(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】導波管の内外に光を選択的に結合するための統合MEMSスイッチ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/35 20060101AFI20220912BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
G02B6/35
G02B26/08 A
(21)【出願番号】P 2019567539
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 US2018036538
(87)【国際公開番号】W WO2018227007
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-02-04
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016976
【氏名又は名称】ザ・チャールズ・スターク・ドレイパ・ラボラトリー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スペクター, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】メビウス, マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】レーン, ベンジャミン エフ.
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0108651(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0128918(US,A1)
【文献】特開2003-195200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0107793(US,A1)
【文献】特開平07-307610(JP,A)
【文献】特表平10-505212(JP,A)
【文献】特表2016-508235(JP,A)
【文献】特表平11-508046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/35
G02B 26/08
G01S 17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティション化された光学スイッチであって、
レンズと、
複数の光学スイッチアレイであって、前記複数の光学スイッチアレイの各光学スイッチアレイは、個別の共通ポートと、前記複数の光学スイッチアレイの他の光学スイッチアレイの他のポートとは別個の個別の複数の他のポートとを有し、前記複数の光学スイッチアレイの各光学スイッチアレイは、
前記個別の共通ポートに光学的に結合される個別の導波管と、
前記個別の導波管に沿って配置される個別の複数の光学スイッチであって、前記複数の光学スイッチの各光学スイッチは、前記個別の導波管と前記個別の複数の他のポートの個別のポートとの間に光学的に結合され、前記複数の光学スイッチの各光学スイッチは、
少なくとも2つの位置の間で平行移動するように構成される個別の平行移動可能な光学格子であって、前記少なくとも2つの位置のうちの第1の位置は、少なくとも
20%の結合効率を伴って前記個別の導波管と光学的に結合するように、前記個別の導波管に十分に近接し、前記少なくとも2つの位置のうちの第2の位置は、最大で
6%の結合効率を伴って前記個別の導波管と光学的に結合するように、前記個別の導波管から十分に離れている、個別の平行移動可能な光学格子と、
前記個別の平行移動可能な光学格子を前記第1の位置および前記第2の位置で選択的に平行移動させるように構成される個別のMEMS構造と
を備え、前記複数の光学スイッチアレイは、表面を画定し、各個別の複数の光学スイッチの各光学スイッチは、前記個別の光学スイッチが前記第1の位置にあるときに、前記複数の光学スイッチアレイの前記表面を越えた自由空間と前記個別の導波管との間に前記レンズを介して光学的に結合するように構成されている、個別の複数の光学スイッチと
を備える、複数の光学スイッチアレイと
を備える、パーティション化された光学スイッチ。
【請求項2】
集合的に、前記複数の光学スイッチアレイの複数の他のポートは、長方形アレイ内に配列される、請求項1に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項3】
各複数の他のポートは、長方形アレイ内に配列される、請求項1に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項4】
各複数の他のポートは、単一の個別の行内に配列される、請求項1に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項5】
各共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項6】
各共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項7】
各共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機と、各共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機とをさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項8】
少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項9】
少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項10】
少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機と、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機とをさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項11】
共通ポートの第1のセットの各ポートに光学的に結合される個別の光学受信機と、共通ポートの第2のセットの各ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機とをさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項12】
前記複数の光学スイッチアレイは、平面状の表面を画定し、前記複数の他のポートは、前記平面状の表面上に配置される、請求項1~
11のいずれか一項に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【請求項13】
前記複数の他のポートを前記レンズに光学的に結合させる複数の光ファイバをさらに備える、請求項1に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年6月7日に出願され“Integrated MEMS Switches for Selectively Coupling Light In and Out of a Waveguide”と題された米国仮特許出願第62/516,602号の利益を主張するものであり、その全体の内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、光学スイッチに関し、より具体的には、光方向および測距(LiDAR)およびレーザ通信システム等において、光学信号が伝送または受信される方向を制御するために使用される、光学スイッチに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの光学システムは、高精度を伴って制御され得る方向における(可視または不可視)コリメート光学ビームを放出または受光する必要がある。例えば、そのような光学ビームは、光方向および測距(LiDAR)システムにおいて使用され、多くの場合、これらのビームは、標的を位置特定または追跡するために操向または掃引される必要がある。同様に、レーザ通信システムは、時として、2つの端末の間で最初に見通し内通信チャネルを確立するため、または端末の一方または両方が移動する場合等に、光学ビームを操向する必要がある。
【0004】
先行技術のLiDARおよびレーザ通信端末は、望遠鏡を使用し、ジンバルを使用して、望遠鏡全体を向けるか、または移動可能な操向鏡を望遠鏡の正面に設置し、鏡を使用するかのいずれか一方を行い、ビームを再指向する。しかしながら、本アプローチは、サイズ、質量、電力、および信頼性の観点から付随する欠点を伴う、大型の嵩張る移動システムを要求する。
【0005】
ビーム操向の他の従来の方法は、多数のアンテナがともに近接してアレイ化され、コヒーレントに動作される、すなわち、個々のエミッタの位相が慎重に制御され、アレイ全体を連動して動作させる、光学位相アレイを伴う。近接場における信号は、建設的および破壊的に干渉し、所望される方向にヌルおよび強化信号を作成する。しかしながら、位相アレイは、多数のエミッタおよび関連付けられる光学位相調節器を要求する。
【0006】
公称光学位相アレイは、半波長間隔で、すなわち、約0.5μmで配置される、エミッタを有する。長距離レーザ通信等の用途に関して、要求される総開口サイズは、約5cmである場合がある。したがって、104×104個のエミッタおよび位相偏移器のアレイが、必要とされるであろう。現在実証されているように、位相偏移器は、動作するために約1mWの電力を要求する。したがって、そのようなアレイの総電力消費量は、105W、すなわち、非現実的に多量の電力に接近する場合がある。
【0007】
「All-solid state optical transmit/receive terminal」と題され、2016年12月16日に出願された、米国仮特許出願第62/498,158号(第’158号特許出願)(その内容全体は、あらゆる目的のために、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、本願の譲受人に譲渡される。第’158号特許出願は、N×1個の光学スイッチを含む、光学伝送および受信端末を開示する。N×1個の光学スイッチは、共通入力/出力ポートをルートとする光導波管の「Hツリー」配列を含む。バイナリ光学スイッチが、Hツリーの2つの光導波管の各接合部に配置される。バイナリ光学スイッチの設定は、Hツリーを通して進行する光学信号のための道筋を決定する。各バイナリ光学スイッチは、マッハツェンダー干渉計、リング共振器、またはMEMS鏡等の微小電気機械システム(MEMS)デバイスを伴って実装されてもよい。しかしながら、バイナリ光学スイッチが加工され得る密度上の限界が、伝送/受信端末の空間分解能、すなわち、可能性として考えられる伝送または受信ビーム位置の密度を限定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある実施形態は、パーティション化された光学スイッチを提供する。パーティション化された光学スイッチは、複数の光学スイッチアレイを含む。複数の光学スイッチアレイの各光学スイッチアレイは、個別の共通ポートと、複数の光学スイッチアレイの他の光学スイッチアレイの他のポートと明確に異なる、個別の複数の他のポートとを有する。
【0009】
複数の光学スイッチアレイの各光学スイッチアレイは、個別の共通ポートに光学的に結合される、個別の導波管を含む。複数の光学スイッチアレイの各光学スイッチアレイはまた、個別の導波管に沿って配置される、個別の複数の光学スイッチを含む。複数の光学スイッチの各光学スイッチは、個別の導波管と個別の複数の他のポートの個別のポートとの間で光学的に結合される。
【0010】
複数の光学スイッチの各光学スイッチは、個別の平行移動可能な光学格子を含む。平行移動可能な光学格子は、少なくとも2つの位置の間で平行移動するように構成される。少なくとも2つの位置の第1の位置は、少なくとも約25%の結合効率を伴って個別の導波管と光学的に結合するように、個別の導波管に十分に近接している。少なくとも2つの位置の第2の位置は、最大で約5%の結合効率を伴って個別の導波管と光学的に結合するように、個別の導波管から十分に離れている。
【0011】
複数の光学スイッチの各光学スイッチはまた、個別のMEMS構造を含む。MEMS構造は、個別の平行移動可能な光学格子を、第1の位置および第2の位置に選択的に平行移動させるように構成される。
【0012】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機を含んでもよい。
【0013】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学伝送機を含んでもよい。
【0014】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機と、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学送信機とを含んでもよい。
【0015】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機を含んでもよい。
【0016】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学伝送機を含んでもよい。
【0017】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機と、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学送信機とを含んでもよい。
【0018】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、共通ポートの第1のセットの各ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機と、共通ポートの第2のセットの各ポートに光学的に結合される、個別の光学送信機とを含んでもよい。
【0019】
随意に、集合的に、複数の光学スイッチアレイの複数の他のポートは、長方形アレイ内に配列されてもよい。随意に、各複数の他のポートは、長方形アレイ内に配列されてもよい。
【0020】
随意に、各複数の他のポートは、単一の個別の行内に配列されてもよい。
【0021】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機を含んでもよい。
【0022】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学伝送機を含んでもよい。
【0023】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機と、各共通ポートに光学的に結合される、個別の光学伝送機とを含んでもよい。
【0024】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機を含んでもよい。
【0025】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学伝送機を含んでもよい。
【0026】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機と、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される、個別の光学伝送機とを含んでもよい。
【0027】
随意に、パーティション化された光学スイッチは、共通ポートの第1のセットの各ポートに光学的に結合される、個別の光学受信機と、共通ポートの第2のセットの各ポートに光学的に結合される、個別の光学伝送機とを含んでもよい。
【0028】
随意に、各個別の複数の他のポートの各他のポートは、自由空間に光学的に結合されてもよい。
【0029】
随意に、複数の光学スイッチアレイは、平面状の表面を画定してもよく、複数の他のポートは、平面状の表面上に配置されてもよい。
【0030】
随意に、複数の光学スイッチアレイは、表面を画定してもよく、各個別の複数の光学スイッチの各光学スイッチは、個別の光学スイッチが第1の位置にあるとき、個別の導波管と複数の光学スイッチアレイの表面を越えた空間との間で光学的に結合するように構成されてもよい。
【0031】
随意に、パーティション化された光学スイッチはまた、複数の光学スイッチアレイを自由空間に光学的に結合させる、レンズを含む。
【0032】
随意に、パーティション化された光学スイッチはまた、複数の他のポートをレンズに光学的に結合させる、複数の光ファイバを含む。
【0033】
本発明のある実施形態は、光学スイッチを提供する。光学スイッチは、導波管と、平行移動可能な光学格子とを含む。平行移動可能な光学格子は、少なくとも2つの位置、すなわち、第1の位置と第2の位置との間で平行移動するように構成される。平行移動可能な光学格子が、少なくとも2つの位置の第1の位置にあるとき、平行移動可能な光学格子は、少なくとも約25%の結合効率を伴って導波管と光学的に結合するように、導波管に十分に近接する。平行移動可能な光学格子が、少なくとも2つの位置の第2の位置にあるとき、平行移動可能な光学格子は、最大で約5%の結合効率を伴って第2の導波管と光学的に結合するように、導波管から十分に離れている。光学スイッチはまた、平行移動可能な光学格子を、第1の位置および第2の位置に選択的に平行移動させるように構成される、MEMS構造を含む。
【0034】
本発明の別の実施形態は、光学スイッチアレイを提供する。光学スイッチアレイは、共通入力/出力ポートと、N個の他のポートとを含む。第1の導波管が、共通入力/出力ポートに光学的に結合される。複数の第1の光学スイッチが、第1の導波管に光学的に結合される。
【0035】
光学スイッチアレイはまた、複数の第2の導波管を含む。複数の第2の導波管の各第2の導波管は、複数の光学スイッチの個別の第1の光学スイッチを介して第1の導波管に光学的に結合される。
【0036】
光学スイッチアレイはまた、複数の第2の光学スイッチを含む。複数の第2の光学スイッチの個別のサブセットが、複数の第2の導波管の各第2の導波管に光学的に結合される。複数の第2の光学スイッチの各第2の光学スイッチは、複数の第2の導波管の個別の第2の導波管とN個の他のポートの個別のポートとの間で光学的に結合される。
【0037】
光学スイッチアレイは、平行移動可能な光学格子を含む。平行移動可能な光学格子は、少なくとも2つの位置の間で平行移動するように構成される。少なくとも2つの位置の第1の位置は、少なくとも約25%の結合効率を伴って第2の導波管と光学的に結合するように、個別の第2の導波管に十分に近接する。少なくとも2つの位置の第2の位置は、最大で約5%の結合効率を伴って第2の導波管と光学的に結合するように、個別の第2の導波管から十分に離れている。
【0038】
光学スイッチアレイはまた、平行移動可能な光学格子を、第1の位置および第2の位置に選択的に平行移動させるように構成される、MEMS構造を含む。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態は、光学送信/受信端末を提供する。光学送信/受信端末は、視野と、光学スイッチアレイとを有する、レンズを含む。光学スイッチアレイは、共通入力/出力ポートと、N個の他のポートとを含む。N個の他のポートは、N個の他のポートの各ポートが、レンズ視野の一意の部分に光学的に結合されるように、レンズに光学的に結合される。
【0040】
光学スイッチアレイはまた、共通入力/出力ポートと、第1の導波管に光学的に結合される複数の第1の光学スイッチとに光学的に結合される、第1の導波管を含む。
【0041】
光学スイッチアレイはまた、複数の第2の導波管を含む。複数の第2の導波管の各第2の導波管は、複数の光学スイッチの個別の第1の光学スイッチを介して第1の導波管に光学的に結合される。
【0042】
光学スイッチアレイはまた、複数の第2の光学スイッチを含む。複数の第2の光学スイッチの個別のサブセットが、複数の第2の導波管の各第2の導波管に光学的に結合される。複数の第2の光学スイッチの各第2の光学スイッチは、複数の第2の導波管の個別の第2の導波管とN個の他のポートの個別のポートとの間で光学的に結合される。
【0043】
複数の第2の光学スイッチの各第2の光学スイッチは、平行移動可能な光学格子を含む。平行移動可能な光学格子は、少なくとも2つの位置の間で平行移動するように構成される。少なくとも2つの位置の第1の位置は、少なくとも約25%の結合効率を伴って第2の導波管と光学的に結合するように、個別の第2の導波管に十分に近接する。少なくとも2つの位置の第2の位置は、最大で約5%の結合効率を伴って第2の導波管と光学的に結合するように、個別の第2の導波管から十分に離れている。
【0044】
複数の第2の光学スイッチの各第2の光学スイッチはまた、平行移動可能な光学格子を、第1の位置および第2の位置に選択的に平行移動させるように構成される、MEMS構造を含む。
【0045】
光学送信/受信端末はまた、光学スイッチアレイの共通入力/出力ポートに光学的に結合される、光学伝送機および/または光学受信機を含む。
【0046】
随意に、複数の光ファイバは、N個の他のポートをレンズに光学的に結合させてもよい。
【0047】
随意に、光学スイッチアレイは、表面を画定してもよく、複数の第2の光学スイッチの各第2の光学スイッチは、第2の光学スイッチが第1の位置にあるとき、個別の第2の導波管と光学スイッチアレイの表面を越えた空間との間で光学的に結合するように構成されてもよい。
【0048】
随意に、各平行移動可能な光学格子は、個別のMEMS構造を含んでもよい。
【0049】
随意に、複数の第1の光学スイッチの各第1の光学スイッチは、個別のMEMS構造を含んでもよい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
パーティション化された光学スイッチであって、
複数の光学スイッチアレイであって、前記複数の光学スイッチアレイの各光学スイッチアレイは、個別の共通ポートと、前記複数の光学スイッチアレイの他の光学スイッチアレイの他のポートから明確に異なる個別の複数の他のポートとを有し、前記複数の光学スイッチアレイの各光学スイッチアレイは、
前記個別の共通ポートに光学的に結合される個別の導波管と、
前記個別の導波管に沿って配置される個別の複数の光学スイッチであって、前記複数の光学スイッチの各光学スイッチは、前記個別の導波管と前記個別の複数の他のポートの個別のポートとの間に光学的に結合され、前記複数の光学スイッチの各光学スイッチは、
少なくとも2つの位置の間で平行移動するように構成される個別の平行移動可能な光学格子であって、前記少なくとも2つの位置の第1の位置は、少なくとも約25%の結合効率を伴って前記個別の導波管と光学的に結合するように、前記個別の導波管に十分に近接し、前記少なくとも2つの位置の第2の位置は、最大で約5%の結合効率を伴って前記個別の導波管と光学的に結合するように、前記個別の導波管から十分に離れている、個別の平行移動可能な光学格子と、
前記個別の平行移動可能な光学格子を前記第1の位置および前記第2の位置で選択的に平行移動させるように構成される個別のMEMS構造と
を備える、個別の複数の光学スイッチと
を備える、複数の光学スイッチアレイ
を備える、パーティション化された光学スイッチ。
(項目2)
集合的に、前記複数の光学スイッチアレイの複数の他のポートは、長方形アレイ内に配列される、項目1に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目3)
各複数の他のポートは、長方形アレイ内に配列される、項目1に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目4)
各複数の他のポートは、単一の個別の行内に配列される、項目1に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目5)
各共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機をさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目6)
各共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機をさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目7)
各共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機と、各共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機とをさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目8)
少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機をさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目9)
少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機をさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目10)
少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学受信機と、少なくとも1つの共通ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機とをさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目11)
共通ポートの第1のセットの各ポートに光学的に結合される個別の光学受信機と、共通ポートの第2のセットの各ポートに光学的に結合される個別の光学伝送機とをさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目12)
各個別の複数の他のポートの各他のポートは、自由空間に光学的に結合される、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目13)
前記複数の光学スイッチアレイは、平面状の表面を画定し、前記複数の他のポートは、前記平面状の表面上に配置される、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目14)
前記複数の光学スイッチアレイは、表面を画定し、各個別の複数の光学スイッチの各光学スイッチは、前記個別の光学スイッチが前記第1の位置にあるとき、前記個別の導波管と前記複数の光学スイッチアレイの表面を越えた空間との間で光学的に結合するように構成される、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目15)
前記複数の光学スイッチアレイを自由空間に光学的に結合させるレンズをさらに備える、任意の前述の項目に記載のパーティション化された光学スイッチ。
(項目16)
前記複数の他のポートを前記レンズに光学的に結合させる複数の光ファイバをさらに備える、項目15に記載のパーティション化された光学スイッチ。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明は、図面と併せて以下の発明を実施するための形態を参照することによってより完全に理解されるであろう。
【0051】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態による、光学伝送/受信端末の概略図である。
【0052】
【
図2】
図2は、本発明のある実施形態による、
図1の光学伝送/受信端末の光学切替アレイの表面上の複数のN個のポートを図示する、概略図である。
【0053】
【
図3】
図3は、本発明のある実施形態による、
図1の光学伝送/受信端末の光学切替アレイを図示する、概略図である。
【0054】
【
図4】
図4は、先行技術による、
図1の光学伝送/受信端末の光学切替アレイ内で使用される、第1の光学スイッチのいくつかの概略図を提供する。
【0055】
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態による、
図1の光学伝送/受信端末の光学切替アレイ内で使用される、1つの第2の光学スイッチの概略上面図である。
【0056】
【
図6】
図6は、本発明のある実施形態による、OFF位置にある
図5の第1の光学スイッチの概略側面図である。
【0057】
【
図7】
図7は、本発明のある実施形態による、ON位置にある
図5の第1の光学スイッチの概略側面図である。
【0058】
【
図8】
図8は、本発明のある実施形態による、代表的な寸法を示す、ON位置にある、
図5の光学スイッチの概略側面図である。
【0059】
【
図9】
図9および10は、本発明のある実施形態による、平行移動可能な光学格子をON位置およびOFF位置に選択的に平行移動するように構成される静電MEMS構造を示す、OFF位置にある、
図5の光学スイッチの個別の概略斜視図および側面図である。
【
図10】
図9および10は、本発明のある実施形態による、平行移動可能な光学格子をON位置およびOFF位置に選択的に平行移動するように構成される静電MEMS構造を示す、OFF位置にある、
図5の光学スイッチの個別の概略斜視図および側面図である。
【0060】
【
図11】
図11は、本発明のある実施形態による、ON位置にある、
図5の光学スイッチの概略斜視側面図である。
【0061】
【
図12】
図12および13は、本発明のある実施形態による、それぞれ、ONおよびOFF位置にある、
図5の光学スイッチ内の、z-x場所に対する電場の2乗された強度のコンピュータモデル化の結果を図示する、グラフである。
【
図13】
図12および13は、本発明のある実施形態による、それぞれ、ONおよびOFF位置にある、
図5の光学スイッチ内の、z-x場所に対する電場の2乗された強度のコンピュータモデル化の結果を図示する、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の実施形態によると、操向可能な光学伝送および受信端末および関連付けられるMEMSベースの光学切替ネットワークのための方法および装置が、開示される。そのような端末は、エミッタ/コレクタの位相アレイを要求せず、付随する多数の位相偏移器もまた要求しない。本光学切替ネットワークは、光学ビームを操向するためのMEMSベースの光学スイッチを採用する。しかしながら、MEMSベースの光学スイッチは、Hツリーベースの光学スイッチ等の先行技術におけるものよりも有意に小さい。その結果、光学スイッチは、先行技術におけるものより高い密度で加工または充塞され、伝送/受信端末のより高い空間分解能、すなわち、可能性として考えられる伝送/受信ビーム位置の密度を提供し得る。スイッチの比較的に小さいサブセットが、任意の所与の時間において動作され、したがって、給電される必要がある。したがって、本端末は、先行技術と関連付けられる、機械的なスイッチ密度、エミッタ密度、および高電力問題を克服する。
【0063】
図1は、本発明のある実施形態による、光学伝送/受信端末100の概略図である。レンズ102が、光線106によって表される入射光線が光学スイッチ104の表面107上に集束されるように、光学切替アレイ(「光学切替ネットワーク」または「光学スイッチ」)104に光学的に結合される。逆に、光学スイッチ104の表面107において放出される光学信号は、レンズに光学的に結合され、それによって、光線106として空間の中に投影される。
【0064】
レンズ102は、好ましくは、広視野レンズである。レンズ102は、例えば、屈折率分布(GRIN)レンズ、魚眼レンズ、または単心レンズであってもよい。好適な単心レンズは、Distant Focus Corporation(PO Box 7857, Champaign, IL 61826-7857)から入手可能である。レンズが、平面状の集束された画像を作成する場合、レンズ102および光学スイッチ104は、空気または真空108によって光学的に結合されてもよい。しかしながら、レンズが、湾曲した集束された画像を作成する場合、光ファイバ108の束が、レンズ102を光学スイッチ104に光学的に結合するために使用されてもよい。光ファイバ108の束の各光ファイバの一方の端部が、レンズ102の表面上で終端してもよく、光ファイバの他方の端部が、光学スイッチ104の表面107上で終端してもよい。
【0065】
図2は、光学スイッチ104の表面107上のポート202、204、206、208、および210によって表される、複数のN個のポート200を図示する、概略図である。複数のポート200は、長方形アレイ内に配置されるものとして示される。しかしながら、ポート200は、任意の好適な配列内に配列されてもよい。光ファイバ108が、レンズ102を光学スイッチ104に結合するために使用される場合、1つ以上の光ファイバ108が、各ポート202-210において終端してもよい。光ファイバ108は、レンズ102によって投影された画像が複数のポート200内の対応する場所にマッピングされるように配列されるべきである。したがって、各ポート202-210は、レンズ102の視野の一意の部分に対応する。
【0066】
図1に戻ると、光学スイッチ104はまた、単一の共通入力/出力ポート110を有する。光学スイッチ104は、表面107上のN個のポート202-210のうちの1つを共通入力/出力ポート110に選択的に光学的に結合するように構成される。したがって、1つのモードにおいて、光学スイッチ104は、N×1個のスイッチとして作用する。すなわち、N個のポート202-210のうちの1つが、共通入力/出力ポート110に結合される。
【0067】
端末100はまた、フォトダイオード等の好適な光学受信機112および/またはレーザ等の好適な伝送機114を含む。LiDARシステムまたは双方向通信システムは、伝送機114と、受信機112との両方を含む。しかしながら、単方向通信システムは、受信機112または伝送機のみを含む必要があり、スタートラッカは、受信機112のみを含む必要がある。受信機112および/または伝送機114は、光ファイバ、鏡、および/または分割器/結合器等の光学結合器116によって表される好適な光学結合器によって、共通入力/出力ポート110に光学的に結合される。
【0068】
したがって、伝送機114からの光学信号が、光学結合器116を介して光学スイッチ104にルーティングされ、そこで、N個のポート202-210のうちの選択される1つのものに切り替えられてもよい。いったん光学スイッチ107の表面107から放出されると、光学信号は、選択されるポート202-210において終端される光ファイバ等を介して、レンズ102に伝達され、次いで、レンズ102によって空間の中に伝達される。光学信号がレンズ102によって投影される空間における方向は、選択されるポート202-210に依存する。逆に、LiDARシステムにおける帰還信号等の、レンズ102によって受信される光学信号が、光学スイッチによって受信機112にルーティングされる。光学信号がレンズ102によって受信される空間における方向は、選択されるポート202-210に依存する。
【0069】
図3は、本発明のある実施形態による、光学スイッチ104を図示する、概略図である。光学スイッチアレイ104は、共通入力/出力ポート110を含む。光は、両矢印300によって示されるように、共通入力/出力ポートに進入および/またはそれから退出し得る。共通入力/出力ポート110は、第1の光導波管301に光学的に結合される。光学スイッチアレイ104はまた、光導波管302、304、306、308、および310によって表される、複数の第2の光導波管を含む。各第2の光導波管302-310は、第1の光学スイッチ312、314、316、318、および320によって表される、個別の第1の光学スイッチを介して、第1の光導波管301に光学的に結合される。
【0070】
いくつかの実施形態では、各第1の光学スイッチ312-320が、単極双投(SPDT)スイッチとして作用する。したがって、光が共通入力/出力ポート110に進入すると仮定して、第1の光学スイッチ312は、光が第1の光導波管301に沿って継続することを可能にするか、または光を第2の光導波管302に転向させるかのいずれか一方を選択的に行う。したがって、集合的に、第1の光学スイッチ312-320は、光がどの第2の光導波管に転向されるかを制御する。同様に、集合的に、第1の光学スイッチ312-320は、光が、どの第2の光導波管から第1の光導波管に、かつそこから共通入力/出力ポート110にルーティングされるかを制御する。5個の第2の光導波管302-310および5個の第1の光学スイッチ312-320が示されるが、任意の好適な数の第2の導波管および第1の光学スイッチが、含まれてもよい。
【0071】
第2の光学スイッチ322、324、326、328、330、332、334、および/または336によって表される、個別の複数の第2の光学スイッチが、各第2の光導波管302-310に光学的に結合される。例えば、第2の光学スイッチ322-326が、第2の光導波管302に光学的に結合される。各第2の光学スイッチ322-326が、個別の第2の光導波管302、304、306、308、または310を自由空間に選択的に光学的に結合してもよい。第2の光学スイッチ322-326が、第2の光導波管302-310とN個のポート202-210(
図2)との間で結合されてもよい、または各第2の光学スイッチ322-326が、N個のポート202-210のうちの1つの一部または全体を形成してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、各第2の光学スイッチ322-336が、単極双投(SPDT)スイッチとして作用する。したがって、光が共通入力/出力ポート110に進入すると仮定して、第2の光学スイッチ332が、光が第2の光導波管306に沿って継続することを可能にするか、または光を、両矢印338によって示されるように、第2の光導波管306から外に転向させるかのいずれか一方を選択的に行う。両矢印338は、図面の平面から外に延在する。したがって、集合的に、第2の光学スイッチ322-336は、光が、N個のポート202-210のうちのどのポートに転向されるかを制御する。同様に、集合的に、第2の光学スイッチ322-336は、光が、N個のポート202-210のうちのどのポートから第1の光導波管に、かつそこから共通入力/出力ポート110にルーティングされるかを制御する。
【0073】
14個の第2の光学スイッチが、各第2の光学スイッチ302-310に結合されて示されるが、任意の数の第2の光学スイッチが、含まれてもよい。第2の光導波管322-336が全て、等しい数の第2の光学スイッチ322-336を有する必要はない。
【0074】
各第1および第2の光学スイッチ312-320および322-336が、バイナリ光学スイッチ、すなわち、ON/OFFスイッチである。したがって、第1および第2の光学スイッチ312-320および322-336は、例えば、破線340によって例示されるように、共通入力/出力ポート110とN個のポート202-210のうちの選択されるポートとの間のスイッチアレイ104を通して進行する光学信号のための光学経路を決定する。
【0075】
各第1の光学スイッチ312-320は、任意の好適な光学スイッチによって実装されてもよい。いくつかの実施形態では、各第1の光学スイッチ312-320は、MEMSによって作動される断熱性光学結合器の対によって実装される。そのようなスイッチセルが、2016年1月のTae Joon Seok, et al.の「Large-scale broadband digital silicon photonic switches with vertical adiabatic couplers」Optica, Vol. 3, No. 1, pp. 64-70およびTae Joon Seok, et al.の「Large-scale broadband digital silicon photonic switches with vertical adiabatic couplers: supplemental material」(そのそれぞれの内容全体は、あらゆる目的のために、参照することによって本明細書によって本明細書に組み込まれる)において説明される。
【0076】
各第1の光学スイッチ312-320は、2つの光導波管を使用して実装されてもよい。しかしながら、Seokによって説明される研究とは異なり、2つの導波管は、交差する必要はなく、スイッチの主要部が、類似している。MEMSによって作動される断熱性結合器の対を含む切替要素は、2つの光導波管の間に光学的に配置されてもよい。例えば、Seokの(本願において、
図4として複製される)
図1を参照されたい。
【0077】
OFF状態では、断熱性結合器が、光導波管の約1μm上方等、十分に離れて位置し、したがって、光が、他方の導波管に感知できるように結合することなく、導波管のうちの1つに沿って伝搬し続ける。Seokの(本願において、
図4内に複製される)
図1(c)を参照されたい。しかしながら、ON状態では、断熱性結合器が、MEMS静電ギャップ閉鎖アクチュエータによって導波管に向かって物理的に移動され、光が、したがって、導波管のうちの1つから断熱性結合器の中へ、かつ断熱性結合器と2つの導波管のうちの他方の導波管との間で効率的に結合される。Seokの(本願において、
図4内に複製される)
図1(d)を参照されたい。
【0078】
代替として、各第1の光学スイッチ312-320は、第’158号特許出願内で議論されるように、例えば、熱位相偏移器を伴う標準的なマッハツェンダー干渉計タイプスイッチを使用して実装されてもよい。
【0079】
記載されるように、光学スイッチ104の表面107(
図1)は、N個のポート202-210を有し、レンズ102は、入射光線106をN個のポート202-210上に集束させ、および/またはレンズ102は、N個のポート202-210を介して放出される光学信号を空間の中に投影する。光学格子は、両矢印338(
図3)によって示されるように、第2の光導波管302-310の面外に光を放出する、または第2の光導波管302-310の中に面外の光を結合するための効率的なデバイスである。光学格子は、異なる第2の屈折率を有する領域が散在される第1の屈折率を有する複数の領域を画定する、空間的に周期的な構造である。空間周期は、着目波長に基づいて選択される。ある場合には、周期的な溝が、材料内に画定される。他の場合では、2つの異なる材料が、互い違いにされる。説明の単純化のために、用語「溝」は、実際の溝、すなわち、空所、または光学格子の2つの互い違いにされた材料のうちの1つを表すために本明細書において使用される。
【0080】
そのような光学格子は、表面107またはその近傍に配置されてもよい。各第2の光学スイッチ322-336が、そのような光学格子によって実装されてもよい。特に、各第2の光学スイッチ322-336は、平行移動可能な光学格子、すなわち、少なくとも2つの位置の間で平行移動するように構成される光学格子によって実装されてもよい。第1の(「ON」)位置では、光学格子は、ある着目波長において、少なくとも約25%の結合効率を伴って第2の光導波管と光学的に結合するように、第2の光導波管302-310のうちの1つに十分に近接している。第2の(「OFF」)位置では、光学格子は、着目波長において、最大で約5%、好ましくは、1%未満の結合効率を伴って第2の光導波管と光学的に結合するように、第2の光導波管から十分に離れている。
図3は、第2の光学スイッチ322-336のうちの3つを拡大された状態で342に示す。
【0081】
各第2の光学スイッチ322-336は、平行移動可能な光学格子をON位置およびOFF位置に選択的に平行移動させるように構成される、MEMS構造を含んでもよい。
図5は、第2の光学スイッチ322-336のうちの1つの光学スイッチ500の概略上面図である。光学スイッチ500は、平行移動可能な格子502を含む。平行移動可能な格子502は、複数の平行または略平行な周期的な溝を画定する。溝は、壁504、506、および508によって表される壁によって分離される。記載されるように、溝および壁は、異なる屈折率を有する個別の材料によって実装されてもよい。壁504-508は、従来の半導体加工技法を使用して、シリコン、窒化ケイ素、または別の好適な材料で作製されてもよい。溝は、空所である、または壁504-508と異なる好適な材料であってもよい。平行移動可能な格子502が、6つの壁504-508を伴って示されるが、任意の好適な数の壁および/または溝が、使用されてもよい。平行移動可能な格子502が、第2の光導波管510、すなわち、第2の光導波管302-310のうちの1つの上方に配置される。
【0082】
図6は、OFF位置における、光学スイッチ500の概略側面図である。OFF位置では、平行移動可能な光学格子502が、最大で約5%、好ましくは、1%未満、かついくつかの実施形態では、0.1%未満の結合効率を伴って第2の光導波管510と光学的に結合するために十分である、第2の光導波管510からの距離600をおいて配置される。いくつかの実施形態では、距離600は、約1μm(1,000nm)である。いくつかの実施形態では、距離600は、約800nmであってもよい。いくつかの実施形態では、距離600は、約250nmであってもよい。OFF位置では、第2の光導波管510内の大部分または実質的に全ての光602が、矢印604によって示されるように、第2の光導波管510に沿って継続する。同様に、自由空間から光学格子502を介して第2の光導波管510の中に結合する光は、非常に少ない、または実質的に存在しない。
【0083】
第2の光導波管510が、従来の半導体加工技法を使用して、シリコンまたは窒化ケイ素ウエハ等の好適な半導体ウエハ上に加工されてもよい。第2の光導波管510は、好適な酸化物または他の不動態化層606上に加工されてもよい。
【0084】
図7は、ON位置における、光学スイッチ500の概略側面図である。ON位置では、平行移動可能な光学格子502が、少なくとも25%の結合効率を伴って第2の光導波管510と光学的に結合するために十分である、第2の光導波管510からの距離700をおいて配置される。いくつかの実施形態では、距離700は、約10~50nmである。ON位置では、第2の光導波管510内のより多く、大部分、または実質的に全ての光602が、矢印702によって示されるように、平行移動可能な光学格子502によって自由空間の中に放出される。同様に、自由空間からの好適なモードのより多く、大部分、または実質的に全ての光が、光学格子502を介して第2の光導波管510の中に結合する。
【0085】
図8は、本発明のある実施形態による、代表的な寸法を示す、ON位置における光学スイッチ500の別の概略側面図である。平行移動可能な格子502が、第2の光導波管510から約20nmの距離(D)をおいて配置される。第2の光導波管510は、約150nmの厚さ(T)のシリコン・オン・酸化物基板606である。入力光ビーム602は、約2.5μmの半径を伴うガウスビームである。平行移動可能な格子502は、約50nmの厚さ(H)である。平行移動可能な格子502は、約580nmの溝周期(Λ)を有する。光の他の波長の溝周期(Λ)を変更する等の適切な修正が、当業者によって公知であろうように、成され得る。
【0086】
図5-7に関して議論されるように、各第2の光学スイッチ322-336は、平行移動可能な光学格子500をON位置およびOFF位置に選択的に平行移動させるように構成される、MEMS構造を含んでもよい。
図9および10は、平行移動可能な光学格子500をON位置およびOFF位置に選択的に平行移動させるように構成される静電MEMS構造900を示す、OFF位置における光学スイッチ500の個別の概略斜視図および側面図である。
図11は、ON位置における光学スイッチ500の概略斜視側面図である。平行移動可能な光学格子500が、破線の楕円902内に示されている。
【0087】
平行移動可能な光学格子500は、ブリッジ904一部である。ブリッジ904は、基板606から離間され、かつその上方に配置される。基板は、埋設された酸化物層1000(
図10および11)を含んでもよい。ブリッジ904は、個別のピア908および910によって支持される。第2の光導波管510は、平行移動可能な光学格子500の下の基板606内またはその上に配置される。
【0088】
ブリッジは、2つの第1の静電作動電極912および914を含む。2つの対応する第2の静電作動電極916および918は、2つの第1の作動電極912および914が、それぞれ、2つの第2の作動電極916および918にわたって位置合わせされるように、基板606上に配置される。ブリッジ904はまた、2つの撓曲部920および922を含む。
【0089】
したがって、電位が、
図11に図式的に示されるように、第1および第2の作動電極912-914および916-918を横断して印加される場合、結果として生じる静電力が、第1の作動電極912-914および平行移動可能な光学格子500を基板606に向かって押勢し、それによって、平行移動可能な光学格子500を、光学スイッチ500をONにするために第2の光導波管510の適切な距離内にもたらす。そのような電位および結果として生じる静電力がない場合、撓曲部920および922が、平行移動可能な光学格子500をOFF位置に戻す。平行移動可能な光学格子500の進行距離をON位置内に限定するためのボス1002が、含まれてもよい。MEMS構造900の他の側面は、SeokおよびSeok補遺において説明されるMEMS構造に類似する。
【0090】
図12および13は、それぞれ、ON位置およびOFF位置における、光学スイッチ500内のz-x場所に対するモデル化された光強度(2乗された電場強度)を図示する、グラフ1200および1300である。両方のプロットにおいて、光導波管510は、水平であり、光は、矢印1202によって示されるように、自由空間から光導波管510の中に進行する。
図12では、平行移動可能な格子502を介して導波管510の中に結合する光が、矢印1204によって示される。両方のプロット1200および1300において、光の波長は、1.5~1.6μmであり、光強度(2乗された電場強度)は、色分け(1206)されている。プロット1200(光学スイッチ500は、ONである)に関して、平行移動可能な格子502が、第2の光導波管510から20nmおいて配置されている一方、プロット1300(光学スイッチ500は、OFFである)に関して、平行移動可能な格子502は、第2の光導波管510から250nmおいて配置される。
【0091】
図3に見られるように、1つずつ等の比較的に少数の第1および第2の光学スイッチ312-320および322-336が、動作され、光学信号を共通入力/出力ポート110から選択されるポート202-210にルーティングする必要がある。本少数のスイッチは、したがって、匹敵する光学位相アレイ内の位相偏移器よりはるかに少ないエネルギーを消費する。加えて、MEMSベースの第1および第2の光学スイッチ312-320および322-336は、より小さく、したがって、Hツリーの位相偏移器またはバイナリ光学スイッチより高い密度で加工または充塞されてもよい。
【0092】
説明されるシステムおよび方法では、第1および第2の光学スイッチ312-320および322-336が、1つの経路または別のものを辿って光を完全に指向する。光学スイッチ104(
図3)を、それぞれがN個のポート202-210の非重複サブセットを独立して動作させ、それぞれがそれを取り扱う、複数の光学スイッチアレイにパーティション化することもまた、可能性として考えられる。これは、光学伝送/受信端末100(
図1)内に複数の光学スイッチ104を含むことに類似する。複数の光学スイッチ104またはパーティション化された光学スイッチアレイ104は、複数の種々の光線106を取り扱うことができる、すなわち、各光線106は、空間内の異なる方向に指向される。
【0093】
本明細書で使用されるように、「誘電」材料は、約10-6Ω-m以下の電気伝導性を有する材料である。本明細書で使用されるように、電気的に「伝導性である」または電気「導体」は、約100kΩ未満の電気抵抗を有することを意味する。
【0094】
本発明は、上記に説明される例示的実施形態を通して説明されるが、図示される実施形態への修正およびその変形例が、本明細書に開示される発明の概念から逸脱することなく成され得る。例えば、寸法および材料等の具体的なパラメータ値が、本発明の範囲内で開示される実施形態に関連して列挙され得るが、全てのパラメータの値が、異なる用途に適するように幅広い範囲にわたって変動し得る。文脈において別様に示される、または当業者によって別様に理解されないであろう限り、「約」等の用語は、±20%以内を意味する。
【0095】
請求項を含め、本明細書に使用されるように、項目の列挙に関連して使用される用語「および/または」は、列挙における項目のうちの1つ以上のもの、すなわち、列挙における項目のうちの少なくとも1つを意味し、必ずしも列挙における項目の全てを意味するわけではない。請求項を含め、本明細書に使用されるように、項目の列挙に関連して使用される用語「または」は、列挙における項目のうちの1つ以上のもの、すなわち、列挙における項目のうちの少なくとも1つを意味し、必ずしも列挙における項目の全てを意味するわけではない。「または」は、「排他的または」を意味するものではない。
【0096】
実施形態の側面は、各ブロックまたはブロックの組み合わせの全てまたは一部のフローチャートおよび/またはブロック図、機能、動作、決定等を参照して説明され得るが、組み合わせられる、別個の動作に分離される、または他の順序で実施されてもよい。「モジュール」の言及は、便宜上のものであり、その実装を限定しないことが意図される。各ブロック、モジュール、またはそれらの組み合わせの全てまたは一部が、(ソフトウェア等の)コンピュータプログラム命令、(組み合わせ論理、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、または他のハードウェア等の)ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとして実装されてもよい。
【0097】
実施形態またはその一部は、メモリ内に記憶される命令を実行する、またはそれによって制御される、1つ以上のプロセッサによって実装されてもよい。各プロセッサは、適宜、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の汎用目的プロセッサ、特殊目的プロセッサ等、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0098】
メモリは、制御ソフトウェアまたは他の命令およびデータを記憶するために好適なランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、または任意の他のメモリ、またはそれらの組み合わせであってもよい。本発明の機能を定義する命令は、限定ではないが、有形の書込不可能な記憶媒体(例えば、ROM等のコンピュータ内の読取専用メモリデバイス、またはCD-ROMまたはDVDディスク等のコンピュータI/Oアタッチメントによって読取可能なデバイス)上に恒久的に記憶される情報、有形の書込可能な媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、リムーバブルフラッシュメモリ、およびハードドライブ)に改変可能に記憶される情報、または有線または無線のコンピュータネットワークを含む通信媒体を通してコンピュータに伝達される情報を含む、多くの形態でプロセッサに配信されてもよい。そのうえ、実施形態が、種々の例証的データ構造に関連して説明され得る一方、システムが、種々のデータ構造を使用して具現化されてもよい。
【0099】
開示される側面またはその一部は、上記に列挙されていない、および/または明示的に請求されていない方法で組み合わせられてもよい。加えて、本明細書に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素もない状態で適切に実践され得る。故に、本発明は、開示される実施形態に限定されるものとして見なされるべきではない。