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特許7139293GD2陽性がんを処置するための製剤および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】GD2陽性がんを処置するための製剤および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220912BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20220912BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A61K39/395 T ZMD
A61K31/485 ZNA
A61K31/203
A61P35/00
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019142173
(22)【出願日】2019-08-01
(62)【分割の表示】P 2016533187の分割
【原出願日】2014-11-21
(65)【公開番号】P2019218359
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2019-08-30
(31)【優先権主張番号】13193953.0
(32)【優先日】2013-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】2834000
(32)【優先日】2013-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(31)【優先権主張番号】14/086,696
(32)【優先日】2013-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/182,776
(32)【優先日】2014-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509343116
【氏名又は名称】アペイロン・バイオロジックス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】APEIRON Biologics AG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ロイプナー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ムッチュレヒナー
(72)【発明者】
【氏名】ルート・ラデンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】イザベル・クリアー
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/049643(WO,A1)
【文献】European Journal of Cancer,1995年,vol.31A, no.2,p.261-267
【文献】The New England Journal of Medicine,2010年,vol.363, no.14,p.1324-1334
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61K 31/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-2を併用して投与することなく患者に投与される、患者におけるGD2陽性がんの処置における使用のための、ch14.18抗GD2抗体を含む医薬組成物であって、ここで前記医薬組成物が10~25mg/m/日および50~150mg/m/サイクルの用量で投与され、かつモルヒネが抗GD2抗体を含む医薬組成物が投与される全ての日ではなく、いくつかの日にのみ投与される、医薬組成物。
【請求項2】
抗GD2抗体が1日につき24時間、持続点滴として患者に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
抗GD2抗体の投与の前、同時、および/または後で、患者が1回以上レチノイドで処置される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
患者が同じ処置サイクル内で、レチノイドにより処置される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
抗GD2抗体がch14.18/CHOまたはch14.18/SP2/0である、請求項1~4いずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
抗GD2抗体が配列番号3の21-240アミノ酸の軽鎖アミノ酸配列および/または配列番号4の21-462アミノ酸の重鎖アミノ酸配列を有する、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
50、60、65、68、70、75、80、100、120、または150mg/m/サイクルの用量で患者に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
10~15、または10~20mg/mの1日用量で患者に投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
10、12、13、14、15、16、17、17.5、18、19、20、または25mg/mの1日用量で患者に投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
10mg/m/日の用量で10日間連続して、または15、17.5、20または25mg/m/日の用量で4日間連続して患者に投与される、請求項1、3~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
抗GD2抗体が2回以上の処置サイクルの間、患者に投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
患者がGM-CSFで併用処置されない、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
患者がサイトカインで併用処置されない、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
同じ処置サイクルおよび/または同じ全処置期間内において、GM-CSFおよび/またはサイトカインにより患者が処置されない、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
副作用が、IL-2、GM-CSFおよびまたは1種以上の他のサイトカインによる併用処置を含む処置スケジュールと比較して、実質的に低下している、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
疼痛の副作用が、IL-2、GM-CSFおよびまたは1種以上の他のサイトカインによる併用処置を含む処置スケジュールと比較して実質的に低下している、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
GD2陽性がんが神経芽細胞腫、神経膠芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、黒色腫、小細胞肺がん、線維形成性小円形細胞腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫または他の軟部肉腫である、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
患者が原発性難治性または再発性のハイリスク神経芽細胞腫またはハイリスク神経芽細胞腫の微小残存病変に罹患している、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
本発明の、抗GD2抗体を含む医薬組成物の1日以上の投与の間に投与されるモルヒネの1日用量および/または全モルヒネ処置日のモルヒネの1日用量が、IL-2、GM-CSFおよび/または他のサイトカインを用いる投与スケジュールの間のモルヒネの1日用量よりも低い、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
本発明の、抗GD2抗体を含む医薬組成物の投与を含む1回以上の処置サイクルの間に投与される、処置サイクルあたりのモルヒネ用量が、IL-2、GM-CSFおよび/または他のサイトカインを用いる投与スケジュールにおける処置サイクルあたりのモルヒネ用量より低い、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
全処置期間のモルヒネ用量が、IL-2、GM-CSFおよび/または他のサイトカインを用いる投与スケジュールにおける全処置期間のモルヒネ用量より低い、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
1種以上の鎮痛剤、特にモルヒネの用量が、全処置期間内、処置サイクル内、処置サイクル内の抗体処置期間の間、処置サイクル内のある抗体処置日から次の抗体処置日まで、および/または1回の処置サイクルから次の処置サイクルまでにおいて減少している、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与することを含む、GD2陽性がんを処置するための製剤および方法であって、ここで該患者が、インターロイキン-2(IL-2)により併用処置されない、製剤および方法に関する。具体的には、本発明は、キメラまたはヒト化抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与することにより、GD2陽性がんを処置するための製剤および方法であって、該患者が、インターロイキン-2(IL-2)により併用処置されず、特定の態様においては、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および/または1種以上の他のサイトカインによっても処置されない、製剤および方法に関する。さらに、本発明は、患者におけるGD2陽性がんを処置するための製剤および方法であって、抗GD2抗体を含む製剤を、該患者に、併用してIL-2を投与することなく、持続点滴として1日以上にわたって投与する、製剤および方法に関する。本発明はさらに、患者におけるGD2陽性がんを、併用してIL-2を投与することなく、抗GD2抗体を含む製剤を該患者に投与することにより処置するための製剤および方法であって、該抗体による1回以上の処置期間に、レチノイドによる1回以上の処置期間が先行するか、レチノイドによる1回以上の処置期間を同時に伴うか、および/または、レチノイドによる1回以上の処置期間が後に続く、製剤および方法に関する。本発明はまた、抗GD2抗体を含む製剤を、持続点滴として1日につき24時間患者に投与することによる、GD2陽性がんを処置するための製剤および方法であって、該患者がインターロイキン2(IL-2)による併用処置を受けず、該抗体による1回以上の処置期間に、1回以上のレチノイドによる処置期間が先行するか、1回以上のレチノイドによる処置期間を同時に伴うか、および/または1回以上のレチノイドによる処置期間が後に続いてよい、製剤および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経芽細胞腫は、脳がんに次いで、5歳未満の子供で最も頻度の高い固形がんである。ハイリスク神経芽細胞腫では、標準的な治療を受けた患者の半分より多くにおいて、再発が見られ、最終的に、該疾患により死亡する。症例の90%は、0歳~6歳において発症する。先進国における、世界全体での発症率は、1年あたり約2000件である。
【0003】
腫瘍学において、特定の抗原に対するモノクローナル抗体の使用が増加している。該モノクローナル抗体は、トラスツズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブおよびリツキシマブ等のような先駆的なものに示されるように、細胞傷害性のある治療法と比較して、作用機序が完全に異なることにより、有用なものとなっている。ジシアロガングリオシドGD2は、主に細胞表面に発現するスフィンゴ糖脂質である。正常な組織においては、GD2発現は珍しく、主に中枢神経系(CNS)、末梢神経およびメラノサイトに限定されている。がん細胞において、GD2は神経芽細胞腫および殆どの黒色腫において、均一に発現しており、骨肉腫および軟部肉腫では、発現の程度に差がある (Navid et al., Curr Cancer Drug Targets 2010; 10:200-209)。細胞表面に存在することに加えて、比較的腫瘍選択的な発現をすることから、GD2は、抗体ベースのがん免疫療法の有望な標的である。
【0004】
したがって、いくつかの抗GD2抗体について、神経芽細胞腫、黒色腫および他のGD2関連がんにおける、前臨床または臨床試験が行われている。
【0005】
APN311は、市販される抗体の作製のための標準的な哺乳類細胞株であるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において、組換えにより作製された、キメラモノクローナル抗GD2抗体ch14.18の製剤である。再発性/難治性の神経芽細胞腫患者における第I相臨床試験において、この抗体を単一の剤として用いることにより、退縮が達成された。APN311による処置を含む、第III相の臨床試験が、2006年にSIOPEN (International Society of Paediatric Oncology European Neuroblstoma)により開始され、現在、イソトレチノイン、すなわちcis-レチノイン酸(cis-RA)をともに用いた、IL-2を皮下に用いるか、または用いないAPN311処置に関する、無再発生存率および全生存率に対する効果について調べている。4つの薬剤、すなわち、SP2/0マウスハイブリドーマ細胞で産生される関連抗体と、静注のインターロイキン2(IL-2またはIL2)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびイソトレチノイのパッケージを用いた同等の米国における試験において、神経芽細胞腫の子供において、最初の療法の後に完全な退縮が見られ、疾患エビデンスが全く見られないという興味深い生存改善が見られた。
【0006】
APN301は、ヒト化抗GD2抗体 (hu14.18)およびIL-2を融合蛋白質として含む、免疫サイトカインの製剤である。該抗体部分は、神経芽細胞腫およびいくつかの他のがんで強く発現するGD2抗原に特異的に結合する。IL-2は、多数の免疫エフェクター細胞種をリクルートするサイトカインである。神経芽細胞腫の患者において、APN301は、抗体成分を介してGD2陽性腫瘍細胞に局在するように設計されている。その後、融合しているIL-2がNK細胞およびT細胞の両方を活性化させることにより、腫瘍に対する免疫系を刺激し、該抗体のFc部分は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)による腫瘍細胞殺傷を引き起こすように設計されている。免疫サイトカインは、再発性/難治性の神経芽細胞腫の子供における第II相臨床試験において、活性を示しており (Shusterman et al.; JCO 2010 28(33):4969-75.)、後期の悪性黒色腫の第I相/第II相試験でも試験されており、免疫活性化を示すことが示されている。
【0007】
研究または開発されている他の抗GD2抗体は、例えばモノクローナル抗体3F8 (マウス抗体は第II相、ヒト化抗体は第I相)および 8B6 (O-アセチル化GD2に特異的、前臨床)である。さらに、抗イディオタイプ抗体、例えば4B5、1A7およびA1G4が、腫瘍ワクチンの可能性があるとして調べられているが、開発は中止されたとみられている。国際公開第2008/049643号はまた、GD2エピトープを模倣した、抗イディオタイプ抗体、すなわちGD2ミモトープを記載している。
【0008】
14.18抗GD2抗体の他のバージョンは、国際公開第2005/070967号に記載されているhu14.18K322Aであり、これは、CDCを低下させるが、例えばADCCを増強させるのに適当な細胞株、例えばYB2/0で発現させることにより、ADCCを維持するために、Fc領域に点変異を有する。CDCの低下は、抗体処置に伴う疼痛を低下させると考えられている。
【0009】
抗体の抗腫瘍活性は、一般的に、補体依存性細胞傷害(CDCまたは補体固定)か、抗体依存性細胞傷害(ADCC)のいずれかにより生じる。これらの2つの活性は、当該分野において、「エフェクター機能」として知られており、抗体、特にIgGクラスの抗体により媒介される。IgG4以外の全てのIgGサブクラス (IgG1、IgG2、IgG3)は、ある程度ADCCおよび補体固定を媒介し、その両方の活性について、IgG1およびIgG3が最も強力である。ADCCは、ナチュラルキラー(NK)細胞および/またはFc受容体を有する他の免疫細胞(エフェクター細胞)上のFc受容体が、細胞表面の抗原に結合した抗体のFc領域に結合したときに起こると考えられている。Fc受容体結合は、エフェクター細胞に、標的細胞を殺すようにシグナルを伝える。CDCは、複数の機構により起こると考えられており、1つの機構は、抗体が細胞表面上の抗原に結合するときに開始する。抗原抗体複合体が形成されると、C1q分子が該抗原抗体複合体に結合する。次いで、C1qは、それ自体を切断して、酵素活性化のカスケードおよび、他の補体蛋白質の切断を開始させ、該補体蛋白質は次いで標的細胞表面に結合し、例えば、細胞溶解および/またはマクロファージによる摂取により該細胞の死を促進すると考えられている。
【0010】
抗体依存性細胞傷害 (ADCC)は、免疫療法において重要な役割を果たすと考えられている。不幸なことに、ADCCは、がん患者ではしばしば抑制されている。サイトカインは、免疫細胞を直接活性化するか、または、腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原(TAA)を増強させることにより、ADCCを増強させると考えられている。例えば、アルデスロイキン(IL-2)は、ナチュラルキラー (NK)細胞の活性化、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞の生成を引き起こし、ADCCを増強させる。アルデスロイキン(IL-2)は、腎細胞がんおよび黒色腫の患者において、測定可能な抗腫瘍応答を誘発するのに有効である。さらに、GM-CSFは、単球、マクロファージ、樹状細胞および抗体依存性細胞傷害 (ADCC)の直接的な活性化および、TNF、インターフェロンおよびインターロイキン1(IL-1)を介した間接的なT細胞活性化を介して、試験管内および生体内の両方において、抗腫瘍免疫を増強することが示されている。GM-CSFは、腫瘍細胞に対する免疫活性化に重要な細胞の機能を、単独で、または他のサイトカインまたはモノクローナル抗体とともに増強すると考えられている。
【0011】
したがって、抗GD2抗体、特にch14.18を調べるための現在の臨床試験において、該抗体処置を、サイトカイン処置(およびレチノイド処置)、特に、IL-2および/またはGM-CSFによる処置と組み合わせている。したがって、サイトカインをGD-2陽性がん患者に投与すること、特に抗GD2抗体処置と組み合わせて投与することは、有利なことであることが先行技術によって示されている。
【0012】
対照的に、本発明の重要な特徴は、該患者を、抗GD2抗体により、IL-2を用いずに、特にいずれのサイトカイン処置も行わずに処置し得ることである。
【0013】
抗体と組み合わせた、1種以上のサイトカインによる処置は、重症の有害作用、例えば、発熱、アレルギー反応、低血圧、毛細管漏出症候群等を引き起こす場合があり、該副作用により、死に至る場合すらある。両方の薬剤の副作用に相乗作用があるため、サイトカイン処置を共に行うことにより、抗体処置による有害事象、例えば、発熱がさらに増強される。しかし、本発明の製剤および方法では、いずれのサイトカインをも完全に除くことが可能である。したがって、本発明は、抗体による処置の有害作用を実質的に低下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第2008/049643号
【文献】国際公開第2005/070967号
【非特許文献】
【0015】
【文献】Navid et al., Curr Cancer Drug Targets 2010; 10:200-209
【文献】Shusterman et al.; JCO 2010 28(33):4969-75.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
第一の局面において、本発明は、患者におけるGD2陽性のがんの処置に用いるための、抗GD2抗体を含む製剤であって、該キメラまたはヒト化抗GD2抗体を含む製剤が、併用してIL-2を投与することなく該患者に投与され、GD2陽性がんが処置される、方法に関する。
【0017】
さらに、本発明は、患者におけるGD2陽性がんの処置のための製剤および方法であって、キメラまたはヒト化抗GD2抗体を含む製剤が、併用してIL-2を投与することなく、持続点滴として、1日に24時間該患者に投与される、製剤および方法に関する。本発明はさらに、患者におけるGD2陽性がんを処置するための製剤および方法であって、キメラまたはヒト化抗GD2抗体を含む製剤が、併用してIL-2を投与することなく該患者に投与され、1回以上の抗GD2抗体処置期間に、1回以上のレチノイドによる処置期間が先行するか、1回以上のレチノイドによる処置期間を同時に伴うか、および/または1回以上のレチノイドによる処置期間がその後に続く、製剤および方法に関する。特定の態様において、該患者は、GM-CSFおよび/または、1種以上の他のサイトカインによる処置を、特に同一の処置サイクル中では受けない。
【0018】
本発明はさらに、特定の態様および特許請求の範囲により規定される。本明細書にさらに記載される本発明の態様は全て、等しく本発明の全ての局面に関し、これらの局面は全て組み合わせて、例えば第一の局面を第二または第三の局面と組み合わせて、第一の局面を第二および第三の局面と組み合わせて、第二の局面を第三の局面と組み合わせて、これらの局面のエレメントを組み合わせた方法のための製剤;または組み合わせた方法を形成してよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】APN311およびイソトレチノインによる処置を受けたが、IL-2による処置を受けていない患者(赤で示す)および、APN311およびイソトレチノインおよびIL-2による処置を受けた患者 (青で示す)の、328人の神経芽細胞腫患者における、無再発生存率(EFS、図1A)および全生存率(OS、図1B)のデータ(時間ごとの%で示す)のカプランマイヤー曲線を示す。
図2】処置の開始時に完全寛解(CR) を示した、実施例2の128人の患者のEFSデータ(時間ごとの%で表す;図2A、右側の図)と、Yu et al. 2010, New England Journal of Medicine 363:1324-1334に記載のEFS データ (時間ごとの%で表す;図2A、左側の図、完全寛解者のデータも含む))の比較を示す。図2Bは、比較のために重ね合わせた図を示す。
図3】処置の開始時に完全寛解(CR)を示した、実施例2の128人の患者のOSデータ(時間ごとの%で表す;図3A、右側の図)と、Yu et al. 2010のOSデータ (時間ごとの%で表す;図3A、左側の図)の比較を示す。図3Bは、比較のために重ね合わせた図を示す。
図4】IL-2を用いる、および用いない、それぞれのスケジュールで処置し、総合評価した患者において観察される毒性(グレード3および4のみに対する全グレードの毒性;%で表す)の概要の表を示す。
図5】IL-2を用いる、および用いない、それぞれのスケジュールで処置し、総合評価した患者において観察される毒性(各処置サイクルについての全グレードの毒性;%で表す)の概要の表を示す。
図6】IL-2を用いる、および用いない、それぞれのスケジュールで処置し、総合評価した患者の、全ての処置サイクルで観察される毒性(全グレードの毒性;%で表す)の図を示す。
図7】IL-2を用いる、および用いない、それぞれのスケジュールで処置し、総合評価した患者の、全ての処置サイクルで観察される毒性(グレード3および4のみ;%で表す)の図を示す。
図8】IL-2を用いないスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル毎の全グレードの毒性(%で表す)を示す図である。
図9】IL-2を用いたスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル毎の全グレードの毒性(%で表す)を示す図である。
図10】IL-2を用いた、およびIL-2を用いないそれぞれのスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル(サイクル1)において観察される毒性(%で表す)を示す図である。
図11】IL-2を用いた、およびIL-2を用いないそれぞれのスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル(サイクル2) において観察される毒性(%で表す)を示す図である。
図12】IL-2を用いた、およびIL-2を用いないそれぞれのスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル(サイクル3) において観察される毒性(%で表す)を示す図である。
図13】IL-2を用いた、およびIL-2を用いないそれぞれのスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル(サイクル4) において観察される毒性(%で表す)を示す図である。
図14】IL-2を用いた、およびIL-2を用いないそれぞれのスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル(サイクル5) において観察される毒性(%で表す)を示す図である。
図15】IL-2を用いた、およびIL-2を用いないそれぞれのスケジュールにおいて処置し、総合評価した患者の処置サイクル(サイクル6) において観察される毒性(%で表す)を示す図である。
図16】抗GD2抗体を用いるが、IL-2およびcisレチノイン酸処置を用いない処置の間の、神経芽細胞腫患者の血液試料の、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイ(青い点、図16A)および全血試験(赤い点、WBT、図16B)の結果を示す。紫および灰色の点は、非特異的な溶解の可能性があるもの(すなわち、抗体により媒介されていない標的細胞溶解)を区別するために、抗id抗体で処置した患者試料のアリコートである。橙色のバーは、抗体による処置期間を示す。
図17】常用量のIL-2およびcisレチノイン酸処置を伴う、抗GD2抗体処置の間の神経芽細胞腫患者の血液試料の、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイ(青い点、図17A)および全血試験(赤い点、WBT、図17B)の結果を示す。紫および灰色の点は、非特異的な溶解の可能性があるもの(すなわち、抗体により媒介されていない標的細胞溶解)を区別するために、抗id抗体で処置した患者試料のアリコートである。橙色のバーは、抗体による処置期間を示し、緑色の三角形は、IL-2処置期間を示し、黄緑色の星印は、cisレチノイン酸処置期間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
驚くべきことに、抗GD2抗体およびレチノイド投与と組み合わせた、1種以上のサイトカインによる処置は、抗GD2抗体とレチノイドによる、IL-2を用いない、またはIL-2およびGM-CSFを用いない、またはいずれのサイトカインも用いない処置を超える臨床面の利点をもたらさないことが明らかになった。さらに、抗GD2抗体を含む製剤の持続点滴にIL-2または他のサイトカインを組み合わせない処置スケジュールは、特に、副作用、特に疼痛の減少において高度に有利であることが示された。
【0021】
一の局面において、本発明は、患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための抗GD2抗体を含む製剤(抗体製剤とも称する)であって、抗GD2抗体を含む製剤が、併用してIL-2を投与することなく該患者に投与され、該患者においてGD2陽性がんが処置される、製剤に関する。
【0022】
他の局面において、本発明は、患者におけるGD2陽性がんを処置する方法であって、IL-2を併用して投与することなく抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与することを含み、該患者におけるGD2陽性がんが処置される、方法を含む。
【0023】
他の局面において、本発明は、本明細書に記載の方法のための医薬の製造における、抗GD2抗体の使用を含む。
【0024】
特定の態様において、抗GD2抗体は、持続点滴として、1日につき24時間患者に投与される。特定の態様において、該抗GD2抗体は、持続点滴として1日以上、患者に投与される。いくつかの態様において、該患者は、抗GD2抗体の投与よりも先に、同時に、および/または後に続けて、1回以上レチノイドにより処置される。いくつかの態様において、抗GD2抗体はキメラまたはヒト化抗GD2抗体である。
【0025】
本明細書において、「患者」という語は、GD2陽性がんに罹患しているヒト対象を指すものとする。本明細書において「処置」または「処置すること」という語は、薬剤または処置がそれを必要とする患者にとうよされることを指すものとする。
【0026】
「患者においてGD2陽性がんが処置される」ことは、該患者において下記でさらに規定する治療効果が達成されることを指す。
【0027】
本明細書において、「併用処置する」または「併用して投与する」は、特に、同一の処置サイクルおよび/または同一の全処置期間(例えば、抗GD2抗体を投与する処置期間)において、1つの処置(例えば、抗GD2抗体および/または抗GD2抗体を含む製剤による処置、抗体処置と称する) に、他の1つ以上の処置(例えば、1種以上の鎮痛薬による処置および/または1つ以上の薬剤または処置による処置)が先行するか、他の1つ以上の処置を同時に伴うか、および/または他の1つ以上の処置がその後に続くことを意味するものとする。併用処置の処置期間は、他の処置期間(例えば抗体処置期間)と部分的または全体的に、重なっていても重なっていなくてもよい。したがって、併用処置(例えば鎮痛剤処置)の処置期間は、他の処置(例えば抗体処置)の処置期間に先行していても、同時であっても、および/またはその後に続いていてもよい。一の態様において、併用処置の処置期間は、同一の処置サイクル内にある。
【0028】
したがって、本明細書において、「併用処置を行わない」「併用して投与することなく」または「併用して投与しない」という記載は、それぞれ、1つの処置に、1つ以上の他の処置が、先行するか、1つ以上の他の処置を同時に伴うか、または1つ以上の他の処置が後に続くことがないことを指すものとする。一の態様において、上で定義した語は、患者が、同じ処置サイクル内および/または同じ全処置期間内で、該薬剤または処置による処置を受けないこと(すなわち、該薬剤または処置は、該患者に投与されないこと)を指す。したがって、該非併用処置(例えばサイトカイン処置)の処置期間は、他の処置期間(例えば抗体処置期間)と部分的にも全体的にも重複し得ない。一の態様において、非併用処置の処置期間は、他の処置の処置期間(例えば抗体処置期間)に先行する、他の処置の処置期間を同時に伴う、および/または他の処置の処置期間の後に続くことはない。一の態様において、非併用処置の処置期間は、同一の処置サイクル中にない。しかしながら、薬剤または処置(例えば1種以上のサイトカイン)で併用処置されていない患者は、以前の処置サイクルおよび/または以前の全処置期間において、該薬剤または処置(例えば1種以上のサイトカイン)で処置されていてもよい。
【0029】
本明細書において、「サイトカイン」という語は、ナノモル~ピコモルの濃度でホルモン調節因子またはシグナル伝達分子として作用し、細胞シグナル伝達に有用である蛋白質、ペプチドまたは糖蛋白質を指す。一の態様において、1種以上のサイトカインを、免疫調節剤、例えば、インターロイキンおよび/またはインターフェロンから選択する。一の態様において、1種以上のサイトカインを、IL-2、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、IL-12および/またはIL-15からなる群から選択する。一の態様において、1種以上のサイトカインは、抗体、特に抗GD2抗体と融合していない。
【0030】
本明細書において、「低減した用量」または「低用量」という語は、同じまたは類似の状況、すなわち、同じまたは類似の処置を受ける同じまたは類似の患者群に投与される同じ薬剤の常用量よりも有意に低い、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100% (またはこの用量間の任意の範囲)低い、各薬剤の用量を指す。常用量は、過去に頻繁に用いられた、および/または同じまたは類似の状況で、すなわち、同じまたは類似の処置を受ける同じまたは類似の患者群において主に用いられる用量であってよい。該用量は、1日の用量を減らすことにより、および/または、投与の頻度および/または期間を低下させることにより低減させ得る。例えば、50%の用量低下については、各薬剤を、通常と同じ頻度または期間で投与するが、1日の常用量の半分のみを投与するか、または、各薬剤を1日の常用量で投与するが、例えば、通常毎日投与している場合は、1日おきにのみ投与してよい。他の例において、1日の常用量の50%を、通常の毎日の投与ではなく、1日おきに投与することによって、常用量よりも75%用量を低減させてよい。したがって、当業者は、本発明の適当な用量および投与スケジュールを容易に決定することができる。
【0031】
本明細書において、特定の製剤または処置による「処置期間(treatment period)」は、かかる特定の製剤または処置が、1回の処置サイクル内で患者に投与される期間、例えば、連続した数日の処置期間を指す。例えば、サイトカインを含む製剤を、通常、5日間連続して投与し、その後に、サイトカインを含む製剤を投与しない日が1日以上続く場合、サイトカインを含む該製剤による処置期間には、5日間が含まれる。他の例において、抗GD2抗体を含む製剤を連続的に、10日間連続して24時間投与し、その後、抗GD2抗体を含む該製剤を投与しない日が1日以上続く場合、抗GD2抗体を含む製剤による処置期間には、10日間が含まれる。他の例において、イソトレチノインを1日に2回14日間投与し、その後に、イソトレチノインを投与することがない日が1日以上続く場合、イソトレチノインによる処置期間には14日間が含まれる。該処置期間は、他の薬剤または処置の処置期間と全体的または部分的に重複させて繰り返しても、かつ/または、処置を行わない期間が先行していても、および/または後に続いていてもよい。例えば、処置サイクルは、IL-2による5日間の処置を2回含み、2回目が、ch14.18 (APN311)による10日間(または14日、15日または21日間)の処置と重複しており、その後に14日間のイソトレチノインによる処置が続いていてよい。
【0032】
本明細書において、処置期間に関する「組み合わせた」または「組み合わせ」という語は、同じおよび/または異なる薬剤または処置による2回以上の処置期間が、1回の処置サイクル中に含まれることを指す。異なる薬剤または処置を用いた、かかる2回以上の処置期間は、部分的または全体的に重複していても、または重複していなくてもよい。該処置期間は、同じおよび/または異なる薬剤または処置による処置をしていない1つ以上の間隔期と組み合わせて(または該間隔により分離して)よい。
【0033】
本明細書において、「処置サイクル」という語は、規則的なスケジュールで繰り返す、1つ以上の処置または処置期間を指し、該処置または処置期間の間に、休止(処置を行わない)期間を含んでいてよい。例えば、1週間の処置の後に、3週間の休止が続いて、1回の処置サイクルとなる。一の態様において、1回の処置サイクルは、抗GD2抗体を含む製剤による1回の処置期間を含む。抗GD2抗体を含む製剤による1回の処置期間を含む処置サイクルは、さらに、1種以上の他の薬剤または処置(サイトカイン処置は除く)、例えばレチノイドおよび/または鎮痛剤による1回以上の処置期間を含んでいてよい。1回の処置サイクル内の1種以上の薬剤または処置による処置期間は、全体的および/または部分的に重複していてよい。処置サイクルは、いずれの処置も行わない期間を1回以上含んでいてもよい。休止期間は、例えば少なくとも1日、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13または14日以上であってよい。それとは別に、または組み合わせて、該休止期間は、例えば最長で8週間、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間または1週間またはそれより短くてよい。処置サイクル中の各処置は、好ましくは、本明細書において定義する、第一、第二、第三の局面または任意の組み合わせた局面の処置であってよい。本発明の処置スケジュールは、1つ以上の処置サイクル、具体的には、2つ以上、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20以上の処置サイクルを含んでいてよい。
【0034】
本明細書において、「全処置期間 (overall treatment time)」または「全処置期間 (overall treatment period)」は、1つ以上の連続した処置サイクルを含む連続的な処置期間を指すものとする。処置サイクルは、同一の、または修正した形態で、例えば、異なる用量またはスケジュール、または1つ以上の異なるおよび/または付加的な処置(例えば1つ以上の他の鎮痛剤による処置)を用いて繰り返してよい。全処置期間は、少なくとも1つまたは2以上のサイクル、例えば、10まで、または20まで、またはそれより多くの処置サイクルを含んでいてよい。一の態様において、全体処置期間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20以上のサイクルを含む。上述のように、処置サイクルは、処置を行わない期間(患者に何の処置も行わない、すなわち、抗体、サイトカインおよび他の薬剤を全く投与しない、間隔期)を含んでいてよい。したがって、本明細書において、全処置期間は、処置サイクル中および/または処置サイクル間に、処置を全く行わない該間隔期を含んでいてもよい。一の態様において、処置サイクルは、その前の処置サイクルに直接続いている、すなわち、処置サイクル間に全く期間をおかなくてもよい。しかし、処置サイクルの最後に、次の処置サイクルが始まる前に、処置を行わない期間を含んでいてもよい。全処置期間の例は、例えば少なくとも6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、12ヶ月、14ヶ月、16ヶ月、18ヶ月、20ヶ月、22ヶ月、24ヶ月、26ヶ月、30ヶ月またはそれより長くてよい。
【0035】
本明細書において、範囲が特定されている場合、かかる任意の範囲は、かかる特定の範囲(すなわち、範囲の下限および上限)の間の任意の範囲を含んでいてよいものとする。例えば、範囲を例えば1~5日間と特定する場合、この範囲は、1日、2日、3日、4日および5日間を含むものとする。同じことが、他の任意の範囲、例えば他の期間(例えば点滴時間(時間単位))、任意の用量範囲(例えば体表面積1mあたり、体重1kgあたり、1日あたり、処置サイクルあたり等)、点滴速度、濃度、パーセンテージ、係数、比率および数に当てはまるが、これらに限定されない。
【0036】
該抗GD2抗体または該抗体製剤は、それを必要とする患者に投与してよい。一の態様において、該患者は、GD2陽性がんの患者である。GD2陽性がんは、GD2が腫瘍細胞に発現している種類のがんである。GD2陽性がんは、例えば、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、黒色腫、小細胞肺がん、線維形成性小円形細胞腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫および/または他の軟部肉腫である。一の態様において、該患者は、神経芽細胞腫、特に、ハイリスク神経芽細胞腫と診断されている。一の態様において、該患者は、(神経芽細胞腫国際病期分類;INSS (International Neuroblastoma Staging System) による) ステージ4の神経芽細胞腫と診断されている。一の態様において、該患者は、微小残存病変を有すると診断されている。一の態様において、該患者は、完全寛解者である、すなわち、処置に対して完全寛解を示す患者であると診断されている。他の態様において、該患者は、再発性または難治性疾患に罹患していると診断されている。一の態様において、該患者は、原発性の難治性または再発性のハイリスク神経芽細胞腫に罹患しているか、ハイリスク神経芽細胞腫の微小残存病変を有する。該患者は、1種以上の他の治療法、例えば外科手術、化学療法、放射線照射、骨髄破壊治療、メタヨードベンジルグアニジンシンチグラフィー (mIBG)、ワクチン療法、幹細胞移植、および/またはレチノイド処置(例えばイソトレチノインを用いる)により以前に処置されていても、または同時に処置されていてもよい。
【0037】
一の態様において、該患者は、第I相、第II相または第III相の臨床試験に登録されていない。他の態様において、該患者はいずれの臨床試験にも登録されていない。具体的には、該患者は、世界のいずれの国におけるいずれの臨床試験にも登録されていない。したがって、該患者は、いずれの薬剤または処置についての安全性および有効性データを作製する、医薬研究および薬剤開発の、いずれの体系調査および/または公的に(例えば任意の適格性の国立または地域の保健当局によって)認められた試験にも参加していない。一の態様において、該患者は、いずれの保健介入(例えば診断、デバイス等)のための、いずれの体系調査および/または公的に(例えば任意の適格性の国立または地域の保健当局によって)認められた試験にも参加していない。抗GD2抗体を用いて、IL-2および/または他の任意のサイトカインの併用処置を用いない先行技術に記載されている、以前の臨床試験は、さらなる調査を行うための基礎として、該抗体の一般的な効果、有害作用および用量を調べるために行われている。しかしながら、該先行技術は、最終的に、抗GD2抗体を、少なくとも1種のサイトカイン、特にIL-2と組み合わせて患者を処置するよう明確に記載している。したがって、現在用いられている、抗GD2抗体を用いる処置レジメンは、少なくとも1種のサイトカイン、特にIL-2を含み、また、GM-CSFとも組み合わされている (例えば、上述のYu et al.を参照のこと)。
【0038】
一の態様において、本発明の抗GD2抗体は、GD2抗原に特異的に結合する。GD2は、神経外胚葉性起源の腫瘍に発現するジシアロガングリオシドである。該抗体は、組換え抗体、または人工抗体、例えば、一本鎖抗体、哺乳類抗体、ヒトまたはヒト化抗体の群から選択してよい。該抗体は、抗体の定常領域および/または、可変領域、特に、Fc、Fc様、Fv、Fab、F(ab)、Fab’、F(ab’)、scFv、scfc、VHHから選択される可変領域を含むか、またはこれらから選択されてよい。しかし、該抗体断片のいずれも、補体結合の原因となり、そのために、天然の(または生体内の)エフェクター機能を媒介し得る、Fc部分を含んでいなければならない。該抗体は、抗体の軽鎖および重鎖を含んでいることが好ましい。該抗体は、1つまたは2つの、抗原結合領域を含んでいてよく、該抗原結合領域は、同じまたは異なる抗原、例えばGD2に結合してよく、該抗原は、特異的に結合されてよい。本発明の抗体は、上述の抗原に対するもの、例えば該抗原に対する免疫化により作製されたものであってよい。該抗GD2抗体は、ヒト化またはキメラGD2抗体、例えばヒト化またはキメラ14.18、3F8または8B6抗体、または同じ特異性を有するマウス抗体、または、天然のエフェクター機能を媒介する、これらのいずれの抗原結合断片であってもよい。一の態様において、該抗体は、14G2a抗体ではない。該抗GD2抗体は、1つ以上のアミノ酸改変、例えば、改変Fc領域を有していてよい。一の態様において、該抗GD2抗体は、hu14.18K322Aである。他の態様において、該抗GD2抗体はキメラ14.18抗体である。一の態様において、該抗GD2抗体は配列番号1および/または2の核酸配列および/または配列番号3および/または4のアミノ酸配列または、その断片またはホモログによりコードされている。一の態様において、該抗GD2抗体は、配列番号3および/または4のアミノ酸またはその断片もしくはホモログによりコードされている。
【0039】
「その断片またはホモログ」という語は、同じまたは類似の天然の活性を有する、各配列の任意の断片またはホモログを指すものとする。一の態様において、該断片またはホモログは、天然の活性の少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98または99%を有する。一の態様において、該断片またはホモログは、少なくとも80、85、90、95、96、97、98または99%の配列同一性を有する。
【0040】
態様の一において、該抗GD2抗体は、配列番号1の軽鎖ヌクレオチド配列 (実施例1も参照のこと) および配列番号2の重鎖ヌクレオチド配列 (実施例1も参照のこと) を有する。一の態様において、該抗GD2抗体は、配列番号3の軽鎖アミノ酸配列 (実施例1も参照のこと) および配列番号4の重鎖アミノ酸配列 (実施例1も参照のこと) を有する。2つの軽鎖および2つの重鎖を含む抗体の相対的分子質量は、約150,000ダルトンであってよい。一の態様において、該抗GD2抗体を含む製剤はAPN311である。一の態様において、該抗GD2抗体はジヌツキシマブである。該抗GD2抗体は、CHO細胞、SP2/0細胞または他の適当な細胞、例えばHEK-293、MRC-5、Vero、PerC6またはNS0に発現していてよい。一の態様において、該抗GD2抗体は、14.18抗体である。一の態様において、該抗GD2抗体は、SP2/0細胞に発現した、キメラ14.18抗体である (ch14.18/Sp2/0)。他の態様において、該抗GD2抗体は、CHO細胞に発現したキメラ14.18抗体である (ch14.18/CHO)。一の態様において、該抗GD2抗体は、配列番号1、2、3および/または4にコードされる抗体の、同じまたは類似の天然の活性を有する、断片またはホモログであってもよい。
【0041】
特定の態様において、該抗GD2抗体はいずれの他の部分にも融合していない。特定の態様において、該抗GD2抗体は、免疫サイトカインではない。特定の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、免疫サイトカインを含まない。特定の態様において、該患者は、特に、該抗体処置を含む、同じ処置サイクルおよび/または同じ全処置期間内で、免疫サイトカインにより併用処置されない。
【0042】
抗GD2抗体を含む製剤はさらに、塩およびWFIを含んでいてよく、さらに、場合によって、アミノ酸、特に、ヒスチジン、アルギニンおよび/またはリジンのような塩基性アミノ酸を含んでいてよい。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、さらに、緩衝剤、例えば、該塩およびWFIを含む、リン酸緩衝食塩水を含んでいてよい。抗GD2抗体を含む製剤は、さらに、安定化剤、保存量および他の担体または賦形剤を含んでいてよい。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、抗GD2抗体 (例えばch14.18) を含み、さらに、スクロース、ポリソルベート20、ヒスチジンおよび塩酸を含む。一の態様において、該抗体はch14.18/CHOであり、該抗体を含む製剤は、APN311 (修正した処方) であり、該製剤は、4.5mg/mL 抗体、50mg/mL スクロース、0.1mg/mL ポリソルベート20および3.1mg/mL ヒスチジンを含む。抗GD2抗体を含む製剤は、凍結乾燥していてよい。再構成した溶液は、6±0.5のpHを有していてよい。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤はさらに、スクロース、L-アルギニン、クエン酸一水和物、ポリソルベート20および塩酸を含む。一の態様において、該製剤は、4mg/mL 抗GD2抗体、20mg/mL スクロース、13.9mg/mL L-アルギニン、2mg/mL ポリソルベート20および2.1mg/mL クエン酸一水和物を含む。一の態様において、該製剤は凍結乾燥されており、0.9% 塩化ナトリウム 4mLで再構成してよく、得られた溶液は、pH5.5を示す (pHは塩酸 (HCL) で調製してよい)。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、安定化剤、保存料および他の賦形剤を含まない。抗GD2抗体を含む製剤を、輸液バッグ、例えば通常生理食塩溶液、すなわち生理NaCl溶液 (0.9%) を含み、場合によってヒト血清アルブミン (HAS、ヒトアルブミンとも称する) を含んでいてよい輸液バッグに添加してよい。一例において、該輸液バッグは、通常生理食塩溶液および、0.25~5%または、これらの濃度間の任意の範囲のヒト血清アルブミンを含む。一例において、該輸液バッグは、最終体積250mlの0.9% NaClおよび5mlの20% ヒトアルブミンまたは、100mlの0.9%NaClおよび5mlの20%ヒトアルブミンまたは50mlの0.9% NaClおよび2mlの20%ヒトアルブミンを含む。
【0043】
該抗GD2抗体または抗GD2抗体を含む製剤は、1~30mg/m、1~35mg/m、1~50mg/mまたは1~60mg/m、例えば1、2、3、4、5、6、7、7.5、8、9、10、12、13、14、15、16、17、17.5、18、19、20、25、30、32、35、40、45、50もしくは60mg/mまたはこれらの用量間の任意の範囲の1日の抗体用量で投与してよい。一の態様において、該抗GD2抗体または抗GD2抗体を含む製剤を、7、7.5、8、9、10、12、13、14、15、16、17、17.5、18、19、20、25、30、32または35mg/mまたはこれらの用量間の任意の範囲の1日の抗体用量で投与してよい。例えば、10mg/mの1日用量は、該患者が、1日あたり、体表面積1mあたり10mgの抗GD2抗体の投与を受けることを意味する。本明細書において、用量 (例えばmgまたはμgで示す) は、有効成分の用量、すなわち、該製剤中の有効成分の量を指す。例えば、特定する用量は、抗GD2抗体を含む製剤中の抗GD2抗体の量、または、サイトカインを含む製剤中の該サイトカインの量、または、モルヒネまたは他の鎮痛剤を含む製剤中のモルヒネまたは他の鎮痛剤の量等を指していてよい。上述の例で特定するように、10mg/mの1日用量は、該患者が、1日につき、体表1mあたり10mgの抗GD2抗体 (特定の体積の、該抗GD2抗体を含む製剤中に含まれていてよい) の投与を受けることを指す。本明細書において、1mあたりの用量は、該患者の体表面積(BSA)1mあたりの用量を指す。本明細書において、kgあたりの用量は、該患者の体重1kgあたりの用量を指す。
【0044】
いくつかの態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、1日の用量1~15、1~20、1~25、1~30または1~35mg/mまたはこれらの1日の用量間の任意の範囲で投与する。特定の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、50、40、30または25mg/mより低い1日用量で投与する。特定の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、7、10、15、17.5または20mg/mまでの1日用量で投与する。一の態様において、抗体製剤を、15、17.5、20または25mg/m/日の用量で、4日間投与する。一の態様において、該抗体製剤を、50mg/m/日の用量で4日間投与する。該抗GD2抗体を、10、20、25、50、60、65、68、70、75、80、100、120、150、200、210、250または300mg/m/サイクルの用量、またはこれらの用量間の任意の範囲で投与してよい。1回の処置サイクルあたりの患者1人あたりの全用量を、予め決定した、全患者用量と定義してよい。
【0045】
いくつかの態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、1日につき5時間以上、例えば1日あたり5.75時間以上、1日あたり8時間以上、1日あたり10時間以上または1日あたり20時間まで、または1日あたり24時間まで、またはこれらの期間の任意の範囲において、例えば4日または5日以上、静脈点滴として投与する。他の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、1日につき24時間にわたる静脈内持続点滴として投与する。特定の態様において、該抗GD2抗体を、予め決定した全患者用量が投与されるまで、1日につき24時間にわたって、静脈内持続点滴として投与する。特定の態様において、該抗GD2抗体を、1日につき24時間にわたって、1日以上、例えば4、5、10、14、15日間、または21日まで、もしくはそれより長く、静脈内持続点滴として投与する。
【0046】
いくつかの態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、特定の治療効果が達成されるまで、一定の処置期間の間投与する。いくつかの態様において、該治療効果は、例えば、免疫系のバイオマーカー(例えば血液パラメーター、例えばリンパ球数および/またはNK細胞数;および/またはサイトカイン)の上昇により決定される、腫瘍に対する免疫応答の上昇であってよい。いくつかの態様において、該治療効果は、腫瘍マーカー(例えばカテコールアミン)の低下であってよい。いくつかの態様において、該治療効果は、メタヨードベンジルグアニジンシンチグラフィー (mIBG)、磁気共鳴画像法 (MRI)、X線コンピュータ断層撮影 (CT) および/または骨髄組織診断(吸引またはトレフィン生検により評価)および/またはCDCアッセイおよび/またはWBT等の方法により決定し得る。
【0047】
特定の態様において、該治療効果は、病態安定(stable disease)(すなわち、病変、腫瘍組織および/またはサイズにさらなる上昇が見られない)、部分寛解(すなわち、病変、腫瘍組織および/またはサイズの減少)、および/または完全寛解(すなわち、全ての病変および腫瘍組織の完全な退縮)として定義してよい。
【0048】
完全寛解 (CR) は、さらに次のように定義し得る:
・ 全ての測定および評価可能な疾患が完全に消失すること、
・ 新規の病変が見られないこと、
・ 疾患に関連する症状が見られないことおよび/または
・ 例えばマーカーおよび/または他の異常な臨床検査値の正常化を含む、評価できる疾患のエビデンス、が見られないこと。
【0049】
いくつかの態様において、測定可能、評価可能および評価不可能な全ての病変および部位は、ベースラインと同じ技術を用いて評価しなければならない。
【0050】
部分寛解 (PR) はさらに次のように定義し得る:
・ 少なくとも1つの測定可能な病変を有する患者にのみ当てはまること
・ 全ての測定可能な病変の垂直直径の積和のべースラインより、50%以上低下すること、
・ 評価可能な疾患の進行が見られないこと
・ 新規の病変がみられないこと。
【0051】
いくつかの態様において、全ての測定可能および評価可能な病変および部位は、ベースラインと同じ技術を用いて評価しなければならない。
【0052】
抗GD2抗体を含む製剤は、PCT/EP2012/061618またはPCT/EP2012/064970に記載のように投与してよい。例えば、抗GD2抗体を含む製剤を、1日につき24時間、静脈内持続点滴として投与してよい。したがって、一の局面において、本発明は、患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための、抗GD2抗体を含む製剤であって、抗GD2抗体を含む製剤が、1日以上、1つ、2つまたはそれ以上の処置サイクルにわたって、併用してIL-2を投与することなく投与される、製剤に関する。他の局面において、本発明は、患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための、抗GD2抗体を含む製剤であって、抗GD2抗体を含む製剤は、併用してIL-2を投与することなく、持続点滴として該患者に投与され、該抗GD2抗体は、14G2a抗体ではないか、または、該抗GD2抗体がキメラまたはヒト化抗GD2抗体である、製剤に関する。
【0053】
抗GD2抗体を含む製剤は、4、5、10、14、15または21日間連続して、またはこれらの期間の間の任意の範囲にわたって投与してよい。また、抗GD2抗体を含む製剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21日以上、連続して投与してよい。特定の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、全処置サイクルにわたって、例えば35日間投与する。いくつかの態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、全処置期間、例えば、それぞれが35日間の5回の処置サイクル、すなわち全体で180日にわたって、静脈内持続点滴として投与する。1日あたりの抗体用量は、予め決定した該抗体の患者用量が投与されるように、適宜減少させてよい。一の態様において、予め決定した、該抗体の患者用量は、100mg/m/サイクルである。一の態様において、全処置期間は、5つのサイクルを含む。したがって、この例において、全処置期間についての該抗体用量は、500mg/mである。一の態様において、全処置期間あたり500mg/mという、この全抗体用量を、180日間にわたって、すなわち、2.77mg/m/日で投与する。抗GD2抗体を含む製剤を、1日につき24時間にわたって静脈内持続点滴として投与してよい。かかる持続点滴のために、浸透圧ミニポンプを使用してよい。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、1日につき24時間、静脈内持続点滴として、4、5、10、14、15または21日間連続して、またはこれらの期間の間の任意の範囲で、上で特定する1日用量 (例えば7、10、15、17.5、20または25mg/m/日) で、例えば15、17.5、20または25mg/m/日で4日間、20mg/m/日で5日間、10mg/m/日で10日間、15mg/m/日で10日間、7mg/m/日で14日間、15mg/m/日で14日間、10mg/m/日で15日間、7mg/m/日で21日間、または10mg/m/日で21日間またはこれらの用量間の任意の範囲で投与する。特定の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、1日用量40mg/mで5日間、静脈内持続点滴として投与しない。特定の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、静脈内持続点滴として5日間、すなわち120時間の点滴として投与しない。いくつかの態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、静脈内持続点滴として、5日間より長く投与する。いくつかの態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、静脈内持続点滴として6日間以上投与する。
【0054】
一の態様において、該抗GD2抗体を含む製剤はAPN311であり、10mg/m/日の用量で10日間投与される。一の態様において、該抗GD2抗体を含む製剤はAPN311であり、10mg/m/日の用量で、10日間連続して、1、2、3、4、5もしくは6またはそれより多くの処置サイクルにわたって投与される。
【0055】
本発明によれば、該患者は、IL-2により併用処置さらない。特定の態様において、該患者は、IL-2ともGM-CSFとも併用処置さらない。特定の態様において、該患者はいずれのサイトカインによっても併用処置されない。したがって、「患者がIL-2、GM-CSFおよび/または他のサイトカインと併用して処置されない」という記載は、上述の各処置スケジュール、すなわち、IL-2を用いない、IL-2およびGM-CSFを用いない、および/またはいずれのサイトカインも用いない処置スケジュールを含む。一の態様において、該患者は、同一の処置サイクル内において、IL-2、GM-CSFおよび/または他のサイトカインにより併用処置されない。一の態様において、該患者は、同一の全処置期間内において、IL-2、GM-CSFおよび/または他のサイトカインにより併用処置されない。いくつかの態様において、該患者は、1以上の以前の処置サイクルおよび/または全処置期間において、IL-2、GM-CSFおよび/または1種以上の他のサイトカインにより処置されていてよい。いくつかの態様において、該患者は、1つ以上の以前の処置サイクルおよび/または全処置期間において、IL-2、GM-CSFおよび/または他の1種以上のサイトカインにより処置されていない。一の態様において、該抗体処置期間に、IL-2、GM-CSFおよび/または1種以上の他のサイトカインを用いた1回以上の処置期間が先行する、同時である、および/または後に続くことはない、すなわち、抗GD2抗体を含む製剤は、IL-2、GM-CSFおよびまたは1つ以上の他のサイトカインを併用して投与することなく該患者に投与される。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間が、サイトカイン(または1種以上のサイトカインを含む製剤)を用いた1回以上の処置期間を、特に同一の処置サイクル内および/または(抗体処置を含む)同一の全処置期間内に伴うことはない。例えば、該患者は、顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF)、GM-CSF、IL-2、IL-12および/またはIL-15により併用処置されない。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、IL-2を併用して投与することなく、該患者に投与される。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤は、GM-CSFを併用して投与することなく、該患者に投与される。一の態様において、IL-2および/またはGM-CSF (またはIL-2および/またはGM-CSFを含む製剤) を、抗体処置期間を含む同一の処置サイクル内で該患者に投与しない。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、IL-2および/またはGM-CSFを併用して投与することなく、該患者に投与する。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、サイトカインを併用して投与することなく、該患者に投与する。
【0056】
抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間に、レチノイド(またはレチノイドを含む製剤)を用いた1回以上の処置期間が先行しているか、同時であるか、または後に続いていてよい。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を用いる1回以上の処置期間の後に、レチノイドを用いる1回以上の処置期間が続く。レチノイドを用いるかかる1回以上の処置期間が、1回以上の抗体処置期間を含む同一の1回以上の処置サイクル内で、後に続いていてよいか、またはその後、すなわち、1回以上の抗体処置期間を含む1回以上の処置サイクルが終わった後、特に、1回以上の抗体処置期間を含む最後の処置サイクルの後、すなわち、該抗体を用いる全処置期間の最後に、続いていてよい。したがって、一の態様において、抗体処置期間とレチノイド処置期間の間に期間があり、該期間は処置を行わない期間であるか、または、1種以上の他の薬剤または処置を用いた1回以上の処置期間を含んでいてよい。
【0057】
一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を用いる1回以上の処置期間に、同じ処置サイクル内で、レチノイドを用いる1回以上の処置期間が続いていている。一の態様において、該処置サイクルは、抗GD2抗体を含む製剤を用いる少なくとも1回の処置期間および、レチノイドを用いる少なくとも1回の処置期間を含む。一の態様において、該処置サイクルは、処置を行わない1回以上の期間をさらに含んでいてよい。一の態様において、該処置サイクルは、レチノイドを用いる少なくとも1回の処置期間が後に続く、抗GD2抗体を含む製剤による少なくとも1回の処置期間を含んでいてよい。一の態様において、該処置サイクルは、抗GD2抗体を含む製剤を用いる少なくとも1回の処置期間と、レチノイドを用いる少なくとも1回の処置期間の間に、何も処置を行わない少なくとも1回の期間を含んでいてよい。
【0058】
一の態様において、レチノイドは、レチノイン酸 (RA)、例えばイソトレチノイン (cis-RA)である。レチノイドは、第一世代のレチノイド(例えばレチノール、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸、レチン-A)、イソトレチノインおよびアリトレチノイン)、第二世代レチノイド(例えばエトレチナートおよびその代謝物アシトレチン)、および/または第三世代レチノイド (例えばタザロテン、ベキサロテンおよびアダパレン) であってよい。該レチノイドは、レチノイド誘導体、特に、合成レチノイド誘導体、例えば、フェンレチニドであってもよい。先行するまたは後に続く、レチノイドによる1回以上の処置期間は、抗体および/またはIL-2(またはサイトカイン)投与を伴わない処置期間であってよい。
【0059】
該処置期間は繰り返してよい。該処置期間の後に、同じおよび/または異なる薬剤または処置による処置を行わない間隔期が続いていてよい。一の態様において、該間隔期は、いずれの処置も行わない間隔であってよい。他の態様において、該間隔は、同じ製剤または処置の投与を行わないが、他の製剤または処置をその間に投与してもよい。
【0060】
さらに、本発明の処置には、1種以上の鎮痛剤(または1種以上の鎮痛剤を含む製剤)、例えば非ステロイド抗炎症剤(NSAID、例えばインドメタシン)、および/または1種以上のオピオイド、および/または1種以上の他の鎮痛薬またはその任意の組み合わせを用いる処置が先行するかおよび/または付随していてよい。一の態様において、該鎮痛剤はオピオイド、例えばモルヒネおよび/またはモルヒネ誘導体、例えばヒドロモルホンである。他のオピオイドは、例えばトラマドール、ペチジン、コデイン、ピリトラミド、レボメサドンならびにフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニルおよびスフェンタニルである。
【0061】
上述のように、通常、抗GD2抗体は、(常用量の)1つ以上のサイトカイン、特にIL-2および/またはGM-CSFと併用して投与されている。しかし、抗体処置と通常のサイトカイン処置の組み合わせは、該抗体処置の副作用、特に疼痛を強める。したがって、1つ以上の鎮痛剤、特にモルヒネによる処置が必要であった。ここで、驚くべきことに、抗GD2抗体処置は、サイトカイン処置を行わなくても効率的であることが明らかになった。したがって、いずれのサイトカイン処置も完全に除くことにより、該疼痛副作用(および他の副作用)を有意に低下させることができ、それにより、モルヒネおよび/または他の鎮痛剤の投与も減少させることができる。本発明の製剤および方法を用いれば、用量を低下させること、投与経路を変えること(例えば静脈内点滴から経口)、鎮痛薬処置の期間を減少させることおよび/または1種以上の鎮痛薬の調製の種類を変えることが可能である。したがって、本発明により、抗GD2抗体を含む製剤の処置を受けている患者が、該処置サイクルの少なくとも一部の間、外来処置を行うことすら可能である。
【0062】
一の態様において、本発明の投与スケジュール、すなわち、IL-2、GM-CSF、および/または他のサイトカインを併用して投与することなく抗GD2抗体を投与することによって、IL-2、GM-CSFおよび/または1種以上の他のサイトカインの併用処置を含む処置スケジュールと比較して、副作用が実質的に低下する。他の態様において、疼痛の副作用が、IL-2、GM-CSFおよびまたは1種以上の他のサイトカインの併用処置を含む処置スケジュールと比較して、実質的に低下する。
【0063】
したがって、一の態様において、全処置期間内、処置サイクル内、処置サイクル内の抗体処置の間、処置サイクル内の抗体処置の日から次の抗体処置の日まで、および/または1つの処置サイクルから次の処置サイクルまでの間、1種以上の鎮痛薬、特にモルヒネの用量を低下させる。
【0064】
鎮痛剤の用量は、PCT/EP2012/061618およびPCT/EP2012/064970および本明細書に記載するように、該抗GD2抗体の長期間点滴、例えば1日あたり24時間にわたる静脈内持続点滴により、さらに低下させることができる。したがって、該抗体の持続点滴と組み合わせて、IL-2を全く用いない、特定の態様においては、GM-CSFも全く用いない、および、特定の態様においては、他のサイトカインを全く用いない本発明の処置スケジュールにおいて、鎮痛剤の用量を実質的に低下させてよい。本明細書において、「他のサイトカインを全く用いない」または「サイトカインを全く用いない」という記載は、IL-2およびGM-CSFを全く用いないこと、および、他のサイトカインも用いない、すなわち、個々の処置スケジュールにおいて、および/または規定の処置期間、例えば同一の処置サイクルおよび/または同一の全処置期間内で、サイトカインを全く用いないことを指すものとする。したがって、いくつかの態様において、IL-2を全く用いない。いくつかの態様において、IL-2およびGM-CSFを全く用いない。いくつかの態様において、サイトカインを全く用いない。したがって「IL-2を全く用いない、および特定の態様において、GM-CSFを全く用いない、および、特定の態様において他のサイトカインを全く用いない」という記載は、上述の個々の態様、すなわち、IL-2を用いない、IL-2およびGM-CSFを用いない、および/またはサイトカインを全く用いない、処置(例えば処置期間、処置サイクルおよび/または全処置期間)を指すものとする。
【0065】
1種以上の鎮痛剤を、経口投与してよい。1種以上の鎮痛薬を、静脈内点滴、特に持続静脈内点滴として1日につき24時間投与してもよい。1種以上の鎮痛剤による処置期間は、抗GD2抗体を含む製剤による処置期間に先立っていても、および/または同時であってもよい。
【0066】
いくつかの態様において、1つ以上の鎮痛剤は、例えばガバペンチンのようなGABA類似体から選択してよい。したがって、該患者は、例えば抗体処置期間を開始するよりも前に3日間、ガバペンチンで処置してもよい。
【0067】
鎮痛剤処置の次に示す例およびその用量は、常用量であって、本明細書に記載するように減量してよい。この条件下において、通常、この状況において、ガバペンチンは、1日1回、2回または3回、10mg/kg/投与の用量で経口投与する。ガバペンチンは、300mg/kg/投与までの用量で投与してよい。ガバペンチンは、250mg/5mLのガバペンチンを含む経口液剤またはカプセル剤 (100mg、300mgおよび400mg)として入手可能であり、投与してよい。ガバペンチン処置は、モルヒネおよび/他の鎮痛剤の処置の代わりに、または該処置に加えて行ってよい。さらに、該患者を、パラセタモール (10~15mg/kg/投与、4時間毎、または1日に4回、経口または静脈内)、イブプロフェン(5~10mg/kg/投与、6~12時間毎、経口)、メタミゾール(10~15mg/kg/投与、経口、4時間毎)、ジフェンヒドラミン(0.5~1mg/kg/投与、経口または静脈内)および/またはインドメタシン (例えば0.3~0.5mg/kg/投与または、25もしくは50mg/投与、経口または静脈内、6時間毎)で処置してよい。パラセタモール、イブプロフェン、メタミゾールおよび/またはインドメタシンによるかかる処置は、モルヒネおよび/またはガバペンチンおよび/または他の鎮痛剤との処置の代わりに、または該処置に加えて行ってよい。
【0068】
いくつかの態様において、モルヒネは、鎮痛薬として用いられており、場合によって1種以上の他の鎮痛薬と組み合わせてよい。例として、抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間よりも前、および/または該処置期間の間に投与する、モルヒネ常用量をいくつか表1に示す。常用量の例において、ch14.18/CHO (APN311)は、1日につき8時間の点滴として、20mg/m/日で連続して5日間、すなわち100mg/m/サイクルの用量で投与し、IL-2は、6MIU/m/日で、連続して5日間、1サイクルあたり2回 (すなわち60MIU/m/サイクル)、5サイクルにあたって皮下投与し、モルヒネ塩酸塩は、各抗体処置日 (すなわち、抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与する、処置サイクルのそれぞれの日)に、急速投与量0.05mg/kg/時間で、APN311点滴を開始する前に2時間投与し、APN311点滴の間は、点滴速度0.03mg/kg/時間で8時間投与し、間隔点滴速度0.01mg/kg/時間で、APN311処置の最初の日は14時間、耐用性を示す場合は、その後の処置日は4時間(モルヒネ処置を行わない10時間の間隔がある)投与する。必要に応じて、用量を増加させる(例えば抗体点滴間の点滴速度の上昇)および/または追加の急速投与を行う。したがって、予め規定するモルヒネ用量は、1日につき少なくとも0.38mg/kg、処置サイクル(抗体処置期間5日間を含む)につき少なくとも2mg/kgおよび、全処置期間(3回のサイクルを含む)あたり少なくとも10mg/kgであった。
【表1】
【0069】
常用量の他の例において、APN311は、10、20および30mg/m/日および50、100、150mg/m/サイクルの用量で、1日あたり8時間の点滴として、連続して5日間、3サイクルにわたって投与され、IL-2は、6MIU/m/日で、連続して5日間、1サイクルにつき2回皮下投与され (すなわち60MIU/m/サイクル)、モルヒネ塩酸塩は、各抗体処置日に、0.5~1.0mg/kg/投与の急速投与量で(抗体点滴を開始する直前)、かつ、APN311点滴の間は、0.05mg/kg/時間の速度の持続点滴で投与する。必要に応じて、該用量を増加させ (例えば、抗体点滴の間の点滴速度の上昇) かつ/または追加の急速投与を行う。したがって、予め規定したモルヒネの用量(またはモルヒネの常用量)は、1日あたり少なくとも0.9mg/kg、処置サイクル(5日間の抗体処置を含む)あたり4.5mg/kgおよび、全処置期間(3回のサイクルを含む)あたり少なくとも13.5mg/kgである。
【0070】
ch14.18および1種以上のサイトカインによる通常の処置の他の例において、モルヒネは、1.2mg/kg/時間までの点滴速度で、24時間にわたって投与されている。
【0071】
常用量のさらに他の例において、ch14.18/Sp2/0を、25mg/m/日の用量で、連続して4日間投与する。一の態様において、ch14.18/Sp2/0の各用量は、1.25mg/m/時間 x 0.5時間から開始し、次いで2.5mg/m/時間 x 0.5時間、さらに、場合によって、点滴速度を3.75mg/m/時間 x 0.5時間、次いで、耐用性を示す場合は、残りの用量について5mg/m/時間に上昇させて、5.75時間以上(最長20時間まで延長してよい)または10時間以上(最長20時間まで延長してよい)にわたって、静脈内に投与する。IL-2は、1サイクルおき(例えばサイクル2および4)に、該処置サイクルの1週目は3MIU/m/日、該処置サイクルの2週目は4.5MIU/m/日で4日間(96時間;すなわち、30MIU/m/サイクル)で、静脈内持続点滴として投与する。GM-CSFは250mcg/mの1日用量で皮下投与する。一の態様において、各処置サイクルは0日目に開始し、処置サイクルの0日目は、各サイトカインによる処置の最初の日である。全処置期間は、1、2、3、4もしくは5回またはそれ以上の処置サイクルを含んでいてよい。表2、3および4は、慣用的な処置スケジュールの例を示す。
【表2】
【0072】
かかる常用量の例において、ch14.18/Sp2/0処置は、全て5サイクルについて、28日毎に、25mg/m/日x 4日間; GM-CSFは250μg/m/日で14日間; アルデスロイキン(IL-2)は第1週については3MIU/m/日および、第2週については4.5MIU/m/日で投与される。
【表3】
【0073】
かかる常用量の例において、GM-CSFは、250μg/m/日で皮下注射として(強く推奨される)、または0日目~13日目の間の毎日2時間の静脈内点滴として(ch14.18/Sp2/0の点滴とともに毎日、抗体処置の前3日間および抗体処置後7日間)投与する。
【表4】
【0074】
アルデスロイキンサイクルの28~31日目は、処置を全く行わない。32日目に、次の処置サイクル (GM-CSFを用いる) を開始する(32日目=次のサイクルの0日目)。
【0075】
常用量の例として、各サイクルの第1週の間、アルデスロイキン (インターロイキン-2、IL-2)は、(CADD(登録商標) Ambulatory Infusion Pumpまたは類似の点滴ポンプを用いた)持続点滴によって、3MIU/m/日の用量で4日間(0~3日目)投与してよい。各サイクルの第2週の間、アルデスロイキン (IL-2) は、4.5MIU/m/日の用量で4日間(7~10日目、ch14.18/Sp2/0の点滴を伴う)投与してよい。アルデスロイキンは、5%デキストロース水溶液(必要であれば0.1%ヒト血清アルブミンを含んでいてもよい)中で携帯型点滴ポンプを介して、カテーテルを通して持続的に静脈内へ点滴してよく、全体積は、該ポンプに依存する。
【0076】
6回目の処置サイクルに、処置を行わない14日間(5回目のサイクルの24日目であり、6回目のサイクルの0日目に開始し)を追加してよく、その後に、イソトレチノインのみの投与を行う14日間が続く。
【0077】
この状況下(すなわち、上述の処置)における常用量の例において、ヒドロキシジン(1 mg/kg; 最大用量50mg) またはジフェンヒドラミン (0.5~1.0mg/kg; 最大用量 50mg)を、ch14.18/Sp2/0点滴の20分前に開始して10分間静脈内投与し; アセトアミノフェン (10mg/kg; 最大用量 650mg) を、ch14.18/Sp2/0点滴の20分前に経口投与し; かつ/または、負荷用量50mcg/kgのモルヒネ硫酸塩をch14.18/Sp2/0投与の直前に投与した後、20~50μg/kg/時間の点滴速度で、ch14.18/Sp2/0点滴が完了してから2時間の間続くように、モルヒネ硫酸塩の点滴を続ける。さらに、他の麻薬、例えばヒドロモルホンまたはフェンタニルを用いてよい。あるいは、必要であれば、リドカイン点滴を、モルヒネの静脈内急速投与と組み合わせて用いてよい。リドカイン点滴についての投与指針については次に示す:
【0078】
リドカインの投与(常用量):
a. ch14.18/Sp2/0点滴を開始する前に、30分間、通常生理食塩溶液(NS) 50cc中、2mg/kgで、リドカインを静脈内へ急速投与する;
b. ch14.18/Sp2/0点滴の開始時に、リドカインの静脈内点滴を1mg/kg/時間で開始し、ch14.18/Sp2/0点滴が完了した2時間後まで続ける;
c. 必要に応じて、2時間毎に、25~50μg/kgでモルヒネを静脈内へ急速投与してよい。
【0079】
かかる常用量の例において、ガバペンチンを負荷用量のモルヒネとともに投与することを考慮して、モルヒネ点滴/急速投与を必要に応じて行ってもよく;ガバペンチンは10 mg/kg/日の用量で開始し、臨床的な応答によって、30~60mg/kg/日まで用量を上げて設定してよい。
【0080】
かかる常用量の例において、ヒドロキシジン(またはジフェンヒドラミン) およびアセトアミノフェンの投与を、必要に応じて、静脈内または経口により、6時間毎に繰り返してよい。
【0081】
かかる常用量の例において、ch14.18/Sp2/0点滴の間、神経性疼痛を処置するために、モルヒネ硫酸の点滴速度を上昇させることによりさらなる用量のモルヒネを投与してよいが、患者を注意深く観察しなければならない。患者がモルヒネに耐用性を示し得ない場合(例えば掻痒感)、フェンタニルまたはヒドロモルホンを、モルヒネに代用してよい。あるいは、必要であれば、リドカイン点滴を、モルヒネの静脈内急速投与と組み合わせて用いてよい。
【0082】
本明細書において、「モルヒネ用量」という語は、患者の体重1kgあたりのモルヒネの量(mgまたはmcg)を指す。したがって、1日のモルヒネ用量という場合、該用量は、1日あたりの、患者の体重1kgあたりのモルヒネの量 (mgまたはmcg) であり、または、1時間あたりのモルヒネ用量という場合は、該用量は、1時間あたりの該患者の体重11kgあたりのモルヒネの量 (mgまたはmcg;またはモルヒネ点滴速度)であり、処置サイクルあたりのモルヒネ用量という場合は、処置サイクルあたりの該患者の体重1kgあたりのモルヒネの量 (mgまたはmcg) であり、または、全処置期間あたりのモルヒネ用量という場合は、該用量は、全処置期間あたりの該患者の体重1kgあたりのモルヒネの量(mgまたはmcg)である。
【0083】
いくつかの態様において、モルヒネおよび/または他の鎮痛剤を、1日の常用量で投与してよいが、投与頻度を、例えば、通常は各日投与する場合は、1日おきに低下させて投与してよい。モルヒネおよび/または他の鎮痛剤が、通常は静脈内持続点滴として数日間投与される他の例において、1日あたりの点滴時間を低下させる(非持続点滴とする)か、または、持続点滴の持続時間、すなわち、持続点滴の日数を低下させる。
【0084】
いくつかの態様において、本発明の処置サイクル(IL-2を全く用いない、および特定の態様においては、IL-2およびGM-CSFを全く用いない、および特定の態様においては、サイトカイン処置を全く行わない)における、1日以上の抗体処置日(すなわち抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与する、処置サイクルの1日)における1種以上の鎮痛剤の1日用量は、通常の処置サイクル(通常のサイトカイン処置を行う)で、1日以上の抗体投与日に投与される常用量よりも低い。
【0085】
いくつかの態様において、本発明の処置サイクル(IL-2を全く用いない、および特定の態様においては、IL-2およびGM-CSFを全く用いない、および特定の態様においては、サイトカイン処置を全く行わない)における、1日以上の鎮痛剤処置日(すなわち、1種以上の鎮痛剤、例えばモルヒネを患者に投与する処置サイクルの日であって、抗体投与の前であっても後であってもよい)における、1種以上の鎮痛剤の1日用量は、通常の処置サイクル(通常のサイトカイン処置を行う)における、1日以上の鎮痛剤処置日に投与される1日用量よりも低い。
【0086】
特定の態様において、1種以上の鎮痛剤(例えばモルヒネ)の用量 (例えば1日用量) を、長時間にわたって、例えば全処置期間内、処置サイクル内、処置サイクル内の抗体処置期間の間、処置サイクル内のある抗体または鎮痛剤による処置日から次の抗体または鎮痛剤による処置日まで、および/または1つの処置サイクルから次の処置サイクルまで、減少させる。いくつかの態様において、該鎮痛剤の用量、特にモルヒネ用量を、処置サイクル内、処置サイクル内の抗体処置期間の間、および/または、処置サイクル内のある抗体または鎮痛剤/モルヒネ処置日から次の抗体または鎮痛剤/モルヒネ処置日において、持続的に減少させる。
【0087】
いくつかの態様において、IL-2を全く用いない、および特定の態様においてはGM-CSF(およびIL-2)を全く用いない、および特定の態様においては他のサイトカインも全く用いない、本発明の点滴スケジュールにおける、1日以上の抗体投与日の間に投与されるモルヒネの1日用量および/または全ての抗体またはモルヒネ処置日のモルヒネ用量は、常用量の1種以上のサイトカインとともに該抗体を投与する間のモルヒネの1日用量より低い。特定の態様において、IL-2を全く用いない、および、特定の態様においては、GM-CSFを全く用いない、および、特定の態様においてはサイトカインを全く用いない、抗体点滴スケジュールにおいて投与される、モルヒネの1日用量またはサイクルあたりのモルヒネ用量は、常用量のサイトカインを用いる抗体点滴スケジュールにおいて投与される、または予め決定されているモルヒネ用量の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下または50%以下または40%以下または30%以下または20%以下または10%以下である。いくつかの態様において、IL-2を全く用いない、および、特定の態様においては、GM-CSFも全く用いない、および、特定の態様においては他のサイトカインも全く用いない、本発明による抗体の静脈内持続点滴において1日以上投与されるモルヒネの1日用量、および/または全ての抗体またはモルヒネ処置日のモルヒネの1日用量は、0.9、0.72、0.48、0.38、0.4375および/または0.205mg/kg/日より低い。
【0088】
いくつかの態様において、モルヒネは、該抗体を投与する日のうちの全てではない何日かのみ、例えば、IL-2を全く用いない、および、特定の態様においてはGM-CSFを全く用いない、および、特定の態様においては他のサイトカインを全く用いない、抗体投与の最初の1、2、3、4、5、6または7日間のみ投与する。いくつかの態様において、該抗体投与の1日以上または、処置サイクル全体において、モルヒネを全く投与しない。いくつかの態様において、モルヒネを、全ての処置サイクルではなく、いくつかの処置サイクルにおいてのみ投与する。
【0089】
いくつかの態様において、モルヒネ点滴速度、すなわち、IL-2を全く用いない、および特定の態様において、GM-CSFを全く用いない、および特定の態様において他のサイトカインを全く用いない、本発明による抗体の静脈内点滴の1時間以上の間に投与される、および/または、モルヒネ処置の全ての時間および日の、1時間あたりの患者の体重1kgあたりのモルヒネ量(またはモルヒネ用量)は、常用量のサイトカインを用いたスケジュールについて予め決定した標準的なモルヒネ点滴速度より低い、かつ/または、上述の常用量のサイトカインの例におけるモルヒネ点滴速度より低い。いくつかの態様において、IL-2を全く用いない、および特定の態様においてGM-CSFを全く用いない、および、特定の態様において他のサイトカインを全く用いない、本発明による該抗体の静脈内点滴において1日以上の間投与されるモルヒネ点滴速度および/または全ての抗体またはモルヒネ処置日のモルヒネ点滴速度は、50、40、30、20、10mcg/kg/時間および/または5mcg/kg/時間より低く、かつ/またはこれらの点滴速度間の任意の範囲よりも低い。いくつかの態様において、IL-2を全く用いない、および特定の態様においてGM-CSFを全く用いない、および、特定の態様において他のサイトカインを全く用いない、本発明による、該抗体の静脈内点滴の1日以上の間に投与されるモルヒネ点滴速度および/または全ての抗体またはモルヒネ処置日のモルヒネ点滴速度は、最初の処置サイクルおよび、場合によってはその後の処置サイクルにおいて、50mcg/kg/時間より低く、2回目の処置サイクルおよび場合によってはその後の処置サイクルにおいて、40mcg/kg/時間より低く、3回目の処置サイクルおよび場合によってはその後の処置サイクルにおいては30mcg/kg/時間より低く、4回目の処置サイクルおよび場合によってはその後の処置サイクルにおいては20mcg/kg/時間より低く、5回目の処置サイクルおよび場合によってはその後の処置サイクルにおいては、10mcg/kg/時間よりも低い。
【0090】
特定の態様において、IL-2を全く用いない、および特定の態様においてGM-CSFを全く用いない、および、特定の態様において他のサイトカインを全く用いない、本発明による、該抗体の静脈内点滴を含む1回以上の処置サイクルの間に投与される、処置サイクルあたりのモルヒネ用量は、通常のサイトカイン処置を用いた点滴スケジュールにおける処置サイクルあたりのモルヒネ用量よりも低く、例えば1回目の処置サイクルにおいては90%以下、80%以下、70%以下であり; 2回目の処置サイクルにおいては80%以下、70%以下、60%以下であり; 3回目の処置サイクルにおいては60%以下、50%以下、40%以下であり、4回目の処置サイクルにおいては45%以下、35%以下、25%以下; かつ/または5回目の処置サイクルにおいては30%以下、20%以下、10%以下である。特定の態様において、IL-2を全く用いない、および、特定の態様においてGM-CSFを全く用いない、および、特定の態様において他のサイトカインを全く用いない、本発明による抗体の静脈内点滴を含む、1回以上の処置サイクルの間に投与される、2回目および任意のそれ以降の処置サイクルの、処置サイクルあたりのモルヒネ用量は、常用量のサイトカインを用いた抗体点滴スケジュールにおける処置サイクルあたりのモルヒネ用量よりも低い。特定の態様において、該処置サイクルおよび任意のそれ以降の処置サイクルのモルヒネ用量および/または全処置期間のモルヒネ用量は、通常の点滴スケジュールにおける、処置サイクルあたりのモルヒネ用量より低い。いくつかの態様において、IL-2を全く用いない、および特定の態様においてGM-CSFを全く用いない、および、特定の態様において他のサイトカインを全く用いない、本発明による抗体の静脈内点滴を含む、1回以上の処置サイクルの間に投与される処置サイクルあたりのモルヒネ用量は、7.2、4.8、4.5、2、1.75および/または0.82mg/kg/サイクルより低いか、またはこれらの用量の間の任意の範囲よりも低い。
【0091】
いくつかの態様において、本発明の点滴スケジュール(すなわち、IL-2を全く用いない、および、特定の態様においてGM-CSFを全く用いない、および、特定の態様において他のサイトカインを全く用いない、本発明による該抗体の静脈内点滴の適用)における全処置期間のモルヒネ用量は、通常の点滴スケジュール(すなわち、常用量のサイトカインを用いた抗体点滴スケジュール)における、全処置期間のモルヒネ用量より低い。一の態様において、本発明の点滴スケジュールにおける全処置期間のモルヒネ用量は、通常の点滴スケジュールにおける全処置期間のモルヒネ用量の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、または50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下であり、かつ/または、これらの用量の間の任意の範囲よりも低い。いくつかの態様において、サイトカイン処置を行わない本発明の点滴スケジュールにおける全処置期間のモルヒネ用量は、43.2、28.8、13.5、10、8.75および/または4.1mg/kg/全処置期間より低く、かつ/または、これらの用量の間のいずれの範囲よりも低い。
【0092】
いくつかの態様において、本明細書において本発明の点滴スケジュールにおけるモルヒネ用量と比較する、通常の点滴スケジュールにおける参照モルヒネ用量と称する用量は、該スケジュールにおける標準的なモルヒネ用量または、該スケジュールについて(例えば臨床試験プロトコールに特定されているように)予め決定したモルヒネ用量を指す。いくつかの態様において、本明細書における参照モルヒネ用量は、本発明の、および/または通常の、抗体点滴スケジュールの処置サイクルにおける抗GD2抗体を含む製剤による処置の最初の日に投与されるモルヒネ用量を指し、「開始モルヒネ用量」と称する。
【0093】
したがって、本明細書において、「参照モルヒネ用量」は、本発明のものとは異なる処置スケジュール(例えば、サイトカイン処置を伴う)のモルヒネ用量および/または(例えばサイトカイン処置を伴うまたは伴わない処置スケジュールの)開始モルヒネ用量を含むものとし;IL-2を全く用いない、および特定の態様においてIL-2およびGM-CSFを全く用いない、および特定の態様においてはサイトカインを全く用いない、本発明による抗体点滴スケジュールにおける他のモルヒネ用量と比較した、該モルヒネ用量の例を全て含むものとする。
【0094】
特定の態様において、該抗体の投与期間の間の点滴1時間あたりの参照モルヒネ用量、すなわち、参照点滴速度は、50mcg/kg/時間である。特定の態様において、該抗体の投与期間の点滴1時間あたりの参照モルヒネ用量、すなわち参照点滴速度は、30mcg/kg/時間である。特定の態様において、参照モルヒネ用量は50、40、30および/または20mcg/kg/時間である。特定の態様において、参照モルヒネ用量は、0.9、0.72、0.48、0.38、0.4375および/または0.205mg/kg/日である。特定の態様において、参照モルヒネ用量は、7.2、4.8、4.5、2、1.75および/または0.82mg/kg/サイクルである。特定の態様において、参照モルヒネ用量は、43.2、28.8、13.5、10、8.75、および/または4.1mg/kg/全処置期間である。特定の態様において、参照インドメタシン用量は、経口または静脈内、6時間毎で、0.3~0.5mg/kg/投与または、25もしくは50mg/投与である。いくつかの態様において、本発明の点滴スケジュール(サイトカイン処置を伴わない)におけるモルヒネ用量と比較される、通常の点滴スケジュール(サイトカイン処置を伴う)における上述の参照モルヒネ用量は、患者に実際に投与されたモルヒネ用量 (例えば、同じ状況で処置された群の全ての処置された患者に投与されたモルヒネ用量の各平均)を指す。
【0095】
本明細書において、通常の点滴スケジュールと比較して、本発明の点滴スケジュールにおけるモルヒネ用量と称する用量は、かかる本発明のスケジュールについての低減した標準モルヒネ用量、または、該スケジュールについて(例えば臨床試験プロトコールに特定されているように)予め決定した低減したモルヒネ用量を指していてよい。特定の態様において、本発明のスケジュールにおける、点滴1時間あたりの低下したモルヒネ用量、すなわち、IL-2を全く用いない、および、特定の態様においてはGM-CSFを全く用いない、および特定の態様においては、サイトカインを全く用いない、本発明の抗体投与の1時間以上または1日以上の間の点滴速度は、50mcg/kg/時間より低い。特定の態様において、本発明の抗体投与の1時間以上または1日以上の間の点滴1時間あたりのモルヒネ用量、すなわち点滴速度は、30mcg/kg/時間より低い。いくつかの態様において、本明細書において通常の点滴スケジュールにおけるモルヒネ用量と比較される、上述の本発明の点滴スケジュールのモルヒネ用量は、患者に実際に投与されたモルヒネ用量(例えば、同じ状況で処置される群の全ての処置された患者に投与されたモルヒネ用量の各平均)を指す。
【0096】
一般的に、個々の鎮痛剤の用量は、個々の患者の疼痛耐性により変わり得る。投与は、最適の鎮痛を得るために適応させてよい。
【0097】
抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間は、レチノイドを用いる1回以上の処置期間、鎮痛剤を用いる1回以上の処置期間、他の薬剤または処置(サイトカイン処置を除く)を用いる1回以上の処置期間および/または処置を行わない1回以上の処置期間と組み合わせてよい。一の態様において、1回以上のかかる他の処置期間と組み合わせた、抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間が、1回の処置サイクルとなる。したがって、一の態様において、処置サイクルは、抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間を含み、場合によって、他の薬剤、剤および/または処置(サイトカイン処置を除く)を用いる処置期間を含んでいてよい。1回の処置サイクル内のかかる処置期間は、本明細書にさらに記載するように、部分的および/または全体的に重複していてもよい。
【0098】
一の態様において、該抗体により処置される患者は、レチノイド(例えばイソトレチノイン)によっても処置され、場合によっては、モルヒネおよび/または1種以上のモルヒネ誘導体および/または1種以上の他の鎮痛剤により処置されてよい。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤による処置期間に、1種以上のサイトカインによる処置期間が先行することおよび/または後に続くことはない。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤による処置期間は、モルヒネおよび/または1種以上の鎮痛剤による処置期間を伴うことはない。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間は、1種以上のサイトカインを用いる処置期間を伴うことはない。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を用いる処置期間に、1種以上のサイトカインを用いる処置期間が先行することおよび/または後に続くことはなく、1種以上のサイトカインを用いる処置期間を同時に伴うこともない。
【0099】
一の態様において、1回の処置サイクルは、28~49日間、例えば、28、35、42または49日間もしくはこれらの期間の間の任意の範囲を含む。該処置サイクルは、該患者が該サイクルに含まれる処置、例えば、抗GD2抗体を含む製剤および/または任意の他の製剤または処置(サイトカイン処置は除く)を初めて受けた日に開始する(0日目または1日目と指定してよい)。
【0100】
該抗GD2抗体を用いる処置期間に、レチノイド(例えばイソトレチノイン)による処置期間が、直接的もしくは、1日以上の処置を行わない間隔期、例えば、1、2、3、4または5日間の処置を行わない間隔期を伴って間接的に、先行するか、同時であるか、および/または、後に続いてよい。一の態様において、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を、1日2回、160mg/m/日の用量で(等しい用量で、すなわち2 x 80mg/mで)経口投与する。一の態様において、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を14日間、例えば処置サイクルの1日目~14日目、または該処置サイクルの19日目~32日目に投与する。レチノイド(例えばイソトレチノイン)を用いる処置期間の後に、処置を行わない1日以上の間隔期、例えば処置を行わない1、2、3、4または5日間の間隔期が続いてよい。
【0101】
一の態様において、処置サイクルは、レチノイド(例えばイソトレチノイン)による14日間、例えば該処置サイクルの1~14日目における1回の処置期間、それに続く、処置を行わない7日間(処置サイクルの15~21日間)、および該抗GD2抗体を用いた5日間、例えば該処置サイクルの22~26日目の処置期間 (例えば、100mg/m/サイクルの用量を投与するために、8時間にわたって20mg/m/日で点滴する)を、次のサイクルが、次の処置サイクルの1日目となる29日目に開始するよりも前に含む。他の態様において、該処置サイクルは、例えば処置サイクルの1~14日目の、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を用いた14日間の処置期間を1回、それに続く、該抗GD2抗体を用いた5日間、例えば処置サイクルの22~28日目における1回の処置期間(例えば、100mg/m/サイクルの用量を投与するために、20mg/m/日で点滴する)を、次の処置サイクルの1日目となる、29日目に次のサイクルが開始するより前に含む。
【0102】
一の態様において、該処置サイクルは、該抗GD2抗体を用いた10日間、例えば処置サイクルの8~17日目における1回の処置期間(例えば100または150mg/m/サイクルの用量を投与するために、10または15mg/m/日で用いる)および、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を用いた14日間、例えば処置サイクルの19~32日目における1回の処置期間、それに続く、処置を行わない3日間を、2回目のサイクルの1日目となる36日目に次のサイクルが開始するよりも前に含む。
【0103】
一の態様において、該処置サイクルは、該抗GD2抗体を用いた14日間、例えば、該処置サイクルの8~21日目における、1回の処置期間 (例えば、100または210 mg/m/サイクルの用量を投与するために、7または15mg/m/日を用いる)、および、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を用いた、14日間、例えば処置サイクルの26~39日目における、1回の処置期間、および、それに続く、処置を行わない3日間を、2回目の処置サイクルの1日目となる43日目に次のサイクルが開始するよりも前に含む。
【0104】
一の態様において、該処置サイクルは、該抗GD2抗体を用いた15日間、例えば処置サイクルの8~22日における、1回の処置期間(例えば、150mg/m/サイクルの用量を投与するために、10mg/m/日を用いる)および、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を用いた、14日間、例えば処置サイクルの8~22日目における1回の処置期間および、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を用いた、14日間、例えば処置サイクルの26~39日目における1回の処置期間、それに続く、処置を行わない3日間を、2回目の処置サイクルの1日目となる43日目に、次のサイクルが開始するよりも前に含む。
【0105】
一の態様において、該処置サイクルは、該抗GD2抗体を用いた21日間、例えば処置サイクルの8~28日目における、1回の処置期間 (例えば、150または210mg/m/サイクルの用量を投与するために7または10mg/m/日を用いる)および、レチノイド(例えばイソトレチノイン)を用いた、14日間、例えば処置サイクルの33~46日目における、1回の処置期間、それに続く、処置を行わない3日間を、2回目の処置サイクルの1日目となる50日目に、次のサイクルが開始するよりも前に含む。
【0106】
一の態様において、該処置サイクルは、該抗GD2抗体 (例えばch14.18/Sp2/0)を含む製剤を用いた4日間、例えば0日に開始する24日間の処置サイクルの3~6日目、または0日目に開始する32日間の処置サイクルの7~10日目における、25、20、17.5または15mg/m/日の用量で投与する、1回の処置期間; RA、例えばイソトレチノインを用いた、例えば0日目に開始する処置サイクルの10~23日目、または、0日目に開始する処置サイクルの14~27日目における、1回の処置期間を含む。一の態様において、処置スケジュールは、表2、3および/または4で特定するとおりであるが、IL-2を全く用いず、および、特定の態様においては、IL-2およびGM-CSFを全く用いず、および、特定の態様においては、サイトカイン投与を全く用いない。したがって、一の態様において、該処置スケジュールは、表2、3および/または4で特定するとおりであるが、サイトカインを全く用いない。
【0107】
該処置サイクルを、同じ内容で、または、修正した形態で、例えば、異なる用量もしくはスケジュールで、または、異なる追加的な処置(例えば1以上の他の鎮痛剤を用いる)を用いて繰り返してよい。したがって、全処置期間 (例えば、引き続く全ての処置サイクルまたは、全ての連続的な処置期間を含む期間) は、少なくとも1、または2以上のサイクルまたは10以上のサイクルを含んでいてよい。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、2回以上の処置サイクルにおいて、該患者に投与する。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、2回以上の処置サイクルにおいて該患者に持続点滴として投与する。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、IL-2を併用として投与することなく、2回以上の処置サイクルにおいて持続点滴として該患者に投与する。一の態様において、抗GD2抗体を含む製剤を、IL-2を併用として投与することなく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20以上のサイクルにおいて、持続点滴として該患者に投与する。一の態様において、全処置期間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20以上のサイクルを含む。全処置期間は、20まで、またはそれより多い処置サイクルを含んでいてもよい。上述するように、処置サイクルは、処置を行わない期間(患者に対して何の処置も行わない、すなわち、抗体、サイトカイン、他の薬剤を全く投与しない間隔期)を含んでいてよい。したがって、本明細書において、全処置期間は、処置サイクル内に、処置を行わない該間隔期を含んでいてもよい。
【0108】
一の態様において、継続的な処置期間全体が、少なくとも5回または6回の処置サイクルを含むように、上記で特定した35、42または49日間の処置サイクルを、少なくとも4回または5回繰り返す。
【0109】
1種以上のサイトカインを用いない抗体処置の効果を、補体依存性細胞溶解(CDC) アッセイまたは全血試験(WBT)により決定し得る。WBTは、標的細胞または標的成分 (すなわち、細胞、リポソームまたは溶解する他の細胞様コンパートメント) を、適当なように抗凝固処理した、患者由来の全血と接触させるアッセイである。CDCアッセイは、例えば当該分野で公知の標準的なCDCアッセイ(例えば、Indusogie et al., J Immunol 2000; 164(8):4178-84; Zeng et al. Molecular Immunology 2005; 42(11):1311-9;または国際公開第2005/070967号に記載)であってよい。CDCアッセイおよび/またはWBTは、GD2陽性標的細胞、例えば、処置するGD2陽性がんの腫瘍細胞株を用いて行ってよい。例えば、処置する患者が神経芽細胞腫に罹患している場合、該細胞株は神経芽細胞腫細胞株、例えばLAN-1 ヒト神経芽細胞腫細胞であってよい。他の例において、処置をする患者が黒色腫に罹患している場合、該細胞株は黒色腫細胞株、例えばM21ヒト黒色腫細胞であってよい。さらに他の例において、CDCアッセイおよび/またはWBTの標的細胞は、該患者から得た腫瘍細胞、すなわち、該患者の自家腫瘍細胞である。他の態様において、CDCアッセイおよび/またはWBTの標的成分は、表面にGD2を提示するリポソームである。標的細胞または標的成分を、シグナル伝達成分、例えば放射活性成分、例えば51Cr、または蛍光成分、例えばカルセインで標識する。シグナル伝達成分は、該標的細胞または標的成分に含まれる、すなわち、標的細胞または標的成分の内側にあり(例えば、シグナル伝達成分を充填し、表面にGD2を提示するリポソーム)、標的細胞または標的成分の溶解時に放出される。したがって、シグナル伝達成分により、該アッセイの計測値(readout)が得られる。シグナル伝達化合物を充填した標的細胞または成分を、全血、血清または血漿と特定の比率で接触させる。該全血、血漿または血清は、CDCまたはWBTのために、試料に添加するより前に、例えば1:2以上、例えば1:4、1:5または1:10、またはこれらの比率の間の任意の範囲に希釈してよい。しかし、希釈せずに試料に添加してもよい。CDCまたはWBT試料中の全血、血漿または血清の最終濃度は、例えば、10~50%の範囲にあってよい。標的細胞または標的成分の溶解は、該シグナル伝達成分の放出によって、シンチレーションカウンターまたは分光々度法により測定し得る。例えば、該標的細胞または標的成分の溶解を、上清に放出された51Crの量を、シンチレーションカウンターによって決定することにより測定し得る。溶解パーセンテージは、以下の等式により決定し得る:
100 x (試験における放出-自発的な放出)/(最大放出-自発的な放出)。
【0110】
CDCアッセイについては、細胞溶解成分(またはエフェクター成分)は、患者または、補体系成分を含む、ドナーより得た、血清または適当に抗凝固処理を行った血漿より得る。WBTについては、細胞溶解成分 (またはエフェクター成分) は、該患者または、補体系成分ならびに全ての細胞成分ならびに、標的細胞溶解に関連があり得る、全血に含まれる任意のさらなる成分ならびに全ての成分の相互作用(例えば補体活性化は、特定のエフェクター細胞、例えば顆粒球を活性化させることが知られている)を含むドナーより得られる、適当に抗凝固処理を行った全血より得る。CDCおよび/またはWBTのために、血清、血漿または全血を標的細胞または標的成分に異なる希釈率で添加してよい。
【0111】
さらに、1つ以上のCDCアッセイおよび/またはWBTの試料に、例えば標準曲線の作製のために、異なる濃度の抗GD2抗体を添加してよい。
【0112】
他の態様において、抗GD2抗体の可変ドメインを認識する、1種以上の抗イディオタイプ (抗id) 抗GD2抗体を、例えば陰性対照として該抗体により媒介される標的細胞の溶解を阻害するために、または、該アッセイの特異性および、抗id抗体を添加せずに測定した標的細胞溶解が、抗体に媒介されるか、または抗体依存的であることを示すために試料に添加してよい。
【0113】
特定の態様において、1日以上の最初の抗体処置日後の(抗体処置前の細胞溶解レベルと比較した)細胞溶解のレベルの上昇は、処置サイクル全体を通して維持される。いくつかの態様において、該細胞溶解レベルの上昇は、全処置期間、すなわち、該患者が抗GD2抗体を含む製剤により処置されていない期間、すなわち、抗GD2抗体を含む製剤による処置期間の間の間隔期 (間隔期がある場合、すなわち、該患者が抗GD2抗体を含む製剤で、処置期間全体にわたって連続的に処置されていない場合) においても、維持される。
【0114】
一の態様において、本発明により処置される患者の血液試料の細胞溶解のレベル (例えばCDCアッセイまたはWBTで測定される、標的細胞溶解のレベル)は、該抗体を含む製剤による最初の処置期間の前の細胞溶解レベルと比較して、最初の抗体処置期間の最後から、最後の処置サイクルの最後までの期間全体にわたって、すなわち、抗体処置期間の間においても、上昇している。一の態様において、細胞溶解のレベルは、1回目の抗体処置期間の最後から、最後の処置サイクルの最後までの期間全体にわたって、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%であるか、またはこれらのレベルの間の任意の範囲にある。一の態様において、該抗GD2抗体による1回目、2回目、3回目、4回目、5回目、6回目、7回目、8回目、9回目および/または10回目の処置期間の後の細胞溶解レベルは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%であるか、または、これらのレベルの間の任意の範囲にある。一の態様において、該抗GD2抗体による2回目、3回目、4回目、5回目、6回目、7回目、8回目、9回目および/または10回目の処置期間の前の細胞溶解レベルは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%であるか、または、これらのレベルの間の任意の範囲にある。
【実施例
【0115】
実施例1: APN311配列および関連データ
APN311配列データ
【表5】
【0116】
ヌクレオチド配列 (cDNA、リーダーを含む)
「TAG」は「停止コドン」として機能するため、ペプチド配列に翻訳されない。
【0117】
軽鎖 (配列番号:1):
【化1】
【0118】
重鎖 (配列番号2):
【化2】
【0119】
ペプチド配列 (シグナルペプチドを含む)
該シグナルペプチドは、翻訳後プロセシングの間に切り離され、それ以降は最終組換え蛋白質の一部ではない。
【0120】
軽鎖 (配列番号3):
【化3】
【0121】
重鎖 (配列番号4):
【化4】
【0122】
ch14.18/CHO (APN311)抗体の2つのGMPを遵守したバッチを作製した。作製した該薬剤のこれらの2つのバッチは、ロットT651204-A (4.3ml (4.6mg/ml)抗体を含む)およびロットT900310-A (4.5ml (4.5mg/ml)抗体を含む)である。APN311モノクローナル抗体バルク製剤は、静脈内点滴の調製のための濃縮液として製造する。
【表6】
【0123】
製造指針
抗体は無菌条件下で調製しなければならない。ch14.18/CHO抗体(APN311)の適当な体積を、バイアルから取り出さなければならない。抗体溶液を患者に注射する前に、(いくつかの施設が通常行っているように)点滴の間にインラインフィルターを用いるか、または、該溶液を粒子フィルター(例えばNr. MF1830フィルター、Impromediform, Germany)を用いることによって、ろ過(0.2~1.2μm)することが推奨される。該体積の抗体を、0.9% NaClおよび1%ヒト血清アルブミン(HSA)、例えば0.9% NaCl 100mlおよび20%ヒト血清アルブミン 5mlを含む点滴バッグに添加する。
【0124】
希釈するch14.18/CHO (APN311) の量の算出
投与するch14.18/CHO (APN311) の量は次のように算出する:
用量: 10mg/m/日、8~17日目、24時間点滴として
計算例: 患者の体表面積 (BSA)が0.7である場合、該患者は、1日あたり7mg (10 x 0.7)または、10日の処置日(1サイクル)につき70mgを必要とする。
【0125】
実施例2: Yu et al. 2010, NEJM (上記)のデータと比較する、IL-2を用いず (および、他のサイトカインを用いず) APN311で処置した患者
この実施例の基礎となるデータは、SIOPEN(SIOP-Europe)のハイリスク神経芽細胞腫試験(High Risk Neuroblastoma Study) 1.5、EudraCT number 2006-001489-17において作製された。骨髄破壊療法 (MAT) および自家幹細胞による救済 (ASCR)および、場合によっては、他の処置、例えば放射線照射、他の化学療法、外科手術等も受けた後のハイリスク神経芽細胞腫の患者が、28日間のサイクルで、8時間の静脈内点滴として5日間連続して(該処置サイクルの22~26日目に)投与される、20mg/m/日のch14.18/CHOの投与を5サイクルまで受けた。これは、全用量100mg/m/サイクルのch14.18/CHOに相当する。cis-RAを、処置サイクルの1~14日目に、160mg/m/日の用量で1日2回 (1日につき、2つの等しい用量、すなわち2 x 80mg/mで)経口投与した。一群では、処置サイクルの間、および処置期間全体にわたって、IL-2を全く投与しなかった。他の群の患者は、処置サイクルの15~19日目および、22~26日目に、6 x 10IU/m/日の用量のIL-2の投与を受けた。該患者は、6回の処置サイクルで処置を受け、ここで、上述の1~5回目の処置サイクルおよび6回目の処置サイクルは、イソトレチノインのみの処置期間(抗体およびIL-2を全く投与しない)を含んでいた。
【0126】
無再発生存率および全生存率を解析した。また、抗体処置の開始時に完全寛解者であった患者のサブグループ(適用したいずれの検査においてもエビデンスが見られない)においても、EFSおよびOSを解析した。このサブグループのEFSおよびOSデータを、Yu et al. (NEJM 2010、上記)に記載されているように、抗体、IL-2、GM-CSFおよびイソトレチノイン(cis-RA)を用いた処置スケジュールのEFSおよびOSデータと比較し、表7に記載する。
【0127】
Yu et al.に記載の患者は、4日間連続して、25mg/m/日の用量で投与されるch14.18/Sp2/0により処置を受けており、各用量のch14.18/Sp2/0を、5.75時間または10時間 (予測される毒性について、20時間まで延長してもよい)にわたって、静脈内点滴する。IL-2を、1サイクルおき (例えばサイクル2および4)に、持続静脈内点滴として、処置サイクルの第1週には、3MIU/m/日および、処置サイクルの2週目には4.5MIU/m/日で、4日間 (96時間)にわたって投与する (すなわち30MIU/m/サイクル)。GM-CSFを、1日用量250mcg/mで14日間 (0日目から13日目まで)皮下投与する。全処置期間は、5回の処置サイクルを含む。各処置スケジュールについては、表2、3および4も参照のこと。本明細書において、比較のために図2および3において示す、Yu et al.のEFSおよびOSのデータは、上述の処置の完全寛解者のみを含む。したがって、本発明の処置に対する完全寛解者のサブグループのみを直接比較に用いた。
【表7】
【0128】
結果を(Yu et al.との比較とともに)図1、2および3および、(毒性についてのさらなる詳細、すなわち観察される有害作用または副作用について) 図4~15にも示す。これらのデータによれば、IL-2は、抗GD2抗体処置の有効性に寄与しない。しかし、IL-2の併用処置は、実質的に副作用および毒性を増大させる。免疫療法の開始時における完全なレスポンダーのAPN311+cis-RA処置により、NEJM 2010 (Yu et al. 2010、上記)の試験におけるch14.18/Sp2-0+IL2+GM-CSF+cis-RA群でみられるのと同等の、2年無再発生存率および全生存率ならびに全生存曲線が得られる。
【0129】
このことにより、IL2およびGM-CSFがともに、NEJM 2010に記載の組合せ処置の有効性レベルの達成に必要ではないことが示される。
【0130】
APN311+cis-RAについてのEFSおよびOS(免疫療法の開始時における完全寛解者)はともに、cis-RAのみの投与を受けたNEJM 2010の患者のEFSおよびOSと比較して改善している (2y EFS: 70% 対 46%; 2y OS: 81% 対 75%; 表7も参照のこと)。これは、APN311単剤の有効性を示す。
【0131】
したがって、リスクおよび利点の全体的な評価において、免疫療法の開始時の完全なレスポンダーにおけるAPN311+cis-RAは、特に副作用プロファイルの実質的な低下および、IL2およびGM-CSFを除いたことによる処置の複雑さの低下ならびに、EFSおよびOSについて、類似の臨床有効性が示されることにより、NEJM 2010に記載の4成分の免疫療法よりもはるかに優位であり得ると結論付けられる。
【0132】
実施例3: 抗体で処置した神経芽細胞腫患者のCDCおよびWBTアッセイ
神経芽細胞腫患者を、持続点滴スケジュールにおいてAPN311で処置した、すなわち、該患者は、持続点滴として、1日あたり24時間、連続して10日間 (処置サイクルの1日目~10日目)、10mg/m/日の用量で、連続して6サイクルにわたって該抗体の投与を受けた。各処置サイクルは35日間を含んでいた。各処置サイクルの間および、かかる6回の連続的なサイクルの全処置期間の間、該患者は、抗体処置のみを受け、いずれのサイトカインでもレチノイドでも処置されなかった。
【0133】
血液試料は、指定のタイムポイントにおいて該患者から得、実施例4および5に記載するように、CDCアッセイおよびWBTで解析した。結果を図16に示す。図16は、サイトカイン処置を全く伴わない抗体処置が、腫瘍細胞溶解レベルの上昇を引き起こすことを示す。これらの腫瘍細胞溶解のレベルは、抗体およびIL-2で処置した患者の該レベルと同等である (1人の代表的な患者を図17に示す)。図17に示す患者を、図16に示す患者と同じ処置スケジュールにより処置したが、さらに、1~5日目および8~12日目に、6 x 10 IU/m/日の用量の皮下投与のIL-2で処置を行った。
【0134】
図16Bに特に示すように、全血試験(WBT)における、レベルが上昇した標的細胞溶解は、全処置期間における、患者が抗GD2抗体を含む製剤で処置されていない期間、すなわち、抗GD2抗体を含む製剤による処置期間の間の間隔期においても維持されている。
【0135】
実施例4: CDCアッセイ法
CDC (補体依存性細胞傷害)の原理
APN301またはAPN311の存在下における正常なヒト血清または血漿の、またはこれらの抗体のうちの1つを点滴した後の患者の血清または血漿の、GD2抗原陽性LAN-1神経芽細胞腫がん細胞株(標的細胞)に対する、腫瘍細胞傷害性の誘発を、51クロム放出アッセイにより決定した。標的細胞は、細胞膜を透過し、還元されたCr-III価の形態で細胞質蛋白質に結合することにより、インタクトな細胞から漏出することがないNa 51Cr(VI)Oとともにインキュベーションした。これらの細胞を血清または血漿および抗体または、患者の血清または血漿とともにインキュベーションした後に溶解させるときに、試験試料中の溶解能に依存して、放射活性が上清中に放出される。
【0136】
自発的なバックグラウンド溶解および界面活性剤による全溶解 (達成可能な最大の細胞溶解または、可能な最大の標的細胞溶解) を、個々の試験において決定した。自発的な溶解を引いた後、試験試料により誘発された溶解を、全溶解の%として算出した。
【0137】
血清または血漿のサンプリング:
正常なヒトドナーまたは患者由来の全血を、血漿についてはヘパリン処置したバキュテナーバイアル、血清については血清凝固バイアルを用いてサンプリングした。バイアルは、2000gで20分間遠心分離させた。上清の血漿または血清を、アッセイに即時使用しても、または-20℃で保存してもよい (融解し、再凍結することはできない)。
【0138】
標的細胞の51Crによる標識:
LAN-1細胞を、10%熱不活化FCSを含むRPMI 1640中で培養した。アッセイの前日に、該細胞を新しいフラスコおよび新しい培地中に移した。該アッセイは、1ウェルあたり800nCi 51Crの活性を有する、4x10個/ウェルの標識細胞を用いて、96ウェル平底細胞培養プレートで行った。必要な量の細胞を培養フラスコから集め、懸濁液を遠心分離して、0,1% EDTAおよび1% FCSを含むPBS def. 1mlに再懸濁した。算出した体積の51Cr溶液を添加し、細胞を37℃および5% CO下で、穏やかにチューブを回転させながら90分間インキュベーションした。
【0139】
次いで、該細胞懸濁液を、細胞培養培地で2回洗浄し、細胞外部の放射活性を除いた。この培地はさらに、100U/ml ペニシリンGおよび100μg/ml 硫酸ストレプトマイシンを含んでいた。洗浄工程の後、標識細胞のペレットを、所望の濃度である4x10個/mlに再懸濁した。
【0140】
アッセイ手法:
抗体の細胞溶解能を評価するために、次のものをピペットで取った:
試料(抗体希釈液) 50μl
1:4に前希釈した正常なヒト血清または血漿 100μl
51Cr標識細胞懸濁液(4x10/ml) 100μl
【0141】
患者の血漿または血清の細胞障害能の評価のために、次のものをピペットで取った:
培地 50μl
1:4に前希釈した患者の血漿または血清 100μl
51Cr標識した細胞懸濁液(4x10/mL) 100μl
【0142】
CDCのためのアッセイプレートを、37℃、5% CO下で、COインキュベーター内で4時間インキュベーションするか、またはWBTと直接比較するときは20時間インキュベーションした。
【0143】
さらに、各血液試料のアリコートを、モノクローナルマウス抗ch14.18抗体(抗イディオタイプ抗体)であるガングリジオマブ(ganglidiomab)とともに事前にインキュベーションした後、さらに上述のように処理する。ガングリジオマブは本抗体の患者への投与後に血液試料中に存在する該抗体に特異的に結合する。それにより、該抗イディオタイプ抗体は、血液細胞(WBT)および/または血漿成分(CDC)との組み合わせで、本抗体の腫瘍標的細胞の溶解能を阻害する。残存する溶解は、抗体を介さない効果であると決定し得る。
【0144】
その後、各ウェルの上清を、吸収カートリッジおよび収集プレスを備えた収集フレーム(skatron)を用いて収集する。細胞上清に浸したこれらのカートリッジを、γカウンターの計数バイアル中に移す。放射活性は、標識標的細胞の損傷後の51クロムの放出に比例し、全ての試料から測定し、カウント毎分(cpm)で表す。結果は、全試料の値から自発的な溶解のcpmを引き、界面活性剤を用いた達成可能な最大の溶解のcpmを100%としてそれに対する溶解%として算出する。
【数1】
【0145】
上述のCDCアッセイ法を、図16Aに示す結果を得るために用いた。
【0146】
実施例5: WBT法
WBT (全血試験)の原理:
APN301またはAPN311の存在下における正常なヒト全血の、または、これらの抗体の1つを点滴した後の患者の全血の、GD2抗原陽性LAN-1 神経芽細胞腫がん細胞株 (標的細胞)に対する細胞傷害性の誘発を51クロム放出アッセイにおいて決定した。
【0147】
標的細胞は、細胞膜を透過し、還元されたCr-III価の形態で細胞質蛋白質に結合することにより、インタクトな細胞から漏出することがないNa 51Cr(VI)Oとともにインキュベーションした。これらの細胞を全血および、抗体または、患者の全血とともにインキュベーションした後に溶解させるときに、試験試料中の溶解能に依存して、放射活性が上清中に放出される。
【0148】
自発的なバックグラウンド溶解および界面活性剤による全溶解 (達成可能な最大の細胞溶解または、可能な最大の標的細胞溶解) を、個々の試験において決定した。自発的な溶解を引いた後、試験試料により誘発された溶解を、全溶解の%として算出した。
【0149】
血液サンプリング:
正常なヒトドナーまたは患者由来の全血は、ヘパリン処置したバキュテナーバイアルを用いてサンプリングした。
【0150】
標的細胞の51Crによる標識:
LAN-1細胞を、10%熱不活化FCSを含むRPMI 1640中で培養した。アッセイの前日に、該細胞を新しいフラスコおよび新しい培地中に移した。該アッセイは、1ウェルあたり800nCi 51Crの活性を有する、4x10個/ウェルの標識細胞を用いて、96ウェル平底細胞培養プレートで行った。必要な量の細胞を培養フラスコから集め、懸濁液を遠心分離して、0.1% EDTAおよび1% FCSを含むPBS def. 1mlに再懸濁した。算出した体積の51Cr溶液を添加し、細胞を37℃および5%CO下で、穏やかにチューブを回転させながら90分間インキュベーションした。
【0151】
次いで、該細胞懸濁液を、細胞培養培地で2回洗浄し、細胞外部の放射活性を除いた。この培地はさらに、100U/ml ペニシリンGおよび100μg/ml 硫酸ストレプトマイシンを含んでいた。洗浄工程の後、標識細胞のペレットを、所望の濃度である4x10個/mlに再懸濁した。
【0152】
アッセイ手法:
抗体の細胞溶解能の評価のために、次のものをピペットで取った:
試料(抗体希釈液) 50μl
1:2に前希釈した正常ヒト全血 100μl
51Cr標識細胞懸濁液(4x10個/ml) 100μl
【0153】
患者の全血の細胞溶解能の評価のために、次のものをピペットで取った:
培地 50μl
1:2に前希釈した患者全血 100μl
51Cr標識細胞懸濁液(4x10個/ml) 100μl
【0154】
アッセイプレートを37℃、5% CO下で20時間、COインキュベーター内でインキュベーションした。
【0155】
さらに、各血液試料のアリコートを、モノクローナルマウス抗ch14.18抗体(抗イディオタイプ抗体)であるガングリジオマブとともに事前にインキュベーションした後、さらに上述のように処理する。ガングリジオマブは本抗体の患者への投与後に血液試料中に存在する該抗体に特異的に結合する。それにより、該抗イディオタイプ抗体は、血液細胞(WBT)および/または血漿成分(CDC)との組み合わせで、本抗体の腫瘍標的細胞の溶解能を阻害する。残存する溶解は、抗体を介さない効果であると決定し得る。
【0156】
その後、各ウェルの上清を、吸収カートリッジおよび収集プレスを備えた収集フレーム(skatron)を用いて収集する。細胞上清に浸したこれらのカートリッジを、γカウンターの計数バイアル中に移す。放射活性は、標識標的細胞の損傷後の51クロムの放出に比例し、全ての試料から測定してカウント毎分(cpm)で表す。結果は、全試料の値から自発的な溶解のcpmを引き、界面活性剤を用いた達成可能な最大の溶解のcpmを100%としてそれに対する溶解%として算出する。
【数2】
【0157】
上述のWBT法は、図16Bに示す結果を得るために用いた。
【0158】
本発明はさらに、請求項のいずれか1つと容易に組み合わせることができる次の態様によりさらに例示される:
1.患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための抗GD2抗体を含む製剤であって、IL-2を併用して投与することなく該患者に投与され、該抗体を用いた1回以上の処置期間に、レチノイドを用いた1回以上の処置期間が先行するか、レチノイドを用いた1回以上の処置期間を同時に伴うか、および/またはレチノイドを用いた1回以上の処置期間が後に続く、製剤。
2.患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための抗GD2抗体を含む製剤であって、IL-2を併用して投与することなく該患者に投与され、該抗体を用いた1回以上の処置期間に、レチノイドを用いた1回以上の処置期間が、同じ処置サイクル内で、先行するか、レチノイドを用いた1回以上の処置期間を同時に伴うか、および/またはレチノイドを用いた1回以上の処置期間が後に続く、製剤。
3.患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための抗GD2抗体を含む製剤であって、IL-2を併用して投与することなく、持続点滴として1日以上該患者に投与される、製剤。
4.患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための抗GD2抗体を含む製剤であって、IL-2を併用して投与することなく、1日以上、および2回以上のサイクルの間、持続点滴として該患者に投与される、製剤。
5.患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるためのキメラまたはヒト化抗GD2抗体を含む製剤であって、抗GD2抗体を含む製剤がIL-2を併用して投与することなく、1日以上持続点滴として該患者に投与される、製剤。
6.患者におけるGD2陽性がんの処置に用いるための抗GD2抗体を含む製剤であって、IL-2を併用して投与することなく、持続点滴として該患者に投与される、該抗GD2抗体が14G2a抗体ではない、製剤。
7.患者におけるGD2陽性がんの処置方法であって、IL-2を併用して投与することなく該患者に抗GD2抗体を投与することを含む、GD2陽性がんが処置される、方法。
8.抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与することによってGD2陽性がんを処置する方法であって、該患者がIL-2により併用処置されることがなく、該抗体を用いた1回以上の処置期間に、レチノイドを用いた1回以上の処置期間が先行するか、レチノイドを用いた1回以上の処置期間を同時に伴うか、および/または、レチノイドを用いた1回以上の処置期間が後に続く、方法。
9.抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与することによってGD2陽性がんを処置する方法であって、該患者がIL-2により併用処置されることがなく、該抗体を用いた1回以上の処置期間に、同じ処置サイクル内で、レチノイドを用いた1回以上の処置期間が先行するか、レチノイドを用いた1回以上の処置期間を同時に伴うか、および/または、レチノイドを用いた1回以上の処置期間が後に続く、方法。
10.抗GD2抗体を含む製剤を患者に投与することによりGD2陽性がんを処置する方法であって、抗GD2抗体を含む製剤が、IL-2を併用して投与することなく、持続点滴として、1日以上該患者に投与される、方法。
【0159】
11.患者におけるGD2陽性がんを処置する方法であって、抗GD2抗体を含む製剤が、持続点滴として1日以上および、2回以上の処置サイクルの間該患者に投与され、該患者がIL-2による併用処置を受けない、方法。
12.患者におけるGD2陽性がんを処置する方法であって、キメラまたはヒト化抗GD2抗体を含む製剤が、IL-2を併用して投与することなく、持続点滴として1日以上該患者に投与される、方法。
13.患者におけるGD2陽性がんの処置方法であって、抗GD2抗体を含む製剤が持続点滴として該患者に投与され、該患者がIL-2により併用処置されることがなく、該抗GD2抗体が14G2a抗体ではない、方法。
14.該患者がGM-CSFにより併用処置されない、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
15.該患者がサイトカインで処置されない、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
16.該患者が同じ処置サイクル内で該サイトカインにより処置されない、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
17.該患者が同じ全処置期間内で、該サイトカインにより処置されない、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
18.該患者が1回以上の以前の処置サイクルおよび/または全処置期間において、IL-2、GM-CSFおよび/または1種以上の他のサイトカインによる処置を受けたことがあってよい、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
19.該GD2陽性がんが、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、黒色腫、小細胞肺がん、線維形成性小円形細胞腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫および/または他の軟部肉腫である、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
20.該GD2陽性がんが神経芽細胞腫である、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
【0160】
21.該患者が、ハイリスク神経芽細胞腫および/またはステージ4神経芽細胞腫と診断されている、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
22.該患者が微小残存病変と診断されている、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
23.該患者が再発性および/または難治性の疾患と診断されている、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
24.抗GD2抗体を含む製剤が、1日あたり24時間、持続静脈内点滴として投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
25.抗GD2抗体を含む製剤が、1~15、1~20、1~25、1~30、1~35、1~50、または1~60mg/mの1日用量で投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
26.抗GD2抗体を含む製剤が、1~30mg/m、1~35mg/m、1~50mg/mまたは1~60mg/mの1日用量で投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
27.抗GD2抗体を含む製剤が10、20、25、50、60、65、68、70、75、80、100、120、150、200、210、250または300mg/m/サイクルの用量で投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
28.抗GD2抗体を含む製剤がミニポンプを用いて投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
29.該抗GD2抗体が14.18抗体である、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
30.該抗GD2抗体が配列番号3および/または4のアミノ酸配列、または同一のまたは類似の天然活性を有するその断片またはホモログによりコードされる、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
【0161】
31.該抗GD2抗体がch14.18/CHOまたはch14.18/Sp2/0である、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
32.該抗GD2抗体を含む製剤がAPN311である、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
33.該抗GD2抗体がジヌツキシマブである、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法
34.抗GD2抗体を含む製剤が7、10、15、17.5、20または25mg/m/日の用量で投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
35.抗GD2抗体を含む製剤が4、5、10、14、15または21日間連続して投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
36.抗GD2抗体を含む製剤が、3、4、5、6、7、8または9回以上の処置サイクルの間投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
37.抗GD2抗体を含む製剤がAPN311であり、10mg/m/日の用量で、10日間連続して、6回以上の処置サイクルの間投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
38.該抗GD2抗体がch14.18/Sp2/0であり、25、20、17.5または15mg/m/日の用量で4日間連続して、5回以上の処置サイクルの間投与される、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
39.抗GD2抗体を含む製剤の投与期間の後に、イソトレチノインまたは他のレチノイドの投与期間が続いていてよい、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
40.抗GD2抗体を含む製剤の投与が、モルヒネおよび/または1種以上の他の鎮痛剤の投与を伴う、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
41.抗GD2抗体を含む製剤の投与が、低下させた用量のモルヒネおよび/または1種以上の他の鎮痛剤の投与を伴う、上述の態様のいずれかに記載の製剤または方法。
42.抗GD2抗体を含む製剤の投与が、モルヒネおよび/または1種以上の他の鎮痛剤の投与を伴わない、上述の態様のいずれか1つに記載の製剤または方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
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