降する台であり、リフタユニット40に連結された基端側荷受台21、基端側荷受台21の後部にヒンジ(不図示)を介して回動可能に連結された先端側荷受台22を備えている。先端側荷受台22は、ヒンジを支点に回動し、左方から見て展開姿勢(図1)から反時計回り(左回り)に反転し(180度回動し)基端側荷受台21の上側に折り重ねられる(図2)。折り畳んだ状態の荷受台20の後端面はバンパを構成する。荷受台20の左右の幅は例えば荷台の幅と同程度であり、左右の車枠Fの外法寸法よりも広い。本実施形態では先端側荷受台22は非折り畳み式であり、荷受台20は先端側荷受台22を1枚のみ含んだ2枚折れ構造である。また、荷受台20の下部には左右一対のスチフナ23が設けられている。スチフナ23は基端側荷受台21及び先端側荷受台22に設けられており、荷受台20が展開すると基端側荷受台21に設けたものと先端側荷受台22に設けたものが連なり、左右から見ると基端から先端(後方)に向かって薄くなる三角形状になる。
【0016】
-ステップ-
荷受台20には、その格納時に荷受台20から後方に突出するようにステップ50が設けられている。本実施形態の荷受台20は前述した通り格納時に基端側荷受台21の上部に先端側荷受台22が重なる状態に折り畳まれるため、ステップ50は折り畳んだ状態の荷受台20の後方に突出し、荷受台20を展開した状態では左右のスチフナ23の間に収納される。本実施形態のステップ50は固定式であって基端側荷受台21の下部(例えば左右のスチフナ23の間に位置)に支持部材51を介して固定されており、格納姿勢の荷受台20から荷台Lの後端を少し超えて後方に突出して延びている。ステップ50の下面はスチフナ23の下部の傾斜に沿って先端に向かって上り傾斜に形成してあり、ステップ50は荷受台20の展開時には側面視で先端側荷受台22のスチフナ23に重なり、スチフナ23から下側にはみ出ない構成となっている。荷受台20の展開時にステップ50がスチフナ23からはみ出して荷役作業に邪魔にならないようにするためである。また、ステップ50の下部をスチフナ23の下部に沿わせることで、ステップ50の配置が実用上極力低位置になるようにしてある。
【0017】
-効果-
本実施形態によれば、荷受台20に後方に突出するステップ50を設けたことにより、荷受台昇降装置1を操作して格納姿勢の荷受台20を後方に引き出すまでもなく、ステップ50に足を掛けて容易に荷台Lに対して上り下りすることができる。ステップ50は格納姿勢の荷受台20から荷台Lの後端を超えて突出しているため、荷台Lに対して上り下りする際にステップ50に重心を乗せることができ、作業者は無理な姿勢を強いられることがない。また、荷受台昇降装置1は床下格納式であることから格納姿勢の荷受台20は車枠Fより低位置に位置し、これに設置したステップ50は足を掛けるのに丁度良い高さとなる。特に図1に示した例のように格納姿勢の荷受台20の下部が荷台Lの地上からの高さの半分程度である場合、ここにステップ50が設置されることで上り下りに便利である。本実施形態によれば、荷受台20を格納した状態でも荷台Lに上り下りする際に荷受台昇降装置1を便利に利用することができる。
【0018】
また、作業者の体格や健康状態、身体能力等により最適なステップ位置は様々であり、階段としてのステップ50の勾配を緩やかにすることが望まれる場面も想定され得る。このような場合、荷受台20を少し引き出してステップ50の前後位置を調節することができることも、格納式の荷受台昇降装置1にステップ50を設置するメリットである。本実施形態においては、格納姿勢のステップ50の上面よりもステップ50の踏み面が低位置であるため、荷受台20を少し引き出して使用する場合、ステップ50と荷受台20の上面とからなる上下2段の緩勾配の階段を構成することができる。加えて、荷受台昇降装置1を架装する車両の種類や大きさによっては、格納姿勢の荷受台20の地面からの高さ、荷受台20から荷台Lの床面までの高さ、荷受台20の後端から荷台Lの後端までの前後の距離も変わる。そのため、ステップ50が足場として丁度良い位置に来ない場合も想定され得るが、この場合も床下格納式の荷受台昇降装置1の機能を活かしてステップ50の前後位置を調整できることがメリットとなる。
【0019】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図である。本実施形態において第1実施形態と同様又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。本実施形態が第1実施形態と相違する点は、ステップ50Aが荷受台20に対して可動式であり、不使用時には格納可能である点である。
【0020】
ステップ50Aは、左右に延びる軸52を介して荷受台20に対して回動可能に連結されている。軸52は荷受台20に直接設けても良いが、本実施形態では支持部材51に設けてある。ステップ50Aは軸52を中心に回動し、荷受台20の後端から後方に延びる展開姿勢を基準として、格納姿勢の荷受台20の後端面に沿って上下に延びる格納姿勢に起立する(図3)。ステップ50Aの回動範囲はストッパ(不図示)等によって展開姿勢と格納姿勢との間の約90度に制限されている。特に図示していないが、ステップ50Aを格納姿勢で拘束するロック機構が備わっている。このロック機構に加えて又は代えて、ステップ50Aを格納姿勢に付勢する付勢機構を有する構成とすることもできる。付勢機構としては、例えば軸52にトーションバーを設ける等、適宜ばね機構を用いて構成することができる。ステップ50Aは、展開姿勢では第1実施形態のステップ50と同等の機能を果たし、格納姿勢に変位させることで格納姿勢の荷受台20の後端面に沿い、例えば荷台Lの後端面から後方に突出しない状態となる。その他の構成は第1実施軽形態と同様である。
【0021】
本実施形態においても、荷受台20の格納時にステップ50Aを展開姿勢にすることで第1実施形態と同様の効果が得られる。加えてステップ50Aを格納姿勢にすることで、荷受台昇降装置1を含めた車両の前後長を第1実施形態に比べて短縮することができる。ステップ50Aが格納可能であることで、デパーチャアングルを確保する上でも有利である。また、ステップ50Aを格納姿勢に付勢する付勢機構を設けた場合、使用時以外は自ずとステップ50Aが格納姿勢に付勢され、ステップ50Aを格納し忘れることを抑制することができる。また、付勢機構を設けてロック機構を省略した場合、荷受台20の展開及び格納時の先端側荷受台22の動きに追従してステップ50Aが回動するので、例えばロック機構を解除し忘れて荷受台20を展開させてロック機構が損傷するようなこともない。
【0022】
(第3実施形態)
図4は本発明の第3実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図である。本実施形態において第1実施形態と同様又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。本実施形態のステップ50Bは第2実施形態のステップ50Aと同じく可動式であり、不使用時には格納可能である。本実施形態が第2実施形態と相違する点は、ステップ50Bが平行リンク53を介して荷受台20に連結されている点である。
【0023】
ステップ50Bは、基端側荷受台21の下部で左右のスチフナ23の間に設けた支持部材54に対し、前後2箇所で平行リンク53により回動自在に連結されている。ステップ50Bは平行リンク53を介して前後にスイングして水平姿勢を保って平行移動する。ステップ50Bは、下端位置(後端位置)まで移動すると荷受台20の後端から後方に一部が突出した展開姿勢となり、上端位置(前端位置)まで移動すると荷受台20の後端から突出することなく基端側荷受台21の下面に沿った格納姿勢となる。格納姿勢のステップ50Bは左右から見て全体がスチフナ23に重なり、左右のスチフナ23の間に全部が収容される。また特に図示していないが、ステップ50Bを格納姿勢で拘束するロック機構が備わっている。このロック機構に加えて又は代えて、ステップ50Bを格納姿勢に付勢する付勢機構を有する構成とすることもできる。付勢機構としては、例えば平行リンク53の基部にトーションバーを設ける等、適宜ばね機構を用いて構成することができる。その他の構成は第1実施軽形態と同様である。
【0024】
本実施形態においても、荷受台20の格納時にステップ50Bを展開姿勢にすることで第1実施形態と同様の効果が得られる。加えてステップ50Bを格納姿勢にすることで、第2実施形態と同様、荷受台昇降装置1を含めた車両の前後長を第1実施形態に比べて短縮することができる。ステップ50Bが格納可能であることで、デパーチャアングルを確保する上でも有利である。また、ステップ50Bが基端側荷受台21の下部に設けられているため、先端側荷受台22に干渉することもない。また、展開に伴ってステップ50Bが下降するため、ステップ50Bの設置位置を下げたい場合に有利であり、平行リンク53の長さによって展開時のステップ50Bの高さを調整することもできる。
【0025】
(第4実施形態)
図5は本発明の第4実施形態に係る格納式荷受台昇降装置の要部を拡大して表す側面図である。本実施形態において第1実施形態と同様又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。本実施形態のステップ50Cは第2実施形態のステップ50Aと同じく可動式であり、不使用時には格納可能である。本実施形態が第2実施形態と相違する点は、ステップ50Cが荷受台20に対してスライド可能に連結されている点である。
【0026】
ステップ50Cは、基端側荷受台21の下部で左右のスチフナ23の間に設けたガイド55に水平姿勢で抱えられており、ガイド55に対して前後にスライド自在に構成されている。ステップ50Cは、後端位置まで引き出すと荷受台20の後端から後方に一部が突出した展開姿勢となり、前端位置まで押し込むと荷受台20の後端から突出することなく基端側荷受台21の下面に沿った格納姿勢となる。格納姿勢のステップ50Cは左右から見て全体がガイド55と共にスチフナ23に重なり、左右のスチフナ23の間に全部が収容される。また特に図示していないが、ステップ50Cを格納姿勢で拘束するロック機構が備わっている。またガイド55に対するステップ50Cの抜け止め機構を備え、ステップ50Cのスライド範囲を前端位置と後端位置との間に制限することができる。その他の構成は第1実施軽形態と同様である。
【0027】
本実施形態においても、荷受台20の格納時にステップ50Cを引き出して展開姿勢にすることで第1実施形態と同様の効果が得られる。加えてステップ50Cを押し込んで格納姿勢にすることで、第2実施形態と同様、荷受台昇降装置1を含めた車両の前後長を第1実施形態に比べて短縮することができる。ステップ50Cが格納可能であることで、デパーチャアングルを確保する上でも有利である。また、ステップ50Cが基端側荷受台21の下部に設けられているため、先端側荷受台22に干渉することもない。また、ステップ50Cの前後長を変更し格納姿勢から展開姿勢までの引出量を変更することで、展開姿勢のステップ50Cの踏み面の面積、ひいてはステップ50Cの前後位置の調整代を確保することができるメリットもある。
【0028】
(変形例)
以上の各実施形態では基端側荷受台21にステップを設けた構成を例に挙げて説明したが、ステップは先端側荷受台22に設けても良い。先端側荷受台22にステップを設けることで、各実施形態に比べてステップの配置を高くすることができる。また、上下に延びる軸を中心にステップが水平面内で旋回し、格納状態の荷受台20の下側に格納された格納姿勢から後方に突出する展開姿勢に変位するステップも考えられる。また、荷受台20とステップとを別構成としたが、例えば固定式のステップであれば基端側荷受台21又は先端側荷受台22の構成材料の一部を延長してステップを形成し、ステップを荷受台20と一体構成とすることもできる。
【0029】
上記実施形態では、先端側荷受台22を1枚として荷受台20が1箇所で折れる構造を例示したが、先端側荷受台22を前後複数枚の荷受台で構成することで、荷受台20が2カ所以上で折れる構造としても良い。このような荷受台を採用した格納式荷受台昇降装置にも以上で説明した各ステップは適用可能である。また、荷受台を折り畳まなくてもスライドシリンダで引き込むだけで車枠Fの下部に格納できる場合には、荷受台20の折り畳み機構自体を省略できる。このような荷受台を採用した格納式荷受台昇降装置にも各ステップは適用可能である。また格納式荷受台昇降装置には、車枠の下側に格納する格納姿勢の他、荷受台を車両の荷台の壁面(例えば後面)に沿って起立させた格納姿勢を選択できるものも存在する。このような2通りの格納姿勢を採用する格納式荷受台昇降装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…格納式荷受台昇降装置、20…荷受台、21…基端側荷受台、22…先端側荷受台、31…ガイドレール、32…スライダ、42…リフトアーム(アーム)、43…コンプレッションアーム(アーム)、50,50A-50C…ステップ、52…軸、53…平行リンク
図1
図2
図3
図4
図5