(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】端末装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
G06K7/10 144
G06K7/10 184
(21)【出願番号】P 2017192765
(22)【出願日】2017-10-02
【審査請求日】2020-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 宗貢
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】山澤 宏
【審判官】篠原 功一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-211297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K19/07
G01D21/00
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取り可能な情報コード読取部と、
電波を媒介としてRFタグとの間で無線通信を実行可能なRF通信部と、
ユーザが指示を入力可能な入力部と、
前記情報コード読取部及び前記RF通信部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力部に第1の指示が入力される場合に第1の処理を実行し、前記第1の指示の入力後に前記入力部に第2の指示が入力される場合に第2の処理を実行し、
前記第1の処理と前記第2の処理のうちの少なくとも一方は、前記RF通信部を利用したRF通信を含む処理であり、
前記第1の処理は、前記第2の処理と異なり、
前記入力部は、前記ユーザが押下可能な1個の
押しボタン式スイッチを有しており、
前記第1の指示は、
前記ユーザによって前記1個の
押しボタン式スイッチが押下されること
であり、
前記第2の指示は、
前記第1の指示で前記1個の
押しボタン式スイッチが押下された後、
前記第1の指示による前記1個の
押しボタン式スイッチの押下が
前記ユーザによって解除されること
であり、
前記制御部は、前記ユーザによって前記1個の
押しボタン式スイッチが押下されることと、前記1個の
押しボタン式スイッチの押下が
前記ユーザによって解除されることに応じて、前記端末装置の状態を、前記第1の処理を実行する状態と、前記第2の処理を実行する状態と、の間で切り替える、
端末装置。
【請求項2】
前記第1の処理は、前記情報コード読取部を利用して特定の情報コードに記録されているコード情報を取得する情報コード読み取り処理であり、
前記第2の処理は、前記RF通信部を利用して特定のRFタグとの間で前記RF通信を行うことを含むタグ関連処理である、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記タグ関連処理は、前記特定のRFタグとの間で前記RF通信を行うことによって、前記コード情報を前記特定のRFタグに書き込むタグ書き込み処理である、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記タグ書き込み処理の実行後に、前記特定のRFタグへの前記コード情報の書き込みが成功したか否かを確認するためのベリファイ処理を実行する、
請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記タグ関連処理は、前記特定のRFタグとの間で前記RF通信を行うことによって、前記特定のRFタグに記録されているタグ情報を取得するタグ読み取り処理であり、
前記制御部は、さらに、前記タグ読み取り処理の実行後に、取得された前記コード情報と、取得された前記タグ情報と、が一致するか否かを判断する照合処理を行う、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザによって前記1個の
押しボタン式スイッチが押下されることと、前記1個の
押しボタン式スイッチの押下が解除されることと、のいずれかに応じて、前記端末装置の状態を、前記情報コード読取部を利用した情報コード読み取り処理を実行する状態と、前記RF通信部を利用した前記タグ関連処理を実行する状態と、の間で切り替える、
請求項2から5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記タグ関連処理の実行中に前記1個の
押しボタン式スイッチが押下される場合、前記タグ関連処理を中止して前記情報コード読み取り処理を再度実行する、
請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の指示が入力される場合に、さらに、前記RF通信部を利用して外部との間で前記RF通信を試行することによって、1個のRFタグである前記特定のRFタグを示す特定のIDを取得するタグ検出処理を実行し、
前記タグ関連処理は、前記RF通信を利用して、前記特定のRFタグに、情報を記憶すること、又は、前記特定のRFタグが記憶している情報を送信すること、を要求する実行要求信号を送信することを含み、
前記実行要求信号は、前記タグ検出処理の結果取得された前記特定のIDを含む、
請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2の指示が入力される場合において、前記特定のIDが取得されていない場合には、前記タグ関連処理を実行しない、
請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記タグ検出処理を実行する場合に、外部に存在する1個以上のRFタグのそれぞれに対して、第1の電波強度で、1個のスロットを指定して、前記1個のスロットにおいて当該RFタグを示すIDを含む応答信号を送信するように要求するためのID要求信号を送信することを含み、
(a)前記ID要求信号が送信された結果、1個の応答信号が受信される第1の場合には、前記1個の応答信号に含まれるIDを前記特定のIDとして取得し、
(b)前記ID要求信号が送信された結果、複数個の応答信号が受信される第2の場合には、前記複数個の応答信号に含まれるいずれのIDも取得しないとともに、外部に存在する前記1個以上のRFタグのそれぞれに対して、前記第1の電波強度よりも小さい第2の電波強度で、前記1個のスロットを指定して、前記ID要求信号を再送信し、
(c)前記ID要求信号が送信された結果、応答信号が受信されない第3の場合には、外部に存在する前記1個以上のRFタグのそれぞれに対して、前記第1の電波強度よりも大きい第3の電波強度で、前記1個のスロットを指定して、前記ID要求信号を再送信する、
請求項8又は9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2の場合において、前記複数個の応答信号が受信された際における応答速度と電波強度の少なくとも一方に基づいて、前記第2の電波強度を特定する、
請求項10に記載の端末装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記タグ検出処理を実行する場合に、最初にID要求信号を送信する際の電波強度である前記第1の電波強度を、最小の大きさに特定する、
請求項10又は11に記載の端末装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記タグ検出処理を実行する場合に、外部に存在する1個以上のRFタグのそれぞれに対して、複数個のスロット数を指定して、指定されたスロット数の中からランダムに選択される通信スロットにおいて、当該RFタグを示すIDを含む応答信号を送信するように要求するためのID要求信号を送信し、
前記ID要求信号の送信に応じて1個以上の応答信号が受信される場合に、受信された際の電波強度が最も大きい1個の応答信号を特定し、当該1個の応答信号に含まれるIDを前記特定のIDとして特定する、
請求項8又は9に記載の端末装置。
【請求項14】
報知動作を行うための報知部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の処理が完了する場合と、前記第2の処理が完了する場合、とのうちの一方又は双方において、前記報知部に前記報知動作を行わせる、
請求項1から13のいずれか一項に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、情報コードを光学的に読み取り可能であるとともに、電波を媒介としてRFタグとの間で無線通信を実行可能な端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流や小売等の商業分野において、商品の管理等のために情報コードとRFタグとが混在して用いられる場合がある。例えば、商品の入った箱をコンテナに積み込むべき状況において、箱に付された情報コードから読み取られた情報と、コンテナに付されたRFタグから読み取られた情報とを照合し、両者が一致することが確認される場合に、箱を当該コンテナに積み込むようにする場合がある。また、例えば、価格等を示す商品情報を記録したRFタグを付して商品を店頭に陳列すべき状況において、所定の情報コードから読み取られた商品情報を、商品に付されるRFタグに書き込む場合もある。
【0003】
上記のような情報コード及びRFタグの利用状況に対応するために、情報コードの読み取りと、RFタグとの通信と、の両方を実行可能な端末装置も提供されている。例えば特許文献1には、情報コードを光学的に読み取り可能な情報コード読み取り部と、電波を媒介としてRFタグを読取可能なRFタグ読み取り部と、情報コード読み取り部及びRFタグ読み取り部の動作を制御する制御部と、を備える端末装置が開示されている。特許文献1の端末装置では、制御部は、情報コード読み取り部を利用した情報コードの読み取りと、RFタグ読み取り部を利用したRFタグの読み取りと、を同時に開始し、RFタグ読み取りの成功が情報コード読み取りの成功よりも先である場合にはRFタグの読み取り結果を出力し、情報コード読み取りの成功がRFタグ読み取りの成功よりも先である場合には情報コードの読み取り結果を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、情報コードの読み取りと、RFタグの読み取りと、のうち、先に完了した方の処理の結果しか出力されない。さらに、特許文献1の技術では、端末装置のユーザは、出力された情報が、RFタグの読み取り結果であるのか、情報コードの読み取り結果であるのかを把握できない場合がある。1つの端末装置を利用して、情報コードの読み取りと、RFタグとの無線通信と、を適切に実行し得る技術が求められている。
【0006】
本明細書では、情報コードを光学的に読み取り可能であるとともに、電波を媒介としてRFタグとの間で無線通信を実行可能な端末装置において、情報コードの読み取りと、RFタグとの無線通信と、を適切に実行し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する端末装置は、情報コードを光学的に読み取り可能な情報コード読取部と、電波を媒介としてRFタグとの間で無線通信を実行可能なRF通信部と、ユーザが指示を入力可能な入力部と、前記情報コード読取部及び前記RF通信部の動作を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記入力部に第1の指示が入力される場合に第1の処理を実行し、前記第1の指示の入力後に前記入力部に第2の指示が入力される場合に第2の処理を実行し、前記第1の処理と前記第2の処理のうちの少なくとも一方は、前記RF通信部を利用したRF通信を含む処理である。
【0008】
この構成によると、端末装置は、ユーザによって第1の指示が入力される場合に第1の処理を実行し、その後、ユーザによって第2の指示が入力される場合に第2の処理を実行する。ユーザは、指示を入力することによって、端末装置の状態を、第1の処理を実行する状態と、第2の処理を実行する状態との間で切り替えることができる。そのため、この構成によると、情報コードを光学的に読み取り可能であるとともに、電波を媒介としてRFタグとの間で無線通信を実行可能な端末装置において、端末装置に、情報コードの読み取りと、RFタグとの無線通信とを適切に実行させ得る。
【0009】
前記第1の処理は、前記情報コード読取部を利用して特定の情報コードに記録されているコード情報を取得する情報コード読み取り処理であってもよい。前記第2の処理は、前記RF通信部を利用して特定のRFタグとの間で前記RF通信を行うことを含むタグ関連処理であってもよい。
【0010】
この構成によると、端末装置は、情報コード読み取り処理によって取得されたコード情報を利用して、タグ関連処理を実行することができる。
【0011】
前記タグ関連処理は、前記特定のRFタグとの間で前記RF通信を行うことによって、前記コード情報を前記特定のRFタグに書き込むタグ書き込み処理であってもよい。
【0012】
この構成によると、端末装置は、情報コード読み取り処理によって取得されたコード情報を、特定のRFタグに書き込むことができる。従って、この端末装置を用いることで、例えば、小売店等において、価格等を示す商品情報を記録したRFタグを付して商品を店頭に陳列すべき状況で、所定の情報コードから読み取られた商品情報(即ちコード情報)を、商品に付されるRFタグに書き込むことができる。
【0013】
前記制御部は、さらに、前記タグ書き込み処理の実行後に、前記特定のRFタグへの前記コード情報の書き込みが成功したか否かを確認するためのベリファイ処理を実行してもよい。
【0014】
この構成によると、端末装置は、特定のRFタグへのコード情報の書き込みが成功したか否かを確認することができる。そのため、例えば、端末装置は、ベリファイ処理の結果、コード情報の書き込みが成功しなかったことが確認される場合に、タグ書き込み処理を再実行することが可能である。従って、この構成によると、端末装置は、特定のRFタグへのコード情報の書き込みを確実に実行し得る。
【0015】
前記タグ関連処理は、前記特定のRFタグとの間で前記RF通信を行うことによって、前記特定のRFタグに記録されているタグ情報を取得するタグ読み取り処理であってもよい。前記制御部は、さらに、前記タグ読み取り処理の実行後に、取得された前記コード情報と、取得された前記タグ情報と、が一致するか否かを判断する照合処理を行ってもよい。
【0016】
この構成によると、端末装置は、照合処理を行うことによって、情報コード読み取り処理によって取得されたコード情報と、タグ読み取り処理によって取得されたタグ情報と、が一致するか否かを判断することができる。従って、この端末装置を用いることで、例えば、物流業界において、商品の入った箱をコンテナに積み込む状況で、箱に付された情報コードから読み取られたコード情報と、コンテナに付された特定のRFタグから読み取られたタグ情報と、を照合し、両者が一致する場合に、箱を当該コンテナに積み込むようにすることができる。
【0017】
前記入力部はスイッチを有していてもよい。前記制御部は、前記ユーザによって前記スイッチが操作されることに応じて、前記端末装置の状態を、前記情報コード読取部を利用した情報コード読み取り処理を実行する状態と、前記RF通信部を利用した前記タグ関連処理を実行する状態と、の間で切り替えるようにしてもよい。
【0018】
この構成によると、ユーザは、自分でスイッチを操作することにより、端末装置の状態を切り替えることができる。ユーザは、端末装置の現在の状態を適切に把握しながら、端末装置に各処理を実行させることができる。
【0019】
前記スイッチは、前記ユーザが押下可能な1個の押しスイッチであってもよい。前記第1の指示は、前記スイッチが押下されることを含んでもよい。前記第2の指示は、前記スイッチが押下された後、前記スイッチの押下が解除されることを含んでもよい。
【0020】
この構成によると、端末装置は、ユーザが1個の押しスイッチを押下している間に情報コード読み取り処理を実行し、ユーザが押しスイッチの押下を解除すると、RF関係処理を実行する。従って、この構成によると、ユーザは、1個の押しスイッチを押下し、その押下を解除するという簡易な操作を行うだけで、端末装置に、情報コード読み取り処理とRF関係処理とを順次実行させることができる。
【0021】
前記制御部は、前記タグ関連処理の実行中に前記スイッチが押下される場合、前記タグ関連処理を中止して前記情報コード読み取り処理を再度実行するようにしてもよい。
【0022】
この構成によると、ユーザは、1個のスイッチを操作することで、端末装置に情報コード読み取り処理を再実行させることができる。
【0023】
前記制御部は、前記第1の指示が入力される場合に、さらに、前記RF通信部を利用して外部との間で前記RF通信を試行することによって、1個のRFタグである前記特定のRFタグを示す特定のIDを取得するタグ検出処理を実行してもよい。前記タグ関連処理は、前記RF通信を利用して、前記特定のRFタグに、情報を記憶すること、又は、前記特定のRFタグが記憶している情報を送信すること、を要求する実行要求信号を送信することを含み、前記実行要求信号は、前記タグ検出処理の結果取得された前記特定のIDを含んでもよい。
【0024】
この構成によると、端末装置は、第1の指示が入力される場合に、情報コード読み取り処理を実行するとともに、1個のRFタグである特定のRFタグを示す特定のIDを取得するタグ検出処理を実行する。そして、端末装置は、第2の指示が入力される場合に、タグ検出処理によって既に取得されている特定のIDを用いて、特定のRFタグへの情報の書き込みや、特定のRFタグからの情報の読み取りを行うことができる。第2の指示が入力された後でタグ検出処理を開始する構成を採用する場合に比べて、特定のRFタグとの間の各種処理(タグ書き込み処理又はタグ読み取り処理)を迅速に開始することができる。
【0025】
前記制御部は、前記第2の指示が入力される場合において、前記特定のIDが取得されていない場合には、前記タグ関連処理を実行しなくてもよい。
【0026】
第1の指示が入力される場合に実行されるタグ検出処理の結果、特定のIDが取得されていない場合には、端末装置の周囲に、端末装置と通信可能なRFタグが存在しない可能性がある。この構成によると、そのような場合には、端末装置はタグ関連処理を実行せずに済む。そのため、端末装置に不要なRF通信を実行させずに済むため、端末装置の処理負荷を軽減し得る。
【0027】
前記制御部は、前記タグ検出処理を実行する場合に、外部に存在する1個以上のRFタグのそれぞれに対して、第1の電波強度で、1個のスロットを指定して、前記1個のスロットにおいて当該RFタグを示すIDを含む応答信号を送信するように要求するためのID要求信号を送信することを含み、(a)前記ID要求信号が送信された結果、1個の応答信号が受信される第1の場合には、前記1個の応答信号に含まれるIDを前記特定のIDとして取得し、(b)前記ID要求信号が送信された結果、複数個の応答信号が受信される第2の場合には、前記複数個の応答信号に含まれるいずれのIDも取得しないとともに、外部に存在する前記1個以上のRFタグのそれぞれに対して、前記第1の電波強度よりも小さい第2の電波強度で、前記1個のスロットを指定して、前記ID要求信号を再送信し、(c)前記ID要求信号が送信された結果、応答信号が受信されない第3の場合には、外部に存在する前記1個以上のRFタグのそれぞれに対して、前記第1の電波強度よりも大きい第3の電波強度で、前記1個のスロットを指定して、前記ID要求信号を再送信するようにしてもよい。
【0028】
ユーザが端末装置を用いてRF関連処理を実行しようとする場合、端末装置(即ち端末装置を利用するユーザ)の最も近傍に存在する1個のRFタグとの間でRF関連処理を実行することを希望する場合が多い。この点、上記の第1の場合は、端末装置の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグである特定のRFタグから応答信号を受信したことを意味する。第2の場合は、端末装置の周囲に存在する複数個のRFタグ(即ち、最も近傍の特定のRFタグを含む複数個のRFタグ)から応答信号を受信したことを意味する。第3の場合は、ID要求信号を送信する際の電波の送信範囲内にRFタグが存在しないことを意味する。上記の構成によると、端末装置は、第2の場合及び第3の場合には、電波強度を変更してID要求信号を再送信する。そのため、端末装置は、端末装置の最も近傍に存在する1個のRFタグである特定のRFタグから1個の応答信号のみを受信するまで、電波強度を変更しながらID要求信号を送信することができる。従って、この構成によると、端末装置は、端末装置の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグである特定のRFタグの特定のIDを取得することができる。即ち、上記の構成によると、端末装置は、ユーザが希望するRFタグ(即ち端末装置の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグ)との間で適切にRF関連処理を実行することができる。
【0029】
前記制御部は、前記第2の場合において、前記複数個の応答信号が受信された際における応答速度と電波強度の少なくとも一方に基づいて、前記第2の電波強度を特定するようにしてもよい。
【0030】
この構成によると、端末装置は、ID要求信号を再送信するための第2の電波強度を適切に特定し得る。端末装置は、タグ検出処理の開始から短期間で、端末装置の最も近傍に存在する1個のRFタグである特定のRFタグから1個の応答信号のみを受信し得る。
【0031】
前記制御部は、前記タグ検出処理を実行する場合に、最初にID要求信号を送信する際の電波強度である前記第1の電波強度を、最小の大きさに特定するようにしてもよい。
【0032】
端末装置は、タグ検出処理を実行する際に、電波強度を、最小の大きさから徐々に大きくしてID要求信号を再送信しながら、1個の応答信号を受信することを監視することができる。この構成による場合も、端末装置は、タグ検出処理の開始から短期間で、端末装置の最も近傍に存在する1個のRFタグである特定のRFタグから1個の応答信号のみを受信し得る。
【0033】
前記制御部は、前記タグ検出処理を実行する場合に、外部に存在する1個以上のRFタグのそれぞれに対して、複数個のスロット数を指定して、指定されたスロット数の中からランダムに選択される通信スロットにおいて、当該RFタグを示すIDを含む応答信号を送信するように要求するためのID要求信号を送信し、前記ID要求信号の送信に応じて1個以上の応答信号が受信される場合に、受信された際の電波強度が最も大きい1個の応答信号を特定し、当該1個の応答信号に含まれるIDを前記特定のIDとして特定するようにしてもよい。
【0034】
端末装置が複数個の応答信号を受信する場合、受信の際の電波強度が最も大きい1個の応答信号は、端末装置の最も近傍に存在するRFタグから送信された応答信号である可能性が高い。この構成による場合も、端末装置は、端末装置の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグである特定のRFタグの特定のIDを取得することができる。即ち、上記の構成による場合も、端末装置は、ユーザが希望するRFタグ(即ち端末装置の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグ)との間で適切にRF関連処理を実行することができる。
【0035】
前記端末装置は、報知動作を行うための報知部をさらに備えてもよい。前記制御部は、前記第1の処理が完了する場合と、前記第2の処理が完了する場合、とのうちの一方又は双方において、前記報知部に前記報知動作を行わせるようにしてもよい。
【0036】
この構成によると、報知動作が行われることで、ユーザが処理の進捗又は結果を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本実施例の端末装置の構成を示すブロック図。
【
図3】情報コード読み取り処理を示すフローチャート。
【
図5】端末装置が放射する電波が届く範囲とRFタグとの関係を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施例)
(システム構成;
図1)
図1に示す端末装置10は、バーコード、二次元コード等の情報コード40a,40bを光学的に読み取り可能であるとともに、電波(電磁場)を媒介としてRFタグ50a,50bとの間で無線通信を実行可能な端末装置である。端末装置10は、情報コード40a,40bを読み取ることにより、情報コード40a,40bに記録されたデータ(以下では「コード情報」と呼ぶ)を取得することができる。また、端末装置10は、RFタグ50a,50bと無線通信を行うことにより、RFタグ50a,50bに記憶されたデータ(以下では「タグ情報」と呼ぶ)を読み取ること、及び、RFタグ50a,50bに情報を書き込む(即ち記憶させる)ことができる。本実施例の端末装置10は、ユーザが所持可能な可搬式の端末装置である。
図1の例では、2個の情報コード40a,40b、及び、2個のRFタグ50a,50bのみを示しているが、実際の端末装置10の周囲にはこれら以外の情報コード及びRFタグが存在していてもよい。以下、本明細書では、情報コード40a,40bに代表される情報コードのことを一括して情報コード40と呼び、RFタグ50a,50bに代表されるRFタグのことを一括してRFタグ50と呼ぶ場合がある。本実施例の端末装置10は、人や物の流れを管理するために様々な場面で利用可能であるが、情報コード40とRFタグ50とが混在する状況で利用されることが想定されている。
【0039】
端末装置10は、操作部12と、表示部14と、スピーカ16と、コード読取部18と、RF通信部20と、制御部30と、メモリ32と、外部インターフェース34と、を備えている。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0040】
操作部12は、スイッチ13を含む複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を端末装置10に入力することができる。スイッチ13は、端末装置10に情報コード40の読み取り、及び、RFタグ50との無線通信を実行させるためのトリガスイッチである。スイッチ13は、1個の押しスイッチ(即ち押しボタン式スイッチ)である。後で詳しく説明するように、制御部30は、スイッチ13が押下されている間に、情報コード読み取り処理(
図3参照)及びタグ検出処理(
図4参照)を実行し、その後スイッチ13の押下が解除される場合に、タグ関連処理(
図6参照)を開始する。
【0041】
表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。スピーカ16は、音声(例えば報知音等)を出力するための音声出力部である。
【0042】
コード読取部18は、情報コード40に記録されているコード情報を光学的に読み取るためのリーダ部である。コード読取部18は、図示しない発光部と受光部とを備えている。発光部は、読取対象の情報コード40に対して光を照射する。発光部から照射された光は、情報コード40に照射される。受光部は、情報コード40からの反射光を受光する。上記の発光部から照射された光の少なくとも一部は、情報コード40によって反射される。情報コード40からの反射光は、受光部によって受光される。制御部30は、受光部が受光した反射光が示すパターンに基づいて、情報コード40に記録されている情報を読み取ることができる。
【0043】
RF通信部20は、周囲に存在するRFタグ50との間で電波を媒介とする無線通信(以下では「RF通信」と呼ぶ場合がある)を実行するための通信部である。RF通信部は、図示しない送信回路と受信回路とアンテナとを備えている。
【0044】
送信回路は、アンテナを介して周囲に電波を放射するための回路である。送信回路から放射される電波には、様々な要求(例えば、インベントリ要求(即ち、IDの送信を要求する信号)、読み取り要求、書き込み要求等)や、様々な情報(例えば、RFタグのID、書き込み対象の情報等)が含まれる。送信回路から放射される電波のことを送信信号(又は送信キャリア信号)と呼んでもよい。制御部30は、送信回路を用いて、様々な要求や情報を含む電波を生成させ、アンテナを介して放射(送信)させることができる。
【0045】
受信回路は、周囲に存在するRFタグ50から、アンテナを介して電波を受信するための回路である。受信回路が受信する電波は、上記の送信回路から放射された電波に応じてRFタグ50が送信する電波である。受信回路が受信する電波には、各RFタグ50が要求に応じて送信する様々な情報(例えば、RFタグ50のID、RFタグ50に記録されているタグ情報等)が含まれる。受信回路が受信する電波のことを受信信号(又は受信キャリア信号)と呼んでもよい。制御部30は、受信回路を用いて、アンテナを介して受信した電波から、様々な情報を抽出して取得することができる。
【0046】
アンテナは、送信回路から出力された電波(即ち送信信号)を空間に放射するとともに、各RFタグ50から出力された電波(即ち受信信号)をキャッチする。
【0047】
また、RF通信部20は、制御部30の指示に従って、電波を放射する際の電波強度を変更することもできる。電波強度が大きくなるほど、端末装置10から離れた位置まで電波が届くようになり、端末装置10から離れた位置に存在するRFタグ50ともRF通信を実行できるようになる。電波強度のことを電界強度と呼んでもよい。
【0048】
制御部30は、メモリ32内のプログラムに従って様々な処理を実行する。制御部30が実行する処理の内容は後で詳しく説明する(
図2~
図6参照)。
【0049】
メモリ32は、RAM、ROM等によって構成されており、制御部30が様々な処理を実行するためのプログラムを記憶している。また、メモリ32には、制御部30が処理を実行することに応じて取得される各種情報(例えば、RFタグ50のID、コード情報、タグ情報等)を記憶するための一時記憶領域も備えられている。
【0050】
外部I/F34は、メモリ32の一時記憶領域に記憶された各種情報を外部装置(図示しない)に送信するための通信I/Fである。本実施例では外部I/F34は無線I/Fであるが、他の例では、外部I/F34は有線I/Fであってもよい。
【0051】
(情報コード40;
図1)
情報コード40は、暗色パターンと明色パターンとの組合せによって構成される公知の一次元コード又は二次元コードである。各情報コード40には、読み取り対象のコード情報が記録されている。コード情報は、例えば、商品名、価格、数量等の任意の情報を含む。情報コード40は、例えば、商品価格等を記載したリストや、商品の包装等に印刷されている。
【0052】
(RFタグ50;
図1)
RFタグ50は、公知のRFタグである。RFタグ50のことをRFIDタグ、無線タグ、等と呼んでもよい。RFタグ50は、図示しないアンテナ、制御回路、メモリ等を備えている。RFタグ50のメモリには、そのRFタグ50に固有のID(識別情報)が記憶されている。さらに、RFタグ50のメモリには、端末装置10による読み取り対象であるタグ情報が記憶されている。タグ情報は、例えば、価格、数量等の任意の情報を含む。タグ情報は、端末装置10が書き込み処理(後述)を実行することによって上書き可能である。
【0053】
(端末処理;
図2)
続いて、
図2を参照して、本実施例の端末装置10の制御部30が実行する端末処理の内容を説明する。端末装置10の電源がオンされると、制御部30は、
図2の端末処理を開始する。
【0054】
S10では、制御部30は、ユーザがスイッチ13の押下を開始することを監視する。端末装置10のユーザは、端末装置10を把持し、スイッチ13を押下することができる。スイッチ13の押下が開始されると、制御部30は、S10でYESと判断し、S12に進む。
【0055】
S12では、制御部30は、情報コード読み取り処理(
図3参照)を開始する。情報コード読み取り処理は、ユーザがコード情報の読み取りを希望する読み取り対象の情報コード40(以下では「特定の情報コード40」と呼ぶ)に記録されているコード情報(以下では「特定のコード情報」と呼ぶ)を取得するための処理である。
【0056】
続くS14では、制御部30は、さらにタグ検出処理(
図4参照)を開始する。タグ検出処理は、ユーザがRF通信を希望するRFタグ50であって、端末装置10の最も近傍に存在するRFタグ50(以下では「特定のRFタグ50」と呼ぶ)のID(以下では「特定のID」と呼ぶ)を取得するための処理である。
【0057】
続くS16では、制御部30は、スイッチ13の押下が解除されることを監視する。ユーザがスイッチ13を一旦押下した後(S10でYES)、押下状態が解除されると、制御部30は、S16でYESと判断し、S18に進む。即ち、制御部30は、ユーザがスイッチ13を一旦押下した後(S10でYES)、押下状態が継続している間、情報コード読み取り処理(
図3参照)とタグ検出処理(
図4参照)とを継続して実行する。
【0058】
(情報コード読み取り処理;
図3)
続いて、
図3を参照して、
図2のS12で開始される情報コード読み取り処理の内容を説明する。
図3のS30では、制御部30は、コード読取部18の発光部に、読取対象である特定の情報コード40に対して光を照射させる。
【0059】
続くS32では、制御部30は、デコードを実行する。S30で特定の情報コード40に対して光が照射されると、コード読取部18の受光部は、特定の情報コード40からの反射光を受光する。制御部30は、受光部が受光した反射光が示すパターンに基づいて、デコードを実行し、特定の情報コード40に記録されている特定のコード情報の取得を試行する。
【0060】
続くS34では、制御部30は、デコードが成功したか否かを判断する。S32で実行されたデコードの結果、特定のコード情報が取得された場合、制御部30は、S34でYESと判断してS36に進む。この場合、制御部30は、取得された特定のコード情報をメモリ32の一時記憶領域に記憶させる。一方、S32で実行されたデコードの結果、特定のコード情報が取得されなかった場合、制御部30は、S34でNOと判断し、S30に戻って再度発光部に光を照射させる。
【0061】
S36では、制御部30は、表示部14及びスピーカ16に所定の成功報知動作を行わせる。具体的には、S36では、制御部30は、表示部14に情報コード読み取りが成功した旨のメッセージ等を表示させるとともに、スピーカ16に、所定の読み取り成功報知音を出力させる。
【0062】
S36を終えると、制御部30は、
図3の情報コード読み取り処理を終了する。ただし、本実施例では、制御部30は、情報コード読み取り処理が1回終了した後でも、ユーザがスイッチ13の押下状態を継続している場合、
図3の読み取り処理を再度実行する。制御部30は、ユーザがスイッチ13を一旦押下した後(
図2のS10でYES)、押下状態が継続している間、情報コード読み取り処理(
図3参照)を継続して実行する。
【0063】
(タグ検出処理;
図4)
続いて、
図4を参照して、
図2のS14で開始されるタグ検出処理の内容を説明する。
図4のS50では、制御部30は、スロット数を1に設定する。スロット数は、周囲のRFタグ50に対して応答信号の送信を要求する際のタイムスロット(通信スロット)の数である。
【0064】
続いて、S52では、制御部30は、周囲のRFタグ50に対して電波を放射(送信)する際の電波強度を、所定の初期値に設定する。本実施例では、初期値は最小値である。他の例では、初期値は最小値以外の所定の大きさであってもよい。
【0065】
続くS54では、制御部30は、RF通信部20の送信回路及びアンテナを介して、周囲に存在するRFタグ50に対して、インベントリ要求を含む電波を放射する。この際、制御部30は、S50で設定されたスロット数(即ち、1)を指定して、S52で設定された電波強度で、RF通信部20に電波を放射させる。インベントリ要求は、電波を受信したRFタグ50に対し、自身のIDを含む応答信号の送信を要求するコマンドである。
【0066】
続くS56では、制御部30は、少なくとも1個の応答信号が受信されたか否かを判断する。
【0067】
例えば、
図5に示す例において、この時点で設定された電波強度で放射された電波(S54)が届く範囲が図中の領域R1内で表される場合、いずれのRFタグ50も、端末装置10から放射される電波を受信することができない。その場合、いずれのRFタグ50も、応答信号を含む電波を端末装置10に送信しない。この場合、端末装置10の制御部30は、応答信号を受信することができない。このような場合、制御部30は、S56でNOと判断し、S62に進む。
【0068】
S62では、制御部30は、電波強度を前回設定された値よりも大きい値に設定し直す。そして、S54に戻り、制御部30は、設定し直された電波強度で、RF通信部20に電波を再度放射させる。そして、制御部30は、S56の判断を再度行う。
【0069】
一方、
図5に示す例において、この時点で設定された電波強度で放射された電波(S54)が届く範囲が図中の領域R2内で表される場合、端末装置10の最も近傍に存在する1個のRFタグ50aのみが、端末装置10から放射される電波を受信することができる。その場合、RFタグ50aは、受信した電波に含まれるインベントリ要求に従って、自身のIDを含む応答信号を生成し、その応答信号を含む電波を端末装置10に送信する。本実施例では、スロット数が1個に設定されているので(S50)、RFタグ50aは1個のタイムスロット内に応答信号を送信する。端末装置10の制御部30は、RF通信部20のアンテナ及び受信回路を介してRFタグ50aから電波を受信し、電波に含まれる応答信号を受信することができる。この場合、制御部30は、S56でYESと判断し、S58に進む。
【0070】
また、電波(S54)が届く範囲が図中の領域R3内で表される場合には、端末装置10の最も近傍に存在するRFタグ50aと、RFタグ50aよりも遠くに存在するRFタグ50bと、のそれぞれが、端末装置10から放射される電波を受信することができる。2個のRFタグ50a,50bのそれぞれは、受信した電波に含まれるインベントリ要求に従って、自身のIDを含む応答信号を生成し、その応答信号を含む電波を端末装置10に送信する。本実施例では、いずれのRFタグ50a,50bも1個のタイムスロット内に応答信号を送信する。この場合も、端末装置10の制御部30は、RF通信部20のアンテナ及び受信回路を介して、RFタグ50a,50bのそれぞれから電波を受信し、電波に含まれる2個の応答信号を受信することができる。この場合も、制御部30は、S56でYESと判断し、S58に進む。
【0071】
S58では、制御部30は、1個の受信信号のみが受信されたか否かを判断する。
【0072】
例えば、
図5に示す例において、電波が届く範囲が領域R3内であった場合、上記の通り、制御部30は、2個のRFタグ50a,50bから送信された2個の応答信号を受信する。上記の通り、本実施例では、スロット数が1個に設定されているので(S50)、いずれの応答信号も1個のタイムスロット内に送信される。従って、この場合、1個のタイムスロット内に2個の応答信号が含まれる状態(即ち衝突)が発生する。この場合、制御部30は、各応答信号に含まれる情報(即ちID)を取得することができない。この場合、制御部30は、S58でNOと判断し、S64に進む。
【0073】
S64では、制御部30は、電波強度を前回設定された値よりも小さい値に設定し直す。この際、制御部30は、複数個の応答信号が受信された際の応答速度と電波強度とに基づいて、新たな電波強度を特定する。そして、S54に戻り、制御部30は、設定し直された電波強度で、RF通信部20に電波を再度放射させる。そして、制御部30は、S56の判断を再度行う。
【0074】
一方、
図5に示す例において、電波が届く範囲が領域R2内であった場合、上記の通り、制御部30は、端末装置10の最も近傍に存在する1個のRFタグ50aのみから送信された1個の応答信号を受信する。この場合、受信された1個の応答信号は、1個のタイムスロット内に送信されたものである。従って、この場合、1個のタイムスロット内に1個の応答信号のみが含まれる状態である(即ち衝突が発生していない)。この場合、制御部30は、応答信号に含まれる情報(即ち、RFタグ50aのID)を取得することができる。この場合、制御部30は、S58でYESと判断し、S60に進む。
【0075】
S60では、制御部30は、応答信号に含まれる1個のID(即ち、応答信号の送信元のRFタグ50のID)を取得する。制御部30は、受信された1個のIDを、メモリ32の一時記憶領域に記憶させる。S60で取得されたIDは、応答信号の送信元の1個のRFタグ50のIDであり、端末装置10の最も近傍に存在するRFタグ50のIDである。以下では、S60で取得されたIDのことを「特定のID」と呼び、特定のIDの送信元のRFタグ50のことを「特定のRFタグ50」と呼ぶ場合がある。
【0076】
S60を終えると、制御部30は、
図4のタグ検出処理を終了する。ただし、本実施例では、制御部30は、タグ検出処理が1回終了した後でも、ユーザがスイッチ13の押下状態を継続している場合、
図4のタグ検出処理を再度実行する。制御部30は、ユーザがスイッチ13を一旦押下した後(
図2のS10でYES)、押下状態が継続している間、タグ検出処理(
図4参照)を継続して実行する。
【0077】
(端末処理の続き;
図2のS18以降)
上記の通り、ユーザがスイッチ13を一旦押下され(S10でYES)、情報コード読み取り処理(
図3)及びタグ検出処理(
図4)が開始された後で、押下状態が解除されると、制御部30は、
図2のS16でYESと判断し、S18に進む。
【0078】
S18では、制御部30は、特定の情報コード40の読み取りが完了済みか否かを判断する。具体的には、制御部30は、この時点におけるメモリ32の一時記憶領域を参照し、特定のコード情報が記憶されているか否かを判断する。この時点で特定のコード情報が記憶されている場合(即ち、既に
図3のS34でYESと判断されている場合)、制御部30は、S18でYESと判断し、S20に進む。一方、この時点で特定のコード情報が記憶されていない場合、制御部30は、S18でNOと判断し、S24に進む。S18の時点でメモリ32に特定のコード情報が記憶されていない場合は、例えば、情報コード読み取り処理(
図3)が開始されたが、特定の情報コード40の読み取りが成功する前に、スイッチ13の押下が解除された場合である。
【0079】
S20では、制御部30は、特定のIDを取得済みが否かを判断する。具体的には、制御部30は、この時点におけるメモリ32の一時記憶領域を参照し、特定のIDが記憶されているか否かを判断する。この時点で特定のIDが記憶されている場合(既に
図4のS60の処理が実行されている場合)、制御部30は、S20でYESと判断し、S22に進む。一方、この時点で特定のIDが記憶されていない場合、制御部30は、S20でNOと判断し、S24に進む。S20の時点でメモリ32に特定のIDが記憶されていない場合は、例えば、タグ検出処理(
図4)が開始されたが、特定のIDが取得される前に、スイッチ13の押下が解除された場合である。
【0080】
S22では、制御部30は、タグ関連処理(
図6参照)を開始する。タグ関連処理は、特定のRFタグ50との間でRF通信を行なって、特定のRFタグ50に情報を書き込む、又は、特定のRFタグ50からタグ情報を読み取ることに関する処理である。タグ関連処理の内容は後で詳しく説明する。S22でタグ関連処理が開始されると、制御部30は、S10の監視に戻る。S22で開始されたタグ関連処理が完了する前に、スイッチ13が再び押下されると、制御部30は、再びS10でYESと判断し、S12以降の処理を実行する。この場合、制御部30は、タグ関連処理の完了前であっても、実行中のタグ関連処理を中止して、情報コード読み取り処理(
図3)及びタグ検出処理(
図4)を再び実行する。
【0081】
S24では、制御部30は、表示部14及びスピーカ16に所定のエラー報知動作を行わせる。具体的には、S36では、制御部30は、表示部14にエラーメッセージ等を表示させるとともに、スピーカ16に、所定のエラー報知音を出力させる。S24を終えると、制御部30は、S10の監視に戻る。
【0082】
(タグ関連処理;
図6)
続いて、
図6を参照して、
図2のS22で開始されるタグ関連処理の内容を説明する。
図6のS80では、制御部30は、タグ関連処理の内容が書き込み処理であるか否かを判断する。ユーザは、事前に、操作部12を操作して、端末装置10を用いて実行されるべきタグ関連処理の内容を、書き込み処理と、照合処理と、のうちの一方に設定しておくことができる。書き込み処理(タグ書き込み処理)は、特定の情報コード40から読み取った特定のコード情報を、RF通信を利用して、特定のRFタグ50に書き込む(即ち記憶させる)処理である。書き込み処理は、例えば、ユーザが、情報コードに記録されている商品情報(商品名、価格等)を、商品に付すRFタグに記憶させることを希望する状況で実行される。一方、照合処理は、RF通信を利用して特定のRFタグ50に記憶されているタグ情報を読み取り、特定のRFタグ50から読み取ったタグ情報と、特定の情報コード40から読み取った特定のコード情報とが一致するか否かを判定する処理である。ユーザが事前に設定したタグ関連処理の内容は、メモリ32に記憶されている。メモリ32に記憶されているタグ関連処理の内容が「書き込み処理」である場合、制御部30は、S80でYESと判断し、S82に進む。一方、メモリ32に記憶されているタグ関連処理の内容が「照合処理」である場合、制御部30は、S80でNOと判断し、S102に進む。
【0083】
(書き込み処理;S82~S92)
S82では、制御部30は、メモリ32に記憶されている特定のコード情報のデータフォーマットを、特定のRFタグ50に適合したフォーマットに変換する。
【0084】
続くS84では、制御部30は、書き込み信号を生成する。書き込み信号は、特定のID、フォーマット変換済みの特定のコード情報、及び、書き込み要求が含まれる。書き込み要求は、特定のRFタグ50に対して、特定のコード情報をメモリに記憶することを要求するコマンドである。
【0085】
続くS86では、制御部30は、RF通信部20の送信回路及びアンテナを介して、S84で生成された書き込み信号を含む電波を放射する。この際の電波強度の大きさは、特定のRFタグ50が受信可能な距離まで電波が届く強度であれば任意の強度でよい。
【0086】
特定のRFタグ50は、S86で放射された電波に含まれる書き込み信号を受信すると、書き込み信号に含まれる書き込み要求に従って、特定のコード情報をメモリに記憶させる(即ち上書きして記憶する)。なお、特定のRFタグ50以外のRFタグ50(以下では「通常のRFタグ50」と呼ぶ)が、S86で放射された電波に含まれる書き込み信号を受信したとしても、書き込み信号には、通常のRFタグ50のIDが含まれていないため、通常のRFタグ50は、特定のコード情報をメモリに記憶させない。
【0087】
続くS88では、制御部30は、ベリファイ処理を実行する。ベリファイ処理は、特定のRFタグ50への特定のコード情報の書き込みが成功したか否かを確認するための処理である。
【0088】
具体的には、S88では、制御部30は以下の各処理を実行する。まず、制御部30は、読み取り信号を生成する。読み取り信号は、特定のID、及び、読み取り要求が含まれる。読み取り要求は、特定のRFタグ50に対して、当該特定のRFタグ50が記憶しているタグ情報の送信を要求するコマンドである。そして、制御部30は、RF通信部20の送信回路及びアンテナを介して、生成された読み取り信号を含む電波を放射する。この際の電波強度の大きさは、特定のRFタグ50が受信可能な距離まで電波が届く強度であれば任意の強度でよい。特定のRFタグ50は、電波に含まれる読み取り信号を受信すると、読み取り要求に従って、メモリ内のタグ情報を含む電波を生成し、端末装置10に送信する。制御部30は、特定のRFタグ50から送信され、タグ情報を含む電波を、RF通信部20(アンテナ及び受信回路)を介して受信する。なお、特定のRFタグ50以外の通常のRFタグ50が読み取り信号を含む電波を受信しても、読み取り信号には、その通常のRFタグ50のIDが含まれていない。このため、通常のRFタグ50が、タグ情報を含む電波を生成して送信することはない。制御部30は、特定のRFタグ50から受信された電波に含まれるタグ情報と、メモリ32に記憶されている特定のコード情報と、が一致するか否かを判断する。両者が一致する場合、制御部30は、書き込みが成功したと判断する。両者が一致しない場合、制御部30は、書き込みが失敗したと判断する。S88のベリファイ処理では、制御部30は以上の各処理を実行する。
【0089】
続くS90では、制御部30は、書き込みが成功したか否かを判断する。S88のベリファイ処理の結果、書き込みが成功したと判断されていれば、制御部30は、S90でYESと判断し、S92に進む。一方、ベリファイ処理の結果、書き込みが失敗したと判断されていると、制御部30は、S90でNOと判断し、S84に戻り、S84以降の各処理を再実行する。
【0090】
S92では、制御部30は、表示部14及びスピーカ16に所定の成功報知動作を行わせる。具体的には、S36では、制御部30は、表示部14に書き込みが成功した旨のメッセージ等を表示させるとともに、スピーカ16に、所定の書き込み成功報知音を出力させる。
【0091】
S92を終えると、制御部30は、
図6のタグ関連処理を終了する。
【0092】
(照合処理;S102)
一方、S102では、制御部30は、読み取り信号を生成する。読み取り信号は、特定のID、及び、読み取り要求が含まれる。
【0093】
続くS104では、制御部30は、RF通信部20の送信回路及びアンテナを介して、S102で生成された読み取り信号を含む電波を放射する。この際の電波強度の大きさは、特定のRFタグ50が受信可能な距離まで電波が届く強度であれば任意の強度でよい。特定のRFタグ50は、電波に含まれる読み取り信号を受信すると、読み取り要求に従って、メモリ内のタグ情報を含む電波を生成し、端末装置10に送信する。制御部30は、特定のRFタグ50から送信され、タグ情報を含む電波を、RF通信部20(アンテナ及び受信回路)を介して受信する。なお、特定のRFタグ50以外の通常のRFタグ50が読み取り信号を含む電波を受信しても、読み取り信号には、その通常のRFタグ50のIDが含まれていない。このため、通常のRFタグ50が、タグ情報を含む電波を生成して送信することはない。
【0094】
S106では、制御部30は、特定のRFタグ50から受信された電波に含まれるタグ情報を取得する。
【0095】
S108では、制御部30は、S106で取得されたタグ情報と、メモリ32に記憶されている特定のコード情報と、が一致するか否かを判断する。両者が一致する場合、制御部30は、S108でYESと判断し、S110に進む。両者が一致しない場合、制御部30は、S108でNOと判断し、S112に進む。
【0096】
S110では、制御部30は、表示部14及びスピーカ16に所定の成功報知動作を行わせる。具体的には、S36では、制御部30は、表示部14に照合が成功した旨のメッセージ等を表示させるとともに、スピーカ16に、所定の照合成功報知音を出力させる。S110を終えると、制御部30は、
図6のタグ関連処理を終了する。
【0097】
S112では、制御部30は、表示部14及びスピーカ16に所定のエラー報知動作を行わせる。具体的には、S112では、制御部30は、表示部14にエラーメッセージ等を表示させるとともに、スピーカ16に、所定のエラー報知音を出力させる。S112を終えると、制御部30は、
図6のタグ関連処理を終了する。
【0098】
以上、本実施例の端末装置10について説明した。上記の通り、本実施例の端末装置10では、ユーザによってスイッチ13の押下が開始される場合(
図2のS10でYES)に情報コード読み取り処理及びタグ検出処理が開始され(S12、S14、
図3、
図4)、その後、スイッチ13の押下が解除されると(S16でYES)、タグ関連処理が開始される(S22)。ユーザは、スイッチ13を操作することによって、端末装置10の状態を、情報コード読み取り処理を実行する状態と、タグ関連処理を実行する状態と、の間で切り替えることができる。そのため、本実施例によると、情報コード40を光学的に読み取り可能であるとともに、電波を媒介としてRFタグ50との間で無線通信を実行可能な端末装置10において、端末装置10に、情報コード40の読み取りと、RFタグ50とのRF通信と、を適切に実行させることができる。
【0099】
本実施例では、制御部30は、情報コード読み取り処理(
図3)によって取得された特定のコード情報を、特定のRFタグ50に書き込むことができる(
図6のS82~S86)。従って、本実施例の端末装置10を用いることで、例えば、小売店等において、価格等を示す商品情報を記録したRFタグを付して商品を店頭に陳列すべき状況で、所定の情報コードから読み取られた商品情報(即ち特定のコード情報)を、商品に付されるRFタグ(即ち特定のRFタグ)に書き込むことができる。
【0100】
また、本実施例では、制御部30は、特定のRFタグ50への特定のコード情報の書き込みが成功したか否かを確認するためのベリファイ処理を実行する(
図6のS88)。そのため、本実施例では、端末装置は、特定のRFタグ50への特定のコード情報の書き込みが成功したか否かを確認することができる。また、端末装置10は、ベリファイ処理(S88)の結果、コード情報の書き込みが成功しなかったことが確認される場合(S90でNO)に、書き込み処理を再実行することが可能である(S84、S86)。従って、本実施例によると、端末装置10は、特定のRFタグ50への特定のコード情報の書き込みを確実に実行し得る。
【0101】
また、本実施例では、制御部30は、情報コード読み取り処理(
図3)によって取得された特定のコード情報と、特定のRFタグ50を読み取ることによって取得されたタグ情報と、が一致するのか否かを判断する照合処理を実行することができる(
図6のS102~S112)。本実施例の端末装置10を用いることで、例えば、物流業界において、商品の入った箱をコンテナに積み込む状況で、箱に付された情報コードから読み取られたコード情報と、コンテナに付された特定のRFタグから読み取られたタグ情報と、を照合し、両者が一致することが確認される場合に、箱を当該コンテナに積み込むようにすることができる。
【0102】
また、本実施例の端末装置10は、スイッチ13を有している。ユーザは、スイッチ13を操作することで、端末装置10の状態を、情報コード読み取り処理を実行する状態と、タグ関連処理を実行する状態と、の間で切り替えることができる。そのため、ユーザは、端末装置10の現在の状態を適切に把握しながら、端末装置10に各処理を実行させることができる。また、ユーザは、1個の押しスイッチであるスイッチ13を押下し、その押下を解除するという簡易な操作を行うだけで、端末装置10に、情報コード読み取り処理(
図3)とRF関係処理(
図6)とを順次実行させることができる。
【0103】
また、本実施例では、制御部30は、タグ関連処理の実行中にスイッチ13が再度押下される場合、タグ関連処理を中止して前記情報コード読み取り処理を再度実行する(
図2のS22の後のS10でYES)。ユーザは、1個のスイッチ13を操作することで、端末装置10に情報コード読み取り処理(
図3)を再実行させることができる。ユーザの希望する処理をスムーズに実行させることができる。
【0104】
また、本実施例では、制御部30は、スイッチ13の押下が開始される場合に(
図2のS10でYES)、情報コード読み取り処理を開始するとともに、特定のIDを取得するためのタグ検出処理を実行する(S12、S14、
図3、
図4)。そして、制御部30は、スイッチ13の押下が解除される場合に、タグ検出処理によって既に取得されている特定のIDを用いて、特定のRFタグ50への特定のコード情報の書き込みや、特定のRFタグ50からのタグ情報の読み取りを行うことができる(S22、
図6)。スイッチ13の押下が解除された後でタグ検出処理を開始する構成を採用する場合に比べて、特定のRFタグ50との間の各種処理を迅速に開始することができる。
【0105】
また、本実施例では、制御部30は、スイッチ13の押下が解除された時点で特定のIDが取得されていない場合には(
図2のS20でNO)、タグ関連処理を実行しない。タグ検出処理が開始されたにも関わらず、特定のIDが取得されていない場合には、端末装置10の周囲に、端末装置10と通信可能なRFタグ50が存在しない可能性がある。この構成によると、そのような場合には、端末装置10はタグ関連処理を実行せずに済む。そのため、端末装置10に不要なRF通信を実行させずに済むため、端末装置10の処理負荷を軽減することができる。
【0106】
また、本実施例では、
図4に示すように、制御部30は、特定のRFタグ50から1個の応答信号を受信するまで、電波強度を変更しながらインベントリ要求を含む電波を送信することができる。従って、本実施例によると、端末装置10は、端末装置10の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグ50である特定のRFタグ50の特定のIDを取得することができる。即ち、端末装置10は、ユーザが希望するRFタグ50(即ち端末装置の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグ50)との間で適切にRF関連処理を実行することができる。
【0107】
図4のS64では、制御部30は、電波強度を前回設定された値よりも小さい値に設定し直す。この際、制御部30は、複数個の応答信号が受信された際の応答速度と電波強度とに基づいて、新たな電波強度を特定する。これにより、端末装置10は、電波を再送信するための電波強度を適切に特定し得る。端末装置10は、タグ検出処理の開始から短期間で、端末装置10の最も近傍に存在する1個のRFタグ50である特定のRFタグ50から1個の応答信号のみを受信し得る。
【0108】
また、
図4のS52では、制御部30は、周囲のRFタグ50に対して最初に電波を送信する際の電波強度を初期値に設定する。これにより、端末装置10は、タグ検出処理を実行する際に、電波強度を、最小の大きさから徐々に大きくて電波を放射しながら、1個の応答信号を受信することを監視することができる。端末装置10は、タグ検出処理の開始から短期間で、端末装置10の最も近傍に存在する1個のRFタグ50である特定のRFタグ50から1個の応答信号のみを受信し得る。
【0109】
また、本実施例では、制御部30は、表示部14及びスピーカ16を利用して様々な報知動作を実行させる(
図3のS36、
図6のS92、S110、S112)。報知動作が行われることによって、ユーザが処理の進捗又は結果を把握することができる。
【0110】
操作部12が「入力部」の一例である。表示部14及びスピーカ16が「報知部」の一例である。スイッチ13の押下が「第1の指示」の一例であり、スイッチ13の押下の解除が「第2の指示」の一例である。情報コード読み取り処理(
図3)が「第1の処理」の一例であり、タグ関連処理(
図6)が「第2の処理」の一例である。
図6のS84の書き込み信号、及び、S102の読み取り信号が「実行要求信号」の一例である。インベントリ要求が「ID要求信号」の一例である。
【0111】
(第2実施例)
本実施例では、制御部30が実行するタグ検出処理の内容が第1実施例とは異なる。本実施例では、制御部30は、タグ検出処理を実行する際に、複数個のスロットを指定し、電波強度を最大に設定して、RF通信部20を利用して、インベントリ要求を含む電波を周囲に放射する。そして、制御部30は、複数個のRFタグ50から複数個の応答信号が受信される場合に、各応答信号が受信される際の電波強度に基づいて、端末装置10の最も近傍に存在する特定のRFタグ50の特定のIDを特定する。制御部30は、複数個の応答信号の受信の際に衝突が発生した場合、既に応答信号が受信されたRFタグ50を除くRFタグ50に対して、再度インベントリ要求を送信する(即ち、インベントリ要求を含む電波を放射する)ようにしてもよい。
【0112】
本実施例では、制御部30が複数個の応答信号を受信する場合、受信の際の電波強度が最も大きい1個の応答信号は、端末装置10の最も近傍に存在するRFタグ50から送信された応答信号である可能性が高い。本実施例でも、端末装置10は、端末装置10の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグ50である特定のRFタグ50の特定のIDを取得することができる。即ち、本実施例でも、端末装置10は、ユーザが希望するRFタグ50(即ち端末装置10の最も近傍に存在する可能性の高い1個のRFタグ50)との間で適切にRF関連処理を実行することができる。
【0113】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0114】
(変形例1)上記の各実施例では、制御部30は、スイッチ13が押下される場合(
図2のS10でYES)に情報コード読み取り処理を開始し(S12)、スイッチ13の押下が解除される場合(S16でYES)にタグ関連処理を実行する(S22)。これに限られず、制御部30は、スイッチ13が押下される場合にタグ関連処理(例えば読み取り処理)を先に実行し、スイッチ13の押下が解除される場合に情報コード読み取り処理を実行するようにしてもよい。また、制御部30は、スイッチ13が押下される場合にタグ関連処理(例えば読み取り処理)を実行し、スイッチ13の押下が解除される場合に、別のタグ関連処理(例えば書き込み処理)を実行するようにしてもよい。一般的に言うと、第1の処理と第2の処理のうちの少なくとも一方が、RF通信部を利用したRF通信を含む処理であればよい。
【0115】
(変形例2)上記の各実施例では、制御部30は、スイッチ13が押下される場合(
図2のS10でYES)に、情報コード読み取り処理とともに、タグ検出処理を開始し(S12、S14)、スイッチ13の押下が解除される前に、特定のIDを取得する。これに限られず、制御部30は、スイッチ13が押下される場合に、情報コード読み取り処理のみを実行し、タグ検出処理を実行しなくてもよい。制御部30は、スイッチ13の押下が解除される場合に、タグ検出処理を実行し、取得された特定のIDを利用してタグ関連処理を実行するようにしてもよい。
【0116】
(変形例3)上記の各実施例では、スイッチ13の押下が解除された(
図2のS16でYES)時点で、特定のIDが取得されていない場合(S20でNO)、制御部30は、タグ関連処理を実行しない。これに限られず、制御部30は、スイッチ13の押下が解除された時点で、特定のIDが取得されていない場合には、再度タグ検出処理を実行し、特定のIDが取得された後でタグ関連処理を実行するようにしてもよい。
【0117】
(変形例4)上記の第1実施例では、
図4のS64において、制御部30が電波強度を前回設定された値よりも小さい値に設定し直す際、複数個の応答信号が受信された際の応答速度と電波強度とに基づいて、新たな電波強度を特定する。これに限られず、制御部30が電波強度を前回設定された値よりも小さい値に設定し直す際、電波強度を所定量だけ自動的に小さくするようにしてもよい。
【0118】
(変形例5)上記の各実施例では、各処理のトリガスイッチであるスイッチ13は、1個の押しスイッチである。これに限られず、スイッチは、複数個設けられていてもよい。その場合、情報コード読み取り処理実行用のスイッチと、タグ関連処理実行用のスイッチと、が別個に設けられていてもよい。また、スイッチは押しスイッチに限られず任意の形式のスイッチであってもよい。
【0119】
(変形例6)上記の第2実施例では、制御部30は、タグ検出処理を実行する際に、複数個のスロットを指定し、電波強度を最大に設定して、RF通信部20を利用して、インベントリ要求を含む電波を周囲に放射する。これに限られず、制御部30は、タグ検出処理を実行する際に、1個のスロットを指定して、RF通信部20を利用してインベントリ要求を含む電波を周囲に放射するようにしてもよい。そして、制御部30は、衝突が発生する場合(即ち2個以上の応答信号が受信される場合)に、複数個のスロットを指定し、電波強度を最大に設定して、RF通信部20を利用して、インベントリ要求を含む電波を周囲に放射するようにしてもよい。
【0120】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0121】
10:端末装置
12:操作部
13:スイッチ
14:表示部
16:スピーカ
18:コード読取部
20:RF通信部
30:制御部
32:メモリ
34:外部インターフェース
40:情報コード
40a:情報コード
40b:情報コード
50:RFタグ
50a:RFタグ
50b:RFタグ