(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】テレメトリによって能動インプラント型医療装置のメモリに書き込むためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/37 20060101AFI20220912BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20220912BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A61N1/37
A61N1/36
A61B5/00 102C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019212179
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2020-04-12
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510166157
【氏名又は名称】ソーリン シーアールエム エス ア エス
【氏名又は名称原語表記】SORIN CRM S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー ルガイ
(72)【発明者】
【氏名】ロール エリー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0113885(US,A1)
【文献】国際公開第2012/092189(WO,A2)
【文献】特表2007-524456(JP,A)
【文献】特表2007-529274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0309766(US,A1)
【文献】特表2010-507928(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104660717(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 - 1/44
A61B 5/00 - 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動インプラント型医療装置のメモリ内への書き込み作業を可能にするための通信システムにおいて、
少なくとも1つの近接センサ(103)を備える能動インプラント型医療装置(100)と、
非インプラント型遠隔主要書き込み装置(200)と、
ネットワーク接続(300)を介して非インプラント型遠隔主要書き込み装置(200)によって送信された命令および書き込みデータ(205)を受信するように構成された外部非インプラント型中間近接装置(110)であって、
外部非インプラント型中間近接装置(110)は、能動インプラント型医療装置(100)と無線通信するように構成され、外部非インプラント型中間近接装置(110)とは異なり、第1の非インプラント型外部ロック解除ツール(120)が能動インプラント型医療装置(100)の所定の周囲内に位置するときに、近接センサ(103)によって検出可能な信号を能動インプラント型医療装置(100)に送信するように構成される第1の非インプラント型外部ロック解除ツール(120)とを含み、ここで、外部非インプラント型中間近接装置(110)は、能動インプラント型医療装置(100)と外部非インプラント型中間近接装置(110)との間の無線周波数通信を可能にし、および能動インプラント型医療装置(100)の近接センサ(103)を介して第1の非インプラント型外部ロック解除ツール(120)の所定の周囲内の存在の検出に応答
してのみ、非インプラント型遠隔主要書き込み装置(200)を介して送信される命令(205)に従って能動インプラント型医療装置(100)のメモリ(105)に書き込むように構成される通信システム
において、
外部非インプラント型中間近接装置(110)が第2のロック解除ツール(140)を識別するときに、外部非インプラント型中間近接装置(110)による第2のロック解除ツール(140)の識別に対応してのみ、非インプラント型遠隔主要書き込み装置(200)によって送信された命令(205)に従って、外部非インプラント型中間近接装置(110)が能動インプラント型医療装置(100)のメモリ(105)に書き込むよう構成されるように、能動インプラント型医療装置(100)と外部非インプラント型中間近接装置(110)との間の無線周波数通信(130)を可能にするように構成された第2のロック解除ツール(140)をさらに備えたシステム。
【請求項2】
第2のロック解除ツール(140)は外部非インプラント型中間近接装置(110)に入力された少なくとも1つのパスワードと、外部非インプラント型中間近接装置(110)によって受信された生体認証入力と、外部非インプラント型中間近接装置(110)によって読み取られた磁気カード(141)と、外部非インプラント型中間近接装置(110)の近接センサを介して検出可能な信号を発信する近距離無線通信と、外部非インプラント型中間近接装置(110)によって検出された磁界または外部非インプラント型中間近接装置(110)の周辺ポートを介して受信された伝達信号とを備えた請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
外部非インプラント型中間近接装置(110)は能動インプラント型医療装置(100)のメモリ(105)に書き込み作業が実行されなければならないことを示す視覚信号および/または可聴信号および/または振動信号を患者に警告として提供するための信号伝達手段(115)を備えた請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
外部非インプラント型中間近接装置(110)は少なくとも書き込み作業が実行されるまで、非インプラント型遠隔主要書き込み装置(200)によって送信された書き込みデータ(205)を格納するための少なくとも1つの格納手段(113)を備えた請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
第1の非インプラント型外部ロック解除ツール(120)は永久磁石または電磁石であり、その静磁場は能動インプラント型医療装置(100)の近接センサ(103)によって検出される請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
外部非インプラント型中間近接装置(110)は、スマートフォン、デジタルタブレット、コネクテッドポータブルデバイス、コンピュータ、ホーム医療機器装置、またはホームオートメーションシステムである請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
携帯電話、タブレット、ラップトップ、および/またはコネクテッドウオッチなどの携帯通信装置(109)をさらに備え、能動インプラント型医療装置(100)のメモリ(105)への書き込み作業の要求をメッセージ、SMS(「ショートメッセージサービス」)、電子メール、または任意の類似の種類の警告によって、ネットワーク接続を介して前記携帯通信装置(109)に送信される請求項
1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は能動インプラント型医療装置のメモリへの遠隔書き込みのための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
能動インプラント型医療装置、例えばインプラント型ペースメーカまたは脳神経刺激システムは、一般に情報およびデータをある装置から別の装置に送信するために、他の装置またはモニタと非侵襲手段による通信を可能にするテレメトリ機能を備える。テレメトリ機能の例は特定のモニタリングまたは治療タスクを実行するためのインプラント型装置のプログラミング、インプラント型装置によってリアルタイムで取得された生理学的データの送信、および/またはインプラント型医療装置のプログラムまたはソフトウェアの更新を含む。
【0003】
能動インプラント型医療装置と別の外部装置との間のテレメトリ通信は、第1の通信モード、近接場テレメトリまたは誘導テレメトリに従って行うことができる。この第1の通信モードはこれらのコイル間の相互インダクタンスを使用することによって、互いに近接して配置された2つのコイル間の誘導結合に基づく。この第1の通信モードはコイルを収容し、電気ワイヤを介して外部モニタに接続される誘導テレメトリハウジングを必要とし、このハウジングはインダクタンスによって両装置間の通信を可能にするために、能動インプラント型医療装置のコイル上に配置され保持されなければならない。その結果、誘導テレメトリが5~10センチメートルのオーダーの短距離範囲にあり、患者にインプラントされた装置と誘導テレメトリハウジングとの間に近接する必要があるためデータ転送中に患者の移動性が低下する。さらに誘導テレメトリは毎秒数キロビットのオーダーの遅いデータ転送速度を有する。この転送速度は患者の何百万ビットもの生理学的データを含む可能性のある現代の能動インプラント型医療装置には適していない。
【0004】
遠隔監視用途のために最新の能動インプラント型医療装置は、例えばネットワーク接続(例えばインターネットまたは電話回線)を使用する無線テレメトリ、および遠距離電磁放射を使用するテレメトリシステムを含む別のタイプの長距離テレメトリ通信モードを使用する。特許文献1はインプラント型装置が遠隔監視ユニットにデータを送信し、患者から離れた場所で臨床医によってプログラムされることを可能にする、そのような長距離テレメトリに関する。例えば長距離テレメトリは病院の臨床医が在宅している患者、あるいは世界中のどこかにいる患者をモニタし追跡することを可能にする。したがって長距離テレメトリはデータ転送中の患者のより増大した移動性を提供し、またより高いデータ転送速度を提供しダウンロード時間を短縮する。
【0005】
それにもかかわらず機密性およびセキュリティの理由から、特にテレメトリシステムのハッキングの場合、長距離テレメトリの使用は一般に例えば遠隔監視を実行するために能動インプラント型医療装置からデータをダウンロードすることに限定され、インプラント型装置の修正すなわちソフトウェア更新、つまりインプラント型医療装置のメモリへの書き込みには適用されない。
【0006】
患者のインプラント型医療装置と臨床医の外部装置(例えば制御ユニット)との間の長距離テレメトリのハッキングのリスクに対抗するために、上述の特許文献1はインプラント型装置への遠隔アクセスを可能にし、長距離テレメトリ通信を暗号化するために磁石の静磁場を使用する短距離テレメトリに基づくロックおよび認証システムを実施することを提案している。
【0007】
しかしながらこのようなシステムの安全性に関する懸念は、インプラント型医療装置と外部プログラミング装置との間の長距離テレメトリによる直接アクセスのために残っている。
【0008】
特許文献2は複数のインプラント型医療装置を共同でまたは独立してプログラミングすることができ、サーバまたはコンピュータのような一連の外部装置と同時に相互作用するように構成された携帯型プログラミング装置に関する。特許文献2による携帯型プログラミング装置はネットワークポータル、特にインターネットネットワークのインターフェースを介してインプラント型医療装置と外部装置との間の通信チャネルとして機能する。インプラント型医療装置へのアクセス許可が発行されると、携帯型プログラミング装置に記録された識別情報の認証に続いて、各インプラント型医療装置と外部機器との間で携帯型プログラミング装置を介したデータのダウンロードおよび処理が可能となる。
【0009】
それにもかかわらず特許文献2による携帯型プログラミング装置は臨床使用に限定され、特に複数の患者に同時に大規模に使用されるため医療センターから離れた場所にいる患者の家庭での使用には適していない。
【0010】
したがって能動インプラント型医療装置の分野では、特に患者の家から数マイル離れた医療センターで作業する臨床医によって家庭にいる患者の長距離テレメトリ、特にネットワーク接続によってそのような装置のメモリの再プログラミングおよび書込みを可能にする解決策を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2004/0260363号A1明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0135855号A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の目的はインプラント型装置のメモリの書き込み作業を実行する臨床医から数キロメートル離れている患者の能動インプラント型医療装置のメモリ書き込みの安全な作業を可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、少なくとも1つの近接センサを備える能動インプラント型能医療装置のメモリ内への書き込み作業を可能にする通信システムによって達成され、能動インプラント型医療装置は少なくとも1つの近接センサと、遠隔非インプラント型主要書き込み装置と、ネットワーク接続を介して遠隔主要書き込み装置を介して送信される命令を受信し、データを書き込むように構成される外部非インプラント型中間近接装置と、インプラント型医療装置と無線通信するように構成される中間近接装置と、中間近接装置とは異なり、第1のロック解除ツールが医療装置の所定の周囲内に位置するときに、近接センサによって検出可能な信号を送信するように構成される第1の非インプラント型外部ロック解除ツールとを備え、中間近接装置は能動インプラント型医療装置の近接センサを介して第1のロック解除ツールの所定の周囲内の存在の検出に応答して遠隔主要書き込み装置を介して送信される命令に従って能動インプラント型医療装置のメモリ内に書き込むように構成されることを特徴とする通信システムによって達成される。
【0014】
その結果、このシステムはネットワーク接続によって書き込み装置からインプラント型医療装置への直接アクセスを防止する中間装置によって確立された第1の安全バリアと、インプラント型医療装置のすぐ近くの周囲に位置するときにインプラント型医療装置へのアクセスを可能にする第1のロック解除ツールを有する第2の安全バリアとによって、能動インプラント型医療装置との遠隔通信のセキュリティを改善することを可能にする。したがって書き込み作業は最初のロック解除ツールを使用することによって、インプラント型医療装置への能動アクセスをロック解除しなければならない患者によって与えられた許可に基づいてのみ行うことができる。これによりネットワーク接続による長距離テレメトリのセキュリティを向上させることができ、したがってインプラントされた患者の家から数キロメートル離れた臨床医の書込み装置によるインプラント型医療装置のメモリの書込みを最適化することができる。
【0015】
通信システムに関する本発明は、以下の実施形態によってさらに改良することができる。
【0016】
一実施形態によれば、システムは、中間近接装置が第2のロック解除ツールを識別したときに能動インプラント型医療装置と中間近接装置との間の無線周波数通信を可能にするように構成された第2のロック解除ツールをさらに備えてもよく、その結果中間近接装置は中間近接装置による第2のロック解除ツールの識別に応答して遠隔主要書き込み装置によって送信される命令に従い、能動インプラント型医療装置のメモリに書き込むように構成される。従ってインプラント型医療装置へのアクセスを可能にする安全バリアの数を最大にする第2のロック解除ツールによって書込み作業の安全性をさらに改善することができる。
【0017】
一実施形態によれば、第2のロック解除ツールは、中間近接装置に入力された少なくとも1つのパスワードと、中間近接装置によって受信された生体計測入力と、中間近接装置を介して読み取られた磁気カードと、中間近接装置の近接センサを介して検出可能な信号を送信する近距離無線通信と、中間近接装置によって検出された磁界または中間近接装置の周辺ポート、特にUSBポート、を介して受信された伝達信号とを含むことができる。その結果第2のロック解除ツールはインプラント型医療装置のすぐ近くで使用するための近接ロック解除ツールである。したがって第2のロック解除ツールは例えば長距離テレメトリによってハッキングが不可能であるようなものである。
【0018】
一実施形態によれば、中間近接装置は書き込み作業が実行されなければならないことを示す視覚信号および/または可聴信号および/または振動信号を提供するための信号伝達手段を備えることができる。この信号伝達手段は書き込み作業が実行されることを患者に警告し、したがって患者によって書き換え要求が検出される可能性を最大限に高めることを可能にする。
【0019】
一実施形態によれば、中間近接装置は少なくとも書き込み作業が起動されるまで遠隔主要書き込み装置によって送信された書き込みデータを格納するための少なくとも1つの格納手段を備えることができる。その結果書き込みデータは少なくとも書き込み作業が許可されている間記録され保持される。これによりロック解除ツールの識別を待っている間に臨床医が主要書き込み装置に提供する指示および書き込みデータが失われるのを防ぐことができる。
【0020】
一実施形態によれば、第1のロック解除ツールは永久磁石または電磁石であってもよく、その静磁場は能動インプラント型医療装置の近接センサによって検出される。したがって第1のロックツールは製造が容易であり安価である。
【0021】
一実施形態によれば、非インプラント型中間近接装置はスマートフォン、デジタルタブレット、接続された携帯装置、コンピュータ、ホーム医療機器装置、またはホームオートメーションシステムであってもよい。
【0022】
従って中間近接装置は特に家庭からの書き込み作業中に患者の移動性を改善する携帯型装置である。
【0023】
組み合わせてまたは代替的に中間近接装置は書き込み作業以外の目的のために使用することができ、それによって患者の家庭内の装置の数を減らすことができる。
【0024】
一実施形態によれば、システムは携帯通信装置、特に携帯電話、タブレット、ラップトップ、および/またはコネクテッドウオッチをさらに含んでもよく、書き込み作業の要求はメッセージ、SMS(「ショートメッセージサービス」)、電子メール、または同様のタイプの警告によってネットワーク接続を介して送信される。したがって中間近接装置に送信された要求が患者によって検出されなかった場合、患者が身に着けている装置もしくは患者が近接しそうな別の装置に要求を送信することで患者が応答し、臨床医へのテレメトリによってそのインプラント型医療装置へのアクセスを許可する確率を増加させる。従って臨床医による書き込み作業の要求に対する非応答のための失敗回数を減らすことができる。
【0025】
実施形態は、本発明のより有利な代替実施形態を形成するように組み合わせることができる。
【0026】
また本発明の目的は、以下のステップを含む能動インプラント型可能医療装置のメモリ内の書き込み作業を可能にするための方法によって達成される。a)遠隔主要書き込み装置による能動インプラント型医療装置の書き込み作業のためのネットワーク接続要求を無線非インプラント型中間近接装置に送信するステップと、b)中間近接装置を介して遠隔主要書き込み装置によって送信される命令およびネットワーク接続を介して送信されるデータを受信するステップと、c)中間近接装置と能動インプラント型医療装置との間の無線周波数通信を可能にするために、第1の非インプラント型外部ロック解除ツールを能動インプラント型医療装置の所定の近接周囲内に配置するステップと、d)書き込みデータを中間近接装置を介して能動インプラント型医療装置のメモリ内に書き込むステップ。
【0027】
この方法はネットワーク接続によってインプラント型医療装置への書き込み装置の直接アクセスを防止する中間装置によって確立された第1のセキュリティバリアと中間通信装置を介してインプラント型医療装置へのアクセスを可能にする第1のロック解除ツールを有する第2のセキュリティバリアとを介して、能動インプラント型医療装置との遠隔通信のセキュリティを改善することを可能にする。さらに書込み作業は臨床医の要求に基づいてのみ行うことができ、この要求は患者が承諾した場合、患者がインプラント型医療装置のすぐ近くにある第1および第2のロック解除ツールを使用することによってインプラント型医療装置にアクセスすることができなければならない。これらの手順を継承することによりネットワーク接続を介した交換機のセキュリティをさらに向上させることができる。従ってネットワーク接続による長距離テレメトリのセキュリティを改善することは、インプラントされた患者の家から数キロメートル離れた臨床医の書込み装置によるインプラント型医療装置のメモリの書込みを最適化する。
【0028】
能動インプラント型医療機器のメモリへの書き込み作業を可能にするための方法に関する本発明は以下の実施形態を通じてさらに改善することができる。
【0029】
一実施形態によれば、能動インプラント型医療装置の書き込み作業は、第1のロック解除ツールが能動インプラント型医療装置によって検出されないとき、特に第1のロック解除ツールと能動インプラント型医療装置との間の距離が15センチメートルよりも大きく、より具体的には10センチメートルよりも大きいときに阻害され得る。
【0030】
その結果第1のロック解除ツールは能動インプラント型医療装置と非常に密接な接触を必要とし、この接触は患者の皮膚と接触することさえあり、このことは患者がこのロック解除ステップに気付いており、患者が書き込み作業要求を受け入れたと思われることを意味する。従ってこのロック解除操作のハッキングは長距離テレメトリからは不可能である。
【0031】
一実施形態によれば、ステップb)の前に中間近接装置を介して第2の非インプラント型外部ロック解除ツールによって、中間近接装置と能動インプラント型医療装置との間の無線周波数通信を許可する要求を受け取るステップを設けることができる。したがって書き込み作業のステップの安全性はインプラント型医療機器へのアクセスを可能にする安全バリアの数を最大化する第2のロック解除ツールによってさらに改善され得る。
【0032】
一実施形態によれば、第2のロック解除ツールは中間通信装置に入力された少なくとも1つのパスワードと、中間通信装置に受信された生体認証入力と、中間通信装置によって読み出された磁気カードと、中間通信装置の近接センサを介して検出可能な信号を送信する近距離無線通信と、非インプラント型通信装置によって検出された磁界と、中間通信装置の周辺ポート、特にUSBポート、を介して受信された伝達信号とを含むことができる。第2のロック解除ツールの使用は、インプラント型医療装置のメモリへの書き込み作業を許可するための確認要求を増殖することによってネットワーク接続通信のセキュリティをさらに改善することを可能にする。
【0033】
一実施形態によれば、能動インプラント型医療装置と中間通信装置との間の無線周波数通信は、この装置が互いに10メートル未満離れている場合に実現することができる。
【0034】
したがって、能動インプラント型医療装置と中間通信装置との間の通信を可能にする距離は患者が家庭で書込み作業を行うことができるように適合される。
【0035】
一実施形態によれば、ステップb)において第1のロック解除ツールは、電磁場、静磁場、または誘導場から来る信号を能動インプラント型医療装置に送ることができる。したがって第1のロックツールは製造が容易であり安価である。
【0036】
一実施形態によれば、書き込み作業の要求は書き込み作業を実行しなければならないことを示す視覚信号および/または可聴信号および/または振動信号を発する中間近接装置の信号伝達手段によって信号を送られることができる。この信号伝達手段は書き込み作業が実行されることを患者に警告することを可能にし、したがって患者によって再書き込み要求が検出される可能性を最大化することを可能にする。
【0037】
一実施形態によれば、書き込み作業の要求はまたネットワーク接続を介して携帯通信装置、特にメッセージ、SMS(「ショートメッセージサービス」)、電子メール、または任意の同様の種類の警告を介して接続された携帯電話、タブレット、ラップトップ、および/またはウオッチに送信することができる。したがって、中間近接装置に送信された要求が患者によって検出されなかった場合、患者が患者に近接し続ける可能性があるという別の装置への要求の送信は患者が臨床医にテレメトリによってそのインプラント型医療装置に応答しアクセスを許可する確率を増加させる。これにより臨床医による書き込み作業の要求に対する非応答のための失敗回数を減らすことができる。
【0038】
一実施形態によれば、書き込みデータは少なくとも中間近接装置と能動インプラント型医療装置との間の無線周波数通信の許可まで、中間近接装置の記憶手段によって記憶される。その結果書き込みデータは少なくとも書き込み作業が許可されている間、記録され、保持される。したがってこれによりロック解除ツールの識別を待っている間に前のステップa)およびb)で臨床医によって主要書き込み装置に提供された指示および書き込みデータが失われることが回避される。
【0039】
実施形態は、本発明のより有利な代替実施形態を形成するように組み合わせることができる。
【0040】
本発明およびその利点は、好適な実施形態によって以下の添付の図面に特に依存して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の第1の実施形態による能動インプラント型医療装置のメモリ内への書き込み作業を可能にするための通信システムを概略的に示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による能動インプラント型医療装置のメモリ内への書き込み作業を可能にするための通信システムを概略的に示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る能動インプラント型医療機器のメモリへの書き込み作業を可能にするための通信方法の流れ図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る能動インプラント型医療機器のメモリへの書き込み作業を可能にするための通信方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に例示的な方法における有利な実施形態を使用し図面を参照して本発明をより詳細に説明する。説明された実施形態は単に可能な構成であり、上述された個々の特性は互いに独立して提供され得るか、または本発明の実施中に全体として省略され得ることに留意されるべきである。
【0043】
図1は本発明の第1の実施形態による能動インプラント型医療装置100の書き込み作業を可能にするための通信システム1を概略的に示す。
【0044】
インプラント型ペースメーカまたは脳神経刺激システムなどのインプラント型医療装置100は患者にインプラントされるように構成される。インプラント型医療装置100は、とりわけ近接センサ103およびメモリ105を備える。インプラント型医療装置100の更新、ならびにインプラント型医療装置ソフトウェア100の更新は、患者の寿命の間に必要とされてもよい。臨床医がインプラント型医療装置100のメモリ105への書き込み作業を行うために、患者が病院センター203に行く必要がないように、通信システム1は、能動インプラント型医療装置100と臨床医装置200との間の距離Dが数キロメートルであっても、病院センター203内に位置する臨床医装置200によって患者の家庭107からの能動インプラント型医療装置100への書き込み作業を行うことができるように構成される。これを行うために通信システム1は長距離テレメトリ機能を使用する。
【0045】
長距離テレメトリ通信を確保するために通信システム1は、無線外部非インプラント型中間近接装置110も含む。中間近接装置110は距離d1が10メートル未満であるように、インプラント型医療装置100から距離d1でインプラント型医療装置100と無線周波数通信するように構成される。中間近接装置110は、スマートフォン、デジタルタブレット、コネクテッドポータブルデバイス、コンピュータ、ホーム医療機器装置、またはホームオートメーションシステムであってもよい。したがって中間近接装置110は患者の家庭107での使用に適している。中間近接装置110は、臨床医装置200によって送信されたデータを取得するように構成されており、これ以降遠隔主要書き込み装置200とも呼ばれる。中間近接装置110はネットワーク接続300、特に有線または無線インターネット接続または電話回線を介して、主要書き込み装置200によって送信されたデータ205を取得するように構成される。中間近接装置110は、少なくともインプラント型医療装置100にアクセスするための許可まで、書き込みデータ205を格納するための格納手段113を備える。さらに中間近接装置110は高周波インプラント型医療装置100からデータを受信し、それをネットワーク接続を介して遠隔で主要装置200に送信するようにも構成される。したがってシステム1はインプラント型医療装置100のメモリ105への書き込み作業のためだけでなく、例えばインプラント型装置100によって取得された生理学的データのようなインプラント型医療装置100からのデータの受信のためにも構成される。このデータは中間近接装置110によって遠隔主要装置200に送信することができ、遠隔主要装置200は例えばインプラント型医療装置100のメモリ105の書き込み作業を適応させることができる。
【0046】
好ましい実施形態によれば、主要書き込み装置200は臨床医が書き込みデータ205を入力することができるウェブサイトにアクセスすることができ、また中間近接装置110もインターネット接続を介してこのウェブサイトにアクセスすることができ、したがって前記書き込みデータ205を取得することができる。別の実施形態によれば、他のタイプの長距離ネットワーク接続を中間近接装置110と主要書き込み装置200との間に確立することができる。ネットワーク接続300は数キロメートルの距離にわたって、特に患者の家107と臨床医装置200が位置する病院センター203との間の距離D上で、中間近接装置110と主要書き込み装置200との間の通信を可能にする。このように、中間近接装置110はインプラント型医療装置100と主要書き込み装置200とを接続するが、主要書き込み装置200とインプラント型医療装置100との間のネットワーク接続を介して直接通信することなく、インプラント型医療装置100のハッキングのリスクを低減する。
【0047】
さらに、臨床医がインプラント型医療装置100のソフトウェアを書き込んだり更新したいことを患者に警告するために、患者の中間近接装置110は例えば警告メッセージおよび/または可聴信号および/または視覚信号および/または振動信号の形成で通知を送信する信号手段115を備える。
【0048】
ネットワーク接続300のセキュリティをさらに改善するために通信システム1は非インプラント型外部ロック解除ツール120を備え、インプラント型医療装置100の近接センサ103によって検出可能な信号121を送信するように構成された非インプラント型無線中間近接装置110とは性質が異なる。
図1に示される実施形態によれば、第1のロック解除ツール120は永久磁石または電磁石であり、その静磁場は能動インプラント型医療装置100の近接センサ103によって検出される。別の実施形態では、第1のロック解除ツール120は、電磁場、誘導場、または人体通信システムから信号121を送信するように構成される。第1のロック解除ツール120が医療装置100から所定の周囲、すなわち距離d2よりも短い距離、すなわち距離d2が15センチメートルよりも短く、特に10センチメートルよりも短くなるように所定の周囲内に配置されると、第1のロック解除ツール120の存在はインプラント型医療装置100によって検出される。所定の周囲における第1のロック解除ツール120の存在の検出は能動インプラント型医療装置100の中間近接装置110へのアクセスを可能にする。したがって能動インプラント型医療装置100と中間近接装置110との間の無線周波数通信130が可能になる。したがって無線周波数通信130の許可は、患者が第1のロック解除ツール120をインプラント型医療装置100がロック解除するために対して十分近くに配置すること、すなわちインプラント型医療装置100から15cm未満の位置に配置することを必要とする。
【0049】
図2は本発明の第2の実施形態による、能動インプラント型医療装置100の書き込み作業を可能にするための通信システム2を概略的に示す。
図1の説明のためにすでに使用されている同じ符号を有する要素は再び詳細に説明されずそれらの説明を参照する。
【0050】
通信システム2は通信システム1について上述したように、能動インプラント型医療装置100、中間近接装置110、主要書き込み装置200、および第1のロック解除ツール120を備える。
【0051】
長距離テレメトリ書き込み作業のセキュリティをさらに改善するために、通信システム2は、中間近接装置110のロックを解除し、したがって能動インプラント型医療装置100と中間近接装置110との間の無線周波数通信を可能にするように構成された第2のロック解除ツール140をさらに備える。
【0052】
図2に示される第2の実施形態によれば、第2のロック解除ツール140は中間近接装置110によって走査され読み出されるように構成された磁気カード141である。他の実施形態によれば、第2のロック解除ツール140はまた中間近接装置110に入るための少なくとも1つのパスワード、中間近接装置110によって受信された生体計測入力、中間近接装置110の近接センサによって検出可能な信号を送信する近距離無線通信、中間近接装置110によって検出された磁場または例えばUSBポートなどの中間近接装置110の周辺ポートを介して受信された伝達信号を含むことができる。
【0053】
したがって第2の実施形態によれば、システム2内の能動インプラント型医療装置100のメモリ105内の書き換え許可は、患者が第1のロック解除ツール120をインプラント型医療装置100から十分に近く、すなわち15cm未満に位置決めしてロックを解除し、個人用磁気カード141が中間近接装置110によって読み取られ識別されるように個人用磁気カード141を走査することを必要とする。したがって第2の実施形態では、システム2は患者に近接して(第1のツール120に対して15cm未満)および/または患者自身によって操作されるように構成された2つの近接ロック解除手段120、140を備える。その結果これらの近接ロック解除ツール120、140は長距離テレメトリによってインプラント型医療装置100のメモリ105内への書き込み作業を改善し確実にすることを可能にする。
【0054】
この書込み作業は、例えば警告メッセージおよび/または可聴信号および/または視覚信号および/または振動信号の形成で通知を発する中間近接装置110の信号伝達手段115によって患者に信号伝達される。また第2の実施形態によれば、携帯電話109や接続された腕時計などの患者の携帯装置109に並行して通知を送信して、中間近接装置110が直接手元にない場合でも書き込み作業の要求を確実に通知することができる。通知は少なくとも中間近接装置110上の少なくとも1つの視覚信号、可聴信号、振動、書込みメッセージ、音声メッセージであってもよい。患者の携帯装置109は中間近接装置110に送信されたものと同じまたは異なるカテゴリの通知を並行して受信することができる。
【0055】
通信システム1の作業は
図3のフローチャート500の説明を介して以下で説明される。
図1の説明にすでに使用された同一の符号を有する要素は再び詳細に説明されずそれらの説明を参照する。
【0056】
メモリ105の更新、書き換え、患者のインプラント型医療装置100のソフトウェアの調整または再プログラミングが必要とされるとき、臨床医は患者に書き込み作業要求を通知するために臨床医装置200に要求を入力する。したがって
図3に示される方法500の第1のステップ501において、要求はネットワーク接続を介して、特にインターネット接続を介して臨床医装置200から患者の中間近接装置110に送信される。中間近接装置110におけるこの要求の受信は中間近接装置110の信号伝達手段115によって患者に信号伝達され、この信号伝達手段115は可聴通知、点滅光、メッセージおよび/または振動を発する。
【0057】
第1のステップ501の後に中間近接装置110による書き込みデータ205の取得ステップ502が続く。書き込みデータ205は臨床医によって主要書き込み装置200に入力される。この書き込みデータ205は長距離テレメトリによって中間近接装置110に送信される。特にこの書き込みデータ205はウェブサイト上に入力され、インターネット接続を介して書き込みデータ205を取得するためにこのウェブサイトにもアクセスする中間近接装置110に送信される。中間近接装置110は少なくともインプラント型医療装置100へのアクセスを許可されるまで、すなわちインプラント型医療装置100のメモリ105内の書き換えが第1のロック解除ツール120の検出によって可能になるまで書き込みデータ205を記憶するための記憶手段113を備える。
【0058】
実際インプラント型医療装置100のメモリ105に書き込む作業は、中間近接装置110がインプラント型医療装置100との間でデータを送受信できるようにすることを必要とする。
【0059】
したがって
図3に示される方法500の第2のステップ503ではインプラント型医療装置100の近接センサ103が第1のロック解除ツール120の存在を検出するように、第1のロック解除ツール120は能動インプラント型医療装置100の所定の近接周囲内、すなわち10cm未満に配置される必要がある。第1のロック解除ツール120の検出は無線周波数通信130が中間近接装置110と能動インプラント型医療装置100との間で可能にされることを可能にする。インプラント型医療装置130の近接センサによる第1のロック解除ツール120の非検出はインプラント型医療装置100のメモリ105の書き込み作業を防止する。
【0060】
ステップ503においてロック解除条件が有効である場合、インプラント型医療装置100へのアクセスは、所定の期間、中間近接装置110に対して許可される。この所定の期間の後、インプラント型医療装置100へのアクセスは中間近接装置110または任意の他のテレメトリ装置がもはやインプラント型医療装置100にアクセスできないようにロックされる。有利な一実施形態によれば、所定の期間は書き込み作業の要求を中間近接装置110が受け取ると、すなわちステップ501で、開始する。
【0061】
方法500のステップ504では中間近接装置110によって取得された書き込みデータ205が、能動インプラント型医療装置100に送信される。これは臨床医によって入力されたデータ205に従ってインプラント型医療装置100から遠隔のメモリ105に書き込み作業をもたらす。
【0062】
インプラント型医療装置100のメモリ105への書き込み、またはインプラント型医療装置100の任意の他の再プログラミング、更新、または調節作業が成功裏に実行されると、インプラント型医療装置100は第1のロック解除ツール120を取り外すことができることを患者に通知し、プロセス終了通知を臨床医装置200に送信するプロセス終了通知を中間近接装置110に送信する。これにより臨床医装置200、したがって臨床医自身に書き換え作業の成功または失敗が知らされる。有利な一実施形態によれば、インプラント型医療装置100への書き換えを試みるたびに所定の期間を順守しなければならない。
【0063】
したがって方法500はネットワーク接続を介して書き込み装置200からインプラント型医療装置100への直接アクセスを防止する中間近接装置110によって確立される第1のセキュリティバリアと、中間近接装置110を介してインプラント型医療装置100へのアクセスを可能にする第1の近距離近接ロック解除ツール120を有する第2の安全バリアとによって、能動インプラント型医療装置100との遠隔通信のセキュリティを改善することを可能にする。
【0064】
したがって書き込み作業は臨床医の要求と、次に第1のロック解除ツール120をそのインプラント型医療装置100のすぐ近くで使用することによって、インプラント型医療装置100へのアクセスを許可しなければならない患者によるこの要求の受け入れとに基づいてのみ行うことができる。これらの手順を継承することによりネットワーク接続による交換機のセキュリティをさらに向上させることができる。
【0065】
通信システム2の作業は
図4のフローチャート600の説明を介して以下で説明される。
図1、
図2、および
図3の説明にすでに使用された同一の符号を有する要素は再び詳細に説明されずそれらの説明を参照する。
【0066】
第2の実施形態の方法によれば、メモリ105の更新、書き換え、患者のインプラント型医療装置100のソフトウェアの調整または再プログラミングが必要とされるとき、臨床医は書き込み作業要求を患者に通知するために臨床医装置200に要求を入力する。したがって
図4に示される方法600の第1のステップ601において、要求はネットワーク接続を介して、特にインターネット接続を介して臨床医装置から患者の中間近接装置110に送信される。中間近接装置110におけるこの要求の受信は、可聴通知、点滅光、メッセージおよび/または振動を発する中間近接装置110の信号伝達手段115によって患者に信号伝達される。並行して第2の実施形態によれば、通知、例えばメッセージ、SMS(「ショートメッセージサービス」)、電子メール、またはその他を患者の携帯装置109、例えば携帯電話109または接続された腕時計に送信することもできる。この通知は長距離テレメトリの書き換え作業の要求を患者に通知する。インプラント型医療装置100のメモリ105の書き込み作業は、中間近接装置110がインプラント型医療装置100にデータを送受信できるようにすることを必要とする。
【0067】
第1のステップ601の後に中間近接装置110によって書き込みデータ205を取得するステップ602が続く。書き込みデータ205は臨床医によって主要書き込み装置200に入力される。この書き込みデータ205は長距離テレメトリによって中間近接装置110に送信される。特にこの書き込みデータ205はウェブサイト上に入力され、インターネット接続を介してこのウェブサイトにアクセスして書き込みデータ205を取得する中間近接装置110に送信される。書き込みデータ205は少なくともインプラント型医療装置100にアクセスすることが許可されるまで、すなわちインプラント型医療装置100のメモリ105における書き換えがロック解除ツール120および140の検出によって可能になるまで中間近接装置110の記憶手段113によって記憶される。実際インプラント型医療装置100のメモリ105に書き込む作業は中間近接装置110がインプラント型医療装置100からデータを送受信することを可能にすることを必要とする。
【0068】
したがって方法600の第3のステップ603において、中間近接装置110と能動インプラント型医療装置100との間の無線周波数通信130の認可は、第2の非インプラント型外部ロック解除ツール140によって認可されなければならない。能動インプラント型医療装置100による第2のロック解除ツール140の検証が行われないことによって、インプラント型医療装置100のメモリ105への書き込み作業が防止される。
【0069】
次に
図4に示される方法600の第4のステップ604の間、第1のロック解除ツール120は、能動インプラント型医療機器100の所定の近接周囲、すなわち10cm未満に配置されるように要求され、それによりインプラント型医療機器100の近接センサ103は第1のロックツール103の存在を検出する。第1のロック解除ツール103の検出は中間装置110と能動インプラント型医療装置100との間の無線周波数通信130を許可することを可能にする。インプラント型医療装置130の近接センサによる第1のロック解除ツール120の非検出はインプラント型医療装置100のメモリ105の書き込み作業を防止する。
【0070】
図4に示されていない変形例では、ステップ603はステップ604の後に実行することができる。別の変形例においてステップ603および604は同時に実施され得る。
【0071】
ステップ603および604においてロック解除条件が有効である場合、インプラント型医療装置100へのアクセスは、所定の期間、中間近接装置110に対して許可される。この所定の期間の後、インプラント型医療装置100へのアクセスは中間近接装置110または任意の他のテレメトリ装置がもはやインプラント型医療装置100にアクセスできないようにロックされる。有利には所定の期間は書き込み作業に対する要求、すなわちステップ601の中間近接装置110による受信時に開始する。
【0072】
方法600のステップ605において、中間近接装置110によって取得された書き込みデータ205は能動インプラント型医療装置100に送信される。これは臨床医によって入力されたデータ205に従って、インプラント型医療装置100から遠隔のメモリ105に書き込み作業をもたらす。
【0073】
インプラント型医療装置100のメモリ105への書き込み、またはインプラント型医療装置100の任意の他の再プログラミング、更新、または調整作業が成功裏に実行されると、インプラント型医療装置100は患者にロック解除ツール120および140を取り外すことができることを通知し、プロセス終了通知を臨床医装置200に送信するプロセス終了通知を中間近接装置110に送信する。これにより臨床医装置200、したがって臨床医自身に書き換え作業の成功または失敗が知らされる。有利な一実施形態によれば、インプラント型医療装置100の書き換え作業の各試みの間に所定の期間を順守しなければならない。
【0074】
したがって方法600はネットワーク接続を介して書き込み装置200からインプラント型医療装置100への直接アクセスを防止する中間近接装置110によって確立される第1のセキュリティバリアと、中間近接装置110を介してインプラント型医療装置100へのアクセスを可能にする第1の近距離ロック解除ツール120および第2のロック解除ツール140による第2の安全バリアとによって、能動インプラント型医療装置100との遠隔通信のセキュリティを改善することを可能にする。したがって書き込み作業は臨床医の要求と、第1のロック解除ツール120および第2のロック解除ツール140を使用することによって、インプラント型医療装置100へのアクセスを許可しなければならない患者によるこの要求の受け入れとに基づいてのみ行うことができる。これらの手順を継承することによりネットワーク接続による交換のセキュリティをさらに向上させることができる。
【0075】
したがって本発明のシステム1および2、ならびに方法500および600は、ネットワーク接続によって長距離テレメトリのセキュリティを改善することを可能にし、これによりインプラントされた患者の家から数キロメートル離れている臨床医の書き込み装置200によって、インプラント型医療装置100のメモリ105への書き込みを最適化することを可能にする。
【0076】
説明された実施形態は単に可能な構成であり異なる実施形態の個々の特徴は互いに組み合わされてもよく、または互いに独立して提供されてもよいことに留意されたい。