IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デュポン・ニュートリション・ユーエスエイ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7139422コロイド状微結晶セルロース組成物、それらの調製、及び製品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】コロイド状微結晶セルロース組成物、それらの調製、及び製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/38 20060101AFI20220912BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20220912BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20220912BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220912BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/12
A61K47/02
A61K9/10
A61K8/73
A61K8/36
A61K8/19
A61K8/04
A61K8/365
A23L5/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020520189
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 US2018038444
(87)【国際公開番号】W WO2018236965
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】62/524,115
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519454822
【氏名又は名称】デュポン・ニュートリション・ユーエスエイ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・オンドフ
(72)【発明者】
【氏名】トー・メイ・ヤン・ジョイス
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・チップ・ヴェナブルズ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・ユースタス
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ストークス
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】特表平04-502409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00
A61K 9/00
A61K 8/00
A23L 5/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)MCC粒子、
b)酸である摩砕剤、及び
c)アルギン酸塩及び/又はカラヤである、少なくとも1種の多糖
を含むコロイド状MCC組成物であって;
前記MCC粒子は前記少なくとも1種の多糖で少なくとも部分的に被覆されており;且つ
前記MCC粒子の少なくとも19体積%のD50は約0.110ミクロンであり;且つ
前記MCC組成物は多価イオンを含有する塩を実質的に含まない組成物。
【請求項2】
a)前記MCC粒子は当該組成物の約40~91.99重量%を構成し;且つ
b)前記少なくとも1種の多糖は当該組成物の約8~50重量%を構成し;且つ
c)前記摩砕剤は当該組成物の約0.01~10重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、酒石酸、カプロン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、及び臭化水素酸からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記MCC粒子の少なくとも25体積%のD50は約0.110ミクロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記MCC粒子の少なくとも40体積%のD50は約0.110ミクロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記MCC粒子の少なくとも70体積%のD50は約0.110ミクロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
a)MCC粒子を供給する工程;
b)酸を供給する工程;
c)アルギン酸塩及び/又はカラヤである、少なくとも1種の多糖を供給する工程;
前記MCC粒子、前記酸及び前記多糖を共磨砕して、磨砕MCC組成物を生成する工程を含む磨砕MCC組成物を調製する方法であって、前記酸は前記組成物のpHを4.5以下に低下させるのに有効な量で供給され、且つ前記MCC粒子は前記多糖で少なくとも部分的に被覆され;且つ前記MCC粒子の少なくとも19体積%のD50は約0.110ミクロンである方法。
【請求項8】
前記共摩砕は、精製機、遊星型ミキサー、コロイドミル、ビートミル、ニーダー、及び粉砕機からなる群から選択される装置によって達成される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、酒石酸、カプロン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、及び臭化水素酸からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物を含む消費製品。
【請求項11】
前記製品は、食品、栄養補助食品、医薬品及び化粧品からなる群から選択される、請求項10に記載の消費製品。
【請求項12】
前記MCC粒子は懸濁安定性を達成する、請求項11に記載の消費製品。
【請求項13】
前記MCC粒子は分散安定性を達成する、請求項11に記載の消費製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微結晶セルロースと少なくとも1つの多糖との混合物を酸性摩砕助剤の存在下で共摩砕させることによって製造される、特に低粘度流体中に粒子を懸濁させるためのコロイド状微結晶組成物、それらの調製、及びそれらを用いて製造される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において「MCC」と知られそう呼ばれている微結晶セルロースは、加水分解セルロースである。MCC粉末及びゲルは、最終食品の特性又は属性を高めるために、食品産業において一般に使用されている。例えば、MCCは、食品用途などの多種多様な消費製品に結合剤及び安定剤として、例えば、飲料中にゲル化剤、増粘剤、脂肪代替物、及び/又はノンカロリー充填剤として、並びに懸濁安定剤及び/又は品質改良剤として、使用されている。MCCはまた、医薬錠剤中に結合剤及び崩壊剤として、液体医薬製剤中に懸濁剤として、並びに、工業用途、洗剤及び/又は漂白錠剤などの家庭用製品、農業用製剤、及び歯磨剤及び化粧品などのパーソナルケア製品において、結合剤、崩壊剤、及び加工助剤として使用されている。コロイド状MCCの重要な用途は、懸濁液、例えば低粘度液体中の固体粒子の懸濁液、より具体的にはミルク中の固体、例えばチョコレートミルク中のココア粒子の懸濁液の安定化である。
【0003】
MCCは、加水分解されたMCC凝集微結晶を、一般に「ウェットケーキ」として知られる高固形分水性混合物の形態で、凝集セルロース微結晶をより微細に分割された微結晶粒子に実質的に細分する摩砕プロセス、例えば押出に供することによって、上記使用のために改変され得る。角質化を防ぐために、保護親水コロイドを、摩砕の前、摩砕の間、又は摩砕の後であるが、乾燥の前に添加してもよい。保護親水コロイドは完全に又は部分的に、より小さいサイズの粒子間の水素結合又は他の引力を遮断して、容易に分散可能な粉末を提供する。コロイド状MCCは、通常、分散した固体をほとんど又は全く沈降させずに安定な懸濁液を形成する。カルボキシメチルセルロースは、これらの目的のために使用される一般的な親水コロイドであり(例えば、特許文献1を参照、コロイド状MCC製品は、FMC CorporationによりAVICEL(登録商標)及びGELSTAR(登録商標)の商標名で販売されている。特許文献2では、デンプンなどの多くの他の親水コロイドをMCCと共処理することが試みられている。
【0004】
少なくとも100cPの粘度及び少なくとも0.95の置換度のカルボキシメチルセルロースを有するコロイド状MCCの欠点の1つは、ウェットケーキの有効な共摩砕を提供するには「滑りやす過ぎる」ことがあることである。MCC粒子の摩砕が不十分であると、MCC安定剤の機能に悪影響を及ぼし得る。結果的に、ウェットケーキ中の粒子間の摩擦を増加させる摩砕助剤、例えば多価イオンの塩を使用して摩砕の効果を高めることによって、この問題の解決を図ってきた。例えば、特許文献3及び特許文献4を参照されたい。MCC/親水コロイド組成物の摩砕を改善するために、他の方法が採られてきており、例えば、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7を参照されたい。
【0005】
その処理の性質のために、CMCは、規制当局によって依然として安全であると認められてはいるが、最近、「クリーンラベル」成分ではないという批判を受けてきている。このため、CMCを種々の植物源由来の多糖類で置き換える試みがなされてきた。しかしながら、これは、各多糖類がそれ自身の特有の構造を有しており、それぞれの機能を予測することが難しいため、困難であることが明らかになった。多くの多糖類が、摩砕中のMCC凝集体及び多糖類への機械的力の伝達が十分ではないことに少なくとも部分的に起因して、分散の安定なMCCの製造に有効ではないことがわかった。この問題を軽減する1つの試みは、塩化カルシウムなどの多価塩を使用することであった(例えば、Tuason et al.による特許文献8を参照されたい)。しかしながら、Tuasonが記載している特定の条件下(アルギン酸塩中のグルロン酸基と乳中のカルシウムイオンとの相互作用から生じるゲル化電位によって減少させるためのAvicel(登録商標)AC4125の冷/周囲分散)では、金属イオン封鎖剤が必要であった。
【0006】
したがって、多価イオンの添加なしに、且つCMCの存在を回避して、効果的に摩砕させることができる、低粘度液体の安定化に有用なコロイド状MCC組成物を考案する必要がある。
【0007】
出願人らは、カルボキシメチルセルロース及び/又は多価イオンなしで効果的に磨砕することができ、且つ金属イオン封鎖剤を使用せずに、チョコレートミルクなどの冷/周囲乳製品を含む、食品、飲料、医薬品、工業製品、及びその他の多くの製品などの消費可能な製品に容易に分散させることができる、共磨砕コロイド組成物を提供することによって、上述の要求に応えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第3,539,365号明細書(Durand et al.)
【文献】米国特許出願公開第2011/0151097号明細書(Tuason et al.)
【文献】米国特許第7,879,382号明細書
【文献】米国特許第7,462,232号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0233046号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0151097号明細書
【文献】国際公開第2010/136157号パンフレット
【文献】第7,462,232B2号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1種の多糖、及び酸又は塩で少なくとも部分的に被覆されたMCC粒子を含み、塩は多価イオンを実質的に含まず、且つ、MCC粒子の少なくとも19体積%のD50は約0.110ミクロンである、多価イオンを実質的に含まないコロイド状MCC組成物を提供する。
【0010】
代替の実施形態では、本発明の組成物中のMCC粒子の少なくとも25体積%、又は40体積%、又は場合によっては少なくとも70体積%のD50は、約0.110ミクロンである。
【0011】
別の態様では、本発明は、組成物の約40~91.99重量%を構成するMCC粒子と、組成物の約8~50重量%を構成する少なくとも1種の多糖と、組成物の約0.01~10重量%を構成する摩砕剤を含むコロイド状組成物であって、MCC粒子の少なくとも19体積%のD50が約0.110ミクロンであるコロイド状組成物を提供する。
【0012】
本発明において有用な多糖類は、好ましくは主ポリマー鎖中に酸性糖残基を含む。有用な酸残基には、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸及びグルロン酸が含まれ、好ましい多糖類には、アルギン酸塩、カラヤの少なくとも1つが含まれ、任意選択によりカルボキシメチルセルロースが含まれてもよい。
【0013】
本発明において有用な酸には、ウェットケーキのpHを4.5以下に低下させるものや、さもなければ目的の製品及びその使用に適合するものがある。いくつかの用途では、出発物質のpHに応じて、3.0未満のpHが必要とされ得る。摂取可能な製品では、一般に安全であると認められる酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、酒石酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、及びそれらの混合物が含まれる。
【0014】
本発明はさらに、a)MCC粒子を供給する工程;b)酸を供給する工程;c)少なくとも1種の多糖を供給する工程;MCC粒子、酸及び少なくとも1種の多糖を共磨砕して、磨砕MCC組成物を生成する工程を含む磨砕MCC組成物を調製する方法であって、酸は組成物のpHを4.5以下に低下させるのに有効な量で供給され、且つMCC粒子は少なくとも1種の多糖で少なくとも部分的に被覆され;且つMCC粒子の少なくとも19体積%のD50は約0.110ミクロンである方法を提供する。この方法は、本明細書に開示のコロイド状MCC組成物の全てを調製するのに有効である。
【0015】
本発明はまた、懸濁安定性及び分散安定性を付与する共磨砕MCC組成物を提供する。例えば、本発明は、MCC粒子を含む消費製品であって、粒子は、本明細書に定義されるような懸濁安定性を達成する。同様に、本発明はMCC粒子を含む消費製品であって、粒子は、本明細書に定義されるような分散安定性を達成する消費製品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特に明記しない限り、本明細書で引用する全ての参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0017】
特許請求の範囲及び明細書の解釈のために、以下の定義が使用され得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含している(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」若しくは「含有している(containing)」、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含に及ぶことが意図される。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、製品又は装置は、それらの要素に必ずしも限定されるものではなく、明示的に列挙されていない、又はそのような組成物、混合物、プロセス、方法、製品又は装置に固有ではない他の要素を含むことができる。さらに、明確にそれとは反対の記述がされていない限り、「又は(or)」は、包括的な「又は」を意味し、排他的な「又は」を意味しない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つを満たす。Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)且つBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方ともが真である(又は存在する)。
【0019】
また、本発明の要素又は成分に先行する不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、要素又は成分の場合(すなわち、出現)の数に関して非限定的であることを意図する。このため「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つ若しくは少なくとも1つを含むと読まれるべきであり、要素又は成分の単数語形はまた、数が明らかに単数であることを意図されていない限り複数を含む。
【0020】
本明細書で使用される用語「発明」又は「本発明」は非限定的な用語であり、特定の発明の任意の単一の実施形態を指すことを意図するものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記載される全ての可能な実施形態を包含する。
【0021】
使用される発明の成分又は反応物質の量を修飾する「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、現実世界において濃縮物又は使用溶液を作成するために一般に使用される計量及び液体取扱いの手順によって;これらの手順における偶発的誤差によって;組成物を作成するため、又は本方法を実施するために使用される成分の製造、入手源又は純度における差などによって発生する可能性がある数量の変動を指す。用語「約」はまた、特定の初期混合物から結果として生じる組成物についての異なる平衡条件に起因して異なる量も含んでいる。用語「約」によって修飾されていてもいなくても、本特許請求の範囲は、量に関する同等物を含んでいる。一実施形態では、「約」という用語は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味する。
【0022】
粒径分布に関して使用される用語「D50」は、試料の体積の50%がそれより小さく、試料の体積の50%がそれよりも大きい粒子の直径を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「凝集MCC」は摩砕前のMCCを意味し、「摩砕MCC」は摩砕後のMCCを意味し、「コロイド状MCC」は、MCC粒子の少なくとも19体積%のD50は、静的光散乱による測定で約0.110ミクロンである、摩砕後のMCCを意味する。
【0024】
用語「摩砕助剤」又は「摩砕剤」は、互換的に使用され、摩砕、特に押出しを促進する、凝集MCC組成物に添加される試薬を意味する。
【0025】
分散安定性又は安定した分散性という用語は、本明細書で使用される場合、コーティングされたMCC粒子自体が激しく撹拌されずとも、液体、例えば水性媒体中に均一に分散して、粒子の著しい分離、凝集又は沈降のない均質な外観を有する懸濁液を形成することを意味する。
【0026】
懸濁安定性という用語は、本明細書で使用される場合、コーティングされたMCC粒子がMCC粒子以外の不溶性成分、例えばカカオ、カルシウムなどを含有する液体、例えば水性媒体、ミルクなどに分散されたときに、それらの粒子が効果的に懸濁されて、不溶性粒子の著しい分離、凝集又は沈降のない均質な外観を有する安定化懸濁液を形成することを意味する。
【0027】
用語「多糖」は、1分子あたり4単位以上の単糖単位を含有する炭水化物を意味し、それらの単位はアセタールの形で互いに結合しており、したがって酸又は酵素によって単糖に加水分解することができる。本発明の好ましい多糖類は、酸性残基を含有するものである。
【0028】
「摩砕された」及び「摩砕」という用語は、互換的に使用され、全てではないとしても少なくともいくつかの粒子のサイズをコロイドサイズに効果的に減少させるプロセスを意味する。
【0029】
「共摩砕」という用語は、MCCと少なくとも1種の多糖との混合物への高剪断力の適用を指す。適切な摩砕条件は、例えば、共押出、ミリング、又は混練によって得ることができる。
【0030】
「消費製品」という用語は、ヒト又は動物の摂取のために製剤化された食品、飲料、栄養補助食品又は医薬品を意味する。
【0031】
本発明は、高固形分混合物、例えば、MCC凝集体、少なくとも1種の多糖、水、及び酸から構成されるウェットケーキから、ウェットケーキのpHを4.5以下に低下させるのに有効な量で調製されるコロイド状MCC組成物を包含する。混合物は、摩砕、例えば押出して、MCC凝集体を、MCC粒子の少なくとも19体積%のD50が約0.110ミクロンである「コロイド状MCC」に細分し得る。細分されコーティングされたコロイド状MCCは、その後、任意の好適な手法、例えば噴霧乾燥、ドラム乾燥、流動床乾燥、及びフラッシュ乾燥で乾燥して、分散性粉末を形成することができる。
【0032】
微結晶セルロース
本発明は、加水分解微結晶セルロースを利用する。微結晶セルロース(MCC)は、有機及び無機汚染物質を実質的に含まない、白色、無臭、無味で、比較的自由に流動する結晶性粉末である。それは、繊維質の植物材料からパルプとして得られるアルファセルロースを、通常、鉱酸で加水分解することによって得られる、精製され、部分的に解重合されたセルロースである。それは、セルロース原線維の非晶質領域(又は準結晶領域)を除去することによって得られる、主として結晶性凝集体からなる結晶性の高い粒子状セルロースである。MCCは、食品、栄養補助食品、医薬品及び化粧品などの様々な用途に使用される。
【0033】
任意の微結晶セルロースを本発明の組成物に使用することができる。好適な原料としては、例えば、晒し亜硫酸パルプ及び硫酸塩パルプ、トウモロコシの皮、バガス、わら、綿、コットンリンター、亜麻、ケンプ、ラミー、発酵セルロースなどの木材パルプが挙げられる。微結晶セルロースは、セルロース源、好ましくは繊維状植物材料からのパルプの形態のアルファセルロースを、鉱酸、好ましくは塩酸で処理することによって製造することができる。酸はセルロースポリマー鎖のあまり秩序化されていない領域を選択的に攻撃し、それによって、微結晶セルロースを構成する微結晶凝集体を形成する結晶部位を露出させ、遊離させる。次いで、これらを反応混合物から分離し、洗浄して分解した副生物を除去する。一般に40~75パーセントの水分を含有する、得られた湿塊は、加水分解セルロース、加水分解セルロースウェットケーキ、レベルオフDPセルロース、微結晶セルロースウェットケーキ、又は単にウェットケーキを含む、いくつかの名称によって当該技術分野で言及される。好ましくは、凝集したMCCが酸加水分解され、水中に25~60重量%である。
【0034】
ウェットケーキを乾燥させ、水を除去して得られる生成物の微結晶セルロースは、白色、無臭、無味で、比較的自由流動する粉末であり、水、有機溶媒、希アルカリ及び酸に不溶である。微結晶セルロース及びその製造の説明については、米国特許第2,978,446号明細書を参照されたい。この特許には、医薬賦形剤として、特に、圧縮医薬錠剤調製用の結合剤、崩壊剤、流動助剤、及び/又は充填剤としてのその使用が記載されている。
【0035】
多糖類
本発明の一態様では、加水分解MCCは、少なくとも1種の多糖と共摩砕される。本発明において有用な多糖類は、酸の存在下、例えばpH4.5以下で、ウェットケーキへのエネルギー移動を増加させる。本発明において好ましいのは、酸性糖残基、例えばガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸及び/又はグルロン酸残基を含有する多糖類である。これらの残基が多糖中の主ポリマー鎖上に存在する場合、特に好ましい。本発明の多糖類は、例えば、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガムなどの多様な植物滲出物;デンプン、ローカストビーンガム、グアガム、サイリウムシードガム、クインスシードガムなどの植物種子;コンニャクなどの植物根;海藻多糖類(例えば、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、アルギン酸塩、及びその誘導体(アルギン酸プロピレングリコール及びアルギン酸塩の一価の塩など))、デキストラン、キサンタンガムなどの微生物産物及び/又は発酵産物、並びにこれらの組み合わせから単離することができる。
【0036】
本発明において好ましいのは、アルギン酸塩、カラヤである。任意選択的に、多糖類はカルボキシメチルセルロースであってもよい。アルギン酸の塩であるアルギン酸塩と、マンヌロン酸及びグルロン酸残基のホモポリマーブロックを有する線状コポリマーとが特に好ましい。
【0037】
本発明において有用な多糖類は、酸の存在下、例えばpH4.5以下で、ウェットケーキへのエネルギー移動を増加させる。多糖類は、それらの主ポリマー鎖に位置する酸性基、好ましくはガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸及び/又はグルロン酸の残基を含み、例えば、アルギン酸塩、カラヤであり、任意選択的に、多糖類はカルボキシメチルセルロースであってもよい。この多糖類は、例えば摂取可能な製品に安全であると一般に認められるなど、目的の製品の要求に適合するように選択される。
【0038】

本発明は、共摩砕プロセスにおいて酸を使用する。好適な酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、酒石酸、カプロン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、及び臭化水素酸が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において好ましいのは、有機酸及び無機酸である。このような酸は、ウェットケーキのpHを4.5以下に低下させることができ、そうでなければ、例えば、一般に、摂取可能な製品にとって安全であると認められるなど、目的の製品に適合する。好ましい酸としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、HCl、硝酸、リン酸が挙げられ、より好ましいのは、クエン酸、HCl、硝酸、リン酸、及びこれらの混合物である。
【0039】
摩砕方法
加水分解MCC及び多糖は典型的には酸の存在下で共磨砕されて、MCC粒子が多糖によって少なくとも部分的に被覆された共磨砕組成物を形成する。摩擦方法は当該技術分野で一般的であり、よく知られている(例えば、米国特許出願公開第2013/0090391号明細書及び米国特許第9828493号明細書(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。これらの方法は、約25重量%~60重量%の固形分を含む凝集微結晶セルロースを調製することを含み;さらに、多糖、及び酸又はその塩(ここで、塩は多価イオンを実質的に含まない)を含む摩砕剤を含み;MCC粒子の少なくとも19体積%のD50は約0.110ミクロンである。組成は、MCC 40~91.99重量%、多糖8~50重量%、及び摩耗剤0.01~10重量%である。
【0040】
摩砕は、例えば押出しによって、又は、例えば、精製機、遊星型ミキサー、コロイドミル、ビートミル、ニーダー、及び有効な剪断力を与え得る粉砕機を含む他の機械的デバイスを用いて達成され得る。しかしながら、粒子サイズが減少するにつれて、個々の粒子は乾燥時に凝集又は角質化する傾向があり、その結果、個々の粒子の分散が妨げられるので望ましくない。したがって、いくつかの実施形態では、MCC粒子の少なくとも約20体積%、又は35体積%、又は30体積%、又は35体積%、又は40体積%、又は45体積%、又は50体積%、又は55体積%、又は60体積%、又は65体積%、又は70体積%のD50が約0.110ミクロンであるか、又は、約0.110ミクロン~約0.70ミクロン、若しくは約0.110ミクロン~約0.65ミクロン、若しくは約0.110ミクロン~約0.50ミクロンであり得る。
【0041】
押出物を乾燥させるか、又は水に分散させてスラリーを形成することができる。スラリーを均質化し、乾燥、好ましくは噴霧乾燥させることができる。噴霧乾燥以外の乾燥プロセスとしては、例えば、流動床乾燥、ドラム乾燥、バルク乾燥、及びフラッシュ乾燥が挙げられる。噴霧乾燥から形成された乾燥粒子を、所望の水性媒体又は溶液中で再構成して、本明細書に記載の組成物、食品、医薬用途、及び工業用途を形成することができる。
【0042】
摩砕の有効性は、摩砕を経たMCCと多糖の混合物の粘度を測定し、摩砕していないMCCと多糖の混合物の粘度と比較することによって評価することができる。摩砕の間、強い機械的剪断力が、凝集したMCC粒子を破壊するだけでなく、混合作用を導入し、粉砕されたMCC粒子の周りに多糖分子を拡散する。さらに、MCC粒子と多糖との間の水分子を搾り出し、MCC粒子と多糖とを密着させる。最終的に、MCC粒子表面の特定の部分を、分子相互作用力(例えば、水素結合)によって、多糖鎖の特定のセグメントに結合させる。このようにして、MCC粒子は、多糖の架橋のような多糖網目構造の節点として作用し、MCC粒子と多糖の混合物の粘度を増大させる。
【0043】
作用のメカニズム
本発明についていかなる特定の理論にも作用機構にも拘束されることを望むものではないが、酸は摩砕中の多糖の溶解度を低下させ、これがウェットケーキへの機械的エネルギーの移動を増加させ、摩滅をより有効にし、その結果、MCC粒子がより効率的にコロイドサイズに細分され、多価金属塩又はカルボキシメチルセルロースの使用なしに少なくとも部分的にコーティングされると考えられる。得られるコロイド状MCCは、水性系に容易に分散され、水性媒体、例えば冷乳中を含む懸濁液を有効に安定化する。
【0044】
用途
本発明のコロイド状MCC組成物は、化粧品、パーソナルケア製品、消費者製品、農業製品、又は化学製剤及び塗料、ポリマー製剤を含む、多種多様な食品用途、医薬品用途、栄養補助食品用途、及び工業用途に使用され得、好適である。
【0045】
医薬用途の例としては、薬物用の液体懸濁剤及び/又はエマルション;コロイド状MCCが滞留性及びバイオアベイラビリティを高める薬物送達用の鼻腔用スプレー;医薬品用途における放出制御剤;並びに水を添加し手で振ることによって懸濁液にすることができる、薬物を含有する乾燥粉末混合物である再構成可能な粉末;局所用薬物用途;並びに歯磨き粉、口腔洗浄剤などの口腔ケア用の組成物を含む、医療用途用の種々のフォーム、クリーム、ローションが挙げられる。1つの特定の例は、過酸化ベンゾイル又は類似の薬剤の懸濁液であり、これは、酸化剤に対するコロイド状MCCの経時的な安定性を必要とする。他の例としては、酸性又は高イオン強度を有する医薬懸濁液(又は、再構成可能な粉末)が挙げられる。
【0046】
栄養補助食品用途における例としては、様々な栄養補助食品成分及び栄養補助食品のための送達システムが挙げられる。工業用途の例としては、パーソナルケア用途のためのフォーム、クリーム、ローション及びサンスクリーンに使用することができる様々な懸濁液、増粘剤;セラミック中に顔料及び充填剤と共に使用することができる懸濁剤、又は着色剤、蛍光増白剤、化粧品、及び歯磨き粉、口腔洗浄剤などの製品中の口腔ケアに使用することができる懸濁剤;セラミックなどの材料;殺虫剤を含む殺虫剤の送達系;除草剤、防カビ剤、及び他の農業製品の送達、及び塗料、並びに様々な化学又はポリマー懸濁液が挙げられる。1つの特定の例は、強力で安定な懸濁系を必要とする、酸化剤又は漂白剤を含有する工業用洗浄液である。
【0047】
本発明の安定剤は、エマルション、飲料、ソース、スープ、シロップ、ドレッシング、フィルム、乳製品及び乳成分不使用の乳製品、冷凍デザート、培養食品、パン用フィリング材、及びパン用クリームを含む様々な食品に使用することができる。それはまた、香味剤及び着色剤の送達のために使用し得る。食品はさらに、タンパク質、フルーツジュース又は野菜ジュース、フルーツパルプ又は野菜パルプ、フルーツフレーバー物質、又はこれらの任意の組み合わせを含む、多様な食用材料及び添加剤を含むことができる。これらの食品はまた、例えば、無機塩、タンパク質源、酸味料、甘味料、緩衝剤、pH調整剤、安定化塩、又はこれらの組み合わせなどの他の食用成分を含むことができる。当業者は、任意の数の他の食用成分、例えば、さらなる香味料、着色料、保存料、pH緩衝液、栄養剤、加工助剤などを添加し得ることを認識するであろう。さらなる食用成分は可溶性であっても不溶性であってもよく、不溶性であれば、食品中に懸濁させることができる。組成物の日常的な調整は十分に当業者の能力の範囲内であり、本発明の範囲及び意図の範囲内である。これらの食品は、ドライミックス製品(インスタントソース、グレイビー、スープ、インスタントココア飲料など)、低pH乳製品系(サワークリーム/ヨーグルト、ヨーグルト飲料、安定化冷凍ヨーグルトなど)、焼き製品、並びに非水性食品系及び低水分食品系における増量剤としてでもよい。
【0048】
安定剤組成物を添加するのに好適なジュースとしては、果汁(レモナード、ライムエード、又はオレンジエードなどのバリエーションを含むレモンジュース、ライムジュース、及びオレンジジュース、白及び赤ブドウジュース、グレープフルーツジュース、リンゴジュース、ナシジュース、クランベリージュース、ブルーベリージュース、ラズベリージュース、チェリージュース、パイナップルジュース、ザクロジュース、マンゴジュース、アプリコットジュース若しくはネクター、イチゴジュース、並びにキウイジュースが挙げられるが、これらに限定されない)、及び野菜ジュース(トマトジュース、ニンジンジュース、セロリジュース、ビートジュース、パセリジュース、ホウレンソウジュース、及びレタス果汁が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。ジュースは、ゲル若しくは他の濃縮物、アイス若しくはソルベ、又は粉末などの、液体、固体、又は半固体形態を含む任意の形態であってよく、また、懸濁された固形物を含有してもよい。別の実施形態では、果汁の代わりに、天然香料、合成香料、又は他の天然香料を含む(With Other Natural Flavors)(「WONF」)ものを含む、果実風味又は甘味を付けた物質を使用することができる。このような果実風味物質は、粉末、ゲル若しくは他の濃縮物、アイス、又はソルベなどの、液体、固体、又は半固体の形態であってよく、また、懸濁された固形物を含有してもよい。
【0049】
安定剤組成物を添加した食品に好適なタンパク質としては、哺乳動物、鳥類、爬虫類、及び魚類に有益であり得る食用タンパク質及びアミノ酸が挙げられる。食用タンパク質としては、動物又は植物タンパク質、及びその画分又は誘導体が挙げられる。動物由来のタンパク質としては、乳製品及び乳由来製品(例えば、ヘビークリーム、ライトクリーム、全乳、低脂肪乳、スキムミルク)、タンパク質強化乳を含む強化乳、過熱及び/又は濃縮、加糖又は無糖のスキムミルク又は全乳を含む加工乳及び加工乳製品、全乳パウダー及びスキムミルクパウダー(NFDM)を含む粉ミルクパウダー、カゼイン及びカゼイン塩、ホエー及びホエー由来製品(例えば、ホエー濃縮物、脱乳糖ホエー、脱塩ホエー、ホエータンパク質単離物)が挙げられる。卵及び卵由来のタンパク質もまた使用することができる。植物由来のタンパク質としては、ナッツ及びナッツ由来タンパク質、ソルガム、マメ及びマメ由来タンパク質(例えば、未処理の生のダイズ、流動ダイズ(fluid soy)、ダイズ濃縮物、ダイズ単離物、ダイズ粉)、及び米タンパク質、並びにそれらの全ての形態及び画分が挙げられる。食用タンパク質は、液体、凝縮物、又は粉末を含む、任意の利用可能な形態で使用し得る。しかしながら、粉末タンパク質源を使用する場合、得られる飲料の安定性を高めるために、安定剤組成物及びジュースとブレンドする前にタンパク質源を予備水和することが望ましい場合がある。タンパク質を果物又は野菜のジュースと共に添加する場合、その使用量は、所望の最終結果に依るであろう。
【0050】
また、食品/飲料組成物をあらゆる方法で熱処理し得ることにも留意されたい。これらの方法としては、低温長時間(LTLT)、高温短時間(HTST)、超高温(UHT)、及び賞味期限の延長(ESL)プロセスを挙げ得るが、これらに限定されない。これらの飲料組成物はまた、ロータリーレトルト処理又は静的レトルト処理によってレトルト処理を行うことができる。ジュースを添加した、又は天然若しくは人工風味のソフトドリンクなどの組成物のいくつかは、低温処理をすることもできる。これらの処理の多くはまた、均質化、又は他の高剪断/高圧縮法を組み込むことができる。また、ドライミックス形態で調製し、次いで、必要に応じて消費のために都合よく再構成することができる共乾燥組成物があってもよい。得られた飲料組成物を冷蔵して、商業的に許容される期間貯蔵してもよい。或いは、得られた飲料が無菌条件下で充填されるならば、室温で貯蔵してもよい。
【0051】
記載した組成物は安定剤として作用することができ、飲料産業での使用に好適である。組成物は乾燥して粉末を形成した後、水溶液と混合して、いくつかの実施形態ではそのコロイド特性を長期間維持することができるコロイド混合物を形成することができる。食品のいくつかは、飲料、タンパク質及び栄養飲料、ミネラル強化飲料、乳製品ベースの飲料、及び非乳製品ベースの飲料であり、例えば、低温殺菌、超低温殺菌、又はレトルトプロセスによって熱処理されるものが挙げられるが、これらに限定されない。上記飲料製品に使用される本発明の安定剤の典型的な濃度は、全製品の0.05重量%~約3.5重量%の範囲であり得、いくつかの例では、全製品の0.2重量%~2.0重量%の範囲であり得る。
【実施例
【0052】
本発明は、以下の実施例においてさらに明らかにされる。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示すが、単に説明の目的で示されていることは理解されるべきである。上記の考察及びこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の必須の特徴を確認することができ、その精神及び範囲を逸脱しない範囲で、種々の用途及び条件に適合させるために本発明の種々の変更及び修正をなし得る。
【0053】
一般的方法
これらの実施例で使用したMCCウェットケーキは、予備加水分解した硬質木材パルプ(Sulfatate(商標)、Rayonier Inc.から入手可能)の塩酸加水分解によって得た。固形分43.05重量%の凝集MCCを、以下のように、多糖及び酸と混合することによって、摩砕のためのウェットケーキを調製する。
【0054】
全ての成分を、Hobart A120ミキサー(型番ML38904)上の12クォートボウル中で混合した。最初にウェットケーキをHobartミキサーボウルに投入した。次いで、ビーター/パドルを、最低設定で回転するように取り付けた。酸及び/又は塩のような他の成分もミキサーに添加した。ビーター/パドル回転速度を、視覚的に均一な混合物が達成されるまで、最高設定に徐々に増大させた。通常、これに3~5分間を要した。次いで、多糖類をHobartミキサーボウル中で3~5分間、混入した。その後、この混合物をReadco Kurimoto,LLC製の2”Readco押出機に供給した。特に断らない限り、通常、3回通した。付属の電流計でトルクを読み取り、押出物の温度を測定し、押出物の質感を観察することによって、押出性能をモニターした。より高い電流計読み取り値、より高温の押出物、及びより堅い押出物は、より有効な共摩砕を示した。押出物の簡単な試験は、di水(脱イオン水)でスラリー化したウェットケーキ混合物の粘度を測定し、スラリー中のMCC結晶の分散を顕微鏡で調べることによって行うことができる。最終的に、典型的な押出物をdi水でスラリー化した後、噴霧ノズル、225℃の加熱温度、及び120℃~130℃の収集温度を有するStork-Bowen3’噴霧乾燥機で噴霧乾燥することによって、粉末形態に乾燥した。中性pH粉末を製造するために、乾燥前に、4%水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を使用してスラリーを中和した。
【0055】
試料分散液の調製及び粘度の測定:
初期及び24時間粘度測定のための試料分散液を、ガラス4カップボウルサイズを有するWaring Commercialによる700G Waringブレンダー(WF2212112型)で調製した。回転ブレードの速度を、単巻変圧器によって調節した。各分散液試料サイズを600gに設定した。試料を約30ボルトでdi水の渦の中心に導入した。試料を投入した後、蓋をボウル上に置いた。約15秒、予備混合した。次いで、単巻変圧器の電圧を2分間、115ボルトに上昇させた。調製した試料分散液の粘度を、Brookfield RV粘度計を用いて20rpmで迅速に測定した。この粘度測定は初期粘度と呼ばれる。初期粘度測定の後、分散液を、閉鎖したジャー中で24時間、妨害なしにベンチ上に置き、その後、粘度を再び測定した。
【0056】
試料分散液の動的弾性率の測定:
TA-Instruments ARES-RFS3により、20℃で1.8mmのギャップサイズを有する50mmのパラレルジオメトリを使用して、動的弾性率を測定した。0.1~100%歪み、1Hz、5分間の平衡で、歪み試験は行った。測定試料は、24時間粘度測定に使用したものと同じ分散液であった。
【0057】
HTST(高温短時間)及びUHT(超高温)フレーバーミルクの評価:
評価に使用したフレーバーミルクは、以下の表に示す試験処方を有するチョコレート低脂肪ミルクである。
【0058】
【表1】
【0059】
HTST評価方法:
乾燥安定剤及びココアパウダーを糖と共にブレンドし、次いで、中剪断プロペラミキサー(例えば、Heidolph RZR 2020型、又は同等物)を使用して、フレッシュミルク中で約30分間混合した。
【0060】
ミルク溶液を85℃に加熱し、15秒間、低温殺菌した。
処理したミルク溶液を、第1段階で2500psi、続いて第2段階で500psiの2段階圧力を有するNiro Soaviホモジナイザー(又は同等物)に通した。
均質化後、溶液の一部をオートクレーブ処理可能なボトルに充填し、121℃で1分間レトルト処理した。レトルト処理が完了したなら直ちに、チョコレートミルクを氷浴中で20~25℃に冷却した(レトルト処理)。
【0061】
残りのチョコレートミルクを20~25℃に冷却し、滅菌プラスチックボトルに入れた(低温殺菌処理)。
レトルト処理からの瓶詰めされた試料は室温で貯蔵し、低温殺菌処理からの瓶詰めされた試料は冷蔵温度(4℃)で貯蔵した。
試料のpH及び粘度を測定した。1週間後、冷蔵温度及び周囲温度で保存したサンプルについて目視検査を行った。
【0062】
UHT評価方法:
試料(6Lバッチサイズ)を以下のように調製した:
i.安定剤試料をココアパウダー及び糖と乾式ブレンドした。
ii.乾式ブレンド物をミルクに添加し、プロペラミキサーを用いて中剪断で混合して、約30分間視覚的に均一な混合物とした。
iii.チョコレートミルク溶液を第1段階予備加熱管中で185゜F(85℃)に予備加熱し、次いで、284゜F(140℃)のUHT温度に加熱し、6秒間保持した。
iv.下流均質化を全圧2500psi(2000psi、次いで500psi)で行った。
v.次に、チョコレートミルクを直ちに<20℃に冷却し、清潔な充填フード中で滅菌Nalgeneボトルに充填した。
試料を、周囲条件(20~25℃)及び冷蔵条件(4℃)の両方で3ヶ月間貯蔵した後に評価した。粘度、pH、相分離、流動特性、凝集及びダスティングレベルを測定及び/又は特徴付けした。
【0063】
実施例番号1~6 アルギン酸塩
使用したアルギン酸塩は、低ゲル強度アルギン酸塩の生成物である、FMCから入手可能なManucol DMであった。これは、Brookfield LV粘度計による20℃、60rpmでの測定で、150~300cPの1重量%溶液粘度を有する。アルギン酸塩に対するMCCの比は、固形分で85/15であった。各試料の酸の量は、MCCウェットケーキの含水量に基づいて5重量%であった。例えば、1000gのMCCウェットケーキを使用した場合、75.97gのManucol DMは、混合物中で(=(15/85)×1000×43.05重量%)であり、28.48gの酸は(=5重量%×1000×(100重量%~43.05重量%))であった。MCC/アルギン酸塩及び酸のウェットケーキの混合物の3回の通過をReadco押出機により行った。
【0064】
【表2】
【0065】
比較例番号1~6 アルギン酸塩
実施例番号1~6と同じMCC/アルギン酸塩の組み合わせを使用した。酸の代わりに、一価及び二価の金属塩を使用した。
【0066】
【表3】
【0067】
実施例番号7~15 アルギン酸塩
分散液粘度の測定を、乾燥せずに押出物の2.6重量%分散液について行った。これらの実施例において、多糖のManucol LDは、Brookfield LV粘度計による20℃、60rpmでの測定で、4~12cPの1重量%溶液粘度を有するFMCからの低ゲル強度アルギン酸塩である。Alginate Zはレッソニア・ニグレッセンス(Lessonia nigrescens)を供給源とするアルギン酸塩であり、Brookfield LV粘度計による20℃、60rpmでの測定で、520cPの1重量%溶液粘度を有する。
【0068】
【表4】
【0069】
実施例番号16~24 アルギン酸塩
【0070】
【表5】
【0071】
実施例番号25~28 アルギン酸塩
実施例は、5重量%のリンゴ酸又はクエン酸を含むMCC/Manucol DM=85/15である。分散液は、Silverson L4RT高剪断ミキサーを用い、8500rpm、5分間で調製した。動的弾性率は、ベンチ上で2週間貯蔵した分散液について測定した。
【0072】
【表6】
【0073】
実施例番号29 コロイド状MCC/アルギン酸塩のHTST評価
コロイド状MCC/Manucol DMの2つの中性粉末試料A及びBを、Readco押出機で以下のように作製した:
A.クエン酸を1重量%含むMCC/Manucol DM=89/11、及び
B.クエン酸を含まないMCC/Manucol DM=89/11。
【0074】
試料Aは、2.6重量%で1030cPの初期粘度を有し、且つ1040cPの24時間粘度を有していた。試料Bは、2.6重量%で520cPの初期粘度を有し、且つ525cPの24時間粘度を有していた。クエン酸の有無による処方物を比較するために、「HTST(高温短時間)及びUHT(超高温)フレーバーミルク評価」の表題の項で記載のように、試料A又はBの1つと、150ppmのジェランHA、糖、ココアパウダー及び低脂肪乳とを混合することにより、HTST試験試料を作製した。試料の使用濃度は0.5重量%であった。試料A及びBで調製したブレンドHTSTチョコレート風味の低脂肪乳試料を、やはり上記のように、低温殺菌した第1のグループとレトルト処理した第2のグループに分けた。
【0075】
冷蔵(4℃)で1週間貯蔵した後、低温殺菌グループを視覚的に調べた。試料Aを用いて調製した試料は僅かに相分離し、ココアパウダーの沈降はなかった。試料Bを用いて調製した試料は部分的なココアパウダー沈降を示し、ボトルの高さの2/3で明褐色の頂部相分離を示し、ボトルの高さの1/3で暗褐色の底部相分離を示した。
【0076】
周囲温度で1週間貯蔵した後、レトルトグループを視覚的に調べた。試料Aを用いて調製した試料はココアパウダーの沈降を示さず、相分離はほとんどなかった。試料Bを用いて調製した試料は僅かな相分離があり、ココアパウダーの沈降はなかったが、ボトルの底にはゲル化物質からなる小さな塊が数多くあった。
【0077】
実施例番号30 コロイド状MCC/アルギン酸塩のUHT評価
クエン酸4重量%を含むMCC/Manucol DM=85/15をReadco押出機で製造した(実施例番号20を参照されたい)。
【0078】
0.35重量%のMCC/Manucol DMと250ppmのジェランHAとの組み合わせを、UHT低脂肪チョコレートミルク中の安定剤として評価した。冷蔵及び周囲貯蔵で3ヶ月後、ココア沈降もゲル化も観察されなかった。比較として、250ppmのジェランHAのみでは、低レベルのダスティングが観察され、ミルクのゲル化は観察されなかった。
【0079】
また、0.5重量%のMCC/Manucol DMと150ppmのジェランHAとの組み合わせを、UHT低脂肪チョコレートミルク中の安定剤として評価した。冷蔵及び周囲貯蔵で3ヶ月後、沈降もミルクのゲル化もなかった。周囲貯蔵ミルクのボトルの底部で、低レベルのダスティングのみが観察された。比較として、150ppmのジェランHAのみで安定化したチョコレートミルクにおいて、冷蔵及び周囲貯蔵の両方で、重い沈降層が見られた。
【0080】
実施例番号31 アルギン酸
この実施例では、他の化学物質なしでMCC/アルギン酸(多糖)を使用した。Readcoによる摩砕の間、押出物は、保湿された混合物フレークとして形成された。di水中に直接分散させることによって、混合物は分散され、pH=3.69の薄い分散液を形成することができる。2度目の分散では、4重量%のNaOH溶液によりpHを5.74に調整した。両方の分散液で、24時間後に相分離を示すことが観察された。
【0081】
【表7】
【0082】
実施例番号32 アルギン酸塩
この実施例では、FMCからの高ゲル強度アルギン酸塩、Manugel GHBを試験した。アルギン酸塩に対するMCCの比は85/15である。5重量%のクエン酸を摩砕助剤として使用した。Readco押出機の電流量の読み取り値は、クエン酸なしでの4.3に対して、3回目の通過で5.2であった。
【0083】
他の多糖類を含むコロイド状MCC
実施例番号33~36 カラヤゴム
いくつかの異なる粘度グレードのカラヤゴムを、5重量%クエン酸のMCC/カラヤ=85/15で試験した。クエン酸は、低粘度グレードのカラヤガムによる効果的な摩砕の促進に非常に良好に作用した。カラヤガムの粘度が増加するにつれて、クエン酸の共摩砕を補助する効果は減少した。MCC/カラヤ分散液の粘度を2.6重量%で測定した。
【0084】
【表8】
【0085】
実施例番号37~39 カラヤゴム
実施例は、1329cPの1重量%溶液粘度のカラヤゴムを用いて作製した。MCC/カラヤ比=85/15。種々の酸を5重量%の使用濃度で試験した。MCC/カラヤ分散液の粘度を2.6重量%で測定した。
【0086】
【表9】
【0087】
番号40~46 カラヤガムと、クエン酸及び比較の塩
【0088】
【表10】
【0089】
実施例番号47 CMC 12M31
MCC/CMC 12M31=85/15の共摩砕に関する初期の研究は軟らかく滑りやすい塊を明らかにした。ここで、CMC 12M31は、Ashlandからの、D.S=1.2で、2重量%溶液粘度が800~3,100cPのカルボキシメチルセルロースである。クエン酸の3つの使用濃度6重量%、8重量%及び10重量%をMCC/CMC 12M31で試験した。10重量%で、MCC/CMC 12M31の軟らかい混合物がHobartミキサーボウル中で認められた。この混合物をReadco押出機で押出し、電流量の読み取り値のベースライン4.0から変化を示さなかった。この混合物は、約16時間後、周囲条件下の密閉容器中で強靭で、且つ堅くなった。それを再びReadco押出機で押出したところ、電流量の読み取り値は直ちに6.0より上に上昇した。pHの調整なしで、押出物は2.6重量%の固形分濃度でdi水中に分散可能であり、pH=3.36であった。2度目の分散試験では、まず、希NaOH溶液を用いてdi水のpHを塩基性に調整した。次いで、押出物をdi水中に分散させ、pH=6.24を得た。中和した分散液は、212.5cPの初期粘度及び271cPの24時間粘度を示した。6重量%及び8重量%のクエン酸では、混合物は周囲温度で24時間後、軟らかく粘着性のままであった。しかし、高温では、軟らかい粘着性の塊から強靭で堅固なテクスチャーへの転移が促進されることがわかった。例えば、40℃では、8重量%のクエン酸を含むMCC/CMC 12M31の転移に約24時間を要した。Hobartミキサーを用いて製造し、次いで、密閉容器中で24時間、40℃で温めた10重量%のクエン酸を含むMCC/CMC 12M31の別の混合物も強靭で堅くなった。しかしながら、6重量%クエン酸を含む混合物では、40℃で24時間の加温は、強靭で堅固になるのに十分ではなかった。最終的に、この特定の混合物は、数週間後に、冷温(約4℃)貯蔵で数週間後に強靭で堅くなった。
【0090】
実施例番号48 ダイズ多糖
MCC/ダイズ多糖=85/15の混合物は、5重量%のクエン酸で良好に共摩砕された。3回目の通過で、電流量の読み取り値は4.9であった。これに対し、Readco押出機による1回目の通過時の電流量の読み取り値は4.3であった。
【0091】
実施例番号49 キサンタンガム
約10重量%までのクエン酸では、MCC/キサンタン=85/15の混合物は効果的に共摩砕されなかった。混合物は軟らかく粘着性のままであった。
【0092】
実施例番号50 アルギン酸塩と低濃度のクエン酸
使用したアルギン酸塩はManucol DMであった。アルギン酸塩に対するMCCの比は固形分で86/14であった。クエン酸の量は、ウェットケーキの含水量に基づいて2.5重量%であった。凝集体MCC、アルギン酸塩及びクエン酸の混合物の3回の通過をReadco押出機により行った。ベースラインの電流量は3.9であった。3回目の通過で、電流量の読み取り値は4.2であった。噴霧乾燥した中和粉末の2.6%分散液は、初期粘度1088cP及び24時間粘度1127cPで、pH=6.29であった。
【0093】
Readco押出機に混合物をより多く通過させることにより、押出物(Manucol DM及びクエン酸を含むMCCウェットケーキ混合物)の堅さが増加することがわかった。例えば、6回通過させた。6回目の通過で、電流量の読み取り値は5.0より高くなった。噴霧乾燥した中和粉末の2.6%分散液は、初期粘度3025cP及び24時間粘度2750cPで、pH=6.26であった。
【0094】
コロイド含有量の測定を、以下に詳述する方法で試料について行った:
1.ガラス製4カップボウル内で700G Waringブレンダーを単巻変圧器の電圧115ボルトで2分間使用することにより、592.8gのdi水中に粉末を1.2%分散させる
2.この1.2%分散液をdi水で0.286%まで希釈する
3.希釈した分散液30gを重量ボートに秤量し、ボートAと記す
4.希釈した分散液30gを50mL遠心管に秤量する
5.第4工程を5回繰り返す
6.第4工程~第5工程の分散液を含有する6本の遠心管を、8857rcfのG力に相当する8300rpmで15分間遠心分離する(Eppendorf遠心機5804R、Eppendorf AG,Hamburg,Germany製)
7.6本の遠心管から上清を集め、第3工程と同じ量を別の重量ボートに秤量し、ボートBと記す
8.ボートA及びBを57℃で約24時間、又は完全に乾燥するまで乾燥させる
9.ボートBの風袋重量とボートAの風袋重量の重量比としてコロイド含有量を算出する。
【0095】
MCCウェットケーキ、アルギン酸塩及びクエン酸の混合物をReadco押出機に3回通すことによって作製された試料について、コロイド含有量19.75%を得た。MCCウェットケーキ、アルギン酸塩及びクエン酸の混合物をReadco押出機に6回通すことによって作製された試料では、コロイド含有量は70.39%であると測定された。
【0096】
コロイド含有量は、分散液の粒径を評価する特性結果である。例えば、Avicel(登録商標)CL611は、約70%のコロイド含有量を有する。その分散液から収集した上清を、Horiba LA-910レーザー回折粒度分布計(京都、日本)を用いて測定し、D50が0.110μmの0.044μm~1.151μmの粒度分布を得た。このように、Readco押出機を通過させる摩砕パスの数の増加は、分散液中の粒子サイズのさらなる減少をもたらす(コロイド含有量の19.75%対70.39%)。
【0097】
実施例番号51 アルギン酸塩とリン酸
実施例50のクエン酸と同じモル濃度で、代わりにリン酸を使用した。使用したアルギン酸塩はManucol DMであった。アルギン酸塩に対するMCCの比は固形分で86/14であった。リン酸の量は、MCCウェットケーキの含水量に基づいて1.5重量%であった。MCCウェットケーキ、アルギン酸塩及びリン酸の混合物の3回の通過をReadco押出機により行った。ベースラインの電流量は3.9であった。摩砕の電流量は、それぞれ、4.0(1回目の通過)、4.0(2回目の通過)及び4.1(3回目の通過)と記録された。4%NaOH溶液で中和した後の噴霧乾燥粉末の2.6%分散液は、初期粘度1040cP及び24時間粘度1120cPで、pH=6.21であった。