IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディーダブリューエス エス.アール.エル.の特許一覧

特許7139455電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法
<>
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図1
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図2
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図3
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図4
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図5
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図6
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図7
  • 特許-電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/182 20170101AFI20220912BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20220912BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20220912BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20220912BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20220912BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20220912BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220912BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20220912BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220912BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220912BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20220912BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220912BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20220912BHJP
   A61C 13/34 20060101ALI20220912BHJP
   A61C 13/15 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B29C64/182
B29C64/124
B29C64/268
B29C64/245
B29C64/255
B29C64/386
B29C64/393
B29C64/336
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/00
B33Y50/02
B29C64/264
A61C13/34 Z
A61C13/15
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020564348
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019062885
(87)【国際公開番号】W WO2019219950
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】102018000005478
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516369778
【氏名又は名称】ディーダブリューエス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コスタベベル,エットーレ マウリツィオ
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0074274(US,A1)
【文献】特表2006-500241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/10-64/40
B33Y 10/00-99/00
A61C 13/34
A61C 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料(5a、5b)から、第1および第2の構成要素(О1、О2)を含む三次元オブジェクトを形成する方法であって、
前記第1の固化可能材料(5a)は、前記第2の固化可能材料(5b)とは異なり、
前記三次元オブジェクトのメインデジタル画像を準備し、
前記第1および第2の固化可能材料(5a、5b)をそれぞれ第1および第2のチャンバ(2a、2b)に導入し、
前記メインデジタル画像を、前記第1の構成要素に対応する第1のデジタル画像と前記第2の構成要素に対応する第2のデジタル画像とに分割し、
前記第1の構成要素を前記第1のチャンバに関連付け、前記第2の構成要素を第2のチャンバに関連付け、
第1および/または第2の固化可能材料の層を選択的に固化するために、所定のパターンに従って、電磁線源(6)によって前記第1および/または第2の固化可能材料(5a、5b)の前記層に放射線を照射し、
複数の層に対してこのプロセスを繰り返して前記三次元オブジェクトの前記第1および第2の構成要素(О1、О2)を形成し、
前記プロセスを繰り返しながら、両チャンバに同時に放射線を照射することにより、または、第1のチャンバから第2のチャンバにまたはその逆に放射線の照射を交互に行うことにより、前記第1および第2の構成要素を並行して形成する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
識別子を前記三次元オブジェクトの前記メインデジタル画像に関連付け、
形成された第1および第2の構成要素(О1、О2)のそれぞれに同じ識別子を関連付ける、
方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記第1または第2のチャンバの底部(7a、7b)の近くにそれぞれ前記第1または第2のプラットフォーム(8a、8b)を動かして、前記第1または第2の固化可能材料の層と接触してそれを配置するようにし、
照射後に、前記層を前記底部から離れて移動し、前記第1または前記第2の固化可能材料(5a、5b)からそれを出現させるようにし、
前記第1または前記第2の固化可能材料を前記第1または第2のチャンバ内に再分配し、前記底部から離れて前記層の前記移動によって引き起こされた窪みを埋めるようにする、
方法。
【請求項4】
請求項1-3のいずれか一項に記載の方法において、
三次元オブジェクトのメインデジタル画像または第1のデジタル画像を準備することには、前記三次元オブジェクトをスキャンすることを含む、
方法。
【請求項5】
請求項1-4のいずれか一項に記載の方法において、
前記電磁波放射線が前記第1の固化可能材料(5a)に放射線を照射するときに適用可能な前記電磁線源(6)の第1の動作パラメータを設定し、
前記電磁波放射線が前記第2の固化可能材料(5b)に放射線を照射するときに適用可能な前記電磁線源(6)の第2の動作パラメータを設定し、前記第1の動作パラメータの少なくとも1つは、前記第2の動作パラメータの1つと異なる、
方法。
【請求項6】
請求項1-5のいずれか一項に記載の方法において、
前記第1のデジタル画像に適用可能なファイル詳細の第1の作業パラメータを設定し、
前記第2のデジタル画像に適用可能なファイル詳細の第2の作業パラメータを設定し、前記第1の作業パラメータの少なくとも1つは、前記第2の作業パラメータの1つと異なる、
方法。
【請求項7】
請求項1-6のいずれか一項に記載の方法において、
前記電磁線源(6)がレーザーまたはデジタル光プロジェクターである、
方法。
【請求項8】
請求項1-7のいずれか一項に記載の方法において、
前記第1および/または第2の固化可能液体材料(5a、5b)が感光性樹脂である、
方法。
【請求項9】
請求項1-8のいずれか一項に記載の方法において、
前記第1および/または第2の固化可能材料(5a、5b)の前記固化された層を移動させることには、
前記第1および第2のチャンバにそれぞれ面する第1および第2のプラットフォーム(8a、8b)を準備すること、
前記第1および第2のチャンバ(2a、2b)に対して前記第1および第2のプラットフォームの位置をシフトすること、
が含まれる、
方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記第1のプラットフォームのシフトは、前記第2のプラットフォームのシフトとは異なる、
方法。
【請求項11】
請求項1-10のいずれか一項に記載の方法において、
前記第1または第2の構成要素が人体の一部である、
方法。
【請求項12】
請求項1-11のいずれか一項に記載の方法において、
前記メインデジタル画像を、前記第1の構成要素に対応する第1のデジタル画像と前記第2の構成要素に対応する第2のデジタル画像とに分割することには、
前記メインデジタル画像内で異なる色または名前を有する容量を分離し、複数の構成要素、すなわち、それぞれ色または名前ごとに1つ構成要素を形成するようにすること、
前記複数の構成要素から前記第1および第2の構成要素を選択すること、
が含まれる、
方法。
【請求項13】
請求項1-12のいずれか一項に記載の方法において、
前記メインデジタル画像または前記第1または第2のデジタル画像を変形する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「ステレオリソグラフィー」は、固化可能な(例えば、硬化可能な)材料の薄層を順に重ねて連続的に「印刷」することによって、固体の三次元オブジェクトを作製するための方法および装置である。硬化性液体材料の表面または層を照らす放射線のプログラムされた可動スポットビームを使用して、材料の表面にオブジェクトの固体断面を形成する。そして、オブジェクトは、プログラムされた方法で、1つの層の厚さだけ液面から離れて移動し、次の断面が、その後に形成され、オブジェクトを規定する直前の層に接着される。このプロセスは、オブジェクト全体が形成されるまで続けられる。
【0003】
基本的に、すべてのタイプのオブジェクト形状をこの手法で創作できる。複雑な形状は、コンピュータの機能を使用して、プログラムされたコマンドを生成するとともにプログラム信号をステレオリソグラフィーオブジェクト形成サブシステムに送信することで、より簡単に創作される。
【0004】
既知のタイプのステレオリソグラフィー機械は、流体物質が存在する、一般に液体またはペースト状態の感光性樹脂が存在する容器を備える。
【0005】
この機械はまた、一般に発光型であり、流体物質を固化するのに適した放射線を放つ光源を含む。光学ユニットは、固化されるオブジェクトの層の位置に対応する、容器の内部に配置された基準面に向かって前記放射線を運ぶことに備える。
【0006】
形成される三次元オブジェクトは、オブジェクトの最後の固化層が前記基準面に隣接する位置に配置されることを可能にするように、容器に対して垂直に移動できるモデリングプレートによって支持される。
【0007】
このようにして、ひとたび各層が固化されると、モデリングプレートは、固化層が再び基準面に隣接して配置されるように移動され、その後に、連続的な層に対してプロセスを繰り返すことができる。
【0008】
これらの機械の使用は、到達した精度と得られる多種多様な形状とにより、さまざまな技術分野でますます一般的になっている。しかしながら、異なる材料で構成されるオブジェクトが作成される必要がある場合には、問題が発生する可能性がある。
【0009】
実際、単一のステレオリソグラフィープロセスでは、一般に単一の樹脂が使用される。その後、樹脂を固化させて製品を製造する。したがって、もしオブジェクトが異なる材料の異なる構成要素を持っているなら、各構成要素が異なる樹脂を使用して形成できるように構成要素ごとに単一のステレオリソグラフィープロセスが実行される必要がある。
【0010】
しかしながら、一部の技術分野、たとえば医療分野では、マルチパーツ(多数部品)オブジェクトを作成する際に注意が必要である。実際に、単一のオブジェクトを形成する明確な構成要素のトレーサビリティ(生産履歴管理)と、それらを関連付ける人(患者)の明確な識別とが常に存在するべきであることを課す規制さえある。たとえば、各製造業者は、取り違えを防ぐために、受領、製造、流通、および設置のすべての段階で製品を識別するための手順を確立および維持しなければならない。したがって、製品が複数の構成要素で形成されている場合、印刷された構成要素が互いに関連付けられたままであり、さらに、たとえば患者名の特定の識別子に関連付けられたままであることが非常に重要である。
【0011】
これは、たとえば、歯茎の一部と歯がステレオリソグラフィーによって2つの異なる材料で再生(複製)されることが多い歯科分野では特に重要であるが、再生品の一部は全体的に患者名にリンクされたまま、好適には、スキャンが行われる歯科医院から完成品までの各段階でリンクされたままであることが必要ある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、より多くの構成要素で複製される製品の三次元モデルトレーサビリティをより適切に制御できる方法が必要である。
【0013】
第1の態様によれば、本発明は、電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から第1および第2の三次元オブジェクトを形成する方法に関し、当該方法は、
三次元オブジェクトのメインデジタル画像を準備し、
第1および第2の固化可能材料をそれぞれ第1および第2のチャンバに導入し、
メインデジタル画像を丹念に作って第1の構成要素に対応する第1のデジタル画像と第2の構成要素に対応する第2のデジタル画像とに分割し、
第1の構成要素を第1のチャンバに関連付け、第2の構成要素を第2のチャンバに関連付け、
第1および/または第2の固化可能材料の層を選択的に固化するために、所定のパターンに従って、電磁線源によって第1および/または第2の固化可能材料の層に放射線を照射し、
複数の層に対してこのプロセスを繰り返して三次元オブジェクトの第1および第2の構成要素を形成し、
プロセスを繰り返しながら、両チャンバに同時に放射線を照射することにより、または、第1のチャンバから第2のチャンバにまたはその逆に放射線の照射を交互に行うことにより、第1および第2の構成要素を並行して形成する、
ことからなる。
【0014】
したがって、本発明の方法は、ステレオリソグラフィープロセスを使用して、第1および第2の材料からなる少なくとも第1および第2の三次元構成要素を含む単一の三次元(3D)オブジェクトを形成する。
【0015】
以下で「製品」とも呼ばれる三次元オブジェクトは、N個の構成要素から形成されてもよく、N>2である。「製品」という言葉を使って、実際の物理的なオブジェクト、すなわち同じもののデジタル3Dモデルが意図されている場合がある。おそらく、製品を形成する構成要素は、異なる材料または組成物でできていてもよい。製品のステレオリソグラフィーコピー、したがって同一のステレオリソグラフィープロセスにおいてN個の構成要素のステレオリソグラフィーコピーを取得するためには、メインデジタル画像と呼ばれる製品のデジタル画像が必要とされる。
【0016】
次に、メインのデジタル画像は、さまざまなN個の構成要素のデジタル分離画像に分割さる。その後に、各構成要素が同じステレオリソグラフィー機械の異なるチャンバに割り当てられ、「1つの製品」(構成されている構成要素の数に関係なく)の関係を「1つのプロセス」に等しくするようにしている。このようにして、単一の初期製品、たとえば人体の一部、したがって一人の患者に対して、同じものを形成するすべての構成要素が単一のプロセスステップで生成されるので、トレーサビリティが向上される。
【0017】
本発明の方法で使用されるステレオリソグラフィー機械は、少なくとも2つのチャンバ、好ましくはN個のチャンバを含み、N>2は、製品が形成される構成要素の数である。さらに、ステレオリソグラフィー機械は、好ましくはチャンバの数に等しい数の固化可能材料を使用する(すなわち、N個の異なる固化可能材料が存在する)ので、各チャンバに好ましくは異なる材料を導入され得る。好ましくは、固化可能材料は流体形態(状態)である(すなわち、それは液体である)。
【0018】
好ましくは、N個の固化可能材料は、少なくとも物理的および/または化学的特性の点で、互いに異なる。N>2の場合、N個の材料のうちの少なくとも2つは、物理的および/または化学的特性のために互いに異なることが好ましい。
【0019】
固化可能材料は、特定の特性、例えば特定の波長を有する電磁波放射線によって照射されるときに固化する材料である。それらは、例えば、ポリマー樹脂であり得る。本発明では、ステレオリソグラフィー処理の分野で知られているポリマー樹脂のいずれかを使用することができる。
【0020】
さらに、本発明の方法で使用されるステレオリソグラフィー機械は、電磁波放射線を放出する傾向がある電磁線源を含む。好ましくは、電磁線源は調整可能であり、すなわち、放出される電磁波放射線のパラメータは変更され得る。たとえば、電磁波放射線のパワー(電力)は、放射時間、波長、放射線がスキャンされる速度、レーザースポットサイズなどを変更できる。好ましい電磁線源は、レーザー光源、より好ましくはUV(紫外線)スペクトルでレーザービームを放出するUVレーザー光源、およびデジタル光プロジェクター、より好ましくはUVスペクトルで放出するデジタル光プロジェクターである。
【0021】
以下に詳述するように、製品のデジタル画像を丹念に作り電磁線源に命令するためのプロセッサがさらに存在する。プロセッサは、ステレオリソグラフィー機械と一体化されまたはステレオリソグラフィー機械から分離されていてもよい。
【0022】
好ましくは、プロセッサは、ステレオリソグラフィー機械の操作者によってステレオリソグラフィープロセスのパラメータを入力および/または選択および/または変更するために使用することができるユーザインターフェースに関連付けられている。
【0023】
製品のメインデジタル画像は、製品全体が描かれた単一のファイルに、または複数の異なるファイルに、例えば、構成要素ごとに1つに含まれ得る。以下では、メインデジタル画像が三次元デジタル画像と見なされる。メインデジタル画像には、たとえばCADなどの専用ソフトウェアを介して、製品の表面を三次元で数学的に表現したものが含まれている。
【0024】
製品のメインデジタル画像に含まれる情報は、以下であることが好ましい。メインデジタル画像は、好ましくは、製品の3D(三次元)表示を形成するために必要な情報を含む。メインデジタル画像は、3Dスキャナーによって取得されたファイルであってもよく、それが、関心のある製品の「デジタル印象」である。たとえば、メッシュ表示を使用できる。代替的には、この分野で知られているスプライン、NURBなどの他の数学上の幾何図形的配列も使用できる。
【0025】
得られたメインデジタル画像は、本発明の方法の間に、例えば、3Dスキャナーによって直接生成され得るので、製品のスキャンが実行され、スキャナー自体が製品のデジタル画像を出力する。代替的にまたは追加的に、デジタル画像が撮影される「実際の物理的な製品」はなく、製品は、たとえばデザインまたはプロジェクト(たとえばCADモデル)としてのみデジタル形式で存在する。これは、たとえば、眼鏡や補聴器などのプロテーゼを形成する必要がある場合に当てはまる。
【0026】
三次元空間における製品の表面の位置情報に加えて、座標が決定される各ポイントではメインデジタル画像は、例えば、異なる位置での製品の構成要素の色について追加情報も含んでよい。
【0027】
したがって、メインデジタル画像は、各メッシュ頂点に、製品の他の特性の値、たとえばRGB座標または別の方法での色を関連付けて生成されてもよい。
【0028】
次に、このメインデジタル画像は、構成要素ごとに1つずつ、第1と第2のデジタル画像に分離される。このステップは、メインデジタル画像が既に供給されて構成要素に分割されていなければ、実行される。第1および第2のデジタル画像は、単一のファイルまたは複数のファイルに保存されてもよい。
【0029】
以下では、第1および第2のデジタル画像が三次元デジタル画像とみなされる。第1および第2のデジタル画像は、例えばCADなどの特殊なソフトウェアを介して、三次元でそれぞれ第1および第2の構成要素の表面の数学的表示を含んでもよい。
【0030】
さらに、第1のデジタル画像および第2のデジタルにメインデジタル画像を分割するファイルを丹念に作るステップは、ステレオリソグラフィー機械によって読み取り可能なファイル内のメインデジタル画像を含むファイルの変換を含んでもよい。さらに、「ファイル」という用語は広い意味で使用され、ファイルは特定の態様に関連するすべての情報を意図し、たとえば、デジタル画像のファイルは、これらの情報が単一の「physical file」画像データまたは複数のファイル画像1データ画像2データ内にあるか否かに関わらず、デジタル画像を形成するために必要なすべての情報を意味する。したがって、ファイルはファイル単位に格納されたデータの収集であり、ファイル名で識別される。第1の構成要素の画像に関連するファイルと第2の構成要素の画像に関連するファイルとが明確に識別可能である限り、つまりデータの収集が完全で分離される限り、2つのファイル名は同じにすることができる。
【0031】
メインデジタル画像を丹念に作って第1および第2の構成要素の第1および第2のデジタル画像にそれを分割することは、以下のように行われ得る。
【0032】
製品を形成するとともにメインデジタル画像内で目に見える異なる構成要素は操作者によって選択されてもよいので、メインデジタル画像のどの部分がこのように第1および第2の異なる画像を形成した異なる部分において分離される必要があるかを、適切なソフトウェアに操作者が示すという意味において、さまざまな構成要素は「手動で」分離可能である。
【0033】
代替的にまたは追加的に、製品を形成する構成要素は自動的に分離され得る。自動分離に関しては、操作者は分離のルールを入力してもよく、たとえば、さまざまな構成要素が、色が異なる(メインデジタル画像に保存されている)製品の部分であることを示してもよい。代替的にまたは追加的に、一連の規則がプロセッサ内にすでに存在してステレオリソグラフィー機械の製造中に選択されてもよいので、すべてのメインデジタル画像は、操作者からの何らの入力も待たずに、これらの保存された規則に従って処理される。
【0034】
そのメインデジタル画像で表されたような製品のN個の構成要素が分離されて異なるN個のデジタル画像を形成した後に、本発明の方法は、各構成要素を、ステレオリソグラフィー機械の複数のN個のチャンバのうち1つのチャンバに関連付けるステップ(工程)を含む。次に、このステップは、各デジタル画像をチャンバに関連付けるので、第1のデジタル画像を第1のチャンバに関連付け、第2のデジタル画像を第2のチャンバに関連付ける。上に示したように、各チャンバには異なる固化可能材料が導入されるので、N個の構成要素はN個の異なる材料で製造され得る。もしN>2であるなら、N個の材料のうち2個だけが互いに異なるだけで十分であり、つまり、ステレオリソグラフィー機械の異なるチャンバで製造されるけれども、同じ固化可能材料に関連付けられた2つの構成要素が存在するかもしれない。
【0035】
関連付けは、どの構成要素がどのチャンバで生成されたかを選択して行われる。選択は、構成要素のサイズ、チャンバのサイズ(サイズが異なってもよい)、および利用可能な固化可能材料を考慮して実行される。各構成要素は、各チャンバ内の特定の容量(ボリューム)に関連付けられてもよいし、十分な大きさの容量が存在する場合にはチャンバ内に自動的に位置決め(配置)されてもよい。第1のケースでは、操作者は、構成要素が製造されるだろう正確な場所をチャンバ内で選択してもよい。
【0036】
各チャンバでは、同じ材料で複数の構成要素を製造できる。たとえば、製品はN>2個の構成要素で構成されてもよく、そのうちの2つは同じ材料でできている。したがって、同じ材料で作られた三次元構成要素は、もし後者が十分に大きいなら、同じチャンバで製造され得る。
【0037】
好ましくは、適切なソフトウェアのインターフェースを介して、操作者は、構成要素が形成されるべき場合には、チャンバ内の容量を選択する。
【0038】
このステップの最後に、どの構成要素がどのチャンバ内でどの材料で生産されるべきかに関する情報が、各構成要素に関する空間情報と一緒に、プロセッサ内に提示される。
【0039】
本発明の方法は、好ましくは、標準的なリソグラフィー技術を三次元構成要素の製造に適用し、コンピュータ命令から直接三次元オブジェクトを製造する際に、コンピュータ支援設計(CAD)およびコンピュータ支援製造(CAM)を同時に実行するようにする。
【0040】
以下では、標準的なリソグラフィー技術について説明するが、本発明の方法では任意の3Dプリント(印刷)技術を層ごとに使用することができる。
【0041】
CADシステムのデータベースはいくつかの形式(フォーム)を取ることができる。1つの形式は、オブジェクトの表面を多角形のメッシュ(編み目)、通常は三角形として表すことからなる。これらの三角形は、オブジェクトの内面と外面を完全に形成する。このCAD表示には、三角形ごとに単位長さの法線ベクトルも含まれている。法線は、三角形が境界を定めている立体から離れた方向を指し、勾配を示す。本発明の方法は、好ましくは、CADデータを、ステレオリソグラフィーを通じてモデルを形成するために使用できる層ごとのベクトルデータに処理する。そのような情報は、DLPの場合にまたはベクトル形式におけるラスター走査の出力データなどに最終的に変換されてもよい。
【0042】
まず、好ましくは、立体モデルは、ステレオリソグラフィープロセスを特に参照せずに、CADシステム上で通常の方法で設計されている。これらは、製品の構成要素のデジタル画像である。したがって、以下では、構成要素のデジタル画像は、構成要素のモデルと呼ばれる。
【0043】
ステレオリソグラフィーのモデル準備には、最適な方向の選択、サポートの追加、およびステレオリソグラフィーシステムの動作パラメータの選択が含まれる。ステレオリソグラフィーの動作パラメータには、モデルのスケール(尺度)と層(スライス)の厚さとの選択が含まれる。
【0044】
次に、立体モデルの表面が三角形に分割される。三角形は、ベクトル計算で最も複雑でない多角形である。形成される三角形が多いほど、表面の解像度が高くなり、したがって、CAD設計に関して形成されたオブジェクトの精度がより高くなる。
【0045】
その後に、三角形の座標とそれに対する法線とを表すデータポイントは、通常PHIGSとして、イーサネットやワイヤレス接続などの適切なネットワーク通信を介してステレオリソグラフィーシステムに送信される。次に、ステレオリソグラフィーシステムのソフトウェアは、選択された層の厚さで三角形断面を水平方向(X-Y平面)にスライスする(薄く切る)。
【0046】
次に、ステレオリソグラフィー機械は、断面境界、ハッチ、および水平面(スキン)ベクトルを計算する。ハッチベクトルは、境界ベクトル間のクロスハッチングからなる。いくつかの「スタイル」またはスライス形式が利用可能である。高速で大きなオーバーラップ(重なり)を持ってトレースされる(描かれる)スキンベクトルは、オブジェクトの外側水平面を形成する。
【0047】
言い換えれば、各構成要素のデジタル表示(モデル)は複数の層に分割され(スライスと呼ばれるプロセス)、各層は構成要素の断面である。したがって、三次元構成要素は「層ごとに」印刷(プリント)される。
【0048】
層の厚さは、構成要素に依存して異なってもよい。したがって、この場合には、第1のチャンバ内の第1の構成要素を形成するために必要な層の数は、第2のチャンバ内の第2の構成要素を形成するために必要な層の数とは異なってもよい。
【0049】
スライスが行われた場合に上記の詳細を考えると、第1および第2のチャンバ(またはN個のチャンバ)がそれに応じて放射線を照射される。したがって、ステレオリソグラフィー機械および/またはプロセッサは、N個の構成要素のデジタル画像(同じものの三次元モデル)とそれらがチャンバ内で形成された位置とだけでなく、スライスに関する情報(各構成要素が形成されるために必要である層の数)および放射線の照射中に設定される電磁線源のパラメータをも含む。
【0050】
電磁線源のパラメータとスライスのパラメータは、プロセス中いつでも変更可能である。
【0051】
次に、ステレオリソグラフィー機械は、一度に一層に、好ましくは、一度に一つの水平な層に、好ましくは、電磁波放射線を第1および第2の固化可能材料の表面を横切って移動させるとともに、それが当たる場所に同じものを層ごとに固化することによって、第1および第2の構成要素を形成する。各層は、通常次の順序で描画されるベクトルで構成される:ハッチングと境界。代替的には、固化される領域全体が、層ごとに電磁波放射線によって照射される。
【0052】
層を形成するために、最初に、第1および第2の固化可能材料が第1および第2のチャンバに導入される。次に、電磁線源は、第1の構成要素の第1のデジタル画像の実行されるスライスに従って第1のチャンバに放射線を照射し、第2の構成要素の第2のデジタル画像の実行されるスライスに従って第2のチャンバに放射線を照射する。
【0053】
第1のチャンバと第2のチャンバの三次元構成要素は、直列ではなく並列に生産される。これは、第1および第2の構成要素の一方の放射線の照射が終了する前に、第1または第2の構成要素の他方の放射線照射が開始されたことを意味する。例えば、第1の三次元構成要素の最後の層が放射線照射される前に、第2の三次元構成要素の少なくとも第1の層が放射線照射される。
【0054】
構成要素の並列処理を実行するために、提供される電磁線源のタイプに応じて、さまざまな技術を使用できる。電磁線源としてのレーザーの場合、第1の三次元構成要素または第2の三次元構成要素の各層について、レーザーは、第1または第2のデジタル画像内に提供されたパターンに従って、第1のチャンバ内の領域または第2のチャンバ内の領域のいずれかをスキャン(走査)する。
【0055】
レーザーは、最初に第1のチャンバ内の第1の構成要素のスキャンされる領域全体をスキャンし、次に第2のチャンバ内の第2の構成要素のスキャンされる領域全体をスキャンしてもよい。代替的には、レーザーは各チャンバ内の全領域をスキャンするのではなく、単に所定のスキャン方向に沿って継続して第1のチャンバから第2のチャンバへ連続的に交互に行ってもよい(たとえば、第1のチャンバ内の一部と第2のチャンバ内の一部とに対して一列をスキャンする)。
【0056】
「パターン」に従って放射線照射または固化することは、固化可能材料が、所与のパターンに対応するその一部においてのみ放射線照射または固化されることを意味する。パターンは、層が定義されるとともに、考慮される層のレベルでの(第1のデジタル画像または第2のデジタル画像の)モデルの断面に実質的に対応する場合には、スライス手順で決定される。
【0057】
こうして、レーザーは、第1または第2のチャンバ内の第1または第2の材料のいずれかをスキャンし、したがって、それは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で交互に起こる。第1のチャンバと第2のチャンバとの間で前記交互に起こることは、第1の三次元構成要素を第2の三次元構成要素と並行して印刷するプロセス全体を通して繰り返し発生する。したがって、第1のチャンバから第2のチャンバにまたはその逆に再帰的に放射線照射を交互に行う。
【0058】
デジタルプロジェクターの場合、第1のチャンバと第2のチャンバの両方の特定の領域が照らされる。露出された領域は、構成要素の第1および第2のデジタル画像に含まれる情報によって再び与えられる所与のパターンを、好ましくは、スライス手順中に精巧に作成されたように、有する。露光時間は変化してもよく、すなわち、各層について、第1の固化可能材料は、第2の固化可能材料と異なる露出時間を必要としてもよい。後者の場合、第1および第2のチャンバの両方が放射線を照射される第1の時間間隔と、第1および第2のチャンバのうち一方のみが放射線を照射される第2の時間間隔とが存在する。
【0059】
この放射線の照射により、スライス手順(第1の構成要素の第1のデジタル画像のとおり)に示されるパターンに従って一部が固化された層が第1のチャンバ内に存在し、スライス手順(第2の構成要素の第2のデジタル画像のとおり)に示されるパターンに従って固化された一部が第2のチャンバ内に存在する。
【0060】
この放射線の照射は、第1および第2の構成要素が完全に形成されるまで層ごとに継続し、第1の構成要素はm層まで形成されてもよく、一方、第2の構成要素はp層まで形成されてもよく、したがって、それは、m層およびp層の全てが、第1および第2のデジタル画像に示された対応パターンに従って、放射線を照射されていたことを意味する。
【0061】
すべての層に放射線を照射するために、層が放射線を照射されるたびに、こうして、少なくともその一部について固化されるたびに、固化された層は移動されてもよい。したがって、好ましくは、層に放射線を照射するステップの後に、この方法は、第1および第2の固化可能材料の固化された層を移動させるステップを含む。代替的には、照射源を移動させてもよい。
【0062】
層の任意の動きは、当技術分野で知られているものと見なすことができる。たとえば、以下を適用できる。
【0063】
ステレオリソグラフィー機械は、第1および第2のチャンバに関連する第1および第2のプラットフォームを含んでもよい。プラットフォームは「層ホルダ(容器)」として使用される。 以下では、プラットフォームの動きが説明され、その動きは、第1および/または第2のプラットフォームに適用されてもよい。 プラットフォームは水平であることが好ましく、それらの動きはZ軸に沿った垂直方向の動きである。より好ましくは、第1および第2のチャンバはそれぞれ底部を規定(定義)し、プラットフォームの動きはチャンバの底部によって規定される平面に対して直交する。
【0064】
好ましくは、電磁線源によって放射線を照射されて固化された層は、液面のすぐ下に位置するプラットフォームに付着する。このプラットフォームは、エレベータに取り付けられており、エレベータは、たとえばプロセッサの制御下で、その後にプラットフォームを上下させる。層に放射線を照射した後に、プラットフォームは、液体固化可能材料に数ミリメートルなどの短い距離で浸漬または上昇して、前の固化層を新しい固化可能材料でコーティングし(覆い)、次に、より短い距離まで上昇または下降して、第2の層が形成されるだろう液体の薄膜を残す。液面を平らにするために一時停止した後、次の層が放射線を照射される。固化性は接着性を有するので、第2の層が第1の層にしっかりと付着した状態になる。このプロセスは、プラットフォームの動きを交互に行う第1および第2のチャンバの両方の中で、または、同時にすべての層が放射線を照射されて第1および第2の三次元オブジェクト全体が形成されるまで、繰り返される。
【0065】
したがって、プロセスの最後に、第1の三次元構成要素が第1のプラットフォーム上に形成され、第2の三次元構成要素が第2のプラットフォーム上に形成される。
【0066】
ステレオリソグラフィープロセスにおける標準的な変形または追加のすべては、本発明の方法にも適用することができ、例えば、各層において、レーザーが固化可能材料をスキャン(走査)および重合しなければならない外部境界またはパターンが定義される。しかしながら、より良い表面特性を得るために、境界の「内部」がスキャンされるだけでなく、同じものの輪郭削り(すなわち、レーザービームスポットが層ごとにパターンの境界の輪郭に従う)もまた実行されるのが好ましい。この輪郭削りは、例えば、ステレオリソグラフィー機械でベクトルスキャンを使用することによって可能である。
【0067】
こうして、第1および第2の三次元構成要素は同じ機械内で形成され、そのプロセスの最後に同時に準備される。2つの構成要素のいずれか一方を最初に終了してよいが、プロセスは両方の構成要素が準備されたときにのみ終了する。その後に、2つの構成要素が、製品を形成するために、組み合わされてもよい。印刷された構成要素は、「失われる」ことなく同時に簡単に関連付けることができ、簡単に追跡(トレース)されてメインデジタル画像に関連付けされ得る。
【0068】
もし製品が例えば人体の一部であるなら、その製品の3Dプリントのすべての構成要素が同じ「バッチ(ひとまとまりの数量)」で同時に形成され、トレーサビリティが向上される。機械は、さまざまな構成要素を一緒に処理して、製品を同時に形成する。
【0069】
さらに、製品全体を創作する時間は、構成要素を直列に処理するために必要な時間と比較して短縮される。
【0070】
第2の態様によれば、本発明は、電磁波放射線に衝突するや否や固化できる第1および第2の固化可能材料から、三次元オブジェクトおよび工具を形成する方法であり、当該方法は、
三次元物体の第1のデジタル画像を準備し、
三次元オブジェクト上で使用される工具の第2のデジタル画像を準備し、
第1および第2の固化可能材料をそれぞれ第1および第2のチャンバに導入し、
第1のチャンバに第1のデジタル画像を関連付け、第2のチャンバに第2のデジタル画像を関連付け、
第1および/または第2の固化可能材料の層を選択的に固化するために、所定のパターンに従って、電磁線源を用いて第1および/または第2の固化可能材料の層に放射線を照射し、
複数の層に対してこのプロセスを繰り返して、三次元オブジェクトと工具を形成し、
プロセスを繰り返しながら、両方のチャンバに同時に放射線を照射することにより、または、第1のチャンバから第2のチャンバにまたはその逆に放射線の照射を交互に行うことにより、三次元オブジェクトと製品を並行して形成する。
【0071】
この第2の態様では、本発明の方法は、第1の態様に従って説明したのと同じステレオリソグラフィー機械を使用する。この場合の違いは、達成されたトレーサビリティのタイプに関連している。第1の態様では、異なる構成要素で形成された単一の製品から、製品自体のメインデジタル画像とステレオリソグラフィー機械によって生成されたすべての三次元構成要素との間に関連性がある。第2の態様による場合には、製品(三次元オブジェクト)とその製品の実現に取り組むために使用される工具との間に関連性がある。工具は、製品自体の形状に依存する形状を有する。この場合もまた、プロセスフローを追跡し、印刷されるオブジェクトとの「製品+工具」の関連性を維持する必要がある。したがって、この場合には、形成されるデジタル画像は、工具と製品のデジタル画像である。次に、これらのデジタル画像は、第1および第2のチャンバに関連付けられる。
【0072】
もちろん、「混合」された解決策も想定可能であり、つまり、ステレオリソグラフィー機械はN>2個のチャンバを含み、1つのチャンバ内には工具が形成される一方、残りのN-1個のチャンバ内には製品の3D構成要素が形成される。代替的には、工具はまた、異なる材料で異なる構成要素によって形成され、したがって、工具自体はいくつかの3D構成要素に関連付けられ、各構成要素は異なるチャンバ内で印刷される。
【0073】
構成要素の数やチャンバの数に関係なく、各チャンバ内の各構成要素は他のものと並列に形成される。好ましくは、DLP源は、すべてのチャンバに同時に放射線を照射するので、異なる構成要素の層が同時に固化される。好ましくは、レーザー光源は、複数の構成要素を並列に形成しながら、一方のチャンバから他方のチャンバへの放射線の照射を再帰的に交互に行う。
【0074】
第1または第2の態様による本発明は、代替的にまたは追加的に、以下の特徴のいずれかを含んでもよい。
【0075】
好ましくは、第1の態様によれば、この方法は、
識別子を三次元オブジェクトのメインデジタル画像に関連付け、
形成された第1および第2の構成要素のそれぞれに同じ識別子を関連付ける、
ことの工程を備える。
【0076】
好ましくは、第2の態様によれば、この方法は、
識別子を三次元オブジェクトの第1のデジタル画像に関連付け、
同じ識別子を第2のデジタル画像に関連付け、
形成された三次元オブジェクトと工具のそれぞれに同じ識別子を関連付ける、
ことの工程を含んでもよい。
【0077】
好ましくは、識別子を関連付けること、または、同じ識別子を関連付けることは、第1および第2の構成要素の上に、または、3Dオブジェクトおよび工具の上に識別子または同じ識別子を、例えばステレオリソグラフィープロセス中に、形成することを含む。このようにして、オブジェクトのトレーサビリティが一層さらに向上される。識別子は、例えば文字数字の列であってもよい。文字列は患者に関連付けられてもよい。代替的には、識別子は、特定の会社のために実行された生産を識別するために記号またはロゴであってもよい。
【0078】
好ましくは、第1の態様による方法は、
第1および第2の三次元構成要素が層ごとに形成された場合には、第1および第2のチャンバにそれぞれ関連付けられた第1および第2のプラットフォームを準備し、
第1または第2のチャンバの底部の近くにそれぞれ第1または第2のプラットフォームを動かして、第1または第2の固化可能材料の層と接触してそれを配置するようにし、
照射後に、層を底部から離れて移動してギャップを形成し、
第1または第2の固化可能材料のうち新しい層の間のギャップに充填する、
ことの工程を含んでもよい。
【0079】
本発明の方法で使用されるステレオリソグラフィー機械では、好ましくは、電磁線源は、第1および第2のチャンバの下に配置(位置決め)され、第1および第2のプラットフォームの動きは、Z軸に沿って上向きであり、すなわち、第1の層の重合後に、次の層が第1の層の下に形成され、プラットフォームは、層の厚さに実質的に等しい値まで増やされる。
【0080】
加えて、各層ごとに、本発明の方法は、以下のステップのうちの1つまたは複数を含んでもよい:
Z補正。この補正は、重合の深さとそれに続く幾何学的歪みとによる問題を回避する。この補正は、同じ出願人の名前で国際出願WO2016/001787に記載されている;
万一電磁線源が複数のレーザーを含む場合には、2つのレーザー光源の組み合わされた放射能は、同じ出願人の名前でWO2016/016754に記載されている方法に従って制御される;
チャンバに接近するプラットフォームの動きは、同じ出願人の名前でWO2014 / 013312に記載されている方法に従ってセグメント化(分割)されてもよい;
同様に、チャンバから離れたプラットフォームの動きは、同じ出願人の名前でWO2012/098451に従って制御されてもよい。
【0081】
好ましくは、三次元オブジェクトのメインデジタル画像または第1のデジタル画像を提供(準備)することは、三次元オブジェクトをスキャンすることのステップを含む。
【0082】
したがって、三次元オブジェクト(製品)は「物理的実体」である可能性があり、同じもののデジタル画像を取得するために、スキャンが実行される。例えば、スキャナーは、歯茎の一部および歯のスキャンを実行することができる口腔スキャナーであり得る。スキャンによって取得されたデジタル画像は、任意の形式にすることができ、必要に応じてさらに詳しく説明され得る。
【0083】
好ましくは、この方法は、
電磁波放射線が第1の固化可能材料に作用するときに適用可能な電磁線源の第1の動作パラメータを設定し、
電磁波放射線が第2の固化可能材料に作用するときに適用可能な電磁線源の第2の動作パラメータを設定し、第1の動作パラメータの少なくとも1つは、第2の動作パラメータの1つと異なる、
ことの工程を含む。
【0084】
動作パラメータは、第1または第2であろうと、以下のうちの1つまたは複数を含んでもよい:
放出される電磁波放射線のパワー(出力);
レーザー光源の場合には、スポット補正;
デジタル光プロジェクターの場合には、露光時間。
【0085】
上記のパラメータは、2つのチャンバ間で異なってもよく、加えて層ごとに異なってもよい。パラメータは、プロセス自体の間にも変更され得る。
【0086】
好ましくは、この方法は、
第1のデジタル画像に適用可能なファイル詳細の第1の作業パラメータを設定し、
第2のデジタル画像に適用可能なファイル詳細の第2の作業パラメータを設定し、第1の作業パラメータの少なくとも1つは、第2の作業パラメータの1つと異なる、
ことの工程を含む。
【0087】
ファイル詳細の作業パラメータは、次の1つ以上に関連している:
スライスプロセス、つまり層の厚さ;
ハッチ;
スポット補正;
Z補正(上記のWO2016/001787);
形成されたさまざまなパターンの輪郭削り。
【0088】
好ましくは、電磁線源は、レーザーまたはデジタル光プロジェクターである。
【0089】
好ましくは、第1および/または第2の固化可能材料がフォトポリマー樹脂である。
【0090】
好ましくは、第1および/または第2の固化可能材料の固化された層を移動させる工程は、
第1および第2のチャンバにそれぞれ面する第1および第2のプラットフォームを準備すること、
第1および第2のチャンバに対して第1および第2のプラットフォームの位置をシフトすること、
を含む。
【0091】
より好ましくは、第1のプラットフォームのシフトは、価値において第2のプラットフォームのシフトと異なる。
【0092】
プラットフォームは、第1および第2の構成要素、または、3Dオブジェクトおよび工具をサポートする。プラットフォームは、Z方向に沿ってシフトすなわち平行移動され、チャンバの底部に対して垂直であることが好ましい。シフトは層の厚さに依存する。第1の構成要素/オブジェクトが分割される層の数/厚さと、第2の構成要素/工具が分割される層の数/厚さとが異なり得るという事実により、プラットフォームが移動される特定のZ座標に対しては第1のチャンバと第2のチャンバとの放射線の照射があり得る一方、他のZ座標に対しては1つのチャンバのみが放射線を照射される。最も多く放射線を照射されるチャンバは、最も多くの層にスライスされた構成要素が存在するチャンバに対応する。
【0093】
好ましくは、オブジェクトまたは第1もしくは第2の構成要素は人体の一部である。
【0094】
好ましくは、工具は手術道具である。
【0095】
好ましくは、前記工具は、三次元オブジェクトの外表面の一部に形状嵌合している。
【0096】
本発明の方法は、トレーサビリティの要件が特に厳しい場合には、医療または歯科分野で特に有用である。したがって、例えば歯科分野では、製品は口腔の一部である可能性がある。口腔の一部がスキャンされ(口腔内スキャナー)、または、印象が口腔から作成されるとともに、その後にスキャンが印象自体で実行される。
【0097】
好ましくは、メインデジタル画像が第1の構成要素に対応する第1のデジタル画像と第2の構成要素に対応する第2のデジタル画像とに分割されるステップは、
メインデジタル画像内で異なる色または名前を有する容量を分離し、複数の構成要素、すなわち、それぞれ色または名前ごとに1つ構成要素を形成するようにすること、
複数の構成要素から第1および第2の構成要素を選択すること、
を含む。
【0098】
製品のメインデジタル画像をさまざまな構成要素に分割するためのいくつかの可能な方法がある。これらの方法は、手動(つまり、操作者が必要とされる)または自動であってもよい。一般に、2つの構成要素で異なる特性を使って、2つを、たとえば色で、区別(識別)する。
【0099】
第1および/または第2の3Dオブジェクトが印刷される場合には、第1および/または第2のチャンバ内の位置は、ユーザインターフェースを介して「手動で」選択され得る。
【0100】
好ましくは、この方法は、メインまたは第1または第2のデジタル画像を変形する工程を含む。
【0101】
デジタル画像を変形して、例えばそれらの形状を変更してもよい。これは、3Dオブジェクト/工具のメインデジタル画像または第1または第2の画像が物理的な製品(実物の商品)をスキャンすることによって取得されたときに特に役立つ。デジタル画像は変更または完成され得る。たとえば、もし歯が欠けている場合の歯列弓のデジタル画像が取得されるなら、歯は3Dモデリングを介して「交換」され得る。
【図面の簡単な説明】
【0102】
本発明は、添付の図面を非限定的に参照して、以下においてよりよく説明されるだろう。
図1】第1および第2の3Dオブジェクトが印刷された、本発明の第1および第2のチャンバと、第1および第2の3Dオブジェクトとの写真である。
図2】本発明の方法で使用されるステレオリソグラフィー機械の斜視図である。
図3図2の機械の側面図である。
図4図2および3の機械の正面図である。
図5図2図4の機械の一部の等角図である。
図6図5の分解図である。
図7】本発明の方法のいくつかのステップのフローチャートである。
図8】本発明の方法のさらなるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本発明の方法は、図2図4において全体として符号1で示されるステレオリソグラフィー機械(装置)を参照して説明される。機械1は、本発明の方法を実行する傾向があり、すなわち、図1で図示されるように、第1および第2のチャンバ2a、2bを使用して少なくとも2つの構成要素(部品)О1、О2によって形成される三次元(3D)オブジェクト(製品)を「印刷」する傾向がある。第1および第2の構成要素は、たとえば、歯茎部分と歯列弓である(図1を参照)。代替的または追加的に、機械1は、製品に関連する三次元(3D)オブジェクトおよびその製品に使用されるツール(道具、工具)の三次元オブジェクトを「印刷」する傾向がある。
【0104】
ステレオリソグラフィー機械1は、所定の電磁波放射線への露出(被爆)によって固化されるのに適した第1および第2の固化可能な物質または材料5a、5bを含有する第1および第2のカートリッジ3a、3bを含む。第1および第2のカートリッジ3a、3bは、第1および第2のチャンバ2a、2bと流体連通し、第1および第2の物質がそれぞれ、第1および第2のチャンバ2a、2b内を流れることができるようにしている。機械1はまた、第1および第2のピストン10a、10bを含み(図5、6の分解図を参照)、第1および第2の物質は、カートリッジに導入されるときに、ピストン10a、10bによって及ぼされる圧力によりカートリッジからチャンバに導入され得る。第1および第2の固化可能な物質5a、5bは、それらが異なる色である場合には、図1で目に見ることができる。第1または第2の固化可能な物質は液体形態であり、多かれ少なかれ密度が高く、第1または第2のチャンバ内に導入されると、その上面は実質的に平坦な形状をとる。
【0105】
第1または第2の固化可能な物質5a、5bは、好ましくは、感光性高分子液体樹脂であり、所定の放射線は、光放射線である。
【0106】
機械1はまた、電磁波放射線を放出する傾向のある電磁線源6を備える。源6は、所定の厚さを有するとともに第1または第2のチャンバ2a、2bの底部7a、7bに隣接して配置された第1または第2の固化可能物質5a、5bの層に、選択的に放射線を当てて固化させることができるようにしている。
【0107】
源6は、好ましくは、第1および第2のチャンバ2a、2bの下に配置され(この構成は、図5および6でよりよく見える)、電磁波放射線を第1および第2のチャンバ2a、2bの底部7a、7bに向けるように構成され、好ましくは、それらのチャンバは源6によって放射される電磁波放射線を通す。したがって、第1および第2の固化可能材料5a、5bは、下から放射線を放射される。電磁波放射線は、第1および第2の物質5a、5bを固化するように選択される。
【0108】
好ましくは、第1または第2の固化可能材料5a、5bが感光性樹脂である場合、源6は、第1および第2の固化可能材料5a、5bの上記の層の任意の点に光ビームを向けるのに適した目(図示せず)を連想させるレーザー発光体を含む。
【0109】
代替として、源は、固化される第1または第2の固化可能材料の層の表面積に対応する発光画像を生成するのに適したプロジェクターを含む。
【0110】
ステレオリソグラフィー機械1は、プレートのモデルを作る機能を有し、第1および第2のチャンバ2a、2bの底部7a、7bに面し、形成される三次元構成要素О1、О2を支持するのに適した第1および第2のプラットフォーム8a、8bをさらに備える(例えば、再び図1を参照)。
【0111】
機械1はさらに、好ましくは、同じ底部7a、7bに垂直であるモデリング方向Aに従ってチャンバ2a、2bの底部7a、7bに対してそれらを動かすのに適した第1および第2のプラットフォーム8a、8bに接続された第1のアクチュエータ9(図5および6でよりよく見える)を含む。この方向Aは、図5および6に矢印で示されている。好ましくは、この方向は、垂直(Z)軸に平行である。特に、第1および第2のプラットフォーム8a、8bは、ひとたび固化されると、第1または第2の固化可能材料の層がそれらに付着するように実現される(例えば、選択された材料、表面処理など)。
【0112】
反対に、チャンバ2a、2bの底部7a、7bは、好ましくは、前記接着を防止する材料でできている。
【0113】
チャンバ2a、2bは、軸Bに沿って、好ましくはAに垂直に移動するかもしれない。この方向へのチャンバの移動は、カートリッジ3a、3b内のピストン10a、10bの並進に対応するので、チャンバ2a、2bへの材料5a、5bの導入を可能にする。
【0114】
さらに、ステレオリソグラフィー機械1は、機械1に命令するとともに、パラメータが入力または変更され得る場合にはユーザインターフェースを含むプロセッサ100(図2に概略的に示されている)を備えまたはそれに接続されている。
【0115】
ステレオリソグラフィー機械1を利用する本発明の方法の最初のステップ(工程)は、図7に概略的に示されている。
【0116】
製品を表す三次元オブジェクトのデジタル画像が提供(準備)され、または、製品のデジタル画像と工具のデジタル画像とが提供(準備)される。デジタル画像は、製品をスキャンすることによって取得されてもよいし、または、例えばCADプログラムを介してモデルとして描画されてもよい。製品または工具は、それぞれが異なる材料で形成された複数の構成要素を含んでもよい。たとえば、製品は口腔の一部であり、構成要素は歯茎の一部と歯列弓の一部とである。
【0117】
もし各画像(製品の画像および場合により工具の画像)が、印刷される単一の構成要素に関連している場合、ファイルは適切なソフトウェアにアップロードされる(フェーズ1F)。そうでなければ、受信したデジタル画像が、分離せずに複数の構成要素を含む製品に関連する場合(フェーズ2Fを参照)、画像は、構成要素に分割される、すなわち、要素ごとに1つの構成要素に分割される必要がある(フェーズ3Fを参照)。
【0118】
様々な構成要素(すなわち、それらの形状およびサイズ)およびチャンバ2a、2bは、好ましくは、例えば、ユーザーインターフェース(フェーズ4F)において視覚化される。次に、操作者は、好ましくは、それらのサイズおよび利用可能な固化可能材料5a、5b(フェーズ5F)を考慮して、様々な構成要素を第1または第2のチャンバ2a、2bに位置決めする。それから、実行された選択と位置決めは、ソフトウェアに保存される(フェーズ6F)。
【0119】
その後に、第1および第2の構成要素のデジタル画像をさらに精緻化してもよく(フェーズ4aF)、例えば、構成要素の三次元形状を変更または変形してもよい。
【0120】
フェーズ6Fの終わりに精巧なファイルが与えられると、ステレオリソグラフィープロセスのパラメータが決定される。これらのパラメータは、ユーザインターフェースによって入力されてもよいし、またはプロセッサ100によって自動的に決定されてもよい。
【0121】
パラメータは、次の1つ以上である:
層に関連するパラメータ、スライス(薄切り)と収縮(縮小)、層の寸法は可変であり、ここで決定される;
レーザー光源によってスキャンされるパスに関連するパラメータ(電磁線源がレーザー光源である場合)、これらのパラメータにはハッチング、境界線、z成分などが含まれる;
特許WO2014 / 013312およびWO2012/098451に記載されているものなど、層ごとの動きに関連しない機械1の動き(動作)に関連するパラメータ;
電磁線源6のパラメータ(電力、レーザービームのサイズなど)。
【0122】
パラメータが与えられると、サイクル(周期)ごとに各チャンバ2a、2bに関連付けられた1つのセットが、図8に示されるように、本発明の方法で実行される。
【0123】
第1のチャンバおよび第2のチャンバ内のすべてのパラメータ、つまり電磁線源のパラメータとスライスおよび動きのパラメータとが両方のオブジェクトに合わせるために一般に同じである場合(フェーズ10F)、実質的に「標準」のステレオリソグラフィーが実行される(フェーズ11F)。電磁線源は、ステップ7Fで得られた精巧なファイルによって与えられた所与のパターンに従って、第1または第2のチャンバ(または両方)に放射線を照射する。
【0124】
次に、第1および第2の固化可能材料5a、5bの層は、プラットフォーム8a、8bに付着する第1および第2の固化層を得るために、選択的に放射線を照射される。
【0125】
続いて、プラットフォーム8a、8bは、固化層をチャンバ2a、2bの底部7a、7bから遠ざけるようにアクチュエータ9によって持ち上げられ、このサイクルが次の層に対して繰り返される。
【0126】
第1のチャンバおよび第2のチャンバのパラメータが異なる場合(フェーズ12Fを参照)、2つのケースが発生する可能性がある。第1のケースは、電磁線源のパラメータのみが異なる場合である(フェーズ13F)。この場合、(レーザーの場合に)1つのチャンバから別のチャンバを通過する動きがあるときに、すなわち、フェーズ14Fのときに、源のパラメータが変化されるべきである。プロジェクターの場合、露光時間が変更され、つまり、1つのチャンバが放射線を照射される時間は、別のチャンバが放射線を照射される時間とは異なる。
【0127】
異なるパラメータがスライス内にある場合、またはプラットフォーム/チャンバ/機械1が実行しなければならない動きにある場合(フェーズ15F)、2つの精緻化の全く異なる分離があり、第1のチャンバ内の各層の照射の制御は、第2のチャンバ内の各層の照射の制御から「分離」されている(フェーズ16F)。
【0128】
例1
以下は、図1の構成要素О1、О2によって形成される三次元オブジェクトの実現例である。製品は口腔の一部であり、構成要素「歯列弓」О1と「歯茎」О2に分割されている。そのような製品の三次元形状を有するために、口腔のスキャンが実行され、単一のデジタル画像が取得される。デジタル画像は、歯列弓に対応する構成要素のデジタル画像と歯茎部分に対応する構成要素のデジタル画像とに分けられる。おそらく、画像は、たとえば、歯列弓の欠けている部分を完成させるために詳しく述べられる。
【0129】
構成要素は追加の「ブロック」で印刷され、構成要素の形状だけが印刷されるのではなく、構成要素のサポートとしても印刷および使用される「上昇ブロック」にそれらの構成要素は接続される。したがって、次の表1では、「ブロック1、2」がサポートであり、「ブロック3」が構成要素О1、О2である(材料5a、5bである樹脂RD095、GL4000で製造)。
【0130】
ブロック1とブロック2の製造には約15-20分かかるが、ブロック3の製造は数時間かかる。
【0131】
次に、2つの構成要素О1、О2が、単一の製品を形成するために接続される。
【0132】
印刷は、以下で識別されるパラメータと並行して実行される。言い換えると、レーザースポットは、成形プロセス中に構成要素О1から構成要素О2にまたはその逆に、複数回ジャンプするパス(通路)をたどる。Δtは、オブジェクトを作成する時間を示す。
【0133】
電磁線源6はレーザー光源である。
【0134】
【表1】

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8