(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】航空機の前縁フラップを展開させるためのアクチュエータアセンブリ、及び、航空機の前縁フラップ向けのシール
(51)【国際特許分類】
B64C 13/30 20060101AFI20220912BHJP
B64C 9/24 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B64C13/30 B
B64C9/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018117804
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-06-14
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, パターソン
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 靖也
(72)【発明者】
【氏名】サンティニ, グレゴリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】コーニングス, クリストファー エー.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, アダム エム.
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4202519(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0096615(US,A1)
【文献】特表平11-509804(JP,A)
【文献】米国特許第6015117(US,A)
【文献】米国特許第4159089(US,A)
【文献】米国特許第4717097(US,A)
【文献】米国特許第10207791(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 9/14
B64C 9/22 ー 9/24
B64C 9/32 ー 9/34
B64C 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納位置と展開位置との間で移動可能な航空機のフラップ(202)(202)であって、上部パネル(308)(308)と、前記上部パネル(308)(308)に形成され、かつ、前記フラップ(202)の後縁(313)付近の前記上部パネル(308)の一側部に延在しているノッチ(372)(372)とを含む、フラップ(202)(202)、及び、
前記フラップ(202)に連結されたシール(1000)であって、前記フラップ(202)が前記展開位置にある時に前記ノッチ(372)を覆うよう移動可能なシール(1000)を備える、装置。
【請求項2】
前記格納位置と前記展開位置との間で前記フラップ(202)を動かすためのアクチュエータアセンブリ(224)を更に含み、前記フラップ(202)が前記格納位置にある時に、前記アクチュエータアセンブリ(224)は前記上部パネル(308)の前記ノッチ(372)を通って延在し、前記フラップ(202)が前記展開位置にある時に、前記アクチュエータアセンブリ(224)は前記フラップ(202)の底部パネル(310)から外側へと伸長する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータアセンブリ(224)のアームが、テーパされているか又は角度が付けられている縁部を有し、前記アームの前記縁部は、前記フラップ(202)が前記展開位置から前記格納位置へと動く際に前記シール(1000)と係合するものである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シール(1000)が、前記フラップ(202)の内部のマウントに枢動可能に連結され、かつ、前記シール(1000)が前記ノッチ(372)を実質的に覆う閉鎖位置と、前記シール(1000)が前記ノッチ(372)から外れている開放位置との間で枢動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記シール(1000)を前記閉鎖位置へと付勢するためのバネ(1008)を更に含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シール(1000)の外角部がテーパされている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記シール(1000)が、弾性材料で構成されており、かつ、前記ノッチ(372)を実質的に覆っている第1形状から、前記ノッチ(372)内にスペースを提供する第2形状に変形可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記シール(1000)を変形後に拡張させて前記第1形状に戻すために、前記シール(1000)に連結されたバネ(1008)部材を更に含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記バネ(1008)部材が、前記シール(1000)の前記弾性材料の中に成型される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
航空機の翼の上方の層流を可能にするための方法であって、
アクチュエータアセンブリ(224)のギア式回転アクチュエータ(322)を作動させることにより、前記アクチュエータアセンブリ(224)を使用して前縁フラップ(202)を格納位置から動かすことを含み、
前記格納位置において前記アクチュエータアセンブリ(224)は前記前縁フラップ(202)の上部パネル(308)のノッチを通って延在しており、前記アクチュエータアセンブリ(224)が、
作動アーム(314)を有する、前記翼(104)の中に配置された前記ギア式回転アクチュエータ(322)と、
第1端部(328)及び第2端部(330)を有するスイングアーム(316)であって、前記スイングアームの前記第1端部(328)が前記航空機(100)の前記翼(104)に回転可能に連結される、スイングアーム(316)と、
第1端部及び第2端部を有するチルトアーム(318)であって、前記スイングアームの前記第2端部が前記チルトアーム(318)の前記第1端部に回転可能に連結され、前記作動アームの中間点が前記チルトアーム(318)の中間点に回転可能に連結され、かつ、前記チルトアーム(318)の前記第2端部が前記前縁フラップ(202)に回転可能に連結される、チルトアーム(318)と、
第1端部及び第2端部を有するキッカーアーム(320)であって、前記キッカーアーム(320)の前記第1端部が前記作動アームの遠位端部に回転可能に連結され、前記キッカーアーム(320)の前記第2端部が前記前縁フラップ(202)に回転可能に連結される、キッカーアーム(320)とを含み、更に、
前記前縁フラップ(202)が望ましい位置に来た時に、前記アクチュエータアセンブリ(224)の前記ギア式回転アクチュエータ(322)を停止させることによって、前記前縁フラップ(202)の動きを止めること
と、
前記前縁フラップ(202)の前記上部パネル(308)の前記ノッチを覆うよう、開放位置から閉鎖位置へとシール(1000)を動かすことを含む、方法。
【請求項11】
前記格納位置において、前記前縁フラップ(202)が、前記翼の中に形成されたキャビティ内に配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記格納位置において、前記前縁フラップ(202)の底部パネル(310)が前記翼の底部の一部を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記望ましい位置において、前記前縁フラップ(202)の後縁(313)が、前記翼の前縁から前方に離間している、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ギア式回転アクチュエータ(322)が、前記スイングアームの前記第1端部よりも、前記翼の前縁(312)に近接して配置される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は概して、航空機に関し、より詳細には、航空機の前縁フラップを展開させるためのアクチュエータアセンブリ、及び、航空機の前縁フラップ向けのシールに関する。
【背景技術】
【0002】
固定翼航空機は、一般的に、翼の前縁及び後縁に沿って、高揚力デバイス(補助翼と称されることもある)を用いる。このような高揚力デバイスは、離着陸時に翼の空力揚力を変化させるために、翼から外側へと伸長するよう作動する。一般的な高揚力デバイスは、クルーガーフラップ(Krueger flap)である。クルーガーフラップは、翼の前縁の前方に、外側へと展開する、前縁フラップデバイスである。通常、クルーガーフラップは、翼の底部の中の前縁付近に格納され、翼の底部から翼の前縁の前方の位置に、外側へと、弧を描いてスイングする。クルーガーフラップは、より大きな又はより小さな揚力を発生させるよう翼の上方の気流を変化させることが可能であり、このことは、例えば離着陸時に、有用である。クルーガーフラップは、その他の、前縁スラットや下垂型前縁などの高揚力デバイスと比較して、翼の前縁の位置又は形状を変化させないので、有利である。
【発明の概要】
【0003】
本書で開示されている例示的な航空機は、翼と、翼に可動式に連結されたフラップと、格納位置と展開位置との間でフラップを動かすためのアクチュエータアセンブリとを含む。例示的な航空機のアクチュエータアセンブリは、翼内に配置されたギア式回転アクチュエータを含む。ギア式回転アクチュエータは作動アームを有する。アクチュエータアセンブリは、第1端部と第2端部とを有するスイングアームも含む。スイングアームの第1端部は、翼に回転可能に連結される。アクチュエータアセンブリは、第1端部と第2端部とを有するチルトアームも含む。スイングアームの第2端部はチルトアームの第1端部に回転可能に連結され、作動アームの中間点はチルトアームの中間点に回転可能に連結され、かつ、チルトアームの第1端部はフラップに回転可能に連結される。更に、アクチュエータアセンブリは、第1端部と第2端部とを有するキッカーアームを含む。キッカーアームの第1端部は作動アームの遠位端部に回転可能に連結され、キッカーアームの第2端部はフラップに回転可能に連結される。ギア式回転アクチュエータは、格納位置と展開位置との間でフラップを動かすために、作動アームを回転させるものである。
【0004】
本書で開示されている例示的な装置は、格納位置と展開位置との間で移動可能な航空機フラップを含む。フラップは上部パネルを含む。ノッチが上部パネルに形成され、フラップの後縁付近の上部パネルの一側部に延在する。装置は、フラップに連結されたシールも含む。シールは、フラップが展開位置にある時にノッチを覆うよう、移動可能である。
【0005】
本書で開示されている例示的な航空機は、翼と、翼に可動式に連結されたフラップとを含む。フラップは上部パネルを有し、この上部パネルにはノッチが形成されている。例示的な航空機は、格納位置と展開位置との間でフラップを動かすためのアクチュエータアセンブリも含む。フラップが格納位置にある時に、アクチュエータアセンブリの少なくとも一部分は、フラップの上部パネルのノッチを通って延在する。また、例示的な航空機は、フラップが展開位置にある時にノッチを覆うようフラップに連結された、シールを含む。
【0006】
航空機の翼の上方の層流を可能にするための例示的な方法は、アクチュエータアセンブリのギア式回転アクチュエータを作動させることにより、アクチュエータアセンブリを使用して前縁フラップを格納位置から動かすことを含む。例示的な方法のアクチュエータアセンブリは、作動アームを有する、翼内に配置されたギア式回転アクチュエータを含む。アクチュエータアセンブリは、第1端部と第2端部とを有するスイングアームを含み、スイングアームの第1端部は、航空機の翼に回転可能に連結される。アクチュエータアセンブリは、第1端部と第2端部とを有するチルトアームも含む。スイングアームの第2端部はチルトアームの第1端部に回転可能に連結され、作動アームの中間点はチルトアームの中間点に回転可能に連結され、かつ、チルトアームの第2端部は前縁フラップに回転可能に連結される。アクチュエータアセンブリは、第1端部と第2端部とを有するキッカーアームを更に含む。キッカーアームの第1端部は作動アームの遠位端部に回転可能に連結され、キッカーアームの第2端部は前縁フラップに回転可能に連結される。例示的な方法は、前縁フラップが望ましい位置に来た時に、アクチュエータアセンブリのギア式回転アクチュエータを停止させることによって、前縁フラップの動きを止めることも、含む。
【0007】
本発明の一実施形態は、航空機であって、翼と、翼に可動式に連結されたフラップと、格納位置と展開位置との間でフラップを動かすためのアクチュエータアセンブリとを含み、このアクチュエータアセンブリが、作動アームを有する、翼内に配置されたギア式回転アクチュエータ、第1端部と第2端部とを有するスイングアームであって、その第1端部が翼に回転可能に連結された、スイングアーム、第1端部と第2端部とを有するチルトアームであって、スイングアームの第2端部がチルトアームの第1端部に回転可能に連結され、作動アームの中間点がチルトアームの中間点に回転可能に連結され、かつ、チルトアームの第2端部がフラップに回転可能に連結された、チルトアーム、及び、第1端部と第2端部とを有するキッカーアームであって、キッカーアームの第1端部が作動アームの遠位端部に回転可能に連結され、キッカーアームの第2端部がフラップに回転可能に連結された、キッカーアームを含み、ギア式回転アクチュエータは、格納位置と展開位置との間でフラップを動かすために、作動アームを回転させるものである、航空機に関連している。ギア式回転アクチュエータは、スイングアームの第1端部よりも翼の前縁に近接して、配置されうる。チルトアームは2つの側壁によって形成されてよく、作動アームの少なくとも一部分は、チルトアームのこの2つの側壁の間に延在する。フラップが格納位置にある時に、キッカーアームは、少なくとも部分的に、チルトアームの2つの側壁の間に配置されうる。これにより、システムの動作が強化される。スイングアームは、第1スイングアームであってよく、かつ、翼とチルトアームの第1端部との間に回転可能に連結された、第2スイングアームも含みうる。
【0008】
別の実施形態は、格納位置と展開位置との間で移動可能な航空機フラップであって、上部パネルと、上部パネルに形成され、かつ、フラップの後縁付近の、上部パネルの一側部に延在するノッチとを含む、フラップ、及び、フラップに連結されたシールであって、フラップが展開位置にある時にノッチを覆うよう移動可能なシールを含む、装置に関連している。装置は、格納位置と展開位置との間でフラップを動かすためのアクチュエータアセンブリも含んでよく、フラップが格納位置にある時に、アクチュエータアセンブリは上部パネルのノッチを通って延在し、フラップが展開位置にある時に、アクチュエータアセンブリはフラップの底部パネルから外側へと伸長する。アクチュエータアセンブリのアームは、テーパされているか又は角度が付けられている縁部を有してよく、アームのこの縁部は、フラップが展開位置から格納位置へと動く際に、シールと係合する。シールは、フラップの内部のマウントに枢動可能に連結されてよく、シールがノッチを実質的に覆う閉鎖位置と、シールがノッチから外れている開放位置との間で、枢動可能である。装置は、シールを閉鎖位置へと付勢し、有効に機能させることを確実にするための、バネも含みうる。シールの外角部はテーパされうる。これにより、動作が強化される。シールは、弾性材料で構成されてよく、ノッチを実質的に覆っている第1形状からノッチ内にスペースを提供する第2形状に、変形可能である。装置は、シールを変形後に拡張させて第1形状に戻すために、シールに連結されたバネ部材も含みうる。バネ部材は、シールの弾性材料の中に成型されうる。
【0009】
本発明の一実施形態は、航空機であって、翼と、翼に可動式に連結されたフラップであって、上部パネルを有し、この上部パネルにノッチが形成されている、フラップと、格納位置と展開位置との間でフラップを動かすためのアクチュエータアセンブリであって、フラップが格納位置にある時に、アクチュエータアセンブリの少なくとも一部分がフラップの上部パネルのノッチを通って延在する、アクチュエータアセンブリと、フラップが展開位置にある時にノッチを覆うようフラップに連結された、シールとを含む、航空機に関連している。フラップは第1フラップであってよく、上部パネルは第1上部パネルであり、ノッチは第1ノッチであり、このフラップは、翼に可動式に連結され、かつ第1フラップに隣接して位置付けられた、第2フラップも含みうる。アクチュエータアセンブリは、格納位置と展開位置との間で第2フラップを動かすために使用される。このフラップも格納位置に来ることがあり、アクチュエータアセンブリは、第2フラップの第2上部パネルの第2ノッチを通って延在する。これにより、動作が強化される。シールは第1シールであってよく、第2シールは、第2フラップが展開位置にある時に第2ノッチを覆うよう、第2フラップに連結されうる。第1と第2のノッチは、互いに向かい合って、第1と第2のフラップの間にスロットを形成しうる。第1と第2のシールは、スロットを覆うよう互いに向かって移動可能であってよく、かつ、スロットを露出させるために互いから離れるように移動可能でありうる。
【0010】
本発明の別の実施形態は、航空機の翼の上方の層流を可能にするための方法であって、アクチュエータアセンブリのギア式回転アクチュエータを作動させることにより、アクチュエータアセンブリを使用して前縁フラップを格納位置から動かすことを含み、アクチュエータアセンブリは、作動アームを有する、翼内に配置されたギア式回転アクチュエータ、第1端部と第2端部とを有するスイングアームであって、その第1端部が航空機の翼に回転可能に連結された、スイングアーム、第1端部と第2端部とを有するチルトアームであって、スイングアームの第2端部がチルトアームの第1端部に回転可能に連結され、作動アームの中間点がチルトアームの中間点に回転可能に連結され、かつ、チルトアームの第2端部が前縁フラップに回転可能に連結された、チルトアーム、及び、第1端部と第2端部とを有するキッカーアームであって、キッカーアームの第1端部が作動アームの遠位端部に回転可能に連結され、キッカーアームの第2端部が前縁フラップに回転可能に連結された、キッカーアームを含み、更に、前縁フラップが望ましい位置に来た時に、アクチュエータアセンブリのギア式回転アクチュエータを停止させることによって、前縁フラップの動きを止めることを含む、方法に関連している。格納位置において、前縁フラップは、翼の中に形成されたキャビティ内に配置されうる。格納位置において、前縁フラップの底部パネルは、翼の底部の一部を形成しうる。これにより、動作が強化される。望ましい位置において、前縁フラップの後縁は、翼の前縁から前方に離間していることがある。ギア式回転アクチュエータは、スイングアームの第1端部よりも翼の前縁に近接して配置されうる。方法は、前縁フラップの上部パネルの開口を覆うよう、開放位置から閉鎖位置へとシールを動かすことも含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本書で開示されている例が実装されうる例示的な航空機を示す。
【
図2】一列になっている例示的なフラップ及び例示的なアクチュエータアセンブリを伴う例示的なフラップシステムを有する、
図1の例示的な航空機の翼のうちの一方を示す。
【
図3A】例示的な翼の内部の、格納位置にある第1の例示的なフラップ及び第2の例示的なフラップを示し、かつ、第1及び第2の例示的なフラップを展開又は格納するための例示的なアクチュエータアセンブリを示している、
図2の例示的な翼の一区域の上面図である。
【
図3B】例示的な翼の内部の、格納位置にある例示的なアクチュエータアセンブリ及び第1の例示的なフラップを示している、
図3Aの線A-Aに沿って切った
図3Aの例示的な翼の断面図である。
【
図7A】展開位置にある第1の例示的なフラップ及び第2の例示的なフラップを示している、例示的な翼の
図3Aに示した区域の上面図である。
【
図7B】展開位置にある例示的なアクチュエータアセンブリ及び第1の例示的なフラップを示している、
図7Aの線E-Eに沿って切った
図7Aの例示的な翼の断面図である。
【
図8A】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8B】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8C】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8D】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8E】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8F】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8G】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8H】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8I】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図8J】格納位置と展開位置との間で第1の例示的なフラップを動かしている
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを示す、例示的なシーケンスの一部である。
【
図9】第1の例示的なフラップの上部パネルの例示的なノッチを示す、
図3A及び
図3Bの第1の例示的なフラップの斜視図である。
【
図10】展開位置にある時に第1及び第2のフラップのノッチを覆うために利用されうる例示的なシールを示す、展開位置にある
図3Aの第1の例示的なフラップ及び第2の例示的なフラップの上面図である。
【
図11】例示的なアクチュエータアセンブリの少なくとも一部分が第1及び第2のフラップのノッチを通って延在している、格納位置にある
図10の第1の例示的なフラップ及び第2の例示的なフラップの上面図である。
【
図13】展開位置にある時に第1及び第2のフラップのノッチを覆うために利用されうる別の例示的なシールを示す、展開位置にある
図3Aの第1の例示的なフラップ及び第2の例示的なフラップの上面図である。
【
図14】例示的なアクチュエータアセンブリの少なくとも一部分が第1及び第2のフラップのノッチを通って延在している、格納位置にある
図13の第1の例示的なフラップ及び第2の例示的なフラップの上面図である。
【
図16】
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリを使用してフラップを展開させる、例示的な方法を表わすフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面は縮尺通りではない。その代わりに、多重的な層及び領域を分かりやすく示すために、図中の層の厚さが拡大されていることがある。図面(複数可)及び付随する明細書を通じて、可能な限り、同じ又は類似の部分に言及するのに同じ参照番号が使用される。この特許出願においては、任意の部分(層、膜、エリア、又はプレートなど)が、任意の方式で、別の部分に位置付けられる(例えば、「~に位置付けられる(positioned on)」、「~に位置する(located on)」、「~に配置される(disposed on)」、「~に形成される(formed on)」など)、と表現することで、言及された部分が他方の部分と接触していることと、言及された部分が他方の部分の上にあり、それらの間に一又は複数の中間部分が配置されていることの、いずれもが示される。任意の部分が別の部分と接触している、という表現は、この2つの部分の間に中間部分がないことを意味する。
【0013】
航空機の前縁フラップ(一般的にクルーガーフラップと称される)を展開させるための例示的なアクチュエータアセンブリが、本書で開示されている。本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、既知のアクチュエータアセンブリと比較してクルーガーフラップに対する負荷の軽減をもたらす、空力効率がより良好な(more aerodynamic)経路に沿って、クルーガーフラップを動かす。クルーガーフラップが展開位置にある時にクルーガーフラップの上部パネルのノッチを覆うことにより、展開位置におけるクルーガーフラップの空力効果を増大させるために使用されうる、例示的なシールも、本書で開示されている。
【0014】
通常、クルーガーフラップは、翼の底部側から翼の前縁の前方の展開位置へとスイングする、一種の前縁高揚力デバイス(例えばパネルや面)である。展開位置において、クルーガーフラップは翼の前縁の前方に配置される。これにより、離着陸時に、空力揚力に影響を与えるよう、翼の迎え角が変化し、翼弦長が増大する。クルーガーフラップは、失速速度を低減するためにも使用されうる。既知のクルーガーフラップシステムにおいて、クルーガーフラップは、上下逆配置で翼の底部側に格納される。詳細には、翼の底部側はクルーガーフラップのための開口を含み、クルーガーフラップは、その上面が翼の底部側と位置合わせされて、実質的に滑らかな翼の底面を形成するように、上下逆に位置付けられる。次いで、クルーガーフラップを展開位置にする時には、クルーガーフラップシステムのアクチュエータアセンブリが、翼の底部側から翼の前縁の前方外部の展開位置へと、弧状経路に沿って、クルーガーフラップをスイングさせる。クルーガーフラップが展開位置へと動いている間に、アクチュエータアセンブリは、クルーガーフラップの(それ以前に格納位置では下を向いていた)上面が上を向くことになるように、クルーガーフラップをひっくり返す。既知のクルーガーフラップシステムは、有効ではあるが、多くの欠点を有している。第1に、クルーガーフラップは、格納位置と展開位置との間で動いている時に、一時的に、その上面(又は幅広側(broadside))が気流に対して垂直に位置付けられ(「バーンドア(barn door)」状態と称されることもある)、これにより、クルーガーフラップに対する大きな負荷/抵抗が生じる。ゆえに、既知のクルーガーフラップシステムにはより高出力のアクチュエータが必要であり、このようなアクチュエータは、相対的に重く、かつ高価である。
【0015】
既知のクルーガーフラップシステムの別の欠点は、大きな湾曲又はキャンバを有することが通常求められるクルーガーフラップの上面が、格納位置において、翼の底部側を形成しなくてはならないことである。そのため、クルーガーフラップの上面は、巡航条件のために設計されている翼の底部側と一致するよう、相対的に平坦になる必要がある。このことは、クルーガーフラップの上面の湾曲量を著しく制限し、ひいては、既知のクルーガーフラップによって発生しうる揚力量に影響を与える。この欠点を克服するために、一部の既知のクルーガーフラップは、クルーガーフラップの前縁に蝶番式に動作可能に連結される、追加の湾曲面(ブルノーズ(bullnose)として既知である)を利用する。クルーガーフラップが展開されるにつれて、ブルノーズは外側へとスイングして、クルーガーフラップにより大きな湾曲を提供する。しかし、このようなブルノーズ設計は、複雑であると共に、ブルノーズを展開させるための追加の作動機構又は連結部を要し、これにより、システムには重量とコストが更に追加される。加えて、ブルノーズは翼内部に格納されるので、翼内部に追加のスペースが必要になることから、大型のブルノーズを組み入れるのは困難である。
【0016】
その他の既知のクルーガーフラップ(可変キャンバ型クルーガーフラップとして既知である)は、クルーガーフラップの上面に沿ってより大きな湾曲を作り出すために、展開位置になるとクルーガーフラップの上面を外側へと曲げる、追加の機構を有する。しかし、可変キャンバ型クルーガーフラップは、湾曲面を作り出すための追加の機構を要し、この機構は、追加の部品、重量、及びコストをもたらす。場合によっては、2つの機構(フラップを展開させる機構とフラップを曲げる機構)の各々が、10の動的接合部を有する。更に、多数の連結部を組み入れることは、この連結部の全てが格納位置において翼の中に折り畳まれる必要があるので、困難でありうる。
【0017】
更に、クルーガーフラップのための既知のアクチュエータアセンブリは、複雑であることが多く、多数の構成要素を要する。一部の既知のアクチュエータアセンブリは、13の動的接合部を含む。また、既知のアクチュエータアセンブリは、クルーガーフラップを、シンプルな一円弧に沿って回転させるだけであるので、クルーガーフラップが翼の前方に展開されうる距離が制限される。ゆえに、フラップと翼の前縁との間に、より一層の間隙、又はもっと高い高さを作り出すことを望むのは、実際的ではないことがある。
【0018】
格納位置と展開位置との間で前縁フラップ(クルーガーフラップ)を動かすための、例示的なフラップシステム及び例示的なアクチュエータアセンブリが、本書で開示されている。本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、既知のアクチュエータアセンブリよりも少ない数の構成要素(例えば連結部やアーム)を利用し、ゆえに、既知のアクチュエータアセンブリよりもシンプルで、軽量で、小型で、かつ安価なものになる。更に、本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、上述の垂直(バーンドア)状態を回避する運動を通じて、クルーガーフラップを動かす。そのため、例示的なアクチュエータアセンブリは、より小型で、軽量で、かつ安価なアクチュエータ(例えばギア回転アクチュエータ(GRA))を利用しうる。一部の例では、本書で開示されているアクチュエータアセンブリは、弧状経路に沿ってクルーガーフラップを平行移動させるが、既知のアクチュエータアセンブリのようにクルーガーフラップを裏返すことはない、六節連結(6-bar linkage)アセンブリを利用する。その代わりに、クルーガーフラップは、その底面が下を向き、上面が上を向いている状態で、翼内に格納される。例示的なアクチュエータアセンブリは、弧状経路に沿ってクルーガーフラップを動かしつつ、クルーガーフラップの前縁又はノーズが実質的に前方を向くように維持し、これにより空力効率が向上する。そのため、クルーガーフラップを通過する気流により生じる、クルーガーフラップに対する負荷及び力が、既知のクルーガーフラップシステムにおけるものよりも小さくなる。
【0019】
また、クルーガーフラップを、その底面が下を向いている(かつ、翼の底部側の一部を形成している)状態で、翼内に格納することによって、クルーガーフラップの上面(揚力面)は、制限を受けずに設計されうる。なぜなら、上面は翼の平坦な底部側を形成しないからである。そのため、クルーガーフラップの上面は、より大きな湾曲又はキャンバを伴って設計されることが可能になる。これにより、既知のクルーガーフラップと比較して、展開位置におけるより良好な空力的影響(より大きな揚力など)が実現される。より大きなこの湾曲又はキャンバは、低速時の性能を強化するためにも使用されうる。更に、例示的なクルーガーフラップの上面が、より大きな湾曲又はキャンバを伴って設計されることが可能であることから、例示的なフラップシステムは、上記の既知のフラップシステムに見られる、ブルノーズや曲げ機構などの追加の機構を要しない。また、フラップの上面は格納時に翼の内部に隠されるので、フラップの上面上に、その他の、隆起部やファンといった構造物が使用されうる。
【0020】
更に、本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、既知のアクチュエータアセンブリよりも少ない数の連結部又はアームを有する。一部の例では、アクチュエータアセンブリは、六節連結を形成する連結部のうちの1つとして、GRAのクランクアーム又は出力アームを利用する。既知のアクチュエータアセンブリでは、典型的には、電源装置と連結アセンブリのアームのうちの1つとの間で回転動力を伝達するのに使用される、追加のアーム及び連結部が必要である。ゆえに、例示的なアクチュエータアセンブリが利用する部品及び構成要素の数は、既知のアセンブリよりも少なくなる。そのため、例示的なアクチュエータアセンブリは、既知のアクチュエータアセンブリよりも、製造及び組み立てが安価になり、かつ軽量になる。これにより、航空機の効率が増大する。また、例示的なフラップシステムは、その他の、前縁スラットや下垂型前縁などの高揚力デバイスの前縁よりも、軽量かつ安価である。更に、本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、展開位置において、クルーガーフラップの後縁と翼の前縁との間により広い又は狭い間隙を有するよう、カスタマイズされうる。
【0021】
展開位置においてクルーガーフラップの上面のノッチを覆うために使用されうる、例示的なシールも本書で開示されている一部の例では、クルーガーフラップは、フラップの上面に形成されたノッチ又は開口を含む。格納位置において、アクチュエータアセンブリの一又は複数のアームが、ノッチを通って延在し、フラップの内部に連結される。しかし、展開位置においては、アームはフラップの底部から外側へと伸長する。これにより、ノッチはフラップの上面に開いたままとなる。開放ノッチによって生じる可能性がある空気抵抗を低減するよう、クルーガーフラップが展開位置にある時にノッチを覆うために使用されうる、例示的なシールが本書で開示されている格納位置においては、シールは邪魔にならないところにあり、アクチュエータアセンブリのアーム(複数可)がノッチを通って延在することが可能になる。しかし展開位置においては、シールは、ノッチを覆うよう移動し、実質的に滑らかな上面を形成する。一部の例では、シールは、シールがノッチを実質的に覆う閉鎖位置と、シールがノッチから外れている開放位置との間で、移動可能である。一部の例では、シールは、弾性材料で構成されており、変形又は圧縮されうる。
【0022】
図1は、本書で開示されている例が実装されうる、例示的な航空機100を示している。図示している例では、航空機100は、胴体102と、胴体102に連結された第1翼104と、胴体102に連結された第2翼106とを含む。第1翼及び第2翼104、106は、第1翼及び第2翼104、106の前縁及び後縁に沿って配置されている高揚力デバイス(例えば補助翼)といった、一又は複数の操縦翼面を有しうる。かかる高揚力デバイスは、航空機100の空力揚力を変化させるために、第1翼及び第2翼104、106の前縁又は後縁から変位又は伸長してよく、かつ、典型的には、離着陸時に使用される。例えば、高揚力デバイスは、第1翼及び第2翼104、106から伸長する時に、第1翼及び第2翼104、106の有効サイズ、湾曲キャンバ、及び面積を増大させることによって、第1翼104の揚力を増大させる。
【0023】
図2は、第1翼104で実装されうる、例示的なフラップシステム200を示している。図示している例では、第1翼104は、第1翼104の中に配置されたフラップシステム200を見せるために、透明であるように描かれている。例示的なフラップシステム200は、第1翼104の前縁201に沿って配置された複数の前縁フラップ(本書ではクルーガーフラップとも称されている)と、本書で更に詳述するように、格納位置と伸長位置すなわち展開位置との間でフラップを動かして、第1翼104のキャンバを変化させるための、複数の作動機構とを含む。図示している例では、フラップシステム200は、10のフラップ(第1フラップ202、第2フラップ204、第3フラップ206、第4フラップ208、第5フラップ210、第6フラップ212、第7フラップ214、第8フラップ216、第9フラップ218、及び第10フラップ220)を含む。フラップ204~220は、第1翼104の前縁201の前方に展開されうる、実質的に一体型の一構造物(例えば面又はパネル)を形成するよう、互いに隣り合って位置合わせされ、一斉に動かされる。例示的なフラップシステム200は、フラップ202~220が第1翼104の中に格納される格納位置と、フラップ202~220が第1翼104の前縁201の前方及び/又は下方に位置付けられる展開位置との間で、例示的なフラップ202~220を動かす。フラップ202~220は、第1翼104の上方の層流を強化するために展開されうる。更に、一部の例では、フラップ202~220は、第1翼104の前縁201を虫やその他のデブリから保護するために、展開されうる。
【0024】
一部の例では、フラップ202~220の各々の幅は、ほぼ同じ(65インチ(in)など)である。他の例では、フラップ202~220はより長い又は短いものであってよく、かつ/又は、第1翼104のフラップシステム200は、より多い数(例えば11、12など)又は少ない数(例えば9、8など)のフラップを含みうる。その上、第1翼104は、フラップ202~220に加えて、その他の、補助翼、スポイラ、タブ、前縁スラット、後縁スラットなどといった、操縦翼面を含みうる。第2翼106(
図1)は、同様の、フラップシステム及び/又はその他の操縦翼面を含みうる。冗長になることを避けるために、第2翼106及びそれに対応する構造物について、詳細に説明することはしない。その代わりに、第1翼104に関連して開示されている例示的な態様はいずれも、第2翼106に同様に適用されうると理解される。
【0025】
図示している例では、フラップ202~220の各々は、2つの別個の、ただし同期して動く(例えば協調して動く)例示的なアクチュエータアセンブリ224を使用して展開され、この2つの例示的なアクチュエータアセンブリ224のうち、1つはフラップ202~220の各々の翼根(inboard)側に、1つは翼端(outboard)側にある。フラップ202~220のうちの2つの間にあるアクチュエータアセンブリ224が、それぞれのフラップの端部に連結され、それらを駆動する。例えば、第1フラップ202と第2フラップ204との間のアクチュエータアセンブリ224は、第1及び第2のフラップ202、204の端部に連結され、それらを作動させる。同様に、第2フラップ204と第3フラップ206との間のアクチュエータアセンブリ224は、第2及び第3のフラップ204、206の端部に連結されてそれらを作動させ、以下同様に続く。そのため、図示している例では、11のアクチュエータアセンブリ224が存在する。
【0026】
図示している例では、アクチュエータアセンブリ224は、(例えば上流側又は下流側に)隣接しているアクチュエータアセンブリ224同士の間に延在している、トルクチューブ226の列によって駆動される。図示している例では、モータ又は電動駆動ユニット(PDU)228がトルクチューブ226を一斉に駆動し、これにより、アクチュエータアセンブリ224の各々に、それぞれのフラップ202~220を展開又は格納するための回転動力がもたらされる。例えば、
図2を参照するに、PDU228は、
図2の第1フラップ202の右側のアクチュエータアセンブリ224(例えば第1アクチュエータアセンブリ)を駆動しうる。加えて、この第1アクチュエータアセンブリ224の出力が、第1と第2のフラップ202、204の間のアクチュエータアセンブリ224に連結されているトルクチューブ226を駆動し、その出力が、隣の、第2と第3のフラップ204、206の間のアクチュエータアセンブリ224に連結された、隣のトルクチューブ226を駆動し、以下同様に続く。したがって、PDU228は、フラップ202~220を一斉に展開又は格納するために、第1翼104の前縁201に沿ったトルクチューブ226を介して、アクチュエータアセンブリ224の全てに駆動力を提供する。一部の例では、PDU228は、第2翼106(
図1)のフラップを駆動するためのアクチュエータアセンブリの全てにも、駆動力を提供する。その結果として、第1翼及び第2翼104、106の前縁に沿った全てのフラップが、同時に展開されうる。他の例では、第2翼106のフラップを駆動するために、別個のPDUが使用されうる。更に、図示している例では、それぞれのフラップ202~220を各々動かすために2つの例示的なアクチュエータアセンブリ224が使用されるが、他の例では、一又は複数のフラップ202~220を展開又は格納するために、1つのアクチュエータアセンブリだけが、又は2を上回る数のアクチュエータアセンブリが、使用されうる。ゆえに、例示的なフラップシステム200は、より多くの又は少ない数のアクチュエータアセンブリを含むこともある。
【0027】
図3A及び
図3Bは、この開示の一又は複数の原理にしたがって構成された、例示的なアクチュエータアセンブリ224のうちの1つを示している。詳細には、
図3Aは、第1翼104の、
図2に示す区域の上面図を示しており、
図3Bは、線A-Aに沿って切った
図3Aの翼の同じ区域の断面図すなわち側面図を示している。
図3Bでは、第1フラップ202だけが視認できる。
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリ224は、
図2のその他の例示的なアクチュエータアセンブリ224と実質的に同じである。ゆえに、
図3A及び
図3Bの第1と第2のフラップ202、204に関連する例示的なアクチュエータアセンブリ224についての開示は、
図2のその他の例示的なアクチュエータアセンブリ224及びその他の例示的なフラップ206~220のいずれにも、同様に適用されうる。
【0028】
図3A及び
図3Bの図示している例では、第1及び第2のフラップ202、204は、格納位置にあり、第1翼104の中に配置されている。第1及び第2のフラップ202、204は(
図2のその他のフラップ206~220も)、格納位置(
図3A及び
図3B)と展開位置(
図7A及び
図7Bに関連して更に図示及び説明する)との間で移動可能である。
図3A及び
図3Bの図示している例では、第1翼104は、上側表面パネル300と、下側表面パネル302と、前縁201とによって画定される。図示している例では、前縁201は、空気抵抗を低減するために、丸み付けされた、又は湾曲した輪郭を有する。格納位置において、第1及び第2のフラップ202、204は(
図2のその他のフラップ206~220も)、第1翼104の上側表面パネル300と下側表面パネル302との間の前縁201付近に形成された、キャビティ304の中に配置される。下側表面パネル302は、第1及び第2のフラップ202、204が(
図2のその他のフラップ206~220も)キャビティ304に出入りしうる、開口306(
図3B)を含む。格納位置において、第1と第2のフラップ202、204の底部側は(
図2のその他のフラップ206~220の底部側も)、開口306の中に位置合わせされる。例えば、
図3Bに図示しているように、第1フラップ202は上部パネル308(例えば上面、揚力面など)と、底部パネル310と、前縁312と、後縁313とを有する。
図3Bに示しているように、第1フラップ202の底部パネル310は、第1翼104の下側表面パネル302の開口306と実質的に位置合わせされるゆえに、第1フラップ202が格納位置にある時(巡航中の飛行時間の大部分を占める)に、第1フラップ202の底部パネル310は、第1翼104の実質的になめらかな底面を形成する。
図2の第2フラップ204及びその他のフラップ206~220も、類似した表面を含み、同じ格納位置に同様に配置される。一部の例では、フラップ202~220(
図2)の全てが、実質的に同じ弦長(10インチなど)を有する。他の例では、フラップ202~220は、より長い又は短い弦長を有してよく、かつ/又は、弦長が互いに異なりうる。例えば、翼根側のフラップ(例えば第1フラップ202)は、翼端側のフラップ(例えば第10フラップ220)よりも長い弦長を有することがある(
図2)。
【0029】
アクチュエータアセンブリ224は、作動時に、格納位置(
図3A及び
図3B)と、展開位置(
図7A及び
図7B)と、この2つの位置の間の任意の位置との間で、第1及び第2のフラップ202、204を動かす、複数の連結部又はアームを含む。図示している例では、アクチュエータアセンブリ224は、第1フラップ202と第2フラップ204との間に配置され、かつ、その両方に連結される。そのため、アクチュエータアセンブリ224は、第1と第2のフラップ202、204を一斉に動かす。しかし、他の例示的では、アクチュエータアセンブリ242が1つのフラップだけに連結されることもある。例えば、
図2を簡単に見直すと、
図2の右端のアクチュエータアセンブリ242は、第1フラップ202の翼根側にだけ連結されている。同様に、
図2の左端では、最後のアクチュエータアセンブリ242が、第10フラップ220の翼端側にだけ連結されている。一部の例では、右端及び左端のアクチュエータアセンブリは、実質的に、
図3A及び
図3Bに示しているアクチュエータアセンブリ224と同じでありうる。他の例では、右端及び左端のアクチュエータアセンブリ224の断面の幅は、
図3Aに示しているアクチュエータアセンブリ224幅の半分になりうる(例えば、
図3Aの線A-Aの上側の構造物)。
【0030】
図3A及び
図3Bの図示している例では、例示的なアクチュエータアセンブリ224は、作動アーム314(例えば第1のアーム又は連結部)と、第1スイングアーム316(例えば第2のアーム又は連結部)と、チルトアーム318(例えば第3のアーム又は連結部)と、キッカーアーム320(例えば第4のアーム又は連結部)とを含む。本書で更に詳述するように、作動アーム314及び第1スイングアーム316は第1翼104に連結され、チルトアーム318及びキッカーアーム320は第1フラップ及び第2フラップ202、204に連結される。(1)(例えば、ベース又は基盤を形成している)第1翼104、(2)作動アーム314、(3)第1スイングアーム316、(4)チルトアーム318、(5)キッカーアーム320、及び、(6)第1及び第2のフラップ202、204という、6つの構造物が、格納位置と展開位置と(及び/又は、この2つの位置の間の任意の位置と)の間で、第1及び第2のフラップ202、204を平行移動させる、六節連結を形成する。六節連結の作動を示す例示的なシーケンスについて、
図8A~
図8Jに図示しており、かつ、本書でより詳細に説明する。
図3Bに示す格納位置において、アクチュエータアセンブリ224は、第1翼104のキャビティ304の中に配置される。ゆえに、この例では、アクチュエータアセンブリ224のうち、それが空力抵抗を引き起こしうる第1翼104の外部に配置されているものはない。
【0031】
アーム314、316、318、320を駆動し、第1及び第2のフラップ202、204を動かすために、例示的なアクチュエータアセンブリ224はギア式回転アクチュエータ(GRA)322を含む。図示している例では、作動アーム314は、GRA322のクランクアーム又は出力アームであり、GRA322は、その他のアーム316、318、320を動かし、ひいては、格納位置と展開位置との間で第1及び第2のフラップ202、204を動かすために、作動アーム314を回転させるよう動作する。GRA322は、トルクチューブ226のうちの1つによって駆動される。詳細には、
図3Aに示しているように、GRA322は、上流にあるトルクチューブ226に連結されている上流シャフト又は入力シャフト324と、下流にあるトルクチューブ226に連結された下流シャフト又は出力シャフト326とを有する。GRA322は、上流にあるトルクチューブ226によって作動アーム314に加えられるトルク及び回転速度を変更するために使用される、ギア列(例えば、ギアや変速装置などによるシステム)を包含する。通常、PDU228(
図2)は、相対的に速いスピード(例えば、約700回転/分(RPM))で回転する。GRA322は、作動アーム314に提供される回転スピードを低下させ、ゆえに、作動アーム314に提供されるトルクを増大させる。出力シャフト326は、相対的に速いスピードで下流にあるトルクチューブ226を回転させることによって、下流側の隣りにあるアクチュエータアセンブリに力を提供する。図示している例では、GRA322は、キャビティ304の中の、第1翼104の前縁201付近に配置されている。他の例では、GRA322はその他の場所に配置されうる。一部の例では、GRA322は約3.2inの直径を有する。他の例では、GRA322は、より大きな又は小さな直径を有しうる。
【0032】
図示している例では、作動アーム314は、曲がっているか又は湾曲しており(例えば、「L」形状を有し)、かつ、第1端部328及び第2端部330(例えば遠位端部)を有する(
図3B)。作動アーム314の第1端部328は、GRA322を介して第1翼104に回転可能に連結され、これにより、第1接合部332が形成されている。第1スイングアーム316は、第1端部334及び第2端部336を含む。第1スイングアーム316の第1端部334は、第2接合部338において、第1翼104に回転可能に連結される。詳細には、
図3Aを参照するに、第1スイングアーム316の第1端部334は、第1翼104内の第1リブ340に回転可能に連結される。図示している例では、GRA322は、第1スイングアーム316の第1端部334よりも前縁201に近接して、第1翼104のキャビティ304内に配置されている。一部の例では、この構成により、第1及び第2のフラップ202、204を収容するためのキャビティ304の中に、より多くのスペースが得られる。図示している例では、第1スイングアーム316の第2端部336は、以下で詳述するように、チルトアーム318に回転可能に連結される。
図3Aにも示しているように、アクチュエータアセンブリ224は第2スイングアーム342を含み、第2スイングアーム342は、第1翼104内の第2リブ344とチルトアーム318の別の側との間に、同様に連結される。一部の例では、第2スイングアーム342を追加することは、アクチュエータアセンブリ224のバランスを保つことに役立つ。しかし、他の例では、第1と第2のスイングアーム316、342のうちの1つだけが利用されることもある。
【0033】
図3A及び
図3Bの図示している例では、作動アーム314、及び、第1と第2のスイングアーム316、342は、チルトアーム318に回転可能に連結されている。チルトアーム318は、湾曲しているか又は曲がっており、かつ、第1端部346及び第2端部348を有する。図示している例では、第3接合部354において、作動アーム314の中間点350(
図3B)(例えば、作動アーム314の第1端部328と第2端部330との間の一点)は、チルトアーム318の中間点352(
図3B)(例えば、チルトアーム318の第1端部346と第2端部348との間の一点)に、回転可能に連結されている。図示している例では、作動アーム314の中間点350は、作動アーム314の屈曲部にあるか、又は屈曲部の付近にある。他の例では、作動アーム314の中間点350は、作動アーム314のその他の場所にありうる。
【0034】
図3A及び
図3Bに示しているように、第1スイングアーム316の第2端部336は、第4接合部356において、チルトアーム318の第1端部346に回転可能に連結されている。同様に、
図3Aに示しているように、第2スイングアーム342も、第4接合部356において(例えば、チルトアーム318の第1スイングアーム316とは反対の側で)、チルトアーム318の第1端部346に回転可能に連結されている。図示している例では、チルトアーム318の第2端部348は、第1及び第2のフラップ202、204の前縁付近の第5接合部358において、第1及び第2のフラップ202、204に連結されている(例えば前方フラップ取り付け)。
図3Bでより明確に視認できるように、チルトアーム318は、第1フラップ202の下側表面に沿って延在し、かつ、第1フラップ202の前縁312付近で、第1フラップ202の側壁360に回転可能に連結されている。チルトアーム318の第2端部348は、同様に、第2フラップ204の対応する側部にも連結される。
【0035】
図示している例では、作動アーム314は、キッカーアーム320を介して、第1及び第2のフラップ202、204に回転可能に連結されている。詳細には、
図3Bに示しているように、キッカーアーム320は、第1端部362及び第2端部364を有する。キッカーアーム320の第1端部362は、第6接合部366において、作動アーム314の第2端部330に回転可能に連結される。キッカーアーム320の第2端部364は、第7接合部368において、第1及び第2のフラップ202、204に回転可能に連結され(例えば後方フラップ取り付け)る。第7接合部368は、第5接合部358よりも、第1及び第2のフラップ202、204の後縁に近接している。例えば、
図3Bでより明確に視認できるように、キッカーアーム320の第2端部364は、第5接合部358よりも後縁に近接して、第1フラップ202の側壁360に回転可能に連結されている。上述のように、例示的なアクチュエータアセンブリ224は、7つの接合部によって形成される。例示的な接合部332、338、354、356、358、366、368のいずれもが、接合部のそれぞれを形成する対応する構造物同士の間に延在している、ピンによって形成されうる。他の例では、対応する構造物同士は、他の機構を介して回転可能に連結されうる。一部の例では、アクチュエータアセンブリ242のアーム314~320は、アルミニウムなどの、相対的に軽量かつ剛性の材料で構成される。他の例では、アーム314~320は、その他の、鋼鉄や炭素繊維などといった好適な材料で構成されうる。
【0036】
図4から
図6は、第1翼104内の、例示的なアクチュエータアセンブリ224及び第1と第2のフラップを示している、
図3A及び
図3Bの第1翼104の断面図である。詳細には、
図4は、
図3Bの線B-Bに沿って切った断面図である。
図4に示しているように、第1スイングアーム316の第1端部334は、第2接合部338において、第1翼104内の第1リブ340に回転可能に連結されている。同様に、第2スイングアーム342も、(例えば、第2接合部338と同じ軸に沿って、)第1翼104内の第2リブ344に回転可能に連結されている。上述したように、一部の例では、第1と第2のスイングアーム316、342のうちの1つだけが実装されることもある。第5接合部358において第1フラップ202及び第2フラップ204に回転可能に連結された、チルトアーム318の第2端部348も、
図4に示している。
【0037】
図5は、
図3Bの線C-Cに沿って切った断面図である。図示しているように、キッカーアーム320の第2端部364は、第7接合部368において、第1フラップ202及び第2フラップ204に回転可能に連結されている。
図6は、
図3Bの線D-Dに沿って切った断面図である。図示しているように、第1スイングアーム316の第2端部336は、第4接合部356において、チルトアーム318の第1端部346に回転可能に連結されている。同様に、第2スイングアームも、(例えば同じピンを介して、)第4接合部356において、チルトアーム318の別の側に回転可能に連結されている。しかし、上述したように、他の例では、第1と第2のスイングアーム316、342のうちの1つだけが利用されることもある。
【0038】
図6に示しているように、チルトアーム318は、2つの側壁600、602(例えば平行な側壁)であって、間に間隙が形成されている、2つの側壁600、602によって形成される。作動アーム314の少なくとも一部分は、この2つの側壁600、602の間に延在する。格納位置において、
図6に示しているように、キッカーアーム320も、少なくとも部分的に、2つの側壁600、602の間に配置される。そのため、作動アーム314、チルトアーム318、及びキッカーアーム320は、同一平面に沿って動く。他の例では、チルトアーム318は平行な2つの壁で構成されないことがある。その代わりに、作動アーム314とチルトアーム318とは、別々の平面に沿って配置され、かつ、別々の平面を通って移くように、オフセットされうる。
【0039】
図4から
図6の断面図に示しているように、格納位置において、チルトアーム318は、第1と第2のフラップ202、204の間に延在する。チルトアーム318の底部壁400は、第1フラップ202の底部パネル310、及び、第2フラップ204の対応する底部パネルと、実質的に位置合わせされる。ゆえに、第1及び第2のフラップ202、204が格納位置にある時に、第1及び第2のフラップ202、204の底部側、及び、チルトアーム318の底部壁400は、第1翼104の下側表面パネル302(
図3B)の開口306(
図3B)を塞ぎ、ひいては、第1翼104の底部側に沿った、実質的になめらかな表面を形成する。
【0040】
図3A及び
図3Bを簡単に見直すと、格納位置において、アクチュエータアセンブリ224は、第1フラップ202の上部パネル308の第1ノッチ370を通って延在している。同様に、第2上部パネル374に第2ノッチ382が形成され、アクチュエータアセンブリ224はこれを通って延在する。第1及び第2のノッチ370、372は互いに向かい合って、スロット376を形成する。アクチュエータアセンブリ224は、本書で更に詳述するように、このスロットを通って動く。一部の例では、チルトアーム318の幅は、スロット376の幅と実質的に同じである。例えば、第1及び第2のノッチ370、372は、幅が約0.75インチであってよく(これにより、約1.50インチのスロットが形成され)、チルトアーム318は、幅が約1.50インチでありうる。他の例では、第1及び/若しくは第2のノッチ370、372の寸法、並びに/又は、チルトアーム318の幅は、より大きいか又は小さいものでありうる。
【0041】
図7A及び
図7Bはそれぞれ、
図3A及び
図3Bに類似した図であり、展開位置すなわち伸長位置にある、第1及び第2のフラップ202、204を示している。図示しているように、第1及び第2のフラップ202、204は、第1翼104の上側表面パネル300の上方の層気流を強化する角度で、第1翼104の前縁201の前方に位置付けられている。ゆえに、第1翼104の空力揚力を変化させるために、第1及び第2のフラップ202、204が(
図2のその他のフラップ206~220も)展開されうる。更に、一部の例では、第1及び第2のフラップ202、204は(
図2のその他のフラップ206~220も)、第1翼104の前縁201を虫及び/又はその他のデブリから保護するために、展開されうる。図示している例では、作動アーム314及び第1と第2のスイングアーム316、342は、下側表面パネル302の開口306(
図8B)を通って伸長する。
図7Bに示しているように、アクチュエータアセンブリ224は、第1フラップ202の底部パネル310から外側へと伸長する。
【0042】
図7A及び
図7Bに図示している例では、第1及び第2のフラップ202、204は、第1翼104の前縁201から離間している。他の例では、第1及び第2のフラップ202、204を前縁201により近接して、又は前縁201からより遠くに位置付けるために、アーム314、316、318、320はより長い又はより短いものになりうる。一部の例では、アクチュエータアセンブリ224は、第1及び第2のフラップ202、204の後縁を、前縁201のところに、又は前縁201の付近に位置付けるよう、設計される。一部の例では、個別のアクチュエータアセンブリ224が、それぞれのフラップ202~220(
図2)を、第1翼104の前縁201に対して別々の位置に位置付けるよう、設計される。例えば、
図2を再度参照するに、フラップのうちの翼根側のもの(例えば第1フラップ202)は、前縁201の前方において、フラップのうちの翼端側のもの(例えば第10フラップ220)よりも相対的に高く、位置付けられうる。
【0043】
図8Aから
図8Jは、格納位置から展開位置へと第1フラップ202を動かすアクチュエータアセンブリ224を示している、例示的なシーケンスである。アクチュエータアセンブリ224及び第1フラップ202は、最初には
図8Aの格納位置にあり、第1翼104のキャビティ302内に配置されている。第1フラップ202の底部パネル310及びチルトアーム318の底部壁400は、第1翼104の下側表面パネル302に沿った実質的になめらかな表面を形成するよう、開口306と位置が合っている。第1フラップ202を動かすために、トルクチューブ226(
図2)のうちの1つによって駆動されるGRA322が、作動アーム314を下向きに(
図8Aにおける時計回り方向に)回転させる。作動アーム314はチルトアーム318を下向きに押し、これにより、チルトアーム318及び第1フラップ202が、
図8B及び
図8Cに示しているように、第1翼104の下側表面パネル302から下向きに動かされる。
図8B及び
図8Cに示しているように、チルトアーム318の中間点352は、第3接合部354における作動アーム314の中間点350の経路に沿って、スイングする。更に、チルトアーム318の第1端部346は、第4接合部256における第1スイングアーム316(及び/又は第2スイングアーム342(
図3A))の第2端部336の経路に沿ってスイングする。ゆえに、チルトアーム318は、作動アーム314及び第1スイングアーム316によって画定される経路に沿ってスイングする。
図8Dから
図8Fに示しているように、作動アーム314及び第1スイングアーム316がチルトアーム318を(
図8Dから
図8Fにおける時計回り方向に)スイングさせ続けるにつれて、作動アーム314の第2端部330は、チルトアーム318から出て、第1フラップ202の底部パネル310に向かって動く。
図8Gから
図8Iでは、作動アーム314は下向きに(時計回り方向に)回転し続ける。これによって、キッカーアーム320が外側へと押されることにより、第1フラップ202の後縁313が左側へと更に押され、第1フラップ202は、下側へとチルトされるか、又は角度付けされることになる(例えば、
図8Gから
図8Iにおける反時計回り方向に回転する)。
図8Jでは、第1フラップ202は最終展開位置に到達している。
【0044】
図8Aから
図8Jの例示的なシーケンスに示しているように、例示的なアクチュエータアセンブリ224は、気流の方向に対して垂直な配向(「バーンドア」状態と称されることもある)を通って第1フラップ202をスイングさせるわけではない。そのため、アクチュエータアセンブリ224は、第1フラップ202に対する、ひいてはアクチュエータアセンブリ224に対する負荷の増大を引き起こすはずの経路に沿って、第1フラップ202を動かすことを回避する。その代わりに、シーケンスの第1部分(例えば
図8Aから
図8Eまでなど)において、第1フラップ202は、第1フラップ202の前縁312が前を向いた状態で、実質的に水平に保たれ、これにより、気流に抗しての移動が、より良好な空力効率を伴い、かつ容易なものになる。シーケンスの第2部分(例えば
図8Fから
図8Jなど)において、キッカーアーム320は第1フラップ202の後縁313を上向き/外向きに押し、これにより、第1フラップ202がチルトして、展開位置における望ましい配向が実現する。第1フラップ202は若干のすくい動作(scooping action)を実施しうるが、既知のアクチュエータアセンブリに見られる垂直様態での第1フラップ202の移動とは対照的に、第1フラップ202の前縁312(
図8Aから
図8E参照)が、移動中の安定性をもたらす。
【0045】
第1フラップ202を展開させる例示的な方法は、第1フラップ202を格納位置(
図8A)から展開位置(
図8J)へと、及び/又は、この2つの位置の間の他の任意の位置にスイングさせるために、例えば、(PDU228(
図2)を作動させることなどによって)アクチュエータアセンブリ224を作動させることを含みうる。アクチュエータアセンブリ224は、作動アーム314(例えば、GRA322のクランクアーム又は出力アーム)を回転させるGRA322を介して、作動しうる。例示的なシーケンス8A~8Jは、第1フラップ202を展開位置(
図8J)から格納位置(
図8A)へと戻すように動かすために、逆順に実施されることもある。換言すると、GRA322(
図8A)は、逆方向に(
図8Aから
図8Jの反時計回り方向に)作動アーム314を回転させてよく、これにより、第1フラップ202は、第1翼104の底部に引き戻される。格納位置に戻ると、第1フラップ202の底部パネル310及びチルトアーム318の底部壁400は、
図8Aに示しているように、第1翼104の下側表面パネル302に沿った実質的に滑らかな表面を形成する。
【0046】
上述したように、格納位置において、アクチュエータアセンブリ224の少なくとも一部分は、第1フラップ202の上部パネル308の第1ノッチ370を通って延在する。
図9は、例示的な第1フラップ202の斜視図を示している。
図9に示しているように、第1ノッチ370は、上部パネル308の一側部900(例えば翼端側の側部)に延在し、かつ、後端313に戻るように延在している。その結果として、上部パネル308の前縁312付近の一部分は、第1フラップ202の側壁360を越えて外側へと延在する。第1フラップ202の底部パネル310も、アクチュエータアセンブリ224(
図3A)が格納位置から展開位置へと動くことを可能にするよう、第1ノッチ370と同じく引っ込んでいる。図示している例では、接続点902、904(丸で示している)が、側壁360の、第5及び第7の接合部358、368がそれぞれ形成されるところに示されている。
【0047】
図3Aを簡単に見直すと、第2フラップ204は、第2上部パネル374の翼端側の一側部に同様のノッチ(すなわち第2ノッチ372)を含む。上部パネル308、374の前縁付近の前方部分は、互いに隣り合って位置付けられ、実質的に連続した上側表面を形成しており、第1と第2のノッチ370、372は、アクチュエータアセンブリ224を収容するための、上部パネル308、374におけるスロット376を形成する。しかし、第1及び第2のフラップ202、204が展開位置にある時には、
図7A及び
図8Bに示しているように、アクチュエータアセンブリ224は、第1及び第2のフラップ202、204の底部パネルから外側へと伸長する。その結果として、展開位置において、第1及び第2のノッチ370、372を含む第1及び第2のフラップ202、204の上部パネル308、374は、気流に暴露される。第1及び第2のノッチ370、372は、第1及び第2のフラップ202、204の上部パネル308、374の上方の気流に悪影響を与え、望ましくない空力効果を引き起こすことがある。したがって、一部の例では、第1及び第2のフラップ202、204の第1及び第2のノッチ370、372を覆うために、一又は複数の例示的なカバー又はシールが使用されうる。
【0048】
図10から
図12は、第1及び第2のフラップ202、204の第1及び第2のノッチ370、372を覆うために使用されうる、例示的なシールを示している。
図10は、展開位置にある(又は部分的に展開位置にある)第1及び第2のフラップ202、204の上面図であり、
図11は、格納位置にある第1及び第2のフラップ202、204の上面図であり、
図12は、
図11の線F-Fに沿って切った断面図である。
図10及び
図11では、第1及び第2のフラップ202、204の上部パネル308、374が、内部のシール及びその他の構造物を見せるために、透明になっており、点線で示されている。
図10及び
図11に示しているように、第1フラップ202は第1シール1000を含む。第1シール1000は本体1002とアーム1004とを有する。本体1002は、
図10に示しているように、第1フラップ202の側壁360から外側へと延在して、第1フラップ202の上部パネル308の第1ノッチ370を覆うか、又は第1ノッチ370と重なる。本体1002は、
図10及び
図11に示しているように、上から見ると長方形の形状を有し、
図12に示しているように、横から見ると、第1フラップ202の上部パネル308の輪郭と一致するよう、楔形の断面を有する。第1シール1000は、
図10に示す閉鎖位置と
図11に示す開放位置との間で移動可能である。第1シール1000は、閉鎖位置において、第1ノッチ370を実質的に覆い、開放位置において、第1ノッチ370から外れる。第1シールの移動を可能にするために、アーム1004は、第1枢動点1006(
図10及び
図11)において、第1フラップ202に枢動可能に連結される。詳細には、
図12に示しているように、第1シール1000のアーム1004は、第1フラップ202の内部の上部パネル308と底部パネル310との間に延在するマウント1200に、枢動可能に連結される。
図10から
図12の図示している例では、第1シール1000は、第1バネ1008によって閉鎖位置へと付勢される。第1バネ1008は第1フラップ202内に配置される。
図10及び
図11に示しているように、第1バネ1008の一方の端部は、第1フラップ202の中のバネリテーナ1010内に配置され、第1バネ1008の他方の端部は、第1シール1000内に形成されたチャネル1012の中へと延在している。そのため、第1バネ1008は、第1シール1000を第1ノッチ370に向けて押す。一部の例では、第1シール1000が第1ノッチ370へと過度に延在する(例えば回転する)ことを防止するために、一又は複数の止め具(例えばピンやこぶ状部など)が設けられうる。同様に、
図10及び
図11に示しているように、第2フラップ204は、第2バネ1016を介して閉鎖位置へと付勢されている、第2シール1014を含む。第2シール1014は、第1シール1000と実質的に同じである。冗長になることを避けるために、第2シール1014の構造及び動作について、ここでは繰り返さない。
図10に示しているように、第1及び第2のシール1000、1014は、第1及び第2のフラップ202、204の上部パネル308、374に沿って実質的に閉ざされた滑らかな表面を形成するよう、(第1及び第2のノッチ370、372によって形成された)スロット376を実質的に覆う。第1及び第2のシール1000、1014は、展開位置(
図10)においてスロット376を覆うよう、互いに向かって移動可能であり、かつ、格納位置(
図11)においてスロット376を露出するよう、互いから離れるように移動可能である。
【0049】
例えば、
図11は、第1及び第2のフラップ202、204が(例えば
図3A及び
図3Bに示す)格納位置に動いた後の、開放位置における第1及び第2のシール1000、1014を示している。第1及び第2のフラップ202、204が展開位置から格納位置へと動いている時に、作動アーム314及びチルトアーム318は、第1及び第2のフラップ202、204の上部パネル308、374のノッチ370、372の中に入り、第1と第2のシール1000、1014を、外側へと、第1と第2のフラップ202、204それぞれの方に押す。
図10及び
図11に示しているように、作動アーム314の縁部1018(例えば前縁)は、テーパされているか又は角度が付けられており、これにより、作動アーム314が第1と第2のシール1000、1014を離間させる際に生じる摩擦が低減し、より容易な進入が可能になる。換言すると、作動アーム314の縁部1018は、第1及び第2のフラップ202、204が展開位置から格納位置へと動く際に、第1及び第2のシール1000、1014と係合する。図示している例では、第1シール1000の第1外角部1020がテーパされており、このことは、作動アーム314が第1ノッチ内に滑り込み、第1シールを外側へと動かすことを可能にする上で、更に役立つ。同様に、第2シール1014は、テーパされている第2外角部1022を含む。一部の例では、第1と第2の外角部1020、1022の角度は、作動アーム314の前縁1018の角度と一致する。一部の例では、チルトアーム318の側壁600、602(
図10)の前縁も丸み付けされているか、又はテーパされており、このことは、アクチュエータアセンブリ224が第1及び第2のノッチ370、372に進入する際の摩擦を低減する上で、更に役立つ。第1及び第2のフラップ202、204が展開位置へと動き、作動アーム314及びチルトアーム318がスロット376から出ると、第1及び第2のシール1000、1014は、スロット376を実質的に覆うよう、(例えば第1及び第2のバネ1008、1016を介して、)共に元の場所に戻る。
【0050】
別の例示的なシールを、
図13から
図15に示す。詳細には、
図13は、展開位置にある(又は部分的に展開位置にある)第1及び第2のフラップ202、204の上面図であり、
図14は、格納位置にある第1及び第2のフラップ202、204の上面図であり、
図15は、
図14の線F-Fに沿って切った断面図である。
図13及び
図14では、第1及び第2のフラップ202、204の上部パネル308、374は、内部のシール及びその他の構造物を見せるために、透明になっており、点線で示されている。
図13及び
図14で示しているように、第1フラップ202は第1可撓性シール1300を含む。第1可撓性シール1300は、第1フラップ202の側壁360に形成された凹部1302内に配置され、かつ、外側に、第1ノッチ370内へと延在する。第1可撓性シール1300は、変形可能(例えば圧縮可能)であるか、又は変位可能であり、かつ、変形又は変位された後に実質的に同じ形状に戻る、弾性材料(例えばゴム、シリコン、ガラス繊維強化型シリコンなど)で構成される。詳細には、第1可撓性シール1300は、
図13に示している、第1ノッチ370を実質的に覆う第1形状(例えば非変形状態)から、
図14に示している、第1ノッチ370内にスペースを提供する第2形状(例えば変形状態)に、変形可能である。同様に、
図13及び
図14に示しているように、第2フラップ204は、弾性材料で構成された第2可撓性シール1304を含む。第2可撓性シール1304は、第1可撓性シール1300と実質的に同じである。冗長になることを避けるために、第2可撓性シール1304の構造及び動作についての説明を、ここでは繰り返さない。
図13に示しているように、第1及び第2の可撓性シール1300、1304は、第1及び第2のフラップ202、204の上部パネル308、374に沿って実質的に閉ざされた滑らかな表面を形成するために、スロット376を実質的に覆う。
【0051】
図14は、第1及び第2のフラップ202、204が(例えば
図3A及び
図3Bに示している)格納位置に動いた後の、変形状態の第1及び第2の可撓性シール1300、1304を示している。例えば、第1及び第2のフラップ202、204が展開位置から格納位置へと動いている時に、作動アーム314及びチルトアーム318は、(第1及び第2のノッチ370、372によって形成された)スロット376の中に入り、第1及び第2の可撓性シール1300、1304を変位又は変形させる。
図10及び
図11に関連して開示しているように、作動アーム314の縁部1018は、作動アーム314及びチルトアーム318が第1と第2の可撓性シール1300、1304を離間させる際の摩擦を低減するために、テーパされているか、又は角度が付けられている。一部の例では、第1及び/又は第2の可撓性シール1300、1304は、第1と第2の可撓性シール1300、1304のそれぞれを、変形後に第1(未変形)形状(
図13)に戻すことを支援するための、バネ部材を含みうる。例えば、
図13及び
図14に示しているように、第1バネ部材1306が、第1可撓性シール1300に連結されている。第1バネ部材1306は、作動アーム314及びチルトアーム318が第1ノッチ370を出てから第1可撓性シール1300を付勢してその元の形状に戻す上で、役立つ。図示している例では、第1バネ部材1306の第1部分1308は側壁360に連結され、第1バネ部材1306の第2部分1310は、第1可撓性シール1300を通って延在している。図示している例では、第1バネ部材1306は、第1可撓性シール1300の弾性材料の中に成型されている。他の例では、第1バネ部材1306は、その他の化学的及び/又は機械的な留め付け技法を使用して、第1可撓性シール1300に連結されうる。第1可撓性シール1300及び第1バネ部材1306を、
図15にも示している。
図13及び
図14に示しているように、第1バネ部材1306の端部1312は、作動アーム314の前縁1018を受容するために、外向きに角度が付けられているか、又はテーパされている。一部の例では、第1バネ部材1306の端部1312は、作動アーム314の前縁1018と同じ角度に、角度が付けられている。同様に、
図13及び
図14の図示している例では、第2可撓性シール1304は、実質的に同じ様態で動作する第2バネ部材1314を含む。
【0052】
図10から
図12の例、及び、
図13から
図15の例では、ノッチ370、372におけるシールは同じ種類のシールであるが、他の例では、第1と第2のフラップ202、204で、互いとは異なる種類のシールが利用されることもある。例えば、第1フラップ202では
図10~
図12による第1シール1000が利用されてよく、第2フラップ204では、
図13~
図15による第2可撓性シール1304が利用されうる。更に、他の例では、第1及び/又は第2のフラップ202、204では、第1及び第2のフラップ202、204が展開位置にある時にそれぞれのノッチを覆うよう、他の種類のシール又は構造物が用いられうる。追加的又は代替的には、他の例において、開放位置と閉鎖位置との間でシールを動かすために、他の種類の作動機構が利用されうる。例えば、開放位置と閉鎖位置との間でシールを動かすために、ソレノイドスイッチが使用されうる。更に別の例では、シールが使用されないこともある。
【0053】
図16は、前縁フラップを展開して翼の上方の層流を可能にするために、
図3A及び
図3Bの例示的なアクチュエータアセンブリ224を使用して実施されうる、例示的な方法1600を示している。例示的な方法1600について、第1フラップ202及び第1翼104に関連して説明する。しかし、例示的な方法1600は、その他のフラップ204~220と共に、アクチュエータアセンブリ224のうちの別のものによっても、同様に実施されうる。更に、フラップのうちの1つ(例えば、1つのアクチュエータアセンブリがフラップの翼根側に連結され、別のアクチュエータアセンブリがこのフラップの翼端側に連結されている)を展開するために、2つ以上の例示的なアクチュエータアセンブリ224が、例示的な方法1600を同時に実施するよう構成されうる。
【0054】
ブロック1602において、例示的な方法1600は、アクチュエータアセンブリ224を使用して、フラップ202を格納位置から動かすことを含む。格納位置において、
図3Bに示しているように、第1フラップ202は第1翼104のキャビティ304内に配置され、第1フラップ202の底部パネル310が、第1翼104の底部の一部を形成する。アクチュエータアセンブリ224は、GRA322を作動させることにより、第1フラップ202を動かしうる。GRA322は、PDU228によって駆動されるトルクチューブ226のうちの一又は複数を介して、作動しうる。GRA322は、作動すると、作動アーム314を下向きに回転させ、これにより、第1フラップ202が、第1翼104の下側表面パネル302から外側前方へとスイングする。
図8Aから
図8Jの例示的なシーケンスに示しているように、第1フラップ202は、第1翼104の下側表面パネル302から外側へと、弧状経路に沿って動く。
【0055】
ブロック1604において、例示的な方法1600は、第1フラップ202が望ましい位置に来た時に、第1フラップ202の動きを止めることを含む。アクチュエータアセンブリ224は、GRA322を停止させることによって(例えば、PDU228からの出力を止めることによって)、動きを停止させうる。望ましい位置とは、
図7B及び
図8Jのような、完全に展開した位置でありうる。一部の例では、望ましい位置(例えば完全に展開した位置)において、第1フラップ202の後縁313は、第1翼104の前縁201から前方に離間している。第1フラップ202は、第1翼104の上側表面パネル300の上方の層気流を強化する。第1フラップ202は、例えば、第1翼104においてより大きな揚力を発生させるために、離着陸時に展開されうる。他の例では、望ましい位置とは、格納位置(例えば
図3B及び
図8A)と完全に展開した位置(例えば
図8B及び
図8J)との間の任意の位置でありうる。第1フラップ202は、第1翼104の上方の気流に影響を与えるよう、様々な位置において停止しうる。
【0056】
一部の例では、第1フラップ202は、第1フラップ202の上部パネル308の第1ノッチ270を覆うよう開放位置(
図10)から閉鎖位置(
図11)へと動く、第1シール1000(
図10)などのシールを含みうる。かかる例では、例示的な方法1600は、ブロック1606において、第1フラップ202の上部パネル308の開口(例えばノッチ370)を覆うよう、開放位置から閉鎖位置へと第1シール1000を動かすことを含む。一部の例では、第1シール1000は第1バネ1008を介して動かされる。
図13の第1可撓性シール1300を伴うような他の例では、第1可撓性シール1300は、(例えば圧縮された後に)第1ノッチ370を覆う非変形状態に戻りうる。
【0057】
第1フラップ202を格納位置に戻すために、GRA322は、作動アーム314を逆方向に回転させるよう作動してよく、これにより、第1フラップ202は、開口306を通って第1翼104内のキャビティ304の中に戻るようにスイングする。格納位置に戻ると、アクチュエータアセンブリ224は第1フラップ202の動きを止める。
【0058】
前記より、格納位置と展開位置との間で前縁フラップを動かすための例示的な方法、装置、システム、及び製品が本書で開示されていることが、認識されよう。本書で開示されている例は、翼内の格納位置においてフラップの上部パネルが上を向いていることを可能にする経路に沿って、フラップを動かす。これにより、フラップがひっくり返った状態で格納される既知のシステムと比較して、上部パネルが制限なしに設計されることが可能になる。本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、既知のアクチュエータアセンブリよりも少ない数の構成要素を有する、六節連結を利用する。そのため、本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、既知のアクチュエータアセンブリよりも、重量が軽く、かつ、コストが実質的に低くなる。更に、本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、よりコンパクトであり、かつ、より容易に翼内に格納されうる。例示的なアクチュエータアセンブリは更に、気流に対して垂直な方向(例えば「バーンドア」状態)でフラップを動かすことを回避するものであり、ゆえに、フラップに対する空力負荷が低減され、かつ、より軽量で小型のアクチュエータが使用されうる。本書で開示されている例示的なアクチュエータアセンブリは、前縁フラップ(複数可)に関連して説明されているが、その他の種類の、後縁フラップなどの高揚力デバイスにも、同様に使用されうる。空力効率がより良好である、より滑らかな上面を作り出すために、フラップの上部パネルのノッチを有利に覆う、例示的なシールも本書で開示されている。
【0059】
特定の例示的な方法、装置、システム、及び製品が本書で開示されているが、この特許出願の対象範囲はこれらに限定されるものではない。むしろ、この特許出願は、この特許出願の特許請求の範囲内に公正に当てはまる、全ての方法、装置、システム、及び製品を対象としている。