(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】封入方法
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20220912BHJP
A23G 1/32 20060101ALI20220912BHJP
A23G 1/48 20060101ALI20220912BHJP
A23K 20/111 20160101ALI20220912BHJP
A23K 40/30 20160101ALI20220912BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20220912BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20220912BHJP
A61K 31/11 20060101ALI20220912BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20220912BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
C11B9/00 K
A23G1/32
A23G1/48
A23K20/111
A23K40/30 Z
A23L27/00 C
A23L27/00 Z
A61K8/33
A61K31/11
A61K47/08
A61Q13/00 101
(21)【出願番号】P 2018506247
(86)(22)【出願日】2016-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2016068006
(87)【国際公開番号】W WO2017025342
(87)【国際公開日】2017-02-16
【審査請求日】2019-06-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2015-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グラシウス, マルタン エドゥアルト
(72)【発明者】
【氏名】ボダン, サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アンブロ, セドリック
【合議体】
【審判長】蔵野 雅昭
【審判官】瀬下 浩一
【審判官】亀ヶ谷 明久
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-12614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/
A61K 9/
A61K47/
A23K
A23L27/
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスによって1つまたは複数の物質を封入する方法であって、液体状態の前記マトリックスと前記物質との混合物の調製、次に得られた混合物の固化を含み、マトリックス中に封入された物質の濃度が1ppb~50重量%であり、前記マトリックスがバニリンもしくはエチルバニリンまたはバニリン/エチルバニリン等モル混合物からなり、
固化の工程が、結晶化、バルク固化、スポーリング、またはペレット化を含
み、
前記物質が、香味組成物、調味料および医薬品有効成分から選択される、方法。
【請求項2】
マトリックスが天然バニリンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マトリックスと前記物質との混合物の調製の工程が、前記マトリックスを溶融させることと、前記物質を融解状態の前記マトリックスと混合することとを含むことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
マトリックスと前記物質との混合物の調製の工程が、前記物質を固体状態の前記マトリックスと混合すること、次にこのようにして得られた混合物を溶融させることを含むことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項5】
マトリックスと前記物質との混合物の調製の工程が、前記マトリックスを極性のプロトン性もしくは非プロトン性溶媒またはその混合物に溶解させることと、前記物質を前記溶解されたマトリックスと混合することとを含むことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項6】
乾燥および粉砕から選択される1つまたは複数の後処理工程も含むことを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
オーブン、棚型乾燥機、流動床または真空オーブンでの乾燥の工程を含むことを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
パドルミル、ピンミルまたは造粒機での粉砕の工程を含むことを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数の物質が封入されているマトリックスを含む固体配合物であって、前記マトリックス中の封入された物質の濃度が1ppb~50重量%であり、前記マトリックスがバニリンまたはバニリン/エチルバニリン等モル混合物からなり、フレーク又はペレットの形態であ
り、
前記物質が、香味組成物、調味料および医薬品有効成分から選択される、固体配合物。
【請求項10】
マトリックスが天然バニリンであることを特徴とする、請求項
9に記載の固体配合物。
【請求項11】
- 0.5cm~6cmの長さ、
- 0.5cm~3cmの幅、および
- 400μm~1500μmの厚さ
を有するフレークであることを特徴とする、請求項
9又は
10に記載の固体配合物。
【請求項12】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法によって、1つまたは複数の物質が封入されているマトリックスを含む固体配合物を得ることを含む、固体配合物の製造方法。
【請求項13】
ヒトもしくは動物向け食品の分野もしくは医薬品の分野での香味料としての、化粧品、芳香剤もしくは洗剤産業での香料としての、または医薬品分野での封入された有効成分としての、請求項
9~
11のいずれか一項に記載の固体配合物の使用。
【請求項14】
チョコレート製造の分野での香味料としての、請求項
13に記載の使用。
【請求項15】
フレーク又はペレットの形態である、バニリン、エチルバニリンおよびバニリン/エチルバニリン混合物から選択される化合物の封入マトリックスとしての使用
であり、
香味組成物、調味料および医薬品有効成分から選択される1つまたは複数の物質を封入するための、バニリン、エチルバニリンおよびバニリン/エチルバニリン混合物から選択される化合物の使用。
【請求項16】
前記封入された物質の保存可能期間を増加させるための、請求項
15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品産業の技術分野、より具体的には、食品香味料およびその形成の分野に関する。しかし、本発明は、この技術分野外で用途を有し、例えば医薬品有効成分の形成に適用され得る。他の技術分野、とりわけ香料および化粧品が関係し得る。
【背景技術】
【0002】
販売される食品香味料のおよそ20%~25%は封入形態にあると推定される。食品香味料の封入は、本技術分野での周知の技法である。封入は、蒸発から揮発性香味物質を守るために、および空気中の酸素、熱、湿気または他の化合物との接触によって引き起こされ得る分解から被酸化性香味物質を守るために役立つ。いくつかの封入技法が存在する。溶解材料、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥および流動床カプセル化による封入が特に挙げられ得る。これらの方法は、それらが香味料の封入のためのマトリックスとして役立つ材料を使用するという事実を共有している。このマトリックスは、従来、デンプン、マルトデキストリンおよび他の多糖類などの糖類またはゴムから選択される。国際出願国際公開第94/06308号パンフレットは、例えば、香味料を融解マトリックス中に封入する技法を記載している。
【0003】
香味料の封入に関連する問題の1つは、食品の製造、貯蔵および消費中の前記香味料の放出の時点にある。例えば、香味料を封入するための通常のマトリックスは、調製工程中にチョコレートに溶けない。現在、したがって、標的用途に応じて異なる形態を提供することが必要である。
【0004】
さらに、マトリックス中の封入に代わる形成方法は、すべての香味料に好適であるわけではない。香味料は、支持体上で変化および分解し得、いくつかの香りは蒸発し得る。
【0005】
これに関連して、本発明者らは、現行方法の欠点の1つまたは複数を克服することを可能にする新規な形成方法を探求した。
【0006】
バニリンおよびエチルバニリンは、食品部門で香味料として周知の化合物である。一方では、文献中の多くの文書がバニラ香味料を封入する方法を提案している。他方では、封入によって得られ得る固体組成物中の香味料またはマスキング剤としてのバニリンおよびエチルバニリンの使用が記載されている(例えば、国際出願国際公開第02/49607号パンフレットを参照されたい)。しかし、別の封入材料の存在が必要である。本発明者らの知る限りでは、封入材料としてのバニリンまたはエチルバニリンの使用は、決して文献に記載または提案されていない。
【0007】
医薬品分野では、グループTEVAが、国際出願国際公開第03/082247号パンフレットおよび国際公開第2007/117661号パンフレットにおいて、支持体粒子上に沈着した薬剤の微小粒子からなる医薬品キャリアを記載している。これらの微小粒子は、支持体粒子の表面上の昇華性支持体中の薬剤の固溶体を形成し、次に前記昇華性支持体を取り除くことによって得られる。バニリンは、可能な昇華性支持体であると記載されている。しかし、この昇華性支持体は、それが取り除かれるため、薬剤を封入するためのマトリックスとして使用されない。特許出願米国特許出願公開第2014/0148507号明細書はまた、溶融によって得られる固体医薬品組成物を記載している。しかし、最終固体組成物中の医薬品有効成分の濃度は、少なくとも80重量%であり、賦形剤は、最終組成物の最大で20重量%を表すにすぎない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主題は、マトリックスによって1つまたは複数の物質を封入する方法であって、液体状態の前記マトリックスと前記物質との混合物の調製、次に得られた混合物の固化を含み、マトリックス中の封入された物質の濃度が1ppb~50重量%であり、前記マトリックスがバニリンもしくはエチルバニリンまたはバニリン/エチルバニリン等モル混合物からなる、方法である。
【0009】
有利には、前記物質は、香味組成物、調味料および医薬品有効成分から選択されてもよい。
【0010】
一実施形態によれば、マトリックスと前記物質との混合物の調製の工程は、前記マトリックスを溶融させることと、前記物質を融解状態の前記マトリックスと混合することとを含む。別の実施形態によれば、マトリックスと前記物質との混合物の調製の工程は、前記物質を固体状態の前記マトリックスと混合すること、次にこのようにして得られた混合物を溶融させることを含む。なおも別の実施形態によれば、マトリックスと前記物質との混合物の調製の工程は、前記マトリックスを溶媒に溶解させることと、前記物質を前記溶解されたマトリックスと混合することとを含む。
【0011】
固化の工程は、結晶化、バルク固化、スポーリング、ペレット化、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、造粒、流動床乾燥、または小球化からなってもよい。
【0012】
さらに、本発明の別の主題は、1つまたは複数の物質が封入されているマトリックスを含む固体配合物であって、前記マトリックスがバニリンまたはバニリン/エチルバニリン等モル混合物からなる、固体配合物である。固体配合物は、有利には、ヒトおよび動物向け食品の分野、医薬品の分野での香味料として、化粧品、芳香剤および洗剤産業での香料として、または医薬品分野での封入された有効成分として使用され得る。
【0013】
バニリン、エチルバニリンおよびバニリン/エチルバニリン混合物から選択される化合物の封入材料としての使用も本発明の主題である。
【0014】
本発明者らは、バニリン、エチルバニリンおよびバニリン/エチルバニリン混合物から選択されるマトリックスの使用が、興味のある1つまたは複数の物質、とりわけ香味化合物の簡単かつ有効な封入を可能にすることを観察した。
【0015】
有利には、この封入は、前記物質の保存可能期間を増加させることを可能にする。このようにして封入された物質は、より容易に貯蔵され得る。封入される物質が香味化合物である場合、本発明の方法に従ったその封入は、臭いを発するという問題および直近に貯蔵される他の製品を汚染するという問題を回避することを可能にする。保存可能期間の改善は、決められた貯蔵期間後、残っている封入された物質の品質および/または量を検証することによって当業者により測定され得る。この分析は、例えば官能検査により、または他に分析的に、例えばガスクロマトグラフィー型の分析により定量的に実施され得る。保存可能期間の増加は、当業者に公知の任意の他のタイプの支持体上に形成された同じ物質と比較して測定され得る。
【0016】
本発明による方法の別の利点は、封入マトリックスが脂溶性であるという事実にある。封入された物質は、したがって、脂肪物質中に放出されるであろう。この特性は、チョコレート製造の分野での使用にとって特に有益である。
【0017】
さらに、本発明による方法において、バニリン、エチルバニリンおよびバニリン/エチルバニリン混合物は、香味料としておよび封入マトリックスとしての両方で役立ち得る。したがって、その機能が香味料を支持または封入することであるにすぎないであろう別の材料を添加することは必要でない。最終調合物は、したがって、より簡単であり、より少ない材料を使用するものであり得、したがってより少ない規制上の制限を生み出す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明において、表現「...~...」は、言及される限界を含むと理解されるべきである。
【0019】
本発明の主題である方法において、バニリン、エチルバニリンまたはバニリン/エチルバニリン混合物は、物質の封入のためのマトリックスとして役立つ。バニリン、すなわち4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、およびエチルバニリン、すなわち3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドは、香味料および/または香料として多くの分野の用途で広く使用されている製品である。本発明による方法において使用されるバニリンおよびエチルバニリンは、化学合成によって製造されたものであってもよい。あるいは、バニリンは、生物化学的方法、特に発酵の方法に従って生産されたものであってもよい。さらにあるいは、バニリンは、鞘から抽出されたものであってもよい。好ましい実施形態によれば、封入マトリックスは、天然バニリン、例えば発酵法によって得られたバニリンまたは鞘から抽出されたバニリンである。
【0020】
好ましくは、マトリックスは、バニリンまたはエチルバニリンからなってもよい。任意の割合でのバニリンとエチルバニリンとの混合物の使用がここで記載される。一実施形態によれば、前記混合物は、バニリンとエチルバニリンとの等モル混合物である。この化合物は、48℃~49℃の融点を有する。バニリンとエチルバニリンとの他の混合物、とりわけ、2のバニリン/エチルバニリンモル比でのバニリンとエチルバニリンとの混合物が公知である。この化合物は、59℃~60℃の融点を有する。そのような混合物の調製は、特に文献国際公開第2010/046239号パンフレットおよび国際公開第2011/042365号パンフレットに記載されている。
【0021】
封入される物質は、異なる性質のものであってもよい。本マトリックスは、単一タイプの物質または他にいくつかの物質の混合物を封入するのに役立ち得る。したがって、いくつかの異なる物質が一緒に封入されてもよい。封入される物質は、封入マトリックスと必然的に異なる。
【0022】
第1実施形態によれば、封入される物質は香味化合物である。以下の説明では、表現「香味組成物」は、とりわけ、味覚器および/または臭覚器が関与するメカニズムに加わる香味料または香料として使用される分子を意味する。
【0023】
香味組成物は、とりわけ、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する分子であってもよい。前記分子は、環式または非環式であっても、飽和または不飽和であってもよい。香味化合物の例としては、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン類、窒素ベースまたは硫黄ベースの複素環化合物およびエッセンシャルオイルが挙げられる。香味化合物は、天然起源のものであっても、合成起源のものであってもよい。香味化合物の例は、とりわけ、S.Arctanderによる書籍、“Perfume and Flavor Chemicals”,1969およびその後の版に見いだされ得る。さらに、当業者は、FEMA GRASTMプログラムによって特定されている物質、およびまたFLAVIS数を有する欧州連合によって編集されたポジティブリスト(欧州連合の香味物質に関する情報システム)に言及されている物質を参照してもよい。
【0024】
より好ましくは、前記香味化合物は、飽和および不飽和脂肪族アルコール、飽和および不飽和脂肪族アルデヒド、飽和および不飽和脂肪族アセタール、飽和および不飽和脂肪族ケトン、飽和および不飽和脂肪族酸、ケトエスエルおよびヒドロキシエステルを含む、飽和および不飽和脂肪族エステル、チオールおよびスルフィドを含む、飽和および不飽和脂肪族硫黄ベースの化合物、不飽和脂肪族炭化水素、脂環式ケトン、脂環式エノロン、脂環式エステル、脂環式硫黄ベースの化合物、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンアセタール、テルペンケトン、テルペン酸、テルペンエステル、テルペンラクトン、テルペンオキシド、芳香族アルコール、芳香族アルデヒド、芳香族ケトン、芳香族酸、芳香族エステル、フェノール類、フェノールエステル、芳香族エーテル、芳香族オキシド、芳香族ラクトン、芳香族硫黄ベースの化合物、芳香族窒素ベースの化合物、芳香族炭化水素、複素環ラクトン、複素環エステル、硫黄を含有するフラン類、硫黄を含有しないフラン類、ピラン類、ジオキソラン類、アクチニジオリド類、ピロール類、ピラジン類、トリアゾール類、ピリジン類、オキサゾール類、ピリミジン類、チオフェン類、オキサチアジン類、ジチアジン類、ジチアン類およびトリチアン類から選択されてもよい。
【0025】
この第1実施形態によれば、いくつかの香味化合物は、好ましくは、同じマトリックス中に封入される。この場合、それは、封入されている香味組成物である。本説明の残りにおいて、表現「香味組成物」は、とりわけ、いくつかの香味化合物を組み合わせることによる香味料の調合物を意味する。香味組成物は、典型的には、2~100個の異なる香味化合物を含有してもよい。香味化合物および香味組成物は、任意選択的に、添加剤、とりわけ、支持体または溶媒など、食品加工の分野で典型的である添加剤とあらかじめ調合されてもよい。
【0026】
第2実施形態によれば、封入される物質は調味料である。本説明の残りにおいて、表現「調味料」は、とりわけ、風味を実質的に変えないが、その強度を増加させる物質または物質のセットを意味する。
【0027】
調味料は、天然起源のものであっても、合成起源のものであってもよい。
【0028】
調味料の中でも、ナトリウムおよびカリウム塩、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、マルトール、エチルマルトール、フラネオール、L-グルタミン酸ナトリウム(MSG)、イノシン-5’-モノホスフェート(IMP)、グアノシン-5-モノホスフェート(GMP)、加水分解植物タンパク質(HVP)、イースト抽出物、アミノ酸、ならびに例えばストック、しょうゆ、スパイシーソース、魚醤、オイスターソースなどのソースの抽出物などの物質が挙げられてもよい。好ましくは、調味料は、ナトリウムおよびカリウム塩、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、マルトール、エチルマルトールならびにフラネオールから選択されてもよい。さらに、調味料は、国際出願国際公開第2008/105652号パンフレットに記載され、とりわけ、次の群: ラクトイルバニリン、ラクトイルエチルバニリン、ラクトイルイソバニリン、ラクトイルp-ヒドロキシベンズアルデヒド、ラクトイルp-ヒドロキシ-m-メトキシ桂皮アルデヒド、ラクトイルp-ヒドロキシ-m-メトキシシンナメート、ラクトイルバニレート、ラクトイルホモバニレート、ラクトイルm-ヒドロキシ安息香酸、ラクトイルイソバニレート、ラクトイルp-ヒドロキシ-m-メトキシアセトフェノン、オクチルバニリン、デカノイルバニリン、ジバニリルスクシネート、ラクトイルo-ヒドロキシ-m-メトキシベンズアルデヒド、ラクトイルオイゲノール、グルコニルバニリン、ならびにそれらの食用塩およびエステルに記載される物質から選択されてもよい。
【0029】
バニリンまたはエチルバニリンマトリックス中の調味料の封入は、増幅されたバニリンまたはエチルバニリン風味を有する固体配合物の調製をもたらし得る。このようにして得られた固体配合物は、それがより強力な香りをもたらしながら、純バニリンまたはエチルバニリンと同じ方法で使用され得るため、とりわけ食品部門で有益である。逆に言うと、製造業者は、同等の強度を保持しながら、より少ない量でこの配合物を使用し得る。
【0030】
第3実施形態によれば、封入される物質は医薬品有効成分である。医薬品有効成分の封入は、有効成分が摂取または適用される前に分解しないことが必要である限りにおいて重要な技術分野である。バニリンもしくはエチルバニリンまたはそれらの混合物の封入マトリックスとしての使用は、バニリンおよびエチルバニリンが食され、それらの風味が不快な味覚をマスクするのに役立ち得るため、これに関連して特に有利である。
【0031】
さらに、封入される物質はまた、染料、酸化防止剤、保存料、マスキング剤など、ならびに任意の割合でのそれらの混合物など、食品部門で使用することができる添加剤から選択されてもよい。
【0032】
本発明による方法において、マトリックス中の封入される物質の濃度は、1ppb~50重量%であってもよい。いくつかの異なる物質が一緒に封入される場合、マトリックス中の各封入される物質の濃度は、1ppb以上であってもよく、すべての物質の濃度の合計は、50重量%以下であってもよい。
【0033】
一実施形態によれば、封入される物質の濃度は、好ましくは1ppb~10重量%、より優先的には10ppm~5重量%である。そのような濃度は、とりわけ、例えば食品加工業界で役立つ、直ちに使用できる食品香味料の濃度に対応し得る。別の実施形態によれば、封入される物質の濃度は、好ましくは1重量%~50重量%、より優先的には10重量%~50重量%である。
【0034】
本発明による方法において、封入マトリックスは、好ましくは、得られる固体配合物の総重量に対して少なくとも50重量%を表す。好ましくは、封入マトリックスは、50重量%~99.9999999重量%、より好ましくは50%~99.999%を表す。一実施形態によれば、封入マトリックスは、90重量%~99.9999999重量%、より優先的には95重量%~99.999重量%を表してもよい。別の実施形態によれば、封入マトリックスは、50重量%~99重量%、より優先的には50重量%~90重量%を表してもよい。
【0035】
本発明による封入プロセスは、液体状態の前記マトリックスと前記物質との混合物の調製、次に混合物の固化を含む。このようにして調製された混合物は、したがって、均質であっても不均質であってもよく、マトリックスと封入される物質とを含んでもよく、前記マトリックスは少なくとも部分的に液体形態にあり、封入される物質は部分的にもしくは完全に液体形態にまたは部分的にもしくは完全に固体形態にある。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、マトリックスと封入される物質との混合物の調製の工程は、前記マトリックスを溶媒に溶解させることと、前記物質を前記溶解されたマトリックスと混合することとを含む。
【0037】
使用されやすい溶媒は、バニリンまたはエチルバニリンに関して化学的に不活性であり、下に定義される温度域での加熱中に不活性のままでなければならない。本発明の組成物に使用されやすい溶媒として、極性のプロトン性または非プロトン性溶媒または溶媒の混合物が使用され得る。本発明に好適な溶媒の非限定的な例は、
- 水、
- アルコール、好ましくは脂肪族またはアリール-脂肪族アルコール、より優先的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、
- エーテル-オキシド、好ましくは脂肪族の、より具体的には、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、
- カルボン酸の脂肪族、脂環式または芳香族アルキルまたはアリールアルキルエステル、好ましくは酢酸アルキル、より優先的には酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、およびまたサリチル酸ベンジル、ラウリン酸メチル、安息香酸メチル、クエン酸エチル、トリアセチルグリセロール、すなわちトリアセチン、グリセロールおよび酢酸エステル、
- ケトン、好ましくはMEK(メチルエチルケトン)、
- 環式または非環式炭化水素、好ましくはシクロヘキサン、
- ハロゲン化溶媒、好ましくはジクロロメタン、
- 超臨界CO2、
- ならびに任意の割合でのそれらの混合物
である。
【0038】
好ましくは、溶媒は、水、エタノール、酢酸エチル、超臨界CO2およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
使用される溶媒の量は、とりわけ、溶媒の性質および溶解温度に依存する。一般に、溶解温度が低いほど溶媒の量はより多くなる。乾燥物質(マトリックス+封入される物質)の重量に対する重量で表される、使用される溶媒の量は、一般に、5%~99%で変わる。
【0040】
混合物は、任意選択的に、バニリンおよびエチルバニリンの溶解を容易にするために、好ましくは40℃~120℃、より優先的には50℃~85℃の温度に加熱されてもよい。
【0041】
一実施形態によれば、溶媒は、好ましくは40℃~120℃、より優先的には50℃~85℃にあらかじめ加熱され、次にマトリックスと封入される物質とが溶媒中へ導入される。混合物は、1秒~120分の継続時間にわたり攪拌状態に保たれる。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、マトリックスと封入される物質との混合物の調製の工程は、溶媒なしで実施されてもよい。この実施形態は、有利には、追加の溶媒を添加しなくてもよいことを可能にする。混合物の調製の工程は、前記マトリックスを溶融させことと、前記物質を融解状態の前記マトリックスと混合することまたは他に前記物質を固体状態の前記マトリックスと混合することと、次にこのようにして得られた混合物を溶融させることとを含む。
【0043】
この工程は、マトリックスと封入される物質とを別々にまたは混合物として装置へ装填することと、得られた混合物を好ましくは60℃~90℃、より好ましくは70℃~80℃の温度に加熱することとを含む。この操作は、一般に、任意の装置において、とりわけ、例えば、電気抵抗による、または他にジャケット中での伝熱流体の循環による、または他にオーブンもしくはストーブなどの加熱チャンバー中での加熱のシステムなど、従来型加熱装置を備えた容器中で攪拌しながら実施される。
【0044】
好ましくは、この融解混合物は不活性ガス雰囲気下で調製され、この不活性ガスは優先的には窒素である。それにもかかわらず、高湿度空気下または乾燥空気下での作業は排除されない。
【0045】
混合物は、融解混合物が得られるまで、選択された温度に保たれる。
【0046】
固化の工程は、当業者に公知の任意の好適な方法に従って実施されてもよい。それは、とりわけ、結晶化、バルク固化、スポーリング、ペレット化、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、造粒、流動床乾燥、または小球化からなってもよい。
【0047】
結晶化は、マトリックスと物質との混合が溶媒中の溶液で実施された場合に実施されてもよい。調製の変形にかかわらず、溶解生成物は、当業者の従来型技法に従って(蒸発により、溶媒減少により、または冷却により)、好ましくは冷却により結晶化されてもよい。
【0048】
混合後、結晶化は、溶液を冷却することによってもたらされてもよい。溶液が40℃~90℃で調製された場合、室温への冷却が一般に十分であるが、冷却はまた、0℃まで下方に広がる温度まで実施されてもよい。以下の説明では、表現「室温」は、とりわけ、15℃~25℃、好ましくは18℃~22℃の温度を意味する。溶液が室温で調製された場合、0℃~10℃、より優先的には0℃~5℃の温度への冷却が本発明の配合物の結晶化をもたらすために用いられてもよい。種晶を液体混合物に導入することによる播種が可能である。調製の変形にかかわらず、結晶化生成物は、従来型液/固分離技法に従って、好ましくは濾過または遠心分離に従って分離されてもよい。
【0049】
マトリックスと封入される物質との混合が溶媒なしで実施された場合、混合物は、容易にバルク固化し得る。融解生成物は、任意の容器、例えば、固化後の生成物の容易な回収を可能にするであろうステンレス鋼トレイへ移されてもよい。融解混合物の冷却は、好ましくはいかなる攪拌も不在下において、任意の公知手段による冷却温度の調整によって実施され得る。
【0050】
バルク固化または結晶化による固化は、固化後の生成物の容易な回収を可能にするのに好適な不活性支持体上で実施されてもよい。あるいは、固化は、特有の支持体、例えば、固化後に生成物から分離されることを意図されない多孔質支持体、とりわけ食品支持体上で行われてもよい。
【0051】
得られる固化混合物が形成されてもよく、異なる技法が構想されてもよい。
【0052】
別の形成操作が、シリンダーまたはベルトでのスポーリングまたはペレット化技法を用いることによって実施されてもよい。この目的のために、融解混合物は、冷却された金属ベルトまたはシリンダーと接触され、次に得られた固化小滴またはフィルムをナイフでこすり落とすことにより、固化配合物がフレークまたはペレットの形態で回収される。
【0053】
固化配合物の後処理の工程、例えば乾燥および/または粉砕が実施されてもよい。
【0054】
乾燥操作は、例えば、オーブン、棚型乾燥機、流動床、真空オーブンなどの従来型乾燥装置で実施されてもよい。乾燥は、空気下または不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で実施されてもよい。乾燥はまた、減圧下、例えば1.5Pa~70Paの圧力下でチャンバー中において実施されてもよい。乾燥時間は、15分~2時間で変わってもよい。
【0055】
粉砕が、想定用途に適合するサイズを有する粒子を得るために実施されてもよい。粉砕操作は、パドルミル、ピンミルまたは造粒機などの従来型装置で実施されてもよい。
【0056】
本発明による方法は、少なくとも1つの物質が封入されているマトリックスを含む固体配合物を得ることを可能にする。本説明において、表現「封入される」は、1つまたは複数の物質がマトリックス中に保持されている、可変のサイズ、形態および構造のすべてのシステムを表す。包含物は、例えばマトリックスまたは他にコア-シェル型構造中に物質の個別の包含ありで、均質であっても不均質であってもよい。物質は、マトリックスによって完全に被覆されていなくてもよい。固化マトリックスは、非晶質であっても、結晶性であってもよい。任意選択的に、マトリックスと封入される物質とは共結晶化してもよい。
【0057】
本発明の方法に従って調製される組成物は、好ましくは、分割固体組成物である、すなわち、それは、微粒子または顆粒形態にあり、顆粒は、一般に、粒子よりも大きいサイズを有する。前記粒子および/または顆粒のサイズは、例えば、10μm~600000μm、好ましくは500μm~1000μmの範囲である。粒子はまた、プレートレット形態を有してもよく、これらの粒子は、「フレーク」と言われ、0.5~6cm、好ましくは1~3cmの長さ、0.5~3cm、好ましくは0.5~1.5cmの幅、および400μm~1500μm、好ましくは500μm~750μmの厚さを有する。粉砕後、中央径(d50)で表される粒径は、200μm~1000μmの範囲であってもよく、好ましくは500μm~800μmである。中央径は、粒子の50重量%が中央径よりも大きいかまたは小さい直径を有するようなものであると定義される。
【0058】
本発明による固体配合物の利点の1つは、マトリックス中の封入される物質の均質な分散系である。実際に、使用のために必要とされる物質の量が非常に低い場合、この物質を正しく分散させることは困難であり得る。これは、例えば食品調製における香味料について当てはまる。バニリンまたはエチルバニリンマトリックス中のこの物質の封入は、前記物質を固体配合物にあらかじめ分散させることを可能にし、それは、その後使用するのが容易である。
【0059】
本発明による固体配合物は、多くの分野の用途に使用され得る。それは、ヒトおよび動物向け食品の分野、医薬品の分野での香味料として、化粧品、芳香剤および洗剤産業での香料として、および医薬品分野での封入された有効成分として非常に有利に使用される。
【0060】
本発明による固体配合物は、実施の形態(チョコレートのバー、ケーキにかけるチョコレート、チョコレートのための詰め物)にかかわらず、チョコレート製造分野に特に好適である。実際に、バニリンまたはエチルバニリンマトリックスは、チョコレートに可溶性であるという利点を有する。本発明による配合物は、したがって、チョコレートにおいて香味料を放出するという技術的問題を解決し得る。本発明による配合物は、調質(tempering)工程中もしくはコンチング、すなわち、ココアペーストと様々な材料、とりわけ香味料とのブレンディング工程中、またはコンチング後にそれをココアバターに使用することによって導入されてもよい。この分野の用途では、本発明による組成物は、最終製品1kg当たり0.0005g~1gの割合で、チョコレートのタイプに応じて使用され、最高含有量はカバリング用のチョコレートで見いだされる。
【0061】
本発明による配合物の別の好ましい分野の用途は、ビスケットおよびパティセリー菓子類、より具体的には、
- ドライビスケット:標準タイプのスイートビスケット、バターベースのビスケット、「ガレット」ビスケット、スナックビスケット、ショートブレッドビスケット;
- 産業パティセリー:レディフィンガービスケット、キャッツタンビスケット、スポンジフィンガービスケット、スポンジケーキ、ジェノワーズスポンジケーキ、マドレーヌ、パウンドケーキ、ローフケーキ、アーモンドベースのパティセリー、プチフール(petits-fours)
のものである。
【0062】
上述の産業を目的とした混合物中に存在する基本要素は、タンパク質(グルテン)およびデンプンであり、それらは、通常、小麦粉によって提供される。様々なタイプのビスケットおよびケーキの調製のために、スクロース、塩、卵、ミルク、脂肪、任意選択的に化学的ふくらし粉(重炭酸ナトリウムもしくは他の人工ふくらし粉)または生物学的イースト、および様々な穀物粉などの材料が小麦粉に添加される。
【0063】
本発明による配合物の導入は、所望の製品に応じて製造中に行われ、考慮中の分野の標準技法(とりわけJ.L.Kiger and J.C.Kiger - Techniques Modernes de la Biscuiterie,Patisserie-Boulangerie industrielles et artisanales [Modern techniques of biscuit confectionery,industrial and artisanal pastry making and bakery],Dunod,Paris,1968,Volume 2,pp.231以下参照を参照されたい)に従って実施される。優先的には、本発明による配合物は、生地の調製物中へ組み入れられる脂肪へ導入される。指標として、本発明による配合物は、生地1kg当たり0.005g~1gの量で導入されると明記されるであろう。
【0064】
本発明による配合物の別の使用は、ビスケットまたは菓子類のための詰め物の製造である。
【0065】
本発明による配合物のさらに別の使用は、あらゆる種類のキャンディ:糖衣キャンディ、キャラメル、ヌガー、ハードキャンディ、ソフトキャンディなどの製造である。本発明による配合物の、それを含有する製品へ導入される量は、所望される多かれ少なかれ明確にされる味覚に依存する。したがって、使用用量は、配合物がその中に存在する製品の0.001重量%~0.2重量%の範囲であってもよい。使用される含有量は、一般に低く、最終製品1kg当たり約0.02gのものである。
【0066】
本発明による配合物はまた、酪農業界での、より具体的には風味付けおよびゲル化ミルク、アントルメ、ヨーグルト、アイスおよびアイスクリームでの使用に好適である。香味は、前記配合物を含有する製品の製造中に必要とされる混合段階の1つへの、本発明による配合物の単純添加によって行われる。
【0067】
本発明による配合物はまた、最終製品の1kgに対して表される約7gの量で、バニリン含有砂糖の調製、すなわち砂糖への前記配合物の含浸に使用され得る。
【0068】
本発明による配合物はまた、様々な飲料へ組み入れられ得る。とりわけ、グレナディンおよびチョコレート-ベースの飲料が挙げられてもよい。特に、それは、飲料自動販売機によって販売されるインスタント飲料、風味付け粉末飲料もしくはチョコレート粉末のための調製物に、または代わりに水もしくはミルクでの希釈後にあらゆる種類のデザート、フラン、ケーキ衣用生地もしくはパンケーキを製造することを目的とした粉末形態でのインスタント調製物に使用され得る。
【0069】
本発明による配合物の別の用途分野は、とりわけ子牛およびブタ餌用の食料の調製のための動物向け食品の分野である。推奨される含有量は、風味付けされる食料1kg当たり約0.2gである。
【0070】
本発明による配合物は、医薬品産業(薬剤の臭いのマスキング)のための、または他の工業製品(生ゴム、プラスチック、ゴムなど)のためのマスキング剤などの他の用途を見いだし得る。
【0071】
それは、化粧品および芳香剤または洗剤産業などのまったく異なる分野でも完全に好適である。それは、クリーム、乳液、フェースパウダーおよび他の製品などの化粧品において、ならびにまた芳香付けする材料(fragrancing ingredient)として、芳香付けする組成物(fragrancing composition)ならびに芳香付けされた物質(fragranced substance)および製品においても使用され得る。用語「芳香付けする組成物」は、本発明による配合物がその中へ組み入れられる、溶媒、固体または液体支持体、固定剤、様々な臭気化合物などの様々な材料の混合物を意味し、その配合物は、様々なタイプの最終製品に所望の芳香を付与するために使用される。香料基剤は、本発明の方法に従って調製される組成物が有利には0.1重量%~2.5重量%の含有量でその中に使用され得る芳香付けする組成物の好ましい例を構成する。香料基剤は、多くの芳香付けされた製品、例えば、オードトワレ、香料、アフターシェーブローション;トイレタリー製品および衛生製品、例えば、浴用またはシャワー用ジェル、脱臭剤または制汗剤製品(ステックまたはローションの形態を問わず)、あらゆる種類のタルクまたはパウダー;毛髪用製品、例えば、シャンプーおよびあらゆる種類のヘアケア製品の調製に役立ち得る。本発明による配合物の使用の別の例は、石鹸製造の分野である。それは、芳香付けされる総質量の0.3%~0.75%の含有量で使用され得る。一般に、それは、この用途においてベンゾインレジノイドおよび次亜硫酸ナトリウム(2%)と組み合わされる。
【0072】
本発明による配合物は、とりわけ室内空気芳香剤または任意のメンテナンス製品において多数の他の用途を見いだし得る。
【0073】
加えて、本発明による固体配合物は、とりわけ封入される物質が医薬品有効成分である場合、医薬品分野で使用され得る。
【実施例】
【0074】
バニリンを反応器へ量り分け、85℃~90℃の温度で溶融させた。幾つかの香味化合物の混合物を量り分け、融解バニリンに添加した。混合物を、85℃~90℃の温度を保ちながらおよそ5秒間スパチュラを用いて攪拌することによって均質化した。このようにして得られた液体混合物をステンレス鋼トレイ上へ注ぎ、室温まで、すなわち、融解混合物20g当たりおよそ15/20分間放冷した。固体シートが得られた。このシートを壊し、次に室温で20秒間ミルを用いて粉砕した。
【0075】
微細粉末が得られた。後者は、香味化合物がその中に封入されているバニリンで形成されている。