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  • 特許-発泡ドレン装置、およびメタン発酵槽 図1
  • 特許-発泡ドレン装置、およびメタン発酵槽 図2
  • 特許-発泡ドレン装置、およびメタン発酵槽 図3
  • 特許-発泡ドレン装置、およびメタン発酵槽 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】発泡ドレン装置、およびメタン発酵槽
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/02 20060101AFI20220912BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
B01D19/02 ZAB
C02F11/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021004311
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022109016
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】井上 智行
(72)【発明者】
【氏名】小山 忠志
(72)【発明者】
【氏名】小久江 仁志
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 雄大
(72)【発明者】
【氏名】白川 浩行
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】実公昭61-000160(JP,Y2)
【文献】特開2019-170195(JP,A)
【文献】特開2003-200197(JP,A)
【文献】特開平02-043996(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0073212(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D19/00-19/04
C02F3/28
C02F11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン発酵槽の液面よりも高い位置に当該メタン発酵槽の内部に連通する吸込口が位置する発泡ドレン管と、
前記発泡ドレン管の排出口側に設けられ、前記発泡ドレン管の排出口からガスが漏れることを防止するガスシール装置と、
を備え
前記メタン発酵槽の上面または側面に取り付けられた、端面を有する筒形状物の側面に前記発泡ドレン管の前記吸込口が接続されている、
発泡ドレン装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発泡ドレン装置において、
前記メタン発酵槽に、嫌気性発酵により発生したバイオガスを前記メタン発酵槽から引き抜くための発酵ガス管が取り付けられており、
前記発酵ガス管は、立ち上がり部の後に立ち下がり部を有する逆U字形状に配管されており、
前記発泡ドレン管は、前記立ち上がり部と前記立ち下がり部との間の前記発酵ガス管の最頂部における管内底面よりも低い位置で配設されている、
発泡ドレン装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡ドレン装置において、
前記ガスシール装置は、液体が溜められた液封タンクであって、
前記発泡ドレン管の前記排出口が、前記液体の中に浸漬されている、
発泡ドレン装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発泡ドレン装置において、
前記液封タンクの側面に、前記液封タンクの液位が所定の液位を超えないようにするためのオーバーフロー管が接続されている、
発泡ドレン装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の発泡ドレン装置において、
前記筒形状物は、マンホールである、
発泡ドレン装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の発泡ドレン装置を備えるメタン発酵槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン発酵槽の内部で発生した泡をメタン発酵槽から排出するための発泡ドレン装置、およびメタン発酵槽に関する。
【背景技術】
【0002】
有機性廃棄物の嫌気性発酵処理を内部で行うメタン発酵槽では、処理中に槽内の発酵液が発泡することがある。発泡が激しいと、泡の界面が上昇してバイオガスの回収管などに泡が混入してしまうことがある。メタン発酵槽における発泡対策として、例えば、特許文献1~3に記載のような技術がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、消泡剤投入装置に関するものである。嫌気性処理を行うメタン発酵槽の上に消泡剤貯留槽が設けられる。消泡剤貯留槽内の消泡剤がメタン発酵槽に投入される。
【0004】
特許文献2では、ボイラーからの熱水が流通する配管、またはバイオガス利用装置の排熱を利用して生成される温水が流通する配管が、メタン発酵槽内の気相部に設けられる。ボイラーからの熱水、またはバイオガス利用装置の排熱により加熱された流体によって、上記気相部に存在する発生した泡を加熱することで、泡の粘度を低下させて消泡し易くしている。
【0005】
特許文献3では、消化槽を構成する有機性廃棄物が導入される処理槽本体が、汚泥面より上方の内部空間の水平方向面積が上方に向かうに従って大きくなるように形成される。処理槽本体の形状を上記のようにすることで、確実に消泡できるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6378957号公報
【文献】特許第5166337号公報
【文献】特開2012-236126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、発泡対策として消泡剤のみを用いると薬品コスト(消泡剤のコスト)上昇の問題がある。また、消泡剤で発酵液が薄まるという問題もある。特許文献2に記載の技術では、メタン発酵槽内の気相部に熱水または温水が流通する長い配管を設置する必要があり、メタン発酵槽内の気相部が煩雑なものとなる。また、上記配管の腐食対策も必要となる。特許文献3に記載の技術は、メタン発酵槽自体の形状に関するものであるため既設のメタン発酵槽に容易に適用することはできない。
【0008】
また、特許文献1~3に記載の技術は、いずれの技術も発生した泡を消すことを目的とするものである。特許文献1~3に記載のような技術を発泡対策として実行に移したとしても、発泡が激しいと消泡しきれないことがあり得る。
【0009】
本発明の目的は、簡易な構造で、発泡が激しい場合でもバイオガスの回収管などに泡が混入することを抑制することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、メタン発酵槽の液面よりも高い位置に当該メタン発酵槽の内部に連通する吸込口が位置する発泡ドレン管と、前記発泡ドレン管の排出口側に設けられ、前記発泡ドレン管の排出口からガスが漏れることを防止するガスシール装置と、を備える発泡ドレン装置である。
【0011】
この構成によると、例えば発泡が激しい場合、発生した泡は、メタン発酵槽内のガス圧、および膨れ上がっていく多数の泡の押出力により、発泡ドレン管の吸込口に入っていく。そのため、本発明によると、発泡が激しい場合でもバイオガスの回収管などに泡が混入することを抑制することができる。なお、ガスシール装置により、メタン発酵槽内のバイオガスがそのまま槽外へ漏れ出ることは防止される。本発明の発泡ドレン装置は、発泡ドレン管、ガスシール装置という簡易な構成のもので構成されるので、構造が簡易である。
【0012】
前記メタン発酵槽に、嫌気性発酵により発生したバイオガスを前記メタン発酵槽から引き抜くための発酵ガス管が取り付けられており、前記発泡ドレン管は、前記発酵ガス管の最頂部における管内底面よりも低い位置で配設されていることが好ましい。
【0013】
この構成によると、バイオガスの回収管、すなわち発酵ガス管の下流側へ泡および泡が破泡してなる液体(発酵液)が流出することをより抑制することができる。
【0014】
また、前記ガスシール装置は、液体が溜められた液封タンクであることが好ましい。この場合、前記発泡ドレン管の前記排出口が、前記液体の中に浸漬される。
【0015】
この構成によると、ガスシール装置を簡易に構成することができる。
【0016】
また、前記液封タンクの側面に、前記液封タンクの液位が所定の液位を超えないようにするためのオーバーフロー管が接続されていることが好ましい。
【0017】
この構成によると、液封タンク内の液体が、液封タンクからあふれることを防止することができる。
【0018】
また、前記メタン発酵槽の上面または側面に取り付けられた筒形状物の側面または端面に前記発泡ドレン管の前記吸込口が接続されることが好ましい。
【0019】
この構成によると、既設のメタン発酵槽への発泡ドレン管の組み込みを容易に行うことができる。
【0020】
また、本発明は、前記発泡ドレン装置を備えるメタン発酵槽でもある。当該メタン発酵槽によると、簡易な構造で、発泡が激しい場合でもバイオガスの回収管などに泡が混入することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡易な構造で、発泡が激しい場合でもバイオガスの回収管などに泡が混入してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る発泡ドレン装置を備えるメタン発酵槽の側断面図である。
図2図1のA部拡大図である。
図3】変形例に係る発泡ドレン装置を備えるメタン発酵槽の側断面図である。
図4】変形例に係る発泡ドレン装置を備えるメタン発酵槽の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る発泡ドレン装置100を備えるメタン発酵槽1の側断面図である。また、図2は、図1のA部拡大図である。
【0025】
メタン発酵槽1は、下水汚泥や食品廃棄物などの有機性廃棄物を嫌気性発酵処理するためのタンクである。以下の説明では、例として、下水汚泥を嫌気性発酵処理するためのメタン発酵槽1として、すなわち、下水処理場に設置されるメタン発酵槽1として、メタン発酵槽1について説明することとする。
【0026】
メタン発酵槽1は、例えばコンクリート製のタンクである。なお、鋼板製のメタン発酵槽としてもよい。メタン発酵槽1には、撹拌機2、加温装置(不図示)、および消化ガス引抜管3などが設けられる。
【0027】
攪拌機2は、メタン発酵槽1に投入された汚泥(有機性廃棄物、発酵液)を攪拌するためのものである。本実施形態では、水平方向に回転する3段の羽根2aで汚泥(発酵液)を攪拌する攪拌機とされている。なお、攪拌機は、ドラフトチューブ式の攪拌機であってもよいし、ガス攪拌式の攪拌機であってもよい。
【0028】
図示を省略する加温装置は、メタン発酵槽1に投入された汚泥(発酵液)を加温するためのものであり、加温器(熱交換器)、およびボイラーなどから構成される。加温器には、ボイラーなどの温水源から温水が供給される。
【0029】
消化ガス引抜管3は、嫌気性発酵により発生したバイオガス(消化ガス)をメタン発酵槽1から引き抜くための発酵ガス管である。消化ガス引抜管3は、例えばメタン発酵槽1の上面にその吸込口が取り付けられる。メタン発酵槽1に投入された汚泥(有機性廃棄物)は、上記加温装置により加温されるとともに、撹拌機2により撹拌される。汚泥の嫌気性発酵により発生した消化ガスは、消化ガス引抜管3から出ていくようにされる。消化ガス(バイオガス)は、メタンが約60容量%、二酸化炭素が約40容量%のガスである。
【0030】
メタン発酵槽1は、低温発酵処理においては温度約20℃で滞留時間30~60日程度、中温発酵処理においては温度約37℃で滞留時間20~30日程度、高温発酵処理においては温度約55℃で滞留時間7~20日程度で運転される。槽内の発酵液の温度は、撹拌機2による発酵液の撹拌によって均一に保たれる。槽底に堆積した堆積物(不図示)は、引抜ポンプ(不図示)によって適時槽外へ引き抜かれる。堆積物は、砂分を多く含む汚泥であったり、粘度の高い汚泥であったりする。
【0031】
ここで、メタン発酵槽1の内部において、発酵処理中に発酵液が発泡することがある。発泡の原因となる成分が含まれた汚泥がメタン発酵槽1に投入されたり、当該成分がメタン発酵槽1に存在している状態で何らかの環境の変化が起こったりすることで、突発的かつ短時間の間に泡が発生・成長することがある。特に、油脂類及び/又はタンパク質が汚泥に多く含まれる場合、粘性の高い泡が発生し易い。この種の泡は破泡しにくく、泡が短時間の内に急速に増加し、突発的な発泡となる。発泡が激しいと、泡の界面が上昇して消化ガス引抜管3に泡が混入し、その後破泡して液体となった発酵液が消化ガス引抜管3から流出してしまうことがある。
【0032】
そこで、消化ガス引抜管3に泡が混入したとしても、その後破泡して液体となった発酵液が消化ガス引抜管3から流出するのを防ぐため、消化ガス引抜管3には立ち上がり部3aが設けられている。しかしながら、発泡がより激しいと、泡が立ち上がり部3aを超えて下流側へ流出してしまうことが懸念される。
【0033】
本実施形態では、発生した泡、およびその後破泡して液体となった発酵液が消化ガス引抜管3から流れ出たりすることなどを防止するために、メタン発酵槽1に発泡ドレン装置100が設けられている。
【0034】
発泡ドレン装置100は、メタン発酵槽1の液面WLよりも高い位置に当該メタン発酵槽1の内部に連通する吸込口5aが位置する発泡ドレン管5と、発泡ドレン管5の排出口側に設けられ、発泡ドレン管5の排出口5bから消化ガスが漏れることを防止するガスシール装置としての液封タンク6とを備えている。
【0035】
メタン発酵槽1の液面WLは、液面レベル調整手段としての例えば公知のテレスコープ弁(不図示)で調整される。テレスコープ弁はメタン発酵槽1の側部に配置される。発泡ドレン管5の上記吸込口5aは、テレスコープ弁で調整された液面WL、またはテレスコープ弁による液面WLレベル調整可能範囲のうちの最も高い液面WL、よりも高い位置とされる。
【0036】
図1に示すように、メタン発酵槽1の上面には汚泥採取管4(筒形状物)が取り付けられている。発泡ドレン管5の吸込口5aは、例えばこの汚泥採取管4の側面に接続される。汚泥採取管4は、メタン発酵槽1の上面からその上方へ向かって突出している。その突出部の側面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続される。
【0037】
上記発泡ドレン管5は、金属製の管であってもよいし、樹脂製の管(樹脂製ホース)であってもよいし、ゴム製の管(ゴム製ホース)であってもよい。消化ガス引抜管3は、逆U字形状に配管されており、立ち上がり部3aの後に立ち下がり部3bを有する。発泡ドレン管5は、その吸込口5aから排出口5bまでの全てにわたって、立ち上がり部3aと立ち下がり部3bとの間の消化ガス引抜管3の最頂部7における管内底面7aのパイプレベルPLよりも低い位置で配設されている。
【0038】
液封タンク6は、直方体形状、円筒形状などのタンクであり、例えばメタン発酵槽1の側壁の上面などに設置される。なお、液封タンク6は、メタン発酵槽1の天板の上面、または側面(図4参照)に設置してもよい。液封タンク6内には水などの液体が溜められている。発泡ドレン管5の排出口5bは上記液体の中に浸漬される。
【0039】
液封タンク6の側面には、当該液封タンク6の液位が所定の液位を超えないようにするためのオーバーフロー管8が接続されている。オーバーフロー管8の一端は、液封タンク6の側面に接続され、オーバーフロー管8の他端は、地面に設けられた汚水マンホール9やメタン発酵槽1が設置されている施設内の排水管等に開放、または接続されている。
【0040】
発泡ドレン装置100は、次のように機能する。
【0041】
メタン発酵槽1内で発生した多数の泡は、例えば汚泥採取管4内を上昇していく。発泡が激しい場合、発生した泡は、メタン発酵槽1内のガス圧、および膨れ上がっていく多数の泡の押出力により、発泡ドレン管5の吸込口5aに入っていく。吸込口5aに入った多数の泡は、徐々に破泡して液体となりながら、発泡ドレン管5内を排出口5bへ向かって流れていく。泡が破泡してなる液体(発酵液)は、発泡ドレン管5の排出口5bから出て液封タンク6の液体の中に入る。このとき、消化ガス引抜管3の立ち上がり部3a内にも泡が入り得るが、上記のように発泡ドレン管5から泡が排出されるので、消化ガス引抜管3に泡が入ること(混入すること)は抑制される。また、汚泥採取管4上端の閉止部から泡が溢れるようなことも抑制される。また、液封タンク6により、メタン発酵槽1内の消化ガスがそのまま槽外へ漏れ出ることが防止される。
【0042】
本実施形態では、消化ガス引抜管3の最頂部7における管内底面7aよりも低い位置で発泡ドレン管5が配設されている。そのため、消化ガス引抜管3の立ち上がり部3a内を泡が上昇したとしても、当該立ち上がり部3aを超えて、消化ガス引抜管3の下流側へ泡および泡が破泡してなる液体(発酵液)が流出することを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、液封タンク6の側面にオーバーフロー管8が接続されている。液封タンク6の液位は、泡が破泡してなる液体(発酵液)が液封タンク6に流入することで上昇する。液封タンク6の液位が上昇しても、所定の液位に達すれば、オーバーフロー管8から液封タンク6内の液体が汚水マンホール9に排出される。そのため、液封タンク6内の液体が、液封タンク6からあふれることは防止される。
【0044】
上記発泡ドレン管5は、汚泥採取管4というメタン発酵槽1に取り付けられた筒形状物の側面に吸込口5aが接続されている。メタン発酵槽1の上面には、当該メタン発酵槽1から突出するように汚泥採取管4以外にも様々な筒形状物(配管、ノズル、マンホールなど)が取り付けられている。このような筒形状物の側面に発泡ドレン管5の吸込口5aを接続することは容易である。また、メタン発酵槽1への液封タンク6の設置も容易である。そのため、発泡ドレン装置100は、既設のメタン発酵槽への適用が容易なものである。
【0045】
図3は、変形例に係る発泡ドレン装置101を備えるメタン発酵槽1の側断面図である。
【0046】
図1に示す実施形態では、メタン発酵槽1の上面に取り付けられた筒形状物(汚泥採取管4)の側面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されている。これに対して、図3に示す変形例では、メタン発酵槽1の側面に取り付けられた筒形状物(ノズル10)の側面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されている。
【0047】
メタン発酵槽1の内部に連通する上記吸込口5aは、図1の場合と同様、メタン発酵槽1の液面WLよりも高い位置に位置される。ガスシール装置としての液封タンク6は、例えば地面の上に設置される。発泡ドレン管5の排出口5bは液封タンク6内の液体の中に浸漬される。
【0048】
メタン発酵槽1内で発生した多数の泡は、例えばノズル10内に流入していく。発泡が激しい場合、発生した泡は、メタン発酵槽1内のガス圧、および膨れ上がっていく多数の泡の押出力により、発泡ドレン管5の吸込口5aに入っていく。吸込口5aに入った多数の泡は、徐々に破泡して液体となりながら、発泡ドレン管5内を排出口5bへ向かって流れていく。泡が破泡してなる液体(発酵液)は、発泡ドレン管5の排出口5bから出て液封タンク6の液体の中に入る。このとき、消化ガス引抜管3の立ち上がり部3a内にも泡が入り得るが、上記のように発泡ドレン管5から泡が排出されるので、消化ガス引抜管3に泡が入ること(混入すること)は抑制される。また、液封タンク6により、メタン発酵槽1内の消化ガスがそのまま槽外へ漏れ出ることは防止される。
【0049】
図4は、変形例に係る発泡ドレン装置102を備えるメタン発酵槽1の側断面図である。
【0050】
図4に示す変形例において、メタン発酵槽1は鋼板製のメタン発酵槽である。また、図1に示す実施形態では、メタン発酵槽1の側壁の上面に液封タンク6が設置されている。これに対して、本変形例では、メタン発酵槽1の側面に液封タンク6が設置されている。メタン発酵槽1の側面にタンク設置のための架台11が取り付けられ、この架台11の上に液封タンク6が設置されている。
【0051】
本変形例では、メタン発酵槽1の側面に取り付けられた筒形状物(ノズル10)の端面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されている。
【0052】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
【0053】
図1に示す実施形態では、メタン発酵槽1の上面に取り付けられた汚泥採取管4の側面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されている。前記のとおり、メタン発酵槽1の上面には、当該メタン発酵槽1から突出するように汚泥採取管4以外にも様々な筒形状物(配管、ノズル、マンホールなど)が取り付けられている。汚泥採取管4以外の筒形状物に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されてもよい。また、筒形状物ではなく、メタン発酵槽1の上面に直接、メタン発酵槽1の内部に連通するように発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されてもよい。
【0054】
メタン発酵槽1の側面についても同様である。筒形状物(ノズル10など)ではなく、メタン発酵槽1の側面に直接、メタン発酵槽1の内部に連通するように発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されてもよい。
【0055】
複数本の発泡ドレン管5が1つのメタン発酵槽1に設置されてもよい。
【0056】
ガスシール装置として液封タンク6に代えて、または液封タンク6に加えて次のようなものが用いられてもよい。シールポットやUトラップと呼ばれるようなU字管方式のガスシールが、発泡ドレン管5の排出口側に設けられてもよい。
【0057】
図3に示す変形例では、ノズル10の外周面(側面)のうちの底面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されている。これに代えて、ノズル10の外周面のうちの横面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されてもよい。また、ノズル10の端面に吸込口5aが接続されてもよい(図1に示す実施形態においても同様)。
【0058】
図4に示す変形例では、ノズル10の端面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されている。これに代えて、ノズル10の外周面に発泡ドレン管5の吸込口5aが接続されてもよい。
【0059】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行うことは勿論可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:メタン発酵槽
3:消化ガス引抜管(発酵ガス管)
4:汚泥採取管(筒形状物)
5:発泡ドレン管
5a:吸込口
5b:排出口
6:液封タンク(ガスシール装置)
7:最頂部
7a:管内底面
8:オーバーフロー管
10:ノズル(筒形状物)
100、101、102:発泡ドレン装置
図1
図2
図3
図4