(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】封止テープ
(51)【国際特許分類】
G09F 3/03 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
G09F3/03 D
(21)【出願番号】P 2018179950
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西野 舞奈
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/145343(WO,A1)
【文献】特開2014-215350(JP,A)
【文献】特開2011-081279(JP,A)
【文献】特開2003-026240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体の2つの部材に跨って貼着されることで前記2つの部材間の領域にて前記被着体との間に隙間が生じた状態で前記被着体に貼着される封止テープであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面のうち、少なくとも、当該封止テープが前記被着体に貼着された場合に前記2つの部材を跨ぐ方向における両端部にそれぞれ積層された貼着層とを有し、
前記ベース基材は、当該封止テープが前記被着体に貼着された場合に前記2つの部材間に対向する領域を跨ぐ切断検知領域に、前記ベース基材を貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる連続状の切り込みが形成され、
前記切り込みは、前記突出側と前記開口した側とを結ぶ直線が、当該封止テープが前記被着体に貼着された場合に前記2つの部材を跨ぐ方向に延びる向きで形成されており、前記ベース基材の端辺にはつながって
おらず、
前記ベース基材の前記一方の面側の表面は、前記切断検知領域が、非貼着部となっている、封止テープ。
【請求項2】
請求項
1に記載の封止テープにおいて、
前記ベース基材の一方の面のうち前記貼着層が積層された領域の一部に、潜像パターンの形状に積層された剥離層を有し、
前記貼着層は、有色材料から構成され、前記剥離層を覆って積層されている、封止テープ。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の封止テープにおいて、
前記ベース基材には、前記切り込みが、前記突出側と前記開口した側とを結ぶ直線に交差する方向に複数連なって形成されている、封止テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体の2つの部材に跨って貼着されることで2つの部材間の領域にて被着体との間に隙間が生じた状態で被着体に貼着される封止テープに関し、特に、被着体の不正開封等を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開封部分を具備する被着体にラベルを貼着しておき、ラベルが剥離された場合にそれを検知することで、被着体が開封されたことを検知するための様々な工夫がなされている。このような仕組みは、例えば、医薬品が収納された箱の開封部分にラベルを貼着しておくことで、箱が開封されて医薬品が使用されたかどうかを検知する際に有効なものである。
【0003】
ここで、剥離シートと、剥離シートを被着体に接着させる接着層と、接着層と剥離シートとの間に形成された着色層と、着色層と剥離シートとの間の一部に形成された防止膜と、接着層の着色層とは反対側の面の一部に貼付された規制フィルムと、規制フィルム上に形成された透視防止層とを備えた隠蔽シールが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された隠蔽シールにおいては、被着体に貼着された後に剥離された場合、着色層のうち防止層に対向していない領域が剥離シートとともに被着体から剥離される一方、着色層のうち防止層に対向した領域が接着層とともに被着体に貼着されたままとなることで、防止層の形状に応じたパターンが発現し、不正な剥離を検知することができる。そこで、この隠蔽シールを被着体の開封部分に跨って貼着しておくことにより、被着体の不正な開封を検知することができる。
【0004】
ところが、上述したような隠蔽ラベルにおいては、被着体の開封部分に跨って貼着された状態において開封部分に沿って鋭利な刃物で切断された場合、切断されているかどうかを一見して判断することが困難であり、そのため、被着体の不正な開封を検知できない虞がある。
【0005】
一方、箱の開封を検知可能なラベルとして、例えば、カール性を有する複合フィルムよりなる表面基材と、この表面基材の両端部に塗布された接着剤層を介して下層基材とが積層され、下層基材の裏面全域に接着剤が塗布されてなるラベルであって、表面基材の両端部を除く領域を非接着部とし、非接着部にラベルの長さ方向に平行する複数のカット線を形成した改ざん防止用ラベルが、特許文献2に開示されている。
【0006】
特許文献2に開示された改ざん防止用ラベルにおいては、切断された表面基材を構成する複合フィルムがカール特性を有するラミネートフィルムであって、切断箇所が裏面に接着剤を有しない非接着部であるとともに、ラベルの長さ方向に平行する複数のカット線が表面基材を貫通して形成されていることにより、箱の角部に貼着された状態で刃物により切断されると、表面基材が複数のカット線を横断して切断され、ばらばらとなって反り返ることになる。これにより、箱の不正な開封を検知しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6198980号公報
【文献】実用新案登録第3172519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示されたものは、箱の角部に貼着された状態で刃物により切断された場合に、表面基材の複数のカット線を介した複数の領域を、ばらばらとなって反り返らせるために、表面基材を構成する複合フィルムがカール特性を有するものでなければならず、材料が限定されてしまうという問題点がある。
【0009】
また、表面基材がカール特性を有しないものから構成されている場合は、ラベルの長さ方向に平行する複数のカット線が表面基材を貫通して形成されているだけでは、箱の角部に貼着された状態で刃物により切断されたとしても、切断されているかどうかを一見して判断することが困難となり、被着体の不正な開封を検知できない虞がある。
【0010】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被着体の2つの部材に跨って貼着されることで2つの部材間の領域にて被着体との間に隙間が生じた状態で被着体に貼着される封止テープにおいて、2つの部材間の領域に沿って切断された場合にその旨を特別な材料を用いることなく検知することができる封止テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、
被着体の2つの部材に跨って貼着されることで前記2つの部材間の領域にて前記被着体との間に隙間が生じた状態で前記被着体に貼着される封止テープであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面のうち、少なくとも、当該封止テープが前記被着体に貼着された場合に前記2つの部材を跨ぐ方向における両端部にそれぞれ積層された貼着層とを有し、
前記ベース基材は、当該封止テープが前記被着体に貼着された場合に前記2つの部材間に対向する領域を跨ぐ切断検知領域に、前記ベース基材を貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる連続状の切り込みが形成され、
前記切り込みは、前記突出側と前記開口した側とを結ぶ直線が、当該封止テープが前記被着体に貼着された場合に前記2つの部材を跨ぐ方向に延びる向きで形成されており、前記ベース基材の端辺にはつながっておらず、
前記ベース基材の前記一方の面側の表面は、前記切断検知領域が、非貼着部となっている。
【0012】
上記のように構成された本発明においては、被着体の2つの部材に跨って貼着された状態において、2つの部材間の領域に沿って鋭利な刃物によって切断されると、2つの部材間に対向する領域においては、被着体との間に隙間が生じているため、鋭利な刃物が当接することで被着体側に湾曲するような力が加わることになる。その際、ベース基材の2つの部材間に対向する領域を跨ぐ切断検知領域には、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる切り込みが、突出側と開口した側とを結ぶ直線が、封止テープが被着体に貼着された場合に2つの部材を跨ぐ方向に延びる向きで形成されているため、切り込みの凸形状の内側の領域においては、鋭利な刃物による切断力が伝わりにくく、それにより、ベース基材の切断部分が2つの部材間の領域に沿わずに切り込みにつながることになる。そのため、ベース基材の切断部分が、2つの部材間の領域に沿う形状とはならずに、切り込みの凸形状を有するものとなり、それにより、被着体の2つの部材間の領域に沿って切断された旨が検知されることになる。
【0013】
また、貼着層が、ベース基材の一方の面のうち、切断検知領域にも積層されている構成とすることや、ベース基材の一方の面側の表面の切断検知領域が非貼着部となっている構成とすることが考えられる。
【0014】
また、ベース基材の一方の面のうち貼着層が積層された領域の一部に、潜像パターンの形状に積層された剥離層を有し、貼着層が、有色材料から構成され、剥離層を覆って積層されていれば、封止テープを被着体から剥離した際、剥離層が貼着層から剥離することで剥離層による潜像パターンが発現することにより、被着体からの剥離も検知されることになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被着体の2つの部材に跨って貼着された状態において、2つの部材間の領域に沿って切断された場合に、ベース基材の切断部分が凸形状の切り込みにつながることで、ベース基材の切断部分が、2つの部材間の領域に沿う形状とはならずに切り込みの凸形状を有するものとなり、それにより、被着体の2つの部材間の領域に沿って切断された旨を特別な材料を用いることなく検知することができる。
【0016】
また、ベース基材の一方の面のうち貼着層が積層された領域の一部に、潜像パターンの形状に積層された剥離層を有し、貼着層が、有色材料から構成され、剥離層を覆って積層されているものにおいては、封止テープを被着体から剥離した際、剥離層が貼着層から剥離することで剥離層による潜像パターンが発現することにより、被着体の2つの部材間の領域に沿って切断された旨のみならず、被着体からの剥離も検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の封止テープの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図、(d)はスリットの構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した封止テープが貼着される被着体の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋を開いた状態を示す図、(c)は(a)に示した矢印A方向から見た図である。
【
図3】
図2に示した箱に対する
図1に示した封止テープの貼着方法を説明するための図である。
【
図4】
図2に示した箱に貼着された封止テープが切断された場合の作用を説明するための図である。
【
図5】本発明の封止テープの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【
図6】本発明の封止テープの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はベース基材の裏面の構成を示す図である。
【
図7】
図6に示した封止テープが
図2に示した箱に貼着された後に箱から剥離されていく場合の剥離層による作用を説明するための断面図である。
【
図8】
図6に示した封止テープが箱から剥離された状態を示す表面図である。
【
図9】本発明の封止テープの他の実施の形態を示す図である。
【
図10】
図1に示した封止テープが貼着される被着体の他の例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋を開いた状態を示す図、(c)は封止テープが貼着された状態を示す図である。
【
図11】
図1に示した封止テープが貼着される被着体の他の例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋を開いた状態を示す図、(c)は封止テープが貼着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の封止テープの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図、(d)はスリット11の構成を示す図である。
【0020】
本形態は
図1に示すように、ベース基材10の裏面の全面に粘着剤が塗布されることで貼着層20が積層されてなる封止ラベル1である。
【0021】
ベース基材10は、長方形の形状の紙等のシート材からなり、長手方向の中央部分が一定の幅で切断検知領域12となっている。切断検知領域12には、ベース基材10を表裏貫通した切り込みとなるスリット11がベース基材10の短手方向に並んで複数形成されている。スリット11は、突出側11aとは反対側が開口した開口部11bを有する山型となっており、突出側11aと開口部11bとを結ぶ直線が、ベース基材の長手方向に延びる向きで、隣り合うスリット11どうしでその向きが互い違いとなって形成されている。なお、スリット11は、貼着層20の厚さによっては、貼着層20にも貫通していてもよく、貫通していなくてもよい。
【0022】
以下に、上記のように構成された封止テープ1の利用方法及び作用について説明する。
【0023】
まず、
図1に示した封止テープ1が貼着される被着体及びその被着体に対する封止テープ1の貼着方法について説明する。
【0024】
図2は、
図1に示した封止テープ1が貼着される被着体の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋2aを開いた状態を示す図、(c)は(a)に示した矢印A方向から見た図である。
【0025】
図1に示した封止テープ1が貼着される被着体としては、例えば
図2に示すように、上面が開放された直方体の本体2bと、本体2bの上面を開閉自在に覆う蓋2aとからなる箱2が考えられる。蓋2aは、本体2bを構成する1つの側面と連接しているとともに、本体2bの側面との連接辺に対向する辺にフラップ部2dが連接している。
【0026】
このように構成された箱2は、蓋2aが、側面との連接辺を中心として回動し、フラップ部2dが本体2bの1つの側面の内側に差し込まれることで、本体2bの上面が蓋2aによって開閉自在に覆われることになる。その際、
図2(c)に示すように、フラップ部2dが内側に差し込まれる側面とフラップ部2dとの間には空隙2cが生じることになる。
【0027】
図3は、
図2に示した箱2に対する
図1に示した封止テープ1の貼着方法を説明するための図である。
【0028】
図1に示した封止テープ1を
図2に示した箱2に貼着する場合は、
図3に示すように、切断検知領域12が箱2の空隙2cに対向するようにすることで、封止テープ1を箱2の2つの部材となる蓋2aと本体2bとに跨って貼着する。切断検知領域12の幅は、空隙2cの幅よりも広くなっているため、切断検知領域12は、封止テープ1が箱2に貼着された場合に蓋2aと本体2bとの間の空隙2cに対向する領域を跨ぐものとなっている。また、切断検知領域12が箱2の空隙2cに対向するように封止テープ1が箱2に貼着されることにより、スリット11は、突出側11aと開口部11bとを結ぶ直線が、封止テープ1が箱2に貼着された場合に蓋2aと本体2bとを跨ぐ方向に延びる向きで形成されていることになる。
【0029】
このように封止テープ1が箱2の蓋2aと本体2bとに跨って貼着されることにより、箱2が封止テープ1によって封止されることになるが、蓋2aと本体2bとの間に空隙2cが生じていることにより、封止テープ1の空隙2cに対向する領域においては、箱2との間に隙間が生じた状態となっている。
【0030】
次に、上記のようにして封止テープ1が貼着された箱2を不正に開封するために封止テープ1が切断された場合の作用について説明する。
【0031】
図4は、
図2に示した箱2に貼着された封止テープ1が切断された場合の作用を説明するための図である。なお、
図4においては、説明をわかりやすくするために、
図3に示したように箱2に貼着された封止テープ1を平面状に示している。
【0032】
上記のようにして封止テープ1が貼着された箱2を不正に開封する場合、箱2の空隙2cに鋭利な刃物を差し込み、封止テープ1を蓋2aと本体2bとの間の空隙2cに沿って切断することで箱2を開封することが考えられる。
【0033】
その場合、封止テープ1は、上述したように切断検知領域12が箱2の空隙2cに対向するように箱2に貼着されているため、
図4(a)に示すように、封止テープ1は切断検知領域12の一方の端辺から切断されていき、その切断部分13が切断検知領域12の他方の端辺に向かって延びていく。この際、封止テープ1においては、空隙2cに対向する領域において箱2との間に隙間が生じているため、鋭利な刃物が当接することで箱2側に湾曲するような力が加わることになる。
【0034】
すると、封止テープ1の切断検知領域12には、山型のスリット11が、その突出側11aと開口部11bとを結ぶ直線が、封止テープ1が箱2に貼着された場合に箱2の蓋2aと本体2bとを跨ぐ方向に延びる向きで形成されているので、スリット11の山型の内側の領域においては、鋭利な刃物による切断力が伝わりにくく、それにより、封止テープ1の切断部分が蓋2と本体2bとの間の空隙2cに沿わずにスリット11につながることになる。
【0035】
このようにして、封止テープ1の切断検知領域12においては、
図4(b)に示すように、スリット11が形成されていない領域では箱2の空隙2cに沿って切断されていくものの、スリット11が形成された領域では、封止テープ1の切断部分13がスリット11につながることで、封止テープ1が箱2の空隙2cに沿う形状ではなくスリット11の形状に切断されたものとなる。
【0036】
これにより、封止テープ1が貼着された箱2を開封するために、封止テープ1が箱2の空隙2cに沿って切断された場合でも、ベース基材10として特別な材料を用いることなく、スリット11の形状に切断された部分によってその旨を検知することができる。なおその際、箱2の空隙2cに刃物を差し込んだ力の大きさや、ベース基材10の材料、またはスリット11の山型の大きさによっては、スリット11によって突出した部分が蓋2aや本体2bの側面の内側に貼着されることで、この突出した部分にスリット11を介して対向する凹んだ部分がはっきりと表れ、封止テープ1が切断された旨が検知しやすくなる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の封止テープの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【0038】
本形態は
図5に示すように、
図1に示したものに対して、ベース基材10の裏面の全面に積層された貼着層20のうち、切断検知領域12となる領域上にベタ印刷が施されることで糊殺し印刷層30が積層されている点が異なる封止ラベル101である。これにより、本形態における封止ラベル101は、ベース基材10の貼着層20が積層された面側の表面のうち切断検知領域12が非貼着部となっている。
【0039】
上記のように構成された封止ラベル101においても、
図1に示したものと同様に、
図2に示した箱2に対して、切断検知領域12が箱2の空隙2cに対向するようにすることで蓋2aと本体2bとに跨って貼着されることになる。そして、封止テープ101が貼着された箱2を開封するために、封止テープ101が箱2の空隙2cに沿って切断された場合、封止テープ101の切断検知領域12においては、スリット11が形成されていない領域では箱2の空隙2cに沿って切断されていくものの、スリット11が形成された領域では、封止テープ101の切断部分がスリット11につながることで、封止テープ101が箱2の空隙2cに沿う形状ではなくスリット11の形状に切断されたものとなる。
【0040】
これにより、本形態の封止テープ101においても、封止テープ101が貼着された箱2を開封するために、封止テープ101が箱2の空隙2cに沿って切断された場合でも、ベース基材10として特別な材料を用いることなく、スリット11の形状に切断された部分によってその旨を検知することができる。
【0041】
なお、本形態においては、ベース基材10の裏面の全面に貼着層20が積層され、この貼着層20のうち切断検知領域12となる領域上に糊殺し印刷層30が積層されていることで、ベース基材10の貼着層20が積層された面側の表面のうち切断検知領域12が非貼着部となっているが、ベース基材10の裏面のうち切断検知領域12に貼着層20を積層しないことで、ベース基材10の貼着層20が積層された面側の表面のうち切断検知領域12を非貼着部とすることも考えられる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の封止テープの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はベース基材10の裏面の構成を示す図である。
【0043】
本形態は
図6に示すように、
図1に示したものに対して、ベース基材10の裏面の構造が異なる封止テープ201である。本形態の封止テープ201におけるベース基材10の裏面には、封止テープ201が
図2に示した箱2等の被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する潜像パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤が塗布されることで剥離層40が部分的に積層されている。そして、ベース基材10の剥離層40が積層された面の全面に剥離層40を覆って粘着剤が塗布されることで貼着層20が積層されている。
【0044】
貼着層20を構成する粘着剤は、青、赤、黒等の任意の色の有色材料からなり、伸縮性を有している。そして、ベース基材10を透明または半透明のフィルムからなるものとすることで、貼着層20の色がベース基材10の表面から視認可能となっている。
【0045】
上記のように構成された封止ラベル201においても、
図1に示したものと同様に、
図2に示した箱2に対して、切断検知領域12が箱2の空隙2cに対向するようにすることで蓋2aと本体2bとに跨って貼着されることになる。そして、封止テープ201が貼着された箱2を開封するために、封止テープ201が箱2の空隙2cに沿って切断された場合、封止テープ201の切断検知領域12においては、スリット11が形成されていない領域では箱2の空隙2cに沿って切断されていくものの、スリット11が形成された領域では、封止テープ201の切断部分がスリット11につながることで、封止テープ201が箱2の空隙2cに沿う形状ではなくスリット11の形状に切断されたものとなる。
【0046】
これにより、本形態の封止テープ201においても、封止テープ201が貼着された箱2を開封するために、封止テープ201が箱2の空隙2cに沿って切断された場合でも、ベース基材10として特別な材料を用いることなく、スリット11の形状に切断された部分によってその旨を検知することができる。
【0047】
また、本形態における封止テープ201においては、箱2に貼着された状態から剥離された場合にその旨を検知することができ、それによっても、箱2の不正開封を検知することができる。
【0048】
図7は、
図6に示した封止テープ201が
図2に示した箱2に貼着された後に箱2から剥離されていく場合の剥離層40による作用を説明するための断面図である。なお、
図7においても、説明をわかりやすくするために、
図3に示したように箱2に貼着された封止テープ1を平面状に示している。
【0049】
図6に示した封止テープ201を、
図7(a)に示すように、
図2に示した箱2に貼着された状態から剥離していくと、
図7(b)に示すように、剥離層40が積層されていない領域においては、貼着層20がベース基材10とともに箱2から剥離し、また、剥離層40が積層された領域においては、貼着層20が剥離層40との貼着力よりも強い貼着力で箱2と貼着されていることで貼着層20が剥離層40から剥離する。そして、剥離層40から剥離した部分は、その後、貼着層20が伸縮性を有するものであることで、ベース基材10とともに箱2から剥離し、剥離層40との積層方向とは直交する方向に破断し、ベース基材10に積層されたままとなっている部分に引っ張られて剥離層40に対向する領域にはほぼ存在しなくなる。
【0050】
封止テープ201が箱2から完全に剥離されると、
図7(c)に示すように、貼着層20は剥離層40が積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0051】
図8は、
図6に示した封止テープ201が箱2から剥離された状態を示す表面図である。
【0052】
上記のようにして
図6に示した封止テープ201が箱2から剥離されると、ベース基材10の箱2との貼着面とは反対側から封止テープ201を見た場合、剥離層40に対向しない領域においては貼着層20が存在することで貼着層20の色がベース基材10を介して視認される一方、剥離層40に対向する領域においては貼着層20が存在しなくなったことで貼着層20の色が視認されなくなる。それにより、
図8に示すように、剥離層40による潜像パターン3が発現することになる。
【0053】
その後、このように潜像パターン3が発現した封止テープ201を箱2に再度貼着したとしても、剥離層40に対向する領域においては貼着層20が存在しなくなっているため、潜像パターン3が発現したままとなり、封止テープ201が箱2から不正に剥離され、箱2が不正に開封された旨を認識することができる。
【0054】
上述したように本形態においては、ベース基材10の一方の面のうち貼着層20が積層された領域の一部に、潜像パターン3の形状に積層された剥離層40を有し、貼着層20が、有色材料から構成され、剥離層40を覆って積層されていることにより、封止テープ201を箱2から剥離した際、剥離層40が貼着層20から剥離することで剥離層40による潜像パターン3が発現することとなり、それにより、封止テープ201が箱2の空隙2cに沿って切断された旨のみならず、箱2からの剥離も検知することができる。
【0055】
(他の実施の形態)
図9は、本発明の封止テープの他の実施の形態を示す図である。
【0056】
本発明の封止テープのベース基材に形成されるスリットは、上述したようなものに限らない。
【0057】
例えば、
図2に示した箱2に貼着される場合に、空隙2cに対向して貼着されることが限定される領域の幅が広いものにおいては、
図9(a)に示すように、
図1に示したスリット11の列が封止テープ401の長手方向、すなわち、封止テープ401が
図2に示した箱2に貼着された場合に蓋2aと本体2bとを跨ぐ方向に複数列設けられていてもよい。
【0058】
また、ベース基材に形成される切り込みは、突出側とは反対側が開口した凸形状からなるものであれば、
図1や
図9(a)に示したスリット11のように山型ではなく、V字型やU字型のものであってもよい。さらには、
図9(b)に示すように、V字型のスリットが封止テープ501の短手方向に複数連なった形状のスリット511であってもよい。
【0059】
また、
図2に示した箱2に貼着される場合に、空隙2cに対向して貼着される領域が限定されていないものにおいては、
図9(c)に示すように、
図1に示したスリット11の列が封止テープ401の長手方向、すなわち、封止テープ401が
図2に示した箱2に貼着された場合に蓋2aと本体2bとを跨ぐ方向の全域に亘って複数列設けられていてもよい。
【0060】
なお、スリットの形状は、上述したように、突出側とは反対側が開口した凸形状からなるものであれば限定されないが、封止テープの長手方向、すなわち、封止テープが
図2に示した箱2に貼着された場合に蓋2aと本体2bとを跨ぐ方向における1つのスリットの長さが空隙2cに対して大きすぎると、封止テープが空隙2cに沿って切断された場合に、スリットの凸状の内側の領域も空隙2cに沿って切断されてしまう虞があるため好ましくない。
【0061】
また、上述した実施の形態においては、ベース基材10の裏面の全面に貼着層20が積層されているが、貼着層20は、ベース基材10の裏面のうち、少なくとも、封止テープが箱2に貼着された場合に蓋2aと本体2bとを跨ぐ方向における両端部にそれぞれ積層されていればよい。
【0062】
以下に、本発明の封止テープが貼着される被着体の他の例について説明する。
【0063】
図10は、
図1に示した封止テープ1が貼着される被着体の他の例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋102a-1,102a-2を開いた状態を示す図、(c)は封止テープ1が貼着された状態を示す図である。
【0064】
図1に示した封止テープ1が貼着される被着体としては、
図2に示した箱2に限らず、
図10に示すように、上面が開放された直方体の本体102bと、本体102bの上面を観音開きによって開閉自在に覆う2枚の蓋102a-1,102a-2とからなる箱102が考えられる。蓋102a-1は、本体102bを構成する1つの側面と連接しており、蓋102a-2は、本体102bを構成する側面のうち蓋102a-1と連接する側面に対向する側面と連接している。
【0065】
このように構成された箱102は、蓋102a-1,102a-2がそれぞれ、側面との連接辺を中心として回動し、蓋102a-1,102a-2の側面との連接辺に対向する端辺どうしが対向した状態とされることで、本体102bの上面が蓋102a-1,102a-2によって開閉自在に覆われることになる。
【0066】
その際、蓋102a-1,102a-2の側面との連接辺に対向する端辺間に空隙102cが生じることになり、
図10(c)に示すように、封止テープ1が、切断検知領域12が空隙102cに対向するように、箱102の2つの部材となる蓋102a-1,102a-2を跨って貼着されることになる。そして、蓋102a-1,102a-2間に空隙102cが生じていることにより、封止テープ1の空隙102cに対向する領域においては、箱102との間に隙間が生じた状態となる。
【0067】
図11は、
図1に示した封止テープ1が貼着される被着体の他の例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は蓋202aを開いた状態を示す図、(c)は封止テープ1が貼着された状態を示す図である。
【0068】
図1に示した封止テープ1が貼着される被着体としては、上記の他に、
図11に示すように、上面が開放された直方体の本体202bと、本体202bの上面を開閉自在に覆う蓋202aとからなる箱202が考えられる。蓋202aは、本体202bの底面よりも一回り大きく、本体202bを構成する1つの側面と連接した天面と、天面の本体202bの側面との連接辺以外の端辺に連接した3つの側面とから構成されている。
【0069】
このように構成された箱202は、蓋202aが、側面との連接辺を中心として回動し、蓋202aの側面が本体202bの側面の外側にてその一部と重なった状態となることで、本体202bの上面が蓋202aによって開閉自在に覆われることになる。
【0070】
その際、蓋202aの側面が本体202bの側面の外側にてその一部と重なった状態となることで、蓋202aの側面と本体202bの側面との間に段差202eが生じることになる。そして、
図11(c)に示すように、封止テープ1が、切断検知領域12が蓋202aの側面と本体202bの側面との間の領域に対向するように、箱202の2つの部材となる蓋202aの側面と本体202bの側面に跨って貼着されることになるが、蓋202aの側面と本体202bの側面との間に段差202eが生じていることにより、封止テープ1の蓋202aの側面と本体202bの側面との間に対向する領域においては、箱202との間に隙間が生じた状態となる。
【符号の説明】
【0071】
1,101,201,301,401,501,601 封止テープ
2,102,202 箱
2a,102a-1,102a-2,202a 蓋
2b,102b,202b 本体
2c,102c 空隙
2d フラップ部
3 潜像パターン
10 ベース基材
11,511 スリット
12,412,512 切断検知領域
13 切断部分
20 貼着層
30 糊殺し印刷層
40 剥離層
202e 段差