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  • 特許-センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
G01D11/24 B
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017168274
(22)【出願日】2017-09-01
(65)【公開番号】P2018059907
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】16306327.4
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513157198
【氏名又は名称】エスカエフ・マニュティック・メシャトロニク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ベルシェ
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ブリエ
(72)【発明者】
【氏名】エミリアン・コモーレ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・アイ
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0377659(US,A1)
【文献】特開平08-122165(JP,A)
【文献】実開昭61-125732(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00-13/28
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下で腐食性気体または液体に曝される環境において作動するためのセンサ(1)であって、ハウジング(2)を具備し、該ハウジングの内部には、
検知部(3)と、
該検知部(3)に電気的に接続された少なくとも1つの電線(4)と、
該少なくとも1つの電線(4)の一部を受容した少なくとも1つの貫通穴(6)を備え、前記検知部(3)と前記少なくとも1つの電線(4)との間の接続をシールするためのシール(5)と、が組み込まれており、
前記センサ(1)は、前記ハウジング(2)の内部に少なくとも部分的に組み込まれ、前記ハウジング(2)に対して移動可能であり、且つ前記シールを圧縮するために前記シール(5)に接触するように形成された圧縮器(7)をさらに具備し、
前記シール(5)は一体構造且つ単一材料製であり、当該材料は前記ハウジング(2)を構成した材料よりも柔らかく、
前記圧縮器(7)は、前記少なくとも1つの電線(4)の一部を受容した貫通穴を備えるナット(9)および上側プレート(8)を具備し、該上側プレート(8)は、単一部材であり、前記ナット(9)の締め付けの際に、前記ナット(9)は、前記上側プレート(8)を介して前記シール(5)を圧縮し、
前記圧縮器(7)の変位の際に、前記シール(5)により前記少なくとも1つの電線(4)の一部に加えられる圧縮力が生じるまで、前記シール(5)は変形され、これにより前記シール(5)と前記少なくとも1つの電線(4)との間の腐食性気体または液体のあらゆる通過を防止していることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項2】
前記シール(5)の変形は、前記ハウジング(2)の内側部への前記シール(5)の別の圧縮力を生じさせ、これにより前記シール(5)と前記ハウジング(2)との間の腐食性気体または液体のあらゆる通過を防止していることを特徴とする請求項1に記載のセンサ(1)。
【請求項3】
前記上側プレート(8)は前記ハウジング(2)と協働する回転防止手段(10)を具備し、これにより、前記ナット(9)の回転の際の、前記上側プレート(8)のあらゆる回転を防止していることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ(1)。
【請求項4】
前記回転防止手段(10)は、前記ハウジング(2)の嵌合平坦面と協働する少なくとも1つの平坦面から成ることを特徴とする請求項3に記載のセンサ(1)。
【請求項5】
前記シール(5)は、前記ハウジング(2)の内部に組み込まれ且つ前記シール(5)に関して前記圧縮器(7)の反対側の下側プレート(11)を接触して支持していることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のセンサ(1)。
【請求項6】
前記シール(5)はPTFEまたはFEP製であり、前記少なくとも1つの電線はFEP、またはPTFE、もしくはカプトンおよびダグラス材を含んだリボン製の外側絶縁体を具備していることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサ(1)。
【請求項7】
前記センサは2つの電線(4)を具備し、前記シール(5)は2つの貫通穴(6)を具備し、該貫通穴(6)の各々は1つの電線(4)を受容していることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のセンサ(1)。
【請求項8】
いくらかの注入材(13)が前記ハウジング(2)内に分注され、これにより前記センサ(1)の前記電線(4)と前記検知部(3)との間の電気的接続のシールをさらに改善していることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のセンサ(1)。
【請求項9】
電気モータもしくは磁気軸受内の要素もしくは材料の位置、変位、速度、回転速度、加速度、温度、圧力、振動、または存在もしくは不存在を測定するための、請求項1~8のいずれか一項に記載のセンサ(1)の搭載または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ、特に有線のセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスまたは石油の抽出および輸送のための、石油およびガス産業において使用される圧縮機またはターボ拡張機のような従来の回転機械は、部品の変位、速度、温度、振動、存在もしくは不存在のようないくつかのパラメータを制御または監視するための複数のセンサを具備している。これらのセンサは大抵は有線であり、数百バールにも到達する圧力において天然ガスのようなプロセスガスと時々接触する。不幸にもこの天然ガスは、硫化水素(HS)、二酸化炭素(CO)、および水のような腐食性混入物質または材料を含んでいるため、腐食性である。
【0003】
近年では、ステンレス鋼、PTFE、またはFEPのような特別な材料を使用することにより、センサの耐食性を改良する努力が行われてきた。
【0004】
しかしながら、センサのシールには問題が残っており、電線との電気的接続が形成されたセンサの領域内への任意の腐食性および/または導電性流体の進入の防止を確実にすることは、今日でも非常に困難である。
【0005】
したがって、改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、加圧下において腐食性気体または液体に曝される環境において動作するためのセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明はハウジングを具備したセンサに関連し、ハウジングの内部には検知部と、検知部に電気的に接続された少なくとも1つの電線と、ハウジングを構成した材料よりも柔らかい単一材料から形成された一体構造のシールと、が組み込まれている。シールは、検知部と電線との間の接続をシールするためのものである。シールは、電線の一部を受容するための少なくとも1つの貫通穴を具備している。センサは、ハウジングの内部に少なくとも部分的に組み込まれ、ハウジングに対して移動可能であり、且つシールを圧縮するためにシールと接触するように形成された圧縮器も具備している。本発明によれば、圧縮器の変位はシールを変形させ、これにより圧縮力がシールによって電線の一部に加えられる。
【0008】
本発明により、シールと電線との間の腐食性気体または液体の通過を防止することが可能である。
【0009】
有利であるが強制的ではない、本発明のさらなる態様によれば、そのようなセンサは以下の特徴の1つまたは複数を統合し得る。
- シールの変形は、ハウジングの内側部へのシールの別の圧縮力を生じさせ、これによりシールとハウジングとの間の腐食性気体または液体のあらゆる通過を防止している。
- 圧縮器はナットおよび上側プレートを具備し、上側プレートは、ナットの締め付けの際に、シールを圧縮する。
- 上側プレートはハウジングと協働する回転防止手段を具備し、これにより、ナットの回転の際の、上側プレートのあらゆる回転を防止している。
- 回転防止手段は、ハウジングの嵌合平坦面と協働する少なくとも1つの平坦面から成る。
- シールは、ハウジングの内部に組み込まれ且つシールに関して圧縮器の反対側の下側プレートを接触して支持している。
- シールはPTFEまたはFEP製であり、電線はFEP、またはPTFE、もしくはカプトンおよびダグラス(Kapton and Daglass)材を含んだリボン製の外側絶縁体を具備している。
- いくらかの注入材が、電線と検知部との間の電気的接続のシールを改善するために、ハウジング内に分注されている。
【0010】
本発明の別の目的は、電気モータもしくは磁気軸受内の要素もしくは材料の位置、変位、速度、回転速度、加速度、温度、圧力、振動、または存在もしくは不存在を測定するための、本発明によるセンサの搭載および仕様である。
【0011】
本発明は添付図に対応して且つ図示された実施例として、本発明の目的を制限することなくここに説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による好適な実施形態を示した斜視図であり、センサの内装をより良好に可視化するために、4分の1が除去されている図である。
図2】平面Pにおける図1のセンサの長手断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および図2は、中心軸X1を中心としたセンサ1を示している。
【0014】
センサ1は検知部3を収容したハウジング2を具備し、検知部は、少なくとも部分的にハウジング2の内部に延びた少なくとも1つの電線4に少なくとも電気的に接続されている。
【0015】
センサ1の検知部3は、電気モータもしくは磁気軸受内の要素もしくは材料の位置、変位、速度、回転速度、加速度、振動、温度、圧力、または存在もしくは不存在のうちの1つまたは複数のパラメータを検出する。例えば、センサ1は動作中の磁気軸受の回転子の回転速度を測定する。
【0016】
電線4は、外側絶縁体(図示略)によって囲まれた導電体(図示略)を具備している。絶縁体は、電気的および化学的の両方において導体をその環境から隔離している。有利には、絶縁体はFEPまたはPTFEもしくはカプトンおよびダグラス材を含んだリボン製である。
【0017】
電線4は、その一端において検知部3に接続され、一方でその他端はハウジング2の外側に出ている。
【0018】
電線4は、検知部3からおよび/または検知部3に電気信号を伝達する。
【0019】
ハウジング2はシール5を受容し、検知部3と電線4との間の電気接続、特に電線4の導体を保護している。
【0020】
シール5は全方向に変形可能である。
【0021】
シール5は一体構造且つ単一材料製であり、その材料はハウジング2を構成した材料よりも柔らかい。
【0022】
シール5は、熱可塑性材料のような合成材料から形成されている。
【0023】
シール5は、耐高温および耐腐食性物質の材料から形成されている。
【0024】
有利には、シール5はPTFEまたはFEP製である。
【0025】
シール5は環状円盤の形状である。円盤の外周は、ハウジング2の内側円筒部に面している。好適に、非変形状態のシールの外径は、ハウジング2の内側円筒部の径よりもわずかに小さく、センサ1の組み立ての際に、シールを容易にハウジング2の内部に組み込むことが可能である。
【0026】
シール5は、電線4の一部を受容した少なくとも1つの貫通穴6を具備している。シール5が非変形状態にある場合、電線4の一部と貫通穴との間には小さい間隙が存在しており、これは電線4をシール5に容易に貫通させて組み付けるためである。
【0027】
ハウジング2は、ハウジング2の内側に少なくとも部分的に組み込まれた圧縮器7をさらに受容している。圧縮器はハウジング2に対して移動可能である。
【0028】
圧縮器7は、シール5を圧縮するために、シール5に接触して設けられている。この圧縮の際に、シール5は変形し、シール5により少なくとも1つの電線4の一部に加えられた圧縮力が増大し、シール5と少なくとも1つの電線4との間の、腐食性気体または液体のあらゆる通過を防止している。
【0029】
さらに、シール5が変形した場合、シール5のハウジング2の内側部への別の圧縮力が増大し、シール5とハウジング2との間の腐食性気体または液体のあらゆる通過を防止している。
【0030】
図示された本発明の実施形態においては、圧縮器7はナット9および上側プレート8を具備している。ナット9の中心軸X1に沿った締め付けの際に、上側プレート8はシール5を圧縮する。上側プレート8はリング形状であり、ハウジング2の内側を中心軸X1に沿って移動する。上側プレート8はハウジング2と接触している。
【0031】
有利には、上側プレート(8)は、ハウジング(2)と協働する回転防止手段(10)を具備し、ナット(9)の回転の際の上側プレート(8)の中心軸X1周りのあらゆる回転を防止している。このことは、シールのX1に沿ったあらゆるねじれを防止しており、そのねじれは、(複数の)電線4のねじり、および/または電線4もしくは検知部3へのその電気的接続の潜在的な損傷に帰結し得る。
【0032】
図1に見られたような好適な実施形態においては、回転防止手段10は、上側プレート8の外周の少なくとも1つの平坦面から成る。この平坦面は、ハウジング2の嵌合平坦面と接触することにより協働している。
【0033】
ハウジング2は、シール5に接触して支持された下側プレート11も収容している。ハウジング2は、下側プレート11を接触して支持した阻止手段14を具備している。下側プレート11は、シール5に関して圧縮器7の反対側にある。ナット9の締め付けの際に、シールは上側プレート8、下側プレート11、およびハウジング2の間で圧縮される。
【0034】
阻止手段14は下側プレート11の軸方向、すなわち中心軸X1に平行な方向、特にセンサ1の検知部3とは反対に向かう方向へのあらゆる移動を防止している。
【0035】
図示された本発明の実施形態においては、阻止手段14は環状の面取り部から成る。好適に、面取り部の角度は中心軸X1に対して45°である。
【0036】
さらに、図示された実施形態においては、センサ1は2つの電線4を具備し、シール5は2つの貫通穴6を具備し、各貫通穴6は1つの電線4を受容している。
【0037】
下側プレート11、上側プレート8、およびナット9の各々は、少なくとも1つの電線4の通過のための少なくとも1つの貫通穴を具備している。
【0038】
中心軸X1は、ハウジング2、シール5、圧縮器7、下側プレート11、上側プレート8、およびナット9に共通の対称軸である。
【0039】
センサはさらに、センサを要素に組み込みまたは取り付けるための組み込み手段12を具備している。図示された本発明の好適な実施形態においては、組み込み手段12は2つの貫通穴から成り、それらの貫通穴を通じてネジまたはボルト(図示略)が挿入され得る。任意の他の適切な既知の取付手段が、センサ1が使用される用途および環境の要求に基づいて使用可能である。例えば、センサ1は回転電気機械の固定子に組み込まれて、回転電気機械の回転子のパラメータを測定する。
【0040】
検知部3と電線4との間の電気的接続のシールをさらに増強するために、ハウジングには注入材13が充填される。
【0041】
注入材13は、ハウジング内部の自由空間を少なくとも部分的に占めている。
【0042】
特に、いくらかの注入材は、電線4と検知部3との間の電気的接続が形成された領域内に分注されている。
【0043】
代替的にまたは付加的に、いくらかの注入材は、シール5および/または圧縮器7を含んだ領域のような他の領域内に分注されている。
【0044】
センサ1は以下の方法により組み立てられる。第1ステップにおいて、電線4の一端は検知部3に電気的に接続され、電線4の他端は自由端のままとされる。次に、電線4のこの自由端は、下側プレート11、シール5、上側プレート8、およびナット9の順に通じて挿入される。次に、得られた組立品は、センサ1のハウジング2の内部に組み込まれる。いくらかの注入材13が、ハウジング2の内部の、電線4と検知部3との間の電気的接続が形成された領域に分注される。次に、シール5が電気的接続の領域を密封するまで、ナット9が所定の変位またはトルク値を与えることにより締め付けられる。最後に、いくらかの注入材13が圧縮器7内に、特に上側プレート8、およびナット9の貫通穴内に分注される。
【0045】
本発明により、電線4と検知部3との間の電気的接続は、センサ1の外側から恒久的に密封してシールされるが、可逆的でもある。
【0046】
それに加えて、多様な実施形態の技術的特徴は、全体的にまたは部分的に互いに組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0047】
X1 ・・・中心軸
1 ・・・センサ
2 ・・・ハウジング
3 ・・・検知部
4 ・・・電線
5 ・・・シール
6 ・・・貫通穴
7 ・・・圧縮器
8 ・・・上側プレート
9 ・・・ナット
10 ・・・回転防止手段
11 ・・・下側プレート
12 ・・・組み込み手段
13 ・・・注入材
14 ・・・阻止手段
図1
図2