(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220912BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220912BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220912BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20220912BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220912BHJP
H05B 33/06 20060101ALI20220912BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220912BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 330
G09F9/30 348A
G09F9/00 348Z
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H01L27/32
H05B33/06
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
(21)【出願番号】P 2021097267
(22)【出願日】2021-06-10
(62)【分割の表示】P 2020127937の分割
【原出願日】2016-07-22
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2015146316
(32)【優先日】2015-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016012007
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】平形 吉晴
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-165673(JP,A)
【文献】特開2009-170898(JP,A)
【文献】特開2004-349513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342099(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104393022(CN,A)
【文献】特開2010-206040(JP,A)
【文献】特開2010-032911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 51/50
H05B 33/14
H01L 27/32
H05B 33/06
H05B 33/12
H05B 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材と、回路と、発光素子と、絶縁膜と、電極と、端子と、樹脂層と、第2の基材と、を有し、
前記回路は、複数のトランジスタを有し、前記発光素子
を駆動する機能を有し、
前記回路と前記発光素子とは、前記絶縁膜と前記第1の基材との間に配置されており、
前記電極は、前記回路と電気的に接続され、前記絶縁膜を貫通するように配置されており、
前記端子は、前記電極と接するように配置され、フレキシブルプリント基板と電気的に接続され、
前記樹脂層は、前記端子と前記フレキシブルプリント基板との電気的接続部分を覆うように配置されており、前記絶縁膜と前記第2の基材とに挟まれる領域を有し、前記複数のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有さない、半導体装置。
【請求項2】
第1の基材と、回路と、発光素子と、絶縁膜と、電極と、端子と、樹脂層と、第2の基材と、を有し、
前記回路は、複数のトランジスタを有し、前記発光素子
を駆動する機能を有し、
前記回路と前記発光素子とは、前記絶縁膜と前記第1の基材との間に配置されており、
前記電極は、前記回路と電気的に接続され、前記絶縁膜を貫通するように配置されており、
前記端子は、前記電極と接するように配置され、フレキシブルプリント基板と電気的に接続され、
前記樹脂層は、前記端子と前記フレキシブルプリント基板との電気的接続部分を覆うように配置されており、前記絶縁膜と前記第2の基材とに挟まれる領域を有し、前記複数のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有さず、
前記第2の基材側から前記発光素子の光を取り出す、半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、表示パネル、半導体装置の作製方法、表示パネルの作製
方法または情報処理装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、
それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
情報伝達手段に係る社会基盤が充実されている。これにより、多様で潤沢な情報を職場や
自宅だけでなく外出先でも情報処理装置を用いて取得、加工または発信できるようになっ
ている。
【0004】
このような背景において、携帯可能な情報処理装置が盛んに開発されている。
【0005】
例えば、携帯可能な情報処理装置は持ち歩いて使用されることが多く、落下により思わぬ
力が情報処理装置およびそれに用いられる表示装置に加わることがある。破壊されにくい
表示装置の一例として、発光層を分離する構造体と第2の電極層との密着性が高められた
構成が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置を提供することを課題
の一とする。または、利便性または信頼性に優れた新規な表示パネルを提供することを課
題の一とする。または、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置の作製方法を提供
することを課題の一とする。または、利便性または信頼性に優れた新規な表示パネルの作
製方法を提供することを課題の一とする。または、新規な半導体装置、新規な表示パネル
、新規な半導体装置の作製方法または新規な表示パネルの作製方法を提供することを課題
の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一態様は、絶縁膜と、第1の接続部と、端子と、回路と、を有する半導体
装置である。
【0010】
そして、絶縁膜は開口部を備える。第1の接続部は開口部を貫通する。端子は絶縁膜の一
方の面に接し、第1の接続部と電気的に接続される。回路は絶縁膜の反対の面において、
第1の接続部と電気的に接続される。
【0011】
また、端子は絶縁膜に埋め込まれた領域および絶縁膜から露出した領域を備える。また、
回路は半導体素子を含む。
【0012】
(2)また、本発明の一態様は、絶縁膜が、3nm以上1500nm以下の厚さを備える
上記の半導体装置である。
【0013】
(3)また、本発明の一態様は、絶縁膜と重なる領域を備える基材を有する。そして、基
材は可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する。また、回路は絶縁膜と可撓性を備
える領域の間または絶縁膜と湾曲した領域の間に配設される上記の半導体装置である。
【0014】
これにより、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材と絶縁膜の間に配設さ
れた半導体素子を含む回路に、端子を介して電力または電気信号等を供給し、当該回路を
動作させることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置を提
供することができる。
【0015】
(4)また、本発明の一態様は、上記の半導体装置と、回路と電気的に接続される表示素
子と、を有する表示パネルである。そして、表示素子は、可撓性を備える領域と絶縁膜の
間または湾曲した領域と絶縁膜の間に配設される。
【0016】
これにより、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材と絶縁膜の間に配設さ
れた半導体素子を含む回路に、端子を介して電力または電気信号等を供給し、表示素子を
動作させることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な表示パネルを提
供することができる。
【0017】
(5)また、本発明の一態様は、検知素子を有する上記の表示パネルである。
【0018】
そして、検知素子は導電膜および暗色膜を備える。暗色膜は導電膜と重なる領域を備え、
暗色膜は導電膜の反射率より低い反射率を備える。また、検知素子は開口部を表示素子と
重なる領域に備える。また、導電膜は表示素子および暗色膜の間に挟まれる領域を備える
。
【0019】
これにより、導電膜に反射される可視光の強度を弱めることができる。その結果、表示素
子の表示を際立たせ、良好な表示をすることができる。また、半導体装置を薄くすること
ができる。また、半導体装置を屈曲する際に基材などに生じるストレスを、軽減すること
ができる。
【0020】
(6)また、本発明の一態様は、演算装置と、入出力装置と、を有する情報処理装置であ
る。
【0021】
そして、演算装置は、位置情報および外部情報を供給され、画像情報および制御情報を供
給する機能を備える。
【0022】
また、入出力装置は、位置情報および外部情報を供給し、画像情報および制御情報を供給
される機能を備える。
【0023】
また、演算装置は、画像情報を外部情報に基づいて生成する機能を備え、制御情報を位置
情報に基づいて決定し供給する機能と、を備える。
【0024】
また、入出力装置は、表示部と、入力部と、通信部と、を有する。そして、表示部は画像
情報を表示する機能を備える。入力部は位置情報を供給する機能を備える。通信部は外部
情報を受信する機能および制御情報を送信する機能を備える。また、表示部は、上記の表
示パネルを備える。
【0025】
(7)また、本発明の一態様は、入力部が、キーボード、ハードウェアボタン、ポインテ
ィングデバイス、タッチセンサ、照度センサ、撮像装置、音声入力装置、視点入力装置、
姿勢検出装置、のうち一以上を含む、上記の情報処理装置である。
【0026】
これにより、例えば外部機器から受信した外部情報に基づいて画像情報を生成し、画像情
報を表示部に表示することができる。また、入力部を用いて供給された位置情報に基づい
て制御情報を決定し、制御情報を送信することができる。その結果、利便性または信頼性
に優れた新規な情報処理装置を提供することができる。
【0027】
(8)また、本発明の一態様は、以下の第1のステップ乃至第8のステップを有する上記
の半導体装置の作製方法である。
【0028】
第1のステップにおいて、第1の絶縁膜を、工程用の基板に形成する。
【0029】
次いで、第2のステップにおいて、端子を、第1の絶縁膜と重なる領域を備えるように形
成する。
【0030】
次いで、第3のステップにおいて、開口部を備える第2の絶縁膜を、一方の面を端子に接
し、端子の一部を埋め込むように形成する。
【0031】
次いで、第4のステップにおいて、開口部を貫通する第1の接続部を、端子と電気的に接
続するように形成する。
【0032】
次いで、第5のステップにおいて、回路を、第2の絶縁膜の反対の面において第1の接続
部と電気的に接続するように形成する。
【0033】
次いで、第6のステップにおいて、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材
を、第2の絶縁膜と可撓性を備える領域または湾曲した領域の間に回路が配設されるよう
に積層する。
【0034】
次いで、第7のステップにおいて、工程用の基板を分離する。
【0035】
次いで、第8のステップにおいて、第1の絶縁膜を、端子が露出するように除去する。
【0036】
これにより、工程用の基板を用いて半導体素子を含む回路および回路と電気的に接続され
る端子を形成し、回路および端子から工程用の基板を分離して、端子を露出させることが
できる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置の作製方法を提供する
ことができる。
【0037】
(9)また、本発明の一態様は、以下の第1のステップ乃至第9のステップを有する上記
の表示パネルの作製方法である。
【0038】
第1のステップにおいて、第1の絶縁膜を、工程用の基板に形成する。
【0039】
次いで、第2のステップにおいて、端子を、第1の絶縁膜と重なる領域を備えるように形
成する。
【0040】
次いで、第3のステップにおいて、開口部を備える第2の絶縁膜を、一方の面を端子に接
し、端子の一部を埋め込むように形成する。
【0041】
次いで、第4のステップにおいて、開口部を貫通する第1の接続部を、端子と電気的に接
続するように形成する。
【0042】
次いで、第5のステップにおいて、回路を、第2の絶縁膜の反対の面において第1の接続
部と電気的に接続するように形成する。
【0043】
次いで、第6のステップにおいて、表示素子を回路と電気的に接続するように形成する。
【0044】
次いで、第7のステップにおいて、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材
を、第2の絶縁膜と可撓性を備える領域の間または第2の絶縁膜と湾曲した領域の間に回
路が配設されるように積層する。
【0045】
次いで、第8のステップにおいて、工程用の基板を分離する。
【0046】
次いで、第9のステップにおいて、第1の絶縁膜を、端子が露出するように除去する。
【0047】
これにより、工程用の基板を用いて半導体素子を含む回路、回路と電気的に接続される表
示素子および回路と電気的に接続される端子を形成し、回路、表示素子および端子から工
程用の基板を分離して、端子を露出させることができる。その結果、利便性または信頼性
に優れた新規な表示パネルの作製方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明の一態様によれば、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置を提供できる。
または、利便性または信頼性に優れた新規な表示パネルを提供できる。または、利便性ま
たは信頼性に優れた新規な半導体装置の作製方法を提供できる。または、利便性または信
頼性に優れた新規な表示パネルの作製方法を提供できる。または、新規な半導体装置、新
規な表示パネル、新規な半導体装置の作製方法または新規な表示パネルの作製方法を提供
できる。
【0049】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する上面図および回路図。
【
図2】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する断面図。
【
図3】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する断面図。
【
図4】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する断面図。
【
図5】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明するフロー図。
【
図6】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する上面図および断面図。
【
図7】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する上面図および断面図。
【
図8】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明するフロー図。
【
図9】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
【
図10】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
【
図11】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
【
図12】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
【
図13】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
【
図14】実施の形態に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
【
図15】実施の形態に係るトランジスタの構成を説明する図。
【
図16】実施の形態に係るトランジスタの構成を説明する図。
【
図17】実施の形態に係る入出力装置の構成を説明する図。
【
図18】実施の形態に係る情報処理装置の構成を説明するブロック図および投影図。
【
図19】実施の形態に係るプログラムを説明するフロー図。
【
図20】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する断面図および回路図。
【
図21】実施の形態に係るCPUの構成を説明するブロック図。
【
図22】実施の形態に係る記憶素子の構成を説明する回路図。
【
図23】実施の形態に係る電子機器の構成を説明する図。
【
図24】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する断面図。
【
図25】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する図。
【
図26】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する断面図。
【
図27】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する図。
【
図28】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する断面図。
【
図29】実施の形態に係る半導体装置の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の一態様の半導体装置は、開口部を備える絶縁膜と、開口部を貫通する第1の接続
部と、絶縁膜の一方の面に接し、第1の接続部と電気的に接続される端子と、絶縁膜の反
対の面において、第1の接続部と電気的に接続される回路と、を有する。
【0052】
そして、端子は、絶縁膜に埋め込まれた領域および絶縁膜から露出した領域を備え、回路
は、半導体素子を含む。
【0053】
また、絶縁膜は、3nm以上1500nm以下の厚さを備える。また、本発明の一態様の
半導体装置は、絶縁膜と重なる領域を備える基材を有し、基材は、可撓性を備える領域ま
たは湾曲した領域を備え、回路は、絶縁膜と可撓性を備える領域の間または絶縁膜と湾曲
した領域の間に配設される。
【0054】
これにより、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材と絶縁膜の間に配設さ
れた半導体素子を含む回路に、端子を介して電力または電気信号等を供給し、当該回路を
動作させることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置を提
供することができる。
【0055】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する。
【0056】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の構成について、
図1および
図2を参照
しながら説明する。
【0057】
図1は本発明の一態様の半導体装置の構成を説明する図である。
図1(A)は本発明の一
態様の半導体装置500の上面図であり、
図1(B)は半導体装置500に用いることが
できる回路の回路図である。
【0058】
図2は本発明の一態様の半導体装置500の構成を説明する図である。
図2(A)は
図1
(A)に示す切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6における断面図である。また、
図2(B)は
図2(A)に示すトランジスタMの詳細を説明する断面図であり、
図2(C
)は
図2(A)に示すトランジスタMDの詳細を説明する断面図である。なお、本明細書
において、1以上の整数を値にとる変数を符号に用いる場合がある。例えば、1以上の整
数の値をとる変数pを含む(p)を、最大p個の構成要素のいずれかを特定する符号の一
部に用いる場合がある。また、例えば、1以上の整数の値をとる変数mおよび変数nを含
む(m,n)を、最大m×n個の構成要素のいずれかを特定する符号の一部に用いる場合
がある。
【0059】
<半導体装置の構成例>
本実施の形態で説明する半導体装置500は、第2の絶縁膜501Bと、第1の接続部5
91と、端子519Dと、回路530(i,j)と、を有する(
図1(B)および
図2(
A)参照)。また、基材570を有する。
【0060】
第2の絶縁膜501Bは、開口部を備える。また、第2の絶縁膜501Bは、3nm以上
1500nm以下、好ましくは10nm以上1200nm以下、より好ましくは100n
m以上1000nm以下、さらに好ましくは300nm以上800nm以下の厚さを備え
る。
【0061】
第1の接続部591は、開口部内に設けられている。なお、第1の接続部591は貫通電
極とも言うことができる。
【0062】
端子519Dは、第2の絶縁膜501Bの一方の面に接する領域を備える。また、端子5
19Dは、第1の接続部591と電気的に接続される。そして、端子519Dは、第2の
絶縁膜501Bに埋め込まれた領域および第2の絶縁膜501Bから露出した領域を備え
る。
【0063】
回路530(i,j)は、第2の絶縁膜501Bの反対の面において、第1の接続部59
1と電気的に接続される。また、回路530(i,j)は、半導体素子を含む。なお、第
2の絶縁膜501Bの一方の面に対する反対の面を、第2の絶縁膜501Bの裏面という
こともできる。なお、第2の絶縁膜501Bの反対の面は一方の面と対向する。
【0064】
基材570は、第2の絶縁膜501Bと重なる領域を備える。また、基材570は、可撓
性を備える領域または湾曲した領域を有する。
【0065】
回路530(i,j)は、第2の絶縁膜501Bと可撓性を備える領域の間または第2の
絶縁膜501Bと湾曲した領域の間に配設される。
【0066】
これにより、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材と絶縁膜の間に配設さ
れた半導体素子を含む回路に、端子を介して電力または電気信号等を供給し、当該回路を
動作させることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置を提
供することができる。
【0067】
半導体装置500は、回路530(i,j)と電気的に接続される表示素子550を有す
る。そして、表示素子550は、可撓性を備える領域と第2の絶縁膜501Bの間または
湾曲した領域と第2の絶縁膜501Bの間に配設される。
【0068】
これにより、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材と絶縁膜の間に配設さ
れた半導体素子を含む回路に、端子を介して電力または電気信号等を供給し、表示素子を
動作させることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な表示パネルを提
供することができる。
【0069】
なお、本実施の形態で説明する半導体装置500は、回路530(i,j)と、回路53
0(i,j)と電気的に接続される表示素子550と、を備える画素502(i,j)を
有する(
図1(A)および
図1(B)参照)。半導体装置500が表示素子550を備え
る場合、半導体装置500を表示パネルということもできる。
【0070】
また、半導体装置500は、単数または複数の画素502(i,j)を有する(
図1(A
)参照)。例えば、行方向にn個、行方向と交差する列方向にm個の行列状に画素502
(i,j)を有することができる。なお、iは1以上m以下の整数であり、jは1以上n
以下の整数であり、mおよびnは1以上の整数である。
【0071】
また、半導体装置500は、行方向に配設された画素502(i,1)乃至画素502(
i,n)と電気的に接続する走査線G(i)を有することができる(
図1(B)参照)。
【0072】
また、半導体装置500は、列方向に配設された画素502(1,j)乃至画素502(
m,j)と電気的に接続する信号線S(j)を有することができる。
【0073】
また、半導体装置500は、画素502(i,j)と重なる領域を備える機能フィルム5
70Pを有する。半導体装置500は、機能フィルム570Pおよび第2の絶縁膜501
Bの間に基材570を備える(
図2(A)参照)。
【0074】
また、半導体装置500は機能層520を有する。機能層520は、第2の絶縁膜501
B、絶縁膜521A、絶縁膜521Bおよび絶縁膜528を有する。
【0075】
第2の絶縁膜501Bは、第1の接続部591が配設される開口部を備える。なお、本実
施の形態では、複数の膜が積層された構成を第2の絶縁膜501Bに用いる例を説明する
が、単数の膜を第2の絶縁膜501Bに用いてもよい。
【0076】
絶縁膜521Bは、第2の絶縁膜501Bと重なる領域を備える。
【0077】
絶縁膜521Aは、第2の絶縁膜501Bおよび絶縁膜521Bの間に配設される。
【0078】
また、絶縁膜521Aは、第2の接続部592が配設される開口部を備える。
【0079】
絶縁膜528は、表示素子550が配設される開口部を備える。
【0080】
また、半導体装置500は、機能層520と重なる領域を備える基材570と、機能層5
20および基材570を貼り合わせる接合層505と、を有する。
【0081】
また、半導体装置500は、駆動回路GDを有する。駆動回路GDは、例えばトランジス
タMDを含む(
図1(A)および
図2参照)。駆動回路GDは、例えば選択信号を走査線
G(i)に供給する機能を備える。
【0082】
また、半導体装置500は、回路530(i,j)と電気的に接続する配線511を有す
る。また、半導体装置500は、回路530(i,j)と電気的に接続する端子519D
を有する(
図1(B)および
図2参照)。
【0083】
また、半導体装置500は、回路530(i,j)と電気的に接続される配線ANOおよ
び回路530(i,j)と電気的に接続される配線VCOMを有する。
【0084】
なお、フレキシブルプリント基板FPC1を、例えば、導電材料ACF1を用いて、端子
519Dと電気的に接続できる。
【0085】
なお、半導体装置500は、機能層520を第2の絶縁膜501Bとの間に挟むように、
保護膜573を有する。例えば、保護膜573が絶縁膜506に接する領域を、回路53
0(i,j)または表示素子550を囲むように備える。これにより、不純物の回路53
0(i,j)または表示素子550への拡散を抑制することができる(
図2(A)参照)
。
【0086】
具体的には、保護膜573aと保護膜573cの間に保護膜573bが積層された複合材
料を保護膜573に用いることができる。
【0087】
なお、画像情報に基づいて画像信号を供給する機能を有する駆動回路SDを、例えば、導
電材料を用いて、半導体装置500と電気的に接続できる(
図1(A)参照)。
【0088】
以下に、半導体装置500を構成する個々の要素について説明する。なお、これらの構成
は明確に分離できず、一つの構成が他の構成を兼ねる場合や他の構成の一部を含む場合が
ある。
【0089】
<構成>
半導体装置500は、機能層520、接合層505または基材570を有する。半導体装
置500は、機能フィルム570Pを有する。半導体装置500は可撓性を備える領域ま
たは湾曲した領域を有する。
【0090】
半導体装置500は、画素502(i,j)、回路530(i,j)または表示素子55
0を有する。
【0091】
半導体装置500は、半導体素子を含む。半導体装置500は、スイッチSW1、トラン
ジスタM、トランジスタMDまたは容量素子Cを有する。
【0092】
半導体装置500は、端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配
線ANOまたは配線VCOMを有する。半導体装置500は、第1の接続部591または
第2の接続部592を有する。
【0093】
半導体装置500は、第2の絶縁膜501B、絶縁膜521A、絶縁膜521Bまたは絶
縁膜528を有する。
【0094】
半導体装置500は、駆動回路GDを有する。
【0095】
半導体装置500は、保護膜573を有する。
【0096】
《基材570》
例えば、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200
mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800
mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の面積が大きなガラス基板を基材
570に用いることができる。これにより、大型の半導体装置を作製することができる。
【0097】
有機材料、無機材料または有機材料と無機材料等の複合材料等を基材570に用いること
ができる。例えば、ガラス、セラミックス、金属等の無機材料を基材570に用いること
ができる。
【0098】
具体的には、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、石
英またはサファイア等を、基材570に用いることができる。具体的には、無機酸化物膜
、無機窒化物膜または無機酸窒化物膜等を、基材570に用いることができる。例えば、
酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、アルミナ膜等を、基材570に用いる
ことができる。SUSまたはアルミニウム等を、基材570に用いることができる。
【0099】
例えば、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコ
ンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を基材570に用いることができる
。これにより、半導体素子を基材570に形成することができる。
【0100】
例えば、樹脂、樹脂フィルムまたはプラスチック等の有機材料を基材570に用いること
ができる。具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ
カーボネートまたはアクリル樹脂等の樹脂フィルムまたは樹脂板を、基材570に用いる
ことができる。
【0101】
例えば、金属板、薄板状のガラス板または無機材料等の膜を樹脂フィルム等に貼り合わせ
た複合材料を基材570に用いることができる。例えば、繊維状または粒子状の金属、ガ
ラスもしくは無機材料等を樹脂フィルムに分散した複合材料を、基材570に用いること
ができる。例えば、繊維状または粒子状の樹脂もしくは有機材料等を無機材料に分散した
複合材料を、基材570に用いることができる。
【0102】
また、単層の材料または複数の層が積層された材料を、基材570に用いることができる
。例えば、基材と基材に含まれる不純物の拡散を防ぐ絶縁膜等が積層された材料を、基材
570に用いることができる。具体的には、ガラスとガラスに含まれる不純物の拡散を防
ぐ酸化シリコン層、窒化シリコン層または酸化窒化シリコン層等から選ばれた一または複
数の膜が積層された材料を、基材570に用いることができる。または、樹脂と樹脂を透
過する不純物の拡散を防ぐ酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜等
が積層された材料を、基材570に用いることができる。
【0103】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネー
ト若しくはアクリル樹脂等の樹脂フィルム、樹脂板または積層体等を基材570に用いる
ことができる。
【0104】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポ
リイミド、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂もしくは
シリコーンなどシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を基材570に用いることができ
る。または、これらから選ばれた単数または複数の樹脂を含むフィルム、板または積層体
等を基材570に用いることができる。
【0105】
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、ポリエーテルサルフォン(PES)またはアクリル等を基材570に用いることが
できる。
【0106】
また、紙または木材などを基材570に用いることができる。
【0107】
例えば、可撓性を有する基材を基材570に用いることができる。または、例えば、湾曲
した基材を基材570に用いることができる。
【0108】
なお、基材にトランジスタまたは容量素子等を直接形成する方法を用いることができる。
また、耐熱性を備える工程用の基板にトランジスタまたは容量素子等を形成し、形成され
たトランジスタまたは容量素子等を基材に転置する方法を用いることができる。これによ
り、例えば可撓性を有する基材にトランジスタまたは容量素子等を形成できる。
【0109】
なお、基材570を通して表示素子550の表示を視認する場合は、透光性を備える材料
を基材570に用いる。
【0110】
《端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANO、配線VC
OM》
導電性を備える材料を端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配
線ANOまたは配線VCOM等に用いることができる。
【0111】
例えば、無機導電性材料、有機導電性材料、金属または導電性セラミックスなどを端子5
19D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANOまたは配線VCOM
等に用いることができる。
【0112】
具体的には、アルミニウム、金、白金、銀、銅、クロム、タンタル、チタン、モリブデン
、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、パラジウムまたはマンガンから選ばれた金属
元素などを、端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANO
または配線VCOM等に用いることができる。または、上述した金属元素を含む合金など
を、端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANOまたは配
線VCOM等に用いることができる。特に、銅とマンガンの合金がウエットエッチング法
を用いた微細加工に好適である。
【0113】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン
膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タン
タル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、
そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造
等を端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANOまたは配
線VCOM等に用いることができる。
【0114】
具体的には、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、
ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を、端子519D、配線511、走査線
G(i)、信号線S(j)、配線ANOまたは配線VCOM等に用いることができる。
【0115】
例えば、グラフェンまたはグラファイトを含む膜を端子519D、配線511、走査線G
(i)、信号線S(j)、配線ANOまたは配線VCOM等に用いることができる。
【0116】
具体的には、酸化グラフェンを含む膜を形成し、酸化グラフェンを含む膜を還元すること
により、グラフェンを含む膜を形成することができる。還元する方法としては、熱を加え
る方法や還元剤を用いる方法等を挙げることができる。
【0117】
例えば、導電性高分子を端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、
配線ANOまたは配線VCOM等に用いることができる。
【0118】
《第1の接続部591、第2の接続部592》
導電性を備える材料を第1の接続部591および第2の接続部592に用いることができ
る。例えば、端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANO
または配線VCOM等に用いることができる材料を用いることができる。
【0119】
《接合層505》
無機材料、有機材料または無機材料と有機材料の複合材料等を接合層505に用いること
ができる。
【0120】
例えば、熱溶融性の樹脂または硬化性の樹脂等の有機材料を、接合層505に用いること
ができる。
【0121】
例えば、反応硬化型接着剤、光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤または/および嫌気型接着
剤等の有機材料を接合層505に用いることができる。
【0122】
具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミ
ド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラ
ル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等を含む接着剤を接合層505に用
いることができる。
【0123】
《機能層520》
例えば、機能回路、機能素子、光学素子または機能膜等を、機能層520に用いることが
できる。
【0124】
具体的には、表示素子、表示素子を駆動する回路、回路を駆動する駆動回路、着色膜また
は防湿膜等を、機能層520に用いることができる。
【0125】
例えば、表示素子550、回路530(i,j)、第1の接続部591または第2の接続
部592を機能層520に用いることができる。また、第2の絶縁膜501B、絶縁膜5
21A、絶縁膜521Bまたは絶縁膜528を機能層520に用いることができる。
【0126】
《表示素子550》
例えば、発光素子を表示素子550に用いることができる。具体的には、有機エレクトロ
ルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子または発光ダイオードなどを、
表示素子550に用いることができる。
【0127】
例えば、第1の導電膜551と、第1の導電膜551と重なる領域を備える第2の導電膜
552と、第1の導電膜551および第2の導電膜552の間に発光性の有機化合物を含
む層553と、を、表示素子550に用いることができる。
【0128】
例えば、青色の光、緑色の光または赤色の光を射出するように積層された積層体を、発光
性の有機化合物を含む層553に用いることができる。
【0129】
例えば、白色の光を射出するように積層された積層体を、発光性の有機化合物を含む層5
53に用いることができる。具体的には、青色の光を射出する蛍光材料を含む発光性の有
機化合物を含む層と、蛍光材料以外の緑色および赤色の光を射出する材料を含む層または
蛍光材料以外の黄色の光を射出する材料を含む層と、を積層した積層体を、発光性の有機
化合物を含む層553に用いることができる。
【0130】
例えば、配線511等に用いる材料を第1の導電膜551または第2の導電膜552に用
いることができる。
【0131】
例えば、導電性を備える材料を第1の導電膜551に用いることができる。可視光を反射
し導電性を備える材料を第1の導電膜551に用いることができる。可視光を反射する材
料に導電性を備える材料を積層した積層材料を第1の導電膜551に用いることができる
。
【0132】
例えば、可視光について透光性を有し且つ導電性を備える材料を、第2の導電膜552に
用いることができる。
【0133】
具体的には、導電性酸化物またはインジウムを含む導電性酸化物、酸化インジウム、イン
ジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを
、第2の導電膜552に用いることができる。
【0134】
または、光が透過する程度に薄い金属膜を第2の導電膜552に用いることができる。
【0135】
《回路530(i,j)》
例えば、スイッチSW1、容量素子CまたはトランジスタMを、回路530(i,j)に
用いることができる(
図1(B)参照)。なお、走査線G(i)、信号線S(j)、配線
ANOおよび配線VCOMを回路530(i,j)に電気的に接続することができる。
【0136】
スイッチSW1は、走査線G(i)と電気的に接続される制御電極および信号線S(j)
と電気的に接続される第1の電極を備える。なお、トランジスタをスイッチSW1に用い
ることができる。
【0137】
トランジスタMは、スイッチSW1の第2の電極と電気的に接続されるゲート電極および
配線ANOと電気的に接続される第1の電極を備える。
【0138】
容量素子Cは、スイッチSW1の第2の電極と電気的に接続される第1の電極およびトラ
ンジスタMの第2の電極と電気的に接続される第2の電極を備える。
【0139】
なお、表示素子550の第1の導電膜551をトランジスタMの第2の電極と電気的に接
続し、表示素子550の第2の導電膜552を配線VCOMと電気的に接続することがで
きる。
【0140】
《トランジスタM》
トランジスタMは、半導体膜508および半導体膜508と重なる領域を備える導電膜5
04を備える(
図2(B)参照)。また、トランジスタMは、導電膜512Aおよび導電
膜512Bを備える。トランジスタMは半導体膜508および導電膜504の間に絶縁膜
506を備える。
【0141】
なお、導電膜504はゲート電極として機能し、絶縁膜506はゲート絶縁膜として機能
する。また、導電膜512Aはソース電極の機能またはドレイン電極の機能の一方を備え
、導電膜512Bはソース電極の機能またはドレイン電極の機能の他方を備える。
【0142】
なお、機能層520は、トランジスタMを覆う絶縁膜516または絶縁膜518を有する
ことができる。これにより、トランジスタMへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0143】
例えば、ボトムゲート型またはトップゲート型等のトランジスタを用いることができる。
【0144】
例えば、4族の元素を含む半導体を用いるトランジスタを利用することができる。具体的
には、シリコンを含む半導体を半導体膜に用いることができる。例えば、単結晶シリコン
、ポリシリコン、微結晶シリコンまたはアモルファスシリコンなどを半導体膜に用いたト
ランジスタを用いることができる。
【0145】
例えば、酸化物半導体を用いるトランジスタを利用することができる。具体的には、イン
ジウムを含む酸化物半導体またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物半導体を半導
体膜に用いることができる。
【0146】
一例を挙げれば、オフ状態におけるリーク電流が、半導体膜にアモルファスシリコンを用
いたトランジスタより小さいトランジスタを用いることができる。具体的には、半導体膜
に酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。
【0147】
これにより、回路が画像信号を保持することができる時間を、半導体膜にアモルファスシ
リコンを用いたトランジスタを利用する回路より長くすることができる。具体的には、フ
リッカーの発生を抑制しながら、選択信号を30Hz未満、好ましくは1Hz未満、より
好ましくは一分に一回未満の頻度で供給することができる。その結果、半導体装置の使用
者に蓄積する疲労を低減することができる。また、駆動に伴う消費電力を低減することが
できる。
【0148】
または、例えば、化合物半導体を用いるトランジスタを利用することができる。具体的に
は、ガリウムヒ素を含む半導体を半導体膜に用いることができる。
【0149】
例えば、有機半導体を用いるトランジスタを利用することができる。具体的には、ポリア
セン類またはグラフェンを含む有機半導体を半導体膜に用いることができる。
【0150】
《スイッチSW1》
トランジスタをスイッチSW1に用いることができる。
【0151】
例えば、トランジスタMの半導体膜と同一の工程で形成することができる半導体膜を備え
るトランジスタをスイッチSW1に用いることができる。
【0152】
《第2の絶縁膜501B》
本実施の形態では、複数の膜が積層された構成を第2の絶縁膜501Bに用いる例を説明
するが、単数の膜を第2の絶縁膜501Bに用いてもよい。
【0153】
例えば、絶縁性の無機材料、絶縁性の有機材料または無機材料と有機材料を含む絶縁性の
複合材料を、第2の絶縁膜501Bに用いることができる。
【0154】
具体的には、無機酸化物膜、無機窒化物膜または無機酸化窒化物膜等またはこれらから選
ばれた複数を積層した積層材料を、第2の絶縁膜501Bに用いることができる。例えば
、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等または
これらから選ばれた複数を積層した積層材料を含む膜を、第2の絶縁膜501Bに用いる
ことができる。
【0155】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネー
ト、ポリシロキサン若しくはアクリル樹脂等またはこれらから選択された複数の樹脂の積
層材料もしくは複合材料などを第2の絶縁膜501Bに用いることができる。また、感光
性を有する材料を用いて形成してもよい。
【0156】
具体的には、600nmの酸化窒化シリコン膜および厚さ200nmの窒化シリコン膜が
積層された積層材料を含む膜を、第2の絶縁膜501Bに用いることができる。
【0157】
具体的には、厚さ600nmの酸化窒化シリコン膜、厚さ200nmの窒化シリコン膜、
厚さ200nmの酸化窒化シリコン膜、厚さ140nmの窒化酸化シリコン膜および厚さ
100nmの酸化窒化シリコン膜がこの順に積層された積層材料を含む膜を、第2の絶縁
膜501Bに用いることができる。
【0158】
これにより、第2の絶縁膜501Bの水蒸気透過量を、1×10-5g/(m2・day
)以下、好ましくは1×10-6g/(m2・day)以下、より好ましくは1×10-
7g/(m2・day)以下、さらに好ましくは1×10-8g/(m2・day)以下
にすることができる。
【0159】
《絶縁膜521A、絶縁膜521B、絶縁膜528》
第2の絶縁膜501Bに用いることができる材料を、絶縁膜521A、絶縁膜521Bま
たは絶縁膜528に用いることができる。
【0160】
これにより、例えば絶縁膜521Aと重なるさまざまな構造に由来する段差を平坦化する
ことができる。または、複数の配線の間に配設された絶縁膜521Bを用いて、複数の配
線の短絡を防止することができる。または、第1の導電膜551と重なる開口部を備える
絶縁膜528を用いて、第1の導電膜551および第2の導電膜552の短絡を第1の導
電膜551の端部において防止することができる。
【0161】
《保護膜573》
例えば、絶縁性の無機材料、絶縁性の有機材料または無機材料と有機材料を含む絶縁性の
複合材料を、保護膜573に用いることができる。
【0162】
具体的には、絶縁性の無機材料を保護膜573aおよび保護膜573cに用い、絶縁性の
有機材料を保護膜573bに用いることができる。これにより、ピンホールや細孔等の欠
陥の少ない保護膜573を形成することができる。
【0163】
これにより、保護膜573の水蒸気透過量を、1×10-5g/(m2・day)以下、
好ましくは1×10-6g/(m2・day)以下、より好ましくは1×10-7g/(
m2・day)以下、さらに好ましくは1×10-8g/(m2・day)以下にするこ
とができる。
【0164】
《機能フィルム570P》
例えば、円偏光板または反射防止膜等を機能フィルム570Pに用いることができる。
【0165】
また、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴
う傷の発生を抑制するハードコート膜などを、機能フィルム570Pに用いることができ
る。
【0166】
《駆動回路GD》
シフトレジスタ等のさまざまな順序回路等を駆動回路GDに用いることができる。例えば
、トランジスタMD、容量素子等を駆動回路GDに用いることができる。具体的には、ト
ランジスタMの半導体膜と同一の工程で形成することができる半導体膜を備えるトランジ
スタを用いることができる。
【0167】
または、トランジスタMと異なる構成をトランジスタMDに用いることができる。具体的
には、導電膜524を有するトランジスタをトランジスタMDに用いることができる(図
2(C)参照)。導電膜524および導電膜504の間に半導体膜508を配設し、導電
膜524および半導体膜508の間に絶縁膜516を、半導体膜508および導電膜50
4の間に絶縁膜506を配設する。例えば、導電膜504と同じ電位を供給する配線に導
電膜524を電気的に接続する。
【0168】
なお、トランジスタMと同一の構成を、トランジスタMDに用いることができる。
【0169】
《駆動回路SD》
例えば、集積回路を駆動回路SDに用いることができる。具体的には、シリコン基板上に
形成された集積回路を用いることができる。
【0170】
例えば、駆動回路SDを、第2の絶縁膜501B上に形成されたパッドに、COG(Ch
ip on glass)法を用いて実装できる。具体的には、異方性導電膜を用いて、
集積回路をパッドに実装できる。なお、パッドは回路530(i,j)と電気的に接続さ
れる。
【0171】
<酸化物半導体の抵抗率の制御方法>
酸化物半導体膜の抵抗率を制御する方法について説明する。
【0172】
所定の抵抗率を備える酸化物半導体膜を、半導体膜508または導電膜524に用いるこ
とができる。
【0173】
例えば、酸化物半導体膜に含まれる水素、水等の不純物の濃度及び/又は膜中の酸素欠損
を制御する方法を、酸化物半導体膜の抵抗率を制御する方法に用いることができる。
【0174】
具体的には、プラズマ処理を水素、水等の不純物濃度及び/又は膜中の酸素欠損を増加ま
たは低減する方法に用いることができる。
【0175】
具体的には、希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe)、水素、ボロン、リン及び窒素の
中から選ばれた一種以上を含むガスを用いて行うプラズマ処理を適用できる。例えば、A
r雰囲気下でのプラズマ処理、Arと水素の混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、アンモ
ニア雰囲気下でのプラズマ処理、Arとアンモニアの混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理
、または窒素雰囲気下でのプラズマ処理などを適用できる。これにより、キャリア密度が
高く、抵抗率が低い酸化物半導体膜にすることができる。
【0176】
または、イオン注入法、イオンドーピング法またはプラズマイマージョンイオンインプラ
ンテーション法などを用いて、水素、ボロン、リンまたは窒素を酸化物半導体膜に注入し
て、抵抗率が低い酸化物半導体膜にすることができる。
【0177】
または、水素を含む絶縁膜を酸化物半導体膜に接して形成し、絶縁膜から酸化物半導体膜
に水素を拡散させる方法を用いることができる。これにより、酸化物半導体膜のキャリア
密度を高め、抵抗率を低くすることができる。
【0178】
例えば、膜中の含有水素濃度が1×1022atoms/cm3以上の絶縁膜を酸化物半
導体膜に接して形成することで、効果的に水素を酸化物半導体膜に含有させることができ
る。具体的には、窒化シリコン膜を酸化物半導体膜に接して形成する絶縁膜に用いること
ができる。
【0179】
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、
酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損に
水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金
属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。こ
れにより、キャリア密度が高く、抵抗率が低い酸化物半導体膜にすることができる。
【0180】
具体的には、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass
Spectrometry)により得られる水素濃度が、8×1019atoms/c
m3以上、好ましくは1×1020atoms/cm3以上、より好ましくは5×102
0atoms/cm3以上である酸化物半導体を導電膜524に好適に用いることができ
る。
【0181】
一方、抵抗率の高い酸化物半導体をトランジスタのチャネルが形成される半導体膜に用い
ることができる。
【0182】
例えば、酸素を含む絶縁膜、別言すると、酸素を放出することが可能な絶縁膜を酸化物半
導体に接して形成し、絶縁膜から酸化物半導体膜に酸素を供給させて、膜中または界面の
酸素欠損を補填することができる。これにより、抵抗率が高い酸化物半導体膜にすること
ができる。
【0183】
例えば、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を、酸素を放出することが可能な絶縁
膜に用いることができる。
【0184】
酸素欠損が補填され、水素濃度が低減された酸化物半導体膜は、高純度真性化、又は実質
的に高純度真性化された酸化物半導体膜といえる。ここで、実質的に真性とは、酸化物半
導体膜のキャリア密度が、8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3
未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であることを指す。高純度真性または
実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密
度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半
導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度を低減することができる。
【0185】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜を備えるトランジスタ
は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素
子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの
範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×
10-13A以下という特性を備えることができる。
【0186】
上述した高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜をチャネル領域に用
いるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0187】
具体的には、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass
Spectrometry)により得られる水素濃度が、2×1020atoms/c
m3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×101
9atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×10
18atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さ
らに好ましくは1×1016atoms/cm3以下である酸化物半導体を、トランジス
タのチャネルが形成される半導体に好適に用いることができる。
【0188】
なお、半導体膜508よりも水素濃度及び/又は酸素欠損量が多く、抵抗率が低い酸化物
半導体膜を、導電膜524に用いる。
【0189】
また、導電膜524に含まれる水素濃度は、半導体膜508に含まれる水素濃度の2倍以
上、好ましくは10倍以上である。
【0190】
また、導電膜524の抵抗率は、半導体膜508の抵抗率の1×10-8倍以上1×10
-1倍未満である。
【0191】
具体的には、導電膜524の抵抗率は、1×10-3Ωcm以上1×104Ωcm未満、
好ましくは、1×10-3Ωcm以上1×10-1Ωcm未満である。
【0192】
<半導体装置の構成例2.>
本発明の一態様の半導体装置の別の構成について、
図3を参照しながら説明する。
【0193】
図3は本発明の一態様の半導体装置500Bの構成を説明する図である。
図3は
図1(A
)に示す切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6における本発明の一態様の半導体装
置500Bの断面図である。
【0194】
なお、半導体装置500Bは、第2の絶縁膜501B側から表示を視認することができる
機能を備える表示素子550Wを表示素子550に替えて有する点(
図3参照)、表示素
子550Wおよび第2の絶縁膜501Bの間に着色膜CFを有する点、第2の絶縁膜50
1Bと重なる領域を備える基材560を有する点、第2の絶縁膜501Bおよび基材56
0を貼り合わせる接合層563を有する点、表示素子550Wとの間に第2の絶縁膜50
1Bを挟むように機能フィルム570Pを有する点が、
図2を参照しながら説明する半導
体装置500とは異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用い
ることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0195】
《表示素子550W》
例えば、発光素子を表示素子550Wに用いることができる。具体的には、有機エレクト
ロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子または発光ダイオードなどを
、表示素子550Wに用いることができる。
【0196】
具体的には、白色の光を射出するように積層された積層体を、発光性の有機化合物を含む
層553Wに用いることができる。
【0197】
例えば、可視光を反射し導電性を備える材料を第2の導電膜552Wに用いることができ
る。また、可視光について透光性を有し且つ導電性を備える材料を、第1の導電膜551
Wに用いることができる。これにより、表示素子550Wは白色の光を第2の絶縁膜50
1Bに向けて射出することができる。
【0198】
《着色膜CF》
所定の色の光を透過する材料を着色膜CFに用いることができる。これにより、着色膜C
Fを例えばカラーフィルターに用いることができる。
【0199】
例えば、青色の光を透過する材料、緑色の光を透過する材料、赤色の光を透過する材料、
黄色の光を透過する材料または白色の光を透過する材料などを着色膜CFに用いることが
できる。
【0200】
《基材560》
基材570に用いることができる材料を基材560に用いることができる。例えば、可撓
性を有する基材を基材560に用いることができる。または、例えば、湾曲した基材を基
材560に用いることができる。
【0201】
なお、基材560を通して表示素子550Wの表示を視認する場合は、透光性を備える材
料を基材560に用いる。
【0202】
《接合層563》
接合層505に用いることができる材料を接合層563に用いることができる。
【0203】
《端子519D》
なお、フレキシブルプリント基板FPC1を、例えば、導電材料ACF1を用いて、端子
519Dと電気的に接続することができる。
【0204】
例えば、端子519Dの周辺にフレキシブルプリント基板FPC1を固定する樹脂層56
5を形成してもよい。これにより、フレキシブルプリント基板FPC1が端子519Dか
ら脱落しないようにすることができる(
図3参照)。
【0205】
<半導体装置の構成例3.>
本発明の一態様の半導体装置の別の構成について、
図4を参照しながら説明する。
【0206】
図4は本発明の一態様の半導体装置500Cの構成を説明する図である。
図4(A)は図
1(A)に示す切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6における本発明の一態様の半
導体装置500Cの断面図であり、また、
図4(B)は
図4(A)に示すトランジスタM
BまたはトランジスタMDBの詳細を説明する断面図である。また、
図4(C)は
図4(
A)に示すトランジスタMBまたはトランジスタMDBの変形例を説明する断面図である
。
【0207】
なお、半導体装置500Cは、トップゲート型のトランジスタMBをボトムゲート型のト
ランジスタMに替えて有する点、第2の絶縁膜501Bと重なる領域を備える基材560
を有する点、第2の絶縁膜501Bおよび基材560を貼り合わせる接合層563を有す
る点、絶縁膜521Bを有さない点が、
図2を参照しながら説明する半導体装置500と
は異なる。
【0208】
《トランジスタMB》
トランジスタMBは、絶縁膜501Cと重なる領域を備える導電膜504と、絶縁膜50
1Cおよび導電膜504の間に配設される領域を備える半導体膜508と、を備える。な
お、導電膜504はゲート電極の機能を備える(
図4(B)参照)。ところで、導電膜5
04の側面の基材に対する角度を80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°
以下にするとよい(
図4(C)参照)。
【0209】
半導体膜508は、導電膜504と重ならない第1の領域508Aおよび第2の領域50
8Bと、第1の領域508Aおよび第2の領域508Bの間に導電膜504と重なる第3
の領域508Cを備える。
【0210】
トランジスタMBは、第3の領域508Cおよび導電膜504の間に絶縁膜506を備え
る。なお、絶縁膜506はゲート絶縁膜の機能を備える。
【0211】
第1の領域508Aおよび第2の領域508Bは、第3の領域508Cに比べて低抵抗化
され、ソース領域の機能またはドレイン領域の機能を備える。
【0212】
なお、例えば酸化物半導体膜の抵抗率の制御方法を用いて、半導体膜508に第1の領域
508Aおよび第2の領域508Bを形成することができる。具体的には、希ガスを含む
ガスを用いるプラズマ処理を適用することができる。例えば、導電膜504をマスクに用
いると、第3の領域508Cの形状の一部を導電膜504の端部の形状に自己整合するこ
とができる。
【0213】
トランジスタMBは、第1の領域508Aと接する導電膜512Aと、第2の領域508
Bと接する導電膜512Bと、を備える。導電膜512Aおよび導電膜512Bは、ソー
ス電極またはドレイン電極の機能を備える。
【0214】
トランジスタMBと同一の工程で形成できるトランジスタをトランジスタMDBに用いる
ことができる。または、スイッチSW1に用いることができる。
【0215】
《基材560》
基材570に用いることができる材料を基材560に用いることができる。例えば、可撓
性を有する基材を基材560に用いることができる。または、例えば、湾曲した基材を基
材560に用いることができる。
【0216】
《接合層563》
接合層505に用いることができる材料を接合層563に用いることができる。
【0217】
<半導体装置の構成例4.>
本発明の一態様の半導体装置の別の構成について、
図24および
図25を参照しながら説
明する。
【0218】
図24および
図25は本発明の一態様の半導体装置500Dの構成を説明する図である。
具体的には、近接センサ付き表示パネルの構成を説明する図である。
【0219】
図24は
図1(A)に示す切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6における本発明の
一態様の半導体装置500Dの断面図である。
【0220】
図25(A)は本発明の一態様の位置情報入力パネルの投影図である。なお、説明の便宜
のために位置情報入力パネルの一部を拡大して図示する。
図25(B)は位置情報入力パ
ネルの近接センサの上面図であり、
図25(C)は
図25(B)の切断線X7-X8にお
ける断面図である。
【0221】
なお、半導体装置500Dは、近接センサ575を備える点、絶縁膜572を備える点が
、
図3を参照しながら説明する半導体装置500Bとは異なる。ここでは異なる構成につ
いて詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0222】
なお、第2の絶縁膜501Bは、近接センサ575および回路530(i,j)に挟まれ
る領域を備える。
【0223】
また、絶縁膜572は、第2の絶縁膜501Bおよび近接センサ575の間に挟まれる領
域を備える。
【0224】
《近接センサ575》
近接するものがもたらす静電容量、照度、磁力、電波または圧力等の変化を検知して、検
知した物理量に基づく信号を供給する検知素子を近接センサ575に用いることができる
。
【0225】
例えば、導電膜、光電変換素子、磁気検知素子、圧電素子または共振器等を検知素子に用
いることができる。
【0226】
例えば、導電膜に寄生する静電容量に基づいて変化する信号を供給する機能を備える検知
回路を、近接センサ575に用いることができる。制御信号を第1の電極に供給し、供給
された制御信号および静電容量に基づいて変化する第2の電極の電位または電流などを検
知して、検知信号として供給することができる。これにより、大気中において導電膜に近
接する指などを、静電容量の変化を用いて検知できる。
【0227】
例えば、第1の電極C1(g)と第2の電極C2(h)と、を近接センサ575に用いる
ことができる(
図25(A)および
図25(B)参照)。なお、第2の電極C2(h)は
、第1の電極C1(g)と重ならない部分を備える。また、gおよびhは1以上の自然数
である。
【0228】
具体的には、行方向(図中にRで示す矢印の方向)に延在する制御線CL(g)に電気的
に接続される第1の電極C1(g)と、行方向と交差する列方向(図中にCで示す矢印の
方向)に延在する信号線ML(h)に電気的に接続される第2の電極C2(h)とを、近
接センサ575に用いることができる。
【0229】
例えば、透光性の領域を画素502(i,j)と重なる領域に具備する導電膜を、第1の
電極C1(g)または第2の電極C2(h)に用いることができる。
【0230】
例えば、開口部576を画素502(i,j)と重なる領域に具備する網目状の導電膜を
、第1の電極C1(g)または第2の電極C2(h)に用いることができる。
【0231】
制御線CL(g)は配線BR(g,h)を備える。制御線CL(g)は、配線BR(g,
h)において信号線ML(h)と交差する(
図25(C)参照)。
【0232】
例えば、積層膜を第1の電極C1(g)、第2の電極C2(h)、制御線CL(g)また
は信号線ML(h)に用いることができる。具体的には、導電膜CL(g)Aを暗色膜C
L(g)Bおよび回路530(i,j)の間に挟むように、導電膜CL(g)Aおよび暗
色膜CL(g)Bを積層した積層膜を用いることができる。
【0233】
例えば、可視光に対する反射率が導電膜CL(g)Aより低い膜を、暗色膜CL(g)B
に用いることができる。これにより、第1の電極C1(g)、第2の電極C2(h)、制
御線CL(g)または信号線ML(h)による可視光の反射を弱めることができる。その
結果、表示素子550の表示を際立たせ、良好な表示をすることができる。また、半導体
装置を薄くすることができる。また、半導体装置を屈曲する際に基材570などに生じる
ストレスを、軽減することができる。
【0234】
例えば、端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANOまた
は配線VCOM等に用いることができる材料を導電膜CL(g)Aに用いることができる
。
【0235】
また、例えば、酸化第2銅を含む膜、塩化銅または塩化テルルを含む膜などを暗色膜CL
(g)Bに用いることができる。
【0236】
また、近接センサ575は、配線BR(g,h)および信号線ML(h)の間に絶縁膜5
71を備える。これにより、配線BR(g,h)と信号線ML(h)の短絡を防ぐことが
できる。
【0237】
《絶縁膜572》
例えば、第2の絶縁膜501Bに用いることができる材料を、絶縁膜572に用いること
ができる。
【0238】
なお、半導体装置500Dは端子519Dと同一の工程で形成することができる端子を有
する。また、制御線CL(g)または信号線ML(h)のいずれかは、端子と電気的に接
続される。これにより、制御線CL(g)は例えば制御信号を供給されることができ、信
号線ML(h)は例えば検知信号を供給することができる。
【0239】
<半導体装置の構成例5.>
本発明の一態様の半導体装置の別の構成について、
図26および
図27を参照しながら説
明する。
【0240】
図26および
図27は本発明の一態様の半導体装置500Eの構成を説明する図である。
具体的には、近接センサ付き表示パネルの構成を説明する図である。
【0241】
図26は
図1(A)に示す切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6における本発明の
一態様の半導体装置500Eの断面図である。
【0242】
図27(A)は本発明の一態様の位置情報入力パネルの投影図である。なお、説明の便宜
のために位置情報入力パネルの一部を拡大して図示する。
図27(B)は位置情報入力パ
ネルの近接センサの上面図であり、
図27(C)は
図27(B)の切断線X9-X10に
おける断面図である。
【0243】
なお、半導体装置500Eは、近接センサ575を備える点、絶縁膜572を備える点、
遮光膜BMを備える点、絶縁膜574を備える点が、
図4を参照しながら説明する半導体
装置500Bとは異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用い
ることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0244】
なお、近接センサ575は、基材570および機能層520の間に挟まれる領域を備える
。
【0245】
また、遮光膜BMは、基材570および近接センサ575の間に挟まれる領域を備える。
【0246】
また、絶縁膜574は、近接センサ575および遮光膜BMの間に挟まれる領域を備える
。
【0247】
《近接センサ575》
例えば、第1の電極C1(g)と第2の電極C2(h)と、を近接センサ575に用いる
ことができる(
図27(A)および
図27(B)参照)。なお、第2の電極C2(h)は
、第1の電極C1(g)と重ならない部分を備える。また、gおよびhは1以上の自然数
である。
【0248】
具体的には、行方向(図中にRで示す矢印の方向)に延在する制御線CL(g)に電気的
に接続される第1の電極C1(g)と、行方向と交差する列方向(図中にCで示す矢印の
方向)に延在する信号線ML(h)に電気的に接続される第2の電極C2(h)とを、近
接センサ575に用いることができる。
【0249】
例えば、透光性の領域を画素502(i,j)と重なる領域に具備する導電膜を、第1の
電極C1(g)または第2の電極C2(h)に用いることができる。
【0250】
例えば、開口部576を画素502(i,j)と重なる領域に具備する網目状の導電膜を
、第1の電極C1(g)または第2の電極C2(h)に用いることができる。
【0251】
制御線CL(g)は配線BR(g,h)を備える。制御線CL(g)は、配線BR(g,
h)において信号線ML(h)と交差する(
図27(C)参照)。
【0252】
例えば、端子519D、配線511、走査線G(i)、信号線S(j)、配線ANOまた
は配線VCOM等に用いることができる材料を、第1の電極C1(g)、第2の電極C2
(h)、制御線CL(g)または信号線ML(h)に用いることができる。
【0253】
また、近接センサ575は、配線BR(g,h)および信号線ML(h)の間に絶縁膜5
71を備える。これにより、配線BR(g,h)と信号線ML(h)の短絡を防ぐことが
できる。
【0254】
《絶縁膜572、絶縁膜574》
例えば、第2の絶縁膜501Bに用いることができる材料を、絶縁膜572または絶縁膜
574に用いることができる。
【0255】
《遮光膜BM》
例えば、可視光に対する反射率が近接センサ575より低い膜を、遮光膜BMに用いるこ
とができる。これにより、第1の電極C1(g)、第2の電極C2(h)、制御線CL(
g)または信号線ML(h)等による可視光の反射を弱めることができる。
【0256】
例えば、遮光性を有する材料を遮光層BMに用いることができる。
【0257】
具体的には、顔料を分散した樹脂または染料を含む樹脂などを遮光膜BMに用いることが
できる。例えば、カーボンブラックを分散した樹脂を用いることができる。
【0258】
具体的には、無機化合物、無機酸化物、複数の無機酸化物の固溶体を含む複合酸化物等を
用いることができる。例えば、黒色クロム膜、酸化第2銅を含む膜、塩化銅または塩化テ
ルルを含む膜などを用いることができる。
【0259】
なお、半導体装置500Eは、接合層505および近接センサ575の間に絶縁膜572
を備える。例えば、第2の絶縁膜501Bに用いることができる材料を、絶縁膜572に
用いることができる。
【0260】
《基材570》
複数の層が積層された材料を、基材570に用いることができる。例えば、基材と基材に
含まれる不純物の拡散を防ぐ絶縁膜等が積層された材料を、基材570に用いることがで
きる。
【0261】
具体的には、絶縁膜570A、基材570Bまたは樹脂570Cを基材570に用いるこ
とができる。基材570Bは絶縁膜570Aと重なる領域を備え、樹脂570Cは絶縁膜
570Aおよび基材570Bを貼り合わせる機能を備える。
【0262】
酸化シリコン層、窒化シリコン層または酸化窒化シリコン層等から選ばれた一または複数
の膜が積層された材料を絶縁膜570Aに用いることができる。
【0263】
例えば、ガラス、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボ
ネート若しくはアクリル樹脂等の樹脂フィルム、樹脂板または積層体等を、基材570B
に用いることができる。
【0264】
例えば、接合層505に用いることができる材料を、樹脂570Cに用いることができる
。
【0265】
なお、半導体装置500Eは制御線CL(g)または信号線ML(h)等を形成する工程
と同一の工程で形成することができる端子を基材570および接合層505の間に有する
。また、制御線CL(g)または信号線ML(h)のいずれかは、端子と電気的に接続さ
れる。これにより、制御線CL(g)は例えば制御信号を供給されることができ、信号線
ML(h)は例えば検知信号を供給することができる。
【0266】
<半導体装置の構成例6.>
本発明の一態様の半導体装置の別の構成について、
図28および
図29を参照しながら説
明する。
【0267】
図28および
図29は本発明の一態様の半導体装置500Fの構成を説明する図である。
具体的には、近接センサ付き表示パネルの構成を説明する図である。
【0268】
図28は
図1(A)に示す切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6における本発明の
一態様の半導体装置500Fの断面図である。
【0269】
図29(A)は本発明の一態様の位置情報入力パネルの投影図である。なお、説明の便宜
のために位置情報入力パネルの一部を拡大して図示する。
図29(B)は位置情報入力パ
ネルの近接センサの上面図であり、
図29(C)は
図29(B)の切断線X9-X10に
おける断面図である。
【0270】
なお、半導体装置500Fは、導電膜CL(g)Aおよび暗色膜CL(g)Bを積層した
積層膜を備える点が、
図26を参照しながら説明する半導体装置500Eとは異なる。こ
こでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、上記
の説明を援用する。
【0271】
なお、近接センサ575は、基材570および機能層520の間に挟まれる領域を備える
。
【0272】
また、導電膜CL(g)Aは、暗色膜CL(g)Bおよび回路530(i,j)の間に挟
まれる領域を備える。暗色膜CL(g)Bの可視光に対する反射率は、導電膜CL(g)
Aより低い。これにより、第1の電極C1(g)、第2の電極C2(h)、制御線CL(
g)または信号線ML(h)により反射される可視光の強度を、遮光膜BMを用いること
なく弱めることができる。その結果、使用する材料を少なくすることができる。また、表
示素子の表示を際立たせ、良好な表示をすることができる。また、半導体装置500Fを
薄くすることができる。また、半導体装置500Fを屈曲する際に絶縁膜570Aなどに
生じるストレスを、軽減することができる。
【0273】
また、半導体装置500Fは、着色層CFBおよび着色層CFGを備える。着色層CFB
および着色層CFGは基材570および機能層520の間に挟まれる領域を備える。
【0274】
例えば、着色膜CFに用いることができる材料を、着色層CFBおよび着色層CFGに用
いることができる。
【0275】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0276】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の作製方法について、
図5乃至
図7を参
照しながら説明する。
【0277】
図5は本発明の一態様の半導体装置の作製方法を説明するフロー図である。
図6および図
7は本発明の一態様の半導体装置の作製方法を説明する図である。
【0278】
図6(A2)、
図6(B2)、
図6(C2)および
図6(D2)は、半導体装置の作製工
程中の部材の上面図であり、
図6(A1)は、
図6(A2)の切断線W1-W2における
断面図であり、
図6(B1)は、
図6(B2)の切断線W1-W2における断面図であり
、
図6(C1)は、
図6(C2)の切断線W1-W2における断面図であり、
図6(D1
)は、
図6(D2)の切断線W1-W2における断面図である。
【0279】
図7(A2)、
図7(C2)および
図7(D2)は、半導体装置の作製工程中の部材の上
面図であり、
図7(A1)および
図7(B)は、
図7(A2)の切断線W1-W2におけ
る断面図であり、
図7(C1)は、
図7(C2)の切断線W1-W2における断面図であ
り、
図7(D1)は、
図7(D2)の切断線W1-W2における断面図である。
【0280】
<作製方法例>
本実施の形態で説明する半導体装置の作製方法は、以下の8つのステップを有する(
図5
参照)。
【0281】
なお、本実施の形態で説明する半導体装置は、開口部を備える第2の絶縁膜13bと、開
口部を貫通する第1の接続部13cと、第2の絶縁膜13bの一方の面に接し、第1の接
続部13cと電気的に接続される端子13aと、第2の絶縁膜13bの反対の面において
、第1の接続部13cと電気的に接続される回路13dと、を有する(
図7(D1)およ
び
図7(D2)参照)。そして、端子13aは、第2の絶縁膜13bに埋め込まれた領域
および第2の絶縁膜13bから露出した領域を備える。また、回路13dは、半導体素子
を含む。
【0282】
《第1のステップ》
第1のステップにおいて、第1の絶縁膜13eを、工程用の基板11に形成する(
図5(
U1)参照)。
【0283】
例えば、基板11に形成された剥離膜12を基板11との間に挟むように、第1の絶縁膜
13eを形成する。
【0284】
後のステップにおいて、剥離膜12から第1の絶縁膜13eを分離できる材料を剥離膜1
2に用いることができる。または、剥離膜12から基板11を分離できる材料を、剥離膜
12に用いることができる。
【0285】
具体的には、酸化タングステンを含む膜を剥離膜12に用い、酸化シリコンを含む膜を第
1の絶縁膜13eに用いることができる。または、ポリイミドを含む材料を剥離膜12に
用いることができる。
【0286】
例えば、無アルカリガラスを工程用の基板11に用いることができる。
【0287】
例えば、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、亜酸化窒素(N2O)ガスを用いたプラズマ処
理または酸化力の強い溶液(例えば、オゾン水等)を用いる処理等を用いて、タングステ
ンを含む膜の表面に酸化タングステンを含む膜を形成できる。また、第1の絶縁膜13e
に用いる酸化シリコンを含む膜を、剥離膜12に用いる酸化タングステンを含む膜に接し
た状態で加熱する。
【0288】
例えば、モノマーを含む膜を形成し、加熱して、ポリイミドを含む膜を形成できる。
【0289】
《第2のステップ》
第2のステップにおいて、端子13aを、第1の絶縁膜13eと重なる領域を備えるよう
に形成する(
図5(U2)、
図6(A1)および
図6(A2)参照)。
【0290】
《第3のステップ》
第3のステップにおいて、開口部を備える第2の絶縁膜13bを、一方の面を端子13a
に接し、端子13aの一部を埋め込むように形成する(
図5(U3)、
図6(B1)およ
び
図6(B2)参照)。
【0291】
《第4のステップ》
第4のステップにおいて、開口部を貫通する第1の接続部13cを、端子13aと電気的
に接続するように形成する(
図5(U4)参照)。
【0292】
《第5のステップ》
第5のステップにおいて、回路13dを、第2の絶縁膜13bの反対の面において第1の
接続部13cと電気的に接続するように形成する(
図5(U5)、
図6(C1)および図
6(C2)参照)。
【0293】
《第6のステップ》
第6のステップにおいて、可撓性を備える領域を備える基材42を、第2の絶縁膜13b
と可撓性を備える領域の間に回路13dが配設されるように積層する(
図5(U6)、図
6(D1)および
図6(D2)参照)。
【0294】
具体的には、可撓性を備える領域を備える基材42と回路13dが重なるように、接合層
30を用いて貼り合わせる。
【0295】
《第7のステップ》
第7のステップにおいて、工程用の基板11を分離する(
図5(U7)、
図7(C1)お
よび
図7(C2)参照)。
【0296】
例えば、基板11側から鋭利な先端を備える刃物等を用いて第1の絶縁膜13eを切削も
しくは刺突する方法またはレーザ等を用いる方法(具体的にはレーザアブレーション法)
等を用いて、第1の絶縁膜13eの一部を基板11から分離する。これにより、剥離の起
点91Sを形成することができる(
図7(A1)および
図7(A2)参照)。
【0297】
基板11が第1の絶縁膜13eから分離した構造を剥離の起点91Sから徐々に広げ、第
1の絶縁膜13eから基板11を分離する(
図7(B)参照)。
【0298】
なお、剥離膜12と第1の絶縁膜13eの界面近傍にイオンを照射して、静電気を取り除
きながら分離してもよい。具体的には、イオナイザーを用いて生成されたイオンを照射し
てもよい。
【0299】
また、剥離膜12から第1の絶縁膜13eを分離する際に、剥離膜12と第1の絶縁膜1
3eの界面に液体を浸透させてもよい。または、ノズル99から噴出する液体を吹き付け
てもよい。例えば、水または極性溶媒等を、浸透させる液体または吹き付ける液体に用い
ることができる。または、剥離膜12を溶かす液体を用いることができる。
【0300】
液体を浸透させることにより、剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができ
る。
【0301】
特に、酸化タングステンを含む剥離膜12から第1の絶縁膜13eを剥離する際に、水を
含む液体を浸透または吹き付ける。これにより、剥離に伴って第1の絶縁膜13eに加わ
る応力を低減することができる。
【0302】
《第8のステップ》
第8のステップにおいて、第1の絶縁膜13eを、端子13aが露出するように除去する
(
図5(U8)、
図7(D1)および
図7(D2)参照)。
【0303】
例えば、エッチング法または化学機械研磨を用いて第1の絶縁膜13eを除去することが
できる。具体的には、ウエットエッチング法またはドライエッチング法等を用いることが
できる。
【0304】
以上の第1のステップ乃至第8のステップを経て、本発明の一態様の半導体装置を作製す
ることができる(
図7(D1)および
図7(D2)参照)。これにより、工程用の基板1
1を用いて半導体素子を含む回路13dおよび回路13dと電気的に接続される端子13
aを形成し、回路13dおよび端子13aから工程用の基板11を分離して、端子13a
を露出させることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置の
作製方法を提供することができる。
【0305】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0306】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の作製方法について、
図8乃至
図14を
参照しながら説明する。
【0307】
図8は本発明の一態様の半導体装置の作製方法を説明するフロー図である。
図9乃至
図1
4は本発明の一態様の半導体装置の作製方法を説明する図である。
【0308】
図9乃至
図14は、
図1(A)に示す切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6におけ
る、半導体装置500の作製工程中の部材の断面図である。
【0309】
<作製方法例>
本実施の形態で説明する半導体装置の作製方法は、以下の9つのステップを有する(
図8
参照)。
【0310】
なお、本実施の形態で説明する半導体装置500は、開口部を備える第2の絶縁膜501
Bと、開口部を貫通する第1の接続部591と、第2の絶縁膜501Bの一方の面に接し
、第1の接続部591と電気的に接続される端子519Dと、第2の絶縁膜501Bの反
対の面において、第1の接続部591と電気的に接続される回路530(i,j)と、を
有する(
図14参照)。なお、回路530(i,j)は例えばトランジスタMを含む。ま
た、第2の絶縁膜501Bと重なる領域を備える基材570を有する。また、回路530
(i,j)と電気的に接続される表示素子550を有する。
【0311】
そして、端子519Dは、第2の絶縁膜501Bに埋め込まれた領域および第2の絶縁膜
501Bから露出した領域を備える。
【0312】
また、第2の絶縁膜501Bは、3nm以上1500nm以下、好ましくは10nm以上
1200nm以下、より好ましくは100nm以上1000nm以下、さらに好ましくは
300nm以上800nm以下の厚さを備える。
【0313】
また、基材570は、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する。
【0314】
また、回路530(i,j)は、半導体素子を含み、回路530(i,j)は、第2の絶
縁膜501Bと可撓性を備える領域の間または第2の絶縁膜501Bと湾曲した領域の間
に配設される。
【0315】
また、表示素子550は、可撓性を備える領域と第2の絶縁膜501Bの間または湾曲し
た領域と第2の絶縁膜501Bの間に配設される。
【0316】
なお、本実施の形態で説明する半導体装置500は、回路530(i,j)と、回路53
0(i,j)と電気的に接続される表示素子550と、を備える画素502(i,j)を
有する(
図1(A)および
図1(B)参照)。半導体装置500が表示素子550を備え
る場合、半導体装置500を表示パネルということもできる。
【0317】
《第1のステップ》
第1のステップにおいて、第1の絶縁膜501Aを、工程用の基板510に形成する(図
8(V1)参照)。
【0318】
例えば、無アルカリガラスを工程用の基板510に用いることができる。
【0319】
また、工程用の基板510に形成したタングステン膜の表面に、亜酸化窒素(N2O)ガ
スを用いるプラズマ処理を施した膜を、剥離膜510Wに用いることができる。
【0320】
また、600nmの酸化窒化シリコン膜および厚さ200nmの窒化シリコン膜が積層さ
れた積層材料を含む膜を、第1の絶縁膜501Aに用いることができる。
【0321】
また、厚さ600nmの酸化窒化シリコン膜、厚さ200nmの窒化シリコン膜、厚さ2
00nmの酸化窒化シリコン膜、厚さ140nmの窒化酸化シリコン膜および厚さ100
nmの酸化窒化シリコン膜がこの順に積層された積層材料を含む膜を、第1の絶縁膜50
1Aに用いることができる。
【0322】
《第2のステップ》
第2のステップにおいて、端子519Dを、第1の絶縁膜501Aと重なる領域を備える
ように形成する(
図8(V2)参照)。
【0323】
《第3のステップ》
第3のステップにおいて、開口部を備える第2の絶縁膜501Bを、一方の面を端子51
9Dに接し、端子519Dの一部を埋め込むように形成する(
図8(V3)参照)。
【0324】
後のステップにおいて、第1の絶縁膜501Aを選択的に除去することができる材料を、
第2の絶縁膜501Bに用いる。
【0325】
なお、端子519Dを形成した後に第2の絶縁膜501Bを形成するため、第2の絶縁膜
501Bは端子519Dの側面および背面に接する。これにより、第2の絶縁膜501B
に埋め込まれた領域が端子519Dの一部に設けられる。
【0326】
また、本実施の形態では、複数の膜が積層された構成を第2の絶縁膜501Bに用いる例
を説明するが、単数の膜を第2の絶縁膜501Bに用いてもよい。
【0327】
《第4のステップ》
第4のステップにおいて、開口部を貫通する第1の接続部591を、端子519Dと電気
的に接続するように形成する(
図8(V4)および
図9参照)。
【0328】
《第5のステップ》
第5のステップにおいて、回路530(i,j)を、第2の絶縁膜501Bの反対の面に
おいて第1の接続部591と電気的に接続するように形成する(
図8(V5)および
図1
0参照)。また、後のステップで形成する表示素子550と電気的に接続する第2の接続
部592を形成する。
【0329】
例えば、スイッチSW1、トランジスタMを回路530(i,j)に用いることができる
。
【0330】
また、回路530(i,j)を形成する工程において、駆動回路GDを形成することがで
きる。例えば、トランジスタMDを駆動回路GDに用いることができる。
【0331】
《第6のステップ》
第6のステップにおいて、表示素子550を回路530(i,j)と電気的に接続するよ
うに形成する(
図8(V6)および
図11参照)。なお、これにより、機能層520が形
成される。
【0332】
なお、機能層520を保護する保護膜573を形成することができる。例えば、無機材料
を含む膜を保護膜573aに用い、有機材料を含む膜を保護膜573bに用い、無機材料
を含む膜を保護膜573cに用いることができる。具体的には、原子層堆積法、化学気相
成長法、スパッタリング法または印刷法等を用いて、保護膜573を形成することができ
る。
【0333】
原子層堆積法を用いると、ピンホールや細孔等の欠陥の少ない保護膜573を形成するこ
とができる。
【0334】
端子519Dが第1の絶縁膜501A等で覆われている状態で、保護膜573を形成する
ため、保護膜573が端子519Dに接することがない。これにより、後の第1の絶縁膜
501Aを除去するステップにおいて、端子519Dを容易に露出させることができる。
【0335】
《第7のステップ》
第7のステップにおいて、可撓性を備える領域または湾曲した領域を有する基材570を
、第2の絶縁膜501Bと可撓性を備える領域の間または第2の絶縁膜501Bと湾曲し
た領域の間に回路530(i,j)が配設されるように積層する(
図8(V7)および図
12参照)。
【0336】
例えば、流動性を備える状態で接合層505を形成し、基材570に用いる可撓性のフィ
ルムと機能層520を貼り合わせ、接合層505を硬化する。
【0337】
《第8のステップ》
第8のステップにおいて、工程用の基板を分離する(
図8(V8)および
図13参照)。
【0338】
例えば、基材570の側から鋭利な先端を備える刃物等を用いて第1の絶縁膜501Aを
切削もしくは刺突する方法またはレーザ等を用いる方法(具体的にはレーザアブレーショ
ン法)等を用いて、第1の絶縁膜501Aの一部を基板510から分離する。これにより
、剥離の起点を形成することができる。
【0339】
第1の絶縁膜501Aから基板510が分離した構造を、剥離の起点から徐々に広げ、第
1の絶縁膜501Aから基板510を分離する。
【0340】
《第9ステップ》
第9のステップにおいて、第1の絶縁膜501Aを、端子519Dが露出するように除去
する(
図8(V9)および
図14参照)。
【0341】
例えば、エッチング法または化学機械研磨を用いて第1の絶縁膜501Aを除去すること
ができる。具体的には、ウエットエッチング法またはドライエッチング法等を用いること
ができる。
【0342】
以上の第1のステップ乃至第9のステップを経て、本発明の一態様の半導体装置を作製す
ることができる(
図14参照)。これにより、工程用の基板を用いて半導体素子を含む回
路、回路と電気的に接続される表示素子および回路と電気的に接続される端子を形成し、
回路、表示素子および端子から工程用の基板を分離して、端子を露出させることができる
。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な半導体装置の作製方法を提供することが
できる。
【0343】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0344】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に用いることができるトランジスタの構
成について、
図15を参照しながら説明する。
【0345】
<半導体装置の構成例>
図15(A)は、トランジスタ100の上面図であり、
図15(C)は、
図15(A)に
示す切断線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、
図15(D)は、
図15(A
)に示す切断線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、
図15(A)に
おいて、煩雑になることを避けるため、トランジスタ100の構成要素の一部(ゲート絶
縁膜として機能する絶縁膜等)を省略して図示している。また、切断線X1-X2方向を
チャネル長方向、切断線Y1-Y2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。なお、
トランジスタの上面図においては、以降の図面においても
図15(A)と同様に、構成要
素の一部を省略して図示する場合がある。
【0346】
なお、トランジスタ100を実施の形態1で説明する半導体装置に用いることができる。
【0347】
例えば、トランジスタ100をトランジスタMに用いる場合は、基板102を絶縁膜50
1Cに、導電膜104を導電膜504に、絶縁膜106および絶縁膜107の積層膜を絶
縁膜506に、酸化物半導体膜108を半導体膜508に、導電膜112aを導電膜51
2Aに、導電膜112bを導電膜512Bに、絶縁膜114および絶縁膜116の積層膜
を絶縁膜516に、絶縁膜118を絶縁膜518に、それぞれ読み替えることができる。
【0348】
トランジスタ100は、基板102上のゲート電極として機能する導電膜104と、基板
102及び導電膜104上の絶縁膜106と、絶縁膜106上の絶縁膜107と、絶縁膜
107上の酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108に電気的に接続されるソース
電極として機能する導電膜112aと、酸化物半導体膜108に電気的に接続されるドレ
イン電極として機能する導電膜112bと、を有する。また、トランジスタ100上、よ
り詳しくは、導電膜112a、112b及び酸化物半導体膜108上には絶縁膜114、
116、及び絶縁膜118が設けられる。絶縁膜114、116、118は、トランジス
タ100の保護絶縁膜としての機能を有する。
【0349】
また、酸化物半導体膜108は、ゲート電極として機能する導電膜104側の酸化物半導
体膜108aと、酸化物半導体膜108a上の酸化物半導体膜108bと、を有する。ま
た、絶縁膜106及び絶縁膜107は、トランジスタ100のゲート絶縁膜としての機能
を有する。
【0350】
酸化物半導体膜108としては、In-M(Mは、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、
Ce、Nd、またはHfを表す)酸化物、In-M-Zn酸化物を用いることができる。
とくに、酸化物半導体膜108としては、In-M-Zn酸化物を用いると好ましい。
【0351】
また、酸化物半導体膜108aは、Inの原子数比がMの原子数比より多い第1の領域を
有する。また、酸化物半導体膜108bは、酸化物半導体膜108aよりもInの原子数
比が少ない第2の領域を有する。また、第2の領域は、第1の領域よりも薄い部分を有す
る。
【0352】
酸化物半導体膜108aにInの原子数比がMの原子数比より多い第1の領域を有するこ
とで、トランジスタ100の電界効果移動度(単に移動度、またはμFEという場合があ
る)を高くすることができる。具体的には、トランジスタ100の電界効果移動度が10
cm2/Vsを超えることが可能となる。
【0353】
例えば、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、ゲート信号を生成するゲートドラ
イバ(とくに、ゲートドライバが有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチ
プレクサ)に用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)半導体装置または表示装置
を提供することができる。
【0354】
一方で、Inの原子数比がMの原子数比より多い第1の領域を有する酸化物半導体膜10
8aとすることで、光照射時にトランジスタ100の電気特性が変動しやすくなる。しか
しながら、本発明の一態様の半導体装置においては、酸化物半導体膜108a上に酸化物
半導体膜108bが形成されている。また、酸化物半導体膜108bのチャネル領域近傍
の膜厚が酸化物半導体膜108aの膜厚よりも小さい。
【0355】
また、酸化物半導体膜108bは、酸化物半導体膜108aよりもInの原子数比が少な
い第2の領域を有するため、酸化物半導体膜108aよりもEgが大きくなる。したがっ
て、酸化物半導体膜108aと、酸化物半導体膜108bとの積層構造である酸化物半導
体膜108は、光負バイアスストレス試験による耐性が高くなる。
【0356】
上記構成の酸化物半導体膜とすることで、光照射時における酸化物半導体膜108の光吸
収量を低減させることができる。したがって、光照射時におけるトランジスタ100の電
気特性の変動を抑制することができる。また、本発明の一態様の半導体装置においては、
絶縁膜114または絶縁膜116中に過剰の酸素を含有する構成のため、光照射における
トランジスタ100の電気特性の変動をさらに、抑制することができる。
【0357】
ここで、酸化物半導体膜108について、
図15(B)を用いて詳細に説明する。
【0358】
図15(B)は、
図15(C)を用いて示すトランジスタ100の断面の、酸化物半導体
膜108の近傍を拡大した断面図である。
【0359】
図15(B)において、酸化物半導体膜108aの膜厚をt1として、酸化物半導体膜1
08bの膜厚をt2-1、及びt2-2として、それぞれ示している。酸化物半導体膜1
08a上には、酸化物半導体膜108bが設けられているため、導電膜112a、112
bの形成時において、酸化物半導体膜108aがエッチングガスまたはエッチング溶液等
に曝されることがない。したがって、酸化物半導体膜108aにおいては、膜減りがない
、または極めて少ない。一方で、酸化物半導体膜108bにおいては、導電膜112a、
112bの形成時において、酸化物半導体膜108bの導電膜112a、112bと重な
らない部分がエッチングされ、凹部が形成される。すなわち、酸化物半導体膜108bの
導電膜112a、112bと重なる領域の膜厚がt2-1となり、酸化物半導体膜108
bの導電膜112a、112bと重ならない領域の膜厚がt2-2となる。
【0360】
酸化物半導体膜108aと酸化物半導体膜108bの膜厚の関係は、t2-1>t1>t
2-2となると好ましい。このような膜厚の関係とすることによって、高い電界効果移動
度を有し、且つ光照射時における、しきい値電圧の変動量が少ないトランジスタとするこ
とが可能となる。
【0361】
また、トランジスタ100が有する酸化物半導体膜108は、酸素欠損が形成されるとキ
ャリアである電子が生じ、ノーマリーオン特性になりやすい。したがって、酸化物半導体
膜108中の酸素欠損、とくに酸化物半導体膜108a中の酸素欠損を減らすことが、安
定したトランジスタ特性を得る上でも重要となる。そこで、本発明の一態様のトランジス
タの構成においては、酸化物半導体膜108上の絶縁膜、ここでは、酸化物半導体膜10
8上の絶縁膜114及び/又は絶縁膜116に過剰な酸素を導入することで、絶縁膜11
4及び/又は絶縁膜116から酸化物半導体膜108中に酸素を移動させ、酸化物半導体
膜108中、とくに酸化物半導体膜108a中の酸素欠損を補填することを特徴とする。
【0362】
なお、絶縁膜114、116としては、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域
(酸素過剰領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁膜114、116は、
酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁膜114、116に酸素過剰領域
を設けるには、例えば、成膜後の絶縁膜114、116に酸素を導入して、酸素過剰領域
を形成する。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイ
マージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
【0363】
また、酸化物半導体膜108a中の酸素欠損を補填するためには、酸化物半導体膜108
bのチャネル領域近傍の膜厚を薄くした方が好適である。したがって、t2-2<t1の
関係を満たせばよい。例えば、酸化物半導体膜108bのチャネル領域近傍の膜厚として
は、好ましくは1nm以上20nm以下、さらに好ましくは、3nm以上10nm以下で
ある。
【0364】
以下に、本実施の形態の半導体装置に含まれるその他の構成要素について、詳細に説明す
る。
【0365】
《基板》
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の
耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サフ
ァイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料
とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基
板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられ
たものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用い
る場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200
mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800
mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大
型の表示装置を作製することができる。
【0366】
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ100
を形成してもよい。または、基板102とトランジスタ100の間に剥離層を設けてもよ
い。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分
離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ100は耐熱
性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
【0367】
《ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電膜》
ゲート電極として機能する導電膜104、及びソース電極として機能する導電膜112a
、及びドレイン電極として機能する導電膜112bとしては、クロム(Cr)、銅(Cu
)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo
)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、ニッ
ケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)から選ばれた金属元素、または上述した金
属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いてそれぞれ形
成することができる。
【0368】
また、導電膜104、112a、112bは、単層構造でも、二層以上の積層構造として
もよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン
膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上
にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタ
ングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層
し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタ
ン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれ
た一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0369】
また、導電膜104、112a、112bには、インジウム錫酸化物、酸化タングステン
を含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを
含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、
酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用するこ
ともできる。
【0370】
また、導電膜104、112a、112bには、Cu-X合金膜(Xは、Mn、Ni、C
r、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu-X合金膜を用いる
ことで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可
能となる。
【0371】
《ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜》
トランジスタ100のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106、107としては、プラ
ズマ化学気相堆積(PECVD:(Plasma Enhanced Chemical
Vapor Deposition))法、スパッタリング法等により、酸化シリコン
膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、
酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タ
ンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜
を一種以上含む絶縁膜を、それぞれ用いることができる。なお、絶縁膜106、107の
積層構造とせずに、上述の材料から選択された単層の絶縁膜、または3層以上の絶縁膜を
用いてもよい。
【0372】
また、絶縁膜106は、酸素の透過を抑制するブロッキング膜としての機能を有する。例
えば、絶縁膜107、114、116及び/または酸化物半導体膜108中に過剰の酸素
を供給する場合において、絶縁膜106は酸素の透過を抑制することができる。
【0373】
なお、トランジスタ100のチャネル領域として機能する酸化物半導体膜108と接する
絶縁膜107は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素
を含有する領域(酸素過剰領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁膜10
7は、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁膜107に酸素過剰領域を
設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜107を形成すればよい。または、成膜後
の絶縁膜107に酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入方法とし
ては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズ
マ処理等を用いることができる。
【0374】
また、絶縁膜107として、酸化ハフニウムを用いる場合、以下の効果を奏する。酸化ハ
フニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸
化シリコンを用いる場合に比べて膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電
流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現すること
ができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニ
ウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとする
ためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例とし
ては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定
されない。
【0375】
なお、本実施の形態では、絶縁膜106として窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜107と
して酸化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率
が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、トランジ
スタ100のゲート絶縁膜として、窒化シリコン膜を含むことで絶縁膜を物理的に厚膜化
することができる。よって、トランジスタ100の絶縁耐圧の低下を抑制、さらには絶縁
耐圧を向上させて、トランジスタ100の静電破壊を抑制することができる。
【0376】
《酸化物半導体膜》
酸化物半導体膜108としては、先に示す材料を用いることができる。
【0377】
酸化物半導体膜108がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜する
ために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを
満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比とし
て、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=
2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1が好ましい
。
【0378】
また、酸化物半導体膜108がIn-M-Zn酸化物の場合、スパッタリングターゲット
としては、多結晶のIn-M-Zn酸化物を含むターゲットを用いると好ましい。多結晶
のIn-M-Zn酸化物を含むターゲットを用いることで、結晶性を有する酸化物半導体
膜108を形成しやすくなる。なお、成膜される酸化物半導体膜108の原子数比はそれ
ぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラ
スマイナス40%の変動を含む。例えば、スパッタリングターゲットとして、原子数比が
In:Ga:Zn=4:2:4.1を用いる場合、成膜される酸化物半導体膜108の原
子数比は、In:Ga:Zn=4:2:3近傍となる場合がある。
【0379】
例えば、酸化物半導体膜108aとしては、上述のIn:M:Zn=2:1:3、In:
M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1等のスパッタリングターゲット
を用いて形成すればよい。また、酸化物半導体膜108bとしては、上述のIn:M:Z
n=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2等を用いて形成すればよい。なお、酸
化物半導体膜108bに用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比としては
、In≧M、Zn≧Mを満たす必要はなく、In≧M、Zn<Mを満たす組成でもよい。
具体的には、In:M:Zn=1:3:2等が挙げられる。
【0380】
また、酸化物半導体膜108は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5e
V以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化
物半導体を用いることで、トランジスタ100のオフ電流を低減することができる。とく
に、酸化物半導体膜108aには、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2eV
以上3.0eV以下の酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜108bには、エネルギー
ギャップが2.5eV以上3.5eV以下の酸化物半導体膜を用いると、好適である。ま
た、酸化物半導体膜108aよりも酸化物半導体膜108bのエネルギーギャップが大き
い方が好ましい。
【0381】
また、酸化物半導体膜108a、及び酸化物半導体膜108bの厚さは、それぞれ3nm
以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以
上50nm以下とする。なお、先に記載の膜厚の関係を満たすと好ましい。
【0382】
また、酸化物半導体膜108bとしては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。
例えば、酸化物半導体膜108bは、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好まし
くは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ま
しくは1×1011/cm3以下とする。
【0383】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果
移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする
トランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜108a、及び酸化物半導体膜
108bのキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距
離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0384】
なお、酸化物半導体膜108a、及び酸化物半導体膜108bとしては、それぞれ不純物
濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性
を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠
陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよ
ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少
ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該酸化物半導体膜にチャネル
領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリー
オンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性であ
る酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある
。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著し
く小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソー
ス電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ
電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下と
いう特性を得ることができる。
【0385】
したがって、上記高純度真性、または実質的に高純度真性の酸化物半導体膜にチャネル領
域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタと
することができる。なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失する
までに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、ト
ラップ準位密度の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気
特性が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはア
ルカリ土類金属等がある。
【0386】
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、
酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損に
水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金
属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、
水素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりや
すい。このため、酸化物半導体膜108は水素ができる限り低減されていることが好まし
い。具体的には、酸化物半導体膜108において、SIMS分析により得られる水素濃度
を、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3
以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/
cm3以下、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×10
17atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下と
する。
【0387】
また、酸化物半導体膜108aは、酸化物半導体膜108bよりも水素濃度が少ない部分
を有すると好ましい。酸化物半導体膜108aの方が、酸化物半導体膜108bよりも水
素濃度が少ない部分を有すことにより、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0388】
また、酸化物半導体膜108aにおいて、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含
まれると、酸化物半導体膜108aにおいて酸素欠損が増加し、n型化してしまう。この
ため、酸化物半導体膜108aにおけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体膜108
aとの界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMS分析により得られる濃度)を、2×1
018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする
。
【0389】
また、酸化物半導体膜108aにおいて、SIMS分析により得られるアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1
016atoms/cm3以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半
導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してし
まうことがある。このため、酸化物半導体膜108aのアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の濃度を低減することが好ましい。
【0390】
また、酸化物半導体膜108aに窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キ
ャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を
用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体膜にお
いて、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、SIMS分析により得
られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
【0391】
また、酸化物半導体膜108a、及び酸化物半導体膜108bは、それぞれ非単結晶構造
でもよい。非単結晶構造は、例えば、CAAC-OS(C Axis Aligned
a-b plane anchored Crystalline Oxide Sem
iconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶
構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密
度が低い。
【0392】
《トランジスタの保護絶縁膜として機能する絶縁膜》
絶縁膜114、116は、酸化物半導体膜108に酸素を供給する機能を有する。また、
絶縁膜118は、トランジスタ100の保護絶縁膜としての機能を有する。また、絶縁膜
114、116は、酸素を有する。また、絶縁膜114は、酸素を透過することのできる
絶縁膜である。なお、絶縁膜114は、後に形成する絶縁膜116を形成する際の、酸化
物半導体膜108へのダメージ緩和膜としても機能する。
【0393】
絶縁膜114としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50n
m以下の酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
【0394】
また、絶縁膜114は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により
、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が
3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、絶縁膜114に含
まれる欠陥密度が多いと、該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜114における酸素の
透過量が減少してしまう。
【0395】
なお、絶縁膜114においては、外部から絶縁膜114に入った酸素が全て絶縁膜114
の外部に移動せず、絶縁膜114にとどまる酸素もある。また、絶縁膜114に酸素が入
ると共に、絶縁膜114に含まれる酸素が絶縁膜114の外部へ移動することで、絶縁膜
114において酸素の移動が生じる場合もある。絶縁膜114として酸素を透過すること
ができる酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜114上に設けられる、絶縁膜116から脱
離する酸素を、絶縁膜114を介して酸化物半導体膜108に移動させることができる。
【0396】
また、絶縁膜114は、窒素酸化物に起因する準位密度が低い酸化物絶縁膜を用いて形成
することができる。なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、酸化物半導体膜の価電
子帯の上端のエネルギー(Ev_os)と酸化物半導体膜の伝導帯の下端のエネルギー(
Ec_os)の間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁膜として、窒素酸化物の放
出量が少ない酸化窒化シリコン膜、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニ
ウム膜等を用いることができる。
【0397】
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法において
、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの
放出量が1×1018/cm3以上5×1019/cm3以下である。なお、アンモニア
の放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以
下の加熱処理による放出量とする。
【0398】
窒素酸化物(NOx、xは0より大きく2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的には
NO2またはNOは、絶縁膜114などに準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体膜
108のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁膜114及び
酸化物半導体膜108の界面に拡散すると、当該準位が絶縁膜114側において電子をト
ラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁膜114及び酸化物半導
体膜108界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさ
せてしまう。
【0399】
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁膜114に
含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁膜116に含まれるアンモニアと反応す
るため、絶縁膜114に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁膜114及び
酸化物半導体膜108の界面において、電子がトラップされにくい。
【0400】
絶縁膜114として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧の
シフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することがで
きる。
【0401】
なお、トランジスタの作製工程の加熱処理、代表的には300℃以上350℃未満の加熱
処理により、絶縁膜114は、100K以下のESRで測定して得られたスペクトルにお
いてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.
003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナ
ルが観測される。なお、第1のシグナル及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2
のシグナル及び第3のシグナルのスプリット幅は、XバンドのESR測定において約5m
Tである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.0
01以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下で
ある第3のシグナルのスピンの密度の合計が1×1018spins/cm3未満であり
、代表的には1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満
である。
【0402】
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の
第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.
964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0より大きく
2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例とし
ては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下の
第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1
.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、
酸化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
【0403】
また、上記酸化物絶縁膜は、SIMSで測定される窒素濃度が6×1020atoms/
cm3以下である。
【0404】
膜の表面温度が220℃以上350℃以下であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPE
CVD法を用いて、上記酸化物絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜
を形成することができる。
【0405】
絶縁膜116は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用
いて形成する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加
熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸
化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1019
atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸
化物絶縁膜である。なお、上記TDSにおける膜の表面温度としては100℃以上700
℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
【0406】
絶縁膜116としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上4
00nm以下の、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
【0407】
また、絶縁膜116は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により
、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が
1.5×1018spins/cm3未満、さらには1×1018spins/cm3以
下であることが好ましい。なお、絶縁膜116は、絶縁膜114と比較して酸化物半導体
膜108から離れているため、絶縁膜114より、欠陥密度が多くともよい。
【0408】
また、絶縁膜114、116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁膜
114と絶縁膜116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形
態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の界面は、破線で図示している。なお、本実
施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の2層構造について説明したが、これ
に限定されず、例えば、絶縁膜114の単層構造としてもよい。
【0409】
絶縁膜118は、窒素を有する。また、絶縁膜118は、窒素及びシリコンを有する。ま
た、絶縁膜118は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキン
グできる機能を有する。絶縁膜118を設けることで、酸化物半導体膜108からの酸素
の外部への拡散と、絶縁膜114、116に含まれる酸素の外部への拡散と、外部から酸
化物半導体膜108への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。絶縁膜118として
は、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコ
ン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、酸素
、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁
膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよ
い。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニ
ウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸
化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0410】
なお、上記記載の、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜は、スパッタリング
法やPECVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(Che
mical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱CVD法
の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor
Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition
)法を用いても良い。
【0411】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成
されることが無いという利点を有する。
【0412】
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧ま
たは減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行
ってもよい。
【0413】
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順
次チャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例
えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の
原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料
ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2
の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャ
リアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい
。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、
第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成
膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて
薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返す
ことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序
を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細
なFETを作製する場合に適している。
【0414】
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、上記実施形態の導電膜、絶縁膜、酸化物半
導体膜、金属酸化膜などの様々な膜を形成することができ、例えば、In-Ga-ZnO
膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛
を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、ト
リメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は
、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウ
ムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメ
チル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
【0415】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒と
ハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルア
ミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化
剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフ
ニウムの化学式はHf[N(CH3)2]4である。また、他の材料液としては、テトラ
キス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
【0416】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒
とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気
化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルア
ルミニウムの化学式はAl(CH3)3である。また、他の材料液としては、トリス(ジ
メチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,
2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)などがある。
【0417】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサク
ロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2
、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
【0418】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガ
スとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6
ガスとH2ガスを用いてタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH
4ガスを用いてもよい。
【0419】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn-Ga-ZnO膜
を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn-O
層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを用いてGaO層を形成し、更に
その後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを用いてZnO層を形成する。なお、これらの層
の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn-Ga-O層やIn-Zn
-O層、Ga-Zn-O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変え
てAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含ま
ないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2
H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)
3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
【0420】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0421】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に用いることができるトランジスタの構
成について、
図16を参照しながら説明する。
【0422】
<半導体装置の構成例>
図16(A)は、トランジスタ100の上面図であり、
図16(B)は、
図16(A)に
示す切断線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、
図16(C)は、
図16(A
)に示す切断線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、
図16(A)に
おいて、煩雑になることを避けるため、トランジスタ100の構成要素の一部(ゲート絶
縁膜として機能する絶縁膜等)を省略して図示している。また、切断線X1-X2方向を
チャネル長方向、切断線Y1-Y2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。なお、
トランジスタの上面図においては、以降の図面においても
図16(A)と同様に、構成要
素の一部を省略して図示する場合がある。
【0423】
なお、トランジスタ100を実施の形態1で説明する半導体装置に用いることができる。
【0424】
例えば、トランジスタ100をトランジスタMDに用いる場合は、基板102を絶縁膜5
01Cに、導電膜104を導電膜504に、絶縁膜106および絶縁膜107の積層膜を
絶縁膜506に、酸化物半導体膜108を半導体膜508に、導電膜112aを導電膜5
12Aに、導電膜112bを導電膜512Bに、絶縁膜114および絶縁膜116の積層
膜を絶縁膜516に、絶縁膜118を絶縁膜518に、導電膜120bを導電膜524に
、それぞれ読み替えることができる。
【0425】
トランジスタ100は、基板102上の第1のゲート電極として機能する導電膜104と
、基板102及び導電膜104上の絶縁膜106と、絶縁膜106上の絶縁膜107と、
絶縁膜107上の酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108に電気的に接続される
ソース電極として機能する導電膜112aと、酸化物半導体膜108に電気的に接続され
るドレイン電極として機能する導電膜112bと、酸化物半導体膜108、導電膜112
a、及び112b上の絶縁膜114、116と、絶縁膜116上に設けられ、且つ導電膜
112bと電気的に接続される導電膜120aと、絶縁膜116上の導電膜120bと、
絶縁膜116及び導電膜120a、120b上の絶縁膜118と、を有する。
【0426】
また、トランジスタ100において、絶縁膜106、107は、トランジスタ100の第
1のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜114、116は、トランジスタ100の
第2のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜118は、トランジスタ100の保護絶
縁膜としての機能を有する。なお、本明細書等において、絶縁膜106、107を第1の
絶縁膜と、絶縁膜114、116を第2の絶縁膜と、絶縁膜118を第3の絶縁膜と、そ
れぞれ呼称する場合がある。
【0427】
なお、導電膜120bをトランジスタ100の第2のゲート電極に用いることができる。
【0428】
また、トランジスタ100を半導体装置の画素部に用いる場合は、導電膜120aを表示
素子の電極等に用いることができる。
【0429】
また、酸化物半導体膜108は、第1のゲート電極として機能する導電膜104側の酸化
物半導体膜108bと、酸化物半導体膜108b上の酸化物半導体膜108cと、を有す
る。また、酸化物半導体膜108b及び酸化物半導体膜108cは、Inと、M(MはA
l、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有する。
【0430】
例えば、酸化物半導体膜108bとしては、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域
を有すると好ましい。また、酸化物半導体膜108cとしては、酸化物半導体膜108b
よりもInの原子数が少ない領域を有すると好ましい。
【0431】
酸化物半導体膜108bが、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有することで
、トランジスタ100の電界効果移動度(単に移動度、またはμFEという場合がある)
を高くすることができる。具体的には、トランジスタ100の電界効果移動度が10cm
2/Vsを超える、さらに好ましくはトランジスタ100の電界効果移動度が30cm2
/Vsを超えることが可能となる。
【0432】
例えば、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、ゲート信号を生成するゲートドラ
イバ(とくに、ゲートドライバが有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチ
プレクサ)に用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)半導体装置または表示装置
を提供することができる。
【0433】
一方で、酸化物半導体膜108bが、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有す
る場合、光照射時にトランジスタ100の電気特性が変動しやすくなる。しかしながら、
本発明の一態様の半導体装置においては、酸化物半導体膜108b上に酸化物半導体膜1
08cが形成されている。また、酸化物半導体膜108cは、酸化物半導体膜108bよ
りもInの原子数比が少ない領域を有するため、酸化物半導体膜108bよりもEgが大
きくなる。したがって、酸化物半導体膜108bと、酸化物半導体膜108cとの積層構
造である酸化物半導体膜108は、光負バイアスストレス試験による耐性を高めることが
可能となる。
【0434】
また、酸化物半導体膜108中、特に酸化物半導体膜108bのチャネル領域に混入する
水素または水分などの不純物は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。した
がって、酸化物半導体膜108b中のチャネル領域においては、水素または水分などの不
純物が少ないほど好ましい。また、酸化物半導体膜108b中のチャネル領域に形成され
る酸素欠損は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。例えば、酸化物半導体
膜108bのチャネル領域中に酸素欠損が形成されると、該酸素欠損に水素が結合し、キ
ャリア供給源となる。酸化物半導体膜108bのチャネル領域中にキャリア供給源が生成
されると、酸化物半導体膜108bを有するトランジスタ100の電気特性の変動、代表
的にはしきい値電圧のシフトが生じる。したがって、酸化物半導体膜108bのチャネル
領域においては、酸素欠損が少ないほど好ましい。
【0435】
そこで、本発明の一態様においては、酸化物半導体膜108に接する絶縁膜、具体的には
、酸化物半導体膜108の下方に形成される絶縁膜107、及び酸化物半導体膜108の
上方に形成される絶縁膜114、116が過剰酸素を含有する構成である。絶縁膜107
、及び絶縁膜114、116から酸化物半導体膜108へ酸素または過剰酸素を移動させ
ることで、酸化物半導体膜中の酸素欠損を低減することが可能となる。よって、トランジ
スタ100の電気特性、特に光照射におけるトランジスタ100の変動を抑制することが
可能となる。
【0436】
また、本発明の一態様においては、絶縁膜107、及び絶縁膜114、116に過剰酸素
を含有させるために、作製工程の増加がない、または作製工程の増加が極めて少ない作製
方法を用いる。よって、トランジスタ100の歩留まりを高くすることが可能である。
【0437】
具体的には、酸化物半導体膜108bを形成する工程において、スパッタリング法を用い
、酸素ガスを含む雰囲気にて酸化物半導体膜108bを形成することで、酸化物半導体膜
108bの被形成面となる、絶縁膜107に酸素または過剰酸素を添加する。
【0438】
また、導電膜120a、120bを形成する工程において、スパッタリング法を用い、酸
素ガスを含む雰囲気にて導電膜120a、120bを形成することで、導電膜120a、
120bの被形成面となる、絶縁膜116に酸素または過剰酸素を添加する。なお、絶縁
膜116に酸素または過剰酸素を添加する際に、絶縁膜116の下方に位置する絶縁膜1
14、及び酸化物半導体膜108にも酸素または過剰酸素が添加される場合がある。
【0439】
<酸化物導電体>
次に、酸化物導電体について説明する。導電膜120a、120bを形成する工程におい
て、導電膜120a、120bは、絶縁膜114、116から酸素の放出を抑制する保護
膜として機能する。また、導電膜120a、120bは、絶縁膜118を形成する工程の
前においては、半導体としての機能を有し、絶縁膜118を形成する工程の後においては
、導電膜120a、120bは、導電体としての機能を有する。
【0440】
導電膜120a、120bを導電体として機能させるためには、導電膜120a、120
bに酸素欠損を形成し、該酸素欠損に絶縁膜118から水素を添加すると、伝導帯近傍に
ドナー準位が形成される。この結果、導電膜120a、120bは、導電性が高くなり導
電体化する。導電体化された導電膜120a、120bを、それぞれ酸化物導電体という
ことができる。一般に、酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対
して透光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する酸化物半
導体である。したがって、酸化物導電体は、ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視
光に対して酸化物半導体と同程度の透光性を有する。
【0441】
<半導体装置の構成要素>
以下に、本実施の形態の半導体装置に含まれる構成要素について、詳細に説明する。
【0442】
なお、以下の材料については、実施の形態4で説明する材料と同様の材料を用いることが
できる。
【0443】
実施の形態4で説明する基板102に用いることができる材料を基板102に用いること
ができる。また、実施の形態4で説明する絶縁膜106、107に用いることができる材
料を絶縁膜106、107に用いることができる。
【0444】
また、実施の形態4で説明するゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極として機能す
る導電膜に用いることができる材料を、第1のゲート電極、ソース電極、及びドレイン電
極として機能する導電膜に用いることができる。
【0445】
《酸化物半導体膜》
酸化物半導体膜108としては、先に示す材料を用いることができる。
【0446】
酸化物半導体膜108bがIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜す
るために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In>Mを満たすこ
とが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In
:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.
1等が挙げられる。
【0447】
また、酸化物半導体膜108cがIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を
成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≦Mを満
たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として
、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=1
:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、等が挙げられる
。
【0448】
また、酸化物半導体膜108b及び酸化物半導体膜108cがIn-M-Zn酸化物の場
合、スパッタリングターゲットとしては、多結晶のIn-M-Zn酸化物を含むターゲッ
トを用いると好ましい。多結晶のIn-M-Zn酸化物を含むターゲットを用いることで
、結晶性を有する酸化物半導体膜108b及び酸化物半導体膜108cを形成しやすくな
る。なお、成膜される酸化物半導体膜108b及び酸化物半導体膜108cの原子数比は
それぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比の
プラスマイナス40%の変動を含む。例えば、酸化物半導体膜108bのスパッタリング
ターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:4.1を用いる場合、成膜さ
れる酸化物半導体膜108bの原子数比は、In:Ga:Zn=4:2:3近傍となる場
合がある。
【0449】
また、酸化物半導体膜108は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5e
V以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化
物半導体を用いることで、トランジスタ100のオフ電流を低減することができる。とく
に、酸化物半導体膜108bには、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2eV
以上3.0eV以下の酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜108cには、エネルギー
ギャップが2.5eV以上3.5eV以下の酸化物半導体膜を用いると、好適である。ま
た、酸化物半導体膜108bよりも酸化物半導体膜108cのエネルギーギャップが大き
い方が好ましい。
【0450】
また、酸化物半導体膜108b、及び酸化物半導体膜108cの厚さは、それぞれ3nm
以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以
上50nm以下とする。
【0451】
また、酸化物半導体膜108cとしては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。
例えば、酸化物半導体膜108cは、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好まし
くは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ま
しくは1×1011/cm3以下とする。
【0452】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果
移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする
トランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜108b、及び酸化物半導体膜
108cのキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距
離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0453】
なお、酸化物半導体膜108b、及び酸化物半導体膜108cとしては、それぞれ不純物
濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性
を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠
陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよ
ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少
ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該酸化物半導体膜にチャネル
領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリー
オンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性であ
る酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある
。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著し
く小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソー
ス電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ
電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下と
いう特性を得ることができる。
【0454】
したがって、上記高純度真性、または実質的に高純度真性の酸化物半導体膜にチャネル領
域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタと
することができる。なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失する
までに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、ト
ラップ準位密度の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気
特性が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはア
ルカリ土類金属等がある。
【0455】
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、
酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損に
水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金
属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、
水素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりや
すい。このため、酸化物半導体膜108は水素ができる限り低減されていることが好まし
い。具体的には、酸化物半導体膜108において、SIMS分析により得られる水素濃度
を、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3
以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/
cm3以下、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×10
17atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下と
する。
【0456】
また、酸化物半導体膜108bは、酸化物半導体膜108cよりも水素濃度が少ない領域
を有すると好ましい。酸化物半導体膜108bの方が、酸化物半導体膜108cよりも水
素濃度が少ない領域を有すことにより、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0457】
また、酸化物半導体膜108bにおいて、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含
まれると、酸化物半導体膜108bにおいて酸素欠損が増加し、n型化してしまう。この
ため、酸化物半導体膜108bにおけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体膜108
bとの界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMS分析により得られる濃度)を、2×1
018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする
。
【0458】
また、酸化物半導体膜108bにおいて、SIMS分析により得られるアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1
016atoms/cm3以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半
導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してし
まうことがある。このため、酸化物半導体膜108bのアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の濃度を低減することが好ましい。
【0459】
また、酸化物半導体膜108bに窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キ
ャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を
用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体膜にお
いて、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、SIMS分析により得
られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
【0460】
また、酸化物半導体膜108b、及び酸化物半導体膜108cは、それぞれ非単結晶構造
でもよい。非単結晶構造は、例えば、CAAC-OS、多結晶構造、微結晶構造、または
非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CA
AC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0461】
《第2のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜》
絶縁膜114、116は、トランジスタ100の第2のゲート絶縁膜として機能する。ま
た、絶縁膜114、116は、酸化物半導体膜108に酸素を供給する機能を有する。す
なわち、絶縁膜114、116は、酸素を有する。また、絶縁膜114は、酸素を透過す
ることのできる絶縁膜である。なお、絶縁膜114は、後に形成する絶縁膜116を形成
する際の、酸化物半導体膜108へのダメージ緩和膜としても機能する。
【0462】
例えば、実施の形態4で説明する絶縁膜114、116を絶縁膜114、116に用いる
ことができる。
【0463】
《導電膜として機能する酸化物半導体膜、及び第2のゲート電極として機能する酸化物半
導体膜》
先に記載の酸化物半導体膜108と同様の材料を、導電膜として機能する導電膜120a
、及び第2のゲート電極として機能する導電膜120bに用いることができる。
【0464】
すなわち、導電膜として機能する導電膜120a、及び第2のゲート電極として機能する
導電膜120bは、酸化物半導体膜108(酸化物半導体膜108b及び酸化物半導体膜
108c)に含まれる金属元素を有する。例えば、第2のゲート電極として機能する導電
膜120bと、酸化物半導体膜108(酸化物半導体膜108b及び酸化物半導体膜10
8c)と、が同一の金属元素を有する構成とすることで、製造コストを抑制することが可
能となる。
【0465】
例えば、導電膜として機能する導電膜120a、及び第2のゲート電極として機能する導
電膜120bとしては、In-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜する
ために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧Mを満たすこと
が好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:
M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1
等が挙げられる。
【0466】
また、導電膜として機能する導電膜120a、及び第2のゲート電極として機能する導電
膜120bの構造としては、単層構造または2層以上の積層構造とすることができる。な
お、導電膜120a、120bが積層構造の場合においては、上記のスパッタリングター
ゲットの組成に限定されない。
【0467】
《トランジスタの保護絶縁膜として機能する絶縁膜》
絶縁膜118は、トランジスタ100の保護絶縁膜として機能する。
【0468】
絶縁膜118は、水素及び窒素のいずれか一方または双方を有する。または、絶縁膜11
8は、窒素及びシリコンを有する。また、絶縁膜118は、酸素、水素、水、アルカリ金
属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜118を設けること
で、酸化物半導体膜108からの酸素の外部への拡散と、絶縁膜114、116に含まれ
る酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜108への水素、水等の入り込みを防
ぐことができる。
【0469】
また、絶縁膜118は、導電膜として機能する導電膜120a、及び第2のゲート電極と
して機能する導電膜120bに、水素及び窒素のいずれか一方または双方を供給する機能
を有する。特に絶縁膜118としては、水素を含み、当該水素を導電膜120a、120
bに供給する機能を有すると好ましい。絶縁膜118から導電膜120a、120bに水
素が供給されることで、導電膜120a、120bは、導電体としての機能を有する。
【0470】
絶縁膜118としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜と
しては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等
がある。
【0471】
なお、上記記載の、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜は、スパッタリング
法やPECVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(Che
mical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱CVD法
の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor
Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition
)法を用いても良い。具体的には、実施の形態4で説明する方法により形成することがで
きる。
【0472】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0473】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の入出力装置の構成について、
図17を参照しながら
説明する。
【0474】
図17は、入出力装置800の構成を説明する分解図である。
【0475】
入出力装置800は、表示パネル806および表示パネル806と重なる領域を備えるタ
ッチセンサ804を有する。なお、入出力装置800は、タッチパネルということができ
る。
【0476】
入出力装置800は、タッチセンサ804および表示パネル806を駆動する駆動回路8
10と、駆動回路810に電力を供給するバッテリ811と、タッチセンサ804、表示
パネル806、駆動回路810およびバッテリ811を収納する筐体部を有する。
【0477】
《タッチセンサ804》
タッチセンサ804は、表示パネル806と重なる領域を備える。なお、FPC803は
タッチセンサ804に電気的に接続される。
【0478】
例えば、抵抗膜方式、静電容量方式または光電変換素子を用いる方式等をタッチセンサ8
04に用いることができる。
【0479】
なお、タッチセンサ804を表示パネル806の一部に用いてもよい。
【0480】
《表示パネル806》
例えば、実施の形態1で説明する半導体装置を表示パネル806に用いることができる。
なお、FPC805は、表示パネル806に電気的に接続される。
【0481】
《駆動回路810》
例えば、電源回路または信号処理回路等を駆動回路810に用いることができる。なお、
バッテリまたは外部の商用電源が供給する電力を利用してもよい。
【0482】
信号処理回路は、ビデオ信号及びクロック信号等を出力する機能を備える。
【0483】
電源回路は、所定の電力を供給する機能を備える。
【0484】
《筐体部》
例えば、上部カバー801と、上部カバー801と嵌めあわせられる下部カバー802と
、上部カバー801および下部カバー802で囲まれる領域に収納されるフレーム809
と、を筐体部に用いることができる。
【0485】
フレーム809は、表示パネル806を保護する機能、駆動回路810の動作に伴い発生
する電磁波を遮断する機能または放熱板としての機能を有する。
【0486】
金属、樹脂またはエラストマー等を、上部カバー801、下部カバー802またはフレー
ム809に用いることができる。
【0487】
《バッテリ811》
バッテリ811は、電力を供給する機能を備える。
【0488】
なお、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を入出力装置800に用いることが
できる。
【0489】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0490】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置の構成について、
図18および
図19
を参照しながら説明する。
【0491】
図18(A)は、情報処理装置200の構成を説明するブロック図である。
図18(B)
は、情報処理装置200、情報処理装置200と共に用いることができる時計201およ
び通信機器202の外観の一例を説明する投影図である。
【0492】
図19(A)は、本発明の一態様のプログラムの主の処理を説明するフロー図であり、図
19(B)は、割り込み処理を説明するフロー図である。
【0493】
<情報処理装置の構成例>
本実施の形態で説明する情報処理装置200は、演算装置210および入出力装置220
を備える(
図18(A)参照)。
【0494】
演算装置210は、位置情報P1および外部情報EXを供給される機能を備え、画像情報
Vおよび制御情報を供給する機能を備える。なお、本明細書において、文字情報は画像情
報Vに含まれる。
【0495】
入出力装置220は、位置情報P1および外部情報EXを供給する機能を備え、画像情報
Vおよび制御情報を供給される機能を備える。
【0496】
演算装置210は、画像情報Vを外部情報EXに基づいて生成する機能を備える。また、
制御情報を位置情報P1に基づいて決定し供給する機能を備える。
【0497】
入出力装置220は、画像情報Vを表示する機能を備える表示部230と、位置情報P1
を供給する機能を備える入力部240と、外部情報EXを受信する機能および制御情報を
送信する機能を備える通信部290と、を備える。
【0498】
表示部230は、例えば、実施の形態1に記載の表示パネルを備える。
【0499】
これにより、例えば外部機器から受信した外部情報に基づいて画像情報を生成し、画像情
報を表示部に表示することができる。また、入力部を用いて供給された位置情報に基づい
て制御情報を決定し、制御情報を送信することができる。その結果、利便性または信頼性
に優れた新規な情報処理装置を提供することができる。
【0500】
<構成>
本発明の一態様は、演算装置210、入出力装置220および筐体を備える(
図18(A
)参照)。
【0501】
《演算装置210》
演算装置210は、演算部211、記憶部212、伝送路214または入出力インターフ
ェース215を備える。
【0502】
《入出力装置220》
入出力装置220は、表示部230、入力部240、検知部250、振動部280または
通信部290を備える。
【0503】
《演算部211》
演算部211は、例えばプログラムを実行する機能を備える。例えば、実施の形態8で説
明するCPUを用いることができる。これにより、消費電力を十分に低減することができ
る。
【0504】
《記憶部212》
記憶部212は、例えば演算部211が実行するプログラム、初期情報、設定情報または
画像等を記憶する機能を有する。
【0505】
具体的には、ハードディスク、フラッシュメモリまたは酸化物半導体を含むトランジスタ
を用いたメモリ等を用いることができる。
【0506】
《入出力インターフェース215、伝送路214》
入出力インターフェース215は端子または配線を備え、情報を供給し、情報を供給され
る機能を備える。例えば、伝送路214と電気的に接続することができる。また、入出力
装置220と電気的に接続することができる。
【0507】
伝送路214は配線を備え、情報を供給し、情報を供給される機能を備える。例えば、入
出力インターフェース215と電気的に接続することができる。また、演算部211また
は記憶部212と電気的に接続することができる。
【0508】
《表示部230》
例えば、表示パネルを用いることができる。具体的には、実施の形態1で説明する半導体
装置を用いることができる。
【0509】
《入力部240》
さまざまなヒューマンインターフェイス等を入力部240に用いることができる(
図18
(A)参照)。
【0510】
例えば、キーボード、マウス、タッチセンサ、マイクまたはカメラ等を入力部240に用
いることができる。なお、表示部230に重なる領域を備えるタッチセンサを用いること
ができる。表示部230と表示部230に重なる領域を備えるタッチセンサを備える入出
力装置を、タッチパネルということができる。
【0511】
例えば、使用者は、タッチパネルに触れた指をポインタに用いて様々なジェスチャー(タ
ップ、ドラッグ、スワイプまたはピンチイン等)をすることができる。
【0512】
例えば、演算装置210を用いて、タッチパネルに接触する指の位置または軌跡等の情報
を解析し、解析結果が所定の条件を満たすとき、特定のジェスチャーが供給されたとする
ことができる。これにより、使用者は、所定の操作命令にあらかじめ関連付けられた特定
のジェスチャーを用いて、所定の操作命令を供給できる。
【0513】
一例を挙げれば、使用者は、画像情報の表示位置を変更する「スクロール命令」を、タッ
チパネルに沿ってタッチパネルに接触する指を移動するジェスチャーを用いて供給できる
。
【0514】
《検知部250》
検知部250は、周囲の状態を検知して情報P2を供給する機能を備える。
【0515】
例えば、カメラ、加速度センサ、方位センサ、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、照
度センサまたはGPS(Global positioning System)信号受
信回路等を、検知部250に用いることができる。
【0516】
《振動部280》
振動部280は、例えば振動発生装置を備え、演算装置210からの命令に基づいて振動
する機能を備える。これにより、情報処理装置200の使用者に、振動を用いて情報を伝
えることができる。
【0517】
《通信部290》
通信部290は、ネットワーク等に情報を供給し、ネットワーク等から情報を取得する機
能を備える。または、他の通信機器等に情報を提供し、他の通信機器等から情報を取得す
る機能を備える。
【0518】
《筐体》
情報処理装置200は、演算装置210および入出力装置220の一部を収納する筐体と
、表示部230を収納する筐体と、を有する。
【0519】
演算装置210および入出力装置220を収納する筐体は嵌合部を備え、嵌合部は、例え
ば、時計201と嵌合し、時計201を支持する機能を備える。
【0520】
表示部230を収納する筐体は、例えば、表示部230を収納する鞘状の領域および表示
部230と重なる透光性を備える領域を有する。これにより、筐体を通して表示部230
の表示を視認することができる。
【0521】
また、表示部230を収納する筐体は、ベルトまたはバンドの機能を備え、手首等に巻き
付けて、情報処理装置200を固定することができる。
【0522】
これにより、情報処理装置200の使用者は、通信機器等を取り出すことなく、通信機器
202が送信する画像情報を確認することができる。また、例えば時計201の文字盤よ
り広い、手首等を取り巻く領域を利用して、多くの画像情報を表示することができる。ま
た、情報処理装置200の使用者は、例えば手首の内側等の、使用者に見え易く他者に見
えにくい位置に、画像情報を表示することができる。
【0523】
<時計201>
時計201は、時刻を表示する機能と、情報処理装置200の筐体と嵌合する筐体と、を
有する。
【0524】
時計201は、例えば底面または側面に嵌合部を備える。これにより、情報処理装置20
0と一体または別体にすることができる。これにより、情報処理装置200の使用者は、
好みの意匠の時計201と、情報処理装置200と、を組み合わせて使用することができ
る。
【0525】
<通信機器202>
通信機器202は、外部情報EXを送信する機能と、制御情報を受信する機能と、通信網
と接続する機能と、を有する。そして、制御情報に基づいて、所定の動作をする機能を備
える。
【0526】
例えば、通信機器202は通信網との間でデータ通信をすることができる。具体的には、
音声情報等を含むデータを通信することができる。
【0527】
例えば、情報処理装置200を用いて、通信機器202を操作することができる。また、
通信機器202を用いて情報処理装置200を操作することができる。
【0528】
<プログラム>
図19を参照しながら、本発明の一態様に用いることができるプログラムを説明する。
【0529】
本発明の一態様のプログラムは、下記のステップを有するプログラムである(
図19(A
)参照)。
【0530】
《第1のステップ》
第1のステップにおいて、設定を初期化する(
図19(A)(S1)参照)。
【0531】
一例を挙げれば、所定の画像情報と第1のモードを初期設定に用いることができる。
【0532】
《第2のステップ》
第2のステップにおいて、割り込み処理を許可する(
図19(A)(S2)参照)。なお
、割り込み処理が許可された演算装置は、主の処理と並行して割り込み処理を行うことが
できる。割り込み処理から主の処理に復帰した演算装置は、割り込み処理をして得た結果
を主の処理に反映することができる。
【0533】
なお、カウンタの値が初期値であるとき、割り込み処理を実行し、カウンタの値を初期値
以外の値に変えてから、主の処理に復帰してもよい。これにより、プログラムを起動した
後に常に割り込み処理をさせることができる。
【0534】
《第3のステップ》
第3のステップにおいて、第1のステップにおいて設定された所定のモードまたは割り込
み処理において選択された所定のモードで動作する(
図19(A)(S3)参照)。
【0535】
第1のモードが選択されている場合、例えば、画像情報Vを表示部230に所定の期間表
示する。
【0536】
第2のモードが選択されている場合、例えば、表示部230の動作を停止する。
【0537】
これにより、所定のイベントが供給された場合に、画像情報Vを表示部230に所定の期
間表示することができる。または、所定のイベントが供給されない場合に、表示部230
の動作を停止することができる。
【0538】
《第4のステップ》
第4のステップにおいて、終了命令が供給された場合は第5のステップに進み、終了命令
が供給されなかった場合は第3のステップに進むように選択する(
図19(A)(S4)
参照)。
【0539】
なお、例えば、割り込み処理において、終了命令を供給することができる。
【0540】
《第5のステップ》
第5のステップにおいて、終了する(
図19(A)(S5)参照)。
【0541】
《割り込み処理》
割り込み処理は以下の第6のステップ乃至第8のステップを備える(
図19(B)参照)
。
【0542】
《第6のステップ》
第6のステップにおいて、所定の期間の間に所定のイベントが供給された場合は、第7の
ステップに進み、所定のイベントが供給されなかった場合は、第8のステップに進む(図
19(B)(S6)参照)。
【0543】
例えば、所定の期間に所定のイベントが供給されたか否かを条件に用いることができる。
具体的には、5秒以下、1秒以下または0.5秒以下好ましくは0.1秒以下であって0
秒より長い期間を所定の期間とすることができる。
【0544】
また、例えば終了命令を関連付けたイベントを所定のイベントに含めることができる。
【0545】
《第7のステップ》
第7のステップにおいて、モードを変更する(
図19(B)(S7)参照)。具体的には
、第1のモードを選択していた場合は、第2のモードを選択し、第2のモードを選択して
いた場合は、第1のモードを選択する。
【0546】
《第8のステップ》
第8のステップにおいて、割り込み処理を終了する(
図19(B)(S8)参照)。
【0547】
《所定のイベント》
例えば、入力部240の釦等から供給される「クリック」や「ドラッグ」等のイベントを
、所定のイベントに用いることができる。
【0548】
または、入力部240のタッチパネル等から指等をポインタに用いて供給される位置情報
P1に基づいて、「タップ」、「ドラッグ」または「スワイプ」等のイベントを、所定の
イベントに用いることができる。
【0549】
または、検知部250が供給する、所定の条件を満たす情報P2を、所定のイベントに用
いることができる。
【0550】
例えば、表示されている一の画像情報から他の画像情報に表示を切り替える「ページめく
り命令」、一の画像情報の表示されている一部分の表示位置を移動して、一部分に連続す
る他の部分を表示する「スクロール命令」などを、所定のイベントに関連付けることがで
きる。
【0551】
例えば、ポインタが指し示すスライドバーの位置、スワイプの速度またはドラッグの速度
等を用いて、所定のイベントに関連付けられた命令の引数を与えることができる。
【0552】
具体的には、「ページめくり命令」を実行する際に用いるページをめくる速度または「ス
クロール命令」を実行する際に用いる表示位置を移動する速度を決定する引数などに用い
ることができる。
【0553】
または、検知部250を用いて、情報処理装置の使用者の脈拍等や情報処理装置の使用環
境等を検知して、検知された情報に基づいて、画像情報を生成してもよい。例えば、使用
環境の明るさ等を検知して、画像情報の背景に使用者の嗜好に合わせた画像を用いること
ができる。これにより、情報処理装置200を使用する使用者に好適な環境を提供するこ
とができる。
【0554】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0555】
(実施の形態8)
本実施の形態では、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込
み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)、およびそれを含むCPUについて説明す
る。本実施の形態で説明するCPUは、例えば、実施の形態7で説明する情報処理装置に
用いる事が出来る。
【0556】
<記憶装置>
電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無
い半導体装置(記憶装置)の一例を
図20に示す。なお、
図20(B)は
図20(A)を
回路図で表したものである。
【0557】
図20(A)及び(B)に示す半導体装置は、第1の半導体材料を用いたトランジスタ3
200と第2の半導体材料を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有
している。
【0558】
第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なるエネルギーギャップを持つ材料とすること
が好ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン(歪
シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、
アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体など)とし、第
2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結
晶シリコンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体
を用いたトランジスタは、オフ電流が低い。
【0559】
トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトラン
ジスタである。トランジスタ3300は、オフ電流が小さいため、これを用いることによ
り長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要
としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが
可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
【0560】
図20(B)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソース電極と電気
的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレイン電極と電気的に接
続されている。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース電極およびド
レイン電極の一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲ
ート電極と電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極、およ
びトランジスタ3300のソース電極およびドレイン電極の他方は、容量素子3400の
電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と
電気的に接続されている。
【0561】
図20(A)に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持可
能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能であ
る。
【0562】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ3300がオン状態となる電位にして、トランジスタ3300をオン状態とする
。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、およ
び容量素子3400に与えられる。すなわち、トランジスタ3200のゲート電極には、
所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷
(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとす
る。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオフ状態となる電位
にして、トランジスタ3300をオフ状態とすることにより、トランジスタ3200のゲ
ート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
【0563】
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ3200のゲートの
電荷は長時間にわたって保持される。
【0564】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与
えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジス
タ3200のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線3002は異なる電位
をとる。一般に、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200
のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_H
は、トランジスタ3200のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見か
けのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、
トランジスタ3200を「オン状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をい
うものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の
電位V0とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷を判別
できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第
5の配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「オ
ン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電
位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままであ
る。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、保持されている情報を読み
出すことができる。
【0565】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み
出せることが必要になる。例えば、情報を読み出さないメモリセルにおいては、ゲート電
極に与えられている電位にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような
電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線3005に与えることで所望のメ
モリセルの情報のみを読み出せる構造とすればよい。または、情報を読み出さないメモリ
セルにおいては、ゲート電極に与えられている電位にかかわらず、トランジスタ3200
が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線30
05に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
【0566】
図20(C)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を設けていない点で
図20(A
)と相違している。この場合も上記と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が
可能である。
【0567】
次に、
図20(C)に示す半導体装置の情報の読み出しについて説明する。トランジスタ
3300がオン状態となると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400と
が導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結果
、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素
子3400の電極の一方の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によって、
異なる値をとる。
【0568】
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3
の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の
電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×
VB0+C×V)/(CB+C)となる。従って、メモリセルの状態として、容量素子3
400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、電位V
1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V1)/(
CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×
VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0569】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこと
ができる。
【0570】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体材料が適用された
トランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体材料が適用されたトラン
ジスタを駆動回路上に積層して設ける構成とすればよい。
【0571】
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流
の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持する
ことが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動
作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができ
る。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であ
っても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0572】
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素
子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲート
への電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、
ゲート絶縁膜の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、本実施の形態に示す半導体
装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信
頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の
書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
【0573】
なお、上記の記憶装置は、例えば、CPU(Central Processing U
nit)の他に、DSP(Digital Signal Processor)、カス
タムLSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLS
I、RF-ID(Radio Frequency Identification)に
も応用可能である。
【0574】
<CPU>
以下で、上記の記憶装置を含むCPUについて説明する。
【0575】
図21は、上記の記憶装置を含むCPUの一例の構成を示すブロック図である。
【0576】
図21に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmet
ic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラク
ションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ
1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1
198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェー
ス1189(ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板
、ガラス基板などを用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別
チップに設けてもよい。もちろん、
図21に示すCPUは、その構成を簡略化して示した
一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、
図21に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、
それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路
やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビッ
トなどとすることができる。
【0577】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクション
デコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタ
ラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ
1195に入力される。
【0578】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロー
ラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制
御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御する
ための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラ
ム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク
状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアド
レスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
【0579】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ119
2、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及びレ
ジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイ
ミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成する
内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0580】
図21に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。
【0581】
図21に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの
指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ11
96が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量
素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が
選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる
。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換え
が行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる
。
【0582】
図22は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子の回路図の一例である。
記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮断で記憶
データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と、論理素
子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有する。回路
1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1210と、
を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダク
タなどのその他の素子をさらに有していても良い。
【0583】
ここで、回路1202には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子1200
への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートには接
地電位(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とす
る。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とす
る。
【0584】
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用い
て構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)の
トランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端
子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第2
の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203は
トランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の
端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213のオン状態またはオフ状態
)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとドレ
インの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソースと
ドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力され
る制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、ト
ランジスタ1214のオン状態またはオフ状態)が選択される。
【0585】
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極のう
ちの一方、及びトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部分
をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位を
供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ1
203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接続
される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他
方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方
)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソー
スとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続され
る。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)
と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方)
と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、は
電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対の
電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源
電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。
容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線
(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他方
は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)
または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1208
の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線
)と電気的に接続される。
【0586】
なお、容量素子1207及び容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を積
極的に利用することによって省略することも可能である。
【0587】
トランジスタ1209の第1ゲート(第1のゲート電極)には、制御信号WEが入力され
る。スイッチ1203及びスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDに
よって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイ
ッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2
の端子の間は非導通状態となる。
【0588】
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデータ
に対応する信号が入力される。
図22では、回路1201から出力された信号が、トラン
ジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203の
第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、
論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介し
て回路1201に入力される。
【0589】
なお、
図22では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとド
レインの他方)から出力される信号は、論理素子1206及び回路1220を介して回路
1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子(
トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反転
させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、入
力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合に
、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)か
ら出力される信号を当該ノードに入力することができる。
【0590】
また、
図22において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジス
タ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板119
0にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層または
シリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子
1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体膜で形成されるトラ
ンジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外
にも、チャネルが酸化物半導体膜で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りの
トランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成
されるトランジスタとすることもできる。
【0591】
図22における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。
また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いる
ことができる。
【0592】
本実施の形態に示す半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間は、
回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子1208に
よって保持することができる。
【0593】
また、酸化物半導体膜にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。
例えば、酸化物半導体膜にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有
するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。その
ため、酸化物半導体膜にチャネルが形成されるトランジスタをトランジスタ1209とし
て用いることによって、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間も容量素子120
8に保持された信号は長期間にわたり保たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧
の供給が停止した間も記憶内容(データ)を保持することが可能である。
【0594】
また、スイッチ1203及びスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動作
を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が元
のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
【0595】
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ
1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再開
された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(
オン状態、またはオフ状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。それ
故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信号
を正確に読み出すことが可能である。
【0596】
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの
記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐこ
とができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰
することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、また
は複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を
抑えることができる。
【0597】
なお、本実施の形態では、記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶
素子1200は、DSP(Digital Signal Processor)、カス
タムLSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLS
I、RF-ID(Radio Frequency Identification)に
も応用可能である。
【0598】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み
合わせて実施することができる。
【0599】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルを有する表示モジュール及び電子機器に
ついて、
図23を用いて説明を行う。
【0600】
図23(A)乃至
図23(G)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体
5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、操作キー500
5(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子5006、センサ5007(力
、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、
音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい
又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、等を有することがで
きる。
【0601】
図23(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009、
赤外線ポート5010、等を有することができる。
図23(B)は記録媒体を備えた携帯
型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表示
部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。
図23(C)はゴーグ
ル型ディスプレイであり、上述したものの他に、第2表示部5002、支持部5012、
イヤホン5013、等を有することができる。
図23(D)は携帯型遊技機であり、上述
したものの他に、記録媒体読込部5011、等を有することができる。
図23(E)はテ
レビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ5014、シャ
ッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。
図23(F)は携帯
型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011、
等を有することができる。
図23(G)は持ち運び型テレビ受像器であり、上述したもの
の他に、信号の送受信が可能な充電器5017、等を有することができる。
【0602】
図23(A)乃至
図23(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例
えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチ
パネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プロ
グラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコン
ピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受
信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表
示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器において
は、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を
表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画
像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器において
は、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正
する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した
画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、
図23(A)乃至
図23
(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有
することができる。
【0603】
図23(H)は、スマートウオッチであり、筐体7302、表示パネル7304、操作ボ
タン7311、7312、接続端子7313、バンド7321、留め金7322、等を有
する。
【0604】
ベゼル部分を兼ねる筐体7302に搭載された表示パネル7304は、非矩形状の表示領
域を有している。なお、表示パネル7304としては、矩形状の表示領域としてもよい。
表示パネル7304は、時刻を表すアイコン7305、その他のアイコン7306等を表
示することができる。
【0605】
なお、
図23(H)に示すスマートウオッチは、様々な機能を有することができる。例え
ば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパ
ネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログ
ラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピ
ュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信
を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示
する機能、等を有することができる。
【0606】
また、筐体7302の内部に、スピーカ、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速
度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電
圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むも
の)、マイクロフォン等を有することができる。なお、スマートウオッチは、発光素子を
その表示パネル7304に用いることにより作製することができる。
【0607】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0608】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場
合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場
合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする
。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず
、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものと
する。
【0609】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層
、など)であるとする。
【0610】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であ
り、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量
素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに
、XとYとが、接続されている場合である。
【0611】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが
可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイ
ッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか
流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択し
て切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、Xと
Yとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0612】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能
とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変
換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電
源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)
、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る
回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能であ
る。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号
がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとY
とが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとY
とが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0613】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYと
が電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで
接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの
間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている
場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)と
が、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示
的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合
と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0614】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介
さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z
2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース
(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接
的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的
に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現
することが出来る。
【0615】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2
の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第
1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に
接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第
1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トラ
ンジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている
」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子な
ど)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など
)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様
な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別
して、技術的範囲を決定することができる。
【0616】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)
は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は
、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トラ
ンジスタのソース(又は第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジス
タのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気
的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の
接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジ
スタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介
して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、
前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン
(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電
気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現
することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なく
とも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気
的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタの
ソース(又は第1の端子など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)への
電気的パスであり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3
の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは
、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン
(又は第2の端子など)からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的パ
スである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成
における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子
など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定すること
ができる。
【0617】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X
、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0618】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されてい
る場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もあ
る。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び
電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電
気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場
合も、その範疇に含める。
【符号の説明】
【0619】
ACF1 導電材料
ANO 配線
BR(g,h) 配線
C1(g) 第1の電極
C2(h) 第2の電極
CL(g) 制御線
ML(h) 信号線
S(j) 信号線
VCOM 配線
FPC1 フレキシブルプリント基板
GD 駆動回路
SD 駆動回路
C 容量素子
M トランジスタ
MB トランジスタ
MD トランジスタ
MDB トランジスタ
SW1 スイッチ
M1 ノード
M2 ノード
EX 外部情報
P1 位置情報
P2 情報
V 画像情報
V0 電位
V1 電位
VDD 電源電位
11 基板
12 剥離膜
13a 端子
13b 絶縁膜
13c 接続部
13d 回路
13e 絶縁膜
30 接合層
42 基材
91S 起点
100 トランジスタ
102 基板
104 導電膜
106 絶縁膜
107 絶縁膜
108 酸化物半導体膜
108a 酸化物半導体膜
108b 酸化物半導体膜
108c 酸化物半導体膜
112a 導電膜
112b 導電膜
114 絶縁膜
116 絶縁膜
118 絶縁膜
120a 導電膜
120b 導電膜
200 情報処理装置
201 時計
202 通信機器
210 演算装置
211 演算部
212 記憶部
214 伝送路
215 入出力インターフェース
220 入出力装置
230 表示部
240 入力部
250 検知部
280 振動部
290 通信部
500 半導体装置
500B 半導体装置
500C 半導体装置
500D 半導体装置
500E 半導体装置
500F 半導体装置
501A 絶縁膜
501B 絶縁膜
501C 絶縁膜
502 画素
504 導電膜
505 接合層
506 絶縁膜
508 半導体膜
510 基板
510W 剥離膜
511 配線
512A 導電膜
512B 導電膜
516 絶縁膜
518 絶縁膜
519D 端子
520 機能層
521A 絶縁膜
521B 絶縁膜
524 導電膜
528 絶縁膜
530 回路
550 表示素子
550W 表示素子
551 導電膜
551W 導電膜
552 導電膜
552W 導電膜
553 発光性の有機化合物を含む層
553W 発光性の有機化合物を含む層
560 基材
563 接合層
565 樹脂層
570 基材
570A 絶縁膜
570B 基材
570C 樹脂
570P 機能フィルム
571 絶縁膜
572 絶縁膜
573 保護膜
573a 保護膜
573b 保護膜
573c 保護膜
574 絶縁膜
575 近接センサ
576 開口部
591 接続部
592 接続部
800 入出力装置
801 上部カバー
802 下部カバー
803 FPC
804 タッチセンサ
805 FPC
806 表示パネル
809 フレーム
810 駆動回路
811 バッテリ
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
5000 筐体
5001 表示部
5002 表示部
5003 スピーカ
5004 LEDランプ
5005 操作キー
5006 接続端子
5007 センサ
5008 マイクロフォン
5009 スイッチ
5010 赤外線ポート
5011 記録媒体読込部
5012 支持部
5013 イヤホン
5014 アンテナ
5015 シャッターボタン
5016 受像部
5017 充電器
7302 筐体
7304 表示パネル
7305 アイコン
7306 アイコン
7311 操作ボタン
7312 操作ボタン
7313 接続端子
7321 バンド
7322 留め金