(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】展示物が展示された空間を照明する照明システム及び照明方法
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20220912BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220912BHJP
F21S 8/00 20060101ALI20220912BHJP
F21Y 105/00 20160101ALN20220912BHJP
F21Y 115/00 20160101ALN20220912BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220912BHJP
【FI】
F21S8/04 400
F21S2/00 311
F21S8/00
F21Y105:00 300
F21Y115:00
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019513709
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(86)【国際出願番号】 JP2018016348
(87)【国際公開番号】W WO2018194168
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2017083915
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトのアドレス http://ce.citizen.co.jp/news/info.php?no=210 http://ce.citizen.co.jp/up_img/news/6Z3QxY2QfFon/VIVID_EN.pdf http://ce.citizen.co.jp/up_img/news/OoC5vHdrJtjA/VIVID_CN.pdf 掲載日 平成28年10月20日 香港インターナショナル・ライティング・フェア2016 開催日 平成28年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深澤 孝一
(72)【発明者】
【氏名】新井 真
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065555(JP,A)
【文献】特開2015-144231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21S 2/00
F21S 8/00
F21Y 105/00
F21Y 115/00
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示物が展示された空間を照明する照明システムであって、
該照明システムは、展示物を主として照射する第1の発光装置、及び、該展示物以外の空間を主として照射する第2の発光装置を含み、
(I)前記第1の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(I-1)前記発光装置から出射される光は、D
uvが-0.0120以上-0.0050以下となる光を主たる放射方向に含み;
(I-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nSSL、b
*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nref、b
*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、
飽和度差ΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔC
n(nは1から15の自然数)=√{(a
*
nSSL)
2+(b
*
nSSL)
2}-√{(a
*
nref)
2+(b
*
nref)
2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(I-4)前記発光装置に係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たし、
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものであり;
(II)前記第2の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(II-1)前記発光装置から出射される光は、D
uvが-0.0070以上0未満となる光を主たる放射方向に含み;
(II-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、前記第1の発光装置の場合と同様に定義されるΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II-4)前記発光装置に係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たし、
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものであり;
(III)前記第1の発光装置に係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave2としたとき、
SAT
ave2 < SAT
ave1
を満たすことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明システムであって、
(IV)前記第1の発光装置に係るD
uvをD
uvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るD
uvをD
uvSSL2としたとき、
D
uvSSL1 < D
uvSSL2
を満たすことを特徴とする照明システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明システムであって、
(V)
前記第1の発光装置に係るD
uv
をD
uvSSL1
とし、前記第2の発光装置に係るD
uv
をD
uvSSL2
としたとき、前記D
uvSSL1と前記D
uvSSL2との差である|D
uvSSL2 - D
uvSSL1|が、0より大きく0.0070以下を満たすことを特徴とする照明システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明システムであって、
前記第1及び第2の発光装置は、
(I-5)(II-5)前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφ
SSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφ
ref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(X
SSL、Y
SSL、Z
SSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(X
ref、Y
ref、Z
ref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布S
SSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布S
ref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS
SSL(λ)をそれぞれ、
S
SSL(λ)=φ
SSL(λ)/Y
SSL
S
ref(λ)=φ
ref(λ)/Y
ref
ΔS
SSL(λ)=S
ref(λ)-S
SSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり、
一方、波長380nm以上780nm以内の範囲で、前記S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり;
【数1】
【数2】
(VI)前記第1の発光装置に係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL1(λ))とし、前記第2の発光装置に係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL2(λ))としたとき、
A
cg(φ
SSL1(λ)) < A
cg(φ
SSL2(λ))
であることを特徴とする照明システム。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の照明システムであって、
(VII)
前記第1の発光装置に係るD
uv
をD
uvSSL1
とし、前記第2の発光装置に係るD
uv
をD
uvSSL2
としたとき、前記D
uvSSL1に対する前記D
uvSSL2の比であるD
uvSSL2/D
uvSSL1が、0.25以上0.75以下を満たすことを特徴とする照明システム。
【請求項6】
更に第3の発光装置を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の照明システムであって、
前記展示物が展示された空間は少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であり、
該第3の発光装置が主として照射する空間は、該出入口のうちの1以上の出入口であり、
該第3の発光装置は、前記第1の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさず、かつ、前記第2の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさない発光装置である、照明システム。
【請求項7】
展示物が展示された空間を照明する照明方法であって、
該照明方法は、第1の発光装置により展示物を主として照射する第1照明ステップ、及
び、第2の発光装置により該展示物以外の空間を主として照射する第2照明ステップを含み、
(I’)前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際に、前記展示物の位置で測定した光が以下の条件を満たすように照明し:
(I’-1)D
uvが-0.0120以上-0.0050以下であり;
(I’-2)前記展示物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nSSL、b
*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記展示物の位置で測定した光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nref、b
*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
飽和度差ΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔC
n(nは1から15の自然数)=√{(a
*
nSSL)
2+(b
*
nSSL)
2}-√{(a
*
nref)
2+(b
*
nref)
2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I’-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(I’-4)前記照明ステップに係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たし、
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものであり;
(II’)前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際に、該展示物以外の空間で測定した光が以下の条件を満たすように照明することを特徴とする、照明方法:
(II’-1)D
uvが-0.0070以上0未満であり;
(II’-2)前記展示物以外の空間で測定した光について、前記第1照明ステップの場合と同様に定義される飽和度差ΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II’-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II’-4)前記照明ステップに係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たし、
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものであり;
(III’)前記第1照明ステップに係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave1とし、
前記第2照明ステップに係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave2としたとき、
SAT
ave2 < SAT
ave1
を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【請求項8】
請求項7に記載の照明方法であって、
(IV’)前記第1照明ステップに係るD
uvをD
uvSSL1とし、前記第2照明ステップに係るD
uvをD
uvSSL2としたとき、
D
uvSSL1 < D
uvSSL2
を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の照明方法であって、
(V’)
前記第1照明ステップに係るD
uv
をD
uvSSL1
とし、前記第2照明ステップに係るD
uv
をD
uvSSL2
としたとき、前記D
uvSSL1と前記D
uvSSL2との差である|D
uvSSL2 - D
uvSSL1|が、0より大きく0.0070以下を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の照明方法であって、
(I’-5)(II’-5)前記第1照明ステップにおける前記展示物の位置で測定した光、及び、前記第2照明ステップにおける、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間で測定した光について、
分光分布をφ
SSL(λ)、相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφ
ref(λ)、三刺激値を(X
SSL、Y
SSL、Z
SSL)、相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(X
ref、Y
ref、Z
ref)とし、
規格化分光分布S
SSL(λ)と、相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布S
ref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS
SSL(λ)をそれぞれ、
S
SSL(λ)=φ
SSL(λ)/Y
SSL
S
ref(λ)=φ
ref(λ)/Y
ref
ΔS
SSL(λ)=S
ref(λ)-S
SSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり、
一方、波長380nm以上780nm以内の範囲で、前記S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり;
【数3】
【数4】
(VI’)前記第1照明ステップに係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL1(λ))とし、前記第2照明ステップに係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL2(λ))としたとき、
A
cg(φ
SSL1(λ)) < A
cg(φ
SSL2(λ))
を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載の照明方法であって、
(VII’)
前記第1照明ステップに係るD
uv
をD
uvSSL1
とし、前記第2照明ステップに係るD
uv
をD
uvSSL2
としたとき、前記D
uvSSL1に対する前記D
uvSSL2の比であるD
uvSSL2/D
uvSSL1が、0.25以上0.75以下を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか1項に記載の照明方法であって、
前記展示物が展示された空間は少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であり、
更に、第3の発光装置により該出入口のうちの1以上の出入口を主として照射する第3照明ステップを含み、
該第3の発光装置は、前記第1の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさず、かつ、前記第2の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさない発光装置である、照明方法。
【請求項13】
展示物が展示された空間を照明する照明システムであって、
該照明システムは、展示物を主として照射する第1の発光装置、該展示物以外の空間を主として照射する第2の発光装置、及び、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射する第4の発光装置を含み、
(I)前記第1の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(I-1)前記発光装置から出射される光は、D
uvが-0.0120以上-0.0050以下となる光を主たる放射方向に含み;
(I-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nSSL、b
*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nref、b
*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、
飽和度差ΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔC
n(nは1から15の自然数)=√{(a
*
nSSL)
2+(b
*
nSSL)
2}-√{(a
*
nref)
2+(b
*
nref)
2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II)前記第2の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(II-1)前記発光装置から出射される光は、D
uvが-0.0070以上0未満となる光を主たる放射方向に含み;
(II-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、前記第1の発光装置の場合と同様に定義されるΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(III)前記第1の発光装置に係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave2としたとき、
SAT
ave2 < SAT
ave1
を満たし;
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、下記条件(IX-1)乃至条件(IX-4)の少なくとも1つを満たすことを特徴とする照明システム。
(IX-1)
前記第1の発光装置に係るD
uvをD
uvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るD
uvをD
uvSSL2とし、前記第4の発光装置に係るD
uvをD
uvSSL4としたとき、
D
uvSSL1 < D
uvSSL2 < D
uvSSL4
である。
(IX-2)
D
uvSSL2 = D
uvSSL1 +(D
uvSSL4 - D
uvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
(IX-3)
前記第1の発光装置の場合と同様に定義される、前記第4の発光装置に係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave4としたとき、
SAT
ave4 < SAT
ave2 < SAT
ave1
である。
(IX-4)
SAT
ave2 = SAT
ave1 +(SAT
ave4 - SAT
ave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【請求項14】
請求項13に記載の照明システムであって、
(I-4)前記第1の発光装置に係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たすことを特徴とする照明システム。
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものである。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の照明システムであって、
(II-4)前記第2の発光装置に係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たすことを特徴とする照明システム。
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものである。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか1項に記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、前記条件(IX-1)及び条件(IX-2)を共に満たすことを特徴とする照明システム。
【請求項17】
請求項13~15のいずれか1項に記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、前記条件(IX-3)及び条件(IX-4)を共に満たすことを特徴とする照明システム。
【請求項18】
請求項13~15のいずれか1項に記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、前記条件(IX-1)乃至条件(IX-4)をすべて満たすことを特徴とする照明システム。
【請求項19】
請求項13~18のいずれか1項に記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、下記条件(IX-5)を満たすことを特徴とする照明システム。
(IX-5)
前記第1の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をT
SSL1(K)とし、
前記第2の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をT
SSL2(K)とし、
前記第4の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をT
SSL4(K)とし、
該T
SSL1(K)と該T
SSL4(K)とを比較した際に、大きい方をT
SSL-H(K)とし、小さい方をT
SSL-L(K)とし、
該T
SSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K
-1)とし、該T
SSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K
-1)とし、該T
SSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K
-1)としたときに、
Mired-2(K
-1) = Mired-L(K
-1) +(Mired-H(K
-1) - Mired-L(K
-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【請求項20】
展示物が展示された空間を照明する照明方法であって、
該照明方法は、第1の発光装置により展示物を主として照射する第1照明ステップ、第2の発光装置により該展示物以外の空間を主として照射する第2照明ステップ、及び、第4の発光装置により該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射する第4照明
ステップを含み、
(I’)前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際に、前記展示物の位置で測定した光が以下の条件を満たすように照明し:
(I’-1)D
uvが-0.0120以上-0.0050以下であり;
(I’-2)前記展示物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nSSL、b
*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記展示物の位置で測定した光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L
*a
*b
*色空間におけるa
*値、b
*値をそれぞれa
*
nref、b
*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
飽和度差ΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔC
n(nは1から15の自然数)=√{(a
*
nSSL)
2+(b
*
nSSL)
2}-√{(a
*
nref)
2+(b
*
nref)
2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I’-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II’)前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際に、該展示物以外の空間で測定した光が以下の条件を満たすように照明し:
(II’-1)D
uvが-0.0070以上0未満であり;
(II’-2)前記展示物以外の空間で測定した光について、前記第1照明ステップの場合と同様に定義される飽和度差ΔC
n(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II’-3)前記ΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(III’)前記第1照明ステップに係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave1とし、
前記第2照明ステップに係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave2としたとき、
SAT
ave2 < SAT
ave1
を満たし;
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主
として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
下記条件(IX’-1)乃至条件(IX’-4)の少なくとも1つを満たすように照明することを特徴とする照明方法。
(IX’-1)
前記第1照明ステップに係るD
uvをD
uvSSL1とし、前記第2照明ステップに係るD
uvをD
uvSSL2とし、前記第4照明ステップに係るD
uvをD
uvSSL4としたとき、
D
uvSSL1 < D
uvSSL2 < D
uvSSL4
である。
(IX’-2)
D
uvSSL2 = D
uvSSL1 +(D
uvSSL4 - D
uvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
(IX’-3)
前記第1照明ステップの場合と同様に定義される、前記第4照明ステップに係るΔC
n(nは1~15のすべての整数)の平均をSAT
ave4としたとき、
SAT
ave4 < SAT
ave2 < SAT
ave1
である。
(IX’-4)
SAT
ave2 = SAT
ave1 +(SAT
ave4 - SAT
ave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【請求項21】
請求項20に記載の照明方法であって、
(I’-4)前記第1照明ステップに係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たすことを特徴とする照明方法。
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものである。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の照明方法であって、
(II’-4)前記第2照明ステップに係る飽和度差ΔC
14が、
0 ≦ ΔC
14
を満たすことを特徴とする照明方法。
ただし、ΔC
14は前記ΔC
nにおけるn=14の場合を示すものである。
【請求項23】
請求項20~22のいずれか1項に記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
前記条件(IX’-1)及び条件(IX’-2)を共に満たすことを特徴とする照明方法。
【請求項24】
請求項20~22のいずれか1項に記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
前記条件(IX’-3)及び条件(IX’-4)を共に満たすことを特徴とする照明方法。
【請求項25】
請求項20~22のいずれか1項に記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
前記条件(IX’-1)乃至条件(IX’-4)をすべて満たすことを特徴とする照明方法。
【請求項26】
請求項20~25のいずれか1項に記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
下記条件(IX’-5)を満たすことを特徴とする照明方法。
(IX’-5)
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光の相関色温度をT
SSL1(K)とし、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光の相関色温度をT
SSL2(K)とし、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光の相関色温度をT
SSL4(K)とし、
該T
SSL1(K)と該T
SSL4(K)とを比較した際に、大きい方をT
SSL-H(K)とし、小さい方をT
SSL-L(K)とし、
該T
SSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K
-1)とし、該T
SSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K
-1)とし、該T
SSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K
-1)としたときに、
Mired-2(K
-1) = Mired-L(K
-1) +(Mired-H(K
-1) - Mired-L(K
-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示物が展示された空間を照明する照明システム及び照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CIEで定義された基準の光で照明された場合や、基準の光に近接した色の見えとなり高Raかつ高Riである光を放射する発光装置で照明した場合等に比較して、ほぼ同様の相関色温度(Correlated Color Temperature, CCT)、ほぼ同様の照度であっても、統計的に多数の被験者がより良いと判断する真に良好な物体の色の見えを実現可能な照明方法及び発光装置が開発されている。該照明方法による照明や該発光装置を用いた照明は、VIVID照明などと称されることがある。このようなVIVID照明は、応用分野が非常に広く、例えば、衣料品、食品、車、かばん、靴、装飾品、家具等の展示物用照明として好ましいことが報告されている(特許文献1及び2)。
【0003】
一方で、特許文献1及び2にも記載されている通り、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離Duvが正に偏ると白色は緑かかって見え、Duvが負の場合には白色は赤み(桃色)がかって見えるとされ、Duvが0近傍から離れると色の見えは全体に不自然に見えるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本特許第5257538号明細書
【文献】日本特許第5252107号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Duvが0から負に大きく離れたVIVID照明で展示物を含む空間を照射する(展示物を主として照射する)場合であって、例えば、
(i)該VIVID照明だけで該空間を照射する場合や、(ii)該VIVID照明で照射された該空間と、白熱電球や蛍光灯など従来から用いられている白色LED照明で照射された空間とが隣接している(光野が一部重複している場合も含む。)場合には、該VIVID照明で照射された該空間を薄桃色がかっていると知覚することがある。また、該VIVID照明で照射された該空間に他方の空間から移動した場合に、該VIVID照明で照射された該空間を薄桃色がかっていると知覚し、違和感を覚える場合がある。
本発明は、Duvが0から負に大きく離れたVIVID照明で照射された、展示物を含む空間を薄桃色がかっていると知覚しないようにする照明システム及び照明方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、以下の手段により上記課題が解決できることを見出した。すなわち、 上記(i)については、Duvが0から負に大きく離れたVIVID照明に加え、Duvが負であって、該VIVID照明のDuvよりもDuvが大きいVIVID照明を用いる。
上記(ii)については、Duvが0から負に大きく離れたVIVID照明と、白熱電球や蛍光灯など従来から用いられている白色LED照明とに加え、Duvが負であって、該VIVID照明のDuvよりもDuvが大きいVIVID照明を用いる。
【0007】
本発明は、具体的には以下の通りである。
〔1〕展示物が展示された空間を照明する照明システムであって、
該照明システムは、展示物を主として照射する第1の発光装置、及び、該展示物以外の空間を主として照射する第2の発光装置を含み、
(I)前記第1の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(I-1)前記発光装置から出射される光は、Duvが-0.0120以上-0.0050以下となる光を主たる放射方向に含み;
(I-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nSSL、b*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nref、b*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、
飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔCn(nは1から15の自然数)=√{(a*
nSSL)2+(b*
nSSL)2}-√{(a*
nref)2+(b*
nref)2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(I-4)前記発光装置に係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たし、
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものであり;
(II)前記第2の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(II-1)前記発光装置から出射される光は、Duvが-0.0070以上0未満となる光を主たる放射方向に含み;
(II-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、前記第1の発光装置の場合と同様に定義されるΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II-4)前記発光装置に係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たし、
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものであり;
(III)前記第1の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2としたとき、
SATave2 < SATave1
を満たすことを特徴とする照明システム。
【0008】
〔2〕〔1〕に記載の照明システムであって、
(IV)前記第1の発光装置に係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るDuvをDuvSSL2としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2
を満たすことを特徴とする照明システム。
【0009】
〔3〕〔1〕又は〔2〕に記載の照明システムであって、
(V)前記DuvSSL1と前記DuvSSL2との差である|DuvSSL2 - DuvSSL1|が、0より大きく0.0070以下を満たすことを特徴とする照明システム。
【0010】
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の照明システムであって、
前記第1及び第2の発光装置は、
(I-5)(II-5)前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφ
SSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφ
ref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(X
SSL、Y
SSL、Z
SSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(X
ref、Y
ref、Z
ref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布S
SSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布S
ref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS
SSL(λ)をそれぞれ、
S
SSL(λ)=φ
SSL(λ)/Y
SSL
S
ref(λ)=φ
ref(λ)/Y
ref
ΔS
SSL(λ)=S
ref(λ)-S
SSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり、
一方、波長380nm以上780nm以内の範囲で、前記S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり;
【数1】
【数2】
(VI)前記第1の発光装置に係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL1(λ))とし、前記第2の発光装置に係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL2(λ))としたとき、
A
cg(φ
SSL1(λ)) < A
cg(φ
SSL2(λ))
であることを特徴とする照明システム。
【0011】
〔5〕〔2〕~〔4〕のいずれかに記載の照明システムであって、
(VII)前記DuvSSL1に対する前記DuvSSL2の比であるDuvSSL2/DuvSSL1が、0.25以上0.75以下を満たすことを特徴とする照明システム。
【0012】
〔6〕更に第3の発光装置を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の照明システムであって、
前記展示物が展示された空間は少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であり、
該第3の発光装置が主として照射する空間は、該出入口のうちの1以上の出入口であり、
該第3の発光装置は、前記第1の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさず、かつ、前記第2の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさない発光装置である、照明システム。
【0013】
〔7〕展示物が展示された空間を照明する照明方法であって、
該照明方法は、第1の発光装置により展示物を主として照射する第1照明ステップ、及び、第2の発光装置により該展示物以外の空間を主として照射する第2照明ステップを含み、
(I’)前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際に、前記展示物の位置で測定した光が以下の条件を満たすように照明し:
(I’-1)Duvが-0.0120以上-0.0050以下であり;
(I’-2)前記展示物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nSSL、b*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記展示物の位置で測定した光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nref、b*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔCn(nは1から15の自然数)=√{(a*
nSSL)2+(b*
nSSL)2}-√{(a*
nref)2+(b*
nref)2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I’-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(I’-4)前記照明ステップに係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たし、
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものであり;
(II’)前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際に、該展示物以外の空間で測定した光が以下の条件を満たすように照明することを特徴とする、照明方法:
(II’-1)Duvが-0.0070以上0未満であり;
(II’-2)前記展示物以外の空間で測定した光について、前記第1照明ステップの場合と同様に定義される飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II’-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II’-4)前記照明ステップに係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たし、
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものであり;
(III’)前記第1照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2としたとき、
SATave2 < SATave1
を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【0014】
〔8〕〔7〕に記載の照明方法であって、
(IV’)前記第1照明ステップに係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2照明ステップに係るDuvをDuvSSL2としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2
を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【0015】
〔9〕〔7〕又は〔8〕に記載の照明方法であって、
(V’)前記DuvSSL1と前記DuvSSL2との差である|DuvSSL2 - DuvSSL1|が、0より大きく0.0070以下を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【0016】
〔10〕〔7〕~〔9〕のいずれかに記載の照明方法であって、
(I’-5)(II’-5)前記第1照明ステップにおける前記展示物の位置で測定した光、及び、前記第2照明ステップにおける、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間で測定した光について、
分光分布をφ
SSL(λ)、相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφ
ref(λ)、三刺激値を(X
SSL、Y
SSL、Z
SSL)、相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(X
ref、Y
ref、Z
ref)とし、
規格化分光分布S
SSL(λ)と、相関色温度T
SSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布S
ref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS
SSL(λ)をそれぞれ、
S
SSL(λ)=φ
SSL(λ)/Y
SSL
S
ref(λ)=φ
ref(λ)/Y
ref
ΔS
SSL(λ)=S
ref(λ)-S
SSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり、
一方、波長380nm以上780nm以内の範囲で、前記S
SSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ
R(nm)とした際に、前記λ
Rよりも長波長側にS
SSL(λ
R)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標A
cgが-30以上120以下であり;
【数3】
【数4】
(VI’)前記第1照明ステップに係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL1(λ))とし、前記第2照明ステップに係る指標A
cgをA
cg(φ
SSL2(λ))としたとき、
A
cg(φ
SSL1(λ)) < A
cg(φ
SSL2(λ))
を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【0017】
〔11〕〔8〕~〔10〕のいずれかに記載の照明方法であって、
(VII’)前記DuvSSL1に対する前記DuvSSL2の比であるDuvSSL2/DuvSSL1が、0.25以上0.75以下を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
【0018】
〔12〕〔7〕~〔11〕のいずれかに記載の照明方法であって、
前記展示物が展示された空間は少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であり、
更に、第3の発光装置により該出入口のうちの1以上の出入口を主として照射する第3照明ステップを含み、
該第3の発光装置は、前記第1の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさず、かつ、前記第2の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさない発光装置である、照明方法。
【0019】
〔13〕展示物が展示された空間を照明する照明システムであって、
該照明システムは、展示物を主として照射する第1の発光装置、該展示物以外の空間を主として照射する第2の発光装置、及び、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射する第4の発光装置を含み、
(I)前記第1の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(I-1)前記発光装置から出射される光は、Duvが-0.0120以上-0.0050以下となる光を主たる放射方向に含み;
(I-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nSSL、b*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nref、b*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、
飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔCn(nは1から15の自然数)=√{(a*
nSSL)2+(b*
nSSL)2}-√{(a*
nref)2+(b*
nref)2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II)前記第2の発光装置は、発光要素を内在する発光装置であって、
(II-1)前記発光装置から出射される光は、Duvが-0.0070以上0未満となる光を主たる放射方向に含み;
(II-2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、前記第1の発光装置の場合と同様に定義されるΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(III)前記第1の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2としたとき、
SATave2 < SATave1
を満たし;
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、下記条件(IX-1)乃至条件(IX-4)の少なくとも1つを満たすことを特徴とする照明システム。
(IX-1)
前記第1の発光装置に係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るDuvをDuvSSL2とし、前記第4の発光装置に係るDuvをDuvSSL4としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL4
である。
(IX-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL4 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
(IX-3)
前記第1の発光装置の場合と同様に定義される、前記第4の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave4としたとき、
SATave4 < SATave2 < SATave1
である。
(IX-4)
SATave2 = SATave1 +(SATave4 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【0020】
〔14〕〔13〕に記載の照明システムであって、
(I-4)前記第1の発光装置に係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たすことを特徴とする照明システム。
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものである。
【0021】
〔15〕〔13〕又は〔14〕に記載の照明システムであって、
(II-4)前記第2の発光装置に係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たすことを特徴とする照明システム。
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものである。
【0022】
〔16〕〔13〕~〔15〕のいずれかに記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、前記条件(IX-1)及び条件(IX-2)を共に満たすことを特徴とする照明システム。
【0023】
〔17〕〔13〕~〔15〕のいずれかに記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、前記条件(IX-3)及び条件(IX-4)を共に満たすことを特徴とする照明システム。
【0024】
〔18〕〔13〕~〔15〕のいずれかに記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、前記条件(IX-1)乃至条件(IX-4)をすべて満たすことを特徴とする照明システム。
【0025】
〔19〕〔13〕~〔18〕のいずれかに記載の照明システムであって、
前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、前記第4の発光装置は、下記条件(IX-5)を満たすことを特徴とする照明システム。
(IX-5)
前記第1の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL1(K)とし、
前記第2の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL2(K)とし、
前記第4の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL4(K)とし、
該TSSL1(K)と該TSSL4(K)とを比較した際に、大きい方をTSSL-H(K)とし、小さい方をTSSL-L(K)とし、
該TSSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K-1)とし、該TSSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K-1)とし、該TSSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K-1)としたときに、
Mired-2(K-1) = Mired-L(K-1) +(Mired-H(K-1) - Mired-L(K-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【0026】
〔20〕展示物が展示された空間を照明する照明方法であって、
該照明方法は、第1の発光装置により展示物を主として照射する第1照明ステップ、第2の発光装置により該展示物以外の空間を主として照射する第2照明ステップ、及び、第4の発光装置により該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射する第4照明ステップを含み、
(I’)前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際に、前記展示物の位置で測定した光が以下の条件を満たすように照明し:
(I’-1)Duvが-0.0120以上-0.0050以下であり;
(I’-2)前記展示物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nSSL、b*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記展示物の位置で測定した光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nref、b*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし、
ただし、ΔCn(nは1から15の自然数)=√{(a*
nSSL)2+(b*
nSSL)2}-√{(a*
nref)2+(b*
nref)2}であり;
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(I’-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(II’)前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際に、該展示物以外の空間で測定した光が以下の条件を満たすように照明し:
(II’-1)Duvが-0.0070以上0未満であり;
(II’-2)前記展示物以外の空間で測定した光について、前記第1照明ステップの場合と同様に定義される飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たし;
(II’-3)前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上7.0以下であり;
(III’)前記第1照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2としたとき、
SATave2 < SATave1
を満たし;
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
下記条件(IX’-1)乃至条件(IX’-4)の少なくとも1つを満たすように照明することを特徴とする照明方法。
(IX’-1)
前記第1照明ステップに係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2照明ステップに係るDuvをDuvSSL2とし、前記第4照明ステップに係るDuvをDuvSSL4としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL4
である。
(IX’-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL4 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
(IX’-3)
前記第1照明ステップの場合と同様に定義される、前記第4照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave4としたとき、
SATave4 < SATave2 < SATave1
である。
(IX’-4)
SATave2 = SATave1 +(SATave4 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【0027】
〔21〕〔20〕に記載の照明方法であって、
(I’-4)前記第1照明ステップに係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たすことを特徴とする照明方法。
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものである。
【0028】
〔22〕〔20〕又は〔21〕に記載の照明方法であって、
(II’-4)前記第2照明ステップに係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たすことを特徴とする照明方法。
ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示すものである。
【0029】
〔23〕〔20〕~〔22〕のいずれかに記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
前記条件(IX’-1)及び条件(IX’-2)を共に満たすことを特徴とする照明方法。
【0030】
〔24〕〔20〕~〔22〕のいずれかに記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
前記条件(IX’-3)及び条件(IX’-4)を共に満たすことを特徴とする照明方法。
【0031】
〔25〕〔20〕~〔22〕のいずれかに記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
前記条件(IX’-1)乃至条件(IX’-4)をすべて満たすことを特徴とする照明方法。
【0032】
〔26〕〔20〕~〔25〕のいずれかに記載の照明方法であって、
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
下記条件(IX’-5)を満たすことを特徴とする照明方法。
(IX’-5)
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光の相関色温度をTSSL1(K)とし、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光の相関色温度をTSSL2(K)とし、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光の相関色温度をTSSL4(K)とし、
該TSSL1(K)と該TSSL4(K)とを比較した際に、大きい方をTSSL-H(K)とし、小さい方をTSSL-L(K)とし、
該TSSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K-1)とし、該TSSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K-1)とし、該TSSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K-1)としたときに、
Mired-2(K-1) = Mired-L(K-1) +(Mired-H(K-1) - Mired-L(K-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは0.35以下である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、Duvが0から負に大きく離れたVIVID照明で照射された、展示物を含む空間を薄桃色がかっていると知覚しない照明システム及び照明方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態における発光装置の光野を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における発光装置の光野を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における発光装置の光野を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態における発光装置の光野を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における発光装置の光野を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態における発光装置の光野を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。また、本明細書に記載されたパラメータの定義は、当業者であれば、特許文献1及び2を参酌して容易に理解できるものである。
【0036】
本発明は、展示物が展示された空間を照明する照明システム(第一の実施態様)、および、展示物が展示された空間を照明する照明方法(第二の実施態様)を含む。
【0037】
<1.第一の実施態様>
本発明の第一の実施態様は、展示物が展示された空間を照明する照明システムであって、該照明システムは、展示物を主として照射する所定の条件を満たす第1の発光装置、及び、該展示物以外の空間を主として照射する所定の条件を満たす第2の発光装置を含む。
また、他の態様は、展示物が展示された空間を照明する照明システムであって、該照明システムは、展示物を主として照射する所定の条件を満たす第1の発光装置、該展示物以外の空間を主として照射する所定の条件を満たす第2の発光装置、及び、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射する所定の条件を満たす第4の発光装置を含む。
なお、所定の条件の記載は、特許文献1及び特許文献2の記載内容を参照して理解される。
また、該照明システムが含む第1の発光装置は、所定の条件を満たせば、1種でも2種以上でもよく、個数として1でも2以上でもよい。また、該照明システムが含む第2乃至第4の発光装置についても同様である。
【0038】
また、以下では、第1乃至第4の発光装置のそれぞれが満たす好ましい条件を記載するが、いずれの発光装置も、該所定の条件の少なくとも1つを満たせばよく、より多くの条件を満たすことが好ましい。
【0039】
(展示物)
本実施態様における展示物とは特に制限されるものではなく、例えば、博物館等の展示物、商品や広告や販促物などの陳列される物、アミューズメント施設におけるアトラクション(催し物や見せ物など)などが挙げられる。
【0040】
(展示物が展示された空間)
本実施態様における展示物が展示された空間とは、屋外などの開放空間や、屋内や屋内の区域内などの閉鎖空間であってよい。閉鎖空間である場合、該閉鎖空間は、出入口を備えていても、いなくてもよいが、少なくとも1つの出入口を備えていることが好ましい。該出入口は、例えば、扉やドア、シャッター等を備えていなくてもよいが、備えていることが好ましく、該出入口が閉まっていても、閉まっていなくてもよいが、閉まっていることが好ましい。
本実施態様の効果が好ましく発揮されることから、好ましくは閉鎖空間である。
該閉鎖空間は、特に制限されないが、例えば、展示物が展示された美術館、博物館や水族館などの展示施設内の展示スペース、会社内の来客待合所等にある製品展示スペース、商品や広告や販促物などが陳列された店内の陳列スペース、アミューズメント施設におけるアトラクションスペースなどが挙げられる。
【0041】
(第1の発光装置)
本実施態様に係る照明システムが含む第1の発光装置は、展示物を主として照射し、所定の条件を満たすものである。
第1の発光装置による「展示物を主として照射する」とは、その光野に展示物を含み、照射対象となる展示物を集中的に照射することをいうが、後述する第2の発光装置の光野がその光野に含まれてもよい。第2の発光装置とは、例えば、閉鎖空間において、第1の発光装置により該展示物を照射していなくても点灯している照明等が相当する。具体的には、閉鎖空間において、照射対象となる展示物を集中的に照射するスポットライト等が第1の発光装置に相当し、天井等に設置された該閉鎖空間全体を照明する蛍光灯等が第2の発光装置に相当する。
同様に、第1の発光装置の光野には、後述する第3の発光装置の光野及び/又は第4の発光装置の光野が含まれても構わない。
【0042】
(I)
第1の発光装置は、発光要素を内在する。
【0043】
(I-1)
前記発光装置から出射される光は、Duvが-0.0300以上-0.0050以下となる光を主たる放射方向に含む。
Duvは、好ましくは-0.0120以上、より好ましくは-0.0110以上、さらに好ましくは-0.0100以上、よりさらに好ましくは-0.0095以上である。一方で、好ましくは-0.0052以下、より好ましくは-0.0053以下、さらに好ましくは-0.0055以下である。
【0044】
(I-2)
前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nSSL、b*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nref、b*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、
飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たす。
ただし、ΔCn(nは1から15の自然数)=√{(a*
nSSL)2+(b*
nSSL)2}-√{(a*
nref)2+(b*
nref)2}である。尚、本明細書を通して、「√」は根号(radical symbol)を示す。
ΔCn(nは1から15の自然数)は、好ましくは-3.0以上、より好ましくは-2.8以上、さらに好ましくは-2.5以上である。一方で、好ましくは17.0以下、より好ましくは16.0以下、さらに好ましくは15.0以下である。
【0045】
(I-3)
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上10.0以下である。
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。一方で、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.8以下、さらに好ましくは6.5以下、よりさらに好ましくは5.0以下である。
【0046】
(I-4)
前記発光装置に係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
である。ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示す。
ΔC14は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。一方で、好ましくは15.0以下、より好ましくは10.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
【0047】
前記発光装置は、好ましくは、さらに下記の条件を満たす。
(I-5)
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔSSSL(λ)をそれぞれ、
SSSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔSSSL(λ)=Sref(λ)-SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、前記λRよりも長波長側にSSSL(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標Acgが-30以上120以下であり、
一方、波長380nm以上780nm以内の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、前記λRよりも長波長側にSSSL(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標Acgが-30以上120以下である。
【0048】
【0049】
【0050】
指標Acgは、好ましくは-28以上、より好ましくは-27以上、さらに好ましくは-25以上である。一方で、好ましくは80以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは0以下である。
【0051】
(第2の発光装置)
本実施態様に係る照明システムが含む第2の発光装置は、第1の発光装置が主として照射する上記展示物以外の空間を主として照射し、所定の条件を満たすものである。
第2の発光装置による「展示物以外の空間を主として照射する」とは、第1の発光装置のように照射対象となる展示物を集中的に照射することをいうのではなく、該展示物が存在しない空間を主として照射することをいうが、該展示物が展示された空間全体を照射するように、前述した第1の発光装置の光野が第2の発光装置の光野に含まれてもよい。例えば、閉鎖空間において、第1の発光装置により該展示物を照射していなくても点灯している照明等が該第2の発光装置に相当し、該第2の発光装置により該閉鎖空間全体を照射すること等が挙げられる。具体的には、閉鎖空間において、照射対象となる展示物を集中的に照射するスポットライト等が第1の発光装置に相当し、天井等に設置された該閉鎖空間全体を照明する蛍光灯等が第2の発光装置に相当する。
同様に、第2の発光装置の光野には、後述する第3の発光装置の光野及び/又は第4の発光装置の光野が含まれても構わない。
【0052】
(II)
第2の発光装置は、発光要素を内在する。
【0053】
(II-1)
前記発光装置から出射される光は、Duvが-0.0070以上0未満となる光を主たる放射方向に含む。
Duvは、好ましくは-0.0069以上、より好ましくは-0.0068以上、さらに好ましくは-0.0065以上である。一方で、好ましくは-0.0010以下、より好ましくは-0.0015以下、さらに好ましくは-0.0025以下である。
【0054】
(II-2)
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、前記第1の発光装置の場合と同様に定義される飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たす。
ΔCn(nは1から15の自然数)は、好ましくは-3.0以上、より好ましくは-2.8以上、さらに好ましくは-2.5以上である。一方で、好ましくは17.0以下、より好ましくは16.0以下、さらに好ましくは15.0以下である。
【0055】
(II-3)
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上10.0以下である。
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均は、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上である。一方で、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.5以下、さらに好ましくは5.5以下、よりさらに好ましくは4.0以下である。
【0056】
(II-4)
前記発光装置に係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
である。ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示す。
飽和度差ΔC14は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。一方で、好ましくは15.0以下、より好ましくは10.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
【0057】
前記発光装置は、好ましくは、さらに下記の条件を満たす。
(II-5)
前記条件(I-4)と同様に定義される、
上記数式(1)で表される指標Acgが-30以上120以下であり、
一方、上記数式(2)で表される指標Acgが-30以上120以下である。
【0058】
指標Acgは、好ましくは-10以上、より好ましくは-5以上、さらに好ましくは0以上である。一方で、好ましくは118以下、より好ましくは116以下、さらに好ましくは115以下である。
【0059】
(第1の発光装置と第2の発光装置との関係)
本実施態様に係る照明システムは、第1の発光装置と第2の発光装置との関係が、さらに下記の条件を満たす。
(III)
前記第1の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2としたとき、
SATave2 < SATave1
を満たす。
【0060】
また、本実施態様に係る照明システムは、第1の発光装置と第2の発光装置との関係が、好ましくは、さらに下記の条件を満たす。
(IV)
前記第1の発光装置に係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るDuvをDuvSSL2としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2
を満たす。
【0061】
(V)
前記DuvSSL1と前記DuvSSL2との差である|DuvSSL2 - DuvSSL1|は、0より大きく0.0070以下を満たす。
差|DuvSSL2 - DuvSSL1|は、好ましくは0.0010以上、より好ましくは0.0012以上、さらに好ましくは0.0015以上である。一方で、好ましくは0.0065以下、より好ましくは0.0060以下、さらに好ましくは0.0040以下である。
【0062】
(VI)
前記第1の発光装置に係る指標AcgをAcg(φSSL1(λ))とし、前記第2の発光装置に係る指標AcgをAcg(φSSL2(λ))としたとき、
Acg(φSSL1(λ)) < Acg(φSSL2(λ))
である。
【0063】
(VII)
前記DuvSSL1に対する前記DuvSSL2の比であるDuvSSL2/DuvSSL1が、0.25以上0.75以下を満たす。
比であるDuvSSL2/DuvSSL1は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.40以上である。一方で、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.65以下、さらに好ましくは0.60以下である。
【0064】
(第3の発光装置)
本実施態様に係る照明システムは、好ましくは、更に第3の発光装置を含む。
該第3の発光装置が主として照射する空間は、前記第1の発光装置が主として照射する展示物でも前記第2の発光装置が主として照射する空間でもない空間であり、該展示物が展示された空間が少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であって、該出入口のうちの1以上の出入口である。
【0065】
本実施態様に係る照明システムは、前記第1の発光装置と前記第2の発光装置とを含んだ上で、該第3の発光装置を含んで後述の第4の発光装置を含まなくてもよいし、該第3の発光装置を含まずに後述の第4の発光装置を含んでもよいし、該第3の発光装置を含んでさらに後述の第4の発光装置を含んでもよい。
第3の発光装置の光野には、前記第1の発光装置の光野、前記第2の発光装置の光野、及び、後述する第4の発光装置の光野のいずれが含まれても構わない。
【0066】
該第3の発光装置としては、前記第1の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさず、かつ、前記第2の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさない発光装置である。例えば、LED発光装置、白熱電球、蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯、有機ELなどが挙げられる。
【0067】
(第1の発光装置と第2の発光装置と第3の発光装置との関係)
本実施態様に係る照明システムが前記第1の発光装置と前記第2の発光装置とを含んだ上で、後述の第4の発光装置を含まずに該第3の発光装置を含む場合、本実施態様に係る照明システムは、第1の発光装置と第2の発光装置と第3の発光装置との関係が、下記条件(VIII-1)乃至条件(VIII-4)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。これにより、3種の発光装置からの出射されたそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションが作られる。
また、下記条件(VIII-1)及び下記条件(VIII-2)を共に満たす態様が好ましく、下記条件(VIII-3)及び下記条件(VIII-4)を共に満たす態様も好ましい。
また、下記条件(VIII-1)乃至条件(VIII-4)のすべてを満たすことが好ましい。
【0068】
(VIII-1)
前記第1の発光装置に係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るDuvをDuvSSL2とし、該第3の発光装置に係るDuvをDuvSSL3としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL3
である。
【0069】
(VIII-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL3 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0070】
(VIII-3)
前記第1の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2とし、
前記第1の発光装置の場合と同様に定義される、該第3の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave3としたとき、
SATave3 < SATave2 < SATave1
である。
【0071】
(VIII-4)
SATave2 = SATave1 +(SATave3 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0072】
また、本実施態様に係る照明システムは、前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、該第3の発光装置が、下記条件(VIII-5)を満たすことが好ましい。
(VIII-5)
前記第1の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL1(K)とし、
前記第2の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL2(K)とし、
該第3の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL3(K)とし、
該TSSL1(K)と該TSSL3(K)とを比較した際に、大きい方をTSSL-H(K)とし、小さい方をTSSL-L(K)とし、
該TSSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K-1)とし、該TSSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K-1)とし、該TSSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K-1)としたときに、
Mired-2(K-1) = Mired-L(K-1) +(Mired-H(K-1) - Mired-L(K-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
尚、Mired-H(K-1)、Mired-L(K-1)及びMired-2(K-1)の技術的意義は、出願時の当業者であれば容易に理解することができる。
【0073】
(第4の発光装置)
本実施態様に係る照明システムは、好ましくは、更に第4の発光装置を含む。
該第4の発光装置が主として照射する空間は、前記第1の発光装置が主として照射する展示物でも、前記第2の発光装置が主として照射する空間でも、前記第3の発光装置が主として照射する空間でもない空間であって、該展示物が展示された空間の周辺の空間である。例えば、展示物が展示された空間が出入口を備えているが該出入口が閉まっていない閉鎖空間である場合におけるその周辺の空間である。したがって、該第4の発光装置の具体的としては、展示物が展示された空間として、ショッピングモールにおいて出入口を備えているが該出入口が閉まっていない閉鎖空間である店舗を考えた場合に、当該店舗の隣の店舗を主として照明する発光装置や、当該店舗の向かい側の店舗を主として照明する発光装置、当該店舗の出入口に隣接する通路を主として照明する発光装置などが挙げられる。
【0074】
本実施態様に係る照明システムは、上述の通り、前記第1の発光装置と前記第2の発光装置とを含んだ上で、前記第3の発光装置を含んで該第4の発光装置を含まなくてもよいし、前記第3の発光装置を含まずに該第4の発光装置を含んでもよいし、前記第3の発光装置を含んでさらに該第4の発光装置を含んでもよい。
第4の発光装置の光野には、前記第1の発光装置の光野、前記第2の発光装置の光野、及び、前記第3の発光装置の光野のいずれが含まれても構わない。
【0075】
該第4の発光装置としては、前記第1の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさず、かつ、前記第2の発光装置が満たす前記条件のうち少なくとも1つを満たさない発光装置である。例えば、LED発光装置、白熱電球、蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯、有機ELなどが挙げられる。
【0076】
(第1の発光装置と第2の発光装置と第4の発光装置との関係)
本実施態様に係る照明システムが前記第1の発光装置と前記第2の発光装置とを含んだ上で、前記第3の発光装置を含まずに該第4の発光装置を含む場合、本実施態様に係る照明システムは、第1の発光装置と第2の発光装置と第4の発光装置との関係が、下記条件(IX-1)乃至条件(IX-4)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。これにより、3種の発光装置からの出射されたそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションが作られる。
また、下記条件(IX-1)及び下記条件(IX-2)を共に満たす態様が好ましく、下記条件(IX-3)及び下記条件(IX-4)を共に満たす態様も好ましい。
また、下記条件(IX-1)乃至条件(IX-4)のすべてを満たすことが好ましい。
【0077】
(IX-1)
前記第1の発光装置に係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るDuvをDuvSSL2とし、該第4の発光装置に係るDuvをDuvSSL4としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL4
である。
【0078】
(IX-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL4 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0079】
(IX-3)
前記第1の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2とし、
前記第1の発光装置の場合と同様に定義される、該第4の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave4としたとき、
SATave4 < SATave2 < SATave1
である。
【0080】
(IX-4)
SATave2 = SATave1 +(SATave4 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0081】
また、本実施態様に係る照明システムは、前記第1の発光装置、前記第2の発光装置、及び、該第4の発光装置が、下記条件(IX-5)を満たすことが好ましい。
(IX-5)
前記第1の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL1(K)とし、
前記第2の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL2(K)とし、
該第4の発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度をTSSL4(K)とし、
該TSSL1(K)と該TSSL4(K)とを比較した際に、大きい方をTSSL-H(K)とし、小さい方をTSSL-L(K)とし、
該TSSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K-1)とし、該TSSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K-1)とし、該TSSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K-1)としたときに、
Mired-2(K-1) = Mired-L(K-1) +(Mired-H(K-1) - Mired-L(K-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
尚、Mired-H(K-1)、Mired-L(K-1)及びMired-2(K-1)の技術的意義は、出願時の当業者であれば容易に理解することができる。
【0082】
(第1の発光装置と第2の発光装置と第3の発光装置と第4の発光装置との関係)
本実施態様に係る照明システムが前記第1乃至第4の発光装置を含む場合、本実施態様に係る照明システムは、第1乃至第4の発光装置との関係が、下記条件(X-1)乃至条件(X-3)のすべてを満たすことが好ましい。
また、下記条件(X-4)乃至条件(X-6)のすべてを満たす態様も好ましい。
これにより、4種の発光装置からの出射されたそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションが作られる。
【0083】
(X-1)
前記第1の発光装置に係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2の発光装置に係るDuvをDuvSSL2とし、前記第3の発光装置に係るDuvをDuvSSL3とし、前記第4の発光装置に係るDuvをDuvSSL4としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL3 < DuvSSL4
である。
【0084】
(X-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL3 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0085】
(X-3)
DuvSSL3 = DuvSSL2 +(DuvSSL4 - DuvSSL2)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0086】
(X-4)
前記第1の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2とし、
前記第3の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave3とし、
前記第4の発光装置に係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave4としたとき、
SATave4 < SATave3 < SATave2 < SATave1
である。
【0087】
(X-5)
SATave2 = SATave1 +(SATave3 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0088】
(X-6)
SATave3 = SATave2 +(SATave4 - SATave2)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0089】
<2.第二の実施態様>
本発明の第二の実施態様は、展示物が展示された空間を照明する照明方法であって、該照明方法は、所定の条件を満たす第1の発光装置により展示物を主として照射する第1照明ステップ、及び、所定の条件を満たす第2の発光装置により該展示物以外の空間を主として照射する第2照明ステップを含む。
また、他の態様は、展示物が展示された空間を照明する照明方法であって、該照明方法は、所定の条件を満たす第1の発光装置により展示物を主として照射する第1照明ステップ、所定の条件を満たす第2の発光装置により該展示物以外の空間を主として照射する第2照明ステップ、所定の条件を満たす第4の発光装置により該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射する第4照明ステップを含む。
なお、所定の条件の記載は、特許文献1及び特許文献2の記載内容を参照して理解される。
該照明方法で用いる第1の発光装置は、所定の条件を満たせば、1種でも2種以上でもよく、個数として1でも2以上でもよい。また、該照明方法で用いる第2乃至第4の発光装置についても同様である。
【0090】
また、以下では、該照明方法で用いる第1乃至第4照明ステップのそれぞれが満たす好ましい条件を記載するが、いずれの照明ステップも、該所定の条件の少なくとも1つを満たせばよく、より多くの条件を満たすことが好ましい。
【0091】
(展示物)
本実施態様における展示物については、本発明の第一の実施態様に記載した展示物に関する記載が援用される。
【0092】
(展示物が展示された空間)
本実施態様における展示物が展示された空間については、本発明の第一の実施態様に記載した展示物が展示された空間に関する記載が援用される。
【0093】
(第1照明ステップ)
(I)
第1照明ステップは、第1の発光装置により展示物を主として照射する照明ステップであって、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際に、前記展示物の位置で測定した光が所定の条件を満たすように照明する照明ステップである。
第1の発光装置による「展示物を主として照射する」ことについては、本発明の第一の実施態様に記載した第1の発光装置に関する記載が援用される。
【0094】
(I’-1)
Duvが-0.0300以上-0.0050以下である。
Duvは、好ましくは-0.0120以上、より好ましくは-0.0110以上、さらに好ましくは-0.0100以上、よりさらに好ましくは-0.0095以上である。一方で、好ましくは-0.0052以下、より好ましくは-0.0053以下、さらに好ましくは-0.0055以下である。
【0095】
(I’-2)
前記展示物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nSSL、b*
nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記展示物の位置で測定した光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa*
nref、b*
nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、
飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たす。
ただし、ΔCn(nは1から15の自然数)=√{(a*
nSSL)2+(b*
nSSL)2}-√{(a*
nref)2+(b*
nref)2}である。
ΔCn(nは1から15の自然数)は、好ましくは-3.0以上、より好ましくは-2.8以上、さらに好ましくは-2.5以上である。一方で、好ましくは17.0以下、より好ましくは16.0以下、さらに好ましくは15.0以下である。
【0096】
(I’-3)
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上10.0以下である。
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。一方で、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.8以下、さらに好ましくは6.5以下、よりさらに好ましくは5.0以下である。
【0097】
(I’-4)
前記照明ステップに係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たす。ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示す。
ΔC14は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。一方で、好ましくは15.0以下、より好ましくは10.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
【0098】
前記照明ステップは、好ましくは、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際に、前記展示物の位置で測定した光がさらに下記の条件を満たす。
(I’-5)
前記第1照明ステップにおける前記展示物の位置で測定した光について、
分光分布をφSSL(λ)、相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
規格化分光分布SSSL(λ)と、相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔSSSL(λ)をそれぞれ、
SSSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔSSSL(λ)=Sref(λ)-SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、前記λRよりも長波長側にSSSL(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標Acgが-30以上120以下であり、
一方、波長380nm以上780nm以内の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、前記λRよりも長波長側にSSSL(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標Acgが-30以上120以下である。
【0099】
【0100】
【0101】
指標Acgは、好ましくは-28以上、より好ましくは-27以上、さらに好ましくは-25以上である。一方で、好ましくは80以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは0以下である。
【0102】
(第2照明ステップ)
(II’)
第2照明ステップは、第2の発光装置により前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明する照明ステップであって、前記第2の発光装置から出射される光が展示物以外の空間を主として照明した際に、前記展示物以外の空間で測定した光が所定の条件を満たすように照明する照明ステップである。
第2の発光装置による「展示物以外の空間を主として照射する」ことについては、本発明の第一の実施態様に記載した第2の発光装置に関する記載が援用される。
【0103】
(II’-1)
Duvが-0.0070以上0未満である。
Duvは、好ましくは-0.0069以上、より好ましくは-0.0068以上、さらに好ましくは-0.0065以上である。一方で、好ましくは-0.0010以下、より好ましくは-0.0015以下、さらに好ましくは-0.0025以下である。
【0104】
(II’-2)
前記展示物以外の空間で測定した光について、前記第1照明ステップの場合と同様に定義される飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)が-3.8以上18.6以下を満たす。
飽和度差ΔCn(nは1から15の自然数)は、好ましくは-3.0以上、より好ましくは-2.8以上、さらに好ましくは-2.5以上である。一方で、好ましくは17.0以下、より好ましくは16.0以下、さらに好ましくは15.0以下である。
【0105】
(II’-3)
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均が0.5以上10.0以下である。
前記ΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均は、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上である。一方で、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.5以下、さらに好ましくは5.5以下、よりさらに好ましくは4.0以下である。
【0106】
(II’-4)
前記照明ステップに係る飽和度差ΔC14が、
0 ≦ ΔC14
を満たす。ただし、ΔC14は前記ΔCnにおけるn=14の場合を示す。
ΔC14は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。一方で、好ましくは15.0以下、より好ましくは10.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
【0107】
前記照明ステップは、好ましくは、前記第2の発光装置から出射される光が展示物以外の空間を主として照明した際に、前記展示物以外の空間で測定した光がさらに下記の条件を満たす。
(II’-5)
前記第2照明ステップにおける、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間で測定した光について、前記第1照明ステップの場合と同様に定義される、
上記数式(1)で表される指標Acgが-30以上120以下であり、
一方、上記数式(2)で表される指標Acgが-30以上120以下である。
【0108】
指標Acgは、好ましくは-10以上、より好ましくは-5以上、さらに好ましくは0以上である。一方で、好ましくは118以下、より好ましくは116以下、さらに好ましくは115以下である。
【0109】
(第1照明ステップと第2照明ステップとの関係)
本実施態様に係る照明方法は、第1照明ステップと第2照明ステップとの関係が、さらに下記の条件を満たす。
(III’)
前記第1照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2としたとき、
SATave2 < SATave1
を満たす。
【0110】
また、本実施態様に係る照明方法は、第1照明ステップと第2照明ステップとの関係が、好ましくは、さらに下記の条件を満たす。
(IV’)
前記第1照明ステップに係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2照明ステップに係るDuvをDuvSSL2としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2
を満たす。
【0111】
(V’)
前記DuvSSL1と前記DuvSSL2との差である|DuvSSL2 - DuvSSL1|が、0より大きく0.0070以下を満たす。
差|DuvSSL2 - DuvSSL1|は、好ましくは0.0010以上、より好ましくは0.0012以上、さらに好ましくは0.0015以上である。一方で、好ましくは0.0065以下、より好ましくは0.0060以下、さらに好ましくは0.0040以下である。
【0112】
(VI’)
前記第1照明ステップに係る指標AcgをAcg(φSSL1(λ))とし、前記第2照明ステップに係る指標AcgをAcg(φSSL2(λ))としたとき、
Acg(φSSL1(λ)) < Acg(φSSL2(λ))
を満たす。
【0113】
(VII’)
前記DuvSSL1に対する前記DuvSSL2の比であるDuvSSL2/DuvSSL1が、0.25以上0.75以下を満たす。
比であるDuvSSL2/DuvSSL1は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.40以上である。一方で、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.65以下、さらに好ましくは0.60以下である。
【0114】
(第3照明ステップ)
本実施態様に係る照明方法は、好ましくは、更に、第3照明ステップを含む。
該第3照明ステップは、前記第3の発光装置により、前記第1の発光装置が主として照射する展示物でも前記第2の発光装置が主として照射する空間でもない空間を主として照射するステップである。前記第3の発光装置が主として照射する空間は、前記展示物が展示された空間が少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であって、該出入口のうちの1以上の出入口である。
本実施態様に係る照明方法は、前記第1照明ステップと前記第2照明ステップとを含んだ上で、該第3照明ステップを含んで後述の第4照明ステップを含まなくてもよいし、該第3照明ステップを含まずに後述の第4照明ステップを含んでもよいし、該第3照明ステップを含んでさらに後述の第4照明ステップを含んでもよい。
該第3の発光装置については、本発明の第一の実施態様に記載した第3の発光装置に関する記載が援用される。
【0115】
(第1照明ステップと第2照明ステップと第3照明ステップとの関係)
本実施態様に係る照明方法が前記第1照明ステップと前記第2照明ステップとを含んだ上で、後述の第4照明ステップを含まずに該第3照明ステップを含む場合、本実施態様に係る照明方法は、下記条件(VIII’-1)乃至条件(VIII’-4)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。これにより、3種の発光装置からの出射されたそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションが作られる。
すなわち、前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第3照明ステップにおいて、前記第3の発光装置から出射される光が、前記展示物が展示された空間が少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であって、該出入口のうちの1以上の出入口を主として照明した際の、該出入口のうちの1以上の出入口で測定した光が、
下記条件(VIII’-1)乃至条件(VIII’-4)の少なくとも1つを満たすように照明することが好ましい。
また、下記条件(VIII’-1)及び下記条件(VIII’-2)を共に満たす態様が好ましく、下記条件(VIII’-3)及び下記条件(VIII’-4)を共に満たす態様も好ましい。
また、下記条件(VIII’-1)乃至条件(VIII’-4)のすべてを満たすことが好ましい。
【0116】
(VIII’-1)
前記第1照明ステップに係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2照明ステップに係るDuvをDuvSSL2とし、前記第3照明ステップに係るDuvをDuvSSL3としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL3
である。
【0117】
(VIII’-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL3 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0118】
(VIII’-3)
前記第1照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2とし、
前記第1照明ステップの場合と同様に定義される、前記第3照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave3としたとき、
SATave3 < SATave2 < SATave1
である。
【0119】
(VIII’-4)
SATave2 = SATave1 +(SATave3 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0120】
また、本実施態様に係る照明方法は、下記条件(VIII’-5)を満たすことが好ましい。
(VIII’-5)
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光の相関色温度をTSSL1(K)とし、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光の相関色温度をTSSL2(K)とし、
前記第3照明ステップにおいて、前記第3の発光装置から出射される光が、前記展示物が展示された空間が少なくとも1つの出入口を備えた閉鎖空間であって、該出入口のうちの1以上の出入口を主として照明した際の、該出入口のうちの1以上の出入口で測定した光の相関色温度をTSSL3(K)とし、
該TSSL1(K)と該TSSL3(K)とを比較した際に、大きい方をTSSL-H(K)とし、小さい方をTSSL-L(K)とし、
該TSSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K-1)とし、該TSSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K-1)とし、該TSSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K-1)としたときに、
Mired-2(K-1) = Mired-L(K-1) +(Mired-H(K-1) - Mired-L(K-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
尚、Mired-H(K-1)、Mired-L(K-1)及びMired-2(K-1)の技術的意義は、出願時の当業者であれば容易に理解することができる。
【0121】
(第4照明ステップ)
本実施態様に係る照明方法は、好ましくは、更に第4照明ステップを含む。
該第4照明ステップは、前記第4の発光装置により、前記第1の発光装置が主として照射する展示物でも、前記第2の発光装置が主として照射する空間でも、前記第3の発光装置が主として照射する空間でもない空間を主として照射するステップであって、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射するステップである。該周辺の空間とは、例えば、展示物が展示された空間が出入口を備えているが該出入口が閉まっていない閉鎖空間である場合におけるその周辺の空間である。したがって、該第4照明ステップの具体例としては、展示物が展示された空間として、ショッピングモールにおいて出入口を備えているが該出入口が閉まっていない閉鎖空間である店舗を考えた場合に、前記第4の発光装置により当該店舗の隣の店舗を主として照明するステップや、前記第4の発光装置により当該店舗の向かい側の店舗を主として照明するステップ、前記第4の発光装置により当該店舗の出入口に隣接する通路を主として照明するステップなどが挙げられる。
尚、本実施態様に係る照明方法は、上述の通り、前記第1照明ステップと前記第2照明ステップとを含んだ上で、前記第3照明ステップを含んで該第4照明ステップを含まなくてもよいし、前記第3照明ステップを含まずに該第4照明ステップを含んでもよいし、前記第3照明ステップを含んでさらに該第4照明ステップを含んでもよい。
該第4の発光装置については、本発明の第一の実施態様に記載した第4の発光装置に関する記載が援用される。
【0122】
(第1照明ステップと第2照明ステップと第4照明ステップとの関係)
本実施態様に係る照明方法が前記第1照明ステップと前記第2照明ステップとを含んだ上で、前記第3照明ステップを含まずに該第4照明ステップを含む場合、本実施態様に係る照明方法は、第1照明ステップと第2照明ステップと第4照明ステップとの関係が、下記条件(IX’-1)乃至条件(IX’-4)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。これにより、3種の発光装置からの出射されたそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションが作られる。
すなわち、前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光、及び、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光が、
下記条件(IX’-1)乃至条件(IX’-4)の少なくとも1つを満たすように照明することが好ましい。
また、下記条件(IX’-1)及び下記条件(IX’-2)を共に満たす態様が好ましく、下記条件(IX’-3)及び下記条件(IX’-4)を共に満たす態様も好ましい。
また、下記条件(IX’-1)乃至条件(IX’-4)のすべてを満たすことが好ましい。
【0123】
(IX’-1)
前記第1照明ステップに係るDuvをDuvSSL1とし、前記第2照明ステップに係るDuvをDuvSSL2とし、前記第4照明ステップに係るDuvをDuvSSL4としたとき、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL4
である。
【0124】
(IX’-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL4 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0125】
(IX’-3)
前記第1照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave1とし、
前記第2照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave2とし、
前記第1照明ステップの場合と同様に定義される、前記第4照明ステップに係るΔCn(nは1~15のすべての整数)の平均をSATave4としたとき、
SATave4 < SATave2 < SATave1
である。
【0126】
(IX’-4)
SATave2 = SATave1 +(SATave4 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0127】
また、本実施態様に係る照明方法は、下記条件(IX’-5)を満たすことが好ましい。
(IX’-5)
前記第1照明ステップにおいて、前記第1の発光装置から出射される光が、展示物を主として照明した際の、前記展示物の位置で測定した光の相関色温度をTSSL1(K)とし、
前記第2照明ステップにおいて、前記第2の発光装置から出射される光が、前記第1の発光装置が主として照射した前記展示物以外の空間を主として照明した際の、該展示物以外の空間で測定した光の相関色温度をTSSL2(K)とし、
前記第4照明ステップにおいて、前記第4の発光装置から出射される光が、該展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照明した際の、該周辺の空間で測定した光の相関色温度をTSSL4(K)とし、
該TSSL1(K)と該TSSL4(K)とを比較した際に、大きい方をTSSL-H(K)とし、小さい方をTSSL-L(K)とし、
該TSSL-H(K)の逆数の100万倍をMired-H(K-1)とし、該TSSL-L(K)の逆数の100万倍をMired-L(K-1)とし、該TSSL2(K)の逆数の100万倍をMired-2(K-1)としたときに、
Mired-2(K-1) = Mired-L(K-1) +(Mired-H(K-1) - Mired-L(K-1))×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
尚、Mired-H(K-1)、Mired-L(K-1)及びMired-2(K-1)の技術的意義は、出願時の当業者であれば容易に理解することができる。
【0128】
(第1照明ステップと第2照明ステップと第3照明ステップと第4照明ステップとの関係)
本実施態様に係る照明方法が前記第1乃至第4照明ステップを含む場合、本実施態様に係る照明方法は、下記条件(X’-1)乃至条件(X’-3)のすべてを満たすことが好ましい。
また、下記条件(X’-4)乃至条件(X’-6)のすべてを満たす態様も好ましい。
これにより、4種の発光装置からの出射されたそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションが作られる。
【0129】
(X’-1)
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL3 < DuvSSL4
である。
【0130】
(X’-2)
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL3 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0131】
(X’-3)
DuvSSL3 = DuvSSL2 +(DuvSSL4 - DuvSSL2)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0132】
(X’-4)
SATave4 < SATave3 < SATave2 < SATave1
である。
【0133】
(X’-5)
SATave2 = SATave1 +(SATave3 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0134】
(X’-6)
SATave3 = SATave2 +(SATave4 - SATave2)×{(1/2)±x}
である。
ただし、xは、好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。
【0135】
<3.発光装置の好ましい実施形態>
本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様において用いる発光装置の好ましい実施形態を以下に説明するが、以下の説明で用いたものに限定されない。
【0136】
まず、当該3波長領域の中のΛ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上やGaN基板上に形成されたIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む紫色発光素子(ピーク波長が395nmから420nm程度)、青紫色発光素子(ピーク波長が420nmから455nm程度)、青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)が好ましい。さらに、GaAs基板上に形成されたZn(Cd)(S)Se系材料を活性層構造中に含む青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)も好ましい。
【0137】
次いで、当該3波長領域の中のΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、非線形光学効果を用いた二次高調波発生(SHG)等を含むレーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上あるいはGaN基板上のIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青緑発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)、緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)、黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)が好ましい。また、GaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、GaP基板上のGaAsPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。さらに、GaAs基板上のAlInGaPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。
【0138】
次いで、当該3波長領域の中のΛ3(590nm)から780nmの長波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
半導体発光素子としては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料、GaAs基板上に形成された(Al)InGaP系材料を活性層構造中に含む橙発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)、赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。また、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料を活性層構造中に含む赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。
【0139】
上記短波長領域、中波長領域、長波長領域の蛍光体材料としては、いずれの波長領域においても公知の蛍光体を用いることができる。
【0140】
本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置に用いる中間波長領域の緑色蛍光体材料の具体例としては、Ce3+を付活剤としたアルミン酸塩、Ce3+を付活剤としたイットリウムアルミニウム酸化物、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする緑色蛍光体がある。これらの緑色蛍光体は、通常、紫外~青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
【0141】
Ce3+付活アルミン酸塩蛍光体の具体例には、下記一般式(1)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
Ya(Ce,Tb,Lu)b(Ga,Sc)cAldOe (1)
(一般式(1)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0.1≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(1)で表されるCe3+付活アルミン酸塩蛍光体をG-YAG蛍光体と呼ぶ。)
特にG-YAG蛍光体においては、一般式(1)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらに、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.01≦b≦0.05かつ0.1≦c≦2.6である事が好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
また、
0.01≦b≦0.03かつ0.1≦c≦2.6である事も好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
【0142】
Ce3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体の具体例には、下記一般式(2)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
Lua(Ce,Tb,Y)b(Ga,Sc)cAldOe (2)
(一般式(2)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(2)で表されるCe3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体をLuAG蛍光体と呼ぶ。)
特にLuAG蛍光体においては、一般式(2)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.00≦b≦0.13である事が好ましく、
0.02≦b≦0.13である事がより好ましく、
0.02≦b≦0.10である事が非常に好ましい。
【0143】
その他、下記一般式(3)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
M1
aM2
bM3
cOd (3)
(一般式(3)において、M1は2価の金属元素、M2は3価の金属元素、M3は4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、2.7≦a≦3.3、1.8≦b≦2.2、2.7≦c≦3.3、11.0≦d≦13.0を満たす。)(一般式(3)で表される蛍光体をCSMS蛍光体と呼ぶ。)
【0144】
なお、上記式(3)において、M1は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又はZnであるのが更に好ましく、Caが特に好ましい。この場合、Caは単独系でもよく、Mgとの複合系でもよい。また、M1は他の2価の金属元素を含んでいてもよい。
M2は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Y、又はLuであるのが更に好ましく、Scが特に好ましい。この場合、Scは単独系でもよく、YまたはLuとの複合系でもよい。また、M2はCeを含むことを必須とし、M2は他の3価の金属元素を含んでいてもよい。
M3は4価の金属元素であるが、少なくともSiを含むことが好ましい。Si以外の4価の金属元素M3の具体例としては、Ti、Ge、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Ti、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましく、Snであることが特に好ましい。特に、M3がSiであることが好ましい。また、M3は他の4価の金属元素を含んでいてもよい。
【0145】
特にCSMS蛍光体においては、一般式(3)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置において好ましい範囲となるためには、M2に含まれるCeのM2全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。また、M2に含まれるCeのM2全体に占める割合の上限は、0.10以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。更に、M1元素に含まれるMgのM1全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。一方、上限は0.30以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。
【0146】
さらに、下記一般式(4)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
M1
aM2
bM3
cOd (4)
(一般式(4)において、M1は少なくともCeを含む付活剤元素、M2は2価の金属元素、M3は3価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、0.0001≦a≦0.2、0.8≦b≦1.2、1.6≦c≦2.4、および3.2≦d≦4.8を満たす。)(一般式(4)で表される蛍光体をCSO蛍光体と呼ぶ。)
【0147】
なお、上記式(4)において、M1は、結晶母体中に含有される付活剤元素であり、少なくともCeを含む。また、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選択された少なくとも1種の2~4価の元素を含有させることができる。
M2は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又は、Srであるのが更に好ましく、M2の元素の50モル%以上がCaであることが特に好ましい。
M3は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Yb、又はLuであるのが更に好ましく、Sc、又はScとAl、又はScとLuであるのがより一層好ましく、M3の元素の50モル%以上がScであることが特に好ましい。
M2及びM3は、それぞれ2価及び3価の金属元素を表すが、M2及び/又はM3のごく一部を1価、4価、5価のいずれかの価数の金属元素としてもよく、さらに、微量の陰イオン、たとえば、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)、窒素、硫黄、セレンなどが、化合物の中に含まれていてもよい。
【0148】
特にCSO蛍光体においては、一般式(4)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.005≦a≦0.200である事が好ましく、
0.005≦a≦0.012である事がより好ましく、
0.007≦a≦0.012である事が非常に好ましい。
【0149】
さらに、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(5)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
BaaCabSrcMgdEuxSiO4 (5)
(一般式(5)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0≦a≦2.0、0≦b<0.2、0.2≦c≦1,0、0≦d<0.2および0<x≦0.5を満たす。)(一般式(5)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩蛍光体をBSS蛍光体と呼ぶ。)
BSS蛍光体においては、一般式(5)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.20≦ c ≦1.00かつ0.25< x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.20≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
さらに、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.00<x ≦ 0.50である事が好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
【0150】
さらに、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(6)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)3Si6O12N2 (6)
(これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
BSON蛍光体においては、一般式(6)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
一般式(6)において選択できる2価金属元素(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)のうち、BaとSrとEuの組合せとすることが好ましく、さらには、Baに対するSrの比率は10~30%とすることがより好ましい。
【0151】
また、上述した諸条件を満たし、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様の効果が得られる場合には、その他、(Y1-uGdu)3(Al1-vGav)5O12:Ce,Eu(但し、u及びvはそれぞれ0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5を満たす。)で表されるイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(これをYAG蛍光体と呼ぶ。)や、Ca1.5xLa3-XSi6N11:Ce(但し、xは、0≦x≦1)で表されるランタン窒化ケイ素蛍光体(これをLSN蛍光体と呼ぶ。)などの黄色蛍光体を含んでもよい。また、Eu2+付活サイアロン結晶を母体とするSi6-zAlzOzN8-z:Eu(ただし0<z<4.2)で表される狭帯域緑色蛍光体や(これをβ-SiAlON蛍光体と呼ぶ。)やCa8MgSi4O16Cl2:Eu(これをクロロシリケート蛍光体と呼ぶ。なお、クロロシリケート蛍光体と結晶構造が同一で、元素の一部が置換された蛍光体も、クロロシリケート蛍光体に含まれる)を含んでもよい。ただし、前述のとおり、これら狭帯域緑色蛍光体、黄色蛍光体のみを中間波長領域の発光要素として発光装置を構成すると、照明対象物の所望の色の見えは実現困難となる。よって、本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置においては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を、他の半導体発光素子、広帯域蛍光体等と組み合わせて使用する事は可能ではあるが、必ずしも好ましくない。中間波長領域の発光要素としては、広帯域緑色蛍光体を用いる事が好ましい。
【0152】
本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様で用いる発光装置に用いる長波長領域の蛍光体材料の具体例としては、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物、αサイアロンまたはアルカリ土類ケイ酸塩からなる結晶を母体とする蛍光体が挙げられる。この種の赤色蛍光体は、通常、紫外~青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
【0153】
アルカリ土類ケイ窒化物結晶を母体とするものの具体例には、CaAlSiN3:Euで表される蛍光体(これをCASN蛍光体と呼ぶ。)、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Euで表される蛍光体(これをSCASN蛍光体と呼ぶ。)、(CaAlSiN3)1-x(Si2N2O)x:Eu(ただし、xは0<x<0.5)で表される蛍光体(これをCASON蛍光体と呼ぶ。)、(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5-xOxN8-x:Eu(ただし0≦x≦2)で表される蛍光体、Euy(Sr,Ca,Ba)1-y:Al1+xSi4-xOxN7-x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)で表される蛍光体が挙げられる。
【0154】
その他、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体も挙げられる。Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、Mn4+を付活剤とし、アルカリ金属、アミンまたはアルカリ土類金属のフッ化物錯体塩を母体結晶とする蛍光体である。母体結晶を形成するフッ化物錯体には、配位中心が3価金属(B、Al、Ga、In、Y、Sc、ランタノイド)のもの、4価金属(Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Re、Hf)のもの、5価金属(V、P、Nb、Ta)のものがあり、その周りに配位するフッ素原子の数は5~7である。
【0155】
具体的には、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、アルカリ金属のヘキサフルオロ錯体塩を母体結晶とするA2+xMyMnzFn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;-1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)などが挙げられる。この中でも、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上で、MがSi(ケイ素)、Ti(チタン)、またはGe(ゲルマニウム)であるもの、例えば、K2SiF6:Mn(これをKSF蛍光体と呼ぶ。)、この構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したK2Si1-xNaxAlxF6:Mn(これをKSNAF蛍光体と呼ぶ。)、K2TiF6:Mn(これをKTF蛍光体と呼ぶ。)、K2GeF6:Mn(これをKGF蛍光体と呼ぶ。)などが挙げられる。
【0156】
その他、下記一般式(7)で表される蛍光体、および下記一般式(8)で表される蛍光体も挙げられる。
(La1-x-yEuxLny)2O2S (7)
(一般式(7)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)(一般式(7)で表される酸硫化ランタン蛍光体をLOS蛍光体と呼ぶ。)
(k-x)MgO・xAF2・GeO2:yMn4+ (8)
(一般式(8)において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)(一般式(8)で表されるジャーマネート蛍光体をMGOF蛍光体と呼ぶ。)
【0157】
本発明の第一の実施態様及び第二の実施態様においては、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体のうち1種のみを発光装置に含む構成は、光源効率を向上させるうえで好ましい。
一方で、KSF蛍光体、KSNAF蛍光体、KTF蛍光体、KGF蛍光体、LOS蛍光体、MGOF蛍光体は、その半値幅がそれぞれ、6nm程度、6nm程度、6nm程度、6nm程度、4nm程度、16nm程度と極端に狭いが、これら蛍光体を、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体等と組み合わせて使用する事は、発光装置の分光分布φSSL(λ)に適切な範囲で凹凸を形成し得る場合があり、好ましい。
【0158】
Duvを0から低下させ、適切な負値にするには、種々の手段が考えられる。たとえば当該3波長領域それぞれにひとつの発光要素を有する発光装置を想定すれば、短波長領域内の発光要素の発光位置をさらに短波長側に移動させる、長波長領域内の発光要素の発光位置をさらに長波長側に移動させる、中間波長領域内の発光要素の発光位置を555nmからずらすなどのことが可能である。さらに、短波長領域内の発光要素の相対的発光強度を上げる、長波長領域内の発光要素の相対的発光強度を上げる、中間波長領域内の発光要素の相対的発光強度を下げるなどのことが可能である。さらに、Duvを正側に変化させるには、上記記載と逆の操作を行えばよい。
【実施例】
【0159】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。また、いずれの実施例も屋内で実施したものである。尚、以下の第3の発光装置は第4の発光装置であってもよい。このとき、第3の発光装置が複数である場合には、そのすべてが第4の発光装置であってもよいし、一部が第4の発光装置であってもよい。これにより、展示物が展示された空間の周辺の空間を主として照射する第4の発光装置を用いた場合の実施例が示される。
【0160】
(光源)
以下の実施例では、表1の発光装置を用いた。例として説明すれば、表1の光源7は、そのDuvが-0.0229であって第1の発光装置として用いることができる。また、光源11は、そのΔC14が負(-2.38)であって第2の発光装置として用いることができる。また、光源8~10は第3の発光装置として用いることができ、上述の通り、これらは第4の発光装置として用いることもできる。
【0161】
【0162】
<1.発光装置から出射された光の見え>
上記「光源」欄に記載した発光装置のうち表2に記載の組合せを用いて空間を照射した際に、両発光装置から出射された光の色の見た目に違和感があるかどうかを検討した。尚、以下の実施例では、第1の発光装置は展示物を照射していないが、該空間に展示物が存在する場合であって、第1の発光装置で該展示物を主として照射する場合も以下と同様の結果が得られることは容易に推測される。
【0163】
【0164】
[実施例1-1]
・第1の発光装置:光源5
・第2の発光装置:光源3
第1の発光装置として光源5、第2の発光装置として光源3を用いた。
図1に示すように、両発光装置の光野が一部重複するように空間を照射した。
第1の発光装置から出射された光の色と第2の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えなかった。
【0165】
[実施例1-2]
・第1の発光装置:光源5
・第2の発光装置:光源3
・第3の発光装置:光源1
第1の発光装置として光源5、第2の発光装置として光源3、第3の発光装置として光源1を用いた。
図2に示すように、第1の発光装置、第2の発光装置、および第3の発光装置をこの順に並べ、第1の発光装置の光野と第2の発光装置の光野とが一部重複し、かつ、第2の発光装置の光野と第3の発光装置の光野とが一部重複するが、第1の発光装置の光野と第3の発光装置の光野とは重複しないように並べた。
3種の発光装置からの光は連続し、第1の発光装置から出射された光の色と第2のから出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えなかった。また、第2の発光装置から出射された光の色と第3のから出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えなかった。
【0166】
[比較例1-1]
・第1の発光装置:光源5
・第3の発光装置:光源1
第1の発光装置として光源5、第3の発光装置として光源1を用いた。
図3に示すように、両発光装置の光野が一部重複するように空間を照射した。
第3の発光装置から出射された光の色に対して、第1の発光装置から出射された光の色は薄桃色がかって見え、第1の発光装置から出射された光の色と第3の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感があり、別々の光であると認識された。
【0167】
[参考例1-1]
・第2の発光装置:光源3
・第3の発光装置:光源1
第2の発光装置として光源3、第3の発光装置として光源1を用いた。
図4に示すように、両発光装置の光野が一部重複するように空間を照射した。
第1の発光装置から出射された光の色と第3の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えなかった。
【0168】
[まとめ]
複数の発光装置から出射される光の色が違和感なく見えるためには、第1の発光装置および第2の発光装置を用いればよく、第1の発光装置および第2の発光装置に加えて第3の発光装置を用いる場合には、第1の発光装置の光野と第3の発光装置の光野との間に、第2の発光装置の光野が存在するのが好ましいことが分かった。
【0169】
また、比較例1-1から分かるように、第1の発光装置(光源5)と第3の発光装置(光源1)とは相関色温度が約3000Kでほぼ同一であるにもかかわらず、第1の発光装置から出射された光の色と第3の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感があり、別々の光であると認識された。
【0170】
<2.空間内の特定の位置における照度と明るさの知覚とについて>
上記「光源」欄に記載した発光装置を用いて空間を照射した際の、該空間内の特定の位置における照度と明るさの知覚とについて検討した。尚、以下の実験例では、第1の発光装置は展示物を照射していないが、該空間に展示物が存在する場合であって、第1の発光装置で該展示物を主として照射する場合も以下と同様の結果が得られることは容易に推測される。
【0171】
[参考実験例2-1]
・屋内照明:第3の発光装置(光源2、照度:450ルクス)
・スポットライト:第3の発光装置(光源1、照度:4270ルクス)
屋内照明としての第3の発光装置(光源2、照度:450ルクス)と、スポットライトとしての第3の発光装置(光源1、照度:4270ルクス)とを、
図5に示すように、屋内照明の光野にスポットライトの光野が収まるように設置して実験を行った。
【0172】
表3に記載された組合せを用いたこと以外は参考実験例2-1と同様に、参考実験例2-2ないし参考実験例2-4を行った。
【0173】
【0174】
[実験例2-1]
・屋内照明:第2の発光装置(光源3、照度:400ルクス)
・スポットライト:第3の発光装置(光源1、照度:8600ルクス)
屋内照明として第2の発光装置(光源3、照度:400ルクス)と、スポットライトとして第3の発光装置(光源1、照度:8600ルクス)とを、
図6に示すように、屋内照明の光野にスポットライトの光野が収まるように設置して実験を行った。
【0175】
表4に記載された発光装置の組合せを用いたこと以外は実験例2-1と同様に、実験例2-2ないし実験例2-8を行った。
【0176】
【0177】
下記が結果である。
参考実験例2-1で用いたスポットライトの照度に対して、参考実験例2-2で用いたスポットライトの照度が10%程度高かったが、後者による明るさは、その差である230ルクスを超えると知覚した。
参考実験例2-3で用いたスポットライトの照度に対して、参考実験例2-4で用いたスポットライトの照度が20%程度低いにもかかわらず、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚した。
実験例2-1で用いたスポットライトの照度に対して、実験例2-2で用いたスポットライトの照度が30%程度低いにもかかわらず、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚した。
実験例2-3で用いたスポットライトの照度に対して、実験例2-4で用いたスポットライトの照度が30%程度低いにもかかわらず、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚した。
実験例2-5で用いたスポットライトの照度に対して、実験例2-6で用いたスポットライトの照度が20%程度低いにもかかわらず、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚した。
実験例2-7で用いたスポットライトの照度に対して、実験例2-8で用いたスポットライトの照度が30%程度低いにもかかわらず、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚した。
【0178】
[まとめ]
実験例2-1ないし実験例2-8から言えることは次である。
スポットライトとして第1の発光装置を使用した場合には、屋内照明として使用する第2の発光装置の相関色温度にかかわらず、スポットライトとして第3の発光装置を使用した場合のその照度より低くても、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚する。
【0179】
参考実験例2-3ないし参考実験例2-4から言えることは次である。
屋内照明として第3の発光装置を使用し、スポットライトとして第1の発光装置又は第3の発光装置を使用した場合、第1の発光装置の照度が第3の発光装置の照度より10%ないし20%程度低くても、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚する。
これを実験例2-1ないし実験例2-8の結果を加味して検討すると、屋内照明として第2の発光装置を使用し、スポットライトとして第1の発光装置又は第3の発光装置を使用した場合、第2の発光装置の相関色温度にかかわらず、第1の発光装置の照度がスポットライトとして第3の発光装置を使用した場合のその照度より20%ないし30%程度低くても、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚する。
すなわち、スポットライトとして第1の発光装置を使用する場合と第3の発光装置を使用する場合とを比較した場合、屋内照明として第3の発光装置を使用する場合よりも、屋内照明として第2の発光装置を使用する場合の方が、第3の発光装置の照度に対して第1の発光装置がより低い照度であっても、両スポットライトによる明るさは同等であると知覚する。
【0180】
<3.その他>
[実験例3]
・第1の発光装置:光源5
・第2の発光装置:光源3
・第3の発光装置:光源1
第1の発光装置として光源5、第2の発光装置として光源3、第3の発光装置として光源1を用いる。実施例1-2と同様に、
図2に示すように、第1の発光装置、第2の発光装置、および第3の発光装置をこの順に並べ、第1の発光装置の光野と第2の発光装置の光野とが一部重複し、かつ、第2の発光装置の光野と第3の発光装置の光野とが一部重複するが、第1の発光装置の光野と第3の発光装置の光野とは重複しないように並べる。
【0181】
このとき、第2の発光装置のDuvSSL2、SATave2、及びMired-2(K-1)のうちの少なくとも1つが下記条件を満たしていることは、表1より明らかである。
すなわち、DuvSSL2については、
DuvSSL1 < DuvSSL2 < DuvSSL3
であり、
DuvSSL2 = DuvSSL1 +(DuvSSL3 - DuvSSL1)×{(1/2)±x}
である。ただし、xは0.35以下である。
【0182】
SATave2については、
SATave3 < SATave2 < SATave1
であり、
SATave2 = SATave1 +(SATave3 - SATave1)×{(1/2)±x}
である。ただし、xは0.35以下である。
【0183】
Mired-2(K-1) = Mired-L(K-1) +(Mired-H(K-1) - Mired-L(K-1))×{(1/2)±x}
である。ただし、xは0.35以下である。
【0184】
このとき、3種の発光装置からの光は連続し、第1の発光装置から出射された光の色と第2のから出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えない。また、第2の発光装置から出射された光の色と第3の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えない。つまり、3種の発光装置からの出射された隣り合うそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションを作る。
このことは、第3の発光装置の代わりに第4の発光装置を用いた場合にも同様である。すなわち、3種の発光装置からの光は連続し、第1の発光装置から出射された光の色と第2のから出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えない。また、第2の発光装置から出射された光の色と第4の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えない。つまり、3種の発光装置からの出射された隣り合うそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションを作る。
また、第3の発光装置に加えて第4の発光装置を用いた場合にも同様である。すなわち、4種の発光装置からの光は連続し、第1の発光装置から出射された光の色と第2のから出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えない。また、第2の発光装置から出射された光の色と第3の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えない。さらに、第3の発光装置から出射された光の色と第4の発光装置から出射された光の色との間の見た目に違和感はなく、別々の光には見えない。つまり、4種の発光装置からの出射された隣り合うそれぞれの光によって、全体的に違和感のないグラデーションを作る。
【0185】
以上のことは、第1の発光装置として光源7を用いた場合も同様である。また、第2の発光装置として光源11を用いた場合も同様である。また、第2の発光装置として光源8~10のうちの一以上の発光装置を用いた場合も同様である。