(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】CNS関連疾患を処置するための1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
(51)【国際特許分類】
C07D 243/22 20060101AFI20220912BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20220912BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220912BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220912BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20220912BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220912BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20220912BHJP
C07D 243/14 20060101ALI20220912BHJP
C07D 243/28 20060101ALN20220912BHJP
C07D 243/30 20060101ALN20220912BHJP
【FI】
C07D243/22 CSP
C07D401/04
A61P25/28
A61P25/04
A61P25/20
A61P25/18
A61K31/5513
C07D243/14
C07D243/28
C07D243/30
(21)【出願番号】P 2019522992
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2017077722
(87)【国際公開番号】W WO2018083051
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-23
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】フロール,アレキサンダー
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-065787(JP,A)
【文献】特開昭51-065800(JP,A)
【文献】特開昭62-148488(JP,A)
【文献】特開昭47-042696(JP,A)
【文献】特開平04-230280(JP,A)
【文献】国際公開第2016/171470(WO,A1)
【文献】特表2005-525392(JP,A)
【文献】International Journal of Molecular Sciences,2014年09月05日,Vol.15,No.9,p15741-15753,doi:10.3390/ijms150915741
【文献】Chemical and Pharmaceutical Bulletin,1973年,Vol.21,No.11,p2382-2390,doi:10.1248/cpb.21.2382
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,1971年,Vol.14,No.11,p1078-1081,doi:10.1021/jm00293a015
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質として使用するため
の医薬組成物であって、式I
【化1】
[式中、
R
1は、
i)R
5で場合により置換されているアリール、
ii)R
5で場合により置換されているヘテロアリール、
iii)R
5で場合により置換されているC
3-7-シクロアルキル、及び
iv)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
2は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6-アルキル、
ii)C
1-6-アルコキシ、
iii)ハロゲン、
iv)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
v)ハロゲン-C
1-6-アルコキシ、
vi)ニトロ、
vii)アミノ、及び
viii)アリール
からなる群より選択され;
R
3は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6-アルキル、
ii)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
iii)ヒドロキシ-C
1-6-アルキル、
iv)C
1-6-アルコキシ-C
1-6-アルキル、
v)-(CH
2)
1-2-S-C
1-6-アルキル、
vi)-(CH
2)
0-1-C
3-7-シクロアルキル、
vii)-O-(C=O)-C
1-6-アルキル、及び
viii)1~2個のR
5で場合により置換されているアリール
からなる群より選択され;
R
4は、
i)水素、及び
ii)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
5は、ハロゲンであり、
但し、R
1がアリールである場合、R
5は、オルト-クロロではない]
で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
R
1が、フェニルである、請求項1記載の
使用するための医薬組成物。
【請求項3】
R
2が、
ハロゲンである、請求項1~2のいずれか一項記載の
使用するための医薬組成物。
【請求項4】
R
2
が、Clである、
請求項3記載の使用するための医薬組成物。
【請求項5】
前記式Iの化合物が、以下
(3R)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル
-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(3-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソブチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-8-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-チオキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタ-ト、
(3S)-5-(4-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-[(3,4-ジクロロフェニル)メチル]-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-7-ニトロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
5-シクロヘキシル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-アミノ-3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-メトキシエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3,5-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、及び
7-クロロ-5-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
からなる群より選択される、請求項
1記載の
使用するための医薬組成物。
【請求項6】
アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための医薬の製造における、式I
【化2】
[式中、
R
1
は、
i)R
5
で場合により置換されているアリール、
ii)R
5
で場合により置換されているヘテロアリール、
iii)R
5
で場合により置換されているC
3-7
-シクロアルキル、及び
iv)C
1-6
-アルキル
からなる群より選択され;
R
2
は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6
-アルキル、
ii)C
1-6
-アルコキシ、
iii)ハロゲン、
iv)ハロゲン-C
1-6
-アルキル、
v)ハロゲン-C
1-6
-アルコキシ、
vi)ニトロ、
vii)アミノ、及び
viii)アリール
からなる群より選択され;
R
3
は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6
-アルキル、
ii)ハロゲン-C
1-6
-アルキル、
iii)ヒドロキシ-C
1-6
-アルキル、
iv)C
1-6
-アルコキシ-C
1-6
-アルキル、
v)-(CH
2
)
1-2
-S-C
1-6
-アルキル、
vi)-(CH
2
)
0-1
-C
3-7
-シクロアルキル、
vii)-O-(C=O)-C
1-6
-アルキル、及び
viii)1~2個のR
5
で場合により置換されているアリール
からなる群より選択され;
R
4
は、
i)水素、及び
ii)C
1-6
-アルキル
からなる群より選択され;
R
5
は、ハロゲンであり、
但し、R
1
がアリールである場合、R
5
は、オルト-クロロではない]
で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
の使用。
【請求項7】
R
1
が、フェニルである、請求項6記載の使用。
【請求項8】
R
2
が、ハロゲンである、請求項6及び7のいずれか一項記載の使用。
【請求項9】
R
2
が、Clである、請求項8記載の使用。
【請求項10】
前記式Iの化合物が、以下
(3R)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(3-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソブチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-8-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-チオキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタ-ト、
(3S)-5-(4-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-[(3,4-ジクロロフェニル)メチル]-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-7-ニトロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
5-シクロヘキシル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-アミノ-3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-メトキシエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3,5-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、及び
7-クロロ-5-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
からなる群より選択される、請求項6記載の使用。
【請求項11】
式I
【化3】
[式中、
R
1
は、
i)R
5
で場合により置換されているアリール、
ii)R
5
で場合により置換されているヘテロアリール、
iii)R
5
で場合により置換されているC
3-7
-シクロアルキル、及び
iv)C
1-6
-アルキル
からなる群より選択され;
R
2
は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6
-アルキル、
ii)C
1-6
-アルコキシ、
iii)ハロゲン、
iv)ハロゲン-C
1-6
-アルキル、
v)ハロゲン-C
1-6
-アルコキシ、
vi)アミノ、及び
vii)アリール
からなる群より選択され;
R
3
は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6
-アルキル、
ii)ハロゲン-C
1-6
-アルキル、
iii)ヒドロキシ-C
1-6
-アルキル、
iv)C
1-6
-アルコキシ-C
1-6
-アルキル、
v)-(CH
2
)
1-2
-S-C
1-6
-アルキル、
vi)-(CH
2
)
0-1
-C
3-7
-シクロアルキル、
vii)-O-(C=O)-C
1-6
-アルキル、及び
viii)1~2個のR
5
で場合により置換されているアリール
からなる群より選択され;
R
4
は、
i)水素、及び
ii)C
1-6
-アルキル
からなる群より選択され;
R
5
は、ハロゲンであり;
但し、R
1
がアリールである場合、R
5
は、オルト-クロロではない]
で示される化合物と、薬学的に許容し得る担体及び/又は薬学的に許容し得る補助物質とを含む、医薬組成物。
【請求項12】
R
1
が、フェニルである、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
R
2
が、ハロゲンである、請求項11及び12のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項14】
R
2
が、Clである、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記式Iの化合物が、以下
(3R)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(3-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソブチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-8-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-チオキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタ-ト、
(3S)-5-(4-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-[(3,4-ジクロロフェニル)メチル]-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
5-シクロヘキシル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-アミノ-3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-メトキシエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3,5-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、及び
7-クロロ-5-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
からなる群より選択される、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項16】
以下
(3R)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(3-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソブチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-8-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-チオキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタ-ト、
(3S)-5-(4-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-[(3,4-ジクロロフェニル)メチル]-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-7-ニトロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
5-シクロヘキシル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-アミノ-3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-メトキシエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3,5-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、及び
7-クロロ-5-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
からなる群より選択される化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ムスカリン性M1レセプター陽性アロステリックモデュレーター(PAM)であり、ムスカリン性M1レセプターにより媒介される疾患、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害の処置に有用な1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン化合物、それらの製造、それらを含む医薬組成物、及び治療活性物質としてのそれらの使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
ムスカリン性レセプター(mAChR)は、クラスA Gタンパク質共役レセプターのメンバーである。今日まで、mAChRの5つの異なるサブタイプ(M1~M5)がクローン化され、配列決定されている。ムスカリン性M1レセプターは、主に脳に分布しており、大脳皮質、視床、線条体及び海馬において最も高く発現する。臨床試験において、M1/M4を優先するアゴニストであるXanomelineにより、統合失調症患者における陽性、陰性、及び認知症候に対して強力な効力が示され、アルツハイマー病(AD)患者における認知スコアが改善し、精神病様行動が減少した。M1レセプターは、記憶及び学習プロセス、ドーパミン及びNMDAレセプター活性のレギュレーションに関与しているため、AD及び統合失調症を処置するための可能性のあるターゲットとして提案されている。
【0003】
ADは、晩年における認知症の最も一般的な原因である。病理学的には、ADは、細胞外プラーク及び細胞内神経原線維変化におけるアミロイドの脳への沈着を特徴とする。アミロイドプラークは、主に、一連のタンパク質分解性開裂工程によりβ-アミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来するアミロイドペプチド(Aβペプチド)から主に構成される。APPの幾つかの形態が同定されており、その中で最も多いものは、695、751及び770個のアミノ酸長のタンパク質である。これらは全て、差次的スプライシングを介して単一の遺伝子から生じる。Aβペプチドは、APPの同じドメインに由来するが、それらのN末端及びC末端で異なり、主な種は、β-アミロイドタンパク質開裂酵素によるβ-アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングにより40及び42個のアミノ酸長である。このプロセシングにより、脳におけるAβの蓄積がもたらされる。
【0004】
M1レセプターは、認知に関与する重要な脳領域である大脳皮質、海馬及び線条体においてシナプス後性に豊富に発現される。コリン作動性仮説、即ち、海馬及び大脳皮質領域におけるシナプス前性コリン作動性神経末端の変性に基づいて、M1活性化は、ADにおいて生じる認知欠如を救済するため、この神経変性障害の対症療法を提供するはずである。AD大脳皮質組織における死後研究から、M1レセプター発現が減少しないため、重要な脳領域におけるターゲット利用可能性についての証拠を提供することが示された。更に、前臨床研究から、M1活性化が、APPプロセシングを非アミロイド形成α-セクレターゼ経路に向かってシフトさせ、タウ過剰リン酸化を減少させることにより、ADの疾患修飾治療としての可能性を有することが示された。したがって、M1 PAMは、ADの対症療法及び疾患修飾処置の両方のターゲットに対するアプローチを提供する。
【0005】
統合失調症は、人口の1%に影響を及ぼし、陽性症候(例えば、幻覚、妄想及びパラノイア)、陰性症候(例えば、引きこもり及び無関心)及び認知障害(例えば、作業記憶、実行機能及び注意の欠損)を特徴とする、重篤であり、就業不能となる、生涯にわたる障害である。統合失調症は、遺伝的リスク因子及び神経病理学的変化を伴う神経発達障害である。統合失調症患者の脳では、前頭前野-海馬-視床ネットワ-ク内で、異常な活動が起こる。統合失調症の陽性症候は、ドーパミン作動性系機能不全、特に、線条体等の皮質下脳領域内のドーパミン活性の向上により引き起こされることが示唆されている。陰性症候は、腹側被蓋領域及び腹側線条体の神経回路内のシグナル伝達の障害により生じると考えられている。錐体ニュ-ロンにおけるNMDAレセプター機能の低下は、背外側前頭前皮質等の重要な領域における準最適なドーパミン放出と相まって、認知欠損の幾つかを説明することができる。
【0006】
M1レセプターは、海馬、大脳皮質及び線条体等の統合失調症に罹患している領域、特に、中型有棘ニュ-ロンに位置する。幾つかの報告では、統合失調症患者の部分集合において、M1が高密度に発現される領域である前頭前皮質及び海馬におけるムスカリン性レセプターの減少が示されている。更に、前臨床試験では、M1ノックアウトマウスがアンフェタミン誘導活性を増大し、線条体ドーパミンレベルを上昇させたことが示されている。電気生理学的研究から、M1レセプターの活性化によりNMDA媒介性海馬活性が増強され、中型有棘ニュ-ロンの活性がモデュレーションされ、内側前頭前皮質ニュ-ロンの活性が向上することが明らかにされた。全体として、M1レセプターの活性化により、基礎となる神経回路内の機能不全となっているドーパミン作動性及びグルタミン酸作動性シグナル伝達がモデュレーションされ、統合失調症の症候の改善がもたらされるはずである。
【0007】
しかしながら、Xanomeline及び他のムスカリン性M1作動剤の臨床効果は、常に、それらの不十分なM1ムスカリン性レセプターサブタイプ選択性に起因する有害作用に関連していた。発汗、唾液分泌、胃腸の苦痛及び徐脈を含む典型的に観察される副作用は、末梢M2及びM3 mAChRの非特異的活性化に起因している。多くの会社からの多大な努力にもかかわらず、高度にM1選択的なアゴニストの探索は、それらのオルトステリックアセチルコリンリガンド結合部位におけるムスカリン性レセプターサブタイプ間での高度の保存のために失敗してきた。
【0008】
高度に保存されたオルトステリックACh部位をターゲットとすることに関連する選択性及び安全性の問題を回避するために、代替的なアプローチは、あまり高度に保存されていないアロステリック結合部位に作用するM1 PAMを開発することからなる。
【0009】
異なる化学クラスからのM1 PAMは、合理的に説明されるように、良好なレベルのM1サブタイプ選択性を示す1。重要なことに、Xanomeline及び他の非選択的M1アゴニストの前臨床プロファイルに類似して、これらのM1アロステリック剤により、認知促進効果が示された(スコポラミン誘引記憶欠損におけるマウス、スコポラミン障害非ヒト霊長類及びトランスジェニックADマウス)。PQCA及びML169により、非アミロイド形成APPプロセシングを促進することが示されている。電気生理学的研究から、M1 PAMにより内側前頭前皮質及び中型有棘ニュ-ロンにおいてカルバコール誘引活性が増強されることが示された。更に、非選択的アゴニストとは異なり、M1 PAMは、治療有効用量で唾液分泌等の副作用を生じないようである。加えて、それらから、オルトステリックレセプターアゴニストについて以前に報告された慢性投薬後のレセプター脱感作/内在化等の傾向がないと予想される。まとめると、PAMアプローチは、真に選択的な様式でM1レセプターを活性化することにより、統合失調症(陽性、陰性及び認知症候)並びにAD(症候性及び疾患修飾性)を処置するための有効性及び安全性の両方の治療剤を提供するための非常に有望な新規戦略である。このため、ムスカリン性M1レセプター陽性アロステリックモデュレーターである本発明の化合物は、アルツハイマー病及びムスカリン性M1レセプターにより媒介される他の疾患の治療に有用であると考えられる。
【0010】
Simonyi et al.2において、GABAレセプターに対するベンゾジアゼピンのC3における置換パターンの影響が調査され、レセプターによるリガンドのMコンフォメーションの優先性が記載されている。
【0011】
米国特許第4031078号明細書3には、駆虫剤として使用することができる特定の1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンが記載されている。Meguro et al.4には、うつ病を処置するのに有用な1,4-ベンゾジアゼピンが記載されている。米国特許第4514407号明細書5には、利尿剤としての1,4-ベンゾジアゼピンが記載されている。米国特許第3987052号明細書6には、精神安定剤として使用することができる1,4-ベンゾジアゼピンが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、式Iで示される新規化合物、それらの製造、本発明に関連する化合物に基づく医薬及びそれらの製造、並びにアルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害等の疾患の制御又は予防における式Iで示される化合物の使用を提供する。式Iで示される新規化合物は、良好な活性及び薬理学的特性を有する。
【0013】
本発明は、GABA Aレセプター複合体、特に、GABA Aα5レセプターに不活性な、式Iで示される新規な化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は、式I
【化1】
[式中、置換基及び変数は、以下及び特許請求の範囲に記載されるとおりである]
で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0015】
本発明の化合物は、ムスカリン性M1レセプター陽性アロステリックモデュレーター(PAM)であり、ムスカリン性M1レセプターにより媒介される疾患、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害の処置に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、式Iで示される化合物及びそれらの薬学的に許容し得る塩、上記言及された化合物の調製、それらを含む医薬及びそれらの製造、並びにアルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害の治療的及び/又は予防的な処置における上記言及された化合物の使用を提供する。
【0017】
本説明で使用される一般的な用語の下記定義は、当該用語が単独で現れるか又は他の基と組み合わせて現れるかにかかわらず適用される。
【0018】
特に断りない限り、明細書及び特許請求の範囲を含む本願において使用される下記用語は、下記で与えられる定義を有する。本明細書中及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、そうではないと文脈が明確にしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。
【0019】
「C1-6-アルキル」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、直鎖であっても、分岐鎖(単分岐鎖又は多分岐鎖)であってもよい炭化水素基を意味し、ここで、アルキル基は、一般的には、1~6個の炭素原子を含み、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル、イソプロピル(i-プロピル)、n-ブチル、i-ブチル(イソブチル)、2-ブチル(sec-ブチル)、t-ブチル(tert-ブチル)、イソペンチル、2-エチル-プロピル(2-メチル-プロピル)、1,2-ジメチル-プロピル等である。特定の「C1-6-アルキル」は、「C1-4-アルキル」である。具体的な基は、メチル、エチル、プロピル(propoyl)、イソプロピル及びイソブチルである。
【0020】
「ハロゲン-C1-6-アルキル」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、1つ又は複数個のハロゲン、特に、1~5個のハロゲン、とりわけ、1~3個のハロゲンにより置換されている、本明細書中で定義されるC1-6-アルキルを指す。特定のハロゲンは、フルオロである。特定の「ハロゲン-C1-6-アルキル」は、フルオロ-C1-6-アルキルであり、特定の「ハロゲン-C1-3-アルキル」は、フルオロ-C1-3-アルキルである。例は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル等である。具体的な基は、CF3である。
【0021】
「C1-6-アルコキシ-C1-6-アルキル」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、1つ又は複数個の本明細書中で定義されるC1-6-アルコキシ、特に、1つのC1-6-アルコキシにより置換されている、本明細書中で定義されるC1-6-アルキルを指す。具体的な基は、1-メトキシエチルである。
【0022】
「ヒドロキシ-C1-6-アルキル」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、1つ又は複数個のOH、特に、1個のOHにより置換されている、本明細書中で定義されるC1-6-アルキルを指す。具体的な基は、C(CH3)2OHである。
【0023】
「シアノ」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、N≡C-(NC-)を指す。
【0024】
「アミノ」という語は、単独又は他の基と組み合わせて、NH2を指す。
【0025】
「ニトロ」という語は、単独又は他の基と組み合わせて、NO2を指す。
【0026】
「ハロゲン」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、クロロ(Cl)、ヨ-ド(I)、フルオロ(F)及びブロモ(Br)を指す。具体的な基は、F、Cl及びBrである。
【0027】
「ヘテロアリール」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、N、O及びSから個々に選択される1、2又は3個のヘテロ原子(特に、1個のN又は2個のN)を含有する、単一の4~8員環(特に、5~8員環)又は6~14個(特に、6~10個)の環原子を含む多縮合環を有する芳香族炭素環基を指し、同基において、少なくとも1つの複素環は芳香族である。「ヘテロアリール」の例は、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、1H-ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、1H-インダゾリル、インドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル(ピラジル)、1H-ピラゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、6,7-ジヒドロ-5H-[1]ピリジニル等を含む。具体的な基は、ピリジニルである。
【0028】
「C1-6-アルコキシ」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、直鎖であっても、分岐鎖(単分岐鎖又は多分岐鎖)であってもよい、-O-C1-6-アルキル基を意味し、ここで、アルキル基は、一般的には、1~6個の炭素原子を含み、例えば、メトキシ(OMe、MeO)、エトキシ(OEt)、プロポキシ、イソプロポキシ(i-プロポキシ)、n-ブトキシ、i-ブトキシ(イソ-ブトキシ)、2-ブトキシ(sec-ブトキシ)、t-ブトキシ(tert-ブトキシ)、イソペンチルオキシ(i-ペンチルオキシ)等である。特定の「C1-6-アルコキシ」は、1~4個の炭素原子を有する基である。具体的には、メトキシである。
【0029】
「ハロゲン-C1-6-アルコキシ」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、1つ又は複数個のハロゲン、特に、1~5個のハロゲン、とりわけ、1~3個のハロゲンにより置換されている、本明細書中で定義されるC1-6-アルコキシを指す。特定のハロゲンは、フルオロである。特定の「ハロゲン-C1-6-アルコキシ」は、フルオロ-C1-6-アルコキシであり、特定の「ハロゲン-C1-3-アルコキシ」は、フルオロ-C1-3-アルコキシである。具体的な基は、-O-CF3である。
【0030】
「アリール」という用語は、6~10個の炭素環原子を含む一価の芳香族炭素環式の単環系又は二環系を指す。アリール部分の例は、フェニル及びベンジルを含む。
【0031】
「C3-7-シクロアルキル」という用語は、単独又は他の基と組み合わせて、3~7個の環炭素原子の一価で飽和の単環式又は二環式炭化水素基、特に、3~5個の環炭素原子の一価で飽和の単環式炭化水素基を指す。二環式は、1つ以上の炭素原子を共有する2個の飽和炭素環からなることを意味する。特定のシクロアルキル基は、単環式である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。具体的な基は、シクロプロピルである。
【0032】
「薬学的に許容し得る塩」という用語は、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適な塩を指す。無機酸及び有機酸との好適な塩の例は、これらに限定されるものではないが、酢酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、硝酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、コハク酸、硫酸(sulfuric acid)(硫酸(sulphuric acid))、酒石酸、トリフルオロ酢酸等の塩である。特定の酸は、ギ酸、トリフルオロ酢酸及び塩酸である。具体的な酸は、塩酸、トリフルオロ酢酸及びフマル酸である。
【0033】
「オルト-クロロ」という用語は、オルト位、特に、ベンゼン環におけるオルト位のクロロ置換基を指す。
【0034】
「薬学的に許容し得る担体」及び「薬学的に許容し得る補助物質」という用語は、処方物の他の成分と適合可能な担体及び補助物質、例えば、希釈剤又は賦形剤を指す。
【0035】
「医薬組成物」という用語は、所定の量又は割合で特定の成分を含む製品、及び特定の量で特定の成分を組み合わせることから直接的又は間接的に生じる任意の製品を包含する。特に、医薬組成物は、1つ以上の有効成分と不活性成分を含む任意の担体とを含む製品、及び任意の2つ以上の成分の組み合わせ、複合化若しくは凝集、又は1つ以上の成分の解離、或いは1つ以上の成分の他の種類の反応又は相互作用から直接的又は間接的に生じる任意の製品を包含する。
【0036】
「阻害剤」という用語は、特定のリガンドの特定のレセプターへの結合と競合し、同結合を減少させ若しくは妨害するか、又は特定のタンパク質の機能の阻害を減少させ若しくは妨害する化合物を指す。
【0037】
「半最大有効濃度」(EC50)という用語は、in vivoで特定の効果の最大値の50%を得るために必要な特定の化合物の血漿濃度を指す。
【0038】
「治療有効量」は、疾患状態を処置するために対象に投与された場合に、疾患状態のためのこのような処置を達成するのに充分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置される疾患状態、処置される疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康度、投与の経路及び形態、担当医又は獣医の判断、並びに他の要因に応じて変動するであろう。
【0039】
「本明細書中で定義される」及び「本明細書中に記載される」という用語は、変数を指す場合、変数の広い定義、並びに、存在する場合には、特定の、より特定の及び最も特定の定義を参照により援用する。
【0040】
「処置すること」、「接触させること」及び「反応させること」という用語は、化学反応を指す場合、2つ以上の試薬を、示された及び/又は所望の生成物を生成するのに適した条件下で添加し又は混合することを意味する。示された及び/又は所望の生成物を生成する反応は、最初に添加された2つの試薬の組み合わせから必ずしも直接生じないこともある、即ち、最終的に指示された及び/又は所望の生成物の形成をもたらす、混合物中に生成される1つ以上の中間体が存在してもよいと理解されたい。
【0041】
「芳香族」という用語は、文献、特に、IUPAC - Compendium of Chemical Terminology, 2nd, A. D. McNaught & A. Wilkinson (Eds). Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997)において定義されるように、芳香族性の従来的な考え方を指す。
【0042】
「薬学的に許容し得る賦形剤」という用語は、治療活性を有さず、非毒性である任意の成分、例えば、医薬製品を処方化するのに使用される崩壊剤、バインダー、充填剤、溶媒、緩衝剤、張性剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤又は滑沢剤を示す。
【0043】
キラル炭素が化学構造中に存在する場合はいつでも、そのキラル炭素に関連する全ての立体異性体は、純粋な立体異性体及びそれらの混合物として、該構造により包含されることが意図される。
【0044】
また、本発明は、医薬組成物、前述の化合物を使用する方法及び同化合物を調製する方法も提供する。
【0045】
全ての別個の実施態様を組み合わせてもよい。
【0046】
本発明の一実施態様は、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質として使用するための、式I
【化2】
[式中、
R
1は、
i)R
5で場合により置換されているアリール、
ii)R
5で場合により置換されているヘテロアリール、
iii)R
5で場合により置換されているC
3-7-シクロアルキル、及び
iv)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
2は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6-アルキル、
ii)C
1-6-アルコキシ、
iii)ハロゲン、
iv)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
v)ハロゲン-C
1-6-アルコキシ、
vi)ニトロ、
vii)アミノ、及び
viii)アリール
からなる群より選択され;
R
3は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6-アルキル、
ii)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
iii)ヒドロキシ-C
1-6-アルキル、
iv)C
1-6-アルコキシ-C
1-6-アルキル、
v)-(CH
2)
1-2-S-C
1-6-アルキル、
vi)-(CH
2)
0-1-C
3-7-シクロアルキル、
vii)-O-(C=O)-C
1-6-アルキル、及び
viii)1~2個のR
5で場合により置換されているアリール
からなる群より選択され;
R
4は、
i)水素、及び
ii)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
5は、ハロゲンであり、
但し、R
1がアリールである場合、R
5は、オルト-クロロではない]
で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0047】
具体的な実施態様は、GABA Aレセプター複合体、特に、GABA Aα5レセプターに不活性な、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0048】
具体的な実施態様は、R1が、フェニルである、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質として使用するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0049】
具体的な実施態様は、R2が、ハロゲン、特に、Clである、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質として使用するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0050】
具体的な実施態様は、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質として使用するための、以下
(3R)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(3-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソブチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
(3S)-8-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-チオキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタ-ト、
(3S)-5-(4-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-[(3,4-ジクロロフェニル)メチル]-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-7-ニトロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
5-シクロヘキシル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-アミノ-3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-(1-メトキシエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3,5-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、及び
7-クロロ-5-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
からなる群より選択される、本明細書中に記載される式Iで示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0051】
具体的な実施態様は、本明細書中に記載される式I
【化3】
[式中、
R
1は、
i)R
5で場合により置換されているアリール、
ii)R
5で場合により置換されているヘテロアリール、
iii)R
5で場合により置換されているC
3-7-シクロアルキル、及び
iv)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
2は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6-アルキル、
ii)C
1-6-アルコキシ、
iii)ハロゲン、
iv)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
v)ハロゲン-C
1-6-アルコキシ、
vi)ニトロ、
vii)アミノ、及び
viii)アリール
からなる群より選択され;
R
3は、水素であるか、又は以下
i)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
ii)ヒドロキシ-C
1-6-アルキル、
iii)C
1-6-アルコキシ-C
1-6-アルキル、
iv)-(CH
2)
1-2-S-C
1-6-アルキル、
v)-(CH
2)
0-1-C
3-7-シクロアルキル、
vi)-O-(C=O)-C
1-6-アルキル、及び
vii)1~2個のR
5で場合により置換されているアリール
からなる群より選択され;
R
4は、
i)水素、及び
ii)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
5は、ハロゲンであり;
但し、R
1がアリールである場合、R
5は、オルト-クロロではない]
で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0052】
具体的な実施態様は、本明細書中に記載される式I
【化4】
[式中、
R
1は、
i)R
5で場合により置換されているアリール、
ii)R
5で場合により置換されているヘテロアリール、
iii)R
5で場合により置換されているC
3-7-シクロアルキル、及び
iv)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
2は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6-アルキル、
ii)C
1-6-アルコキシ、
iii)ハロゲン、
iv)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
v)ハロゲン-C
1-6-アルコキシ、
vi)ニトロ、
vii)アミノ、及び
viii)アリール
からなる群より選択され;
R
3は、水素であるか、又は以下
i)C
1-6-アルキル、
ii)ハロゲン-C
1-6-アルキル、
iii)ヒドロキシ-C
1-6-アルキル、
iv)C
1-6-アルコキシ-C
1-6-アルキル、
v)-(CH
2)
1-2-S-C
1-6-アルキル、
vi)-(CH
2)
0-1-C
3-7-シクロアルキル、
vii)-O-(C=O)-C
1-6-アルキル、及び
viii)1~2個のR
5で場合により置換されているアリール
からなる群より選択され;
R
4は、
i)水素、及び
ii)C
1-6-アルキル
からなる群より選択され;
R
5は、ハロゲンであり;
但し、R
1がアリールである場合、R
5は、オルト-クロロではなく、下記化合物:
7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-エチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-5-フェニル-3-エチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
5-(2-フルオロフェニル)-3-エチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
5-フェニル-3-エチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-ブロモ-3-メチル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
3-メチル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、
7-クロロ-3-メチル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン、及び
7-トリフルオロメチル-3-メチル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
が除外される]
で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0053】
具体的な実施態様は、R1が、ベンジル、シクロヘキシル、エチル、フェニル及びピリジルからなる群より選択される、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0054】
具体的な実施態様は、R1が、アリール、特に、フェニルである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0055】
具体的な実施態様は、R2が、アミノ、Br、CF3、Cl、メチル、NO2、OCF3、OCH3及びフェニルからなる群より選択される、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0056】
具体的な実施態様は、R2が、ハロゲン、特に、Clである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0057】
具体的な実施態様は、R3が、
i)C1-6-アルキル、
ii)ハロゲン-C1-6-アルキル、
iii)ヒドロキシ-C1-6-アルキル、
iv)C1-6-アルコキシ-C1-6-アルキル、
v)-(CH2)1-2-S-C1-6-アルキル、
vi)-(CH2)0-1-C3-7-シクロアルキル、
vii)-O-(C=O)-C1-6-アルキル、及び
viii)1~2個のハロゲン、特に、Fで場合により置換されているアリール
からなる群より選択される、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0058】
具体的な実施態様は、R3が、-(CH2)2-S-CH3、1-メトキシエチル、3,4-ジクロロベンジル、ベンジル、C((CH3)2,OH)、CF3、CH2CF3、CH2-シクロプロピル、シクロプロピル、エチル、イソブチル、イソプロピル、メチル、-O-C(O)-CH3、フェニル及びプロピルからなる群より選択される、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0059】
具体的な実施態様は、R3が、C1-6-アルキル、特に、イソプロピルである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0060】
具体的な実施態様は、R4が、Hである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0061】
具体的な実施態様は、R1が、アリールである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0062】
具体的な実施態様は、R1が、フェニルである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0063】
具体的な実施態様は、R2が、水素又はハロゲンである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0064】
具体的な実施態様は、R2が、水素である、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0065】
具体的な実施態様は、R2が、Clである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0066】
具体的な実施態様は、R3が、C1-6-アルキルである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0067】
具体的な実施態様は、R3が、イソプロピルである、本明細書中に記載される式Iで示される化合物に関する。
【0068】
本発明の特定の実施態様は、本明細書中で定義されるプロセスにより調製される、本明細書中に記載される式Iで示される化合物を提供する。
【0069】
本発明の特定の実施態様は、治療活性物質として使用するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物を提供する。
【0070】
本発明の特定の実施態様は、ムスカリン性M1レセプター陽性アロステリックモデュレーターとして使用するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物を提供する。
【0071】
本発明の特定の実施態様は、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質として使用するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物を提供する。
【0072】
本発明の特定の実施態様は、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を処置するための治療活性物質として使用するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物を提供する。
【0073】
本発明の特定の実施態様は、本明細書中に記載される式Iで示される化合物と、薬学的に許容し得る担体及び/又は薬学的に許容し得る補助物質とを含む、医薬組成物を提供する。
【0074】
本発明の特定の実施態様は、ムスカリン性M1レセプター陽性アロステリックモデュレーターとして使用するための医薬を製造するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物の使用を提供する。
【0075】
本発明の特定の実施態様は、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質用の医薬を製造するための、本明細書中に記載される式Iで示される化合物の使用を提供する。
【0076】
本発明の特定の実施態様は、ムスカリン性M1レセプター陽性アロステリックモデュレーター、特に、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛又は睡眠障害を治療的及び/又は予防的に処置するための治療活性物質として使用するための方法を提供する。
【0077】
更に、本発明は、式Iで示される化合物の全ての光学異性体、即ち、ジアステレオ異性体、ジアステレオマー混合物、ラセミ混合物、全てのそれらの対応するエナンチオマー及び/又は互変異性体、並びにそれらの溶媒和物を含む。
【0078】
式Iで示される化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでいてもよいため、ラセミ体、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。分子上の様々な置換基の性質に応じて、更なる不斉中心が存在していてもよい。それぞれのこのような不斉中心は、独立して、2つの光学異性体を生成し、混合物で、及び純粋な又は部分的に精製された化合物として、可能な全ての光学異性体及びジアステレオマーが、本発明に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物の全てのこのような異性体形態を包含することを意味する。これらのジアステレオマーの独立した合成又はそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書中に開示された方法の適切な改変により、当技術分野で公知のように達成してもよい。それらの絶対立体化学は、公知の絶対配置の不斉中心を含有する試薬により必要に応じて誘導体化される結晶生成物又は結晶中間体のx線結晶学により決定してもよい。所望であれば、化合物のラセミ混合物を、個々のエナンチオマーが単離されるように分離してもよい。分離は、当技術分野において周知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングしてジアステレオマー混合物を形成し、続けて、標準的な方法、例えば、分別結晶化又はクロマトグラフィーにより個々のジアステレオマーを分離することにより行うことができる。
【0079】
光学的に純粋なエナンチオマーが提供される実施態様では、光学的に純粋なエナンチオマーは、化合物の異性体の総重量に基づいて、化合物が、>90重量%の所望の異性体、特に>95重量%の所望の異性体、とりわけ>99重量%の所望の異性体を含有することを意味する。キラルに純粋な又はキラルに富んだ化合物を、キラル選択的な合成により又はエナンチオマーの分離により調製してもよい。エナンチオマーの分離を、最終生成物で、代替的には好適な中間体で行ってもよい。
【0080】
式Iで示される化合物は、実施例に記載されるスキ-ムに従って調製してもよい。出発材料は、市販されているか又は公知の方法に従って調製してもよい。
【0081】
酸との対応する薬学的に許容し得る塩は、当業者に公知の標準的な方法により、例えば、式Iで示される化合物を、好適な溶媒、例えば、ジオキサン又はテトラヒドロフラン等に溶解させ、適切な量の対応する酸を添加することにより得ることができる。生成物は、通常、ろ過又はクロマトグラフィーにより単離することができる。式Iで示される化合物の塩基との薬学的に許容し得る塩への変換は、このような化合物をこのような塩基で処理することにより行うことができる。このような塩を形成するための1つの可能な方法は、例えば、1/n当量の塩基性塩(例えば、M(OH)n(式中、M=金属又はアンモニウムカチオン及びn=水酸化物アニオンの数))を適当な溶媒(例えば、エタノール、エタノール-水混合物、テトラヒドロフラン-水混合物)中の化合物の溶液に加え、エバポレーション又は凍結乾燥により溶媒を除去することである。特定の塩は、塩酸塩、ギ酸塩及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0082】
それらの調製が実施例に記載されていなくとも、式Iで示される化合物及び全ての中間生成物は、類似の方法に従って又は本明細書中に説明される方法に従って調製することができる。出発材料は、市販されており、当技術分野において公知であるか又は当技術分野において公知の方法により若しくはそれに類似して調製することができる。
【0083】
本発明における一般式Iで示される化合物は、官能基で誘導体化されて、in vivoで親化合物に変換され、戻ることが可能な誘導体が提供され得ると理解されるであろう。
【0084】
薬理試験
式Iで示される化合物及びそれらの薬学的に許容し得る塩は、価値のある薬理学的特性を有する。本発明の化合物は、ムスカリン性M1レセプターのモデュレーションに関連することが見出された。化合物を、以下に示す試験に従って調べた。
【0085】
このアッセイは、Fluorometric Imaging Plate Reader System(FLIPR、Molecular Devices)により細胞内カルシウムを測定することにより、CHO細胞において発現されるアセチルコリンムスカリン性レセプターにおけるモデュレーター活性を有する化合物を選択するように設計されている。このアッセイでは、FLIPRを使用して、基準Ca2+レベル又はアセチルコリン刺激Ca2+レベルに対する幾つかの濃度の試験化合物の影響を研究する。
【0086】
CHOヒトM1を実験の前日に、PDL BioCoat 96ウェル黒色/透明プレート(Becton 35 4640)に2×105個/mlで播種する。細胞を37℃及び5%CO2で、下記培地:F12 Nut Mix(Gibco 21765)、10%非働化FCS(GIBCO 16000-044)、1%Pen Strep(Gibco, 15140)及び200μg/ml Geneticin(Gibco 11811)中で増殖させる。実験当日、培地を除去し、ハンク緩衝塩溶液(HBSS、14065-049、Gibco)(20mM HEPES(Gibco 15630-056)、2mM Probenicid(Sigma P8761)、2mM Fluo-4AMエステル(Molecular Probes F-14202)、10%Pluronic acid(Molecular Probes P-3000)pH=7.4を含む)を含有する色素ローディングバッファー 100μlにより置き換え、37℃でインキュベーションした。60分後、細胞外色素を除去し、細胞を、37℃で予め温めた、HBSS(Gibco 14065-049)(20mM HEPES(Gibco、15630-056)、2mM Probenicid(Sigma P8761)を含む)を含むFLIPRバッファーで5回洗浄し、Ebml細胞洗浄機を使用して、それぞれのウェルにFLIPRバッファー 100μlを残した。細胞プレート及び希釈化合物(最終濃度 1%DMSO)をFLIPRのプラットフォ-ムに置き、ドアを閉じる。バックグラウンド蛍光及び基準蛍光シグナルをチェックするためのシグナル試験を行う。必要に応じて、レーザー強度を調節する。希釈された試験化合物との2分間のプレインキュベーションが与えられ、30nM アセチルコリン対照と比較することにより、M1レセプターに対する任意のアゴニスト活性を決定する。任意のモデュレーター活性を測定するために、希釈化合物を細胞に加え、2分間のプレインキュベーション後、EC20のアセチルコリンを加え、続けて、更に2分間のプレインキュベーションを行った後、細胞内Ca2+をFLIPR(Molecular Devices)で測定した。
【0087】
【0088】
GABA Aアッセイ
GABA Aレセプターサブタイプに結合する本発明の化合物の能力を、組成α1β2γ2とα5β3γ2のヒト(一過性トランスフェクト)レセプターを発現するHEK293細胞に結合する[3H]フルマゼニル(85Ci/mmol;Roche)との競合により決定した。
【0089】
膜調製 細胞ペレットを、Krebs-trisバッファー(5mM KCl、1.25mM CaCl2、1.25mM MgCl2、120mM NaCl、15mM Tris;pH7.5;結合アッセイバッファー)に懸濁させ、氷上で約20秒間polytronによりホモジナイズし、4℃で60分間遠心分離した(50000g;Sorvallローター:SM24=20000rpm)。細胞ペレットをKrebs-tris緩衝液に再懸濁し、氷上で約15秒間polytronによりホモジナイズした。タンパク質を測定し(Bradford法、Bio-Rad)、1mLのアリコ-トを調製し、-80℃で保存した。
【0090】
放射性リガンド結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイを、200uLの容量(細胞膜 100μl、[3H]フルマゼニル(a1、a2、a3サブユニットについては1nM、そして、a5サブユニットについては1nM濃度)、及び3.16μM~0.1μMの範囲の試験化合物を含有する)で行った(96ウェルプレート)。非特異的結合を10-5M ジアゼパムにより定義し、典型的に、総結合の5%未満を表した。アッセイを4℃で1時間インキュベーションして平衡化し、Packardハーベスターを使用するろ過及び氷冷洗浄バッファー(50mM Tris;pH7.5)による洗浄により、GF/C uni-filters(Packard)上に回収した。乾燥後、フィルタ-保持放射能を液体シンチレーション計数により検出した。
【0091】
データ計算
Ki値を、Excel-Fit(Microsoft)を使用して計算し、2回の測定の平均とする。
【0092】
実施例5:GABA-A α5:Ki>24μM;GABA-Aα5:>36μM;卵母細胞EP 1μMで効果なし。
【0093】
医薬組成物
式Iで示される化合物及び薬学的に許容し得る塩を治療活性物質として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤を、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、液剤、乳剤又は懸濁剤の形態で経口投与することができる。但し、投与は、直腸的に、例えば、坐剤の形態で、又は非経口的に、例えば、注射液剤の形態で行うこともできる。
【0094】
式Iで示される化合物及びそれらの薬学的に許容し得る塩は、医薬製剤を製造するために、薬学的に不活性な無機又は有機担体で処理することができる。乳酸、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセルのためのこのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセルに好適な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。但し、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセルの場合には、担体は、通常必要とされない。液剤及びシロップ剤の製造に好適な担体は、例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油等である。坐剤に好適な担体は、例えば、天然油又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオール等である。
【0095】
更に、医薬製剤は、薬学的に許容し得る補助物質、例えば、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、浸透圧を変化させるための塩、バッファー、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。それらは、更に他の治療上価値のある物質をも含有することもできる。
【0096】
また、式Iで示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩と治療上不活性な担体とを含有する医薬も、それらを製造するためのプロセスと同様に、本発明により提供され、同製造方法は、式Iで示される1つ以上の化合物及び/又はそれらの薬学的に許容し得る塩、並びに所望であれば、1つ以上の他の治療上価値のある物質を、1つ以上の治療上不活性な担体と共にガレヌス投与形態にすることを含む。
【0097】
投与量を広い範囲内で変えることができ、当然、それぞれの特定の場合における個々の要求に合わせて調節する必要があるであろう。経口投与の場合、成人のための投与量は、約0.01mg~約1000mg/日の一般式Iで示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩の対応する量で変化させることができる。一日量は、単回用量として又は分割用量で投与することができ、加えて、必要であると見出された場合には、上限を超えることもできる。
【実施例】
【0098】
下記実施例は、本発明を限定することなく説明するし、単にその代表として役立つ。医薬製剤は、適宜、約1~500mg、特に、1~100mgの式Iで示される化合物を含有する。本発明の組成物の実施例は、以下である。
【0099】
実施例A
下記組成の錠剤を、通常の様式で製造する。
【表2】
【0100】
製造手順
1.成分1、2、3及び4を混合し、精製水と共に顆粒化する。
2.顆粒を50℃で乾燥する。
3.顆粒を好適な粉砕装置に通過させる。
4.成分5を加え、3分間混合し;好適な打錠機で圧縮する。
【0101】
実施例B-1
下記組成のカプセル剤を製造する。
【表3】
【0102】
製造手順
1.成分1、2及び3を好適なミキサー中で30分間混合する。
2.成分4及び5を加え、3分間混合する。
3.好適なカプセルに充填する。
【0103】
式Iで示される化合物、乳酸及びトウモロコシデンプンを、まず、ミキサー中で混合し、次いで、粉砕機中で混合する。この混合物をミキサーに戻し;そこにタルクを加え、十分に混合する。この混合物を機械により好適なカプセル、例えば、硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0104】
実施例B-2
下記組成の軟ゼラチンカプセル剤を製造する。
【表4】
【0105】
【0106】
製造手順
式Iで示される化合物を、他の成分の温かい融解物中に溶解させ、この混合物を適切なサイズの軟ゼラチンカプセルに充填する。充填された軟ゼラチンカプセルを通常の手順に従って処理する。
【0107】
【0108】
製造手順
坐剤塊をガラス又はスチール容器中で溶融し、十分に混合し、45℃まで冷却する。その後、微粉化した式Iで示される化合物をそれに加え、完全に分散するまで撹拌する。この混合物を好適なサイズの坐剤型に注ぎ、静置して冷まし;次いで、坐剤を型から取り出し、パラフィン紙又は金属箔に、個々に包装する。
【0109】
実施例D
下記組成の注射液剤を製造する。
【表7】
【0110】
製造手順
式Iで示される化合物をポリエチレングリコール400と注射用水(一部)との混合物中に溶解させる。pHを酢酸により5.0に調整する。残った量の水を加えることにより、容量を1.0mlに調整する。この溶液をろ過し、適切な過剰量を使用してバイアルに充填し、滅菌する。
【0111】
実施例E
下記組成のサシェ剤を製造する。
【表8】
【0112】
製造手順
式Iで示される化合物を乳糖、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物と共に顆粒化する。顆粒をステアリン酸マグネシウム及び風味添加剤と混合し、小袋(sachet)に充填する。
【0113】
実験部
下記実施例を、本発明を説明するために提供する。それらは、本発明の範囲を限定するものと考慮されるべきではなく、単にそれらを代表するものと考慮されるべきである。
【0114】
実施例1
(3S)-5-(4-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0115】
a){(S)-1-[2-(4-フルオロ-ベンゾイル)-4-トリフルオロメトキシ-フェニルカルバモイル]-2-メチル-プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【化5】
ピリジン(5.4ml)中の(2-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)フェニル)(4-フルオロフェニル)メタノン(180mg、602μmol、1.00当量)、(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタン酸(131mg、602μmol、1.00当量)の混合物を-20℃、窒素雰囲気下で撹拌し、次いで、オキシ塩化リン(101mg、61.7μl、662μmol、1.1当量)を加え、撹拌をこの温度で50分間継続した。この混合物を氷水の添加によりクエンチした。この混合物を酢酸エチルで2回抽出し、有機層を合わせ、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションして、{(S)-1-[2-(4-フルオロ-ベンゾイル)-4-トリフルオロメトキシ-フェニルカルバモイル]-2-メチル-プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル(245mg、81.7%)を橙色の粘性油状物として得た。M+H+=497.3。
【0116】
b)(S)-5-(4-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-7-トリフルオロメトキシ-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化6】
ジクロロメタン(2ml)中の(S)-1-(2-(4-フルオロベンゾイル)-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル/RO7040762-000-001/2(323mg、648μmol、1.00当量)及びトリフルオロ酢酸(2.96g、2ml、26.0mmol、40.1当量)の溶液を60℃で1時間撹拌した。溶媒をエバポレーションし、残留物を酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及びブラインで洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。この物質をトルエン(25ml)中に溶解させ、18時間一晩還流した 粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル 10~50%を使用する20g シリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、淡黄色の固体(167mg、67.8%)として得た。M+H+=381.2。
【0117】
c)(S)-5-(4-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-7-トリフルオロメトキシ-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
1,2-ジメトキシエタン(5ml)中の(S)-5-(4-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(147mg、387μmol、1.00当量)及びローソン試薬(313mg、773μmol、2当量)の混合物を密閉マイクロ波容器中において、80℃で18時間撹拌した。粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル 10~30%を使用する20g シリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、実施例1(109mg、71.1%)を淡黄色の固体として得た。M+H+=397.1。
【0118】
実施例2
(3S)-7-ブロモ-3-プロパン-2-イル-5-ピリジン-2-イル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0119】
a)N-[(1S)-1-[[4-ブロモ-2-(ピリジン-2-カルボニル)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化7】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-ブロモフェニル)(ピリジン-2-イル)メタノン(300mg、1.08mmol、1.00当量)及び(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタン酸(235mg、1.08mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[[4-ブロモ-2-(ピリジン-2-カルボニル)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(241mg、収率46.7%)を淡黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=478.11。
【0120】
b)(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化8】
生成物を、出発材料として(S)-(1-((4-ブロモ-2-ピコリノイルフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(241mg、506μmol、1.00当量)を使用し、実施例1bと同様の方法で調製して、(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(161mg、収率88.8%)を黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=358.1。
【0121】
c)(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(2-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
テトラヒドロフラン(521μl)中の(S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(ピリジン-2-イル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(70mg、195μmol、1当量)に、水素化ナトリウム(9.77mg、244μmol、1.25当量)を室温で加えた。バイアルを密封し、撹拌を60℃で20分間継続した。室温まで冷却した後、ジモルホリノホスフィン酸塩化物(74.6mg、293μmol、1.5当量)7を加え、この反応物を室温で一晩撹拌した。トリエチルアミン(39.5mg、54.2μl、391μmol、2当量)を加え、続けて、0.8M THF中の硫化水素(2.44ml、1.95mmol、10当量)を加え、撹拌を50℃で一晩継続した。水を加え、黄色の混合物をジクロロメタンで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン(hepate)/酢酸エチル(0~40%酢酸エチル)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、実施例2(36mg、収率49.2%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=376.1。
【0122】
実施例3
(3S)-7-クロロ-3-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0123】
a)(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-シクロプロピル-プロパン酸(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)
【化9】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(フェニル)メタノン(700mg、3.02mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-シクロプロピルプロパン酸(693mg、3.02mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-シクロプロピル-プロパン酸(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)(953mg、収率71.1%)を淡褐色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=445.2。
【0124】
b)(S)-7-クロロ-3-シクロプロピルメチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化10】
生成物を、出発材料として(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-シクロプロピルプロパン酸2-ベンゾイル-4-クロロフェニル(953mg、2.15mmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-7-クロロ-3-シクロプロピルメチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(636mg、収率91.2%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=325.1。
【0125】
c)(S)-7-クロロ-3-シクロプロピルメチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-3-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(150mg、462μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例3(72mg、収率45.7%)を黄色の粘性油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=341.1。
【0126】
実施例4
(3S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0127】
a)N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)カルバモイル]プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化11】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(フェニル)メタノン(500mg、2.16mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(439mg、2.16mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、[(S)-1-(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニルカルバモイル)-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(976mg、収率108%)を橙色の油状物として得た。MS:m/z(M-H)-=415.3。
【0128】
b)(S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化12】
生成物を、出発材料として(S)-1-(2-ベンゾイル-4-クロロフェニルアミノ)-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(900mg、2.16mmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(602mg、収率93.3%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=299.1。
【0129】
c)(S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(200mg、669μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例4(113mg、収率53.6%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=315.1。
【0130】
実施例5
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-プロパン-2-イル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(600mg、1.81mmol、1.00当量)を使用し、実施例1と同様の方法で調製して、実施例5(282mg、44.8%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=347.2。
【0131】
実施例6
(3S)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0132】
a)(R)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン
【化13】
生成物を、出発材料として(R)-(1-((2-ベンゾイル-4-クロロフェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(1.45g、3.6mmol、1.00当量)を使用し、実施例1と同様の方法で調製して、(R)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(1g、3.51mmol、収率97.6%)を淡黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=285.08。
【0133】
b)(R)-7-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン
【化14】
アルゴン雰囲気下、テトラヒドロフラン(16ml)中の(R)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(1g、3.51mmol、1.00当量)の溶液に、水素化ナトリウム(162mg、4.04mmol、1.15当量)を少しずつ加えた。この混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(825mg、714μl、5.27mmol、1.5当量)を加え、冷却浴を取り外し、この反応物を25℃までゆっくり温めるにまかせ、4時間撹拌した。LCMSは、単に出発材料を示した。撹拌を室温で一晩継続した。生成物のピークはごくわずかであり、ほとんどの出発材料が残った。水素化ナトリウム(42.1mg、1.76mmol、0.5当量)を(0℃に冷却した後)一度にゆっくりと加えた。30分間撹拌した後、1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(275mg、238μl、1.76mmol、0.5当量)を一度に加えた。この混合物を室温まで達するにまかせ、撹拌を2日間継続した。粗製物質をシリカゲルに適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル(10~30%酢酸エチル)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(R)-7-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(1.035g、72.8%)を白色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=405.13。
【0134】
c)3-アリル-7-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3-メチル-5-フェニル-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化15】
テトラヒドロフラン(6.5ml)中のジイソプロピルアミン(120mg、169μl、1.19mmol、1.2当量)の溶液に、N-ブチルリチウム(741μl、1.19mmol、1.2当量)を-15℃、アルゴン雰囲気下で加え、この混合物を0℃まで達するにまかせ、15分間撹拌し、次いで、-78℃まで冷却し、トリス(N,N-テトラメチレン)リン酸トリアミド(1.53g、1.36ml、5.93mmol、6当量)を加え(添加後には撹拌できなかった)、この混合物を、15分間静置し、次いで、n-ブチルリチウム(741μl、1.19mmol、1.2当量)(添加中に再度撹拌可能になった)、続けて、テトラヒドロフラン(6.5ml)中の(R)-7-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(400mg、988μmol、1.00当量)の溶液を加え(深赤色に変わった)、この混合物を15分間撹拌し、次いで、臭化アリル(1.2g、836μl、9.88mmol、10当量)を加え、-78℃での撹拌を2時間継続した。LCMSから、新たな生成物が幾つかの他のピークと共に形成されたことが示された。この混合物を塩化アンモニウムの飽和溶液の添加によりクエンチし、酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。粗製物質をシリカゲルに適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル 5~20%を使用する20g シリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3-アリル-7-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(150mg、337μmol、収率34.1%)を淡褐色の油状物として得た。この物質を次の工程で直接使用した。
【0135】
d)7-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化16】
3-アリル-7-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(140mg、315μmol、1.00当量)をメタノール中、5%パラジウム担持硫酸バリウム(17.4mg、8.17μmol、0.026当量)と共に、水素雰囲気下で2時間撹拌した。触媒をろ過し、少量のメタノールで洗浄した。溶媒をエバポレーションし、粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル(0~40%酢酸エチル)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、7-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(135mg、302μmol、収率96%)を淡黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=447.3。
【0136】
e)7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化17】
ジクロロメタン(3.5ml)中の7-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(130mg、291μmol、1.00当量)、トリフルオロメタンスルホン酸(436mg、258μl、2.91mmol、10当量)及びトリフルオロ酢酸(995mg、672μl、8.73mmol、30当量)の混合物(直ちに、非常に暗い混合物)を25℃で一晩撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素飽和溶液及びブラインで洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル 10~40%を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(75mg、78.9%)を淡黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=327.13。
【0137】
f)(S)-7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として7-クロロ-3-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(70mg、214μmol、1.00当量)を使用し、実施例5c)と同様の方法で調製して、実施例6(12mg、16.3%)をオフホワイト色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=343.2。
【0138】
実施例7
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0139】
a)N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)カルバモイル]ブチル]カルバミン酸tert-ブチル
【化18】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(フェニル)メタノン(500mg、2.16mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸(469mg、2.16mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)カルバモイル]ブチル]カルバミン酸tert-ブチル(713mg、収率76.7%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M-H)-=429.3。
【0140】
b)(S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化19】
生成物を、出発材料として(S)-1-(2-ベンゾイル-4-クロロフェニルアミノ)-1-オキソペンタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(700mg、1.62mmol、1.00当量)使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(940mg、収率102%)を淡褐色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=313.1。
【0141】
c)(S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-5-フェニル-3-プロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(150mg、480μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例7(93mg、収率59%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=329.1。
【0142】
実施例8
(3S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0143】
a)N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)カルバモイル]-3,3,3-トリフルオロ-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化20】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(フェニル)メタノン(500mg、2.16mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4,4,4-トリフルオロブタン酸(555mg、2.16mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)カルバモイル]-3,3,3-トリフルオロ-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(1.01g、収率99.4%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M-H)-=469.3。
【0144】
b)(S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロ-エチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化21】
生成物を、出発材料として(S)-1-(2-ベンゾイル-4-クロロフェニルアミノ)-4,4,4-トリフルオロ-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(1.01g、2.14mmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロ-エチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(770mg、収率102%)を黄色の非晶質として得た。MS:m/z(M+H)+=353.1。
【0145】
c)(S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロ-エチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
【化22】
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-5-フェニル-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(200mg、567μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例8(152mg、収率72.7%)をオフホワイト色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=369.1。
【0146】
実施例9
(3R)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(R)-7-クロロ-3-(2-(メチルチオ)エチル)-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(50mg、145μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例9(28mg、53.5%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=361.1。
【0147】
実施例10
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0148】
a)7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化23】
生成物を、出発材料として3-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニルアミノ)-1,1,1-トリフルオロ-3-オキソプロパン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(464mg、977μmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-トリフルオロメチル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(229mg、収率65.7%)をオフホワイト色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=357.1。
【0149】
b)(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化24】
ラセミ体である7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(213mg、597μmol)のキラル分離により、(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(96mg、収率45.1%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=357.1。
【0150】
c)(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-チオン
生成物を、出発材料として(R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(90mg、252μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例10(30mg、収率31.9%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=373.1。
【0151】
実施例11
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として他方のエナンチオマーである(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(90mg、252μmol、1.00当量)を使用し、実施例13と同様の方法で調製して、実施例11(30mg、収率31.9%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=373.1。
【0152】
実施例12
3-メチル-7-ニトロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として3-メチル-7-ニトロ-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(50mg、169μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例12(15mg、収率28.5%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=312.2。
【0153】
実施例13
(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0154】
a)N-[(1S)-1-[[2-(2-フルオロベンゾイル)-4-メチル-フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化25】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-メチルフェニル)(2-フルオロフェニル)メタノン(400mg、1.74mmol、1当量)及び(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタン酸(379mg、1.74mmol、1当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[(2-(2-フルオロベンゾイル)-4-メチル-フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(390mg、収率52.2%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M-H)-=427.4。
【0155】
b)(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化26】
生成物を、出発材料として(S)-(1-(2-(2-フルオロベンゾイル)-4-メチルフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(390mg、910μmol、1当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(297mg、収率105%)を黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=311.2。
【0156】
c)(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(295mg、950μmol、式1当量)を使用し、実施例5c)と同様の方法で調製して、実施例13(101mg、収率32.6%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=327.2。
【0157】
実施例14
[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-チオキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタート
【0158】
a)3-ブロモ-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-2-オン
【化27】
テトラクロロメタン(100ml)中に溶解させた7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-2-オン(欧州特許第72029号明細書)(1.44g、5mmol)を臭素(0.26ml、5mmol)で処理し、光照射下で30分間加熱する。全ての揮発性成分を除去し、残った固体をトルエンでクロマトグラフィー(100g シリカ)にかける。次いで、得られた物質をジエチルエーテル-ジイソプロピルエーテルから再結晶化して、3-ブロモ-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-2-オン(820mg、収率45%)を白色の結晶として得る。Mp.204~206℃。MS:m/z(M+)=365。
【0159】
b)[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタート
【化28】
3-ブロモ-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-2-オン(733mg、2mmol)、酢酸ナトリウム(308mg、3.76mmol)及び氷酢酸(25ml)を還流下で90分間加熱する。揮発性成分を減圧中で除去し、残りの固体を水で処理する。水相をクロロホルム/エタノール 9:1で2回抽出する。合わせた有機層を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固する。酢酸エチルからの再結晶により、[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタート(567mg、82%)を無色の結晶として得る。Mp.240~242℃。MS:m/z(M+)=345。
【0160】
c)[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-チオキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタート
生成物を、出発材料として[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,3-ジヒドロ-1-ベンズアゼピン-3-イル]アセタート(50mg、169μmol、1.00当量)、溶媒としてHMPTを使用し、実施例1c)と同様の方法で調製した。ジイソプロピルエーテルからの再結晶により、実施例14を淡黄色の結晶(50mg、85%)として得た。Mp214~215℃。MS:m/z(M+)=361。
【0161】
実施例15
7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(149mg、476μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例15(80mg、収率51.1%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=329.1。
【0162】
実施例16
(3S)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(600mg、1.92mmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例16(520mg、82.4%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=329.1。
【0163】
実施例17
7-クロロ-5-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として7-クロロ-5-プロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(仏国特許発明第1391752号明細書、172mg、554μmol、1.00当量)を使用し、実施例1と同様の方法で調製して、実施例17を得た。
【0164】
実施例18
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(1.83g、5.28mmol、1.00当量)を使用し、実施例1と同様の方法で調製して、実施例18(535mg、27.9%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=363.115。
【0165】
実施例19
(3S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-3-イソプロピル-5,7-ジフェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(150mg、423μmol、1.00当量)を使用し、実施例1と同様の方法で調製して、実施例19(40mg、25.5%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=371.2。
【0166】
実施例20
5-シクロヘキシル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として5-シクロヘキシル-7-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(米国特許第3933794号明細書と同様に調製、172mg、554μmol、1.00当量)を使用し、実施例1と同様の方法で調製して、実施例20(104mg、57.5%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=327.2。
【0167】
実施例21
(3R)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0168】
a)3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【化29】
生成物を、出発材料として3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(200mg、554μmol、1.00当量)を使用し、実施例1cと同様の方法で調製して、3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-チオン(111mg、53.1%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=377.0894。
【0169】
b)(3R)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
エナンチオマーをキラルHPLCにより分離して、第2の溶離(-)異性体(62mg、収率56.4%)としての実施例21を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=377.09。
【0170】
実施例22
(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0171】
a)N-[(1S)-1-[[4-クロロ-2-(3-クロロベンゾイル)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化30】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(3-クロロフェニル)メタノン(300mg、1.13mmol、1.00当量)(国際公開第2013/64465号)及び(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタン酸(245mg、1.13mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[(4-クロロ-2-(3-クロロベンゾイル)フェニル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(442mg、収率84.3%)を黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M-H)-=463.4。
【0172】
b)(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化31】
生成物を、出発材料として(S)-(1-((4-クロロ-2-(3-クロロベンゾイル)フェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(338mg、726μmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(269mg、収率107%)を黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=347.2
【0173】
c)(3S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-5-(3-クロロフェニル)-3-イソプロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(260mg、749μmol、1当量)を使用し、実施例5c)と同様の方法で調製して、実施例22(114mg、収率41.9%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=363.1。
【0174】
実施例23
(3S)-8-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0175】
a)2-アミノ-4-クロロ-フェニル-(2-フルオロ-フェニル)-メタノン
【化32】
1,2-ジクロロエタン中の1M 塩化ガリウム(III)(10.0ml、10mmol、0.850当量)に、3-クロロアニリン(1.5g、1.25ml、11.8mmol、1.00当量)をアルゴン雰囲気下、温度を5℃未満に維持しながら加えた(発熱性)。添加後に、この混合物を-10℃まで冷却し、ジクロロメタン中の1M 三塩化ホウ素(8.82ml、8.82mmol、0.75当量)を、温度を-5℃未満に維持しながら加えた(発熱性)。最後に、2-フルオロベンゾニトリル(1.42g、1.28ml、11.8mmol、1当量)を加え(発熱性)、この混合物を25℃まで温めるにまかせた。次いで、この混合物を80℃で18時間還流した。この混合物を氷で冷却し、水(約10ml)で加水分解した。次いで、得られた混合物を1.5時間、80℃まで加熱した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。この物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル(5~20%酢酸エチル)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2-アミノ-4-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-フェニル)-メタノン(841mg、収率28.6%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=250.1。
【0176】
b)(S)-1-(5-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニルアミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル
【化33】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-4-クロロフェニル)(2-フルオロフェニル)メタノン(300mg、1.2mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタン酸(261mg、1.2mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、(S)-1-(5-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニルアミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(380mg、収率70.4%)を赤色の粘性油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=447.3。
【0177】
c)(S)-8-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化34】
生成物を、出発材料として(S)-1-(5-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニルアミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(380mg、846μmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-8-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(244mg、収率87.1%)を淡褐色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=331.1。
【0178】
d)(S)-8-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-8-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(234mg、707μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例23(70mg、収率28.5%)を黄色の粘性油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=347.1。
【0179】
実施例24
(3S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0180】
a)(S)-2-(2-ベンゾイル-4-クロロフェニルアミノ)-1-シクロプロピル-2-オキソエチルカルバミン酸tert-ブチル
【化35】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(フェニル)メタノン(500mg、2.16mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-シクロプロピル酢酸(465mg、2.16mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、(S)-2-(2-ベンゾイル-4-クロロフェニルアミノ)-1-シクロプロピル-2-オキソエチルカルバミン酸tert-ブチル(940mg、102%)を黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M-H)-=427.3。
【0181】
b)(S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化36】
生成物を、出発材料として(S)-2-(2-ベンゾイル-4-クロロフェニルアミノ)-1-シクロプロピル-2-オキソエチルカルバミン酸tert-ブチル(940mg、2.19mmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(670mg、収率98.4%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=311.1。
【0182】
c)(S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-3-シクロプロピル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(200mg、644μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例24(106mg、50.4%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=327.1。
【0183】
実施例25
(3S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0184】
a)N-[(1S)-1-[[2-ベンゾイル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化37】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)フェニル)(フェニル)メタノン(300mg、1.07mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタン酸(232mg、1.07mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[[2-ベンゾイル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(445mg、収率86.8%)を黄色の粘性油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=481.2。
【0185】
b)(S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-トリフルオロメトキシ-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化38】
生成物を、出発材料として(S)-1-(2-ベンゾイル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(445mg、926μmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-トリフルオロメトキシ-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(140mg、収率41.7%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=363.2。
【0186】
c)(S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-トリフルオロメトキシ-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-3-イソプロピル-5-フェニル-7-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(130mg、359μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例25(116mg、収率85.4%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=379.1。
【0187】
実施例26
7-クロロ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0188】
a)2-[(7-クロロ-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)スルファニルメトキシ]エチル-トリメチルシラン及び7-クロロ-5-フェニル-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【化39】
7-クロロ-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-チオン(300mg、1.05mmol、1.00当量)をTHF(6ml)中で撹拌し、氷浴中で冷却した。鉱油中の60%水素化ナトリウム(83.7mg、2.09mmol、2当量)を一度に加えた(完全には溶解(soved)しなかった)。撹拌を30分間継続した。(2-(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(388mg、412μl、2.09mmol、2当量)を一度に加えた(それでも完全には溶解しなかった)。室温まで温めながら、週末にわたって撹拌を継続した。LCMS/TLCにより、新しい生成物の構築が示された。水を加え、酢酸エチルで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル(0~25%酢酸エチル)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-[(7-クロロ-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)スルファニルメトキシ]エチル-トリメチル-シラン及び7-クロロ-5-フェニル-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン(210mg、48.1%)の混合物を淡黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=417.22。
【0189】
b)2-[7-クロロ-5-フェニル-2-(2-トリメチルシリラニル-エトキシメチルスルファニル)-3H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-3-イル]-プロパン-2-オール
【化40】
テトラヒドロフラン(2.5ml)中のジイソプロピルアミン(58.2mg、82.0μl、575μmol、1.2当量)の溶液に、n-BuLi(360μl、575μmol、1.2当量)を-20℃、アルゴン雰囲気下で加えた。この混合物を0℃まで温めるにまかせ、次いで、20分間撹拌し、次いで、この混合物を-78℃まで冷却し、テトラヒドロフラン(2.5ml)中の7-クロロ-5-フェニル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-チオン(200mg、480μmol、1.00当量)の溶液を滴加したところ、この混合物は、青色から直ちに暗赤色に変わった。添加が完了した後、得られた混合物を-78℃で1時間撹拌した。次いで、アセトン(83.6mg、106μl、1.44mmol、3当量)を加えたところ、この混合物は、赤色に変わり、-78℃での撹拌を更に3時間継続した。TLCにより、新しいスポットが示され、多くの出発材料が残っていることが示された。撹拌を1時間継続した。水を加え、酢酸エチルで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル(0~25%酢酸エチル)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製し、2-[7-クロロ-5-フェニル-2-(2-トリメチルシラニル-エトキシメチルスルファニル)-3H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-3-イル]-プロパン-2-オ-ル(74mg、32.5%)を橙色の油状物として得る。MS:m/z(M+H)+=475.17。
【0190】
c)7-クロロ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
2-(7-クロロ-5-フェニル-2-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチルチオ)-3H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-3-イル)プロパン-2-オ-ル(60mg、126μmol、1.00当量)をジクロロメタン(1.2ml)中のトリブロモボラン(278μl、278μmol、2.2当量)と共に10分間撹拌した。LCMSは、単に生成物のピークを示した。水を加え、酢酸エチルで3回抽出し(extractet)、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレーションした。粗製物質をシリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、実施例26(22mg、50.5%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=345.0818。
【0191】
実施例27
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソブチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0192】
a)N-[(1S)-1-[[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]カルバモイル]-3-メチル-ブチル]カルバミン酸tert-ブチル
【化41】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(2-フルオロフェニル)メタノン(300mg、1.2mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチルペンタン酸(278mg、1.2mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]カルバモイル]-3-メチル-ブチル]カルバミン酸tert-ブチル(448mg、収率80.5%)を黄色のロウ状固体として得た。MS:m/z(M-H)-=461.2。
【0193】
b)(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化42】
生成物を、出発材料として(S)-1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニルアミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(448mg、968μmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(315mg、収率94.4%)を橙色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=345.1。
【0194】
c)(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-イソブチル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソブチル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(305mg、885μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例27(39.0mg、収率12.2%)を黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=361.1。
【0195】
実施例28
3-[(3,4-ジクロロフェニル)メチル]-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を実施例29aと同様の方法で調製して、実施例28(460mg)を淡黄色の固体として得た。
【0196】
実施例29
(3S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0197】
a)N-[(1S)-2-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソ-1-フェニル-エチル]カルバミン酸tert-ブチル
【化43】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(2-フルオロフェニル)メタノン(300mg、1.2mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-フェニル酢酸(302mg、1.2mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-2-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソ-1-フェニル-エチル]カルバミン酸tert-ブチル(474mg、収率81.7%)を褐色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=483.2。
【0198】
b)(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化44】
生成物を、出発材料として(S)-2-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニルアミノ)-2-オキソ-1-フェニルエチルカルバミン酸tert-ブチル(474mg、982μmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(103mg、収率28.8%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=365.1。
【0199】
c)(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(103mg、282μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例29(54mg、収率50.2%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=381.1。
【0200】
実施例30
(3S)-3-ベンジル-7-クロロ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を実施例29と同様の方法で調製し、実施例30を第1の溶離(+)異性体(21mg、収率19.1%)(白色の固体)として得た。MS:m/z(M+H)+=377.0883。
【0201】
実施例31
7-クロロ-3,5-ジフェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として7-クロロ-3,5-ジフェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(163mg、470μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例31(69mg、収率40.5%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=363.1。
【0202】
実施例32
(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(3-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0203】
a)N-[(1S)-1-[[2-(2-フルオロベンゾイル)-4-メチル-フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化45】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-ブロモフェニル)(ピリジン-3-イル)メタノン(150mg、541μmol、1当量)及び(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタン酸(118mg、541μmol、1当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[(2-(2-フルオロベンゾイル)-4-メチル-フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(141mg、収率54%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=476.3。
【0204】
b)(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化46】
生成物を、出発材料として(S)-(1-((4-ブロモ-2-ニコチノイルフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(141mg、296μmol、1当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(3S)-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(64mg、収率60.4%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=358.1。
【0205】
c)(3S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(3-ピリジル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-ブロモ-3-イソプロピル-5-(ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(64mg、179μmol、1当量)を使用し、実施例5c)と同様の方法で調製して、実施例32(24.3mg、36.3%)を黄色の非晶質として得た。MS:m/z(M+H)+=376.1。
【0206】
実施例33
(3S)-7-クロロ-3-(2-メチルスルファニルエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-3-(2-(メチルチオ)エチル)-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(100mg、290μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例33(59mg、56.4%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=361.1。
【0207】
実施例34
(3R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0208】
a)N-[(1R)-1-[[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化47】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(2-フルオロフェニル)メタノン(200mg、801μmol、1.00当量)及び(R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタン酸(174mg、801μmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1R)-1-[(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(309mg、収率85.9%)を黄色の粘性油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=449.2。
【0209】
b)(R)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化48】
生成物を、出発材料として(R)-1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニルアミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(300mg、668μmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(R)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(173mg、収率78.3%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=331.1。
【0210】
c)(R)-7-クロロ-5-(2-フルオロ-フェニル)-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(R)-7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-3-イソプロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(173mg、523μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例34(104mg、収率57.3%)を黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=347.1。
【0211】
実施例35
(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【化49】
【0212】
a)(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化50】
7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(106mg、339μmol、1.00当量)をキラルHPLC分離に供し、(3R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(43mg、収率40.6%)を白色の非晶質として得た。MS:m/z(M+H)+=313.1。
【0213】
b)(R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(R)-7-クロロ-3-イソプロピル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(46mg、147μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例35(30mg、収率62.0%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=329.1。
【0214】
実施例36
(S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
【0215】
a)N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)カルバモイル]-3-メチル-ブチル]カルバミン酸tert-ブチル
【化51】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(フェニル)メタノン(500mg、2.16mmol、1.00当量)及び(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチルペンタン酸(499mg、2.16mmol、1.00当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-クロロ-フェニル)カルバモイル]-3-メチル-ブチル]カルバミン酸tert-ブチル(875mg、収率91.1%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=445.2。
【0216】
b)(S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン
【化52】
生成物を、出発材料として(S)-1-(2-ベンゾイル-4-クロロフェニルアミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イルカルバミン酸tert-ブチル(875mg、1.97mmol、1.00当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン(619mg、収率96.3%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=327.2。
【0217】
c)(S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-3-イソブチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(300mg、918μmol、1.00当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例36(141mg、収率44.8%)を淡黄色の泡状物として得た。MS:m/z(M+H)+=343.1。
【0218】
実施例37
7-アミノ-3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0219】
a)3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-7-ニトロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【化53】
生成物を、出発材料として3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-7-ニトロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(150mg、458μmol、1当量)を使用し、実施例5c)と同様の方法で調製して、3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-7-ニトロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン(19.1mg、12,1%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=344.1。
【0220】
b)7-アミノ-3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
塩化スズ(II)二水和物(33.1mg、147μmol、3.36当量)をDMF(300μL)中の3-エチル-5-(2-フルオロフェニル)-7-ニトロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-チオン(15mg、43.7μmol、1当量)の溶液に室温で加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。完了しなかった。更に一晩にわたって撹拌した後、反応が完了した。溶媒をエバポレーションし、メタノールを幾らか加え、シリカゲル上に適用し、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル(0~40%酢酸エチル)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、実施例37(10mg、73%)をオフホワイト色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=329.2。
【0221】
実施例38
7-クロロ-3-(1-メトキシエチル)-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として7-クロロ-3-(1-メトキシエチル)-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(60mg、182μmol、1.00当量)を使用し、実施例5と同様の方法で調製して、実施例38(13mg、20.7%)を淡黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=345.1。
【0222】
実施例39
(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0223】
a)N-[(1R)-1-[[4-クロロ-2-(シクロヘキサンカルボニル)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化54】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-クロロフェニル)(シクロヘキシル)メタノン(173.6mg、730μmol、1当量)及び(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタン酸(159mg、730μmol、1当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1R)-1-[(4-クロロ-2-(シクロヘキサンカルボニル)フェニル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(171mg、収率53.6%)を黄色の固体として得た。MS:m/z([M-BOC]+H)+=337.2。
【0224】
b)(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化55】
生成物を、出発材料として(R)-(1-((4-クロロ-2-(シクロヘキサンカルボニル)フェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(171mg、391μmol、1当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(81mg、収率64.9%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=319.2。
【0225】
c)(3S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-7-クロロ-5-シクロヘキシル-3-イソプロピル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(81mg、254μmol、1当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例39(5mg、収率5.88%)を淡黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=335.1。
【0226】
実施例40
(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0227】
a)N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-メトキシ-フェニル)カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル
【化56】
生成物を、出発材料として(2-アミノ-5-メトキシフェニル)(フェニル)メタノン(207mg、911μmol、1当量)及び(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタン酸(198mg、911μmol、1当量)を使用し、実施例1a)と同様の方法で調製して、N-[(1S)-1-[(2-ベンゾイル-4-メトキシ-フェニル)カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(170mg、収率43.8%)を黄色の油状物として得た。MS:m/z(M+H)+=427.3。
【0228】
b)(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化57】
生成物を、出発材料として(S)-(1-((2-ベンゾイル-4-メトキシフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(170mg、399μmol、1当量)を使用し、実施例1b)と同様の方法で調製して、(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(51mg、収率41.5%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=309.2。
【0229】
c)(3S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として(S)-3-イソプロピル-7-メトキシ-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(51mg、165μmol、1当量)を使用し、実施例1c)と同様の方法で調製して、実施例40(25mg、収率46.6%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=325.2。
【0230】
実施例41
3-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
生成物を、出発材料として3-メチル-5-フェニル-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(150mg、599μmol、1.00当量)を使用し、実施例5c)と同様の方法で調製して、実施例41(141mg、収率88.3%)をオフホワイト色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=267.2。
【0231】
実施例42
7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【0232】
a)N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-N-(4-クロロ-2-ニトロフェニル)カルバミン酸tert-ブチル
【化58】
THF(40ml)中の4-クロロ-2-ニトロアニリン(4g、23.25mmol)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(11.78mL)の溶液に、続けて、4-ジメチルアミノピリジン(20mg)を25℃で加えた。この混合物を90℃で6時間撹拌した。反応の完了後(TLCによりモニタリング)、反応混合物を周囲温度まで冷却し、減圧下で濃縮し、粗製残留物をペンタンで洗浄することにより精製して、N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-N-(4-クロロ-2-ニトロフェニル)カルバミン酸tert-ブチル(5g、58%)を白色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=373.3(M+1)。
【0233】
b)N-(2-アミノ-4-クロロフェニル)-N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]カルバミン酸tert-ブチル
【化59】
エタノール(50ml)と水(50ml)との混合物中のN-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-N-(4-クロロ-2-ニトロフェニル)カルバミン酸tert-ブチル(5g、13.44mmol)の溶液に、Znダスト(13.18g,201.6mmol)、続けて、塩化アンモニウム(5.7g、107.5mmol)を加えた。この反応混合物を25℃で16時間撹拌した。この反応混合物を、Celiteベッドに通してろ過し、減圧下で濃縮した。粗製残留物を30%酢酸エチル/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、N-(2-アミノ-4-クロロフェニル)-N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]カルバミン酸tert-ブチルを黄色の固体(4g、86%)として得た。MS:m/z(M+H)+=343.1。
【0234】
c)2-ホルミルブタン酸エチル
【化60】
ジクロロメタン(30ml)中のブタン酸エチル(5g、43.04mmol)の溶液に、ギ酸エチル(7ml、86mmol)、続けて、四塩化チタン(9.5ml)を0℃でゆっくりと加えた。この混合物を0℃で5分間撹拌した。その後、トリエチルアミン(15ml、107.6mmol)を加え、この反応混合物を0℃で1時間撹拌し、25℃で温め、更に1時間撹拌した。反応完了後、水(200ml)を加え、酢酸エチル(2×300ml)で抽出し、分離した有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残留物を減圧蒸留により精製して、2-ホルミルブタン酸エチルを黄色の液体(3g、21mmol)として得た。この物質を更に精製することなく使用した。
【0235】
d)2-{[(2-{ビス[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5-クロロフェニル)アミノ]メチル}ブタン酸エチル
【化61】
エタノール(30ml)中のN-(2-アミノ-4-クロロフェニル)-N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]カルバミン酸tert-ブチル(2g、5.8mmol)の溶液に、2-ホルミルブタン酸エチル(1.2g、8.7mmol)、続けて、酢酸(0.6ml)及びモレキュラーシーブをゆっくり加えた。この混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.74g、11.69mmol)を加え、この反応混合物を16時間、65℃まで加熱した。完了後、この反応物を25℃まで冷却し、重炭酸アンモニウム(30ml)の添加によりクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。水(100ml)を加え、酢酸エチル(2×150ml)で抽出し、有機層を分離し、ブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残留物を20%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するコンビフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-{[(2-{ビス[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5-クロロフェニル)アミノ]メチル}ブタン酸エチルを黄色の液体(660mg、24%)として得た。MS:m/z(M+H)+=471.0。
【0236】
e)2-{[(2-アミノ-5-クロロフェニル)アミノ]メチル}ブタン酸エチル
【化62】
ジクロロメタン(15ml)中の2-{[(2-{ビス[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5-クロロフェニル)アミノ]メチル}ブタン酸エチル(1g、2.12mmol)の溶液に、ジオキサン中の4M 塩酸を0℃でゆっくりと加えた。この反応混合物を25℃まで温めるにまかせ、4時間撹拌した。揮発分を減圧下で除去し、粗製残留物を水(100ml)で希釈し、水層を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液により、0℃で~pH7まで中和した。水層を酢酸エチル(2×150ml)で抽出し、合わせた有機層を分離し、ブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、2-{[(2-アミノ-5-クロロフェニル)アミノ]メチル}ブタン酸エチルを黄色の液体(800mg、粗製物)を得た。MS:m/z(M+H)+=271.0。この物質を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0237】
f)7-クロロ-3-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化63】
メタノール(30ml)中の2-{[(2-アミノ-5-クロロフェニル)アミノ]メチル}ブタン酸エチル(800mg、2.96mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(メタノール中の0.5M)(16ml)を25℃でゆっくり加えた。この反応混合物を60℃に温め、28時間撹拌した。揮発分を減圧下で除去した。20%酢酸エチル/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)による精製により、2-{[(2-{ビス[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5-クロロフェニル)アミノ]メチル}ブタン酸エチル 7-クロロ-3-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-オンを黄白色の固体(130mg、20%)として得た。MS:m/z(M+H)+=225.3。
【0238】
g)7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化64】
ジメトキシエタン(5ml)中の7-クロロ-3-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-オン(80mg、0.36mmol)の溶液に、ブロモベンゼン(0.06ml、0.54mmol)、X-phos(9mg、0.02mmol)及びナトリウムtert.ブトキシド(68mg、0.72mmol)を25℃で加え、この混合物をアルゴンで10分間パージした。その後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(33mg、0.04mmol)を加え、再度、アルゴンで更に10分間パージした。この反応混合物を60℃まで加熱し、この温度で6時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度まで冷めるにまかせ、Celiteベッドに通してろ過し、酢酸エチル(30ml)で洗浄した。ろ液を水(30ml)で希釈し、酢酸エチル(2×50ml)で抽出し、合わせた有機層を水(50ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧中で濃縮した。粗製物を、ヘキサン中の40%酢酸エチルで溶離するアミンシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製して、7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-オンを白色の固体(65mg、65%)として得た。この物質を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0239】
h)7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-チオン
【化65】
テトラヒドロフラン(4ml)中の7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-オン(600mg、3.17mmol)の撹拌懸濁液を窒素下で40℃に加熱した。ローソン試薬(68mg、0.17mmol)を加え、この反応塊を60℃で4時間撹拌した。この熱反応混合物を酢酸エチル(25ml)と水(25ml)との混合物に注ぎ、激しく撹拌した。水(50ml)で希釈し、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した後、合わせた有機層を水(50ml)及びブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。ヘキサン中の30%酢酸エチルで溶離するアミンシリカゲルを介したカラムクロマトグラフィーによる精製により、7-クロロ-3-エチル-5-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2-チオンを白色の固体(24mg、45%)として得た。=MS:m/z(M-H)=315.3。
【0240】
実施例X1
3-ベンジル-7-クロロ-5-(2-クロロ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジアゼピン-2-チオン
【化66】
生成物を、出発材料として3-ベンジル-7-クロロ-5-(2-クロロ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジアゼピン-2-オンを使用し、実施例5c)と同様の方法で調製して、3-ベンジル-7-クロロ-5-(2-クロロ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジアゼピン-2-チオンを黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=411.05。M1レセプターでの活性なし。
【0241】
実施例X2
7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-3-(シクロプロピルメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-チオン
【化67】
7-クロロ-5-(2-クロロ-フェニル)-3-シクロプロピルメチル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
1,2-ジメトキシエタン(3ml)中の7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-3-(シクロプロピルメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(73mg、203μmol)とローソン試薬(164mg、406μmol)の混合物を密閉バイアル中、80℃で18時間撹拌した。粗製物質を溶離液としてヘプタン/酢酸エチル 10~30%を使用する20g シリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-3-(シクロプロピルメチル)-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-チオン(28mg、収率37%)を黄色の固体として得た。MS:m/z(M+H)+=373。M1レセプターでの活性なし。
【0242】