(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】可変容量タービン及び過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 37/22 20060101AFI20220912BHJP
【FI】
F02B37/22
(21)【出願番号】P 2021514767
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2019016765
(87)【国際公開番号】W WO2020213151
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 誠
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-20213(JP,A)
【文献】特開平4-362223(JP,A)
【文献】特開2003-301726(JP,A)
【文献】特表2005-527728(JP,A)
【文献】特表2013-535615(JP,A)
【文献】特表2013-543951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/16
F02B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに回転するタービン翼車と、
該タービン翼車を収容するとともに、前記タービン翼車の外周側にスロート通路及び該スロート通路と連通するスクロール流路を形成するタービンハウジングと、
前記スロート通路の通路幅を前記タービン翼車の周方向に沿って変化させる幅変化部が前記通路幅の幅方向に移動可能な幅可変機構と、
を備え
、
前記幅変化部は、前記スロート通路の前記通路幅を前記タービンの周方向に沿って連続的に変化させる可変容量タービン。
【請求項2】
前記幅可変機構は、
前記軸線方向に伸びる円筒形状とされ、前記円筒形状の一端側が前記スロート通路に対して前記軸線方向に挿入されるとともに前記一端に形成された縁の位置が前記円筒形状の周方向に沿って変化する変化区間を有している筒状部材と、
前記筒状部材を前記軸線方向に移動させる駆動部と、
を備え、
前記変化区間が前記幅変化部とされている請求項
1に記載の可変容量タービン。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の可変容量タービンと、
前記タービン翼車よって回転されるコンプレッサ翼車を有する圧縮機と、
を備えている過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可変容量タービン及び過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に採用される過給機のタービンは、低出力から高出力まで広範囲のエンジン出力に亘って作動するため、各出力時における性能向上が要求されている。
【0003】
このような要求に対応するために、例えばVG(VG:Variable Geometry)タービンのようにエンジンの出力に応じて流量特性を調整できるタービンがある。
【0004】
また、エンジンの出力に応じて流量特性を調整できるタービンとして、特許文献1には、主スクロールと副スクロールが区画されたスクロール流路において、エンジンの運転状態に応じて、副スクロールを円筒状のスライド弁によって閉止可能とするタービンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年は、エンジン自体の性能(出力)向上によって排ガス温度が上昇する傾向にある。この場合、複雑なリンク機構を有するVGタービンでは、リンク機構を構成する部品の故障率や信頼性に対して課題が生じる。
【0007】
また、一般的に、スクロール流路の巻き始め(流体入口)付近ではタービン翼車への流体の流れ込みが大きいため流れ角度が大となる傾向にある。反対に、スクロール流路の巻き終り付近では、スクロール流路を形成する壁面から受ける摩擦損失によって流通する排ガスの流速が減少するので流れ角度が小となる傾向にある。これは、特許文献1に開示されているタービンやVGタービンにおいても同様である。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡便な構造によってエンジンの出力に応じてタービンの流量特性を変化させることができ、また、タービン翼車に流れ込む流体の流れ角度をタービン翼車の周方向において任意に調整することができる可変容量タービン及びそれを備えた過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の可変容量タービン及びそれを備えた過給機は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る可変容量タービンは、軸線周りに回転するタービン翼車と、該タービン翼車を収容するとともに、前記タービン翼車の外周側にスロート通路及び該スロート通路と連通するスクロール流路を形成するタービンハウジングと、前記スロート通路の通路幅を前記タービン翼車の周方向に沿って変化させる幅変化部が前記通路幅の幅方向に移動可能な幅可変機構とを備えている。
【0010】
本態様に係る可変容量タービンによれば、軸線周りに回転するタービン翼車と、タービン翼車を収容するとともに、タービン翼車の外周側にスロート通路及びクロール流路を形成するタービンハウジングと、タービン翼車の周方向に沿ってスロート通路の通路幅を変化させる幅変化部が前記通路幅の幅方向に移動可能な幅可変機構とを備えている。
これによれば、幅可変機構によってスロート通路の通路幅を変化させる(すなわち、スロート通路の流路面積を調整する)ことで、スクロール流路からタービン翼車に流れ込む流体(例えば、エンジンから排出された排ガス)の流量を調整することができる。これによって、例えばVGタービンのような複雑な構造を用いなくとも簡便な構造によってエンジンの出力に応じてタービンの流量特性を変化させることができる。このため、VGタービンと比べて、構造の簡便化による部品点数の削減、及び、それに伴う故障率の低減や信頼性の向上を図ることができる。
また、幅変化部によってスロート通路の通路幅をタービン翼車の周方向に沿って変化させることで、タービン翼車に流れ込む流体の流れ角度をタービン翼車の周方向において任意に調整することができる。
例えば、スクロール流路の巻き始め(排ガス入口側)付近ではタービン翼車への流体の流れ込みが大きいため流れ角度が大となり、反対に、スクロール流路の巻き終り付近ではタービンハウジングの内壁面から受ける摩擦損失によって流速が減少して流れ角度が小となる。このとき、スロート通路の通路幅をスクロール流路の巻き始めから巻き終りに向かって徐々に広げるように変化させることで、巻き始め付近ではタービン翼車への流体の過度な流れ込みを回避して、巻き終り付近では流体の流速の減少を回避することができる。すなわち、タービン翼車の周方向における流れ角度の不均一を回避して、タービン翼車の周方向における流れ角度の分布を一様なものとすることができる。
【0011】
また、本開示の一態様に係る可変容量タービンにおいて、前記幅変化部は、前記スロート通路の前記通路幅を前記タービンの周方向に沿って連続的に変化させる。
【0012】
本態様に係る可変容量タービンによれば、幅変化部は、スロート通路の通路幅をタービン翼車の周方向に沿って連続的に変化させることができる。これによれば、スロート通路の通路幅をタービン翼車の周方向に沿って滑らかに変化させられるので、周方向においてタービン翼車に流れ込む流体の流量が急激に変化することを抑制できる。
【0013】
また、本開示の一態様に係る可変容量タービンにおいて、前記幅可変機構は、前記軸線方向に伸びる円筒形状とされ、前記円筒形状の一端側が前記スロート通路に対して前記軸線方向に挿入されるとともに前記一端に形成された縁の位置が前記円筒形状の周方向に沿って変化する変化区間を有している筒状部材と、前記筒状部材を前記軸線方向に移動させる駆動部とを備え、前記変化区間が前記幅変化部とされている。
【0014】
本態様に係る可変容量タービンによれば、幅可変機構は、軸線方向に伸びる円筒形状とされ、円筒形状の一端側がスロート通路に対して軸線方向に挿入されるとともに一端に形成された縁の位置が円筒形状の周方向に沿って変化する変化区間を有している筒状部材と、筒状部材を軸線方向に移動させる駆動部とを備え、変化区間が幅変化部とされている。これによれば、可変区間を有する筒状部材を駆動部によってスロート通路に挿入することで、スロート通路全体として流路面積を減少させるとともに、変化区間によってスロート通路の通路幅をタービン翼車の周方向に沿って変化させることができる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る過給機は、上述の可変容量タービンと、前記タービン翼車よって回転されるコンプレッサ翼車を有する圧縮機とを備えている。
【0016】
本態様に係る過給機によれば、上述の可変容量と、タービン翼車によって回転されるコンプレッサ翼車を有する圧縮機とを備えている。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る可変容量タービン及びそれを備えた過給機によれば、簡便な構造によってエンジンの出力に応じてタービンの流量特性を変化させることができ、また、タービン翼車に流れ込む流体の流れ角度をタービン翼車の周方向において任意に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の一実施形態に係る可変容量タービンの縦断面図である。
【
図2】
図1に示す切断線I-Iにおける断面図である。
【
図3】周方向に展開されたスロート通路において幅変化部による通路幅の変化を示す図である。
【
図4】周方向に展開されたスロート通路において幅変化部による通路幅の変化を示す図である。
【
図5】周方向に展開されたスロート通路が幅変化部によって全開とされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の一実施形態に係る可変容量タービン及び過給機について図面を用いて説明する。
【0020】
まず、可変容量タービン10及び過給機の構成について説明する。
図1に示すように、可変容量タービン10は、タービン翼車12と、タービン翼車12を収容するタービンハウジング30とを備えている。
【0021】
タービン翼車12は、複数の翼16が形成されたハブ14を有しており、ロータ軸18の一端(同図において右端)に取り付けられている。
【0022】
ロータ軸18は、図示しない軸受によって軸線X周りに回転自在に支持されている。これによって、タービン翼車12が軸線X周りに回転可能とされている。
【0023】
ロータ軸18の他端(同図において右端側)には、図示しないコンプレッサ翼車が取り付けられている。これによって、タービン翼車12とコンプレッサ翼車とがロータ軸18を介して接続されるとともに、タービン翼車12の回転によってコンプレッサ翼車が回転されることとなる。
【0024】
コンプレッサ翼車は、外部から取り込んだ空気を圧縮する圧縮機(図示せず)を構成しており、可変容量タービン10と図示しない圧縮機とによって過給機を構成する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、タービンハウジング30は、タービン翼車12を収容する筐体であって、タービン翼車12の外周側にスロート通路32及びスクロール流路34を形成するように構成されている。
【0026】
図2に示すように、スクロール流路34は、タービンハウジング30の排ガス入口36側から流路面積を徐々に縮小させつつタービン翼車12の周方向に伸びる渦巻き状の流路とされている。このとき、スクロール流路34は、排ガス入口36側が巻き始めとされ、排ガスの流れ方向側が巻き終りとなる。つまり、スクロール流路34の流路面積は、巻き始めから巻き終りに向かって徐々に縮小している。
【0027】
同図では説明のために舌部31付近の角度を0°として、排ガスの流れ方向に沿って角度が増大していき、スクロール流路34の巻き終りの角度を360°としている。
【0028】
図1及び
図2に示すように、スロート通路32は、タービン翼車12の外周側の周方向に形成されるとともにスクロール流路34に連通した流路とされている。タービンハウジング30によって形成されるスロート通路32の通路幅は、タービン翼車12の周方向に沿って一定とされている。
スロート通路32は、タービン翼車12が収容されたタービンハウジング30の空間とスクロール流路34とを連通させる。
【0029】
次に、可変容量タービン10及び過給機の作動について説明する。
図示しないエンジンから排出された排ガスは、タービンハウジング30の排ガス入口36からスクロール流路34に流入する。
【0030】
スクロール流路34に流入した排ガスは、スクロール流路34を流通するとともにスロート通路32を介してタービン翼車12に向かって流れ込む。
このとき、スクロール流路34からタービン翼車12に向かって流れ込む排ガスの流量は、スクロール流路34の流路面積及びスロート通路32の通路幅に依存している。
【0031】
タービン翼車12に向かって流れ込んだ排ガスは、タービン翼車12が有する複数の翼16間を通過しつつ膨張してタービン翼車12を軸線X周りに回転させる。
【0032】
タービン翼車12を通過した排ガスは、タービンハウジング30の内部に形成された出口流路42を流通して排ガス出口40から可変容量タービン10の外部に排出される。
【0033】
一方、図示しない圧縮機のコンプレッサ翼車は、タービン翼車12の回転に伴って軸線X周りに回転される。
【0034】
圧縮機は、コンプレッサ翼車の回転によって空気を圧縮する。その後、圧縮された空気は図示しないエンジンに供給される。
【0035】
次に、可変容量タービン10が備える幅可変機構50について説明する。
図3から
図5に示すように、幅可変機構50は、可変容量タービン10に設けられるとともに、スロート通路32の通路幅をタービン翼車12の周方向に沿って連続的に変化させる幅変化部52を幅方向に移動可能な機構である。
なお、ここで言う「連続的」とは、例えば曲線のように滑らかに接続された線状を示し、大きな段差のように急激な変化を伴うものとは異なる。
【0036】
この幅変化部52によって、スクロール流路34からタービン翼車12に流れ込む排ガス流量をタービン翼車12の周方向に沿って変化させることがきる。
【0037】
例えば、
図3において、スロート通路32の通路幅は幅変化部52によってスクロール流路34の巻き始めから巻き終りに向かって徐々に拡大している。これによって、通路幅がタービン翼車12の周方向に沿って一定とされた場合と比べて、スクロール流路34の巻き始め側ほどタービン翼車12に流れ込む排ガスの流量を抑制することができる。
【0038】
なお、同図に示すθ1からθ3は、
図2におけるスクロール流路34の巻き角度であるθ1からθ3に対応しており、θ1<θ2<θ3となっている。ただし、
図2及び
図3に示す流路面積は正確に描画されたものではく、また、
図2に示すθ1からθ3と
図3に示すθ1からθ3とは厳密に対応しているものではない。
【0039】
ここで、幅変化部52による通路幅の変化は、同図に示されたものに限らず任意に変更できるものとする。つまり、幅変化部52の形状を任意に変更することによって、スクロール流路34からタービン翼車12に流れ込む排ガスの流量をタービン翼車12の周方向に沿って任意に変化させることがきる。
【0040】
図3から
図5に示すように、上述の幅変化部52は、幅方向に沿って移動可能とされる。これによって、タービン翼車12の周方向に沿ったスロート通路32全体としての流路面積を調整することができる。
【0041】
例えば、
図5に示すように、タービン翼車12の周方向に沿って通路が全開(すなわち、通路幅がタービン翼車12の全周方向に沿って一定)とされたスロート通路32から、
図3及び
図4に示すようにスロート通路32の一部を閉塞することで(同図において斜線部で示された部分)、スロート通路32全体としての流路面積を変化させることができる。これによって、エンジンの出力に応じてスクロール流路34の全体からタービン翼車12に流れ込む排ガスの流量を調整することができる。
【0042】
具体的には、エンジンが高出力で運転される場合、
図5に示すようにスロート通路32を全開とすることで、エンジンからの排ガスを無駄なく可変容量タービン10に取り込むことができる。反対に、エンジンが低出力で運転される場合は排ガスの流量が少ないので、
図3及び
図4に示すようにスロート通路32の一部を閉塞することで、タービン翼車12に流れ込む排ガスの流速を増大させて効率的にタービン翼車12を回転させることができる。
【0043】
このような幅可変機構50は、
図6及び
図7に示すように、筒状部材54と、筒状部材54を軸線X方向に移動させる駆動部とを備えている。
【0044】
筒状部材54は、タービン翼車12を外周側から包囲する円筒形状とされ、円筒形状の一端側(
図5において左端側)が軸線X方向に沿ってスロート通路32に挿入可能とされている。
【0045】
筒状部材54は、挿入端側(上述の一端側)の縁の位置が円筒形状の周方向に沿って連続的に軸線X方向に変化する区間(変化区間52)を有している。
【0046】
変化区間52は上述の幅変化部52に対応しており、変化区間52の縁の形状(縁の位置の変化度合)は、目的とするスロート通路32の通路幅を考慮して任意に決定することができる。
【0047】
図8には、筒状部材54の展開図が示されており、例えば
図3に示すような幅変化部52としたい場合、
図8に示す筒状部材54の変化区間52の縁の形状を
図3に示す幅変化部52の形状に対応させるよう構成すればよい。
【0048】
図6に示すように、筒状部材54は、図示しない駆動部によって軸線X方向に移動可能とされる。これによって、スロート通路32に対する変化区間52の挿入量を調整できる。すなわち、
図3から
図5に示すように、スロート通路32を全開にしたりスロート通路32の一部を閉塞したりすることができる。
【0049】
本実施形態においては以下の効果を奏する。
幅可変機構50によってスロート通路32の通路幅を変化させる(すなわち、スロート通路32の流路面積を調整する)ことで、スクロール流路34からタービン翼車12に流れ込む排ガスの流量を調整することができる。これによって、例えばVGタービンのような複雑な構造を用いなくとも簡便な構造によってエンジンの出力に応じて流量特性を変化させることができる。このため、VGタービンと比べて、構造の簡便化による部品点数の削減、及び、それに伴う故障率の低減や信頼性の向上を図ることができる。
【0050】
また、幅変化部52によってスロート通路32の通路幅をタービン翼車12の周方向に沿って変化させることで、タービン翼車12に流れ込む排ガスの流れ角度をタービン翼車12の周方向において任意に調整することができる。
例えば、スクロール流路34の巻き始め付近ではタービン翼車12への流体の流れ込みが大きいため流れ角度が大となり、反対に、巻き終り付近ではスクロール流路34を形成するタービンハウジング30の内壁面から受ける摩擦損失によって流速が減少して流れ角度が小となる。なわち、タービン翼車12の周方向における流れ角度に不均一が生じて可変容量タービン10の性能悪化を招く可能性がある。しかし、スロート通路32の通路幅をスクロール流路34の巻き始めから巻き終りに向かって徐々に広げるように変化させることで、巻き始め付近ではタービン翼車12への流体の過度な流れ込みを回避して、巻き終り付近では排ガスの流量を確保することで流体の流速の減少を回避することができる。すなわち、タービン翼車12の周方向における流れ角度の不均一を回避してタービン翼車12の周方向における流れ角度の分布を一様なものとすることで可変容量タービン10の性能向上を図ることができる。
【0051】
また、幅変化部52はスロート通路32の通路幅をタービン翼車12の周方向に沿って連続的に変化させる。これによれば、スロート通路32の通路幅をタービン翼車12の周方向に沿って滑らかに変化させられるので、周方向においてタービン翼車12に流れ込む流体の流量が急激に変化することを抑制できる。
【0052】
なお、上述のように、スクロール流路34からタービン翼車12に向かって流れ込む排ガスの流量は、スクロール流路34の流路面積及びスロート通路32の通路幅に依存するため、スクロール流路34の巻き方向に沿った流路面積の変化を考慮しつつ最適な流れ角度の分布となるように変化区間52(幅変化部52)の形状が決定される。
【符号の説明】
【0053】
10 可変容量タービン
12 タービン翼車
14 ハブ
16 翼
18 ロータ軸
30 タービンハウジング
31 舌部
32 スロート通路
34 スクロール流路
36 排ガス入口
40 排ガス出口
42 出口流路
50 幅可変機構
52 幅変化部(変化区間)
54 筒状部材
X 軸線