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特許7139518フィードバックミラーアセンブリを有するレンズ付き光ファイバコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】フィードバックミラーアセンブリを有するレンズ付き光ファイバコネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
G02B6/32
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021512571
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019061347
(87)【国際公開番号】W WO2020102465
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/760,990
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】マルコム エイチ ホッジ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ケー スタイルズ
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-061847(JP,A)
【文献】特表2006-526167(JP,A)
【文献】特開平05-203829(JP,A)
【文献】特開2018-156004(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030246(WO,A1)
【文献】特開2013-064803(JP,A)
【文献】特表2014-526720(JP,A)
【文献】米国特許第05666450(US,A)
【文献】米国特許第08827567(US,B2)
【文献】米国特許第08616781(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第03182182(EP,A1)
【文献】特表2006-515687(JP,A)
【文献】特開2001-083365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255- 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/36 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合軸を有するフェルールアセンブリであって、
前面及び複数の光ファイバ受容穴を有するフェルール本体と、
該フェルール本体の前記前面に隣接する素子アレイであって、該素子アレイは、複数のデータレンズ素子及びミラーシステムを有し、各データレンズ素子は、前記光ファイバ受容穴のうちの1つと整列しており、前記ミラーシステムは、インジケータレンズ素子を有する嵌合フェルールアセンブリであって、前記インジケータレンズ素子が前記ミラーシステムと整列したクロス集束レンズを含む嵌合フェルールアセンブリからの光を反射するように構成されている、素子アレイと、
複数の光ファイバであって、各光ファイバは、前記光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各光ファイバは、前記データレンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する、複数の光ファイバと、を備える、フェルールアセンブリ。
【請求項2】
前記ミラーシステムは、第1の方向に沿った入力経路からの光を、前記第1の方向とは反対の第2の方向の出力経路へと向け直すように構成されている、請求項1に記載のフェルールアセンブリ。
【請求項3】
前記出力経路は、前記入力経路から横方向にオフセットされている、請求項2に記載のフェルールアセンブリ。
【請求項4】
前記ミラーシステムは、一対の隣接するミラー素子を備える、請求項1に記載のフェルールアセンブリ。
【請求項5】
前記ミラーシステムは、第1の方向に沿った入力経路からの光を第1のミラー素子において受光し、第2のミラー素子に前記光を反射し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の出力経路に前記光を反射するように構成されている、請求項4に記載のフェルールアセンブリ。
【請求項6】
前記出力経路は、前記入力経路から横方向にオフセットされている、請求項5に記載のフェルールアセンブリ。
【請求項7】
前記ミラーシステムは、少なくとも1つのミラー素子を備える、請求項2に記載のフェルールアセンブリ。
【請求項8】
前記データレンズ素子はコリメートレンズである、請求項2に記載のフェルールアセンブリ。
【請求項9】
光ファイバアセンブリであって、
第1の嵌合軸を有する第1のフェルールアセンブリであって、該第1のフェルールアセンブリは、
第1の前面及び複数の第1の光ファイバ受容穴を有する、第1のフェルール本体と、
該第1のフェルール本体の前記第1の前面に隣接する第1の素子アレイであって、該第1の素子アレイは複数のレンズ素子を有し、各レンズ素子は、前記第1の光ファイバ受容穴のうちの1つと整列しており、前記第1の素子アレイは、複数のデータレンズ素子及びインジケータレンズ素子を備え、該インジケータレンズ素子はクロス集束レンズである、第1の素子アレイと、
複数の第1の光ファイバであって、各第1の光ファイバは、前記第1の光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各第1の光ファイバは、前記レンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する、複数の第1の光ファイバと、を含む、第1のフェルールアセンブリと、
第2の嵌合軸を有する第2のフェルールアセンブリであって、該第2のフェルールアセンブリは、
第2の前面及び複数の第2の光ファイバ受容穴を有する、第2のフェルール本体と、
該第2のフェルール本体の前記第2の前面に隣接する第2の素子アレイであって、該第2の素子アレイは、複数のデータレンズ素子及びミラーシステムを有し、各データレンズ素子は、前記第2の光ファイバ受容穴のうちの1つと整列しており、前記ミラーシステムは、前記第1のフェルールアセンブリの前記インジケータレンズ素子からの光を反射するように構成されている、第2の素子アレイと、
複数の第2の光ファイバであって、各第2の光ファイバは、前記第2の光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各第2の光ファイバは、前記データレンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する、複数の第2の光ファイバと、を含む、第2のフェルールアセンブリと、を備える、光ファイバアセンブリ。
【請求項10】
アセンブリであって、
第1の嵌合軸を有する第1のアセンブリであって、該第1のアセンブリは、
第1の前面及び光ファイバ受容穴を有する第1の本体であって、光ファイバ軸が前記穴を通って延在する、第1の本体と、
該第1の本体の前記第1の前面に隣接するクロス集束レンズ素子であって、レンズ素子のレンズ軸が前記光ファイバ軸に対してある角度をなしている、クロス集束レンズ素子と、
前記光ファイバ受容穴の内部に配設された光ファイバであって、該光ファイバは、前記レンズ素子に隣接する端面を有する、光ファイバと、を含む、第1のアセンブリと、
第2の嵌合軸を有する第2のアセンブリであって、該第2のアセンブリは、
第2の前面を有する第2の本体と、
該第2の本体の前記第2の前面に隣接するミラーシステムであって、該ミラーシステムは、前記第1のアセンブリと前記第2のアセンブリとが完全に嵌合した構成で配設されると、前記レンズ軸と整列する、ミラーシステムと、を含む、第2のアセンブリと、を備える、アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のアセンブリ及び前記第2のアセンブリを前記完全に嵌合した構成で位置付けると、前記第1の嵌合軸及び前記第2の嵌合軸が整列し、前記クロス集束レンズ素子から伝送された光は、前記ミラーシステムによって反射され、前記第1のアセンブリ及び前記第2のアセンブリを部分的に嵌合した構成で位置付けると、前記第1の嵌合軸及び前記第2の嵌合軸が整列し、前記クロス集束レンズ素子から伝送された光は、前記ミラーシステムによって前記クロス集束レンズ素子に反射されない、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のアセンブリ及び前記第2のアセンブリを完全に嵌合した構成で位置付けると、前記クロス集束レンズ素子から伝送された光は、前記ミラーシステムによって反射されてクロス集束レンズ素子に戻る、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項13】
光ファイバアセンブリであって、
第1の嵌合軸を有する第1のフェルールアセンブリであって、該第1のフェルールアセンブリは、
第1の前面及び複数の第1の光ファイバ受容穴を有する、第1のフェルール本体と、
該第1のフェルール本体の前記第1の前面に隣接する第1の素子アレイであって、該第1の素子アレイは複数のレンズ素子を有し、各レンズ素子は、前記第1の光ファイバ受容穴のうちの1つと整列しており、前記第1の素子アレイは、複数の第1のデータレンズ素子及びインジケータレンズ素子を備え、該インジケータレンズ素子は、第1の焦点距離を有するクロス集束レンズである、第1の素子アレイと、
複数の第1の光ファイバであって、各第1の光ファイバは、前記第1の光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各第1の光ファイバは、前記レンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する、複数の第1の光ファイバと、を含む、第1のフェルールアセンブリと、
第2の嵌合軸を有する第2のフェルールアセンブリであって、該第2のフェルールアセンブリは、
第2の前面及び複数の第2の光ファイバ受容穴を有する、第2のフェルール本体と、
該第2のフェルール本体の前記第2の前面に隣接する第2の素子アレイであって、該第2の素子アレイは、複数の第2のデータレンズ素子及びミラーシステムを有し、各第2のデータレンズ素子は、前記第2の光ファイバ受容穴のうちの1つと整列しており、前記ミラーシステムは、前記第1のフェルールアセンブリの前記インジケータレンズ素子からの光を反射するように構成されている、第2の素子アレイと、
複数の第2の光ファイバであって、各第2の光ファイバは、前記第2の光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各第2の光ファイバは、前記第2のデータレンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する、複数の第2の光ファイバと、を含む、第2のフェルールアセンブリと、を備え、
前記第1のフェルールアセンブリ及び前記第2のフェルールアセンブリを完全に嵌合した構成で位置付けると、前記第1の嵌合軸及び前記第2の嵌合軸は整列し、前記第1のデータレンズ素子のそれぞれは、前記第2のデータレンズ素子のうちの1つと軸方向に整列し、前記インジケータレンズ素子は前記ミラーシステムと整列し、前記インジケータレンズ素子は前記ミラーシステムから第1の距離であり、該第1の距離は前記第1の焦点距離と等しく、
前記第1のフェルールアセンブリ及び前記第2のフェルールアセンブリを部分的に嵌合した構成で位置付けると、前記第1の嵌合軸及び前記第2の嵌合軸は整列し、前記第1のデータレンズ素子のそれぞれは、前記第2のデータレンズ素子のうちの1つと軸方向に整列し、前記インジケータレンズ素子は前記ミラーシステムと整列し、前記インジケータレンズ素子は前記ミラーシステムから第2の距離であり、該第2の距離は前記第1の焦点距離よりも大きい、光ファイバアセンブリ。
【請求項14】
前記第1の素子アレイは一対のインジケータレンズ素子を備え、前記インジケータレンズ素子のうちの最初のインジケータレンズ素子が入力経路として動作し、前記インジケータレンズ素子のうちの2番目のインジケータレンズ素子が出力経路として動作し、前記嵌合した構成にある間は、第1の方向に沿った前記入力経路を介して光を伝送すると、該光は、前記ミラーシステムによって反射され、前記第1の方向とは反対の第2の方向の前記出力経路に主に向けられ、前記部分的に嵌合した構成にある間は、第1の方向に沿った前記入力経路を介して光を伝送すると、前記光は、前記ミラーシステムによって前記第1の方向とは反対の第2の方向の前記出力経路に主に反射されない、請求項13に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項15】
各第1のデータレンズ素子はコリメートレンズ素子であり、各第2のデータレンズ素子はコリメートレンズ素子である、請求項13に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項16】
一対のインジケータレンズ素子を更に備える、請求項15に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項17】
少なくとも1つのインジケータレンズ素子の軸が、前記第1の嵌合軸に対して平行である、請求項15に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項18】
少なくとも1つのインジケータレンズ素子の軸が、前記第1の嵌合軸に対してある角度をなしている、請求項15に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項19】
嵌合軸を有するフェルールアセンブリであって、
前面及び複数の光ファイバ受容穴を有するフェルール本体と、
該フェルール本体の前記前面に隣接する素子アレイであって、該素子アレイは複数のレンズ素子を有し、各レンズ素子は、前記光ファイバ受容穴のうちの1つと整列しており、前記素子アレイは、複数のデータレンズ素子及びインジケータレンズ素子を備え、前記データレンズ素子はコリメートレンズであり、前記インジケータレンズ素子はクロス集束レンズであり、前記コリメートレンズ及びクロス集束レンズは同一のレンズプレート上にあり、前記インジケータレンズ素子の軸が、前記嵌合軸に対して平行である、素子アレイと、
複数の光ファイバであって、各光ファイバは、前記光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各光ファイバは、前記レンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する、複数の光ファイバと、を備える、フェルールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年11月14日に出願された米国特許仮出願第62/760,990号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、レンズ付き光ファイバフェルールアセンブリに関し、より具体的には、ある構成要素がフェルール及びレンズを有し、第2の構成要素が整列したミラーシステムを有する嵌合アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバを相互接続するためのシステムは、典型的には、光ファイバの取り扱い及び正確な位置付けを容易にするために、嵌合フェルールアセンブリを利用する。光ファイバは、フェルール本体内に固定され、各ファイバの端面は、フェルール本体の端面と概ね同一平面に、又は当該端面からわずかに突出して位置付けられる。次いで、ファイバの端面又は面は、所望の仕上げに研磨される。相補的なフェルールアセンブリが嵌合すると、フェルールアセンブリの各光ファイバは、他のフェルールアセンブリの嵌合光ファイバと同軸上に位置付けられる。
【0004】
一部の用途では、嵌合光ファイバの端面は、嵌合光ファイバ対間の信号伝送をもたらすために互いに物理的に接触する。かかる用途では、ファイバ端面の不規則性、バリ又は引っ掻き、ファイバの位置不整合、並びに嵌合界面におけるファイバ間の塵埃又はゴミなど様々な要因が、光ファイバ対間の光伝送の効率を低減させ得る。
【0005】
塵埃又はゴミなど任意の異物のサイズに対する小さな光路により、かかる異物のいずれも光の伝送に干渉する可能性が高い。拡大ビームコネクタは、光ビームの幅を拡大し、コネクタ間のエアギャップを介してビームを伝送する。ビームを拡大することにより、塵埃又はゴミとビームとの相対的なサイズ差が増大し、それによって、任意の塵埃又はゴミ、並びにあらゆる位置不整合の光伝送の効率に対する影響を低減する。
【0006】
拡大ビームコネクタは、各ファイバの端面に隣接して取り付けられたレンズを含む。2種類のレンズ、つまりコリメートレンズ及びクロス集束レンズが一般的に使用される。コリメートレンズは、ファイバから光を受光し、ビームを比較的大きな径に拡大する。コリメートレンズを使用するとき、第2のレンズ及びフェルールアセンブリは、拡大ビームを受光し、第2のファイバの端面でビームを再集束するために、第2のファイバの端面に隣接して位置付けられたレンズで同様に構成される。
【0007】
信号は、フェルールアセンブリがわずかに嵌合していない場合であっても、コリメートレンズで使用される光ビームのコリメート性のために、著しく電力を失うことなくコリメートレンズの間を通過し得る。したがって、一部の用途では、一対のフェルールアセンブリが完全に嵌合していないスイッチ又はインジケータを提供することが望ましい場合がある。
【0008】
前述の背景技術の記載は、読者の助けとなることを目的としたものに過ぎない。本明細書に記載の新技術を限定しようとする意図も、記載の先行技術を限定したり、拡張したりする意図もない。したがって、前述の記載は、先行技術のシステムの何らかの特定の素子が、本明細書に記載の新技術と共に使用されるには不適当であるということを示すものと解釈されるべきではないし、また、本明細書に記載の新技術の実施において何らかの素子が不可欠であるということを示す意図もない。本明細書に記載の新技術の実施及び適用は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【発明の概要】
【0009】
一態様では、フェルールアセンブリは、嵌合軸を有し、前面と、複数の光ファイバ受容穴とを有するフェルール本体を含む。素子アレイは、フェルール本体の前面に隣接し、複数のレンズ素子を有する。各レンズ素子は、光ファイバ受容穴のうちの1つと整列し、素子アレイは、複数のデータレンズ素子と、インジケータレンズ素子とを備える。インジケータレンズ素子は、クロス集束レンズである。複数の光ファイバはそれぞれ、光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各光ファイバは、レンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する。
【0010】
別の態様では、フェルールアセンブリは、嵌合軸を有し、前面と、複数の光ファイバ受容穴とを有するフェルール本体を含む。素子アレイは、フェルール本体の前面に隣接し、複数のデータレンズ素子と、ミラーシステムとを有する。各データレンズ素子は、光ファイバ受容穴のうちの1つと整列し、ミラーシステムは、嵌合フェルールアセンブリからの光を反射するように構成されている。複数の光ファイバはそれぞれ、光ファイバ受容穴のうちの1つの内部に配設され、各光ファイバは、データレンズ素子のうちの1つに隣接する端面を有する。
【0011】
光ファイバアセンブリは、第1のフェルールアセンブリと、第2のフェルールアセンブリとを有する。各フェルールアセンブリは、フェルール本体と、複数の光ファイバ受容穴と、各穴内の光ファイバと、素子アレイとを有する。第1の素子アレイは、複数のレンズ素子を有し、各レンズ素子は第1の光ファイバ受容穴と整列している。第1の素子アレイは、第1の光ファイバ受容穴のうちの1つとそれぞれ整列している、複数のデータレンズ素子と、インジケータレンズ素子とを含み、インジケータレンズ素子はクロス集束レンズである。第2の素子アレイは、複数のデータレンズ素子と、ミラーシステムとを有する。各データレンズ素子は、第2の光ファイバ受容穴のうちの1つと整列しており、ミラーシステムは、第1のフェルールアセンブリのインジケータレンズ素子からの光を反射するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の原理が組み込まれたフェルールアセンブリの斜視図を示す。
図2】本開示の素子アレイを組み込む、一対の嵌合フェルールアセンブリの一部の概略図を示す。
図3図2に類似であるが、嵌合フェルールアセンブリ間での光伝送を更に示す概略図を示す。
図4図3に類似であるが、フェルールアセンブリがわずかに嵌合していない構成にある、概略的なアセンブリを示す。
図5】素子アレイの第2の実施形態を組み込む、一対の嵌合フェルールアセンブリの一部の概略図を示す。
図6図5に類似であるが、嵌合フェルールアセンブリ間での光伝送を更に示す概略図を示す。
図7図6に類似であるが、フェルールアセンブリがわずかに嵌合していない構成にある、概略的なアセンブリを示す。
図8】完全嵌合検出システムの別の実施形態の概略図を示す。
図9図8に類似であるが、完全嵌合検出システムがわずかに嵌合していない構成にある、概略的なアセンブリを示す。
図10図8の完全嵌合検出システムを組み込む、一対のホース継手の概略図を示す。
図11図10に類似であるが、ホース継手と、わずかに嵌合していない構成にある完全嵌合検出システムとを有する、概略的なアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、例示的なマルチファイバレンズ付きフェルールアセンブリ10が示されている。フェルールアセンブリ10は、フェルール本体11と、レンズプレート20など光拡大素子と、フェルールアセンブリ軸110に沿って整列している、複数の光ファイバ101を有するマルチファイバケーブル100とを含む。図示のように、フェルールアセンブリ10は、6本の光ファイバ101の列を含むが、フェルールアセンブリは、必要に応じて、より多い又はより少ない光ファイバを受容するように構成され得る。
【0014】
フェルール本体11は略矩形であり、概ね平坦な前面12及び後面13を有する。図示のように、フェルール本体11は、後面13から前面12までフェルール本体11を貫通して延在する6個の光ファイバ受容孔又は穴14(図2)の列を含む。加えて、フェルール本体11はまた、ファイバ受容穴14のアレイの反対側に位置付けられた、一対の位置合わせ穴又はレセプタクル15(図2)を含む。図示のように、位置合わせ穴15は、略円筒形であり、前面12から後面13まで延在する。各位置合わせ穴15は、一対のコネクタを嵌合する際に位置合わせを容易にするために、その中にポストを受容するように構成される。
【0015】
フェルール本体11は、ポリフェニレンスルフィド又はポリエーテルイミドなど射出成形可能な樹脂で形成されてよく、シリカ(SiO2 )など添加剤を含んで、樹脂の寸法特性、強度及び安定性を高めてよい。マルチファイバケーブル100の光ファイバ101のうちの1つは、各ファイバ受容穴14及びフェルール本体11の前面12の内部に位置付けられ、前面に隣接する光ファイバ101の端面が所望の仕上げに研磨される。
【0016】
レンズプレート20は略矩形であり、前面21及び概ね平坦な後面22を有する(図2)。凹部23は、前面21の中央に位置し、複数のレンズ素子24を含む。レンズプレート20はまた、フェルール本体11の位置合わせ穴15と整列するように構成された、一対の円筒形ガイド穴又はレセプタクル25を含む。レンズプレート20は、光ファイバ101の屈折率と密接に一致する屈折率を有する、射出成形可能な光学グレードの樹脂で形成されてよい。
【0017】
拡大ビームコネクタでは、2種類の一般的なレンズ素子は、コリメートレンズ素子又はクロス集束レンズ素子である。以下により詳細に記載するように、本開示のフェルールアセンブリ10の一方は、コリメートレンズ素子及びクロス集束レンズ素子の両方を含み、他方はコリメートレンズ素子のみを含む。各レンズ素子24は、凹部23の内表面からレンズプレート20の前面21に向かって突出する凸状形状を含む。フェルールアセンブリ10を組み立てると、1つのレンズ素子24が、フェルール本体11内に位置する各光ファイバ101の端面と整列している。
【0018】
レンズプレート20は、任意の数及び任意の組み合わせのレンズ素子を含んでよい。更に、レンズプレート20は、以下に記載のミラー素子45、46、145、146など他の構造を含んでよい。レンズプレート20がフェルール本体11から分離し、フェルール本体11に固定されている構成要素として示されているが、いくつかの実施形態では、レンズ素子は、フェルール本体の一部として一体的に形成されてよい。換言すれば、レンズ素子のアレイ並びに/又はレンズ素子及びミラー素子のアレイは、フェルール本体11に固定された、別個のレンズプレート20の一部として形成されてよいか、又は一体成形部品の一部としてフェルール本体と一体的に形成されてよい。かかる場合、接合されたフェルール本体及びレンズプレートは、上記の添加剤など、成形材の光学特性を阻害し得る添加剤を含まなくてよい。
【0019】
図2図7はそれぞれ、図1に示されるフェルールアセンブリ10に多くの点でそれぞれ類似する、一対の嵌合フェルールアセンブリの光学部の概略図を示す。図2を参照すると、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30は、第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40の反対側に配設され、これらの間にエアギャップ70が存在する。かかる構成では、レンズプレート32、42の前面(図示せず)は接触しているが、前面から凹状であるというレンズ素子の性質のために、エアギャップ70が生じる。それぞれのレンズアレイ33、43を除いて、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30及び第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40のそれぞれは、上述のレンズ付きフェルールアセンブリ10に類似の様式で構成されてよい。
【0020】
第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30は、第1のレンズプレート32が固定された、第1のフェルール本体31を有する。第1のレンズプレート32は、レンズプレートの前面に沿って凹部(図2には図示せず)内に配設された複数のレンズ素子を含む第1のハイブリッドレンズ又は素子アレイ33を有する。複数の第1のレンズ素子のそれぞれは、コリメートレンズ素子34として構成され、一対の第2のレンズ素子のそれぞれは、クロス集束レンズ素子35、36として構成される。各コリメートレンズ素子34は、第1のフェルール本体31に固定された、その整列した光ファイバ102から光を受光し、コリメートビームとしてレンズ素子を出射する比較的大きな径にビームを拡大する。
【0021】
第1のクロス集束レンズ素子35は、その整列した光ファイバ103から光を受光し、その光を比較的大きな径に拡大し、次いで、レンズ素子を出射した後に特定の焦点において拡大された光ビームを集束する。第2のクロス集束レンズ素子36は、光ファイバ104と整列し、第1のクロス集束レンズ素子35と同一に又は同様に構成されてよい。クロス集束レンズ素子35、36のそれぞれの焦点距離は、以下により詳細に記載するように、クロス集束レンズ素子と軸方向に整列したミラー素子との間の距離に対応するように選択される。
【0022】
第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40は、第2のレンズプレート42が固定された、第2のフェルール本体41を有する。第2のレンズプレート42は、レンズプレートの前面に沿って凹部(図示せず)を含む第2のハイブリッド素子アレイ43を有し、第1のミラー素子45及び第2のミラー素子46と共に複数の第2のコリメートレンズ素子44を有する。第2のコリメートレンズ素子44のそれぞれは、第2のフェルール本体42に固定された光ファイバ105と整列している。各ミラー素子45、46は、適切に集束されると、横方向に、つまり90度の角度で光を向け直すように構成されている。結果として、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30及び第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40の嵌合軸に対して平行に進む光は、反射されて横方向に進み、横方向に進む光は、反射されて嵌合軸110に対して平行に進む。一対のミラー素子45、46を互いに隣接して位置付けることにより、この対は合わせて、光を元の経路と反対の方向に、かつその元の経路から横方向にオフセットしている方向に光を向け直すミラーシステムとして機能する。
【0023】
図3を参照すると、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30を第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40と嵌合させると、第1のコリメートレンズ素子34のうちの1つと整列した各光ファイバ102からの光は、光がレンズ素子を通って進み、75において示されるように比較的大きいコリメートビームとしてレンズ素子から出射する。各コリメートビーム75は、エアギャップ70を通過して、第2のコリメート素子44に到達し、軸方向に整列した光ファイバ105に集束される。
【0024】
クロス集束レンズ素子35、36とミラー素子45、46との組み合わせは、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40とが完全に嵌合しているかどうかに関する信号又はインジケータとして動作することができる。例えば、第1のクロス集束レンズ素子35と整列した光ファイバ103からの光は、76において示されるようにクロス集束レンズ素子を出射し、第1のミラー素子45に伝送され、集束される。クロス集束レンズ素子35の焦点距離は、第1のミラー素子45と整列したクロス集束レンズ素子を出射する光が第1のミラー素子に集束されるように選択される。
【0025】
光は、77において示されるように、第1のミラー素子45によって90度の角度で(すなわち、フェルールアセンブリ軸110に対して横方向に)第2のミラー素子46に向かって反射される。次いで、光は、78において示されるように、第2のミラー素子46によって、90°の角度で、第2のミラー素子46と整列した第2のクロス集束レンズ素子36に向かって反射される。次いで、光は、第2のクロス集束レンズ素子36に入射し、この素子と整列した光ファイバ104に再集束される。この構成の結果として、第1のミラー素子45及び第2のミラー素子46を通り、第2のクロス集束レンズ素子36を通って戻る、第1のクロス集束レンズ素子35から出射した光は、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40とが完全に嵌合していることを確認するために監視される嵌合確認信号として動作することができる。
【0026】
図4を参照すると、エアギャップ71の長さが増加しているものの、軸方向に整列したままであることから分かるように、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40とが完全に嵌合していない実施例が示されている。部分的に嵌合していない状態は、レンズ素子34、44の間を通過する光のコリメート性のために、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30及び第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40のコリメートレンズ素子34、44を介して伝送された信号を著しくは劣化させないことがある。結果として、コリメートレンズ素子34、44を介して伝送される信号のみを監視すると、フェルールアセンブリ30、40が完全に嵌合していないことを示し得る。
【0027】
したがって、第1のクロス集束レンズ素子35、第2のクロス集束レンズ素子36、第1のミラー素子45及び第2のミラー素子46は、フェルールアセンブリ30、40が完全に嵌合していないことを示すように構成されている。そうすることで、フェルールアセンブリ30、40間の距離が増加すると、第1のクロス集束レンズ素子35及び第2のクロス集束レンズ素子36と第1のミラー素子45及び第2のミラー素子46との間の伝送特性が変化することになる。より具体的には、第1のクロス集束レンズ素子35と整列した光ファイバ103からの光は、80において示されるようにクロス集束レンズ素子を出射し、第1のミラー素子45に伝送される。しかしながら、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40との間の距離がより大きいため、第1のクロス集束レンズ素子35を出射する光は、第1のミラー素子45に対して正しい位置において集束されない。換言すれば、第1のクロス集束レンズ素子35及び第2のクロス集束レンズ素子36の焦点距離は、クロス集束レンズ素子とその整列したミラー素子45、46との間の距離よりも短い。結果として、第1のクロス集束レンズ素子35を出射する光は、81において示される焦点を通過し、第1のミラー素子45に到達するまで拡大、つまり発散する。
【0028】
光は、82において示されるように、第1のミラー素子45によって約90°の角度で反射され、第2のミラー素子46に到達するにつれて拡大、つまり発散し続ける。次いで、光は、83において示されるように、第2のミラー素子46によって第1のレンズプレート32に向かって約90°の角度で、第2のクロス集束レンズ素子36に向かって反射される。光ビームは、その焦点81の通過後に拡大しているため、光は、84において示されるように第2のハイブリッド素子アレイ43に到達すると、第2のクロス集束レンズ素子36を越えて著しく拡大している。第2のクロス集束レンズ素子36に到達する拡大された光ビームの部分は、その整列した光ファイバ104に集束されるが、光ファイバ104内で生じた信号の強度は著しく低減し、かかる電力の低減は、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ30と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ40とが完全に嵌合していないことを判定するか、又は示すために監視され得る。
【0029】
図5図7に示される代替の実施形態では、第1のフェルールアセンブリ130及び第2のフェルールアセンブリ140は、それぞれ第1のフェルール本体131及び第2のフェルール本体142上に、変更を加えられた第1の素子アレイ133及び第2の素子アレイ143を備えている。第1のコリメートレンズ素子134及び第2のコリメートレンズ素子144の構成は、図2図4の実施形態における第1のコリメートレンズ素子34及び第2のコリメートレンズ素子44の構成と同一である。
【0030】
しかしながら、第1のクロス集束レンズ素子135及び第2のクロス集束レンズ素子136は、クロス集束レンズ素子のうちの少なくとも1つの軸111(図6)がフェルールアセンブリ軸110からオフセットされるように変更される。加えて、第1のミラー素子145及び第2のミラー素子146は、クロス集束レンズ素子135、136の角度方向の変動を考慮するように変更される。例えば、図6の85において示すように、第1のクロス集束レンズ素子135から出射する光は、フェルールアセンブリ軸110に対してある角度をなして出射し、第1のクロス集束レンズ素子135から軸方向にオフセットされている位置において第1のミラー素子145に集束される。光は、フェルールアセンブリ軸110に対して86において横方向又はほぼ横方向に(すなわち、必ずしも90°の角度ではない)第1のミラー素子145によって反射される。次いで、光は、87において示されるように、第2のミラー素子146によって第2のクロス集束レンズ素子146に向かって反射される。第2のクロス集束レンズ素子35に入射する光は、それと整列している光ファイバ104に再集束される。第1のレンズ付きフェルールアセンブリ130と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ140とが完全に嵌合している限り、第1のクロス集束レンズ素子135からの光は、反射されて第2のクロス集束レンズ素子136を通って戻り、第1のフェルールアセンブリと第2のフェルールアセンブリとが完全に嵌合していることを示す。
【0031】
しかしながら、図7を参照すると、エアギャップ71の長さが増加しているものの、軸方向に整列したままであることから分かるように、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ130と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ140とが完全に嵌合していない実施例が示されている。かかる場合、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ130及び第2のレンズ付きフェルールアセンブリ140のコリメートレンズ素子134、144は、アセンブリ間を通過する光のコリメート性のために、2つのアセンブリ間で光信号を送信するようにまだ機能してよい。
【0032】
しかしながら、フェルールアセンブリ130、140間の距離が増加すると、第1のクロス集束レンズ素子135及び第2のクロス集束レンズ素子136と第1のミラー素子145及び第2のミラー素子146との間の伝送特性が変化することになる。より具体的には、第1のクロス集束レンズ素子135と整列した光ファイバ103からの光は、90において示されるようにクロス集束レンズ素子を出射し、第1のミラー素子145に向かって伝送される。しかしながら、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ130と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ140との間の距離がより大きいため、第1のクロス集束レンズ素子135を出射する光は、第1のミラー素子145に対して正しい位置において集束されない。換言すれば、第1のクロス集束レンズ素子135の焦点距離は、クロス集束レンズ素子とその整列したミラー素子145との間の距離よりも短い。結果として、第1のクロス集束レンズ素子135を出射する光は、91において示される焦点を通過し、第1のミラー素子145に到達するまで拡大、つまり発散する。光は、92において示されるように、第1のミラー素子145によってある程度横方向に角度をなして反射され得るが、第2のミラー素子146に向けては反射されない。代わりに、光は、第2のクロス集束レンズ素子136に直接ではなく、第1のレンズアレイ133に向かって概ね戻るように反射される。かかる構造を介して、一部の反射光は、第2のクロス集束レンズ素子136へと方向付けられ得るが、大部分の光は第2のレンズ素子に到達しない。結果として、第2のクロス集束レンズ素子136に到達する光の量は著しく低減し、したがって、整列した光ファイバ104にその後集束される光の量は著しく低減する。結果として生じる電力の低減は、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ130と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ140とが完全に嵌合していないことを判定するか、又は示すために監視され得る。
【0033】
第1のクロス集束レンズ素子135、第2のクロス集束レンズ素子136、第1のミラー素子145及び第2のミラー素子146は、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ130と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ140とが部分的に嵌合していないときに、第2のクロス集束レンズ素子によって受光される光の量がわずか1mm以下など著しく低減する限り、任意の所望の構成を有してよい。例えば、第1のミラー素子145は、第1のクロス集束レンズ素子135からの光が第2のミラー素子146に向かって反射されないように構成されているが、反射光が第2のミラー素子を回避する必要はない。かかる場合、第1のミラー素子145及び第2のミラー素子146は、第1のレンズ付きフェルールアセンブリ130と第2のレンズ付きフェルールアセンブリ140とが嵌合していないときに、第1のレンズ素子145から第2のミラー素子146に向かって反射された光が、第2のミラー素子によって第2のクロス集束レンズ素子136から離れる方向に反射されるように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、クロス集束レンズ素子35、36、135、136及びミラー素子45、46、145、146の正確な角度は、結果として生じる光伝送よりも重要ではない場合がある。換言すれば、所望の結果として生じる光伝送が達成されるように、45、46、145、146の様々な角度が選択されてよい。
【0035】
各レンズ素子34~36、44、134~136、144を介した光伝送の効率を改善する(すなわち、電力損失を低減する)ために、レンズプレート32、42、132、142に、又は素子アレイ33、43、133、143のみに反射防止コーティングを追加することが望ましい場合がある。しかしながら、反射防止コーティングをミラー素子45、46、145、146に適用することは、逆効果を招くこともある。したがって、ある実施形態では、反射防止コーティングは、第1のレンズプレート32、142のみ、又はコリメートレンズ素子34、134及びクロス集束レンズ素子35、36、135、136を含む第1の素子アレイ33、133に適用されてよい。いくつかの実施形態では、
【0036】
いくつかの実施形態では、嵌合していないフェルールアセンブリを介した光伝送によって生じる眼の損傷リスクを低減するために、コリメートレンズ素子34、44、134、144を有するチャネルに沿って、例えば、850nmの動作波長で光を伝送し、クロス集束レンズ素子35、36、135、136を有するチャネルに沿って、例えば、1310nmという異なるインジケータ波長で光を伝送することが望ましい場合がある。かかる場合、850nm及び1310nmの両方で同様に良好に光を通過させる反射防止コーティングを利用することが望ましい。反射防止コーティングは、必要とされる特定の反射率をもたらすように選択される、カスタムコーティング又は標準コーティングであり得る。このような反射防止コーティングの例は、NIR(750~1550)である。他の波長及び他の反射防止コーティングが利用されてよい。
【0037】
別の実施形態では、第1の反射防止コーティングは、第1のレンズプレート32、132に、又は第1の素子アレイ33、133のみに適用されてよく、第2の反射防止コーティングは、第2のレンズプレート42、142に、又は第2の素子アレイ43、143のみに適用されてよい。第1の反射防止コーティングは、上記のコーティングと同一であってよい。第2の反射防止コーティングは、第1の反射防止コーティングとは異なるバンドパスで構成されてよい。第2の反射防止コーティングは、コリメートレンズ素子34、44、134、144を通過する作動光に関する反射を排除するように機能してよい。したがって、第1の素子アレイ33、133及び第2の素子アレイ43、143を通過する作動光は、第1の反射防止コーティング及び第2の反射防止コーティングの両方の利益を受けることになる。しかしながら、第1のクロス集束レンズ素子35、135を通過し、第1のミラー素子45、145及び第2のミラー素子46、146によって反射され、次いで第2のクロス集束素子36、136を通過するインジケータ光は、クロス集束レンズ素子35、36、135、136を通過する際に第1の反射防止コーティングの利益を受けるが、第2の素子アレイ43、143の第1のミラー素子45、145及び第2のミラー素子46、146によって反射される際に反射率の低下に悩まされることはない。反射防止コーティングは、必要とされる特定の反射率をもたらすように選択される、カスタムコーティング又は標準コーティングであり得る。第2の反射防止コーティングの例は、NIR(600~1050)である。
【0038】
第1のフェルールアセンブリ30、130及び第2のフェルールアセンブリ40、140のそれぞれは、クロス集束レンズ素子35、36、135、136及びミラー素子45、46、145、146の対を有するものとして示されているが、かかるフェルールアセンブリは、単一のクロス集束レンズ素子及び/又は単一のミラー素子のみを含んでよい。例えば、図8を参照すると、完全嵌合検出システム220の代替実施形態が示されている。完全嵌合検出システム220は、単一のクロス集束レンズ素子235を有する第1のフェルールアセンブリ230及び単一のミラー素子245として構成されたミラーシステムを有する第2のフェルールアセンブリ240として構成されている。クロス集束レンズ素子235は、第1のフェルール本体231と動作可能に関連付けられた第1のレンズプレート232の一部として形成されてよい。ミラー素子245は、第2のフェルール本体241と動作可能に関連付けられた第2のレンズプレート242の一部として形成されてよい。図示のように、第1のフェルール本体231は、それぞれ第2のフェルール本体241及び第2のレンズプレート242と同様に、一片の一体化部材として第1のレンズプレート232と一体的に形成される。
【0039】
クロス集束レンズ素子235は、クロス集束レンズ素子135に類似の様式で構成されており、レンズ素子235の軸112は、光ファイバ103の軸113に対して角度115で配設されている。クロス集束レンズ素子235の軸112の角度115の結果として、ビーム93は、ミラー素子245に向かってある角度をなしてレンズ素子を出射する。
【0040】
ミラー素子245は、光ビーム93を反射して、クロス集束レンズ素子から進んだ光と同一の経路に沿ってクロス集束レンズ素子235に向けて戻すように構成されている。結果として、反射光ビーム94は光ビーム93と重なり合い、クロス集束レンズ素子235に再入射する。したがって、第1の脚部251及び第2の脚部252を有するスプリッタ250は、光ファイバ105を通って戻る光の一定割合が伝送されて、第2の脚部252を通って検出器(図示せず)に戻るように設けられる。換言すれば、入力ビーム95は、スプリッタ250の第1の脚部251に沿って設けられ、光ファイバ103に沿ってクロス集束レンズ素子235に向かって進む。この光は、光ビーム93として、軸113に沿ってミラー素子245に向かってクロス集束レンズ素子235を出射する。光は、同一経路に沿ってクロス集束レンズ素子235に向かって、光ビーム94としてミラー素子245によって反射される。光は、クロス集束レンズ素子235によって再集束されて光ファイバ103に戻り、スプリッタ250に向かって戻り、一定割合が、第2の脚部252に沿って検出器(図示せず)に戻るように方向付けられる。
【0041】
図9を参照すると、第1のフェルールアセンブリ230及び第2のフェルールアセンブリ240は、クロス集束レンズ素子235とミラー素子245との間の距離271が増加していることから分かるように、完全には嵌合していない。距離271が増加した結果として、クロス集束レンズ素子235を出射する光ビーム93は、ミラー素子245に集束されない。より具体的には、距離271が増加した結果として、光ビーム93は、反射されてクロス集束レンズ素子235に戻ることなくミラー素子245の側へと移動する。光が反射されてクロス集束レンズ素子235に戻らなければ、光は、光ファイバ103に沿ってスプリッタ250に戻らず、検出器(図示せず)に戻らない。
【0042】
他の実施形態が想到される。例えば、レンズ素子及びミラー素子の軸113を適切に構成することによって、レンズ素子235など単一のクロス集束素子レンズ素子は、一対のミラー素子145、146と共に使用され得る。
【0043】
更に、少なくとも1つのクロス集束レンズ素子と、少なくとも1つのミラー素子を含むミラーシステムとを有する完全嵌合検出システムは、非光学構造体と共に使用されて、それらがわずかに嵌合していないときを判定することができる。図10図11を参照すると、第1のホース継手部材271と、第2の嵌合ホース継手部材272とを有する油圧ホースアセンブリ270が示されている。第1のホース継手部材271及び第2のホース継手部材272は、図8の図示されたOリング274及び完全嵌合検出システム220など封止システム273を含むことができる。より具体的には、第1のホース継手部材271はクロス集束レンズ素子235を含み、第2のホース継手アセンブリ272は、その上に配置されたミラー素子245を含む。第1のホース継手部材271と第2のホース継手部材272とが完全に嵌合すると、光信号は、上記のように反射されて完全嵌合検出システム275を介して戻る。第1のホース継手部材271と第2のホース継手部材272とが完全に嵌合していない場合、光信号が反射されて完全嵌合検出システム275を介して戻ることはない。
【0044】
前述の説明は、本開示のシステム及び手法の例を提供するものであることが理解されるであろう。例えば、MTタイプのフェルールアセンブリの一部として示されているが、前述の説明は、任意のタイプの整列システムを有するフェルールシステムなど任意のタイプのフェルールシステムに適用可能である。本開示又はその例に対する全ての言及は、その時点で説明されている特定の例について言及することを意図しており、より一般的に、本開示の範囲に関して何らかの限定を示唆する意図はない。何らかの形で示唆された場合を除き、特定の特徴に関する選別的表現及び否定的表現はいずれも、これらの特徴に関しては優先されるものではないが、本開示の範囲から、それらが完全に除外されるわけではないということを意図している。
【0045】
本明細書における値の範囲の記述は、本明細書に別段の記載がない限り、単に、範囲内にある各別個の値を個々に言及する簡略化法として機能することが意図され、各別個の値は、それが本明細書に個々に記述されたかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈に明らかな矛盾がない限り、任意の好適な順序で実行することができる。
【0046】
したがって、本開示は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記述された主題の全ての修正物及び等価物を含む。更に、その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈に明らかな矛盾がない限り、本開示によって包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-9】
図10-11】