(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
B23B 15/00 20060101AFI20220912BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B23B15/00 G
B23Q7/00 A
(21)【出願番号】P 2018205994
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 洋一
(72)【発明者】
【氏名】前原 智憲
(72)【発明者】
【氏名】志田 忠靖
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-079102(JP,U)
【文献】特開2008-246585(JP,A)
【文献】特開2017-013191(JP,A)
【文献】実開平01-163001(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 13/00-13/02,15/00;
B23Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸に把持されたワークを受け取る
半円筒状の第1受取部と、
前記第1受取部から前記ワークを受け取る第2受取部と、を備え、
前記第1受取部は、前記ワークが前記第1受取部の端面からの落下を防止するストッパ部を備え、
前記第1受取部の回転によって、前記ワークが前記第1受取部の周面の開口部から落下して、前記第2受取部に受け渡され、
前記第2受取部が、前記主軸の軸線方向に、前記第1受取部に対して相対移動することで、前記ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
前記第2受取部は、
開閉自在に構成された半円筒状の第1ケース及び第2ケースを有し、
前記第1ケース及び前記第2ケースは、互いに合わさった閉状態で前記第1受取部を挿入する収容空間を内部に有する筒状ケースを構成するとともに、前記筒状ケースの内面に前記ワークの位置決めを行う位置決め部を有し、
前記位置決め部は、前記第2受取部の前記第1受取部に対する相対移動の際、前記ストッパ部に干渉しない位置に前記ワークを位置決めする
ことを特徴とする、ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記筒状ケースの開口部の直径は、半円筒状の前記第1受取部の外径より大きい
ことを特徴とする、請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記主軸の軸線方向に沿って延在した凹部である
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記第2受取部は、前記位置決め部の端部に壁部を有する
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工室から外部にワークを搬送するワーク搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加工室内で加工されたワークを外部に搬送するワーク搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主軸に把持されたワークを受け取る第1受取部と、第1受取部からワークを受け取る第2受取部と、を備え、第1受取部は、ワークが第1受取部の端面からの落下を防止するストッパ部を備え、第1受取部の回転によって、ワークが第1受取部の周面の開口部から落下して、第2受取部に受け渡され、第2受取部が、主軸の軸線方向に、第1受取部に対して相対移動することで、ワークを搬送するワーク搬送装置がある。
【0005】
このようなワーク搬送装置は、第1受取部からワークを受け渡された第2受取部が、第1受取部に対して相対移動する際に、第1受取部のストッパ部とワークとが干渉する虞がある、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、第1受取部から第2受取部に円滑にワークを受け渡して搬送することができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のワーク搬送装置は、主軸に把持されたワークを受け取る第1受取部と、第1受取部からワークを受け取る第2受取部と、を備え、第1受取部は、ワークが第1受取部の端面からの落下を防止するストッパ部を備え、第1受取部の回転によって、ワークが第1受取部の周面の開口部から落下して、第2受取部に受け渡され、第2受取部が、主軸の軸線方向に、第1受取部に対して相対移動することで、ワークを搬送するワーク搬送装置であって、第2受取部は、ワークの位置決めを行う位置決め部を有し、位置決め部は、第2受取部の第1受取部に対する相対移動の際、ストッパ部に干渉しない位置にワークを位置決めすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明のワーク搬送装置では、第1受取部から第2受取部に円滑にワークを受け渡して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の工作機械の構成を示す斜視図である。
【
図2】実施例1の装置本体の構成を示す平面図である。
【
図3】実施例1の第1受取部の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施例1の第1受取部の構成を示す断面図である。
【
図5】実施例1のワーク搬送装置の構成を示す側面図である。
【
図6】実施例1のワーク搬送装置の第2受取部の構成を示す斜視図である。
【
図7】実施例1のワーク搬送装置の第2受取部の構成を示す断面図である。
【
図8】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、ワーク搬送装置が待機位置にある状態を示す。
【
図9】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、ワーク搬送装置が待機位置にある状態を示す。
【
図10】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、ワーク搬送装置が退避位置にある状態を示す。
【
図11】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、ワーク搬送装置が受取位置にある状態を示す。
【
図12】実施例1の第1受取部の動作を説明する説明図である。
【
図13】実施例1の第1受取部の動作を説明する説明図である。
【
図14】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、ワーク搬送装置が退避位置にある状態を示す。
【
図15】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、ワーク搬送装置が待機位置にある状態を示す。
【
図16】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、ワーク搬送装置が回収位置にある状態を示す。
【
図17】実施例1の工作機械の動作を説明する説明図であり、回収位置での搬送装置本体の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるワーク搬送装置を実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0011】
実施例1におけるワーク搬送装置は、自動旋盤装置に適用される。
【実施例1】
【0012】
[工作機械の構成]
以下、
図1に基づいて、実施例1の工作機械の構成を説明する。
【0013】
工作機械1は、所定のワークを機械加工する装置本体10と、工作機械1の全体の制御を司る制御部(図示せず)と、を備える。
【0014】
装置本体10は、本体カバー11によって覆われている。本体カバー11には、開放自在な扉体12が設けてある。本体カバー11と、扉体12とで囲まれた空間は、加工室Kとして構成される。
【0015】
[装置本体の構成]
以下、
図2に基づいて、実施例1の装置本体10の構成を説明する。装置本体10は、加工室K内に、主軸としての正面主軸115と、背面主軸215と、刃物台18と、ワーク搬送装置30と、を備える。加工室Kの外部には、ワーク回収ケース50を備える。
【0016】
なお、正面主軸115の軸線方向をZ軸方向、Z軸方向と水平方向において直交する方向をX軸方向、Z軸及びX軸と直交する上下方向をY軸方向とする。また、Z軸方向のうち、
図2で右方向を右方向Rとし、
図2で左方向を左方向Lとする。
【0017】
正面主軸115は、主軸台116に支持される。主軸台116には、ボールねじ118が取り付けられる。正面主軸115は、モータ119によってボールねじ118が回転することで、ベッド15の上に設けられたガイドレール117に沿って、Z軸方向にスライドする。
【0018】
背面主軸215は、正面主軸115より左側に、正面主軸115と対向して設けられる。すなわち、正面主軸115の軸線Aは、背面主軸215の軸線と一致する。背面主軸215は、主軸台216に支持される。主軸台216には、ボールねじ218が取り付けられる。背面主軸215は、モータ219によってボールねじ218が回転することで、ベッド15の上に設けられたガイドレール217に沿って、Z軸方向にスライドする。また、背面主軸215には、ワーク搬送装置30の一部を構成する第1受取部20が取り付けられる。
【0019】
刃物台18は、正面主軸115に把持されたワークWを加工する工具を保持し、正面主軸115の近傍に設けられる。
【0020】
[第1受取部の構成]
以下、
図3及び
図4に基づいて、実施例1の第1受取部20の構成を説明する。
【0021】
第1受取部20は、第1受取部本体21と、第1受取部基部22と、を有する。第1受取部本体21は、壁状のストッパ部21aを備える。
【0022】
第1受取部本体21は、半円筒状に形成される。ストッパ部21aは、第1受取部本体21の前側の先端に形成される。ストッパ部21aは、端面方向から見て、半ドーナツ状に形成される。ストッパ部21aは、第1受取部本体21よりも半径方向内側に突出して形成される。
【0023】
第1受取部基部22は、ボルトVによって背面主軸215に固定される。これにより、第1受取部20は、背面主軸215と一体に回転し、第1受取部本体21の周面の開口部が上方に向いている上向姿勢と、第1受取部本体21の周面の開口部が下方に向いている下向姿勢と、をとることができる。
【0024】
[ワーク搬送装置の構成]
以下、
図2及び
図5~
図7に基づいて、実施例1のワーク搬送装置30の構成を説明する。
【0025】
ワーク搬送装置30は、搬送装置本体30Aと、ボールねじ41と、レール42と、を備える。また、ワーク搬送装置30は、第1受取部20も備える。
【0026】
搬送装置本体30Aは、第2受取部としての第1ケース31と第2ケース32と、開閉機構としての第1アーム33と第2アーム34と、アーム体36と、支持体38と、を備える。
【0027】
アーム体36は、支持体38に固定されたアーム体支持軸37に軸支される。アーム体36は、図示しないアーム体駆動部に接続され、アーム体支持軸37の回りに回動可能とする。
【0028】
支持体38には、ボールねじナット38aと、ガイド部38bと、が取り付けられる。
【0029】
ボールねじナット38aには、ボールねじ41が取り付けられる。ガイド部38bは、ベッド15の上に設けられたレール42に支持される。搬送装置本体30Aは、モータ70によってボールねじ41が回転することで、レール42に沿って、Z軸方向にスライドする。
【0030】
ボールねじ41とレール42は、加工室Kの内側から加工室Kの外側のワーク回収ケース50まで延在する。搬送装置本体30Aは、加工室Kの内側で加工済みのワークWを受け取り、レール42に沿って加工室Kの外側まで移動し、加工済みのワークWをワーク回収ケース50に回収させるようになっている。
【0031】
本体カバー11には、搬送装置本体30Aが通る開口部11aが設けられる。
【0032】
第1ケース31は、第1ケース本体31aと、壁部としての第1左壁31bと、第1右壁31cと、を備える。
【0033】
第1ケース本体31aは、半円筒状に形成される。すなわち、第1ケース本体31aは、Z軸方向に沿って凹部を形成する。
【0034】
第1左壁31bは、第1ケース31の左側端部に形成される。第1左壁31bは、Z軸方向から見て、半ドーナツ状に形成される。第1左壁31bは、第1ケース本体31aよりも半径方向内側に突出して形成される。
【0035】
第1右壁31cは、第1ケース31の右側端部に形成される。第1右壁31cは、Z軸方向から見て、半円状に形成される。
【0036】
第2ケース32は、第1ケース31と略対称形状であり、第2ケース本体32aと、壁部としての第2左壁32bと、第2右壁32cと、を備える。
【0037】
第2ケース本体32aは、半円筒状に形成される。すなわち、第2ケース本体32aは、Z軸方向に沿って凹部を形成する。
【0038】
第2左壁32bは、第2ケース32の左側端部に形成される。第2左壁32bは、Z軸方向から見て、半ドーナツ状に形成される。第2左壁32bは、第2ケース本体32aよりも半径方向内側に突出して形成される。
【0039】
第2右壁32cは、第2ケース32の右側端部に形成される。第2右壁32cは、Z軸方向から見て、半円状に形成される。
【0040】
第1ケース31には、第1アーム33が取り付けられる。第2ケース32には、第2アーム34が取り付けられる。第1アーム33と、第2アーム34は、アーム体36に取り付けられたアーム軸35に軸支される。
【0041】
第1アーム33と、第2アーム34とは、図示しないアーム駆動部に接続され、アーム軸35の回りに回動可能とする。第1アーム33と第2アーム34が、アーム軸35の回りに回動することで、第1ケース31と第2ケース32とが合わさった閉状態と、第1ケース31と第2ケース32とが開いた開状態とに切り替えることができる。
【0042】
第1ケース31と第2ケース32の閉状態では、収容空間Sを内部に形成する筒状ケースを形成する。
【0043】
第1ケース31と第2ケース32の閉状態では、半ドーナツ状の第1左壁31bと第2左壁32bとが合わさって、開口部40が形成される。開口部40は、Z軸方向から見て、円形に形成される。
【0044】
[工作機械の動作]
以下、
図8~
図17に基づいて、実施例1の工作機械の動作を説明する。
【0045】
なお、工作機械1のワーク搬送装置30は、待機位置P0、退避位置P1と、受取位置P2と、回収位置P3と、の間を移動可能である。
【0046】
退避位置P1は、第1ケース31と第2ケース32とで形成された筒状ケースが、Z軸方向で、第1受取部20から離れた位置であり、この筒状ケースの中心軸が、軸線Aと一致する位置である。
【0047】
受取位置P2は、第1受取部20が、収容空間Sに挿入された位置であり、第1ケース31と第2ケース32とで形成された筒状ケースの中心軸が、軸線Aと一致する位置である。
【0048】
待機位置P0は、第1ケース31と第2ケース32が、退避位置P1から軸線Aに垂直な平面上を旋回して移動した位置であり、正面主軸115と背面主軸215の動作に影響を及ぼさない位置である。
【0049】
回収位置P3は、搬送装置本体30Aが、Z軸方向に、待機位置P0からワーク回収ケース50まで移動した位置である。
【0050】
図8に示すように、正面主軸115に把持されたワークWが、刃物台18の所定の工具によって、所定の形状に加工される。この際、搬送装置本体30Aは、待機位置P0にある。
【0051】
次いで、
図9に示すように、主軸台216が、ガイドレール217に沿って、右方向Rに移動する。この際、第1受取部20は、第1受取部本体21の周面の開口部が上方を向く上向姿勢となっている。
【0052】
第1受取部20が、ワークWの下方まで移動すると、主軸台216が停止する。主軸台216が停止すると、突っ切り加工により、加工済みのワークWを正面主軸115から分離する。分離したワークWは、上向姿勢の第1受取部20の第1受取部本体21の内周面上に落下して載置される。すなわち、第1受取部20は、正面主軸115から加工済みのワークWを受け取る。
【0053】
次いで、
図10に示すように、主軸台216が、ガイドレール217に沿って、左方向Lに移動する。この際、ストッパ部21aは、ワークWが第1受取部20の端面から落下するのを防止する。
【0054】
次いで、アーム体36が、アーム体支持軸37の回りに回動して、搬送装置本体30Aは、退避位置P1に移動する。
【0055】
次いで、
図11に示すように、搬送装置本体30Aが、レール42に沿って、左方向Lに移動して受取位置P2に移動する。この際、第1ケース31と第2ケース32は、閉状態となって筒状のケースを形成し、内部にワークWを載置可能とする。そして、
図12に示すように、第1受取部本体21は、開口部40から収容空間Sに挿入される。
【0056】
ここで、開口部40の直径は、第1受取部本体21の外径より僅かに大きく形成される。そのため、第1受取部本体21は、開口部40から軸線Aに沿って挿入され、収容空間Sに収容可能となる。
【0057】
次いで、
図13に示すように、第1受取部20は、背面主軸215が回転して、第1受取部本体21の周面の開口部が下方に向く下向姿勢となる。第1受取部20が下向姿勢となると、ワークWは、第1受取部本体21から落下して、第1ケース31の内面31eと第2ケース32の内面32e上に載置される。すなわち、第2受取部としての第1ケース31と第2ケース32は、第1受取部20からワークWを受け取る。
【0058】
次いで、
図14に示すように、搬送装置本体30Aが、レール42に沿って、右方向Rに移動して、退避位置P1に戻る。
【0059】
ここで、第1ケース31の内面31eと第2ケース32の内面32eとは、Z軸方向に沿って凹部を形成する。そのため、第1ケース31の内面31eと第2ケース32の内面32eに載置されたワークWは、Z軸方向の左右に移動しないように位置決めされる。すなわち、筒状ケースの内面31e,32eは、位置決め部を構成する。そのため、ワークWは、ストッパ部21aに干渉しない位置に配置される。
【0060】
次いで、搬送装置本体30Aは、
図15に示すように、ワーク搬送装置30のアーム体36が、アーム体支持軸37の回りに回動して、待機位置P0に戻る。
【0061】
次いで、
図16に示すように、搬送装置本体30Aが、レール42に沿って、開口部11aを通って、本体カバー11の外部のワーク回収ケース50の回収位置P3まで移動する。
【0062】
次いで、
図17に示すように、第1ケース31と第2ケース32は、開閉機構としての第1アーム33と第2アーム34によって、第1ケース31と第2ケース32の閉状態から第1ケース31と第2ケース32の開状態に遷移する。
【0063】
第1ケース31と第2ケース32が開状態になると、ワークWは、落下して、ワーク回収ケース50に回収される。
【0064】
[ワーク搬送装置の作用]
以下、実施例1のワーク搬送装置30の作用について説明する。実施例1のワーク搬送装置30は、主軸(正面主軸115)に把持されたワークWを受け取る第1受取部20と、第1受取部20からワークWを受け取る第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)と、を備え、第1受取部20は、ワークWが第1受取部20の端面からの落下を防止するストッパ部21aを備え、第1受取部20の回転によって、ワークWが第1受取部20の周面の開口部から落下して、第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)に受け渡され、第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)が、主軸(正面主軸115)の軸線方向に、第1受取部20に対して相対移動することで、ワークWを搬送する。このワーク搬送装置30において、第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)は、ワークWの位置決めを行う位置決め部(内面31e,32e)を有し、位置決め部(内面31e,32e)は、第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)の第1受取部20に対する相対移動の際、ストッパ部21aに干渉しない位置にワークWを位置決めする(
図13)。
【0065】
これにより、第1受取部20からワークWを受け渡された第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)が、第1受取部20に対して相対移動する際に、ストッパ部21aに干渉しない位置にワークWを位置決めすることができる。そのため、第1受取部20から第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)に円滑にワークWを受け渡して搬送することができる。
【0066】
実施例1のワーク搬送装置30では、位置決め部(内面31e,32e)は、主軸(正面主軸115)の軸線方向に沿って延在した凹部である(
図7)。
【0067】
これにより、位置決め部(内面31e,32e)に載置したワークWを、主軸(正面主軸115)の軸線方向の左右に移動しないようにすることができる。そのため、ワーク搬送装置30が、受取位置P2から退避位置P1に移動する際に、位置決め部(内面31e,32e)に載置されたワークWが、ストッパ部21aに干渉しないようにすることができる。
【0068】
実施例1のワーク搬送装置30では、位置決め部(内面31e,32e)は、筒状ケースの内面(内面31e,32e)である(
図7)。
【0069】
これにより、位置決め部(内面31e,32e)を、主軸(正面主軸115)の軸線方向に垂直な面で旋回させた場合、ワークWを筒状ケースから落下させないようにすることができる。また、ワークWを加工中に、位置決め部(内面31e,32e)に切り粉や切削水が進入することを防止することができる。
【0070】
実施例1のワーク搬送装置30では、第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)は、位置決め部(内面31e,32e)の端部に壁部(第1左壁31b,第2左壁32b)を有する(
図6)。
【0071】
これにより、第2受取部(第1ケース31,第2ケース32)が、受取位置P2から退避位置P1に移動する際に、ワークWが位置決め部(内面31e,32e)から、落下することを防止する。
【0072】
以上、本発明のワーク搬送装置を実施例1に基づき説明した。しかし、具体的な構成と動作については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0073】
実施例1では、第1ケース本体31aと第2ケース本体32aは、背面主軸215の軸線方向に沿って形成された凹部として、半円筒状に形成される例を示した。しかし、第1ケース本体31aと第2ケース本体32aは、背面主軸215の軸線方向に沿って形成された凹部を、Z軸方向に垂直な断面でV字状の溝形状としてもよい。
【0074】
実施例1では、本発明を正面主軸115と背面主軸215を備える工作機械に適用する例を示した。しかし、本発明は、複数の主軸を備える工作機械に適用することができる。
【0075】
実施例1では、ワーク回収ケース50を1つ設ける例を示した。しかし、ワーク回収ケースとしては、複数設けてもよい。
【0076】
実施例1では、第1受取部本体21や、第1ケース本体31aや、第2ケース本体32aに、切削油を逃がす貫通孔を設けない例を示した。しかし、第1受取部本体や、第1ケース本体や、第2ケース本体に、切削油を逃がす貫通孔を設けてもよい。
【0077】
実施例1では、第1受取部基部22を、ボルトVによって背面主軸215に固定する例を示した。しかし、第1受取部は、背面主軸に備わったチャックによって固定されるようにしてもよい。
【0078】
実施例1では、本発明を自動旋盤装置に適用する例を示した。しかし、本発明は、他の切削加工機や、研磨加工機、放電加工機等の特殊加工機等の工作機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 工作機械
20 第1受取部
21a ストッパ部
30 ワーク搬送装置
31 第1ケース(第2受取部の一例)
31b 第1左壁(壁部の一例)
31e 内面(位置決め部の一例)
32 第2ケース(第2受取部の一例)
32b 第2左壁(壁部の一例)
32e 内面(位置決め部の一例)
115 正面主軸(主軸の一例)
P1 退避位置
P2 受取位置
W ワーク