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特許7139321印刷装置を動作するための方法及び印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】印刷装置を動作するための方法及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/195 20060101AFI20220912BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20220912BHJP
   B41J 2/19 20060101ALI20220912BHJP
   B41J 2/20 20060101ALI20220912BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B41J2/195
B41J2/18
B41J2/19
B41J2/20
B41J2/175 503
B41J2/175 201
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019521024
(86)(22)【出願日】2017-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017076553
(87)【国際公開番号】W WO2018073281
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】102016012574.8
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・ディーツ、レティシア
(72)【発明者】
【氏名】ボエーム、エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ヒラリウス、フォルケル
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/078739(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0097184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置(1)を動作する方法であって、印刷工程のために提供される流体は、印刷ヘッド(13)によって表面に塗布されることができるように、供給ライン(14)を介して流体貯蔵容器(6)から前記印刷ヘッド(13)に供給され、精製回路(2)における前記流体が精製設備(8)を通して運ばれ、汚染測定設備(11)を介して、前記精製回路(2)における流体検体量の主要汚染指標が決定されることと、前記主要汚染指標が第1の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、前記流体が前記印刷ヘッド(13)から吐出される印刷工程が開始することと、
前記流体が、前記精製回路(2)から分岐し、前記精製回路(2)を前記印刷ヘッド(13)に接続する、供給ライン(14)を介して前記印刷ヘッド(13)から供給されることができる前記精製回路(2)を通して運ばれることと、
前記印刷ヘッド(13)が前記精製回路(2)への戻りライン(17)を有することと、前記印刷ヘッド(13)に運ばれる印刷ヘッド洗浄液量が、前記印刷ヘッド(13)から再度回収され、前記精製回路(2)に戻されることと、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記主要汚染指標を決定するために提供される前記流体検体量が、前記精製回路(2)から迂回され、前記汚染測定設備(11)に供給され、前記主要汚染指標の決定に応じて前記精製回路(2)に再度戻ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷ヘッド(13)から戻されたその印刷ヘッド洗浄液量の主要汚染指標が前記汚染測定設備(11)によって決定されることと、前記主要汚染指標が第2の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、前記印刷ヘッド(13)を介して前記印刷工程が開始することとを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記精製回路(2)において運ばれる前記流体の流体精製ステップにおいて決定された主要汚染指標が第3の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、前記流体が前記印刷ヘッド(13)に供給されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
流体精製ステップにおける前記流体が、少なくとも1つの粒子フィルタ(10)を通して及び少なくとも1つのガス抜き設備(9)を通して運ばれることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記主要汚染指標が、各々前記汚染測定設備(11)によって検出される複数の主要粒子含有量指標のうちの1つ及び主要ガス含有量指標のうちの1つ又は複数から成ることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
印刷ヘッド(13)を有し、流体貯蔵容器(6)のためのコネクタ設備(12)を有する印刷装置(1)であって、
前記コネクタ設備(12)は、前記流体貯蔵容器(6)からの流体が、前記印刷ヘッド(13)に供給され、かつ、前記印刷ヘッド(13)によって表面に塗布されることができるように、供給ライン(14)を介して前記印刷ヘッド(13)に接続されており、
記コネクタ設備(12)は、それぞれが前記流体貯蔵容器(6)への開口部を備える流体回収設備と流体補充設備とを有することと、
前記印刷装置(1)は、流体ライン部分(3,4,5)から形成され、かつ精製設備(8)と汚染測定設備(11)を有する精製回路(2)有しており、ここにおいて、前記精製回路(2)は、前記精製設備(8)において前記流体回収設備を介して前記流体貯蔵容器(6)から回収される前記流体が精製されることができ、前記汚染測定設備(11)により前記精製回路(2)内の流体検体量の主要汚染指標が決定されることができ、前記流体が前記流体補充設備を介して前記精製回路(2)から前記流体貯蔵容器(6)に再供給されることができるように構成されていることと、
前記供給ライン(14)が、前記精製回路(2)から分岐し、前記精製回路(2)を潅流する前記流体が前記印刷ヘッド(13)に供給されることができるように、前記精製回路(2)を前記印刷ヘッド(13)に接続することと、
前記印刷ヘッド(13)に供給される前記流体が前記印刷ヘッド(13)を潅流し、前記精製回路(2)に再供給されるように、戻りライン(17)が前記印刷ヘッド(13)を前記精製回路(2)に接続することと、
を特徴とする、印刷装置(1)。
【請求項8】
前記印刷ヘッド(13)上の前記戻りライン(17)がバイパスラインを介して前記供給ライン(14)に接続されることを特徴とする、請求項7に記載の印刷装置(1)。
【請求項9】
前記戻りライン(17)が、少なくとも、1つの供給ライン部分に沿って前記供給ライン(14)を完全に囲むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の印刷装置(1)。
【請求項10】
前記印刷ヘッド(13)が印刷対象のエリアより上に変位可能であることと、前記供給ライン(14)及び前記戻りライン(17)が、少なくとも、ライン変位部分(19)に沿ってフレキシブルであることとを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の印刷装置(1)。
【請求項11】
前記精製設備(8)が少なくとも1つのガス抜き設備(9)及び少なくとも1つの粒子フィルタ(10)を有することを特徴とする、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の印刷装置(1)。
【請求項12】
流れ方向で、少なくとも1つの第1の粒子フィルタ(10)が前記ガス抜き設備(9)の前方に配置され、少なくとも1つの第2の粒子フィルタ(10)が前記ガス抜き設備(9)の後方に配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の印刷装置(1)。
【請求項13】
前記汚染測定設備(11)が流れ方向で前記精製設備(8)の後方に配置されていることを特徴とする、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の印刷装置(1)。
【請求項14】
流れ方向で前記戻りライン(17)が前記汚染測定設備(11)の前方の前記精製回路に通じていることを特徴とする、請求項7乃至13のいずれか一項に記載の印刷装置(1)。
【請求項15】
事前定義可能な流体検体量が単に前記汚染測定設備(11)を通して運ばれるように前記流体が前記汚染測定設備(11)を通して運ばれることができるバイパスライン部分(20)が前記精製回路(2)に配置されていることを特徴とする、請求項7乃至14のいずれか一項に記載の印刷装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置を動作するための方法に関し、ここにおいて、印刷工程のために提供される流体は、印刷ヘッドによって表面に塗布されることができるように、供給ラインを介して流体貯蔵容器から印刷ヘッドに供給される。
【背景技術】
【0002】
例えば有機半導体部品の製造、そして特に有機発光ダイオード及びそれぞれのディスプレイの製造に適した様々な有機半導体材料がここ数年開発されてきた。適切な溶媒に溶解されている有機半導体材料を所定の表面に塗布することができる様々な印刷技術は、とりわけ、有機半導体材料の処理に適している。このように、例えば相互に独立した方法で作動可能な有機半導体材料から成る非常に多数の有機発光ダイオード(OLED)から組み立てられる広域ディスプレイは、実際に知られているインクジェット印刷装置を使用して印刷されることができる。
【0003】
現在知られている印刷技術は、方法シーケンスの観点でシンプルである、有機半導体材料からの、パーツのそして特にディスプレイの迅速な製造を可能にする。しかしながら、パーツの及びディスプレイの製品品質にとって、溶存ガスおよび粒子による、溶解した有機半導体材料の略不可避の汚染が特に重要であることは立証されている。有機半導体材料の製造及び充填での多大な努力にもかかわらず、異物による汚染は回避が困難である。更に、溶媒に溶解した有機半導体材料は、この有機半導体材料が、周囲の空気との短時間の接触で、製品に有害な量のガス又は湿気を吸収し得るほど、周囲の空気に、そしてまた湿気に、極めて敏感である。
【0004】
有機半導体材料の更なる処理に必要な純度を達成するために、適切な有機溶媒に溶解した半導体材料は、通常、多段階の精製プロセスで、精製、濾過、及びガス抜きされる。溶解した有機半導体材料からの精製された流体は、その後、運搬容器に充填され、有機半導体材料が必要とされるものの製造のために、有機半導体材料の製造現場からそれぞれのパーツ又はディスプレイの生産現場に移される。ここにおいて、運搬容器に充填されて運搬される流体の汚染をできる限り最小にするために、有機半導体材料を充填する前に、運搬容器も洗浄される。更に、有機半導体材料を含む流体のあらゆる汚染及び汚濁をできる限り最小にするために、それぞれの部品及びパーツの生産現場においても、そこに運搬された運搬容器が印刷装置に接続されるとき又は印刷装置の流体貯蔵容器に詰め替えられるとき、そしてオプションでは生産装置の起動前及び動作中にも、かなりの努力が行われる。
【0005】
多くの有機半導体材料の材料コスト及び製造努力が非常に高いため、製品の製造の際にできる限り効率的に有機半導体材料を使用し、同時に、部品の生産に使用可能でない流体の部分をできる限り最小にする試みが行われる必要がある。例えば、後続の生産のために、流体の精製によって過度の部分の流体が失われてはならない。更に、流体の使用及び生産中の死容積は、部品の生産に利用可能でない流体の部分をできる限り最小にするために、できる限り少ないべきである。
【0006】
最小量の汚染物質及びオプションで汚染の個々の粒子でさえ、例えば、それぞれの有機半導体材料を使用して製造されている大型ディスプレイのような製品を使い物にならない状態にし得るため、それぞれ、有機半導体材料の製造と、それぞれの部品又はディスプレイの生産現場までの運搬とに対して非常に高い要件が設定されることが多い。従って、所定の純度の流体を検証し保証することができるように、実際には、溶解した有機半導体材料の品質の測定及び検査が、通常、溶解した有機半導体材料の生産中及び生産後にランダムサンプルの方法で実行される。溶解した有機半導体材料の製造及び検査のための及びそれぞれの製品のそれぞれの生産工場までのそれらの運搬のためのそれに関連する努力は、複雑でありかつコストがかかる。
【0007】
従って、流体で印刷装置を動作する方法を、印刷工程中の流体ができる限り少ない汚染を有し、かつ、この目標に必要とされる努力ができる限り少なくなるように設計することが本発明の目的と考えられる。
【発明の概要】
【0008】
本発明に係るこの目的は、印刷装置の精製回路における流体が精製設備を通して運ばれ、汚染測定設備を介して、精製回路における流体検体量の主要汚染指標が決定されること、及び、主要汚染指標が第1の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、流体が印刷ヘッドから吐出される印刷工程が開始することにより達成される。
【0009】
印刷工程が開始する前に、精製回路において流体を複数回再循環及び精製することができる。各精製サイクルに関して、流体は、精製設備を通して運ばれ、精製される。例えば濾過又はガス抜きのような実際に知られている精製方法は、原則として及びそれぞれのインプリメンテーションに依存して、精製ステップ中にそれぞれの部分の汚染物質が流体から分離され除去されることができるように、それぞれ、平均又は最大の精製効率を有する。経験により、例えば1つの濾過設備又は1つのガス抜き設備を含む精製設備において流体を一回精製した後では、多くの場合、それぞれ、十分な純度の流体を依然として達成も保証もすることができない。精製設備は、例えば複数の濾過設備及び複数のガス抜き設備を有することもできる。複数の濾過設備又はガス抜き設備は、例えば、カスケード形状に配置され、増加する分離基準を有するように設計されることができる。それにもかかわらず、複数の構成要素を備える精製設備を一回潅流する場合の精製効果は制限されている。流体が精製設備を通して複数回運ばれ、そのため連続してより強力に精製される精製回路への汚染測定設備の統合により、残りの汚染は、汚染測定設備によっていつでも検出されることができ、更なるプロセスシーケンスの観点から考慮されることができる。ここで、主要汚染指標は、連続して、定期的に、又は所定の時間間隔で、そうでなければ、要求に応じて又はユーザによる問合せでのみ、明らかにされることができる。主要汚染指標は、単一の汚染パラメータから成り、そうでなければ、各々が検出され相互に相関されている複数の汚染パラメータから組み合わせられることができる。汚染パラメータは、例えば、粒径に従ってオプションで区別される粒子数又はガス含有量を備えることができる。主要汚染指標を明らかにするための努力は、通常非常に少ない。第1の閾値は、個々の場合において関連があると考えられるそれらの汚染パラメータに依存するように事前定義されることができるか、又は個々の汚染パラメータの可変の重み付けを許可することができる。
【0010】
本発明に係る方法により、印刷装置に提供される流体の汚染物質含有量又は純度は、それぞれ、個々の印刷工程が開始する前に決定されることができる。充填済みの個々の運搬容器又は流体貯蔵容器から更なる努力で専用の流体検体が回収される従来技術、ここで、これらの流体検体は印刷工程が開始される前に汚染物質がないか調べられる、において知られている方法と比較して、本発明に係る方法により、大きな更なる努力なしに、各個々の流体貯蔵容器の内容物は検査されることができ、印刷工程が開始する前、印刷ヘッドに供給される流体の汚染物質含有量は監視されることができる。
【0011】
汚染測定設備に供給されている流体検体量の、汚染測定設備によって決定された主要汚染指標が望ましくないほど高い汚染を有することが印刷工程の前に証明された場合、例えば精製サイクルの後に、流体貯蔵容器から回収済みの流体の部分は、より強力に精製された流体部分が後に流体貯蔵容器から回収され、印刷ヘッドに供給されるために、流体貯蔵容器に戻されることができる。
【0012】
経験に基づいて、印刷工程のために提供される流体の汚染は、生産中及び運搬中及び印刷装置への導入中の両方において不可避である。従って、実際には、印刷工程の開始が想定される前に、流体貯蔵容器からの流体が、最初に印刷装置の精製回路において数回の精製サイクルを受けることが好都合である。ここでは、汚染測定設備による主要汚染指標は、連続して、時間間隔で、又は所定の数の精製サイクルに応じて開始するように、決定されることができる。ここでは、汚染測定設備は、例えば、1つ又は複数の粒子計数器及びガス含有量測定装置、又は異なるガス含有量のための複数の測定装置のような、複数の別個の測定設備を含むこともできる。その後、印刷工程は、流体貯蔵容器から回収された流体の所望の純度が十分確実な方法で達成され保証されることができるように、汚染測定設備によって測定された主要汚染指標が所定の第1の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、開始される。
【0013】
本発明に係る方法を実行することで、それぞれの印刷工程に対して望まれる純度が達成されるまで流体の再精製が印刷装置において行われるため、生産中及び印刷装置への運搬中の流体の純度について設定される要件は、大幅に低減されることができる。そのため、更なる精製がその後実行されなかった場合、生産中及び印刷装置への運搬前の複雑な精製工程と比較して、流体の調達は大幅にコスト効率が高くなる。
【0014】
本発明に係る方法は、流体の純度又はできる限り少ない流体の汚染が、それぞれ、関連あり、異なる印刷工程に関して、純度の観点から異なる要件が満たされるべきである、同一の又は異なる流体を使用する印刷工程に有利に使用されることができる。各印刷工程に対して望まれる純度は、適切な方法で閾値を事前定義することによって達成され保証され得る。本発明に係る方法の1つの重要な適用分野は、有機半導体部品の生産において使用されることができるようにするために、それぞれ、溶液として又は液体インク材料の構成成分として流体貯蔵容器に充填される有機半導体材料に関する。使用目的の現場で運搬容器から回収して流体貯蔵容器に詰め替えるために、それぞれの流体を、生産中又は生産直後に運搬容器に充填することもできる。運搬容器が流体貯蔵容器として使用されることも考えられる。
【0015】
ここでは、有機半導体材料は、例えばOLEDそして特にOLEDディスプレイを生産するために使用されることができる。しかしながら、例えば機能性成分又は溶解した構成成分を含む他の流体は、それの適用後に、流体が最大許容汚染に関する所定の閾値をできる限り超えないことが必要であるという機能又は効果のために、本発明に係る方法によって印刷面に有利に使用されることもできる。
【0016】
本発明の概念の1つの設計実施形態によれば、精製回路内の流体の循環が、測定を実行するために必要とされるであろう汚染測定設備における流体の滞留時間によって制限されないために、主要汚染指標を決定するために提供される流体検体量が、精製回路から迂回され、汚染測定設備に供給され、主要汚染指標の決定に応じて精製回路に再度戻されることが提供される。そのため、精製回路内の流体は、精製設備によって事前定義される最大潅流量(perfuse rate)によってオプションで制限される高い貫流量(throughflow rate)で循環することができる。精製回路から迂回され、汚染測定設備に供給される流体検体量は、十分な正確さ及び精度の測定を可能にするために、精製回路において事前定義される潅流量から独立して、後者に滞留することができる。ここでは、流体検体量によって決定される主要汚染指標が、精製回路内を循環する流体の汚染の特徴となるように、精製回路内を循環する流体は、十分混合されており、均質であると仮定される。
【0017】
本発明の概念の1つの特に有利な設計実施形態によれば、印刷ヘッドが精製回路への戻りラインを有することと、印刷ヘッドに運ばれる印刷ヘッド洗浄液量が、印刷ヘッドから再度回収され、精製回路に戻されることとが提供される。印刷工程中の流体の汚染が、流体の製造中に流体の不可避の汚染よって独占的に引き起こされるのではなく、最初の未使用の印刷ヘッドの汚染もまた、流体の汚染のかなりの部分の一因となり得ることが立証されている。印刷ヘッドは、長時間のダウンタイム中に又は先行の印刷工程により汚染される可能性がある。印刷ヘッドの専用洗浄は、複雑でありかつコストがかかる。そのため、印刷ヘッドは、印刷ヘッド内の汚染物質が流体によって吸収され、精製設備の後続の潅流中にそこから精製回路へと濾過されることができるように、精製回路に組み込まれ、流体によって潅流されることができる。
【0018】
印刷工程のために提供される流体の純度の特に確実な監視及び事前定義は、印刷ヘッドから戻されたその印刷ヘッド洗浄液量の主要汚染指標が汚染測定設備によって決定されること、及び、主要汚染指標が第2の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、印刷ヘッドを介して印刷工程が開始することにより達成されることができる。印刷工程中に印刷ヘッドが更なる過度の汚染を発生させることがないように、流体貯蔵装置から回収された流体だけでなく、印刷ヘッドを潅流する流体もまた所定の純度を有することが、このような方法で確実にされることができる。そのため、それぞれ、流体貯蔵容器から回収した後の流体の汚染度又は純度だけでなく、印刷ヘッドを既に潅流した流体の純度も、それぞれ、検出又は監視され、そのため、精製回路に統合された汚染測定設備を介して事前定義されることもできる。印刷ヘッドの潅流後に明らかにされる純度はまた、最も典型的には、精製回路の、供給ラインの、及び印刷ヘッドの新たな潅流中に流体の後続の汚染が生じない限り、電子部品又はディスプレイの印刷の際に流体のユーザが遭遇する純度に対応する。これは、印刷装置の適切な設計実施形態によって最大限防止されることができる。後続の汚染に関するあらゆる潜在的な不確実性が既に大幅に低減されているため、第2の閾値は、第1の閾値よりも高くなるように事前定義されることができる。
【0019】
経験によれば、供給ラインによる及び印刷ヘッドによる流体の汚染は、本来、流体の生産から印刷装置の流体貯蔵容器への流体の充填までの間に生じた流体の任意の不可避の汚染より少ないため、本発明によれば、流体が、最初に精製回路において数回の精製サイクルを通過し、次いで、精製回路において運ばれる流体の流体精製ステップにおいて決定された主要汚染指標が第3の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、印刷ヘッドに供給されることが提供される。故に、印刷工程のために提供される流体は、例えば主要汚染指標が元の値の10分の1又は100分の1に低下するまで、最初に精製回路内を循環することができる。その後、印刷ヘッドは、印刷ヘッドに存在する汚染物質を排出させるために、精製回路に組み込まれ、循環流体によって潅流されることができる。ここでは、流体は、主要汚染指標が更に例えば元の値の1%に又は1000分の1に低下するまで、精製回路内を循環し続け、精製回路内を及び印刷ヘッドを通して循環する流体の十分な純度が確認される
本発明の概念の1つの設計実施形態によれば、流体精製ステップにおける流体が、少なくとも1つの粒子フィルタを通して及びガス抜き設備を通して運ばれることが提供される。粒子フィルタ及びガス抜き設備の組合せは、特に有機半導体材料の充填に関して好都合かつ有利であり、それの後続の利用は、粒子汚染物質及びガス状の汚染物質の両方によって損なわれる及び制限される可能性がある。精製設備の効率を高めるために、適合するフィルタ特性を有する複数の粒子フィルタが互いに組み合わせられることも考えられる。それぞれ、異なるフィルタ特性又は異なるフィルタ分類を有する複数の粒子フィルタが組み合わせられることもでき、例えば、次第に小さくなる粒径を濾過することができる2つ又は3つの粒子フィルタが連続して配置されることができる。例えば異なるガスを濾過するために又は精製設備を通る経路の場合にはガス抜きの効率を高めるために、複数のガス抜き設備の組合せもまた好都合であり得る。
【0020】
本発明によれば、主要汚染指標が、各々汚染測定設備によって検出される主要粒子含有量指標及び主要ガス含有量指標から成ることは好都合に提供される。故に、粒子による及びガス含有量による汚染は、相互に独立した方法で検査されることができ、適切な閾値を介して、取得され、シーケンスのために及び本発明に係る方法を制御するために考慮されることができる。例えば、充填されるべき流体のそれぞれの粒子含有量が、異なる範囲の粒径について監視され、それぞれの所定の閾値をアンダーシュートし、そうでなければ、それぞれ、すべての関連範囲の粒径において達成又は維持するまで、流体の精製が続けられるように、複数の主要粒子含有量指標を同時に検出し、方法シーケンスために考慮することも可能である。
【0021】
本発明はまた、印刷ヘッドを有し、流体貯蔵容器のためのコネクタ設備を有する印刷装置に関し、上記コネクタ設備は、流体貯蔵容器からの流体が、印刷ヘッドに供給され、かつ、印刷ヘッドによって表面に塗布されることができるように、供給ラインを介して印刷ヘッドに接続されている。本発明によれば、コネクタ設備が流体貯蔵容器のための流体回収設備と流体補充設備とを有することと、印刷装置が、流体ライン部分から形成され、かつ、精製設備を有する精製回路と、流体回収設備を介して流体貯蔵容器から回収された流体が精製されることができ、精製回路内の流体検体量の主要汚染指標が決定されることができ、流体補充設備を介して流体が流体貯蔵容器に再供給されることができる汚染測定設備とを有することと、供給ラインが、精製回路から分岐し、精製回路を潅流する流体が印刷ヘッドに供給されることができるように、精製回路を印刷ヘッドに接続することとが提供される。後続の印刷工程のために提供される流体は、簡単な方法で精製回路内を再循環されることができ、そのため、本発明に係る印刷装置によって、複数回、精製回路内に配置されている精製設備を通ってガイドされる。汚染測定設備は、既に達成されている精製効果を同時に検査することができる。印刷工程は、精製回路における精製による流体の十分なアップグレードの後に開始されることができる。
【0022】
本発明によれば、印刷ヘッドに供給される流体が印刷ヘッドを潅流し、精製回路に再供給されることができるように、戻りラインが印刷ヘッドを精製回路に接続することが提供される。このように、印刷ヘッドは、精製回路内を循環する流体もまた印刷ヘッドを通ってガイドされることができるように、精製回路へと相俟って組み込まれることができる。そのため、印刷ヘッドにある汚染物質は、流体によって吸収され、印刷ヘッドから排出されることができる。このように、これらの領域において前に生じた汚染によって、印刷工程のために提供される流体の任意の汚染が回避されるために、顕著な更なる努力なしに、印刷ヘッドの及び供給ラインの更なる洗浄が実行されることができる。
【0023】
印刷ヘッドの設計実施形態に依存して、個々の印刷ヘッドノズル及び貯蔵室への供給ライン又は印刷ヘッドの更なる構成要素もまた、ここでは、潅流又は精製されることができ、そうでなければ、流体が、印刷ヘッドまでガイドされ、次いで、印刷ヘッドの個々の構成要素の潅流なしに戻りラインに供給されることができる。戻りラインを供給ラインに接続するバイパスラインを介して印刷ヘッドを通り超して流体がガイドされることも可能である。
【0024】
ここでは、印刷ヘッドは、精製回路に完全に組み込まれており、精製回路内を再循環する全流体量によって潅流されることができる。印刷ヘッドがバイパスラインを介して精製回路に接続され、精製回路内を循環している流体の所定の一部の量によってのみ潅流されることも考えられ得る。
【0025】
コネクタ設備は、流体貯蔵容器への接続のために必要とされるライン部分を好都合に有し、流体貯蔵容器への高速かつ確実で厳密な接続が容易にされるために、カップリングで、コネクタアダプタで、又はコネクタプラグで組み合わされる及びグループ化される。流体貯蔵容器への精製回路のコネクタ設備は、流体貯蔵容器中の事前定義される全流体量が精製回路を通して連続して循環することができるように、有利に設計されることができる。要求に応じて、複数の流体貯蔵容器は、次いで、連続して又はオプションで同時に精製回路に接続されることができ、上記流体貯蔵容器の内容物は、例えば、1つの流体貯蔵容器に保持されることができるより多くの流体を必要とする印刷工程が中断されないために又は極めて短い間だけ中断されるために、本発明に係る印刷装置によって精製されることができる。印刷工程に供給される流体量の、できる限り迅速な精製によるアップグレードを可能にするために、短い印刷工程に提供されるその流体量だけが精製回路に注入され、そこにおいて精製されることも可能である。
【0026】
本発明の概念の1つの特に有利な設計実施形態によれば、戻りラインが、少なくとも、1つの供給ライン部分に沿って供給ラインを完全に囲むことが提供される。そのため、印刷ヘッドから流体貯蔵容器に運び戻される流体は、ここでは、少なくとも一部が、供給ラインにおいて印刷ヘッドに運ばれる流体の周りを流れることが引き起こされる。例えば、広域ディスプレイの生産に適した多くの有機半導体材料は、それぞれ、環境から吸収されるか又は流体に進入する酸素によって、迅速にかつ好ましくないほど汚染され得る。この目的のために、印刷装置の多くの構成要素は、それぞれ、流体への酸素のあらゆる進入又は流体における上記酸素の拡散工程ができる限り回避及び最小されるように設計され、例えばステンレススチールのような適切な材料から生産される。流体ラインに進入する環境からの酸素が事実上戻りラインにのみ、従って流体貯蔵容器に再度運び戻されている流体に進入することができるように、流体貯蔵容器に運び戻される流体は、少なくとも一部が、供給ラインを完全に囲むため、供給ラインを通して印刷ヘッドに運ばれる流体への望ましくない酸素の侵入は、妨げられこと及びオプションで大部分が防止されることができる。供給ラインを囲む戻りラインは、戻りラインによって囲まれている供給ラインのために更なるシールド及び機能性バリアを形成する。印刷ヘッドに再供給される前に、戻りラインを通して再度運び戻される流体は、あらゆる潜在的な汚染を低減するために、先制的な方法で又は要求に応じて、精製されることができる。
【0027】
印刷工程中、流体貯蔵容器が、表面から離れるように、位置的に固定された方法で配置され、少なくともライン変位部分に沿ってフレキシブルな供給ライン及びフレキシブルな戻りラインを介して印刷のために流体貯蔵容器に接続される印刷ヘッドが表面を横切って変位されることが更に提供される。印刷工程中にそれぞれ印刷装置内の又は精製回路内のあらゆる潜在的な汚染が精製設備の助けを借りて低減されることができるため、流体貯蔵容器と印刷ヘッドとの間の大きな間隔は、流体が精製回路内を再循環され、そしてここでは、精製回路に組み込まれた精製設備を介して精製される可能性によって可能にされる。流体貯蔵容器を、印刷ヘッドに又は印刷ヘッド上に直接配置すること、及び、印刷工程中に表面を横切って印刷ヘッドと相俟って変位させることは必要ない。流体貯蔵容器は、位置的に固定された方法で、印刷対象の表面から離れるように配置されることができる。印刷ヘッドへの流体貯蔵容器の接続は、フレキシブルな供給ライン及びフレキシブルな戻りラインを介して可能にされる。フレキシブルな供給ラインは、供給ラインを囲む戻りラインによって追加でシールドされる。供給ラインにおけるより長い滞留時間によってオプションで容易にされる流体のあらゆる汚染は、流体が戻りラインを通して及び精製設備を通して運ばれることにより、要求に応じて再度低減されることができる。
【0028】
効率的かつ迅速な印刷装置のコスト効率が高い生産は、表面から離れるような、そして特に印刷ヘッドから離れるような流体貯蔵容器の配列と、フレキシブルな供給ラインとフレキシブルな戻りラインとを用いた後者の組込みとによって可能にされる。離れてかつ位置的に固定した方法で配置される流体貯蔵容器は、変位可能な印刷ヘッド上に又はそれに配置される貯蔵容器より大幅に多い容量を有することができる。個々の印刷工程は、大幅に迅速な方法で実行及び完了されることができる。流体貯蔵容器の置換が必要とされる前に、大容量流体貯蔵容器の各々で多数の印刷工程が実行されることができる。
【0029】
精製設備は、少なくとも1つの粒子フィルタと1つのガス抜き設備とを好都合に有する。多くのケースでは、流れ方向で、少なくとも1つの第1の粒子フィルタがガス抜き設備の前方に配置され、少なくとも1つの第2の粒子フィルタがガス抜き設備の後方に配置されていることは有利になり得る。適合する濾過効果を有し、そうでなければ、流れ方向で小さくなっていくメッシュサイズ又は孔径を有する複数の粒子フィルタが組み合わせられることも考えられる。同じように、同じ種類又は異なる種類の複数のガス抜き設備は、それぞれ、互いに組み合わせられるか、又は粒子フィルタと交互になるように用いられることができる。
【0030】
汚染測定設備は、精製設備によってもたらされる精製効果が汚染測定設備によって既に検出されることができるように、流れ方向で精製設備の後方に好都合に配置されている。
【0031】
流体が潅流する印刷ヘッドによってオプションで生じる汚染物質を検出することもでき、かつ、方法の更なる制御において上記汚染物質を考慮することができるために、戻りラインの合流接合部が流れ方向で汚染測定設備の前方に配置されていることが提供される。
【0032】
個々の場合に使用される汚染測定設備の測定方法及び測定装置に依存して、本発明によれば、事前定義可能な流体検体量が単に汚染測定設備を通して運ばれるように流体が汚染測定設備を通して運ばれることができるバイパスライン部分が精製回路に配置されていることは有利になり得る。多くの場合、主要汚染指標を検出するために必要とされる測定期間は、流体が精製設備を潅流し、それによって精製されるのに必要とされる時間期間より大幅に多い。精製回路内を循環する流体の迅速な精製及びできる限り大きいスループットを可能にするために、循環する流体の大部分が汚染測定設備を通り超して運ばれ、既に精製設備に再供給されることができると同時に、少量の流体検体量だけが汚染測定設備において検査及び評価されることは好都合になり得る。
【0033】
図面において図式的に例示されている本発明の概念の例示的な実施形態は、下文においてより詳細に例示的な方法で説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、精製回路を有し、精製回路に配置されている精製設備を有し、汚染測定設備を有し、精製回路から離れるように配置されている印刷ヘッドのための供給ラインとの結合部を有する、本発明に係る印刷装置の略図を示す。
図2図2は、供給ラインに加えて印刷ヘッドが戻りラインを介して精製回路に接続されており、かつ、印刷ヘッドが弁を介して精製回路へと組み込まれることができる、異なる設計の印刷装置の略図を示す。
図3図3は、印刷ヘッドがフレキシブルなライン変位部分を介して精製回路に接続されている更に別の異なる設計の印刷装置の略図を示し、ここにおいて、戻りラインは、供給ラインを囲み、外部の影響に関して後者をシールドする。
図4図4は、図3の領域IVにおいて示される精製回路の部分の略図を示し、ここにおいて、汚染測定設備は、バイパスラインを介して精製回路に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に例示的な方法で例示される印刷装置1は、複数の流体ライン部分3,4,5から組み立てられた精製回路2を有する。流体ライン部分3は、流体貯蔵容器6に位置している流体がポンプ設備7を介して流体貯蔵容器6から精製設備8に運ばれるように、例えば100ミリリットルまたは10リットルを受容する流体貯蔵容器6に接続されている。流体は、有機半導体材料、例えばOLED材料、と、オプションで更なる添加物とを含むこと可能性がある。精製設備8は、流体中のガス含有量が低減されることができる少なくとも1つのガス抜き設備9を有する。粒子フィルタ10、例えば孔径1μmを有する薄膜フィルタ、は、流れ方向でガス抜き設備9の後方に配置されている。
【0036】
その後、流体は、汚染測定設備11が配置されている流体ライン部分4を通ってガイドされる。潅流する流体についての主要汚染指標は、汚染測定設備11によって明らかにされることができる。流体ライン部分4は、同じく流体貯蔵容器6に通じる更なる流体ライン部分5へと移行し、それにより、印刷装置1の精製回路2は閉じられる。流体貯蔵容器6に向かう移行領域における流体ライン部分3及び5は、流体貯蔵容器6への精製回路2の流体ライン部分3及び5の迅速かつ密な接続を容易にする1つの共通のコネクタ設備12へと組み合わせされることができる。1つの共通のコネクタ設備12の代わりに、各流体ライン部分3及び5のための専用のコネクタ設備が設けられることもあり得る。流体貯蔵容器に突出する流体ライン部分3及び5の開口部は、流体貯蔵容器6のための流体回収設備及び流体補充設備を形成する。
【0037】
印刷装置1の印刷ヘッド13は、汚染測定装置の後に精製回路2から分岐した供給ライン14を介して印刷装置1の精製回路2に接続されている。適切な弁15及び16を介して、供給ライン14が閉口されて精製回路2が開口されることができるか、そうでなければ、精製回路2内を循環する流体が精製回路2から迂回されて印刷ヘッド13に供給されるように、供給ライン14が開口されることができる。例えば、印刷工程中の少ない消耗の場合では、精製回路2内を循環する流体の一部の量だけが、ここでは、印刷ヘッド13に供給されることができ、そうでなければ、流体貯蔵容器6から回収される全流体量が印刷ヘッド13に供給されるように、精製回路2が弁16によって遮断されることができる。
【0038】
本発明に係る印刷装置1の異なる設計実施形態が、単に例示的な方法で図2に例示される。供給ライン14に加えて、印刷ヘッド13は、印刷ヘッド13が精製回路2へと相俟って組み込まれることができ、かつ、精製回路2内を循環する流体によって潅流されることができるように、戻りライン17及び更なる弁18を介して精製回路2に接続されている。印刷ヘッド13の設計実施形態に依存して、個々の印刷ヘッドノズル及び貯蔵室への供給ライン又は印刷ヘッド13の更なる構成要素もまた、潅流又は精製されることができ、そうでなければ、流体が、印刷ヘッド13までガイドされ、次いで、印刷ヘッド13の個々の構成要素の潅流なしに戻りライン17に供給されることができる。戻りライン17に加え、供給ライン14の及び印刷ヘッド13の洗浄もまた、ここで、行われる。
【0039】
本発明によれば、印刷工程の開始の前に、印刷工程のために提供される流体が本発明に係る印刷装置1を介して精製されるために、様々な方法シーケンスが可能である。
【0040】
流体は、精製回路2内を循環することができ、汚染測定設備11によって決定されている主要汚染指標が最大許容汚染物質含有量についての第1の閾値をアンダーシュートするまで、連続してかつ次第に、精製設備8において精製されることができる。その後、精製回路2は、弁16によって遮断されることができ、精製された流体は、印刷工程が実行されている間、供給ライン14を介して印刷ヘッド13に供給されることができる。
【0041】
図2に図式的に例示されている印刷装置1の場合でも、流体は最初、印刷ヘッド13が接続されて流体によって潅流されることなく、精製回路2内を循環することができる。主要汚染指標は、汚染測定設備11によって連続して明らかにされ、流体は、汚染物質含有量についての所定の第3の閾値が、それぞれ、達成されるまで又はアンダーシュートされるまで、精製回路2内を再循環及び循環される。その後、弁15,16、及び18を切り替えることで、印刷ヘッド13が精製回路2へと組み込まれることができ、精製済みの流体によって潅流される。ここでは、印刷ヘッド13内に位置するあらゆる潜在的な汚染物質が、流体によって吸収され、精製回路2の下流に配置されている汚染測定設備11において検出され、精製設備8による流体の後続の潅流において濾過して除去される。印刷ヘッド13を通る流体の循環は、汚染測定設備11において決定された主要汚染指標が第2の閾値をアンダーシュートするまで続くことができる。
【0042】
第2の閾値は、先に説明された例示的な実施形態において言及及び使用されている第1の閾値に対応することができる。洗浄済みの印刷ヘッド13による流体のあらゆる後続の汚染が排除されるため、例えば、印刷ヘッド13の洗浄後のそれ程厳しくない汚染物質含有量が汚染測定設備11によって事前定義されるために、それから逸脱する閾値もまた、事前定義されることができる。
【0043】
印刷ヘッド13が、相俟って組み込まれ、流体によって潅流されること、そしてここでは、精製回路2を通した流体の最初の循環以降既に精製されていること、も可能である。
【0044】
すべての場合において、印刷工程に使用される実際の流体量の汚染が検査され、印刷工程が開始する前に所定の閾値を下回るよう低減されことが達成されることができる。専用の先行の検査測定はもはや必要ない。
【0045】
図3に例示される例示的な実施形態に関して、供給ライン14及び戻りライン17は、印刷ヘッド13が精製回路2に対して変位可能となるよう精製回路2に接続されるように、ライン変位部分19に沿ってフレキシブルになるように構成される。更に、ライン変位部分19において、中空円筒状となるように構成された戻りライン17は、上記戻りライン17の中心にくるように配置されている供給ライン14を囲っており、後者は、それを理由に、環境の影響とそれによって引き起こされる汚染とに関して供給ライン14を追加でシールドしている。
【0046】
図4において断片でのみ例示されている例示的な実施形態に関して、汚染測定設備11は、結合部21を介して流体ライン部分4から分岐し、更なる結合部22を介して流体ライン部分5に戻るバイパスライン部分20に配置されている。各々の場合において、精製回路2内を循環する流体の少ない部分を占めるにすぎない少量の流体検体量だけが汚染測定設備11を潅流する。バイパスライン部分20と、このバイパスライン部分と並行に経路付けされている流体ライン部分4とを潅流する流体量のそれぞれの部分は、それぞれ、貫流測定設備23を介して、検出又は検査されることができる。
【0047】
印刷装置1のそれぞれの設計実施形態から、又は、単に例示的な方法で示される例示的な実施形態から独立して、例えば、バッグ又はフレキシブルなプラスチック容器であり得るフレキシブルな流体貯蔵容器が、例えば、ボトル又は金属製容器であり得る固い流体貯蔵容器6の代わりに、使用されることが可能である。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 印刷装置(1)を動作する方法であって、印刷工程のために提供される流体は、印刷ヘッド(13)によって表面に塗布されることができるように、供給ライン(14)を介して流体貯蔵容器(6)から前記印刷ヘッド(13)に供給され、精製回路(2)における前記流体が精製設備(8)を通して運ばれ、汚染測定設備(11)を介して、前記精製回路(2)における流体検体量の主要汚染指標が決定されることと、前記主要汚染指標が第1の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、前記流体が前記印刷ヘッド(13)から吐出される印刷工程が開始することとを特徴とする、方法。
[2] 前記主要汚染指標を決定するために提供される前記流体検体量が、前記精製回路(2)から迂回され、前記汚染測定設備(11)に供給され、前記主要汚染指標の決定に応じて前記精製回路(2)に再度戻ることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3] 前記印刷ヘッド(13)が前記精製回路(2)への戻りライン(17)を有することと、前記印刷ヘッド(13)に運ばれる印刷ヘッド洗浄液量が、前記印刷ヘッド(13)から再度回収され、前記精製回路(2)に戻されることとを特徴とする、[1]及び[2]のいずれかに記載の方法。
[4] 前記印刷ヘッド(13)から戻されたその印刷ヘッド洗浄液量の主要汚染指標が前記汚染測定設備(11)によって決定されることと、前記主要汚染指標が第2の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、前記印刷ヘッド(13)を介して前記印刷工程が開始することとを特徴とする、[3]に記載の方法。
[5] 前記精製回路(2)において運ばれる前記流体の流体精製ステップにおいて決定された主要汚染指標が第3の閾値をアンダーシュートしたときにのみ、前記流体が前記印刷ヘッド(13)に供給されることを特徴とする、[3]及び[4]のうちのいずれかに記載の方法。
[6] 流体精製ステップにおける前記流体が、少なくとも1つの粒子フィルタ(10)を通して及び少なくとも1つのガス抜き設備(9)を通して運ばれることを特徴とする、[1]-[5]のうちの1つ又は複数に記載の方法。
[7] 前記主要汚染指標が、各々前記汚染測定設備(11)によって検出される複数の主要粒子含有量指標のうちの1つ及び主要ガス含有量指標のうちの1つ又は複数から成ることを特徴とする、[1]-[6]のうちの1つ又は複数に記載の方法。
[8] 印刷ヘッド(13)を有し、流体貯蔵容器(6)のためのコネクタ設備(12)を有する印刷装置(1)であって、前記コネクタ設備(12)は、前記流体貯蔵容器(6)からの流体が、前記印刷ヘッド(13)に供給され、かつ、前記印刷ヘッド(13)によって表面に塗布されることができるように、供給ライン(14)を介して前記印刷ヘッド(13)に接続されており、前記コネクタ設備(12)が前記流体貯蔵容器(6)のための流体回収設備と流体詰替設備とを有することと、前記印刷装置(1)が、流体ライン部分(3,4,5)から形成され、かつ、精製設備(8)を有する精製回路(2)と、前記流体回収設備を介して前記流体貯蔵容器(6)から回収された前記流体が精製されることができ、前記精製回路(2)内の流体検体量の主要汚染指標が決定されることができ、前記流体詰替設備を介して前記流体が前記流体貯蔵容器(6)に再供給されることができる汚染測定設備(11)とを有することと、前記供給ライン(14)が、前記精製回路(2)から分岐し、前記精製回路(2)を潅流する前記流体が前記印刷ヘッド(13)に供給されることができるように、前記精製回路(2)を前記印刷ヘッド(13)に接続することとを特徴とする、印刷装置(1)。
[9] 前記印刷ヘッド(13)に供給される前記流体が前記印刷ヘッド(13)を潅流し、前記精製回路(2)に再供給されるように、戻りライン(17)が前記印刷ヘッド(13)を前記精製回路(2)に接続することを特徴とする、[8]に記載の印刷装置(1)。
[10] 前記印刷ヘッド(13)上の前記戻りライン(17)がバイパスラインを介して前記供給ライン(14)に接続されることを特徴とする、[9]に記載の印刷装置(1)。
[11] 前記戻りライン(17)が、少なくとも、1つの供給ライン部分に沿って前記供給ライン(14)を完全に囲むことを特徴とする、[9]及び[10]のうちのいずれかに記載の印刷装置(1)。
[12] 前記印刷ヘッド(13)が印刷対象のエリアより上に変位可能であることと、前記供給ライン(14)及び前記戻りライン(17)が、少なくとも、ライン変位部分(19)に沿ってフレキシブルであることとを特徴とする、[8]乃至[11]のうちの1つ又は複数に記載の印刷装置(1)。
[13] 前記精製設備(8)が少なくとも1つのガス抜き設備(9)及び少なくとも1つの粒子フィルタ(10)を有することを特徴とする、[8]乃至[12]のうちの1つ又は複数に記載の印刷装置(1)。
[14] 流れ方向で、少なくとも1つの第1の粒子フィルタ(10)が前記ガス抜き設備(9)の前方に配置され、少なくとも1つの第2の粒子フィルタ(10)が前記ガス抜き設備(9)の後方に配置されていることを特徴とする、[13]に記載の印刷装置(1)。
[15] 前記汚染測定設備(11)が流れ方向で前記精製設備(8)の後方に配置されていることを特徴とする、[8]乃至[14]のうちの1つ又は複数に記載の印刷装置(1)。
[16] 流れ方向で前記戻りライン(17)が前記汚染測定設備(11)の前方の前記精製回路に通じていることを特徴とする、[9]乃至[15]のうちの1つ又は複数に記載の印刷装置(1)。
[17] 事前定義可能な流体検体量が単に前記汚染測定設備(11)を通して運ばれるように前記流体が前記汚染測定設備(11)を通して運ばれることができるバイパスライン部分(20)が前記精製回路(1)に配置されていることを特徴とする、[8]乃至[16]のうちの1つ又は複数に記載の印刷装置(1)。
図1
図2
図3
図4