(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】動作玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/00 20060101AFI20220912BHJP
A63F 7/04 20060101ALI20220912BHJP
A63F 7/28 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A63H33/00 303D
A63H33/00 A
A63F7/04
A63F7/28
(21)【出願番号】P 2021068699
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2021-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】福原 進之介
(72)【発明者】
【氏名】村上 寛子
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-154740(JP,A)
【文献】特開2020-124298(JP,A)
【文献】ぴったしごらスイッチ第25弾 探偵ナイトスクープ(編集有),YouTube [online] [video],2016年05月21日,URL:<https://www.youtube.com/watch?v=ysCIJQp7XJk&list=PLRVxoVeLzuYpNaXx0eqC07bWvYoChgZdD&index=25>,[令和4年3月16日検索日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
A63F 7/00- 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、
一端に第1の形象部を有し、前記第1の形象部の位置を第1の位置から第2の位置に変位可能に動作する動作部と、
前記第1の形象部を前記第2の位置に変位させる方向へ前記動作部を付勢する付勢部と、
前記第1の形象部を前記第1の位置に保持可能に前記動作部を保持する保持部と、
前記第1の位置近傍の第3の位置への前記物品の移動に応じて前記保持部の保持を解除する解除部と、
を備え、
前記動作部の一部は、前記第1の形象部が前記第2の位置へ変位したことに応じて、前記第2の位置近傍に載置されたもう一つの物品の移動を開始させることが可能であ
り、
前記動作部は一端に前記第1の形象部が設けられた基部を有し、
前記保持部は、前記第1の形象部が前記第1の位置にある状態において前記基部を保持し、
前記動作部は、前記基部が回動可能に支持され且つ前記付勢部により前記方向に付勢されている、
動作玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の動作玩具であって、
前記第1の形象部は、人形を表す形象物である、
動作玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の動作玩具であって、
前記人形の手が前記動作部の移動方向に向けられている、
動作玩具。
【請求項4】
請求項
1から3のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記動作部の位置が変位したときに前記基部が前記第2の位置近傍に載置された前記もう一つの物品に接触して、前記もう一つの物品の移動を開始させる、
動作玩具。
【請求項5】
請求項
4に記載の動作玩具であって、
前記基部の前記もう一つの物品に接触する位置には、前記もう一つの物品の移動が可能な方向に対して垂直な平坦面が形成されている、
動作玩具。
【請求項6】
請求項
1から5のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記保持部は、前記基部に設けられた被係止部と、前記被係止部を係止し、前記第3の位置への前記物品の移動に応じて位置が変位する係止部と、を含み、
前記係止部による前記被係止部の係止は、前記係止部の位置変位により解除される、
動作玩具。
【請求項7】
請求項
6に記載の動作玩具であって、
前記解除部は、前記第3の位置へ前記物品が移動することで当該物品により押圧される押圧部を含み、
前記押圧部は、前記物品による前記押圧により前記係止部を前記被係止部との係止を解除する方向に変位させる、
動作玩具。
【請求項8】
請求項7に記載の動作玩具であって、
前記係止部と前記押圧部とは一体的に構成されて、前記押圧の方向とは反対方向
に弾性部材にて付勢されている、
動作玩具。
【請求項9】
請求項
1から8のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
少なくとも前記基部の少なくとも一部を被覆する被覆部をさらに備える、
動作玩具。
【請求項10】
請求項
9に記載の動作玩具であって、
前記被覆部は、前記保持部の少なくとも一部を被覆する、
動作玩具。
【請求項11】
請求項
9または10に記載の動作玩具であって、
前記被覆部は、前記第1の形象部と異なる形象物を表す第2の形象部を含む、
動作玩具。
【請求項12】
請求項
11に記載の動作玩具であって、
前記第2の形象部は、建物を表す形象物である、
動作玩具。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記動作玩具の遊戯への使用状態において、前記第2の位置は、前記第1の位置より高い位置である、
動作玩具。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記第3の位置には、前記物品が移動可能な第1の軌道を接続可能である、
動作玩具。
【請求項15】
請求項1から
14のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記もう一つの物品が載置される第4の位置には、前記もう一つの物品が移動可能な第2の軌道を接続可能である、
動作玩具。
【請求項16】
請求項1から
15のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記物品及び前記もう一つの物品は、軌道を転動により移動可能な球体である、
動作玩具。
【請求項17】
請求項1から
16のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記第3の位置への前記物品の移動方向と、前記第1の位置から前記第2の位置への変位方向と、前記もう一つの物品の移動開始方向と、は、平面視で略一直線上にある、
動作玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の軌道上に球状物品を置いて高所から低所に転がして遊ぶ、玉転がしの玩具がある。この種の玉転がしの玩具においては、例えば、転がす物品としてビー玉を用いて、このビー玉を、軌道の低所から高所に向けて移動させるビー玉上昇具が設けられている。このビー玉上昇具は、螺旋軌道部材が軌道の低所から高所に掛け渡されており、この螺旋軌道部材がビー玉を保持し回転することによってビー玉を高所まで移動し、もって玉転がしを連続的に行うようにした構成である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたビー玉上昇具は、螺旋軌道部材によってビー玉を低所から高所に移動するだけであり、その構造上からビー玉の搬送の移動速度も遅く、動作手段としての外観性や工夫が乏しく、玩具として興趣性が十分ではない。
【0005】
本発明は、従来に比べて興趣性の高い動作玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る動作玩具は、物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、一端に第1の形象部を有し、前記第1の形象部の位置を第1の位置から第2の位置に変位可能に動作する動作部と、前記第1の形象部を前記第2の位置に変位させる方向へ前記動作部を付勢する付勢部と、前記第1の形象部を前記第1の位置に保持可能に前記動作部を保持する保持部と、前記第1の位置近傍の第3の位置への前記物品の移動に応じて前記保持部の保持を解除する解除部と、を備え、前記動作部の一部は、前記第1の形象部が前記第2の位置へ変位したことに応じて、前記第2の位置近傍に載置されたもう一つの物品の移動を開始させることが可能である、ことを特徴としている。また、本発明に係る動作玩具は、物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、一端に第1の形象部を有し、前記第1の形象部の位置を第1の位置から第2の位置に変位可能に動作する動作部と、前記第1の形象部を前記第2の位置に変位させる方向へ前記動作部を付勢する付勢部と、前記第1の形象部を前記第1の位置に保持可能に前記動作部を保持する保持部と、前記第1の位置近傍の第3の位置への前記物品の移動に応じて前記保持部の保持を解除する解除部と、を備え、前記動作部の一部は、前記第1の形象部が前記第2の位置へ変位したことに応じて、前記第2の位置近傍に載置されたもう一つの物品の移動を開始させることが可能であり、前記動作部は一端に前記第1の形象部が設けられた基部を有し、前記保持部は、前記第1の形象部が前記第1の位置にある状態において前記基部を保持し、前記動作部は、前記基部が回動可能に支持され且つ前記付勢部により前記方向に付勢されている。
【0007】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記第1の形象部は、人形を表す形象物である、ようにしてもよい。
【0008】
また、本発明に係る動作玩具おいては、
前記人形の手が前記動作部の移動方向に向けられている、ようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る動作玩具おいては、
前記動作部は一端に前記第1の形象部が設けられた基部を有し、
前記保持部は、前記第1の形象部が前記第1の位置にある状態において前記基部を保持している、ようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る動作玩具おいては、
前記動作部の位置が変位したときに前記基部が前記第2の位置近傍に載置された前記もう一つの物品に接触して、前記もう一つの物品の移動を開始させる、ようにしてもよい。
【0011】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記基部の前記もう一つの物品に接触する位置には、前記もう一つの物品の移動が可能な方向に対して垂直な平坦面が形成されている、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記動作部は、前記基部が回動可能に支持され且つ第1の弾性部材にて前記方向に付勢されている、ようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記保持部は、前記基部に設けられた被係止部と、前記被係止部を係止し、前記第3の位置への前記物品の移動に応じて位置が変位する係止部と、を含み、
前記係止部による前記被係止部の係止は、前記係止部の位置変位により解除される、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記解除部は、前記第3の位置へ前記物品が移動することで当該物品により押圧される押圧部を含み、
前記押圧部は、前記物品による前記押圧により前記係止部を前記被係止部との係止を解除する方向に変位させる、ようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記係止部と前記押圧部とは一体的に構成されて、前記押圧の方向とは反対方向に第2の弾性部材にて付勢されている、ようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る動作玩具においては、
少なくとも前記基部の一部を被覆する被覆部をさらに備える、ようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記被覆部は、前記保持部の少なくとも一部を被覆する、ようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記被覆部は、前記第1の形象部と異なる形象物を表す第2の形象部を含む、ようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記第2の形象部は、建物を表す形象物である、ようにしてもよい。
【0020】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記動作玩具の遊戯への使用状態において、前記第2の位置は、前記第1の位置より高い位置である、ようにしてもよい。
【0021】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記第3の位置には、前記物品が移動可能な第1の軌道が接続される、ようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記もう一つの物品が載置される第4の位置には、前記もう一つの物品が移動可能な第2の軌道が接続される、ようにしてもよい。
【0023】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記物品及び前記もう一つの物品は、軌道を転動により移動可能な球体である、ようにしてもよい。
【0024】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記第3の位置への前記物品の移動方向と、前記第1の位置から前記第2の位置への変位方向と、前記もう一つの物品の移動開始方向と、は、平面視で略一直線上にある、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来に比べて興趣性の高い動作玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明にかかる動作玩具の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す動作玩具の内部構造を示す分解斜視図である。
【
図4】
図3に示す要部を断面にした分解解側面図である。
【
図5】
図3に示す動作部が動作状態を示す分解斜視図である。
【
図6】
図1に示す動作玩具の遊戯状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態である動作玩具について、
図1から
図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態の動作玩具1の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、動作玩具1は、第1の形象部として例えば所定のキャラクターを模した人間型の人形11が、動作部20の基部21に支えられた状態で所定の方向に移動する玩具である。以下の説明においては、向きの記載について、
図1のように動作玩具1を立てた状態で人形11の起立状態を上下方向とし、人形11が向いている方向を前方(前)、その反対方向を後方(後)、さらに人形の左右方向を左右側面方向とする。なお、本実施形態においては、第1の形象部を人型であるものとして説明するが、第1の形象部は人型に限定されたものではなく、様々な形状にすることが可能であり、四肢を有する動物を模したものでもよい。
【0028】
動作玩具1は、
図1に示した状態が人形11の移動前の初期状態であり、この初期状態から前方に向って動作部20のアーム状の基部21が回動することで、図中左上方に向って移動するように構成されている。例えば、人形11は、例えば胴部が基部21の一端に支持されており、玩具本体60の後方寄りの位置に立った状態で保持されている。この人形11の初期状態の位置を第1の位置P1とし、人形11が移動(変位)される位置(玩具本体60の左寄りの上方の位置(
図5参照))を第2の位置P2とする。
【0029】
動作玩具1は、球状の物品であるボールB1を、軌道上に転がして遊ぶ玉転がし遊戯に使用される。例えば、ボールB1が人形11の近傍(背後)に設けられたボール受け部63(ここを第3の位置P3とする)に来たときに、基部21が
図1において反時計方向の回転を開始する。この回転によって、基部21が略直立するように移動(
図5参照)したときに、ボール載置部65に載置されているもう一つのボールB2に基部21が接触して、当該もう一つのボールB2を移動させる。
【0030】
図2は、
図1に示す動作玩具1を左方向から見た側面図である。
図2に示すように、人形11の移動経路(変位経路)は、玩具本体60の後方寄りの第1の位置P1から前方上方の第2の位置P2に向って飛翔したかのうように移動する経路である。この人形11の移動の開始のタイミングは、後述するように、ボールB1が、第3の位置P3に移動して来たタイミングと同期するように構成されている。また、人形11の第2の位置P2へ移動したことに応じてもう一つのボールB2が移動を開始する。このように人形11の動作タイミングと両ボールB1,B2の移動のタイミングを同期させることで、あたかも人形11がボールを運んだかのように見せられる。また、人形11の姿勢は、その両手11hを上に挙げたポーズになっていることで、立っている第1の位置P1の状態(待機状態)では、飛び立とうとする姿勢となり、第2の位置P2の状態では、飛翔状態でもう一つのボールB2が移動する方向に両手を突き出した姿勢となる。この結果、ボール搬送に対する人形11の関連性が高まる。
【0031】
玩具本体60は、基部21の一部を左右一対の板状の側壁部材で覆う被覆部として機能している。この側壁部材は、例えば、第2の形象部としてビル等の比較的高い建物62を表している。したがって、第1の位置P1より高い第2の位置P2に移動する人形11の動きは、地上からビルの上の高いところに飛翔するイメージを表現している。また、玩具本体60は、左右の一対の側壁部材にて構成されていることから、上部に開口(スペース)を形成し易くなっており、基部21の回転移動を許容する構造にし易い構成である。更に、建物62の部分は、後述する基部21の動作を係止する保持部40も特に左右方向からは見えないように覆う構成となっている。なお、人形11を取り付けた基部21の端部付近の部位は、建物62から露出して見えるが、側面視で形状が矩形であることから、建物62と同色及び図柄を同形にすることで、ビルの一部のように見せることができる。本実施の形態においては、第2の形象部をビル等の比較的高い建物であるものとして説明するが、第2の形象部はビル等の建物に限定されたものではなく、様々な形状にすることが可能であり、比較的高いものとして樹木などの自然物を模したものでもよい。
【0032】
図3は、
図1に示す動作玩具1の内部構造を示す分解斜視図であり、
図4は、
図3に示す要部を断面にした分解側面図である。
図3及び
図4に示すように、動作部20の基部21は、人形11を支持した一端部とは反対側(前方側)の他端部に回転支持部22が設けられている。回転支持部22は、例えば、玩具本体60の側壁部材に左右方向に突設された支軸部60dにより回動可能に支持されている。また、基部21の他端部には、付勢部30の第1の弾性部材31の一端側が係止される基部側係止部32が設けられている。第1の弾性部材31の他端側は、玩具本体60の下方部分を構成する機台部61寄りの位置に設けられた本体側係止部33に係止される。このように、基部21の他端は、第1の弾性部材31によって下方に向って引っ張られ、基部21が
図3において時計回りの方向(人形11を第2の位置P2に変位させる方向)に回転するように付勢されている。
【0033】
前掲のように動作部20は、付勢部30によって基部21が回転するように付勢されているが、人形11が第1の位置P1に留まるように、保持部40によって保持している。すなわち、保持部40は、基部21に設けられた被係止部21aと、この被係止部21aを係止する係止部41aと、を備えており、係止部41aの係合によって、第1の弾性部材31の付勢力に抗して基部21を保持している。
【0034】
保持部40の係止構造としては、例えば、被係止部21aは、基部21の下面側から下方に向って延出すると共に先端が前方に向って突出した形状となっている。一方、係止部41aは、例えば垂直な支柱状部41の上端後方側から後方に向って突出した突起形状となっており、被係止部21aの先端の上面に係合する構造である。
【0035】
係止部41aを有する支柱状部41は、前後方向に移動可能な構成であり、例えば、前後方向にスライド移動する略直方形のスライドベース部54の上部から上方に向って立設されている。スライドベース部54は、スライドし易い構成として前後方向に縦長の形状にされている。そして、スライドベース部54は、例えば、機台部61の上壁面及び側壁部材(建物62)の内壁面によって形成されるスライドスペース60s内を前後方向に摺動する。なお、支柱状部41は、スライドスペース60sの開口60hから上方に突出している。
【0036】
また、スライドベース部54は、内部に中空部54aを有しており、中空部54a内に第2の弾性部材42が配置されている。第2の弾性部材42は、中空部54aの後方側の後壁面54bに後端側が係合する一方、前端側が中空部54a内に側壁部材から張り出したばね係止片60aを押すように当接している。したがって、第2の弾性部材42は、スライドベース部54を後方に向って押している。そして、スライドベース部54は、第2の弾性部材42の付勢力に抗して前方に移動(位置変位)したときに、係止部41aが被係止部21aから離れて当該被係止部21aの係止が解除される。
【0037】
係止部41aと被係止部21aとの係合の解除は、解除部50にて行われる。この解除部50は、スライドベース部54の後端側(図中において左側)に支柱状部41と平行に延びる押圧支持部52と、この押圧支持部52の後方側に形成された円形状の面を有する押圧部51と、を備える。押圧支持部52は、ボール受け部63の形成された切欠き開口63k内を前後方向に移動可能配置されている。したがって、押圧部51は、ボール受け部63(第3の位置P3)の前方壁を構成するように位置している。
【0038】
このように構成された解除部50は、ボール受け部63(第3の位置P3)内へボールB1が後方から移動して来ることで押圧部51が押される。このボールB1による押圧により、スライドベース部54は、第2の弾性部材42の付勢力に抗して前方に移動する(
図4の一点鎖線にて示す左側の位置に移動する)。これにより、係止部41aは、被係止部21aとの係止を解除する方向に移動(変位)する。この結果、基部21が第1の弾性部材31によって回転が開始される。受け部63は、ボールが移動する軌道を含んでいてもよい。
【0039】
なお、
図4に示すように、係止部41aの先端上部の上部先端面41sと、被係止部21aの先端下部の下部先端面21sと、は、少なくともいずれか一方が傾斜面若しくはR面に構成されている。この両先端面41s,21sの形状によって、人形11を第1の位置P1にセットする際には、係止部41aと被係止部21aとの係合を容易にする。
【0040】
図5は、
図3に示す動作部20の動作状態を示す分解斜視図である。
図5に示すように、基部21が回転して人形11が第2の位置P2に移動(変位)すると、第2の位置P2近傍のボール載置部65に載置されたもう一つのボールB2に対して基部21が接触する。例えば、ボール載置部65の底部には、載置部切欠き65k(
図1及び
図4参照)が設けられており、この載置部切欠き65k内に基部21が進入することで、基部21がもう一つのボールB2を前方に押す。
【0041】
ここで、もう一つのボールB2に接触する基部21の接触部分は、ボール押し出し方向に対して略直交する平らな平坦面21f(
図1及び
図3参照)に構成されている。この平坦面21fによって、もう一つのボールB2は、その移動すべき方向に押圧されて、少し高くなっている前端壁65dを乗り越えて、軌道接続部66側へ正確に送り出される。このボール載置部65の前端壁65dは、ボール載置状態において、載置されたもう一つのボールB2が不用意に前方に転がり出さないようにする構成である。なお、軌道接続部66は、軌道の一部を構成しているとも言える。
【0042】
図6は、動作玩具1の遊戯状態を示す斜視図である。
図6に示すように、動作玩具1には、第3の位置P3のボール受け部63に第1の軌道71が接続されている。この第1の軌道71は、ボールB1を入れて遊戯を開始するボール投入部70が接続され、比較的低い保持ブロック81,82を介して、ボールB1がボール投入部70からボール受け部63に移動する傾斜に設置されている。
【0043】
また、動作玩具1の軌道接続部66には、比較的高い保持ブロック83を介して、第2の軌道72が接続されている。また、第4の位置P4のボール載置部65には、例えば、ボールB1と全く同じもう一つのボールB2が載置されている。なお、第3の位置P3へボールB1を移動させる第1の軌道71と、第1の位置P1から第2の位置P2への移動方向(変位方向)と、もう一つの物品B2が第2の軌道72へ移動を開始する方向と、は、平面視で略一直線上に並んでいる。
【0044】
先ず、遊戯を開始するときは、ボール投入部70にボールB1を入れると、ボールB1は、第1の軌道71上を転がってボール受け部63(第3の位置P3)に向って移動を開始する。ボールB1がボール受け部63に到着すると、人形11の係止が解除され、人形11は、待機位置の第1の位置P1からビル型の建物62の上を素早く飛翔して第2の位置P2に移動する。人形11が第2の位置P2に移動(変位)すると同時に、ボール載置部65(第4の位置P4)に置かれていた、もう一つのボールB2が第2の軌道72に押し出される。これにより、例えばいろいろなコースに設定された第2の軌道72上を、もう一つのボールB2が移動して遊ぶことができる。
【0045】
以上述べたように、本実施形態の動作玩具1においては、一端に人形11を有する動作部20が、その人形11の位置を第1の位置P1から第2の位置P2に移動(変位)するので、人形11の移動を動作部20で演出できる。また、人形11の第2の位置P2への変位は、動作部20を付勢する付勢部30による付勢状態を保持部40にて強制的に係止しておくので、解除部50による保持部40の解除によって人形11の瞬時の移動を演出できる。この人形11の位置変位に加えて、第1の位置P1近傍の第3の位置P3へのボールB1の移動に対応する解除部50の動作により、ボールB1の到着移動と人形11の移動開始とを関連付けることができる。更に、人形11が第2の位置P2へ移動(変位)したときに、第2の位置P2近傍の第4の位置に載置しておいたもう一つのボールB2の移動を開始させるので、人形11の第2の位置P2への到着と、もう一つのボールB2の移動開始とを関連付けすることができる。この結果、第3の位置P3に移動したボールB1と第4の位置P4のもう一つのボールB2とが人形11によってあたかも運ばれて移動したように見せる興趣性の高い動作玩具1を提供することができる。
【0046】
また、本実施形態の動作玩具1においては、第3の位置P3へのボールB1の移動方向と、第1の位置P1から第2の位置P2への変位方向と、もう一つのボールB2の移動開始方向と、が平面視で略一直線上にあるので、ボールB1が投入される第3の位置P3ともう一つのボールB2が動き出す第4の位置P4との連続性を効果的に演出できる。
【0047】
更に、本実施形態の動作玩具1においては、第1の位置P1から第2の位置P2へ移動(変位)する第1の形象部がキャラクターを模した人形11であるので、演出効果を盛り上げることができる。また、人形11の形態においては、人形の両手11hが移動方向に向かっていることで、人形11がボールB1を持ち上げて移動させるような演出効果を出すことができる。
【0048】
本実施形態の動作玩具1によれば、動作部20の基部21は、第1の弾性部材31によって回動方向(変位方向)に付勢された状態で、保持部40によって第1の位置P1で移動方向へ動かないように強制的に保持されているので、第3の位置P3への移動したボールB1による保持部40の保持解除と、基部21の移動開始動作とを略同時に動作させることができる。この結果、ボールB1の第3の位置P3への投入と人形11の動き出しの連続性を演出することができる。
【0049】
本実施形態においては、動作部20は、人形11の位置が第2の位置P2に変位したときに第2の位置P2近傍に載置されたもう一つのボールB2に対して基部21が接触するように構成されているので、人形11の移動完了と一つのボールB2の移動開始との動作の連続性を演出することができる。
【0050】
また、基部21のもう一つのボールB2に対する接触は、垂直な平坦面21fを持って行われるので、基部21は、もう一つのボールB2の移動すべき方向に正確に押圧力を加えることができる。
【0051】
本実施形態においては、保持部40の係止部41aと解除部50の押圧部51とは一体的に構成されているので、第3の位置P3へボールB1の進入圧力による押圧部51の移動(変位)を係止部41aに直接伝えることができ、更に、係止部41aの移動方向が被係止部21aの解除方向となっているので、第3の位置P3へのボールB1の到達の押圧によって、容易に動作部20の動作開始ができる。
また、押圧部51及び係止部41aは、第2の弾性部材42により、ボールB1の押圧方向とは反対方向に付勢されているので、ボールB1を第3の位置P3から取り除くことで、初期位置に戻り被係止部21aの係止が可能な状態なる。
【0052】
本実施形態においては、係止部41aの上部先端面41s及び被係止部21aの下部先端面21sは、少なくともいずれか一方が傾斜面若しくはR面に構成されている。これにより、基部21を初期位置(第1の位置P1)へ戻す動作のときに両先端面41s,21sが当接して係止部41aを前方に容易に移動させることができ、係止部41aと被係止部21aとの係合を容易にする。
【0053】
本実施形態においては、玩具本体60は、少なくとも基部21の一部を被覆する被覆部として機能するので、人形11の支持部材である基部21を隠すことができ、人形11の飛翔を本物らしく演出できる。また、保持部40も玩具本体60によって、例えば側面から見えないように被覆されることで、動作機構を隠し動き方の演出効果を高めることができる。
【0054】
更に、本実施形態の玩具本体60においては、第2の形象部として、ビル型の建物62を模した形状としたので、人形11が高く飛翔する状態を演出することができる。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、ボールB1が第3の位置P3にある状態並びにもう一つのボールB2が第4の位置P4にある状態が外観的に見えるように構成したが、例えば第3の位置P3、第4の位置P4において、ボールを覆うカバー部材を設けて外観的にボールが見えないように構成しても良い。この場合、第3の位置P3に来たボールB1が見えなくなり、人形11の移動にて再び第4の位置P4からもう一つのボールB2が現れるという演出をすることができる。また、この場合、もう一つのボールB2がボールB1と同じものである場合には、人形11による運搬動作の演出効果をより強くできる。更に、もう一つのボールB2がボールB1と異なるものである場合には、例えば人形11が変えてしまったような演出が可能となる。
【0056】
また、上記実施形態の
図6に示した遊戯状態においては、ボールB1を投入して遊戯を開始する部分に動作玩具1を設けたが、これに限るものではなく、例えば、第2の軌道72の途中に設けた場合や動作玩具1を複数設けることで、ボール移動距離をより長くして楽しむことができる。また、第2の形象部を、建物62を模した形状を例にしたが、森等を模した形状であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 動作玩具
11 人形(第1の形象部)
11h 人形の手
20 動作部
21 基部
21a 被係止部
21f 平坦面
30 付勢部
31 第1の弾性部材
40 保持部
41a 係止部
41 支柱状部
42 第2の弾性部材
50 解除部
51 押圧部
60 玩具本体(被覆部)
62 建物(第2の形象部)
63 ボール受け部(第3の位置)
65 ボール載置部(第4の位置)
71 第1の軌道
72 第2の軌道
B1 ボール(物品)
B2 もう一つのボール(もう一つの物品)
P1 第1の位置
P2 第2の位置
P3 第3の位置
P4 第4の位置
【要約】
【課題】興趣性の高い動作玩具を提供する。
【解決手段】物品B1を用いた遊戯に使用される動作玩具1であって、一端に第1の形象部11を有し、第1の形象部の位置を第1の位置P1から第2の位置P2に変位可能に動作する動作部20と、第1の形象部11を第2の位置P2に変位させる方向へ動作部20を付勢する付勢部30と、第1の形象部11を第1の位置P1に保持可能に動作部20を保持する保持部40と、第1の位置P1近傍の第3の位置P3への物品B1の移動に応じて保持部40の保持を解除する解除部50と、を備え、動作部20の一部は、第1の形象部11が第2の位置P2へ変位したことに応じて、第2の位置P2近傍に載置されたもう一つの物品B2の移動を開始させることが可能である。
【選択図】
図3