(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】距離測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/02 20060101AFI20220912BHJP
G01B 3/1084 20200101ALI20220912BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
G01B21/02 Z
G01B3/1084
G01B11/02 Z
(21)【出願番号】P 2021193733
(22)【出願日】2021-11-30
(62)【分割の表示】P 2018148588の分割
【原出願日】2018-08-07
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 暢
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-233106(JP,A)
【文献】特表2007-524093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0185949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/10-3/1094
7/00-7/34
11/00-11/30
21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の内部に収納され、前記本体部の一端側から前記本体部の外部に引き出し可能に構成された巻尺と、
前記巻尺の前記本体部から引き出された距離を測定する測定部と、
前記巻尺の引き出し方向とは反対側に向かって検出光を照射する発光部と、前記検出光の反射光を受光し前記反射光に応じた出力信号を出力する受光部と、を有し、前記出力信号に基づいて前記引き出し方向とは反対側に存在する対象物と前記本体部との間の距離を測定する距離計と、
前記測定部の測定結果と前記距離計の測定結果との合計の距離を表す合計距離情報を算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記合計距離情報を表示する距離表示部と、
前記巻尺を前記本体部から直線的に引き出すためのガイド光を前記本体部の前記一端側に向けて照射するガイド光照射部と、
を備え、
前記ガイド光照射部は、前記巻尺を前記本体部の前記一端側に直線的に引き出した際に、前記巻尺の表面に直線状の光の筋が照射されるように設けられる距離測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、距離測定装置に関する。より詳しくは、レーザ距離計と巻尺とを組み合わせることにより、高さなどの測定を簡単かつ高精度に行うことができる距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻尺を用いて地面から2m~4m程度の高さを測定する場合に、例えば、巻尺の先端爪を対象物に掛け、他端側を地面で折り返して測定したり、高さを複数回に分割して測定したりしている。このため、測定に手間が掛かったり、測定精度が低下したりしてしまう場合がある。
【0003】
例えば、一人では巻尺を適切に押さえて測定することが難しい場合がある。このような場合に、一人で無理に測定を行うと、巻尺の位置がズレたりして測定精度が低下してしまう。また、測定精度を維持するために、複数人で巻尺を押さえて測定を行うと、測定に非常に手間が掛かってしまう。
【0004】
また、レーザ距離計を用い、2辺又は3辺の測定や、傾斜を測定し、ピタゴラスの定理によって高さを測定することも行われている。しかしながら、レーザ距離計を用いた測定においても、直線距離、斜距離、角度などの複数の測定を行い、ピタゴラスの定理で計算して高さを算出しなければならないため、測定に手間が掛かるとともに、測定誤差や計算誤差が発生してしまう可能性もある。また、レーザ距離計を用いた測定では、三脚などを用いてレーザ距離計を保持しておかないと、高い測定精度得ることができず、こうした三脚などの用意も測定に手間のかかる要因となっている。
【0005】
このため、対象物の高さなどを測定する距離測定装置では、一人で測定を行う場合などにも、高さなどの測定を簡単かつ高精度に行えるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、高さなどの測定を簡単かつ高精度に行うことができる距離測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、本体部と、前記本体部の内部に収納され、前記本体部の一端側から前記本体部の外部に引き出し可能に構成された巻尺と、前記巻尺の前記本体部から引き出された距離を測定する測定部と、前記巻尺の引き出し方向とは反対側に向かって検出光を照射する発光部と、前記検出光の反射光を受光し前記反射光に応じた出力信号を出力する受光部と、を有し、前記出力信号に基づいて前記引き出し方向とは反対側に存在する対象物と前記本体部との間の距離を測定する距離計と、前記測定部の測定結果と前記距離計の測定結果との合計の距離を表す合計距離情報を算出する算出部と、前記算出部で算出された前記合計距離情報を表示する距離表示部と、前記巻尺を前記本体部から直線的に引き出すためのガイド光を前記本体部の前記一端側に向けて照射するガイド光照射部と、を備え、前記ガイド光照射部は、前記巻尺を前記本体部の前記一端側に直線的に引き出した際に、前記巻尺の表面に直線状の光の筋が照射されるように設けられる距離測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
高さなどの測定を簡単かつ高精度に行うことができる距離測定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表す正面図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表す正面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表す断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
【
図5】巻尺を用いた対象物の高さの測定方法の一例を模式的に表す参考の説明図である。
【
図6】距離計を用いた対象物の高さの測定方法の一例を模式的に表す参考の説明図である。
【
図7】第1の実施形態に係る距離測定装置を用いた対象物の高さの測定方法の一例を模式的に表す説明図である。
【
図8】第2の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
【
図9】第3の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
【
図10】第4の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、第4の実施形態に係る距離測定装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【
図12】第5の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表す正面図である。
図2(a)及び
図2(b)は、第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表す正面図である。
図3は、第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表す断面図である。
図4は、第1の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
図3は、
図2(b)のA1-A2線断面を模式的に表す。
【0013】
図1~
図4に表したように、距離測定装置10は、本体部12と、巻尺14と、測定部16と、距離計18と、制御部20と、算出部22と、表示部24(距離表示部)と、を備える。
【0014】
本体部12は、内部空間12sを有し、内部空間12sに巻尺14や距離計18などの各部を内部に収納する。本体部12は、例えば、中空の直方体状である。本体部12の形状は、これに限ることなく、各部を収納可能な内部空間12sを有する任意の形状でよい。但し、本体部12の外形形状は、直方体状など、使用者が手に持って操作し易い形状であることが好ましい。
【0015】
巻尺14は、本体部12の内部空間12sに収納され、本体部12の一端12a側から本体部12の外部に引き出し可能に構成されている。巻尺14は、例えば、スケールあるいはコンベックスと呼ばれる場合もある。本体部12は、内部空間12sを外部と連通させる貫通孔12pを有する。貫通孔12pは、本体部12の一端12a側に設けられている。貫通孔12pは、例えば、巻尺14の断面形状に対応したスリット状である。巻尺14は、貫通孔12pを介して本体部12からの引き出し、及び本体部12への収納を可能とする。
【0016】
巻尺14は、例えば、湾曲した金属製のテープからなる鋼製巻尺である。これにより、巻尺14を引き出した状態で保持し易くし、距離の測定を行い易くすることができる。但し、巻尺14は、金属製に限ることなく、他の材料を用いたものでもよい。
【0017】
距離測定装置10は、例えば、図示を省略した巻取機構を有する。巻取機構は、バネなどを有し、本体部12内に収納する方向の力を巻尺14に付与する。これにより、巻取機構は、手などで引き出す外力が巻尺14に加わっていない状態において、巻尺14を自動的に本体部12内に収納できるようにする。
【0018】
また、距離測定装置10は、ロック機構26を有する。ロック機構26の一部は、本体部12の外側に設けられ、本体部12の外側から操作可能とされている。ロック機構26は、使用者の操作に応じて、巻尺14の引き出し及び収納の移動を阻害するロック状態と、巻尺14の引き出し及び収納の移動を許容する非ロック状態と、を有する。これにより、距離測定装置10では、例えば、
図1に表したように、巻尺14を所望の長さ分だけ引き出した状態で保持することができ、距離の測定をよりし易くすることができる。
【0019】
測定部16は、巻尺14の本体部12から引き出された距離(長さ)を測定する。換言すれば、測定部16は、巻尺14の先端14aから本体部12までの長さを測定する。測定部16には、例えば、巻尺14を支持する回転軸の回転を検出することによって、巻尺14の引き出された距離を測定するロータリエンコーダなどを用いることができる。但し、測定部16は、これに限ることなく、巻尺14の引き出された距離を測定可能な任意の部材でよい。
【0020】
距離計18は、発光部18aと、受光部18bと、を有する。発光部18aは、本体部12の他端12b側に向かって検出光DLを照射する。他端12bは、本体部12の一端12aと反対側の端部である。すなわち、発光部18aは、巻尺14の引き出し方向とは反対側に向かって検出光DLを照射する。
【0021】
受光部18bは、検出光DLの反射光RLを受光し、反射光RLに応じた出力信号を出力する。距離計18は、受光部18bの出力信号に基づいて他端12b側(巻尺14の引き出し方向とは反対側)に存在する対象物と本体部12との間の距離を測定する。
【0022】
発光部18aには、例えば、レーザダイオードが用いられる。発光部18aは、レーザ光を検出光DLとして照射する。距離計18は、レーザ距離計である。受光部18bには、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの受光素子が用いられる。発光部18aは、例えば、赤外光などを検出光DLとして照射してもよい。距離計18の構成は、上記に限ることなく、検出光DL及び反射光RLによって対象物との距離を測定可能な任意の構成でよい。
【0023】
制御部20は、測定部16、距離計18、及び表示部24などの距離測定装置10の各部と接続され、距離測定装置10の各部を統括的に制御する。測定部16は、巻尺14の引き出された距離の測定結果を制御部20に入力する。距離計18は、対象物と本体部12との間の距離の測定結果を制御部20に入力する。
【0024】
算出部22は、制御部20に設けられている。算出部22は、測定部16の測定結果と距離計18の測定結果との合計の距離を表す合計距離情報を算出する。なお、算出部22は、必ずしも制御部20と一体に設ける必要は無く、制御部20と別に設けてもよい。
【0025】
測定部16は、巻尺14の先端14aから本体部12の一端12aまでの距離を測定する。距離計18は、対象物と本体部12の一端12aとの間の距離を測定する。すなわち、距離測定装置10では、本体部12の一端12aが、測定部16及び距離計18の測定の基準位置である。これにより、距離測定装置10では、巻尺14の先端14aと他端12b側に存在する対象物との間の距離を測定することができる。
【0026】
なお、上記と反対に、他端12bを測定の基準位置としてもよい。但し、一端12a側を基準位置とすることで、巻尺14の引き出された距離を目視でも確認できるようになり、距離測定装置10の利便性をより高めることができる。例えば、距離計18のみを用いて距離の測定を行う場合などに、一端12aを基準位置とするか他端12bを基準位置とするかを選択的に切り替えられるようにしてもよい。
【0027】
表示部24は、算出部22で算出された合計距離情報を表示する。また、表示部24は、例えば、合計距離情報を表示するとともに、測定部16の測定結果、及び距離計18の測定結果も、それぞれ表示する。表示部24には、例えば、各測定結果を文字列などで表示する液晶ディスプレイなどの表示装置が用いられる。
【0028】
図2(a)及び
図2(b)に表したように、表示部24は、本体部12に回動可能に支持され、画面24aを正面側に向けて画面24aを参照可能とする使用位置(
図1に表した位置)と、画面24aを本体部12で覆う収納位置(
図2(b)に表した位置)と、に移動する。すなわち、表示部24は、折り畳み可能である。これにより、画面24aを大きくして測定結果などを見易くしつつ、携帯時などにおいて表示部24が邪魔になってしまうことを抑制することができる。
【0029】
表示部24は、例えば、本体部12に一体的に設けてもよい。表示部24は、例えば、本体部12とは別に設けられ、無線通信を介して本体部12から表示する情報を取得してもよい。表示部24は、例えば、本体部12に対して着脱可能に構成してもよい。
【0030】
また、表示部24は、表示装置に限ることなく、合計距離情報などを音声によって表示するスピーカなどを用いてもよい。表示部24の構成は、上記に限ることなく、少なくとも合計距離情報を使用者などに表示することができる任意の構成でよい。
【0031】
距離測定装置10は、例えば、測定ボタン28と、電源ボタン30と、電源回路32と、をさらに備える。測定ボタン28及び電源ボタン30は、例えば、本体部12の外面に設けられる。測定ボタン28及び電源ボタン30の位置は、使用者などが操作可能な任意の位置でよい。
【0032】
測定ボタン28は、制御部20と接続されている。制御部20は、測定ボタン28の操作に応じて、測定部16から測定結果を取得する。また、制御部20は、測定ボタン28の操作に応じて、距離計18の発光部18aから検出光DLを照射させることにより、距離計18から測定結果を取得する。そして、制御部20は、測定部16の測定結果及び距離計18の測定結果を算出部22に入力して、算出部22に合計距離情報を算出させ、算出した合計距離情報を表示部24に表示させる。これにより、測定ボタン28の操作によって、巻尺14の先端14aと他端12b側に存在する対象物との間の距離の測定が行われ、その測定結果が表示部24に表示される。
【0033】
電源ボタン30は、電源回路32に接続されている。電源回路32は、例えば、電池を着脱可能に保持する。電源回路32は、電源ボタン30の操作に応じて電池の電力を所定の電力に変換し、変換後の電力を距離測定装置10の各部に供給する。これにより、電源ボタン30の操作に応じて距離測定装置10の各部が動作し、前述のように測定ボタン28を操作することによって測定が行われる。
【0034】
例えば、電源ボタン30を操作し、距離測定装置10を動作させた場合に、測定部16及び距離計18を常に動作させることにより、合計距離情報を常に表示部24に表示させるようにしてもよい。この場合、測定ボタン28は、省略してもよい。例えば、合計距離情報を常に表示しつつ、測定ボタン28の操作に応じて、所望の状態における合計距離情報の表示を保持できるようにしてもよい。
【0035】
図5は、巻尺を用いた対象物の高さの測定方法の一例を模式的に表す参考の説明図である。
図5に表したように、2m~4m程度の高さを有する対象物OBJの高さを巻尺MTを用いて測定する場合がある。このような測定においては、巻尺MTの先端を対象物OBJにかけ、巻尺MTを足元で折り曲げて測定することが行われている。なお、この例では、対象物OBJの一例として、GIS(Gas Insulated Switchgear)を例示している。対象物OBJは、GISに限ることなく、2m~4m程度の高さを有する任意の部材でよい。
【0036】
しかしながら、上記の測定方法では、足元の折り曲げ部分が正確に読み取り難くなってしまう可能性がある。また、何度も使用することで巻尺MTに曲げ癖や歪みが発生し、以降の測定精度が低下してしまう可能性もある。さらには、測定中に先端爪が外れ、測定に手間がかかってしまうこともある。例えば、下に向けて巻尺MTを伸ばすために足元に意識を向けたり、足元の数値を読もうとして下に意識を向けたりすると、先端爪が外れ易くなってしまう。
【0037】
図6は、距離計を用いた対象物の高さの測定方法の一例を模式的に表す参考の説明図である。
図6に表したように、2m~4m程度の高さを有する対象物OBJの高さをレーザ距離計LRFを用いて測定する場合がある。このような測定においては、2点の距離L1、L2と、これらの測定時の傾斜角度α、βと、を測定し、ピタゴラスの定理を用いて高さを計算することが行われている(L1・sinα+L2・sinβ)。
【0038】
しかしながら、上記の測定方法では、屋外の晴天時の測定などにおいてレーザポイントが見え難くなり、高所を測定する際に、レーザポイントの位置の確認が難しくなってしまう場合がある。また、離れた位置から正確に最上部へレーザ光を照射することが、難しい場合もある。また、手振れによる測定誤差を抑制するために、三脚TPを使用する必要があり、測定に必要となる基材が増えてしまう。さらに、ピタゴラスの定理によって距離を算出する場合には、様々な条件が必要となり、工事中などに簡易的に測定することが難しいという問題もある。また、ピタゴラスの定理によって高さを算出する場合には、各測定時の少しの誤差によって、高さの計算の誤差が大きくなってしまうという問題もある。
【0039】
このように、巻尺MTを用いた測定やレーザ距離計LRFを用いた測定では、測定を簡単かつ高精度に行うことが難しく、測定を簡単に行おうとすると測定精度が低下してしまい、高い精度を得ようとすると測定に手間がかかってしまう。このため、測定の現場においては、対象物OBJの高さなどの測定を簡単かつ高精度に行えるようにすることが望まれている。
【0040】
図7は、第1の実施形態に係る距離測定装置を用いた対象物の高さの測定方法の一例を模式的に表す説明図である。
図7に表したように、距離測定装置10を用いて対象物OBJの高さを測定する場合には、まず、巻尺14を本体部12から引き出して、巻尺14の先端14aを対象物OBJの上端に掛ける。この後、本体部12及び巻尺14を先端14aから鉛直下方に直線状に延ばす。換言すれば、巻尺14が上下方向と平行に延び、本体部12の一端12aが鉛直上方を向き、かつ本体部12の他端12bが鉛直下方を向くように、本体部12及び巻尺14を手で持って保持する。そして、この状態で、測定ボタン28を操作する。これにより、巻尺14の引き出された距離が、測定部16によって測定されるとともに、発光部18aから検出光DLが照射され、本体部12から地面までの距離が、距離計18によって測定される。これにより、合計距離情報が算出部22によって算出され、表示部24に表示される。換言すれば、対象物OBJの高さが、表示部24に表示される。
【0041】
距離測定装置10では、対象物OBJの高さや体勢などに合わせて巻尺14の引き出し長さを調整することで、体勢を崩さずに測定を行うことができる。また、三脚TPなどを用いることなく、手で把持した状態で測定を行うことができる。距離計18は、直線的に1点の距離を測定すればよく、
図6に表した例のように2点の距離を測定する場合などと比べて誤差の発生を抑制することができる。さらには、測定ボタン28を操作するだけで合計距離情報を表示部24に表示させることができ、特別な操作などを必要とすることなく、一人でも簡単に対象物OBJの高さなどを測定することができる。
【0042】
このように、本実施形態に係る距離測定装置10では、巻尺MTを用いた測定方法やレーザ距離計LRFを用いた測定方法などと比べて、一人で測定を行う場合などにも、対象物OBJの高さなどの測定を簡単かつ高精度に行うことができる。なお、距離測定装置10の測定対象は、対象物OBJの高さに限ることなく、対象物OBJの幅などでもよい。距離測定装置10の測定対象は、巻尺14と距離計18とを用いて直線的な距離(長さ)を測定可能な任意の測定対象でよい。
【0043】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に表したように、本実施形態に係る距離測定装置50は、姿勢検出部52と、報知部54と、をさらに備える。
【0044】
姿勢検出部52は、本体部12の姿勢を検出する。姿勢検出部52は、制御部20と接続され、本体部12の姿勢の検出結果を制御部20に入力する。姿勢検出部52には、例えば、加速度センサやジャイロセンサなどを用いることができる。但し、姿勢検出部52は、上記に限ることなく、本体部12の姿勢を検出可能な任意の部材でよい。
【0045】
制御部20は、姿勢検出部52が本体部12の所定の姿勢を検出した際に、測定部16及び距離計18のそれぞれから測定結果を取得し、算出部22に入力することにより、算出部22に合計距離情報を算出させる。すなわち、算出部22は、姿勢検出部52が本体部12の所定の姿勢を検出した際に、合計距離情報を自動的に算出し、表示部24に表示する。
【0046】
制御部20及び算出部22は、例えば、本体部12の一端12aが鉛直上方を向き、かつ本体部12の他端12bが鉛直下方を向いた状態を所定の姿勢とし、合計距離情報の算出を行う。
【0047】
このように、距離測定装置50では、本体部12を所定の姿勢とするだけで測定を行うことができる。これにより、測定をより簡単に行うことができる。また、例えば、対象物OBJの高さを測定する際に、本体部12が上下方向に対して傾いた状態で測定が行われてしまうことなどを抑制でき、測定の精度をより高めることもできる。
【0048】
なお、姿勢検出部52の検出結果に基づく自動測定は、電源ボタン30の操作に応じて電源を投入した後、自動で開始してもよいし、電源投入後の測定ボタン28の操作に応じて開始してもよい。自動で開始する場合には、測定ボタン28を省略してもよい。また、測定ボタン28の操作に応じて開始する場合には、測定ボタン28を操作したタイミングで測定を行う手動測定と、測定ボタン28を操作した後、姿勢検出部52の検出に応じて測定を行う自動測定と、を切り替えられるようにしてもよい。
【0049】
例えば、使用者などからの操作指示を受け付けるための操作部を設け、操作部からの操作指示に応じて、姿勢検出部52が検出する姿勢を変更できるようにしてもよい。例えば、本体部12の水平状態を姿勢検出部52に検出させることにより、対象物OBJの横幅などを自動的に測定できるようにしてもよい。
【0050】
報知部54は、姿勢検出部52の検出する本体部12の姿勢が、自動測定を行う所定の姿勢に近づいたことを報知する。報知部54には、例えば、音声によって報知を行うスピーカなどが用いられる。制御部20は、姿勢検出部52の検出する本体部12の姿勢が、自動測定を行う所定の姿勢に近づいた際に、報知部54に報知を行わせる。これにより、本体部12の姿勢を自動測定を行う所定の姿勢に近付けやすくすることができるとともに、自動測定が行われるタイミングを使用者などに知らせることができる。
【0051】
報知部54は、例えば、姿勢検出部52の検出する本体部12の姿勢が、所定の姿勢に近づくにつれて報知を強くする。報知部54は、例えば、姿勢検出部52の検出する本体部12の姿勢が、所定の姿勢に近づくにつれて報知の音を大きくする。これにより、本体部12の姿勢を所定の姿勢により近付けやすくすることができる。
【0052】
報知部54は、音声によって報知を行うスピーカに限ることなく、例えば、光の演出によって報知を行う発光素子などでもよい。報知部54は、姿勢検出部52の検出する本体部12の姿勢が、所定の姿勢に近づいたことを報知可能な任意の部材でよい。また、制御部20は、例えば、姿勢検出部52によって検出された姿勢を表示部24に表示してもよい。これにより、本体部12の姿勢を所定の姿勢により近付けやすくすることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
図9に表したように、本実施形態に係る距離測定装置60は、ガイド光照射部62をさらに備える。
【0054】
ガイド光照射部62は、巻尺14を本体部12から直線的に引き出すためのガイド光を、本体部12の一端12a側に向けて照射する。ガイド光照射部62は、例えば、指向性の高い光を照射する。ガイド光照射部62には、例えば、可視レーザ光を照射する照射部が用いられる。
【0055】
ガイド光照射部62は、巻尺14を一端12a側に直線的に引き出した際に、巻尺14の表面に直線状の光の筋が照射されるように設けられる。すなわち、ガイド光照射部62は、巻尺14を一端12a側に直線的に引き出した際にのみ巻尺14の表面に光の筋が現れるようにし、巻尺14を一端12a側に直線的に引き出した状態から前後や左右に傾けた際には、巻尺14の表面に光の筋が現れないようにする。なお、巻尺14の表面とは、例えば、目盛の付与された面である。
【0056】
このように、ガイド光照射部62を設けることにより、巻尺14を本体部12から直線的に引き出し易くすることができる。従って、対象物OBJの高さの測定の際などに、巻尺14が傾き、誤差が生じてしまうことを抑制することができる。これにより、距離測定装置60では、より簡単に測定できるようにしつつ、測定精度をより向上させることができる。
【0057】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
図10に表したように、本実施形態に係る距離測定装置70は、出力部72をさらに備える。
【0058】
出力部72は、算出部22によって算出された合計距離情報を外部に出力する。出力部72は、例えば、携帯端末80に合計距離情報を出力する。携帯端末80は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などである。出力部72は、例えば、携帯端末80と無線通信を行うことにより、携帯端末80に合計距離情報を出力する無線通信機である。出力部72は、これに限ることなく、例えば、有線通信によって携帯端末80などに合計距離情報を出力する出力インタフェースなどでもよい。
【0059】
出力部72は、制御部20と接続されている。制御部20は、例えば、算出部22に合計距離情報を算出させた後、算出した合計距離情報を表示部24に表示させるとともに、出力部72から携帯端末80に出力する。
【0060】
携帯端末80は、例えば、撮影部82と、記憶部84と、画像表示部86と、設定部88と、を備える。撮影部82は、撮影によって画像を取得する。撮影部82は、いわゆるデジタルカメラである。これにより、携帯端末80では、測定する対象物OBJの画像を取得することができる。
【0061】
記憶部84は、撮影部82によって取得された画像を記憶する。記憶部84は、例えば、対象物OBJの画像を記憶する。画像表示部86は、記憶部84に記憶された対象物OBJの画像などを表示する。画像表示部86には、液晶ディスプレイなどの任意の表示装置が用いられる。
【0062】
図11(a)及び
図11(b)は、第4の実施形態に係る距離測定装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図11(a)及び
図11(b)は、画像表示部86に表示された対象物OBJの画像PICの一例を模式的に表している。
【0063】
設定部88は、画像表示部86に表示された対象物OBJの画像PICに対して対象物OBJの測定位置MPを設定する。測定位置MPは、例えば、
図11(a)及び
図11(b)に表した矢線などのように、対象物OBJの測定する位置を表す図柄や記号などである。設定部88は、例えば、タッチパネルなどの入力装置である。設定部88は、画像表示部86に対象物OBJの画像PICが表示された状態で、所定の操作指示を入力することにより、対象物OBJの画像PICの所望の位置に測定位置MPを設定可能とする。
【0064】
また、設定部88は、測定位置MPを表す測定位置情報を対象物OBJの画像PICと関連付けて記憶部84に記憶させる。これにより、測定位置MPを一度設定した後には、対象物OBJの画像PICと測定位置MPとを繰り返し画像表示部86に表示することができる。
【0065】
本実施形態に係る距離測定装置70及び携帯端末80では、まず携帯端末80の撮影部82によって対象物OBJの画像PICを取得する。そして、設定部88を操作することにより、
図11(a)に表したように、対象物OBJの画像PICに測定位置MPを設定する。
【0066】
携帯端末80において測定位置MPを設定した後、距離測定装置70によって対応する測定位置MPの距離を測定し、出力部72から携帯端末80に合計距離情報を出力する。
【0067】
携帯端末80は、距離測定装置70から合計距離情報を入力されると、
図11(b)に表したように、入力された合計距離情報を測定位置MPと関連付けて画像表示部86に表示する。また、携帯端末80は、合計距離情報を対象物OBJの画像PIC及び測定位置情報と関連付けて記憶部84に記憶させる。これにより、一度関連付けを行った後には、対象物OBJの画像PICと測定位置MPと合計距離情報とを繰り返し画像表示部86に表示することができる。
【0068】
このように、本実施形態に係る距離測定装置70及び携帯端末80では、携帯端末80で測定位置MPを設定した後に、距離測定装置70で測定を行うことで、携帯端末80の画像表示部86に合計距離情報を表示させることができるとともに、合計距離情報を対象物OBJの画像PIC及び測定位置情報と関連付けて記憶部84に記憶させることができる。
【0069】
これにより、測定結果を後で確認する際などに、対象物OBJの画像PICと測定位置MPと合計距離情報とを画像表示部86に表示させることで、測定結果を容易に確認することができる。また、合計距離情報を手で入力する必要などもなく、測定結果の管理を容易に行うことができる。
【0070】
(第5の実施形態)
図12は、第5の実施形態に係る距離測定装置を模式的に表すブロック図である。
図12に表したように、本実施形態に係る距離測定装置100は、画像取得部102と、記憶部104と、設定部106と、をさらに備える。
【0071】
画像取得部102は、測定する対象物OBJの画像PICを取得する。画像取得部102は、撮影部82と同様にデジタルカメラなどでもよいし、携帯端末80などの外部の機器から対象物OBJの画像PICを取得する入力インタフェースなどでもよい。画像取得部102は、例えば、無線通信によって携帯端末80などから対象物OBJの画像PICを取得する無線通信機などでもよい。この場合、画像取得部102は、出力部72と共通の通信機で構成してもよい。画像取得部102は、対象物OBJの画像PICを取得可能な任意の構成でよい。
【0072】
記憶部104は、取得した対象物OBJの画像PICを取得する。距離測定装置100は、対象物OBJの画像PICを表示部24に表示する。すなわち、距離測定装置100では、表示部24が、算出部22で算出された合計距離情報を表示する距離表示部として機能するとともに、対象物OBJの画像PICを表示する画像表示部としても機能する。画像表示部は、距離表示部と別に構成してもよい。
【0073】
設定部106は、
図10に関して説明した設定部88と同様に、表示部24に表示された対象物OBJの画像PICに対して対象物OBJの測定位置MPを設定し、測定位置MPを表す測定位置情報を対象物OBJの画像PICと関連付けて記憶部104に記憶させる。設定部106には、設定部88と同様に、タッチパネルなどの任意の入力装置が用いられる。
【0074】
距離測定装置100において、算出部22は、設定部106によって測定位置MPが設定された状態で合計距離情報を算出した際に、合計距離情報を対象物OBJの画像PIC及び測定位置情報と関連付けて記憶部104に記憶させる。これにより、距離測定装置100においても、一度関連付けを行った後には、対象物OBJの画像PICと測定位置MPと合計距離情報とを繰り返し表示部24に表示することができる。
【0075】
このように、本実施形態に係る距離測定装置100では、設定部106で測定位置MPを設定した後に測定を行うことで、表示部24に合計距離情報を表示させることができるとともに、合計距離情報を対象物OBJの画像PIC及び測定位置情報と関連付けて記憶部104に記憶させることができる。従って、上記実施形態と同様に、測定結果を後で確認する際などに、対象物OBJの画像PICと測定位置MPと合計距離情報とを表示部24に表示させることで、測定結果を容易に確認することができるとともに、合計距離情報を手で入力する必要などもなく、測定結果の管理を容易に行うことができる。
【0076】
また、距離測定装置100において、出力部72は、互いに関連付けられた対象物OBJの画像PICと測定位置情報と合計距離情報とを携帯端末80などの外部に出力可能である。これにより、携帯端末80などでも測定結果を容易に確認することができ、距離測定装置100の利便性をより高めることができる。
【0077】
なお、出力部72からの対象物OBJの画像PICと測定位置情報と合計距離情報との出力は、合計距離情報の算出後などに自動的に行ってもよいし、操作部などを別途設け、操作部の操作に応じて行ってもよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
10…距離測定装置、 12…本体部、 12a…一端、 12b…他端、 12p…貫通孔、 12s…内部空間、 14…巻尺、 14a…先端、 16…測定部、 18…距離計、 18a…発光部、 18b…受光部、 20…制御部、 22…算出部、 24…表示部、 24a…画面、 26…ロック機構、 28…測定ボタン、 30…電源ボタン、 32…電源回路、 50…距離測定装置、 52…姿勢検出部、 54…報知部、 60…距離測定装置、 62…ガイド光照射部、 70…距離測定装置、 72…出力部、 80…携帯端末、 82…撮影部、 84…記憶部、 86…画像表示部、 88…設定部、 100…距離測定装置、 102…画像取得部、 104…記憶部、 106…設定部、 DL…検出光、 L1、L2…距離、 LRF…レーザ距離計、 MP…測定位置、 MT…巻尺、 OBJ…対象物、 PIC…画像、 RL…反射光、 TP…三脚